風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/11(月) 00:20:59 ID:BsvOrjw30<> .   ___ ___  ___
  (_  _)(___)(___)      / ̄ ̄ヽ
  (_  _)(__  l (__  | ( ̄ ̄ ̄) | lフ ハ  }
     |__)    ノ_,ノ__ ノ_,ノ  ̄ ̄ ̄ ヽ_ノ,⊥∠、_
         l⌒LOO (  ★★) _l⌒L ┌'^┐l ロ | ロ |
   ∧_∧| __)( ̄ ̄ ̄ )(_,   _)フ 「 | ロ | ロ |
  ( ・∀・)、__)  ̄フ 厂  (_,ィ |  </LトJ_几l_几! in 801板
                  ̄       ̄
        ◎ Morara's Movie Shelf. ◎

モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。

   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |[]_||  |      | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ]_||
   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
   |[][][]._\______   ____________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |[]_|| / |/    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.||  |[]_||
    |[][][][][][][]//||  | ̄∧_∧     |[][][][][][][][].||  |  ̄
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ( ・∀・ ) _ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.||  |
   |[][][][][][][][]_|| / (    つ|8l|.|[][][][]_[][][]_.|| /
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    | | |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    (__)_)
前スレ
モララーのビデオ棚in801板47
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/801/1237834835/

ローカルルールの説明、およびテンプレは>>2-9のあたり

保管サイト(携帯可/お絵描き掲示板・うpろだ有)
http://morara.kazeki.net/
<>モララーのビデオ棚in801板48 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/11(月) 00:21:24 ID:BsvOrjw30<> ★モララーのビデオ棚in801板ローカルルール★

1.ノンジャンルの自作ネタ発表の場です。
書き込むネタはノンジャンル。SS・小ネタ・AAネタ等801ネタであれば何でもあり。

(1)長時間に及ぶスレ占拠防止のためリアルタイムでの書き込みは控え、
   あらかじめメモ帳等に書いた物をコピペで投下してください。
(2)第三者から見ての投下終了判断のため作品の前後に開始AAと終了AA(>>3-7辺り)を入れて下さい。
(3)作品のナンバリングは「タイトル1/9」〜「タイトル9/9」のように投下数の分数明記を推奨。
   また、複数の書き手による同ジャンルの作品判別のためサブタイトルを付けて頂くと助かります。

※シリーズ物・長編物の規制はありませんが、連投規制やスレ容量(500KB)を確認してスレを占拠しないようお願いします。
※感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬はほどほどに。
※「公共の場」である事を念頭にお互い譲り合いの精神を忘れずに。

相談・議論等は避難所の掲示板で
http://s.z-z.jp/?morara
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/11(月) 00:22:30 ID:BsvOrjw30<> 2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリー物であろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。

  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
  | いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
  \                           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . |
                               | | [][] PAUSE       | . |
                ∧_∧         | |                  | . |
          ┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ      | |                  | . |
          | |,,  (    つ◇       | |                  | . |
          | ||―(_ ┐┐―||        |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   |
          | ||   (__)_), ||       |  °°   ∞   ≡ ≡   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/11(月) 00:22:41 ID:BsvOrjw30<> 3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。

別に義務ではないけどね。

テンプレ1

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  モララーのビデオを見るモナ‥‥。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  きっと楽しんでもらえるよ。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/11(月) 00:22:52 ID:BsvOrjw30<> テンプレ2
          _________
       |┌───────┐|
       |│l> play.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
   ∧∧
   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   )
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |            ┌‐^──────────────
  └──────│たまにはみんなと一緒に見るよ
                └───────────────

          _________
       |┌───────┐|
       |│ロ stop.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]

                 ピッ ∧_∧
                ◇,,(∀・  ) ヤッパリ ヒトリデコソーリミルヨ
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |                                |
  └────────────────┘ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/11(月) 00:23:01 ID:BsvOrjw30<> テンプレ3
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < みんなで
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < ワイワイ
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 見るからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < やっぱり
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < この体勢は
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 無理があるからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/11(月) 00:23:11 ID:BsvOrjw30<> テンプレ4

携帯用区切りAA

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

中略

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

中略

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/11(月) 00:23:20 ID:BsvOrjw30<>  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも
 |
 | ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ
 | ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送
 | ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像
 | ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ
 | ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像
 | ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像
 | ・意味不明、出所不明な映像の切れ端
 \___  _____________________
       |/
     ∧_∧
 _ ( ・∀・ )
 |l8|と     つ◎
  ̄ | | |
    (__)_)
       |\
 / ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 媒体も
 | 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど
 | 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。
 \_________________________ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/11(月) 00:23:34 ID:BsvOrjw30<>    |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   じゃ、そろそろ楽しもうか。
   |[][][]__\______  _________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |       |/
    |[][][][][][][]//|| |  ∧_∧
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ )
   |[][][][][][][][]_||/(     )
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   | | |
              (__)_) <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/11(月) 15:57:10 ID:pWDdmkfIP<> 1乙です

過去ログを見て萌えた者ですが
「31番とド荒」の話をまたどなたか書いていただけないでしょうか <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/11(月) 20:08:17 ID:GfbrFeV70<> >>1乙です。ありがとうございます。さっそくお邪魔します。

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |   架空のすたっふ〜×テクノなおっさん師匠だモナー
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  ライブ最高だった記念うpだカラナ
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドマイナーダゴルァ!!
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 架空すたっふ〜×某師匠1/3<>sage<>2009/05/11(月) 20:09:12 ID:GfbrFeV70<> この薄暗いスタジオはどんな真夏日でもエアコンを着けない。
5月に入りそろそろ暑い日が増えてきたな。ああ、今年は涼しい夏だといいなぁ。
師匠は裾からまるでしっぽのようにアースをはみ出させ部屋の中をウロウロしていた。
「師匠!!おはようございます!!朝から放電ですか?」
「朝から、というならば。朝から疑問を投げかけてくるとは何事か。」
去年の夏は確か涼しくなる服とか着てたなぁ。師匠はほんと変なもの見つけるの得意だよなぁ。
師匠が俺の前を通ったのではみ出ているアースのしっぽを軽く引っ張ってみた。
クンッと引っ張られ止まる師匠。あれ、これ本当に繋がってんじゃないだろうなぁ
じろりと睨みつけられたのですぐにアースを離し、なるべくにっこり笑ってお手上げポーズをした。
「邪魔をするな。エネルギー過多で私が壊れたって直せないくせに。」
「エネルギー余ってるんですか?なら俺にわけてくださいよ。」
師匠は俺より結構年上なのに、フットワークが軽くて活発な人だ。
今日だって俺が来る前に変な形の自転車で20キロ走ってきたはずだ。あれ、目立つんだよな。
この間「私はそろそろ年齢不詳、財布不携帯ってイメージでいく」って言ってたんだけど、なかなか成功してる気がする。
自転車乗ってるとこ見てヤンキーが「うおーなんだあれかっけー」とか言ってたし。
「昨日の夜も遅くまでネカマしてたみたいですけど…変なメールとか来てませんか?」
あんまり変な遊びしてると変な事にならないか心配。でも師匠の方がその辺の若者より一枚も二枚も上手だろうなぁ。
「メールなんか知らない。今日は見てない。あいつがうぜーし」
「「うぜーし」って…」
仕事の誘いのメールがここのところ頻繁に来ていたみたい。
断っても断ってもメールしてくるらしい。しかも、ちょっと失礼な文面…。
その依頼というのがロリコンアニメのサントラなんだよなぁ…さすがに師匠のイメージじゃないよ。
「怒りでエネルギーが溜まってしょうがない。だから、放電。」
ツンと音でもしそうな顔で、また部屋をウロウロしはじめる師匠。
なるほどねー。
こんな時は、あれだなっ。
「師匠〜…お茶…淹れましょうか?」
「…ふっかーいの。」
「はーい!」 <> 架空すたっふ〜×某師匠2/3<>sage<>2009/05/11(月) 20:09:44 ID:GfbrFeV70<> 師匠は俺の淹れるお茶をおいしそうに飲んでくれるから好きだ〜。
最近じゃ師匠のためにお茶の淹れ方とか勉強しちゃってるし。
「はい、どうぞ。」
一通りウロウロしたらしい師匠がしっぽをつけたままソファに腰掛けていた。
ソファのひじかけに肘をつき頬づえをついている。ちょっと大きめのシャツから半分しか手が出ていない。
そういうたまに見せるかわいいとこ、師匠には言えないけど、俺、ちょっと好き…。
無表情でお茶をすする姿はおじさんなのに、袖がそんなだから困る。
「…私がなんで死にかけのキミをここに置くかわかるか。」
「あのー、すごく元気に毎日過ごしてますけど。」
ちょいちょいとお茶を指差す師匠。
「これ。」
わーい、褒められた。
お茶がおいしいって。つい笑顔になっちゃう。
「今日のは褒美くらいくれてやってもいい出来だな。」
「本当ですか!」
「放電させてやろうか。」
「俺はエネルギーそんなに余ってないんで…」
「じゃあ高級な猫缶でも買ってやろう。」
猫缶って言葉に反応したのか、どこからか入ってきたらしい野良猫が鳴いた。
「ノムラ。」
途端に優しい顔つきになる師匠。ちぇ、俺も猫だったらなぁ…
「何ですかその名前。」
「こいつ、前に一緒に仕事してた野村に似てるんだよ」
野村さんいいなぁ。…知らない人だけど。
いいなぁ。猫も野村さんも。
純粋に羨ましい。俺もそんな風に師匠の中に残ればいいなぁ。
俺が知る限り野村さんて人はいない。だからきっとだいぶ前に仕事してた人なんだ。
なのに未だ師匠の中に居るんだもんなぁ。野村さんが羨ましい。俺もいつかそんな風に… <> 架空すたっふ〜×某師匠3/3<>sage<>2009/05/11(月) 20:10:18 ID:GfbrFeV70<> 柔らかい顔でノムラの頭をちょんちょんと撫でている師匠はやっぱりどこかかわいい。
「師匠〜俺がいつか居なくなった時、俺に似てる猫が居たら、その時は俺の名前つけてくださいね。」
師匠が吹き出す。
本気だもん…。
「んじゃそれが褒美でいいか。」
「はい!絶対ですよ!」
「あんたが私の前からいなくなったらな。」
あれっ
「あ、駄目ですね。俺、師匠とずっと一緒に仕事したいからやっぱりこのご褒美貰えない方がいいです。」
また師匠が吹き出す。
笑うとなんか尖った歯が見えてかわいいんだよなぁ。
「キミの事は死にかけてるけどいいお茶を淹れる子として記憶しておこう。」
「元気ですってば」
でも、嬉しい。
師匠、これからもよろしくおねがいしまーす。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/11(月) 20:10:43 ID:GfbrFeV70<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ マイナーなのに以前感想を頂きまして
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) どうもありがとうございました。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/12(火) 00:17:03 ID:Cv6tvkryO<> >>15
まさか801板で師匠の名前を見るとは…
おっさん可愛いよおっさん <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/12(火) 00:36:38 ID:65iXj+Ye0<> >>15
つまんない <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/12(火) 00:43:11 ID:vwlnIWKzO<> >>15
うわーっ師匠ーっ!
可愛いっ、萌えました!
良いもの読ませて頂きました、ありがとうございます! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/12(火) 01:55:49 ID:E1wOJXs70<> >>15
まさか師匠が…ちょうかわいいっす! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/12(火) 02:18:49 ID:WJKNw2I70<> >>15
師匠!?あの師匠ですね!!
ここでお目にかかれるとは嬉しいっ
また書いてくださいね! <> ボカロ、KAITO×がくぽ 捨て犬のように 4<>sage<>2009/05/12(火) 09:00:12 ID:xT75WIPC0<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | 1乙です。前回は中途半端に終わったので続きを
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|KAITO頑張ってます。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
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<> ボカロ、KAITO×がくぽ 捨て犬のように 4-1<>sage<>2009/05/12(火) 09:01:17 ID:xT75WIPC0<> 「この乗り物は面白いのう、ゆらゆら揺れる」
「ブランコだよ。もっと大きくこぐからつかまってて」
ブランコにしがみつくがくぽの背を押すと、一段と大きく揺れた。それを何度か繰り返して、ずいぶん高いところまで揺れた。
あまりに高いので、がくぽの顔色が変わる。
こういうところが見てて面白い、とは本人には決していえない。
がくぽのしがみついているブランコに触れた時、一人の男が公園に入ってきた。
 なんとなしにその男を見たとき、KAITOが固まった。
「あっ、かいと、危ないぞ!」
と、反動で戻ってきたがくぽのブランコに頭が思いっきりぶつかり、痛みにのた打ち回った。
「KAITO!KAITOじゃないか!」
その聞きなれた声に、KAITOもおきあがって、まっすぐと見つめた。
ブランコがやっと停止したところで、がくぽは隣に立つ。
心なしかKAITOの表情は厳しい。
「かいと…?知り合いか?」
男は走りよってきて、KAITOの肩をがっしと掴んだ。
「KAITO、戻ってこねぇ?リンとレンだけじゃやっぱ寂しくてさー。あ、がくぽもいる!お前どうやってがくぽ見つけたんだ?欲しかったんだよねー、がくぽ。でも売り切れでさー。がくぽもうちこない?」
なんとなく嫌な感じがして、がくぽは視線をそらした。
戻ってこないかといっているあたり、KAITOの前のマスターなのだろうか。
「僕は今、違うマスターのボーカロイドです。貴方とは何の関係もありません。もうかかわらないでください。がくぽもマスターの大事なボーカロイドです。手は出さないでください」
「かいと」
KAITOからいつもの楽天的さがなく、その代わりぴりぴりとした雰囲気が、言葉とKAITOをまとっていた。
KAITOの代わりに何か言ってやろうとがくぽが前に出ようとするが、KAITOがそれを制した。
「がくぽは下がってて」
広い背中が、目の前に広がる。
意外だ、こういう時はとても頼りになるように見える。
KAITOは戻ってこいという元マスターの意見をのむ気はないようだ。
「なんでだよ、根に持ってんのか?追い出したこと」
「根に持ってないといえば嘘になります。でも今はがくぽと、マスターといることが大事なんです」
「…」
KAITOの不安が、がくぽに伝わる。
不安定だ。 <> ボカロ、KAITO×がくぽ 捨て犬のように 4-2<>sage<>2009/05/12(火) 09:01:55 ID:xT75WIPC0<> 元マスターに会えば、その時の楽しかったことも思い出すだろう、KAITOは今強く否定してがくぽを守ろうとしてるが、それは強がりだ。
わずかに震える指先に、がくぽは触れた。
「…」
KAITOは大丈夫だろうか。と、こちらからでは見えぬ顔を伺っていると、ぎゅう、と手を握り返してきた。
「…かいと」
「ん、あ、どうした?」
がくぽは出来る限りの平静を装うと、握られた手を引いて、歩きだした。
「行くぞ、つまらぬ」
「あ、ちょっと、KAITO、がくぽ」
一瞬、元マスターの顔を見る。
「そういう事ですから。リンとレンは僕と同じ目にあわせないで下さいね」
後に残された彼は、忌々しげに地面を蹴った。

帰り道、がくぽの手を握りながら、並んで歩く。
KAITOは空いている手でぽりぽりと頬を掻くと、嬉しそうな笑みを浮かべた。
「あのね、がくぽ」
「なんじゃ」
無愛想に返事をする。
「ありがとう」
「…なんじゃ、改まって。お主のためにした事ではないぞ。ただ」
その瞬間、がくぽはKAITOに抱き締められていた。
KAITOはがくぽの細い体を包むように抱き締める。
「ただ、ぺっとが…」
「ありがとう、がくぽ」
そういえば、ペットでした。と、KAITOは思ったが言わないことにした。
それよりも、がくぽがぶっきらぼうながら気にかけてくれるのが嬉しくて、思わず涙がでた。
ああ、ボーカロイドでも嬉しいと涙がでるんだな。
KAITOは涙をごまかすように、がくぽの胸に顔を埋めた。
「かいと…」
がくぽはKAITOの頭に手を添えると、口付けにならないように頬に頬を寄せた。

