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二人のニート

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ ) 二人のニートの話。

面接を受けに行こうと思い玄関を出たが、いたたまれない気がして面接会場にたどり着く前に引き返してしまった。
久しぶりの外出に目眩がして、部屋に戻ったときにはもの凄く疲れていた。
部屋の中には、Tシャツにスウェット姿の同居人があぐらをかいてぼんやりしている。
「…おかえりー。」
どこかこざっぱりとした姿の同居人は、おかしそうに笑った。

部屋に戻った安心感に慣れると、今度は自己嫌悪が襲ってきて、スーツを乱暴に脱ぎ捨ててベットに座り込んだ。
「…あかん。俺みたいなモン、どこも雇ってくれんわ。」
伸ばしっぱなしの髪を掻きむしった。
同居人はそれに肯定も否定もしない。

俺は、俗に言うニートである。
そんな状況から脱出しようと試みたが、やはりダメだった。
俺の部屋に転がり込んできた同居人も、同じくニートである。
俺達は貧乏の極致にいながらも働くことができずにいる。

同居人には、面接を受けていないことがバレているのかもしれない。
しかし彼はそのことには触れず、「今日の食費で銭湯行って来ちゃった。」と言った。

「お前、銭湯の料金って言うたら二日分やんけ。飯食わんでええの?」
自分で言っていて悲しくなるセリフではある。
「飯より風呂やわ。おれは飢えを我慢すんのには慣れてんねん。」
「自慢できることやないわ。」
ひょろりと細長い現代っ子を絵に描いたような彼は、食料よりも身だしなみに費やしたらしい。
お前は何が一番大切なんだと小一時間問いつめたい衝動に駆られる。
誰かに奢ってもらえる見込みでもあるのだろうか。
彼ならばヒモとして立派にやっていける要素はある。
そんな風に考えたら、なんとなく、彼の清潔なにおいに欲情した。

「なぁ、やろーや。」

仕事もなく学校にも行かず、職を探すでもなく。
暇な俺達ふたりだけの、狭い部屋の中。

同居人は笑って「腹が減るから嫌や」と言った。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


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