Top/10-17

魔人探偵脳噛ネウロ 笹塚×笛吹

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                    |  根雨露の笹笛モナ
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  今週号のネタからだよ。
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 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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「よし、ヒフミ! …二倍付け、出せよ。薄井」
「くっ! まだだ! もう一度勝負しろ、佐々塚っ!!」
「……薄井さん、もう止めたほうが」
「先にリタイアしたお前に言われる筋合いなどないわ!」
 佐々塚は苦笑いを浮かべ、土筆は困った顔をする。
 薄井という男は激しやすいうえにひどく負けず嫌いだ。賭博の運も或る種の
『技術』もさほど持ち合わせていないのに、何度でも懲りずに勝負を挑む。
「ですが、もう金が無いでしょう?」
「ぐっ……!」
 先程の賭け金を渡せば、財布の中に金は無い。佐々塚に全て巻き上げられて
しまった事に漸く思い至った薄井は奥歯を思い切り噛み締めた。激昂のためか
線の細い顔に薄く朱が指している。
 その時、佐々塚が薄井に思っても見ないことを申し出た。
「…何だったら身体で払ってくれても良いよ。一日辺り一万円で」
「ふん、いいだろう」
「う、薄井さん」
 土筆は慌てて二人を止めようとしたが、既にプライドの高さを表情に取り戻した
薄井が後輩の静止に従うはずが無かった。
「見ていろ佐々塚。すぐに負け分を取り返してくれるわ!」

「…おし!!」
「何ィっ!!??」
 佐々塚が出したのは111のピンゾロ、十倍付けの役である。
「お前! 何かイカサマでもしてるんじゃないだろうな!?」
「そんな、人聞きの悪い…ところで、まだやる?」
「もういいっ! 今日は私の負けにしておいてやる!!」
「…じゃあ、十日分返してもらうから」

 土筆とは先に別れた。駅前の繁華街のネオンを背に、佐々塚を前にした薄井は
次に取るべき行動に迷っていた。そんな彼の様子を見透かしたように佐々塚は
「…とりあえず俺の部屋に来る?」と提案してきた。
 断る理由も権利も無いので、薄井は佐々塚についていった。
 そこは、ごく平均的な学生向けのアパートだった。促されて入った薄井は室内の
様子に顔をしかめる。
「おい! この散らかった部屋は何とかならないのか!」
「…そう? 男子学生の部屋ってこんなもんだと思うけど」
「私のところはきちんと整頓されてるぞ」
 ああ、と佐々塚は納得する。
「神経質だもんな、お前…」
「余計なお世話だ!」
 薄井が「万年床はカビが生える」と文句を言っている横で、佐々塚は冷蔵庫の中を漁る。

「…酒、焼酎しかないけど」
「別に要らん。で、私は何をすればいいんだ」
「何を、って」
「賭けの負け金のことだ!! お前、自分で言ってて忘れたのか!?」
「……とぼけてんの? それとも、まさか解らないでついて来たわけ?」

 佐々塚は不意打ちで薄井の腰を引き寄せた。
「なっ!」
 薄井の抵抗は体格差によって容易に封じられた。そのまま佐々塚によって壁に
押し付けられる。
「佐々塚、何のつもりだ!?」
「普通、『身体で払う』っつったらこーゆーことしかナイでしょ」
「知らん!! 私は認めん!」
「…いいの? 警察を目指そうって奴が借金踏み倒して」
「元々が違法行為に端を発しているだろうが!」
「それはお互い様。っつーか薄井、論理が破綻してるよ。ん?」
「くっ…」
 どこまでも余裕な佐々塚に対し、薄井のプライドが刺激される。このまま
言い争いを続けて佐々塚に遊ばれるのは癪だ。『そんなこと』など全然
大したことは無いのだ、と堂々とした態度を彼に見せ付けてやるのだ。
「――いい。好きにしろ」

「じゃあ、眼鏡取って上向いて、少し口開けて」
「こうか?」
 佐々塚は先程コップに注いだばかりの焼酎をあおり、そのまま薄井の口を塞いだ。
「んふっ…」
 流し込まれた焼酎が咽喉を焼き、薄井は激しくむせる。
「ゲホッ、ゲホッ――このっ…!」
「…酔った勢いって事にしといたほうが、お前の気が楽だろうと思って」
「余計な世話だ!! さっさとしろ!」
「薄井、それ、色気無さ過ぎ」

 薄井が最初に知覚したのは、万年床の湿った埃っぽいにおいだった。そして次第に、
昨夜の感覚が身体にリロードされてゆく。
 佐々塚は既に服を着てキッチンに立っていた。

「…よう。おはよう」
「……」
 薄井は佐々塚の顔をまともに見れない。佐々塚の指先はサイコロの目を自在に
操るときのように器用で、踏み込まれる前の段階で既に薄井は連敗を喫してしまったのだ。
「朝メシ、目玉焼きでいい? 食うだろ」
「すまん」
「いいって。…まぁ、負け金払い終わるまでここにいれば?」
 仕送り来るまで一文無しだろ、と佐々塚は言いながら薄井に服を投げてよこした。
「全部賭けでお前のところに行ったんだがな」
「だから、その分でお前を食わせれば問題ないだろ」
 佐々塚はちゃぶ台を薄井のところまで引っ張ってきてやった。皿にはベーコンエッグ。
思ったより見た目が良い。
「その前に、また賭けで負け金を取り返せば良いだけの話だ」
「……できたら、ね」
 顔を上げられない薄井の視線に佐々塚の指が映る。金を巻き上げプライドを簡単に
黙らせる指。
 とりあえず、万が一また賭けで負けたときのため、この部屋の徹底掃除と
布団干しだけは絶対にしてやる、と薄井は思った。

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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 朝チュンスマソ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
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