朧月夜
更新日: 2011-04-30 (土) 13:29:37
超性感帯正座×の兜鷲兜。
本人は兜鷲のつもりなのに逆っぽくなったorz
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
“なのはなばたけに いりひうすれ みわたすやまのは かすみふかし”
微かに耳に届いた歌は、どうやら一人縁側に座る彼のものらしい。
その年には少し不相応な甘い歌声。
俺の気配に気付いたのか、それがソッと途切れて宵闇に消えた。
「なんだ、それは」
さして興味もないが問いかけると、来てたんだ。やら、やだなぁ聞いてたの?等といった“全く関係のない”答えが返ってきた。
眉を寄せる俺の顔に気付いたらしく、慌てて取り繕うように大きく手を振った。
「日本の唱歌だよ。聴いたことない?」
「……地球の歌か」
なんとは無しに空を見上げれば、月が薄くなびく雲越しに淡い光を放っている。
「…あのね」
さっきとは打って変わった小さく呟くような声に振り向けば、まるですねた子供のように膝を抱えていた。
「この歌歌うとさ、なんでか僕の星を思い出すんだ」
「ラ〒”ィ星を?」
「違う星なのにさ、おかしいでしょ?」
「ケイソ……」
そこで初めて気付いた。
いつも明るい彼は、辛いことを内に秘める性質だと、一番よく知っているのは自分のはずなのに。
あの歌声には望郷の想いが込められていたのだ。
“はるかぜそよふく そらをみれば ゆうづきかかりて においふかし”
再び、先の歌声が澄んだ空気にこだまする。の心の内を知った上で聴くその歌に、どうにも胸が締め付けられる思いがして、俺は固く目をつむった。
「ねぇア├”。もうすぐ春が来るね」
「そうだな」
「そしたらさ、もうこの戦いも終わるかな」
震える声に瞼を開くと、月明かりに反射する一粒の光を彼の頬に見た。
「ケイソ、お前…」
「泣いてなんかないよ」
「……」
「ほんとに、ないてなんかない、よ」
「あぁ」
「星が無事で、嬉しいんだからね」
「あぁ」
「かあさん…元気でよかった」
「あぁ…!」
胸を鷲掴まれたような衝動に駆られ、いつもより小さく見える彼を思い切り抱き締めた。「ちょっと、どうしたの」
「……わからない。だがこうしてやりたい気持ちになった」
「ふ…ふふ。変だよ、君」
「お前には言われたくないな」
震える彼の肩越しに、硝子に映った朧月が美しかった。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、短いジサクジエンデシタ!
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