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ドクオクエスト 決戦前

穢れた勇者

毎夜の連投申し訳ありません。投下させてください。
8/8の予定です。
※微エログロありかもです。

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竜王の城は、魔物で溢れかえっていた。

階を進めるごとに現れる魔物を、傷を受けながらもなんとか倒していく。
止血のための薬草を取り出そうと傍らの袋の中を手探った。けれどそこにはもう、一片の薬草も無い。
仕方が無い。充分な補充が出来なかった。
裂いた袖で傷を縛り、僅かな休憩を得るために、私は壁へと寄りかかった。

竜王の城を攻略する日取りが決まってから、国中の店から色々な装備が姿を消した。
剣や鎧、薬草などを国中から集められた戦士達が買い漁ってしまったからだ。
そんな状態で私に物を売ってくれる店は無く、仕方なく私は森の中に自生する薬草を探すしかなかった。
それもあらかた取り尽くされていて、充分な量にはならなかったのだ。
“――!”
遠くで誰かの絶叫が聴こえる。
最初にこの城に攻め入った時には200名以上の戦士や騎士がいたはずだ。血気盛んに剣を振るう彼らはけれど、
いつしか数を減らしていき、とうとう今の悲鳴で私はひとりになってしまった。
自分がそれほど強いとは思わない。おそらく呪われた人生の中の、ほんの少しの幸運を今使い果たしているに違いない。

視線を上げる。そこには竜王の玉座の間へ続く最後の階段。
詰めていた息を吐き、立ち上がった。竜王はもうすぐそこだ。
一歩一歩を踏みしめて、階段を登る。
天にまでも届きそうな竜王へと続くこの階段は、そのまま私の人生の終着へと続く、最後の旅路だった。

あの日、王都から追放された後、私はその足で姫が捕らえられていると言われた場所へと向かっていた。
ろくな準備もせず、ただがむしゃらに突き進んでいた私は、あの時おそらく自棄になっていたのだろう。
死んでもいいとさえ思っていたのかも知れない。

姫を攫ったのは、雲をつくような大きなゴーレムだった。
何人もの戦士がその身体に歯が立たず、血の海へと沈んでいく。けれどなんの運命の悪戯なのか、
その時私が装備していたものが魔物にとって弱点だったらしく、呆然とする私の前で、魔物は砂へと還っていったのだ。
“勇者さま”
とさり、と、私の胸に小柄な女性が飛び込んでくる。とらわれの姫だ。
“助けて頂いてありがとうございます”
初めて受ける手放しの好意に私はうろたえた。私の胸に顔を埋めそう囁く姫は、
そう、生きていればおそらく私の妹と同じくらいの年だろう。
そう思うと、まるで腕の中の姫が妹のように思えてきて、あの日助けることが出来なかった妹を
ようやく助け出したような気にさえなって、私は堪らずにその髪を撫でてしまった。
「もう、大丈夫だから」
けれど、私のしわがれた声に、腕の中の姫の身体がびくりと強張る。
“…勇者、さま?”
恐る恐る私を見上げた姫は、私の顔を見るなり私の身体を力任せに突き飛ばした。
“いや―――っ!化け物!”
ほんの一瞬前まで私を勇者さまと呼んだその唇で、姫は私をそう罵り、
手近にある物を手当たり次第に私に投げ付けてくる。
ほんの一瞬前まで自分を監禁していた魔物の残骸を手にとって、助けに来たはずの私に投げる。
“寄らないで。汚らわしい”

本当に、この親子は。
勇者に一体何を求めているのだろう。そもそも勇者とは何だ。誰か私に教えて欲しい。
姫の叫びを聞きつけて他の戦士達がやってくる。姫の事は彼らに任せて、私はその場を離れた。

“役立たずめ”
王は私を見るなりそう吐き捨てた。
ゴーレムを倒した私の手柄もいつの間にか他の者の手柄にされて、
私はただ戦場で皆の足を引っ張った愚か者として、王の前に引き出されている。
“あげくその場から逃げ出したと言うではないか。勇者の名を汚しおって”
私が自分でそう名乗っているわけではない。皆が、王が、勝手に私をそう呼んでいるだけだ。
それに姫が私に助けられる事を拒んだのだ。
半狂乱になって暴れる姫を前に、目の前から姿を消してやる以外の何をしてやればよかったというのか。
まるで罪人のように後ろ手に縛られ頭を地面にこすり付けられている私を、姫が見下ろしている。
魔物を倒したのが私であること、私が逃げ出したわけでは無いことを知りながら、姫はわざと知らないふりをしているのか。
“名誉を挽回する機会をくれてやろう。竜王を征伐する戦に出るのだ”
一体私にいつ、名誉などというものがあったのだろう。もともと無いものをどう挽回せよと言うのか。
“ありがたく思うがいい”
そうしてそれを私がありがたがると、本気で王は思っているのだ。

もともと、私は私を犯した魔物を、そして竜王を倒すためだけに生きているのだ。戦に出ることにはなんの異存もない。
でも時々、ふと思うのだ。
私が倒すべき敵は、本当に竜王なのだろうか。

“ギャ―――!”
ようやく階段を登りきった私を、つんざくような叫びが襲う。おそらく玉座へと至る扉を守る魔物だろう。
剣を握り、タイミングを計って魔物の前へと飛び出す。
正面に向き合い剣を構え…けれど次の瞬間襲った衝撃に、私は剣を取り落としそうになってしまった。

