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モララーのビデオ棚in801板30

1 名前:風と木の名無しさん:2007/10/03(水) 23:12:42 ID:dNICqNgT0
.   ___ ___  ___
  (_  _)(___)(___)      / ̄ ̄ヽ
  (_  _)(__  l (__  | ( ̄ ̄ ̄) | lフ ハ  }
     |__)    ノ_,ノ__ ノ_,ノ  ̄ ̄ ̄ ヽ_ノ,⊥∠、_
         l⌒LOO (  ★★) _l⌒L ┌'^┐l ロ | ロ |
   ∧_∧| __)( ̄ ̄ ̄ )(_,   _)フ 「 | ロ | ロ |
  ( ・∀・)、__)  ̄フ 厂  (_,ィ | 
                  ̄       ̄
        ◎ Morara's Movie Shelf. ◎

モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。

   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |[]_||  |      | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ]_||
   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
   |[][][]._\______   ____________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |[]_|| / |/    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.||  |[]_||
    |[][][][][][][]//||  | ̄∧_∧     |[][][][][][][][].||  |  ̄
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ( ・∀・ ) _ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.||  |
   |[][][][][][][][]_|| / (    つ|8l|.|[][][][]_[][][]_.|| /
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    | | |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    (__)_)
前スレ
モララーのビデオ棚in801板29
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1187328015/
ローカルルールの説明、およびテンプレは>>2-9のあたり

保管サイト(携帯可/お絵描き掲示板・うpろだ有)
http://wald.xrea.jp/moravideo/


2 名前:風と木の名無しさん:2007/10/03(水) 23:14:50 ID:dNICqNgT0
★モララーのビデオ棚in801板ローカルルール★

ノンジャンルの自作ネタ発表の場です。
書き込むネタはノンジャンル。SS・小ネタ・AAネタ等801ネタであれば何でもあり。

(1)長時間に及ぶスレ占拠防止のためリアルタイムでの書き込みは控え、
   あらかじめメモ帳等に書いた物をコピペで投下してください。
(2)第三者から見ての投下終了判断のため作品の前後に開始AAと終了AA(>>3->>7辺り)を入れて下さい。
(3)作品のナンバリングは「タイトル1/9」〜「タイトル9/9」のように投下数の分数明記を推奨。
   また、複数の書き手による同ジャンルの作品判別のためサブタイトルを付けて頂くと助かります。

※シリーズ物・長編物の規制はありませんが、スレを占拠しないためにも投下ペースや分量を配慮して下さい。
※感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬はほどほどに。
※「公共の場」である事を念頭にお互い譲り合いの精神を忘れずに。

相談・議論等は避難所の掲示板で
http://s.z-z.jp/?morara

3 名前:風と木の名無しさん:2007/10/03(水) 23:15:28 ID:dNICqNgT0
2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリー物であろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。

  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
  | いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
  \                           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . |
                               | | [][] PAUSE       | . |
                ∧_∧         | |                  | . |
          ┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ      | |                  | . |
          | |,,  (    つ◇       | |                  | . |
          | ||―(_ ┐┐―||        |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   |
          | ||   (__)_), ||       |  °°   ∞   ≡ ≡   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


4 名前:風と木の名無しさん:2007/10/03(水) 23:16:03 ID:dNICqNgT0
3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。

別に義務ではないけどね。

テンプレ1

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  モララーのビデオを見るモナ‥‥。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  きっと楽しんでもらえるよ。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


5 名前:風と木の名無しさん:2007/10/03(水) 23:16:33 ID:dNICqNgT0
テンプレ2
          _________
       |┌───────┐|
       |│l> play.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
   ∧∧
   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   )
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |            ┌‐^──────────────
  └──────│たまにはみんなと一緒に見るよ
                └───────────────

          _________
       |┌───────┐|
       |│ロ stop.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]

                 ピッ ∧_∧
                ◇,,(∀・  ) ヤッパリ ヒトリデコソーリミルヨ
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |                                |
  └────────────────┘


6 名前:風と木の名無しさん:2007/10/03(水) 23:17:36 ID:dNICqNgT0
テンプレ3
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < みんなで
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < ワイワイ
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 見るからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < やっぱり
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < この体勢は
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 無理があるからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"

7 名前:風と木の名無しさん:2007/10/03(水) 23:18:15 ID:dNICqNgT0
テンプレ4

携帯用区切りAA

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

中略

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

中略

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


8 名前:風と木の名無しさん:2007/10/03(水) 23:18:47 ID:dNICqNgT0
 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも
 |
 | ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ
 | ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送
 | ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像
 | ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ
 | ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像
 | ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像
 | ・意味不明、出所不明な映像の切れ端
 \___  _____________________
       |/
     ∧_∧
 _ ( ・∀・ )
 |l8|と     つ◎
  ̄ | | |
    (__)_)
       |\
 / ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 媒体も
 | 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど
 | 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。
 \_________________________


9 名前:風と木の名無しさん:2007/10/03(水) 23:19:21 ID:dNICqNgT0
   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   じゃ、そろそろ楽しもうか。
   |[][][]__\______  _________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |       |/
    |[][][][][][][]//|| |  ∧_∧
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ )
   |[][][][][][][][]_||/ (     )
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   | | |
              (__)_)


10 名前:風と木の名無しさん:2007/10/04(木) 00:48:15 ID:OixIB11o0
>>1乙!

11 名前:モノノ怪:2007/10/04(木) 22:09:11 ID:Cl/kaweN0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  モノノ怪終了記念&801新スレ突入祝いだよ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  ハイパー×薬売りだってさ
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ トリアエズコッチニトウカデ イイノカナ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


12 名前:夢浮橋(ゆめのうきはし)モノノ怪1/4:2007/10/04(木) 22:11:37 ID:Cl/kaweN0
「──つ……」
 耳たぶを鋭いものが貫く感触に思わず身を引く。血が糸をひいて流れ、長い爪を持つ褐色の指先に
受けとめられる。
「動くなと言っただろうが」
 受けとめた血の滴を甘そうに舐めとりながら、楽しげに男が言う。
「……それほど痛くはない、と言ったのも、あなたでしたけどね」
「細かいことをごちゃごちゃ言うな。もう少し我慢しろ」
 蒼黒い舌で唇に残った血を舐めると、自分の小指の先をふっつと噛み切った。したたり落ちる血の
滴を吸い、先に舐めた血といっしょにふっと吐き出す。紫色の霧がうすく漂い、一箇の鮮やかな紅玉
の粒がころりと転がった。
「いいから、動くなよ。今度は痛くない」
「嘘ばかり……」
 ひっそり呟いたのには耳もかさずに、紅い血の珠をつまみあげ、まだ血のにじんでいる傷口に填め
込む。痛みに眉をひそめるのもおかまいなしに、ふっと息を吹きかけると、血は止まり、肉はふさが
って、白い耳朶にはひとしずくの血色の宝珠が光る。
「おしまいですか?」
「まだ、もう片方だ」
 ともう一方にも同じことをくり返す。こちらが痛そうな顔をしていても見向きもしないのも同じ
く。もともとそういう男ではある。ある意味では自分自身であり、いわば背中合わせに鏡をへだてた
半身とも言うべき相手だが、『自分』はここまで自儘ではないと、ため息ひとつつきたくもなる。
「……終わりましたか」
「まだ。もう一つだ」
 褐色の手が白い手をそっと取りあげる。濃い色の肌には黄金の文様が蠢き、触れられた部分は火の
ように熱い。自ら光を発するような長い銀髪を、男はひとふさ白い指に巻きつけ、爪で断った。断た
れた髪はたちまち蠢き、色を変え、臙脂に金の文様を置いた、平たい造りの指環に変わる。
「ここまでやらないと、納得できませんか?」
 ようやく解放されて、新しくつけ加えられた装身具を手を返してみる。
 耳も、指も、男がそこに凝縮した力を受けて炙られるように熱く脈打つ。比類ない護身具であるの
は間違いない、が、造ったものにますます強く、この身を結びつけるものであることにもまた違いは
ない。
「安心できない、と言ってもらいたいものだ」
 すねたように男は言った。

13 名前:夢浮橋(ゆめのうきはし)モノノ怪2/4:2007/10/04(木) 22:14:27 ID:Cl/kaweN0
「次の〈やつ〉は、アヤカシやモノノ怪が存在しにくい時代にいるのだろうが」
「確か、そのようですね」
「では、そういう時代に行く前に、身を護るものはつけていたほうがよい。人間の業は深く、その為
す因果ははるかに強い。奴らが生み出すモノノ怪の理に呑みこまれてしまわぬよう、強くその身を鎧
う必要がある」
「あなたは剣、私は遣い手。剣が遣い手を心配するなど聞いたことがありませんね」
「遣い手がなければ、俺はモノノ怪を斬れぬからな」
 そう言いながら、手をのばして肩を抱き寄せる。抵抗もせずに、身体は広い胸に崩れおちる。ごつ
い手が器用に帯をほどき、着物を肩からすべり落としていく。
 外気にさらされた肌に、うすく鳥肌が立つ。夢でも寒いということがあるだろうか、とぼんやり感
じる。思う間もなく、黄金の文様におおわれた褐色の胸に抱き寄せられ、灼熱する感触に包みこまれ
る。
「……また、ですか」
「また、も何も。他人でもあるまいし」
「誤解を招くような言い方ですね。まあ、確かに他人ではありませんが」
 こういうことも自涜と言えるのだろうか、と少し思った。目覚めているときにはほとんど感じない
欲望が、この男と触れあうたまゆらの刻には、おそろしいほどに燃えあがる。
 とがった牙が首筋を噛み、ざらついた舌が瞼や鼻筋にほどこした黥面をたどってゆく。洩れそうに
なる声にきつく唇をかんで顔をそむけると、強引に顎をつかまれ、口づけられた。熱い舌が蛇のよう
に口内を蹂躙し、吐息が火そのもののように喉を灼く。
 耐えきれずに口を開くと、恥ずかしいほどの高い嬌声が洩れた。あわてて身をちぢめ、拳を握りし
めて全身に力を入れる。相手が小さくふくみ笑うのが聞こえ、かっと頬に血が昇った。
「まったく気が知れない、こんなことをして。あなたは剣、モノノ怪を斬れればそれでいい、そうで
はないんですか? 遣い手の私、それも半分は自分自身相手にこんなことをして、可笑しいとは思わ
ないんですか? どうせ、離れることも、そのくせ、現実ではけっして一緒になることもできないの
に」

14 名前:夢浮橋(ゆめのうきはし)モノノ怪3/4:2007/10/04(木) 22:16:32 ID:Cl/kaweN0
「だからこそ、さ」
 もがく白い身体を軽々と抱きあげて、黄金の男は黒に赤の瞳孔を細める。
「いつも誰より近くにいるのに、俺はおまえに触れられない。剣が抜かれて、おまえが目の前で姿を
消すときの俺の気持ちが、おまえに判るか。一度でも触れたい、抱きとめたいと思って、手をのばし
たことが何度あるか、そのたびに、空をつかむことしかなかった時のむなしさを、おまえは、知って
いるとでもいうのか」
「勝手な理屈を。私にはどうすることもできないのは、ご存じでしょうに」
「知っているさ。だからこそ、せめてここで、こうしている」
 紅い珠の輝く耳朶に口づけ、拘束具のように嵌めた指環に口づけて、抱きあげた身体をあぐらをか
いた膝の上に下ろす。
「笑えばいいさ、要するに俺は、怖いんだ。この世にモノノ怪がいなくなり、俺が斬るべきものがな
くなり、俺が解き放たれることもなくなって、おまえが俺と切り離され、二度と姿を目にすることも
なくなる時が来るようなら、──もしそうなったらと考えただけで、俺は、いてもたってもいられな
くなるのさ」
「だからこの耳珠と、指環ですか。……あ、っ」
「そうさ。少しでもおまえ自身と、俺とを、繋ぐ鎖を増やしておくように、な」
 腰をつかまれ、隆々とそそり立つものの上にゆっくりと下ろされていく。燃えさかる焔の中に置か
れ、その灼熱の芯が、肉体の中心に侵入してくる。苦痛を含めたあらゆる思考が一瞬にして灰とな
り、代わりに煮えたぎる黄金の快楽と、血の臭いのする獣の熱が身体を支配する。
 烈しくゆさぶられながら、かすむ目をむりに上げて相手を見る。──褐色の肌、彫り深い男らしい
顔立ち、分厚い胸と広い肩──全身を彩る黄金の文様、何かに耐えるように細められた、黒と赤の
瞳、人外の、モノノ怪狩りの獣のあかし。

15 名前:夢浮橋(ゆめのうきはし)モノノ怪4/4:2007/10/04(木) 22:17:40 ID:Cl/kaweN0
「も、し──」
「ん?」
「もし、も、あなたがここで、私を、喰い、殺したとしたら」
 思考が飛びかけている今だからこそ、こんなことが言えるのかもしれない。理性が端から弾け飛ん
でいくのを感じながら、言葉が口からこぼれ落ちるにまかせる。
「そうした、ら、現実の私は、どう、なるんでしょう、ね……? 人間のように、血をまき散らして、死ぬのか、それとも、何事もなかった、ように、そのまま、煙になって、ふっと消えてしまうの、か」
「面白い考えだな」
 短く笑って、男はさらに律動を早めた。喉を鳴らして大きくのけぞる白い背中をきつく抱き寄せ、
囁きかける。
「試してみるか。それも俺じゃなくて、おまえが。俺の喉に、牙を立ててみろ。狙いはここだ。喰い
破ってみせろ」
 乱れた髪に指を差しこまれ、ぐいと引き寄せられた。目の前に、筋肉に厚く覆われた太い首があ
る。灼けるように熱い血が駆けめぐっているはずの、人外の血管が脈打つのがわかる。夢中で口を開
け、かぶりつく。口に渋い金属の味が広がる。
 男が低いうめきを洩らす。同時に、背筋を雷霆のような戦慄と衝撃が駆けぬけ、吹き消されるよう
に、何もかもが見えなくなった。


 ……雀の声がしている。
 薬売りの男はゆっくりと目を開け、頭を振った。木漏れ日が帯を垂らすように、木立のあいだから
平らな草地に降りそそいでいる。
 背筋と腰が張って痛い。薬箱にもたれかかったまま、うつらうつらとしてしまったらしい。昨夜の
焚き火のあとが、黒く地面に残っている。背中を伸ばし、まだぼうっとした頭がはっきりしてくるの
を待つ。頭上の橋の架かった土手道を、自転車に乗った務め人らしき男が、チリンチリンとベルを鳴
らしながら通りすぎていく。

16 名前:夢浮橋(ゆめのうきはし)モノノ怪5/4:2007/10/04(木) 22:18:17 ID:Cl/kaweN0
「まったく……心配性、ですね」
 手を確かめてみて、呟く。そこには夢寐のかたらいのうちに嵌められた、凝った指環が収まってい
る。おそらく耳も、そうなのだろう。
 ふと気づいて、胸に下げた鏡を返してみた。口の中にはまだ、あの渋みのある鉄臭い味が残ってい
る。
 鏡に映った顔には、口の端にわずかに黒みを帯びた滴がこびりついていた。
 袖を上げて口をぬぐい、寝乱れた襟を直そうとして、手をあげる。ふと、首筋に、噛まれたような
傷が残っていることに気がついた。ついさっきつけられたように、まだ赤黒く腫れて、じくじくと血
をにじませている。
 苦笑する。
「……そんなに強烈に、噛まなくともよさそうなものを」
 それとも、もっと強く強く噛めばよかったのに、と言うべきなのか。
 手をあげて傷に触れ、固まりかけた血をとって、飴のように口に含む。渋い金属の味が濃く口中に
ひろがる。
「あなたは私に文句ばかり言いますけどね、──ねえ」
 薬箱と、その底に収められたものにむかって、そっと囁く。
「私だって、そういつもいつも平気、というわけではないんですよ?」
 かすめる手、すれ違う指先──こちらから幾度手をのばそうとしたことか、無駄とは知りつつ、一
度でいい、実体のある世界で、その熱い肌に触れてみたいと、願ったことが何度あるか。
「……まあ、こちらから言うのも癪だから、言ってあげませんけど、ね」
 やがて朝日が、一夜の宿の土手の下にも差してきた。立ち上がり、薬売りの男は猫のように伸びを
する。首に刻まれた傷は、いつのまにか消えている。
 何もかも、夢のうたかた、幻だけで架けられる夢の浮き橋──かたわらに置いた薬箱の取っ手が、
一度だけ、小さな音でかたんと鳴った。

17 名前:風と木の名無しさん:2007/10/04(木) 22:19:24 ID:Cl/kaweN0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ハミダシチャッタ ゴメン
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


18 名前:風と木の名無しさん:2007/10/05(金) 01:14:42 ID:swbHUqtq0
萌えた。

19 名前:風と木の名無しさん:2007/10/05(金) 01:18:37 ID:lW2ldZqOO
>>11
GJ!!!!!!!!!!!
儚い関係に萌えすぎて頭髪がウェンツされました

20 名前:風と木の名無しさん:2007/10/05(金) 09:21:46 ID:IUD+kvZ4O
>>11
乙!

いやぁ、朝から良い物見させていただきました(´∀`)

21 名前:風と木の名無しさん:2007/10/05(金) 09:39:59 ID:qhc/0mB70
>>11
乙でした
ピアスと指輪の理由に萌え泣いた

22 名前:風と木の名無しさん:2007/10/05(金) 13:19:46 ID:z8RlyZNT0
>>11
乙で候

23 名前:風と木の名無しさん:2007/10/05(金) 13:50:43 ID:Zo1s+Uzq0
>>11
脳内の香が炊き上がりました!!!
剣を解き放つ瞬間しか触れあえない二人が切ない・・・

24 名前:風と木の名無しさん:2007/10/05(金) 15:09:56 ID:LhTdMO0X0
>>11
乙!
ピアスと指輪の切ない裏設定に禿げた。素晴らしい萌えをありがとう。

25 名前:風と木の名無しさん:2007/10/05(金) 15:22:18 ID:ysjLjMrxO
>>11
GJGJGJGJoooo!!!!
よいんがいい。

26 名前:風と木の名無しさん:2007/10/05(金) 16:27:15 ID:LpUhkMdb0
超超超GJ!いいもの拝ませていただきました。
さて、抜けた毛を拾いながらビデオ見直してくる…

27 名前:風と木の名無しさん:2007/10/05(金) 19:27:04 ID:DwRA7ECA0
>11
テラGJ!
もうすでに尽きたと思った髪が抜け落ちました…

28 名前:風と木の名無しさん:2007/10/05(金) 20:50:00 ID:ufrVk2lE0
>>11
GJ!録画させていただきました。

29 名前:風と木の名無しさん:2007/10/05(金) 21:03:24 ID:lKtapYqxO
>11
GJ!!!!!あーもうイヒヌコ見直してくる!!!

30 名前:風と木の名無しさん:2007/10/05(金) 21:41:35 ID:pogmAKMKO
>>11
ごちそうさまでした。
ええ話や・・・

31 名前:風と木の名無しさん:2007/10/06(土) 06:13:51 ID:YG8TnZwg0
>>11
まるでクラウドの中にいるセフィロスのようです。w

32 名前:風と木の名無しさん:2007/10/06(土) 06:14:30 ID:YG8TnZwg0
ごめんsageわするたorz

33 名前:風と木の名無しさん:2007/10/08(月) 00:13:41 ID:9W4+0K5D0
>>11GJ!
指輪とピアスはその設定で、私の脳内に固定されました。

34 名前:風と木の名無しさん:2007/10/08(月) 00:56:32 ID:02AAKo3TO
>11
萌えました…!
でも薬売りの一人称って俺じゃなかったっけ…私の勘違いだったらごめん

35 名前:風と木の名無しさん:2007/10/08(月) 03:44:17 ID:OyY5X0XH0
>>11
グッジョブ!

>>34
俺って言ったり私って言ったり

36 名前:藤代→永澄→政 瀬戸の花嫁 Part.01:2007/10/08(月) 18:27:13 ID:yOKcZaPN0
秋にしては、随分と穏やかな昼下がり。
磯野第八中学校の生徒は、ちょうど昼食を食べている時刻である。
職員室に入ろうと扉に手を掛けた政は、もうひとつの奥にある扉の前で、
こちらに背を向けて立っているシャーク藤代の姿を見つけた。
声を掛けようとそっと近付いていくと、何やら藤代は、
彼の背に隠れて見えない何者かと話している様子である。身長から考えても生徒だろうか。
たまには教師らしく、生徒に教育的指導でも加えているのだろうかと軽く興味をそそられ、
政は自分が彼らから見えないように、部分的に迫り出ていた壁に身を寄せた。
別段、隠れる理由もなかったが、自分がいないところで藤代がどのように
生徒を指導しているのかというのは、以前から気になってはいたことだった。
今の教師の仕事が、ただ豪三郎の気紛れにすぎず、仮初めのものであったとしても、
真面目な政にとっては、自分がやると決めたからにはきっちりとこなしたいと思っていたし、
何より、生徒たちにとって自分たちは教師に他ならないのである。彼らに、こちらの都合などは関係ない。
だからこそ、藤代にもしっかりと教師としての自覚を持って仕事をしてほしかった。

不意に、少し苛立ったような藤代の声が耳についた。

「――っ……だから、君が大人しく――」
「……俺にそんなことを――」
「何にって――……君には分からないんじゃない?」
「……も、う…これ以上は――」

何か揉めているのだろうか。よく聞こえない。
藤代の声から、彼がどんな表情をしているのかも想像することはできないが、
機嫌が良いようには思えなかった。やはり、生徒に注意でもしている最中だったのだろうか。
途切れた会話では、いまいち状況を掴むことができない。
政は、静かに耳を澄ませた。

37 名前:藤代→永澄→政 瀬戸の花嫁 Part.02:2007/10/08(月) 18:29:19 ID:yOKcZaPN0
「要求されたことに素直に従えば、話さないでおいてあげるって言ってるんだよ?」

(――……ッ?)

今度ははっきりと聞こえた。
政は眉間に皺を寄せ、今聞こえた台詞の意味を反芻した。

(……今のは、明らかに――)

脅し文句だ。
しかし、何を理由に脅しているのだろう?何のために?何を要求している?
藤代は生徒の秘密か何かでも握ったのだろう、先の台詞でそれは知れた。

……今すぐ、介入すべきなのだろうか。
会話に割って入り、事情を問い質せば分かることかもしれない。
生徒の不正か何かが藤代にばれて、それを黙っている代わりに
藤代が生徒へ何かを要求しているというような話だろうとは予想がつく。
仮に、生徒に非があったとしても、脅迫は決して許されることではないのだから、
自分が事情を聞き、事態の収拾をした方がいいかもしれない。

「そんなっ…、俺はまだ――」
「体育館の倉庫って言うといかにもって感じ?でも、もうお馴染みの場所だしね?」

今、行かなければ。
そう思い、壁から体を離した瞬間であった。

38 名前:藤代→永澄→政 瀬戸の花嫁 Part.03:2007/10/08(月) 18:32:21 ID:yOKcZaPN0
「政先生?」

政はビクッと体を震わせ、気配もなく後ろから近付いてきた人物に視線を向ける。

「……銭型、か」
「どうしたんですか、こんなところで」

鬼の風紀委員こと銭型巡は、少し驚いた表情でこちらを見上げている。

「い、いや。別に何でも――」

もう一度、藤代たちの方へ目を向ける。しかし、既に誰の姿も見当たらなかった。

「…………」
「ん?あっちに何かあるんですか?」

目を離した隙に、彼らから事情を聞く機会を失ってしまった。
結局、相手の生徒が誰なのかも確認できず、自分は盗み聞きしただけだ。
胸に、もどかしいような、苛立たしいような、何とも言えない不快な感覚が湧き上がる。

巡は、きょろきょろと周囲を見回して、あっと声を上げた。

「永澄くんじゃない!探してたんだからね」
「あ、……巡」

政は声の方へ顔を向けた。

39 名前:藤代→永澄→政 瀬戸の花嫁 Part.04:2007/10/08(月) 18:35:01 ID:yOKcZaPN0
「永澄さ…ゴホン!満潮、いたのか?」
「ま、政さんっ…!」

永澄は一瞬だけ輝かしい表情をしたが、すぐに顔を赤らめ、困惑したような表情で俯いた。
その表情を目敏く見つけた巡が、永澄の顔を心配そうに覗き込む。

「大丈夫?永澄くん、何だか顔色悪いよ?」

巡の言葉に、永澄はパッと顔を上げた。
ちょっと照れるような困った笑顔を見せ、人差し指で頬を掻く。

「…そ、そう?あはは、実はまだ昼飯食べてないんだよねー!
燦ちゃんたち待たせてるでしょ、教室に戻らなきゃ」
「う、うん。でも、保健室とか行った方が良いんじゃないかな?」
「大丈夫だよ!じゃ、俺は先に戻ってるから」

気遣わしい巡の視線から逃げるように、永澄は自分の教室の方向へ走っていった。

「行っちゃった…。変な永澄くん」

巡は訝しげな表情で永澄の消えた方を見つめている。
自分を置いてきぼりにした永澄に少し憤っている様子であった。

「じゃ、政先生。私も行きますね」
「あ、ああ……」

嵐が過ぎ去った後のように、廊下は急に静かになった。
何かを考えるように、永澄たちが去って行った方角を見やると、政は職員室に入った。




40 名前:藤代→永澄→政 瀬戸の花嫁 Part.05:2007/10/08(月) 18:36:18 ID:yOKcZaPN0
下校のチャイムが鳴ると、生徒たちの開放感に溢れた声があちこちで聞こえる。
部活動の準備に忙しなかったり、寄り道について相談し合っていたり、
生徒たちが活気づいて賑やかになる時間なのである。

「永澄さん」

可憐な声が、永澄の背を撫でる。
体を微かにビクつかせ、ゆっくりと永澄は振り返った。

「燦ちゃん、何?」

永澄の笑顔の中にも、少しだけ強張ったものを感じることができたが、
燦はあえて言葉には出さずに、自分の用件を口にする。

「ちょっと今日は用事があるきん、永澄さん、先に帰ってくれん?」
「ん、あ…、あぁ。大丈夫。大丈夫だよ」
「ごめんなぁ〜、この埋め合わせは必ずするきん!」
「いや、俺のことは気にしないで」

永澄は、正直ホッとしていた。
今日は一緒に帰ることができないと、自分から言い出さなくても済んだからである。
別に、用事があって一緒に帰れないと告げるのが嫌なのではない。
ただ、もしも、一緒に帰れない理由を問われたとしても、
ちゃんと誤魔化して答えられるかどうかの自信がなかった。
誤魔化す必要があるような理由を抱えていることが、何とも陰鬱だったが、仕方がなかった。
自分には、もうどうしようもできないと思ったし、諦める以外すべはなかった。
とにかく、最も怖ろしいのは、周囲にその理由がばれることだ。

(もう…最悪だ、こんなの……)

41 名前:藤代→永澄→政 瀬戸の花嫁 Part.06:2007/10/08(月) 18:37:26 ID:yOKcZaPN0
「じゃあ永澄さん。私、行ってくるきん」
「うん、じゃあ…また家でね」

燦は可愛らしい笑顔を見せて手を振ると、クラスの女子の集団に交じっていった。
女子の間で打ち上げか何かでもあるのだろうか。
そんなことはどうでもいい。今は、とにかくこの吐き気をどうにかしたかった。
胸元を手で擦ると、少し楽になった。

(そろそろ、行かなきゃ…)

帰り支度は整っていた。カバンを持つと、永澄は重い足を引き摺りながら教室を出た。
向かう先は、体育館の方角である。

――要求されたことに素直に従えば、話さないでおいてあげるって言ってるんだよ?

藤代が自分に向けて放った言葉を、何度も反芻する。
そうしなければ、この足が上手く歩いてくれなくなるから。

部活動をする生徒たちが横を走り去る。
体育館はもちろん部活動のために使われているし、始終、練習の際に放つ声が響いている。
そんな中で、部活動のためでもないのにここに来る生徒は永澄くらいのものであった。
誰も永澄を気に留めることもないが、彼らから身を隠すようにして、そっと体育館倉庫の扉に手を掛けた。
重い扉は、中からも外からも鍵の掛け外しができるものだった。

「遅いよ…永澄くん?」
「……っ」

暗い倉庫の中で佇んでいる影に、永澄は息を飲んだ。
表情がよく見えないのに、笑っていることだけは空気で伝わった。

42 名前:藤代→永澄→政 瀬戸の花嫁 Part.07:2007/10/08(月) 18:38:40 ID:yOKcZaPN0
「僕はさ、すっかり待ち草臥れたよ?ほら、早く扉を閉めたら?」

おずおずと、永澄は扉を閉める。
満足げにその様子を眺め、跳び箱の上に腰掛けていた男――藤代が、永澄を手招く。

「僕だってあまり長い間、生徒の倉庫への立ち入りを禁じることはできないんだから?
体育教師の権限を持ってしても?こういうことは…、早く終わらせなくちゃね?」
「わ、やめっ…」

永澄の手を掴むと、藤代は自分の大腿部の上に永澄を乗せた。
永澄を抱え込んでいた手とは反対の藤代の手が、上着越しに永澄の腹を擦った。

「ぁ、くっ…」

声を堪えるように、口元に手を持っていった。既に頬は赤く上気していた。

「……堪えなくても、誰も来ないよ?」

つまらなそうに、藤代は冷笑した。
そんな藤代を目の当たりにして、永澄はギュッと目を瞑った。何だか、とても悔しくなる。
諦めたはずだと思っていたのに、怒りに近いものが心の奥底で湧き起こった。
とっさに腕を掴む藤代の手を振り解こうとする。

「さっ…わらないで!」
「……それは抵抗のつもり?永澄くんって本当に弱いよねぇ?」

抵抗が何の意味も成さないことは十分に分かっていたが、どうしようもない苛立ちは
今までの中で最も強いものだった。我慢できずに声を荒らげる。

「あんたどういうつもりなんだ!俺にこんなことをして、どうしたいんだよ!?」

43 名前:藤代→永澄→政 瀬戸の花嫁 Part.08:2007/10/08(月) 18:39:43 ID:yOKcZaPN0
今まで、藤代から何度か、このような性的行為を強いられてきた。
藤代にそんな性癖があることにも驚いたが、自分に対してこういう行動に出たことが一番の驚きであり、
ある意味では納得であった。
永澄の予想とするところでは、豪三郎の命令だろうと思う。
藤代は見事に、永澄の男としてのプライドをズタズタに切り裂いてくれたし、
それ以外の目的でこんなことをさせる理由が分からない。
それとも、鮫として人を喰らう前の、前菜みたいなものなのだろうか。
命の危険を感じるのも、何度目のことか分からない。

「……本当は永澄くん、分かってるんじゃないの?」

抵抗もむなしく、永澄は上着を脱がされ、肌蹴たシャツの合間から藤代の手が入り込んでくる。
直に永澄の胸元を弄り、同じ箇所を執拗に触った。

「うあっ……や、やめ…!」
「じゃあ、君は僕がどうしてこんなことをしてるんだと思う?」

永澄のシャツのボタンをひとつずつ外しながら、永澄の耳元で問い掛ける。
顔を真赤にしたまま、永澄がか細く答える。

「……燦ちゃ…のお父さんに、ぁっ…め、命令…され…って…」

シャツを全開にすると、今度は永澄のズボンに手を伸ばした。

「…………。それ、なんだか気に喰わないなあ?」
「はぁっ…や、さわら…ないで…!」

カチャカチャと、ベルトを外す音が響く。
永澄が、藤代の手の上に自分の手を重ねて止めようとするが、手は止まらない。
まだ上半身を触られただけだったのに、既に体は敏感に反応し、上手く力を入れることができなかった。

44 名前:藤代→永澄→政 瀬戸の花嫁 Part.09:2007/10/08(月) 18:41:31 ID:yOKcZaPN0
「…大体、彼のことがなければ僕だってこんな風にはしなかったかもね?」
「はぅっ……ま、政、さんのことは…」
「誰にも言ってないよ?君が僕の言いなりになってくれてる限りは?」

そう言いながら、藤代は開いたズボンの口から手を差し入れた。
永澄のそれは、既に熱くなり、その存在を主張していた。

「あぁっ…ヤダぁ、っは、ん、ぁ…やめて…!」
「ヤダとか良いながらこんなになってるけど?素直じゃないね永澄くん?」
「うぅ…なんで…。…くっ、ぁあ…」

永澄の目元に薄っすらと涙が滲んだ。快感などではなく、羞恥に滲む雫であった。
それを眺め、藤代は複雑な顔つきをした。何かを押し殺すような――。
抱きかかえている後ろから、永澄の目元にキスをすると、藤代は本格的に手を動かしだした。

「永澄くん、口に出して言ってよ?」
「…はっ…ん、な、くぅっ…ぁ…ああぁ…、な…、に…を…」
「俺は政さんが大好きです、ってさ…?」

永澄は、手淫による快感の最中に、その名前を聞き、静かに唾を飲み込んだ。

「俺は燦ちゃんじゃなく、政さんが好きだって、
…俺は、政さんで勃起しました、抜きましたって、…そう言ってよ?」
「い…!い…ぁ…、言え…る、ん、わっ…けなぁ…ぁ…!」

藤代の熱い溜め息が耳元を掠め、永澄は身を捩る。

45 名前:藤代→永澄→政 瀬戸の花嫁 Part.10:2007/10/08(月) 18:42:29 ID:yOKcZaPN0
永澄のそれからは、先走りが滲んでいる。塗り込むように擦りながら、また耳元で藤代が囁く。

「…誰にも、言わないから?君の本当の気持ちを聞かせてよ…?」
「…………?」

永澄は、快感に朦朧とする頭の中で、違和感を感じた。
藤代の声音に、どこか切羽詰った色を見出したのは、この状況のせいだろうか。

「ぁあっ…!や、はぁっ…あっ…!」

薄っすらと考えていた疑問はすぐさま掻き消された。
何も考えられなくなる。全神経が藤代の手を感じ取っている気さえする。
永澄の頭の中は、真っ白になった。

「ぅくっ……!」

視界に白いものがはじけた気がしたが、永澄に確認する余裕はなかった。
脱力し、藤代の体に寄り掛かった。

「……随分、溜まってたんだね?」

最早、何を言われても恥ずかしさに身を強張らせることはなくなった。
まだ体の中に気持ちよさが駆け巡っている。ズボンがべたべたに汚れているのも気にならない。
しかし、永澄の体はまた別の刺激でビクつく。

「……!?っな、何を…」
「何って…分かってるでしょ?」

そう答えると、藤代は永澄のズボンを完全に引き下ろし、下にひかれたマットの上に永澄を倒した。

46 名前:藤代→永澄→政 瀬戸の花嫁 Part.11:2007/10/08(月) 18:43:42 ID:yOKcZaPN0
「ぐぁっ……!」
「痛い?でも、これからもっと痛いんじゃない?」
「…あぁ…い、やだ……」

逃げようと膝を付いた永澄の腰を捕まえ、仰向けに寝転がす。
パンツも膝まで引っ張り下げて、素早く永澄の両足を自分の両肩に乗せた。

「それ…いや…!ぁ…やめろぉ…!んくっ…」

唐突に、永澄の口に自分の指を入れた。
恐怖に叫んでいた永澄の口内は、遠慮のない藤代の指に蹂躙された。

「大丈夫だよぉ…慣らしてあげるからねえ?」
「ぁ…ぐ、ん、っうぅ…くぅっ…」

唾液でしとどに濡らした指を、永澄の後腔に押し入れた。

「あっ…うああぁぁっ…!」

何度か藤代のものを受け入れた経験はあったが、それでも慣れるものではない。
藤代は、狭いその部分に自分の指を執拗に出し入れさせた。
最初は酷く痛がっていた永澄も、次第に艶を帯びた喘ぎを出すようになってくる。

「んっ…あぁ…は…、ん、く…ぁ…」

指を増やし、更に慣らす。
藤代は、切なげに声を漏らす永澄の顔を見つめ、目を瞑った。

「……ごめん、もうこれで最後にしてあげるから…?」

47 名前:藤代→永澄→政 瀬戸の花嫁 Part.12:2007/10/08(月) 18:44:29 ID:yOKcZaPN0
快感に意識が攫われている永澄には、藤代の言葉が理解できなかった。
何度も何度も、視界が明滅する。
その度に浮かぶ政の顔を思い出し、泣きたくなった。

どうして、燦ちゃんじゃないんだろう……俺は――。

「っ…入れるよ…?」
「っくぅ、ぁ…」

それの質量は指とはまったく比べものにならない。
だが、永澄のそこは藤代を受け入れた。

「っぁあああぁぁぁ」
「っく…き、つ……!ふっ…く」

ゆっくり動き出すと、永澄の痛々しい声は徐々に喘ぎに変わる。
至近距離でその喘ぎを耳にしながら、藤代は胸が押し潰されそうな心地がした。

「……さ、ん…!…まさ、…さ、ん……政さぁんっ…!」

程なくして二人は達し、マットの上に重なって倒れ込んだ。




48 名前:藤代→永澄→政 瀬戸の花嫁 Part.13:2007/10/08(月) 18:45:21 ID:yOKcZaPN0
疲れ切った表情で、永澄は廊下を歩いていた。
一応、制服に付着した精液は水で濯いだが、それは袋に入れて体操着に着替えた。

家に帰れば、燦がいる。
今、彼女に会って、笑顔でいられる自信はなかった。
燦には、決して心配を掛けたくはなかった。何の不安のない場所で笑っていて欲しい。

男のプライドは何度も壊された。
あんな女の子のような喘ぎ声を出した自分は、どうすればいいのだろう。
何より、とうとう口をついて出てしまった。
達するときに出た言葉…。自分は「政さん」と呼んだ。
元々あった自覚を否定できなくなってしまったことに、ひどく打ちのめされていた。

(――俺は…、政さんのことが好きなのか…)

頭の中で考える分には現実味がないのに、耳に焼き付いている自分の喘ぎが
リアリティを持って永澄の鼓動を狂わせる。

「知らなかった…、胸が本当に痛むなんてことは…」

窓ガラスから外をのぞくと、夕陽が清々しく眩しかった。
ふと、前を見ると、今さっきまで頭の中にいた人物が立っていた。

「ま、さ…さん…」
「……永澄さん」

苗字では呼ばなかった。誰もいないからだろうか。
どうしてだろう。そんな些細なことですらもどこか心地よかった。

49 名前:藤代→永澄→政 瀬戸の花嫁 Part.14:2007/10/08(月) 18:47:35 ID:yOKcZaPN0
「既に…帰宅しているとばかり…。この時間に、何か用事でもあったんですかい?」
「え……」

政に問われて、藤代との性行為の光景が永澄の脳裏を掠めた。
痛みと快感と白い精液――混濁した記憶。

「うぅっ……」

突然、吐き気を催す。しかし、必死に堪えてその場でうずくまる。
政が慌てて、永澄の下へ駆けつけた。

「永澄さん、気持ち悪いんですかい…?」

こくこくと肯くと、政はゆっくりと永澄の背を撫でた。
その温かさに胸の嫌悪感が下がっていった。
政を押し留めるようにして呟く。

「もう…大丈夫、だから」
「…………」

政の優しさを嬉しく思えば思うほど、自分の中の色んなものが壊れていく気がした。

50 名前:藤代→永澄→政 瀬戸の花嫁 Part.15:2007/10/08(月) 18:48:28 ID:yOKcZaPN0
顔に微笑を貼り付けて、永澄は立ち上がる。
政は心配げな表情で永澄を見ていた。

「俺、帰るね」
「……お気をつけて」

永澄が立ち去ろうと政に背を向けたときだった。

「…永澄さん、また明日」

優しい政の声に、永澄は拳を握り締めた。
体が感情の波に突き動かされそうになったのを必死に堪え、
振り返らず、振り返れず、できるだけ明るい声を搾り出す。

「うん!また明日ね!」

政はしばらく、走り去る永澄の背をじっと見据えていた。
何かを考えるように、永澄が視界から消えるのを見やると、政は職員室に入った。

51 名前:風と木の名無しさん:2007/10/08(月) 18:54:40 ID:yOKcZaPN0
お粗末さまでした。
冒頭にAA貼り忘れてゴメンなさい!

52 名前:風と木の名無しさん:2007/10/08(月) 20:18:58 ID:0u86yZCz0
>>51
まってましたGJ!
瀬戸花の801でここまで書き込まれたSSはこれが始めてだ
続編も希望

53 名前:風と木の名無しさん:2007/10/08(月) 20:51:47 ID:tlciNPM80
>>51
元ネタ知らんが萌えた。

54 名前:風と木の名無しさん:2007/10/08(月) 20:52:32 ID:u6s3T3dMO
GJ!!
鮫セツナス…

55 名前:風と木の名無しさん:2007/10/08(月) 21:45:29 ID:0u86yZCz0
元ネタ知らない人の為にキャラ補足しとくと左から政、藤代
踏まれてるのが永澄
ttp://gazoubbs.com/2ji/img/1175480870/952.jpg
ttp://gazoubbs.com/2ji/img/1191846814/3.jpg

56 名前:掘り欄:2007/10/08(月) 21:49:43 ID:dp22tAhV0
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < 聖地(英訳)でシンショもの
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < ショゴが何年くらい塀の中に
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜 いなきゃいけないか分からないから
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 成人済み設定にしてみますた。
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
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 |_____レ"


57 名前:掘り欄 1/5:2007/10/08(月) 21:51:02 ID:dp22tAhV0
39度を越える熱を出すのはいつ以来だろう。重い頭でぼんやりと考える。
どれだけ寝ても体は眠りを求めるから瞼も重いけど、俺はもう眠らずに、
右手に収めたままのケータイを、何度も目の前にかざして見ていた。
『さみしー』
そんなメールを飛ばしたのは、午前8時を回った頃だったか。
昼ごろに『は?』とだけ返ってきた。
『熱出たから大学もバイトも休んだ。ママとパパは法事でイナカ。
ユーはガッコ。さみしーぼく』
今頃仕込みをしている頃だろう。ティーンをやってた頃はママさんに
半ば強制的にやらされていた店の手伝いも、今では本格的な修業になり、
以前から店の――正確にはママさんのファンだという、舌の肥えた
常連さえも納得させる品を、ちょこちょこ作れるようになってきたらしい。
生来根が真面目な努力型だから、店を閉めてから何時間も練習したりしてる。
バイトで遅くなった日に、からかってやるつもりで店に顔を出した時、
味見してくれと出された出汁巻き卵は、言葉にならないほど美味かった。
素直にウマイウマイと言ったのに、「お前が言うとウソ臭い」なんて
唇尖らせたから、「嫁に欲しいくらいだ」って言ったら殴られた。
真っ赤な顔して、嬉しいくせに素直にならないのは、10代の頃から
ちっとも変わらない。

58 名前:掘り欄 2/5:2007/10/08(月) 21:52:33 ID:dp22tAhV0
「ショーゴー…」
そんなことを思い出してたら、ますます寂しくなってきた。人間ってのは
相変わらず、病むと人恋しくなるようにできている。
思わず、メールの返事をくれない相手の名前を、口に出して呼んでみた。
「…玄関くらい閉めて寝ろよ、無用心だな」

仰向いて寝たまま、顔の前にかざしていたケータイを取り落としたのは、
本気で驚いたからだ。
冷却シートの上からとはいえ、額にまともに落ちてきたのに「痛い」と
言うのも忘れるほどにびっくりした。
「俺だったから良かったようなものの……ああ、台所勝手に借りたからな」
ショーゴは銀色の盆を抱えたまま足でドアを開閉し、俺のベッドの横に座る。
俺は思わずベッドの上、上半身を起こした。
「え、え、なんで、」
やっと出たのは、間の抜けた声だった。ショーゴは何言ってんだと言いたげに
太い眉を跳ね上げる。
「お前が熱出して寝てるっつったら、お袋が見舞いに行ってこいって
休憩くれたから。簡単なもんだけど、作ったから食え。どうせ何も
食ってねんだろ?」
「だって、食欲ねーし、いや、てか、何で、ここ、いんの?」
「何だよ、来いっつったの、お前だろうが」
「え、俺?俺、ゆった?」
「言っただろ?」
「………え?」
「………あ?」

59 名前:掘り欄 3/5:2007/10/08(月) 21:53:12 ID:dp22tAhV0
顔を見合わせたまま二人してしばし呆け、それから思い出したように同時に
自分のケータイで送受信メールの確認をした。俺の送信ボックスの中には、
「来て」という内容のメールはひとつもない。
ショーゴの受信ボックスの中にも、そんな言葉の入ったメールはなかった
らしいことが、見る見るうちに赤くなった頬で分かった。
いつもなら、顔が赤いのも含めてからかうところだ。
だけど今は、ばつが悪そうに目を逸らし、怒ったようにナベの中身を小皿に
取り分けでいるショーゴがやたらに愛しかった。
「そのお粥、お前が作ってくれたの?」
「……………病人には、これだろ…」
耳まで、いや、首まで赤い。ナベから小皿に、ぽとんと落とされた梅干くらい赤い。
俺がじっと見ていることに耐え切れなくなったのか、ショーゴは怒った顔のまま、
ぶっきらぼうに小皿とスプーンを差し出してきた。
「病人には、これ、だろ?」
俺はそれを受け取らず、重い瞼の片方だけを閉じて笑ってみせる。
何だよ、と口の中でもごもごと返すショーゴの方へと身を乗り出し、
俺は「あーん」と声に出して口を開けた。
途端にショーゴの眉根が寄る。

60 名前:掘り欄 4/5:2007/10/08(月) 21:53:52 ID:dp22tAhV0
「あっ、甘えてんじゃねえ!気持ち悪ィんだよ、バカッ!」
受け取ろうとしない俺に、ショーゴは尚も小皿とスプーンをぐいぐいと
突き出してくる。俺がそれでもそれを受け取らず、口を開けたまま
もう少し体を寄せると、今度は困ったように眉尻を下げた。
「シ、シン…!バカ、この…ッ」
どうやら本気で困り始めたようだ。照れくさくて恥ずかしいのが半分、
もう半分は本当にどうしていいのか分からないんだろう、黒目がちの目が
あちこちに泳ぎだした。
「―――ざーんねん」
からかうつもりじゃなくて本当に甘やかして欲しいところだったけど、
照れた顔はともかく、困った顔が見たいわけじゃない。
俺は降参するように両手を軽く上げてみせてから、ショーゴの手から小皿と
スプーンを取り上げた。
ショーゴは何もなくなっても、俺に向かって上げていた手をしばらく下ろせずに
固まっていたが、俺がお粥を食べて「うま」、と声に出した時、ほ、と安心した
ようなため息と共にうつむいて下ろした。
「うまいよ、ショーゴ」
うつむいた頭をスプーンを持つ手でぽんぽんと撫で叩くと、ショーゴは前髪の
隙間から目だけを上げて俺を見る。
「来てくれて、マジさんきゅ」
その目を覗き込むように少し首を傾げて言うと、ショーゴはふとはにかんで笑った。

キスするにはちょっと遠いな、とベッドの上で両手がふさがっている状態の
自分を思って、残念な気持ちになった。
熱がなければ、思い切り抱きしめられたのにな。そんなことを考えつつ、
こぼれそうになったため息を、ほっこりと温かいお粥と共に飲み込む。
おかゆは、ほのかに甘い味がした。

61 名前:掘り欄 5/5:2007/10/08(月) 21:54:26 ID:dp22tAhV0
「シン、」
呼ばれて目を上げると、すぐそばにショーゴの照れ隠しの不機嫌そうな顔があった。
あ、この距離なら触れられそう―――そう思ったのと、もう効力の薄まってきている
額の冷却シートの上から、さっきケータイの降ってきた辺りにやわらかいものが
そっと触れていったのは、ほぼ同時だった。
「風邪は、もらってやれねーけど……明日はちゃんと、授業出られるよーに…」
ショーゴは内緒話をするように、耳元で低く囁く。
俺は突然のことに、さっきショーゴが現れた時と同じくらい驚いて、全機能が
フリーズしてしまっていた。
「じゃあ、お大事にっ」
俺が固まったことで、ショーゴは自分の行動に対するテレの極致に至ったのか、
慌てた声でそう告げると、そそくさと立ち上がって俺の部屋を出て行った。
どかどかどか、と足早に階段を下りていく音がし、慌しく玄関のドアが開閉される
音が続いた。

「……このオマジナイは…、逆効果、じゃね…?」
俺は片手に小皿、片手にスプーンを握ったまま、熱っぽい声で一人ごちる。

――たぶんこの時、俺の熱は40度を越えたに違いない。

62 名前:掘り欄:2007/10/08(月) 21:55:00 ID:dp22tAhV0

               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < 出汁巻き卵のくだりは
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < 専スレで拾った萌えから妄想
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 原作ショゴも早く幸せになれと
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!    願いつつ書いたネタでした
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´ おわり。
 |         | ./
 |_____レ"

63 名前:天使と涙と:2007/10/09(火) 18:27:54 ID:NAd4i5m60
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  レミゼラブル アニメと舞台と原作(多分)対応可
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  マリウス×アンジョ←グランテール
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ミンナノモエモウソウマトメ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



64 名前:天使と涙と 1/7:2007/10/09(火) 18:29:24 ID:NAd4i5m60
その日はいつも通りにカフェに集まっていた。
今夜はやけにメンバーの集まりが悪かった。
フイイもジョリも来ていない。
「今夜は集まりが悪いな」
コンブフェールが空のグラスを眺めて言うとアンジョルラスは難しい顔をしていた。
「仕方ない、この天気だ」
先ほどまで大粒の雨が戸を叩いていた。
「雨があがっても、もう店じまいだな」
コンブフェールは椅子に掛けてあった上着を手にした。
「また降ってこないうちに僕も帰ろう」
「そうするといい。君の家は少し歩くからな」
アンジョルラスが応えるとコンブフェールは立ち上がった。
「そうする。おやすみ、アンジョルラス」
それを見てプルヴェールも立ち上がった。
「僕も帰るよ。君はどうする?」
アンジョルラスはまだテーブルに広げられたパリの地図を見詰めている。
「僕はもう少しここにいる」
少しばかり考え事があった。
懐中時計を見たがまだ時間はあった。
「じゃあ僕らは先に失礼する。また明日」
プルヴェールもカフェを後にした。
最後までクールフェラックが残っていた。
腕を組んで眉間に皺を寄せたまま地図を見詰めるアンジョルラス。
「君も早く帰るといい。あまり思い詰めてしまわないように」
軽く肩を叩くとクールフェラックもドアを閉めて帰っていった。

65 名前:天使と涙と 2/7:2007/10/09(火) 18:30:19 ID:NAd4i5m60
カフェは静寂に包まれた。
『今夜はマリウスは来なかったな』
クールフェラックがマリウスを連れてこのカフェにやってきた日のことをアンジョルラスはまだ忘れていなかった。
初めて会ったと思えない男だった。
頑固さなら誰にも負けない。
アンジョルラスはマリウスを弟のように気に掛けていた。
よくコンブフェールに『君はマリウスを構いすぎだ』と笑ってからかわれていた。
最初は危なっかしい弟のように扱っていた。
しかし、やがて慣れてきたのか人懐っこい笑顔を向け始めてからアンジョルラスの気持ちにも変化が見えてきた。
今まで感じたことのない感情の変化にまだ戸惑っていた。

グラスに残ったワインを飲みきった。
すると背後で音がした。
振り向くとグランテールが目を覚ましたようだ。
「ああ…もう夜だったのか」
アンジョルラスからは死角になっていたので寝ていることに気付かなかった。
「もうみんなは帰ったぞ」
軽く冷たい目でグランテールを見るとすぐに先ほどの体勢に戻した。
「いいじゃねぇか。一緒に飲むか?」
ワインの瓶をアンジョルラスの方に差し出す。
しかし振り向こうともせずに応えた。
「結構だ」
低く響く声。

66 名前:天使と涙と 3/7:2007/10/09(火) 18:31:24 ID:NAd4i5m60
その声がグランテールの背筋を駆け抜ける。
「冷たいな。最近ご無沙汰だからか?」
グランテールは立ち上がってアンジョルラスに近づく。
「いい加減にしろ。もう酒はやめておけ」
更に温度の下がった声で言った。
それが余計にグランテールの心を駆り立てる。
「わかった、酒はやめる…酒じゃなくてこっちにする」
そう言って座ったままテーブルに向かうアンジョルラスを背後から抱きしめた。
抵抗などしない。
「やめろ、酒臭い」
やはり揺るがない声。
「いいじゃないか。あんただって聖人ヅラしてたって人間なんだからよ」
グランテールは背後から抱きしめた手でブラウスのボタンを外した。
「やめる…つもりはないのか?」
軽蔑したような冷たい目でアンジョルラスはすぐ近くにあるグランテールの横顔を見た。
「やめないな。二人になるのなんて久しぶりだろ?」
「勝手にしろ」
アンジョルラスはやはり拒否しない。
どんな冷たい目を向けようが、拒否しようが、振り払おうが食らえついてきた男。
その美貌からは想像もできないアンジョルラスの内面を知った上でグランテールは憧れ、愛していた。
「ああ、この髪も肌も全部愛している」
束ねられた美しい髪に顔を寄せる。

67 名前:天使と涙と 4/7:2007/10/09(火) 18:32:16 ID:NAd4i5m60
そんな愛のささやきもアンジョルラスの心には響かない。
『マリウス…』
目を閉じても浮かぶのはマリウスの照れたような笑顔だった。
友だと思って慕ってくれている。
その関係を壊すのが怖かった。
グランテールはブラウスの袷から手を忍ばせると胸の突起を撫で始めた。
最初は優しく、そして強く。
「くっ…!」
アンジョルラスは強く目を閉じた。
そんな表情をもっと見たくてグランテールは一度手を離し、アンジョルラスの前に立った。
まだ椅子に座ったままだった。
グランテールは自分のベストとシャツを脱ぎ捨てると、アンジョルラスのボタンを全部外させた。
「こんなに綺麗な肌、パリ中探しても見つかるもんか」
そのままグランテールはアンジョルラスの胸に唇を寄せ舐め始める。
右手で腕を掴んで動けないようにして、左手で股間をまさぐった。
『一体何をしているんだ…』
意識が飛びかかる。
この厭世家は放蕩者だったためこのような行為に関しては非常に秀でていた。
グランテールは貪りついていた。
アンジョルラスは快楽の波に耐えていた。

しばらくして、不意にドアの開く音がした。
アンジョルラスは額に汗を浮かべて苦しそうにドアを見る。
そこに立っていたのはマリウスだった。

68 名前:天使と涙と 5/7:2007/10/09(火) 18:33:07 ID:NAd4i5m60
ドアのノブに手を掛けたまま呆然と立っていた。
「マ、マリウ…」
驚きアンジョルラスが名を呼ぶと我に返った。
「…なっ…!」
マリウスは二人を一度睨んだだけで背中を向ける。
「邪魔して悪かった」
それだけ言い残して背中はドアに阻まれて消えてしまった。
「マリウスっ!」
名を叫ぶとアンジョルラスは自分を抱き締める男を振り払おうとした。
「離れろ、グランテール」
しかし離れようとはしなかった。
「もう無駄だ。記憶は消せないぜ」
それは確かにそうだ。
しかし、この場に留まることはできなかった。
力ずくで蹴りを入れてグランテールの腕から逃れた。
「待てよ、マリウス!」
脱がされたブラウスを羽織った。
下はすぐに履けたので近くにあった上着を掴んだ。
そして椅子にぶつかったが、もろともせずに出て行ってしまった。
「アンジョルラス!」
むなしくグランテールの声が響く。
その声はもう届かなかった。
「くそっ…」
グランテールは腕から消えてしまった聖人を思い、床に拳をたたきつけた。

69 名前:天使と涙と 6/7:2007/10/09(火) 18:34:12 ID:NAd4i5m60
アンジョルラスはブラウスのボタンもかけ直す余裕もなく街に出た。
もう人の気配はない。
『どこだ?』
乾いたパリの空気も雨上がりで湿っていた。
『…あそこかもしれない』
アンジョルラスは思い立って走り出した。

セーヌ川に架かる橋。
その橋の近くによくマリウスはアンジョルラスと散歩に来ていた。
なぜかマリウスはそこに足が向いてしまった。
「何してんだよ」
マリウスの思考回路は混乱の極みにあった。
アンジョルラスとグランテールが…。
何も考えられなくなっていた。
今あるのは驚きと不可解な怒りだった。
グランテールがアンジョルラスに思いを寄せているのはABCに出入りしている者なら誰でも知っている。
しかしいつもアンジョルラスはつれなく、相手にしていなかった。
それがどうだ…。
「僕は…何に怒っているんだ」
握りしめた自分の手を見た。
ここに来るまでずっと握りしめていたため、赤くなっていた。
橋の欄干に手を掛ける。
「わからない…」
呟き、月を見上げる。雲は晴れて大きく輝く月が見えた。
やがて欄干にもたれ、川の流れを見詰めていた。

70 名前:天使と涙と 7/7:2007/10/09(火) 18:34:49 ID:NAd4i5m60
「マリウス」
声がかかる。
振り向くとそこには慌てて飛び出してきたままのアンジョルラスが立っていた。
「何を言えばいいか…」
アンジョルラスも混乱していた。
謝らないと。何に? 何故? マリウスはどう思ったのか?
ただ立ちつくしている。
そんな姿を見てマリウスの方はアンジョルラスの表情に見入っていた。
今まででも見たことがないくらい美しい人だと思っていた。
だが今の姿は硬質の美貌に人間としての苦悩に満ちていた。
「…すまん」
その苦悩の心から絞り出した言葉は謝罪だった。
マリウスは返事せずにそ表情を見詰めていた。
すると一筋、光るものがその美しい頬を流れた。
一筋の涙だった。
「謝らないで」
マリウスはそう言って手を伸ばし、涙の筋を指で拭った。
アンジョルラスは俯く。
自然にマリウスはアンジョルラスを抱き寄せた。
微かな震えが伝わる。
「そうしていいかわからないんだ」
アンジョルラスはそう言うと腕をマリウスの腰に回して抱きしめ返した。
「いいから…いいんだ」
耳元にマリウスの声がささやきかける。
それが初めてアンジョルラスがマリウスに触れた瞬間だった。

71 名前:天使と涙と 7/7:2007/10/09(火) 18:35:53 ID:NAd4i5m60
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ オツキアイアリガト
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


72 名前:風と木の名無しさん:2007/10/09(火) 21:06:24 ID:7lL6JfHS0
>>63
グラン→アンジョは原作でガチで萌えたですよ。
ここでこれが読めるとは…さすが棚。姐さんGJです。

73 名前:抜け雀:2007/10/09(火) 23:08:35 ID:nSihWIO40
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ナマ ラクGO家 タテ/カワ/ガッテンシショー
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )  ×シュンプウ/テイ/ショタシショー
 | |                | |       ◇⊂    ) __   マイナーで申し訳ない
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


74 名前:抜け雀 1/7:2007/10/09(火) 23:09:13 ID:nSihWIO40
飲み屋から出るとそこは雪国だった。いやね、マジでさ。
本当の所雪国と呼ぶには本場雪国に申し訳ないんだけど、2センチも積もれば
交通機能が麻痺するには十分な都会な訳だ。唖然としちゃったよ。レンズ越しに
目を眇めながら見上げた夜空は薄ぼんやりとしていて、寒さだけが身に沁みる。
「あー、確かに降り始めてたよなぁ」
「そうだったよね」
「ショウちゃん初雪ってはしゃいでたじゃない。しかしたった三時間でこんだけ
積もったか」
「積もるんだねぇ」
隣で眉間に皺を寄せながらぼやいたシノさんに呑気に相槌を打っていたら睨まれた。
俺が真剣に話聞いたからって、いきなり雪が溶けるもんでもないでしょうに。
しかしここにつっ立っている訳にもいかない。何より俺は寒さに弱い。二次会に
行くにしろ帰るにしろ、早く決めなきゃ風邪ひいちゃうよ。
都会の雪は性質が悪くて、現にたった三時間で道路がシャーベット状になっちゃってて
べしゃべしゃだ。これじゃぁ車だって走り難いだろう。
時計の針はもうとっくに日付変更線を越えていて、電車も止まっていれば、空車の
タクシーも捕まえられそうにない。弟子の誰かに迎えに来てもらうにも、用意周到に
スタッドレスタイヤを履かせている奴がいるとも思えなかった。
さてさてどうするか。
ここから家に帰るなら、割合近い俺は兎も角としてシノさんは徒歩じゃ無理だろう。
困った顔をしつつもコートのポケットから取り出した煙草を銜えたシノさんに、
ヘビースモーカーって人種は何故に隙あらば煙草を吸おうとすんのかねと不思議に
思いつつも、思案していた打開策が成立するか隣に突っ立っているコートの袖を引き
つつ尋ねてみる。

75 名前:抜け雀 2/7:2007/10/09(火) 23:09:57 ID:nSihWIO40
「ねぇねぇシノっち、明日何時から仕事?」
「夕方。ショウちゃんは?」
「お休み。じゃあさ、俺んち来なよ。こっからなら歩けるし。どうせあんた次の店
行く気満々だったじゃん。なら、うちで飲んで朝帰ったらいいでしょ?」
「……お言葉に甘えさせてもらうわ」
物理的に帰宅は無理そうだと判断したのか、それとも酒につられたのか、シノさんは
簡単に頷いた。

滑らない様に気をつけながらの家路は意外に時間がかかり、家のドアを開ける頃には
すっかり身体の芯まで冷え切っていて酔いも醒めていた。俺が速攻でエアコンの
スイッチをオンにして長火鉢に火をいれるのを、シノさんはコートを脱ぎながら
面白そうに見てる。旅先でもそうだけど、俺がちょこまか動くのを見るのが楽しいらしい。
変な人だね。
「うー、さむっ。……シノさん、座っててよ」
「んー」
「取り合えず、ハイ」
寒い寒いと口にしつつも取り合えずと考えず冷蔵庫から取ってきた缶ビールに口をつけて、
シノさんは顔を顰めた。言いたい事はよく伝わってくる。口に出すか出すまいか逡巡して
から文句を言った。

76 名前:抜け雀 3/7:2007/10/09(火) 23:10:38 ID:nSihWIO40
「……あの雪の中帰って来て、どうしてビール出すのよ」
「二次会といえども最初はやっぱりビールだろ」
「馬鹿じゃない」
「うるさいよ。それでも缶を離さないあんたも同じ穴の狢だもん。それじゃぁ駄目じゃん」
飲む前から分かるだろうに俺らも馬鹿だなぁ。手早くかけておいた銅製の湯沸しに徳利を
入れながら意地で500mlを飲み切って、とっとと日本酒に移行する。冬はやっぱり熱燗で
しょう。
趣味も考え方も全然違う、似ている所を探す方が難しいこの人と、こうやって顔を付き
合わせる様になったのはどうしてだろうと時々考える。大抵が酔っ払ってかけ合う
夜中の電話の最中で、本人を目の前にして考えるのは、あんまりない経験だけれど。
最近買ったジャズのCDの批評を始めたシノさんを眺めながら、ほどよく温まった
日本酒を口に含んだ。飲み下すと酒の通った所から、ほのかに暖かくなり胃の縁が
ぽっと温まる。
寒さに強張っていたらしい肩から力が抜けるついでに呟いた。
「……やっぱビールは問題あったかも」
「なっ、そうだろ」
あらあら、嬉しそうな顔。顔をくしゃくしゃにする爆笑と違って、胸の奥の方から
じんわりと滲み出てきたみたく皺の目立つ目元を柔らかく和ませる、この人のこういう
表情に俺はひどく弱い。喉の奥でくつくつと笑いながら、シノさんは唇の端を上げた。
「相変わらずショウちゃんは考えが足りねぇなぁ」
「やかましい。ぐだぐだ言ってるとシノさんの分の燗つけないからね」
「じゃぁ俺は何飲めばいいの」
「冷で飲めばいいじゃない。ご希望なら氷くらい入れてあげるよ」
「かんべんしてくれ」

77 名前:抜け雀 4/7:2007/10/09(火) 23:11:20 ID:nSihWIO40
煙草を揉み消しながら肩を竦めるシノさんの空になったぐい呑みに、笑いながらぬるい
酒を注ぐ。
何回目の乾杯かお礼なのか知らないけれど、シノさんは目の高さまで掲げてから、
美味しそうに飲み干した。
高座ではかけていないけど、普段はかけてるブローバーフレームの眼鏡を外して
テーブルの上に置いたシノさんは、やけにリラックスして見える。気を許されてるのが
分かるんだ。
それで逆に、自分の家なのに俺の方が何処か若干座りの悪い気持ちになっちゃう。
いつだったか、『安心して酔っ払える相手だ』と言われたのが頭を過ぎった。
俺もおんなじだったのに、何時からか今みたいな感情が心の隙間から顔を出す様に
なったんだろう。
思い返せば出会ってからこの方、酒飲みと分類される俺とシノさんは素面で長話をした
経験が殆どない。その代わりと言ってはおかしいけれど、その分酒を飲んでしか
言い合えない本音を語り合ってきた。
シノさんと飲んでいる時の酩酊感は、この人の作り出す噺の世界観の中に浸っている時と
似ているのかも知れない。
尊敬はしている。人間としても好ましい。同業者だから分かる凄さも才能も、嫌って程
知ってる。
だから惹かれる。
理詰めで考えたいシノさんと、感覚で走る俺とでは見ている方向はかなり違う。


78 名前:抜け雀 5/7:2007/10/09(火) 23:11:58 ID:nSihWIO40
生まれた地域が片や日本海、片や太平洋なんだから違いもするだろう。俺の持っていない
ものを沢山持っているシノさんを凄いとは思うけれど、妬ましいとは思わない。だって
見てる方向は違っても、辿り着く場所は一緒なんだろうから。ライバルとも違うし、
同士……もちょっと違う。純粋にそう言い切るには、心の中の一部分が自己主張して
邪魔をする。
自分の中にあるシノさんに対する気持ちを一つの言葉に集約させるのは、ひどく難しい
作業だった。

「……ちゃん、ショウちゃん」
肩を揺すられて目が覚めた。どうも先に潰れちゃっていたらしい。情けなくも畳の上に
転がってる俺の酔っ払った頭の中にはシノさんに対する感情がバラバラになった
ジグソーパズルのピースみたく散らばっていて、整理のつけ様がなくなっていた。
ざっと数えて1000ピースもあれば、十分難解なパズルになるだろうに。
そんな事を考えていたら、起こされている事に対するリアクションをころっと忘れてた。
「ショウちゃん、風邪ひくよ」
シノさん独特の掠れた声には、呆れたのと、それとは違う何かくすぐったいものが
混じっている様な、不思議な感覚で耳に届いた。大した事を喋っていなくても、
目を閉じて聞いているのが今は気持ちがいい。もっと喋っててくれないかな。
噺家に無料で喋れってのもどうかとは思うけど。
「起きねぇなぁ、ったく」
覗き込まれているのだと気配と瞼の裏っ側が翳ったので分かる。続いてそっと眼鏡の
フレームに指先がかかった。あ、眼鏡したまんま寝ちゃってたのか。


79 名前:抜け雀 6/7:2007/10/09(火) 23:12:34 ID:nSihWIO40
ゆっくりと眼鏡を引き抜くその手が、外見に似合わない繊細さと優しさを持っているのを
知っている。
狸寝入りがばれない様に呼吸のリズムを一定に保つのとは別の息苦しさ。
説明出来ないこの感情を、多分シノさんも抱えてるんじゃないかと、淡い期待みたいな
ものを持つ事がある。自惚れてんのかなぁと思うけれど。視線で、態度で、気配で。
携帯ラジオのアンテナを動かしたら、一瞬だけ拾った放送局の電波みたいに飛び込んでくる
ものがある。
シノさんがたまに見せる、苦いものを口にした様な表情の裏や、夜中に鳴る電話の片隅で。
あまりに微妙過ぎて確かめも出来ない。ないない尽くしって奴だ。自覚しちゃったが最期、
お医者様でも草津の湯でも治せない病になっちゃう、そんな不治かも知れない病を
ただでさえ荷物の多いこの人に背負わせるのは躊躇われた。
この関係を壊したくない、壊す勇気のない言い訳もふんだんに含まれてはいるけどさ。
不意に硬い指が頬にそっと触れた。
心臓がえらい勢いで跳ねる。肩が震えたんじゃないか、起きてるのを悟られたんじゃ
ないかとびくびくしたけれど、シノさん無言のままだ。
指先はゆるゆると滑ってまた止まる。手の平が頬を包む様に添えられる。
先刻まで吸っていたらしいキャビンマイルドの強い匂いと、微かな溜息。距離が近く
なったのを皮膚感覚で感じる。直接接触しなくとも熱は伝わってくる。
瞼が痙攣するのが早いのか、俺が耐え切れなくて起きちゃうのが早いのか。心臓が
早鐘みたく連打されるわ、一秒が非常に長く感じるわでもう大変。
もう降参しようと覚悟を決めた瞬間、タイミングが良いのか悪いのか、すぅっと気配が
遠ざかった。もう一度だけ落ちた小さな小さな溜息と一緒に落とされた呟き。


80 名前:抜け雀 7/7:2007/10/09(火) 23:13:09 ID:nSihWIO40
「……俺も修行が足りねぇなぁ」
期せず零された本音に、ずるい事をしているのだと自覚した。申し訳ないとも。
目を開けていれば、何かが変わったのかなと少しだけ考える。
俺とシノさんが出会ったのは、絵に描かれた雀が抜け出してくるよりは確率が高いけれど
それでもかなりのラッキーだ。お互いにあのタイミングで入門して出会ってなければ、
多分こんなに近い位置にいる事にはならなかったんだから。

ねぇシノさん。多分俺達二人の関係はまだ二ツ目なんでしょ。
最期に登場する真打になるには、まだちょっと足りなくて。
その足りないものが何なのかを見極めさせて欲しいんだ。

テーブルの上にぐい呑みが置かれるコトンって微かな音が聞こえる静寂に耳を澄ませ
ながら、オチの見えない気持ちの行方を手繰り寄せる方法や、今の俺の気持ちを上手に
表してくれる人がいれば、座布団でもガッテンでも差し上げるんだけどなぁ、
なんて情けなく考えていた。

81 名前:抜け雀:2007/10/09(火) 23:15:06 ID:nSihWIO40
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ お付き合いありがとうございました
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )  この二人が好きで好きで仕方ない。ごめん
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


82 名前:風と木の名無しさん:2007/10/10(水) 00:36:06 ID:/93K+Drq0
>>81
灰師匠の乙女っぷりGJ…!
これからOh義理での自虐のウラを読んでしまいそうです

83 名前:風と木の名無しさん:2007/10/10(水) 03:03:03 ID:RTmrDLN3O
>63
禿 げ た
アンジョ受が拝めるとは…ありがとう!!

