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蟲師 化野×ギンコ

ちょっとお邪魔します。
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                    |  ムシシのイヒ×銀。アホな感じです。
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|   >>543サンノ山芋蟲ガ ドウシテモ ワスレラレナカッタンダッテサ
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 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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「なんだ、ありゃ」
見慣れない蟲がいる。
自分が知らない蟲など無数にいるだろうが、通い慣れた道の見慣れた風景の中に
見慣れない種類がいるのは問題だ。
(害のないヤツならいいんだが……)
ギンコは踏み均された道を外れ、見失わぬようその蟲に視線を集中し、慎重に近づいていく。
低木の陰にひっそりと丸まっている乳白色の微光をたたえた小さな蟲は、キ"ンコが懐から
手探りで拡大鏡を取り出したまさにその瞬間、飴細工のように伸びて、ひとつ向こうの
低木の陰に逃げてしまった。
「あ、おい待て!」
追いかけようと駆け出したキ"ンコは、焦って踏み出したのがまずかったか、下生えに
足を取られる。
「うわ、と……!」
地面すれすれにいる蟲を見るため腰を落とした体勢からのよろめきを立て直そうと
咄嗟に地に手をつくが、水を含んだ雑草で滑る。
勢いを殺せないまま肩からザブンと突っ込んだのは、数日前に大雨でもあったのだろう、
地面のくぼみになみなみと溜まった泥まじりの雨水だ。
「カンベンしてくれ……」
くわえていた、火が消えてしまった煙草と口に入った泥を吐き出し視線を戻すが
目当ての蟲はもう視界の外に行ってしまったらしい。
起き上がり、しばらくは未練がましく辺りを探っていたキ"ンコだが、冬に向かい
冷え始めている風の中に濡れた服では、すぐに歯の根も合わなくなる。
ひとつ鼻をすすって、道へと戻った。
どうせ何かあれば、自分のところに話が回ってくるのだ。

「すまんな。風呂、ぬるかったろう」
キ"ンにはよく分からない植物をすり鉢で砕きながら、イヒ野は唇の端が上がってくるのを
抑えられずにいた。
濡れ鼠でむっつりと戸口に立つキ"ンコに何事かと問い詰めればこの顛末だ。
加えて毛布にくるまり囲炉裏に手をかざし、拗ねたようにぼそぼそと「あの蟲が」と
こぼすこの姿では、イヒ野でなくとも笑いが込み上げるだろう。
「ほれ」
植物を挽いた粉に熱湯を注いだ椀を、キ"ンコに手渡す。
受け取ったキ"ンコは素直にずず、とひと口すすって、眉を寄せた。
「こりゃ、なんて苦虫だよ…」
そうは言ったが、冷えた体に熱い薬湯はじんと染み渡り、ほっと息をつかせる。
結局熱も冷めぬうちに飲み干し温まった体で、まだ生乾きの服を探りに行った。
「服の中に入ってた物ならそっちで干してるぞ」
「ん?ああ。あー……」
イヒ野の指差した文机の上、封をした小瓶やらが並べられている中から小さな紙箱を取り
中身を確認したキ"ンコは乾いたばかりの白い髪をがしがしと掻いた。
「蟲除けの煙草か?」
「ああ。こりゃもうダメだな」
握れば滴るほどに水を吸ってしまっては、ただの煙草としても使いようがない。
「来たばかりで悪いが、服が乾いたら里を出る」
キ"ンコの言葉に、イヒ野は目を眇める。
「こんな日も暮れてから出るやつがあるか」

「さて、寝床、寝床」
通い慣れた道とはいえ、夜道は危険だ。ましてや、蟲除けなしのキ"ンコでは。
出る、出さないの押し問答は長くは続かなかった。
何より、日のある時間に水溜りに嵌った身では、何も言えまい。
「……なんで一組しか敷かねえんだよ」
キ"ンコの呆れた声には耳を貸さずに、枕を二つ並べた布団に入ったイヒ野は
飄々とした顔でそこから手招きする。
その手招きに、キ"ンコは小さなため息ひとつで応じた。

