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犬がいる季節

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

某刑事ドラマだよ
でも主役二人じゃないんだってさ
ミウラ&イタミンデ イタミン->カメ ラシイヨ

イタミンがなんで先輩に向かってあんなタメ口なんだろう、と常々の疑問への
こじつけ回答です。練り込まれてない上、下手でごめんなさい。
子が親の跡を継ぐことが少ない現代、先輩から後輩へと受け継がれていく
刑事のDNAみたいなものを書きたかったんですが…。

芹澤を見ていると、伊民も刑事として、ずいぶん成長したものだな、と三裏は思う。
憧れの刑事になれたという喜びに目を輝かせ、張り切るあまりに失敗しては
叱られてしょげていた、まだ幼さの抜けきらない、配属されてきたばかりの新人の頃。
TVドラマのスマートな物語と、現実は違う。
年に何度か、温もりすら残っている新鮮なものから、常人ならトラウマになって、
しばらく寝込むだろう死体のお相手、後はひたすら、邪険にされながら市民に
聞き込みをし、成果があろうとなかろうと、日々の書類書き。
それにめげて、配置転換を申し出るならまだいいが、中にはショックのあまり
退職願いを出すのも、入ったばかりの新人には、よくあること。
次第に、伊民の表情は暗いものになっていき、捜査の進展に繋がる情報を掴めない
ことに対する焦りと苛立ちが滲み出ていた。
肩を叩き、酒に誘ったところで、気が晴れるはずもない。こういうものだと、
時間をかけて慣れるなりコツを掴むしかない。
このままだと、伊民が持ってくるのは、配置転換か、退職願いか。そう三裏が
腹の内で確信めいたものを抱くようになった頃。
伊民は化けた。
ベテランの先輩である三裏の後を子犬のようについて回っていた、新人や若者らしい
可愛げが無くなった。
それだけではない。
三裏の言動、すべてをコピーするようになったのだ。話し方から歩き方、ちょっと
した仕草まで。

刑事として未熟な伊民が、刑事として生き残るには、それしかないのだと言うように。
当然、他の署員に始めは馬鹿にされ、からかわれていたが、伊民は意に介さなかった。
まるで自分自身が三裏であるように振る舞い、時には、聞き込み相手から、
若いくせに態度が大きいと反感を買うことがあった。それでも。
誰もが伊民の変貌に慣れた頃、伊民の三裏の言動の真似が、伊民本来のもので
あったかのように馴染んだ頃、そこには紛れもない刑事がいた。
あれから何年が経ったことか。
その伊民の、また新たな変化に、少し前から三裏は気づいていた。
課の奥に、中途半端に設けられた小部屋。そこに新たな住人がやってきてから。
「匿名係の瓶山ぁ!」
今日も威勢のいい怒鳴り声に、居合わせた者がまたか、という顔になる。
刑事でもないのに事件をかっさらっていき、その上、あっさりと解決していく彼ら。
昔苦悩していた伊民からすれば、羨ましさの裏返しの妬みと、憧れのような感情を
抱いたところで、不思議はない。
被疑者や証人の前でまで、柄の悪い言葉遣いで怒鳴るのはちょっとまずいんじゃ
ないかなぁ、とさすがの三裏も思わなくもないが、煮詰まっていた時期の--
刑事になるために、自らを捨てる前の伊民を思うと、事件への過剰な期待も失望も
なく、元気に過ごしていることに比べたら、たいしたことではない気がして
しまうのだ。

幸い、変わり者の警部は、いつも穏やかに二人のやりとりを眺めていることだし。
少なくとも、現役のうちに一人は刑事を育てることができたことを、三裏は少し
誇らしく思う。
後ろで、あーあ、と呟いた芹澤、少しお調子者でそそっかしいこの新人は、
どうだろうか。三裏自らが心を砕かなくても、持ち前のめげない性格で、
伊民の後をついて歩くのだろうか。、
怒鳴りあっている二人を、そろそろ止めるべきか、と口を開くより早く、
警部が静かに自分の部下の意識を、不毛なじゃれあいから切り離すべく声を
掛けたところだった。途端、今までの事がなかったかのように、瓶山は上司へと
振り返る。毎回三裏がその様を犬のようだと思っているのを、知ることもなく。
一方の伊民はというと、まだ鼻息が荒い。羨ましいか、と聞いたら、この後輩は、
どう答えるのだろうか。定年が程近い先輩に手土産として、口を開くだろうか。
犬猫の一生は短い。一説には、一年が人間の十年ほどに相当するという。しかし。
育ち急がず、もう少し子犬の時期が長くてもよかったのではないかと、
時折三裏は思うのだ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

お目汚し失礼いたしましたorz
決して来年が戌年だからというわけでは…!


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