84 名前:風と木の名無しさん:2007/10/10(水) 03:23:18 ID:HS1Btwd1O
>>82
萌ゆる。またこの二人の読みたいです。

85 名前:風と木の名無しさん:2007/10/10(水) 03:24:51 ID:HS1Btwd1O
×>>82
>>81
でした。アンカーミスすいません。


86 名前:風と木の名無しさん:2007/10/10(水) 19:36:22 ID:VXBviEOx0
>73-81
何これ
萌えでポカーンとして萌え転がったじゃないか!!
雰囲気がほんわかしててかわいい
できればまた読みたいです

87 名前:夜のはじまり 1/4:2007/10/10(水) 21:30:23 ID:ElhFqg5n0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  少女コゼット アニメ限定カプだお
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  コンブフェール×アンジョルラス
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 昆布? ふえるの?
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


88 名前:夜のはじまり 1/4:2007/10/10(水) 21:31:03 ID:ElhFqg5n0
夕暮れになりパリの街が暗くなった。
「さて、今日はそろそろ解散かな」
プルベールは残ったワインを最後に飲み干した。
「そうだな、こんな時間か」
クールフェラックも懐から時計を出した。
「それじゃ、解散だな」
壁にもたれていたアンジョルラスも同意した。
先ほどからグランテールは床で眠ってしまっていた。
いつものことなので誰も気にすることはなかった。
ここに集まっていつもの仲間達と討論になる。
皆にとってこの場所は同士の集まりと言えるだろう。
アンジョルラスはコートを羽織り、店を後にした。
しばらく歩くと背後から声がかかる。
「アンジョルラス!」
振り向くと先ほどまで話をしていたコンブフェールが走ってきた。
「真っ直ぐ帰るのか?」
二人は帰る方向が同じだった。
「ああ、今日はもう帰るとするよ」
「そうか、でもさっき全然食べていなかっただろ?」
今日は気が向かずにアンジョルラスはほとんど食べ物を口にしていなかった。
「何か…街で施しを求める子どもたちを見ていたら食べる気になれなくて」
心はいつも民衆に向いていた。
「真面目なのもいいが、倒れてしまうぞ。うちにこないか?
少しだがチーズもパンもあるぞ」
いつもコンブフェールは生真面目なアンジョルラスのことを心配していた。
「そうだな…確かに少し腹が減ったかもな…」

89 名前:夜のはじまり 2/4:2007/10/10(水) 21:31:41 ID:ElhFqg5n0
討論に夢中になっていたせいか、感覚が麻痺していたようだ。
やっとこの外気に当たって感覚が戻ってきた。
「じゃあ寄っていくといい」
二人は肩を並べて歩いていった。

コンブフェールは下宿に戻ると机の上のランプを灯した。
「好きに座ってくれ」
「ありがとう」
アンジョルラスも何度か訪れたことがあるので不便はなかった。
「ほらっ」
皿を机に置いた。
「ありがたく頂くよ」
アンジョルラスの座った椅子の隣にコンブフェールも椅子を置く。
「まったく…論議に熱くなったら食べることも忘れる。やせ細ってしまうぞ」
肩を竦めながら心配する。
「食ったり食わなかったりはいつものことだ」
出されたパンにチーズをのせてかじり付いた。
「その美しい顔が痩けたらどうする?」
眼鏡を押し上げながらコンブフェールは言う。
「からかうのか? そんな言葉は女にでも囁け」
不機嫌にワインでパンを流し込んだ。
「怒るなよ。もう一杯どうだ?」
ワインを注いだ。
「…ああ」
またワインに口を付ける。そんな横顔をコンブフェールは見詰めていた。
「君を見ていると神の不公平さを実感するよ」

90 名前:夜のはじまり 3/4:2007/10/10(水) 21:32:22 ID:ElhFqg5n0
アンジョルラスはため息をつく。
「コンブフェール、君もか。僕はいつだって綺麗な子、天使のような子と
言われてきた。それはどうだい?僕の内面をまったく見もせずに外見だけで
言っているんだ。この外見のおかげで内面の評価は二の次になっているのを
感じるね」
それは本音だった。
黙ってコンブフェールは聞いていた。
一気に話し終えて頬が紅潮していた。
白い肌がその紅さを映えさせる。
やがてコンブフェールは口を開いた。
「君はそう言うが僕は外見だって才能の一部だと思うがどうかな?」
「才能か…」
アンジョルラスは天井を仰いだ。
「君は内面も外見もひっくるめてすべてが君なんだ。
君は類い希なる輝きを持っているんだ」
いつもと変わらない口調だった。コンブフェールは常に冷静で思慮深い。
「…正気で言っているのか?」
困ったような表情でアンジョルラスは聞いた。
コンブフェールは少し笑って答えた。
「正気だ。誰でも君に出会えば君の輝きに跪く」
するとアンジョルラスは反論した。
「人は誰でも平等だ。跪くべき人間などいない」
「いや、いるさ。権力身分で跪く必要はない。
ただ自然に頭を垂れ、敬ったり、愛を乞うたりする人間はいる」

91 名前:夜のはじまり 4/4:2007/10/10(水) 21:32:55 ID:ElhFqg5n0
そっとコンブフェールはアンジョルラスの肩に手を掛けた。
そしてその肩を引き寄せると、その美しい唇に自分の唇を重ねた。
アンジョルラスは驚いて目を見開いたがやがて目を閉じた。
二人の唇が離れるとコンブフェールは真っ直ぐその目を見た。
「今夜だけでいい。君の心は祖国や民衆と共にあるのは承知だ。
だけど今夜だけ僕に預けてくれないか?」
眼鏡越しの視線は穏やかだった。
アンジョルラスはその視線を正面から受け止めていた。
「君はそれで満足できるのかい?」
「今は満足できる。だけどこの先、革命が終わり世界が変わり始めたら
逆転の勝機はあるだろう?」
そう言って抱き寄せた。絹糸のような髪に顔を埋める。
アンジョルラスもコンブフェールに体を預けた。
「自分のことなどは来るべき時に考えればいいのかもしれないな。
今夜は君の体温に溺れてみるか…」
「いつか独占してみたいと願っていたよ」
抱きしめたまま首筋に口づける。
「時間が惜しい。今夜しかないから…」
影は重なるようにして夜の中に溶けていった。

92 名前:ワンダーフォーゲル 1:2007/10/10(水) 21:35:04 ID:hD6MQx3EO
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
ナマです。某愛$グループ暴風雨の末ズでーす。

93 名前:夜のはじまり:2007/10/10(水) 21:35:59 ID:ElhFqg5n0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ オワリ アリガトン
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
作品スレから這い出てきました。
アンシジョが好きで仕方ないので昨日今日連続ごめん。
ありがとうございましたー。
しかも最初の名前欄間違えた、スマヌ。

94 名前:ワンダーフォーゲル 2:2007/10/10(水) 21:37:16 ID:hD6MQx3EO
きっかけは何だった、とか明確には言えない。気付いた時には壁はできていて、背中合わせ。
いつの間にか触れ合ってしまって、自分から積極的に離れようとは思わないから、相手が離れていったら追うでもなく、悔やむでもなく、声を掛けるでもなく、ただその事実だけを受け止めるんだろうとぼんやり感じていた。多分、2人とも。
「純くん」
「あー…弐野?」
……と考えていたのは自分だけなんだと知る。自分を射る眼の鋭さにに身が竦んだ。
…少しドキッとしてしまった。荷野宮のこういう眼は嫌いじゃない。
この眼で睨まれると身が竦むのと同時にゾクリと快感に近いものが身体中を舐める。
荷野宮の手には週刊誌が握られていた。ああ、写真撮られてたなぁ、ご飯食べに行っただけなのになぁ。マネージャーには事情を説明して、事務所の少し偉い人にも謝って事実無根である旨を伝えてある。
知り合いの知り合いで、この写真では見えないけど、この部分にあと一人います。そしてこの影にもう一人。
手を握ったなんて事実はない。もちろん食事を取り分けたりはしたけど、そんなの常識の範囲内だ。
見つめあっていた?そりゃあもちろん人と話す時くらいは目を見て話すよ。こんな職業ですから。イメージ大切でしょう?
週刊誌の内容は、一枚の写真と状況から想像を膨らませて膨らませて誇張したような要領を得ない、下世話なものだった。
よくもこんなに確証のない物を書けるもんだね、と笑ったらマネージャーに怒られてしまった。すみません、気をつけます。
荷野宮はこの記事を見たんだろうか。馬っ鹿でー、写真撮られてやんの、くらいの罵声は覚悟していた。
むしろ無反応かなぁ、興味なさそうだもんなぁ、こんな写真の存在さえ知らないで新作ゲームの情報でも気にしてんじゃないかなぁ。と、思っていたのに。
「ちょ、来て」
荷野宮が俺の腕を掴んで歩き出した。引きずられるように2、3歩。だけど、ここは、とグッと踏ん張って、手を振り払った。
振り返って怒って、またあの眼で睨む彼を想像して、少し期待したけど彼は振り払われた腕をぷらぷらと投げ出したまま立ち止まって動かない。


95 名前:ワンダーフォーゲル 3:2007/10/10(水) 21:38:51 ID:hD6MQx3EO
―――背中に哀愁が漂っていて良いとは、良く言ったものだ。
彼の背中には何らかのメッセージが載せられている。猫背ってだけじゃない。
俺なんかの場合は顔が濃いせいか、感情を顔からそのまま読み取られやすい。
荷野宮は、背中。あ、ほら、怒ってる。気付いてしまってまたぞくりとした感覚が駆け巡った。
ドSだドSだと言われるけど、本当はMなのかなあと思ってしまう。
怒られてるのに、喜んでるなんて、変態だよ、なぁ。
一寸して、荷野宮の諦めを含んだ溜め息が聞こえた。
「なに、これ」
これって何?聞いてしまえばもっと荷野宮は怒るんだろうな、と思ったけど、そんなことになってしまえば多分ものすごくない面倒臭いことになるんだろう。そこまで底意地の悪いことをする気にはなれなかったし、隠すようなことでもない。
「…知り合いとご飯に行ったら、知り合いの知り合いがその子とご飯に来てて、知り合いと知り合いの知り合いが一緒に食べないかって言って、んで知り合いが」
「ちょ、知り合いばっかで意味分かんない」
「だから、俺と、その子は無関係。事実無根だよ、その記事」
振り向いた荷野宮の表情が気に入ってしまって、簡潔に事の顛末を言いながら笑ってしまう。荷野宮はまたム、と眉をひそめた。
「何笑ってんの」
噛み殺しきれなかった笑みが気に食わないらしい。ぱっと口許を隠そうとする手のひらを寸でのところで止められた。
「笑ってない」
「なにこんなの撮られてんの?」
荷野宮の怒りが本筋に戻る。右の手に握られた週刊誌を胸に押しつけられた。
「何でって、だから知り合いが…」
「うるさい、言い訳すんな」
怒った荷野宮は理不尽だ。こんなに一方的に怒られると流石にこちらも腹が立つ。
「何、信じたの?こんな記事。で、何で荷野がそんな怒るの。」
もう一度手を振り払おうと試みたけど、今度はがっちりとロックされていて動かなかった。



96 名前:ワンダーフォーゲル 4:2007/10/10(水) 21:45:04 ID:hD6MQx3EO
「凖くんが、言っておいてくれれば怒んなかったよ。」
「何で言わなきゃなんないわけ?お前に謝る事なんてない。」
「そういうこと言うわけ?」
不機嫌ここに極まれり、だ。荷野宮が掴んでいる手首の関節部分を目一杯ぐっと握られると、関節が噛み合わなくなってしまいそうで、痛い。
「痛い……痛、」
抵抗すれば抵抗するだけ荷野宮の機嫌は下降していく。振り払うのを諦めて腕から力を抜いた。
途端に荷野宮がグ、と腕を引いた。驚いてしまった俺は、わ!と、情けない声をあげた。荷野宮の唇に自分の唇が乱暴にぶつかってそれに付属して歯が当たって口元で鈍い音がした。
「いっ……ぅ」
思わず抗議の声をあげようとした唇の間からするりと荷野宮の舌が侵入してくる。
こんなシーンを人に見られる趣味はない(仕事は仕事だし、仕事の相手は可愛くって綺麗な女優さんばっかりだから良い)ので引き剥がそうと試みたけど、
こんな細い腕のどこにこんな力を隠しているのか、頭を抱く右手も、体に巻き付いた左腕も、この体との距離を離さないようにと頑なになるばかりだ。
「んっ、んー…、っぅあ」
「…凖くんの馬鹿」
「何すんだよ!馬鹿」
「キスだよ」
荷野宮は少し怒りが殺がれたのか、怒りを含んだ眼のままではあるが、にやりと笑った。ハンバーグみたいで可愛いと称される彼の手が離れていく。
「ほら行くよ。何ぼーっとしてんの」
基本自分勝手な奴はポケットに手をつっこんですたすたと廊下を歩き出す。ハッとして小走りに荷野宮に追い付いた。
「おま、馬鹿じゃね?んな誰に見られるか分かんないとこで…」
「あー、良いじゃないですか」
「はぁ?」
「凖くんがホモですよーって知れ渡ってしまえばもうお姉様方も凖くんには近付かないでしょ?」
「は?俺ホモじゃないしね!女の子大好き」
「なんでアンタはそう…」
呆れも怒りも通り越えて荷野宮が笑った。
いつもは人畜無害ですよって顔をしているくせに、こんなときだけこんな顔。分類するならば完全に“悪い男”だ。心臓が躍る。悔しい。
「今度はカメラの前でしましょうか?」
丸い背中が前を歩いて行く。振り向かない荷野宮が、またあの眼をしているのかと思うと、また身体が痺れる様な心地だった。


97 名前:ワンダーフォーゲル:2007/10/10(水) 21:47:23 ID:hD6MQx3EO
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・;)イジョウ、ジサクジエンデシタ!
愛しさ爆発したが故の暴走です。KYでしたら申し訳ない。



98 名前:風と木の名無しさん:2007/10/10(水) 21:50:46 ID:hD6MQx3EO
>>93
orz。リロってなかった、スマソでした


99 名前:93:2007/10/10(水) 21:55:10 ID:ElhFqg5n0
>>98
本文被らなくて良かった。キニスンナ。

100 名前:風と木の名無しさん:2007/10/10(水) 22:09:34 ID:vKloZC5U0
>>87
自分は舞台を何度も観てるクチだがアンジョはどこでも愛されとるのう。

でも「昆布?ふえるの?」に地味にやられたw

101 名前:風と木の名無しさん:2007/10/11(木) 09:39:39 ID:+M1MUilt0
>97
ここで読めるとは…!
ものすごい嬉しいです

102 名前:風と木の名無しさん:2007/10/11(木) 17:52:47 ID:bLYLGbW5O
>87
GJ!!
元ネタ存じ上げないがかなり萌えた!
文章の書き方とかマジ好みっす!

そしてジヌンも「昆布?ふえるの?」にやられたクチW
その言葉をmyカプの受の声に妄想して禿げたW

103 名前:無垢からの転落(始):2007/10/11(木) 20:35:41 ID:7lOU8g3Z0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  モララーのビデオを見るモナ……
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  ショタ注意
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |

スティーヴソ・王の非ホラー中編集「ソレゾレノ季節」の中でも有名な『死体』より。
ビジュアルは映画版でよろしく。
設定/元台詞は映画と小説とがごちゃ混ぜ。

<注意>
・元作品は多くの人にとって「聖域」である可能性があります。
・12歳の少年に対する強姦が行われます。

104 名前:無垢からの転落(1/6):2007/10/11(木) 20:36:22 ID:7lOU8g3Z0
もう何度目かはわからない。私はエ一スの背後の棚に置かれた銃に目を向けた。
あれさえなければ。
……自分たちの指紋がついた銃。
あれさえなければ、自分たちは後でどんな目に遭うにしても逃げ出したはずだ。

「ああ、別にいいさ。お前ら二人ともアレを撃ち抜かれた状態で発見されるだけだ。
 でかいんだろ?撃ち損じなくて結構だ」
エ一スにしてみれば捻った表現を使った脅し文句。絶対に実現はしないはず。
だが万一……

あの日、私はエ一スをこけにした。取り巻きにガキの前で尻尾を巻いて逃げ出す
姿を見せたのだ。
あの時、私たち4人が……いや違う、クリスと私があの場を逃れるにはそれしか
なかった。
そしてその結果……警戒していたのだが、今日の午後ビリ一・テシオに路地裏に
引きずり込まれ、そのままエ一スの家の地下室に連れて来られた。既にクリスが
エ一スと自分の兄、アイボ一ノレに押さえ込まれてそこにいた。
その瞬間、安堵感が全身に拡がった。自分たちは奴らにこれから袋叩きにされる。
骨を折られるかもしれない。でもクリスがいてくれれば大丈夫だ。クリスは絶対に
私を置いて逃げ出したりはしない。

105 名前:無垢からの転落(2/6):2007/10/11(木) 20:37:49 ID:7lOU8g3Z0
そこに拳銃が登場したのだ。がさつな彼らしくもなくアイボ一ノレが注意深く布で
そっと包んでいる。エ一スがニヤッと笑った。
「さて、こいつについているのが誰の指紋かはわかっているよな?ゴーディ」
かすかに頷いてしまったのを認め、エ一スの笑顔がさらに大きくなる。
「ここにいる間に逆らったら、お前にもう一度この銃を持たせてやる。お前は
 それでここを撃つんだ」彼はつま先でクリスの股間をつついた。
頭から冷水を浴びせられたようだった。拳銃は鈍く光っている。
「そんなこと、するわけない」
「いや、するんだよ。手を添えて手伝ってやる。その後、もしクリスに意識が
 あったら今度はそいつがお前を撃つ。気を失っていたら、お前は自分で撃つんだ。
 そして俺たちは1時間ばかりここを留守にする。戻ってきて見つけるのは
 なんだろうな、死体が2つってところか?」
「そんなことしたら、お前も捕まる」
「さあ、どうだろうな。どのみちお前たちはもういない。死なないにしても、
 お前たちの一生はめちゃくちゃだ」
「アイ…リチャ一ド、クリスは弟だろう?」
「なにをいまさら。それに兄弟の一人が“事故”で死ぬのはよくあることだろ、
 ゴーディ」とアイボ一ノレがせせら笑った。

106 名前:無垢からの転落(3/6):2007/10/11(木) 20:38:40 ID:7lOU8g3Z0
「なにをすればいい?」口を開いたのはクリスだった。
「服を脱げ」そこでまたニヤニヤ笑い。「お前たちのためだ。帰るときに着る服が
 ないと困るだろう?」
クリスと目を合わせる。殴られるにしても、服が破れていない方が家に帰ったとき
ごまかしやすい。
躊躇いながらも、順々に服を脱いでいく。下着一枚を残して止めると、
「それもだ」脱いだ服を部屋の隅に丸めて置いた。

部屋の中央にクリスと並んで立たされた。
「このオカマ野郎。こうされるのが好きなんだろう?」顔を左右に振ろうとするが、
顎を掴まれた。
「だから俺にあんなこと言ったんだよな……なんだったっけ、
『ケツにでかいのをぶち込んでやる』か?」
それを合図とするように、後ろに立ったアイボ一ノレに肩を押され、床に跪かされた。
ビリーがクリスを部屋の隅に引き摺っていくのが目の隅に見えた。
目の高さとなったジーンズのファスナーが下ろされた。
「ほら、いつもクリスとやってるんだろう。舐めろ」
「そんなことやってない!」
「黙って咥えろ」
部屋の隅から、微かな金属音が聞こえた。顔を向けると、予想通りのものが見えた。
首筋に飛び出しナイフの刃を突きつけられたクリス。真っ青で、今にも吐きそうな
顔をしている。
逸らした目を堅く閉じ、覚悟を決めて口を開く。
もう勃起していたエ一スの性器が突っ込まれた。ほんの少し舌を動かすと、
苛立ったように頭を押さえつけられた。

107 名前:無垢からの転落(4/6):2007/10/11(木) 20:39:40 ID:7lOU8g3Z0
一度口の中で射精されたらしい……自分の身体が口の中のものを吐き出そうと
していた記憶がある。結局許されず、飲み下す羽目になった。その後また同じように
頭を押さえられた。また性器が膨らんでくる。ほとんど呼吸ができないためか、
酸欠で頭がぼーっとしてきた。
「そう、よく濡らしておけよ」エ一スの言葉の意味がとれない。
「お前のケツにぶち込んでやるよ」やっとわかった。
「嫌だ!」無駄と分かっていても、口を離して叫んだ。
「自分のせいだろ」背後でアイボ一ノレがせせら笑った。そのままエ一スに仰向けに
床に押し倒された。
 顎を掴まれ、視線を合わす。奇妙なことにエ一スの表情が少し和らいだ。
「お前、兄貴に顔がそっくりになったな」その声にはある種の感慨がこもっていた。
―ああ、そうか。
キャッスルロックで、10歳上の兄は正に町の偶像だった。彼は兄より5歳下だろうか。
考えてみれば、兄デニスに一番憧れていた世代だろう。
一瞬、エ一スは当初の目的を忘れ、自分のヒーローが少年の形で甦り、自分が
それを組み敷いているという幻想に浸っているようだった。
その後エ一スの表情は再び強張り、私の足を押し開き、私を犯し始めた。全身を貫く
引き裂くような激痛―実際、その通りのことが行われていたのだが―で気が遠くなった。
エ一スは再び自らの空想に戻ったらしい。私に圧し掛かる彼の口からは微かに
「デ…ニィ」と兄の名前が零れていた―こんな時ですら自分は透明人間なのだ。
反射的にクリスの方を向く。この中で唯一、私本人を見つめるはずの彼を。

108 名前:無垢からの転落(5/6):2007/10/11(木) 20:40:30 ID:7lOU8g3Z0
四つん這いにされたクリスがビリーに背後から犯されていた。歯を食いしばって
痛みに耐えている。私に気づいたビリーが、
「ただ見ているより、お前と同じ目に遭っているほうがましだってさ」と笑いながら
言った。
エ一スが呻いて、私の体内で射精するのを感じた。脇でもビリーが満足げな低い声を
立てた。エ一スが立ち上がり、ズボンを上げている。私は撃ち抜かれて、ぽっかりと
穴の開いた死体はこんな気分だろうか、と考えていた。
「アイボ一ノレ、お前の番だ」
「いや、俺はやめとく。弟相手にそんな気にはならねーし、ゴ一ドンは痩せすぎだ
 ……だからといってビリ一、ヴァ一ン連れてきてもやる気はないけどな、あいつは
 デブだ」
「いい子ぶろうっていうのか?」
「いや」

だが私にはわかった。アイボ一ノレは私を抱かないことで、自分の立場を強くしたのだ。
アイボ一ノレは救いようもない馬鹿だったが、クリスの兄だけあって稀にひらめきを
見せた。これは勧められた麻薬や酒を断るのとは違う。少年―男―に勃起したら、
そいつはオカマ、弱い立場となるのだ。そしてエ一スのデニスへの憧憬をも知った。
これから彼らの関係は少し変化するかもしれない。だがそれは別の話だ。
「銃を戻してくる。親父に見つかったら、俺があそこを撃ち抜かれちまう。
 ウォッカが1瓶あるから分けようぜ」
 彼らは裸の私たちを地下室に放置したまま出て行った。

109 名前:無垢からの転落(6/6):2007/10/11(木) 20:41:19 ID:7lOU8g3Z0
私たちは見詰め合ったまま身体を起こした。おずおずと伸ばした手に、クリスが
自分の手の平を乗せた。その手はいつものように前腕部を撫でていき、私の手の平に
行き着いたところで返された。私は彼と同じ行動をとった。
「ひどい目にあったな」とクリスが呟く。
「ああ」
「お前、このことは書かないよな」
「ああ、書かないよ」
「ならこれも書くなよ」そう言うとクリスは私に腕を巻きつけ、私の肩に顔を乗せた。
私も同様にした。
私は彼を抱き寄せたまま、床に仰向けになった。

あの日、沼から上がったときのようだった。自分たちは今日、あいつらに溺れさせられ、
今やっと水から上がれたのだ。この前と違って身体にヒルがついていないだけましだ。
それにクリスの身体の重みと体温は悪くなかった。今日の記憶を、この感触にだけ
結び付けられるよう努力した。

10分ほどそうしていただろうか。私たちは顔を起こし、見つめあい、額を押し付け、
そしてキスをした。
「俺たち、大丈夫だよな」クリスが囁いた。
「もちろん大丈夫だよ」もう一度いつものように手を重ねる。
服を身に着け、私たちはそれぞれの家に帰っていった。。


両親はなにも気づかなかった。
やつらが服を引き裂かないでくれて、本当に良かった。

110 名前:無垢からの転落(終):2007/10/11(木) 20:42:19 ID:7lOU8g3Z0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
色々失礼しました。
自分にとっても聖域だったはずなのだが……

111 名前:風と木の名無しさん:2007/10/12(金) 00:39:12 ID:CH+huHEOO
>>63>>87
GJ!!GJ!!
もう萌えすぎてたまらないので、とりあえずセーヌに飛び込んで頭冷やしてくる。

112 名前:契約:2007/10/12(金) 03:55:47 ID:nZrRRgVY0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  モノノ怪のハイパー×薬売りだよ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  二人が契約で結ばれてるって設定
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ カルメニ サラット
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |


113 名前:契約(1/2):2007/10/12(金) 04:00:11 ID:nZrRRgVY0
「契約の印だ」
そう言いながら、男は薬売りを抱き寄せ、その唇に触れ、指でなぞった。
触れられた唇に紫色の印が現れた。
薬売りの顔に自分の顔を近づけるや、その鼻筋を紫色の舌で舐め上げると、鼻筋に沿って赤い印が現れた。
次は目蓋に口付けると、目の周りに赤い印が現れた。
そしてもう片方の目も。
自分では見えないが、その部分が熱を帯びたように感じ、何か異変が起きているのは感じる。
唇に暖かいものが被さる感触がして目を開けると、男の唇が重なっていた。
男の舌が口を割って入ってくるのに驚き、思わず身を引こうとしたが、男の両手で強く抱きしめられていて身動きはできなかった。
男の舌は口内を蠢き、歯列をなぞる。
息苦しくなって力が抜けてきた頃に、やっと口を離された。
男は薬売りの口に指を指し込み、口を開けさせて、その犬歯が牙に変化しているのを確認した。
そして薬売りの顎を掴み、顔を傾けさせると、その耳を咥え、甘噛みを始めた。
「え?・・・ちょ・・・・・っと・・・・・・」
口を耳から離すと、その耳はまるで動物の耳のように尖り、変化していた。

114 名前:契約(2/2):2007/10/12(金) 04:05:26 ID:nZrRRgVY0
男の手は、薬売りの背中の帯を掴み、帯を解いた。
「まだ何かあるんですか?」
戸惑う薬売りの問に対し、男は答えた。
「契約の証として、その身を俺に捧げろ。」
「え?まさか、私を喰うんですか?」
着物を脱がしながら男は答えた。
「否、純潔を捧げるのだ。」
予想しなかった言葉に、薬売りは驚いた。
「! そんな事、聞いていませんよ。」
「言っただろう?俺の半身となり、共に生きる事を誓ったじゃないか。俺の伴侶も同然だろう?」
と微笑と共に男は答える。
確信犯的な男の態度に薬売りは諦めを覚え、
「・・・・・・・それなら仕方ないですね・・・・・・・」
と言い、男の腕に身を任せる。
「今日からお前は俺の物になるのだ。」
耳元で囁く男の声を聞きながら、薬売りは思った。
「先が思いやられますね・・・・・・・」

115 名前:契約:2007/10/12(金) 04:09:03 ID:nZrRRgVY0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ケッキョク ショヤジャン
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


            ありがとうございました

116 名前:風と木の名無しさん:2007/10/12(金) 06:39:12 ID:PUt+04Jk0
>>113
すばらしい。
朝っぱらから、燃え尽きました。


117 名前:風と木の名無しさん:2007/10/12(金) 08:14:35 ID:R1DHZambO
>>113
しょ、初夜キター!!!
本当に本当にありがとうございました

118 名前:風と木の名無しさん:2007/10/12(金) 08:48:47 ID:VbtSpL8nO
>>113
三つ指ついてありがとう!禿げたぁぁぁぁ!
このノリで仕事行ってくるぜ!

119 名前:オ一!マイキ一三部作 0/3:2007/10/12(金) 17:59:54 ID:CFVcC36V0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | 今巷でプチブームなオ一!マイキ一で801三部作
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 個人的な趣味で受は全部パパです
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ アホスギル
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


120 名前:オ一!マイキ一 ボブパパボブ 1/3:2007/10/12(金) 18:02:21 ID:CFVcC36V0
「『いつも素敵ですけど、今日は特に素敵ですね』と、息子は恥ずかしげに申しております」
「いやあ、ボブ先生こそ、今日も素敵ですな」
「………………」
「『ありがとう、今日はウィッグを金髪のカールにしてみたんですが、どうですか』と息子は申しております」
「まるで南部のおてんば娘みたいだ、よく似合いますよ。私の方はどうです?
リボンをあしらってちょっぴりガーリーな雰囲気で攻めてみたんですが」
「………………」
「『とっても素敵だ、もしこんな娘が僕の前を歩いていたら絶対にお茶に誘いますよ』と、
息子はできるはずもない事を申しております」
ボブ先生が少しだけ母親の後ろから前に進み出て、すぐに引っ込んだ。彼の顔が見る間に赤らんでいく。
「おや、どうしましたか先生」
「『ジェ一ムズさんがあまりに素敵なので思わずキスをしたくなってしまいましたが、やっぱりできません』と
息子は申し上げたいはずなので私はちょっと後ろに下がって行方を見守ります」
その言葉どおりボブ先生の母親が後ろに引き下がり、入れ替わるようにしてボブ先生が前に進み出た。
「…………」
「『その通りだよママ』と、息子は申しております」
「なんだ、そんな事ですか。いいですとも。たまには女の子同士の可憐なキッスというのもオツなものですよ」
「………………」
「『随分と倒錯した行為のように思えますが、なんだか興奮しますね』と、
息子はもじもじしながら申しております」
なかなか行動に出ようとしないボブ先生の顎を強引につかみ、ジェ一ムズが口付けを仕掛ける。
途端、ボブ先生の口の端から小さな声が漏れた。
お互いの唇に塗りたくっていたピンクとオレンジの口紅が混じりあい口の周りが紺屯とした
様相を呈したが、ジェ一ムズは付け睫毛をバシバシさせながら妖艶に微笑んだ。
「ボブ先生、可愛い声をなさってるじゃないですか」
「…………言わないで下さいよ」
消え入りそうなボブ先生の声と重なるようにして、背後の母親が
「ちなみに、これは息子の生涯7回目のキッスでございます」と言い切った。


121 名前:オ一!マイキ一 双子パパ 2/3:2007/10/12(金) 18:04:13 ID:CFVcC36V0
「おい、マイキ一を誘うはずだったのに何でマイキ一のおじさんを連れてきちゃったんだよ」
「マイキ一を誘うはずだったのに何でマイキ一のおじさんなんかを連れてきちゃったんだよ」
「お前が連れてきたんだろ、人のせいにするなよな」
「このオッサンが勝手についてきたんだろ、いつも人のせいにするなよな」
「本人を目の前にしてオッサンとは失礼だろ、相手は友達のお父さんだぞ」
「こんなやつに失礼も糞もないだろ、それに友達って誰のことだよ」
「マイキ一に決まってるだろ」
「マイキ一なんか友達じゃないに決まってるだろ」
「じゃあ何なんだよ」
「マイキ一って何なんだよ」
「人間だろ」
「人間ですらないだろ」
「よしよし、何の事だか分からないが喧嘩はよしなさい、マイキ一が来るまでおじさんが遊んであげよう」
そのとたん、それまでさながらマシンガンの銃撃戦のように言い合っていた二人がさっとジェ一ムズの方に向き直った。
そのまましばらくの間まじまじとジェ一ムズを合計4つの目で見つめ、やがてニッコリ微笑んだ。
「マイキ一とよく似て、おじさん可愛いね」
「マイキ一には及ばないけど、おじさん可愛いね」
「マイキ一にはない大人の魅力ってやつだね」
「マイキ一にもないけどおじさんにもない大人の魅力ってやつだね」
「おじさんは大人なんだから大人の魅力があるだろ」
「おじさんは大人どころかオッサンだろ」
「本人を目の前にしてオッサンなんてよせよ、傷つくかもしれないだろ」
「本人を目の前にしてるから言ってるんだろ」
「こらこら、いい加減にしなさい。どれ、砂遊びでもしようか。ほら見てごらん、トンネル……ぎゃっ!ミミズ!!」
たまらず飛び上がったジェ一ムズをまじまじと見つめて、双子は微笑んだ。
「やっぱりマイキ一みたいに可愛い人だね」
「やっぱりマイキ一みたいに犯したくなる人だね」
「子供が大人を犯せるわけないだろ!」
「大人だからって子供に犯されないなんて思うなよ!」
口喧嘩を続ける双子をよそに、ジェ一ムズはそそくさとその場から居なくなった。


122 名前:オ一!マイキ一 中島パパ 3/3:2007/10/12(金) 18:06:39 ID:CFVcC36V0
中島課長に第2会議室に呼び出され、扉を開けたとたん椅子に大股を広げて座っている課長が目に入った。
「は、これはこれは中島さん、私めに何のご用事でしょうか」
「うん、ジェ一ムズくん、君を呼び出したのは他でもない。さあ、跪いて私の性器をしゃぶるんだ」
「ええええ!そ、そんな、いくら中島さんの頼みでも……」
「出世したくはないのかね、ジェ一ムズくん?」
「失礼いたします!私、一身上の都合でバキュームフェラもお手の物でございます。
口内発射、顔射ならびにイマラチオ、なんでもご自由に!」
「はっはっは、ジェ一ムズくん、やはり君は最高だよ」

顔中に精液をへばりつかせたまま、ジェ一ムズは密かに悔し涙を流した。
「さてジェ一ムズくん、すっきりしたところで今度は本番といこうか。服を脱いで
そこに四つん這いになりたまえ。雌猫のように尻を振りながら淫らに可愛らしく誘うんだぞ」
「ええええ!そ、そんな、それだけはご勘弁を……」
「出世が惜しくはないのかね?」
「…………にゃーん!挿れてくださいにゃん!中出し大歓迎にゃん!」
「はっはっは、ジェ一ムズくん、君はつくづく最高の男だよ」

尻中に精液をへばりつかせたまま、ジェ一ムズは密かに悔し涙を流した。
「くくくくくっ……なんで私がこんな目に」
「ジェ一ムズくん、最高だったよ。またよろしく頼む」
「……は、はい、いつでも歓迎します。な、なんなら今夜でも!」
「ほう?ならお言葉に甘えるとしよう。今夜9時にニコニコホテルに来たまえ。
遅刻厳禁、ドタキャンもってのほかだ。いいね」
「……はい……」
「では失礼するよ。私も仕事があるのでね。君もサボッてばかりいないで少しは働いてはどうだね」
中島課長が去った後の会議室で、ジェ一ムズは人知れず泣き暮れた。
「くくくくくっ……なんで私はいつもこうなんだ。……これも出世のためだ。
女房子供を養っていくための手段だ……耐えるんだジェ一ムズ」
本当は課長より部長の方が偉いのだということなど知るよしもなく、今日も
ジェ一ムズ部長は中島課長の言いなりになってしまうのだった。


123 名前:風と木の名無しさん:2007/10/12(金) 18:07:26 ID:CFVcC36V0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 上げてしまった、申し訳ない
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

124 名前:風と木の名無しさん:2007/10/12(金) 20:35:26 ID:NSrSEN8K0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  BA/SA/RAの織田一般兵×光秀です。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  死にネタ・えろナシ注意。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


125 名前:風と木の名無しさん:2007/10/12(金) 20:40:06 ID:NSrSEN8K0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  BA/SA/RAの織田一般兵×光秀です。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  死にネタ・えろナシ注意。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


126 名前:織田一般兵×光秀(1/7):2007/10/12(金) 20:41:27 ID:NSrSEN8K0
 恐ろしいけどうつくしい方だと、そう思ったのです。


 私が光秀様にお会いしたのは、織田家に使えてちょうど三月目の朝でございました。
 いつもより半時ほど早く目覚めた私は、朝餉の準備が整うまで散歩でもするかと屋敷の外へと出たのです。
 思ったとおり、いつも感じるものより少々温度の低い空気は、寝起きで少々緩んでいる意識をさっと目覚めさせてくれました。
 もとより我が一族は代々織田家に仕えてきた家でありましたが、それでも一介の侍、それも若輩たる私に与えられる場所などそう多くはありません。けれどそれでも天下に最も近いとされる信長様の臣下ともなれば、それなりに自由もききます。
 私は信長様の住まう城を眺めながら、屋敷の周りを一周しておりました。
 そして、丁度屋敷の裏手にさしかかったところです。
 そこからは、城の庭が見えました。枝の一本、砂のひとつぶまで丁寧に整えられたそこは、朝露に濡れ、とても雅やかでありました。

 そこに、あのお方がおられたのです。

 最初、私はそこに人がいることも気づきませんでした。
 それほどに光秀様は自然にそこに溶け込んでおられました。
 最上級の銀糸のごとき髪は、朝焼けを受けてやや朱に染まり、戦場に出ていると思えないほどなめらかな頬も同様に薄く染まっておりました。
 浮かぶ表情は人形のように静かでありましたが、紅をさしたように赤い唇が命を感じさせました。
 そのお姿を拝見したのは初めてでしたが、話に聞いていた通りの――いえ、話に聞いていた以上に美しいその容貌に、すぐに光秀様であると気づきました。
 勿論、戦場でのあの方の噂はよく聞いております。
 二振りの鎌で敵味方問わず命を刈り取っていく様はまさに死神そのものであるとか、あの方の下に仕える者はいつ気まぐれにその身を裂かれるかもしれぬ、とか。
 けれど、朝の光を浴び、静かに佇むお姿を見れば。
 それはまるで深窓の美姫が気まぐれに庭を眺めに来たような。
 あるいは天上の神が、戯れに人の世に降りてきたような。
 そんな、神聖ささえ感じさせるものでありました。


127 名前:織田一般兵×光秀(2/7):2007/10/12(金) 20:42:43 ID:NSrSEN8K0
 私はしばしの間、そのお姿に目を奪われておりましたが、一際高く鳴いた鶏の声に現実へと引き戻されました。
 光秀様も城に戻ってしまわれ、殆ど乱れたところの無い庭とも相まって、まるで先ほどの景色が夢幻であったように感じられました。

 その後、私は屋敷に戻り、いつものように鍛錬をこなし、普段どおりの一日を過ごしましたが。
 あの時見た、幻のようなお姿をもう一度見たくなり、翌日から、少し早起きするようになったのです。

 少し早起きし、光秀様が庭を愛でる姿を眺め、城へ戻られるのを見送り、そしてまたいつもの一日を過ごす。
 そんな日が幾日続いたでしょうか。
 それに変化が現れたのは、日差しが、すこし柔らかさを増した頃でした。

「――そこの御方」
 最初、私はそれに返事ができませんでした。
 まさか自分のことに気づいておられるとも思いませんでしたし(後から思えば、これはずいぶん失礼な話でした。
 光秀様ほどのお方が、多少の距離はあるとはいえ隠してもいない気配に気づかないはずもないのですから)、仮に気づいても、
光秀様よりも遥かに格下である自分にわざわざ声をかけることなどあるわけが無いと思っていたのです。
 けれど光秀様は、再び声をかけられました。今度ははっきりと私に目線を合わせて。
「――そこの御方、いつもそこに居られたでしょう? 景色ばかり見ておらず、たまには話のひとつもしてみませんか」
 ようやくその言葉が私に向けられたものだと気づき、あわてて答えを返しました。
 何を話したのか、ほとんど覚えておりません。それほどに私は驚き、戸惑い、そしてそれと同じくらいに高揚しておりました。
 光秀様といえば、信長様と同じく、自分にとっては天の上の御方。そのお方がこんな一回の侍に不躾ともいえる視線を向けられたことに怒るでもなく、
それどころかお声までかけていただけるなど!


128 名前:織田一般兵×光秀(3/7):2007/10/12(金) 20:43:26 ID:NSrSEN8K0
 そして、その日から朝の散歩のたび、光秀様と私はほんの少しばかりですがお話をするようになったのです。

 話す内容はいつも、とりとめのないことでした。
 隣の山は紅葉が美しいらしいとか。
 池に新しい鯉が入るらしいとか。
 枯れかけていた椿が、久々に花をつけただとか。
 常より聞く噂からは想像も付かない、風流な話ばかりでありました。

 けれど、あるとき私は、一度だけ光秀様に自分のことについてお願い申し上げたことがありました。

「光秀様――私は、あなたの傍で働きとうございます」
 光秀様をまっすぐ見ることができず、頭を下げたままそう言った私に、光秀様は珍しいことに――本当に珍しいことに、一瞬驚かれたようでした。
 けれどすぐにいつもの静かな笑顔に戻って、光秀様はおかしそうに言いました。
「おかしな方ですね……私の噂は聞いているでしょう? 死神だの、悪鬼だの……どれも良い噂では無かった筈ですが」
「判っております。けれど、それでも私は光秀様の下で働きたいのです!」
 言い募る私に、それでも笑みは崩さず、光秀様は静かに私を諌めました。
「――織田に仕える者が、あまり無茶を言うものではありませんよ。魔王に縊り殺されても知りませんよ?」
「ですが、光秀様――」
「……あぁ、そろそろ時間ですね。家人の仕事の邪魔になる前に戻りましょうか」
 光秀様は、ゆっくりと踵を返すと城に戻って行かれました。
 最後に、「貴方には、まだ死んで欲しくありませんから」と言葉を残して。


129 名前:織田一般兵×光秀(4/7):2007/10/12(金) 20:43:59 ID:NSrSEN8K0
 そして、それ以来、私は朝の散歩を止めました。
 光秀様に会わせる顔が無かった、というのもありますし、何より――光秀様に会ったら、またあの話を蒸し返しそうな自分が恐ろしかったからでもあります。
 そこでもう一度拒絶されたら、きっと私は侍として生きていけなくなっていたでしょう。

 だから、私はただひたすら織田家のために働くと決めたのです。
 光秀様もまた、織田家に仕える方。信長様が天下をお取りになれば、それは光秀様の栄光ともなる。
 私はあの方のために、信長様を天下人にすると誓ったのです。


 なのに。


130 名前:織田一般兵×光秀(5/7):2007/10/12(金) 20:45:02 ID:NSrSEN8K0
 ごうごうと燃え盛る炎。あちこちからあがる悲鳴。
 圧倒的な戦力で、抵抗もできないままに蹂躙されていく――それは正に、地獄絵図でありました。
 しかし、それより何より、最も恐ろしかったのは!
 攻め入る者共が掲げる旗――桔梗の紋でございました!
 私が信長様に仕えながら、心にはずっと掲げてきた、桔梗の紋です!

 嘘だと、これは何かの間違いだと。
 きっと光秀様に見せかけた、卑劣な罠だと思おうとしておりました。
 けれど、本能寺の守護に当たっていた私の前に現れたのは――あの庭で何度もお会いした――光秀様、そのお人でした。

「俺は最初からあんたのことを信じてなかった!」
 そう吐き捨てた隣の男が、一刀のもとに地に沈みました。
「光秀様……なぜ裏切ったのですかーっ!」
 血を吐くような思いで問いかけても、光秀様は薄く笑うだけで、その問いには答えてくださりませんでした。
 ただ、幾人もの血と命を吸ったその鎌を私の首筋にぴたりと当て、
「貴方には、まだ死んで欲しくなかったのですがね」
 そう呟いて――


131 名前:織田一般兵×光秀(6/7):2007/10/12(金) 20:47:02 ID:NSrSEN8K0
転がった首が、ごとりと音を立てた。
 これで、織田方の兵士は信長本人を除いて全て失われたことになる。
 よく見知った顔だった――珍しいことだ。普段は切に殺したいと思う相手のことくらいしかちゃんと覚えなどしないのに。
 いや、逆だろうか?
 自分の性質を理解してからはほとんど初めてかもしれない、殺したくないと思った人間だから、印象に残ったのだろうか。
 転がっていた首を拾い上げて、眺めてみる。
 まだ血が抜けきっていないのか、頬には赤みが残っている。
 そこに浮かんでいるのは自分の好きな苦悶や恐怖の表情ではなく、ただ悲しみだけが満ちていた。
「おそらく、私はあなたを気に入っていたのでしょうね、珍しいことですが」
 じわじわと流れ出る血液が、腕を伝って衣に染み込んでゆく。
 自分の好きな色だ。けれど、それを眺めてもいつもほどの高揚感は無い。
 答えぬ首に、問いかけてみる。
「――黄泉とやらで会えたならば、こんどは私に仕えていただけますか?」
 それとも、自分を殺した相手にはさすがにもう仕えたいとは思わないか。


132 名前:織田一般兵×光秀(7/7):2007/10/12(金) 20:47:58 ID:NSrSEN8K0
 首の前髪をかきあげ、額に口付ける。
 そして、すっかり色を失った首を倒れこんだ体の傍に立て、本能寺で待つ信長の元へと向かう。
 心が、じわじわと愉悦に満ちていった。

 勝てば、信長を刻む極上の快楽を味わえる。
 負ければ――また、あの青年と黄泉で見えるかも知れない。

 どちらも、悪くない。






「さぁ、黄泉への扉を開きに行きましょうか」





133 名前:風と木の名無しさん:2007/10/12(金) 20:49:21 ID:NSrSEN8K0

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ シニネタ ダメナカタ スイマセンデシタ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 何故裏切った〜のセリフでうっかり妄想。
 孤独に耐えかねての自給自足でした。


134 名前:風と木の名無しさん:2007/10/12(金) 20:51:07 ID:NSrSEN8K0
ぎゃああ最初のAA二重カキコになってるっ
姐さんがたお目汚しすみませんでした。

135 名前:風と木の名無しさん:2007/10/12(金) 20:55:34 ID:nlluEsSa0
>>123
GJ!!!
まさかマイキーで801が読めるとわwww
ダメ過ぎるパパが愛しいwww

136 名前:風と木の名無しさん:2007/10/12(金) 20:56:16 ID:EFPcSQVX0
>>123
ワロ萌えたwwGJ!!!
パパカワイイな

137 名前:風と木の名無しさん:2007/10/12(金) 22:39:08 ID:aN4eMfHzO
>>123
糞ワロ萌えたwww
ナチュラルに脳内で再生されたよ
ボブ先生も双子もパパもカワユス

138 名前:夢現:2007/10/12(金) 23:43:22 ID:Yp2dMyyw0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  今日はモのの怪モナ〜
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ハイパーx薬売り エロはナシ 
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ビクビク
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |

139 名前:夢現1/4:2007/10/12(金) 23:52:31 ID:Yp2dMyyw0
 初秋の月夜。
 月を照り返す川の水面を一瞥する。街から外れたこの界隈は人気もなく、虫の声と川のせせらぎ、時折響く獣の声以外は静かなものだった。
 今日はここで野宿をしようと薬売りは道をはずれたところにある大木の木陰に身を寄せ、背に負った薬箱を草の上に降ろした。
 今のところ金には困っていない。街まで行きどこかで宿をとろうかとも思ったが、人の気配が煩わしく感じることもあるのだ。幸いまだ野宿の辛い季節でもないし、今後何があるともわからない。節約しておくに越したことはないだろう。

 一日薬箱を背負い疲れた肩を回し帯を解く。上に羽織った着物だけを脱ぎ落とし帯と一緒くたにしてなおざりに薬箱にかける。
 頭に巻いた手ぬぐいを取り去ると、思わぬ長さの髪が背に流れた。拘束から開放された毛穴がぴりりと痛むのを指の腹で撫でつけ宥める。
 足袋を取り去った足を川の水に浸して酷使による火照りを冷ましながら手遊びに髪を梳いた。
 しばらくし、唐突に響いた鳥の声を合図に浅瀬から上がった薬売りは草の上に腰を下ろし木に背を預けた。身じろぎをし、心地よく眠れる体勢を探し当てる。
 視界の端に己の指先が入る。左の薬指の爪が小さく剥げているのに気づき、あぁ、また塗りなおさないと、などとぼんやりと思いながら瞼を下ろした。
 寝ようと決めればそこに落ちるのは一瞬で事足りる。
 深く吸い込んだ息を吐き終わる前に薬売りの意識は睡魔へ明け渡された。

140 名前:夢現2/4:2007/10/12(金) 23:54:44 ID:Yp2dMyyw0
 さらりと頬に何かが当たる感触に意識は覚醒したが、瞼を上げるのが面倒だった。
 夢と現の狭間。それがわかっているから慌てて目を開く必要などない。
 腹の上に男の腕が乗っており、背中は男の胸に支えられている。
 ふわりと空気が動く気配がし、耳の上辺りに触れた手がゆっくりとした動きで髪を梳いて落ちていく。動きに合わせて、馴染んだ鈴の音が微かに鼓膜を震わせる。
 何度も同じ呼吸で繰り返される動きをぼんやりと、気配だけで追う。
 物の怪を退治する時の激しい様からは想像もできないようなその柔らかな動きに、薬売りは含み笑いを漏らした。
 瞼を上げると、髪を梳いていた手が腹の上へ置かれ、両手が組み合わされるところだった。その上へ己の左手を置き、指でとんとんと拍子をとる。
「たまにはぐっすりと寝かせてくれませんかね」
 またさらりと音を立て、光を放ち闇に浮かび上がるように見える髪が頬を撫でる。肩へ置かれた男の横顔を横目で捉え詰った。
 褐色の横顔がかすかに身じろぎ、ふっ、と息を漏らす。
 左手を取られやわやわと握りこまれる。
「夢を見ようとここにいようと、体は休んでいる。違いなど無い」
 己のそれと同じだが、僅かに抑えられ低く発音される声。
 吐息が首筋をくすぐりながら移動し、薬売りの耳朶を飾る赤い石を食む。
 冷たい唇の温度に肩をすくめた薬売りは一呼吸置いてから息を吐き出して緩く首を振った。

141 名前:夢現3/4:2007/10/12(金) 23:57:17 ID:Yp2dMyyw0
 「爪が剥げている」
 薬売りの腹に回された腕にぐ、と力がこもり、更に密着を増す。
 顎を弱い力で掴まれ仰のいた首筋にぽつぽつと落とされる冷たい感触を甘受する。
 「気疲れ、するんですよ。肉体的な問題ではなく」
 首筋から顎を辿り薬売りの唇に微かに触れたところで彼の唇は動きを止めた。
「憎まれ口を」
 青い舌が形を確認するようにゆっくりと薬売りの唇を辿る。
 獲物を目の前にし、舌なめずりをする捕食者のようなその動きに、薬売りの背筋を怖気とも高揚とも取れるような震えがざわざわとせり上がる。
 間近にありすぎて水面に映る月のようにぼんやりとしか形を捉えられぬ金色の目。その奥の虹彩がきゅっとすぼまり、瞼が皮肉気に細められる。
 顎を捉えていた手が瞼の上に置かれ、視界を封じられる。
「何を嘯く必要がある」
 かすれた囁きが暗闇に落とされる。
 唾液をまとった薬売りの唇の上を、囁く唇がぬるりと滑っていく。夢現とも思えぬ生々しい感触に唇を引き結べば笑みを刻んだ男のそれが押し付けられた。
 冷たい舌が唇を割って進入するのを受け入れる。
 唇の内側を舐め、歯列を確認するように辿る。無意識に逃げる舌を撫でられると、吐き出せぬ息が喉を鳴らした。
 冷たい舌は薬売りの体温で温まるでもなく、じりじりと口内を焼いていく。その感覚に焦れて自ら男の舌を吸い、唾液を飲み込んだ。

142 名前:風と木の名無しさん:2007/10/13(土) 00:03:53 ID:iV50ud6H0
 引き倒され、覆いかぶさる男を見上げる。
 「お前が望まなければ」
 男が言葉を紡ぐ間にもその背からはさらりさらりと銀の髪が流れ、薬売りの左右へと落ちていく。
 伸ばされた手が薬売りの額を覆う髪を払い、輪郭を辿る。
「俺は夢現にすら現れることも出来な」
 もういいと、男の首筋を引き寄せる。上下左右、全てを銀糸に包まれ閉じ込められる。
「わかっていますよ。俺が望んだと言うことなど」
 男の重みを受け、薬売りは口角を引き上げると男に許しを与えるべく言葉を繋いだ。
 だから思う様、この身を掻き抱けばいい。
「今、あなたが欲しい」
 薬売りへ責任転嫁をせねば己の欲を打ち明けることすら出来ぬ小さな矜持。それを愛しく感じ、更に言い訳まで与えてやる己のなんと絆されたことか。
 男の腕が体を包み力をこめる感触にこの先を予感し、吐息を漏らす。銀糸に鼻先を埋め、背を弄る男の手の甲に浮かぶ筋を思い描く。
 「わかっているんですよ?」
 ふと嗜虐的な心持になり男に囁いた。
 聴こえぬと言わんばかりに返事もせず手を蠢かせる男に、薬売りは笑みを深くしながら構わず続ける。
 あなたも望んでいると言うことなど、わかりきっていると。たまには告げて、思い知らせてやるのもまた一興。
 「何を嘯く必要が?」
 揶揄するように喉を鳴らす薬売りの笑みを、性急な仕草で冷たい唇が強引に塞いだ。

143 名前:夢現/おしまい:2007/10/13(土) 00:07:09 ID:iV50ud6H0

 ____________
 | __________  |
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 一個上のは4/4だよ… 名前入れ忘れゴメン
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
萌えが高じて文書きでもないのに思わず書き殴ってしまいました。。
お目汚し失礼しました。

144 名前:風と木の名無しさん:2007/10/13(土) 00:17:14 ID:EH0tQC1D0
う〜〜〜〜〜〜〜ん、エロいよ。エロいよ。精神的にね。
こういう、精神的に強く求めてる感じのSS大好き。
何か心がムズムズしました。GJ!

145 名前:風と木の名無しさん:2007/10/13(土) 00:42:29 ID:f3EMgeEG0
>>113>>138
共にグッジョブ!萌えが解き放たれた!

146 名前:風と木の名無しさん:2007/10/13(土) 00:57:34 ID:99CN66tp0
>>139
萌え放たれました!
GJ!

147 名前:風と木の名無しさん:2007/10/13(土) 06:14:56 ID:0DJCF6aWO
>>138
GJ!!!
萌えすぎて眠気が吹っ飛んだ

148 名前:風と木の名無しさん:2007/10/13(土) 06:43:35 ID:iV50ud6H0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  今日はモのの怪モナ〜
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| ハイパーx薬売り エロはナシ 
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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連投ですみません。
>>138〜のハイパー視点になります。

149 名前:夢現・裏1/3:2007/10/13(土) 06:45:43 ID:iV50ud6H0
 一定の拍子で揺れていた動きがふと止まる。その変化に男は暗い箱の中へ意識を戻した。
 また動き出し、少ししてかさりと草の上に下ろされる。
 いつもの習いで周りの気配を探るが、特に気にするような気配はない。
 男は意識を現し世から飛ばした。

 どれほどの時が流れただろうか。ほんの数瞬かも知れず、はたまた赤子が老人になってしまう程の時かも知れない。だがそれは男にとっては些細な違いである。
 視界が暗転して男は夢と現の狭間に立っていた。
 見上げると、現し世の亀裂から薬売りの体が風に舞う木の葉のように漂い落ちてくるところだった。
 腕を伸ばし引き寄せて腕に抱える。
 そのまま座り込むと思い出したかのように薬売りの衣と髪が音を立てて男の腕に落ち、重みを増した。
 首を傾げて顔を覗くが、彼の意識はまだ覚醒していないようだった。
 腕にかかる彼の髪を払い、改めて撫で下ろす。くすんだ色をした髪はところどころが絡まり、男の指を引き止める。絡まりを解き、また上から撫で下ろすのを何度か繰り返すうちに柔らかく指が通るようになる。
 その感触に満足し、何度もゆっくりと手を上下させた。

150 名前:夢現・裏2/3:2007/10/13(土) 06:48:17 ID:iV50ud6H0
 唐突にこぼされた吐息に、男は彼の髪から指を離し薬売りの腹の上に置いた。
 その手に乗せられた薬売りの爪先が上下する。視線を巡らせれば、染料で彩られたその爪先の一つが欠けたように色をなくしていた。
 「たまにはぐっすりと、寝かせてくれませんかね」
 物憂げな眼差しをすっと男の横顔に流し、うんざりと呟かれた薬売りの素気無い声に笑みを含んだ息を吐く。
 間を保たせるように動き続ける薬売りの指を押さえ込み、関係ないと告げる。
 同じものを共有しているはずなのに肌や髪の色、細かな作りも違うその体。唇を寄せることでその存在を確認する。
 ゆるりと身じろぐその首筋に相容れぬ温度を押し付ける。
 「爪が剥げている」
 馴染まぬ温度にか、何も言わぬ薬売りにか、僅かに焦れて腕に力を込める。
 指をかければその動きを読んだように顎が上がる。浮き上がった筋を唇で辿ると喉仏がく、と上下した。
 「気疲れ、するんですよ」
 薬売りの唇が、吐息が男の唇を掠める。
 「肉体的な問題でなく」
 「憎まれ口を」と一蹴し、小癪な唇を舐める。
 半眼で男を見上げるその目が小さく揺れながら、鮮やかに期待の色へと変化していく。それを見止め、思わず口角が上がった。
 その色を手で隠してやるのは慈悲ではない。楽しみを引き伸ばすため。
 嘯くその口を塞ぎひと舐めしてやれば、すぐに男の舌を受け入れる。温かな口内を味わう内に我慢出来ずに喉を鳴らし、吸い付いてくる。
 言葉とは裏腹なその仕草が男を更に駆り立たせると言うのに。

151 名前:夢現・裏3/3:2007/10/13(土) 06:50:22 ID:iV50ud6H0
 「お前が望まなければ」
 薬売りを見下ろし囁く。認めろと。求めて見せろと。
 くすんだ髪を払い落とし、隠れていた揺らぐ眼差しを眺める。
 「俺は夢現にすら現れることも出来な」
 薬売りの瞼が閉じられ、伸ばされた腕に男は絡めとられる。
 したりと目を細めた男は薬売りの頭を胸に抱いた。
 「わかっている」と、くぐもって笑いを含んだ薬売りの声が温かな吐息と共に胸に吹き付けられる。
 「今、あなたが欲しい」
 甘んじて、その拙い手管に溺れる。笑みで誤魔化すその稚拙さが男の悦びを更に深いものにする。
 男を見上げる己の目が何より正直であることを薬売りは知らない。このまま知らないままでいい。
 男の唇が触れた瞬間から、その目が夢現の暗闇の中で皓々と光を放ち、欲を溢れさせていることなど。
 「わかっているんですよ?」
 仰け反る薬売りの背に手を這わしながら、聴くともなしにその声を聴く。
 くっくっ、と男の唇の下で喉仏が上下する。
 「何を嘯く必要が?」
 言葉など必要ないと、男は薬売りの唇を己のそれで塞いだ。

152 名前:夢現・裏/おしまい:2007/10/13(土) 06:52:23 ID:iV50ud6H0

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 蛇足…デスネ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ありがとうございました。
度々のお目汚し、失礼しました。

153 名前:風と木の名無しさん:2007/10/13(土) 08:50:19 ID:ilQKSKCbO
>>138>>149
いいもん拝ませていただきました
まったりした2人…イイ!