「ただいまー。お土産があるよー」 <> ボカロ、KAITO×がくぽ 捨て犬のように 4-3<>sage<>2009/05/12(火) 09:03:22 ID:xT75WIPC0<> マスターが九時ごろ、帰ってきた。
手には白い箱が一つ、甘い匂いが漂っている。
それにピンと来たKAITOが、がくぽを連れてマスターを出迎えた。
「あっ…もしかして、クリスマスケーキですか?」
「くりすますけーき?」
やはりがくぽは西洋のイベントごとには疎いようだ。とはいっても、KAITOも最初は何も知らなかった。
「あっ、流石KAITO、よくわかったね」
嬉しそうに笑ってケーキをKAITOに手渡すマスターに、ケーキを大事に受け取り、少し笑顔を作った。
「前のマスターに教えられました。この時期だったから、もしかして、と思いまして」
「そっかあ。…後で皆で食べような」
くしゃくしゃとKAITOの頭を撫でると、リビングでKAITOにテーブルの真ん中にケーキを置くように指示する。箱を開けると、小さなクリスマスケーキが姿を現した。
がくぽは珍しいものをみて、やけにはしゃいでいる。
部屋の電気が消されて、立てられた蝋燭に火がともされる。
二本の蝋燭に灯がともるのを確認すると、がくぽとKAITOに吹き消すように促した。
二人が吹き消すと部屋は真っ暗になり、再び明かりがついたとき、冷蔵庫からシャンパンをマスターは取り出し、皆のコップに注いだ。
「メリークリスマスー!」
「めりーくりすます?」
「あのね、がくぽ。今日ははめはずしていい日なんだよ。こうしてケーキを食べる日なんだ」
「けーきは…うわっ、甘い。でもこの赤い実は中々…」
どうやら甘いケーキはがくぽにとって苦手のようだ。だが苺は気に入ったらしく、不器用ながらフォークにさして食べると、KAITOの分もじーっと物欲しげに見つめている。
「あ、僕のも食べる?苺」
「欲しい」
KAITOがさくっとフォークで苺をさすと、がくぽの口元に持っていく。
それをぱくりと食べると、二人は笑いあった。
その様子を見て、マスターは、なんだか二人は昨日より仲良くなったんじゃないのかと思いつつ、ケーキを食べていた。

それから一週間たった。
仕事が入って、マスターは寒い中でかけていった。
懲りたのか、KAITOの前のマスターは公園に現われなかった。
いつものように、公園で遊ぶ。
相変わらず寒いが、がくぽは全然平気のようだった。 <> ボカロ、KAITO×がくぽ 捨て犬のように 4-4<>sage<>2009/05/12(火) 09:03:53 ID:xT75WIPC0<> 滑り台が怖くて滑れないというがくぽを膝に乗せて、KAITOは片手に抱いて滑り台を滑った。
「どう?」
「べ、別に怖くなんか…!」
「がくぽ、汗浮いてる」
KAITOがクスリと笑う。
「…お主は笑うといい顔をするな」
「がくぽは笑うと綺麗だ。そのままでも綺麗だけどね」
そのKAITOの言葉に、どくんと心臓が跳ねる。
嬉しい。
KAITOに誉められるのが。
がくぽが立ち上がる。滑り台から離れて、砂場で立ち尽くした。
KAITOも立ち上がる。
アンニュイな表情が綺麗で、KAITOはがくぽを抱き締めた。
「そんな表情してるとキスしちゃうよ」
その言葉が早いか、軽く唇が唇に押しあてられる。
「!」
嫌じゃ、ない。
がくぽは腕から逃れると、一人走って家路に着く。
KAITOも慌てて後を追った。
<> ボカロ、KAITO×がくぽ 捨て犬のように 4<>sage<>2009/05/12(火) 09:11:27 ID:gsLN/bgsO<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ まだつづきます
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
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<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/12(火) 13:47:40 ID:Mxtt8zzo0<> >>1乙です!
半生  某缶コーヒー「炎」のCMより

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース


<> 後輩×先輩 1/3<>sage<>2009/05/12(火) 13:49:00 ID:Mxtt8zzo0<>
プロジェクトチームのメンバーとして訪れた取引先から、夕方近くになって本社へ戻って来た俺と先輩は、社内の休憩所で少しの休息を取ることになった。
本社3階に位置する休憩所は思いのほか人が多く、同じように、僅かながらの安らぎを得ようとする先客で賑わっていた。
設置された数台の自販機の前で、先輩の奢りで缶コーヒーをご馳走になる。
傍目には何てことないサラリーマンのありふれた光景だけど、俺の心中はそうでもなかった。
まず、気不味い。
先輩と二人でいるってことが、とてつもなく今は気不味い。
それに、この先輩がまた、周囲の人目を惹くに相応しい容姿をしてるってことも、俺の気持ちを落ち着かなくさせる原因になっていた。
男から見ても整い過ぎてると思うほど端正な顔に、無造作そうにみえて完璧にカットされた柔らかな髪。 小さな頭に長い手足、そのうえ嫌味な高身長。 そんなスタイルを、センスの好いグレーのピンストライプのスーツで際立たせている。
取引先から戻って来る途中も、すれ違う人達が――――主に女性だけど――――必ずと言っていいほど先輩を見ていくのが分かった。 中には、わざわざ振り返って見送る人までいる。
なんでこんなに違うのか。 でもまあ、ここまでくると、返って嫉妬も羨ましさも通り過ぎるってもんだ。
先輩は、長い指で自販機に小銭を入れると、 何故かじっと目の前の電光表示を見つめている。
それから、ふいに、

「――――人からどう見えるか、ってそんなに重要?」

独り言みたいに低く呟いて、缶コーヒーのボタンを二度押した。
ガタン。 ガタン。
取り出し口に落ちてきた缶コーヒーの音が響く。
ところが、それを拾い上げないまま、先輩はこちらを向いて真っ直ぐに俺の顔を見た。
涼しげな表情を全く変えることなく、ただ静かに俺の方を見ている。
……俺はまた、何も答えられない。
いや、答えるのが怖い、ってのが本当のところか。
今の先輩の問い掛けには、おそらく、昨夜の出来事への分も含まれているからだ。
<> 後輩×先輩 2/3<>sage<>2009/05/12(火) 13:49:29 ID:Mxtt8zzo0<>
そう、俺は昨夜、先輩から告白された。
もう深夜近くの、薄暗くなった殺風景な部署のフロアで。 今日の取引先への交渉準備に追われて、残業して、気が付いたら俺と先輩だけになっていた、静まり返ったフロアで。
唐突に、そして、呆れるほど淡々と。
当然、俺は、その場では何も答えられなかった。 完全に思考がフリーズしていた。
だいたい、なんで俺なんですか。
先輩だったら、社内だろうが社外だろうが、オンナなんて選り取りみどりでしょ?
本社の出世頭だし、今回のプロジェクトだって最高責任者だし。
どうしてよりによって、頑丈なだけが取り得の、男の俺なんですか。
おかしいでしょ、普通? そんなの、馬鹿げてるでしょ?
俺なんかと、その、仮にもそういう関係になったなんて知れたら、先輩の評判ガタ落ちだし、出世も棒に振るし、多分、会社にもいられなくなるだろうし。
そこまでのリスクを背負う相手じゃないでしょ、俺は。
そんな混乱した気持ちだけ、しどろもどろに話した記憶はあるけど、正直、良く憶えていない。
……でも、まあ、こんな風にグダグダと自分に言い訳考えてること自体、もう本心では、相手の想いを受け入れたいってことの裏返しなんだろう。
過剰に慌ててしまったのは、俺の気持ちに気が付かれたんじゃないかって、内心、後ろめたさもあったからだ。
憧れや尊敬なんていう漠然とした想いは、とっくの昔に個人的な特別の感情に変わっていた。
俺より年上で、俺より全然格好良くて、俺より断然仕事もできて。
それなのに、この人を可愛いと感じてしまう自分がいた。 どこか他人と距離を置いて、孤軍奮闘するこの人を、傍で守りたい、抱きしめたいと思ってしまう自分が、確かに、いる。
でも、それを認めたくなくて。
結局、俺には、そんな度胸も思い切りもないし、世間体に対するごく一般的な遠慮ってモンも持ち合わせてる。
こんな俺に、応えられるはずがない。
<> 後輩×先輩 3/3<>sage<>2009/05/12(火) 13:51:14 ID:Mxtt8zzo0<>
しばらくして、先輩は、取り出し口に落ちてきた二本の缶コーヒーを、優雅に身を屈めて手に取った。 その内の一本のプルトップを上げて一口飲んでから、もう一本を俺に差し出す。

「ほら」
「…ぁあ、すいません」

ぎこちなく言って、缶コーヒーを受け取ろうと少し身を乗り出した。
瞬間。
視界が急に暗くなって、妙に先輩の身体が近いなってぼんやり思って、何だか好い匂いに包まれて。
唇には、柔らかく濡れた感触。
そして微かに舌に残った、コーヒーの味。
何が起こったのか分からない俺は、ただ馬鹿みたいに硬直して目を見開いていた。
その一瞬だけ、まるで耳が聞こえなくなったように、さっきまで騒がしかったはずの周囲の喧騒さえも完全に消えた。
先輩の顔が離れていく間、伏せられた長い睫毛が作る影や、開いた唇から微かに覗く真っ白な歯まで、ほとんどスローモーションみたいに全てが鮮明に見える。
先輩は、形の良い薄い唇に軽く微笑みを浮かべると、

「――――生憎、俺は、人からどう見えたって全く気にならない」

何事もなかったように言い切って、また缶コーヒーを旨そうに飲んでいる。
<> 後輩×先輩 4/3<>sage<>2009/05/12(火) 13:51:53 ID:Mxtt8zzo0<>
それから、あまりの出来事に処理不能を起こしている俺の様子に気が付いたのか、今度は、ククッと堪らず笑い声を漏らした。

「…って言っても、今、ここには俺とお前しかいないけどな」

途端に思考が回復した俺は、慌てて周囲を見回した。
既に随分前から、休憩所には、俺と先輩のほか誰もいなくなっていたらしい。
…あぁ、良かった。
あくまでも平凡な一般人の俺には、当然のように安堵の念が沸き起こる。
だって仕方ないでしょう。 俺は先輩みたいに肝が据わってるわけでも、自分に確たる自信があるわけでもないんだから。
分かりやすく安心した表情を浮かべた俺を見て、珍しく、先輩が心底面白そうに笑ってる。
細められた瞳も、その目尻に刻まれた笑い皺も、口元から覗く八重歯も、なんでそんなに可愛いんだよ、ちくしょー。
もの凄く可愛くて、だから余計に腹が立つ。
まったく、この人は…。
意地の悪い口を塞いでやりたくなって、考えるより先に、俺は、先輩の腕を取って力強く引き寄せていた。

<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/12(火) 13:52:37 ID:Mxtt8zzo0<>
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

すみません、最後ナンバリングをミスりました…


<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/12(火) 14:58:57 ID:WH1x/DdEQ<> 生




一角獣唄鍵盤。
前回「ツンデレ?」の続編。色々有って、一回離れてると設定しとります。話し方とかはまたしてもイメージorz
デレてる鍵盤の理由とは…?と妄想してみた。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/12(火) 14:59:51 ID:WH1x/DdEQ<> 昨日、メールを送った。単純な様で色々な思いを込めた言葉の羅列。返事は今日の同室が誰かで解る。夕ミ才では無い誰かが入ってきたら……俺の想いは届かなかったって事だ。
…ドアの開く音。……入ってきただけで誰か解る。ドキドキしてるのを気取られ無いように、平静を装う。手に汗かいてるのをこっそりデニムでふいた。振り返って、普通通りの顔をしてる夕ミ才に声をかけた。
……あ、久しぶり
「久しぶりって」
夕ミ才が笑う。
「ここんとこ、毎日会ってるだろ」
ま、ね……でもさ、意味がちょーっと違うでしょ
「……まあ、そうだけどよ」
俺が座ってるソファーの横に座る夕ミ才……なんだか緊張する……なんでだ。
「……緊張してるだろ」
なんで解るんだよ。
敵わねえな……
「何時から見てると思ってんだよ」
……だよな
「だろ?」
うん……ちょ!夕ミ才!
「え?こう言う意味じゃねえの」
いきなり抱き寄せるなよ!動揺するじゃん。夕ミ才は笑いながら手を離す。距離を元に戻しながら夕ミ才と話しを続ける。
「違うのか?」
……違わないけどさ
「じゃあさ、メールの内容、も一回お前の口から聞きたいな」
っ!夕ミ才!
「んだよ、恥ずかしいのかよ」
当たり前だろ!
「言わないんだったら、帰るぞ、俺」
う……お前
夕ミ才はニヤニヤ笑う。
「ほらー、言わないのかよ?」
……聞きたいのか
「そりゃーそうだろ」 <> デレの理由2/5<>sage<>2009/05/12(火) 15:00:48 ID:WH1x/DdEQ<> 悪趣味だ……そんな嬉しそうな顔してこっちをみるなよ。恥ずかしくなる。
……夕ミ才の事……
「うんうん」
何だよ、その相槌。……ま、いいや。
「続きはー?」
す……き……だから元の関係に戻りたいです
「最初が聞こえなーい」
うわ、ムカツク
「阿倍、言わないのか?」
う……解ったよ、やっぱり好きなんだ、夕ミ才の事
「うん、俺も好き」
……あっさりしてるなあ、夕ミ才
「んー言われるの待ってたし」
えっ?
「ずーっと好きでいたからな、俺は阿倍の事」
……夕ミ才
「…………やっと言えた…………長かった」
……ありがとう、待っててくれて
「ん?別に……勝手に待ってただけだし」
……ごめん
「謝んのやめろ、別に謝られたい訳じゃない」
うん
「キスしていいか?」
うん……って言うか聞くな
「すまん」
抱き寄せられて、キスされる。舌が唇を割って入ってきた。
「っ……ふぅ……ん」
唇が離れる。
「好きだ」
俺も
「うん」 <> デレの理由3/5<>sage<>2009/05/12(火) 15:01:31 ID:WH1x/DdEQ<> 夕ミ才が俺の顔を覗き込んだ。
「疲れてんのか?」
うーん、まあね
「……無茶すんなよ」
なんで解るかな……年月の長さかね。
「阿倍……俺にならいくら甘えてくれて構わんからな?」
え?
「お前の事だから、色々一人で考えるんだろ?」
……何が言いたい?
「いや、だから……疲れたら俺のところで……」
……慌ててる夕ミ才。自分が意味を取り違えていた事に気付いたぞ。どうするか……ええい、キスしてしまえ。唇が離れてから夕ミ才が戸惑い気味に名前を呼んだ。
「……阿倍」
ありがと、夕ミ才……遠慮なく甘えさせて貰うよ
「……うん」
夕ミ才は俺を優しく抱きしめた。耳元で囁く夕ミ才の声は限りなく優しい。
「ベッド行こうぜ」
言ってる事は……どうなんだろうな?
「阿倍?」
ああ……うん
「乗り気じゃねえな?」
いや、そう言うことじゃないよ
「んじゃなんで?」
……かなり言うのは恥ずかしい。解っているのか、いないのか……。
「おーい、どうした」
…………久しぶりなんだよ
「え?」
だーかーらー、久しぶりなんだっつーの! <> デレの理由4/5<>sage<>2009/05/12(火) 15:02:15 ID:WH1x/DdEQ<> 「……マジ?」
マジ!
「本当に……?」
夕ミ才の顔がにやけてる。解りやすいなー。
嘘な訳ないだろーが
「あ、ああ……だよな」
……お前だけだから
「えっ?」
俺が……欲しいのは……夕ミ才だけ……だから
「…………うん」
なんでここまで言っちゃってんの、俺。でも、幸せそうな夕ミ才の笑顔を見て、つい俺も笑顔になった。何となく手を繋いでベッドまで歩く。若い頃はこんな事してない。……時間無駄にしたかな。ベッドに押し倒されて、夕ミ才の顔が真正面に見える。
「阿倍…………やさし……」
途中まで言いかけて、夕ミ才は顔を逸らして吹き出した。がらじゃねえと呟いて笑う。
夕ミ才……笑いすぎ
「いや、すまん」
いいけどさ…………優しくしてくれよ
「……おう」
……俺もがらじゃない。顔を逸らしてクククと笑う俺の頬に、夕ミ才はキスを落とす。……身体が熱い。
「阿倍……抱くからな」
低い声で囁かれる。頷いた俺の首筋に夕ミ才の唇がおりた。 <> デレの理由5/5<>sage<>2009/05/12(火) 15:05:44 ID:WH1x/DdEQ<> ……つ、疲れた
「……同じく」
二人して呟いて笑いあう。夕ミ才が時計を見て崩れ落ちた。
「うわ!もうこんな時間かよ」
え、何時?
俺の声に夕ミ才は怠そうに答える。
「朝方」
うそ?!って言うか何時間してた訳?
「聞くな」
渋い顔の夕ミ才が独り言。
「……寝ない方がいいか……?」
……大体時間の予想がついたぞ。あと2、3時間後には起きなきゃいけない時間……でもなあ、寝ないとやばいよな。明日も忙しい。
……寝よう、夕ミ才、寝ないとまずいだろ……少しでもさ
「……んー、まあな……そうだけど」
内心、少し寝坊してもネタにされるだけって思ってる。夕ミ才はそうは思ってないだろうけど。
「…………寝るか」
うん……一緒に寝よう、夕ミ才
「……お、おう……甘えてるな……阿倍」
甘えていいって言ってたじゃん
「まあ、そうだ」
煮え切らないなー
「い、いや昔はさ……」
昔は昔、今は今だろ
「んーそうだけどよ」
今で言うとツンデレ?だよな、昔の俺
「だな」
時間の無駄だからツンはしません
夕ミ才が吹き出した。
「時間の無駄って、お前」
だってそうだろ、無駄だよ……時間は限られるんだから
「…………だな」
夕ミ才の表情が何だか、年相応に見えた。色々な経験をしてきた、大人の男。今、俺は夕ミ才の隣にいる。……ゆっくりと深い呼吸を繰り返し……少しずつ意識が遠退いていく。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/12(火) 15:07:03 ID:WH1x/DdEQ<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
時間が限られるってのは、昔みたいに独り身では無いって意味と、仕事上の意味(ソ口活動)をかけてみたり…。
ちなみに鍵盤イメージは茶髪でお願いします。金髪は動いてるの見てないからイマイチイメージがわかないorz
しかも、一番目タイトルつけわすれorz <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/12(火) 17:50:34 ID:SqpR3NWs0<> >>32
CMが咄嗟に頭に浮かばなかったんだけど、それでも萌えたわ
GJでした! <> 黒子のバスケ 黄瀬×笠松 『いざよいのつき』 始<>sage<>2009/05/12(火) 18:31:11 ID:3He2tWZOO<> 漫画『黒子のバスケ』より黄瀬×笠松。

