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電気だぶりゅー@てぃー

自分がいる日常が、相手にとって当たり前の日常であれば

それは凄く心地が良い

そう思った。

■■Daily life of me■■

さっきまで猛烈に喋り倒してた声が、一瞬止んでしまった。
テレビに夢中だったから、なんとなく相槌打ってたけど
急になくなるとすっごい違和感。

しばらく静かな部屋が続くから
あれっ、て思って撤坪はテレビから目を離した。

するとベッドの真ん中でゴロリと横になる上ンツが目に入る。

「英ちゃんー?英ちゃん…?あ、寝とる…」

さっきまで開いていたはずの瞳はいつのまにか閉じて、
軽快に笑いについて語っていた唇からは
スースーと規則ただしい寝息が聞えてくる。
その顔は、子供みたいに幼く安らかで一目で、熟睡してるな。とわかった。

もう…絶対いつも先に寝るんよね、あ~あ口は相変わらず開いとるわ・・。

ぽっかりと開いた口元を見て、おもわず笑ってしまった

上ンツは度々、撤坪の家にやってきては、好きにコンポで曲をかけて
好きに徹平の本棚から漫画本を取り出し、好きに冷蔵庫から飲み物を
拝借して、そしていつの間にか寝てしまう。
それが撤坪にとって当たり前のことで撤坪はさ程気にした事は無かった。

回りに散らばった読みかけの漫画や雑誌類を整頓しつつ、
上ンツの寒そうに出た首元に、毛布を掛けてやる。

微かに触れた刺激に、一瞬眉元を歪ませたが、毛布の温かみにまた寝息をたて始めた。
それにしても・・・こんなに散らかしたあげく寝てまうなんて。
俺の寝るトコないやん。

「ちょー…起きいや…英ちゃんってば!俺の寝る場所ないやんかぁ・・・・」

真ん中にどっしりと横になって、上ンツはぐっすりと夢の中だ。
声をかけてもぴくりともしない。

「もー…」

ハァと大きく溜息をついて、へたりとベット横の床に座り込んだ。

シングンベッド一人で寝られたらアカンやん…

夜も、もう遅い。
明日は午前からドラマ撮りがある撤坪も
そろそろ眠りにつかないと起きれるか心配だと、時計を見る。

「ちょー・・英ちゃーん・・え・い・ちゃん!てば!」

耳元で少し大きめの声を出してみる。
すると少し反応があったのか、うう・・、と小さく呻き声をあげて
上ンツは煙たそうに寝返りをうって寝入ってしまった。

そんな上ンツの姿を見て
さっきまでの愛らしい子供みたいな寝顔が、急に憎たらしく思えてくる

湧き上がった悪戯心。
最初は、鼻をつまんで苦しそうにする姿見て笑ったり、頬をつねって遊んでいた。

フイに伸ばした手が上ンツの髪をつついて、色素の薄い髪色を
まるで犬を触るように撫でまわした。
何時間か前に、撤坪の部屋の風呂に入った上ンツの髪は
撤坪が実家にいる頃から髪質に合うという理由で、随分買い続けて
いる、市販のシャンプーの香りがする。

慣れているはずの香りが鼻について、違和感とは違う、何か胸をギュウと
掴まされた。

同じシャンプーの香りでも・・なんか少しドキドキするのはなんでやろ。
なんとなくそんな事を考えていた。

柔らかな栗色の髪から
、するすると手元が落ちて耳たぶに触れる。

「うっわー・・めちゃやらこぃ…」

普段そうそう触る事のない人間の一部に
徹平は素直に反応を漏らす。

しっとりとした柔らかな感触に適度な弾力感・・・

なんか餅みたいやぁ・・
しばらく夢中になって指先で触れていた。

寝てるからかなぁ?めっちゃぬくい耳たぶ・・・

指先から伝わる上ンツの体温が妙に心地よくて
撤坪はうっすらと目を細めた。

「あったか……でも起きへんな…」

執拗に触ってるのに、触れられてる本人は微動だにしない。
心地よい寝息に揺れるような長い睫、真っ白い肌が
煌々とした蛍光灯の明かりに照らされていた。

「なんていうか…英ちゃんて綺麗。」

今は閉じている淡いライトグリーンの瞳が微笑むのを思い出して
そう撤坪は呟いた。

鼻なんてごっつ高いし、肌白くてキレーやし、睫フサフサやぁ・・

撤坪は、これで自分に対する時折の横暴さと、捨て身のお笑いが
無ければ完璧なのかも。なんて事を考えながら
相変わらず眠り続ける上ンツをじぃっと見つめる。

「いつもずっーとベラベラ喋ってんねんなぁ・・」

さっきだって、テレビ見てるから静かにして言うてるのに、一人でずっーと・・・
相槌打つ暇もないやん。

でもその口が、落ち込んだ時にいつも励ましてくれ、
嬉しい事があると一緒に喜びの声をあげてくれる口だと撤坪は知っている。

『ほんま調子ええ・・・時々狙いすぎやで英ちゃん。』

でもそれが、誰よりもサービス精神旺盛で、仕事熱心で勉強家、
バラエティが苦手な徹平をいつも助けてくれている事を撤坪は知っている。

『こんな散らかして・・・掃除するんは俺やのに。』

でもこの散らばった漫画やフィギアが
上京したての頃、東京の高校に転入してきたばかりで周りに馴染めない一人暮らしの撤坪が
少しでも寂しくならないようにと、実家から紙袋いっぱいに持ってきてくれたモノだって撤坪は知っている。

『いっつも堂々と俺の部屋あがりこむねんな・・・』

でも目の前で眠りこけてる上ンツが、今日何気無く送った、撮りで何回もNG出してへこんでるって
メールを読んで、何も言わず着てくれたのだと撤坪は知っている。

・・・・英ちゃんの持ってる優しさが好きや、英ちゃんの見てるちょっと可笑しな野望が好きや
英ちゃんの歩いてる笑いの信念が好きや、英ちゃんと2人で創る曲が好きや

英ちゃんがいる俺の部屋が好きや

英ちゃんのいる東京が好きや。

英ちゃんは沢山の想いをくれるから
だから俺も何倍にして返してやるんや。

英ちゃんは頑張ってるから
だから俺も負けないくらい頑張るんや。

蛍光灯の煌々とした明かりの下、撤坪は上ンツを眺めながら
ドクドクと脈打つ心臓を左手で押さえつけた。

英ちゃんが今の英ちゃんや無かったら、俺の好きな英ちゃんやない。
上ンツの頬をサラサラと撫でながら、撤坪はそう確信する。

英ちゃんにとっても俺がそうだったらええな。
例えばこの漫画が2人のモノのように
この日常が2人のモノであればいい。
上ンツにとっても当たり前のことであればいい。
撤坪はそう思った。

英ちゃん知らんやろな
知ったらビックリするかな。

「英ちゃー…ん…好き…」

小さな声で漏らした告白。

めっちゃ好きや。
心に留めるように、今度は心の中で呟いた。

聞えてる筈のない本人は、小さく欠伸をしてまた寝返りをうち
深く深く眠りの中に入り込んでゆく。

「あーあ・・ほんとよぉく寝とるわ」

撤坪は、上ンツの姿を見ながら笑みをこぼす。

そしてまた、瑛ちゃんにとっての普通に俺が居ればいい。

そう思って徹平はまた笑った。

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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ アア・・最初のAA忘れました・・
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

はい。ごめんなさい。


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