154 名前:助っ人団:2007/10/13(土) 14:08:00 ID:N+GhaxU40

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  飛翔で大絶壁連載中の助っ人ダンスです
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  睫の人→ゴーグルの人。っぽいもの。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ あくまでもぽいものになってしまったorz
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


155 名前:助っ人団・1:2007/10/13(土) 14:09:03 ID:N+GhaxU40

――何となく、けれどどうしようもなく、ムカつく奴がいる。

仮にも品行方正の生徒会副会長にはあるまじき思考だが、だって事実なのだ。
その名前、藤崎、佑助。学園生活支援部、通称助っ人団のリーダー分。
かれと直接関わりあいになったのはついこの間のことだったが、奴を見た瞬間、椿佐介は一目で理解した。
因縁を付け合い顔を飛ばしあう、すきあらば取っ組みかかるべき類の人間、つまり、天敵だ。と。
例の一件依頼、廊下で出くわすたびににらみ合い、愚にもつかぬ罵詈雑言を叩き付け合い、そうしてもう
数日以上が経過していた。


さて、ここで話は本筋へと移る。

お昼時、といえば、購買。購買といえば、買い食いパン。
佐介は日ごろ購買に通いつめるような生徒ではなかったが、誰にでも、普段は気にも留めない方向に気が
向くときはある。
その日はちょうど、かれにとってそういう時だった。
「チョココロネ、と、コロッケパン、それと、焼きそばパン」
佐介は珍しく購買のパン用バスケットの前に立ち、食べたい気分のパンをいくつか注文した。
昼休み開始十分。
たったそれだけの時間で、購買部が用意した昼食用のパンはもはや数えるほどしか残されていない。
一応昼食は弁当持参、もしくは購買で販売されるパンを購入して食べることになっているが、それにしても
弁当を持ってこない輩がこれほどいて、そして購買のパンを求める連中がこれまたこんなにもいるのだとは、
開盟学園において最初に購買システムを生み出した人間は考えなかったものだろうか。
(購買だけでなく、学食も必要なのではないだろうか?)
まあその思考を下手に会計・丹生に伝えようものなら、全力で裏会計の暴走を止めなければならなくなる。
彼女は清純な見た目とは裏腹に派手なことが好きなたちだから、きっと提案以上にスバラシイ学食堂プランを
練り上げてくれるに違いない。
まあそれはともかく、だ。
佐介の注文どおりの二つのパンをおばちゃんは袋に入れ、そしてちょっと困った顔になって、言った。
「……あー、悪いんだけどね。焼きそばパンは売り切れみたいだわ」

156 名前:助っ人団・2:2007/10/13(土) 14:10:22 ID:N+GhaxU40
焼きそばパン。
何故かどこの学校でも定番の人気を誇る、炭水化物のパンに炭水化物の具を合わせた、魅惑の惣菜パン。
当然入荷量も多いのだが、売れていく量もこれまた半端ではなく多い。売り切れなどざらである。
「そうですか……」
少々肩透かしを食らった気分で佐介が別のパンを示そうとした、そのときだった。

「おばちゃーん、さっき頼んどった分ありますー?」
賑やかな少女の声が、乱暴に鼓膜を震わせた。この訛りのきつい声には嫌と言うほど聞き覚えがある。
佐介が敵視する例の男が率いる助っ人団、その一員、鬼塚一愛。
紙袋と佐介を見ていたおばちゃんの視線は、一気に彼女へと向けられた。
「おー、ヒメちゃん、あるよあるよ。焼きそばパン8個にクリームパン5個、メロンパンが4個、コロッケパンと
チョコデニッシュが2個ずつ、ワッフルとツナマヨパンとカツサンドとホットエビフライドッグとデニカステラと
ホイップコロネとうぐいすパンとウィンナードッグが1つずつ。で、全部で29個。えーと…………」
「3570円ッス!」
注文されたパンの多さに唖然とする佐介と、注文されたパンの多さで計算に戸惑うおばちゃんの耳に
飛び込んできたのは、
「……あらほんと。ボスくんは本当に計算が速いねぇ」
「おばちゃーん、だから俺ボスくんじゃなくてボッスンだってば」
よりにもよって「奴」の声だった。……というか、一愛がこの場にいる時点で予期しておくべきだった。後方には、
当然のようにパソコンをぶら下げた笛吹和義の姿もある。
佐介は苦虫をまとめて十匹程噛み潰したような顔になったが、その場にいる誰もがかれの表情など気にも
止めなかった。
おばちゃんは助っ人団の連中に、満面の笑みでお釣りを渡す。その馴染んだ雰囲気からして、どうやらかれらは
購買部の常連のようだった。

157 名前:助っ人団・3:2007/10/13(土) 14:11:08 ID:N+GhaxU40
「ああ、そうそう、今日は特別におまけを付けといたから、よかったら三人で食べなさい」
大量のパンが入った袋と別に、おばちゃんはいくつかパンが入った小さなビニール袋を一愛に渡す。
「わっ、おばちゃん太っ腹やーん。おおきになー、ホンマ」
「おしっ、教室戻るぞー。あ、ヒメコお前半分持てよ」
「何でやねん、そんなんスイッチに持たせたらええやんか」
『俺はもうこのパソコンで重量オーバーだ。重労働はヒメコにまかせる』
「ったく、女の子に力仕事させる男はもてへんで」
『ところでおまけはどれだ? おまけ』
「メロンパンとアップルパイと焼きそばパン。俺焼きそばな」
『じゃあ俺はメロンパンでいい』
「ならアタシはアップルパイな」
三者三様、がさがさと各々のパンの袋を開けて口へと持っていく。

「…………おいッ!」
おばちゃんプラス三人の和気あいあいたる勢いに流され佐介は思わずしばらく呆けていたが、ここにきてようやっと
口を開いた。
「一体何なんだ、貴様らは」
「あー?」
しかも肝心のその三人は、佐介がここにいることそれ自体に気がついていなかったらしい。それがまた癪に障る。
ちなみに二行前の「あー?」は佑助の台詞だが、一愛も和義も同じようにふざけたいらえを返したことを、ここに
記しておこう。
そしてさらに先を続けたのは、やはり佑助だった。
「見りゃ分かるだろ。パン買いに来たに決まってんだろボケ」
佑助の台詞の最後についた「ボケ」が、ともすればスルーでもしておこうとした佐介の寛大な気持ちを逆撫でした。
「……そうじゃない、その量だ。ふざけてるのか?」
「ふざけてませんー。これも立派な部内活動ですー」
『最近考案したシステムだ。……言っておくがかなり評判だぞ』

158 名前:助っ人団・4:2007/10/13(土) 14:11:40 ID:N+GhaxU40
その後に続いた和義の説明を要約すると、こうなる。
購買のパンを買いたい輩は多い。しかし人ごみにもまれたくないという我侭さんも、これまた多い。そこで
助っ人団が代わりに代金を預かりパンを購入、昼休み中にそれを配達する。画期的、かつベタベタでる。
「そんなことはどうでもいい!」
つまりただのパシリではないか、と佐介は胸中思ったが、それはそれとしておいておくことにした。
けれどどうしても彼らに構わずにはいられないのは、ひとえに佐介の悲しいサガである。
「問題はその量だ。他の生徒が困るとは考えないのか?」
今現在パンを購入しそこなって困っているのはむしろ佐介本人だが、そこは触れないでおこう。それがかれの
ためである。……多分。
ツッコむネタも実はこの数日間でほとんど使い果たしてしまっていて、最後に切り札にして一番の基本の基を、
とうとう佐介は持ち出すことにした。
「……だいたい貴様ら服装からして違反だろう。鬼塚、アクセサリーは禁止、タイはきちんと結べ。笛吹、ノート
パソコンを持ち歩くなどもってのほか。藤崎、そのズボンの丈は何のつもりだ。それから、」
そこで一息。次の台詞に備えて、敵意を出来る限りあらわにするため、息を吸い込む。
「その変な帽子は見ていて特に不愉快だ」
「おまっ……俺の数少ない個性にケチつける気かよ!」
そして佑助は、佐介が予想していた以上に食いついてきた。よほど気に障ったようだった。その様子に佐介は
思わず鼻を鳴らしたが、ところが次の一言が、今度は逆に佐介の気に触れることになった。
「だいたいそんなこと存在自体不愉快な奴に言われたくないね! マスカラ男!」
「なっ……黙れ赤鬼帽子!」
こうなったらもう、犬さえ食わぬ口喧嘩の勃発である。

進めば進むほど退化していく口論を止めた救世主は、意外と言おうかやはりと言おうか、購買のおばちゃん
だった。目の前で繰り広がる口先の戦争をものともせず、彼女は佐介に声をかける。
「ちょっとアンタ、パンどうする? 焼きそばパンの代わり、何か買ってく?」
予想外の方向から突きだされた横槍に、佐介は思わず言葉に詰まる。
「えっと……あー……」


159 名前:助っ人団・5:2007/10/13(土) 14:12:22 ID:N+GhaxU40
「……焼きそば? パン?」
おばちゃんの一言に反応したのは、意外なことに佐介一人ではなかった。
「焼きそばパン」というキーワードを聞き漏らさなかった佑助は、自分の手の中にある、しかも封を切られ、その上
一口齧られた後のあるものをまじまじと眺める。
「……」
そしてその焼きそばパンと佐介を見比べた後、佑助はそれを投げつけるように佐介によこしてきた。
「やるよ。ホントは俺のだけど」
「何言うてんの。おまけもんの貰いもんやんか」
「うっせぇ」
恩着せがましげな台詞に、一愛の絶妙なツッコミが入る。さすがのものである。
いきなり手元に飛び込んできた焼きそばパンにいまいちリアクションを取れずにいる佐介に、佑助はさらに追い討ちを
かけた。
「さっさと持ってどっか行っちまえよ、目障りなんだよお前」
「な……ボクはこんなもの、」
いらない、と言おうとした佐介を、佑助の言葉が遮る。
「言っとっけどな、おごりじゃねーぞ、貸しだ貸し。俺たちは困った学生の味方なの。感謝しろよ馬鹿」
「……」
今回の口喧嘩において黒星がついたのは、どうやら佐介のようだった。

「ほな行くでボッスン、そんなんにかまっとったらアンタまでマツゲになってまうわ」
微妙な空気になってしまったその場を、一愛がようやっと崩す。
「あー……それもそーだな。んじゃーな。馬鹿」
去り際にまで悪態をはさんでくる佑助の態度が、佐介には非常に腹立たしい。思わず言い返した。
「次までにもっとボキャブラリー増やしてくるんだな脳タリン」
「…………うるせーボケ! アホ!」
「はいはい子どもの喧嘩する暇があったらさっさと行くで!」
『とっとと行かないと昼休みが終わるぞ』
どうやら本当に語彙が切れたようだった。佑助は小学生でさえもっとましな切り替えしが出来そうな捨て台詞を放って、
それを一愛と和義がごまかすように引っ張っていく。
手元に収まった食べかけの焼きそばパンを突き返す暇は、ついに佐介に与えられなかった。

160 名前:助っ人団・6 おしまい:2007/10/13(土) 14:12:53 ID:N+GhaxU40


購買部で買ったふたつのパンと佑助から放られた焼きそばパンを手に、佐介は釈然としないままとうとう教室まで
戻ってきてしまった。
憤然たる心持のまま、一通りのいきさつを(ただし佑助にパンを恵まれたことは伏せて)クラスメイトに伝えると、そいつは
こともなげに言った。
「あー、そう。でも確かに最近多いんだよな、助っ人団の連中にパンの買出し頼む奴ら。でも実際かなり確実みたいだしさ。
今度おれも頼んでみようかって思ったりしてんだわ」
どうやら、助っ人団という連中は自分の思うところ以上に学生に人気を得ているらしい。それが佐介にとっては、まったくもって
腹立たしいことこの上ない。
そして級友は、ふと佐介が握り締めている焼きそばパンに目を留めた。
「あ、それ。要らないなら残りもらっていい?」
「やらん! これはボクのだ!」
その冗談交じりの申し出をついつい佐介は大声で否定してしまって、それが何故か分からぬまま、手に持ったままだった
食べかけの焼きそばパンに思い切りかじりつく。
天敵たるはずの佑助に情けをかけられた、という事実が、何だか無性に佐介を苛立たせた。
「畜生……あいつめ、……いつか泣かす」

赤い帽子を思い出すたび、心がざわつく。ムカつく。イラつく。
それが佐介には、ある意味、とても不思議だ。
何であんなふざけた奴を相手に、こんなにムキにならなければいけないのか。
天敵だから? だがそれは本当に正しいのだろうか。本当に、それだけなのだろうか。
答えは誰にも分からないのである。佐介本人にも、……今のところは。


161 名前:風と木の名無しさん:2007/10/13(土) 14:14:21 ID:N+GhaxU40

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □打ち切りSTOP!!. | |
 | |                | |           ∧_∧ 助っ人ダンスを救えるのは
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )    名無しさんのアンケだけ!
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


162 名前:風と木の名無しさん:2007/10/13(土) 16:50:51 ID:1uOWQxz7O
乙!どきどきする副会長が河合卓

163 名前:風と木の名無しさん:2007/10/13(土) 23:25:34 ID:3FzlY1Lp0
>103
やっべ、吐きそうなくらいに萌えた。
今から、レンタルビデオ行って、すたんどばいみー借りてくる(・∀・)=3

164 名前:風と木の名無しさん:2007/10/14(日) 00:58:05 ID:7P9bAOAd0
>>119
最高!!双子のテンションがまんまだーすごい
パパ萌えるよパパ

165 名前:DI0×ジョル無駄親子 黄金の邂逅:2007/10/14(日) 03:09:09 ID:nm5O7qDZ0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  序所5部終了後のシリアスDI0×ジョルを真夜中にコソーリ投下。親子ネタ注意
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  当時もしDI0が生きていたら…という無駄無駄親子if話です
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ボウWRYナ帝王ソングニ触発サレマシタ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) 
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

166 名前:DI0×ジョル無駄親子 黄金の邂逅1/8:2007/10/14(日) 03:09:48 ID:nm5O7qDZ0
 その館の一室で闇から抜け出るように現れた男の姿を見たとき、ジョルノは我知らず、
体の奥底がドクンと高鳴るのを感じた。
「何をしに来た?」
 闇夜に浮かぶ透き通るような白い肌と、黄金の髪。凍りつくような面差しの中で
ひときわ目立つ唇が開き、恐ろしいほど静かに問う。
「ディオ・ブランドー。あなたに会いに」
 それとよく似た金髪の少年の声もまた、しきりに警鐘を鳴らす胸の鼓動とは対照的に
落ちついていた。
「なぜだ?」
「さあ、なぜでしょうね」
 ただ、と言いかけて、ジョルノは言葉をつまらせた。

 生まれてからただ一度も会うことのなかった父が生きていると知ったのは、闘いも終わり、
15の若さで組織の頂点に収まってからしばらく経ってのことだった。
 あるときパッショーネのボスとしてミスタを伴いエジプトを訪れたおり、ジョルノは
ひとつの風聞を耳にした。さる無人の館に吸血鬼が居り、そして人の生き血を啜る
その男の首には、星形の痣があるのだという。

 まさかと疑いながらも館のありかをつきとめ、単身訪れたジョルノを迎えたのは、
写真で見た父そのままの顔をしたこの男だった。
「……ただ、ここにあなたがいることを確かめたかった」

167 名前:DI0×ジョル無駄親子 黄金の邂逅2/8:2007/10/14(日) 03:10:38 ID:nm5O7qDZ0
 そんな衝動に駆られたこと自体、我ながら、不思議なものだと思う。
 父は死んだと聞かされた昔は、まだ見ぬ肉親にそれほど強い憧憬を寄せていたわけではなかった。
偶然ポルナレフの口から己の父の正体とその最期を知らされたときでさえ、現在も、そして
これからも、父の生き様が自らの人生に関わってくるようなことはないと考えていたのだ。
 しかし今確かに自分は、目の前の男に、言いあらわしようのない血の共鳴を感じていた。

「フン」
 男は低く鼻を鳴らし、目の前の少年に興味があるのかないのかわからない様子で唇を歪める。
 そうして気づいたときには、いつのまにかジョルノの背後に回ったDI0の両手が、
少年のうなじから髪に触れていた。
 とっさに身構えるどころか、瞬きするほどの間もなかった。

 これが彼の『世界』。噂には聞いていたものの、実際にその能力を体感すると背筋が凍る。
 その気になれば、彼はこの一瞬で相手に致命傷を与えることもできたのだから。
「髪の色は、私に似たらしいな」
「ええ、おかげさまで。これでも昔は黒髪だったんですが。――それはともかく、
ぼくの質問にも答えてください。あなたはここで何をしている?」
 内心の動揺も表に出さぬそぶりで、振り返らずに問う。
 すると髪の一房をもてあそんでいた指先がふっと離れ、代わりに両肩に重みが加わった。
「1年前の闘いで、仲間を失ったそうだな」
 最も忘れがたい、しかし余人には掘りかえされたくない記憶を耳打ちされ、ざわりと心が波立つ。
「己の血を受け継ぐ人間のことはすでに把握済み……というわけですか」
「たとえ同じ因子を継いでいようと、わたしに子供などというものは存在しない。
大事なことは、このDI0の役に立つ者か、仇なす者か?それだけのことだ」
 帝王は一人だけでいい。傲慢なほどの口ぶりが、この男の酷薄さを物語っていた。

168 名前:DI0×ジョル無駄親子 黄金の邂逅3/8:2007/10/14(日) 03:11:36 ID:nm5O7qDZ0
「答えは簡単だ。再び『世界』を我が手に。敗者は汚泥にまみれ這い蹲り、勝者は
至上の天国を支配し、そしてその先にあるわたし自身の世界を完成させることだ」
 かつて昔語りのように伝えられた、ジョースターの一族とディオの闘いの物語を思い出す。
 その世界へ至るまでに犠牲になるであろう、またこれまで男が踏みつけにしてきたであろう
者たちの運命を考え、ジョルノは少しずつ腹の底に不快感がつのっていくのを覚えた。

「そうして、これまで大勢の人間の生命を奪ってきたのですか」
「生き抜くために食事をとり、向かってくる浅はかな輩には報いを。それが頂点に立つ者として
当然の義務ではないか?」
 お前はなにも犠牲にせずに今日まで生きてこられたというのか? 
 そんな嘲笑が聞こえたような気がして、唇を噛みしめる。
「あなたはすでに滅びたはずだ。恐怖の支配者であったあんたは、確かな正義の意思の前に
裁かれ、完全に敗北した」
「だが今はここにいる。再び生を得たからには、たとえ泥を食み骨一つになろうと、
生きることを諦めはしない。おまえもどうやら、闘いに勝利し生き残るだけの能力は
持ち合わせているらしい。このDI0に忠誠を誓い共に来るというのならば、
このまま傍に置いてやってもよいが……どうだ?」
 思わず安らぎに身を委ねてしまうほど妖しく、甘い声で囁かれた誘惑を、しかし少年は
毅然と撥ね退けた。
「無駄だ。たとえこの体にその血が流れていようと、今のぼくには目指すべき夢があり、
そして仲間の残してくれた遺志がある。あんたに誓いをたてる必要など、どこにもないんだ」
「夢だと? ならばその仲間とやらも、わたしの血で亡者として甦らせようか。それとも
生き残った仲間に肉の芽を植えつけて、おまえの忠実な僕にしたてあげてやろうか?」

 これは父ではない。
 それを思い知ったとたん、心にわずかに残っていた写真の面影を振り切るように、
何かがジョルノの中で爆発した。

169 名前:DI0×ジョル無駄親子 黄金の邂逅4/8:2007/10/14(日) 03:12:52 ID:nm5O7qDZ0
「そんなことは……させないッ!」
 少年と男の立っていた空間を隔てるように、黄金色のビジョンが激しく浮かび上がる。
 ゴールド・エクスペリ工ンス。己の傍に立つ者であり、己の半身であり、かつての過去と
闘いの中で彼が得た、黄金の正義と希望の象徴。
 そうしてジョルノは初めて背後を振り返り、正面から男と対峙した。

 ところが、少年の強い瞳の輝きを間の当たりにした瞬間、男の表情が一変した。
 その曇りのない視線の奥に、まるで別の『何か』を見出したかのように。

「……その目は、あいつと同じなのか」

 その眼差しは、あの血統の精神を受け継いでいるのか。
 憎悪と歓喜の双方に彩られた、どす黒い声がその唇からこぼれる。
 それは彼がはじめて少年の前で露にした、激しい感情の迸りであり、地中に深く潜む
溶岩のように煮えたぎった執着の塊のようでもあった。

 はじめて向けられた男の眼の色に、一瞬戸惑い、惹きこまれそうになったそのとき、
DI0の手がそっと静かにジョルノの腕を掴んだ。
「今のはただの冗談だ。そんなに怒るな」
 底冷えするような囁きが耳元で響き、その声色と腕の感触にゾクリとさせられる。
「離してください」
 と冷ややかに手を引こうとして、体が思うように動かぬことに気づく。

170 名前:DI0×ジョル無駄親子 黄金の邂逅5/8:2007/10/14(日) 03:13:41 ID:nm5O7qDZ0
 男はかまわずジョルノの顎を上向かせて、うっとりと夢見るように低くつぶやいた。
「おれとおまえの肉体からこんな子供が生まれてくるなど、皮肉なものだなァ? ジョジョ。
だが曇りなき太陽の輝きなど、このディオには無用のもの」
「何を訳のわからないことを……。2度同じことを言わせないでください」
 なお逃れようとあがき、しかし蜘蛛の糸に絡めとられた獲物のように上手くいかない
もどかしさがつのる。
 男の目も、声も、有無をいわさぬ力を持ちながら先ほどまでの剣呑さが嘘のように優しく、
そして自分自身、無意識のうちにその声と目に魅入られてしまったらしいことが、
いっそうジョルノの困惑を深くする。
 いつのまにかスタンドも、本体の抵抗の弱まりと呼応するように、その姿を消していた。

「そんなものは無駄無駄無駄無駄無駄……無駄だ。その黄金の輝きが腐りはて消えるまで、
おれに真の平穏は訪れないとあの時思い知った。よかろう。今はおまえもおまえの仲間も
あえて傷つけるつもりはない。おまえの魂がどこまで持ち堪えるか、それを見届けてみるのも
また面白い」
 するとDI0は少年の前髪を強引につかんで引き寄せ、愛しげに頬を撫でたかと思うと、
指でたどったその唇に噛み付くように口付けた。
 言葉もなく目を見開くジョルノの顔を、ぞっとするような朱い瞳が覗きこんでいた。
「なあジョルノ? 我が息子よ」

171 名前:DI0×ジョル無駄親子 黄金の邂逅6/8:2007/10/14(日) 03:15:38 ID:nm5O7qDZ0
「あ……っ」
 首のつけ根に浮かぶ星形の痣を丹念に愛撫すると、まだ成長しきっていない少年の背中が
ビクリと跳ねる。
 なだめるようにゆっくりと髪をすきながら、己の背中にもあるその印に舌を這わせ、
おもむろに牙を剥いて首筋に突きたてる。そこからワインのように赤い血が滴る様を
楽しげに爪の先でなぞり、戯れに片手で軽く喉を絞めあげる。
「うああっ、く……」
「苦しいか?」
 それはすまないことをした、と罪悪感のかけらもない調子で続け、今度は恋人にするように
優しく優しく唇を重ねて舌を絡め、ちゅ、と甘く吸いあげる。
「すまないと思うのなら……やらないでください」
 全身に惜しみなく与えられる刺激と苦痛と愛撫に呼吸を乱しながらも、冷静な口調を
崩そうとしない少年に、男はクッと喉を鳴らす。
「おまえのその目を見ていると、何故か血が疼く」
「実の子供に手を出すなんて変態ですか、あんたは」
「言ったはずだ、おれには子供などというものはいないと」
「だったら都合のいい時だけ息子呼ばわりしないでくださいよ。……あッ!」
「面白いな。おまえと話していると退屈しなくていい」
 身体の最奥に触手めいた肉の芽を捻じこまれ、悲鳴をあげるジョルノを満足そうに眺めて、
DI0は背中に寄り添うように身体を密着させながら、なお耳元に語りかけた。

 知っているか?
 おれの体は、ジョースターという男の肉体を奪って生き延びた。
 奴は100年前、その魂と勇気と命をかけておれと闘い、そして死んだ。
 ……おれたちは二人で一人。おまえはその肉体と、おれの体から生まれてきたのだ。

 おまえがどちらの血を受け継いでいるか、そんなことはどうでもいい。
 ただ、その黄金の魂に刻み付けてやろう。おまえは生まれ落ちた瞬間からおれのものだということを。

172 名前:DI0×ジョル無駄親子 黄金の邂逅7/8:2007/10/14(日) 03:17:29 ID:nm5O7qDZ0
 蝋燭の灯火もない暗闇の中で、男の逞しい背中だけが青白い月明かりに照らされる。
 その首元に浮かぶのは、自分と同じ、星の形をした小さな痣。
「どうした? ジョルノ」
 なんとはなしにぼんやりと見つめる視線に気づいていたのか、振り向きもせずに問う父に、
ジョルノは少しだけ首を横に振る。
「いえ。なんでも」
 数刻前までの熱情と狂乱が去り、今は気だるい絶頂の残骸だけが残る。
 ずっと執着という名の狂喜にとり憑かれていた男の顔も、再び元の凍りついた表情に戻っていた。

 さきほど仲間に対する侮辱としか思えない行為を口にしたことを、この男はただの冗談と答えた。
 しかしそれは彼にとって気分しだいでたやすく実行されるようなものであるということ、
この男を放っておけば、いずれ仲間どころか世界をも巻き込む惨禍が訪れるであろうことを、
ジョルノは察していた。そしてそんな惨状を己が知れば、決して見過ごせはしないということも。
 彼が彼として生きるかぎり、いずれぼくはこの人と対峙し、いつか……。
「いつかぼくは、あなたを殺します。お父さん」
 彼が生み出した、その『世界』の災厄の大きさの分も。
 つい言葉となって出た決意に、DI0はゆっくりとジョルノの方を向き、やがて横たわる少年の
両手を押さえつけ覆いかぶさるように顔を近づけた。
「フン。できるのか?」
「できますよ。ぼくがぼくであり、あなたがあなたである限りは」
 それが逃れられぬ運命であり、選んだ真実なのだと。ジョースターの血を引く人間が存在するかぎり、
この男が永遠に心の呪縛から逃れられぬのと同じように。
 組み敷かれた状態のままでも、少年の目には、変わらず黄金のような希望があった。

 すると男は愉快そうに笑って、ジョルノの頬に触れた。
「やってみるがいい。できるものならな」
 そうして子供におやすみのキスをするように、肩を抱き、唇が耳に触れ、頬を合わせ口付けを交わす。
 これが表面だけのものだと分かってはいても、頬に触れる手は冷酷な中にもどこか慈しむようで、
いつも写真だけでしか見ることのなかった男の表情は、今はたとえようもなく穏やかに思えた。

 なぜか、涙が一筋あふれ出た。

173 名前:DI0×ジョル無駄親子 黄金の邂逅8/8:2007/10/14(日) 03:18:43 ID:nm5O7qDZ0
「なぜ泣く?」
「わからない」
 不思議そうにその涙を見つめるDI0に、ふいにわきあがった感情の高まりを抑えるように首を振る。

「あなたは……残酷だ。自分に息子などいないと突き放しておきながら、何故ぼくに触れる?」
「おまえこそ、それをわかっていながら何故ここに居る?」
「わからない」
 途方に暮れた子供のように、それだけをつぶやく。

 何も知らなければよかったのだ。
 男のこんな一面を、誰かをいとおしむような手を、そして狂おしげな眼差しを。
 己の名を呼ぶ声も、優しい口付けも知らなければ、この父だという男を悪と定め、
倒すことへのためらいなど抱きはしなかったものを。
 それでも彼の求める『世界』は、少年の目指す道とは、あまりにも違っていた。

 さあ、どこまで堕ちずにいられる?
 そんな父の声が聞こえたような気がして、ジョルノは両腕で顔を覆う。
 朝の陽光は遠く、今はいっそう深い闇が二人を包んでいた。

174 名前:DI0×ジョル無駄親子:2007/10/14(日) 03:19:33 ID:nm5O7qDZ0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ オソマツ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

175 名前:風と木の名無しさん:2007/10/14(日) 19:44:24 ID:nYySWtCQO
>>174
GJ!!

初めて無駄親子に萌えたッ!

176 名前:風と木の名無しさん:2007/10/14(日) 23:59:27 ID:wCRw51frO
>>161
GJ!
副会長気づけー!でも気づかないとこが可愛いw

177 名前:風と木の名無しさん:2007/10/15(月) 06:14:03 ID:rGEGCEiw0
>>174
GJ!テラモエス!
DI0様の邪悪っぷりと危うい感じのコロネに萌えた。

178 名前:風と木の名無しさん:2007/10/15(月) 12:39:28 ID:a1AFFEKV0
無駄親子はギャグしか見たことがなかったから感動した!
DIO様の色気に禿げた!ジョルノのうろたえっぷりに悶えた!

179 名前:契約・続:2007/10/16(火) 22:32:07 ID:HB8yy13F0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  >>112の続きになります 。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  元のネタを提供してくれた方に感謝します。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


180 名前:契約・続(1/3):2007/10/16(火) 22:34:59 ID:HB8yy13F0
薬売りは着物を全て剥ぎ取られ、男の腕の中に抱かれている。
男も自分の帯を解き、逞しい体をあらわにしている。
その褐色の肌には、体中に刻まれた黄金の文様が眩く輝く。
男は薬売りの顎に手をかけ、白い首筋に唇を這わせてゆく。
「・・・・・・っつ」
首筋に軽く牙を立て、白い肌に滲む赤い血をゆっくりと舐めた。
褐色の肌が、白い肌を包み込み、重なってゆく。
薬売りの全てを確かめるように、手と舌を這わせてゆく。
その時、男の体の文様が蠢き、男の肌を這い始めた。
まるで独立した何かの生き物の様に、文様は二人の肌が触れ合う部分から、白い肌へと徐々に移動して行く。
男の腕から薬売りの背中へ。
触れ合っている胸から胸へ。
絡み合った足から足へ。
薬売りの白い体に、金色の文様が移り、這いずり回る。

181 名前:契約・続(2/3):2007/10/16(火) 22:36:23 ID:HB8yy13F0
「あっ・・・・・・・・・・・」
文様は熱く、薬売りの肌を焦がし、痛みをもたらす。
しかし文様の熱は、まるで体の中の熱を呼ぶように、抑えきれない衝動を呼び起こす。
熱と痛みと快感が混ざり合い、体を侵食する。
「はぁっ・・・・・・・・・・!」
耐え切れずに男の背中に手を回してしがみ付くと、その背中から薬売りの腕へとまた文様が這いずって来る。
金色の文様は薬売りの体中に広がって行く。
絡み合う二人の体に、文様が絡みつく。
頭の中が白く、意識が飛びそうになる。
「これが人外の者との交わりだ。」
男は言い、薬売りの足を抱え上げた。
幾分かの恐怖を感じたが、それもすぐに考えられなくなった。
「・・・・・・・・・っ!」
体を貫かれる衝撃と、更なる熱と痛みと快感に襲われ、意識が途切れた。

182 名前:契約・続(3/3):2007/10/16(火) 22:37:35 ID:HB8yy13F0
ふと意識を取り戻すと、寝所に寝かされていた。陽が入るので朝のようだ。
周りには誰もいない。
(朝までは一緒に居てはくれないんですか・・・・・)
呆れたような落胆したような気持ちになり起き上がった。
体には気だるさと、僅かな痛みが残る。
「初夜だというのに。」
苦笑いしながら呟いて、身の回りを見渡すと、鬼の顔をした剣が傍らに有った。
「・・・・・・なるほどね。」
剣を手に取り眺めた。
「側に居てくれるんですね。」
剣に話し掛け微笑んだ。
「・・・・・ところでですね。」
思い出したように呟く。
「契約するにあたり、あなたの伴侶になる必要って有ったんですか?」
話し掛けても剣は答えない。
「まあ、いいですけどね。」(後悔はしてませんから・・・・・)
「末永く宜しくお願いしますよ。」
剣に埋め込まれた石が光ったような気がした。

183 名前:契約・続:2007/10/16(火) 22:42:43 ID:HB8yy13F0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ オソマツサマデシタ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
モノノ怪801スレで契約の話題が出てたんで、契約=初夜にしてしまいました。

184 名前:風と木の名無しさん:2007/10/16(火) 22:43:21 ID:RkInaLs+O
>>179
リアルタイムキター

185 名前:アレルヤ×ロックオン:2007/10/16(火) 23:42:12 ID:XtjaMBR10
ガンダム00のアレロック
エロあり
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「刹那、聞いてるのか。刹那」
「……聞いてる」
「次のセカンドミッション、お前が指揮を執れ。エクシアが一番機動性に優れている。
お前が奇襲をかけ、俺が空から援護する。そしたらアレルヤとティエリアが
お前のサポートするから」
「ああ」
「……ったく、しっかりやってくれよ。刹那」
 ぼう、とガラスの外を眺める刹那の肩を叩いてロックオンは待機室を抜けた。
 孤島に秘密裏に設置された格納庫だ。作戦中は王留美らの支援によって
このような格納庫が設けられる。ロックオンと刹那はいつもそこで待機し、
次のミッションが執り行われるまでそこに滞在することになっている。
 セイロン島で合流したアレルヤとティエリアも、今はこの格納庫で次のミッションを
遂行するために待機していた。もちろんキュリオスとヴァーチェも格納できる格納庫を
増設してもらっている。もうすぐ次のミッションが行われるというのに、
刹那はどこか上の空だった。グラハムと対峙してからというもの、ずっとこの調子だ。
ロックオンはそこそこ長い間刹那と行動を共にしてきているが、
時折刹那が何を考えているのか解らないことが多々あった。
 幼少の頃に、モビルスーツの民族紛争に巻き込まれた――というようなことを
少し聞かされた程度で、それ以上の刹那の過去を知らない。ロックオンもまた、
自分の過去を語らないため、過去に対する語り口が見つからない所為もあるのだろう。
 だがそれでも、ロックオンは気にならなかった。時が来れば、
そのうち話す機会もあるだろう。と長い目で見ていたのだ。
 ロックオンは刹那を置いて待機室を出ると、自分のデュナメスが
置いてある格納庫へ向かった。次のミッションの前に少しでも整備を整えて
おきたかったのだ。ここには機体を整備する整備士がいない。だから自分で
整備や補給を行わなければならないのだ。
 OSを起動させると、赤い光がロックオンの身体をなぞった。それから緑色の光が
ロックオンの顔を白く移し、機体の状態を知らせた。

186 名前:アレルヤ×ロックオン2:2007/10/16(火) 23:42:56 ID:XtjaMBR10
 ロックオンがキーボードを叩き、OSの状態を調整していると、
格納庫に入ってくる影を視界の端で捕らえた。一瞬刹那か、と思ったが、刹那にしては些か身長が高い。
「アレルヤか」
「ああ」
 私服姿のアレルヤがコックピットに近づいてくる。長く垂らした前髪が目元で揺れた。
「整備か?」
「ああ、セイロン島では岩場が多かったからな。次は砂漠でのミッションになる。地面との
接地圧を調節しておかないと、やりにくいだろ」
「……よく考えているんだな」
「おいおい、刹那と一緒にするなよ? あいつはOSや性能なんか
あんまり気にしてない。エクシアを信用しきってるんだ。OSはあんまり弄らないが、
潮拭きや除砂はよくやってるぜ」
 ロックオンはよく見ていた。作戦終了後、格納庫を覗けば、
そこには一生懸命エクシアを磨く刹那がいることを。それ自体を刹那に
言及することはなかったが、ロックオンは影ながら刹那を見守り続けているのだ。
「お前は刹那ばっかり見てるんだな」
「そんなことはないさ。お前のほうこそ、刹那とティエリアといたんじゃないのか?」
 何か用か、と問うロックオンにアレルヤは少し眉を顰めた。用など、
特にあるわけじゃなかった。ただ、待機室を出て行くロックオンが
少し気になっただけだ。アレルヤは少し考えて口を開く。
「刹那のことばかり心配して、約束を忘れてるんじゃないかって思っただけだよ」
 コックピットに身を乗り出して、アレルヤは言った。ロックオンは
小さく肩を竦めただけだった。
「約束?」
「ほら、やっぱり忘れてる」
 アレルヤがロックオンの前髪を払った。ロックオンはくすくすと笑って
アレルヤの顎に人差し指を当ててくい、と持ち上げる。
「冗談だって。次のオフに買い物に行くんだったな」
「……冗談はよしてくれ」
「何がなくなったんだっけ」

187 名前:アレルヤ×ロックオン3:2007/10/16(火) 23:45:40 ID:XtjaMBR10
「――洗剤とティッシュペーパー、それと牛乳だよ」
 ロックオンの指に顎を預けたままアレルヤが言った。
「ああ、それとゴムも切らしてたな」
「バカを言うな」
 アレルヤが顎に触れるロックオンの手首を握った。そのまま手を払う。
「なんでだ? どうせ俺は家に帰らねえよ。お前だってそれを見越して
買出し付き合えって言ってるんだろう」
「それは……」
 口ごもるアレルヤの前髪を横に梳いてロックオンは口端をゆがめた。
「なら、固いこと言いっこなし……だろ」
 ロックオンのそれが、アレルヤの唇にそっと触れた。柔らかい感触が
アレルヤの唇を湿らせる。
 唇が離れると、アレルヤは恨めしそうにロックオンを見つめる。その頬が
少し赤いのはロックオンの見間違いではないだろう。ロックオンが煽るように
アレルヤの唇をなぞると、今度はアレルヤがそれに導かれるようにロックオンに
口付ける。唇を割り開きながら、アレルヤはロックオンの手袋を外した。
「ふ……ここでやるつもりか? お子様は夜まで待てないみたいだな」
「うるさい。お前が煽ったんだろう、ロック」
 ロックオンのトップスを捲り上げてアレルヤは白く露出した胸に吸い付いた。咄嗟に
ロックオンの肩が震える。アレルヤはそこに紅色の花弁を散らすと、
胸元に小さく屹立する乳首に舌を這わせた。
「……っ」
「声、出すといい」
「……っバカか! あいつらにばれたら……」
「煽ったお前が悪い。僕はもう止めるつもりはない」
「う、あっ」
 屹立した乳首に歯を立てられて、思わず上ずった声をあげてしまった。唇を
噛んで声を抑えようとすると、その唇をこじ開けてアレルヤが侵入してくる。舌を
絡め取られ、吸われ、口内を蹂躪されて唾液を送り込まれた。どちらともつかぬ
唾液がロックオンの顎を伝って胸に染みを作った。

188 名前:アレルヤ×ロックオン4:2007/10/16(火) 23:48:25 ID:XtjaMBR10
「ふ、んん……ん」
 ロックオンの喉元が上下に動いた。零れ落ちた唾液を舌で
掬い取ったアレルヤが己の唇を舐めた。劣情がこみ上げ、
心が満たされず乾いていく。それを潤すのは水でも酒でもない
ロックオン自身だ。アレルヤの眼前で痴態を晒すロックオンを、熱の篭った瞳で見つめ、
ロックオンの下半身を暴いていく。
 ジッパーを下ろす音がコックピットに静かに響く。曝け出されたロックオンの
性器はすでに硬く勃ち上がりはじめている。
 アレルヤは身をずらし、頭を屈めてロックオンの性器を口に含んだ。
「うっく……ふぅ……は、ま、待て!」
「待たない」
 じゅる、といういやらしい音を立てて、アレルヤは亀頭を吸い上げた。裏筋に
舌を這わせて唾液をまぶすように咥えこんでいく。それからすぐに引き抜くと、
ロックオンは恍惚を含んだ溜め息を漏らして表情をゆがめた。
「ちょ、待てって……っ俺、任務中だから風呂入ってな……」
 そう、ここにはシャワールームがなかった。本当であれば、任務後やその前に
メンタルケアとボディケアを含めて待機場所にはシャワールームが設置されるはず
なのだが、いかんせんここは南国の孤島だ。ライフラインが通っていない。水も
飲料水くらいしかなかった。だから次のミッションが終わるまでは身体を清めることが
できなかったのだ。
 情事後の残滓はこの島を流れている小川で軽く拭えることができるため、
心配はいらない。ただ、今はその時間さえも惜しく、ロックオンを初め、
ここにいるメンバーは皆、しばらく身体を清めてはいないのだ。
「せめて口はやめとけって。手だけで平気だから、な……?」
「今更」
 アレルヤは聞かなかった。巧みな口淫で瞬く間にロックオンを昂ぶらせると、
ロックオンの足を開き、そこに身体を割り込ませた。ロックオンのジーンズは
膝辺りまでずり落ちていた。
 ロックオンが鈴口から垂れ流す先走りを指で掬い、ロックオンの後孔に
塗りたくる。ローションが手元にないため、すんなりと挿入できるかどうかアレルヤは
少し不安になったが、ロックオンが焦れたのか、腰を揺すってきたので、
アレルヤはロックオンの後孔に性器を宛がい、一気に穿ちいれた。

189 名前:アレルヤ×ロックオン5:2007/10/16(火) 23:50:12 ID:XtjaMBR10
「――っ」
 ロックオンの顔が苦痛にゆがんだ。アレルヤの背中にしがみつく指に力がこもる。
「き、つ……力を、抜け」
「は……っ無理だっつの……!」
 アレルヤにも、もう余裕など残ってはいなかった。久しぶりに侵入するロックオンの
腸内は腸壁が常に蠢き、アレルヤの怒張に絡み付いてくる。それはまるで最奥へと
誘っているかのようにも思える。腰を引こうとすると、ぐっと締まって離そうとしない。このまま
では埒が明かない。アレルヤが勃起したロックオンの性器を手で上下に扱き上げると、
前に与えられた快楽に意識を奪われたロックオンの身体が弛緩した。その隙に、
アレルヤは腰を動かし始めたのだ。
「く、あっあ……っは、はぁ……あっ」
 久しぶりに受け入れる性器にだんだんと慣れてきたのか、ロックオンはアレルヤに
身体を預けた。亀頭で前立腺を刺激されると、勃起した性器の先端からとめどなく精液が
あふれ出す。無意識のうちに、アレルヤの腰の動きに合わせて腰を揺らしていた。
「腰が揺れているな……っ」
「は……気持ちいいもんは仕方ないだろ……っう、」
 びくり、とロックオンの肩が震えた。アレルヤはそれを見逃さなかった。
 最奥まで一気に穿ちいれて貫く。ロックオンはとどめのように突き刺された強い刺激に
背中を撓らせる。
「あ――……っ!」
 掠れた声と白い喉元を晒して自身の腹に精液を吐き出した。その時の強い締め付けに、
アレルヤもロックオンの下腹部に精液を迸らせた。


190 名前:アレルヤ×ロックオン6:2007/10/16(火) 23:51:03 ID:XtjaMBR10
「は、ぁ……はあ……っは……っ」
 肩で荒い息を整えるロックオンに、アレルヤは手馴れた仕草で
コックピットにおいてあるタオルで軽い後始末を施してやった。
 呼吸が整ったロックオンは、乱れた着衣を整えるアレルヤを恨めしそうに
見つめた。コックピットの背もたれは身体にそって作られて入るものの、
無理な体勢ではそれも意味がない。実際にロックオンは最中、常時背中をしたたかに
打ち付けていたことになる。
「ったく、俺も煽ったのは悪いけどな……結構背中痛いんだぞ」
「――なら今度は、ベッドまでエスコートすればいいだろう。ロック」
 ロックオンの背中に手を回し、アレルヤはくすり、と笑った。



END

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

口調とか定まってなくてごめん

191 名前:風と木の名無しさん:2007/10/16(火) 23:57:29 ID:9m5OlOZM0
>>185
リアルでキター
ロックかわいいよ、ロック

192 名前:風と木の名無しさん:2007/10/17(水) 00:08:59 ID:38gRq6zT0
>>185
アレルヤ×ロックオンモユル!!
GJ!!!


193 名前:18.44mの想い 1 バット視点:2007/10/17(水) 00:09:46 ID:pYzWqyl50
宿題やってたはずがなんか降りてきた
バット→ボール→キャッチャーミット

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

手のひらから緊張が伝わる。ぎりぎりまで追い詰められて動きが鋭くなる。
そう、もっと速く、もっと鋭く、緊張が快感に変わるまで。そうしなきゃ君を捕まえられないだろ?
まっすぐに、時に曲線を描きながらこっちに向かってくる姿は、とても綺麗でひどく冷酷だ。
振り下ろされた腕から伸びてくる君は、わずかに動きが遅れた俺の下で、あるべきところに収まった安心感を見せ付けるように音を立てる。
君が俺を大嫌いなことは知っている。俺だって好きになるつもりなんてなかった。でも。
初めて出会ったときの衝撃を忘れられない。ほんの一瞬ぶつかって君はすぐに離れてしまったけど、強い痛みと芯からの熱さがいつまでも残っていた。
あの感覚をずっと求め続けている。もう一度あの快感を感じられるなら体が壊れてもいい。
君に触れたい。君を捕らえたい。


194 名前:風と木の名無しさん:2007/10/17(水) 00:09:57 ID:yidgqXIGO
>>185ー190
GJGJGJGJGJGJ!!!!!!!!
優しく強気な荒れタンがチャーミングでカワイイ

195 名前:18.44mの想い 2 ボール視点:2007/10/17(水) 00:11:16 ID:pYzWqyl50
指の動きが変わった。あ、落ちるなこれは。大丈夫かなぁ、汚れるの嫌なんだけど。
ゆるやかな動きであなたのもとへと僕は飛ぶ。
ふっと軽いショック。柔らかく包み込まれて僕は僕の居場所に帰ったことを知る。
彼の指が離れてあなたへ向かう間、僕がどれだけ不安なのかわかってる?
失敗したと気付いてもどうしようもないんだ。自分の無力さに泣きたくなる。
下手をすればあいつが僕をどこかにやってしまう。僕は身を任せることしかできない。
力いっぱい抵抗すれば何か変わるのかな。あなたに届くのかな。
あなただけを見ていたい。ずっとあなたの傍にいたい。
あいつになんか触れさせないから、ちゃんと僕を捕まえていてほしい。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

さぁレポートやろうか…。

196 名前:風と木の名無しさん:2007/10/17(水) 00:31:45 ID:cV26uxxs0
>>185
ふぁおふぁおふぁお!!!
アレ、らしいよ!!

197 名前:風と木の名無しさん:2007/10/17(水) 01:56:42 ID:w5w0eo1m0
>193,195
天才現るww
バットとボールの切ない想いに萌えた
ミット視点も読みたいと言ってみる

198 名前:風と木の名無しさん:2007/10/17(水) 02:11:19 ID:zU1C09e8O
>>185
全身禿げ上がるほど萌えた

199 名前:風と木の名無しさん:2007/10/17(水) 02:57:15 ID:mW27cO4O0
>>185
このCPも良いなwと思わせられたSSでした、ありがとう!アレルヤかわいい

200 名前:風と木の名無しさん:2007/10/17(水) 03:01:33 ID:82344vl/0
>>193.195
ボールカワユス! この鈍感・・・!>ミット
 


201 名前:ガンOO ツナと茶 1:2007/10/17(水) 03:19:15 ID:v/wJHPGC0
>>185に触発された&新スレおめ……な割にはエロ全くなし、捏造状態
刹那×ティエリアでもティエリア×刹那でもお好きに。
 
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
 
「何故助けた」
 一瞬、場が凍った。

 ……事前予想とは違った場所に伏兵がいて、運悪くヴァーチェがそれに遭遇し、
偶々主砲斉射後とあって対応が間に合わず、十字砲火のただ中に残されることとなった。
そして、いちはやく事態を察知したのがいちばん近くで掃討にあたっていたエクシアだった。
「おいおい、その言い方はないだろう」
 年長のロックオンはこういうときいつも場を収める方向に動こうとする。
「じゃあ言い換えよう。何故、計画通りに動かない」
 だが、その気遣いをまったく汲まないのがティエリア・アーデという人物だ。
 きつい視線の先にいる刹那は、黙っている。
「そう言うな、結果オーライってことで、な」
「ヴァーチェは多少の砲撃では沈まない。それに、彼の勝手な行動のせいで
計画全体の進行が遅れた」
 エクシアが伏兵を掃討、しかし結果として、極一部の残存兵力に戦闘区域外への退却
を許してしまった。CBの理念をこそ行動の基準にしているティエリアからすれば、
許し難い失態なのだろう。
「ティエリア、全くの失敗というわけではないんだから」
 珍しく穏やかな口調でアレルヤもとりなしに入ったが、ティエリアはぷいと
そっぽを向くとミーティングルームを出て行ってしまった。

202 名前:ガンOO ツナと茶 2:2007/10/17(水) 03:20:12 ID:v/wJHPGC0
「……やれやれ。困ったもんだな」
『コマッタ、コマッタ』
 ロックオンのぼやきにハロが同調する。
「全くだよ」アレルヤも肩をすくめた。
 それに同意するように頷いて、ロックオンは最年少マイスターのほうに向き直る。
「刹那、気にするな……って、あれ?」
 自動ドアが閉じたところだった。
『イッチャッタ、刹那、イッチャッタ』 残されたハロが床を跳ねた。
「あいつ……」

 
「……何」
 無重力空間を流れていくティエリアが、振り向きもせずに言う。
「なんで怒るんだ」
 刹那は床を強く蹴って、それに並ぶ。
「怒ってない。作戦遂行中に余計な事をするなと言っている」
「……でも、余計な事じゃ、ない」
「余計なことだ、エクシアの方が装甲は弱いんだから」
 ティエリアは刹那のほうをちらとも見ない。けれども。
 刹那は再度強く床を蹴って、ティエリアの前に回り込んだ。通せんぼを
するようにうんと手を伸ばして、彼をつかまえる。勢いのまま、
その白い頬に自分の唇を押し当てた。鼻先が眼鏡のつるに当ってすこし痛い。
「……な」
 きつい瞳を、間近でのぞきこむ。
「謝らない」
 それだけ言うのにちょっと勇気が必要だった。息を吸い込むと、
なんとなくいい匂いがして、刹那は嬉しくなる。
「作戦中に私情を持込むな」
 そしてティエリアの口調は、少しだけ、ほんのすこしだけ、さっきよりも柔らかかった。
そんな気がした。

203 名前:ガンOO ツナと茶 3 おしまい:2007/10/17(水) 03:21:21 ID:v/wJHPGC0
「殴り合いとかしてないだろうな、あいつら」
 顔をしかめてロックオンが言うのが、アレルヤには可笑しいらしい。
「何だよ」
「いや、気付いていないんだな、と」
「はぁ?」
『ドンカン!ドンカン!』
 
 
「私情じゃない。近接戦闘ならエクシアの方が向いてる」
「ヴァーチェはあの程度では沈まないといっている」
 刹那がつかんだ手を離しても、ティエリアは離れなかった。
微妙に近い距離のまま、格納庫のほうに流れる。
「囲まれてた癖に」
「どうとでもなった……だから」
ティエリアの顔がうんと近づいたと
思ったら、唇のはしぎりぎりにキスひとつ、刹那は目を閉じるのも忘れてそれを受ける。
「礼は言わない」
 さらりとした髪の感触が頬を撫でていった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
 
ぬるいうえポエミーに喋りすぎですが……

204 名前:風と木の名無しさん:2007/10/17(水) 03:45:34 ID:3dmyOPWk0
>179
ハイパーのエロさにやられてもノノ怪にはまったよ。GJ!

205 名前:風と木の名無しさん:2007/10/17(水) 04:10:22 ID:/6X8tNWrO
>>201
年少組イイヨイイヨイイヨー!!!
茶は外見が16歳設定だから殺と同い年だけど、
殺の年下攻のニオイがプンプンして悶ゆる!!!
+年長組が若いパパママみたいでそっちにも萌えたw
ごちでしたー!


206 名前:風と木の名無しさん:2007/10/17(水) 04:14:51 ID:6jRNV22r0
>>201
ティかわいすぎるよティ
萌えをありがとう

207 名前:風と木の名無しさん:2007/10/17(水) 05:03:11 ID:mW27cO4O0
>>205
殺ってなんだか怖いよw

208 名前:風と木の名無しさん:2007/10/17(水) 06:33:56 ID:FsMtNwgIO
>>201
乙です
二人とも可愛すぎる…!
刹那はよい年下攻めっぽい

209 名前:風と木の名無しさん:2007/10/17(水) 08:33:36 ID:aiCo7s7oO
>>201
GJ!!朝っぱらから禿萌えた。
刹ティいいよ刹ティ

210 名前:風と木の名無しさん:2007/10/17(水) 15:28:02 ID:WgzZSqPTO
>>201
乙です!萌尽きえました…

211 名前:風と木の名無しさん:2007/10/17(水) 15:54:26 ID:KG/5RPy/0
>>201
GJ!GJ!2人とも可愛いな
ツナ茶萌ゆる・・・!

212 名前:ギンタマ:2007/10/17(水) 22:08:25 ID:UuefX1800
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ギンタマ 松陽先生←銀時 
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  登勢←銀要素も含ので要注意
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |

213 名前:ギンタマ 松陽先生←銀時【1】:2007/10/17(水) 22:10:24 ID:UuefX1800
巨大になりすぎた戦禍は、もはやどうすることも出来ずに、また、すべてを失った。

銀色の髪と白い着物に血花を乱れ咲かせた男は、虚ろな表情のまま戦場をただ歩
く。その目には何を映しているのだろうか、はたまた血の色に覆われて何も見えていないのかもしれない。
その手に持つのは、木刀ではなく血脂を纏った刃。
その刀の放つ銀洸は鈍くそれでもまだ煌々と己の存在を誇示するかのごとく光る。


男が歩いて、歩いて、たどり着いた場所はとある墓地。
人知れない誰かの墓石にもたれかかると、そのまま座り込み、頂垂れた。


かつ、

かつ、

かつ、


ふと香りが鼻を掠めたような気がした。
だが自分の血の匂いのような気もして、そのままやり過ごした。

214 名前:ギンタマ 松陽先生←銀時【2】:2007/10/17(水) 22:11:04 ID:UuefX1800
だが今度ははっきりと、老年の女性の足音と共に煙草の匂いが近付いてきた。
やはりそれはひどく嗅ぎ慣れたもので。

男は思い出す。
はじめてこの女性と会ったとき、今と同じ匂いに感じた想いを。
幼少から慕い続けた師が、好んでいた煙管の香りを。
容姿も、性別も、年齢も、何もかも違うけれど、
独りだった自分を包んでくれる香りが同じだった二人は、
同じように自分の大切な人となった。
苦くて、やわからかい煙。


女性は男の坐る墓石の前で立ち止まると、ふーっと長く煙草のけむりを吐き出し
そこにしゃがんだ。


「オーイ、ババー」


女性が墓前で手を合わせお供え物を置き、立ち上がろうとしたとき  
男が項垂れたまま口を開いた。


「それ、まんじゅうか?食べていい?腹減って死にそうなんだ」

215 名前:ギンタマ 松陽先生←銀時【3】:2007/10/17(水) 22:13:31 ID:UuefX1800
「これはアンタにやるために持って来たもんだ。勝手に食いな」

女性がそういうと男は間髪いれずにまんじゅうに貪りついた。
皿に乗った二つのまんじゅうをあっという間に平らげた後、
男はひとりごとだ、と前置きしてから話し始めた。

「新八も、神楽も、ヅラも、高杉も…みんないなくなっちまったよ。
 あ…坂本はいるけど…もう宇宙(うみ)いっちまったし、いねーようなもんだよなぁ…
 真選組(アイツラ)どーしたんかなぁ少しくらいは生きてんのかな…っ…
 ははっ……なぁ、もういいよなぁ…。もう、いいかなぁ…、松陽先生・・・」

女性はただ黙ってその言葉を聞いていた。
男は更に続ける。

「…まんじゅう食ったら眠くなってきちまった。ちょっとここらで一眠りするわ。
 30分経ったら起こして、かーちゃん」

「誰がかーちゃんだィ・・・」

そういうと、男は口元だけでにこりと笑い、ばさっと倒れるようそこに横になった。

男はそのまま、目を覚ますことはなく、文字通り眠るようにゆっくりと息を引き取った。
その表情は、銀色に光る髪に隠れてよくは見えないが、きっと穏やかなものをしているだろう。いや、していてほしい。


「ホントにただ寝てるだけみたいな顔して・・・
 ったく・・・溜まった家賃、払っていけってんだい・・・」




216 名前:ギンタマ 松陽先生←銀時:2007/10/17(水) 22:16:24 ID:UuefX1800
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ オソマツサマデ…
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


今後幕府と天人と攘夷の大戦争が勃発すると仮定してのオハナシ。

217 名前:※ナマ※方式1眉黄身:2007/10/18(木) 03:47:25 ID:oaUf+CAK0

               / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
               | 最近萌えが止まらない眉黄身だよ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  黄身たん誕生日記念だってさ
 | |                | |      \
 | | |> PLAY.       | |        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧   ∧_∧  ∧∧ フダンハノマモノダガ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) モエガトマランノダ
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

218 名前:※ナマ※方式1眉黄身【1/2】:2007/10/18(木) 03:50:49 ID:oaUf+CAK0
【fret】

もうすぐ、今年最後の週末が始まる。
一番吹っ切れた表情で上海を発ったのは黄身だろう。彼には失うものなど、何ひとつ無い。
追われているのはあいつ、何かの歯車が狂ってチャンスを逃して。
俺は、きっと自力ではどうすることも出来なくて。
多分、持てる全ての力を出し切ったとしても、偶然女神がこちらを振り返るのを祈るしかない。
早く日曜日が過ぎてしまえばいいと思ったり、
後の煩わしさを考えると気が滅入るからずっとこのままがいいと思ったり、
そんなインターバル。
空港で電話を掛けたら、俺が一番乗りだったようで
(あの老いぼれも後輩もはるばる電話してきた元同僚も出し抜いた)
火曜の夜は俺のものになった。
あまり飲ませるとお楽しみの前にぐっすり眠ってしまうだろうから、
飲み口が軽くて爽やかで、たくさん量を飲めるもの。
しこたま酒を飲んだ、と自覚できるくらいのもの。
とにかくたくさん揃えて、夕方からベッドの上で酒を飲んだ。

「もっと…」
互いの唇をグラス代わりにし始めてからとうに一時間は経っていた。
黄身の冷たい色の瞳はすっかりとろけて、酒と一緒に俺の舌を吸いながら
鼻にかかった甘い息を漏らしている。
瓶に突っ込んで酒を滴らせた指を含ませてやると、
そのままぴちゃぴちゃと音をさせながらしゃぶる。
「たっぷり飲んだね、黄身」
「んぁ…もう無いの?」
「いや、まだまだあるけどさ。でも本当に飲みたいのはこれじゃないよな」
「ん…そうだね……てっぺんで飲めたら最高なんだけどな」
「は?」
「や、だから、シャンパンの話…でしょ?」
「黄身…俺は、俺は、俺は酒なんかよりもっとイイもんが飲みたいんだよっっ!!」
「ぁ、ふあぁ…っ……!!!」

219 名前:※ナマ※方式1眉黄身【2/2】:2007/10/18(木) 03:52:29 ID:oaUf+CAK0
遠回しのお誘いとか言葉遊びをしながらの誘惑とか、
そういうのは無駄だっていい加減に分かるべきなのに、俺。
ムカつかないでもないけど、たっぷり熟れた体は少しの快感にも従順で、
今まで交わしていた程度のキスでももう黄身は俺を拒めない。

頭の天辺から足の先までたっぷりご奉仕しようと押し倒した時に、
俺の息が触れた首筋に手を当てて小さく震えている彼の額にそっとキスをして、
俺よりまた少し大人になった年上のひとを愛撫すべく体を重ねた。

「やんっ、あ…ぁあっ……も、ダメ、だめ…っ」
「ん、俺もいくよ、黄身、黄身、ど、こに、出して欲、し?また飲、み、たいっ?」
「あ…んあ…ぁっ……き、て…っ……中…ナカにちょ、だ…やあああぁっ…ダメぇ…!!」
真っ赤に上気させた頬をさっと撫でて、
もう言葉らしい言葉を紡げなくなった淫らな唇をまた塞ぐと、
俺はたっぷりと黄身の中に放ったのだった。

日曜日、笑ってシャンパンを飲めるのはたったひとりだけ。
その時このひとの瞼の下の碧は、涙で濡れているんだろうか。

そして、俺は。

身の置き所の無い焦燥感を押し込めるようにして、
今日なら眠りは心地良いかもしれないと、腕の中のまだ熱い体を掻き抱いた。

220 名前:※ナマ※方式1眉黄身:2007/10/18(木) 03:57:03 ID:oaUf+CAK0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ヤマもオチもエロも大したことないな
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  とにかく誕生日おめでとー!
 | |                | |      \
 | | |> STOP.       | |        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ニチヨウビ
 | |                | |           ∧_∧   ∧_∧  ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

221 名前:風と木の名無しさん:2007/10/18(木) 04:09:44 ID:fM9qTNbr0
>>217
姐さァァァァァん!!!
早速駆けつけてきますた!
うわぁぁぁんGJGJGJ!!!もう眉黄身止まらないです。
うっかりシャンパンの話だと思っちゃう天然黄身たんかわゆくて死ねる
眉の強引さとその後の焦燥感とか超萌えますた。
本当にどうなるか、最糸冬戦。今から緊張してますよ

222 名前:風と木の名無しさん:2007/10/18(木) 06:57:26 ID:REr3V3RBO
姐さんGJ!眉黄身たまらんです!
うっかり飲ませ過ぎると寝ちゃう黄身タンかわえぇ。

無茶苦茶楽しみなブラジル前に、
一気に萌え上がらせて頂きました!

223 名前:風と木の名無しさん:2007/10/18(木) 18:15:49 ID:dx2H/zsx0
>>179
エロいっす。
GJ最高。

224 名前:そばに・・・:2007/10/20(土) 01:04:30 ID:nBd4VmjB0
          _________
       |┌───────┐|
       |│l> play.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
   ∧∧
   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   )
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |            ┌‐^──────────────
  └──────│最遊記 カッパ×豚
                └───────────────


225 名前:そばに・・・ 【1/2】:2007/10/20(土) 01:07:12 ID:nBd4VmjB0
夕方から降り始めた雨は、夜になってもまだ降り続いている。

「悟浄、珍しいですね。今夜は出かけないんですか?」
深い緑色の瞳が曇りがちなこんな夜に、おまえを一人残して出かけられない。
「なんとなく、気分じゃねーのよ。」
おまえの顔に、微かな安堵の微笑がもれる。
雨の夜はおまえに何かを思い出させ、不安にさせる。

「コーヒー入れましょうか?」
「ああ、悪ぃね。」
ソファーから立ち上がり、キッチンへ向かう後姿。
細い体、やわらかい髪、白いうなじ。
手を伸ばしたくなる。
腕を取って、引き寄せて、その後はどうする?
あいつは俺をどう思う?