・黄瀬一人称
・甘いです
・ほぼエロです
・規制されたら申し訳ない

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
<> 黒子 『いざよいのつき』 1/12<>sage<>2009/05/12(火) 18:33:43 ID:3He2tWZOO<> すう、すう。

穏やかな、心地良さそうな寝息が聞こえる。
満月みたいに眩しい月の光が、カーテンの隙間からオレの部屋に差し込んでる。

幸男さん、とまだ本人の前じゃ恥ずかしくて呼べない名前をささやいて、
そっと短い黒髪をすいてあげれば。
ほう、と口元をほころばせて擦り寄ってきてくれる。
熟睡してるはずなのに、オレの心をときめかせてやまないいとしい人。
このままいつくしんでいたいのも、本当だけど…

「これじゃ、生殺しっスよ…」
はぁ、とため息をついて、オレはひざの上ですやすや眠る先輩を見下ろした。

明日はIH予選の間にある、貴重なオフ。
だから先輩を誘って、誰もいないオレの家で一日ずっと過ごそうと考えた。
先輩もうなずいてくれて、もう今日はワクワクして時間が過ぎるのを待ってた。
部活中に、うわついてんじゃねぇ!と飛び蹴りくらったけど…
先輩の耳がちょっぴり赤くなってんの、しっかり見たっスよ!

…やっと部活が終われば、ぱぱっとシャワー浴びて。着替えるのもそうそうに、一緒にオレの家へ。
ご飯食べて、二人並んでベッドにもたれかかって、たまたまやってた映画を見てたら…

いつのまにか先輩は寝てた。
ふらふら揺れる頭が危なっかしくて、そっと肩に寄りかからせたまではよかったんだけど。
そのままオレのひざの上に寝転がるなんて思わなかったっスよ、先輩!
<> 黒子 『いざよいのつき』 2/12<>sage<>2009/05/12(火) 18:37:15 ID:3He2tWZOO<> 深い眠りに落ちてる寝顔は、もともとの童顔に拍車がかかっていて。
いつもつり上がってる眉は穏やかに凪ぎ、
猫を思わせる大きな目はふわりと閉じられ、意外に長くて濃い睫毛にふちどられてる。
部員みんなに檄を飛ばすその口元も、今は少しだけ開かれて、あどけない寝息をこぼすだけ。
…うん、つまり、めっちゃ可愛いんスよ!

最初は、そんな先輩を甘やかせるのがすっごくうれしかったけど…
寝顔見てるうちに、なんだかムラムラしてきちゃって。
もともとそういうコトする気で先輩を誘ったし、多分先輩もわかっててうなずいてくれたんだ。
正直、今すぐにでもしたい。…でも、こんなに気持ち良さそうに寝てる先輩を起こすなんてできない。

そうやって悶々としてるうちに夜は更けて、月の光が強さを増す。
同じくらい強まったオレの本能を必死に抑えつけてたそのとき。
ぱちり、と伏せられてた先輩の目が開いた。

「んぅ…?きせ?」
くし、とあどけない手付きでこすられる、寝起きでとろんとした先輩の瞳がオレを見上げてくる。

…もう、我慢できないっス!
本能に急かされるままに、オレは一回り小さな先輩をきつく抱き締めた。

「き、黄瀬!?なにす、んっ!」
オレの暴挙にとまどうその口を、構わずふさいでしまう。
…ああ、柔らかい。すっごく甘く感じる。
「ん、んむうっ!?」
鼻にかかったその声もいいっスよ。でも…
<> 黒子 『いざよいのつき』 3/12<>sage<>2009/05/12(火) 18:39:25 ID:3He2tWZOO<> 「んんーっ!ふぁっ!」 ちろちろと舌先をうごめかせれば、たちまち先輩は高い声をあげる。
オレしか聞けない声。オレ以外の誰にだって聞かせたくないその可愛い声。
マジ、たまらない。

舌と舌を絡め合わせて、強く吸ってあげれば、びくびく波打つ先輩の肩。
薄目を開けて様子をうかがえば、彼の目尻にはきらきらしたのが滲んでて。
ボロボロになった理性が「止まれ」って訴えてくるけど…
ムリ。余計煽られるっつーの!
もうめちゃくちゃに、先輩の口内を犯す。

「ん、むっ、ふぁ…」
漏れでる声と水音が本能に熱を注ぐ中、なるべく優しく涙をぬぐってあげた。
そしたら、こわばってる体から少しだけ力が抜けて。
まだまだ先輩を味わってたいけど、さすがにこっちも息が持たない。

「「ぷはっ!」」
唇を離せば、先輩は顔を真っ赤にしてぜえぜえと息を付いてる。
「はぁ、はぁ、テメー、いきなり、何、すっ」
必死に呼吸しながらオレを見上げてくるその瞳は、やっぱり涙でキラキラしてて。
思わずその涙にくちづけてしまった。
びくりと跳ねるその顔をつかまえて、額や頬にたくさんキスを落としながらささやきかける。

「スイマセン、オレもう止まれません」
「オイ、黄瀬…!」
眉をつり上げる先輩の唇に、今度は触れるだけのキスを。
<> 黒子 『いざよいのつき』 4/12<>sage<>2009/05/12(火) 18:42:07 ID:3He2tWZOO<> 「だって…もう何時間も笠松先輩の寝顔見てたんスよ?
寝言で『きせ』なんて呼ばれたり、猫みたいに擦り寄ってこられたり。
何度も襲いたくなったんスよ?でも、超我慢して。
…もうこれ以上、自分を抑えられないっス!」
言い終わると同時に、月明かりに浮かぶ首筋に吸い付く。

「ひゃあっ!」
…もっとオレに、その声聞かせてください。
跡がつくかつかないか、ギリギリの強さで吸い上げる。
つけたくてしょうがないけど、それやっちゃうとしばらくお預けだしなぁ。我慢我慢!
衝動のままに動きたがる手をどうにかなだめて、なるべくこっそりとワイシャツのボタンを外してく。
次第にあらわになる、先輩の体。そっと胸板に手を這わせれば、
「あっ!」と声が跳ね上がる。
いきなり素肌に触られたら、そりゃびっくりしますよね?
思い通りの反応によろこびつつ、立ち上がりかけた飾りに手を伸ばす。

「っ!」
必死に口を塞いでる先輩の背中が、弓なりにのけぞった。
赤く色づいて固くなった飾りを、
指先でそっと撫でたり
ぎゅっと押しつぶしたり
つまみ上げて指の間で転がしたり。
そのたびにびくびく震える肢体が、もう愛しくてたまらない!
もっと乱れてほしくて、散々指でいじめたそこにちゅっと口づける。

「ふ、んうっ!」
塞がれた口元から、押さえきれずに漏れ出る吐息に興奮しつつ、
空いた右手を先輩の下半身に伸ばした。
<> 黒子 『いざよいのつき』 5/12<>sage<>2009/05/12(火) 18:44:52 ID:3He2tWZOO<> 服の上から膨らみかけたそこを、指でつーっ、となぞればいやらしく腰が揺れる。

「もうこんなにしちゃって、センパイ」
耳に触れるか触れないかの近さでささやいてあげる。
とたんにキッ、とにらみつけられたけど…
そんなに瞳潤ませて、顔赤くしてちゃ逆効果っスよ!

優しいキスを額に送って、
「ふふ、可愛いっスね、センパイ」
オレの言葉に、凛々しい眉が跳ねあがる。

「ッ!何言ってんだ黄瀬!」
口を塞いでた両手を外して、先輩がかみついてきた。
お、ラッキー! 素早くその両手を捕まえて、頭上で一まとめにする。
しまった、って顔しても遅いっスよ。
振りほどこうとしてるけど…腕力はオレのが上回ってますから。

「これでもう、声押さえられないスね。恥ずかしがらないで、声聞かせて?」
焦りと快感が混じった焦げ茶色の瞳を覗き込んでおねだりしつつ、
邪魔な服を緩めた右手を直に滑りこませた。

「ひゃあん!っやあ!」
キスした時よりも色っぽい声が、月明かりの下で響く。
うわすっげ、もう濡れてる!
わざとぐちゃぐちゃ水音立てて、先輩のを扱きたてる。

「あんっ、やっ黄瀬、黄瀬ぇ!」
ひっきりなしに声をあげて、過ぎた快楽から逃れるように首を振ってる。
<> 黒子 『いざよいのつき』 6/12<>sage<>2009/05/12(火) 18:48:08 ID:3He2tWZOO<> 扱きたてる程、先輩の汗ばんだ肢体はくたりと力を抜いて。
あんなにじたばたしてた両腕も、すっかりおとなしくなってる。
…これなら、もういいっスね。
そう一人ごちて、離した左手で先輩の下半身から服を引きずり落とす。

「ひっ!」
空気に晒された先輩のが、雫をこぼしてふるふる揺れる。
その先端を指先で優しくいじめながら、ベッドの下から必要な品々を取り出す。
こっちをぼうっと見つめてくる、熱に浮かされた大きな瞳に笑いかけて、
先走りでどろどろの右手に冷たくトロッとした液体を空けた。

「ふぁ、あ、ァ」
くちゅくちゅと後ろの縁をなぞれば、力ない喘ぎがオレの耳に届く。
前も左手と舌で愛撫してあげれば、後ろは徐々に緩みはじめた。
「指、入れるっスよ」
だらだらと液体をこぼしてる先輩のに舌を這わせてささやけば、

「あ、う」
ひくひくと腰を震わせつつ、こくっとうなずく真っ赤な顔。
その可愛らしい仕草に頬がゆるむのを止められないまま、つぷりと人差し指を侵入させる。
とたんに強ばる先輩の体。

「つう、キツいっスよ…怖がらないで?」
なだめながらも、前への責めを強める。
裏筋を舐め上げて、そのまま先輩のを口に含んだ。
「っひゃ、くぅっ!」
それと同時に中をゆっくりゆっくりかき回してあげれば、
「やぁ、あぁ、やめ!」 先輩の喘ぎは艶を増して。
<> 黒子 『いざよいのつき』 7/12<>sage<>2009/05/12(火) 18:50:55 ID:3He2tWZOO<> 熱く締め付けてくる肉壁をくちゅくちゅとひっかいてみたり、
じゅぷじゅぷとちょっと乱暴に抜き差ししてみたり。
「ふっ、ふああっ、黄瀬!」
感じすぎて怖いのかな、先輩の腰が逃げていく。

「ダメっスよー、逃げちゃ」
「あぁ、やぁっ!」
そろりと左手を這わせれば、それにさえ声をあげて反応してるのが可愛いくて。
ひたすらに前と後ろをいじめ続ければ、力なくオレの髪にかかる彼の手。
いつも綺麗なスリーポイントシュートを決めるその手は、がくがく震えていて。

「黄、瀬。やだ、りょうほう、やだぁ…」
真珠みたいな大粒の涙が、熱に浮かされた瞳からぽろぽろと零れ落ちてる。
「ヤじゃないでしょ、センパイ。嘘ついちゃダメっスよ?」
はりつめたソレにわざと息を吹きかけながらたしなめれば、
先輩の指が弱々しくオレの髪をつかむ。

「うぁ、いき、やめ…!」
細い腰ががくがく揺れる。
「こんな腰揺らして、前も後ろもヒクヒクさせて…気持ちイイんスよね?」
けだものじみた低い声で語りかける。…ああ、多分オレの目、今すげえギラギラしてる。
「イイって言ってくれなきゃ…イカせてあげないっス」
先輩はびくっと身動ぎして、いやいやと首を振るけど。
「…そうスか。じゃあ、」

動かしてた両手をぴたりと止めて、
「このままでもいいっスね?」
薄く笑んで呟けば、しなやかな肢体をくねらせて先輩はひとすじ涙を流した。
<> 黒子 『いざよいのつき』 8/12<>sage<>2009/05/12(火) 18:53:32 ID:3He2tWZOO<> 「あぁ、うぅ、ひぁ、黄、瀬、ぇ…!」
いつもの姿と全然ちがう、月光に映えて白く浮かび上がる先輩の媚態。
正直見てるだけでイっちまいそうだけど…もっともっと乱れてください!

「ホラ、センパイ。『気持ちイイ』って言って?」
紅く色づいた耳をもてあそびながら、けだものじみた熱にのせてささやく。
「そしたら…もっともっとヨくしてあげるっスよ」
焦らされて歪んでいた先輩の顔が、ゆっくりこちらを向いた。

「ホント、か?」
涙に濡れた瞳が、オレを見上げてくる。
だから猛りたてる熱を無理やり殺して、いつも通りの笑顔で答えた。
「ええ、ホントです」
オレにすがってくれる先輩なんて…すごくすごく貴重だから。

そしたら先輩は、ふわっと笑って
「黄瀬、…いい、気持ちイイっ」
安心したように、オレのワイシャツに力なく手をかけて、欲しかった言葉をくれる。
その瞬間、押し込めてた獣の熱情が激しくオレを突き動かした。

「ひぁ、ぁうっ、黄瀬、きせ!」
二本の指で熱くとろけた肉壁を蹂躙すると共に、今にも弾けそうな先輩のを擦り上げる。
「あ、イイ、イイっ!」
素直に快感を訴えるそのぷくりとした唇が愛しくて。かみつくように塞いであげる。
<> 黒子 『いざよいのつき』 9/12<>sage<>2009/05/12(火) 18:55:49 ID:3He2tWZOO<> 「んん、ん!ふぁ!」
艶やかな喘ぎと獣の荒い吐息がオレたちの口内で溶けて一つになって。
二本の指で奥のイイ所を荒々しく突いた瞬間。
弓なりになってのけぞり、オレの首をかき抱いて先輩はイった。

口内をふるわせた甘い嬌声の後味を楽しみつつ唇を離せば、
快感にぼうっと蕩ける先輩の表情。
そのまま突っ込みたがる欲望が、早く早くとせかしてくる。
…ああ、でも、後でこの人が辛いのは嫌だ。
ローションと一緒に出しておいたゴムのパッケージを歯で破り、
オレ自身に着けようと後ろを向いたその時。

ぱしっ。

いつもよりも弱い、馴染んだ衝撃が肩に降ってきた。
思わず振り向けば、力抜けてるはずの体を無理やり起こして、先輩がオレを見つめてくる。

「こっち、向けよ…!オレを、みてろっ!」
さっきまで蕩けきっていたはずの瞳は、僅かだけどいつものきらめきを取り戻してて。
知らず息を飲んだ瞬間、つまんでたゴムを取り上げられてしまった。
「あ、え、先輩!?」
戸惑う俺に、いたずらっぽい笑みを浮かべて先輩が言う。
「ほら、つけてやるよ」

心臓が飛び出るかと思った。
<> 黒子 『いざよいのつき』 10/12<>sage<>2009/05/12(火) 18:59:14 ID:3He2tWZOO<> 「え、え…」
「あーもー、んなマヌケな顔してんじゃねー」
先輩の体が、オレの足の間に入り込んできた。
うわ、やば、めっちゃエロいよ、これ!!

