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小寅×鈍太、今回は隆二と鈍太でお送りします。

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                    |  小さい虎と鈍アフロの続きだモナ。
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  でも今回は小さい虎が出てこないんだよね。しかも長いし。
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 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧  イヤソナカタハヌルーデ4649!
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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無理矢理に連れ込まれた小寅の家からいきなり追い出された鈍太は、訳が分からねえとぼやきながら家路に着く。
然し何処をどう走ったか、いつまで経っても家が見えてこない。
鈍太の足取りはずるずると重くなる一方だ。
此処へ来て己の帰巣本能が使えない事実にぶち当たった。今この瞬間に何故に?
「ここ何処だよ」
ポツリと放ったそれに答える者も無く、辺りはすっかり薄暗い。
どうにも薄ら寒いのは、其処が古く寂れた住宅街である所為か。
濃灰色の空に浮かび上がる黒々とした鉄筋。
日の有るうちはレトロな華やかさを醸し出しているのであろうそれらは、今の鈍太に幼い頃の恐怖を思い出させた。
『――帰れない』
声がした気がして、振り返る。誰も居ない。
「……あーもー分からねえ。分からねえから戻ろうっと」
暫くしゃがみ込んだかと思うと殊更に調子良く言って、鈍太は来た道を引き返した。
小寅に泣き付きゃ何とかなるだろう。だってアイツ、俺の事好きだし?
自分の考えに一人で頷き賛成しながら、ある意味で最も危険な地帯へ逃げ込もうと歩き出そうとするのへ、
「あっれえ? どしたの兄貴ィ」
底抜けに明るい弟の、良く響く声が届いた。
「へ?」
呆気無く差し出された救いの手に、逆にどうしたら良いか微妙にパニくる鈍太。
「もしかして迷子?」
「悪いか! 良い年した大人が迷子で泣きそうで悪いですかそうですか!?」
「否、そこまでは言ってねえよ!」

楽しそうに笑いながら、隆二は鈍太が飛び付く様な提案をした。
「あのさ、送ろっか?」
感謝したいのは山々なのだが余りにもけらけらと笑われて、鈍太は自分なりの怖い顔を作ってブンむくれた。
それがまた可笑しかったのか、更に笑われる。
「何だよ、家まで送らねえのかよ」
ゴメンゴメン、と謝って決まり悪そうに苦笑を浮かべる弟を見て、何故かムカついた。
小寅isハンサム。コイツもハンサム。何故に俺は三枚目だ。
鈍太の思考が『ハンサムと鈍太』というタイトルで暴走しそうになる。其れを見計らう様に、
じゃあ行こうか――そう言って、隆二は軽い足取りで歩き出した。
二つの影が動き出す。
「……久し振りだな~」
「何が」
「兄貴と歩くの」
「…………」
横を見る。隆二が空を仰いでいる。空を仰いで、もう本当に爽やかな笑顔を浮かべている。
その危なっかしい歩き方のまま、
「なあ兄貴ィ」
「ん~?」
「アイツの事、どう思う?」
隆二の何でも無い風な問い掛けの言葉に。するっと、小寅の顔が浮かんだ。違うよな?

「好き?」
好き?ってアンタ、それどういう事よってああもう完璧だ。完璧に小寅の事だ。気付いてるよ気付かれちゃってますよ。
全身から力が抜けていくのかそれとも力み過ぎているのか分からなくなる。鈍太は自分が見る間に赤く染まっていくのを自覚した。
「何だよ、泣く事無いじゃん」
「泣いてねーよ」
緊張し過ぎると涙が浮かぶのは、小さい頃からの鈍太の悪い癖だ。
その所為で、口座で緊張して泣いてしまい、今やすっかり口座恐怖症になってしまった。
「でさあ、好きなの?やっぱり」
知るか、と吐き捨てて、鈍太はさっさと小走りに進んだ――が、
「そっち違うって。こっち」
と、隆二に腕を掴まれてしまった。奇しくもつい先程、小寅に掴まれたのと同じ場所を。
蘇る。
熱を帯びた硬い目が、やたらと握力の強い手が、……耳に残るざらついた低い声が。
鈍太にフラッシュバックが襲い掛かる。思考が小寅で埋め尽くされる。
小寅が触れた場所から伝染して、体中が熱い。
嫌悪感は無かった。けれど、安心感も無かった。
其処にあるのはただ、ともすれば堕ちて行く綱渡りの様な、危うく魅惑的な……ってなんじゃコレ!何だこの初心でネンネな恋心!?
俺に真剣は似合わねえ。あのハンサム馬鹿に言い寄られて物凄いグラついちゃってるなんてマジで有り得無え!
「沙耶ちゃん?だっけ?兄貴の娘」
唐突に子供の話題を振られ、鈍太は自分の三枚目っぷりを自分に力説するのを中断した。