雨の夜、あいつが眠れないのを知っている。
涙を流し、もう居ない、愛しい女の名を呼ぶのを。
けれど、俺は何もできない。

226 名前:そばに・・・ 【2/2】:2007/10/20(土) 01:08:05 ID:nBd4VmjB0
コーヒーの香りと共に、あいつが居間に入ってきた。
「どうぞ。」
「サンキュ。」
コーヒーをすする沈黙の中、雨の音が響く。
「よく降るよなぁ、全く。」
「そうですね。でも、雨の夜も悪くはありませんね。」
「え?」
ちょっと驚いた俺に、あいつは微笑んで言った。
「だって、いつも雨の夜は、あなたがずっと家にいますから。」
あれ?
もしかして、俺の気持ち、バレてる・・・・・・・?
「悟浄も雨の日は出かけるのが億劫になるんですね。僕は話し相手ができて嬉しいですけど。」
・・・・・・・・バレてないか。
ほっとしたような、がっかりしたような。
まあいいや。
それでおまえが喜ぶなら。


俺は何もできない。
けれど、ずっとおまえの傍にいよう。
おまえが一人で泣かないように・・・・・・・

227 名前:そばに・・・:2007/10/20(土) 01:11:20 ID:nBd4VmjB0
          _________
       |┌───────┐|
       |│ロ stop.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]

                 ピッ ∧_∧
                ◇,,(∀・  ) アリガトウゴザイマシタ
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |                                |
  └────────────────┘

6年前に作ったまま、PCの中で眠っていたSSを発掘しました。
ここで公表させてください。

228 名前:某所オフ会:2007/10/20(土) 17:16:07 ID:KuaW3eGI0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  モデルはいるけどほとんど捏造妄想モナー。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|   フリーダムな社会人×ハイテンション萌え青年のオフ会
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |


初めて投下するのでズレなどありましたら申しわけありません。

229 名前:某所オフ会 1/3:2007/10/20(土) 17:16:45 ID:KuaW3eGI0
きっかけはWWWの中のごく辺境で活動していた二人が元ネタのためかネタが過ぎるためか何かとセットにされることになったことだった。
そこから組んでみようと連絡を取るようになり、どうせなら会ってみよう、という流れになった。
ネットで知り合った顔も本名も知らない二人が実際に会う、というのは犯罪の匂いのするものだが、互いに成人を越した男だから問題ない

だろう。
ということで、互いの住居の中間点に近い駅で俺たちは待ち合わせることになった。
(……20分前)
改札を出て時間を確認したところ、早めに、と考えていたにしてもJR1本分は早かった。
まあ何もない田舎ではあるまいしその辺で時間をつぶそう。
と、思いながらも何気なく待ち合わせ場所であるモニュメントの前を見る。
「……え、あれ」
万が一にもトラブルがないようにと互いの顔も写メしなかったが、そのままだと見つけるのに困るので、家を出る直前に首から下だけは写

メを交換した。
あれは結構シュールだったよなとか思いつつも、お陰ですぐにわかったのだから滑稽なりに良いアイディアだったと言える。
「あの、すみません」
それでも間違っていたら恥ずかしいことこの上ないのでやや遠慮がちに顔を覗き込むと、首から下をまず見られてぱっと表情が輝いた。
「あ、もしかして『トモ』さん?」
「じゃあやっぱり……」
「はい、初めまして……でいいのかな? 『ユキ』です」
にっこりと微笑んだその姿はあまりに普通の一般人だったので、俺にとってはかなり予想外だった。

230 名前:某所オフ会 2/3:2007/10/20(土) 17:18:08 ID:KuaW3eGI0
近くの喫茶店に入り俺と同じくコーヒーを注文したユキさんは、待たせたことを謝った俺に激しく首を振った。
「全然! ていうか俺が早く来過ぎちゃったんだし、ゴメンね」
そんなことないですと俺は否定する。
というかこの人はいつからいたのだろう。
あの様子では『ちょうど今来たところ』ではなさそうだ。
「あの、ユキさんはいつから待ってたんです?」
「え、俺? うーん、30分くらい前かなぁ」
ってことは待ち合わせ時間から50分前ってことか。
そうかそうかって早すぎだろ!
「何か昨日の夜からドキドキしてきちゃって」
遠足とか運動会の前の日には興奮して寝れないタイプなんだなと納得する。
ユキはえへへ、といかにも照れくさいですっていう笑いをしてコーヒーをすすった。
なんというか、これは狙ってるのか?
元々というかネット上ではアレだし、狙ってるんだよな?
「……何か俺、変ですか?」
「いや、むしろフツーでビックリしたと言いますか」
外見はフツーよりもやや上の所謂J系のしかもどちらかというと可愛らしい部類に入る。
服装も初対面の人間に会うのに派手でもなく、地味でもない。
本当にフツーの人だ。
「……もしかして、俺のこと、いつもああだと思ってた?」
どう返答したらよいものか散々悩んで結局俺は頷いた。
「メールでもテンション高いもんねぇ、俺」
「……はい」

231 名前:某所オフ会 3/3:2007/10/20(土) 17:18:57 ID:KuaW3eGI0
全体的にかなりはっちゃけてるイメージがあったのでリアルでも多少そうかなと思っていたのは事実だ。
まあ俺もはっちゃけてたんだけど、メールでは割と普通だったつもりだ。
「一応俺だって、いつでもどこでもああじゃないですよ」
「はぁ」
「あ、でも俺タメ混じりでしゃべっちゃってますね」
「ああ、全然構いませんよ……て、俺もタメでしゃべったほうがいいのか」
「うん、呼び捨てでいいし、広島弁でもいいよ」
「あはは」
さすがにそれだと何言ってるかわからなくなったら困るのでやめておこう。
それから俺たちは活動についての話とか、全く関係ない他愛のない話をした。
話すとユキはフツーにプラスアルファしてかなりの弟属性であることがわかった。
当人曰く、
「狙ってるわけじゃないけど女性には『萌え属性』って言われるんだよね」
だからああいうキャラでやってるとのことで。
その割にはユルめの口調やらちょっとした仕草やらがどう見ても狙ってる。
コーヒーおかわりじゃなくてパフェ食べてもいいかなとか割り勘なのに伺いを立ててみたり、俺が甘いものは嫌いじゃないと言えば食べてみるかとスプーン差し出してみたり。
それをやって許されるのは可愛らしい女の子だけなはずなのに、妙に許せてしまうのは何なんだ。
「ごちそうさまでした!」
満足げな様子でスプーンを置いたユキは一息ついてからはっと気づいた。
「しまった! また昼メシの前にパフェ食べちゃった!」
とりあえず突っ込んでもいいですか?
そして大して年も変わらない目の前の成人男性に萌えていいですか?
正直、会ったのは失敗かもしれない。

232 名前:某所オフ会:2007/10/20(土) 17:20:17 ID:KuaW3eGI0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ モエガボウソウシタワリニ×ニモナリキラナカタヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


案の定1つ目で改行ミスしてしまいすいませんでした。

233 名前:サタデープレミアムより:2007/10/20(土) 23:28:00 ID:upq1DZOHO
>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!



彼の瞳には揺るぎない正義が宿っている。
それを真正面から向き直れる人物は少ない。何故なら、彼の揺るぎない正義の元では人は自分の卑怯な部分を暴かれる。まるで鏡の如く。
故に彼は疎んじられる。完全な正義を持つ者など少ないから。彼と真っ直ぐに対峙できるとき、人は本当の正義を知る。

真っ直ぐに伸びた背筋、逸らさない視線。
漆黒に身を固めた正義の味方。不器用な英雄。
彼の正義に触れたものは、おののいて排除にかかるか、その正義を共に貫こうと茨の道を行く。
そこに揺るぎない正義と勇気があれば。

彼は人を魅了していく。
その揺るぎない信念でもって。
いつか人は知るだろう。彼こそが正義そのものだと。人として必要なものは何かと。

その時、きっと世界は変わる。
漆黒のコートを翻すその人と、彼を信じ走り続ける者達の手によって。




STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
勢いで書いた。後悔はしていない。

234 名前:風と木の名無しさん:2007/10/20(土) 23:49:59 ID:scZ1xE5Q0
>>233
容疑者だな(つД`)
緑のコートの彼もがんがれ

235 名前:風と木の名無しさん:2007/10/21(日) 00:42:17 ID:V35xN28bO
>>124
GJ!GJ!みっちーカワユス!

236 名前:風と木の名無しさん:2007/10/21(日) 01:27:09 ID:XjAKEnzL0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  東京瓦斯CM。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  心から番外編を所望する。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |


237 名前:1/2:2007/10/21(日) 01:27:44 ID:XjAKEnzL0
「彼」はいつも突然やってきて、同じように唐突に帰っていく。
それが僕らの関係の常だった。

そして、その彼というのは…

「腹へったー!」

何の前触れもなくクローゼットのドアが「内側から」豪快に開いた。

「また来たよ」

俺は「タイムマシンクローゼット」を彼が開くのは3度目なので、
さすがに驚かなかったんだ。この時は、まだ。

「なんか作ってよぉ〜」
「相変わらず勝手だなぁ」

彼、信長さんは思い出したようなタイミング(たいてい俺が調理道具を新調したとき)に現れる。
今回もまたお得意の野生のカンで出てきたものとばかり俺は思っていたんだ。
いつものように腹をすかせた彼に、最新の調理器具(こだわりコンロ)で料理を作ってもてなす。
彼は感嘆した様子で、満足げに帰っていく。
その繰り返しだった。今までは。
しかし、今回帰る間際に彼が笑顔で言った一言は…。

238 名前:2/2:2007/10/21(日) 01:28:45 ID:XjAKEnzL0
「じゃー俺、本能寺戻るわ」
「えっ?どこですって?」
「本能寺」
「…いや、そこには戻らないほうが」

俺はとっさに引き止めるべきか迷って、中途半端な助言をした。
しかし彼はすでにクローゼットのドアを開けていて、思いついたように何かを投げてよこした。

「お前にやるよ」

今まで何かくれたことなんて一度もなかったのに。手の中のそれは、印籠だった。
しかも裏にプリクラ。
彼があまりにも興味を示したので一度だけ二人で撮ったのだ。
鎧武者の格好の彼は目立ったし、恥ずかしかった。
まさか、こんなところに貼っていたなんて知らなかった。
俺は、正直何を言えばいいのかわからなかった。
顔を見上げると、彼はものすごい笑顔だった。半端なく。

「信長さん」
「達者でなっ」

彼はそう言うが早いか、さっさとクローゼットの中に入ってしまった。
俺は一瞬引き止めるべきだったという思いで胸がつぶれそうになったけれど、彼の笑顔を思い出して、やっぱりこれでよかったんだと思った。

「…達者でな」

239 名前:風と木の名無しさん:2007/10/21(日) 01:29:41 ID:XjAKEnzL0
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ツヅキガキニナルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


240 名前:風と木の名無しさん:2007/10/21(日) 01:35:10 ID:nUTQRyd70
>>236
商品から萌えまでGJGJG!


241 名前:風と木の名無しさん:2007/10/21(日) 01:37:51 ID:WSU3jxjM0
>>239
これ切ない
切ないよね

242 名前:風と木の名無しさん:2007/10/21(日) 01:41:30 ID:QXGmKbvr0
>239
ちょっと涙出てきた
ほんとに続編作ってほしいよ

243 名前:風と木の名無しさん:2007/10/21(日) 01:44:27 ID:pwkVJHFaO
>>239
GJ!
さっきこのCM見たら泣けた。
笑顔で別れるとことか切なすぎる(;д;)

244 名前:風と木の名無しさん:2007/10/21(日) 02:40:34 ID:nc/V+c5Q0
>>239
全私が泣いた
GJ!!

245 名前:風と木の名無しさん:2007/10/21(日) 02:55:10 ID:LxWVwUhG0
感動してる中申し訳ない>>239、GJ!CMさっき見て泣きそうだ

「NABURI遊☆戯☆」のニノリクに萌えたので、書いてしまったSSだ。
長くスレ占拠するので、コソーリ。
エンディングネタバレ含むので、注意。エロなし。
二/宮/×結/城/なので、お気をつけあれ。

では
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

246 名前:NABURI遊☆戯ニノリク1:2007/10/21(日) 02:56:01 ID:LxWVwUhG0
中毒、君。

長い間、路地で抱き合った。
体温を、共有しあうことなんて、いつもしていたことなのに、たった一日離れただけで、こういう風になるだんて、やっぱり僕はどこかおかしいに違いない。
ぐるぐる回って、結局、二宮の腕の中。
その香水の馨りにクラリときて。
ああ、此れが嗅ぎ慣れた馨りだなんて、僕はもう―。

華やかなクラブに、戻ると、結城とのことは何も無かったかのような事に思えた。
同窓会があって、馬鹿騒ぎして。
そうだ。
何も無かったのだと、錯覚した。
現実は。
結城を脅して、挙句に強姦して―女じゃないから、おかしいけれど、そうとしか云いようがないから、此処は便宜上―そして、軟禁した。
そのくせ、こころだけはどうしても、縛り付けられなくて。
せめて体だけでも、手に入れたいから。
でも、どうしようもならなかった。
だから、あんなふうに、自殺未遂みたいなことまでされた。
それで、努めて明るく別れたつもりだった。
もう逢うこともないのかと思うと、何故か悲しかった。
泣いたことなんて、無いのに、少し溢れてきたものを、抑えられなくて、帰りの電車で少し泣いた。
まるで、恋愛映画の悲劇の主人公きどりだ。
そのくせ、やっていることは、犯罪まがいで。
馬鹿馬鹿しい。
だが、どうしても感情を抑えられなくなって、もう連絡も取れないように。
携帯をへし折って捨てた。
メモリーも何もかも、どうだって良かった。
結城と連絡がとれないようになれれば、どうでも良かった。
こんな薄い、携帯でしか連絡手段を持っていなくて。

247 名前:NABURI遊☆戯ニノリク2:2007/10/21(日) 02:56:38 ID:LxWVwUhG0
何処にもいけない関係など、こんな風に捨ててしまうのが、お似合いだった。
結城と別れたその足で、クラブに向かう。
いつもと同じ、風景なのに、其処には何もないように思えた。
ありきたりな表現をすれば、ぽっかりと、穴が開いたかのように。
兎も角、全てを忘れたくて、振り切りたくて、酒を飲んだ。
結局、明け方、正体をなくすまで、飲んだ。
何を喋ったのかとか、覚えていない。
ただ、そんなことをしてももう、戻ってはこないことを、思った。
携帯も無いまま、オールした体で、自室のソファで泥のように眠った。
明日になれば、全てのことを、忘れられたらいいのになんて、都合のよいことを考えて。
時が解決してくれるのを、待つしかないなんて。
その夜も、いつものクラブに出かけた。
退廃した場所のように思える。
あれほど、心地の良かった音楽も、耳障りに思えた。
きっと、直ぐ元に戻る。
確信は無かったけれど、そう思うしか術を知らなくて。
何人かと、つるんで、いつものように、女遊びをする。
それしか―…。
「二宮」
ふと、結城に呼ばれたような気がした。
こんな処に、いる筈ないのに。
それなのに、視線は、結城を捉えていた。
あまりにも、都合のいい錯視に驚く。
考えるよりも先に、体が動く。
ああ。
重病だ。
話しかけてきた男を、いなしながら、幻覚に向かって歩き出す。
それは、幻覚でもなんでもなく、結城本人だった。
後は、夢中で覚えていない。


248 名前:NABURI遊☆戯ニノリク3:2007/10/21(日) 02:57:52 ID:LxWVwUhG0
結城の甘い、その癖鼻につかない馨りを、何度も反復する。
ああ、このままずっと結城を抱きしめてられればいいのに。
「結城―」
そっと、廻した手を、どけもしない結城に、ただ甘えて。
今は、他のことがどうでも良かった。
俺と、結城がこうしている以外、どうでも良い。
「二宮に、たくさん話したいことがあるんだ」
「しばらく、このままでいさせてくれよ」
「うん」
真剣なこととか、重たいって。
そう思っていた自分が、嘘のようで。
一日しか離れていなかったのに、どうしようもなく、結城が欲しい。
まさか、こんな処で、事に至れる訳でもないので、ぎゅっと抱きしめる。
「二宮、苦しい、よ」
「悪ぃ…」
手放すと、何処かにいってしまいそうで。
こっちも聞きたいことが山ほどあった。
どうしてあんな目にあって、戻ってきたのか、とか。
どうしてこんな処にいるのか、とか。
ああ、もうどうでもいいか。
「戻らなくていいの」
「別に、俺なんか、戻らなくても平気だろ。結城こそ、どうして、こんな処に?」
戻らなくたって、別に問題はない。
「二宮を、止めなくちゃって思って、その、乱交?とかいうの」
「―…」
そんなことまで、知ってるのか。
喋った奴―ミサキにでも会いにいったのか。
分からないが、勘でそんなことを思った。


249 名前:NABURI遊☆戯ニノリク4:2007/10/21(日) 02:58:44 ID:LxWVwUhG0
「勿論、それだけじゃないけど。でも―」
「今は、何も話すなよ…」
それは、野暮だ。
まだ、何か、話そうとする、結城の唇を塞ぐ。
柔らかな感触に、覚えのある感覚に、何かを覚える。
甘い。
結城は、馨りだけではなく、唇も甘いような気がする。
ああ、きっとこのまま、中毒になっていくに違いない。
別に、それでも構わない。


250 名前:NABURI遊☆戯ニノリク5:2007/10/21(日) 02:59:27 ID:LxWVwUhG0
場所を変えて、僕の部屋まで行った。
電車の中じゃ、お互い何も喋らなかった。
たくさん、言いたいことがあった。
ミサキちゃんが、本当に二宮のことが好きなこと。
どうして、僕が二宮の処に戻ってきたのかということも、説明しなくちゃいけないのに。
それなのに、言葉が上手く出てこなくて。
ただ、電車の中―比較的、空いている電車で―で、繋いだ手だけが、暖かくて。
恥ずかしいのに、どうしても離せない。
どうしよう。
こんなこと、はじめてで。
二宮と再会してからは、何もかもがはじめてで。
その全てに、翻弄されいる。
でも、これだけは確かだ。
僕は、二宮が欲しい。
それは、僕の中に芽生えたはじめての、欲望。
だから、二宮のことを、いろいろ知りたいんだ。
電車を降りて、家までつくころ。
やっぱりまだ、手は繋いだままで。
こんなところ、誰かに見られたら、何て思われるだろう?
でも、どうでも良かった。
勝手知ったる様子で、二宮がキーをあける。
僕の安アパートは、僕が出て行ったときと、なんら変わらない。
ただ、変わったのは、この場所に、二宮がいるってこと。

251 名前:NABURI遊☆戯ニノリク6:2007/10/21(日) 03:00:03 ID:LxWVwUhG0
「二宮、僕話さなくちゃ…ミサキちゃんに、全部聞いたよ」
「乱交のことまで?」
「うん。薬、使ってるって。三日間戻って来れなかったひともいるって。だから心配になって―二宮が、薬漬けになっちゃって…それで」
上手く、説明できない。
自分のせいで、二宮が薬漬けになって、廃人になっちゃうかもだなんて、自意識過剰だ。
「馬鹿。そんなことになるかよ」
「で、も…」
「結城がこなかったら、そうなってたかも、しれないけどな」
「二宮…」
呆気なく、言わないで欲しい。
こっちは本気で心配してたのに。
「心配してくれてたのかよ―…」
「うん。ミサキちゃんも心配してたよ。ミサキちゃんは…二宮の事…」
「そこから先は、いうなよ―…」
二宮の唇に、ふさがれる。
さっきから、ずっとそうだ。
でも、抗議はしない。
僕だって、二宮とキスしたいから、だから。
「お前と、ここでこうしてる以外、今はどうだっていい」
「うん―…」
そのまま、床に倒される。
二宮の、くらくらとするような馨りに、そのまま、惑わされて。
ただ、この感覚の懐かしさに、溺れて。

252 名前:NABURI遊☆戯ニノリク7:2007/10/21(日) 03:00:37 ID:LxWVwUhG0
行為が終わった後、ふたりで、布団の中にいた。
結城の子どもみたいな足と、俺の脚を絡ませて。
少し労わったつもりだったけれど、平気だっただろうか。
「大丈夫か、結城」
「うん。平気」
そういえば、いつもセックスが終わった後、後始末をして帰ってしまっていたので、こうして、布団で寛ぐことは滅多にない。
結城の甘い、甘い馨りにむせかえりそうになる。
本人は、全く自覚がない。
俺も、甘い馨りは苦手だけれど、これだけは平気だ。
くたんとしている、結城がかわいくて。
「二宮、どうして、僕が呼んだのに気づいたの?あんなに騒がしかったのに」
確かに、音楽が掛かっている、騒々しい中じゃ結城の声なんかに気づく筈が無い。
なのに、どうしてだろう。
「さぁ?お前が呼んだから、としか答えらんねーけど」
「そっか」
「お前に呼ばれたような気がしたんだ。もう二度と、会えないのかと…思ってた」
二度と会えないように、携帯までへし折った、自分の労力は何だったのだろうと、思う。
でも、こうしてまた―。
「結城、明日暇?」
「うん。冬休み、だから特にやることないよ」
「ケータイ、買いにいくの付き合ってくれよ」
「いいよ…って、二宮、携帯壊しちゃったの?」
「あ―…そのなんつうの…」
かっこ悪くて、云いたくない。
結城の前で、無理にかっこつける必要なんて、ないけれど。
けれど、恥ずかしいような気がした。
「お前が、連絡取れないように、折った」
「!」

253 名前:NABURI遊☆戯ニノリク8:2007/10/21(日) 03:06:29 ID:LxWVwUhG0
「ガキ、みたいだろ」
本当に、結城といると子どもに戻ったみたいだ。
それは、本人には決して云えないけれど。
「そんなこと、ないよ」
「で、どうして、俺のところに戻ってきたんだよ。お前、自由になれたんだからな。それを不意にしちゃって、いいのかよ」
「うん。昨日の夜、二宮の馨りが懐かしくて、それで少し泣いたんだ。忘れようとしたのに、この部屋にいるとどうしても二宮のこと思い出しちゃって」
「それで?」
「体が勝手に、動いてた。ミサキちゃんから、二宮がどこにいるか聞いたよ。ね、二宮」
こいつに二宮っていわれると、まるでドラッグのように作用する。
「一つだけ、約束してよ。もう、乱交とか、ドラッグとか、やらないで…ミサキちゃんも心配してたよ」
「お前はどうなんだよ」
「心配、だよ」
「分かった。もう二度としない」
そのせいで、友人たちと、少しぎくしゃくしても構わないと思った。
結城を、ずっと傍においておく為の条件にしては、生易しい。
束縛とか、重いし。
そう考えていたのに、今はそれがとても心地いい。
今日、幾度目かになるキスをした。
結城の唇は、柔らかくて、弾力がある。
誰にも、触らせない。
「一緒に、風呂入る?」
「うん。ね、二宮」
結城が、次に云いそうな言葉を、勝手に補完して。
そのまま、塞ぐ。
理由だとか、そんなもの後付で構わないから。
だから、このまま、中毒でいさせてくれよ。
そして、それはずっと冷めないで、いて欲しい。

254 名前:風と木の名無しさん:2007/10/21(日) 03:08:13 ID:LxWVwUhG0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

全部貼ってから伏せ忘れに気がついたorz
保管してくださる方、伏せてくだされorz
すません、半年ROMりますorz

255 名前:風と木の名無しさん:2007/10/21(日) 06:07:58 ID:Bi30n4ii0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | |> PLAY.      | |
 | |                | |           ∧_∧ 半ナマ? 日曜朝・単車乗リ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 不運主人公×ツンデレ赤鬼
 | |                | |       ◇⊂    ) __  主人公がめっちゃ黒いです
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

256 名前:不運の子×神の果物 1/3:2007/10/21(日) 06:09:00 ID:Bi30n4ii0
 逆立った髪をゆっくりと梳く。整髪料を使っていないにも関わらず、強情に後ろへと流れる黒髪。一筋入った赤。
 疲れきった、そしてどこかあどけない寝顔。今は閉じられた瞼の奥には、燃える炎よりもつよい色が存在するはずだ。
 同じ体を素体としているはずなのに、顔立ちまで違って見える。実に不思議だ。
 身じろぎをしかけ、彼が目元を歪めた。痛むのだろうか。
 無理もない、元々の機能とは別のことをさせたのだ。身体も悲鳴を上げて当然。

 ……災難だね、こんな僕に惚れてしまって。
 こんな僕に、惚れられてしまって。

 もう何時間も前、欲望を叩きつけた時の、愕然とした彼の表情がまざまざと蘇る。
 そう、僕は皆を騙している。優しい青年、成長しきっていない純真な少年のフリ。
 この不運体質で、どうして汚されることがなかったと言える? 男の味なんて、屈辱と共に刻み付けられたのは一度きりじゃない。
 だからこそ、彼を抱きたくなったのかもしれない。
 本当の純粋さを持つ彼に、この醜さを見せ付けたらどうなるのか。欲望と、単なる興味。


 僕はいつか、君を傷付ける。
 別れは容赦無く僕らの間を切り裂き、永遠が悠々と寝そべるだろう。
 僕は君のことを記憶の彼方に封じ込めて、二度と思い出すこともなくなる。
 君を……君と過ごした日々を、君からの想いを……君への想いを。
 それでも……それでも君は、僕に真っ直ぐな想いを向けてくれるの?



257 名前:黒い不運の子×神の果物 2/3:2007/10/21(日) 06:10:19 ID:Bi30n4ii0
「……りょ、たろ…?」
 微かな呻きと共に、彼がうっすらと目を開く。
 虚ろなそれが、僕を捉えた。
「ど、したん、だ?」
 散々啼かせたせいか、ひどく聞き取りにくい声をしている。この様子では喉も痛むに違いない。
「ん? 何が?」
「……、まえ……泣いてんじゃ、ねーか……」
 泣いている?
 僕のものとも彼のものとも判断がつかない、汗と体液にまみれた肌。乾きかけて粘度を持ったそこに、新たに流れる雫などないのに。
「そん、な、哀し……かお、すんな……」
 意識を保つのも苦労だろうに、彼は僕へと手を伸ばした。頬を包むように、そっと撫でてくれる。

 ああ、君は未だ……

 半覚醒でしかないことを示す、光を宿さない瞳。血よりも濃く、夕陽よりも澄んだ……まるで磨かれる前の宝石のような。
 最上級のルビーは鳩の血の色をしている、と言っていたのは誰だったろう。
 平和の使者が流す血の色。それが最も気高い宝石だというならば。
 闘いに焦がれる君の血は、身も心も焼け付くような紅なのだろうか。
 仄暗い焔が身の内で揺らめく。
 確かめたい。その一心で、僕の頬に伸ばされた彼の手を掴む。
 口許にもっていって、所有印の残る手首に唇を寄せる。

258 名前:不運の子×神の果物 3/3:2007/10/21(日) 06:17:43 ID:Bi30n4ii0
 ぼんやりとどこか不思議そうにしていた彼は、突然走った鋭い痛みに肩を震わせた。
「りょ、たろっ……何を……っ」
 批難の声なんて聞こえない。その震えは、僕を捕らえているという歓喜でしょう?
 噛み切った皮膚を伝う命の脈動。それを舌ですくい取る。
 嗚呼、なんて甘い。
「や、め……っ! そんなの、美味く、ないっ……」
「自分で確かめてみたら?」
 ほら、と彼の命を含んだまま、彼の唇を塞ぐ。
 力ずくで顎を捉え、強引に歯列へ割り入る。舌を絡ませあえば、抵抗する気力などとうに潰えた彼はなすがまま。
 嚥下出来ない唾液が血と混ざり合い、ひとつになった口腔を満たす。終には口端から薄紅色となって首筋へ伝う。
 充分に彼と彼の体液とを味わってから解放してやれば、呼吸を乱した彼は喘ぐように喉元を晒した。
 その白い肌に、僕は再び歯をたてる。
「っ……いっ……ぁ…!」
 わざと音を立てて啜ってやれば、彼の身体は思い出したように熱を持ち始めた。
「りょ、た……も……やめ……!」
「気持ちイイくせに」
 昏い笑みが僕を彩る。
 恐怖と色情と歓喜に双眸を染めて、彼はゆるゆると首を振った。

 素直じゃないなぁ。
 本当に嫌なら、君は最初に唇を奪った時に殴るなりなんなりしてくれたはずだろう?
 今この瞬間にだって、君には僕を殺すくらいの力はあるはずじゃないか。
 それなのに、こうして組み敷かれている。



259 名前:不運の子×神の果物 4/3:2007/10/21(日) 06:18:44 ID:Bi30n4ii0


 なんて莫迦な君。
 ……なんて莫迦な僕。


 僕は熱に煽られるまま、また彼を追い立てる。
 上り詰めさせて、奪って、傷つける。

 そうして壊れてしまえばいいんだ。
 僕の底知れぬ闇も、君の眩しい光も。
 そうしたら、そこには原初の混沌だけが残るでしょう?
 そうしたら……僕たちは、ひとつでいられる。



260 名前:不運の子×神の果物:2007/10/21(日) 06:20:29 ID:Bi30n4ii0

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 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ オーバーしてしまった、ぐぉめんなさぁぁい!
 | |                | |     ピッ   (・∀・;)衝動的にイメージ(妄想)が暴走しました
 | |                | |       ◇⊂    ) __ こんなんですが一応全員の幸せ願ってます
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



261 名前:風と木の名無しさん:2007/10/21(日) 11:37:11 ID:umqAcxSL0
>>239
まさかこのCMで来るとはwwwwwwwGJwwwwwwww

262 名前:2埋?埋2? Spa! Spa! Spa!:2007/10/21(日) 20:38:11 ID:GZpRgOgd0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  駄作だけども
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  ちょっとでも楽しんでもらえるといいな
 | |                | |             \
 | | |> PLAY..       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚)
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |

263 名前:2埋?埋2? Spa! Spa! Spa! 1/4:2007/10/21(日) 20:40:36 ID:GZpRgOgd0
ぱっちん!
指を鳴らせば、宙に浮いたシルクハットからお湯が滝のように降ってくる。
「便利だよねぇ」
湯船につかっている真/吾は、洗髪を終えたメフィ/スト2/世にそう声をかけた。
「悪魔くんも使うか?」
「僕はもう洗っちゃったでしょ」
つい数分前のことを思い出し、真/吾は少しばかり頬を赤らめる。目を開いていられない上に両手が塞がっているのをいい事に、この悪魔ときたら脇腹は擽るわ、キスはするわ、怪しげなことを言いまくるわ、あまりにも自由過ぎたのだ。
2/世も頭を洗うというから、さあ反撃だと思っていたら……まあ何ともあっさりとした洗髪で。
「寄って寄って」
「ん」
さして広くない湯船に、二人で仲良く収まる。追い出された湯がばしゃばしゃと零れて、排水溝に消えていった。
「あー勿体無い」
「後で足してやるよ」
共に戦っていた頃はそう感じなかったこの湯船も、この所はいやに狭い。真/吾は元より、2/世もかなり背が伸びた。当然、体積が増すわけで。
前はふざけ合うスペースがあったそこが、今はもう両手両足をきちんと縮めていないととても二人では入れない。
じゃあ何故入るの、と言われても困るのだが。
「やっぱ、キミんちのお風呂がいいなぁ」
大人しく湯船に収まった形の真/吾が呟くと、同じく窮屈そうにする2/世が振り向く。

264 名前:2埋?埋2? Spa! Spa! Spa! 2/4:2007/10/21(日) 20:43:06 ID:GZpRgOgd0
「そうかぁ?俺はこっちのがいいけどなぁ」
「狭いのに?」
間髪あけずに返すと、2/世は畳んでいた両腕を伸ばし思い切り伸びをした。
「だってよぉ。広すぎんだよ」
豪邸というより城に近い彼の家には、相応しい大きな浴室がある。浴室というよりも浴場、風呂と呼ぶにはあまりにも広く、豪華で、荘厳だ。
初めて彼の家の風呂に入ったとき、真/吾は思わず泳ぎまわって2/世に笑われてしまった。それくらい、広いのだ。
「だって、キミんとこなら、もっとゆったり出来るでしょ?ウチじゃあ、1人でももうのんびりゆったりなんて出来ないよ」
そこに2人で入っておいて何を言うのかという話だが、真/吾はそう言ってへらりと笑う。だが一方の2/世は、少し寂しげな顔をして真/吾を見るばかり。
「俺、こっちのがいいや。やっぱ」
「ふうん?」
少し手を伸ばせば触れられる位置にいるその人に無理な笑みを向け、2/世はちゃぷちゃぷと湯を揺らした。
「だってさ、こんだけ狭いと、スグ傍じゃん」
「?」
「1人でもいっぱいだし」
何を言い出すのかと、真/吾は小首を傾げて言葉の続きを待つ。湯に沈んだ自分の手を見詰める2/世は、ふっと息を吐いて最後の言葉を零した。
「あっちだと、1人だと辛いんだよな。広すぎて」
ああ、と声を漏らし、真/吾は2/世の横顔に見入った。
広い広い豪邸。召使が沢山いる、広い広い邸宅。
その中で、メフィストフェレスを名乗るのはたった2人。
父を除けば、後は総て自分よりも下の存在ばかり。
そんな中で、1人であの広い風呂に……

265 名前:2埋?埋2? Spa! Spa! Spa! 3/4:2007/10/21(日) 20:46:04 ID:GZpRgOgd0
「ごめん」
「別に悪魔くんは悪くないだろ?」
沈んだ気持ちを受け取ってしまった真/吾に、2/世は慌ててフォローを入れる。だが真/吾がすぐに微笑むはずも無い。
「メフィストがいつも一緒に入れたらいいのにね」
悲しい顔が行き来しないようにと、真/吾は笑って見せる。だがそれが無理をしているものだというのは言うまでもなく。
「親父は、色々忙しいからな」
「……だよね」
ちゃぷん、とお湯が鳴く。狭い狭い浴室に、2人の小さな息遣いばかりが満ちていく。
「そうだ!」
「うお!?」
ざぶん!
唐突に大きな声を上げた真/吾は、立ち上がって手を打つや2/世に飛びついた。湯が跳ねて、大きな音が浴室中に響く。
「じゃあさ、僕が一緒に入ってあげるよ」
湯の中でぴったり密着した真/吾の言葉に、2/世は更に目を丸める。
「お、おいおい」
「それなら、寂しくないでしょう?」
真/吾は解っている。自分がのこのこと彼の家に行って、一緒に風呂に入ろうものなら、それだけでは済まない事くらい。
それでもそう告げたのは、果たして。
「ちゃんとキミが、僕の送り迎えをしてくれるんなら、一緒に入ってもいいよ?」
腕の下に押さえ込んだ心臓が早鐘を打つのを感じながら、真/吾は更に顔を近付ける。
驚きで目を丸める2/世は、それでもそろりそろりと手を伸ばして真/吾の尻を包み込む。それに抵抗せずに、真/吾は相手の鼻先に口付けた。
「どう?」
「どうも何も、そんなの、俺、風呂だけじゃ済まないぜ?」

266 名前:2埋?埋2? Spa! Spa! Spa! 4/4:2007/10/21(日) 20:48:28 ID:GZpRgOgd0
真円を描いていた目がいつもの光を取り戻すと、2/世は口角をくいっと持ち上げて手の中の柔肉を揉み込んだ。
「知ってるよ。あ!だから、僕が帰らなきゃいけない日はちゃんと帰してくれる事!これが約束できないならダメ」
2/世が唇を突き出すと、真/吾も同じように唇を突き出す。先端が触れるだけのキスをして、2/世は再び口角を上げる。
「いーぜ。んじゃ早速」
「きゃー★」

この日から、真/吾の入浴が遅いと母がぼやくようになって。
百目が、一人寝は寂しいとエツ子の部屋に行くようになって。
真/吾と2/世が妙にツヤツヤしだしたとか。

「はーいメフィ/スト家行き直行バスのお時間ですよー」
「はーいvv」


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 | |                | |           ∧_∧ お目汚し失礼しました。
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267 名前:風と木の名無しさん:2007/10/21(日) 21:18:55 ID:I3ErYo6u0
>>255

あああああなんかえらいもん読んじゃったなコレ……
乙。超乙です。
価値観ひっくりかえしてくれてありがとう。

268 名前:御神酒徳利 ガッ10×ショタ:2007/10/21(日) 21:29:21 ID:mDm3phLp0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ナマ ラクGO家 ガッテンシショー ×ショタシショー
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| +昇天の紫&緑
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 前回レス下さった姐さん方ありがとう
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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269 名前:御神酒徳利 ガッ10×ショタ 1/5:2007/10/21(日) 21:30:15 ID:mDm3phLp0
電話を受けたのは、収録が終わって間もない楽屋で、だった。

シノさんが明け方に帰っていった『あの』雪の日以来、
一度電話で喋ったきりで、特に深い話はしなかった。
狸寝入りしてたから俺の方からあの事に触れられないのもあったけれど、
何時もと変わらぬシノさんの態度にほっとしたのも事実だった。
あの後も、少ししてからさも今起きましたという体を装った俺に、
シノさんは何も問いはしなかった。
本当に眠っていたと信じていたのかどうか。確かめる術はない。
だらだらと話をしながら始発までうちにいて、明け切らない冬の真っ暗な
朝の中をシノさんは足元を気にして白い息を吐きながら帰っていった。
雪はまだ残っていた。
玄関から見送った黒いコートの背中がまだ俺の中では鮮明で、
それはひょっとしたら一生鮮明なまんまかもって気がした。
ほんの僅か、絶妙なバランスにあった俺の中にあるシノさんへの感情の針が
片方に振れた瞬間だったからだ。
遠くにいて浮かぶシノさんのイメージは、煙草に酒に文庫本。
あのオヤジを言い表すには中々的確なアイテムだって自分で思うけど、
そこにあの後姿が加わった。ちょっと猫背気味で、足元を気にしながら遠ざかる姿。
シノさんの用件だった明日時間あるなら会おうという誘いにそれでも
二つ返事でOKを出し電話を切った後に、少しばかりぼーっとしてしまったのは、
多分そのイメージは頭から追い出せなかった所為だろう。

270 名前:御神酒徳利 ガッ10×ショタ 2/5:2007/10/21(日) 21:30:50 ID:mDm3phLp0
「……どうしたんだい、アンタ」
落ち着いた声が、意識を現実へと向けさせる。慌ててまだ深緑の着物を着たままで
煙草を燻らせている御大の方へと顔を向けた。
「ちょっとぼーっとしちゃってて」
「それは見てたらわかるよ。珍しいねぇ、いい娘からの電話かい?」
「そんないいもんじゃありませんよ。同業者からですから」
「ふぅん」
俺の言葉に疑われる様な部分があったとも思えないけれど、御大は面白そうに
眉を上げる。食えない。ほんっと食えない。骨ばってるからか?
長年世の中を見渡してきた御大の目はやけに澄んでいて、こっちの心の中なんて
軽く見通してきそうだった。
「あんたの同業者の交遊録に、若い女性は載ってたっけなぁ」
「本当に違いますって。ほらぁ」
のんびりとした口調のカマに、だらだらと言い訳をしていても埒が明かないと
携帯を突き出して着信履歴を示す。すると御大の表情が一転して
つまらなさそうに変わった。すぅっと一つ大きく煙を吸い込むと、
灰皿に煙草を押し付けながら言う。
「何だつまんないね。折角からかうネタが出来かと思ったのに」
「そんなに色っぽい電話に見えましたか? 例えば俺がニヤニヤしてたとか」
絶対に有り得ないと分かりつつも、尋ねるのには勇気が必要だった。
万が一ってあるじゃない。
「違うよ。醸し出す雰囲気で分かるじゃないか。まぁ、
アンタと蓼川んとこのとは一緒に旅に行く位仲が良いらしいからねぇ」
「もうラブラブですから。師匠とラク太郎兄さんみたいなもんですよ」


271 名前:御神酒徳利 ガッ10×ショタ 3/5:2007/10/21(日) 21:31:57 ID:mDm3phLp0
動揺を誤魔化したくて口から出たのが方向性の間違った単語。ラブラブってなんだよ!
それじゃぁ駄目じゃんっと背中に冷たい汗が流れる感じがする。
一瞬妙な間が開いたものの、師匠は平然と「あぁ、そうだね」と呟いた。
「要するに、御神酒徳利みたいなもんだろう? ラブラブってぇのは」
「そうそう、そうです」
うわー、食いつき過ぎだよ俺!
でも流石に御大。年の功というか噺家だからか、喩えが洒脱だ。
一対であるという説明に御神酒徳利を持ってくるんだもんなぁ。
御大と我らが団長との関係を喩えのなら、その言葉はよく似合った。
座布団の上での貶し合いというのは信頼関係がないと出来ないもので、
御大は腹黒団長を『公私』の『私』の方でも可愛がっている。付き合いが長いから、
弟子みたいなもんだろうって勝手に思っているけれど、それもあながち
間違いじゃないみたいだし。
御大が二本目の煙草に火を点け様としたけれど、ライターが見当たらないらしく
辺りをきょろきょろと見回した。
「あたしのライター見なかったかい?」
「先刻はどれで火を点けたんですか?」
「自分のでだよ。その辺に置いたと思っていたんだけどねぇ」
捜すお手伝いをしようと灰皿の近くに手を伸ばしかけた時、背後からすっと
伸びた手が灰皿の向こう側の湯呑みの裏にあったものを掴んだ。
座ったままの上体で首を捻ると、団長が何処か余裕を感じさせるにぃっって笑いで
俺を一瞥してから御大へと向き直る。ぐっと握った手の平を仰向けにしながら
御大の見易い様に突き出すと、茶目っ気たっぷりにゆっくりと一本一本指を解いた。


272 名前:御神酒徳利 ガッ10×ショタ 4/5:2007/10/21(日) 21:32:39 ID:mDm3phLp0
「はい、師匠。お探しはこれでしょ」
「あぁ、よく分かったね、ラクさん」
御大は手品みたいに現れたライターに薄く笑いながら、ちらりと団長に
上目遣い気味に視線を投げた。
先刻まで少し離れた所でタイちゃんと話してた筈なのに、良く気が付く人だなぁ。
「そりゃぁ、まぁ」
言いながら団長はそのままライターを握ると、しゅっと音を立てて火を
起こしてみせる。自然な動作で御大は骨ばった指から唇へと煙草を移し
火に近付けて目を細めると美味しそうに煙を吸い込んだ。
紫煙が吐き出されるのを確認してから、団長は首を少し曲げ御大の顔を
覗きこみながら柔らかいトーンの声で尋ねる。
「やめる筈だった煙草、美味いですか?」
「あぁ美味いよ。あんたに点けてもらうと、美味さ倍増だね」
「師匠が禁煙を失敗されたのは、俺の所為じゃありませんよ」
「悪いもの程やめられないもんだね。あんたも俺を早死にさせたきゃ、
せっせと火を点けてくれればいいよ」
「じゃぁ今後一生点けません。っていうよりも、早死にって歳ですか」
「そりゃそうだ」
珍しく素直な団長の言葉に頬を緩めながら御大がフィルターを吸う度に、
煙草の先が仄かに赤くなる。
蛍みたいだった。
いつぞや飛行機の禁煙席で目の前にある背もたれの向こうは喫煙席なのにと
、目隠しの毛布を被ってまで喫煙をしていたシノさんの不機嫌そうな
しかめっ面が思い浮かんで、一瞬頬が緩みそうになった。

273 名前:御神酒徳利 ガッ10×ショタ 5/5:2007/10/21(日) 21:33:11 ID:mDm3phLp0
あれはもう、面白いというか可愛いというか、絶妙だったね。
御大なそんな俺を素早く見咎める。
「何笑ってんのさ」
「いやいや、仲良き事は美しきかな〜って思いまして」
「そりゃもう仲良しですよ」
当たり前の事を口にする団長の言葉を引き継ぐ様に、御大が唇を笑みの形にして
言い放つ。
「あんたとシノ介さん位にはラブラブですからね」
意趣返しの意味が分かったのは勿論俺だけで、突然のラブラブ発言に団長は目を
丸くして俺達二人を交互に見た。
この状況で俺に出来る事はと捜して、肩を竦めて苦笑を零して見せる。
「あぁ、御神酒徳利ですからね」
俺の返しは非常に弱くて、それがまたツボに嵌ったらしく勝ち誇った様に
声を上げて御大は笑った。
俺が年を取ってじぃちゃんになったとしても、この人みたいにはなれそうにない。
親指が無意識にさっきまでシノさんと繋がっていた筈の携帯のディスプレイを
つるりと撫でた。

274 名前:御神酒徳利 ガッ10×ショタ:2007/10/21(日) 21:34:46 ID:mDm3phLp0

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ひょっとしたら後2話ほど
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )  お付き合いお願いするやもしれません
 | |                | |       ◇⊂    ) __   その時はよろしくお願い致します
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



275 名前:某光CM:2007/10/21(日) 21:58:05 ID:3qeVrpRC0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

コーヒーを入れたカップを両手に一つずつ持って、彼の元へ行く。
最近、ちょっと、何かと気になって、いろいろかまってしまうのだけれど。

「なかいくん、コーヒー」

右手に持ったカップを差し出したら、ちょうどその瞬間に、どこかで電話が鳴った。
どこか。
彼の、膝の上で。

ああ、いつものバイトか。

最初こそ驚いたけれど、もう慣れっこになってしまって、電話が終わるのを待つ。
待つ間に、コーヒーを一口二口、口にした。
ロケのコーヒーだけど、けっこう美味しい。

電話が終わって、彼のちょんまげが元に戻る。
戻りきれなかったのに気をとられていたから、あれは、無意識なんだ。

気付けば、彼が持っているカップの色は茶色。
手に残っているカップは、緑。
さっき飲んだカップは……茶色だ。

電話に夢中だったから、たぶん彼は気付いてもいない。
ひっそりと、唇がゆるむのを感じた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

どちらがどちらというわけでもなく、気付いてしまったので。
お目汚し失礼いたしました。

276 名前:モノノ怪+夢幻紳士:2007/10/21(日) 22:35:55 ID:IIdlomw60

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  モノノ怪+高橋葉介「夢幻紳士(青年版)」だって
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 海坊主の二ノ幕中だと思ってくださいってさ
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) イッカイ ナラベテミタカッタンダ
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |



277 名前:震々(ぶるぶる)モノノ怪 1/5:2007/10/21(日) 22:37:10 ID:IIdlomw60
震々(ぶるぶる)
 ぶるぶる又ぞヾ神とも臆病神ともいふ。人おそるヽ事あれば、身戦慄してぞつとする事あり。これ
此神のゑりもとにつきし也。
                     ──鳥山石燕 今昔画図続百鬼

『おぉまえのぉぅぉ、ぃいちばんおそろしいものはぁああ、なぁんだぁぁぁ!』
 海のアヤカシが問う。自分の唇が答えを告げる。
「薬売りさんッ!」
 少女の悲鳴がどこかで響く。かき鳴らされる、魔物の弦。幻をもたらす鎖が額を貫き、一瞬の、は
げしい苦痛と酩酊感をもたらす。視界が暗くなる。目をあげれば、ただ闇。手をかざせば、その手指
が徐々に闇にほどけていく。腕が、手足が、侵食する虚無と、温度さえない無感覚に呑みこまれてい
くのを感じる。
 目を閉じる。目の裏の闇にすら、真の暗黒、無の深淵が流れこんでくる。意識が遠ざかる。その意
識の残滓すら、春の雪のように、溶けて消える。中身を失った着物が崩れ落ち、鏡が転がる。
 その音すらも、無い。ここには何も無い。虚無。形も、真も、理もない世界。
 そして、やがてはその虚無すらも、存在しなくなる──。

「──はて」
 暗黒の中に、男の声は場違いに陽気に響いた。
「僕はまた、いったい誰の夢に迷いこんでいるのかね。ちょっと人と待ち合わせをしていて──でき
ればご婦人を、お待たせしたくはないんだが」
 漆黒の無のただ中に、そこだけ光るように白く、顔と両手が浮いていた。
 実際には闇にまぎれる黒ずくめの、この時代には存在せぬ洒落た洋装をまとい、顔の下には三角に
刳れた上着の襟の線に切りとられた、大きく襞を取ったシャツの白。つば広の、やはり黒の帽子を伊
達者らしく傾けて、いぶかるように中空を見る。
「できればこの夢の主に出てきてもらって、出口を教えてもらいたいんだが。このままじゃ、本当に
約束に遅れてしまう。──おや」

278 名前:震々(ぶるぶる)モノノ怪 2/5:2007/10/21(日) 22:37:56 ID:IIdlomw60
 かたたたたたた、かたたたたた、と、遠いどこかで音がする。
 どこかせっぱつまった空気を感じさせるその音に、男はしばらくじっと耳をすまし、
「うむ──ああ。ははあ」と声に出してうなずいた。冷たいほどに整った、女性めいて美しい顔が、
にやりと不穏な笑みを浮かべる。
「良く判った。では、しばらくはつき合おう」
 上着のポケットから煙草を取りだし、器用な手つきでくわえて火をつける。一瞬、暖かな橙色の光
があたりを照らし、すぐに消える。男はうまそうに煙を吹く。紫煙がゆらりと、闇に漂う。
「むかしどこかで、こういうことを言った詩人だか、小説家だかが居た。──『恐怖を克服するのに
もっともいい方法は、自分が、その恐怖そのものになることだ』、とね」
 かたたた、かたたた、とどこかで音がしている。
 男はかまわずに話を続ける。
「だが、恐怖と愉悦とは双子の兄弟、いや、ほぼ同一のものだという説がある。例として、同じ場所
で、同じ恐怖に襲われた男女は、その後、恋に落ちることがあるそうだ。恐怖が生存本能、というよ
り、生物としての子孫存続の本能を呼びさまし、その結果、脳内物質が恋愛という生殖のためのスイ
ッチを押すのだと言われているがね」
 また、ふっと煙を吐く。
「──僕はそれは、違うと思う」
 星のような煙草の火がちらちらとまたたく。
「人間は何故、怖がるのか。それは、いろいろな理由が考えられるだろう。死の恐怖。自分がこの世
に存在しなくなる恐怖。肉体を傷つけられる、苦痛への恐怖。さまざまな喪失への、孤独への恐怖。
ここでいちいち挙げるいとまもないほど、恐怖には、ありとあらゆる理由がある。だが、たいていの
場合、見過ごされる恐怖の理由がある。──人はね」
 かたたた、かたたた、とせっぱ詰まった音が鳴りつづける。
 形のいい唇に、剃刀のような笑みが浮かぶ。

279 名前:震々(ぶるぶる)モノノ怪 3/5:2007/10/21(日) 22:38:40 ID:IIdlomw60
「人は、そう、──怖がりたいから、怖がるのさ」
 ──かた、と音が止まった。
「恐怖とは、人間の抱く感情の中でももっとも強いものの一つだ」
 骨までしみる沈黙の中、男はまったく動じずに、悠揚と煙草を吹かす。
「なにしろ生存本能に直結しているからね。山で木の実をあさっていた猿の時代から、恐怖は人間に
とりついて離れない。だが、猿が猿でなくなり、馬鹿な知恵をつけておたがいの腹の中をさぐり合い
するような、小賢しい真似をするようになってから、人はいろいろな動機と方法で、自分の中に眠る
欲求をなんとかして隠そうとするようになった。自分からも、他人からもね。恐怖はその、もっとも
大きな道具の一つだ。なにしろ、たいがいの人間にとっては、〈自分の欲望をありのままに目にする
こと〉以上に、恐ろしいものはないのだから──そして人は、恐怖と一体化する。
 人は恐怖し、そして、──恐怖を愉悦する」
 男の、わずかに笑みを含んだ声ばかりが響いた。
「さあ、君の恐怖はなんだった? 『形も、真も、理もない世界が、存在するのを知るのが怖い』
か? そして君はそれを知り、一体化し、この世界の無の一部となったわけだ。
 どんな気分かね? 嬉しいか? もう怖くはないか? それとも一体化したその恐怖の、愉悦に浸
っているところか? もっとも、問うても答える口はなかろうが」
 ふーっ、と男は煙を吹いた。
 どこか、どこかはるか遠くで、かすかに身じろぎする者の気配がした。
「さて、君がそれほど恐怖するほどに、望んだものは何だったのか。自らの消滅? だが、それだけ
ではなさそうだ。現にあそこで、まだ消えずに気をもんでいる者が居る」
 煙草をはさんだ指をあげて、黒い男ははるか頭上を指さした。
 がたん、と激しい物音が響いた。がた、がたたたた、と、最初は小さかった物音が、しだいに強さ
を増してくる。
「背を向けるほうの痛みが強いか、それとも、背を向けられる者のほうが痛いか」
 しみじみと男は言った。

280 名前:震々(ぶるぶる)モノノ怪 4/5:2007/10/21(日) 22:39:36 ID:IIdlomw60
「そんなことは僕の知ったこっちゃない、が、どうやら君にとっては重大問題なようだ。
 ──いつか、君と〈彼〉と出会えなくなる日が来るかもしれない」
 どこかで何者かが息をひそめている。追いつめられた獣のようなそのわずかな気配に、狼のように
男は笑った。
「──どこまでも続くこの世の果てに、形も、真も、理も存在しなくなり、もはや一瞬なりと〈彼〉
と触れあえる機会さえ、なくなるかもしれない。あるいは、自分よりも先に、〈彼〉のほうが消えて
しまうかもしれない。
 そうなる前にいっそ、自分の方が先に消えてしまえば、どんなに安心だろう、いつか来る痛みを、
孤独を、怖れずに済むだろう──と、そういうことかね?」
 頭上の轟音は、大勢が高下駄で床を踏み鳴らすよう。
 男はちらりと上を見あげ、にっと唇の端をつり上げて、煙草の火を暗闇に差しつけて、
「夢の理、──恐怖の理。恐怖の、愉悦の、この場の『真』と『理』──見切った。あとは形だ。そ
ら出ろ、『形』」
 ふーっと長く紫煙を吹く。
 吹き払われるように闇が消え、片ひざついた薬売りの男の姿がそこに現れる。
 指一本、髪一筋欠けるところもなかったが、長く引いた鮮やかな袖と帯は足もとに力なくしおた
れ、あたかも氷雨にうたれた胡蝶のよう。下から見あげる紅を差した目もとは、どこか怨ずるようで
もある。
 男は苦笑する。
「そんな目で見ないでほしいね、なんだか妙な気分になっちまう。そっちの趣味はないはずなんだが」
「……非道い人ですね。あなた」
 ごく低く、薬売りは呟く。
 その短い言葉にどれだけの意がこめられているかは、おそらく彼と、彼の目の前にいる、黒い男だ
けが知っている。
「うん。良く言われる」

281 名前:震々(ぶるぶる)モノノ怪 5/5:2007/10/21(日) 22:40:16 ID:IIdlomw60
 平然と返して、男は新しい煙草に火をつけた。
「それよりとっとと夢から醒めて、僕をここから出してくれないか。本当に約束の時間に遅れそうな
んだ。それに、君の片割れは、気短な上に嫉妬深いらしい。〈彼〉と喧嘩をするはめにはなりたくな
いのでね」
 と上をさせば、頭上の音はもはや暗闇そのものを叩き壊さんばかりに、ごんごんごうごう、まるで
吠え猛る野獣のよう。
 薬売りは黙って目をそらし、片手をあげて、裾を払う。無言のままで指をさし、この夢からの出口
を示す。
「ああ、ありがとう。それじゃ」
「待ってください」
 くわえ煙草で帽子に手をあて、踵を返した黒衣の背中に、追うように声をかける。
「あなたの名は。──名は、何とおっしゃるんです」
「──僕の名前は」
 ほんの一瞬足を止めて、黒衣の男は振り返る。
 玲瓏と白い端正な顔に、小悪魔めいた微笑が広がる。
「夢幻です」
 言い果てて、はや姿もない。笑みを含んだ声の、谺ばかりが愉しげに、
「夢幻、──魔実也というのですよ」

282 名前:モノノ怪+夢幻紳士 :2007/10/21(日) 22:41:26 ID:IIdlomw60

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )  オソマツサマデシタ
 | |                | |       ◇⊂    ) __  
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


283 名前:風と木の名無しさん:2007/10/21(日) 22:51:08 ID:EfyaAR040
>>276
GJ過ぎてコメントが思いつかん

284 名前:風と木の名無しさん:2007/10/21(日) 23:06:32 ID:CtbFD3Ft0
>>276
すごいや…。
幻想編・逢魔編の筆画調魔.実.也とモノノ怪の絵柄が
脳内で違和感なく共存して動いてた
高橋風薬売りも妖美・美麗
本当に魔.実のシリーズにこんな作品がありそうだよ
GJでした!

285 名前:風と木の名無しさん:2007/10/21(日) 23:12:22 ID:Vty368oC0
>>268
GJです姐さん!
うまく言えないけどこう・・・空気感?
ゆるやかに暖かくてもうごちそうさまです!

286 名前:風と木の名無しさん:2007/10/21(日) 23:19:22 ID:uJ8qUu2m0
>276
これはすげえ…
暴かれる側に立つ薬売りっていうのも良いものだなぁ。
GJ!

287 名前:風と木の名無しさん:2007/10/21(日) 23:38:45 ID:JZgO1mPa0
亀だけど>>239のCM、さっき初めて見て
涙腺崩壊した。まじGJ

288 名前:風と木の名無しさん:2007/10/21(日) 23:39:43 ID:ZAH/8g09O
>>276
くそう……魔.実.也が分からない自分は負け組だo| ̄|_

そんなことよりGJ!

289 名前:風と木の名無しさん:2007/10/21(日) 23:49:08 ID:QXGmKbvr0
>274
gjgj
紫と緑も萌えました

290 名前:風と木の名無しさん:2007/10/21(日) 23:55:12 ID:ooV8GwwX0
>>239
そのCMサイトで見てきた。
泣ける…GJ!!

291 名前:風と木の名無しさん:2007/10/21(日) 23:56:31 ID:IHFNtNXO0
>>276
自分はモノノ怪の方を知らないけど、充分萌えた!GJ!

292 名前:風と木の名無しさん:2007/10/22(月) 00:01:44 ID:Y4rNm3Xt0
>>276
すっごーーい・・・こんなこともできるのか
二次創作の可能性をみた!ありがとう

293 名前:風と木の名無しさん:2007/10/22(月) 00:46:41 ID:niHZMotj0
>>239
狂おしいほどGJGJ!!!
これ読んだ後にもう一度CM見たら
涙倍増したよ。・゚・(つД`)・゚・。

294 名前:風と木の名無しさん:2007/10/22(月) 00:51:18 ID:4BpSpvZU0
>>239
うぉわあああああ超GJ
泣ける……

295 名前:風と木の名無しさん:2007/10/22(月) 01:25:49 ID:is5h5+Jp0
>>239
地方者なので、サイトでCMを見てきたよ!
GJ。・゚・(ノД`)・゚・。!!

296 名前:風と木の名無しさん:2007/10/22(月) 01:45:30 ID:1nSmC6UeO
亀レスだが>>228
GJ!
社会人も青年も可愛いよ

そして、二人の元ネタが何となく分かってしまった
あの二人は確かに萌える

297 名前:風と木の名無しさん:2007/10/22(月) 01:52:28 ID:3bf6zq/m0
>>276
ちょっと称えさせてくれないか。

姐さん凄い。超凄い。文章で夢幻紳士再現だけでも神業なのにモノノ怪と両立って。
読みながら何度叫んだかわからん。息も止まりそうなのに叫ばずにいられないなんて初めてだ。
とにかくGJ。超GJ。

298 名前:風と木の名無しさん:2007/10/22(月) 02:32:11 ID:xAb2sZz9O
>>274
針が振れる感にトキメいた。どうもありがと。

299 名前:風と木の名無しさん:2007/10/22(月) 04:00:24 ID:RgmcRZjr0
>>274
GJ萌えました
コテソラクGOがお題なのもナイス
次も期待

300 名前:風と木の名無しさん:2007/10/22(月) 09:30:39 ID:c0AWgxLEO
亀だが217姐さんgjgjgjgj!!!!!
たまたま2自体久々に覗いたら眉黄身キテター!
なんと黄身タンチャンプの日に読んだなんて幸せすぐる!
ありがとー(;´Д`)
是非是非また拝見させて下さい!

301 名前:風と木の名無しさん:2007/10/22(月) 11:36:30 ID:pNPUhaYt0
>>245
GJ!まさかここでお目にかかれるとは思わなかったよ。
たまには見に来てみるもんだ(つд`)

302 名前:風と木の名無しさん:2007/10/22(月) 12:01:07 ID:8ynk9+Uk0
>>276
GJ!まさかのコラボ、ありがとう

303 名前:風と木の名無しさん:2007/10/22(月) 12:53:58 ID:se6l+6kYO
>>266
メフィストの声が聞こえてくるよ*゜.+・.(゚∀゚).+.゜*
GJ〜

304 名前:誰寝 残業手当:2007/10/22(月) 19:38:32 ID:NwaFFpyTO
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

漫画「誰/も/寝/て/は/な/ら/ぬ」
ユンボ×バスです。

305 名前:誰寝 残業手当 1:2007/10/22(月) 19:47:44 ID:NwaFFpyTO
山田さんにキスされた。酒の味がした。


週明け締切の雑誌レイアウトが未だまとまっていない金曜の夜、休日出勤するくらいならと泊まり込みで作業することにした。
普段はあまりオフィスに顔を出さない山田さんも仕上げたい作業があるらしく、黙々と机に向かっていた、はずなのだが。


306 名前:誰寝 残業手当 2:2007/10/22(月) 19:49:45 ID:NwaFFpyTO
酔っているせいなのか、妙に熱い唇が僕の息を塞いだ。
僕は、鼻で息をすればいいということを忘れてしまった。
行き場をなくして戸惑っていた腕ごと、体を抱き締められる。僕の身体は完全に硬直してしまった。

唇を合わせるだけのキスが、長く続く。

…仕事場にアルコールを置くのはよくなかった。
多分貰い物で置きっぱなしのものなんだろうけど、ここの人たちの中には酒グセの宜しくない人が何人かいる。
いくら泊まり込みで、もう仕事はカタがついたからって、一人で飲むのは構わないけれど、こういうのは…

307 名前:誰寝 残業手当 3:2007/10/22(月) 19:53:09 ID:NwaFFpyTO
やっと唇が解放されて、僕と山田さんは思い切り息を吸い込んだ。
このままもう一度キスされたり、押し倒されたりしてあんなことこんなこと…と恐ろしい想像を馳せてしまった僕は、避けなくてはと山田さんの様子を窺った。
しかし、山田さんの表情は先ほどまでと違うものだった。

山田さんは僕からゆっくり体を離すと、何度かまばたきをした。

「…俺、おまえにキスした?」
まるで他人事のように言い放った山田さんの顔面に一発入れるべきかと思ったが、そこは抑えた。
「しましたよ!」
「…あー……悪ィ。俺、酔うとたまに惚れやすくなんだよ…」
「ほ…惚れ…?」


308 名前:誰寝 残業手当 4:2007/10/22(月) 19:55:40 ID:NwaFFpyTO
聞けば、以前悪酔いした時にもヨリさんにメロメロになり、手にキスしていたらしい。

「で、彼女の家に着いたとたん酔いが醒めちゃって、正気に戻ったワケよ」
「じゃあ今のは…」
「唇離して深呼吸したら醒めた」
「………」

…気が抜けた。

僕はまだ仕事が残っているパソコンの画面と、山田さんの顔を交互ににらみつけた。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
gdgdですみません。
この二人はかわいすぎる…!

