Top/12-598

ラルアル

                   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  ゲーム悪魔土成ドラキュラのラルフ×アルカードだって
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  戦ってるだけだけど出会い編らしいよ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「待て」
 その声を聞いたとき、ラルフ・C・ベルモンドは背筋に氷のような緊張が走るのを覚えた。
 彼ほどの手練れでなければ、それを戦慄とさえ呼んだかもしれない。感じた緊張は氷柱のように
うなじをかすめ、身体の深い場所へと音もなく落ちていった。
 どこかで鳥、あるいは別の何物かが、鋭い叫び声をあげて飛び立っていった。深閑とした暗黒の
城に、不吉なはばたきがかすかに木霊していく。
 身構えて、腰にまとめた鞭の握りに手をやる。使い慣れた革が手の中できしみ、一瞬の気遅れを
追いやった。うす闇にただよう霧のむこう、幻のようにたたずむ人影を、鋭い視線で射抜く。
「誰だ。そこにいるのは」
「──その鞭。〈ヴァンパイア・キラー〉か」
 霧が揺れて、石畳を靴が打つ音が聞こえた。ゆっくりと近づいてくる。
 低い声はさらに続いた。
「ベルモンド家の者。そうだな? 不死者殺しの聖鞭を手にする者は、ただあの家系にしか出ないと聞く。
その鞭を真に使いこなせる者も、また。お前はベルモンドの者か、人間の男」
「それを訊いて、どうする」
 相手は応えなかった。
 ただ影の中で何かが蠢き、重たげな金の刺繍のあるマントが、崩れかけた狭い通路の縁をかすめて
小さな衣擦れの音をたてた。
 まばゆいばかりの銀髪がさらりと靡いた。
 壁の松明の光が、相手の半面を照らし出した。
 我にもあらず、その一瞬、ラルフは言葉を失った。
 それほどまでに、現れた者は美しかった。凍る月光が、そのまま人のかたちをまとったかのような。
 その者は背のなかばまでとどく銀髪を肩に流して、感情の伺えない目でこちらを見つめていた。
 おそらく、ラルフとさほど変わらない年齢であるのだろう──もし、人であるとするなら。
 二十歳そこらと見える、青年だった。白い顔は彫像のように整い、長い睫毛の下の瞳はさえざえと
した氷青色。すらりとした長身に黒衣をまとい、マントの裏地の緋があざやかに目を射た。
 一見女性的とさえいえる秀麗なおもざしにあって、まなざしにこもる力と、強靱な意志の光が何よりも
印象的だった。腰につるした細剣の柄の金色がにぶく光る。

 ほんの半瞬の忘我からさめて、ラルフは腰から鞭を外して強く両手に張りわたした。
「おまえは妖魔か。それとも、人間か」
「答える必要があるのか?」
 感情のない声が近づいてくる。
「それはそうだな」
 ラルフは太い笑みを浮かべた。
「この城で出会う相手は二つに一つ。──俺の行く手を塞ぐ者か、それとも──そうでないか、だ!」
 声とともに、魔を討つ鞭の一撃が宙を走った。
 確かに相手をなぎ払ったと見えた鞭は、だが空を切り、マントの翻る音がはるか頭上でした。すばやく
鞭を引き戻し、上を仰いだラルフの目に、上空から落下してくる黒衣の男と白く燃える刃のひらめきが燦と
燃えた。
 髪の毛一筋の差で剣を避け、さらなる追撃を鞭の柄で払いのける。二撃、三撃、相手の攻撃は
おそろしく迅く、その細腕からは予想もつかないほど重かった。
(近すぎる!)
 ベルモンドの鞭術は、近接戦にはあまり向いていない。腰から聖別された十字架を抜き、力任せに
なぎ払う。妖魔であればこれだけでもひるむはずだったが、相手は紙一重の差で身を引き、顔色一つ
変えずに、懐に入って鋭い突きを放ってきた。剣風が頬をかすめる。
 からくも避けきって、ひとまず飛びのいて距離をとった。長い銀髪がうす闇に弧を描き、敵は、
美しい顔にほとんど表情をあらわさないままラルフを見た。
「なるほど。それなりの腕前はあるようだな、ベルモンドの男」
 低い声がいんいんと伝わってくる。
「では、こちらからも問わせて貰おう。──お前が、このドラキュラ城へ来た目的は?」
「城主、魔王ドラキュラの討伐!」
 答えと同時に鞭を飛ばす。
 相手の剣が一閃し、弾かれた鞭先が激しい音をたてて壁の燭台を打ち砕いた。手首の一ひねりで、
鞭は戻らず、そのままの勢いで銀髪の敵の背後に飛ぶ。
 ほとんど見もせずに、相手はその攻撃も弾いた。剣の間合いの外からラルフが加える猛攻を、目にも
とまらぬ素早さではじき返していく。
 敵手ながら、ラルフは内心感嘆した。あれだけの迅さと正確さで剣を操れる者など、これまで見たことも
なかった。しかも若く、かつ、あれだけ美しいとは。

