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新撰組 山崎丞×土方歳三

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                    |  幕末某組織 監察方×副長だってよ
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  よりによってこのシーン……
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 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ しかもエロナシかよ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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 血の匂いを、いつのまにか感じなくなっていた。
 相変わらず耳に届く呻き声や泣き声も、どこか遠くなっている。
 (俺………死ぬんやろなぁ)

 きっと、死ぬだろう。

 曲がりなりにも親撰組の一員だったのだ。
 生死の境目たる一線がどこにあるのか、経験が知っている。
 ましてや、多少なりとも医学の道に触れてきたのだからなおのこと。
 体中あちこちに怪我を負ったが、きっと致命傷は腹部に受けた弾傷。
 腹に潜り込んだたった一発の小さな弾によって、自分は死ぬ。
 (こんなとこであの人を置いて逝くんは、不本意なんやけど)
 強く美しく、悲しい人。
 意地っ張りな彼が、ようやく心を許してくれるようになったのに。
 自分が死んだら、どうするのだろう。
 近頃ぽつりぽつりと言うようになった我侭を、誰が聞いてやるのか。
 無理をしがちな身体を、誰が気にかけて寝かしつけるのか。

 自分ではない人間がその役目を負うことへの嫉妬より、彼がそういった相手を
 失くすことのほうが、ずっと気にかかる。
 シ中田は駄目だ。あの人がいくら否定しても、冷静に見れば先が見えている。
 願わくば、斎等か嶋田あたりが傍についていてくれるといいのだけれど………。

 「……き……まざき……」
 我知らず意識を失っていたのだろうか。
 聞きなれた声の、聞きなれない響きに今更ながらに気付いて、目を開ける。
 ……眩しい。

 「………山碕?ああ、応えなくていい。良かった、意識を取り戻したか……」

 隊士のいるところでは常に鋼のように硬く、氷のように冷たかった声が、か細く震え
 ながら自分の名を呼んでいる。
 ぼやけた視界の中でようやく見えてきたのは、白い面に女性の如き美貌。
 いつもは不快を表すために寄せられる眉根が、今は不安と心配の為に形を変えていた。
 「……く、ちょ……」
 「喋るな」

 (……こんな汚いとこに誰がこの人を連れこんだんや……)
 怪我人ばかりの船室は、床にいくつも血溜まりを作っていて、けっして清潔とは言えない。
 そんなところにこの人を置いておきたくないのだが、どこかの馬鹿が気を利かせて連れて
 きてしまったらしい。余計なことを。
 自分が死ぬところなど見たら、この人はきっと気にするだろうに。
 「大丈夫か?着いたら直ぐに医者に見せてやる」
 他の隊士もいるというのに、取り繕う余裕さえないのか。青褪めながらも山碕に語りかける声
 には、普段ひた隠しにしている、優しさや情の深さがそのまま現れていた。
 濡れた布で山碕の顔を拭い、冷たい手でそっと髪を撫でる。
 本人が血塗れだと哂う手だが、山碕にとっては誰よりも綺麗な手だ。
 「っく、ちょ、う」
 声を絞り出す。
 喉が痛いが、なに、構うことは無い。どうせこの後使う予定も無いのだ。
 「馬鹿、口をきくなと言ったろう」
 「申しわけ……りませんが……の、命には、したがい、かねます……」
 唇を戦慄かせ、悲痛に歪むその表情すら、愛しい。
 ついに告げることの無かった想いは胸の奥にしまったままで。

 でも、せめてこれだけは言わなくては。

 「今まで……お世話に…り……ました……」
 時間をかけてなんとか紡いだ言葉に、感覚の薄くなった手を強く握りこまれる。
 伝わる震えは、自分のものか、彼のものか。
 「世話になったのはこちらのほうだ。これから先も面倒をかけるぞ」
 強がる言葉も途切れがちに。こんなに動揺しながらまだ意地を張る。
 けれどこういうところがこの人らしいと、山碕はひっそりと笑った。
 この先面倒を見るのは、悔しいが自分ではない。
 「私…は、幸せ、でした……お傍に……おいて、いただいて……」
 聞き苦しい咳など耳に入れたくない。それは山碕の矜持だった。
 こみ上げる血を飲み込みながら、呼吸なんとか整える。
 (……どうかお幸せに、て、言いたいとこやけど……)
 流石にそこまで楽天的にはなれない。彼の気性を知り尽くしているゆえに。

 その代わりに伝えたいの言葉は、一言。

 「ありがとう、ございました」

 これだけははっきりと言えた。
 言い終えてから、それに返されたのは。

 ぽたり、と。

 頬に落ちてきたのは水の滴。
 目の前の人が、自分の為に流した―――――涙。

 京で散々辛い目にあってきた彼の涙を、山碕は初めて見た。
 かつての同志を切り捨てながら、我が身我が心をも切り裂いて、
 ただ独り無言で痛みを堪え。
 それでも泣いたりしなかった人なのに。

 己のためだけに流された、値千金の価値を持つ至上の涙。 
 幼い子供のように頼りない表情で唇を噛み締め、まるで山碕の命を繋ぎとめようと
 するかのごとく、きつくきつくその手を握り締めるその人。
 涙に潤んだ瞳に、その睫を彩る涙の珠を拭えないのを残念に思う。

 心身の全てを捧げて慕った相手の腕の中で、死出の旅路に涙の餞を得て。
 これ以上の死に方はそうはないだろう。

 (ああ、俺はほんまに幸せ者や………)

 降り注ぐ涙を微笑みに受け止め。
 親撰組諸士調役兼監察山碕丞の最後の呼吸は、幸福の溜め息だった。

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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ マジでゴメン。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
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