309 名前:風と木の名無しさん:2007/10/22(月) 20:01:18 ID:JWRk9ZzG0
>308
まさかこのカプが読めるとは思わなくてびっくりしたww

310 名前:球体の悪夢0/7(00ビリ公):2007/10/22(月) 22:47:44 ID:42THuDXk0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  G00ビリ公れす
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  まだ3話だからいろいろ設定捏造はヌルーよろ
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄





311 名前:球体の悪夢1/7:2007/10/22(月) 22:48:22 ID:42THuDXk0
――これは、まだ彼があの光をまとうモビルスーツに出会うより少し前の夜。



「失礼します。ビリー・カタギリ技術顧問殿、少々ご足労願えますか」
 困り切った表情の兵士が、ビリー・カタギリの個室のドアを叩いた。
 今日の局地戦のデータが続々と上がってきていたモニターから目を離して、彼はふり返る。
「お仕事中に失礼かとは存じますが、その……、グラハム・エーカー中尉が、フラッグから
降りていらっしゃらないので、整備兵が困っております。戦闘からは華々しい戦果を挙げ、
お見事に帰還されましたので、お体に大事はないかと思いますが、我々としても心配で……。
僭越ながら、カタギリ技術顧問殿のお力添えを願いたくあります」
 グラハム中尉とカタギリが長いつきあいであるのは、MSWAD内でも周知の事実である。
それに、彼がこの手の要請を受けたのは、これがはじめてのことではなかった。
 また、か。カタギリは内心で溜息をつきながらもそれを表には出さず、立ちあがる。
「わかった。君たちは下がっていい。あとは私が面倒を見る。――戦闘後のグラハム中尉殿が、
少々扱いに困るのはいつものことだ、そうだろう?」
「はっ……、それでは、失礼いたします」
 安堵の表情で、兵士は退室していく。カタギリは外していた眼鏡をかけ直し、今度こそ大き
く息を吐いた。

312 名前:球体の悪夢2/7:2007/10/22(月) 22:49:03 ID:42THuDXk0
 ――そう。これがはじめてでは、ない。
 精鋭揃いのMSWADの中でも、誰もが認める凄腕のエースパイロットとは、グラハム・エー
カー中尉をおいて他にない。これまでにあげた戦果は数知れず。腕だけではなく、頭脳戦にお
いても切れ者と名高く、その華やかで凛々しい容姿もあって、軍内部でも一目置かれる存在だ。
 瑕疵といえるのはひとつだけ。彼は、戦闘中においては、普段の冷静沈着な態度から一変し
て、過激で攻撃的な性格になってしまう。それはパイロットとしては必要な資質なのかもしれ
ず、命令には従うし、作戦行動が度を越すということもない、ただ人格が多少変化するだけな
のだから何の問題もないのかもしれない。戦闘記録データにも、パイロットの生体情報と操作
記録しか残らないのだから、たまたま何度かコクピット映像をモニタリングしたことのある、
担当技術顧問のカタギリ以外には、おそらくあのふるまいは知られてはいないだろう。
 ただ、戦闘を重ねるにつれて、徐々にそれが悪化している様子なのは気に掛かった。戦闘が
終わっても、なかなか興奮状態がさめないようで、落ちついてコクピットから出てくるのに時
間がかかる。すぐに出てきても、抑えきれない気持ちの昂ぶりが態度に表れてしまい、周囲の
人間を戸惑わせる。それを本人も自覚しているのだろう。最近はますます、相当の時間が経た
なければフラッグを降りなくなっていた。
 そんな時、いつも呼ばれるのは、明るいように見えて意外に親密な人付き合いをしないグラ
ハムの、数少ない友人のような存在である自分なのだ。

「エーカー中尉。私だ。聞こえているんだろう。――開けてくれ」
 グラハムが平常の精神状態ではなかったとしても、軍人として最低限の原則を失うことはな
い。外部からの連絡は通じていると判断して、カタギリはコクピットまで伸ばされたタラップ
を上がる。
 少し間があって、――ハッチが、開いた。しかしグラハムはシートから動かない。
 肩がわずかに上下している。息が、荒い。メットのまま俯いた彼の表情は全く窺うことがで
きない。カタギリは意を決して、コクピットに入る。同時に、再びハッチが閉められた。
 つかの間、内部は暗闇に落ちる。

313 名前:球体の悪夢3/7:2007/10/22(月) 22:49:37 ID:42THuDXk0
 ややあって全天周モニタの電源がオンにされ、視界が回復した時、グラハムはメットを外し
ていた。
「中尉ーー、」
 目が、酩酊したように虚ろだった。危険だ、と本能的に察した瞬間、シートから立ちあがっ
たグラハムが、身動きできずにしゃがみ込んでいたカタギリに体重を預けてのしかかる。
「大丈夫か、エーカー中尉、……グラハム、」
 熱っぽい唇に噛みつかれて、息が止まりそうになる。
 ぐいぐいと、遠慮なく口内を侵略してくる舌。絡みついてくる火照った四肢。パイロットスー
ツを己ではだけて、グラハムは性急にカタギリのベルトを外す。股間に滑り込んでくる手。な
おも重ねられる唇の、湿った音。
「んっ、……グラハム、」
 首筋を甘噛みし、喉を舐めあげて、耳孔に舌を押し込んでくる。指先で性器を強く刺激しな
がらのその行為に、体は否応なしに反応させられ、腰に重い熱が溜まる。
 ――これも、はじめてではなかった。幾度目になるのか。ただ戦闘後のコクピット内でだけ、
理性を失った、空っぽの、けれどどこか切実な目で、グラハムは体を求めてくる。それが単純
な脳内麻薬による欲情なのか、それとも他の何かなのか、考える暇さえカタギリには与えられ
ていなかった。
「はぁっ、……ん、あっ、」
 火照る自分の幹を、カタギリのそれに擦りつけながら、しどけなくグラハムが喘ぐ。
 ただ、迫り来る熱のあまりの甘さに、呆気なく抵抗も自制心も剥ぎ取られる。行為に応じる
ことが正しいのかさえ、わからないままただグラハムに跨がられている。それは、眩暈がする
ほどの快楽だった。性的には淡泊な方だとさえ、自分のことを思っていた。それが驚くほどに
煽られて、気がつけば、軍人にしては小柄だが、鍛え抜かれたグラハムの体を貪るようにまさ
ぐってさえいる。その愛撫に応え、白いグラハムの肌はじっとりと汗ばんで、仄かな朱に染まっ
ていく。

314 名前:球体の悪夢4/7:2007/10/22(月) 22:50:08 ID:42THuDXk0
「あ、は、……っ、」
 グラハムは乱れながらカタギリの手を掴み、その指を何か乞うように舐めて、脚の間に誘導
する。眩しい金髪をしっとりと濡らして、切なげに目を覗き込まれれば、もうカタギリに逆ら
うすべなどなかった。
 指を滑らせ、軽く解して、中を探りかければ、もうそれでいいというようにグラハムが首を
振る。慣らされることなどどうでもいい、ただ早くと、幼くだだをこねるように先を乞うしぐ
さ。続いて、自分から腰を持ち上げ、カタギリの下腹部に手を添えて、自分で性器を沈めよう
とする。
 さすがに苦しげに眉が歪み、けれどやめようとはせずに、強引にカタギリを奥まで飲み込む
と、はじめて安堵したように、息をひとつ吐いた。
「……グラハム」
 名前を呼んでも、反応はない。いつだって行為の最中はそうだ。ただうっとりと、グラハム
の目が細められ、腕がカタギリの首に絡みつく。自分で腰を揺らし、ただ己の快楽に没頭して
ゆく、淫蕩な体がそこにはあるばかり。
 ならばとこちらからも一方的なリズムで腰を突き上げてやれば、高い声をあげてグラハムが
のけ反る。カタギリの腕にしがみつき、なおも快楽を深めようと、その体は貪欲にしなる。
 衝動的にカタギリはグラハムをきつく抱き寄せ、髪を引っ掴んで半開きの唇に口づける。接
吻をつなげたまま体を揺らしあえば、ただもうあとは互いに、絶頂へ向けてそれぞれを急きた
てていくばかり。
 コクピットの球形に、ふたりの荒い息遣いが満ちる。

315 名前:球体の悪夢5/7:2007/10/22(月) 22:51:17 ID:42THuDXk0
「……畜生、」
 不意に。
 低い呟きを聞いて、カタギリははっとする。
 思わず覗き込んだグラハムの目は、先刻までの空虚なものではなく――、普段と同じ、強く
一途な光を宿していた。
 ――正気、なのか。今。
「下らない、あんなものは、ただの虐殺だ、……俺は、俺は、」
「……グラハム? ……くっ、ん、」
 何か口走りかけた己自身の口を己で塞ぐように、グラハムは激しいキスを仕掛けてくる。そ
の熱に呑まれて、カタギリも脳裏に兆しかけた疑問を押し流され、目の前の快楽しか意識に入
らなくなる。
 ――そう。グラハムの言うとおり。
 三分割された世界が三竦みの状態にあるこの時代において、大国同士の全面戦争など考えら
れないのならば、対等以上の腕と機体を持つ強敵との戦闘を何より望むグラハムの願いが叶え
られることは決してない。
 ユニオンの軍人としてのグラハムの仕事は、ルーティンワークの周辺警備と、圧倒的弱者で
ある反体制派やテロリストの制圧。それでも骨のあるゲリラ相手なら、多少てこずらされるこ
とがないではないが、所詮は物量の差がありすぎておよそ勝負にはならない。まさに殲滅戦だ。
 彼の戦闘の腕は本物。それだけに、出撃命令を受ければ受けるほど、彼の中には虚しさしか
蓄積しない。
 明るい緑色の瞳の裏にひそむ、その絶望の深さを思う。

316 名前:球体の悪夢6/7:2007/10/22(月) 22:51:52 ID:42THuDXk0
 だから、いつか。
 それが彼の命を奪うことになるかもしれないのを承知で、それでも、彼のために、ただ彼の
ために、――戦争を、偉大なる敵の到来を、望む自分がいることを、ビリー・カタギリは知っ
ている。
 それは、果たして愛なのだろうか。
 そんな問いかけさえ、けれどただ淫らに彼にしがみついて喘ぐグラハムに奪われて、熱とな
り光となって灼き尽くされてしまう。
「グラハム、」
「あぁ、っ、……ビリー、」
 名を呼ばれた瞬間、カタギリは自身を勢いよくグラハムの中から引き抜く。その感覚に一際
高い声をあげてグラハムが達した。その腹に散った精液に重ねるようにして、カタギリもまた
己の想いを吐き出す。


 まつ毛を半ば伏せ、ぐったりとシートに横たわるグラハムの体を拭い、元通りパイロットスー
ツを着せる。行為が終わったあと、日常の中でも軍務の中でも、グラハムがこんな肉体関係の
片鱗をさえのぞかせることはなかった。記憶を失っているのかとまで、最初は疑ったほどに、
何事もないように彼はふるまう。
 今日もまた、しばらく放心状態に陥ったあとで、――凛と背筋を伸ばし、普段通りの美しい、
軍人らしい所作で、グラハムは起き直り、無言でハッチを開け、コクピットを出ようとする。
「――今日の戦闘記録は、追って提出する。大した戦闘ではなかったが、カタギリ技術顧問の
新作ライフルのテスト程度にはなっただろう」
 その声は、先刻までの甘さなど微塵もない、明朗ないつものグラハムだ。
「ああ。――今後のために役立てさせてもらうよ」
 カタギリもまた、普通を装ってそう返す。それ以外にどうしようがあるというのか。
 何故。――君は、私を何だと思っているのか。
 それは決して口にしても頭に浮かべてもいけない問いであり、カタギリはそこで思考を閉じ
ようとする。

317 名前:球体の悪夢7/7:2007/10/22(月) 22:52:28 ID:42THuDXk0
 けれどあの。はじめてグラハムが行為の最中に漏らした意味のある言葉を、どうしても忘れ
ることはできなかった。あれは、誰より気丈で誇り高い彼の、――確かに、悲鳴だったから。
 自分にだけ聞かされたそれを。どうすればいい。
 どうすれば、彼を救える。彼のため、より強い武器を用意することしかできない自分に。彼
の望んでやまない至上の敵になど、決してなってやることのできない自分に、何ができるとい
うのか。
 ――たとえば。
 その首筋に、胸許に、あからさまな痕をつけて。体の中にも交わりの痕跡を残してしまえば、
彼はどうするのだろう。そんなことは、自分にはできないと知っていて、カタギリはそれでも
思わずにいられない。けれど。
 そう。そんなことは、あり得ない。ここ以外の場所で、恋人同士でも愛人関係でもない彼と
私が体を重ねるなどあり得ない。戦闘をこよなく愛する彼。その研究者である私。それ以外の
関係など、存在しない。ただの腐れ縁が、幾分友情に似て見えるというのなら、そうだ。その
他には何もない。
 フラッグの戦闘能力向上が私の仕事であるならば、パイロットのメンタルケアもまた、メン
テナンスの一環。ただそれだけのこと。
 己に言い聞かせながら、彼は乱れた髪を結い直し、グラハムに続いてタラップを降りる。

 ――そう。
 私の名はビリー・カタギリ、ユニオン軍モビルスーツ部隊MSWADの技術顧問。
 いつか彼が最強の敵と死戦に臨むその時、彼のために最高のモビルスーツを造ること。
 ただそれだけが私の願いであり、身を賭しても果たすべき使命なのだ。

 私には他に、彼にあげられるものなど何もないのだから。

318 名前:球体の悪夢:2007/10/22(月) 22:53:13 ID:42THuDXk0

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 萌えの勢いだけで3時間で書いたお
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


319 名前:風と木の名無しさん:2007/10/22(月) 22:56:21 ID:EEaTyIAY0
>>310
GJ!GJ!GJ!
このカプにも目覚めそうですよどうしよう

320 名前:真夜中:2007/10/23(火) 02:45:25 ID:noXMbjU50
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  最遊記 カッパ×豚
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  これも6年前に作った物です
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


321 名前:真夜中【1/4】:2007/10/23(火) 02:46:54 ID:noXMbjU50
真夜中に目が覚めた。
耳をすますと、雨の音が聞こえる。
いつからか、雨の夜も平気になったのは。
それは、今、僕を抱きしめて眠っている人のおかげなのだけど。
雨の夜は必ず、こうやって、僕を抱きしめていてくれる。

彼を起こさないように、そっと腕から抜け出し、ベッドを出て、窓のカーテンを開ける。
暗闇の中、ガラスに雨が打ち付けている。

ガラスに映る僕の顔。
蘇るあの人の面影。

 花喃、君のことを忘れたわけじゃない
 ただ、君よりも大切な人ができたことを許して欲しい

322 名前:真夜中【2/4】:2007/10/23(火) 02:48:40 ID:noXMbjU50
あの頃、僕達は、唯一の肉親、唯一の身近な存在であるお互いを愛することで、孤独を埋め合い、
自分の片割れ、もう一人の自分とだけ愛し合うことで、自分の世界に閉じこもり、外の世界から自分の心を守った。
自分ともう一人の自分、その世界だけがすべてだった。

突然、僕達は引き裂かれた。
自分達とは関係無い、他人達、外の世界によって、無理やり。
僕は自分の世界を守るため、僕の片割れを取り戻し、元の世界に戻るために、僕達を引き裂いた人間達と妖怪達を殺した。
他人なんかどうでもいい。
自分の世界だけがすべてだった。

殺戮の末、ようやく君を見つけた。
これで、元に戻れる、元の世界に帰れるはずだった。

なのに、花喃、君はなぜ死んだの?
僕の目の前で。
僕が助けに行くのが遅かったのが許せなかったの?
僕達の世界に、他人が介入してしまったことに耐えられなかったの?
他人を介入させてしまった、君を守れなかった僕を許せなかったの?
自分を殺すことで、僕と、僕達の世界も壊そうとしたの・・・・・・

323 名前:真夜中【3/4】:2007/10/23(火) 02:49:31 ID:noXMbjU50
そして、突然僕は独りになった。
もう、あの世界には戻れない。
もう、自分の世界は無い。
生きたくなかった。
死にたくてたまらなかった。
でも、今、僕は生きている。
自分とは別の人間と一緒に。
彼に出逢ってしまったから。

 花喃、君に生きていて欲しかった
 君にも知って欲しかった
 自分ではない、誰かを愛することを
 生きていれば、君も出逢えたかもしれない
 君を受け入れ、愛してくれる誰か、自分よりも大切に思える誰かに

生きることよりも、死を
他人を受け入れることよりも、自分の世界に閉じこもることを
苦しみに耐えることよりも、苦しみから逃げることを
未来へ歩き出すことよりも、時を止めることを選んだ人
もう一人の僕

324 名前:真夜中【4/4】:2007/10/23(火) 02:50:30 ID:noXMbjU50
カーテンを閉じ、そっとベッドに戻る。
彼の隣に潜り込むと、ふいに、抱きしめられた。
いつから目を覚ましていたのだろう。
暖かい彼の腕の中、
「俺はずっとおまえの傍にいるぜ。」
そう囁かれた。
胸が苦しくて、涙が出てきて、彼の胸に顔をうずめた。

 僕を助けてくれてありがとう
 僕を愛してくれてありがとう
 あなたのために、僕は生きていこう

325 名前:真夜中:2007/10/23(火) 02:52:04 ID:noXMbjU50
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ネタが古くてすみません
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


326 名前:風と木の名無しさん:2007/10/23(火) 03:39:40 ID:0vcanS9tO
>>320
こういうのが読みたかった…今までぼんやりしてたものがすっきりして萌えますた
とにかくGJ

327 名前:風と木の名無しさん:2007/10/23(火) 04:33:36 ID:tvGOvgcI0
>>310
GJ!!GJ!!!
今から寝ようと思ったのに興奮して寝れないジャマイカww
ゴチでした(;´Д`)ハァハァ

328 名前:風と木の名無しさん:2007/10/23(火) 05:17:54 ID:r6HKe9MW0
>>304
ちょwwwwwおまwwww
この漫画で801書く奴が居るとは思わなかった。
そしてまさか萌えさせられるとは…GJ!

329 名前:風と木の名無しさん:2007/10/23(火) 22:15:09 ID:9nzSSWe7O
>>310ハムなんてエロかわいいんだ!いい夢みれそうだ。ありがとう!

330 名前:風と木の名無しさん:2007/10/23(火) 22:24:25 ID:PVeL67Cw0
>>310
GJ!エロくて切ない二人に泣きそうになったよ
ゴチになりやした(*゚∀゚)=3ハァハァ

331 名前:やきう:2007/10/24(水) 01:56:17 ID:1gWABT/N0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
しゃちほこ球団の話。中の人捏造注意です。

332 名前:1/4:2007/10/24(水) 01:57:29 ID:1gWABT/N0
「態度が違いすぎませんか…」

呟くように吐き出した言葉は、彼に独り言として
流されてしまったようだ。

「森乃さん」

ベッドでだらりと横になって、雑誌を読みふけっていた森乃が、やっと目をあげる。

「何の話?」
「だから、俺がアイツの時と、扱いが違いすぎませんか。と」

森乃の頭上に大量のハテナマークが見えるようだ。

全く理解できていない…鈍すぎる…

「あのコアラ姿の時は優しいのに…」

うなだれて言うと、やっと理解してもらえた様子

「なんだそれ」
可笑しいといった様子でくすくす笑いだされてしまった。

333 名前:2/4:2007/10/24(水) 01:58:46 ID:1gWABT/N0
だが実際そうなのだ。

アイツの時の俺には、じゃれついてまとわりついてみても、
にこぉっと、とても普段ではお目にかかれないほどの、穏やかというか
ほんわかさせるというか、恐ろしく可愛らしい笑顔で応えてくれると
いうのに。

久しぶりのオフにせっかくの二人きりだというのに、人をほったらかしで
だらだらごろごろと過ごしている。
まるで空気のような扱いだ。

「可愛いってなんだ…」
嫌そうなそぶりを見せつつも、微かに耳が赤いのがまたたまらないのだが
これ以上言うと、怒って相手にされなくなるので、心の中に留める。
「まぁそこは流してくださいよ。」



「だってさ。土アラとお前は違うだろ?」

334 名前:3/4:2007/10/24(水) 01:59:45 ID:1gWABT/N0
思いがけない言葉に虚をつかれる。
「お前がアイツのときはお前じゃなくって、『土アラ』なんだろ?」

「だからお前たち二人は別人なんだから、態度が違って当たり前なんだよ」


当然の様に言う森乃の言葉に思わず考え込む。
煙に巻くような言い振りではない。

球場で怪しい動きをするコアラ…あれは俺ではなく、
魂の入った生き物であると。そう見てくれている、ということか。


(そうか…このひとは俺の仕事を認めてくれているんだな…)
胸に温かいものが広がる。

「あいつって可愛いよな。…たまに不気味だけど」
ふにゃりと表情をゆるませて森乃が言う。
「いらついた気分を落ち着かせてくれたり、緊張をほぐしてくれたりな?」

335 名前:4/4:2007/10/24(水) 02:00:55 ID:1gWABT/N0
「それって俺は嫉妬していい所ですか…」
自分に妬いてもいいものか、複雑な心境だ。
「で、土アラへの気持ちはよーく分かりましたが…」
「ん?」
「俺のことはどう思ってるんですか?」

無警戒にこちらを見上げ、ベッドで枕をかかえている森乃との距離を詰める。
「えーっと…?」
突然の至近距離に目が泳いでいる。

「め、面と向かっては言いづらいし…」
じりじりと逃げようとするが、そこは許さない。
捕まえて抱き込んで、そのままベッドに押し付けてみる。

涙目でこちらを見上げる様子は、かなりクルものがある。
球場で当主を見据える彼からはまるで想像もできないが、

「言葉がもらえないなら、態度で示してもらいますか。」

こんな彼を見ることができるのは、自分だけの特権だ…というところで
満たされてしまおう。

336 名前:中の人など(ry:2007/10/24(水) 02:05:29 ID:1gWABT/N0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ます込みがあまりにも公寄りなのが切なくて勢いで書いた。
しかしキワ過ぎたのは反省している。

337 名前:風と木の名無しさん:2007/10/24(水) 02:33:19 ID:T2PP92uG0
>268-274
なんだろうこの空気
やっぱ好きです
ラクウタの2人もいい感じです

>332-336
名前欄ワロス
中の人に萌えますた

338 名前:風と木の名無しさん:2007/10/24(水) 04:23:30 ID:l+8noqTDO
>>331
中の人など(ry
萌えました!盛り乃かわいいよ盛り乃

339 名前:風と木の名無しさん:2007/10/24(水) 07:01:09 ID:5HFO9Ep7O
>>310
ビリグラああああああ
ごちそうさまでした
ありがとうありがとう

340 名前:風と木の名無しさん:2007/10/24(水) 09:36:37 ID:2eUooefH0
>>331
萌 え た !!!
まさかの中の人など(rywww洩れのかわいいよ漏れの 涙め漏れのは萌えるw
ます込みが公寄りなのは去年から・・・だし、我々がそれ以上に黄鉛すればいいのさ

341 名前:風と木の名無しさん:2007/10/24(水) 17:23:24 ID:BMUImHnU0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  朝の連糸売テレビ小説、弟子と師匠だよ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  ビィコ視点で語られるよ
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



342 名前:1/4:2007/10/24(水) 17:24:26 ID:BMUImHnU0
「あれ…」
アルバイトの帰り道、私は偶然早々さんを見かけたのでした。
きっとまた他のお弟子さんの手伝いをしてきたのでしょう、
おそらくお礼のお金だと思われるポチ袋をぎゅっと握りしめ、
彼は商店街へ消えていきました。
決して多い額ではありませんが、彼はそのお金を大事に貯めていて、
そしていつかは師匠である草弱さんが再び高座に上がることを願っているのを
私は知っていました。
(せやかて、あんなに強く握ったら、500円玉曲がってしまいそうや…)
ありえないことではないな、と思いつつ、私は家路についたのでした。


343 名前:2/4:2007/10/24(水) 17:25:08 ID:BMUImHnU0
「ただ今戻りました」
早々さんが帰って来たのは、それから2時間ほど経った頃でしょうか、
辺りはすっかり暗くなっていました。
「あ、お帰んなさい…って何ですか、それ」
早々さんの手には、1本の小さな花が握られていました。
「…買ったんですか?」
「…お前には関係ないやろ」
「何?今日何かあるんですか?」
「何もない。お前はさっさと部屋戻れ」
誰があんたのご飯作ったと思ってんねん、と思った時でした。
「ああ…早々、お帰り」
奥の方から草弱さんが出てきたのです。
私はちょっと気まずくなりました。
なぜなら、早々さんの願いも空しく、
草弱さんは彼を、彼のためを思って追い出そうとしたからです。
「師匠…」
「早々、飯まだやろ。
お〜いお嬢ちゃん、そろそろ飯にしよか」
「師匠!」
「…?早々、何やその花…」
一瞬、早々さんの顔が赤くなった気がしました。
女の勘なのでしょうか、私はこの花の意味と彼の気持ちに、
これ以上触れてはならないような気がしたのです。
「あ…これは…」
この場を離れようと立ち上がったその時でした。


344 名前:3/4:2007/10/24(水) 17:25:46 ID:BMUImHnU0
「あー、仏さんにやろ、その花」
私は思わず草弱さんの方を向いてしまいました。
そしてそれは、早々さんも同じでした。
「ありがたいねんけどな、早々。夜に花やるのもおかしいやろ。
でもまあ、わざわざ買うて来てくれたんやし、飾って手ェ合わせよか」
何を言ってるんだこの人は、と思いました。
そりゃあ、早々さんはいつも庭のタンポポを摘んで手を合わせていますよ。
でも、どう考えてもこの花はそれとは違うとわかるじゃないですか。
草弱さんだってわかってるはずです。
この花はあなたに買ってきた花、
今日働いた分の、とても少ないお金から出して買った花、
あんなにぎゅっと握りしめたお金で買った大切な花…
「ああ〜早々、お前、花、強く握りすぎや。
ほれ、茎がちょっとつぶれとる」
そう言って草弱さんは早々さんを見上げました。
呆然と立ちすくむ早々さんをじっと見つめ、ゆっくり台所へ歩いていきました。


345 名前:4/4:2007/10/24(水) 17:26:26 ID:BMUImHnU0
私は一人でたくさんのことを考えていました。
何で。
何で彼を拒むの。
何で彼の気持ちを受け取ってやらんの。
何で気付かないふりをするの。
何で…

パチン

台所で音がしました。
草弱さんは、つぶれた茎をハサミで切っていました。
早々さんが、大事に大事に強く握っていた、あの茎の部分を。
ガタン、と音がして振り返ると、早々さんが部屋へ走っていく姿が見えました。
「…お嬢ちゃん、今日飯いらんわ。お嬢ちゃんだけ食べてぇや」
草弱さんは、女の人の写真に花を添え、手を合わせると
少し何か考えるような顔をして奥の部屋へ行ってしまいました。

私はまた考えていました。
でも、さっきとは考えていることが違います。
早々さんをじっと見つめる草弱さんの目。
彼の目はどこか切なげでした。
彼は早々さんを本当に拒んでいるのだろうか。
18歳の私には答えが出ませんでした。


346 名前:4/4:2007/10/24(水) 17:27:32 ID:BMUImHnU0

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 公式には敵わないんだぜ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


出てくるやつらが皆、どいつもこいつも
底抜けに!萌えるのでむしゃくしゃしてやったんだぜ

347 名前:風と木の名無しさん:2007/10/24(水) 18:27:46 ID:YRqUr3Uz0
>>310

乙乙乙乙乙!!!!!!!!!!むっちゃくちゃ萌えたどうしてくれる

348 名前:風と木の名無しさん:2007/10/24(水) 21:49:03 ID:MCedfWjE0
>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

某三人組の右×中がモデル。
16年前の東京-ロンドンの遠距離恋愛中wのころ。

349 名前:Telephoneline1/2:2007/10/24(水) 21:57:06 ID:MCedfWjE0

レコーディングスタジオからホテルの部屋に戻ると、まるで自分の帰りを待っていたようにベッドサイドの電話が鳴った。
受話器を取ると、国際電話が入っている事を告げられる。
「もしもし」
「元気?」
名前を告げるより早く、彼が切り出す。
何時もと変わらない、せっかちな彼の声に、安心感と一緒に笑いがこみ上げてくる。
思わず吹き出すと、彼のため息が受話器からもれてきた。
「…元気みたいだね」
「ああ。こんな時間にどうした?」
「こっちは昼間です」
こちらと東京の時差を計算し、なるほど、と頷く。
「お前はどうなの?」
「俺はいつもどおり。東京は桜が咲き始めたよ。ロンドンは?寒くない?」
「そうだな…寒いっていうか、雨ばっかりだよ」
カーテンを少し開け、外を眺める。石造りの街が街灯に照らされ、雨の中でぼやけている。
「風邪、ひかないでね」
「ああ」
吐息混じりのハスキーな声。いつもより低く少しゆったりとした話し方に、肩の力が抜ける。
少しの沈黙。
「…大丈夫?疲れてるのか?」
「大丈夫。そんなに心配すんなって」
「そうだけど…」
「体には気をつけてるよ。食うものは食ってるし」
「そういう事じゃなくて」
また、彼のため息。
「お前は人見知りするから。向こうのスタッフと上手くやれてるか?」
「人見知り…って、俺そんな歳じゃないぞ。お前、なんかお袋みたいだな」
「…真面目に聞いてる?」
こちらの切り返しに、本気で怒ったような声が返ってきた。
いつもなら、冗談の一つも言ってくれるのに。


350 名前:Telephoneline2/2:2007/10/24(水) 22:04:58 ID:MCedfWjE0

「そんなに心配か?」
「心配だよ。たった一人でロンドンなんて。何時もなら俺たちがついてるのに。お前に何かあっても、遠すぎて行けやしない」
彼の声を聞きながら、顔を思い浮かべる。自分より器用で、やたらと自分の世話を焼きたがって、時々、自分を心配そうに見上げる彼。
「そんなに心配なら、こっち来い」「…はぁ!?」
素っ頓狂な声があがる。
「ロンドンと東京の距離、わかってる?」
「わかってるよ」
きっと彼は小さな目を見開いて、呆れたような、怒ったような顔をしてるだろう。
「わかってるよ。わかってるけど、お前の声聞いてたら会いたくなった。だから、今すぐ来て」
また彼の声にため息が聞こえる。今度は笑っているらしい。
「こっちもヒマじゃないんです」
「ちぇっ。なぁんだ」
「そんなにがっかりするなよ。お前のライブ、見に行くから」
「本当か!?」
「うん、楽しみにしてるよ。ソロアルバムも」
「ああ」「そろそろ切るね」
「ああ…ちょっと…」
「なに?」
彼が切り上げようとした会話を、慌てて止めた。何か、言い忘れてる気がして。
「その…えっと…ありがとう、電話」
感謝の言葉を述べてから、照れくさくなる。長い付き合いで、きっと初めてこんな言葉を使ったから。
「そんな、改まって言うなよ…」
向こうの方も同じことを思っているようで、少しだけ声が小さくなった。
「じゃあ、またね」
「ああ。それと」「なに」
「好きだよ」
「そんなこと、もののついでみたいに言うなっ」
わざと怒ってみせる彼と、声をたてて笑いあい、電話を切る。
途端に静かになった部屋。
けれど、耳の奥ではちゃんと聞こえている。彼の『声』が。
ベッドに潜り込み、毛布をかぶると、あっという間に夢の中へ落ちていった。

351 名前:風と木の名無しさん:2007/10/24(水) 22:07:13 ID:MCedfWjE0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


慣れてないんで、投稿に時間かかってしまって、スンマセンでした


352 名前:風と木の名無しさん:2007/10/24(水) 22:09:23 ID:rhn1n/rVO
>>351
GJ!!o(≧∀≦)○

353 名前:風と木の名無しさん:2007/10/24(水) 22:45:50 ID:HXe3z6rkO
>>351
久々に萌えました(*´▽`*)
素敵なお話ありがとうですVv


354 名前:風と木の名無しさん:2007/10/24(水) 22:52:37 ID:VjoV1/wXO
>>351 GJ!!
あぁ…じんわりな暖かさの伝わり具合がいいなw

355 名前:風と木の名無しさん:2007/10/25(木) 00:19:12 ID:bvSrbXH+0
>>341
超GJ!!!!良いもの読ませてくれて有難うー!!!素敵です。
まさにこのCPを求めてここに日参してました。
拒みきれなかった或る日の師弟とか激しく見てみたいです…!
是非また弟子師匠書いて下さいお願いしますー!

356 名前:風と木の名無しさん:2007/10/25(木) 01:03:02 ID:qwhHH50P0
>>331-336
萌えますた…っ!
これは盲点だった、まさか中の人など(ryとは…森乃かわいいよ森乃w
他チィムマスコと必要以上に絡んで、中の人など(ryにお仕置きされるがいいよ。

357 名前:風と木の名無しさん:2007/10/25(木) 16:34:43 ID:zLar+Tea0
>>331-336
GJ!ケソツソ萌えた!!
洩れのかわいいよ洩れの

358 名前:アレロク1:2007/10/25(木) 22:59:05 ID:mJ+Uj1f10
>185です
続き書いたので投下。エロはなし。寸止め。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「ティッシュも買ったし、洗剤も買った。あとは……牛乳だけだよね」
「そうだなあ。それぐらいじゃないか? でもこれから食料買いに行くんだろ? 
それだったらそっちで買ってもよくないか」
 ロックオンはカゴを持つアレルヤと横に並んで、陳列された商品を眺めて言った。
 住居近くのドラッグストア。オフの日は大概ここで買い物を済まし、スーパーマーケットに
よって帰る。それがオフの日の日課だった。オフの日はそう何日も続かないので、
食料も中々買いだめできない。家にあるのは簡素なジャンクフードだけだ。折角の
オフだというのにジャンクフードでは味気ないと、ロックオンは散々文句を
垂れ続けていたため、このような外出が当たり前となっていたのだ。正直なところ、
アレルヤはジャンクフードでもなんでもいいと思っていたので、ロックオンの意志に
沿っただけだが、元々料理をするのは嫌いではなかったので、何も言わずこの買い物に
付き合っている。
「今日のメシはなんなんだ? アレルヤ」
「決まってない。何でも好きなものを言ってもいいよ」
 アレルヤは歯磨き粉をカゴに入れる。冷蔵庫にはミネラルウォーターくらいしか
入っていない。毎回、その日に使いきれるだけの食料しか買わないためだ。買いだめを
していた時期もあったが、次のオフの日冷蔵庫を覗いてみると、案の定全部痛んで
いたことがあるからだ。それくらい活動が頻繁になっているといえよう。
「好きなもの……ねえ……。そうだ、ポトフにしようぜ。最近寒いしな」
「ポトフか……。活動中はどうしても野菜が不足がちになるしね。いい案だと思うよ」
 アレルヤがレジに進もうとする。ロックオンもそれに続きかけ――レジ前の商品に気付き、
さりげなくカゴに突っ込んだ。
「何いれ――? な……っ」
「これを忘れちゃ困るだろ? 俺もお前も」
 カゴの中を覗けば、銀色の紙箱が無造作に入っている。銀地にスキンと白抜きされた
それは明らかにコンドームだった。
「全く……まだするつもりなのかい? 懲りないな」

359 名前:アレロク2:2007/10/25(木) 23:02:42 ID:mJ+Uj1f10
「最後にしたのがコックピットなんて、なんだが余裕ねえみたいじゃねえか。ゆっくり
ベッドの中でピロウトークでもしようぜ。アレルヤ」
 艶のある声を耳元で囁かれて、アレルヤは口を噤んだ。いつもそうだ。こちらに誘う隙を
与えずに、ロックオン自らアレルヤを煽ってくる。アレルヤもロックオンを抱きたくないわけ
ではない。むしろ、この腕に収まらないことが悔しくて繋ぎとめていたくなるくらい欲しいと
思う。けれど、ロックオンはそれをさせてくれない。リードするのは、専らロックオンの方
だった。アレルヤはそれを疑問に思ったことがある。アレルヤ自身がロックオンより
年下だからかもしれないと思った。けれど、ロックオンは刹那を初め、アレルヤと
ティエリアも平等に見てくれている。決して子ども扱いはしない。
 アレルヤがロックオンの誘いに積極的に乗ろうとしない理由はそれだった。いつも
ロックオンが先導するから。
 たまには、ロックオンを初めから蹂躪してやりたいと思う。
「……分かったから、あんまり顔を近づけないでよ。怪しまれる」
 レジを終え、そのままスーパーマーケットに向かった。今度はロックオンがカゴを
持つ。野菜の陳列されたコーナーを見回しつつ、ロックオンが野菜を品定めしている。
「今年は野菜がたっけえなあ。ていうかポトフに何入れたっけ?」
「にんじんとたまねぎ……キャベツ、セロリかな」
「セロリはパスだ。お、じゃがいもがある。これいれようぜ」
 ロックオンはアレルヤが挙げた野菜を次々とカゴに放り込んだ。――セロリを除いて。
「好き嫌いはだめだよ。ロック」
「勘弁してくれ、セロリだけはだめなんだ」
 笑って、ロックオンは大根をカゴに入れた。アレルヤは眉を顰めた。大根が苦手だった。
 ソーセージも買って、ロックオンがチーズを買う。今日の酒のあてに
するらしい。アレルヤは忘れないうちに牛乳をカゴに入れて、二人は帰路に着いた。家は
すぐそこだ。二人で買い物に行くということは、ロックオンが今日もアレルヤの家にご相伴に
預かるということだ。そしてそのまま寝るつもりなのだと、袋の中のコンドームを見ながら
アレルヤは思った。

360 名前:風と木の名無しさん:2007/10/25(木) 23:03:48 ID:bvSrbXH+0
>>341-346
GJ!!萌え!!!!


361 名前:360:2007/10/25(木) 23:06:16 ID:bvSrbXH+0
>358
すみませんリロ忘れました。

362 名前:アレロク3:2007/10/25(木) 23:14:38 ID:mJ+Uj1f10
 家の鍵を開けて中に入る。帰ってきてからすぐに買出しに行ったため、部屋の中は前の
オフの日以降何も変わっていなかった。ロックオンは買ったものの入った袋をテーブルに
置くと、窓を全開にした。
「空気篭ってるな。俺の部屋はもっとすごいことになっていそうだ」
「なら、帰って掃除でもすればいいんじゃない?」
「それは面倒くさいからまた今度。早くアレルヤの作るポトフが食べてえんだよなー」
「そう思うなら手伝って、袋の中のもの出してくれない?」
 ロックオンは振り返ってキッチンに向かう。袋に入ったものを全て出して、
使う食材をより分けた。
「ベーコンも買えばよかったな」
「そう?」
 アレルヤは相槌を打ちつつ、にんじんの皮むきを始めた。その横でロックオンが
鍋に水を溜め、火にかけてコンソメを入れた。
 街の真ん中にある小さなマンション。小ぢんまりとしてはいるが、セキュリティは
この街でもかなり厳しい方だろう。このマンションの一階の角がアレルヤの
住居だった。ロックオンはこの裏にあるマンションに住居を構えているが、最近は専ら
アレルヤのマンションに住み着いてしまっている。
 皮を剥き、適当な大きさに切った材料を鍋に投入すると、アレルヤは野菜に火が通るまで
部屋の掃除を開始した。一ヶ月ほどここを空けていた所為で、あちこちに埃が積もっていた。
 ロックオンも、冷蔵庫のミネラルウォーターを空けてから、掃除を手伝うことにした。居候
している手前、掃除でも手伝って対価を支払うのは当然だろう。
 明日出すためのごみを全て集めてリビングの端っこに置いておく。これから出るごみは
全てそこに捨てることにして、明日まとめて捨てに行けばいい。生ごみなどはないから
臭いなどは気にしなくてもいいのだ。それから部屋においてある観葉植物に水をやり、
テーブルを拭いた。ベッドのシーツはこの間変えたばかりなのでそのままにしておく。
 そうこうしている間にポトフが出来上がり、丁度夕飯の頃合だと言わんばかりに日は
傾いている。
「夕飯用意してるから、先にシャワー浴びてきたら?」
 アレルヤはキッチンに向かう途中、思い出したようにロックオンに言う。

363 名前:アレロク4:2007/10/25(木) 23:16:17 ID:mJ+Uj1f10
「さっき、掃除してきたから綺麗だよ。ああ、シャンプー詰め替えといてね」
「わかった」
 ロックオンはタオルを持ってバスルームに向かった。



 風呂から上がると、アレルヤがちょうど夕飯の支度を終えたところだった。
「早かったんだね。ビール、冷えてるよ」
 席に着きながら答えると、ロックオンが歓喜の口笛を吹いた。
「気が利くじゃないか。もらっとく」
 アレルヤから缶を受け取り、ロックオンはあっという間に飲み干した。細かな気泡が
喉を潤し刺激する。久しぶりに飲むビールがこれほど美味しいと思ったのは初めて
だった。最近はオフの日でも酒を飲む機会があまりなかったからだ。酒を飲む暇もなく、
疲れ果てた身体を癒すのが先決だった。
 ビールのあとに、暖かなポトフが身に染みた。身体の中から暖まっていくというのはまさに
このことかもしれない。
「久しぶりにちゃんとした野菜を食べたって感じだな。いくら体力があっても栄養不足じゃ
任務に支障が出る」
「そうだね。任務中ももっとちゃんとした食事が取れればいいけど」
 任務中は片手で食べられる栄養補助食品しか食べられない。任務が一旦終了して、
移動時になっても外食が多くなり、アレルヤもロックオンもいい加減うんざりして
いたのだ。その矢先の休日。やはり家で作ったものは美味しい。
「まあ、あんな声明が出ちまった後だし、これからもっと忙しくなるだろうな……。帰って
これるのもいつになるやら」
「仕方ないよ。この世界に紛争がなくなるまで、僕たちは活動しなきゃいけないんだからさ」
 アレルヤは苦笑して首をかしげた。
 食事も終わり、後片付けもそこそこに、ロックオンが早速煽りをかけてきた。部屋の
ベッドに腰掛けて、テレビを眺めていたかと思うと、ふいにアレルヤを呼ぶ。
「来いよ。アレルヤ」
 そんな声で呼ばれてしまえば、アレルヤは逆らえない。こうしていつもロックオンの
思うままに流されてしまうのだ。一歩踏み出して、アレルヤは口を開いた。

364 名前:アレロク5:2007/10/25(木) 23:17:49 ID:mJ+Uj1f10
「たまには、僕にリードさせてよ」
「アレルヤ?」
 ロックオンはアレルヤの意図がつかめず、首をかしげた。アルコールによって、白い肌が
上気して扇情的な雰囲気を醸し出す。いつもそんな雰囲気に飲まれてしまって、
アレルヤ自身がロックオンを蹂躪するに至らないのだ。
「いつもロックばっかり余裕ぶって……、僕だってロックを啼かせたいと思うよ」
「……おいおい、なんだよ急に……ん、ふぅ……っ」
 突然降ってきたキスに、ロックオンは圧された。そのまま押し倒されて、両腕をシーツに
縫いとめる。
 舌を入れられ、絡めとられると、ロックオンはくぐもった声をあげた。
「んんっう……は、分かった、分かったから……!」
 ようやく唇を離したアレルヤに、ロックオンは決まり悪そうな表情を浮かべた。
「……年下に良いように攻められるのが恥ずかしかっただけだって。せめて精神的には
優位になってないとなー……ってな」
 苦笑してアレルヤの頬に触れる。それから着ていたタンクトップを脱ぎ去ってアレルヤの
首に手を回した。
「さて、じゃあ攻めてもらおうか。お手並み拝見、だな」
「途中でへばっても知らないよ」
 アレルヤは口端を吊り上げて笑みを浮かべる。そしてロックオンと共に、白いシーツの
海に溺れた。
 夜はまだ口を開いたばかりだった。



END

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

>360気にしないでくれ


365 名前:風と木の名無しさん:2007/10/25(木) 23:32:27 ID:akomlM4b0
>>358
姐さんGJ GJ GJ-!!!
アレロクが読めるなんてありがたやありがたや
誘い受けモエス!!

366 名前:風と木の名無しさん:2007/10/25(木) 23:37:07 ID:yRtOIPEZ0
>>364
ほぅあああああああ!
なんじゃああこのラブラブ新婚夫婦は!
アレルヤがお父さんなんだかお母さんなんだか幼妻なんだかわからん!
萌!GJ!

367 名前:時蕎麦 ガッ10×ショタ:2007/10/25(木) 23:58:48 ID:y/XTdF2/0


                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ナマ ラクGO家 ガッテンシショー ×ショタシショー
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  いつも通りテイストです
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧  コリナクテスマソ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


368 名前:時蕎麦 ガッ10×ショタ 1/8:2007/10/25(木) 23:59:26 ID:y/XTdF2/0
平日の動物園は閑散としていて、逢引にはぴったりじゃん
なんて感想を抱いてみたりもしたけれど、そんな色っぽい
関係じゃないけどね〜、なんて浮かんだ単語を打ち消した。
大の大人の二人連れが言葉少なにベンチに座り、柵の向こうで
林檎を食べてる象の尻を眺めているってのも端から見れば
シュールな光景なんだろう。これがスーツ姿だったりすれば、
サボり中の営業さんですよと言い訳出来たかも知れねぇけど、
俺もシノさんも完全私服なんで怪しさは増すばかり。
いつもながらシックなシノさんはちょっと横に置いておけても、
俺なんて某師匠に金魚みたいって揶揄された派手な色合いだしね。
さながらリストラされたサラリーマンの二人連れってとこか。
シノさんの手が無意識にシャツのポケットを探ろうとして空中で固まる。
「園内は所定の喫煙所以外禁煙となっております」
「うるせぇ。ショウちゃんその辺冷たいよなぁ」
わざわざ見咎めて指摘した俺に、シノさんは眉間の皺を深くして
不満そうに唇を尖らせた。
煙草がないと耐えられない、成田発・日本−アメリカ間のたった
13時間の禁煙すら厭うヘビースモーカーの癖に、わざわざここを
指定したのはシノさんの方だ。
昨日楽屋で受けた電話。珍しくというかほぼ初めての酒抜きでの
昼間っからの誘いだったからちょっとだけ驚いた。でもいくら
無料入場券貰ったからって、動物園とは思わなかったけど。
「煙草吸いたきゃ動きゃいいじゃん」
「面倒なの」

369 名前:時蕎麦 ガッ10×ショタ 2/8:2007/10/26(金) 00:00:05 ID:y/XTdF2/0
わかってんデショと暗に込められた、短い単語で返って来るのは、
気を許されている証拠だった。サービス精神旺盛で面倒見も良いこの人が、
ここまで力を抜いているのを見るのは随分と久し振り。海外で見せる
楽しさ濃度の濃い素の笑顔は、もっと長く見ていなかったけれど。
しっかし拍子抜けだなぁ。
待ち合わせ場所でね、話でもあるのかと身構えてたら近くだしって
動物園に連れ込まれ、通り一遍等に熊だの猛禽類なんぞを見て歩き、
ひっそりと落ち着いてたのが一度通り過ぎた筈の象の柵の前。
猛獣かパンダ見せろっつーの。入り口にあったじゃん、パンダのコーナー。
先刻もさぁ、この人丹頂鶴とか入ってる檻の前で立ち止まって
こっち見るんだよ。ご丁寧に指差しながら。
「あ、鶴だ、鶴。ほらほらショウちゃん、鶴だって」
だってさ。そりゃ聞きますよ。なんでそんな食いついてんですかって。
「いやぁ、バリ島で教えてもらった『つる』が絶品だったから」
前も言っただろうけど、あれは俺の生涯最高の出来だったんだってば。
聞いてたのがシノさんだけっつーのが勿体無いって今でも思ってるんだよ。
褒めてくれんのは嬉しいけどさぁ。
だからって本物の鶴の前でまたやらせようとすんなっつーの。
思わずやりかけちゃったじゃん。何が悲しくて平日の昼間っから
「つーーーー」とか「るーーーーー」とか声高に叫ばなくちゃいけないんだよ
。ノリかけちゃう俺も俺だけど、場合によっちゃ通報モノだよ。
文句言ったら侘び代わりに買ってくれた缶コーヒーを飲み干すと、
途端に手持ち無沙汰になってしまう。
いつも通りの世間話すんのに、わざわざこんな場所はないと思うんだよ。
でもシノさんは平常運転なの。話あるのかないのかわかんねぇよ。

370 名前:時蕎麦 ガッ10×ショタ 3/8:2007/10/26(金) 00:00:42 ID:y/XTdF2/0
「シノさんさぁ、なんで呼び出したの」
「んー、強いて言うなら、ショウちゃんに会いたかったから、かねぇ」
「嘘くさいなぁ」
「二週間程顔合わせてなかったでしょうが。お陰でストレス溜まってて」
「……俺はあんたのマイナスイオンなの?」
「随分振り回してくれるけどね」
それって否定? それとも肯定?
物言いた気な視線を右から投げつけてみるけれど、シノさんは
柳に風とばかりに左に受け流す。
シノさんはまだ未練がましくポケットの辺りをさ迷わせていた手を、
ようやく諦めたのかだらんとベンチの上に置いた。
先刻からシノさんの指先が視界をチラつく度に、前に触れられた頬っぺたが
熱を孕んだ様にうずうずとする。
決して嫌な感じではなく、こそばゆい様なそんな感覚。
擽られているのも疼くのも、どっちかってぇと心の方なんだけど。
感情の針はゆらゆらと指す方向を迷って揺れている。傾きたいけれど傾けない。
力の均衡した綱引きをされている気分だった。
今この人の傍にいるのは落ち着かない。でも離れがたい。呼ばれれば
すっ飛んで来ちゃう程度には。
答えないシノさんはもうスルーして、今日は大人しく光合成にでも
付き合おうか。
……一言ね、「うん」でも「そうだよ」でもいいから聞きたかったけど、
言わないんなら仕方ないもんな。
子供が母親に手を引かれながら目の前を通り過ぎてく。あぁ、しっかし無駄に
良い天気だなぁ。風はちょっと冷たいけれど、コートの前をがっちり閉めなくても
大丈夫なぽかぽかとした小春日和だ。


371 名前:時蕎麦 ガッ10×ショタ 4/8:2007/10/26(金) 00:01:20 ID:y/XTdF2/0
太陽の光に晒されていると、頭がぼんやりとして来る。反対方向に首を捻ると、
葉っぱを落とした木が目に入った。灰色ががったあの幹は、桜なのかな。
大人しく黙っていようかとも思ったけれど、やっぱり話しかけてみた。
「こんな晴れた昼間にぼーっとしてると、花見の場所取りした時の事
思い出すよ。こんだけ寒くはなかったけど」
「花見は春のもんだしなぁ。でも場所取りってそりゃ随分若い時分話だね」
「違うよ。うちの師匠が死ぬほんのちょっと前」
人差し指と親指で1センチ程の隙間を作って見せると、シノさんは目を丸くした。
「それ、ショウちゃんが行ったの?」
「そうだよ。シート担いで井の頭公園に行きましたよ。うちの師匠にとっちゃ
弟子は全員弟子なんだもん。百年居ようが一年居ようがさぁ」
「百年は無理だろ。……俺さぁ、ショウちゃんが『うちの師匠』って言う時の、
声とか好きだわ」
「へっ?」
「雰囲気ってのかな。アンタ今でもね、師匠の事をあんまり過去形で
喋らないでしょう。こう、ほら、ショウちゃんがお師匠さん好きなのが、
良ぉく分かるんだよ」
「あ、そっ」
不覚にも、声が詰まった。
そりゃね、好きですよ。師匠だもん。入門当初緊張してガチガチだった俺に、
『うちにいる時はうちの子なんだからね』って暖かく言ってくれちゃう師匠だもん。
今の俺があるのは師匠のお陰だもん。……俺がうちの師匠から受け継げたのなんて、
滑舌があんまり良くない所とお酒を飲む時は陽気に呑むって誓い、
それにトロンボーンが吹ける位だけど。

372 名前:時蕎麦 ガッ10×ショタ 5/8:2007/10/26(金) 00:01:57 ID:yUpysKCY0
ひどく漠然と、うちの師匠に会いたいなぁって思った。迷子の子供が
人ごみの中お母さんの姿を捜して目を凝らすみたいに、ベンチの低い背凭れに
背中を預け切って、被っているハンチングが落ちない様にしながら、
高い青空を仰いだ。あの世が空の上にあるのなら、こっから真っ直ぐ行けば
辿り着けたりしないのかな。
あの千切れ雲の端っこから、ひょっこり顔出してくれてもいいのに。
仏頂面でも構わないから。
あぁ、でもあの世って世界共通なのかな。師匠、アメリカの人と向こうで
会ったら大喧嘩しちゃいそうだし、止めるのも大変そう。うちの師匠ってば、
もう1回やったら勝てるって最後まで主張してたしさぁ。ひょっとして
宗教ごとに分かれてんのかな。
……駄目だ、アメリカ人全員がキリスト教だとは限らない。
馬鹿な考えに逃げても泣きたい様な気持ちが追いかけてきて、
捕まらない様にと頬の内側を噛んで堪える。
シノさんは時折こうやって、俺の心の奥の方に隠しているものを
ひょいっと掴み出してくる。本人が無意識なのが憎らしい。
多分ね、シノさんしかそこに触れてこないんだ。だって俺は隠してるんだもん。
嫌んなる程名探偵だよねぇ、アンタ。普通は気付かないよ。
色々考えると、俺の方が振り回されてんじゃないのぉ。張本人のシノさんは、
何かを感じ取ったのか、今更「象はやっぱりでかいなぁ」なんて
呑気な口調を作って呟いている。目線が全然こっちを見ない。下手くそだなぁ。
泣いてないから心配しなくていいのに。
バレない様にと、横顔を盗み見かけてばちっと目が合った。
意味もなく怯みそうになるのを、気力で押し留める。
でもねぇ、今ちょっと分かったよ。

373 名前:時蕎麦 ガッ10×ショタ 6/8:2007/10/26(金) 00:02:34 ID:yUpysKCY0
なんか今日のシノさんはおかしい。俺と同レベルだ。この理由が
ひどく不透明なお誘いとか、いつもよりも少ない口数だとか、
疑問点は連鎖で浮かぶ。
あんた程じゃなくても、俺だってシノさんに関してはちょっとした
探偵だと思う。それくらいには長い時間近くにいるんだから。
咄嗟に問うべきか逡巡していると、先手を打たれた。
「そういや、時間大丈夫なの?」
「俺は大丈夫。シノっちはどうよ」
「入りが五時だから、何時間残ってるっけな……一、二、三、四、今何時?」
「三時」
「四、五……」
「時蕎麦かよ」
「おあとがよろしいようで」
条件反射的につっこんでみたらシノさんは嬉しそうにけらけら笑う。
こっちの心配を他所に重い腰を上げない。常時ならこんな心配をかけるのも
俺の方なんだけど。
疲れてるのか、他に理由があるのか。疲れているのがデフォルトな人とはいえ、
今日のシノさんは何処かしら危うく見えた。自分の気持ちで手一杯で、
気付かなかった。
ベンチに腰掛けたお互いの距離の、15センチ程がとてつもなく遠い。
肩でもどこでもちょこっとだけ触れてりゃ良かったのに。そうしたら、
言葉意外のものも伝わる気がするのに。
意を決したのか、シノさんはわざわざ「よいしょ」と声を出して立ち上がると、
ちょっと小首を傾げる様にして、おどけて言った。

374 名前:時蕎麦 ガッ10×ショタ 7/8:2007/10/26(金) 00:03:18 ID:yUpysKCY0
「サゲも決まったし、そろそろ違う所に行こうか。時間あるなら
暖かいものでも飲みにいく?」
今度は俺が立ち上がれない。シノさんの疲れの滲んだ表情は、
逆光気味だったけれどちゃんと見えた。だから余計に、
このまま離れてしまうのが躊躇われる。
もしも、もしもだよ。本当に俺と居てこの人がちょっとでも
楽になれるんだったら、俺がシノさんの隣にいてもいい理由になるんじゃ
ないだろうか。
本当は人が人と一緒に居るのに理由なんていらないだろうけど、
今の俺には必要だった。
俺だけの気持ちじゃ辛い。そんな身勝手さから湧き出るものがある。
気付いちゃったら蓋も出来ない。
求められたいだなんて、どの口が言うんだって感じだけど。
こんな葛藤は趣味じゃないんだよ。
「疲れてるなら温泉でも行く? まだ次の旅行先決まってないじゃん」
軽く言ってから、あちゃーって思った。俺がこんな状態で、
完全二人っきりになっちゃって大丈夫なのかねぇ。
そういやぁこの人、俺と居て喋り疲れた事あったなぁ……。
『後悔』は先には悔やめないから『後悔』なんだな。
気弱になって取り消そうかと口を開きかけた矢先、シノさんが言った。
「そりゃいいなぁ。何処がいい?」
「……熱海?」
「本気?」
「いや、あんまり」
口から出任せですよ。熱海の人、ごめんなさい。心の中で手を合わせる。

375 名前:時蕎麦 ガッ10×ショタ 8/8:2007/10/26(金) 00:03:58 ID:yUpysKCY0
でもでもほら、俺静岡県民だし、郷土愛も持ち合わせてなくもないし。
あーもー、なんか駄目だね。こういうのは駄目だ。もっとご陽気にいかないと、
俺の人生の指針に関わっちゃうからね。
俺がうちの師匠から受け継げた、最大の武器。
勢いをつけてベンチから立ち上がると出来るだけ明るくてふわふわ軽い声を
出した。
「俺は美味しいお酒があって温泉に入れたら何処でもオッケー。
シノさんの希望があったら優先しますよ」
「条件一緒だな。じゃぁ、候補地見繕うわ」
「じゃぁ、まず次はパンダの前で話しようよ。その後で外で移動しない?」
「そんなに見たいんだ、パンダ」
「あんたとならね」
何気なく言った言葉。シノさんはたまーに見せる苦いものを口にした様な
表情を浮かべ、それでもぎこちなく笑って俺を見返した。

376 名前:時蕎麦 ガッ10×ショタ:2007/10/26(金) 00:05:21 ID:yUpysKCY0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 途中うっかりageてごめんなさい
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )   題に気付いてくれた姐さんありがとう
 | |                | |       ◇⊂    ) __  前回レスくれた姉さん方に感謝
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



377 名前:風と木の名無しさん:2007/10/26(金) 00:13:38 ID:k57WfQKrO
>>358-364
姐さんGJ!!
録音エロいやら荒可愛いやらで禿げる。
荒は最後まで精神的にも攻めでいることが出来たのか激しく気になるw

378 名前:風と木の名無しさん:2007/10/26(金) 00:22:04 ID:D1D7jbPa0
>>358
ちょwwwwww寝ようと思って床に入ったのに起きてきちゃったよ自分
眠れなくなったじゃないかどうしてくれる!
  G  J  !  ! 
2人の関係が自分的理想にぴったりだ。上気する白い肌ハァハァ

379 名前:風と木の名無しさん:2007/10/26(金) 00:38:14 ID:2Rf3WB0m0
>>376

なんか雰囲気がすごく好きだ・・・

380 名前:風と木の名無しさん:2007/10/26(金) 00:40:58 ID:9YXPC7RL0
>>367-376
すんごい萌えたよ姐さん……!!
寝ようと思ってPC切る寸前だった。危なかった。
ショタ可愛いよショタ

381 名前:風と木の名無しさん:2007/10/26(金) 00:51:51 ID:P/Nu5Z0J0
>>331
あなたが神か
盛のかわいいよ盛の。

382 名前:風と木の名無しさん:2007/10/26(金) 00:58:59 ID:WPS1nyBw0
>>331

俺の盛乃キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
にッ尻ガンガレ

383 名前:風と木の名無しさん:2007/10/26(金) 01:15:20 ID:J/eirbewO
>>376
ありがとう。
この世でたった一人の師匠のくだりで泣けた。

384 名前:風と木の名無しさん:2007/10/26(金) 02:50:10 ID:jzI+2a3K0
>>358
続編キタコレ!!!!!
GJGJ!!録の可愛いよ録〜
和やかな雰囲気に禿げ萌えました。
姐さんゴチです!!

385 名前:涼宮春日ノ妄想(古キョン):2007/10/26(金) 15:37:05 ID:0buEz6t90
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  古キョンです。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|   あんまりイチャイチャして無いかも・・・
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ サーセン
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


386 名前:涼宮春日ノ妄想(古キョン)1:2007/10/26(金) 15:41:18 ID:0buEz6t90
すいません幾つスレ使うか解らなくなってしまいました…orzちょっと長いかもです


「BLよ!BL!今はBLが流行ってるのよ!!」
放課後の静かな文芸部部室(実際は謎の団体に乗っ取られてはいるが)の空気をぶち壊すのは、涼宮ハルヒだ。
言葉を覚えたばかりのセキセイインコのようにBL、BL、と聞き慣れない専門用語のような言葉を連呼しながら上機嫌で入ってきた。
BL?なんだそれは?ベーコンレタス?サンドイッチのことか?こんどはSOS団で喫茶店でも始める気か?
そうだな朝比奈さんの手作りなら繁盛間違い無しだろう。
「何馬鹿なこと言ってんのよ!ホントにあんたは流行とかに疎いのね。もっと社会を見たほうがいいわよ。アニメだけじゃなくってニュースを見るの。」
何だこの言われようは?大げさに溜息を付いたハルヒだが何かを企んだような含み笑顔で俺を見てくる。
解ってる。こういうときは大抵ろくなことを提案してこない。いや、ハルヒが上機嫌で入ってきたときから恐怖は感じていたんだがな。
「イイ、BLって言うのはBOYSLOVEの略で、いわゆる男同士の恋愛を書いたものよ。これが今や女子の間で漫画やら、アニメやらで大流行だって言うのよ!!」
ホワイトボードに「BOYSLOVE=男同士、恋愛!」と書いた文字をバンバン叩きながらハルヒが熱弁を振るう。今日の活動のお題がこれなのだろう。いつもの事ながらこいつの提案はどこのスポーツ紙もすっぱ抜けないほど急だ。
しかし、余りにも急でエキセントリックな出だしにハルヒを除く団員誰もが付いていけず声を発せずにいた。


387 名前:涼宮春日ノ妄想(古キョン)2:2007/10/26(金) 15:42:22 ID:0buEz6t90
朝比奈さんは持っていたお盆で真っ赤になった顔を半分隠しながら小さくひぁ〜等といっていた。もとより、色恋沙汰に免疫のないこのお方にハルヒの演説は少し刺激が強かったのか、そんな朝比奈さんの顔を見て強張っていた俺の表情も少し和らいだ。
いつもなら此処でちゃんと話を聞きなさい!とか言ってハルヒの突込みが入りそうなものだが。
長門はいつもの様に無表情ではあったが顔をハルヒに向けてしっかり話を聞いているような姿勢をとっている。それに気を良くしたのかハルヒは長戸に向かい特に熱弁を振るっている。なるほど、それで朝比奈さんに見惚れていた俺に気が付かなかったわけか。
それにしても長門はこの話に興味があるのだろうか?
古泉にふと目をやるといつものようなハンサムスマイルを浮べながら、ほおとか、はぁとか言いながらハルヒの話を聞いてるようだった。まるで授業を真面目に聞く優等生のようだ。
この時点で俺はハルヒの話を半分も聞いていなかった。
まさか今回の企画の主役を俺が任されるとも知らずに。

388 名前:涼宮春日ノ妄想(古キョン)3:2007/10/26(金) 15:43:43 ID:0buEz6t90
悔しいがこいつは綺麗な顔をしてやがる。
いざ綺麗な顔を説明するのは難しいことであるのだが。
たとえば、優しく笑った目や、緩やかに微笑んだ口元、さらさらで適度にスタイルの決まった髪、形のいい鼻、輪郭。
そんな条件が揃った面を言うのだろうか?
だとしたら俺の目の前にいる男はそれら全てを備えているだろう。
かなり悔しいが。
「キョン君」
今までは右に流れていた栗色っぽい目が珍しく真面目な表情でこちらを真っ直ぐに見ている。
真面目な声を出すな、顔が近いんだよ気持ち悪い。
「すみません。ですが、今顔を近づけているのはあなたですよ。」
古泉がいつものにやけたハンサムスマイルに戻る。反比例して俺の顔が曇ったのをこいつは気付いただろうか。
上半身を動かして古泉の顔から自分の顔を離そうとしたがその瞬間だった、
「コラッ!!キョン!勝手に動くんじゃないわよ!」持ち上げようとする俺の頭の上に金盥のようにキンキンした怒鳴り声が垂直落下してきた。
おかげで頭を上げそこなった。
遅くなったがここで俺と古泉が今どんな体勢でいるか説明しよう。
あまり自分では言いたくないのだが。
床で寝ている古泉を俺は両手、両膝を床についてまたいでいる。この状況をいきなり人に見られた場合、俺が古泉を押し倒しているようにしか見えないかもしれない。
流石の谷口も此処に忘れ物を取りに来たりしないよな?
俺が好き好んでこの体勢でいるわけではないことをご理解いただきたい。
もちろん涼宮ハルヒの提案である。

389 名前:涼宮春日ノ妄想(古キョン)4:2007/10/26(金) 15:44:43 ID:0buEz6t90
そもそも何故こんな状況になったのかを説明する為には少し時間を戻る。
先ほどのハルヒの熱弁が終わったかと思うとハルヒは部室の隅においてあった段ボール箱を引きずり出してきた。箱には撮影機材とマジックで書きなぐられている。
ハルヒはいそいそと箱の中から、ハンディカメラ、黄色いメガホン、折りたたみ椅子、腕章などほとんど撮影には関係ないようなものを取り出した。
まぁこの中に本格的な撮影機材などがもとより入ってはいないのだが。
前回の撮影と同じくまた俺がカメラマン役を押し付けられるのだろうと思い、頭の中で簡単にビデオカメラの使い方などを復習しながらカメラを受け取ろうとハルヒの前に手を出した。
「何突っ立って手なんか出してんのよ。あんたにあげる物なんてないわよ。」
ハルヒは冷たく言い放つと持っていたビデオを俺を通り越し後ろに立っていた長戸に渡した。
その横では朝比奈さんがデジカメを持っておろおろしている。
夏の合宿の時にカメラ係をやっていたはずなのにまるで初めて触ったような感じである。
以前にパソコンをいじったときもそうだったが未来人なのに機械が苦手なようだ。未来のコンピュータはもっと操作が簡単になっているのだろうか?
たとえば直接頭に埋め込んであるようなそんな仕様なのだろう。
こうなると今此処で暇を持て余しているのは俺と古泉だけだ。のどこかの映画監督
今回は手ぶらで活動を見学しているだけで許されるのか?
そんな淡い期待はハルヒのような口調にかき消された。よく見ればいつも団長と書かれた腕章がご丁寧にも超監督になっていた。

390 名前:涼宮春日ノ妄想(古キョン)5:2007/10/26(金) 15:45:50 ID:0buEz6t90
「そうね、古泉君はそこに仰向けで寝て、それでキョンはその上に四つん這いで覆いかぶさりなさい。」
さも当たり前のように言っているがこれは明らかに同級生に対して指示するような内容ではどう考えてもないだろう。
「ふざけるな。何で俺が古泉とさもラブシーンの真似事の様なことをしなきゃならんのだ。」
「古泉君の方が綺麗な顔してるしもちろん女役。受けね。本当は攻めの方が背が高いほうが良いんだけど。仕方ない此処は妥協してあげる。キョンが男役。攻めよ。」
人の話を聞け。身長のことはほっといてくれ。
流石の古泉もきっと困り笑顔で肩をすくめているだろう。
そう思って顔を向けたが、期待は裏切られた。
古泉はハルヒの指示におとなしくしたがって寝る体勢に付こうとしているじゃないか。
顔だけは困った笑顔を浮かべている、ふりをしているようだ。
仕方ない。俺もイヤイヤとハルヒの指示に従おうと体を動かす。
何度でも、騒ぐハルヒの頭を殴りつけ、椅子に縛りつけ、納得するまで説教をする、という行為を実行するチャンスはあった。
しかしそれを行うわけにはいかない。俺の良心が、とか人間としての倫理が、などと言う訳では無い(無視してはいけないが)。
ただ単に、世界を崩壊させるわけにはいかないからだ。


391 名前:涼宮春日ノ妄想(古キョン)6:2007/10/26(金) 15:48:14 ID:0buEz6t90
話の内容を半分も聞いていなかった俺に古泉が簡単に説明してくれたおかげで今日の目的がやっとわかってきた。
ハルヒが言うには、バニーガールによる校門でのビラ撒き、文化祭で放映した朝比奈ミクルの冒険、これらによってSOS団の知名度、注目度はぐんと上がった。
しかし、それは男子生徒のみにとどまり逆に女子生徒にはかなりの不信感を与えただけだった。
そのため女子の支持層を集める為の次の餌としてハルヒが選んだのがBLだったようである。
一体この学校での人気を得て何になろうとしているのか?こいつの行動に意味を考えるのは辞めておこう。
これは、こいつとの今までの付き合いで俺が学んだことの一つでもある。
「もう一回いくわよ。キョン、もっと古泉君に顔近づけちゃって!古泉君は照れた表情でキョンを見つめるのよ!」
ここで先ほどの俺が古泉に跨いだ体勢の場面に戻る。
そんなに離れた距離じゃないんだわざわざメガホンで怒鳴るのはやめてくれ。
「監督様の機嫌を損ねないうち早く終わらせてしまいましょう。」
「はぁ・・・、まったくだな」
古泉の意見に賛成するとさっきよりも顔を近づける。
ふっとシャンプーの香りが鼻につく。
別段驚きもしない。むしろ慣れた心地の良い香りになってしまっている。
朝比奈さんのシャンプーの香りより嗅ぎなれてしまっているのが思えば悲しいことだ。

392 名前:涼宮春日ノ妄想(古キョン)7:2007/10/26(金) 15:51:28 ID:0buEz6t90
俺と古泉は何回かこんな風に体を合わせている。
場所は此処だったこともある。屋上だったことも、帰りの廊下だったことも。
思い返せば節操なく公共の場で何をやっていたんだか・・・。もちろん全部古泉に仕掛けられてのことだ。
俺だってもちろん抵抗していたさ、でも何故だろういつからか特に抵抗せずにそいつを受け入れていたのだ。
恋愛感情?俺はこいつを「愛している」のか?古泉は俺によく言ってくる「愛していますよ」と。
その言葉にいちいち俺は顔を赤くし抱かれて。
だぁぁ、思い返して何照れてるんだ俺!
ただ同級生の男とちょっとありえない体勢で密着しているだけじゃないか。何を赤くなる必要がある。
「キョン君耳まで真っ赤になっていますよ。」
古泉が息だけ漏らしたような笑いをすると俺にしか聞こえないような小さな声で言う。
「それとも、思い出していましたか僕とのことを?」
余計な事をいうな。ますます自分が赤くなっている気がする。
「じゃあキョン、かるぅく古泉君にキスでもしてみましょうか。まずは古泉君が目を瞑って、キョンは瞼にキスよ。」
「なっ!!!お前!!そんなことできるわけ無いだろ。」
勢いよく顔を上げると折りたたみ椅子に座って黄色のメガホンを振り回す超監督に顔を向ける。
「早くしなさいよ。古泉君はもう目を閉じてるんだから。」
なんで俺に覆いかぶされてるこの男はこんな良い笑顔で目を閉じてるんだ?何で準備万端なんだ?