扉の前を陣取り、その魔物は翼を広げている。その身体から伸びるのは、無数の触手。
剥き出しのそこはそれが通常の状態なのか、完全に勃ちあがっていてぬらぬらと滑り、
そこからにじみ出る淫液がぼたりと床に落ちると、それはじゅぅと煙を上げて床石を溶かしていった。

私は、叫び出しそうだった。

そこにいるのは間違いない。私を犯したあの魔物だった。

最初に餌食になったのは、妹だ。
まだ十にもならない幼い身体に、この魔物は襲い掛かった。けれど魔物のそそり立つ欲望を収めるにはその身体は幼すぎて
…一言の悲鳴を発する間もなく腹を突き破られて彼女は死んだ。
次に襲われたのは母だった。妹の無残な姿に彼女は狂ったように泣き喚き、
ねじ切られた妹の頭を抱きかかえたまま、内臓を溶かされて息絶えた。

そうして物言わぬ塊となった二人を他の魔物が貪り食う中、私が最後に犯されたのだ。

「…ぐ…ぅっ…うぅ…」
かみ締めた歯の隙間から、堪えきれない呻きが漏れる。ぶるぶると、構えた剣の切っ先が揺れた。
身体が、心が、あの日の記憶に染まっていく。
妹と母を犯し殺し、その肉片をこびり付かせた魔物の性器は、じゅわじゅわと煙をあげて私へと近づいた。
まるで別の生き物のように動く触手に絡め取られ、捧げるような姿で広げられた孔を、魔物はゆっくりと刺し貫く。
もうすでに二人を犯した魔物は、最後の私を限界まで嬲り楽しもうとしたのだろう。
ずぶずぶと新たな煙を立てて埋め込まれる凶器に絶叫を張り上げた私の身体の蠢きを、あの魔物は楽しんでいた。

わざと触手から逃し地面を這いずって逃げる私を追いかけ回し、
そうして手足に絡めた触手で身体を引きちぎる寸前まで捩じり上げながら、
その度に上げる私の悲鳴を、絶望を、涙を、恐怖を、この魔物は存分に味わっていたのだ。

がたがたと、身体が恐怖に震える。足が竦みあがり、一歩も動けない。そんな自分のあまりの無様さに涙が滲んだ。

この日のために、私は生きてきたのではなかったか。焼き鏝で呪いを烙印され、唾棄すべき存在と成り果てながらも、
今日まで生き延びてきたのは一体何のためだった。
愚かな勇者よと蔑まれ、いいように利用されながらも、それでも魔物を倒し続けたのは。

“…魔物に情を受けひとり生き残った恥知らず”
“男の身で、どのように魔物に媚びて…”

「あ…あぁっ…あぁぁ――――っ!」

溢れ出した思いに突き動かされて、私の口から雄たけびがあがる。
剣を構えなおす。何度も何度も死にかけながら剣を鍛え上げたのは、ただひたすらこの日のためだった。
地面を蹴りつけて、足を大きく前へと踏み出して。

そうして私は。

あの日の自分との決別のために、魔物へと向かった。

魔物はおそらく強かったのだと思う。

けれど今の私にはそんな事を感じる余裕は無く、ただただ激情のままに剣を振るうだけだった。
ざくりと剣が触手を断つ。体液を撒き散らしてのけぞる魔物に袈裟掛けに剣を振り下ろす。
そうして私に伸びる無数の触手を何度も何度も切り裂きながら、いつしか私は泣いていた。
魔物の腹に剣がめり込む。
凄まじい叫びを放ち、とうとう魔物は地響きをあげて、地面へと倒れ付した。
荒い息をつく私の目の前で、魔物がびくびくと身体をくねらせている。そんな魔物のある一点が視界に入り、
私は思わず嘔吐しそうになった。
断末魔に悶える魔物のそこは、死に行く今になってさえ、淫らに勃ちあがったままだ。
むしろ今にも弾けそうなくらいに張り詰めていて、私の瞳を汚している。
 
これは、私から母を、妹を、そうして私の尊厳までもを奪い去ったモノ。

再び、剣を振り下ろす。
私の人生を奪った凶器は、あっけなく私の目の前から、消えた。

切り飛ばされた魔物の性器は、それでもしばらくは床の上でのた打ち回っていた。
けれどやがて動きを止め、気が付けば魔物もすでに息絶えている。

「――っ」
詰めていた息を吐き出す。途端に、膝から力が抜けた。
よろけた私は剣を支えにしようとしたが、魔物の酸で腐食したそれは脆く崩れ、私はそのまま床へとへたり込んでしまった。
がくがくと身体が震える。目の前の光景が信じられずに何度も何度も、魔物と折れた剣とを見比べる。
そうしてようやく、自分がとうとう生きる目的の半分を達成したことを知ったのだ。
「…あ…」
私の手から、柄だけになった剣がこぼれ落ちた。酸で弱ったそれは床へ落ちた途端、砕け散る。

この魔物を倒したからと言って、私の受けた呪いが無くなる訳ではない。私の受けた傷が消える訳ではない。
でもそれでも。

「…かぁ…さ…」
母と妹の仇だけは、取ることが出来た。

もう動かない魔物の骸の前で、胸を押さえうずくまる。口から溢れ出る母と妹の名と、こみ上げる涙と嗚咽を、
私はもう抑えることはしなかった。

本日はここまで。

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決戦


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