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下町

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  下町妄想続きみたいだよ
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  まやもやエロ有なので苦手な人はスルーしてくんろ
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 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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「何かを犠牲にしたとしても、手に入れたいものはありますか?」

突然打ち合わせ室で呟いた耶麻崎の言葉に、濱田は読んでいたスポーツ新聞から目をあげた。
「なんやねん、急に」
「いや、さっき雑誌の取材で。初めての記者さんやったんですけど、いきなり聞かれて」
「ふん…」
「急に言われても、困るやないですか」
「適当に答えたれや」
「濱田さんはなにかあります?」
紙をめくる手を止める。咄嗟に条件反射で考えはじめた自分に、小さく笑いを漏らす。
「って、考えさすな、ボケぇ」
机の下で耶麻崎の足を軽く小突くと、濱田は笑った。「いらん脳みそ使わせるな」
耶麻崎は足を大袈裟に擦りながら、あははと笑った。
「さっきまで松元さんが此処におったから、おんなじ質問したんですよ」
「へえ…」
濱田は別段興味も無さそうに新聞の文字を目で追ったまま、頷いた。
「松元さんは、そんなもんないって即答でしたわ」
「……」
何故だか肩がこわばった。濱田は一拍遅れて笑った。
「あいつらしい」
「ですね」
「……」
不思議なくらいに、文字が目の上を滑っていった。
そして、思い出したように気付いた。
さっきの質問で、濱田の頭に咄嗟に浮かんだのは、あの男の横顔だった。

「今日は、勘弁せえ…」
松元の温度の低い、しかし病的なまでに濃厚なキスから唇を解放されると、濱田は掠れた息で呟いた。
いつものホテルの部屋だ。松元は思い出したようにこの部屋に濱田を誘った。
毎夜のごとく続くこともあるし、1、2ヶ月の間があくこともあった。
肌をあわせる期間が空けば空く程、松元は濱田をまるで壊れ物のように扱う。
しかし、何かのきっかけで、乱暴になる夜もあった。
この頃はたて続けに、この部屋に呼ばれていた。いい加減に身体が限界だった。
松元は飽きることなく濱田の身体を求めた。30半ばの中年の身体は幾夜にも及ぶセックス、しかも同じ男の器官を受け入れるという行為に悲鳴をあげはじめていた。
しかし濱田の弱音にも松元は眉ひとつ動かさなかった。
明らかに濱田の身体がボロボロになっているのがわかっているはずなのに。
そして松元には決まった女がいるのかもしれない。いや、いるだろう。
それなのに。
濱田は悔しさで目に涙を滲ませた。しかし、いつものように数秒遅れて、なんとも言い難い陶酔感に包まれる。
その感情の正体は、まるで自分の暗部を、何処までも深い自分の暗部を露呈しているようで、認めなくないものだった。

「アッ……」
無理矢理に後ろから両足を開かれる。熱い松元の身体がのしかかってき、ゆっくりと侵入を始めた。
震え出す腰を宥めるように濱田は深呼吸をくり返す。内股の筋がひきつれる痛み。
「松元…今日は、無理やて…」
呪文のように呟く弱々しい抵抗の言葉にも、松元は何の答えも用意しない。
「……っ」
自分のなかで脈打つ松元の存在を、粘膜を通して無意識に感じとってしまう。嫌悪なのか興奮なのかわからない胸の疼きに、その場に胃のなかのものを戻しそうになる。
容赦なく行き来をくり返す松元の腰の動きに、思わずくぐもった悲鳴が漏れる。
「あ、頼むて……やめえ…」
擦られるたびに、甘い痛みが全身を駆け抜け、濱田はたまらず頭を振った。
「なんや」
「痛い、言うとるやろ……ケツんなか」
濱田の言葉に松元は咽の奥で笑うだけだった。