393 名前:涼宮春日ノ妄想(古キョン)8:2007/10/26(金) 15:52:17 ID:0buEz6t90
「あっ、あう…あの、」
朝比奈さんはカメラを手に持ちながらおろおろ俺たちを見ている。ハルヒに聞こえないような小さな声で「ごめんなさい」と言ったのを口の動きで俺は何となく察した。
解っています。此処で俺がハルヒを殴りでもして怒りつけたら、世界がどうなるかわからないんですよね?
お願いだからこの映像を学校で流すなんてことするなよ。
でもこれは女子生徒のSOS団への支持率を上げるものとか言ってたっけ?
バニーガールでの校門でのビラ配りと大差ない恥だ。もう学校の人間もこの集団(主にハルヒだが)の奇行にさほど驚かないのかも知れない。むしろスルーして欲しい。
腹を決めて古泉の閉じた瞼の上に触れるか触れないか程度に唇を付ける。はたから見ればほとんど頭突きのような勢いで頭を前後させた。古泉の声が漏れたような気がした。すまんぶつかったか?
「もっとムードを出しなさいよキョン!はい、そのまま止まらないで次に耳よー。」
どこぞのAV監督だお前は。
「そうそうそのまま・・・」
ハルヒは椅子から立ち上がり両手で四角くフレームを作りこちらを覗いている。しかしビデオ係の長門は監督の画面構成などまるで無視し三脚になったかのようにカメラを固定したまま立ち尽くしていた。




394 名前:涼宮春日ノ妄想(古キョン)9:2007/10/26(金) 15:53:12 ID:0buEz6t90
ハルヒの指示通り古泉の耳に唇を付ける。
今までよりもダイレクトに、今度はシャンプーではない古泉の匂いがする。
自分の目が閉じかかっていることに気が付く。そういえば心臓もアフリカの原住民の儀式のタイコよろしく激しく脈打っている。古泉だけには聞こえないでいて欲しい。
「次はおでこよ。」
言葉を待たずに俺は古泉の長い前髪を手で横にどかし額にキスをする。
「最後はもちろん唇!!」
ハルヒがクライマックスに向けて更に声を上げる。
しかしその声が発せられるより前に俺は古泉の唇に自分の唇を重ねていた。
悪いがハルヒ、この一連の流れは嫌って程繰り返しやられてるんだよ。
唇を軽く付けたまま古泉のネクタイに手を伸ばそうとした寸前だった。
「カーーーーット!こんなところね。思ったより良い画が撮れたわ。意外と演技派じゃないキョン。ただのプロモーションビデオにしちゃうのはもったいないはね。ストーリーを付けて映画にしようかしら。」
ハルヒの声で俺は催眠術から覚めたように意識がパッと戻ってきた。いや、まさに催眠術にかかっていた様だ。まるで無意識に体が動いていた。
まだ体に熱が残り心臓が激しく脈打っている。
どうしたんだ俺?

395 名前:涼宮春日ノ妄想(古キョン)10:2007/10/26(金) 15:54:13 ID:0buEz6t90
あれからしばらく続いた酷い羞恥プレイのような撮影会が終わり俺と古泉は部室前の窓の前に並んでいた。
朝比奈さんが着替えるために俺と古泉は追い出されて廊下にいる。
普段なら此処で帰ってしまってもいいのだが、団長様の提案でこの後打ち上げが行われるらしい。
どうせいつもの喫茶店かファミレスだろう。主演男優にギャラとして奢りの一つでもあれば嬉しいのだが。
俺が全員分奢るという事態は今回は無いだろう。
開いた窓から入ってくる風が涼しく赤くなっていた顔も落ち着いた。
文化祭も終わり最近すっかり風が冷たくなってきたな。
「今日の涼宮さんの行動をどう思われましたか?」
窓枠に頬杖を付いている俺の横に古泉が並ぶ。
「まったく、今まで一番迷惑で腹が立ったよ。」
「ふっ、そう言うと思っていました。」
なら聞くな。
「でも、僕も今回の涼宮さんの提案にはいささか動揺しました。彼女の提案が突拍子も無いことは今に始まったことではありませんが。まさか貴方との絡みを強要されるとは予想外でした。」
ふふっ、と困ったような笑みを零す。俺は笑う気にもなれずに黙ったまま窓の外を眺める。
「更に驚いたことですが、僕と貴方の役割は逆ではありましたが涼宮さんが指示した演技は、まるで僕らの情事をなぞった様ではありませんでしたか?貴方に顔を近づけ、目を瞑る瞼に、次に貴方の苦手な耳、短い前髪を手でどかしておでこに、そして最後に唇に僕が口付けをする。
すっかり形式なってしまった順序です。それを今日は貴方が涼宮さんの指示で貴方が僕にしてくれましたが。」


396 名前:涼宮春日ノ妄想(古キョン)11:2007/10/26(金) 15:55:22 ID:0buEz6t90
こんなことを躊躇いなくぺらぺら喋るこいつの代わりに俺の顔にまた熱が戻ってくる。
くくっ、と古泉が小さく笑う。
「少し驚きました。貴方が涼宮さんの指示が出るよりもスムーズに動いていましたからね。僕としましては悪い気はしませんでしたが。ここで本題です。
貴方は、涼宮さんが今までの僕達の行為を見ていた。そして関係に気付いてしまったんではないかと考えませんでしたか?」
質問形式にはなっているが明らかに俺の答えがわかっているような口調だ。腹の立つ。
お前の言う通りだよ。
「僕も一度はそうも思いました。でもそれは在り得ないんですよ。」
在り得ない?
この一年足らずであらゆる不思議体験をしてきた俺には在り得ないことを探すほうが難しかった。
「何がありえないんだ?俺からしたらハルヒが俺たちのことを知っていたとしか思えないんだが。」
面倒くさくなり古泉のほうも向かずに適当に答える。
今更だがこいつのもったいぶった言い方が気に入らない。
「もし涼宮さんが気付いていたとして、今日まで何のアクションを起こさないでいるでしょうか?」
確かに。あいつのことだその場で乗り込んで来るか、写真の一枚も撮られて脅迫でもしてきそうなものだ。
「そうなんです。しかし今日まで何も無かった。閉鎖空間が乱立するようなこともありませんでした。今日の撮影も我々に何かを気付かせる為ではなく純粋な好奇心で行われていたものと考えて間違えありません。
では今回は涼宮さんの力は働かなかったのか?そうだといいのですが、僕にはそうも思えません。結論から言いますと、涼宮さんによる影響はもっと以前に起きていたと考えます。」
もっと前?
「そうです。僕と貴方が、初めて情事を行ったとき以前です。」
その言葉に俺は初めて古泉の方を向いた。古泉も窓枠で手を組んだままこちらを見ていた。いつもの笑顔の安売りのような顔で。



397 名前:涼宮春日ノ妄想(古キョン)12:2007/10/26(金) 15:56:35 ID:0buEz6t90
その日のことは良く覚えている。忘れられるわけが無い。
古泉と俺以外が帰った部室で、珍しく長引いたオセロの続きをやっていた。そんな時、いつもの笑顔でまるで世間話の延長のようにこいつが言ったんだ。
「僕、ずっと貴方が好きだったんですよ。知ってました?」
何の冗談だ?こいつのユーモアのセンスにほとほと付いていけない。何処かにカメラでもあって、ドッキリなんじゃないかと目だけで辺りを見回したりもした。
「冗談なんかではありません。本当は貴方とこうやって向き合ってゲームなんかしていられ無いほどに。黙っていられないほどに。」
その日、俺は初めて古泉にゲームで勝てなかった。正確にはゲームが途中でおじゃんになったせいだ。
無理やり机に乗り出し俺に近づいた古泉のせいでオセロのコマたちは逃げるように机の下に、椅子の上にばら撒かれた。
俺のどんぐりみたいに間抜けに開いた目には閉じた古泉の長い睫と瞑った瞼しか見えず、耳には落ちていくオセロの音だけが嫌に長く耳に残っていた。

398 名前:涼宮春日ノ妄想(古キョン)13:2007/10/26(金) 15:57:39 ID:0buEz6t90
俺にはいまいちこいつの言いたいことが伝わってこない。それよりもこの話を早く終わらせたくてしょうがない、なぜかそんな気分だった。
「今回の涼宮さんの提案は今日いきなりのように思いましたが、実は言い出したのは急でも前々からずっと思っていることだったとしたらどうでしょう。たとえば僕が貴方に告白した放課後より以前だとしたら。」
そこまで言われて俺もやっと気が付いた。こいつの言わんとしていることが。
酷く間の抜けた顔をしていたことだろう。古泉がそんな俺を見て困ったような顔で笑った。
おそらくこいつの言いたい事はこういうことだろう。
俺とこいつが関係を持ったことも、全てハルヒの力によるものだと。
背筋に痺れが走った。恐怖なのか絶望なのかいやそのどちらもだろう。
言葉の出ない俺の変わりに古泉が話し始める。
「涼宮さんの力は今回のことに対しても例外なく発揮されていたということです。どこかにBLのカップルがいれば普通より面白いと考えたんです。そしてその妄想の結果として身近にいた我々が対象になってしまった。」
「しかし今回の撮影と本来の僕らの付き合いには相違点がありました。」
古泉が人差し指を一本立て俺を指差してから自分に指を向ける。
「貴方と僕の立場の逆転です。涼宮さんの中では僕は女役、貴方が男役になっていました。しかしそれは現実とはなぜか逆です。」
「それならこれはハルヒのせいじゃないんじゃないか?」
何とか口を開いて言葉を割り込ませんる。


399 名前:涼宮春日ノ妄想(古キョン)13:2007/10/26(金) 16:02:47 ID:0buEz6t90
「いえ、これほどの小さな相違は今までもよくありました。おそらく涼宮さんの考えていることよりも我々の意思が少なからず勝っていたのでしょう。たとえば、文化祭の映画撮影のときに喋る猫が現れました。現実世界は猫が喋るなんてことを容認したりはしませんが
猫自体は自分が喋ることに反発もありません、
話せる力が与えられたら何の疑問も持たずに話し始めるでしょう。しかし我々は違います。
猫よりも強い多くの意志を持っています。もっとも本人も気付きもしないような意識下の話になりますが。もしかしたら僕が貴方に口付けをした後、抱かれるのが僕で抱いていたのが貴方というのが本来のシナリオだったのかもしれません。
しかし結果的に貴方が僕に抱かれることになった。
そこは我々の意志が働いた結果だと思っています。貴方が僕を積極的に抱いてくれるとも思えませんしね。まぁ涼宮さんは撮影のときの役割を見た目だけで決めましたから。つまり涼宮さんの力は人間の意志を無視しての操りは余り得意では無いのです。」
しょせん俺たちはハルヒのゲームの中にいるキャラクターの一人で、今回ちょっとしたバグを起こしたって言うのか?
ふざけるな。
今わかった、背筋の痺れは恐怖でも、絶望でもない、正真正銘怒りだ。
ハルヒの勝手な力にも、冷静に話を続けられる古泉にも怒りを感じた。
それじゃあ俺と古泉の関係も結局ハルヒの夢だったみたいなものか?今回撮影したテープの最後にも文化祭の映画で使ったようにこの作品に実在する人物、事件団体は、などと台詞を入れたとしよう。
そうすると俺たちもまたただの男友達の関係に戻るのか?もちろんキスなんかしない、セックスもしない、
手を繋いだだけで男同士で気持ち悪いと言い合うような当たり前の友達関係に戻るって言うのか?
「そうかも知れませんね。実際、男同士の同級生が関係を持つこと自体がイレギュラーな出来事ではあったのです。」
さらっと言い放った古泉になんともいえない感情がわきあがる。こいつはどう思っているんだ?俺より早くこれに気が付いてどう思ったんだ?
ハルヒのやることに今まで反抗を示したことの無いこいつだ今回のこともハルヒの起こした現象の一つとして機関とやらに報告して終わらせる気か?

400 名前:涼宮春日ノ妄想(古キョン)15:2007/10/26(金) 16:04:15 ID:0buEz6t90
考えよりも先に体が動いていた。古泉の顔を両手で挟んで乱暴に自分の唇を古泉の唇に重ねる。いや、ぶつけるの方が正しいかもしれない。
流石の古泉も驚いたようだったがすぐに目を閉じキスをリードする。
悔しいが俺はお前が好きだ。それがたとえハルヒのお遊びだったとしても。
あの撮影がフィクションで終わってもそのあとも俺はお前を好きでいられる自信がある。きっと同じような事をする。
今度は俺がオセロをばら撒いてお前にキスしてやっても良い。
俺から告白もしてやる。俺はただの同級生を好きになったんじゃない。お前が、古泉一樹が好きなんだ。
古泉から唇と手を離す。少し背伸びしていたつま先が痛い。
ぶつけ合った衝撃で俺の唇の真ん中が切れて血を流していた。それに気が付くと古泉が血を舐めるように口を付ける。
「僕だってこのまま終わらせる気はさらさらありません。貴方がこんなに愛しいのですから。しかし涼宮さんには決してばれてはいけません。
今度は更に大きな閉鎖空間には行きたくありませんでしょう?
涼宮さんの前で必要以上に僕と仲良くしてはいけません。」
ん?どこかで聞いたことのある台詞だ。何で俺が他の奴と仲良くすると閉鎖空間が起こる?ハルヒが望んだことじゃないのか。
「涼宮さんには矛盾があるのです。面白さを求める反面、実際に見たら拒絶してしまうような矛盾が。」
話しながら古泉が腰に肩に手を回し抱きしめる。俺も抵抗することなくこいつの腕に収まる。

401 名前:涼宮春日ノ妄想(古キョン)16:2007/10/26(金) 16:05:17 ID:0buEz6t90
「これはまさに神に逆らった関係です。ばれたらその瞬間関係が、いや、世界さえも終わってしまうかもしれません。」
「そんなの関係あるか。」
随分不敵な笑みを俺はしていたと思う。ハルヒのせいで何度も絶望は感じたが今回はなぜかなんの心配も無かった。
神だろうと何でも恐れていなかった。
「キョンー、古泉くん随分待たせたわね。もう入っていいわよ。」
扉の向こうからでかい声が聞こえる。これを合図にするように俺と古泉が体を離す。
パタパタと愛らしい足音が聞こえるとこれまた愛らしいふわふわの先輩が「おまたせしました。」と扉を開けてくれた。
目の前に満足げな笑みを浮かべ椅子にふんぞり返って足と手を組むハルヒの姿が目に入る。
なるほど。こいつが俺たちの恋のキューピッドであり、いつ爆発をするかわからない核兵器だというわけか。
「なによ?変な顔して。」
「ん、いやなんでもねーよ。」
俺は喧嘩でも売るような笑みでも向けていたのかハルヒが新種の生き物でも見るような警戒した目で見る。いや、ハルヒだったら喜んで素手で触るか。


これはちょっとした宣戦布告だ。
神を敵にまわした俺の決意は簡単に崩れねーよ。

402 名前:涼宮春日ノ妄想(古キョン)16:2007/10/26(金) 16:10:29 ID:0buEz6t90
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ なんか長い上
 | |                | |     ピッ   (・∀・;) グダグダで申し分けないです…
 | |                | |       ◇⊂    ) __ スレ消費失礼しました! |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

403 名前:涼宮春日ノ妄想(古キョン)4で:2007/10/26(金) 16:54:52 ID:0buEz6t90
間違え発見・・・orz
×そんな淡い期待はハルヒのような口調にかき消された。
○そんな淡い期待はハルヒの何処かの映画監督のようなような口調にかき消された。

文字が飛んじゃってました。すいません。最後のAAもずれたし・・・

404 名前:風と木の名無しさん:2007/10/26(金) 18:43:12 ID:gmogxtwbO
>>341
.゜.(つД`).゜.
萌え泣いた GJです!!!

405 名前:風と木の名無しさん:2007/10/26(金) 20:45:46 ID:Qxp3JGIl0
>>367-376
師匠の師匠に泣けてしまった
いつもごちそうさまです姐さん

406 名前:ビリハム1:2007/10/26(金) 21:42:51 ID:kM39lWSg0
ビリハムです。エロなし。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「……っくぅ!」
 機体に大きな振動が加わる。後ろの背もたれに叩きつけられて、
グラハムは呻き声をあげた。人類革新連盟の主力機であるティエレンに圧倒されたのだ。
 地上戦で力技で押し切るには、フラッグの重さでは到底敵わない。だからフラッグの
機動性を重視したライフルによる攻撃で空中からの射撃攻撃で対処していたのだが、
ティエレン高機動型による空中戦であっさり取り囲まれ、地に叩きつけられてしまった
のだ。その衝撃で、グラハムは一瞬怯んだ。だがすぐに体勢を取り戻し、地面に推力を
保つ。ライフルは先ほどの攻撃で海に落としてしまったようだ。ティエレン相手に、
あまり接近戦はしたくなかったがここは仕方がない。グラハムは咄嗟の判断で左腕の
プラズマソードを抜き放ち、ティエレンと対峙した。
 背中を思ったより強く打ち付けてしまっていたようで、未だ激痛を伴っている。それでも
向かってくるティエレンに対して、グラハムはプラズマソードを一閃させた。機動力では
こちらが勝っている。力技を防げばここはまだ勝算がある。第一、この無人島で
こんな戦闘になったのも、元々は人革連がユニオンの領海に侵入したことが
きっかけなのだ。
 そこで大人しく退散すればいいものを、燃料が不足しただのなんだのと、ごねた所為で
こうなってしまったのだ。グラハムはこの件で出動を言い渡され、心底呆れていた。けれど、
上からの命令には逆らえない。所詮、前線に出るパイロットの扱いなどそんな
ものだ。なにより、そんなくだらない理由であれど、前線に出て戦えるというのはグラハムに
とってとても喜ばしいことである。フラッグを駆り、敵と剣を交わらせることによって、
相手のパイロットとぶつかりあうことができる。自分自身の実力を試すことができる。ある種、
戦争とは美学なのだ。芸術と言ってもいい。それを口に出すことはないけれど、
グラハムは戦うことがとても好きなのだ。その好戦的な性格を買われて、
未だ前線に留まっていると言ってもいい。特殊部隊隊長と言う階級をもちながら、
戦う楽しさを忘れられず、出世する道を自ら絶っているといってもいい。

407 名前:ビリハム2:2007/10/26(金) 21:44:21 ID:kM39lWSg0
 最近は新たな戦闘相手を見つけ、まるで新しいおもちゃを見つけた子供のように、
そのMSを追っている姿は、見ている側としても微笑ましく思えてくる。カタギリは、
コーヒーを片手にグラハムが興味を持った例のMSを調べていた。
「ガンダム……付着した塗料はどこの国家でも使用していない独自のものか。――しかし、
成分になんら変わったものは見られない。なるほど、目に見える部分、捨ててもいい部分に
は目新しい技術は使われていないということだな。周到なやつらだ」
 キーボードを操作しながら、カタギリは呟いた。例のMS――ガンダムに興味を持った
グラハムに、少しでも協力しようと、カタギリもガンダムの情報を調べるのに懸命
だった。あれに使われる技術が明らかになれば、他の国家を抜きん出て自国に貢献する
ことができる。
 ――グラハムは、あの機体を見ただけで機体がどう動作しているのかを予測して
みせた。そして、それは八割方当たっていると言えよう。あのガンダムの散布する粒子は
どうやら、推力や、武器を使用するためのエネルギー、そして電波を妨害する作用が
あると推測される。これは大きな手がかりになりそうだった。
 あれだけの才能を持ちながら、グラハムは未だ戦いを好んでいる。特殊部隊に
配属されているのだから、このような非常事態でない限り、出撃命令はくだらない。今、
搭乗している空母艦。艦長を初め、ここのクルーたちはグラハムに依存しきって
いる。確かに実力はある。この程度の戦闘で死んだりもしない。だが、こんなところで
彼を酷使して、本当にいいものだろうか。グラハム自身もこの戦闘の理由に呆れて
いた。だが、それ以上にグラハムに沸き起こる戦闘意識が、彼をフラッグへと駆り立てた
のだ。
「僕は行くよ。どんなくだらない理由であれ、戦えば戦うほど、僕の戦闘評価があがるの
だったらそれでいいじゃないか。君も、いいデータが取れるだろう? それで、また新しく
MSを開発してくれればいいさ」
 いつものように余裕めいた笑みを浮かべて、グラハムは出撃した。
 それからほどなくして、戦闘解除のサイレンが鳴った。ハッチが開く音が聞こえる。帰還
したようだ。

408 名前:ビリハム3:2007/10/26(金) 21:46:32 ID:kM39lWSg0
 そのうちカタギリの部屋に愚痴でも言いに来るだろうと、カタギリは踏んでいたが、
部屋をノックしたのは成年の一般兵だった。カタギリは振り返る。
「どうした」
「はっ。失礼します。ビリー・カタギリ技術顧問。実は、先ほど帰還されたグラハム・エーカー
中尉が負傷されていまして」
「なんだって」
「医務室に運ばれたあと、ここにカタギリ技術顧問を呼んでほしいと申されておりました」
 グラハムが負傷するという、珍しい事態にカタギリは眉を顰めた。呼び出す元気が
あるのなら、絶命の危機と言うわけではなさそうだが、それでもただ事ではなさそうだ。
「……容態はどうなんだ」
「は、ご本人は大したことがないと申されておりました」
「そうか。分かった、すぐ行く」
 カタギリは立ち上がって、兵士のあとに続いた。

 医務室に着くと、カタギリは兵士を下がらせて中に入った。そこには下着姿でベッドに
横になっているグラハムがいた。寝てはいなかったようで、カタギリに気付くとすぐに
起き上がった。それを、カタギリは尽かさず制止した。
「いい、まだ起き上がるな」
「大丈夫だ、少し背中を打っただけさ」
「なら尚更だ」
 カタギリがまだ寝かそうと肩を掴むが、それは無駄だった。グラハムがカタギリの
手を押し退けて起き上がる。いつものように唇に弧を描いて笑って見せた。
「……本当に大丈夫だ。気にしなくていい」
「どんな、状況だったんだ?」
 手近にあった椅子に腰掛けて、カタギリは問いかけた。グラハムが医務室に
運ばれるような怪我をすることは滅多にない。理由だけでも知りたかった。
「――空中でティエレンに取りかこまれて落とされた。ライフルが一つ失って
しまったよ。そのまま地面に叩きつけられたのさ」
「他のフラッグは援護に回らなかったのか」
「そんな余裕はなかったと思うな。数は向こうのほうが圧倒的に多かった。戦艦だったから
搭載量も多かっただろうし。……ただ、むこうが確実に悪いわけだから、この戦闘自体に
対して意味はないわけさ。牽制にもならなかったけどね」

409 名前:ビリハム4:2007/10/26(金) 21:48:22 ID:kM39lWSg0
「無事でよかった」
 いつもの調子で淡々と、かつ面白そうに話すグラハムにカタギリは安堵した。今ここで
彼を失ってしまったら、カタギリに拠り所はなくなってしまう。まだまだ、グラハムにして
やりたいことは残っていた。
「……そんなに心配しなくても、後遺症は残らない。ほら、」
 グラハムはそう言って白い背中をカタギリに曝け出した。肩甲骨の下、腰との間に
痛々しい痣が出来上がっていた。酷く鬱血している。この状態で横になれば痛みで身体も
休まらないだろう。だから、グラハムは横になることを拒んだのだ。
 カタギリが来るまで横になっていたのはいいものの、その痛みを我慢できなくなって
きたころにちょうどカタギリが来たのだ。
 痛いなら、初めからそう言えばいいものをグラハムはあえて黙っていた。頑固者だと
言っていいのか、それともカタギリに心配をかけたくなかった一心なのか、カタギリには
その心が全く読めずにいた。
「舐めて」
「え……」
「舐めてくれ」
 突然降り注いだ言葉に、カタギリは一瞬反応が遅れた。カタギリの前で背中を曝け出す
グラハムが再び言った言葉は、どうやらカタギリの聞き間違いではなかったようだ。
 いつもより、少し艶を含んだ声に、カタギリは逆らえなかった。仕事に私情を持ち込んでは
いけないと思いつつも、劣情は抑えられなかった。これがオフの日であれば、なんとでも
望むままに掻き乱してやれるのに。
 今は仕事だ。パイロットのケアをしてやるのも仕事の一つだ。そう、割り切ってカタギリは
グラハムの背中に口付けた。
「――痕は、つけないでくれよ」
「ああ、分かっている。次の休みは、覚悟しておくんだな」
 背中越しに、くすりと笑う声が聞こえた。

END

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

短くてすまない。

410 名前:風と木の名無しさん:2007/10/26(金) 22:03:33 ID:Ycsj9BKA0
>>409
GJです。
公たんは軍のアイドルなのに淫らでイタズラなにゃんこちゃんですね。
けしからん。もっとやって。

411 名前:風と木の名無しさん:2007/10/26(金) 22:39:56 ID:aoqqAiJqO
>>409
GJ!!!!

412 名前:風と木の名無しさん:2007/10/26(金) 23:02:55 ID:98o6cBMB0
>>402
あまり長いのは分けて欲しい。
以前も何度も揉めてるし、個人的には20行以上で
5より長いとちょっと読む気しないし棚よりサイト作れと思う。
他の人の投下のタイミングとかもあるし。

413 名前:荒茶01:2007/10/26(金) 23:04:55 ID:ud/CrGLz0
ガンダムOOの荒茶です
ちょっと長くなりそうなんですが、砂吐くほど甘い話や、茶がクールじゃないと駄目な方は、見ない方が良いかもしれません

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!




「オールシステム、定期スキャン終了。異常ありません」
「艦内環境、温度湿度、空調設備等、全て問題ありません」
地球軌道上より僅かに離れた位置に駐留する、MSガンダム輸送艦・プトレマイオス(別名トレミー)
そのオペレーションルーム内では、数名のクルー達が、システムチェックやデータ収集、外部周辺の監視等を行っていた。
「プトレマイオス周辺100q四方、異常ありま・・・あら?」
「どうしたの?」
レーダーとスクリーンを見ていて、異変に気付いたオペレーター、フェルト・グレイスの声に、
ルーム中央でリキュールの入ったボトルを傾けていた、スメラギ・李・ノリエガが反応した。
「2時方向、70q地点に機影が! 画面拡大します」
「あれは……キュリオス!?」
拡大された画面に映っていたのは、ガンダムキュリオスだった
まっすぐこちらに向かって飛んできている
「今日はヴァーチェ以外の帰鑑は予定に入っていない筈ですが……」
もう一人のオペレーター、クリスティナ・シエラの訝しげな声で説明され、スメラギは眉を寄せる
「どういうこと? ……まあ良いわ、キュリオスに回線開いて」
「こちら、プトレマイオスオペレーションルーム。キュリオス、応答願います」
フェレトが呼びかけると、画面が切り替わり、スクリーンには操縦席に座っているアレルヤ・ハプティズムの姿が映し出される
『こちらキュリオス。プトレマイオスに用事があって戻って来ました。勝手な事をしてしまって申し訳ありませんが、着艦の許可を頂けますか?』
アレルヤの穏やかな表情と口調に、スメラギとクリスティナが顔を見合わせる
「……まあ良いわ。フェルト、キュリオス着艦の準備を」
『ありがとうございます』
スメラギの応答に、アレルヤが嬉しそうに礼を言った

414 名前:荒茶02:2007/10/26(金) 23:09:24 ID:ud/CrGLz0
「一体どうしたの?」
無事に着艦を果たして、キュリオスから降りてきたアレルヤを出迎えたスメラギが、心配そうに声をかけてきた
「どうもすみません。でも、大した事じゃないんです。用が済んだら直ぐに地上に戻りますから」
「……まあ良いけど」
アレルヤのどこまでも申し訳なさそうな態度に、スメラギもそれ以上は干渉する必要ないと感じたのか、その場から立ち去って行った。



インターフォンのチャイムが来客を告げる。
その音に、データに目を通していたティエリア・アーデが、扉の方に顔を向けた
プライベートルームの入り口、その横にあるセキュリティシステムの画面を見ると、そこには、今ここにいる筈のないアレルヤの姿があった
「ただいま」
ティエリアが入り口のロックを解除して、ドアを開いてやると、アレルヤが優しい笑みを浮かべて入って来た
「……家に帰らないのか? ミッションはもう終わったんだろう?」
無表情のまま、ティエリアは背を向け、中断していたデータの読み取りを再開しようと部屋の中央へ戻る
「ティエリア……」
それを追いかけて、アレルヤは後ろからティエリアを抱きしめた
「ティエリア、逢いたかった……」
ティエリアの身体をギュッと抱きしめ、うっとりと目を閉じて、ティエリアのサラサラの髪に鼻を埋める
シャワーを浴びてまだ間もないのか、シャンプーの香りがふわりと立ち昇る
突然後ろから逞しい腕を絡められ、これ以上無い優しい声で囁かれ、ティエリアはピクリと反応する
「……10時間前まで一緒にいただろう」
「そうだけど……」
ティエリアのつれない返事に、アレルヤは苦笑する
「どうしてかな……、ミッションを終えた後、無性に君に逢いたくなったんだ」

415 名前:荒茶03:2007/10/26(金) 23:11:29 ID:ud/CrGLz0
--------------数時間前

「ミッションコンプリート。こういうのならいつでも……やるんだけどね」
炎上する麻薬畑を後に、アレルヤは苦笑する
命令とはいえ、出来るだけ殺戮はしたくないアレルヤにとって、こういうミッションは嬉しかった
「さてと、帰ろうかティエリア……」
言いかけて、アレルヤはハッとする
そうだった、今回のミッションには彼は不参加なのだ
セカンドミッションまでは一緒に行動していたティエリアが、今は自分の横にはいない
その事実が、急にアレルヤに寂寥感をもたらした
彼の声が聞きたい……
彼に触れたい……
『よう、お疲れさん! こっちも終わったぜ。一緒に帰るか?』
ロックオンから、陽気な声で通信が入る
「うん……。ゴメン、先に帰ってくれるかな」
『あっ!? どうかしたのか?』
あまり元気の無い声で予想外の答えが返ってきて、ロックオンは訝しげに答える
「うん、ちょっと……」
『まあいいや。明日の約束は大丈夫なんだろうな?』
「一緒の買い出しだよね? それは大丈夫」
『そうか、じゃあな。明日正午に現地集合な』
「ああ、お疲れ」

416 名前:荒茶04:2007/10/26(金) 23:15:01 ID:ud/CrGLz0
「子供か……」
ティエリアが呆れた口調で返す
「子供でも良いよ、ティエリアがかまってくれるなら」
だがアレルヤは動じる事なく、ティエリアを振り向かせると、メガネをスッと取り上げ、親指と人差し指を顎にかけて自分の方に向かせる
「……これが子供のやることか」
無表情でそう返してみるものの、アレルヤの、愛しさが込められたまっすぐな瞳に見つめられ、ティエリアは黙って目を閉じた
出会ったばかりの頃は、ただウザイだけだった
どういう訳か妙に懐かれ、こっちがどんなに邪険にしても、犬みたいにまとわりついてくる
詳しいことは良く知らないが、肉親の愛情に恵まれずに育ったらしいことは耳にしていただから、自分にそれを求めてるのかもしれない
ティエリアにとって、そういう対象は迷惑きわまりないだけだが、どこか放っておけないところもあった
それが何なのかは未だに分らないが、一緒にいると何故か心が安らぐアレルヤに、ティエリアは次第に、心も身体も許す様になっていった
ゆっくりと唇が降りてきて、ティエリアの舌が絡めとられる
それに応えるように、アレルヤの首に両手を絡めると、激しく舌を貪ってくる
「んっ……ふ……」
淫らな水音が室内に響く
その音に興奮したアレルヤが、ティエリアに重心を預け、そのまま二人はベッドに倒れ込む
アレルヤは唇を一度離し、熱っぽい目でティエリアを見つめると、ピンクのカーディガンと中に来ているシャツのボタンを丁寧に外していく
やがて、前がはだけられ、首筋に顔を埋められる
「んっ……」

417 名前:荒茶05:2007/10/26(金) 23:22:20 ID:ud/CrGLz0
ティエリアの真っ白い首筋を舌が這い回り、唇できつく吸い上げられ、紅い華が刻まれていく
それと同時に、アレルヤの大きい手の平がはだけられた胸元に進入し、シャツに隠れている小さな突起を摘む
「んくっ!」
きつい衝撃に、ティエリアの身体がビクッと跳ねる
続いて舌を突起に移動させ、歯で甘噛みしながら舐めると、はぁ……と甘さを含んだ声が上がった
顔を覗き込んで見ると、普段はきつい光を放つティエリアの赤い瞳は、トロリとして涙で潤み、凄まじいほどの色気を放っていた
アレルヤは思わず息を呑む
これまでもティエリアを何度か抱いてきたが、この色気だけは慣れない。どうしても翻弄されてしまう
それはちょっと悔しいけれど、ティエリアのこんな表情を見られるのは自分だけに与えられた特権だという事に、
アレルヤはまた、幸せを噛み締めずにはいられなかった
「これだけでこんなに感じるんだ?」
悪戯っぽい笑みを浮かべながら顔を覗き込むと、ティエリアは目元をカアッと染めて、ふいと顔を背ける
その反応が可愛くて、アレルヤはクスクス笑う
「ここ、もうこんなになってる」
胸の突起から脇腹、下腹へといやらしく手のひらを滑らせ、そのまま下着ごとズボンを降ろし、脚の間で既に起立しているティエリアの欲望を握り込む
「んふぅ……あぁ……」
ティエリアの唇から、更に甘さを含んだ喘ぎ声が漏れた

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ ) とりあえずここまで

人多杉でなかなか入れない上に、あまり長いと迷惑な様なので・・・
続きは鯖が治まる夜中頃にまた投下します





418 名前:風と木の名無しさん:2007/10/26(金) 23:32:05 ID:CoQ3WbdJ0
>>417
ぐぐぐぐGJです神様!!
真夜中の再投下を心よりお待ち申し上げております_| ̄|○ヘヘー

419 名前:風と木の名無しさん:2007/10/26(金) 23:44:56 ID:SSHAs5mPO
>>409

GJGJGJ!何という破壊力
私の毛髪を返して下さい

420 名前:荒茶06:2007/10/27(土) 00:59:37 ID:HjplI+PJ0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ ) お待たせしました、そろそろ良い頃だと思うので、続き再開します


その声に煽られ、アレルヤは握り込んでいたティエリアの欲望を、激しく扱き始めた
「はあんっ! ああぁ……」
途端にティエリアの身体が激しく仰け反り、固く閉じられた瞳から涙が溢れてきた
「そんなにイイんだ?」
感じすぎるティエリアの痴態に、アレルヤも昂ぶってくる
激しく扱きながら先端を口に含み、きつく吸い上げる
「ひあっ! ああんっ! イくうぅぅぅーーー!!」
普段からは想像もつかないような高い声を上げて、ティエリアは果てた
びゅくっ! と勢い良く、アレルヤの口内に放つ
「はあ……はあ…… 」
シーツの上にぐったりと身を投げ出し、肩で大きく息をしていると、傍らで彼が服を脱ぐ気配がした
そして、服は脱いだが、両腕のリストバンドのみ装着したままの状態で、再度ベッドの上に戻ってきたアレルヤに、
上半身に申し訳程度に纏われていたシャツとカーディガンを剥ぎ取られ、生まれたままの姿にされる
明るい照明の下、白いシーツに溶け込みそうな程に白く儚げな裸体を、アレルヤはうっとりと見つめた
男にしては華奢な、でも、女のそれでも無く、性別を感じさせない天使みたいだと、いつも思う
その背中に真っ白い翼が生えてないのが不思議なくらいの、美しさと神々しさ
そんな、人間とはおよそかけ離れたような孤高な存在の彼が、自分を受け入れてくれている
アレルヤは、まさに神に感謝したい気持ちでいっぱいだった
「あっ! やあぁん!」
逞しい両腕で両足首を掴まれ、そのまま大きく開かされ、中心でひくつく蕾を露わにされる
全て彼の前に晒され、羞恥で身を捩る
その初々しいリアクションに、アレルヤはまたしても苦笑する
『全くこの子は……』
何度身体を重ねても、拭い去ることの出来ない恥じらい
ティエリアは、いつまで経ってもこの羞恥を捨てられない様だ
そういうところがまた、どうしようもなく可愛いのだが……

421 名前:荒茶07:2007/10/27(土) 01:04:08 ID:HjplI+PJ0
「あっ!あぁん……」
先ほどティエリアが放ったそれを潤滑油代わりにして、アレルヤの指が、ティエリアの蕾に差し込まれる
2本の指で、全体に行き渡るように激しくスライドさせると、グチュグチュと淫らな音が響いて、ティエリアの聴覚を犯した
「はぁ…… あんん……」
奥から一番敏感な所まで、余すことなく解されて、ティエリアの蕾が綻んでくる
「あっ……あっ……もう……」
ビクビクと身体を震わせ、ティエリアが強請る
「なに? もう欲しい?」
もう十分に起立して限界も近いだろうに、それでもアレルヤは、余裕の笑みを浮かべてティエリアを見つめている
ティエリアがそれに、必死にコクコクと頷く
「そう……、じゃああげるよ」
アレルヤはそう答えると、ティエリアの腕を引いて起き上がらせ、真っ白な細い腰を両手で掴むと、そそり立つ自分の欲望をティエリアの蕾に宛がい、腕の力を抜いた
「ひあっ! ああっ! ぐうっ!」
その途端、ティエリアの体重が一気に下にかかり、アレルヤの欲望が根元まで突き刺さった
そのまま、ズンッ! ズンッ! ともの凄い力で突き上げられ、直腸を激しく抉られ、ティエリアは狂った様に悲鳴をあげる
「ひぎぃっ! ああっ! はあぁーーーー!」
「くっ!」
大きく見開かれた赤い瞳からは大粒の涙が溢れ、だらしなく開かれた唇の端から、飲み込むことが出来ない唾液が滴り落ちる

422 名前:荒茶08:2007/10/27(土) 01:08:50 ID:HjplI+PJ0
「いっ、ああっ! もっ……っと……やさし……く……」
あまりの痛さに突き上げから逃れようと、ティエリアは、アレルヤの筋肉隆々な逞しい胸や腕に縋り付く
「ティエリア、ごめん!」
アレルヤは、ティエリアの苦痛を和らげようと、ティエリアの欲望に手を伸ばした
痛みで萎えていたそれを扱いてやると、ティエリアの口から、悲鳴だけでない、甘い声が混じる
「んあっ! はんっ! あっ……あっ……あっ……」
「……っ! ティエリア、綺麗だ……」
快楽に泣き濡れるティエリアの淫らな表情を間近で見て、アレルヤは興奮する
「ああっ! ああっ! もっ……イくぅ! ああぁぁぁぁーーーーーーっ!!」 
一際甲高い声をあげて、ティエリアは達した
勢いよく白濁が飛び散り、二人の身体を汚す
「くっ! ああっ!」
ティエリアが達した瞬間思いっきり締め付けられ、アレルヤも、ティエリアの体内に灼熱を放った
「はぁ……はぁ……」
互いに抱き合った姿勢のまま、余韻に浸る
だが、ティエリアは流石に限界の様で、アレルヤに身体を預けてぐったりとしていた
流石にこれ以上は無理だと判断し、息が整うのを待って、アレルヤはティエリアを休ませようと身体を離そうとする
だが、ティエリアはしがみついて離れない
「ティエリア?」
「……まだ、満足してないだろう?」
僅かに、いつものクールな表情に立ち戻ったティエリアの声を聞いて、アレルヤは目を瞠いた
実際、アレルヤは一度しか達しておらず、確かに不完全燃焼気味ではあるが、だからと言って、ティエリアに無理をさせるわけにはいかない
自分の為に、無理はさせたくない
「……いや、でも、僕は大丈夫だ……」
「大丈夫じゃない!」
アレルヤが最後まで言い終わらないうちに、ティエリアが声を張り上げる
「お前も満足しなきゃ、俺が納得いかない! 俺はまだ、大丈夫……だから……」
「ティエリア……」

423 名前:荒茶09:2007/10/27(土) 01:13:50 ID:HjplI+PJ0
ティエリアの、今にも泣き出しそうな、悲痛な表情を目の当たりにしたアレルヤの胸が、熱くなる
なんて可愛いのだろう……
こんな愛らしいティエリアを見たら、刹那やロックオンはさぞかし驚くだろう
アレルヤは、ギュッとティエリアを抱きしめ、そのままやさしくベッドに横たえさせた
そして、深く口吻る
「んん……」
数秒後、口吻を解くと、心の底から愛しさを込めた瞳で、ティエリアを見つめる
「ありがとう、ティエリア。すごく嬉しいよ」
大きな手で優しく髪を撫でられ、ティエリアは猫の様に一瞬目を閉じる
「……じゃあ、もう少しだけ付き合ってもらって良いかな?」
アレルヤが穏やかに言うと、ティエリアは嬉しそうに頷いた
「んっ……んんっ……ふぅ……」
再び口吻け、激しく舌を絡ませ合う
一度達してしまえば、再燃するのにそれほど時間はかからない
二人はまた、互いの身体を繋ぎ合わせた
今度は正常位で……
「あっ……はぁ……」
先刻とは打って変わり、アレルヤは、今度はゆっくりとティエリアの中に入っていく
奥まで到達したアレルヤは、ティエリアの息が整うのを待って、抽挿を開始した
「あっ! あっ! ああっ……はあうっ!」
アレルヤの動きにシンクロするように、ティエリアは淫らな声をあげる
「ティエリア、……気持ち良い?」
先刻ほどの激しさは無いが、ねっとりと欲望に絡みついてくる内壁に半ば恍惚となりながら、
アレルヤが溜息混じりに話しかける
「あぁっ! いっ、イイ……気持ちイイよぉ!」
極限まで身体を反らせ、喉元をあらわにして、ティエリアが悶える
「あぁ……はぁ……、アレルヤ……あぁっ!」
譫言の様にアレルヤの名を呼び、ティエリアが、助けを求めるように腕を伸ばす
「……!」
彼からは滅多に呼ばれない自分の名を呼ばれ、ティエリアへの、狂おしい程の愛しさがあふれ出す

424 名前:荒茶10:2007/10/27(土) 01:17:09 ID:HjplI+PJ0
ティエリアから差し出された腕を掴み、その腕を自分の首に回させる
「ティエリア! ティエリア!」
そして、夢中で愛しい人の名前を呼び、抽挿にラストスパートをかける
「ひゃあっ! ああぁっ! イくぅ! またイっちゃうぅーーー! あああああぁぁぁーーーーーーーっ!!」
互いに盛大に白濁を吐き出して、二人は同時に果てた
そして、限界をとうに超えていたティエリアは、そのまま意識を失った




『……また激しくしすぎちゃった……。ごめんね、ティエリア』
傍らで、天使の様に美しく、あどけない顔でぐっすり眠る、ティエリアの髪を優しく撫でながら、
アレルヤは心底申し訳なさそうな顔で、小声で謝る
アレルヤはいつも、ティエリアを抱くと歯止めが効かなくなる
あの人間とは思えないほどの超越した高貴さと妖艶さと愛らしさが、アレルヤを狂わせるのだ
『とんでもない人を好きになっちゃったなあ……』
苦笑を浮かべながら、未だ目覚めない思い人を見つめる
『まっ、いいか』
だが、ティエリアの無邪気な美しい寝顔の前にしては、結局最後はそこに結論が行き着いてしまう
大好きなティエリア……。ティエリア・アーデ
その名前はとてもキュートで、君に相応しい名前だけれど……
いつか、君の本当の名前を、教えてくれる時がくるだろうか?
そして、僕の本当の名前を、君に教えられる日がくるだろうか?
僕たちは、いつ死んでもおかしくない状況に身を置いているけれど、君だけは、僕が必ず護ってみせるよ
例え、僕の命と引き替えにしてでも……

425 名前:荒茶11:2007/10/27(土) 01:20:33 ID:HjplI+PJ0
「……! やばっ、もうこんな時間?」
甘い妄想に身を委ねていたアレルヤが、ふと我に帰って時計を見て、慌てて身を起こした
地上に帰るタイムリミットが大幅に過ぎている
「うわあ、どうしよう……。このまま現地にまっすぐ飛んでも、今からじゃ約束の時間に間に合わないよ」
『ロックオン怒るだろうな〜』
親友の、容易に想像出来る恐ろしい形相を頭に思い浮かべ、額を抑えたアレルヤは、深く溜息をつくと、
これだけ自分が慌てふためいて騒いでいても、全く目覚めない恋人にキスを落とす
「ごめんね、目覚めるまでそばにいてあげたいけど、約束があるから……。ティエリア、またね。……愛してるよ」
優しく囁いて、アレルヤは部屋を出て行った



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

なんかグダグダな文を長々とすみませんでした。
もっと精進しますorz






426 名前:風と木の名無しさん:2007/10/27(土) 01:28:46 ID:yNJVE1vA0
>>425さん
お待ちしておりますたずぇー(*´Д`)
萌えたぎる荒茶を有難うございました!!お茶をドゾー つ旦~

つーか興奮しちゃって眠れそうにありませぬハァハァ

427 名前:風と木の名無しさん:2007/10/27(土) 01:55:46 ID:HjplI+PJ0
>>426さん
こんな拙いものを読んでくださって、萌えてくださってありがとうございます
お茶ありがたく頂きます つ旦~

興奮させてしまってすみませんw
そんな自分も明日仕事なのに寝れそうにないですw
それではそろそろ退散しますノシ


428 名前:風と木の名無しさん:2007/10/27(土) 01:58:04 ID:UdhPUyvQO
>>425
GJGJGJGJGJ!!!!!ハァハァ
脳みそとろけました…
茶、エロ杉…荒、純情杉…

429 名前:風と木の名無しさん:2007/10/27(土) 09:33:52 ID:2dWTJcdDO
>>425
GJGJGJ!!
今日の放送、まともに
見られそうにありません
茶かわいいよ荒すてきだよハァハァ

430 名前:1/2:2007/10/27(土) 10:06:00 ID:EcytnP0c0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
※ナマ注意。北のきゅう団

「アッー!」
がらんどうの空間に悲鳴が響く。
一人の青年が数人の男に囲まれ、地面に押さえ付けられていた。
「離しっ、て……っ痛!」
なんとか逃れようと必死でもがくが、暴れれば暴れるほど、痛みが増すだけだ。
抑えてる男とはかなりの体格差がある上に、上半身を固め技で完璧に押さえ込まれてしまっては、彼になすすべはない。
それでもまだ自由になる足をバタつかせてみても、今度は、やや小柄な男がそれを押さえつける。
するとニヤニヤと笑みを浮かべた男が手際よくベルトを外し、あっというまにズボンを引き降ろしてしまった。
「ちょっ…やめてっ…!」
日に焼けていない白い足があらわになる。脱がされたズボンを適当に投げ捨て
今度は靴下までも脱がせようと、さらに男たちの手が伸びる。

そんな彼らの周囲では遠巻きに何人かが様子を伺っていた。
笑う者、参加したそうな者、興味の無い者、周囲の反応は様々だが
共通しているのは誰一人として彼を助けようとはしないことだった。
男達の楽しげな笑い声と、彼の悲痛な叫びだけが空しく響きわたる。
誰一人味方の居ない絶望感を味わっているであろう彼の「お前ら!あと5分で練習だぞ!」

431 名前:2/2:2007/10/27(土) 10:09:23 ID:EcytnP0c0
コーチの怒声にパッとはじかれたように人が散る。俺の思考はそこで中断された。
せっかくいい話が書けそうだったのに。まあ俺は新聞記者でも小説家でもなく
一介の野球選手だからそんなもの書けなくても一向に困らないのだけど。

広いドームの緑色のグラウンドに目をやれば、ズボンを脱がされ、涙目で膝を抱える彼の姿があった。
彼の周囲には脱がされたズボンや靴やシューズが転々と散らばっている。
プロレスごっこがエスカレートして小学生なみのイタズラに発展するのはいつものことで
先輩や後輩にあそこまでいじり倒されるのもある意味才能だなーなどと
その哀れを誘う姿を見ながら俺はのんびり考えていた。

遠くに投げ捨てられていたズボンを後輩にようやく持ってきてもらった彼は
ニコニコと爽やかな笑顔をうかべて近寄ってきた先輩に食ってかかる。
「人前でパンツ脱がすの、いいかげんやめてください!」
「ん?人前じゃなければいいの?」
「…っ、そういう問題じゃないっ!」
会話の内容はともかく目上の人間にも臆せず噛み付く彼と笑顔で受け流す先輩。
これがこの二人の、そしてチームの日常だ。

先輩がズボンを履こうとしてる彼の邪魔をして、その太ももを不自然な手つきで撫でていても
彼の耳元に顔をよせて何か囁いても、それで彼が耳まで真っ赤にして怒りだしても
すべて日常なのだ。たぶん。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )コトシハチャント テレビニウツレヨ!
昨晩wktkして眠れない勢いのまま書いた。
「先輩」=100人のっても大丈夫な人のつもり

>>331
今日からヨロ。
中の人など(ryの外側に会えるの楽しみにしてます

432 名前:風と木の名無しさん:2007/10/27(土) 10:50:52 ID:aCXD/SIh0
>>412
タイトルに何回目/総数 明記してればいいんじゃないのか?
短編一個でサイト作れって乱暴すぎる。
直書きじゃなくてコピペなんだし。
そういえば>>2(3)守ってない人多いね。

433 名前:風と木の名無しさん:2007/10/27(土) 11:57:17 ID:4KDKee7e0
春日は確かスレ専用のwikiあったよね

434 名前:風と木の名無しさん:2007/10/27(土) 12:01:13 ID:aCXD/SIh0
>>433
wikiに弾かれる人がいる、本スレで投下すると叩かれるせいかと。

435 名前:風と木の名無しさん:2007/10/27(土) 12:30:28 ID:xW/F234AO
>>431
よりによって稲田ネタでドラに挨拶とかどこまで無神経なんだか

436 名前:1/4:2007/10/27(土) 14:16:05 ID:U4hCzfqo0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
ナマ。なごやきゅうだん。髪×神っす。時期は06後で。


ふわふわと、アルコールに浮かされた意識が浮上していくのを感じる。

「…わせさん…起きてくださいよ」

聞きなれた声が、こちらに呼びかけているような気もするが
この心地良さに、もう少しまどろんでいたい。

「…っん」
そばに感じる温かい体温に身を寄せてみる。
(気持ちいい…)
「子供ですか…アンタは」
困ったような、でも慈しむような声音。

とても幸せで、とても嬉しいことがあった気がする。
それを逃がすまいと、その温かさを抱きしめる。
一瞬それが硬直したのを感じるが、構わない。

「岩背さん…離して下さい。寝るならちゃんとベッドで寝てください…」
困りきった声色が可笑しい。まぶたは重いが、笑みがこぼれる。
声の主が一瞬黙りこむ。

437 名前:2/4:2007/10/27(土) 14:17:22 ID:U4hCzfqo0
次の瞬間、唇に温かくて柔らかいものが触れる。
「ん…っ?え…」
一気に意識が覚醒する。

目の前に、見慣れた、後輩の顔。
マウンドで打者を圧倒する時のような、真剣な眼差し。
鼻と鼻が触れてしまいそうな距離のまま見つめ合って、動けない。

どうやらここは宿泊先のホテルの部屋のようだ。
アルコールを全く受け付けない自分は、飲んでもいないのに
祝勝の場の空気だけで、すっかり酔ってしまったのか。

思考を過去にめぐらせて、逃避してみる…が
「あ…」
謙信の腕の中にいるという現実は変わらない。

「わ…るい、迷惑…かけたみたいだ」
「ごめんなさい」
なんとか発した声に、謙信が絞り出すように応える。


「ごめんなさい…好きなんです」

438 名前:3/4:2007/10/27(土) 14:18:40 ID:U4hCzfqo0
突然の告白に、頭の中が真っ白になる。

「マウンドで、まるでしにがみのように、敵を絶望させる絶対的な姿も、
普段の頼りない、気弱で、でも誰よりもやさしくて…そんな岩背さんも」

「好きなんです」

苦しげに眉をひそめて、こらえきれないといった表情でこちらを見る。
謙信らしい真っ直ぐな言葉に、胸が震える。

「ごめんなさい…気持ち悪いっすよね…岩背さんには、帰る場所だってあって…」
「謝るな」
「いえ、これからはなるべく近づかないようにするんで…だから…忘れて下さい」

確かに、家族のことは愛しているし、俺は男だ。

でも…謙信はいつも傍にいた。
試合に負けて肩を落として慰められた時も、「その服はありえないっすよ」と馬鹿笑いされた時も、
りー具優勝のその瞬間の喜びの時も――色んな場面で、謙信の笑顔を思い出せる。

謙信の告白を聞いても、嫌悪感も沸いてこない。
それ以上に、「離れる」という謙信の言葉に傷ついている自分がいる。

439 名前:4/4:2007/10/27(土) 14:20:00 ID:U4hCzfqo0
「俺…行きますから」
ソファから立ち上がろうとする、謙信の肩をとっさに抑える。
頭で考えないで、気持ちのままに行動する。

そのまま、ふわりと謙信の前髪あたりに唇をよせる。

「い…岩背さん!」
うろたえて、こちらを見上げる謙信が少し可愛い。
「間違ってることかもしれないけれども…それでも」

「俺も謙信のこと…」

言いかけた言葉は最後まで言わせてもらえない。
背中をかき抱くように、強い力で抱きしめられる。
「痛いよ謙ちゃん」
「ありがとう!」
先ほどまでの張り詰めていた糸が、切れる。
これからどうなってしまうのか、変わってしまった二人の関係の先のことも全く分からない。
「ふぁ…」
でも安心したらまた…まぶたが重くなってきた。

「岩背さんー?」
困ったような謙信の声がどんどん遠くなっていく。
「俺の理性の限界を試してるんすか…」

暖かさと、幸せにつつまれながら、眠りに落ちる瞬間、大事な人の言葉が辛うじて耳に届く。
「今日はゆっくり、おやすみなさい」

440 名前:風と木の名無しさん:2007/10/27(土) 14:24:09 ID:U4hCzfqo0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イヨイヨショセンダヨ!

>430
よろしくだよ!いいしあいになるといい。

441 名前:風と木の名無しさん:2007/10/27(土) 17:19:17 ID:8AHGRXbbO
>>440
GJGJGJ!!
姐さん素敵なものをありがとうございます!!
悲願達成s(ry
髪神が一番萌える…(*´∀`*)

442 名前:風と木の名無しさん:2007/10/27(土) 20:42:40 ID:DmczT5RE0
>>402
GJ!!

443 名前:風と木の名無しさん:2007/10/28(日) 01:45:30 ID:OOw9LKaRO
>>440
23しくGJ!髪神好きな自分は萌え死んだよ…
髪→神のリレーが見られなくて残念だったけど、今年もデロンデロンな神が見られるといいなあ

444 名前:ドーナツ1/3:2007/10/28(日) 03:28:09 ID:CDJJrfWzO
ビリ公ビリです。エロなし。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


 甘ったるい、と呟いてグラハムはドーナツを皿に戻した。
「こらこら、歯型のついた食べ物をお戻しでないよ。行儀が悪いよ中尉殿」
 キーボードを打つ手は休めず、ビリーが苦笑する。彼が向かうディスプレイにはなにかのデ
ータを示すグラフがいくつも展開していた。FLAG、という文字が目に飛び込む。ビリーが開発
の主力を担ったモビルスーツの名称だ。性能もさることながら汎用性の高さを買われ、今では
エムスワッド全軍に配備されている。
「よくそんな歯の溶けそうな菓子を食べていられる」
「糖分は脳の活動を促進するよ。精神の沈静作用もある」
 言いながら、ビリーはグラハムの食べさしに手を伸ばす。粉っぽく甘いだけのドーナツ。彼
の給与ならばもっと質のよいものが食べられるだろうに、ビリーが買うのはいつも大衆向けの
チェーン店のドーナツだ。
 グラハムはよく知らないのだが、そのチェーン店では買った量に応じてぬいぐるみや文房具
などを配布しているらしい。マウスパッドやディスプレイの縁に貼られた付箋、手帳にペン。
ビリーの持ち物にはかなり高い確率でドーナツ店のキャラクターイラストがついている。
 事務椅子に置かれたオレンジ色のクッションをグラハムは持ち上げた。丸くデフォルメされ
たライオンが全面に描かれている。
「威厳がなくなるからこういう子供じみたものを持つのはやめさせてくれ、と君の部下から泣
き付かれたな」
「それはすまなかったね。叱っておくよ、エムスワッドのエースを瑣末なことで煩わせないよ
うにって」
 ドーナツを胃におさめたビリーは、親指で口元を拭う。油のついた指先をペーパーに押し付
ける。コンマ以下の数値までおろそかにしない神経質な仕事ぶりとは裏腹に、一人の人間とし
てのビリーは不精者だ。粉砂糖の落ちきらない手でタイピングを再開する。


445 名前:ドーナツ2/3:2007/10/28(日) 03:29:53 ID:CDJJrfWzO
 クッションを元に戻した。ビリーの肩に手を置きディスプレイを覗く。
「フラッグじゃないな。新型か?」
「さすが目ざとい。ちょっと個人的な趣味で設計中なんだ。フラッグは扱いがたやすい分、自
由度が低くて個人の技量をそこまで反映できないからさ」
「フラッグの性能限界は私も気になっていた。前世代機よりはマシだが、肝心なところで動き
が制御される。オリジナルチューンを上申したところだ」
「リミッターいじってもさして効果はないよ。君の要求レベルまで引き上げようと思うなら、
基幹システムごと入れ換えるほかないね。……ま、フラッグ開発に予算がかかりすぎて穏健派
に議会で叩かれたから、しばらく新型の開発なんてできそうにないけど―――そう露骨に不満
そうな顔しなくても。AEUが開発中とやらの新型に期待しなさい。うちのフラッグの方が性
能が劣るとなれば、ゴーサインが出るさ」
 キーボードを叩く手を止め、ふとビリーは顔を上げた。囁くように付け足す。
「僕がこういうことをしているのは誰にも内緒ということで」
「了承した。だが何故だ?」
「足並み揃えてないとやっかむ連中が多いんだよ」
 おだやかな笑顔は崩さない。だが唇の端に苦みが滲んでいる。人差し指でビリーは投げやり
にキーを打った。画面を埋めていたデータが全て閉じる。表示されたデスクトップはドーナツ
店のキャラクターイラストが壁紙だ。
 ライオンと君は似てるよね、としみじみビリーはつぶやく。彼の眼鏡はあまり視力矯正の役
目を果たしていないようだ。
「気に入らないな」
「怒るなよ。確かに君には少しかわいらしすぎだな」
「失敬だ。私の方がかわいらしい。それもカンに障るが、君に他人の目を気にするような繊細
さがあったことがなにより不愉快だ」
「……うーん。色々引っ掛かる物言いだ」


446 名前:ドーナツ3/3:2007/10/28(日) 03:30:59 ID:CDJJrfWzO
 椅子の背もたれが軋む。重心を後ろに移し、軽くのけぞってビリーはグラハムを見上げる。
眼鏡越しの瞳がすっと細まった。
「開発だけに専念していたいのは山々さ。だけど世の中には他人が注目されることを許せない
つまらない人間が山ほどいる。用心するに越したことはないよ。ただでさえこの国は、肌の白
くないものが生きづらい」
「専念していればいい」
「人の話を聞いていた? 悪い癖だよ」
「君は私が守ろう」
 コーヒーカップに伸ばされかけた手を掴む。筋肉量の違いか、グラハムよりもはっきりと体
温が低い。
 冷たい手首を捕らえたまま、夜色の瞳を覗き込む。
「エムスワッドのトップエースはビリー・カタギリ技術顧問の開発した機体以外使わない、と
いうことさ。君を害し、損なおうとするものは私が全て排除する。だから約束したまえよカタ
ギリ。―――私のために誰も追随できない兵器を作り続けると」
 たっぷり十秒、ビリーは何の反応も返さなかった。
 電話の着信音が沈黙を破る。ビリーは発信者表示に目をやり、グラハムの拘束を軽く振り払
う。緩慢な動作でボタンを押すと、着信音は途絶えた。
「……参った」
 ビリーはさらに深く椅子にもたれかかる。ほんの少し、頬が紅潮している気がする。
「結局それか。ずいぶん僕に分の悪い取引だ。君は本当に利己的でかわいらしい」
「不服か?」
「まさか」
 小さな笑み。瞳が閉ざされる。受けてもいいが君は誰にも負けてくれるなよ、とビリーは目
を閉じたまま言った。グラハムは答えなかった。わざわざ口にするまでもなく、それは当然の
事柄だった。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


447 名前:金色の欠片:2007/10/28(日) 03:53:33 ID:LGpCeFAS0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  モノノ怪 ハイパー×薬
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  ハイパー死亡につき、ファンの方は注意
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 元ネタ提供の方に感謝します
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


448 名前:金色の欠片(1/5):2007/10/28(日) 03:54:52 ID:LGpCeFAS0
長い時の流れを渡り歩き、幾千、幾万のモノノ怪を斬ってきた。
全てのモノノ怪を斬り終えた時、役目を終わった自分はどうなるのか?あの男はどうなるのか?