「…やっぱ、デケぇな」
いきり立ってるオレのを、先輩のきらっとした瞳が見つめてくる。
からからな筈のオレの喉が、ごくっと鳴る。
…なにこれ、見られてるだけなのに興奮する。そうぐるぐるしたオレの思考をよそに、
先輩はそっとオレ自身に手を伸ばした。

「っ、すっげえ熱っちい」
ああもう、腰がひくつくのをこらえるのが精一杯っスよ!
思いっきり奥歯をかみしめて、心中でそう叫ぶ。
そんなオレに気づくことなく、先輩の両手はそろそろとゴムを降ろしてく。

声を漏らしそうな口を強く塞いで、オレは目を反らせずに一部始終を見てた。

「…ふうっ、終わったぜ」
息を付いて顔を上げた先輩の、どこか恥ずかしそうなその表情に。

ぶちっ、とわずかに残ってた理性が切れる音がした。
<> 黒子 『いざよいのつき』 11/12<>sage<>2009/05/12(火) 19:01:59 ID:3He2tWZOO<> 一気に先輩を抱き上げる。

「うおっ!?」
慌てる声が脳内をかすめるのにも構わず、オレは再び愛しい肢体をカーペットの上へねじ伏せる。
「笠松さん、かさまつさんっ…!」
ただひたすらに名前を呼びながら、熱くとろけたソコを一気に貫いた。

「ひゃああんっ!アッ、きせぇっ!」
のけぞった喉からほとばしる、艶めいた悲鳴がオレの中の獣を駆り立てて。
「っ、かさまつ、さんっ、すっげ、イイっス!」
いつもはハイソックスに包まれてる両足を肩に担ぎ上げて、奥までガツガツ先輩を犯す。

「ア、ぁ、きせ、は、はげしいっ!」
オレの背中に腕を回して喘先輩の眉は、苦しそうにひそめられてる。
でもその下で潤んで光る瞳は、確かに悦んでて。

「でも、感じてる、でしょ!」
熱い吐息まじりの声と共に、先輩の弱いトコを深く突いてあげる。
「アアアアッ!きせ、あ、そこおっ!」
いやらしく乱れる肢体を見てたら、爪がぎりりと食い込む痛みなんて気にならない。
<> 黒子 『いざよいのつき』 12/12<>sage<>2009/05/12(火) 19:05:07 ID:3He2tWZOO<> 「かさまつさん、好き、すきですっ!」
ねっとりと絡み付いてくる感触に、
今にも放ってしまいそうなのを堪えて叫ぶ。

「ンうっ、きせ、オレも、っあ、すきだっ!」
ぐちゅぐちゅと鳴る水音の中、
閉じることを忘れてしまったような口から飛び出す、甘く愛しい叫び。
衝動的に口づければ、最奥に突き込んだオレ自身が、
蕩けた肉壁にきつく締めつけられて。

「くっ、かさまつさんっ!」
「ア、きせ、きせぇーっ!」

月光にまたたく銀の糸でつながった唇で呼び合いながら、
オレたちは同時に熱を吐き出した。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/12(火) 19:58:07 ID:kDcc8YVYO<> >>27
GJGJGJ!!!自分だけ萌えてるんだとばっかり…先輩可愛いよ先輩 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/12(火) 20:18:03 ID:iP7f25Id0<> こっちがどんどん進んでる中、アレなんだけど
短い話は前スレに投下する方がいいんじゃないの? <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/13(水) 22:25:43 ID:L4tlAhhcO<> 前スレの丹タ刊なお話の別視点です。
前作の感想、ありがとうございました。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
<> うつつ/ゆめ 1/2<>sage<>2009/05/13(水) 22:29:19 ID:L4tlAhhcO<> 夢をみた。
やけにリアルだったが、目覚めるとやはり片方の足首はしっかりと固定されている。

望んでいた世界から引き戻されたと気づいて、ひどく気落ちする。
カーテンの隙間からは街灯の光が射し込んでいた。

今何時だろう、と枕元の携帯を取る。
開けた時、ふと夢で見た笑顔を思い出した。

自動的に親指が動く。最後に通話ボタンを、押す。
その番号が点滅した瞬間、強く携.帯を閉じた。

…何をしているんだ。
というかこんな夜中の着信なんて、おかしいと思われるに違いない。 <> うつつ/ゆめ 2/2<>sage<>2009/05/13(水) 22:32:34 ID:L4tlAhhcO<> 恐らく当の本人は今夢の中だろうが。
…仕方ない。寝惚けていた事にしておこう。そうだ、自分はまだ寝惚けているんだ。

携.帯を放って、もう一度目を閉じた。
再び夢をみるのだろうか。
夢で聞いた彼の言葉を思い出す。

例えまた悪い目覚めだとしても、もう一度、みれると良い。
脳裏に浮かぶ、自分のいるべき場所。

自分を呼ぶ何か。
手に触れる。
耳元で、聞きたかった声が聞こえた。

あの時言えなかった言葉を
今度はちゃんと。

<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/13(水) 22:36:47 ID:L4tlAhhcO<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

て、もう片方の人まで!(焦)
気を付けて…。 <> 法律擬人化<>sage<>2009/05/14(木) 06:12:56 ID:F1fhmE77O<> 法律擬人化で会社法×商法です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> 法律擬人化 1/13<>sage<>2009/05/14(木) 06:15:22 ID:F1fhmE77O<> 商法の実家は江戸時代から続く呉服問屋で、その古めかしく厳つい門構えを目の前にすると、会社法は未だに中に入るのを躊躇ってしまう。
結局、商法が見慣れた麻の単姿で敷石を走って出迎えに来てくれるまで馬鹿のように突っ立って待つことになった。
幼い頃も、いつもこうして商法のことを待っていた気がする。彼は昔から優しく、会社法は今よりずいぶん気弱だった。
「ごめんなあ。ちょっとごたごたしてたもんやから、遅くなってしもた」
目に掛かった髪を手で避けながら、商法は本当に申し訳なさそうに言った。
「いや、おれが突然押し掛けたんだから、都合悪かったら出直そうか」
「そんなん……僕が空港まで迎えに行くのがほんまやったのに」
「帰国の予定日、もっと早く教えれば良かったな」
小さく首を振った商法は、背ぇ伸びたなあ、と眩しげに目を細めて言った。 <> 法律擬人化 2/13<>sage<>2009/05/14(木) 06:18:07 ID:F1fhmE77O<> 「数年見いひんだけでこんなに変わるもんやろか。いややな、僕が見下ろされる側か」
「まあ、育ち盛りだったから。向こうは飯の量も多いし。それより、ちょっと痩せたんじゃないか?」
幅が余ってる、と袷に指を引っ掛けると、彼は眉を引き上げた。
「君のせいやろ? 君が僕の第二編ごっそり持っていったんやんか。500条も一気に減ったらそら痩せもするわ」
「勝手して悪かったよ。でも、仕事楽になっただろ?」
「まあ、確かに一番大変なところやったけど……。あ、と、ごめん。疲れてるのにいつまでも立ち話してしもて、お茶菓子出すしとりあえず中入って」
「ああ、うん。ありがとう。お邪魔します」
手を引かれて、ようやく敷地に足を踏み入れた。一瞬、子供のころに戻ったような錯覚をする。 <> 法律擬人化 3/13<>sage<>2009/05/14(木) 06:20:18 ID:F1fhmE77O<> 無力だった。優しい手にすがることしかできなかった。
今は違う。彼を守れるだけの力をつけたから日本に帰ってきた。
肩胛骨のかたちが見えるような単の背を見つめる。
こんな薄い身体で、あの厄介な株主たちの相手をするのは、元々無理があったのだ。
日本に大会社が誕生し始めた頃からもう疾うに限界は見えていた。
ドイツ人の血の混じった白い肌は株主には手触りが良いらしい。
世間知らずの商法が憔悴していくのを見るに耐えず、18の頃家を出てアメリカに渡った。株主を御す方法を学ぶためだ。
「ねえ、おれがいない間、何か変わったことはあった?」
「そうやなあ、こないだ刑法さんが変わらはったよ。交通犯罪がほんまにお嫌いみたいで」
「それは新聞で見た。そうじゃなくて、あなたの身の回りの話。元気にしてた? 病気したりとか……」
商法は不意に立ち止まった。真夏だというのにひんやりとした薄暗い廊下で、二人は向き合った。 <> 法律擬人化 4/13<>sage<>2009/05/14(木) 06:22:37 ID:F1fhmE77O<> 「……そんなこと今さら訊くならなんで手紙くれへんかったん?」
「え?」
「電話番号やって教えてくれへんかった。いつでも話したいこといっぱいあったのに」
いつになく責め立てるような口調だった。彼なりの精一杯の糾弾なのだろう。まなじりに涙が浮かんでいた。
「どこで何してるか判らへんし、心配で死にそうやった。僕はずっとずっと君のことばっかり考えてたのに、君の帰国の話を聞いたのは人伝やった」
「ごめん」
「なんで? 僕のことそんなにどうでも良かった?」
「違うよ、そうじゃない」
「うそばっかりっ……」
振り上げられた腕を掴んで抱き寄せた。
「なに? 離してっ」
「落ち着いて。そういうことじゃないんだ」
商法ははじめ会社法の身体を突き放そうとしたが、その抵抗を押さえ込んで強く抱くと、諦めたように腕を弛緩させ、額を肩に押し付けてきた。
寂しかったとでも言うようなその子供っぽい仕草がかわいくてゆっくりと背を撫で続けていると、やがて呼吸が落ち着いてきた。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/14(木) 06:25:15 ID:1jFNmjuq0<> 支援? <> 法律擬人化<>sage<>2009/05/14(木) 06:54:11 ID:Qq2hKLZsO<> スマン、ちょっと中断する。携帯からなんでAA略で。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/14(木) 13:26:28 ID:rkK8BuAf0<> >66
>7 <> 法律擬人化 5/13<>sage<>2009/05/14(木) 15:30:15 ID:HmqRfQpjO<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ サイカイシマース!


「……ごまかそうとしてる?」
「そんなつもりは無いよ」
苦笑すると、
「じゃあ情報開示を求めます」
彼は会社法の口癖を真似た。
「そんな言い方しなくてもちゃんと説明するよ。
その、……あなたのことを思い出すと日本に帰りたくなって何も手につかなくなるから、手紙も電話も連絡手段を全部断ったんだ。
それだけ。まさかそんなに寂しがってくれてるなんて思わなかったな。おれのことなんか忘れてると思ってた」
くすっと笑うと、商法は真っ赤になった顔を上げた。
「寂しかったとかじゃ……」
「だめ。さっきの熱烈な告白は一生忘れない」
細い髪を数本掬って口付けると、商法は何か言いたげな顔をしてから、結局何も言わずにうつむいた。 <> 法律擬人化 6/13<>sage<>2009/05/14(木) 15:33:14 ID:HmqRfQpjO<> 「なに?どうしたの?」
「向こうじゃ皆そんなこと言って、キ、キスとかすぐにするんやろうなあと思って。なんか外国の人みたい……」
「しないよ。おれは一途な日本男児だからキスは好きな人としかしない」
「ふうん……」
「だから向こうじゃキスできなかった」
商法は黙り込んだ。アメリカへ発つ前の日のことを思い出しているのかも知れない。
あのときの会社法は、長い不在の間、彼の記憶に残るために必死だった。
商法と身体を離した。
彼の見上げてくる視線が濡れていて、どうにもキスがしたくなった。
「好きな人は日本にいるん?」
柔らかそうな唇が動いた。
「日本にいるよ。今おれの目の前にいるんだ」
商法が何かどうでも良いことを言う前に、その呼吸を奪った。 <> 法律擬人化 7/13<>sage<>2009/05/14(木) 15:35:10 ID:HmqRfQpjO<> 商法がお茶を煎れてくるから待ってて、と会社法を通した和室には異常に冷房が効いていた。そういえば昔から暑いのには弱い人だった。
真夏の間は、日陰になる縁側に腰掛けてしきりに団扇を使いながら庭で遊んでいる会社法を見て微笑んでいた。
そういう日が幾日か続くと、決まって具合が悪くなるのがうれしかったな、と思い出す。辛そうな顔を見ると胸が痛んだが、それが唯一彼に世話を焼ける機会だった。
汗を拭って横たえさせて帯を弛める。商法は途切れ途切れに礼を言う。その声を聞くのが好きだった。
彼の生けたらしい上品な夏菊の花瓶を見ながら懐かしい記憶をいくつか反芻していたせいで、会社法は廊下を擦る足音に全く気付かなかった。
だから突然開いた襖にはかなり驚いた。重ねて驚いたのは現れた相手のせいだ。
「あれ?おまえ帰ってきてたんだ。久しぶり」
へらっと笑って言ったのは、思い出したくもない苦い経験の提供者だった。拳が震えそうになるのをなんとか抑える。 <> 法律擬人化 8/13<>sage<>2009/05/14(木) 15:37:04 ID:HmqRfQpjO<> 「……お久しぶりです、民法さん」
「おう。どうだった?自由の国アメリカは」
「別に……下宿と大学の往復でしたから、大した話もないですよ」
「なんだよそれ、つまんねえ男だな。アメリカくんだりまでおまえ何しに行ってんだよ」
「勉強です」
「あっそ。まあでも、なんか良い顔にはなったな。女の方の筆下ろしでもしましたか?おめでとさん」
下品な笑みを浮かべた民法が、しゃがみこんで会社法と目線を合わせた。
「よーし、じゃ、お兄さんが帰国アンドドーテー卒業祝いをあげよう」
「なに言って……」
急に距離を縮めてきた民法に危機感を覚え、顔の前に手を翳した。
「なんだよー」
手のひらにキスすることになった民法が不満そうに唇を尖らせた。
「こっちの台詞ですよ。何するんですか」
「ちゅーくらい良いじゃん。おれとおまえの仲だろー?」
「アンタとの間に何の仲もありませんよ。それより、まだこんなことやってるんですか?いい加減に……」
民法は眉を寄せ鬱陶しげに手を振って遮った。
「そういううぜえこと言うのやめろよ。変わんねえな」 <> 法律擬人化 9/13<>sage<>2009/05/14(木) 15:39:28 ID:HmqRfQpjO<> 笑っているときには判らないが、こうして不機嫌そうな顔は本当に綺麗な人だと思う。
父親がフランスとドイツのダブルなのだそうだ。そのことで昔随分辛い目に遭ったらしく、彼は自分の血を嫌悪している。
が、会社法はその西洋の彫刻のような整った目鼻立ちや、色の薄い柔らかな髪を好きだった。おれだけじゃない、と心の中で言い訳をする。
私法なら、誰だって彼を抱きたくてたまらなくなる時期があるはずだ。自由で男にだらしなくて自己責任を標榜する癖に面倒なことはすぐに特別法に押し付けて――でもひどく魅力的だった。
本当は好きな人がいるのにそれを必死で隠そうとしているところを可愛いと思うことさえあった。
歳上の幼なじみのことで悶々としていた会社法を誘ったのは、確かに彼の方だった。それに乗ったのは民法と商法の顔立ちがどことなく似ていたからだ。少なくとも、これまではずっとそう思っていた。
けれど、今こうして見る民法は少しも商法に似ていない。眼差しはきついし、薄い唇は冷酷そうで、優しい印象を人に与えない。
そもそも、派手なパーカーにクラッシュジーンズを好んで穿く男を見て商法と似ていると思えたことが不思議だ。同じ外国の血が入っているとは言え、似ているところなんて肌の白さくらいだった。
やはり、少しは惚れていたのだろう。 <> 法律擬人化 10/13<>sage<>2009/05/14(木) 15:41:16 ID:HmqRfQpjO<> 「おーい、起きてる?」
民法が呆れたような顔で言った。
「……起きてますよ。で、何しに来たんですか」
「なに?妬いちゃった?やだなー、おまえの大切なお姫様には手ぇ出してないから安心して下さいよ。人のもんは盗らない。っていうか、盗れない。これ所有権絶対の法則ね」
質問には答えないでべらべらと聞いてもいないことを話しながら、民法は畳に腰を下ろした。
「ははっ、そんな怖い顔すんなって。だからさ、商法が要らないエアコンくれるっていうから、来たんだけど。もしかしてお邪魔だったりする?」
「邪魔に決まってんでしょ。できるだけ早く帰って下さいね」
民法は、冷たいなあ、と笑った。首筋がわずかに覗いて、そこにある赤い痕が肌に痛々しかった。
「……まだあのアパートに住んでるんですか?」
「悪いかよ」
「もうそろそろあの人の官舎に押し掛けてるんじゃないかと思ってましたよ」
「そんなわけないだろ。あいつにも大切な大切なお姫様がいるんだから」
傲慢でわがままで、会社法から見れば民法も十分「お姫様」の一人だ。それが、好きな人のことになると途端に遠慮がちになって一歩引くのだから、本当には憎めない人だよなあ、と思う。
会社法の視線をどう受け止めたのか、民法はほのかに頬を染めて目を逸らした。
「なんだよ、本命に慎重になるのは当たり前でしょ。これ以上嫌われたくないもん、おれ」 <> 法律擬人化 11/13<>sage<>2009/05/14(木) 15:43:19 ID:HmqRfQpjO<> 昔は、この話題を振ると、怒ったり泣きそうになったり、滅多に見られない反応をしてくれた。変わったな、と思う。世間話として言葉を交わしている。
ただ少し、声が震えていた。
「判りますよ、それは」
会社法の呟きに、民法は目線を上げた。大きな瞳が瞬いて、ふしぎな色をしている。自分の顔をそこに覗き込んでいたときのことを思い出す。
こんな綺麗な人に何年も思われ続けて、気付かないあの人は少しおかしいんじゃないだろうか。公法は堅物が多いが、それにしても異常だ。
民法は何も言わない会社法に焦れてか、庭の造作に目を移した。
敢えて掛ける言葉もなく、その横顔をぼんやりと眺める。
部屋に沈黙が落ちた。
蝉時雨がやけに大きく聞こえ出した頃、二つの湯呑みと茶菓子を丸盆に乗せた商法が戻ってきた。着物が変わっている。
「ごめんごめん、お茶溢してしもて……あ、民法さん……あっ、どうしょ、忘れ……、あっ」
「落ち着けよ」
民法は笑いを堪えながら言った。 <> 法律擬人化 12/13<>sage<>2009/05/14(木) 15:44:31 ID:HmqRfQpjO<> 「そんなことだろうと思ってた。後で良いからまた連絡くれ」
「すみません、民法さん、その、すぐ伺いますから……」
「良いよ、おれがもらう側なんだし。それより会社法が犬みたいにおまえのこと待ってたからちゃんと相手してやれよ」
「あっ、民法さん」
片手を上げ、民法は部屋を出ていった。
その背を呆然と見つめていた商法が独り言のように呟いた。
「あり得へん……民法さんとの約束忘れるなんて」
「おれの帰国のニュース、そんなに衝撃的だった?」
商法はその質問には答えず、無言で盆を会社法に押し付けた。
「えっ、なに?」 <> 法律擬人化 13/13 終<>sage<>2009/05/14(木) 16:17:00 ID:Qq2hKLZsO<> 「やっぱり今から届けてくる。明日、真夏日らしいし、あの人身体弱いから倒れるかも知れん」
「え、おれは……」
「ごめんやけどまた明日来てくれる?」
そう言って返事も聞かずに去っていった商法の後ろ姿を会社法は呆然として見つめた。
そういえば、商法のお姫様は民法だった。
昔から、商行為に興味のない民法の杜撰な仕事をフォローするのが商法の役目で、数多くの特別法の中で一番近くにいるのが自分だと、何度も何度もうれしそうに話していたのを覚えている。
民法の台詞を思い返してみた。
彼は確かに「手を出していない」とは言ったが、「手を出されていない」とは言わなかったのだと気付いて、さっと血の気が引いた。
真っ青な顔で、会社法は慌てて商法の後を追った。
好きな人と兄弟なんて冗談じゃない。
人のものは盗らないとうそぶいたその口で契約自由と言って憚らない。
責任を取れと迫られれば、誰とでもすぐに寝る。
あの節操なしのいる世界に商法を置いていったのはもしかして人生最大の過ちだったかも知れない。
久々に本気で走りながら、会社法は頭の隅でそう考えていた。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
途中連投規制で中断してしまい申し訳ありませんでした。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/14(木) 18:38:50 ID:UJdv3JbiO<> わわわわあわわ鼻血吹いた!
萌えた、萌えたよおかあちゃーん!

