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ナマモノほぼオリジナル

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )イチオウナマモノ ホボオリジ デハドゾー!

彼は久しぶりに古巣のユ二フォームに身を包み、白いボールを投げ込んでいる。
周りにいるのは懐かしい顔に立場の変わった親友、そして新しい仲間。
変わったのか変わっていないのか、ともかく「相変わらず」という言葉が似合う明るく厳しい雰囲気。
そんな中ふとよぎるのは、彼がここに戻った事を知ったある人物の言葉。
自分を…自分達をよく知る、恩師とも言える人物であり、彼を自分のチームに呼ぼうとしていた人物。
その人物が、彼と親友の仲を皮肉って言った言葉。
『あいつらはホモみたいな関係やから』
本来ならもっと怒ってもいいはずだ、メジャ一にいた頃なら他チームの監督がそんな発言をしたならば
自分だけでなくチーム全体の問題になり、名誉毀損として法廷に持っていかれてもおかしくない。
もちろん、チームの考えで下手に反論すればイメージが悪くなると結論が出たのかも知れない。
ただ、彼自身の内部で思いもかけない考えが浮かんできたのだ。
もしかすると、その関係を望んでいたのかも知れない。
信頼しあったバッテリー、苦しい時も楽しい時も共にあった親友に、それ以外の関係を求めて
いたのかも知れない、そして今も求めているのかも知れない……
「まさか」
思わず口に出して呟く。
「何が『まさか』なんや?」
と、耳慣れた声が背後から話しかける。
「フルさん…いえ、何でもありません監督」
「これ付けてる時は『フルさん』でええよ、今からお前の球を受けようと思ってね」
マスクの奥のメガネの、その奥にある瞳は野球する友人を見る目だった。

彼は、これでいいんだと思った。
親友に望まれて同じチームでプレー出来る、それに何の不満があるのだろう。
これ以上の望みがあるとすれば、それは親友と共に勝利の栄光を勝ち取る事だけだ。
抱き合うとすれば、それは栄光の日に喜びを分かち合うためだ…そうだ、きっとそうだ。
そう思い、彼はボールを投げた。


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