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下町

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  モララーのビデオを見るモナ‥‥。
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  忘れた頃にやってきますな…
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 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
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「ホンマに困りましたわ、ここの臭い」
そういうと耶麻崎は耳の裏をかいた。
「娘に言われてもうて、ホンマ、ショックやってん…」
「そやねん、俺もやねん」
耶麻崎の呟きに、椅子にだらりと体を預けるようにしていた松元は小さく体を起こしながら億劫そうに口を開いた。
「朝とかな、自分の枕にビックリすんねん」
「…そんなですか」
スタッフのあきれたような声に、松元は目元をクシャとさせて息を漏らすように笑った。
本番前の楽屋は、普段よりも幾分ゆったりとした雰囲気だ。
大道具の準備に手間取っているようで、この分だと撮影にかかれるまでまだ大分時間は必要なようだ。
そんななか、雑誌の記事をみてふいに呟いた耶麻崎の言葉に、机を囲む男達は身を乗り出した。
「加齢臭…か~…」
「そやねん」
煙草の煙がふわりと空を舞った。その煙越しに松元は難しいような顔をして、耳を触った。
ずいぶん前に吸わなくなった彼は少し手持ち無沙汰のようだ。
ガチャとドアの開く音がして数人がその方を向くと、丁度濱田が楽屋に戻ってきたところだった。
眉間に大きな皺を刻んだまま、ドッカとパイプ椅子に腰を下ろし、傍らの机に乱暴に飲みかけの缶ジュースを置いた。
先ほど鳴りだした携帯に連れ出されるように廊下に出て行った彼だったが、話の内容がいいニュースではなかったらしく,
戻ってきた頃には少しまとう空気が重たかった。
雰囲気を察してか、耶麻崎はよいしょ…と席を立った。
松元はそんな様子をチラリと目の端で確認すると、手を伸ばして先ほど濱田が置いた缶を手にとった。何事もなかったように口に持っていくと飲み干した。ほんの一口しか残っていなかった甘い液体は生温く、不快だった。
プロデューサーの声がドアのほうからとんだ。ガヤガヤとスタッフ達は席を立っていく。
松元も流れにのって席を立とうかとも思ったが、一旦浮かした腰をまた元に戻した。

結局、楽屋に残ったのは数人のみになった。とくに会話もなく、どこかで雑誌をめくる音だけが空しく響いた。
しかし、やがてその音も消えてしまう。ドアが閉じる音がきこえ、いつのまにか部屋には松元と濱田だけが残っていた。
松元はぼんやりと天井をみつめた。濱田はまだ機嫌がなおらないらしい。表面上は普段と全くかわらないように見えるが、この男が内心怒っていることは面白くもないほど松元にはわかってしまう。
シンと静まり返った部屋に奥のスタジオで起こった笑い声が小さく響いてくる。
濱田は眉間に皺を寄せたまま、机の上の雑誌を引き寄せパラパラとめくり始めた。
いつもだったら飽きたように楽屋から出ていく濱田は、何故か席を立たなかった。松元も意地になったように座り直した。
ふいに視線の先で濱田の指が自身の耳の裏を触った。
それを見て松元は小さく笑った。
同じ記事読んどんねん。
その視線に気づいたのか、パッと濱田は顔を上げると「なんやねん」と呟いた。
「別に」
「……」
松元の返事に一瞬何か返す素振りを見せたが、すぐに面倒くさそうに濱田はまた雑誌に目を落とした。
思いついたように松元は席を立ち、座っている濱田の背後に佇むと、ゆっくりと屈んだ。
濱田はそんな松元を無視するように、雑誌を読み続けている。
松元も構わず濱田の後頭部に鼻を寄せると、耳の裏で息を吸ってみた。
何の匂いもせえへん。
「…加齢臭」
「…なんや」
「おまえ、無臭やんな」
松元はボソリと呟いた。
「そんなわけないやろ。42のオッサン捕まえて」
「せえへん」
「あんた、鼻風邪治ってないやろ」
あ。そうか。だからわからへんねんな。

そう小さく呟くと、松元はチロと舌をだし、濱田の耳の裏を舐めてみた。
濱田は小さく肩を竦ませたが、振り返りもせず雑誌の文字を追っている。
そんな態度に苛ついてもう一度舐めてみる。耳たぶをしゃぶってやった。
「……味やないやろ。こそばいからやめえや」
ようやく発した濱田の低い声に、松元は体を起こした。
そして濱田の顔をそっと覗き込むと、松元は少しの沈黙の後、怒ったように咳払いした。
…何を顔、赤くしてんねん。シャレやんか。
「抵抗せえや」
「アホか」
松元の声に、濱田は顔を上げずに不機嫌そうな返事をよこす。
「……誘っとんのかと思った」
「しばくぞ」
濱田の耳とうなじがみるみる赤く染まる。こちらを見ようともしない、まるい背中を眺めていたら、何故だか身体が火照って困る。
松元は小さく舌打ちすると、仕切り直すかのように音を鳴らして首をまわし歩き出した。
あかん、洒落にならん。
松元はぎこちなく出口へ急いだ。股間のあたりがジンジンと熱かった。
「おい……」
濱田は呆れたように、早足の松元に向かって呟いた。その声が届くよりも先に、ドアが閉じる音が聞こえた。
また無音になった部屋に、濱田の弱々しいため息が響いた。
「何を、前屈みになっとんねん、あのオッサン……」
独り言のように呟くと、濱田はもはや火を噴きそうなほど熱い顔と頭を抱えたのだった。

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