ちょっと六法買って来るる!
抱きしめて頬擦りしてはぁはぁしたい!!
大好きだ!! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/14(木) 22:06:50 ID:QfhTmySK0<> GJGJ!!
まさか自分が法律萌えする日がくるとは思わなかった!
ちょっと勉強しなおしてくる! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/14(木) 22:52:00 ID:Ub1g2Hy50<> 何処何時PSP版スズキEDのネタバレ全開で、
ジュン→Rスズキ→EDの…
みたいな小話。



|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ネタバレナンテコワクナーイ! <> 1/2<>sage<>2009/05/14(木) 22:54:20 ID:Ub1g2Hy50<> 「さあておひとり様でどちらへさみしいご旅行〜?」
頭上から降ってきた声に鈴木が顔を向けると、コンクリート製のブロック塀の上、満月を背に立つジュンが居た。
どうしてここに?知っていてここに?いや知らないのか?ああこれが月の兎なのか?
ぐるぐると考える間にジュンはくるりと塀から飛び降りた。そしてスズキの顔に思い切り顔を寄せて口の端を吊り上げる。
「アニキとガチンコ旅行かな?」
そこでやっとスズキは我に返る。そして困ったことになっているかもしれないことにも気付く。
「ガチンコとは失敬な。兄さんにはワガハイが必要なのだ」
「そりゃ必要だろうね〜、革命の!同志!」
困ったことになっている。ジュンは事態を把握している。
「ったく!ジュンの情報ネット、甘く見てもらっちゃ困りマスよ〜」
誰にも何も告げず来た。誰も何も巻き込みたくないから。誰からも何からも兄を守り救いたいから。なのにこのトラブルメイカ

ーウサギは!
けれどもジュンの次の言葉は意外なものだった。
「でもまっ、止めないし云わないし着いてもいかないから安心して?キョーダイ喧嘩なんて三日月キズの黒猫でも喰わないし〜」


早口にまくし立てると、したりといつもの訳知り顔で息を吐く。
そしてあっけに取られたままのスズキの口にやわらかくてあたたかいものを押し込んだ。 <> 2/2<>sage<>2009/05/14(木) 22:58:55 ID:Ub1g2Hy50<> 「今日はセンベツ持って来ただけッス!」
ジュンがスズキの口から、それ、を半分ちぎり取って自分の口に放り込む。
スズキも、それ、がなんなのか分かった。今川焼。
「…あんずジャム、か」
甘酸っぱい。
糖分は頭脳を活性化させる。スズキもなにが起きているのか理解しかけてきた。
「ワガハイはスタンダードなものが好みなのだがな」
スズキよりもゆっくり噛み締め味わった純が、ごくりと胃に流し込む音が聞こえる。
「大体今川焼というものはだ」
「これはジュンのコノミ!あとはこっからお好きなのをどーぞ」
ジュンにスズキの長ったらしい講釈など拝聴する気などさらさらなく、自分のミッションである大きな紙袋をスズキの腕の中に押しつけるとくる

りんピョンと飛び離れ、胸を張ってまた早口に語りだす。
「こしあんつぶあんカスタード!お好きなものをハイドーゾ!温め直しでもデリッシャ〜ス!全くもって職人の味!こんなのロボットには絶対ムリムリ作れっこなし!」
そして一息ついてから。
「食べたらウマさにアニキも改心しちゃうカモ?」
そうしてジュンは大きく笑ってひと跳びすると、満月を背に駆け去って行った。
ぽかんとスズキは立ち尽くすが、あんずジャムによって活性化された頭脳はすぐにジュンの捨て台詞を反復させ、スズキの怒りのツボをグイッと押した。
「ロボットに不可能はないロボ!ワガハイは必ず今川焼職人ロボットでノーベル賞を頂くロボ!だいたいあのウサギは!見送りなら見送りでだな…」
それでもスズキには兄と共に人間を駆逐したロボットだけの世界で生きる気などこれっぽっちも思いつかない。
この今川焼が冷めないうちに兄と共に味わえればいいと、叶わないことだけが微かに頭脳をかすめるだけだ。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/14(木) 23:00:28 ID:Ub1g2Hy50<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・;)メモチョウカラコピペシタラ、ナンカヘンナコトニ...

お粗末さんでした!今川焼うめえ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/15(金) 17:44:34 ID:RC19BnR3O<> >>76
新しい扉が開いてしまった…GJ!ありがとう!
法律の授業中に寝ていた自分を許して! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/15(金) 20:50:32 ID:/EdmDZmE0<> >>76
GJ!
民法の性格がまんまで吹いたw
続き楽しみにしてます! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/15(金) 22:39:36 ID:3eIDPTpq0<> 場違いスミマセン
>>2ローカルルールの避難所掲示板に行けなかったので、こちらで失礼します
同じく 上記の保管サイトが見れません。気になって夜しか眠れません!ので
どなたか教えて下さい! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/15(金) 23:07:48 ID:wnK1RmX2O<> >>85
携帯だと(ちなみにあう。結構古い)普通に見られるけどなあ…
規制とかあったっけ? <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/15(金) 23:24:22 ID:nLfFy0dN0<> >>85
うちは窓のびすたですが普通に見れてますよー <> ユ二コーソ太鼓唄 0/3<>sage<>2009/05/15(金) 23:35:14 ID:iSpPU6Z0O<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


本ジャンルを放置してしまうほどの熱を落ち着かせるために書きました。
ナマモノ注意、ユ二コーソ・太鼓唄。

<> ユ二コーソ太鼓唄 1/3<>sage<>2009/05/15(金) 23:37:39 ID:iSpPU6Z0O<> 打ち上げ会場の居酒屋からホテルまでは歩いて行ける距離。
明日もライブだからとアルコールの量をセーブしたものの、少し足にキてしまっている。
若い頃ならば、これぐらい呑んでも大したことなかったのだけれど。


ふらふらと前を行くあの人は、若い頃と変わらない呑みっぷりをぶちかまし、今日も呂律の回っていない挨拶で場を締めくくった。
自分のこの変化を『老いた』ととるか、『大人になった』ととるか。
昔より逞しくなったカワ二っさんの背中を見ながら、そんなことをぼんやりと考える。


ふと、前を行く彼の歩みが止まった。
上着やデニムのポケットをパンパン叩くと、大きく肩を落としてしまった。
ゆっくり振り向いた彼の口にはタバコが既にスタンバイされていた。

「夕ミオ、火ぃちょうだい?」
「いいっすよ」

パーカーのポケットから、さっきの居酒屋の名前が入ったライターを取り出す。
渡そうと腕を伸ばすと、その手首をガシッと掴まれた。
そのまま口にくわえたタバコを近づけてきたので、慌ててライターを持ち直して火をつけた。
<> ユ二コーソ太鼓唄 2/3<>sage<>2009/05/15(金) 23:39:17 ID:iSpPU6Z0O<> 小さな灯りで照らされた彼の顔は、満足そうに笑っている。

「サンキュね」

そう言うと、彼は俺の手首を掴んだまま再び歩き始めた。

「ちょっと、何やってんすか」
「…あ?ごめんごめん、こうじゃないか」

そう言って彼は俺の手からライターを取り上げると、空いたその手をギュッと握りしめてきた。

「…そういうことでも、ないんだけど」
「えっ違うの?」
「全然違うし」
「でもダメだよ、もう離さないから」

俺が離したくないの、と目を細めて笑う彼に釣られて、俺の顔も緩んでしまった。


<> ユ二コーソ太鼓唄 3/3<>sage<>2009/05/15(金) 23:42:35 ID:iSpPU6Z0O<>
…あぁ、そうだ。
きっとこの人には『老いた』とか『大人になった』とか関係ないんだ。
もちろんあの頃より人としても技術的にも成長はしてるけれど。
それでもこの人の根っこは何も変わっちゃいない、『あの頃のまま』なんだ。

ゴツゴツした彼の手から伝わる温もりを感じながら、そんなことを改めて思った。




□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

いまいちキャラ把握出来てないので微妙…でも書けて満足。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/15(金) 23:59:47 ID:LKGienn60<> 保管庫って前から伏字やめてたっけ? <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/16(土) 00:05:24 ID:tAtqMQ5D0<> >>92
保管庫は伏字当て字を直して保管してたと思う <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/16(土) 01:21:31 ID:knGkQmabO<> 正直伏せ字当て字の特徴で作者さんを弁別してるところがあったから、
できたら書き換えじゃなく併記にしてほしいんだよなあ…。

でも管理人さんむっちゃよくやってくれてるので
管理人さんが一番やりやすいやり方でやれればそれで良いと思うです、はい。

過去に遡るとかどんだけの作業量だろう。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/16(土) 02:13:57 ID:JuTrZ2kP0<> 併記ってww
どこまで煩雑な表記にさせればいいんだよwwww
そこまでして伏字を保存したい感覚が正直分からん <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/16(土) 02:17:37 ID:yxxNTDE0O<> え……? <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/16(土) 07:10:10 ID:6+GVIQp60<> 確かに伏字当て字だとわかりづらいってのもあるかもしれないけど
同じジャンルでも伏字や当て字で作者の違う所もあるし・・・

どっちもどっちじゃね? <> ボカロ、KAITO×がくぽ 捨て犬のように 5<>sage<>2009/05/16(土) 08:54:08 ID:BsL09iqf0<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | 五回目です。純愛カイガク。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|やっと彼が意識し始めました。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> ボカロ、KAITO×がくぽ 捨て犬のように 5-1<>sage<>2009/05/16(土) 08:54:55 ID:BsL09iqf0<> 「がくぽーまた怒ったのー?入っちゃダメ?」
和室の前で、以前と同じ状況で、KAITOはきゅんきゅん鼻をならしていた。
「だ、駄目じゃ!入ってくるな!」
こういわれて、帰ってきてからずっと中に入れてもらっていない。
またキスしたのがまずかったかと思ったが、もう遅かった。
そうして数時間たった頃、マスターは帰ってきた。
「ただいまー。あれ、KAITOまた追い出されてるの?」
「おかえりなさい、マスター」
「!マスター?マスター、来てほしい」
マスターの声に、がくぽが反応した。
「どうしたの、入るよ」
心配そうに見つめるKAITOに、買ってきたアイスを渡し、ふすまから離れるように言った。