「笑いごとや…」ない…言いかけた濱田の言葉は松元がそっと伸ばした指に黙らされてしまう。
滴るほどに濡れた前を握られて、濱田は恥ずかしさで目眩がした。
『べとべとやな』
松元は煽るように濱田の耳に掠れ声で囁いた。濱田は何も言えずに耳を赤く染めるしかできない。
腰の動きが再開される。擦れる度に疼痛を訴えていた粘膜はやがて、蕩けるような甘い熱を生み出しはじめる。
聞いたこともないような高い息が鼻から漏れていくのを、止められない。
「んぅ……っ」
抉るように打ち込まれ。捏ねられる。
「あぁ……っ………んっ……あ、あ……」
自分の腰を支える松元の手の温度がやけに、生々しい。
濱田は腕を戦慄かせて上体をシーツに埋めた。打ち込まれる度に揺れる身体がシーツに不思議な皺をつくる。
松元を受け入れる、その部分の輪郭がじんじんと熱をもち、そして全身を包む。
口から漏れる自分の甘い喘ぎ声に耳を塞ぎながらも、濱田はやがて訪れる真っ白になる瞬間を待った。
しかし、脳裏をよぎる光景にその集中はかき乱された。
言葉。
今日の昼間だ。部屋、白い……。耶麻崎の…言葉。松元の……

何かを犠牲にしたとしても、手に入れたいものは……
「あぁ……っ」
一際強く突き上げられて、濱田は悲鳴をあげた。速まった腰の動きに、太ももが痺れはじめる。
手に入れたいものなんてない。
そう言った。そう言ったんやろ。おまえは、なんにもないんやろ。なんにも……
「…っ…んぅ……」
なんにもないんやったら……。
「なんで…俺やねん……」
喘ぐように呟く濱田の言葉は、シーツに吸い込まれ消えていった。誰にも届かない言葉。
目の前が歪み始める。目頭に火が灯ったように熱さが込み上げ、自分が泣いているのだと濱田は気付く。

初めて、松元を受け入れたあの夜。飲めない酒を飲んだ。泥酔するほどに。
自分でだって気付いていた筈だ。松元に抱え上げられ、奴の住んでいたマンションに連れ込まれる間。
俺は、俺は、何を考えていた?
飲めない酒を意識を失うまで飲むほど俺は間抜けではない。
俺は何を考えていた?
あいつの身体がのしかかってきて、あいつの顔に浮かんだ欲望を嗅ぎとった瞬間、俺は何を考えていた?
あいつの精液を飲み込んで、あいつの喘ぎ声を聞いて、あいつが自分のなかでイった瞬間、俺は何を考えていた?
何時だって、逃げだせた筈だった。違うのか?

何かを犠牲にしたとしても、手に入れたいものは……

お前が無理矢理俺を抱いた瞬間、俺は何を思ってたんや。
手に入れたと思ってた。
お前が悲しい顔して俺を捏ねる間、俺は、思ってたんや。
松元を、お前を、手に入れたて。
お前が苦しんでる間、俺は、俺は。
死にそうなくらいの痛みのなかで、でも俺は確信してた。
こいつは完全に俺のもんになったって。
そんなん、思ってたんや。
そんなん、思ってたんや………

「最低や……」
肩で息をしながら呟いた濱田の言葉に松元は眉根を寄せる。
そろそろ、限界だった。腰の感覚がなくなり、まもなく欲望は吐き出されるだろう。
「最低や………」
なにが、とは聞かなかった。松元は無言で濱田の腰をグイとひきよせると、擦り付けた。
濱田の高い悲鳴が漏れて頭がガクンと落ちた。
ポタポタと濱田の両脚の間から白濁した液が滴り落ちた。どうやら松元の射精と同時だったらしい。
濱田の身体は音もなく崩れ落ちた。

ひきつけを起こしたように泣き続ける濱田の横で松元はじっと天井をみつめたままだった。
いつまでも濱田の涙は涸れることがないようだった。
涙の理由を推測しようとも、結局自分に辿り着いてしまう自惚れと自己嫌悪のなかで松元はただ目を見開いていた。

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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ あと一回続きます。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 年内に終わらせるようにはしたいなと思います。
 | |                | |       ◇⊂    ) (ウサギ団かわいっす)
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


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