 十何度めかに弾かれた鞭先が、天井のシャンデリアのを直撃した。
 シャンデリアは不気味な音を立ててゆがみ、次の瞬間、ぐらりと傾いだ。錆びついた骨のような残骸
が、衝撃に耐えきれずきしみながら相手の頭上に落ちかかる。
 銀髪の敵は、その場から動かなかった。飛びのく間も与えられないと知ると、落下してくる超重量の
真鍮と水晶のかたまりにむかって、気合いとともに剣をふるった。
 ただひと太刀で、巨大なシャンデリアが真っ二つに寸断される。激しい破砕音とともにもうもうと埃が
舞い、崩れ落ちる金属と貴石の破片のただ中に、ゆらりと月影のごとき麗姿が立った。
 蒼氷色の視線が敵の姿を求めてすばやく左右に走ったとたん、
「遅い!」
 収まりかけた埃の膜を割って、鞭を構えたラルフが突進してきた。
 払いのけようとしたが、近すぎた。束ねた鞭が生き物のように刃にからみつく。至近距離からのひと
打ちに、ねじり取られた細剣は高々と宙に飛んだ。
 飛びすさり、剣を取りなおそうとした青年の胸に、ラルフの肩が全体重をのせてぶち当たる。
 二つの身体はもつれ合うようにして後ろに倒れこんだ。
「動くな」
 すばやく身を起こそうとした青年ののど元に、鞭の柄が突きつけられた。
「動くとこのまま喉を潰す。──さあ、もう一度訊くぞ。おまえは何者だ? 人間か、それとも妖魔か?
何のためにこの闇の城にいる?」
 ぐいと柄を押しつける。「答えろ」
 ことごとく攻撃を弾かれているように見せかけて、その間に周囲の壁や床を崩し、相手の逃げ場を
奪っていたのだった。そして最後にシャンデリアを落として、その時できるだろう相手の隙をつく。
計略が見事に功を奏したことに、ラルフは満足していた。
「そういう口は、もう一度自分の状況を確かめてからきくことだ」
 静かに青年は言った。美しい顔には、この期に及んでもなんの感情も表れていなかった。