「マスター…」
布団にくるまっていたがくぽは、マスターの気配に起き上がった。
「どうしたの、気分でも悪いの?」
「違う。マスター…嫌わないで聞いてくれるか?」
真面目な話なのだろう。
マスターは小さく頷くと、がくぽの前に腰を下ろした。
「マスターは同性でこんな思いはしてはならないといった。でも、でも…」
「がくぽ…?もしかして…」
がし、と、すがるようにがくぽは、マスターの腕にしがみついた。
「たぶん、我はかいとに恋心を抱いている。どうすればいい、諦めなければと思ってもとまらない。かいとが好きじゃ」
「うーん」
マスターは天井を見上げた。
とはいっても天井を見上げて観察しているわけではない。
「異常な事なのだろう?でもやはり、あの腕が恋しくなる。どうしたら、忘れられる…?」
(重症だなあ…)
マスターは軽くがくぽの頭を撫でた。
「いつから好きになったの?」
「一週間前からじゃ。それからずっと想いは深くなって」
はあ、とマスターはため息を吐く。 <> ボカロ、KAITO×がくぽ 捨て犬のように 5-2<>sage<>2009/05/16(土) 08:55:57 ID:BsL09iqf0<>  できれば女の子とくっついてほしかったけれど、本人がKAITOを好きだといっているのだから仕方ない。
「がくぽ」
「…はい」
「相思相愛で良かったじゃないか」
「え」
心底驚いたらしいがくぽは、涙目でマスターを見つめた。
「がくぽにもKAITOにも女性と一緒になってほしかったけどね。でもがくぽがKAITO好きなら仕方ないよ。ほら、立って、KAITOに伝えなきゃ」
思った以上に優しいマスターの言葉。
「良いのか?怒らないのか?かいとの時みたいに駄目とは言わない?」
うーん、と腕を組むと、マスターはため息をつく。
「正直微妙。でも二人とも仲良いし、がくぽもKAITO来てから明るくなったし、僕の好みを押し付けても仕方ないしなあ、なんて。それに僕がKAITOに駄目と言ったからがくぽがここまで悩んでるんだもん…責任感じちゃうなあ」
慌ててがくぽがフォローにまわる。
確かにそうだが、マスターのせいではない。
「違う、マスターのせいではないのだ」
「そう?がくぽは優しいね。ほら、はやくKAITOに伝えなきゃ」
そういわれて、がくぽの頬が紅潮する。
照れてるのだろう。
マスターにここまで伝えといて、いざKAITOに伝えるとなると、恥ずかしいようだ。
「KAITO、ちょっとおいで」
「?はい」
なんとも気の抜けた返事が帰ってくる。
アイスを食べている最中らしい。アイスの入れ物を持ち、スプーンをくわえたままやってきた。
「はんへひょう」
「アイスを置いてこっちおいで。がくぽから話があるって」
「はぇ。話。どうしたの、がくぽ」
アイスをカップとスプーンごとテーブルに置く。
がくぽの前に正座をすると、笑いかけた。
「あの…」
「うん」
がくぽも正座をする。
そして、KAITOの手を取ると、軽く握った。
「我の事は、まだ、好きか?」 <> ボカロ、KAITO×がくぽ 捨て犬のように 5-3<>sage<>2009/05/16(土) 09:00:06 ID:BsL09iqf0<> きょとんとするKAITOに、不安を覚える。
「大好きだよ。世界中の誰よりも」
「かいと…」
次の瞬間、がくぽはKAITOに抱きついていた。
KAITOは驚いたようだったが、すぐに受けとめた。
「好きじゃ、かいと…」
「え、本当?」
「好き、好き、好き…」
呪文のように繰り返し、涙をこぼした。
これで受け入れられなかったらどうしよう。
不安を抱えながら、抱きつく腕に力をこめる。
「がくぽ」
「…?」
顔をあげたとき、不意討ちで口付けをされた。
けれど、嫌だとか、振り払いたいとかは感じなかった。
「KAITO君」
マスターの怒りのこもった声に反応して、はっとKAITOは身を離した。
「恋愛はしぶしぶ許したけど、キス以上の事は許してないよー?」
バキバキと手をならす。
今度はグーを片手で作って、パーの手にバシバシ殴りつけている。
意外とマスターも気が短い。
「すっ、すみません!」
「マスター、許してほしい。我はかいとが好きじゃ。接吻したいのは仕方ない。かいと…」
そ、と両手でKAITOの両頬を包むと、軽く口付けた。軽くてやさしい口付け。
舌を入れるディープキスなど知らないのだ。
だがマスターの目の前では教えにくい。
がくぽから口付けをしてくれて嬉しいが、マスターの目が光ってると来た。
KAITOはすぐにでも衣服を脱がして合体したいわけだが、そうも行かない。
良いかいがくぽ」
素敵な妄想をKAITOがしていると、とても優しい声で、マスターががくぽの両肩に手を添えてしゃべった。
「貞操を守るんだよ、絶対に」
「?うむ?」 <> ボカロ、KAITO×がくぽ 捨て犬のように 5-4<>sage<>2009/05/16(土) 09:01:00 ID:BsL09iqf0<> 扇子を広げ、口元に持っていく。
よく分かっていないのだろう。
パタパタと扇子を揺らして、KAITOを見た。
「…」
 とてもキラキラした目でがくぽを見つめるマスター。
信じているからね、と付け加えて、次はKAITOの前に座った。
肩が折れるかと思う程の力がこめられ、一見笑顔だが、とてつもない意志を感じた。
「がくぽに変な事しちゃ駄目だよ?」
変な事なら考えてました。
とは言えず、目を反らして軽く頷いた。

「かいと」
むしゃむしゃと今晩のおかずである茄子の浅漬けを食べながら、がくぽが話し掛けてきた。
「ん?」
こちらはアイスをこの寒いのに食べている。
散々がくぽに、お主はそんなものばかり食べて、と言われたが、どっちもどっちだ。
茄子野郎に言われたくない。
「暇じゃ、歌の練習でもするか」
「え」
とはいってもパソコンの中に入っている音源がなければ、歌の練習もままならない。
しかしそのパソコンを開いていいのはマスターだけで、がくぽたちには開くことは出来ない。
といったら、やはり発声練習からだろうか。
そう思ってるうちにがくぽは茄子を平らげると、マスターの部屋へと向かった。
「かいと、いくぞ。マスターは忙しいから我らだけでも頑張らねば」
こういう頑張りやな所は高く評価したい。
「うん」
がくぽの手を握って、二人はマスターの部屋へと向かった。 <> ボカロ、KAITO×がくぽ 捨て犬のように 5<>sage<>2009/05/16(土) 09:02:48 ID:BsL09iqf0<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧お粗末さまでした
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/16(土) 10:06:52 ID:95Iu16kL0<> どうしてボカロの人はいくつまであるのかちゃんと表記しないのかね?
あとそろそろ個人サイトでもやればどうかな、その量は。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/16(土) 11:19:38 ID:lYkSYJ8g0<> >>104

>>2でも「※シリーズ物・長編物の規制はありませんが、連投規制やスレ容量(500KB)を確認してスレを占拠しないようお願いします。」
とあるので、量は多くても少なくてもいいんじゃないかな?
どうしても気になるようだったら、専ブラいれてあぼーんという手もあるよ。

ボカロの方、もし良かったら>>2を読んでみて下さい。ナンバリングは決まりではないけど、付けて頂けると助かります。

自治厨レス、失礼しました。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/16(土) 13:01:22 ID:BsL09iqf0<> ボカロの人です。
ナンバリングすみません了解しました;;
今まで違うやり方だってので皆とあわせて見ます!

>>104
気に入らなかったら無視で御願いします。
ここまでUPしといて去るのは失礼な気がするので。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/16(土) 13:20:43 ID:9s3hNHrY0<> ボカロの人への文句は絡みスレでやってね <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/16(土) 13:35:24 ID:BsL09iqf0<> と思ったけど、荒れそうなので今後投稿は自粛します。
すいませんでした。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/16(土) 14:21:48 ID:TGowWv1Z0<> 生注意
高学歴ゲ仁ソ 炉算 京大×大阪府大


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

<> どっちが大事? 1/4<>sage<>2009/05/16(土) 14:23:12 ID:TGowWv1Z0<> 京大の実家では犬(♀)を飼っている。
ところがこの犬ときたら、仕事が忙しくほとんど実家に帰ることのない京大本人には、なかなか懐こうとしない。
そんな時、某局のTV番組出演の仕事が入ってきた。
企画の概要は、京大がその飼い犬と仲良くなれるように特訓をするというものだった。
京大のピンかと思いきや、今回は大阪府大も合わせて炉算として二人でやる仕事だ。
「犬と仲良くなるためには、まずスキンシップをとることですね」
そうトレーナーにアドバイスをされて以来、京大は東京や地方での仕事の時以外は実家に足繁く通い、出来るだけ犬

と一緒に過ごすように努めていた。

そんなオフのある一日、大阪府大は京大の携帯に電話をかけてみた。
「おお、菅ぁ。うん?あぁ今な、実家におんねん。今日はうちの家族みんな出とるんよ。そう、留守番や、留守番」
「……ほんなら、俺もそっち行っていい?」
やや間を空けてなされた大阪府大の問いかけ。
京大は特に気にも留めず、「おお、きーやきーや」と快諾する。

そんなこんなで、京大宅。
広い家の中には大阪府大と京大、ふたりだけだった。
いや、もうひとり…否、もう一匹。
かわいい『彼女』が、ふたりの間にちょこんと座っている。 <> どっちが大事? 2/4<>sage<>2009/05/16(土) 14:25:15 ID:TGowWv1Z0<>
「こいつ、最近俺がよぉ遊んでやってるからな。なんか少しずつ俺に懐いてきてん」
京大に紹介された『彼女』は彼の膝の上で、その長い毛に被われた小さな体を愛しむように撫でられ、いかにも気持ちよさげにまどろんでいる。
大阪府大は京大の隣に座り、京大がその犬を愛玩する様をじっと見ていた。
「はー、ほんまかわええなぁ。菅、おまえもそう思わへん?」
めいっぱい癒されたという顔で、隣の相方に同意を求める京大。
大阪府大は答えない。
愛犬の背をよしよしと撫でる京大の長い指を、先程から微動だにせず食い入るように見つめている。
「……どないしてん?」
いつもと異なる雰囲気に気づいた京大は、心配そうに大阪府大の顔を覗き込む。
大阪府大の表情は強かった。
人懐っこい笑みを浮かべて京大にすがってくる時の彼からは想像もつかないほど、険しい形相だった。
室内に立ち込める不穏な空気。
それをいち早く感じ取った小動物は、ひゃん、と小さく一声吠え、慌てて部屋の隅へと駆けていく。
京大は小さな重みが退いた膝を大阪府大の方へ向け、首を傾げつつ、先程まで犬の背に置いていた手をそっと伸ばした。
「なぁ、菅……」

次の瞬間。
ガバッ
京大の指が触れるより先に、大阪府大は目の前の細身の長身に抱きついた。
「ちょっ、どうしたん?いきなり何やの?」
大阪府大の突然の行動。
さっきまでの状況でどうして大阪府大がいきなり抱きついてきたのか、京大にはわからない。
わからないが、自分の胸に顔を埋めたまま離れようとしない相方の頭を、京大は子供をあやすようによしよしと撫でさする。

<> どっちが大事? 3/4<>sage<>2009/05/16(土) 14:26:56 ID:TGowWv1Z0<>
「……俺、妬いてたんや」
「は?」
やがて大阪府大の口から聞こえた小声の台詞に対して、今度は京大が怪訝な表情を浮かべる番だった。
「うじ、あの仕事入ってからずっとこっち(実家)通いやったろ?ここんとこ、仕事終わってからあんま一緒におれんようになって、俺めっちゃ寂しかってん」
ピンの活動でなければ、仕事の後もふたり一緒に過ごす。
彼らの中ではそれが不文律のように、というかもうすっかり当たり前のこととして定着していた。
だからこそ、炉算としてふたりで仕事をしながらプライベートの時間をなかなか共有できない今の状態に、大阪府大は何か違和感のようなものを覚えていた。
その違和感は、やがて彼の胸をちくちくと突き刺すものに変質していった。
「そんでオフになって、やっとゆっくり一緒に過ごせんねやて思うたら、今日も実家やて言うし。家の人おらんて聞いて来たら来たで、うじは犬ばっかかまって俺ほったらかし状態やし」
「菅……」
「おまけに、犬がうじに撫でられとるの見とったら、その手は元々俺のもんやねんぞ、大体今おまえが居るその場所も俺のポジションやねんぞ、て……その………」
言いたいことを昂ぶる感情に任せて、ひとしきり言い放ち頭が冷えたのか、大阪府大の語尾はだんだん小さくなっていく。
「アカン。俺、何言うてんねや。アホやんな。犬に嫉妬してどないすんねん」

大阪府大の自虐とも自戒ともいえる呟きに合わせて、盛大な溜め息が京大の口から漏れた。
「もう、おまえは……おまえってやつは、ほんまにアホやな」
「うじぃ…」
京大にとどめの一言を突き刺された途端、大阪府大の涙腺は緩み、みるみるうちに大粒の雫が目に溜まっていく。

「そんなん今更言わんでも、俺の手も膝も何もかも全部おまえだけのもんやて、わかりきったことやんか」
「え……」
続いた京大の意外な言葉に、大阪府大は驚いて、今にも泣き出しそうな顔をふっと上げる。
大阪府大の目の前には京大の優しい微笑みがあった。
いつものように京大の指先で涙を拭われる。
それが今の大阪府大にはいつも以上に心地よく感じられた。 <> どっちが大事? 4/4<>sage<>2009/05/16(土) 14:28:20 ID:TGowWv1Z0<>
「言うとくけどな、俺犬と遊んでやっとる時も、ずっとおまえのことばっかり考えてんで?」
不意に京大の両腕が、小柄な体躯をすっぽりと包み込みんだ。
大きな手が何度も何度も、大阪府大の背中を往復する。
「こうやって抱きしめて撫でてやったら、おまえすごい甘えてくるやろ?それ思い出して、あいつ(犬)にもお前にするんと同じようにしとるだけや。あぁ、菅もこうやって撫でたいわーとか考えながら」
「う、うじぃ…」
自分を上回る唐突で思いがけない相方の告白。
大阪府大は耳まで真っ赤になってしまう。
「犬は犬でかわいいし好きやけどな、俺にとってはやっぱおまえがイチバンかわいいし、イチバン好きなのはおまえやねん」
「うーちゃん…」
ふたりは見つめあい、どちらからともなく自然に唇を重ね合わせた。
最初は啄ばむように軽く、やがて卑猥な水音を響かせるように濃厚に。
「ん、んっ……」
京大とのひさしぶりのキス。
それだけで、大阪府大の中に先程まであった寂しさも嫉妬も、一瞬のうちに昇華してしまった。
自分は京大に愛されている。
それが再確認でき、こうして京大の腕の中にいるだけで、大阪府大は幸せだった。

「おかんたち帰ってきたら、マンション戻ろか。続きはそこでゆっくり…な?」
「うん、ええよ。だけど…」
「ん?」
「もっと抱きしめて、うーちゃん。そして俺をもっと、もっと撫でてや」
「もう、めっちゃ甘えたやなー、すがちゃん」
そしてふたりは、誰も見ていない部屋の中で…。
否、一匹の賢いわんこがお座りをしてじっと見守っている部屋の中で、再び熱い抱擁を交わすのであった。


「ちゅーか、犬に嫉妬するとか、菅めっちゃかわいい☆」
「う……それはもう言わんといて。忘れてや!」 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/16(土) 14:29:46 ID:TGowWv1Z0<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

>110は改行ミスってシマタ…読みにくくてスマソ
先日の歩地玉で京大が愛犬をなでなでしているのを見てハゲ萌えたんだぜ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/16(土) 15:54:55 ID:adpAqr470<> 85です。返答ありがとうございました!
保管サイト見れました。直リンで行けなかっただけです。
お騒がせしました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/16(土) 17:25:58 ID:MU+Fr8ja0<> >>114
GJ!先日の『亜目トーク』で萌えが再燃したばっかりだったから、余計に…ねぇ…ww
御馳走様でしたー!!! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/16(土) 17:26:41 ID:DLqXNGHO0<> >>109
おーっ来た来た!GJGJ!
前スレで三部作書いたもんですが、すげー萌えました。
拝読できてめちゃくちゃ嬉しいです。

ぽち○まって昨日だよね?仕事早・・・・。
自分も、愛犬と戯れる京大様を見て、何やら色々と複雑な気持ちになっていたのだけど、
そうかそんなやらしいこと考えながら抱き抱きしてたのかw
その後、京大のマンションに移った二人は勿論わんわんスタイルで(ry

廬山もっと来んかな〜。
裏切り者の謗りを受けようが、ピン、即ちコンビ外カプでも構わん。

長文失礼致しました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/16(土) 18:46:46 ID:3EZzPCYY0<> 失礼します。
801未満のぬるさですが投下させてください。
ちょっと長いです。

