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引き出しの片隅で愛をさけぶ

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

ずっと一緒だと思ってた。いや、それはただの幻想だったに過ぎない。
あなたと会えなくなってどれくらいの月日が経ったのだろうか。
それでも僕は再びあなたと出会えるまで、この暗闇の中で待って待って待ち続ける。
もう一度あなたに会いたい。会ってこの体に詰まった思いを伝えたいんだ・・・

1983年、僕たちは出逢った。
時代はバブルが始まった頃で、僕と同じ仲間がたくさん生まれた。
そのたくさんの仲間達の中から、あなたは僕を選んでくれた。
あなたはまだ13歳の少年だった。
チェッカーズをマネして髪を伸ばしたり、他の男の子より少しマセた少年だった。
あなたの好きな曲は「ギザギザハートの子守歌」。
何度も何度も飽きずに聞くもんだから、僕はちょっと疲れてたね。
僕らはどこへ行くにも一緒で、あなたは一時も僕を離さなかった。

1991年、あなたは僕を置いてこの家を出て行った。
僕はもうだいぶ前からあなたに飽きられて忘れられていたけれど。
それでもあなたの近くにいれればそれで良かった。
あなたは出て行ってからも、たまにここへ帰ってきた。
そのたびに聞こえるあなたの声はどんどん変わっていく。
遠くからだけど、僕はいつもあなたの帰りを待っていたんだ。

それから14年、あなたは大人になった。
でも、どうやらあなたの人生はあまり上手くいっていないらしい。
仕事や家庭、色んなことで思い悩んでいるという暗い声。
そう、僕はあなたの声は聞けるのに姿は見れない。もどかしくて仕方ない。
僕があなたのために出来ることなんて、何もないのだろうか。
僕も年を取った。もう長くはないはずだ。動けなくなる前にもう一度・・・。

あなたと会えた。またあなたと。
あなたが僕に触れる。少年の手は立派な男の手になっていた。
あなたの顔は少し疲れていて、あの少年の面影はあまりなかった。
僕の体の中には、あなたへのメッセージが詰まっている。

「―大人になった僕へ。僕は今、幸せですか?―」
いつも僕と一緒だった13歳のあなたの声。
あなたは、涙を流している。
僕を握り締め、肩を震わせ涙を流している。
泣きながら、幼い自分の声に少し照れ笑いして。
「・・・ありがとう」
そう、呟いたように聞こえたのは僕の勝手な妄想だろう。
でもいいんだ。僕は最後にあなたのために何か出来たと思えたから。

あなたがこの先、幸せになれますように。僕はずっと祈っている。
「ありがとう」
あなたと過ごした数年間、とても楽しかった。
あなたに選ばれて、あなたと出会えて本当に良かった。
そして、僕はまた暗い闇へと入っていく。
今度こそ、もう二度とあなたに会えないと思う。
会えても僕は死んでいるでしょう。
さようなら。僕はずっと。デパートの電気売り場であなたと出会ってからずっと。

ずっとあなたが大好きでした。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ハヤオクリノジンセイデシタ!


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