いくつもの小さな気配を感じる。
(寄って来やがった……)
蟲除けの匂いは洗い流されてしまった。厭わしい煙の匂いがないキ"ンコの周りには
驚くほど蟲が寄る。
(ああ、気が散る)
染み付いた蟲師の習性で半ば無意識に、寄る蟲の種類を数えてしまう。
――キ"ンコは蟲を寄せる体質だ。
ひとつ所に留まれば、そこはやがて蟲の巣窟と化し、ヒトが暮らせる土地ではなくなる。
こののどかな里をそうしてしまうのは、本意ではない。
(今は考えるな)
どのみち明朝にはここを出るのだ。
そして蟲から視線をひきはがし、胸をくだりわき腹を撫でるイヒ野の手を見やって、ぎょっとした。
ギンコの腹の上にわずかに浮いて、飴細工のようにのたうつ蟲がいる。
(この蟲……!)
乳白色の微光……先刻、取り逃がした蟲だ。
反射的に払いのけようと動いた腕が届く前に、飴細工状だった蟲は、溶けてキ"ンコの腹に染み込んだ。
「なっ、」

「おっと」
びくりと体を縮こませたギンコに、イヒ野が腰を止める。
「まだ早かったか?」
「いや、今、……? あ、ああ!」
蟲が染み込んだ腹に、焼け付くような痛みが走る。
「っは、うあ!」
痛みはすぐに鈍くくすぶる熱のうねりになって、腑を駆けた。体が熱い。
「おい?」
閨事には淡白なキ"ンコの喘ぎに、常にはない色が含まれた事をイヒ野は訝り腰を引くが
当のキ"ンコは引いた腰に自らの腰を擦り付け、深く深くと求めた。
「どうしたんだ、おまえ……」
顔を覗き込めば、熱を持ち潤んだ片目が切なさを語っている。
季節外れの水浴びに熱でも出したか、と中断を考えたイヒ野だったが、こんなキ"ンコは
滅多に拝めないのだ。あまりに勿体無い。何より中断できそうにない顔をしているのは
キ"ンコのほうだった。
「う……」
再び腰を進めたイヒ野の動きに呼応するように、白いからだがのけぞる。白い髪が乱れる。
感じた事のない高まりに翻弄され戸惑うが、頭の芯から広がっていく、じんと痺れるような
感覚が、理性ともどもキ"ンコの思考力を奪った。

時間の感覚などとうに失った頃、キ"ンコはすべてを吐き出す開放感と共に、ぞっとするほどの
ざわめきが下肢を伝っていくのを感じながら、意識を放り出した。

鼻をくすぐる嗅ぎ慣れた匂いに目が覚める。
「独特な味だな……俺には馴染めん」
寝顔を眺めていたイヒ野は、薄目を開けたキ"ンコに手にした煙草を掲げて見せ、にやりと笑った。
「いや、なに。少し前に里に来た蟲師に分けてもらったんだ」
残る余韻の気だるさも手伝って、力が抜けていくのに逆らう気にもなれず、枕に顔を埋めるキ"ンコ。
「うちに予備を置いておこうと思ってな。早速役に立ったじゃないか」
「おまえな……」
吐き出すため息に乗せてそう言うと、さも嬉しげに
「喜べよ。取り逃がした蟲の調査もできるだろう?」
と返ってきて、ますます力が抜ける。
「ところで、おまえ随分、その……アレだったな?」
「その話は明日だな」
それだけはぴしゃりと言って、目を閉じた。

気を失う寸前にキ"ンコが見たのは、とろりと零れた精に混ざっていた、いくつかの小さな乳白色の蟲。
それらは、ちらちらと微光の尾を引いて物陰から物陰へと素早く移動し、ひとつ残らず視界から消えた。
ヒトの体を借りて繁殖する類の蟲だったのだろうか。
(まったく、迷惑極まりないな)
さしたる害はなさそうだったが、出ていくとはいえヒトの体内に入り込む蟲だ。
数日は、里中アレを探して歩く事になりそうだった。

予備の蟲除けとやらはその数日中に使い果たしてやると、心に決めた。

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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 801ビヤクニ ナッチャッタ…スマソ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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お粗末さまでした。


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