「はい?」
「だーかーらーさあ、好きなの?って聞いてるじゃん、さっきから」
「え……あッ!ひ、人の大事で大切な可愛らし~い愛娘をアイツ呼ばわりすんじゃねええ!!!」
からかわれた、そう思ったが、釣られておく事にする。
「好きだよ!好きに決まってんだろ!俺にとっては愛娘で、親父にとっては初孫だ!!」
お前にとっては初姪だあと更に喚く鈍太に、誰の事だと思った?とネタを発見した時のキラキラとした顔で隆二が聞いた。
何だとこの野郎と鈍太が腕を振り回して追い掛けるとげらげら笑って逃げられる。
ふと、隆二の動きが止まった。
いきなり停止した隆二に、鈍太は反応しきれずにぶつかった。
ぶつかって潰れた鼻を痛そうに摩る鈍太に、隆二はさらりと告げた。
「あのさ、オレ、兄貴の事好きだよ」
「何だよ藪から棒に」
振り向いた隆二は、顔を顰めて如何にも二枚目らしい笑顔をして見せた。
そうして笑うその顔は小寅にそっくりだった。ぼんやりと立ち尽くしてしまった鈍太に、
「どうかした?」
と隆二の声が飛んだ。
「へ?あ、否、何でも無い」
脳内でポンと出た言葉が何か漏れてしまったらしい。
ふ~ん……まあいいや、と何か納得した様子でまた歩き出しながら、隆二は続ける。
「兄貴がスッゲー頑張ってんのとか、兄貴なりに家族支えてたりすんのとか、スッゲー尊敬するよ」
「何だよ気持ち悪りいなあ」
普段の相性最悪な弟からの台詞に、何だか腹の辺りがもぞもぞとした。
けどまあ、気分は悪く無えな。相手から認められた気がして、鈍太の顔が綻ぶ。

然しそれも次の言葉を聞くまでの事。
隆二は突然くるりと鈍太の方へ体を回転させたかと思うと、両手を前に突き出して小首を傾げ、
「だからさ、金貸して?」
と宣った。もう完全にふざけているのかこの男は。本当いい加減にして下さい。
「うんうん、お兄ちゃん幾らでもー……っておいコラー!先刻の感動を返せー!」
にひっと悪戯が成功した子供の様な笑顔を浮かべる隆二に、鈍太は何か良いリアクションを返す。
「やっぱ無理か~」
「決まってんだろ!つうか返せよ早く!」
「金無いから借りるんじゃん」
「あ、そっか。って馬鹿ー!」
「じゃあアレだ、迷子の兄貴を家まで連れて来たって事で送り届けのお駄賃を……」
「それを言われちゃあ何も言い返せませんよ隆二さん」
「え?じゃあくれんの?」
「それとこれとじゃ話が別だッ!」
「ケチー!」
「ケチで結構ああ結構。我が家の家計は火の車」
並んで歩いては追いかけっこ、追いかけっこをしては並んで歩くという事を何度か繰り返すうちに、二人は木木谷邸に辿り着いた。
家を出た筈の隆二は当然とばかりに木木谷邸へ上がり込む。
帰らないのか、と聞くと、悪びれもせずにつうか金無いし~と返され、鈍太は苦笑した。
この調子だと多分、いつもの様に母か嫁が小遣いを渡す事になるのだろう。

仕方無しに連れ立って家に入る。
入った途端に内弟子の三人がどやどやと迎えに来た。
「お帰りなさい。って、あれ?隆二さんも一緒でしたか」
「ご飯の支度出来てますよ」
「ちゃんとうがいして下さいね~」
三人は計った様なタイミングでテンポ良く喋る。
それを適当にあしらって、勝手で口を濯ぐついでに顔も洗う。手を洗い、タオルで拭う。
後ろで隆二が順番待ちをしているのを確認して、鈍太はひょいっと跳んで退く。
何だよそれ、と、隆二が笑った。
廊下を歩きながら、昼飯も碌に食ってなかったなあと思った途端に腹の虫がぐうぎゅるると鳴った。
嫁の声が聞こえる。鈍太はそっと、父の顔になった。とはいえ親馬鹿のでれ~っとしたそれになるだけだが。
胸に少し、痛みが走る。
何で俺なんか好きになったんだよ小寅。俺には家族ってモンが居るのに。
でも、アイツには家族が居ないんだよなあ。
俺がなれれば良いのに。頼りにならないヘタレ兄貴なんだろうけど。
兄弟かあ、良いかもなあ。怖いけど。毎日小寅に小突かれて暮らすんだろうけど。
思わず、含み笑いが洩れる。隣に居る嫁に、何があったの?と楽しそうに尋ねられた。
明日になればまた、小寅はやって来るだろう。
隆二の問いには答えられなかったが、それはきっと明日、小寅に会えば口から自然に出てくるだろう。
「お前との交際なんてお断りだ~~!」と高らかに。

……無理か。

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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ DVD特典は『ハンサムと鈍太』をノーカットで。
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口座まで伏せる意味があるのかどうか分からないがとりあえず反省はしない。
それと前スレの698様、有難う。本当に有難う。永久脱毛させて頂きました萌え。

r5V/Zhrlさ~ん、終わりましたー。有難う御座いましたー!
投下を今からwktkして待ちます!


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