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  駅擬人化 青梅線 拝島駅×昭島駅。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  ローカル線でお里が知れる。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<> 駅擬人化 拝×昭 1/9<>sage<>2009/05/16(土) 18:47:45 ID:3EZzPCYY0<> 俺はここのところイライラしていた。
何に対してかというと、昭島駅に対してだ。
ここ数年の昭島駅の駅前開発っぷりを見ていると、
あいつが調子に乗ってるのがひしひしと伝わって本当に腹立たしい。
自分の所属している青梅線は東京都を走ると言うのもはばかれるほどのローカル線だ。
まあ、八高線ほどではないけど。
立川駅で中央本線から分派して伸びるこの線は、中央線が遅れるとまず最初に見捨てられる。
直通運転がなくなっちまうんだ。理由は単純で、八王子方面に行く客の方が多いから。
それに、終電も中央本線に比べて30分も早い。
それくらいの線だから、最初はどの駅もどんぐりの背比べっこみたいなショボさだった。
しかしその中でも、俺と昭島駅はどちらかといえば発展していた方だったんだ。
青梅線の他に西武線と八高線が伸びていて地域のターミナル駅的存在の俺と、
大型デパートが入っていてスポーツ施設も充実している地域のエンターテイメント駅の昭島駅、どっちも線を代表する駅として
(一番でかい立川駅は自分が青梅線の駅にカウントされるのを断固否定してるから)けっこう仲良くやってた。かつては。
<> 駅擬人化 拝×昭 2/9<>sage<>2009/05/16(土) 18:48:17 ID:3EZzPCYY0<> 全ては昭島駅にあった大型デパートモリタウンが、複合レジャー施設として大規模展開しだしたのが始まりだった。
地味なエスパデパートの隣にチャラチャラしたブランドばかり入った二号館ができ、MOVIXができ、トイザラスができ、それに伴って高層マンションも増えだした。
極めつけはなんだあのわけのわからない●本のアトラクションは!?
「ねえねえ拝島駅、今度うちに映画見においでよ。面白いのやるんだ。」
自分のホームで2,30分に一本しか無い貴重な八高線の一本を見送っていると、いつの間にか昭島駅が隣にいた。
「はあ?冗談。映画見るなら立川行くし。」
振り返って目に入った昭島駅の姿は、5,6年前からは想像もつかないくらい垢抜けている。
前は俺と同じようなジーンズ&パーカーだったのが、今は雑誌に出ているような服を着ている。変な形のジャケットだなおい。髪も染めててパーマでくしゃくしゃだ。
モリタウン内の美容室でやったそうだが、そこは頼めばコーンローもやってくれるんだと以前嬉しそうに言っていた。
俺は未だにコーンなんとかがなにか分からない。余計にムカつく。
「でも、ぼくんとこ金曜だったらペアで2000円だよ!だから一緒に…。」
「うるせー。おまえんとこガキばっかで嫌なんだよ。たかだか800円別にどうでも。」
やつが喋る度にやつの服がひらひらするのがに目に入るので、俺は背を向けて吐き捨てた。 <> 駅擬人化 拝×昭 3/9<>sage<>2009/05/16(土) 18:49:09 ID:3EZzPCYY0<> 「そう…わかった。急に邪魔してごめん。じゃあまたね。」
案外あっさり引き下がった奴がいなくなった後、おれは若干の後悔と、そんな自分への腹立ちでため息をついた。
最近昭島駅とはめっきりこんな感じで参る。
昭島駅は以前のように俺とつるむ気でいるらしいが、今のやつと並ぶと自分が野暮ったく見えることに気がついてから
俺はあいつを極力避けていた。
俺んとこも、駅ナカができたりしてるけど規模では全然おいつかない。
今までは青梅線のツートップだった―利用者数が多い分自分のほうがちょい勝ってるとす ら思っていた―のに、
今は自分がその他停車駅に転がり落ちつつあるのである。そんなのは我慢できない。
そう思ってしまうので、昭島駅が話しかけてくる度に俺は不機嫌になる。
俺が不機嫌なのを察知して奴が俺の機嫌を無理に取ろうとする。
それが逆に惨めで俺がもっと不機嫌になる。
この悪循環に自分自身いい加減嫌気がさすが、どうしてもやめられない。
ホームで楽しそうに騒ぐ女子中学生グループを横目に、やりきれない気持ちで頭をガシガシと掻いた。 <> 駅擬人化 拝×昭 4/9<>sage<>2009/05/16(土) 18:50:13 ID:3EZzPCYY0<> 雨続きで久々に晴れた日曜日、休日ダイヤの暇さも手伝って俺は久しぶりに昭和記念公園へ出かけた。
久しぶりの気候に浮かれた家族客を大量に飲み込んだ巨大な国営公園はそれでもまだまだ余裕のようで、
見ごろのポピーを惜しげもなく見ぜびらかしている。
おれは色とりどりのそれらを横目に公園の中心にある原っぱで寝転がった。
こういうレジャー施設に一人で来たところで何もする事がない。暇だ。

前は時間さえあれば昭島駅と遊んでいた気がする。
ここにもよくサッカーをしにきていたし、たまには都心に出かけたりもした。
都心に出た時の昭島駅はすごく面倒くさい。
いつも東京駅や新宿駅の人ごみにはしゃいであちこち動き回り、最後には人酔いして座り込んでしまう。
それを介抱するために自分は付き添っていたと言っても良い位だった。
物見遊山に最初の東京マラソンを見学に行った時なんか昭島と一緒に自分までが群集の気にあてられちまって、
どうにも動けなくなって結局東京メトロの駅達に送ってもらったな。
連絡を受けて出迎えに来た立川駅のあのバツの悪そうな顔!
「ははっ。」 <> 駅擬人化 拝×昭 5/9<>sage<>2009/05/16(土) 18:52:15 ID:3EZzPCYY0<> 思い出して思わず一人で笑う自分にはっと気付いて空しくなった。

「チョリーッス拝島っち、僕ん所に一人で来るなんて珍しいね。」
そう声がして、不意に寝転がった自分の視界に覗き込むように屈んで立つ人物が現れた。
「西立川駅、良く分かったな。」
そいつは、立川駅の隣にぽつんと、昭和記念公園に行くためだけにあるような駅の主だった。

俺よりも数段地味で東中神駅だってもう少しましくらいのこいつは、
それにも関わらず外見は高校生位に見える俺や昭島駅よりもずっと年長で、
一番大人な立川駅と同じくらいに見える。
のわりには言葉も態度もヘラヘラしてて変な奴だけど。
「そりゃあ同じ線の仲間が近くにくれば気配でわかるよ。」
西立川駅はふわふわ笑いながら俺の隣に腰をおろした。
自分はなんとなくはわかっても場所までは特定できない。犬みたいな男だぜ。
「何か用か?」
「え?別に。一人で暇そうだから相手してあげようと思って。」
「…別に暇じゃねぇし。最近一人で清々してんだ。」
「前はいつも昭ちゃんと一緒だったもんねー。向こうが忙しくて相手にされなくなっちゃったのかなぁ?」
西立川駅がからかい交じりで幼稚園の先生のような甘ったるい声を出して俺の頭をなでた。
その態度が癪に障ってその手を思いっきり振り払う。

「なっ…ちげーよ!俺が一人がいいからあいつをシカトしてんの!」
「ふーん…。まあ、せっかくお隣さん同士なんだからもっと優しくしてあげなヨ。
彼も今大変な時期なんだから。」
はたかれた手を痛そうに振って言う西立川駅に俺は反論した。
「あいつのどこが大変なんだよ。チャラチャラした遊び場のおかげで多摩の核家族どもに囲まれてすげぇ調子乗ってんだぞ。」 <> 駅擬人化 拝×昭 6/9<>sage<>2009/05/16(土) 18:54:10 ID:3EZzPCYY0<> 俺の言葉に西立川駅はそれまでの飄々とした表情が一瞬強張った様に見えたがすぐに元に戻った。
「昭ちゃんはそんなキャラじゃないじゃーん。」
「…キャラ関係なく普通そうなるだろ。あいつ最近やたら開発進んでるし。たまに会っても大変そうにはちっとも見えないぜ。」
そうかなぁと言って西立川駅は頭をわしわしと掻いた。
「まあ僕も直接昭ちゃんに相談されたわけじゃないから良くわかんないんだけど、
たっちゃんが結構心配してるから大変なんだと思うよ。」

青梅線の中で不敵にも西立川駅だけは立川駅の事をたっちゃんと呼ぶ。
気取り屋の立川駅は全力で嫌がってるけど、それがまた良いのだとよく分かんねぇ事を以前西立川駅は言ってた。

「立川駅が?」
あの立川駅が昭島駅の心配?およそ考え付かなかった。やつはいつも偉そうにしょってて、
自分はさも都会の巨大ターミナルだと言わんばかりに俺を見下しているからだ。
けどそれよりも気になるのは…
「昭島駅って、本当に今辛いのか?」
でもだとしたらなんで?
「えっマジで分かってなかったの?」
西立川駅が本当になんの含みもなく心底驚いた声で言ったので分からない自分が
恥ずかしくなり、それを隠すため声を荒げた。
「わかんねぇし!自分とこの駅が発展するのはいいことだろ!」
「あんさぁ、昭ちゃんは人一倍人の気にあてられやすいじゃない。」
西立川駅が呆れた様子でヒントをくれた。
「そうだけど…ぇ、あ…。」
表情が変わった俺を見てやっと気が付いたと確認した西立川駅は、もー鈍い。
鈍いよ拝島っち!と俺の背中をバシバシ叩いた。 <> 駅擬人化 拝×昭 7/9<>sage<>2009/05/16(土) 18:55:18 ID:3EZzPCYY0<> 俺達駅は駅を使う人のエネルギーを受けて生きている。気の器みたいなもんだ。
小さい器に許容範囲以上の人の気が流れ込む負担は大きい。
だから小さい駅が急に人のあふれる大きい駅に行ったりすると具合が悪くなる。
何かのきっかけで自分の器の成長が追いつかないくらい駅に来る人が増えても同じじゃないか。
「まあ、急な利用者増加はこの線じゃあんまり起きないから気が付かないのも仕方ないけど、
そういうことだからもちっと気をつけてやってよお隣さん。」
ぽん、と今度は励ますように軽く頭を叩かれた。
「…西立川駅は知ってたんだな。」

こんな話は初めてだった。この線の他の駅の奴等だって縁のない話のはずだ。
昭島駅だってそんなこと一言も言ってなかった。いままでずっと辛かったんだろうか。
「僕?ああ、立川駅がさ、そうだったんだよ。奴のは規模が大きくてけっこう酷かったわ。
今もしょっちゅうだからあいつのはもはや持病だね。あ、僕が教えたことたっちゃんには内緒ね。」
自分の喋りすぎに慌てて西立川駅が口をおさえる。
それすら初耳だったが、言われてみれば確かに最もな話だった。全然気がつかなかった。
いつも堂々として偉そうに自分が一番だという態度をとっていたから。
他の駅達だって全然気付いてなかったはずだ。多分、西立川駅だけが知っていた。 <> 駅擬人化 拝×昭 8/9<>sage<>2009/05/16(土) 19:03:03 ID:3EZzPCYY0<> 黙り込んでしまった自分をの代わりと言わんばかりに西立川駅は続けた。
「たっちゃんのことも知らなくて仕方ないよ。あいつ超巧妙に装ってるもん。
プライド高いから弱み見せたくないんだよね。
昭ちゃんは心配掛けたくないからきっと黙ってるんだと思う。
多分そういうこともあって、たっちゃんは昭ちゃんがほっとけないんだろうね。
急に発展することの辛さはこの辺じゃあいつが一番分かってるからさ。
人の気だけじゃなくて急な成長をやっかむ駅に嫌がらせされたりもするし。」
「…俺のことか?」
非難まじりの西立川駅の流し目についむっとなって返したが、弁解の余地はなかった。
「さあね。立川駅ん時は自尊心の高い遠い山の手の面々だったよ。
少なくとも僕や国立駅は掌を返したりしなかったし?」
やっぱり俺を非難しているんじゃないか。

俺だって言ってくれればもっと…、何が心配かけたくないだあのお人好しめ。
心配…どころか自分はそんな昭島駅の努力にも気付かずにあいつを疎んじていた。
今までご機嫌取りだと思っていた態度は、実は切実なSOSだったんじゃないか。
後悔と自己嫌悪がじくじくと胸に広がった。
「…!?」
俺が黙っていると、いきなり西立川駅が立ち上がった。
「あ、ごめん。ちょっとたっちゃんとこ行かなきゃ。」
「わり、何か約束あった?」
「いや、今わかった。休日で人手が増えてややキャパオーバーっぽいから手伝ってくるわ。」
「そんなことわかんのか?」
「気配でね。たっちゃんのは分かるようになった。拝島っちも練習すればできるよ。」 <> 駅擬人化 拝×昭 9/9<>sage<>2009/05/16(土) 19:05:14 ID:3EZzPCYY0<> 本当だろうか。にしても立川駅が人を頼るなんて見たことない。
そう思ったのが顔に出たのか、西立川駅はカラカラ笑った。
「一回も頼まれた事はないんだけどね。勝手に気付いて勝手にやってんの。
隣にいるだけでも気が分散するから楽みたいよ。」
「…俺も手伝おうか?」
立川駅はいけ好かないが、西立川駅には今日世話になったし。
そう思っていった一言だったけど、次の言葉で一蹴された。
「あいつは僕一人で十分だから大丈夫。
持久力ないけど瞬発力はここでやる毎年の花火大会や花見で鍛えられてっから
半日くらいなら何万人でもどんとこいよ!
てか君はたっちゃんより手伝うべき相手がいるでしょ。」
「うっ…なぁ、どうしたら昭島駅のこともっとわかるようになると思う?」
今日のことでちょっと気付いた。多分、俺はもっと色々知らなきゃいけない。
西立川駅は一瞬目を丸くすると、へらっと笑っていった。
「愛、かな〜。」
あまりの気障な物言いに思わず手元の草をちぎって投げつけたけど、
それが当る前に西立川駅は姿を消してしまった。 <> 駅擬人化 拝×昭 9/9<>sage<>2009/05/16(土) 19:07:45 ID:3EZzPCYY0<> 中途半端ですみません。
 ____________
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 | | □ STOP.       | |
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 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) いつかまた機会があれば…
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> ゲ仁ソ 特異×八部 0/5<>sage<>2009/05/16(土) 21:06:09 ID:o3wAm+dH0<> 初投稿失礼します。ゲイニソコンビ越えカプ。
エロくはないです。


                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |   中途リアル特異×100-1八部だモナー
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|   二番煎じらしいよ
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 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> ゲ仁ソ 特異×八部 1/5<>sage<>2009/05/16(土) 21:07:11 ID:o3wAm+dH0<> このまま堕ちていって、戻れなくなってしまうんだろうな、と漠然と思った。
いつもふわふわと笑って、舌っ足らずな喋り方をして。
好かれることは多い人なのだろうけれど。
「何考えてるん」
「なんもないよ」
二人とも口数が多い方じゃない。
居心地はいいけれど微妙な距離感が、二人の間に確かに存在する。
でも、これ以上あなたに近付いてしまったら、僕はあなたを壊してしまうだろう。
「何、考えてんの」
「なんにも」
あなたは煙草の匂いがする。
あなたの居ない所で同じ匂いがするだけで、胸がぎゅっと苦しくなる。
「ねぇ」
僕と目が合うと、優しくふわりと笑ってくれる。
「好きやよ」
そう言って、あなたの肩に頭を預けた。
好き。あなたは滅多に言わないけど、この言葉を使うとき、一番幸せそうな顔をする。
年上なのに、そんな時には幼い子供のように見える。 <> ゲ仁ソ 特異×八部 2/5<>sage<>2009/05/16(土) 21:07:55 ID:o3wAm+dH0<> 「いきなり何やのよ」
あなたは笑う。
言葉自体は冷たくても、あなたの声はこんなにも優しい。
口では嫌がるのに、いつも照れたようにあなたは笑うんだ。
「なんもない。ただこうしてたいの」
そう言うと、あなたはガキかお前は、なんて笑って、僕に同じく頭を寄せて来た。
長めの髪が頬に触れて、少しくすぐったい。
でも、あなたに体を預けるのは心地好くて、自然と目を閉じてしまう。
こんな風に二人で、何も言わずに過ごす時間が、僕にとっての全てなのかも知れない。
目を閉じて、あなたの体温と時計の秒針の音だけを感じていると、いつか二人の境界が溶けていくような錯覚をすることがある。
布越しに伝わる遠慮がちなあなたの熱は、あなたの無垢を裏付ける代わりに、僕の劣情をも煽る。
「義.実」
柔らかい声が、あなたを通して僕の頭の中で優しく響く。 <> ゲ仁ソ 特異×八部 3/5<>sage<>2009/05/16(土) 21:08:46 ID:o3wAm+dH0<> あなたの喉仏が言葉と一緒に上下するのを、目を閉じた僕は容易に想像することが出来る。
「ん、なに」
あなたが僕のことを名前で呼ぶのは、初めてだ。
だから少しだけ、胸がどきどきした。
「…呼んでみたかっただけ」
あなたは僕を横目で見て、また、ふわりと微笑んだ。
それがあまりにも美しくて、眩しくて、思わず目を伏せてしまった。
心配そうな声が頭上から降ってくる。
「…嫌やった?」
見上げると、首を傾げてこっちを覗き込む顔が近くにあった。
「全然。嬉しかった」
あなたをぎゅっと抱き締めて、頬にキスをした。
「よかった」
長い腕が僕の背に回される。
この瞬間はいつだって、あなたを一番近くで感じられる。
「何、考えてるん」
「こんなに幸せで罰が当たらへんかなって」
いつもはこういうことを言うと馬鹿にするくせに、今日はただ、そうやねぇ、と抱き締め返してくれた。
「ねぇ」
「うん」
あなたに触れていると、柔らかくて温かくて、眠ってしまいそうになる。
だから、その前に。
「言うてよ、今日くらい。好きってさ <> ゲ仁ソ 特異×八部 4/5<>sage<>2009/05/16(土) 21:09:34 ID:o3wAm+dH0<> あなたの言う「好き」は、言葉にならない程優しいから。
「…好きや」
ためらいがちなあなたの唇が、
「あいしてる、義.実」
僕の名前を呼んだ。
愛している、と言った。
「何、泣いてんねん」
「なんでもない」
言われるまで気付かなかったけれど、僕は涙を流していた。
カッコ悪くて袖で拭うと、あなたが子供を見るように笑った。

