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全面幸福

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  ナマモノ 踊り子×マジシャン
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  元ネタは本人達の雑誌の対談から
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 数年前の出来事
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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久し振りの瀧田の部屋。
お互い好き勝手なことやって、腹減ったら適当にパスタ茹でて食べて、
テレビも付けずに駄弁るなんて究極に贅沢なぐうたらをした一日の終わり。
日付も変わって二時間経って、シャワー浴びて、寝るための支度も終えて、
コンタクト外してベッドに潜り込んだというのに、相方さんは目をパッチリ開けて言い放った。

「つばきぃ、マラソンしよ」

はぁ? 瀧田ちゃんは何を寝惚けてるのかな。っていうか一人で行ってらっしゃい。
寝たふりを決め込んでそう切り捨てようとしたのに、瀧田は俺の体を揺さぶってきた。
「走ろうよー」
何、その甘えた喋り方は。お兄さん理性がぐらぐらきちゃう。
瀧田の手首をがっちり掴んで自分のほうへと引き込むと、ビックリしたように硬直する。
……椿くん、その反応にはちょっとショックかな。
何度抱きしめても初めてみたいな反応はときめく時とがっかりする時と半々だからなー。
今日はちょっとがっかり。
「瀧田、今何時だと思ってんの? 明日は早いんだろ?」
「いいの。走ろ」
ねぇ、と甘えてくる瀧田の髪を梳いてやると気持ち良さそうに目を閉じる。
よし、このまま寝てしま「走ろうよ」
……目を開けちゃうんだね、瀧田。

結局、俺が瀧田に勝てるはずもなく、しかも『わがまま言う瀧田』なんて貴重だったから、
いわゆる丑三つ時にこんな場所にいるわけなんだけどね。
満月の夜ってこんなに明るいんだねって瀧田に言ったら、瀧田は知らなかったの?って笑う。
意味のないやり取りがくすぐったくて気持ちいい。
瀧田に渡されたジャージ着て、眼鏡かけて、だらだら雑談しながらスピードだけは落とさないで走って、
気がついたらどっかの学校の前まで来ていた。
「中に入れないかな?」
「や、多分無理だろ。だってセキュリティとかあるだろうし」
「グラウンドでもいいんだけどな」
「何で中はいりたいの?」
瀧田のこだわりが俺には時々理解できない。
無理だってわかっているだろうに何で中に入りたがってるんだろ。
「瀧田?」
「……た」
「え?」
「共演したドラマ思い出したのっ」
気のせいか瀧田の頬に赤みが射している。かわいいなぁ。
瀧田の言いたいことは分かった。
昔、初めて共演にしたドラマの舞台と目の前の学校はなんとなく似ていた。
瀧田もそう思ったんだろう。だから入りたいなんて言ってるんだ。
「入っちゃおっか」
俺がそう言うと瀧田は嬉しそうに笑った。

フェンス越えて、着地を決めた俺の隣で、瀧田はシュタッと自分で効果音を入れている。相変わらず変な子だ。
でも根っからの表現者なんだよな。
自分の動きが一枚の絵になるよう無意識の領域で考えて実行してるみたい。
ラッキーなことにセキュリティのベルがなることもなく、無事進入に成功してまずは一安心。
「つばきぃ、あっちにジャングルジムとか滑り台とかあるよ」
ってことは小学校か、ここ。俺には遊具とか見えないんだけど、俺よりも瀧田のほうが視力いいからな。
それにしても瀧田ってば元気が有り余ってる?
何で今まで走ってたというのにダッシュできるんだよ。
「はやくはやく!」
とろとろ歩いていたら瀧田が振り返って手招きしてくる。
うーん、やっぱりかわい(ry
「つばき!」
はいはい。

ジャングルジムに登って懐かしいドラマの話をしていたはずなのに、気がつくと思い出話になっていった。
初めてのドラマで、長時間瀧田と一緒だった。
あの頃の俺たちは本当にガキで、恋とか愛とか、ごちゃごちゃした感情が鬱陶しくて、
泣きそうになったり嬉しくなったりムカついたり、ころころ変わっていく気持ちの変化についていけなかった。
だから、ドラマが終わった頃、自然に瀧田と距離を置くようになっていった。
瀧田から逃げ出した俺と、追いかけたくても動けなかった瀧田と。
俺たちの距離はどんどん広がって、お互いの隣には別の人が寄り添っていた。
そのくせ、瀧田の背中を見ることをやめられない自分が情けなかった。畜生。
思い出したらへこんできたから瀧田をからかってあげよう。(なんでやねん! って、雛形がいたら突っ込まれそうだ)
「あの頃の瀧田、子犬みたいだったなー。マシュマロみたいに美味しそうだったしぃ」
「おいしそうって何だよ! あの頃は俺のほうが大きかったのに」
「今は俺のほうが大きいもんね」
意地悪く言ってみると、瀧田はむぅっとした表情を浮かべて黙り込む。
想像通りの反応に面白くなって言葉を続けると瀧田が一段登る。

「椿は意地が悪くなった」
「俺、性格悪いもーん」
「ガキ!」
「ガキだから思ったことをすぐ口に出しちゃうんだよ。瀧田かわいいなーとか瀧田が好きだなーとか」
「なっ」
ぼんやりした闇の中でかぁっと赤く染まっていく頬。色白だから分かりやすい。
ガード甘いんじゃない? それともこんな風になっちゃうのって俺にだけ?
そうだとしたら俺ってば贅沢者じゃん?
「ワタクシ岩井は、瀧田ちゃんを好き過ぎて愛し過ぎちゃってキスしたりエッチしたりしたいと」
「わーわーわ-っ」
赤い顔のまま両耳を塞いで騒ぐ瀧田。危ねっ。
「手ぇ離すなバカ!」
バランス崩しそうになってる瀧田を下から押し上げて支えると、瀧田ははっと我に返ってバランスを取り直す。やれやれ。

すっかり黙り込んだ瀧田は、さっさとジャングルジムから降りて、すたすたと歩き始める。
瀧田の後を追って、背後から覆いかぶさると微かに身じろぎをする。
嫌なら振り払うよな。調子に乗って肩を抱くようにして隣に移動する。

瀧田の息遣いと、俺の鼓動と。
今更ながらに夜の学校の静けさに気がつく。
普段は音に囲まれて暮らしているから不思議な感じがする。
「瀧田」
「……」
「たーきーだっ」
「……」
「もしかして照れてる?」
「照れて、ない」
「うそつき」
素直になりなさいって。
何年お前と一緒にいると思ってんの?
傍にいないときでもずっと見てたんだよ。瀧田の行動パターンなんて全部お見通し。
本当に素直じゃないんだから。(まぁ、そこも好きなんだけどね)。
「つ、椿はいつも、簡単に好きだって言い過ぎるのっ」
「嬉しいくせに」
「悪い? そうだよ。嬉しすぎてワケ分かんなくなっちゃうくらいなんだから」

あぁ、畜生。
大好きだ、このやろう。

「つばき?」
「早く帰ろう。風邪ひく前に」
「?」
わけわかりませんって顔で見上げてくる瀧田に触れるだけのキスをして、そのままダッシュする。
「家まで競争! 負けたほうが明日はパシリ!」
「えっ、椿ズルイ!」
あわあわしてる瀧田の後を付いてくる足音を聞きながら、今夜は良く眠れそうな気がした。

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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ コイツラフダンカラアマイタイダンカマシテマス
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |  規制にひっかかったスマソ


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