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蛇首都バンド

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )萎えスレ223-233の姐様方に捧げますモエ。

永瀬くんは変わってる。
今日も子牛を英語でビーフベイベーって言ったりして。
それじゃあ牛肉赤ちゃんだよ…。

国文は、はぁ、と溜め息を一つ吐いて隣で目を瞑っている永瀬を睨んだ。
楽屋には国文と永瀬の二人しかいない。
山久地と松丘は先程5人でやったジューじゃんで負けたのでジュースの買出しに行っている。
ヘッドフォンをして聴いている音楽は、多分ボクの知らないバンドの。
目の前にある揉み上げが妙に気になって、つい見つめてしまっていたら楽屋のドアが開いた。
入るでー、と暢気な声が聞こえて、リーダァが入ってくる。
その声に反応して永瀬の瞼が上がる。
後ろを振り返る永瀬と国文の目が一瞬重なり合い、お互いにキョトンとして視線が離れた。
「リーダァ!」
大声を出して笑顔になる。何だか大型犬みたいだ。
「ん? どしたん?」
リーダァも釣られて笑みを零す。
国文はそんなリーダァの子供を相手にしてるみたいな笑顔がつまらないなあと思う。
「何だかおじいちゃんみたい」
呟きを聞かれてしまったのか、リーダァは国文に向き合った。
リーダァの関心が国文に行ってしまい、永瀬は笑顔を引っ込めて唇を尖がらせた。

「俺、リーダァの胸に刺さりたい!」
唐突にそう言って、永瀬はリーダァに突進する。
「はあ? 何言うとんのやぁ永瀬くんってうわ苦しいやん放しい」
国文に気を取られていたリーダァは反応が遅れて永瀬に抱きつかれてしまった。
「刺さりたいってダツかよ」
沖縄あたりに生息する魚を思い浮かべて、小さく鼻で笑う。今度ばかりはリーダァの耳には入らなかったらしい。
騒動を良い事に、国文は手に持っていた雑誌に目を戻した。
抱きつく永瀬から逃れようとリーダァは顔を押し返して抵抗している。
大雑把なスキンシップの取り方をする二人のお陰でマンガの展開が頭に入ってこない。
「リーダァ人肌!」
「当ったり前やがな! 生きとるんやから!」
放せ、ヤダ放さない、と体力のないリーダァには不利な攻防が続く。
やがて当然くたくたになったリーダァが大きなわんこにぐりぐり抱き竦められた。
永瀬の気が済むまでぐりぐりされっぱなしだったリーダァは、ようやく自由の身になったと思ったらふらふら出て行ってしまった。
何の用事で来たのか結局分からずじまい。
パタンとドアが閉まると、永瀬は国文を振り返りそれはもうきらっきらした目でこう告げた。
「どうしよう多市くん! 俺の目、リーダァがいっぱい!」
多分リーダァしか見えてないよ、みたいな?
永瀬の行動が気を散らせて、折角の感動のシーンが台無しになってしまった。
「あー、もう!」
イライラが最高潮。
国文は目の前で目を輝かせているちょっと彫りの深い顔をした青年の頬を揉み上げごと掴んで思い切り抓る。

抓られて涙目になった永瀬に抓られて、国文は真っ赤になって降参のタイミングが計れないでいる。
「痛い、痛いよ多市くん」
「じゃあやめろよ」
「ヤダ! だって先にやってきたの多市くんじゃん!」
ぐにぐにぐにぐに。痛い痛い痛い。
「はいそこまでー」
果たして抓りっこ勝者決定戦は、両者の頭が第三者に叩かれて終わった。
二人が一斉に頭を叩いた手の主を見上げると、そこには松丘が呆れた笑顔で立っている。
後ろには、山久地が肩を竦めていた。
松丘の左手にはビニール袋がぶら下がっている。今日のジュースは松丘の奢りらしい。
そして山久地の右手には、首根っこを掴まれてしょぼくれているリーダァがいた。
「何だよリーダァ。しょっぱい顔して」
「何でなんやろなぁ。自分でも分からんわぁ」
おじいちゃんの顔をしたリーダァは首を傾げて国文の疑問に疑問を返して項垂れる。
永瀬はそんなリーダァを救出に向かう。
「ダメだよ山久地くん! リーダァ猫じゃないんだから!」
果敢に取り戻そうと手を伸ばすが、リーダァはもう少しで捕まりそうな所で長瀬の手をすり抜けた。
「ほ~れほれ」
山久地は悪戯っ子の笑顔で永瀬をからかう。
リーダァを右に左に振って遊ぶ山久地。遊ばれている永瀬。オモチャにされているリーダァ。
「ちょ、オモチャやないで、遊びなや!」
リーダァが講義する。
けれども振り子の両端でいちいち決めポーズをとっているのだから説得力がない。

「はいはいはい。終了終了!」
松丘が山久地の手からリーダァを放して、ビニール袋から全員に缶ジュースを行き渡らせる。
リーダァは、ありがとなぁと松丘に頭を下げて缶を受け取った。
すると永瀬が「そっちのが良い!」とリーダァの腕を掴んで駄々を捏ねた。
「そんなんどっちでも一緒やがな」
リーダァは永瀬の我侭に呆れて眉を顰めている。
「ちーがーうー! そっちのが美味しそう!」
同じ会社の出した、同じ名前の缶ジュース。全く同じ物の味が違うとはこれ如何に。
永瀬は子供のように、リーダァへとお願い光線を発している。
「いーじゃん、リーダァ。交換してやれば?」
松丘が手を振ってアドバイスする。
リーダァも根負けした様子で「はいはい。交換な、こーかん」と永瀬の缶を手にした。
「わあい!」
はしゃぐ永瀬を脇に除け、山久地が乾杯の音頭をとる。
「松丘くんの奢りに感謝してカンパーイ!」
メンバーが思い思いの場所に座る。
缶を手にした永瀬は、国文の隣に腰を下ろすと一転して肩を落として溜め息を吐いた。
「何でだろうな、俺こんなにも刺されてる。」
シリアスな表情は多分、自分ばっかりがリーダァの事を好きだって事を言いたいんだろう。
そんな事、オレが知るか。バーカ。

国文は永瀬の豹変っぷりにムカついてそっぽを向き、焦げパンよろしくヤサグレた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・;)あれ? ヅラ装備させ忘れた!関西弁分からない!
……以上、脳内設定でお送りしました。


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