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江戸川乱歩 算盤が恋を語る話

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                    | 江/戸/川/乱/歩の算/盤/が/恋/を/語/る/話から妄想
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| いい年して臆病・純情すぎる主人公に禿萌えたらしいよ 
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 色々捏造しています
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
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ほんのりと同僚→主人公→女性となっております。苦手な方はスルーして下さい。

なんとも馬鹿馬鹿しい思いをしたあの日から、Tは自分の中でこれまでの十数日間の全てを無かったことにしようと勤めていました。
もちろん今でもS子と顔を会わせれば、彼女の快活な魅力に胸は高鳴るのですが、
自分があれこれと考えては算盤に想いをこめていた十数日に渡る焦慮に、彼女が全く気付くことなく過ごしていたことが
Tにこれ以上の働きかけをする事を許さないのでした。

「やはり俺のような気の弱い男には、恋をするなど過ぎた望みだったのだ。」
彼女が自分の気持ちに気付き、あわよくば恋人として受け入れてくれるなど、あるわけないではないか。
まだ誰も出社していない事務所で、Tは自分の隣の彼女の席を苦い顔でみつめていました。
もう算盤に秘密の暗号を打ち込むために一番に出社する必要はないのですが、
既に習慣として染み付いてしまったのか、Tは今日も一番に来てしまったのでした。

何をするでもなくぼんやりと窓の外を眺めていると、同僚である事務員のNが入ってきました。
Nは二十代なかほどの誠実そうな男で、周りの職員たちからも何かというと頼りにされているようでした。
進んで皆にお茶をいれてくれるNからは、なにか砂糖をたっぷり溶かしたコーヒーのような、甘い香りがします。
人を安心させるその匂いが、Tにはとても羨ましく感じられるのでした。
「やあ、おはようございます。今日も随分早いですね。」
Tが小さな恋の計画のために一番に出社するようになるまでは、彼が一番に来ていたようで
ここ十数日の間、Nと朝の事務所で二人きりになる日が続いていました。
「お早う。」
Tはいつもの喉につまったような声で挨拶を返します。
どうしておれはこう話がうまくできないのだろう、他の事務員同士は楽しげに冗談を交わしたりしているのに。
挨拶からその次に進めない自分の内気さに肩をおとしていると、珍しいことに、いつもはそこから沈黙して机についてしまうNが話しかけてきました。
「ここ最近は毎朝二人になりますね、他の職員が来るまでまだ時間があるでしょう。どうです、コーヒーでも。」
彼が話しかけてくれたことに驚き、また、自分から話しかける勇気を持たない自分に振ってきたこの機会に、彼は心中でたいそう喜びました。
もう少し社交的な男になれば、きっと、今度は面と向かって女性に想いを告げられるようになるだろう。
まずは、せめてあたりまえに同僚と話せるようにならなければ。
「あ、あぁ頂くよ。・・・どうです、最近は。」
何を話していいか分からないので、Tはとりあえず漠然とした質問をしてみるのでした。

あまりにもぼんやりとした問いかけに、クスクスと笑いながらNは答えます。
いつもはTと二人きりになると、お互いに押し黙ってなんとも表現し難い空気になってしまう彼の、
そんな笑顔を見てTはなんだか嬉しいような恥ずかしいような気持ちになりました。
やはりおかしな質問だっただろうか。おれに話すような「最近」などないだろうか。
Tが赤面してあれこれと考えを巡らしているのを横目で見ながら、Nは何か含むような笑い顔で話し始めました。
「そうですね、最近はある面白い悪戯を思いつきました。算盤を使うんですがね、想いを寄せる相手に暗号を残すんですよ。」
Nのその言葉に、Tはたいそう動揺しました。それは、自分がS子に向けて行っていたものと同じものだったのです。
Tの動揺する姿を気にしない様子で、Nは話を続けます。
「いいですか、文字を行と番数で表すんです。「あ」なら1行目の1番目、「さ」なら3行目の1番目といったように。
 面と向かっては言えない想いを相手に送ることができる。続けていれば、もしかしたら気付いてくれる日が来るかもしれないですしね。
 文字数の制限はあるでしょうが、大抵の言葉を残しておくことが出来るんですよ。例えば・・・「12 45 32 22 22 72」、「イトシキキミ」とか、ね。」
Nは意味ありげな笑みを浮かべながらコーヒーを差し出します。
Tは、その場から逃げ出してしまいたくなりました。
彼の秘密の計画は、送った相手には伝わらず、よりによって内心羨んでいる同僚に伝わってしまっていたのです。
Nはこんな回りくどい方法に想いを託そうとした自分を内心で軽蔑しているだろうか、
もうすぐ三十になろうという男が、気になる相手に想い一つ伝えられないなんて我ながら情けない。
「でも、こんな簡単な暗号に気付かないような人では駄目ですよ。私はあなたが早く出社するようになって、三日目には気付いていましたよ。」
Nは何か言っているようでしたが、恥ずかしさで頭がいっぱいになっているTの耳には入ってこないのでした。

やがて他の職員達が入って来て、各々の仕事につき始めました。
Tも自分の机につき、その隣には想いを寄せていたS子が座っているのですが、もうそれもTの目には入らず、あれこれと考えているのでした。
仕事に手がつかないまま一日を終え、ぼんやりとしたまま帰ろうとするTに、Nが話しかけてきました。
Tは今朝の恥ずかしさを思い出し、うつむいてしまいましたが、Nは気にする風もありません。
「お疲れ様です。今朝はおかしな話をすみませんでした。
 へんな話しついでにですが・・・もし、Tさんが暗号を受け取る側だったら気付いていたと思いますか?」
優しげな笑みをうかべたまま、なんとも答えに困る質問をする男だと、Tは心の中で毒づきました。もちろんそんな事を口には出来ないのですが。
「さぁ、どうでしょうね。・・・お疲れ様です。」
恥ずかしさに顔を火照らせながら、Tは逃げるように事務所のドアを開けます。
それを止めるでもなく、Nは笑顔のまま見送るのでした。

その翌日、Tは久しぶりにゆっくりと出社しました。TはNと二人きりになって、どんな顔をすればいいのか分からなかったのです。

そしてTは、自分の机の上に乗っている算盤を見て、赤い顔をしながら考え込むのでした。
気付いていないふりは出来るわけがない。そもそもおれが始めたものだ。

12 45 32 22 11 51 41

自分の算盤に残された、Nからであろう暗号に、何と返事をしようか、と。

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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )乱/歩は萌えの宝箱やぁ~
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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  • 最後12453222115141じゃなく12453212115141では? -- 2010-01-18 (月) 16:31:21
  • どっちでも通じるゆ -- 2010-01-19 (火) 01:13:30

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