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TOA ガイ→ルーク

93 姐さんに便乗して
T.O.Aのガ.イ→ル.ーク。旅立ち前。
多分、ネタバレはないと思います。(序盤の設定は使ってますが)
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )

預言どおりの穏やかな日だ。
青い空にぽかぽかとした陽気、庭の草花も色とりどりに咲いている。
ガ.イは屋敷の私室で自分の時間を過ごしていた。
ベッドに寝そべって、地図を眺めては物思いにふける、
それが数少ない趣味の一つだった。
それぞれの町の違った歴史、風土、習慣、世界は一つでくくれないのだろう。
それは魅力的なことであるが、同時に亀裂を産むことにもなる。
マ.ルクトとキ.ムラスカが良い例だ、思想や宗教の多様性など荷物にしかならない。

「ガ.イ。入るぞ」
返事を待たずに、ル.ークが部屋に入ってくる。
ガ.イは思考を中断し、ベッドに腰掛けた。
このファブレ公爵家の一人息子であるル.ークは度々こうしてガ.イのもとへ遊びにやってくる。
表面上は雇い主と使用人という関係でしかないが、
年が近いせいか、二人は幼い頃からの親友だった。
ル.ークは七年前、危うくさらわれそうになり、
それ以前の記憶を一切無くしてしまった。
その誘拐騒ぎのおかげでル.ークはこの広い屋敷に閉じこめられている。
二度とあのようなことが起きぬようにという配慮からだというのはわかるが、
好奇心旺盛な年頃の子どもを閉じこめておくにはこの屋敷は狭すぎる。
贅沢の極みともいえる何不自由ない生活だが、
与えられる物以外何も手に入らない、友でさえも。

「何見てたんだ?」
ル.ークはガ.イの隣に腰掛け、ガ.イが先ほどまで手にしていた書物に目をやる。
「ああ、地図だよ」
パラパラと、世界地図をめくってみせると、
ル.ークは不思議そうな顔をして地図をのぞき込んでいる。
「おもしろいのか? それ」
「結構な」
「ふぅん、よくわかんねぇ」
「ここがバチカル」
ガ.イは地図の一点を示し、そこから指をすべらせ、青色をなぞる。
「これが海だ」
「ああ、おっきな水たまりだろ?」
ル.ークが自信満々に答える姿にガ.イは笑いをかみ殺した。
「そうだな、で、ここに小さな島があるだろ?」
「うん」
「ここでは、豊作を祈って盛大な祭りが行われるんだ」
「祭り?」
「ああ、ごちそうを神に供えたり、踊ったりするらしいんだがな」
「へぇ、ごちそう。うまいのか?」ル.ークが目を輝かせながら訊く。
「さぁな、果物と米を炊いたりするらしいが」
「……なんだそりゃ」ル.ークの目の輝きが困惑へと変わっていった。
「……まぁ、なんせごちそうだからな。多分うまいんじゃないか?」
「だよなー。果物も米もうまいんだから、混ぜてもうまいはずだよな」
勝手に納得するル.ークをよそに、ガ.イは未知の味についてまだ悩んでいた。

「んじゃあ、祭りってのは舞踏会なのか?」
「なんで?」
「踊っておいしいものが出ることなんだろ?」
ガ.イはル.ークの突拍子もない結論に盛大に吹き出した。
「なんだよ、なんで笑うんだよ」
自分の発言のおかしさに気付かないル.ークは大笑いするガ.イを睨む。
「いや、ごめん。だって、農民が優雅なワルツで雨乞いするのを想像するとおかしくてな」
「そうか?」
ル.ークはよくわからないという顔をしている。
ガ.イにとってはこの妙なやりとりが面白くて仕方なくても、
ル.ークにとっては自分の知らないことで笑われているという不安を引き起こすらしい。
まぁそれもいつものことだけれども。
「じゃあ、どんなのか踊ってみせろよ」ル.ークが腹立ちまぎれにガ.イに言う。
「俺が?」
「ああ」
「嫌だね」
嫌、というよりはガ.イだって本当はよく知らないだけなのだが、
そんなことは意地もあってか言いたくはなかった。
「何だよ、つまんねぇ」
ル.ークはベッドに倒れ込みふてくされた様子でガ.イに背を向け、目を伏せる。
まったく、お坊ちゃんはわがままだな、とガ.イは慣れた様子でル.ークの頭をなでる。
「機嫌なおせって」
「やだ」
「今度くだものごはん作ってやるから」
「……」
「うまいかどうか気にならないか?」
「……わかった」
それで許してやる、とル.ークは呟いた。
いい子だ、とでも言うようにル.ークの頭をぽんぽんとなでてやる。
こうしてしばらくすれば、また何でもないように機嫌をなおすだろう。

ガ.イは地図に目を落とす。
キ.ムラスカ、マ.ルクト、国境線、大陸、島々。
ル.ーク、お前が思っている以上に世界は広くて楽しいんだ。
退屈だと言いつつ、ル.ークはこの狭い屋敷が気に入っているのかもしれない。
飛べない鳥に空を見せても意味はないのかもしれない。
それでも、何かを諦めきれずにいつも地図を眺めていた。

コンコンとノックの音がする。
「どうぞ」
部屋の主を無視してル.ークが応えた。
侍女がうやうやしくお辞儀をし、用件をル.ークに話す。
「グ.ランツ謡将がお見えになりました」
「ヴ.ァン師匠が! すぐ行く!」
グ.ランツ謡将、と聞いた途端、ル.ークは飛び起き、
さっきの不機嫌さなど忘れたかのように目を輝かせた。
少し呆気にとられながらガ.イは、じゃあな、と出ていくル.ークの背を眺めていた。
その名前一つでル.ークを上機嫌にさせるヴ.ァンを羨ましく思いながら。
「さて、と」
マ.ルクトの郷土料理のレシピなんてどこで手に入るだろうか、と考えながら、
屋敷の料理長の元へガ.イは向かった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )モエがオーヴァーリミッツして書いた
ストーリー後半で矛盾が出てきてもキニシナイ!


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