今日もまたモノノ怪を斬り終え、異空間で男とすれ違い入れ替わる。
いつも通り、ただ目を合わせ、そしてお互いの居場所へと戻る。・・・はずだった。
男が、持っていた退魔の剣を投げてよこした。
「俺を斬れ、薬売り。」
唐突に男が言った。
「何を・・・・・・・・・?」
男の言っている意味が分からなかった。
「この世界からモノノ怪の気配が消えた。」
「今のが最後のモノノ怪ですか?だからって、あなたを斬る意味が・・・」
「俺はモノノ怪を斬る為に産まれたモノノ怪だ。それはお前も知っているだろう。」
「はい、あなたと出会った時に聞きました。」
「モノノ怪を恐れる人間達の思い。モノノ怪からこの世界を守り、自分の命を存続させる事を求める人間達の無意識。
その強い思いから俺は産まれた。それが俺の理だ。
真と理が消え、形のみのモノノ怪となった俺は、もはや自らの均衡は保てない。やがて我を失い暴走するだろう。
俺の力なら、この世の全てを滅ぼせる。この世をモノノ怪から守る為に産まれた俺が、この世を滅ぼしてしまうのだ。
そうなる前に俺を斬れ。」
「あなた、死んでしまうんですよ?」
「この世にモノノ怪は有ってはならぬ。俺が最後のモノノ怪だ。」
「俺にあなたを斬れと・・・・・・・・?」
「俺以外に退魔の剣を使う事ができるのは、俺の半身であるお前だけだ。」
「そんな勝手な事・・・・・・」
「今までモノノ怪を斬る事につき合せてすまなかったな。これが最後の俺の勝手だ。聞いてくれ。」

449 名前:金色の欠片(2/5):2007/10/28(日) 03:55:41 ID:LGpCeFAS0
呆然とする薬売りの頬を何かがかすめ、頬から血が流れた。
男が飛ばした金色の札だ。
「暴走が始まっている。急げ。俺は、まずは器となっているお前を滅ぼすだろう。
早く俺を切れ!薬売り!」
「くっ・・・・・・・・・・」
「俺を祓え。そしてお前は自由になれ。」
赤い瞳が真っ直ぐ見詰める。
この男に迷いは無い。ならば、自分も迷う必要など無い。
決心し、退魔の剣を抜く。
しかし、自分の力では剣の威力を充分に引き出す事はできないだろう。
間合いを詰めようとするが、空中戦を得意とする男には近付く事もできない。
視界いっぱいの札を飛ばすが、男も同じく金色の札を飛ばし、札同士がぶつかり合い、両者の力が拮抗する。
戦うにつれ、体力が削られてゆく。避け切れなかった札で体が傷付いてゆく。
体のあちこちから血が流れ、息が乱れる。
札を壁状にして、男に向かって飛ばした。
男も金の札を同じ様に飛ばし、壁がぶつかり合い動きが止まる。
その壁を剣で切り裂き、男の懐へ飛び込んで行こうとしたが、そこに男の姿は無かった。
「居ない?」
次の瞬間、背後から羽交い絞めにされた。
逞しい腕でぎりぎりと締め付けられ、身動きが取れない。
薬売りの袖から、小さく畳まれた札が転がり出て、開くと同時に男の顔に飛んだ。
「!」
男が一瞬怯んだ隙に、もがいて腕から抜け出した。

450 名前:金色の欠片(3/5):2007/10/28(日) 03:56:34 ID:LGpCeFAS0
この男を倒す事ができるのだろうか?
自分もこの世界も、この男に滅ぼされるのかもしれない。
地に膝を付き、手を付いた時に、右手の指輪が視界に入った。
以前、護身具として、男から付けられた物だった。
モノノ怪から薬売りの身を守る為。幾千ものモノノ怪と戦ってゆく為に。
遠い昔、男と初めて出会った時、これからの長い年月を男と共に過ごし、この世に溢れるモノノ怪を斬る事を誓った。
「モノノ怪はこの世に有ってはならぬ・・・・・・・そうですよね。」
顔を上げ、立ち上がった。
札を男に向かって飛ばした。男も同じく札を飛ばしてくる。
薬売りの札は突然大きく弧を描き、男の札を避けて男の背後へと周る。
「何!?」
札は男の背後から、男へ絡み付き、動きを封じた。
男が飛ばした札は真っ直ぐ薬売りへぶつかってきた。
「くぅ・・・・・・・・・っ!!」
体中への衝撃で目が眩みそうになる。
だが休んでいる暇は無い。
体勢を立て直し、痛みに耐え、動きを封じられている男へ斬りかかって行った。

451 名前:金色の欠片(4/5):2007/10/28(日) 03:58:03 ID:LGpCeFAS0
「ぐっ!」
男の顔が苦痛で歪む。
男の肩口へ斬り込んだが、刃は肉に食い込み、肩で止まってしまった。
がっちりと食い込み、これ以上斬り込むことも、抜く事もできない。
やはり自分では退魔の剣の威力は引き出せない。
男の赤い瞳が真っ直ぐに見詰めている。
剣を放して逃げようとした時、両手を男の両手に剣の柄ごと握り込まれてしまった。
もはや逃げる事もできない。
これで終わりか。そう思った時
「うおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーっ!!」
男の唸り声と共に、刃が振り下ろされた。
肉を斬り裂き、骨を断つ感触が手に伝わり、視界が血しぶきで赤く染まる。
刃は男の胸まで振り下ろされ、斬り裂かれた傷が大きく開いている。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
血の気が引き、呆然とする薬売りを見詰める男の顔は、僅かに微笑んでいるようだった。
男の顔が近付き、その唇が薬売りの唇に触れるその瞬間、男の体も血しぶきも金色の欠片となり飛び散った。
最後のモノノ怪は消滅した。
男が消え、薬売り一人になった空間で、金色の欠片は空間を満たし、座り込む薬売りに降り注ぐ。
「自由になんかなっちゃいませんよ・・・・・・・俺の心はあなたに囚われたままですよ・・・」
輝きながら降り続ける欠片を、薬売りはいつまでも見詰めた。

452 名前:金色の欠片(5/5エピローグ):2007/10/28(日) 04:09:03 ID:LGpCeFAS0
それから時代は少しだけ進んだ。
この時代にはもうモノノ怪は無く、人の心にも闇の世界への恐怖は無い。
薬売りは大きな荷物を運びながら、人々が行き急ぐ中を、相変わらず薬を売り歩いている。
ただ、顔の模様と牙は無く、耳も普通の人間の形だ。
指にはあの指輪が輝く。
唯一消えずに残った、あの男が存在した事を示す物だ。
「怪は常にこの世界に存り、人間の欲や業も尽きる事は無い。
またいつかこの世界にモノノ怪は満ちる事でしょう。
その時には、またあなたが斬りに現れるかもしれませんね。
期待せずに待っていましょうか。それまで本当に『ただの薬売り』でもやりながらね。」
薬売りは指輪に語りかけ、そっと唇を触れさせた。
指輪に温もりが伝わっていった。

453 名前:金色の欠片(おまけ):2007/10/28(日) 04:12:41 ID:LGpCeFAS0
人間になった薬売り描いてみましたが、誰だこれ状態になりました。(白衣姿)
http://rohp-tool.hp.infoseek.co.jp/upload/files/No_0350.jpg

454 名前:金色の欠片:2007/10/28(日) 04:13:50 ID:LGpCeFAS0
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ありがとうございました
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


455 名前:風と木の名無しさん:2007/10/28(日) 04:14:37 ID:X7iKY8Hi0
>>444-446
GJGJ!
「私の方がかわいらしい。」に禿萌えた!(*´∀`*)逆に漢らしいぞこいつwww
しかし確かに公はあのライオンに似てる。

456 名前:ある司祭の日記より、抜粋:2007/10/28(日) 05:32:49 ID:JTOtBS3F0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  オブリビオン。殿下と主人公だよ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  捏造いっぱいだよ。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ホノボノッポイヨ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


457 名前:ある司祭の日記より、抜粋 1/5:2007/10/28(日) 05:33:28 ID:JTOtBS3F0

あの悪夢のような日から、何もかもがすっかりひっくり返ってしまった。
炎、雨、黒煙、悲鳴、魔物・・・。忘却界より門を開きやってきた悪しき魔物どもは私の命が目的だった。
幸い、「彼」の活躍によりこれ以上の被害が出ることもなく魔物たちは打ち滅ぼされたが、
最後の希望である私を護るために、この堅牢な寺院へと私は身を隠すこととなった。
なんということだ。私はあの日、「彼」によって教会で告げられた出生の秘密に愕然とした。
皇帝の庶子・・・こうして日記をつけている今でさえ、実感が湧かない。

私を取り巻く環境が変わりすぎて、一体何をすべきなのか不安に押しつぶされそうになる。
私がもう少し若かったともかく・・・いや、自分のやれることを少しずつするべきだろうか。

何もかも信じられないという気持ちが強いが、不思議と「彼」のことは信じる事が出来る。
このままでは助けてくれた「彼」にも申し訳ない。
気持ちをまとめるために、この日記をつけることにする。

* * *

一日経って読み返してみると、私は大分混乱していたらしい。
逆に言えば、少しは心が静まったことになるだろうか。そうならいいのだが。

少しばかりこの寺院を歩いてみた。
堅牢な門と石垣の上に建てられたこの寺院は、いっそ砦といっても差し支えないほど防備に優れている。
それに街に近く、いざとなれば救援を要請することもできるだろう。
また、この寺院には資料が多く保存されており、これからのこと、敵のことについて学ぶにはうってつけだった。
僧の・・・いや。僧だった私は元々読書は好きであるから、特に苦はない。


458 名前:ある司祭の日記より、抜粋 2/5:2007/10/28(日) 05:34:30 ID:JTOtBS3F0
少し気がかりなのは周囲の雰囲気だろうか。
周りが警護の者たちばかりなので物々しい。私の立場を考えれば、仕方のないことだ。
皇帝になればこれ以上に警備の者もつくのだろう。少しずつ慣れていきたい。
しかし、神に仕えるということはあっても人に仕えられるという経験はない。
彼らからの尊敬と期待の眼差しに、少しだけ居心地の悪さと困惑を感じているのは認めなければならない。

そういえば、「彼」はこれまでの功績により、ここを守護するブレードの隊員になったようだ。
早速支給された鎧と刀を身につけて私に挨拶をしにきてくれた。
この装備は遥か東方の国より伝来した形式のもので、特に刀は巷でも人気が高いという。
鎧と刀を纏った彼の姿は凛々しく見えた。素直に賞賛すると、「彼」はすっかり照れてしまったようだ。
ただ、話によるとこの姿で任務を遂行するというわけではないようだ。
何でも帝都に潜伏中の隊員に連絡を取りに行くそうで、要するに隠密任務というわけだ。
敵は魔物だけではなく、秘密教団の人間たちをも相手にしなければならない。
恐らく帝都にも教団の人間はいるのだろう。私は「彼」の無事を祈った。

* * *

「彼」が帰ってきた!
何日かぶりの再開だが、まるで何週間も経ったかのように感じられる。
「彼」の任務は上手くいったようだ。神に感謝したい。
報告を聞くと、教団のアジトを突き止めることに成功したようだ。

すぐに出立すつのかと思いきや、「彼」は私の顔を見て「少し根を詰めすぎてはいやしないか」と呟いた。
「彼」は私の手を引っ張って立たせると、あれよあれよという間に外に連れ出された。
一応私は警護対象なのだから問題ではないだろうかと言ってみたが、ジョフレに許可は取ったし自分は強いから大丈夫だと反論された。
確かに、「彼」は強い。街に降りる途中に出会った巨大な魔物をあっさり打ち倒してしまうほどに。
(本人は自作の魔法剣のおかげだと言っていたが、ならばそういう強力な剣を作れる彼の感覚を賞賛したい)


459 名前:ある司祭の日記より、抜粋 3/5:2007/10/28(日) 05:35:50 ID:JTOtBS3F0

一息ついて周囲を見回すと、美しい光景が広がっていることに気がついた。
一年中雪に覆われているという美しい山並み。日の光を受けて眩しく輝いている様子は筆舌に尽くしがたい。
私のいたクヴァッチでは雪こそ降ることもあるが、ここまで美しく降り積もった記憶は数えるほどだ。
このところ毎日見ていたはずなのに見落としているとは・・・私は思った以上に塞ぎこんでいたようだ。
外出に許可が降りたのも、私の精神状態を見るに見かねてのことだったかもしれない。
「彼」や、周りの者たちの気付きに感謝したい。

街に行ってからといえば、服を見繕われてあれこれ着せ替えられたりした。
いつもの修道服と違う装いに多少辟易したが、これも気分転換だと思えば心が弾む。
しかし、いくら彼にそこそこの財があるとはいえ大量に買ってしまうのは・・・。
その点を指摘すると、「彼」は恥ずかしそうに「いや、人と買い物なんて初めてだから」と言った。
意外な「彼」の表情に私は「彼」に抱いていた聖騎士的なイメージが崩れる心地がしたが、
「彼」も、街を救った英雄だのなんだのと持ち上げられて、かなり困惑しているらしい。
「彼」は、自分は本当は散策が好きな普通の冒険者なのだと苦そうに言い切った。
私は「彼」の抱いた苦味を理解する事が出来た。私もまた人々から持ち上げられているのだから。
その共感が切欠だったのだろう。英雄ではなく、一人の人間としての彼に親近感を持った。

その後は楽しく彼と過ごす事が出来た。
宿で軽く食事をして、教会など、ガードに教えられた名所を見て回った。
名所の一つである教会に行くことは、「彼」は、私の辛い記憶を思い出させはしないだろうかと心配していたのだが
実際に行って見るとそのようなことはなく、かつての日々が懐かしく思い出された。
・・・あの悪夢からまだ一月も経っていないのにもう懐かしく感じられるとは、何というべきか・・・。

そうして一日を潰したが、正直に言うと、少しだけ帰りたくないという気持ちがあった。
環境の激変に対する反発だろうか。受け入れて生きていくしかないというのに。
子供っぽいものだと正直に自嘲すると、「彼」は「そんなこともあるよ」と肩を叩いてくれた。
「彼」の言葉は本当に私の心を安らかにさせてくれる。



460 名前:ある司祭の日記より、抜粋 4/5:2007/10/28(日) 05:36:34 ID:JTOtBS3F0

初めて出会ったときは私が皇帝の庶子だなどととんでもないことを言い出すので狂神に祝福された
危ない人間ではないかと思ったものだが、今こうして笑いながら手を取ってくれる「彼」は積年の友のようだ。
そういえば、警護の者たちは私にかしこまった言葉遣いで接するが、「彼」は隔てのある態度では接しない。
恐らく、そういうところに私は安らぎを見るのだろう。
その後、「彼」はたまたま買出しに来ていた隊員を捕まえて何か言っていたが、
「今夜はもう朝まで飲みましょう!」という言葉に、「彼」が何をぼそぼそ言っていたのか見当がついた。
言い訳ではないが、このところ色々あったせいでストレスが溜まっていた。
だから、「彼」の申し出はとても嬉しかった。
「彼」と一緒にワインの早飲みやらエールの一気飲みやら、色々馬鹿騒ぎをしたのは覚えている。

・・・。
覚えているのはそこまでだ。

* * *

翌朝、ひどい頭の痛みで目を覚ました。
日は既に高く、おぼろげな乱痴気騒ぎの記憶に年甲斐もないことをしてしまったと反省した。
若い頃は色々と無茶をしたものだが・・・と、周囲を見るとどうやら誰かの一軒家であった。
「彼」は寺院に近いと言う関係上、この街に居を構えたと聞いていたが、ここがそうなのかと思っていると
「彼」が寝室にやってきた。
解毒のポーションを勧められたので、それを煽ったところ、痛む頭が爽快になった。

テーブルについて朝食を食べながら部屋を観察したが、最近住み着いたというのは本当らしく、
家具類は備え付けと思われるもの以外は新しいし、散らかっている気配が無い。
ここに住み着くのかと問いかけたら、「放浪癖があるかわわからない」と「彼」は笑った。
そう言った「彼」の表情が少し寂しそうだったので、家族は居ないのかと今更なことを尋ねてみたら
「記憶を失って覚えていないし、色んな都市を回ったけれど自分を知っている人に会った事がない」と苦そうに呟いた。

まずいことを聞いてしまったものだ。
私は養父も養母も、ジョフレのように見守ってくれていた人たちもおり、更には(会った事は無いし、全員暗殺されてしまったが)
実の父も、腹違いとはいえ兄もおり、つまるところ彼のように天涯孤独ではないのだ。

461 名前:ある司祭の日記より、抜粋 5/5:2007/10/28(日) 05:47:59 ID:JTOtBS3F0
「では、私は君の寄る辺だということだろうか」
今にして思えば、何故そんな言葉が口をついたのか自分でも不思議に思う。
「彼」は、眼を大きく見開いて、驚いていたようだった。

「無いのなら、これから作れるだろう。実際、君は私に出会って縁を得た。隊員となることで地位も築いている。
 過去が無いことは苦痛だろうが、未来の出会いによって人生に少しずつ過去を書き込んでいくことは出来る」
もしかしたら教会で説教をしていたのが役に立ったかもしれない。少し耳たぶが熱くなったが。
「彼」は、眼をしばたかせて感謝の言葉を言った。ゴミが眼に、と言って彼は目元を抑えた。


真昼に近い時刻に街を出た。太陽は今日も眩しく雪を照らしている。
凍った道を踏みながら、「彼」は東を指した。あっちにはこの国で一番高い場所があると笑って。
登山はしたことがないから無理だと笑うと、なら北のほうに珍しい形をした岩があるからいつか見に行こうと言った。
また時間があったら連れ出しておくれ、と頼むと、皇帝になる前に連れて行かなくてはね、
偉くなってしまったら忙しくて来ることなんか出来そうに無いからと、
大仰なそぶりをしておどけて見せた。

寺院につく頃に、「また任務に行く」と、「彼」は白い息を吐きながら私に言った。
今頃「彼」はどこにいるだろうか。無事で居るのだろうか。
たった一人で敵の本拠地に潜入することは容易ではあるまい。ただ待つしか出来ないとは、なんと歯がゆいことか。
かつて街が魔物の襲撃を受けた際に教会で立てこもっていた時の焦燥感を思い出す。
しかし、あの時と違うのは、「彼」という希望があることだ。
世界が滅びる瀬戸際だというのに、彼の笑顔や言葉には、絶対にやり遂げてくれると信じさせる力があった。
これも運命というものだろうか。

「彼」が戻ってきたら、私は「彼」のことを、友と呼ぼうと思う。
そう呼ぶことを「彼」が許してくれるか不安だが、私は「彼」のことを誰よりも親しく思っている。

早く帰ってきて欲しい。


462 名前:ある司祭の日記より、抜粋:2007/10/28(日) 05:48:45 ID:JTOtBS3F0


 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ イジョウ、ジサクジエンデシタ!
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄




463 名前:風と木の名無しさん:2007/10/28(日) 06:52:19 ID:ojy3oB3MO
スレチだったらごめんなさい。
先程、棚のアプロダを見て、落語家の写真が三枚程あって、びっくりしたんですが、
801に関係無い、私用と思われる(URLが転用されて無いようなので)ナマモノの写真での、あのアプロダの利用って、OKなんでしょうか?

464 名前:風と木の名無しさん:2007/10/28(日) 09:24:47 ID:5vwuxqWD0
サイト管理者に直接通報してください

465 名前:風と木の名無しさん:2007/10/28(日) 10:12:33 ID:XJLRxpknO
>>444->>446
禿げ散らかった!!!
朝から元気を貰えたよありがとう!
ハム可愛いよハム

466 名前:風と木の名無しさん:2007/10/28(日) 11:04:44 ID:7xjM2Ugp0
>>462
超GJ!元ねたゲームぜひやりたくなった。
司祭様と冒険者の友情ステキだ萌える!ありがとう。

467 名前:風と木の名無しさん:2007/10/28(日) 13:00:07 ID:h+9iJyuIO
>>402です。
スレ数等いろいろ勉強不足ですいませんでした。
専用スレが有るようなのでそちらを探してみようとも思います。

468 名前:風と木の名無しさん:2007/10/28(日) 13:38:59 ID:Ks9uvNsY0
>>467
とりあえずsageも覚えて欲しい
次に投下するときがあれば>>2を読んでよろしくです


469 名前:風と木の名無しさん:2007/10/28(日) 14:46:44 ID:wVlQw6n2O
>>454 全俺が泣いた(つД`)゜。
良いもの読ませてもらいました!!
GJ!!!

470 名前:風と木の名無しさん:2007/10/28(日) 20:43:13 ID:VcuNhXfB0
>>454
化ぬこのラストを思い出した
GJ!

471 名前:風と木の名無しさん:2007/10/28(日) 22:37:24 ID:QlB2tmBP0
>>444->>446
GJGJGJ!!!!!!!!!!!!!
大人でかわいい二人に萌えた

472 名前:風と木の名無しさん:2007/10/28(日) 23:39:59 ID:jLXH9Mky0
>>444->>446
萌えますた

473 名前:飼い主になりたい 1/5:2007/10/29(月) 01:58:22 ID:EXOsVgcoO
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )
初めてお邪魔させていただきます。
邦/楽ナマで糖/蜜の唄×太鼓です。自給自足も甚だしい。



「まるでお前の犬みたいだ」
以前、そう他人に揶揄されたことがある。好きな奴とその関係性を馬鹿にされたのだから、俺は怒るべきだったのかもしれない。
けれど正直、本当にそうだったらいいのにと思った。
いっそ首輪でも付けて手飼いにしてしまいたい。
あいつの声さえ俺だけのもので、呼ぶのが俺の名前だけになればどんなに幸せだろう。


474 名前:飼い主になりたい 2/5:2007/10/29(月) 02:00:40 ID:EXOsVgcoO
「我っちゃん、おかえり」
ただいまと俺が発する前に、扉が開いた音を聞きつけた大機が駆け寄ってくる。抱きしめ合うと、犬の毛並みみたいに触り心地のいい金髪が首筋に埋まってくすぐったい。無造作にその頭を撫でると、ふふ、と機嫌の良さそうな声が聞こえた。
ふと、酒の香りに気付く。
「お前、先に呑んだろ」
「ごめーん待てなかった。寒かったし、さ」
確かに、抱きしめた大機の身体はやたらに温かかった。外から帰って来た自分が冷えていたのもあるだろうが、なる程、彼は既に体内から温まっていたらしい。
ますます抱き心地の良さを実感して、離したくなくなる。大機から体温が浸透するまで、俺はしばらく玄関で彼を抱きしめ続けた。
眼前にある首筋を支配したいだなんて、こいつが知ってるはずがない。


475 名前:飼い主になりたい 3/5:2007/10/29(月) 02:05:53 ID:EXOsVgcoO
自分も買ってきた缶ビールを数本飲み干して、テーブルを散らかして談笑した。
目の前で、快活に大機が笑う。こんな顔以外にも、色んな表情を見てきた。怒らせもした。悩ませもした。思いがけずに、泣き顔を見たこともあった。
支配したいと思う。色んなバンドでドラムを叩いて、それぞれにとって欠かせない存在になっているのは知っている。糖/蜜だってその一つだ。
でも、もっと個人的に、俺だけの人にしたい。犬の様に首輪をかけ、鎖で繋いで手飼いにしてしまいたい。
酔った勢いを演じて、大機に話しかける。
「大機ちゃん」
「なにー?」
「俺が、もし、」

お前を俺の犬にしたいって言ったらどうする?



476 名前:飼い主になりたい 4/5:2007/10/29(月) 02:08:45 ID:EXOsVgcoO
言葉の意図が掴めなかったのか、薄く口を開けて大機が俺を見つめる。
呆然とした様子の彼の肩に、首を傾け、額を乗せる様に頭を預けて続ける。

「この首に首輪をかけてさ、この部屋に鎖で繋いでさぁ。俺と住むの。ほんとに二人きりで」

言い切ってから、引かれたかなあ、と早速思う。場の空気が読めない男だとは知っているだろうが、今の発言はさすがにアブノーマル過ぎる。
頭を動かして、大機の顔は見ずに、代わりにその首筋を見つめる。
きっと、首輪は似合うはずだ。


477 名前:飼い主になりたい 5/5:2007/10/29(月) 02:13:20 ID:EXOsVgcoO
「いいよ、別に」
酔っているにしては確かな口調で、大機が言った。
え、と俺が驚きを漏らす前に、ぎゅうと抱きしめられる。また、むず痒くなる首筋。
「繋がれるのは構わないけどね。我っちゃん、料理とか下手くそだから」
そこら辺は俺にさせてよ、と大機が笑った。話す度に、鼻を掠める酒の匂いが増す。
「いつまでも俺のご主人様でいてよ、我っちゃん」
視界が滲んで、目元が急激に熱を持つ。
ごめん、大機。
俺が望むよりも前に、お前は約束してくれていたんだ。

「うん、大機ちゃん」

永遠なんて信じられなくても、ずっと離さないと今なら言えた。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )
萌えのままに書いたドマイナー乱文、投下失礼しました。

478 名前:風と木の名無しさん:2007/10/29(月) 19:57:41 ID:B+8bp8UJ0
ナマモノ プ□レヌ 
某道場を退団した人の風呂具ネタ。萌えたので捏造してしまった。
バンダナ→ハソサム

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

479 名前:横向きの隣と仰向けの天井:2007/10/29(月) 20:00:23 ID:B+8bp8UJ0
昔は仰向けで寝ていたのに。
いつの間にか横向きで寝る癖が付いていて、それが身体に染み付いて治らない。

それが、隣に彼が居た頃の名残だということは解っている。

僕は彼の元を離れる事を選んだ。
新しい場所で、新しい目標を新しいパートナーと目指す決意をした。
彼は僕の目の前で、新しいパートナーを見つけ新たな道を歩いていくことを決めた。
僕が居なくても…あの人はとても強い人だった。

その時に、全部吹っ切れた。
僕は僕の目指す道を行こう、そう、彼に負けないように。

そう思っていた筈なのに。

最早僕の両腕の中には、あの温もりはない。
張り裂けそうな事実を夜が来る度に突きつけられる。きゅう、と痛む胸を慰めるようにシーツを掴んだ。

身体を転がし、天井を見上げた僕の目尻から頬に伝わるもの。

今日は仰向けでも、寝付けるかな。
仰向けでも…眠らなくちゃ。




□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
こんなに弱い人じゃないし、フリーになってからかなり楽しんでるのは観てて感じるんだけどね。

480 名前:風と木の名無しさん:2007/10/31(水) 01:41:29 ID:o29H8t6H0
>>440
GJッス!23しく萌えますた…
やっぱり髪神はいいなぁ(*´∀`)

481 名前:風と木の名無しさん:2007/10/31(水) 15:31:50 ID:K3O28VKjO
>>444GJGJ!!素敵な萌をありがとう(*´Д`)ハム=デ=ライオン萌えすww

482 名前:風と木の名無しさん:2007/10/31(水) 21:17:45 ID:rOK5Oob30

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |   幸せな木の友達(英訳)で裏軍人×軍人だよ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|   グロ表現があるので注意してください
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 二重人格ハァハァ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

483 名前:Hallo,Hallo 1/5:2007/10/31(水) 21:18:44 ID:rOK5Oob30
― Hallo,Hallo, How are you?


目を開けると、一面の青があった。
身体を起こしてみれば、一面の青の下には花畑が広がっていた。
花の甘い香りを追いかけるようにしてひらひらと蝶が舞っている。
「あ!起きたんだね、フ.リ.ッ.ピ.ー!」
そう言って、とことこと走り寄ってくるのはカ.ド.ル.スだ。
その後ろからフ.レ.イ.キ.ーとト.ゥ.ー.シ.ーもやってくる。
ト.ゥ.ー.シ.ーの横にはギ.グ.ル.スやペ.チ.ュ.ニ.アたちがいて、花飾りを編んでいる。教えているのはマ.イ.ムらしい。
ナ.ッ.テ.ィとラ.ン.ピ.ーは蝶を追いかけるのに夢中のようだ。
木の下でス.ニ.ッ.フ.ル.ズが本を読んでいる。荷物番をしているんだろう。
カ.ド.ル.スはにこにこと笑いながらフ.リ.ッ.ピ.ーの後ろまでやってきて、背中に勢いよく抱きついた。
「せっかくピクニックに来たのに、着いたとたんに寝ちゃうんだもん!」
「フ.リ.ッ.ピ.ー、もしかして疲れてた…の?」
フ.レ.イ.キ.ーは相変わらずどこかおどおどとしている。
「ううん、だいじょうぶ。元気だよ」
笑ってそう言うと、ほっとしたようにフ.レ.イ.キ.ーも笑った。
ぱさ、と頭に何かが乗せられる。
振り向くと、ペ.チ.ュ.ニ.アが嬉しそうな顔で立っていた。
「とってもうまくできたの。フ.リ.ッ.ピ.ーにもあげる!」
帽子に乗っかった花飾りを手にとって見てみると、確かによくできている。
まだ瑞々しい花が大小組み合わせてあって、それぞれの香りがたちのぼってきた。


生臭い血の匂いと、人が焼ける匂い。


484 名前:Hallo,Hallo 2/5:2007/10/31(水) 21:19:35 ID:rOK5Oob30
その匂いをかぎとるとほぼ同時に、べちゃ、と背中が濡れる感触がした。
目の前にいたフ.レ.イ.キ.ーは、文字通り崩れ落ちた。
手元の花飾りにペ.チ.ュ.ニ.アの『破片』が降り注ぐ。

気づけば、全てが赤かった。

震える手を持ち上げれば、持ち主の分からない目玉が転がる。
「あ、あ、あ」
叫び声を上げかけたフ.リ.ッ.ピ.ーの耳に、低い笑い声が届いた。
いつもいつも、フ.リ.ッ.ピ.ーを苦しめるあの声だ。

残念だったなぁ。甘ったるい夢はもうおしまいだ。

「また…また、君か!」
そうさ、俺だよ。
「ひどい、よ、どうしていつも、いつも」
ひどい、だって?もともと俺を頼ってきたのはおまえだろ?
もう戦えない、戦いたくない、って泣いてたから、助けてやったんじゃないか。
誰があの地獄からおまえを救ってやったと思ってるんだ?
「…こんなことになるくらいなら、あそこで死んでしまったほうがよかったよ!」
死んだほうがよかった、か。ずいぶんなことを言うな。
でも、本当にそう思ってるのか?
もしあの日の戦場に戻れたとしたら、そこで死ねるか?
「…戦争だからね。ぼくひとり死ぬくらい、たいしたことじゃないよ」
本当に、本当か?
確かに戦場じゃ命に価値なんてありゃしなかったけどなぁ…。
生きて帰ってきたら、命が惜しくなっただろ?何が何でも生きたいって思っただろう?
もし昔に戻れたとしても、おまえは俺を頼るさ。絶対にな。


485 名前:Hallo,Hallo 3/5:2007/10/31(水) 21:20:17 ID:rOK5Oob30
「ちがう!そんなこと…そんなこと、ないよ…」
おいおい、泣くなよ。
これでも俺はおまえを守ってやるつもりなんだぜ。
なんたっておまえは俺の大事な半身だからな。
前から言ってるだろ、全部俺に任せておけって。
そうすりゃおまえは甘い夢だけ見ていられるんだからな。
どんな夢がいい?
やっぱり子供たちと遊ぶ夢か?
さっきみたいにピクニックか、それともお茶会とかパーティーがいいか?
「やめてよ…夢は夢だ、現実じゃない。その間に君は現実で人を殺す気なんだろ…?」
くく、く、心配するなよ。夢から覚めなきゃいいのさ。
ずっと目を覚まさなきゃ夢だって現実になる。わかるだろ?
それに、現実に戻ったところで待ってるのはあの狂った町だ。
毎日毎日、ちょっとしたことでみんな死ぬ。殺しても殺しても生き返りやがる。
昨日殺したやつらが、にこにこしながら『遊ぼう!』って近寄ってくるのは、つらいよなぁ?
それなら、どれだけ遊んでも誰も死なない夢のほうがずっと幸せかもしれないぜ。
「でも、君が殺さなきゃ…君がいなきゃ、僕は、誰も殺さないですむんだ」
矛盾してるぜ、フ.リ.ッ.ピ.ー。
今までおまえが人を殺したのは、俺のせいじゃないだろ?
俺たちは一緒なんだからなぁ。
それに、俺が消えたらどうなるか考えてみろよ。
なにも俺が殺さなくたって、あの町のやつらはよく死ぬぜ。
まわりが死んで、そしたらおまえはひとりぼっちだ。
あんなに嫌がってた俺ももういない、本当にひとりになるんだぜ。
そんなの耐えられるのかい、さみしがりやのフ.リ.ッ.ピ.ー?


486 名前:Hallo,Hallo 4/5:2007/10/31(水) 21:21:06 ID:rOK5Oob30
「…でも、でも、僕は…ぼく、は…」
だから泣くなって。
かわいそうなフ.リ.ッ.ピ.ー、俺ならずっとおまえのそばにいられるんだぜ。
おまえが生きてる限りずっとそばにいてやるし、大切にしてやる。
可愛がってやるさ、おまえのお気に入りのクマのぬいぐるみみたいにな。
「やめてよ!もう、やめて…よ…」
やれやれ、おまえも強情だな。
まあいいさ、俺としてもおまえを泣かせるのは本意じゃないしな。
耐えきれなくなったらいつでも呼べよ。
すぐ助けにきてやるぜ、愛しい愛しい俺の半身。

じゃあな、おやすみフ.リ.ッ.ピ.ー。いい夢を見られるように願ってるぜ。



気づくと、もう朝だった。
ずいぶん日が高くなっていたから、朝というより昼というほうがいいかもしれない。

・・・結局、あれから夢は見なかった。
いつものように顔を洗って、薬を飲む。
ふと、窓から外を見ると、ト.ゥ.ー.シ.ーとギ.グ.ル.スとカ.ド.ル.スが走っていた。
ギ.グ.ル.スはビーチボールを持っていて、カ.ド.ル.スは浮き輪をはめたまま動いている。
海にでも行くんだろう。それにしてもちょっと気が早すぎるんじゃないか?
くすくすと忍び笑いをもらして、台所に向かおうと窓に背を向ける。

窓の外から、ぱん、と大きな音がした。


487 名前:Hallo,Hallo 5/5:2007/10/31(水) 21:21:49 ID:rOK5Oob30


目を開けると、青い空と緑の丘が広がっていた。
今日は本当にいい天気だ。暑いくらいだから、海に行くのは楽しいだろう。
だけど、なんでこんな晴れた日に、袖がぐっしょりと重たくなっているんだろう。足元もびちゃびちゃだ。

震えるフ.リ.ッ.ピ.ーに、とても足元を見ることなどできなかった。
低い声が歌うように呼びかけてくる。

― Hallo,Hallo, How are you?
Good morning, my better half!


誰か、
だれか、
たすけてください。
でなければ、ぼくは。

うけいれてしまいそうです。



低い声の主が、短く笑った。


488 名前:風と木の名無しさん:2007/10/31(水) 21:22:35 ID:rOK5Oob30

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ オソマツサマデシタ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


489 名前:風と木の名無しさん:2007/11/01(木) 00:32:35 ID:VdTIbJvl0
>>482
GJ!
ヌゲーあの元ネタからよくぞここまで!
>あの町のやつらはよく死ぬぜ。
不覚にもワロタ。確かに!!

490 名前:照退:2007/11/01(木) 01:03:40 ID:zenIfBH+0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  懐かしのテレビ番組smiling dog(要和訳)より    
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  これまた懐かしの照退をドウゾ!!
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ダイ2ブガ一番エロイ!
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



491 名前:照退(1/4):2007/11/01(木) 01:07:10 ID:zenIfBH+0
はじめっから、あいつのペースだった。

流されたくない、流すべきじゃないと思う自分と
このまま何も考えず、流されてしまいたいと思う自分が混在している。
「先輩、俺のこと好きなんでしょ・・・」
「・・・・・・」
またこいつは露骨に俺の耳に息を吹きかけて話す。
ダイレクトな快感に頭がクラクラする。

や、俺は・・・退蔵のことが・・・


「兄貴のことなんか・・・死んだ奴のことなんか、忘れちまえよ」

「・・・お前・・・・・・・・・」

「退史朗」


退蔵とはまったく違う性格と身なり。
反して退蔵と瓜二つの顔立ち、身体・・・・におい。

まだ答えの出ない問答が頭を廻って、何のリアクションもできずにいる俺をよそに
退史朗は俺のシャツの中に手を入れ、好きに動く。


492 名前:照退(2/4):2007/11/01(木) 01:08:20 ID:zenIfBH+0
はぁ・・・・・・・・・あぁ・・・・・・気持ちいい・・・・退蔵・・・


いや。
退蔵は俺にこんなことはしない。
あるいは可能性はあったのかもしれないが、お前はもうここにはいない。
目の前にいるのは、俺がずっと好きだった退蔵じゃない。

「あんためちゃくちゃ感じやすいよな。すっげぇエロい顔してる。」


くそ、なんでこんなことになってんだ・・・


混乱と快感がごちゃ混ぜになって、俺の右目から涙がこぼれた。
「泣くなよ」
退史朗が涙の跡を舐める。
気がつくと退史朗はすでに上裸だった。程よく鍛えられた筋肉に、つい見入ってしまう。
これまで盗み見ばかりして、決して直視できなかった退蔵の身体。
それとそっくり同じ身体が今、目の前にある。そして、俺を求めている。

退史朗は性急に俺の首筋を舐め、乳首に吸い付いた。髪から大好きなにおいが鼻をかすめる。
長い間夢に見て、でもありえないと思っていた光景がそこにある。
金色のネックレスとごついピアスが目に入る。退蔵は絶対つけないようなものだ。
すごく、似合っている。
「もう・・・俺にしちまえよ、な?」
顔をこちらへ向け、少しいらついたように言う。
「あいつに抱かれるようなことは、もう一生ないんだからさ・・・」
そう言って退史朗は俺のズボンを脱がしてフェラしだした。
すごい快感だった。この顔に咥えられているということに加えて、
退蔵にはなかったこいつの強引さと、少し悪ぶったような態度にゾクゾクする。

493 名前:照退(3/4):2007/11/01(木) 01:10:44 ID:zenIfBH+0


もう、俺を支配してくれ_______頼む。


フェラしてる間もこいつの手は縦横無尽におれの身体をさまよっていたが
そのうち右手はアナルを触り始めた。どこから持ってきたのか、ローションみたいなので
指を濡らして触っていた。アナルに指が入った時は今までにない感覚に身体が硬くなった。
が、全く嫌ではなかった。前から退蔵に抱かれる妄想をしていたからかもしれない。
・・・それにこの顔になら、この身体になら、正直何をされても快感なんだ。
痛みですら、喜ばしいのだ。


もう触れられなくなることに比べたら何だって。


退史朗自身が俺に入ってくると、あいつはもう無我夢中って感じで
突きたいように突いて俺を揺さぶりまくった。
「あ、は!あ、あ、あ、あぁ!」
「ふ、イイ、か?は、あ、」
「は、ん、・・・っいい、いい!」
そう言ってしまったら、もう理性がどこかへ吹っ飛んだ。
途中、多分アナルが切れた気がしたけどもう何でも良かった。
退史朗はそのうち俺のをしごきながら突いてきた。
前と後ろの両方からくる刺激に俺はすぐにイキそうになった。


494 名前:照退(4/4):2007/11/01(木) 01:12:39 ID:zenIfBH+0
「あっ、やばい、出る!」
俺がそう言うと退史朗はここぞとばかりに動きを早くしだし、
俺の耳を甘噛みしながら言った。
「ハッ、なぁっ、俺の名前、呼んで」
その言葉になぜかめちゃくちゃ感じてしまって、それと同時に俺はイった。
「あ・・・・・・・たい・・・・・・し・・・ろ・・・・・!」
退史朗もこれに反応してか、すぐにイったようだった。

汗だくの退史朗が覆い被さってくる。・・・すごく心地良い。
「ふぅ・・・・・・先輩、初めて俺の名前、呼んでくれましたね」
と、無邪気な笑顔をこちらへ向けて、俺にキスをする。

お前も俺のこと、初めて「先輩」って言ったな。退蔵みたいに。
確かに俺は、今度からお前の先輩になるんだな。
あぁ・・・・・・この笑顔。俺が焦がれてたまらない、この顔。

そんな顔してくれるんだったら、何回でも呼ぶよ。退史朗。


だからお前は、死ぬなよな。

495 名前:照退:2007/11/01(木) 01:14:01 ID:zenIfBH+0

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 以上、自作自演がお送りシマシタ!
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


496 名前:風と木の名無しさん:2007/11/01(木) 01:22:09 ID:k5O0hTyQ0
>>490
ちょ、キタコレ!
懐かしすぎるよオマイさん!!GJ!!

497 名前:風と木の名無しさん:2007/11/01(木) 01:25:05 ID:LwY3E4xE0
>>490
ハァハァGJ!!
脳内にエロイ表情の照さんが浮かびました・・

498 名前:風と木の名無しさん:2007/11/01(木) 01:34:37 ID:La9SN8+tO
>>490
GJだけど…
悲しくなって泣いてしまったorz

499 名前:風と木の名無しさん:2007/11/01(木) 02:18:11 ID:ez1oJpC10
>>482
このネタで萌える日がくるとは思わなかった
思わずぐぐって軽く鬱りながらも軍人萌えをありがとう!
あの町のやつらと南公園の一部はよく死ぬのがデフォ

500 名前:風と木の名無しさん:2007/11/01(木) 03:01:25 ID:bXvNgeUYO
>>490
キタ――(゚∀゚)――!!!

501 名前:風と木の名無しさん:2007/11/01(木) 05:38:33 ID:TphoTAr30
>490
懐かしさと切なさに100万回GJ!
思えば初めて801萌えしたのが照退だったよ…

502 名前:風と木の名無しさん:2007/11/01(木) 12:41:05 ID:UlUaVCC00
>>490
キタァァァ(゚∀゚)ァ( ゚∀)ァ( ゚)ァ( )ァ(` )ハァ(Д`)ハァ(;´Д`)ハァハァ
まさかまさかまさか、て.るた.いがここで読めるなんて!!!!!!!!!!
GJGJGJGJGJGJGJでした!!!1!!

503 名前:風と木の名無しさん:2007/11/01(木) 14:11:22 ID:EQjlTwWc0
>>490
キタ━━━ヽ( ゚∀゚)人(゚∀゚ )メ( ゚∀゚)人(゚∀゚ )メ( ゚∀゚)人(゚∀゚ )ノ━━━!!!!
いい、いいよて.るた.い46!
コイツは俺の好きだったアイツじゃないって悶々としながらも受け入れてしまう…(*´д`*)ハァハァ

504 名前:風と木の名無しさん:2007/11/01(木) 20:13:09 ID:NYSb3F6+O
>490
懐かしすぎる上にGJすぎるよ!
萌え泣きました

505 名前:自由 1/3:2007/11/01(木) 21:47:35 ID:pcc9Y4UzO
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
某葡萄バンドの元四弦×唄です。ナマモノ・悲恋?注意。
四弦脱退後、二人が連絡を取っていないという設定です。




 永遠、不変、そういうものは全てまやかしだ。存在するはずがない。少なくともこの指はそれらに触れられなかった。触れたとしても、すぐに消えてしまった。願って泣いたとしても無駄だ。それでも諦めがつかないのだから、自分も人間なのだと思う。
 永遠はない。不変もない。どこまでも続いていけるようなものは、ない。けれど、長い間この身体を縛る鎖なら存在した。まだ永遠とは言えない。いつか永遠になるのかもしれないが、今は分からない。黙って動けないままでいるだけだ。
 彼の爪痕は、大きい。埋めきれないまま立ち尽くす。

506 名前:自由 2/3:2007/11/01(木) 21:49:08 ID:pcc9Y4UzO
 煙草の煙を吐き出した。彼のことを考えると、煙草の消費量が増える気がする。それは気のせいだろうか、ただの感傷だろうか。
 自分の感情すら定かではないのに、他人である彼の感情など分かるはずもない。頭では分かっているのに、暴走してしまう。長い間会っていない彼の感情など、知らない。知る術もない。

 それでも気が付けば悔いるように願っている。動かない身体で暴走する心で彼を探した。いつか。どこかで。そんなくだらない言葉に縋れるほど子どもではないのに。

507 名前:自由 3/4(改行ひっかかりました):2007/11/01(木) 21:50:36 ID:pcc9Y4UzO
 彼がバンドを脱退しても、付き合いを続けていればよかった。何度そう後悔しただろう。現実には叶わなかったのに。あんな痛々しい状態の彼と向き合う強さを持っていなかったのは、自分だったのに。
ベースが弾けなくてもステージに立てなくても、彼が彼である、その事実だけで救われたのに。この思いが暴走したっていい。泣いたっていい。それだけを、伝えたかった。

「(泣きそうだ)」

 歳をとって涙腺がゆるくなってしまった。苦笑して、いつの間にか地面を見つめていた顔を上げる。そして目を細めて、どこかで彼の姿を探していた。

508 名前:自由 4/4(改行ひっかかりました):2007/11/01(木) 21:52:15 ID:pcc9Y4UzO
 ――会いたいのだ。とても。笑いながらやってきて、昔のように背中を叩きながら話しかけてきて、おまえを許すよと言ってほしいのだ。
 それがどれだけ傲慢で浅ましいかは分かっている。けれど夢を見続ける。この身体を縛る鎖がどんなに重くなっても、捨てられなかった。
 自由が恋しくはない。一生このままでいい。彼の思いで永遠をつくれるなら、それは幸福だ。歪んだ重みで這いつくばる身体。
 ただひとつだけ恐ろしいのは、何もかもを忘れて進んでしまうこと。この身体を縛る鎖が消える日のこと。時間の流れが消し去ってしまうこと。

「(なあ、おまえだけがいいんだよ)」

 おれを解放するのは。その一方的な依存は、ここちよく、この胸を痛めた。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )ツヅク カモ

509 名前:風と木の名無しさん:2007/11/02(金) 02:27:37 ID:QlJ3mqzUO
>>505-508
ちょ、葡萄ktkr
切な萌えました、姐さん本当にありがとう!
続きも勝手に期待してますww


510 名前:耳元で愛を囁こう:2007/11/02(金) 02:51:54 ID:gXMF/9z50
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  某三人組みのお話らしいよ。   
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  Girlだっていうじゃん。  
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


511 名前:耳元で愛を囁こう(1/2):2007/11/02(金) 02:53:14 ID:gXMF/9z50
「なぁ。何か怒ってる?」
他の誰も気付いてないだろうけれど、俺には分かる。
昨日からこいつは絶対怒ってる。
「怒ってるかなぁ・・・?怒ってるっていうか・・・。でも、左心当たりない訳?ウソでしょ?」
俺の目を見ようともせずに、右手を軽く握って爪を見て真ん中は言った。
「・・・分かんないんだけど」
一瞬ためらったけれど、正直に言うしかない。
ヘソ曲げられたら後が大変だし・・・。つか、すでにヤバい。
「まーいいんだけど。そっかぁ、ちょっとガッカリだなぁ」
ガッカリ?ちょっとガッカリ?何だそれ。
こいつのちょっとガッカリ、は俺の中で超ガッカリだぞ。
ガッカリなんか少しでもさせたくないし。
「俺、なんかした?昨日?ライブ中かな?」
「んー。したっつーかしてないっつーか」
「は?」
「今更なんだろーなーとは俺も自分で思うの。‘10本目ですね’ってMCでも言ったしさ」
・・・全くもって分からない。今更?
思い起こせば初日からとかでも怒ってもおかしくなかったってこと?
「悪い。マジで俺分かんない。何?」
「んー・・お前が悪いって訳じゃなくて・・いや、お前なんだけど」
「真ん中?言われれば言われるだけ分かんなくなってくんだけど」
このままじゃ気まずい、とかヘソ曲げられたら後が面倒、とか単純に思って訊いたはいいけど・・。
珍しいな、歯切れの悪いこいつの言い方。
「ガッカリとか・・言われたら凹むじゃん」
肩を抱き寄せて本音を口にする。
いつも精一杯のサービスを、とまでは言えなくても努力はしてるんだ、これでもさ。


512 名前:耳元で愛を囁こう(2/2):2007/11/02(金) 02:55:29 ID:gXMF/9z50
「凹んで欲しい訳じゃないんだよなぁ」
トン、と真ん中は俺の鎖骨に頭を置いた。
「最近してないじゃん・・キスとかも」
へっ?と思って真ん中を見たけど、俯き加減で言うから顔は見えなかった。
「真・・真ん中?」
「がっつくような歳でもないしさぁ・・何て言ったらいいのか俺も分かんなくて」
だんだんと小声になってく真ん中の声。少し照れてるんだろうか?
「でもさぁ。‘ふたりだけの夜’やってるじゃん」
「あ?・・あー、うん」
「お前、昨日俺のパネルに‘耳元で愛を囁こう’って歌ったじゃん。ソレ後ろから見てたら何つーか・・」。。
「何つーか?」
「何で俺に言ってくんないの?ってか、何パネルに言ってんだ、とか右のパネルに‘愛してる’・・とか・・」
言ってる内に恥ずかしいのか俯いたまま俺の左手をギューって握る。指先が赤い気がする。・・顔はもっと赤いんだろうか?
「・・何お前パネルに嫉妬してんの?しかも自分のにまで?」
こみ上げてきた笑いは多分、口調にも表れていただろう。
「っうっうるさいな!」
キッと睨んでやっと見えた真ん中の顔。自分でも分かってるんだろう。
そんなことで昨日から?、とは思うけれど、それよりも何よりも少し赤い顔と怒っていたその理由が。
「好きだよ」
リクエストにお答えして?耳元に届ける。
そんな理由で怒ってたなんて分かる訳ないじゃないかと呆れる自分を心の隅に追いやって。
「どうしたの?何かかわいいよ、お前」
「うるさいなってば!」
照れてる真ん中、なんてどれくらいぶりに見ただろう?
指摘されたからでもなく、衝動が身体に満ちていくのを感じた。
「真ん中・・すっげー今、したい」
「・・・・・・うん。」
抱きしめてた腕を少し伸ばして顔を覗いて。
「愛してる」


513 名前:耳元で愛を囁こう:2007/11/02(金) 02:56:28 ID:gXMF/9z50
____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ オソマツサマデシタ。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


514 名前:風と木の名無しさん:2007/11/02(金) 09:38:15 ID:Z7mHa5SS0
>>510
GJ!!
真ん中カワイイよ真ん中!!(;´Д`)ハァハァ

515 名前:風と木の名無しさん:2007/11/02(金) 10:49:24 ID:edKQZ7p50
>>510
d!久々Girl読めて嬉しい・・・感涙

>>514
たまには素直な魔性様もいいよねーw

516 名前:風と木の名無しさん :2007/11/02(金) 11:54:56 ID:T8M9B/d70
>>510
Girl、いいっす!!
へたれな左にも萌え

517 名前:風と木の名無しさん:2007/11/02(金) 22:04:40 ID:nHAqY4YAO
今さらだけど>>126姉さんGJ!切なくてイイヨー(´;ω;`)

518 名前:風と木の名無しさん:2007/11/02(金) 23:03:13 ID:Mt7hDcaq0
>>510
ま…魔性様、カワユスwww


519 名前:弟子師匠:2007/11/03(土) 02:08:56 ID:hWe6Lmoh0


                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  麻銅鑼の弟子師匠
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  ナンチャッテエロのみでもオケーな方はどうぞ
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 駄目な方はスルーしてね
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



520 名前:弟子師匠1/6:2007/11/03(土) 02:11:01 ID:hWe6Lmoh0
しんとした夜半。
ふと気配を感じた次の瞬間、後ろから強い腕に抱きしめられた早若は体をこわばらせた。
ひそやかな吐息とともに囁かれる。
「師匠…」
「やめい」
「師匠」
切なげな弟子の声に、早若はため息をついた。
「あかん言うてるやろ」
「師匠…」
(まったく…どうしたらええのや。こいつを拒絶するなんてわしにはよう出来へん)
早若はとにかくこの状況を何とかしようと思い、
「…とにかく風呂入れ。話はそれからや」
その言葉に早々は目を見開いて、
「師匠より先に入るわけにはいきません」と言ったが、
「ええから入って来い」
汗くさくてかなわんわ、とどうにか追いやった。
(先入るとろくなことにならんから先入れてしまうに限る。
でもって風呂入ってうまいこと頭冷やしてくれたらもうけもんや)

521 名前:弟子師匠2/6:2007/11/03(土) 02:13:02 ID:hWe6Lmoh0
早々の後に入った風呂から上がった早若は、寝間にきちんと敷かれた布団と、
その傍にきちんと手を膝に置いて控えている弟子を見てまたため息をついた。
(やれやれ…)

「早々。自分の部屋に戻れ」
「師匠…」
苦しげな顔で立ち上がった早々は、
抗おうとする早若の身体を腕の中にすっかり捕えてしまった。
(まったく…この体格差はどうしようもない)
「はなせ」と早若が言うのに、早々は無言でかぶりを振る。
普段は師匠の言葉に必ず従うくせに、この時ばかりはきかないのだ。
(阿呆なやつ)

522 名前:弟子師匠3/6:2007/11/03(土) 02:14:00 ID:hWe6Lmoh0
熱を帯びた若い体に抱きしめられて、口を吸われる。
長くて、熱い口づけ。早若は、何とか逃れようと色々試みるのだが、
力強い早々の腕に腰と背をしっかりと捕らえられてしまってかなわない。
そうして揉みあううちに布団に押し倒されてしまう。
早々は口づけを続けつつ、早若の身体を撫でながら着物の合わせ目を乱してゆく。
(こんなん…あかん)
大きな犬のような若い弟子にのしかかられているこの状況に、早若は目眩を覚えた。
ようやく口づけから開放されてほっと息をついたのもつかの間、
耳元、首筋、鎖骨…と早々の熱い唇が這ってゆく。
「早々。あかんことやて、わかるやろ」
無駄と承知で諭す声もつい震えてしまう。
早々の節くれだった大きな手に胸を撫でられ、身をよじり息を漏らす。
ふたたび濃厚な口づけをされながら胸を揉まれた。
「やめ…あかん…」
(こんなこと…)
いつしかすっかり着物を乱され、早若はあられもない格好になっていた。
「あかん…やめてくれ」
「やめられません」
そう言う弟子の顔を早若は熱に霞んだ目で見、一瞬の後、がっくりと観念したように目を閉じた。
「せめて明かりを…消してくれ」
うなずいて、早々は枕元の灯りだけ残して電気を消した。

523 名前:弟子師匠4/6:2007/11/03(土) 02:17:09 ID:hWe6Lmoh0

ぼんやりとした灯りは、かえって淫靡な空間を作り出したようだった。
いたたまれず、その灯りも、と言おうとした唇はまたもふさがれてしまい、
もはや逃れようのない閉じられた閨の中で、優しくも激しい早々の愛撫に早若の理性はどんどん押しやられていき、
次第にただひたすら感じることしか出来なくなっていった。
はじめ淡い色をしていた早若の胸の先は、早々の舌と唇が執拗に吸い、舐めて、どんどん赤くなっていった。
じんじんと痺れるような感覚がそこから全身に伝ってゆくようで、弟子の腕の中で早若は苦しげに身を捩った。
声だけは上げまいとする早若の熱を帯びた吐息、それだけでも早々は興奮するようだった。
開くまいと抵抗していた早若の脚が、やがて、早々によってかるがると割り開かれてしまう。
そして早々の指がその部分を慣らしてゆく。
「…っ…」
焼かれるような思いでそれに耐えた早若に、
「師匠…好きです…」
早々が思いをこめた声で囁き、侵入する。
ひどく熱く硬いものに入り込まれて、震えながら「いや…いやや」とうわごとのように言い早々の肩を
押し返そうとする早若を強く抱きしめながら、早々は早若が己に慣れるまでしばらくそのままでいた。
やがて大きな両手で早若の腰を優しく撫でながら、そろそろと動いてゆく。

524 名前:弟子師匠5/6:2007/11/03(土) 02:18:58 ID:hWe6Lmoh0
「あ…ああっ…」
駄目と思うのに声が出てしまう。
翻弄されて、無意識のうち早若は早々の背に縋り脚を絡めていた。
「あぁ…あぁ…早々…」
早々にとって目眩むような、色の滲んだ早若の声。
早々はますます早若に溺れていった。
何度も何度も早々に口づけられながら貫かれ、全身痺れるような感覚に支配されて、
早若はもはや自分の声と身体を制御することができなくなっていった。
「あぁ…あぁ…あぁん…」
耳や首筋にかかる早々の荒く熱い息、乱れかかる髪、汗の匂い。
夜毎この若者の硬く厚い身体に組み敷かれて、早若はどんどん感じ方が深くなっていくようだった。
「いや…あぁ…」
大切に、優しく抱くものの、感じすぎるのがこわくて逃げを打つ早若に早々は容赦がなかった。
「やぁ……もう…もうだめ…早々…」
「師匠…」
目のふちを赤くして涙をにじませた早若の色めいた様子を早々は苦しげな顔で見つめ、腰を動かし続けた。
「あ…はぁ…あぁあん…」

身体中に毒がまわってしまったようだった。
全身粟立つように感じて、早若の身体はどこもひどく鋭敏になっていた。
苦しいほど感じさせられるこの行為は、早若には永遠に続く責め苦のようでもあった。


「師匠…!」
「あぁあっ…!」
やがて奥に熱い奔流が叩きつけられた刹那、早々は早若の身体を強く抱きしめ、
早若は早々の太い首にすがりついた。

525 名前:弟子師匠6/6:2007/11/03(土) 02:20:30 ID:hWe6Lmoh0
荒い息と共に早々が倒れこんできた後も、早若は強烈なその余韻に耐えるようにしばらくの間身を震わせていた。
早々のものが伝ってゆく感触に、
「あぁ…」
びくびくと震え、その感覚を持て余している早若の身体を早々は愛おしげに抱きしめ、
「好きや…愛してます師匠」
耳に熱く吹き込むようにして言う。


やがて再び熱く硬くなってゆく早々に気づいた早若は、
「や…いや…」
身を捩って逃れようとするが、逃れられようはずもなかった。
「いや…もう無理や早々…」
「師匠…優しくしますから…」
「いや…あぁ…もう…堪忍して…」
いつの間に脱がされたのか、すでに自分も早々も何も身に付けていない。
若く逞しい早々の肉体をじかに感じ、改めて何ということを自分はしてしまっているのかと思う。
「やぁ…あ…っん」
「好き…好きです」
「あっ…あぁ…あん…」
きつく抱かれ、揺すぶられて、腰を打ちつけられる。
「あぁ…早々…いやぁ…あぁ…」
際限のない若い熱にさらわれて、早若は再び果てしのない深淵に堕ちていった。

526 名前:弟子師匠:2007/11/03(土) 02:21:38 ID:hWe6Lmoh0


 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 色々とすまんかった
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


プラトニックでもエロでも、
弟子師匠の投下を底抜けに待ってます


527 名前:風と木の名無しさん:2007/11/03(土) 05:31:20 ID:9EGq8Zy/0
>>519
らめぇぇそんなしょっちゅう犯られたらいい年の師匠壊れちゃうぅぅぅ

でもGJ!

528 名前:風と木の名無しさん:2007/11/03(土) 07:39:07 ID:gxK9HXgtO
>>519
朝っぱらからええもん読んだ…底抜けに〜GJですがな!

>>527
わろたwwwwwww

529 名前:風と木の名無しさん:2007/11/03(土) 12:38:33 ID:67+TuFlqO
>>519
元ネタ知らなくても萌えた!
弟子×師匠っていいなあ…

530 名前:風と木の名無しさん:2007/11/03(土) 21:51:55 ID:A7MhZbli0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  >>341です。今回も朝の連糸売テレビ小説
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  弟子と師匠だよ
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 弟子ヘタレだよ!
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

前回レス下さった方々、ありがとうございました。
そして>>519底抜けにGJ!


531 名前:1/3:2007/11/03(土) 21:52:45 ID:A7MhZbli0
夜遅く早々が帰宅すると、草弱は茶の間におりました。
また酒ばかり飲んでいたのか、空の瓶が置かれたテーブルの横で
草弱は寝転がっていました。
少し背中を丸め、横を向いたその体はピクリとも動きません。
しばらくじっと遠くから眺めていた早々ですが、
動かぬ草弱を見て不安になったのか、そっと背中の方へ近づきました。
「寝とる…」
規則正しく上下に動く肩を見て安心したのか、思わず声を出してしまい、
はっとして口を押さえました。
(…起こしてしもたか)
草弱の顔を覗き込もうと、早々はゆっくりしゃがみこみました。
少しでも音を立てないように、という気遣いなのでしょうか。
息を止め、少しずつ首をのばしていきます。
(…何か…)
早々はドキドキしていました。
いつ草弱が起きるかという緊張感でしょうか。
音を立てないとか、ゆっくりした動作とか、
慣れないことをしているせいでしょうか。
無意味に息を止めているからでしょうか。
(静かに…)
ふー、と止めていた息を出してみます。
(深呼吸したら、リラックス出来るやろ)
そう思って二、三度大きく、しかし静かに息をします。
(…よし)
体勢を整え、もう一度草弱の顔を覗き込みます。
スースーと小さな寝息が聞こえました。
(何や…)
白髪交じりの髪や髭、顎のラインや鼻筋、まつ毛。
普段何気なく見ていたものを、改めてまじまじと見つめていました。
(年、とったなあ…)
自分みたいな子供を、十何年も可愛がってくれた手、目、そして声…


532 名前:2/3:2007/11/03(土) 21:53:37 ID:A7MhZbli0
「…寒い」
「わっ!!」
突然草弱が喋ったので、早々は驚いて引っくり返ってしまいました。
「し、師匠!起きてたんですか!」
「ええから、寒い」
「やっ、あの…」
「寒い、言うとるやろ」
横になったまま、目も閉じたまま、草弱は喋り続けます。
「えーと…も、毛布、持ってきます」
早々は急いで草弱の部屋から毛布を持ってくると、
そっと彼の体にかけました。
「…あの、師匠」
「こっち来ぃや」
「えっ」
「後ろで黙って座ってられても気持ち悪いねん」
突然のことに何やそわそわしている早々ですが、小さく「はい」と返事をすると、
今度は草弱の顔の前できちんと正座になりました。
正座と言いましても、拳をぎゅっと握り締め、ただただ下を向いたその姿は、
どっからどう見ても動揺しているのは明らかでした。
「…早々」
「あっ、はい何でしょう」
「わし、さっきからお前の股間ばっか見えて、どないせえっちゅうねん」
横になったまま、指一本動かさず、草弱は早々を見上げました。
淡々とした口調の草弱とは裏腹に、早々は完全に慌てふためいていました。
すいませんすいませんと言いながら、どこにいればいいのかと
キョロキョロ辺りを見回します。
さすがに草弱もこれには噴き出してしまい、
笑ったのがばれないよう、口元まで毛布を引っ張ったのでした。
結局、草弱の足元で横を向く、という座り方で収まったようで、
早々は再び下を向き、じっとしていました。


533 名前:3/3:2007/11/03(土) 22:01:27 ID:A7MhZbli0
どれくらい経ったかはわかりませんが、草弱は目を覚ましました。
どうやらまた眠っていたようです。
ふと足元を見ると、早々はまだ座っていました。
(こいつ、ホンマに…)
アホや、と言いかけましたが、自分の目が笑っているのに気が付きました。
ちょっとからかってやったつもりが、
何やら自分も早々とおることで温かい気持ちになるのです。
わかりやすい男や、と早々を見て思っていましたが、
自分もまた、わかりやすい男やと草弱は思いました。
わかりやすくて、そのくせ素直やないなと、
何かを思い出しながら笑いました。
「なあ、早々…」
名前を呼ぶと、早々はパッと顔を上げました。


534 名前:入らんかった…4:2007/11/03(土) 22:02:13 ID:A7MhZbli0
(自分は素直やないから。)
そう思いながら草弱は早々には目を向けず、
どこかを見ながらボソッと呟きました。

「…ムラムラする」

早々はポカンとしていました。
ポカンとしていますが、100%動揺しておりました。
「え…や、ム…えっ?」
草弱は我慢出来なくなり、ブハッと噴き出すと体を起こして早々を見つめ、
「お前はホンマ、気の小さい男や」
そう言って早々の頬を両手で挟み、
「昔とちっとも変わっとらん」
と笑いました。
早々は何が何やらわからん様子でしたが、
急に真っ赤になったかと思うと、慌てて
「あっ、じゃあ、あの、師匠…」
と何かを言いかけましたが、その途端草弱は急に立ち上がりました。
「し、師匠!?」
「なあ、早々」
草弱は早々の頭を掴むと、
「次、あるかどうかもわからんで」
そう言って早々の頭をくしゃくしゃ撫で回すと、
自分の部屋へ戻っていきました。


535 名前:風と木の名無しさん:2007/11/03(土) 22:03:40 ID:A7MhZbli0



 ____________
 | __________  |
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 「昔」って何だよ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

なぜか上シ召ナレーションでお送りいたしました。

536 名前:風と木の名無しさん:2007/11/03(土) 23:00:19 ID:PaTBkRlzO
朝銅鑼姉さんたちなんというGJ!
ええのお〜

537 名前:風と木の名無しさん:2007/11/03(土) 23:42:53 ID:ShFJne+S0
>>535
GJ!!!!!!!
素直に↑沼ナレで聞こえたのがなんか恥ずかしいw
「股間ばっか」で禿げワロタwwww

538 名前:風と木の名無しさん:2007/11/04(日) 00:22:44 ID:YjG/2Ku50
コ/ー/エ/ーのゲーム、戦☆国☆無☆双☆2で、前田慶次と真田幸村
棚に投下しといて何だがストーリーに触れる描写があるから難解な個所があるかも…

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

539 名前:よくじょう 1:2007/11/04(日) 00:24:16 ID:YjG/2Ku50
 今日も無事死線を乗り越えた。本当の意味での死線。慶次殿と出会って初め
てそれを体験してから少し日が経った日。さっさと戦の片付けを済ませ、私はご
当地で有名な浴場に足を運んだ。
 ひっそりと在る露天は小さくて人気が居ない。付近で今しがた戦があったのだ
から民が避難していて当然でもある。貸切状態だろうか、と思いながら重い武具
を外し浴場へ向かう。
 そこに居たのは。
「け、慶次殿。いらしてましたか。」
 先ほど思い返したばかりの偉大な人がそこに居た。思わず憧れのその人を少し
避けて洗い場を選ぶ。
「幸村。こっち来いや。」
避けたのを変に思われたか。慶次殿に呼ばれてはいと答え、ひとつ間を開けたと
ころに桶を置きなおした。
 どうにも居心地が悪い。それというのもここは浴場で、無論私も慶次殿も裸な
のだ。男同士何も気にすることはない。わかってはいるがつい目のやり場に困る。
私さえ小さく見えるほどに、慶次殿は大きすぎる。
 ふ、と、違和感に気付く。慶次殿の赤い髪留めが無い。浴場に居るのだから当
然か。違う。髪の形はそのままだ。この湿気の中前髪もいつものように獅子の鬣
よろしく立っている。
「見ろよこの剛毛。半日も結えば癖がついちまう。」
私の視線に気付いた慶次殿が、前髪のひとふさをつまんで笑ってみせた。
「はは、髪のひとふさまで慶次殿らしいです。」
私が冗談で返すと、慶次殿が合図のように目配せをし、汲み置いた湯を一気に頭
からかぶって見せた。

540 名前:よくじょう 2:2007/11/04(日) 00:26:53 ID:YjG/2Ku50
からかぶって見せた。
「ま、これで一気にぺしゃんこだ。俺は未だにこれを見るのが面白くてね。」
本人はいつもと同じように豪快に笑うが、彼の髪は私が未だ嘗て見たこともない
様相だった。力なく慶次殿の額や肩に纏わりついていて、少しガタイが小さく見
えるのが新鮮だ。何よりも美しかった。白金の輝きをたたえた彼の髪は、剛毛だ
と笑ったわりにしなやかで意外なほど長い。豪傑の稀に見る雅な姿に、私はあろ
うことか軽い陶酔を覚えた。不意に髪が纏わりつく逞しい肩が目に入り、陶酔は
うっすらと眩暈に変わる。
「……幸村?」
不審がった慶次殿に呼びかけられて初めて我に返る。
「あ、ああ。すみません。あまりの変わり様だったもので。」
そうだ。見惚れていてはいけない、と再び慶次殿から目をそらした。
「ほら、私も。慶次殿ほどではないですが。」
苦し紛れに私も湯をかぶった。量感を失くした髪が顔に纏わりついて鬱陶しい。
「それじゃまだまだだぜ、幸村。」
誤魔化せた、と言っては語弊があるが慶次殿の顔から不審の色は消え笑顔が戻った。
「わかってますよ。髪の量で慶次殿と張り合う気は毛頭ないので。」
あくまで慶次殿と目を合わせないままそそくさと身を清め始める。目を合わせて
いなければ、いつものように振舞うことが出来るのだ。今日はどうも調子がおか
しいらしい。疲れが出ているのかもしれない。
「俺はな幸村。どんな些細なことでも日の本一になりたいんだ。」
慶次殿がにわかに発した言葉。"日の本一"、か。
「では私も、義と勇においていつの日か慶次殿を越えて見せましょう。」
目は合わせられずに私は心で見据えて慶次殿に誓った。
「その意気だぜ幸村。今日はなんか、様子がおかしかったからよ。元気そうで安
心した。」
そう言い慶次殿は立ち上がった。さりげない気遣いが胸を突いて押し寄せるよう
だ。そのまま慶次殿が露天の方へ向かうようなので私も続いた。

541 名前:よくじょう 3:2007/11/04(日) 00:28:40 ID:YjG/2Ku50
 そのとき、見ないように努めていた慶次殿の身体が目に入ってしまった。広い
背中も、逞しい肩も、力強いその腕も。そればかりか思わず慶次殿の足のつけ根
に目が行ってしまい湯気も相俟って上せたようによろめいた。慶次殿の逞しい腕
が私の体を抱きとめたことは、おぼろげにしか覚えていない。

 「幸村!」

 途切れた意識を繋ぎ合わせるとまったく時間が経っていないことに気付いた。
「幸村。やっぱりお前おかしいぞ。いくら上せたってあんな急に倒れるもんじゃ
ねえ。」
先程と同じ浴場。慶次殿が顔を覗き込んでくる。
「心配を、かけました……。」
咄嗟に身を引こうと体を起こすが、
「どこかぶつけてねえか? 吐き気は?」
また慶次殿の顔が近づいてくる。視界が慶次殿でいっぱいになって。
「…………。」
 ある距離近づくと慶次殿は何も言わずに体を離した。意味深な表情。何かを、
悟ったような。
「ありがとうございます。平気ですから、慶次ど……、」
「幸村。」
私の言葉を、慶次殿が私を呼ぶ言葉が遮る。初めて慶次殿に名を呼ばれたときの
感情が蘇る。
「お前は今日、どこかおかしいんだ。」
諭すような語尾の強い慶次殿の言葉。休め、とでも言うつもりだろう。
「いいえ、慶次殿。ありがたいですが私は大丈夫ですから。」
当たりをつけて私がそう言うと、慶次殿はより強く言った。
「お前は今日、どこかおかしいんだ。」
あまり強く繰り返し言われると、私が気でも違えているように聞こえて慶次殿と
いえど癪に障る。そう思っていると、慶次殿がまた近づいてくる。
「……っ慶次殿! 本当に、大丈夫ですから。」
少し、ムキになりすぎた。だが後悔する間もなく慶次殿が私の、自身に触れる。

542 名前:よくじょう 4:2007/11/04(日) 00:30:46 ID:YjG/2Ku50
 「慶次殿、何を……、」
動揺を隠せないまま腕をつっぱねて形ばかりの抵抗を示す。実際は事態に追いつ
けないですがるように慶次殿の腕を掴んでいるまでだった。だが慶次殿は返答を
返すこともなくあろうことか掴んだそれを扱き始めた。
「け、慶次殿……!」
こればかりは流石に力いっぱいの抵抗。私は悪い夢を見ているような気心に陥っ
た。だが、先程まで私が見惚れるほどの肉体は見せかけのものではない。私の抵
抗など取るに足らないものとばかりにその腕は、その手は、私を高みに導いてい
く。
「おやめ下さい慶次殿、こんな……」
「少し黙ってくれないか、幸村。」
名前を呼ばれて。それでもう私は何も出来ず、何も言えない。

 しばらくされるがままになっていたが、高みが見えてきた。まさか慶次殿の手
で果てるわけにはいかない。
「慶次殿、どうしてですか。」
制止の言葉を言えず私は遠まわしなことを言う。本当に言いたいのはこんなこと
ではない。
「幸村。こんなことはきっと今日限りだ。今日はどこかおかしいんだ。」
慶次殿は同じ言葉を繰り返す。その間にも慶次殿の手はやわやわと玉を揉み裏筋
をなぞり亀頭を刺激する。声を上げるほどではないが息が荒くなってくる。
「幸村。……俺も今自分がわからない。すまない幸村。」
悲痛な様子で詫びを述べる慶次殿の様子とは裏腹に今もその手が止まることはな
い。
「慶次殿、慶次殿。少しでいい、待ってください。慶次殿。」
繰り返し慶次殿の名前を呼ぶ。どこか倒錯した雰囲気。おかしいんだ。それなら
少し落ち着かないと。私が少しおかしいということを否定はしない。だが今は慶
次殿の方が正気の沙汰でない。このまま私が果ててしまえば、何かが壊れてしま
う、気がする。だが慶次殿の手の動きは止まらない。このままではいけない。

543 名前:よくじょう 5:2007/11/04(日) 00:32:23 ID:YjG/2Ku50
 「慶次殿!」

今度は私が、強く慶次殿の名を呼んだ。
 すかさず慶次殿が覚醒する。覚醒、する前は一体何が起きてたというんだ。
「幸村……。すまない、すまない……。」
しきりに詫びる慶次殿の髪が揺れる。濡れているせいでしなやかな慶次殿の髪。
はたと気付いた。私は慶次殿に欲情してしまっていたのだ。気付いたところで今
更どうすることもできない。許されることではない。
「慶次殿。私が、私の方こそ……許されるとは思っておりませぬ。しかし何と詫
びればよいやら…慶次殿、誠に申し訳無い。」
「止せ幸村。お前が何を詫びることがある。俺がバカなことをした。」
慶次殿も床に手をついて謝る。また綺麗な髪が揺れる。
「慶次殿、申し訳無い。」
私がまた繰り返す。
 「……ふ。」
「はははははは!」
慶次殿が突然、豪快に笑い出した。
「幸村、ばからしいと思わないか。大の男が2人して。何やってんだろうな。」
そう言われて考えれば確かに。浴場で裸で謝り合って。
「そう、ですね。」
そう言って合わせて笑ったそのとき。
「というわけで幸村。」
慶次殿がまた意味深に名を呼ぶ。
「なんでしょう。」
私は身構えることも無く答える。
「詫びのしるしにイカせてやるよ。そのままで辛いんじゃないのかい?」
辛いとか辛くないとかじゃない。男の本能としての辛さはあるが、私は一人の人
としての慶次殿を敬愛している。違うのだ、根本的に。
「まさか、慶次殿。ご容赦下さい。明日からどんな顔で会えばいいのです。」
ただ、今宵は。露天の月明かりと慶次殿の髪が美しかった。絆されたのか。
「言ったろ、俺たちは今まともじゃねえんだ。明日になればいつもどおりさ。」

544 名前:よくじょう 6:2007/11/04(日) 00:34:23 ID:YjG/2Ku50
 ぐい。慶次殿の手が私の腰にまわってくる。強い力で引き寄せられる。抗わな
い。そのかわり何も言わない。是非を越えてただ私は慶次殿の目を見た。慶次殿
もそれに答えるように見返す。
 慶次殿は偉大だ。大きくて。強くて。そして私は慶次殿に詮無い思いを抱きは
しない。決して望んだわけじゃない。ただ今日慶次殿が大きくて。美しかったか
ら。現の中で慶次殿は私のものを扱いている。そして私は現実の中で言い訳をする。慶次殿は偉大だ。大きくて。強くて。美しくて。だから、抗えないのだ。そう言い訳をして、夢の中に上へと詰める。

 「……っく……」



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
お目汚し失礼しました!