「負け惜しみを!」
 かっとして言いかけたラルフは胸にちくりとした痛みを感じ、思わず口をつぐんだ。
 見おろすと、いつのまにか青年の手が脇の小剣を抜き放ち、こちらの胸につきつけていた。
 切っ先はわずかに胸を突き、胸当てを通して肌に食い込んでいる。あと少し手を動かせば、針のような
刃が肋骨を通りぬけて心臓を貫き、ラルフを殺すだろう。
 どっと冷や汗がわいた。
「武器を引け、ベルモンド」
 無表情に青年は言った。
「これ以上、やりあう意味はない。私にも。おまえにも」
 ラルフは声もなく腕を引き、立ち上がるしかなった。相手が身を起こして軽く埃を払い、衣服を整える
さまをなすすべもなくただ眺める。
 乱れた長い銀髪をうるさげに後ろへかきやる。小剣を脇の革鞘に戻し、飛ばされた剣に歩み寄って、
刃こぼれの有無をざっと確かめてから鞘に納める。
 そのようなちょっとした動作ひとつさえ、舞踏のように優雅だった。身仕舞いを終えて黙然と立つ青年
に、ラルフはもう一度、用心しながら歩み寄った。
「お前は、いったい……」
「先ほど、言っていたな。この城で出会う相手は二つに一つ。行く手を塞ぐ者か、それとも、そうでない
か、だと」
 蒼い月光を映す双眸に射すくめられて、ラルフは思わず頷いた。
「では、私は前者ということになる。もはや、私はお前の行く手を塞ぐ気はない。生半可な力では、ここ
は入ることのならぬ場所だ。人ならばなおさらな。しかし、ベルモンドの男、お前ならば先へ進んで、目的
をとげることができるかもしれない」
「目的──」
「魔王、ドラキュラ討伐」
 瞳に悽愴な光が走った。ラルフは稲妻に打たれたように心臓がはげしく拍つのを覚えた。
「深い理由は聞かぬがいい。だが、ベルモンドの男、私もまた、お前と目的を同じくする者だと言って
おこう。あの男の暴虐と邪悪を、これ以上座視するわけにはいかない。──殺戮を殺戮で、憎悪を
憎悪で返すことは、しょせん真の悪たる混沌を益する行為でしかないのだから」
 青年はふと目を伏せた。白銀の髪に隠れた白い頬に、はじめてかすかな翳が走ったかに見えた。

「お前、名は?」
 考えるより先に、ラルフはそう口走っていた。
 青年はいぶかしげに顔をあげた。細い眉根を寄せて、いくらか困惑しているように思えた。
「名など、訊いてどうする」
「協力しろなどと甘いことは言わない」
 ラルフは言った。どのみち、一人で暗黒の魔王と退治する覚悟で城に入ったのだ。今さら道連れや同盟者
など欲しいとも思わないし、誰かに助けを求めるなどベルモンドの誇り高き血が許さない。
 だが、なぜかこの青年には離れがたいものを感じた。姿形の美しさ、そのすさまじい剣技の冴えにも
増して、さえざえとした瞳にこもる強靱な光が、ラルフの男としての何かに反応していた。

「だが、お前の目的が俺と同じだというなら、この先、またかち合うこともあるだろう。あるいは、
再度剣を交えることになるかもしれん。その時に、相手をなんと考えればいいか、わからないと困る
と思っただけだ。俺の名はラルフ。ラルフ・C・ベルモンド、お前は?」
 青年は小さく唇をあけて、閉じた。ためらうような様子を見せて間をおいたが、やがてぽつりと、
「──alucard、」
「なに?」
「アルカード」
 静かな声で、青年はきっぱりと言い切った。
「〈ドラキュラに反する者〉、それが私の名だ。呼びたければそう呼べ、ベルモンド。私はべつに構わない。
この先、会うことがあるとは限らないが」
「俺の名はラルフだ。『ベルモンド』じゃない」
 むっとしてラルフが言いかけたときには、すでにアルカードと名乗る青年はきびすを返していた。
 ブーツの踵がかつかつと石畳を踏み鳴らして遠ざかっていく。最期に一瞬、あざやかな銀髪が闇に
浮かび上がり、再び沈んだ。破壊された通廊には、すでにラルフしかいなかった。
「アルカード」
 暗い魔城にひとり立ちつくし、ラルフは呟いた。自然に拳に力がこもった。
 月輪にも似た白い顔が脳裏によぎり、理由もわからず胸がさわいだ。
 再びどこかで鳥が鳴いた。
 異形の気配が近づいていた。きしるような鳴き声が通廊の果てから聞こえてくる。また霧が濃くなり、
腐った肉の異臭が漂ってきた。月が翳った。
 ──今はとにかく、進むことだ。暗黒の城の城主。混沌の魔王。
 ドラキュラ。
「……お前とは、また会う気がする。アルカード」
 ラルフは大きく息を吸い、ふたたび、聖鞭ヴァンパイア・キラーを握りなおした。

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 配分間違えて6回にナッチャッタ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


このページのURL:

ページ新規作成

新しいページはこちらから投稿できます。

TOP