545 名前:風と木の名無しさん:2007/11/04(日) 00:35:29 ID:YjG/2Ku50
改行しくった…orz

546 名前:風と木の名無しさん:2007/11/04(日) 00:52:11 ID:DTQM3s+S0
GJすぎるハァハァ
萌え死にそうです。ありがとうございます姐さん

547 名前:風と木の名無しさん:2007/11/04(日) 08:24:48 ID:bi4fW+A6O
そろそろ新スレ?
すまん携帯からで立てられん
誰かいたらお願いします

548 名前:風と木の名無しさん:2007/11/04(日) 08:46:33 ID:i1xtdzuJ0
じゃぁスレ立てチャレンジしてくる

549 名前:風と木の名無しさん:2007/11/04(日) 08:57:42 ID:KLuo+w8s0
立ちました
モララーのビデオ棚in801板31
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1194133801/l50

550 名前:風と木の名無しさん:2007/11/04(日) 08:58:54 ID:bi4fW+A6O
乙!ありがとう!

551 名前:風と木の名無しさん:2007/11/04(日) 08:59:26 ID:zWP8tFw8O
>>539-544
おおお激しくGJ!

552 名前:風と木の名無しさん:2007/11/04(日) 11:09:46 ID:Nq6zmDan0
>>549


ただ、まだこのスレ50KBほど容量が残っているから余裕はあるよ。
480〜490KBくらいになってから立てれば大丈夫かと。

553 名前:風と木の名無しさん:2007/11/04(日) 15:19:35 ID:bi4fW+A6O
>>552

554 名前:風と木の名無しさん:2007/11/04(日) 15:20:42 ID:bi4fW+A6O
>>552
私がぼんやりしてて繰り上げの計算間違えた。ごめんorz
インド式計算法学んでくる

555 名前:独身男×猫 1/9:2007/11/04(日) 15:56:38 ID:I03kN6210
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・)ジサクジエンガオオクリシマ~ス!
埋めがてら投下
※実はモデルがいるなんて書いた本人も信じてない。
※猫だけど獣姦でも猫耳でもないです。


仕事が早く終わり、飲みに行こうかと同僚をさそったが、今日は子供の誕生日だと
断られ、続いて誘った後輩には彼女とデートだと言われ、すっかり飲む気の
うせた俺は一人淋しく家路に着いた。

帰りを待つ者もいない家に向かう足は重く、冬の寒さが身にしみる。

ふと道ばたの黒い固まりが目に入った。ゴミかと思って近づくと、それが黒猫だと気付く。
車にはねられたのだろうか。かわいそうだが、猫の死体などあまりじっくりと見たい物でもない。
足早に通り過ぎようとした時、かすかに耳に届いた、声。
慌てて戻って、猫に触ってみると心臓はまだ力強く動いていた。
そのまま体をあちこち触ってみるが、前足の毛皮が禿げて血がにじんでいる以外は
大きな怪我はないらしい。
どうしようと思ったが、この寒空のなか放っていくのも後味が悪い。
迷う俺の耳に、すがるような弱々しい鳴き声が聞こえる。
俺はその体を抱き上げた。


556 名前:独身男×猫 2/9:2007/11/04(日) 15:57:20 ID:I03kN6210
マンションの部屋に戻り黒猫の体をタオルでくるむ。
傷口に包帯を巻いてやり、暖房の近くに手頃な箱を用意してその中に寝かせた。
どうやら軽傷のようだが、体が弱っているようでぐったりしていた。
あとは、猫自身の回復力次第だろう。

翌日急いで仕事から帰って来ると、猫は素晴らしい回復をみせていた。まだふらついてはいたが、
俺を見てなにかくれろとナオナオ鳴く。
買ってきていた猫缶を開けてやると、よほど腹が減っていたのかあっという間にぺろりと平らげた。

3日もすると猫はすっかり動けるようになった。
なかなか利口なヤツのようで部屋を荒らしたりはしないしトイレもすぐ覚えた。
その一方でテレビのリモコンを隠してみたり、俺の読んでる新聞の上にわざわざ丸まったり、
そういうささいなイタズラをしかけてくるようになった。
俺は呆れつつも文句をいったが、俺が本気で怒ってないとわかっているのか
黒猫は決まってイタズラッ子のような瞳で見上げて、ナーオと鳴くのだった。

557 名前:独身男×猫 3/9:2007/11/04(日) 15:57:57 ID:I03kN6210
猫と暮らし始めて一週間。家に帰るのが楽しみになっている自分に気付く。
扉の向こうで俺を待っている猫の姿を思い浮かべながらドアを開いた。
「ただいま」
「おかえりなさい」
いつものナーオという鳴き声が聞こえるかと思ったら、聞こえるはずの無い
人間の声が聞こえてきて、俺は心底驚いた。顔をあげると目の前にひとりの青年が
笑みを浮かべて立っていた。部屋を間違ったかと思わず廊下に出て確かめるが
確かに自分の部屋だ。
「えーと、君、誰?」
「わかんないですか?冷たいなぁ。一週間も一緒に過ごしたって言うのに」
青年は笑いながら腕をまくってみせる。治りかけてはいるが、それでも痛々しいこすれた傷跡。
ハッとして青年の顔を見ると、いたずらっ子の様な瞳が黒猫の面差しと重なった。

呆然と突っ立つ俺を、青年は「まあまあまあ」と促しながら部屋へと誘った。

558 名前:独身男×猫 4/9:2007/11/04(日) 15:58:32 ID:I03kN6210
「先日は危ないところを助けていただきどうもありがとうございました。」
青年(=黒猫?)は深々と頭を下げる。
「いやー、ほんと助かりました。餌を取りに行く途中だったんだけど、腹は減ってるし、足は痛いし。もうだめかと思ったんですけど、」
それにしてもよく喋る。
「おかげさまで動けるようになったから、そろそろおいとましようと思ったんですすが、
何も言わずに出て行くのも悪いと思って。」
青年のセリフにハッとする。
「出て行くのか?別にここにいても…」
「そういっていただけるのはありがたいんですが。女房と子供が待ってるんで」
「女房!?」
思わず大きな声を出した俺に、青年は目を丸くして首を傾げる。
「お前、女房って、嫁さんがいるのか?」
「いますよ?初めての子供が生まれたばっかりなんですけど、これがまたかわいくて…」
青年の見た目は20代の中盤という雰囲気だ。
たしかに、実際職場でもそれぐらいの年齢で家庭を構えるヤツもいないではない。

559 名前:独身男×猫 5/9:2007/11/04(日) 15:59:07 ID:I03kN6210
だが俺は勝手に黒猫も独り身なのだと思っていたから、なんだかショックだった。
ただ、子供のことを話す彼の表情は本当に幸せそうでーーー少し、羨ましいと思った。
「ええ、だから、あなたは僕だけじゃなくて女房や子供の命の恩人でもあるんですよ」
まっすぐな瞳で見つめられて、思わず目をそらす。
こんなふうに素直な感情に触れるのは久しぶりで照れくさかった。
「あなたは、一人なんですか?」
一週間も一緒に居れば、この部屋に俺以外の住人がいないことはわかるだろう。
「今はね」
「今は?」
微妙なニュアンスを聞き取って青年が首を傾げる。そう、少し前まで、俺にも家族がいた。
「結婚、してたけど、うまくいかなくてね。子供も、いたんだけど…」
仕事にかまける俺に愛想を尽かし、子供の手を引いて出て行ってしまった妻。
そのときになって俺はもう何年も妻の顔をきちんと見ていなかったことにようやく気づいた。
「寂しいんですか?」
黙り込んだ俺の顔を覗き込むように青年が訊いてきた。俺は答えられなかった。

560 名前:独身男×猫 6/9:2007/11/04(日) 15:59:45 ID:I03kN6210
仕事は順調。友人もいるし、上司の覚えもいい。後輩にもそれなりに慕われていると思う。
それでも時々、酷く孤独な気分になる。
過ぎてしまったことは仕方が無いけれど、もっと向き合えばよかったと
妻のこと、子供のことを時々思い出すたびに胸の奥が痛む。

気がつけば青年の顔がすぐ近くにあって、ペロ、と頬を嘗めた。
驚いている俺に、今度は唇が触れ合うだけのキスをする。
「お前、オスだろ?」
「人間ってオス同士でもするんでしょ?」
なんでそんなことを知っているんだ。
「…浮気だろ…」
「別に、他のメスとするわけじゃないし…助けてくれたお礼です。」
そういって、俺の顔を両手ではさみ、先ほどより深い口づけを落とす。
「なんでこれがお礼なんだよ」
何度も重ねては離れる行為の合間を縫って愚痴のよう零す。
「だって、寂しいんでしょう?慰めてあげますよ、僕が」
彼はそういってニヤリと笑った。その挑戦的な表情に思わずドキリとした。
本当にこいつは猫なのか、いろいろと疑問はあったが絡む舌の熱さにしだいにどうでもよくなる。

561 名前:独身男×猫 7/9:2007/11/04(日) 16:00:26 ID:I03kN6210
カチャカチャとベルトを外す音がして、下半身が冷気にさらされて身震いする。
「はっ…」
彼が足下にうずくまり、俺のものに触れてきて、思わず息を吐いた。
チロチロと先端に舌を這わせ口に含む。
やわらかく歯を立て、口に含みきれない部分は指を使って擦り上げる。
まったく、どこで覚えたのか、巧みな舌使いにほどなくして射精感が高まった。
彼の髪を引き目線をあげさせる。目で達しそうなことを伝えると、彼は目だけで笑って強く吸い上げた。

唇についた精液を嘗めとる舌の動きに魅せられた。
彼の腕をつかみ、引き寄せ口づける。苦い味がした。
そのまま喉に鎖骨に胸に唇で刺激を与えるとそのたびに、体を震わせ柔らかな喘ぎ声をあげる。

「…あ、ん…」
彼のあげる甘い啼き声に、否応無く興奮している自分がいた。

562 名前:独身男×猫 8/9:2007/11/04(日) 16:01:09 ID:I03kN6210
彼は向かい合い俺の腰の上にまたがって、再び硬くなった俺自身を飲み込もうとしている。
彼自身の指と、俺が吐き出した精とですでに慣らされていたそこは
キツいながらも徐々に俺を受け入れていった。
「ん…」
ときおり苦しそうに眉を寄せ、深く息を吐く。それでも腰を落とすことはやめない。
「きもちいい?」
「っ…うん、いいよ」
俺の答えに満足そうに微笑むと、彼はゆっくりと腰を動かし始めた。
擦られる感触と、なにより中の熱さに俺の気持ちも高ぶった。
俺は無意識に彼のモノに手を伸ばす。それは触れるまでもなく濡れていた。
「あ、あ」
擦り上げてやると、彼の体が快感に震える。その度、彼の中にある俺自身をギュウと締め付けてきた。
溶け合う熱に理性は輪郭を失って、ただ本能がささやくままに腰を振る。
「…っあ、イク…!」
はじける瞬間、後ろにそらせた喉のラインが綺麗だと思った。


行為を終えて眠ってしまった彼の黒髪を撫でる。柔らかい感触が、猫の毛並を思い出させた。
少し高い彼の体温に眠気を誘われながら、俺はぼんやりと先ほどの彼の言葉を思い出していた。
「お前となら、暮らしてもいいと思ったんだけどな…」
青年はわずかに身じろぎしたが、答えは無く、聞こえるのは寝息だけ。
何を言っているんだか…かすかに自嘲して温かい彼の体を抱きしめ、俺も眠りに落ちた。

563 名前:独身男×猫 9/9:2007/11/04(日) 16:03:25 ID:I03kN6210
翌朝、目が覚めると俺は腕にしっかりと黒猫を抱えていた。部屋を見回しても俺と猫の他には誰もいない。
猫の前足をもってビローンと立たせてみる。どこから見ても立派なオス猫だった。
ナオと抗議の声を上げる猫にゴメンゴメンと言って手を離す。
昨晩のは俺の妄想だったんだろうか。妄想するなら綺麗なおねーちゃんだっていいはずなのに、
なんで男。しかも猫。そこまで溜まっていたのかと軽い自己嫌悪に陥る。
俺の考えていることがわかったのか黒猫が俺の膝に前足をかけて見つめてきた。
その悪戯っぽい眼差しはやはりあの青年を思い起こさせる。
とりあえず体はすっきりしてるし、なんだが悩むのもバカらしくて、俺は深く考えるのをやめた。


朝食を片付け、出かけようとドアに手をかけた俺の足下に猫がすり寄ってきた。
ぴったりとよりそい俺の顔を見上げてくる。外に出せといっているようだ。
「お別れかい?」猫に問いかけると、ナーオと少しすまなそうに鳴いた。

外に出ると、身軽に塀に飛び乗り、別れを惜しむかのように俺の顔を見た。
俺は猫に微笑み口を開いた。
「短い間だったけど、楽しかったよ。」
元気でなと声をかけると、ナーオと答えて、身を翻し、猫は植え込みの中に姿を消した。

俺は猫が消えた方をしばらく見ていたが、ふっきるように2、3度頭を振ると、ゆっくりと、歩き出した。
よく晴れた、冬の朝だった。

□STOP ピッ ◇⊂(・∀・)ジサクジエンガオオクリシマシタ!

564 名前:風と木の名無しさん:2007/11/04(日) 20:46:53 ID:a0mtiL3bO
>>555->>563
GJ!
面白かった。

565 名前:風と木の名無しさん:2007/11/04(日) 21:54:09 ID:VXah4P1b0
>>555
すごく良かった! ほんのりほのぼのな感じがしながら、きっちりドキドキさせられた。
ちょっと切ないけど、読後爽やか。よかったです〜〜


566 名前:風と木の名無しさん:2007/11/05(月) 00:22:37 ID:ZHOBmkZg0
>>555

ぬこ好きの自分としては、女房子供もろとも引き取ればいいと思う
そんで、にぎやかに暮らせばいいんだ
あの夜のことは、甘ずっぱい二人(?)の秘密ってことで

567 名前:権助魚 ガッ10×ショタ:2007/11/05(月) 00:48:53 ID:LpBxuYBX0

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ナマ ラクGO家 ガッテンシショー ×ショタシショー
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  最後の話です。長くてスマソ
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



568 名前:権助魚 ガッ10×ショタ 1/10:2007/11/05(月) 00:49:29 ID:LpBxuYBX0
惹かれているというのなら、その人柄だったり才であったり。
ひとつひとつ並べると、どうしても惹かれちゃう自分への言い訳に見える位だ。
出会う前から存在は知っていて、初めての出会いの瞬間こそ覚えては
いないけれど、気が付けばこの業界にいる誰よりも、ある意味で近い場所に
入り込まれていた。
趣味も嗜好も180度違う。鎹と呼べるのは、お互いのこの職業に対する真摯な気持ち。
真逆のベクトルを持つこの男を、何時から好きだったかなんて、俺は覚えちゃいないんだ。


普通ね、温泉ってやつは、癒されたくって来るもんだよねぇ。
ふやけるの上等! な勢いでお湯に浸かって、美味しくご飯頂いた挙句に
しっかり酔っ払ってる人間が言うのも失礼な台詞なんだけどさ。
癒されてはいるんだよ。身体的には。
お刺身美味しゅうございました。
地酒美味しゅうございました。
たった一つの気がかりの所為で、気持ち良くは酔っ払えないこのジレンマ。
二歩先にあるシノさんの楽しそうな背中が羨ましいよ、八つ当たりだけど。
流石温泉効果なのか、いつもよりも軽く見える足取りを眺めていると、
先日覚えた違和感が嘘みたいに思えた。本当に『嘘』なのは今の状態なんだろうけど。
そんなに切り替えの早い人じゃない。
しかし寒いったらありゃしない。コートの前を合わせても、背筋を震えが駆け上がる。
耳も痛い。酔いも何処かに行っちゃうよ。
流石温泉街と言うべきか、まだ早い時間なのにネオンなんかは殆ど消えて
しまっているし、土産物屋のシャッターもこぞって下りているから余計に寒々しい。
お互いに一泊二日分の休みのスケジュールが上手に合ったから、じゃぁ本格的に
旅に行く前に取り合えず近場で何処か行きましょうなんて話になったのは、
真昼の、あの不透明な呼び出しから十日も経たない頃だった。
この家業はタイミングが勝負。行った者勝ちだもん。兎に角忙しいシノさんですからね。
俺の方はといいますと、多忙なシノさんに合わせられる状況だったのが
ラッキーだった……のかなぁ。

569 名前:権助魚 ガッ10×ショタ 2/10:2007/11/05(月) 00:50:03 ID:LpBxuYBX0
会いたいけれど会いたくない。会えば気持ちがぐらぐら揺れる。楽しく呑気で
平穏に生きたいんだよ、俺は。こんな葛藤趣味じゃないんだ。
まぁでも色んな事を足したり引いたりしても、悔しい事にシノさん会わないって
選択は自分の中にはなかったってのが我ながら泣けるんだけど。
会うまではドキドキしてたけれど、待ち合わせていた駅で、俺が時間通りにしか
来ないのを知ってる癖に早目に着いたらしい、シノさんの待ちくたびれた顔を見たら
すとんと心が落ち着いた。捜し求めていた『いつも通り』ってヤツが不意に
戻ってきたんだな。だからいつもの旅行みたいに、電車の中から缶ビール開けて、
お互い結構ご機嫌な状態で現地に着いて、相変わらず遺跡関係に興味のない
シノさんに愚痴零しながら引っ張って観光して歩いて、それは楽しかったんだよ。
そのテンションのまま宿入って風呂入ってご飯食べてって流れだったから
余計な事考える暇もなかったし。
そのまんまで居られたら良かったんだよ。
なのに、どうかな、これ。
わざわざもう1回着替えて、寒風吹き荒ぶ中、わざわざ煙草ひとつ買いう為に
コンビニですよ。馬っ鹿じゃないの。
旅館でも売ってるじゃん。そんな珍しい銘柄吸ってる訳じゃないんだし。
それが、繰り返すけど、『わざわざ』、どうして、コンビニなんだろう。理解に苦しむわ。
頑なに主張しやがったオヤジはやけに楽しげな姿勢を崩さないから、文句を口に
出す気にはなれない。その分腹の中で繰り返してみたけど、これでラク太郎兄さん位
腹黒になったらどうしようかと考えてやめた。黒くなったおなかの中を元に戻す方法、
ガッテンする程のものがあるとは思えない。本当に煙草だけを買ってコンビニを後にした
帰り道、シノさんは道の途中で足を止めて夜空を仰いだ。
「ショウちゃん、ほら」
「ん?」
「星が良ぉく見えるよ」
右手の人差し指で天上を指して、シノさんは囁く様に言った。
導かれるまま目線を真上にすると、確かにそこには街灯の光に負けない沢山の星が
瞬いていた。シノさんの歩く足元ばっかり見ていたから、全然気付かなかったよ。

570 名前:権助魚 ガッ10×ショタ 3/10:2007/11/05(月) 00:50:47 ID:LpBxuYBX0
「すごいねぇ」
思わず素直に返してしまう。吐く息の白さと、頬を撫でる風の凛とした冷たさ。
その上でキラキラと静かな光を降らせる星というのはずるいシュチエーションだった。
悔しいかな見惚れていると、シノさんが言った。
「今まで色んな場所で満天の星ってヤツ見てきたけど」
「え、ガッテン?」
「うるせぇ。ま・ん・て・ん。お前、そういう混ぜっ返し好きだねぇ」
脊髄反射みたくボケてみたら、シノさんは目尻の皺を深くして呆れて肩を竦めた。
シノさんに『お前』って言われるのは嫌いじゃない。比率では『あんた』の方が
多いから、ふとした拍子に出る『お前』を聞くと、なんだか得した気分にもなった。
トーンの柔らかさが、そのまま親しさに繋がるからだろう。
「すいませんねぇ。それで、色んな所で見て来たけど?」
「あぁ、沖縄で見たのが、銀色の砂を空一面にぶちまけたみたいな星空で、
一番奇麗だったけど、今日のも妙に奇麗に見えるなぁ」
「酔っ払ってるからじゃない?」
「それもあるけど、お前と見てるからかねぇ」
……駄目だ、このオヤジ。うっかり俺の事殺しちゃう気じゃないの?
殺されかけてる俺が悪いんだろうけど、他意なく言うなよ、そういう台詞。
「あんた、口上手いね」
素っ気無く言い返すと、何がツボに入ったのかシノさんは大口を開けて短く笑うと、
そのまま目を細めて俺に視線を移した。
「噺家だからね」
「そりゃそうだ」
オチとしては正しい着地。ツッコミを入れる隙はないし、これ以上此処に突っ立って
いるのも寒いだけだからと歩き出す。今度はシノさんが俺の後ろを着いて来る形だ。
俺ははぐらかしたのかな、とぼんやり思った。
酔っ払いの戯言といえばそれまでなのに、やけにきつい態度を取った。多分シノさんは
俺の後ろ頭を見てるんだろう。
振り返れなかった。

571 名前:権助魚 ガッ10×ショタ 4/10:2007/11/05(月) 00:51:28 ID:LpBxuYBX0
宿に戻って、シノさんが美味そうに一服をするのを肴に酒宴を再開させる。
飲んじゃうに限るんだ、こういう時は。
話はまだまだ山の様にあったし、シノさんは先刻のやり取りを気にした風もない。
だらだら飲みながらチャンネル数の少ないテレビを観賞している内に、潰れたのは
シノさんの方だった。
床に転がったシノさんに、布団かけてあげるべきかなぁなんて考えつつ、手元の
リモコンでテレビの電源をオフにする。
すぐには動く気にはなれなかった。この所の、はっきりしない自分の気持ちを
確かめるには良い静寂だ。何より目の前に張本人がいる。
しばらくの間、テーブルに頬杖をついて静かに上下するシノさんの胸の辺りをぼんやりと
眺めながら、出会ってからの色んな事を思い出していると、自然と『もう駄目だ』って
覚悟が固まった。
動物園のベンチで青空を見上げながら、うちの師匠を想ったあの瞬間が頭を過ぎる。
時間がさぁ、サラサラサラサラ流れてって、ついでに色んなものを押し流して
行っちゃって、奇麗なものだけが残るじゃない?
辛かった事や哀しかった事は流れてって、最期は晴れた日に太陽に透かしたビー玉を
覗いたみたいな記憶が残される。
まだうちの師匠に対してはそんな美しいレベルに達していないけど、でもいつかは
そうなっちゃう。風化が怖いとか、そういう理由じゃないよ。
残酷だけど美しい世の中の理ってヤツ?
あの時ね、めちゃめちゃ日常な癖に、時間の流れから取り残されたみたいに、
100年後でも呑気に長い鼻をブラブラさせてそうな象なんか見てたからさぁ、
気付かされちゃったんだよ。
シノさんとこうやってんのも、いつか記憶の中だけの事になっちゃうんでしょ?
でも、それでいいってやっと思えた。今離れる理由になんてなりはしない。
ましてや、育った気持ちを打ち消す理由にもならない。
何かもう、全部をひっくるめてこの人がいとおしいよ。お手上げだ。
魚をね、生まれてこの方見た事ない人間は、魚を魚って認識出来ないじゃない。
権助魚と一緒だよ。
今まで知ってたのと心の動き方が全然違ったから、上手に分類出来なかった。

572 名前:権助魚 ガッ10×ショタ 5/10:2007/11/05(月) 00:52:01 ID:LpBxuYBX0
でも、これはこういうものだ。魚屋にあるからって、カマボコがそのまんま川を
泳いでたって信じる様な間違いはしてない自信はある。
完全に白旗を掲げたらもやもやしていたのがすっきりしたから、安心してシノさんを
起こそうって気になって、寝てる傍まで近寄ると床に正座して肩を揺さぶった。
「シノさーん、風邪ひくよー」
……起きねぇなぁ。
そういや、この前と立場逆なんじゃない?
前回は俺が寝ちゃってて、シノさんが起こそうとしてた。まぁ、俺は途中から
狸だった訳ですが。
「シノっち〜」
もう一度呼びかけて強めに肩を揺すったけれど、瞼が一瞬ピクっとした位で起きる気配は
皆無だ。疲れてるんだなぁ。
仕方がないので、歪んだら不味いからとシノさんがかけてる細っこいフレームの眼鏡を
そっと引き抜こうと手を伸ばした。フレームの冷たい感触が指先に伝わった刹那、
シノさんの左手が俺の手首を掴んだから驚いた。無防備になっちゃってた所に、
ぐっと腕を引っ張られちゃったから、勢いそのまま倒れこむ形になってしまう。
シノさんとの距離が、ひどく近い。
狸寝入りだった証拠にシノさんはぱちりと瞼を上げると、ふぅっと一つ息を吐いて
最近よく目にする苦い笑みを浮かべながら、低く問いかけてきた。
「ショウちゃん、あん時起きてたろ」
『あん時』が『どん時』なのかは瞬時に理解出来た。ついでに冷や汗が滲む。
あの晩の雪の名残みたく本当に冷たいよ。悪戯がバレたって、そんな可愛い気持ちには
ならなかった。どちらかというと、人の日記を盗み読みしたみたいな感覚だ。
覗き込んでくるシノさんの中に確信めいたものがあるのを知り、これ以上誤魔化せないと
悟って頷いた。
「……起きてました」
「やっぱり」
「いつから気付いてたの?」
「気付いてた訳じゃないよ。……あのさぁ、なんであの時、目、開けなかったの? 
起きてたなら、俺が何をしようとしてたのか気付いたろ」

573 名前:権助魚 ガッ10×ショタ 6/10:2007/11/05(月) 00:52:39 ID:LpBxuYBX0
怒ってるのでもなく、ただ単に質問をされて、それがとても答えにくいもんだから、
俺としては黙るしか手がない。
一番シンプルな回答は『されても良かった』だけど、もうちょっと正確には
『して欲しかった』になるのかも知れない。どっちにしろ言い難いんだよ。
察しているのかいないのか、シノさんは目を逸らしてくれない。
まだ腕は掴まれていたけれど、力なんてこれっぽっちも篭ってなくて、逃げようと
思えば逃げられた筈だった。俺がシノさんの上に覆いかぶさっている体勢と、
心の現状は正反対だ。
「気ぃ使って、起きられなかった?」
「違う」
間髪入れずに答えてしまう。起きようと思えば何時だって出来たんだってば。
心の整理はついたけれど、まだそれを口に出すのは躊躇われた。簡単に出して
いい言葉じゃない。
逡巡をどう取ったのか、シノさんは腕を引っ張った時と同じ唐突さで肩を掴むと、
くるっと体勢を入れ替えた。今まで畳を見ていたのに、今度は天井。
余りに早業でびっくりしたよ。
「じゃぁ、やり直し」
「やり直しってっ」
淡々と言ったシノさんの指がひょいっと伸びて眼鏡のブリッジにかかる。反射的に
目を瞑りかけたら、簡単に眼鏡を引き抜かれた。途端にぼんやりする視界。組み敷かれる
体勢の、上から降ってくるシノさんの掠れ声。
「裸眼でどの程度見えるの?」
「ほとんど見えないよ」
「これは?」
顔の間にある距離を、どうやら半分くらいに詰めてくる。目を眇めた所で視界の悪さは
変わらない。
「0.01の視界を舐めなさんな。本当に見えないんだって」
「じゃぁ、こんなもん?」
さらに半分。プレッシャーがじわじわかかるって。
心理戦に勝てる自信なんてこれっぽっちもないよ。反撃なんて逆ギレ程度。

574 名前:権助魚 ガッ10×ショタ 7/10:2007/11/05(月) 00:53:13 ID:LpBxuYBX0
「自分だけ眼鏡かけてずるいんだよっ。見えるわきゃねぇだろ、そんなの」
威勢が良いのは口先だけ。頭の中の冷静な部分で、後に引けないのは俺かシノさんか、
どっちの方かなって考えた。ちょっとづつを距離を縮めるシノさんと、まだ見えないと
叫ぶ俺と。最後までいったらどうなるのかなんて、明白過ぎんのに。
シノさんの思惑が読めない。表情が見えないから、余計にだ。
しばらくの間シノさんは黙っていたけれど、ふと感心した様に言った。
「そっかぁ」
「なんだよ」
「ショウちゃんがツリ目気味なのに可愛く見えんのは、目の上っ側の方が丸っこいから
なんだな」
「観察してんじゃねぇよっ」
余裕のある態度に、ぷっつりと忍耐の糸が切れた。
顔の横に突かれているシノさんの腕分の距離を、浴衣の襟をぐいっと引っ張って
数センチまで縮めてやる。
「あんた散々確認してるけど、これでもまだ見えないからね。」
本当はもう結構シノさんの驚いた顔が見えていた。でもここまでくると完全にチキン
レースだもん。虚勢を張ってなるべく挑戦的に見える様に睨みつけてはみたけれど、
訪れた沈黙に迷いが頭をもたげる。一旦固まった気持ちがまたぐらぐらしそうになった。
逃げると思ったのかな。
それとも逃げて欲しかったのかな。
シノさんの気持ちは分からない。
動かないシノさんにその揺れが伝わったのか、浮かんでいた困惑がすぅっと引っ込んで
真顔になって、ぽつりと零した。
「俺の負けだわ、ショウちゃん」
勝ったっと変な達成感を持ったのも束の間、シノさんの唇が額に触れる。
予期せぬ行動は、俺を硬直させるのに十分だった。
次に、瞼。思わずぎゅっと目を閉じると、耳元で囁かれる。
「いいの? 目、閉じられると、先に進んじゃいたくなるんだけど」
この後に及んでまだ探り入れますか、このオッサン。
瞼を上げると、至近距離でまともに目が合う。

575 名前:権助魚 ガッ10×ショタ 8/10:2007/11/05(月) 00:53:54 ID:LpBxuYBX0
小さい頃砂場でやった、砂で作った山を両端から片手で掘っていってトンネルを作る
作業みたいだった。今、大きな砂山の真ん中で、やっと指先が触れた気がした。
俺一人が勝手にあたふたしてたんじゃなくって、この人もそうなんだ。
随分前に流行ったビビビって感じる恋じゃない。二人でゆっくりとここまで積み上げた。
俺が目を開けたのを拒否と取ったのか、シノさんが身体を引きかけるのを、
掴んだままだった襟に慌てて力を込めるので防ぐ。
「ショウちゃん……」
頼りない声に、表情が緩んじゃう。
額と瞼って微妙さだけどキスして貰っちゃったから、次は俺の番でしょう。
一つ大きく息を吸うと、伝わります様にと念じながら口を開いた。
「例えばさぁ、シノさんちの流派には、前座から二ツ目に上がる際のラインが
あるでしょ。鳴り物、歌舞音曲の一通りをマスターする。最低でも50席は噺を
覚えて合格を貰う、だっけ? あんたが2年弱でやっちゃった事だよ。当たり前だけれど、
人の気持ちにこんな明確な基準はないじゃない。だから迷ってたんだけど、
なら別にこれはこれでいいんじゃないの?」
「これって?」
「俺がシノさんを好きだってこと」
初めて声に出して、あぁやっと言えたなぁって実感が湧いた。嬉しくて泣きそうになった。
「前座の頃に出逢ってるから、初めて会った時からもう20年位経ってるよ。
仲良くなってからは10年以上かぁ、……時間かかったよねぇ。古酒の発酵見学してた
みたいだよ。呑気が信条の俺にこんだけシリアスさせてんだから、あんた凄いわ。」
シノさんは目をまん丸にして俺の言葉を聞いていたけれど、読み込み速度の遅い
昔のパソコン並の時間をかけてやっと理解してくれたのか、ふにゃっと解けた笑いを
浮かべた。
「ショウちゃんは、落語だけじゃなくって俺を喜ばせる天才だね」
「まかせといて」
別に狙って言った訳じゃないけどね。
シノさんがこつっと額をぶつけてくる。握っていた襟を離して、その手を背中に
回しながら、今度はちゃんと自分の意思で目を閉じた。

576 名前:権助魚 ガッ10×ショタ 9/10:2007/11/05(月) 00:54:33 ID:LpBxuYBX0
明け方に、目が覚めた。
障子の向こうは薄ぼんやりとしていて、夜が明けているのがわかった。ぐるっと
首を回すと、酒の残った頭が痛む。
あぁ、今日は二日酔いスタートか。
あの後、気持ちが通じ合ったからといって勢いでそのまま最後までって訳にもいかず、
妙に気恥ずかしいテンションのまま酒盛りを再開させて、反動で二人ともべろべろに
酔っ払って眠った。
最後の方の記憶がないからどっちの責任かは知らないけど、腕枕ってどうよ。
道理で寝苦しいと思った。……暖かかったけどさ。
ちらっと見上げるとシノさんの幸せそうな寝顔があって、恥ずかしさの余り慌てて
目を逸らしてしまう。いや、恥ずかしいだろ、どう考えても!
おっさん二人で腕枕ですよ。絶対に他人に見られたくない。
見られたら口封じだよ。洒落になんねぇって。
なんだろう、こう、じたばたしたくなる感覚。
シノさんだよな、これやったの。俺からねだったとか思いたくもない。
でも万が一ってのがあるから、この件については問わないでおこう。うん。
起こさない様にそっと腕を外して、枕元に置いた眼鏡をかけながら布団を抜け出す。
暖房の切れた室内はひんやりとしていて、二の腕を手で擦りながら背中を丸めて
冷蔵庫からお茶を取り出した。
暖かいのが飲みたかったけれど、わざわざ煎れるの面倒だし。
冷えたお茶が咽喉を滑っていく感触に、乾きが癒されて人心地つく。
ふとビールの空き缶やなんかが転がっているテーブルの上に置き去られていた、
キャビン・マイルドの赤い箱が目に入った。
何となく取り上げると、中にはまだ数本が残っていたからその内の一本を抜き出してみる。
俺が煙草を常習的に嗜む機会は、きっと一生ないんだろうけど。
戯れみたく火をつけて、煙を吐き出しながら眉を顰めた。
ずっと匂いだけはよく知っていたその煙草は苦い筈なのに、昨夜のシノさんの唇と
同じ味がして、甘かった。

577 名前:権助魚 ガッ10×ショタ 10/10:2007/11/05(月) 00:55:25 ID:LpBxuYBX0
惹かれているというのなら、その人柄だったり才であったり、人の煙草隠れて吸ってる
可愛らしさだったり。
ひとつひとつ並べると、どうしても惹かれちゃう自分への言い訳に見える位だ。
……いや、もういいよ。言い訳で。どうしたって好きなんだ。
言葉を操る商売をしていても、上手く伝えられない心ごと全部。
明るくて軽い、他人を気遣える人柄も。
しなやかでありながらしたたかに不思議な空間を作り出す才能も。
ちっちゃい癖にやたらとアグレッシブな所も。
素は意外なまでにシャイで孤独を持て余している不器用さも。
並べてみると、やっぱり言い訳だ。
浮かびかけた苦笑いを、バレない様に噛み殺す。寝ているフリがばれるのは、お互い
1回あれば十分だろう。
認めればとてもシンプルな、たった一つの気持ちが心の中に灯りを燈す。
それはショウちゃんが吸ってる、俺の煙草の先で赤く燃えている蛍みたいな小さな
明かりだったけれど、暗闇の中確実に存在を示した。
そう、存在。存在だよ。
ぴったりハマる言葉を、やっと見つけられた。
ショウちゃんに惹かれるとか、まどろっこしい言い方じゃないものを。
早くショウちゃん戻ってこねぇかな。そしたら昨夜言いそびれた言葉を言えるのに。
俺はね、多分、全部ひっくるめて、ショウちゃんの存在ってやつを愛してる、ってさ。

578 名前:権助魚 ガッ10×ショタ:2007/11/05(月) 00:57:33 ID:LpBxuYBX0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 長らくのお付き合い
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )  ありがとうございました。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
これだけ書いたらすっきりするかと思ってたが
熱がさめてくれないので、諦めてサイト作る努力します
ネットの海の何処かで見かけたら、その時はよろしくお願いします

579 名前:風と木の名無しさん:2007/11/05(月) 01:04:14 ID:+ix6kkCN0
>>578
うおお大作GJ!!
サイト絶対探しに行くからガンガレ!!

580 名前:風と木の名無しさん:2007/11/05(月) 01:27:11 ID:RgibrklC0
>>578
あなたがネ申だったのですね…っ!!!
すげぇええええ、すげえキュン萌えでやべええええ!!!
乙でした、サイトを血眼になって探させていただきます!!!

581 名前:風と木の名無しさん:2007/11/05(月) 01:35:42 ID:UJO5UhOR0
>>578
シリーズ通しで超GJです
もう夜中に転げるほど萌えますた…!
最終回ときめきメーターが振り切れました

自分も貴方のサイト探しに旅立ちます
乙でした!

582 名前:SBR ジャイロ×ジョニィ 1/5:2007/11/05(月) 02:35:50 ID:bKR6PzMrO
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )トウトツニ、ジュシンシタカラ オオクリシチャイマス



人が笑顔で近づいて来ても、何かを企んでいるようにしか見えない。
ぼくの悪い癖だ。

かといって、無表情で近寄られても、それはただ薄気味悪いだけで。
いつだってぼくの周りには、そんなやつらばかりだったんだ。


「…お前さぁ、いいかげんにしろよ」
ジャイロがいかにも『不機嫌です』という表情でぼくの頭を抑える。
今のところ、ぼくには何も非難される謂れはないのだけれど。
…いや、アレか。きみの自信作(新曲)にぼくが初めてケチをつけた事をまだ根に持っているのか。
それともさっき、ホットパンツからぼくだけローストビーフサンドを貰ったからか。いや、でもそれなら文句はホットパンツに言ってほしい。
もしかすると、爪弾の誤爆でジャイロの脳天をかすめてった事か!あぁ有り得る。それが1番有り得る!しかもどさくさに紛れて、謝ってないじゃないかぼくは!

そうこう苦悶している間も、ジャイロは無表情でぼくの頭をわしわし撫でる。何を考えているのか、読めない。
というか、頭が洗えないからいい加減放してほしいのだけど。

そう、ぼく達は今夜は珍しく宿に入れて、久々のベッドにウカレ、そして久々のバスタイムを楽しんでいたところなのだ。
というわけで、今現在ぼくは湯舟に浸かっているわけで。…要するに、何も着ていない、わけであって。

583 名前:SBR ジャイロ×ジョニィ 2/5:2007/11/05(月) 02:37:20 ID:bKR6PzMrO
「っ…ジャイロ!悪かった、謝るから!」
考えてみたら急に恥ずかしくなって、ぼくは思わずジャイロに怒鳴るように謝罪した。
するとジャイロは、キョトンとした顔で「…はあ?」と呟きやがった。なんだ、謝罪じゃなけりゃ一体何が目的なんだ。
「なんでおたくが謝る必要があるのよ」
「だ、だってきみ、怒ってるんじゃないのか…?」
「ねーよ」

ただ、それだけ言って、相も変わらずジャイロはぼくの頭を撫で続けている。
わしわしと乱暴に撫でていたかと思うと、急に髪を梳くような動きになって、ぼくは焦る。
優しい、ジャイロの優しくて柔らかい手が、ぼくのうなじに触れる。

まずい。
下半身が動かなくなってから、久しく忘れていた感覚が沸き上がる。
なんで、どうして。
なんだってぼくは今、ジャイロ相手に欲情しかけてるんだ!
認めたくなくて、そして悟られたくなくて。とにかくジャイロの顔を見ないように、うつむいて。

「…もっとさぁ、オレを頼ったらどうなのよォ」
数瞬か、はたまた何時間か。
膠着状態だったぼく達の空間に、ジャイロが言葉を落とした。


584 名前:SBR ジャイロ×ジョニィ 3/5:2007/11/05(月) 02:38:13 ID:bKR6PzMrO
その一言はとても意外で。
というか、的外れで。
ぼくは彼に気を遣わせまいとしていただけなのに。
「ジョニィジョニィよぉ、おまえさん、なんでも一人でやろうとし過ぎじゃねぇのか?」
「…出来る範囲の事は一人でやるのが常識だろ」
ああぼくは。なんて可愛いげのない返事を。
「あーのーなー!おまえは出来ると思ってやってる事でも、余所から見てると危なっかしいんだよ!」
ぐいと唐突に腕を引っ張られ、バランスが崩れる。脚が動かない、腕だけで身体を支えるぼくには死活問題だ。あんたはぼくを殺す気か!
「っわ、…何するんだよ!」
「…ちょっとバランス崩しただけで、おまえ沈んじまうじゃねーか」
痛い位に引っ張り上げられた腕を、放してくれと乱暴に振りほどくと、そこにはジャイロの哀しい表情。
なんなんだ。
こんなカオする人間、ぼくの周りにはいない。知らない。
同情でも嘲笑でも、敵意でもない。こんなカオは。

…ああ、一人、『居た』


585 名前:SBR ジャイロ×ジョニィ 4/5:2007/11/05(月) 02:40:19 ID:bKR6PzMrO
いつのまにかぼくは泣いていて。
いつのまにかぼくはジャイロに抱きしめられていて。
いつのまにか、ジャイロに、ニコラス兄さんを重ねていて。
心配をかけたくなくて。足を引っ張りたくないのに。
ぼくが立ち止まると、当たり前のように手を差し延べてくれる。
ニコラス兄さんが居なくなって、そんな人は周りに誰も居なくなった。だからぼくは…
ジャイロの差し延べる手に、気付いてすらいなかったんだ。求めていたものは、こんなに近くにあったのに。

「なんかするときは、オレを呼べよ」
「…うん」
「無理だったら、すぐ呼べよ」
「…うん」
「つーか…オレの目の届かないとこ、行くな」
「…それは…言い過ぎだろ」
「そうか?」
「そうだよ」
「じゃあ、おまえがオレから目を離せないようにしてやる」

言い終わる前に、唇に噛み付くようなキス。
目を離せないとか、よく言うよ。
ぼくはきみを追い掛けて、飛び入りでレースに参加したんだぞ?
もうとっくに、離せるわけ、ない。

「…っクシュン!」
ぼくの盛大なクシャミが、ムードをぶち壊した。
そういえばぼくは湯舟に浸かっていたんだった。上半身はジャイロに抱きしめられているせいで、腰から下しかお湯に入っていない。
「なんだぁ、冷めちまったな」
苦笑いしながらジャイロが、ぼくをゆっくりと湯舟に沈める。
なるほど、こーゆーときに手伝いたいのか。なら。
「…きみが暖めてくれるんだろう?」
「ハッ、足腰立たなくしてやるよ」
「元々立たないよ、ばか」

586 名前:SBR ジャイロ×ジョニィ 5/5:2007/11/05(月) 02:41:48 ID:bKR6PzMrO
無表情で近付いてくる人間は、嫌いだ。何を考えているか、わからないから。
でもジャイロは違う。彼の無表情は、ぼくに対して気遣うでもなく、見返りを求めるでもなく、ただ『当然のこと』として手を差し延べているだけなのだ。そこに考えなんて、ない。
ドアにロックが掛かっていたから、キーを差し込む。彼にとっては、その程度の事。
でもそれを拒絶されたら、彼は部屋から出られなくなる。だから、ぼくからキーを差し出さなくては。

ぼくはちょっとヒネた人間だったようだ。
これからは、素直にキーを渡す事を覚えよう。ジャイロに受け取ってもらえるかな。

「ねえジャイロ」
「あんだよ」
「頭洗って」
「…しょうがねぇーなぁー」

ほら、こんな簡単な事。
めんどくさそうにぼくにシャンプーする彼の顔は、とてもうれしそう。ニヤニヤしながらジャイロは口を開く。

「風呂からあがったら覚悟しとけよ。寝かさねーからな」

…前言撤回。
警戒心は、必要。


587 名前:SBR ジャイロ×ジョニィ オシマイ:2007/11/05(月) 02:42:50 ID:bKR6PzMrO
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

もっとジョジョ好きさん増えたら嬉しいなぁ

588 名前:風と木の名無しさん:2007/11/05(月) 04:28:58 ID:+b6aTOVQO
>>582
血が湧くほど萌えた…!!
GJです!!

589 名前:風と木の名無しさん:2007/11/05(月) 06:55:24 ID:vCPxhhlFO
>>587
シルバーチャリ乙。
禿げ上がる程ヒートした。

590 名前:風と木の名無しさん:2007/11/05(月) 18:23:22 ID:AYnGTSGb0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  さらいや五葉 政之助×弥一
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  政之助が桂屋の用心棒になってからのお話
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ハジメテトウカシマス…
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

591 名前:さらいや五葉 政之助×弥一 1/2:2007/11/05(月) 18:23:48 ID:AYnGTSGb0
 いるかい、という短い伺いの後、木戸がすらりと開かれる。薄暗い部屋に小春日特有の馬鹿明るい光が差し込み、政之助の目は一瞬眩んだ。
「……弥一殿」
「いいって。部屋にいる時ぐらいくつろいでな」
 たたずまいを畏まらせようとしたところを、弥一に声だけで制止される。
 懐手で柱に背をもたせ、弥一は随分と気だるそうだ。ただでさえやくざ者にしか見えない風貌に、色悪の雰囲気が重なって見える。普段より隙がある気がする、したたかさの抜けた顔つき。
 今まで寝ていたのだろうか、昨日も忍んでくる遊女の相手をしていたのかもしれない、と政之助は柄にもなく邪推した。
「ちょっと用がある。半刻ほど身を貸してくれ」
 そう頼まれ、訳も分からぬままとりあえず頷く。どこかへ参るので、と問うと、今ここを空ける訳にはいくめぇよ、と含み笑いで返された。
「女達は浅黄裏の相手、他は湯使いだ。三町先の銭湯に顔の良い三助がいるとかでな。主人は作らせてるかんざしの進み具合が気になるらしい」
「松吉殿の店でござるか」
 こんな端近の部屋を宛がわれておきながら、遊女達の行き先はおろか、人が出払っていることすら気付かないとは……。
 政之助は己の愚鈍さに嫌気が差した。滅入る気持ちと共に吐いた息はごく小さく、溜息さえも度胸が無い、と我ながら呆れるばかりだ。
「つまり今は人がおらぬのか。そのように無用心にして、女所帯だというのに大丈夫であろうか」
 弥一は僅かに目を見開き、それからさっきよりも露骨に笑い声を立てた。くく、と口の端を震わせながら、火鉢の前へ着座する。
「なんのためにここにいるんだい、あんた」
 全くだ。自分でも十分すぎるほど分かっているのだが。
 政之助は弥一の口利きで桂屋に入った。用心棒として雇われているはいるが、女郎たちに気押されているばかりで日々が過ぎ、正直護衛として役立つどころではない。
 居候、と呼び名を変えてしまった方がいっそしっくり来る。
「面目ない……。だがそんな簡単に留守を預けられてしまっては」
「竹光差してるんじゃねえんだ、もっとしゃんとしな。腕は立つんだからさ」

592 名前:さらいや五葉 政之助×弥一 2/2:2007/11/05(月) 18:25:43 ID:AYnGTSGb0
 弥一は片頬で笑みながら煙管に火を浸ける。
 片肌脱ぎになった二の腕。立膝でだらしなく座る足元。懐の奥や肌蹴た裾から覗き見えるのは、肌理の整った――――
 今まで幾度となく抑圧してきた邪さがまた焔を上げんとする。政之助は恥じ入るように俯き、少々間を置いてから本題に入った。
「して、今日は如何様で」
「如何様で、ねぇ……」
 鸚鵡返しにする弥一の声から、先程までの軽やかさが消えた。唐突なその違和感に気づいた政之助が、はっ、と顔を上げると、向かいに座っていたはずの弥一がすぐ隣で構えていた。整った顔が目の前に迫る。
 肩口を軽い力で、とん、と突かれただけで、あっけなく畳に寝転がされてしまった。
「おめえさんが欲しいんだが……今は気が乗らねえか」
「……わからないでござる」
「乗らねえ、とは言わねえんだな」
 勝気に出られれば、誠之助元来の引っ込み思案が先に立ってしまう。ぐ、と押し黙っていると、弥一はその気弱さに器用につけ入り、政之助の全てを目くばせ一つで制してくるのだ。腰紐に手を掛けながら寄越す、優しく、それでいて有無を言わさない逼迫した視線。
 弥一の強気な表情を見ると、優柔不断でうだつの上がらない自分が許容されているような、流されてしまいたいような気分にさせられる。
「好きにさせてもらう。嫌ならいつでも言えばいい」
 彼の言葉は、常にそれの意味以上でも以下でもない重さをしている。政之助は止めることも進むことも出来ず、ただ戸惑っていた。いつもの手立てと分かっている。だが、それに抗えた試しは一度たりとてない。
 弥一は自らの懐へ手を入れ、もう片方の肩口からも腕を抜く。露にされた、儚くしなやかで透き通りそうな上半身。
 政之助は知らぬ間にその胸元へ掌を寄せていた。
 その白さは、狡かろう……。
 我慢の利かない自分が恥ずかしくて仕方ない。政之助はぎゅっ、と童のように固く目を瞑った。
 この御仁のようでありたい、と、この御仁が欲しい、は同義なのだろうか……。
 などとしゃっちょこばって考えているうちに、気付けばすっかり弥一の中に飲み込まれていたのだった。

593 名前:さらいや五葉 政之助×弥一:2007/11/05(月) 18:26:43 ID:AYnGTSGb0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ジダイコウショウオカシカッタラスマン
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


            ありがとうございました

594 名前:風と木の名無しさん:2007/11/05(月) 19:04:35 ID:YNweGSbxO
>>590
政の気の弱さと、あの二人の空気が良く出てた〜
GJですよ!
おいしくいただきました!

595 名前:風と木の名無しさん:2007/11/06(火) 00:30:10 ID:XRIxutAKO
スレが終わる前にこれだけは…これだけは言わせてくれ

>>578
禿散らかるほど萌えた!
姉さん素晴らし過ぎるぜ
麻ドラも合わせてかなり噺家界に興味が湧いてきた
ありがとう

596 名前:風と木の名無しさん:2007/11/06(火) 02:11:58 ID:LdHOLC4I0
>>578
リューショー師匠燃えから込みでショタ/ガッテン大好きの身としては、もう
心臓ばくばくもんでGJ!でございます。
これから貴方を探す長い旅に出ます……どこかでヒントだけでも
落として下さると狂喜乱舞でございますです……。

597 名前:風と木の名無しさん:2007/11/06(火) 13:10:20 ID:8XAb7EPW0
>578です
お言葉に甘えてヒントを書かせて頂こうと思ったんですが、
いかんせんどれをヒントにして良いものか悩み、ナマが検索避けを
しないのも問題なんで最終話のIDで捨てアド取りました
お付き合い下さる姐さんはID+ヤフメでご一報下さい
スレ違いですみません

598 名前:ギャグマンガ日和 細道組:2007/11/07(水) 03:29:05 ID:GzZ+vdei0
このスレまだいけるかな…
史実のエピに萌えて書いた。やおいと信じれば801。

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                     |  細道シリーズの師匠と弟子だってさ。
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 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  死にネタ注意だよ。
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 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ マジカヨ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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599 名前:日和 萩野原1/6:2007/11/07(水) 03:30:00 ID:GzZ+vdei0
宿のうすい布団に病んだ青年が横たわっていた。顔色は紙のように白く、数日来ろくな食べ物をうけつけていないため、ひどく面やつれしてしまっている。
そのかたわらで外聞もなく泣きじゃくっているのは、青年よりひとまわり以上も年かさの男だった。
「――いい加減にしてください、芭蕉さん。うっとうしい」
眠ると見えた青年は、目を開くとしっかりした口調で言った。枕元に白湯の入った急須とともに置かれた手ぬぐいをつかみ、男の顔面に投げつける。
「洟を拭いてくださいよ。ただでさえ抵抗力が落ちてるんだから、バイ菌のかたまりを垂れ流されては迷惑です」
辛辣な物言いは常と変わらず、芭蕉は「バイ菌ってなんだよ!」と条件反射的に言い返しながら、顔をぬぐった。
弟子の曽良は、金沢に着いたころから体調を崩していたが、ここ山中温泉まで来て、とうとう倒れてしまった。
はじめのうちこそ鬼の霍乱、命の洗濯ができると思っていた芭蕉だったが、曽良が寝込む日が長引くに連れて、事態の由々しさを悟らないわけにはいかなかった。
これからどうすれば良いのかわからない。曽良の回復がいつになるかも知れず、旅を中断しようにも、江戸はまだまだ遠い。なにより、普段は鬼のごとき弟子が顔を青褪めさせ、マーフィー君のようにぐったりしているのを見るのは、思った以上につらかった。
「曽良君……ごめん」
「……? 何を謝っているんですか」
いぶかしげな弟子を見下ろして芭蕉は鼻をすすった。
「私は、何も出来なくて……」
曽良は何も言わず芭蕉を見上げたが、ふと目をそらし、よそを向いたまま口を開いた。
「伊勢に親類がいます。そこを頼って養生させてもらおうと思います」
「え……?」
「ここでお別れしましょう。僕は明日の朝伊勢に発ちますから、芭蕉さんは予定通り残りの旅程を続けてください」
「そんなっ、そんなのできないよ!」
思わず大声が出てしまう。曽良と別れて旅を続けるなど、考えられなかった。
「わ、私には一人旅なんて無理だよ……」
引き止めるために泣きごとを言う。しかし弟子は、そんなことは予想済みとばかりに、金沢で知り合ったばかりの俳人や行く先の知己の名を挙げるのだった。

600 名前:日和 萩野原2/6:2007/11/07(水) 03:30:45 ID:GzZ+vdei0
「芭蕉さんに一人旅が出来るとは思っていません。当面は、金沢の北枝さんが同行してくれます。大垣まで行けば、如行さんの家に泊まれます。手紙を出しておきましたから、敦賀まで誰か迎えをよこしてくれるでしょう」
何もかも用意周到な弟子だった。思えば、旅費の管理から宿の手配、各地で俳席を設ける段取り、すべて曽良がやってくれたのだ。そうして事務的なことをこなしつつ、曽良が叱咤し、(文字通り)尻を蹴飛ばしてくれたから続けられたような旅だった。
「……ごめん、病人に気を回させて……」
「まったくですよ」
ばっさりと言って、曽良は何を思うのか、起き上がろうとする。芭蕉はあわてて助け起こした。腕をまわした身体は記憶よりも軽く、頼りなかった。白い夜着につつまれた肩が、痩せて尖ってしまっているのを芭蕉は痛ましい思いで見た。
「こんな体で、伊勢まで行けるのかい」
このまま抱き締めて、あるいは縋り付いて、行かないでくれと言おうかと考える。
しかし曽良は芭蕉の腕を押しのける。
「足手まといがいなければ、それくらいの旅はできます」
そっけない応えだった。相変わらず師を師とも思わぬ言いようには、さすがに悲しくなってくる。
うつむいてしまった芭蕉の前で、曽良はきちんと正座し、布団に手をついた。
「――師匠。かえすがえすもお世話いたしました」
「ああ、え…ええ? 曽良君いま師匠って……。ええ!? なにその挨拶?」
あたふたと聞き返すも、曽良はもう知らぬ顔でそっぽを向いている。その視線の先にあるのは、縁側を隔てる障子か、その向こうの夜の闇か。あるいは実体を持たぬ思い出の姿なのかもしれない。
今の言葉が弟子の精一杯の気持ちの表現なのだと、芭蕉には飲み込めた。もとより曽良の決めたことを覆すなど、できそうもない。
「……うん、世話を焼かせたね」
秋の虫が盛んにすだいていることに、今更ながら気づいた。
「都をば、かすみとともにたちしかど――。……長い旅になりましたね」
曽良が静かにそう言った。

601 名前:日和 萩野原3/6:2007/11/07(水) 03:31:26 ID:GzZ+vdei0
翌朝、芭蕉が目を覚ましたときには日が高くなっていた。旅のあいだ毎朝乱暴に蹴り起こされるのが通例だったが、曽良が病気になってからはそれもない。
「はっ、曽良君は!?」
曽良の布団はきちんと畳まれ、荷物はすっかりなくなっていた。宿の者をつかまえて訊くと、
「今朝はやく発たれましたよ」
と言う。
見送りもできなかったのだった。
芭蕉が呆然と立ち尽くしていると、宿の者が呼びかけてきた。
「あの……お連れの方が、これをと」
渡されたのは一葉の短冊だった。曽良の綺麗な手蹟で句が書き付けてある。

 ―― 跡あらん 倒れ伏すとも花野原
(このさき道半ばで僕が行き倒れたとしても、秋草を踏み分けて歩いた跡が残っていることでしょう)

だからその時は、見つけてください――この亡骸を。
言外にそのような意味を含ませた、遺言にも似た句だった。
「……何だよこれ。俳句うまっ。うますぎるよ……弟子のくせに……」
曽良の字の上に、涙がいくつも落ちて墨をにじませた。

602 名前:日和 萩野原4/6:2007/11/07(水) 03:37:33 ID:GzZ+vdei0
秋風がカサカサと音を立てて渡っていく。
すすきは白髪のように枯れ乱れ、桔梗もおみなえしも萎んで黄色くなり、ただ咲きおくれた白萩がほろほろと花びらをこぼす、寂しげな野だった。
草の海のような野には道どころか獣の歩いた跡すらない。
右も左もわからない場所で芭蕉は途方にくれていた。
「曽良君の嘘つき……。君が歩いた跡なんかどこにもないじゃないか」
心細く呟きながら、枯れ草を掻き分けて歩き出す。
(いや、そうじゃない。曽良君は先に行ってなんかいない……)
夢うつつに思い出す。
そうだった。
曽良はあのあと伊勢で体を治し、大垣まで迎えに来てくれたではないか。
再会できたときはうれしかった。でも、別れていたあいだに作った句を見せたら、風呂の焚き付けにされてしまったっけ。そんなことすら、今となっては懐かしく思える。
いまや記憶ははっきりしたものになった。
みちのくの旅路は何年も前に終わったこと。そのときの思い出をもとに紀行文を書いたこと。紀行文には曽良が良いと言った句しか載せさせてもらえなかった。曽良の作った句も、仕方がないのでいくつか載せてやった。
そして今、上方に向かう旅の途中で病に伏しているのは、自分自身だということ。
自分のたましいは衰弱した体を抜け出して秋の野にいるのだろうか。
「そうだ……これで良い。これで良いんだ。これが正しい順番だ」
誰の踏み跡もない枯野を進みながら、芭蕉はひとりごちた。弟子が師匠に先んじて良いはずがない。やっと、あの不遜な弟子も順序をわきまえたのだ。
小雪のような白萩の花を手のひらに受けて進む。
旅を終えて、江戸に帰ってからはわずらわしいことが多かった。人はとかく派閥を作りたがり、俳諧の世界もその例外ではなく、人間関係に悩まされることが多かった。
その度に、奥州の細い道々を、過ぎ去った時間を恋しく思った。弟子に蹴られたり、溺れかけたり、弟子に平手打ちされたり、悪いキノコにあたったり、弟子にあやうく国外追放されそうになったり、艱難辛苦の道のりだったが、この上なく自由だった。



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