あなたの優しさは、少しずるい。
いつもあなたは僕よりずっと大人で、あなたと一緒にいるとき、僕はまるで小さな子供だ。
「ねぇ、ねぇ」
「ん」
「俺ね、」
あなたが居ないと、駄目なんだ。
伝えたいことがたくさんあるのに、伝え方がわからない。
「…俺もやで」
あなたが笑う。
僕が言いたかったことばをあなたは最初から知っていて、
僕が一番欲しいことばを、あなたはさらりと言ってしまう。 <> ゲ仁ソ 特異×八部 5/5<>sage<>2009/05/16(土) 21:10:21 ID:o3wAm+dH0<> 「…ずるいわ、矢.部さん」
それは嬉しいけど、少し苦しい。
「…せやね」
あなたの手が、僕の頬に触れる。
僕が見上げると、静かな水面のようなあなたの目があった。
あなたはそれ以上何も言わずに、ゆっくりと唇を合わせてきた。
いつものベタベタした甘いのじゃなくて、どこからか寂しさが込み上げて来るような。
息が苦しくなって、ようやく離れたそのあとも、しばらくは二人とも何も言わなかった。
ただ、並んでソファに座って、時を過ごした。
「…なぁ、義.実」
「…うん」
なんだか、妙な背徳感に襲われる。
「…どこにも、行かんでな」
あなたが呟いた。
遠くの一点を見つめているように見えるあなたの目。
吐き出された言葉は、やけに孤独な響きをしていた。
あんなキスをした後だから?
分からないけれど。
「…行かんよ、どこにも」
僕とあなたの間には、境界線がある。
あなたは確かに僕の側へ侵入してきたはずなのに、
僕は今、初めてあなたを遠くに感じていた。 <> ゲ仁ソ 特異×八部 6/5<>sage<>2009/05/16(土) 21:12:07 ID:o3wAm+dH0<> なんか不完全燃焼ですいません

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 | | □ STOP.       | |
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 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/16(土) 22:26:41 ID:NxXRWw7P0<> >>109
うわー! 飴話見て彼らの可愛さに当てられてたんで待ってました!
GJっす!

>>117
姐さんの投下がキッカケで彼らに目覚めたよ! ありがとでした!

>>118
多摩きたー!!!! 拝島、ガンガレ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/16(土) 23:08:13 ID:rc4jgvE+0<> >>118
他地方在住でその辺りの地理は全く分からないんだけど、キュンキュンきた…!
飄々とした脇役キャラスキーとしては、西立川駅に萌える <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/16(土) 23:19:23 ID:9PcBclra0<> >>129
何かぐっときた。
こういう感じ好きです。GJでした。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/16(土) 23:24:37 ID:NQKTkfMw0<> >>118
GJ。昭島可愛いよ昭島
立川にもそんな辛い過去があったなんて…
今後はきっと、青梅線乗る度にニヨニヨしてしまうよ…! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/16(土) 23:38:49 ID:2d9JTmLc0<> >>118
GJ!地元ネタw
西立川のキャラが好きだww
拝島も昭島もかわいいわー。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/16(土) 23:54:03 ID:Bhw/KjuW0<> >>118
萌え抜きにしても面白かったよ!
青梅線乗ったことないけど俄然興味わいてきたw
立川にもそんなかわいいところあったなんて! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/17(日) 00:17:27 ID:TpBXL214O<> 法律といい駅といい、最近の擬人化レベルたけえ…
ものすごく素敵だよーありがとう! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/17(日) 00:27:50 ID:MTo2IS7nO<> オリジ高校生もの801未満です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/17(日) 00:34:44 ID:MTo2IS7nO<> 退屈な授業中、抜けるように青い空を眺めていた。
頭の上をカテイホウカコやらミライカンリョウやらが飛び交っていたが、クラスの半分も聞いていなかった(ような気がする)。
意欲だとか気合いだとかがあれば眠くなることはない、なんて先生は言ってたけど、そんなわけがない。
だったら隣の席の青木やら斜め前の谷川さんやらが舟を漕いでいることはどうやって説明するというのだ。
二人ともうちのクラスの五本の指には入る成績だし、やる気がないなんて俺には逆立ちしたって言えない。
つまり、この眠気はやる気とは微塵も関係ないのだ。第一、あいつらが起きてられないのに成績中の下の俺が起きてられるわけがない。
悪いのは俺じゃなく、この上天気に違いなかった。
俺は頭と肩を机に預け、窓の方を向いた。春の心地好い風が顔をなでた。こんなに気持ちのいい日に勉強に集中できるなんて奴はなかなかいない。
そうでなくとも運動部は最後の大会のシーズンなのだ。斜め前でついに突っ伏してしまった谷川さんは、たしか女子バレーのエースだ。
バレー部は昨日壮絶な接戦の末に地区大会三位を勝ち取り、県大会出場を決めたと聞いた。そりゃあ授業も寝るというものだ。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/17(日) 00:35:15 ID:MTo2IS7nO<> (あーあ、俺も野球がやれりゃなあ。)
なんとなく隣で未だに舟を漕ぐ青木を見た。
こいつが野球部のキャプテンで、おまけに四番だ。こんな奴が。
悪いが、俺の方がよっぽど上手い自信があった。
というか、野球ならこの学校の誰よりも上手いという自信が俺にはある。
(くそっ、こんな膝さえなかったら今ごろ俺はこんなとこにはいなかったんだ。)
無性にいらいらした。青木は何も悪くないというのに。申し訳なくなって、無理矢理青木から目を背けた。と、先生とばっちり目が合った。
あ、まずい。思ったときには遅かった。
「よし、じゃあ澤村。ここに入る前置詞は?」
最悪だ。ここと言われてもどこの話かすらわからない。前置詞、前置詞というと…
「…with?」
「うん、正解。よく予習してきてるな」
ラッキー!心の中でガッツポーズをしながら席に着くと、いつのまに起きたんだか、青木がこっちを見てにやついていた。
「澤村、お前今の適当に言っただろ」
「うるせえ」
舟漕いでた奴に言われたくないね、と付け足すと何で知ってるんだよ、と青木は慌てたような声を出した。
それを見て俺は笑った。いい奴なのだ。そんなことはとっくに知っていた。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/17(日) 00:36:20 ID:MTo2IS7nO<> *

四月の終わりとはいえ、夕方になると案外冷える。昇降口から数歩歩いたところでカッターシャツ一枚では寒いことに気付いた。
未だに未練がましく使っている中学時代のエナメルバッグに適当に突っ込んであった学ランを引っ張り出してその上に羽織った。
少し遠回りして帰るつもりだった。いつもの道だと野球部が練習している河川敷のグラウンドの横を通らなきゃならない。
なんだか今日は野球を見たい気分ではなかった。帰ったらナイターじゃなくてたまには母さんの好きなドラマを見せてあげよう。
そう決心して歩き出したときだった。
「おーい、澤村!」
後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
振り返ってみるとやはりそこにいたのは青木だった。
「青木、お前練習は?」
こっちはお前らを見たくないためにわざわざ遠回りして帰るのだというのに。
「あ、休み休み。珍しいだろ?
それより澤村、お前方向一緒だったんだな。一緒に帰ろうぜ!」
最悪だ。今日はとことん運がない。なんでわざわざ遠回りして青木なんぞと一緒に帰らにゃならんのだ。
悪いが断る、と言いかけたときにはもう青木はそこにはいなかった。
ずいぶん前の方で澤村早く、なんて手を振っている。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/17(日) 00:37:21 ID:MTo2IS7nO<> なんだか断るのも面倒になって歩き出した。どうせ今日限りのことだ。たまには遠回りして帰るくらいのことしたっていいだろう。
手を振る青木のところまで行って、一緒に歩き出すと、満面の笑みで話しかけられた。
「なあ澤村、俺今超嬉しい!」
「はあ?」
こいつは頭はいいけど、ときどき話がわけわかんないときがある。なんの話だ。
「澤村とこうやって一緒に帰れるなんてさあ、夢みたいだ!」
「はあ?俺?」
ぎょっとなって思わず聞き返した。なんで俺と一緒に帰ることが夢のようなんだ。
「そう、お前!
俺さあ、お前に憧れてたんだよね、西中のエースで四番、お前だろ?
絶対私立の強いとこ行くんだと思ってたらおんなじ学校なんだもんな!
なんで野球やめちゃったんだよ?」
どくん、と心臓が音をたてた。思わず足をとめた。
青木が怪訝そうに俺の名を呼ぶ。
「澤村?」
「怪我だよ。
引退後の二月だ、もう行く高校も決まってた。
なのに俺は信号無視の酔っぱらいに跳ねられた。
日常生活には困りませんが、野球は諦めてください、だとよ。」
自嘲が口をついてでた。だからこいつとあまり話したくなかったんだ。
いつか聞かれるような気がしてた。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/17(日) 00:38:17 ID:MTo2IS7nO<> こいつは何一つ悪いことなんかしちゃいない。
わかってはいるが、この話題にはどうしても触れられたくなかった。
俺が心の中でそんなことを考えていると、青木がでかい体を丸めて言った。
「な、なんか…ごめん…。」
まるで犬みたいで、思わず噴き出してしまった。やっぱりこいつはいい奴だ。
青木は少し不思議そうな顔をした。
「いや、お前はなんも悪くないよ。
俺こそごめんな、まだこの話題に軽い反応できなくてさ」
お詫びにコロッケおごってやるよ、と付け加えると、青木はぱっと顔をあげた。
「まじで!? …じゃなくて、いいよ、俺がおごる!
ごめんな、澤村」
その様子もまさに犬で、俺はまた笑った。
「謝らなくていいし、黙っておごられとけばいいんだよ。
俺のファンサービスなんだから。」
にやっと笑ってそう言うと、青木は一瞬びっくりしたような顔をした。それから顔を真っ赤にして俺に抱きついた。
「澤村超いい奴!大好き!」
犬より単純なやつだと思った。しかしなんだかちょっと可愛い気がしてきたから不思議だ。
ただしもちろん俺が奴を暑苦しいってぶん殴ったのは言うまでもないが。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/17(日) 00:38:55 ID:MTo2IS7nO<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

お粗末さまでした! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/17(日) 00:46:13 ID:8t9ZRCBMP<> 主人公の不真面目さと、周りへのひがみっぽさがDQN? って最初思ったけど
そのひがみには理由があったところでほほうとさせられました
友人同士の尊敬関係が青春って感じですね。 GJ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/17(日) 01:27:05 ID:ogCnt1/UO<> 立川でいちばんいらない子は南武線だよ!
ちなみに川崎駅でもいらない子だよ!

と言ってみるテスト。指くわえて大きい兄ちゃんたちを眺めてるがいいさ!
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/17(日) 09:31:59 ID:m2n1699p0<> >118
地元線北!!
西立川かわいいよ西立川
いつかMY地元駅も出てくるだろうかww
ローカルな店の名前とかnrnrしたよ、GJ!! <> 臼い貼る 元893←金髪 熱 0/4<>sage<>2009/05/17(日) 17:00:12 ID:DHCfZvfp0<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  半ナマ 歌謡ドラマ 臼い貼るより
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  元893←金髪です。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )    
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  | <> 臼い貼る 元893←金髪 熱 1/4<>sage<>2009/05/17(日) 17:00:50 ID:DHCfZvfp0<> いい加減読み飽きた雑誌を放り投げてぐるりと首を回すと、部屋の奥に転がっているでかい生き物が目に入った。
そいつはつい15分ほど前、昨日と大体同じ時間に帰ってきて、昨日と同じように水道水をコップで2杯。
それからコンビニ袋から出したおにぎりと、テーブルの上に放置されていたつまみをいくつか咀嚼した後、
昨日と同じ場所にごろりと横になった。
昨日、と言ったけれど、一昨日だってその前だって全く同じだ。
この部屋で、食う、寝る以外にすることがないらしいこの同居人は、毎晩同じルートで床に着く。
このオッサンのどこがいいのか、毎日やたらめったら話し掛けたがる女も今日は留守で、
そうなるとこいつは声すら発しない。

「なあ」
テーブルに頬杖をついて、まだ眠ってはいないであろう後ろ頭に話し掛ける。
返事がないのは予想の範疇。
少しは癪に障るけれど、慣れてきたのも事実だ。
「あの金、どうやって稼いだの」
東京湾に沈められる寸前の俺を救った30万。我関せずを貫いていたこいつが突然放り投げてきた30万。
変な金だとは言っていたけれど、どんないわくが付いていようとも金は金だ。
俺はそれを手に入れる方法を毎日探して、それで度々ひどい目に遭っているのだ。 <> 臼い貼る 元893←金髪 熱 2/4<>sage<>2009/05/17(日) 17:01:25 ID:DHCfZvfp0<> 「まあ“稼いだ”っつう感じじゃねえんだろうけど。どうやったらいきなり30万も手に入んだよ。
手っ取り早い方法、あんなら教えてよ」
男は当然のように答えない、どころか、こちらを見ることすらしない。
まるで聞こえていないかのような態度に、慣れたつもりでもやはり段々腹が立ってくる。
「おい、起きてんだろおっさん!返事くらいしろよ!」
痺れを切らして大きな声を出すと、巨体は首だけをぐるりと回してこちらを見た。
…う、やっぱり目が合うと怖え。絶対ヤ9ザだって、こいつ。

一瞬怯んだ俺を見て、そいつはフン、と鼻で笑うと、またぐるりと顔を背けてしまった。
「…んだよ。なんか言えよ」
「てめえみたいなチビは、二丁目で立ちんぼでもやった方が早いんじゃねえか」
「ああ!?」
やっと出た言葉は、事もあろうか俺が一番言われたくない単語を含んでいて、つい頭に血が上る。

おい、今チビって言ったなてめえ。人が気にしてることを。
つうかてめえがでかすぎるんだろ、このデクノボウ。やるかコラ。

…なんて絶対に言えない言葉を全部飲み込んで、チッと舌打ちをする。
ああもう、一から十まで腹が立つ。
もういいやと、さっき投げたばかりの雑誌に手を伸ばしかけて、浮かんだ別の考えに手を止めた。

…ちょっとからかってやろうか。 <> 臼い貼る 元893←金髪 熱 3/4<>sage<>2009/05/17(日) 17:01:55 ID:DHCfZvfp0<> 「何、おっさん、そういう目で俺のこと見てるわけ?」
面白がるようにそう言うと、少しの間の後これみよがしに長い溜め息を吐かれた。
思いっきりバカにされているって事はいくら俺がバカでもわかる。
が、退屈しのぎと憂さ晴らしの方法が他に思い付かない。
「なんだったら抜いてやってもいいぜ。おっさんには30万分借りがあるからなあ。サービスしなきゃ割に合わないっしょ」
言いながら立ち上がって、そいつの寝床に近付く。
傍らにしゃがみ込んで耳元に唇を寄せ、触れそうなくらいスレスレの距離で囁くように声を出した。
「なあ、溜まってんだろ?」
わざと息を吹き掛けながら言うと、おっさんの体がビクッと跳ねた。
予想通りの反応に吹き出しそうになった、瞬間、強い力に下顎を掴まれる。

―やばい、と思った次の瞬間にはぐらりと世界が反転して、後頭部に打ち付けられるような痛みが響いた。
え、今、何が起きた。
思わず閉じてしまった目を恐る恐る開けると、眼前には鬼の形相があって、その鬼は俺を組み敷いて両手をきつく掴み上げていた。

―いや、ほんの冗談でした。すみません。やめて。助けて。

頭の中の言葉が声になって出て来ない。
全身が固まったように動かなくて、ただじっと、自分に跨がったままの鬼と見詰め合う。
正確に言うと、睨まれている。
無理、本気で怖い。

たぶんほんの数秒、けれどやたら長く感じる沈黙の後、鬼の顔が降りてきた。
左頬のすぐ横を通過して、耳に生温い息が触れる。
―喰われる。そう思った瞬間、どうしてか、固まった体に一気に熱が広がった。 <> 臼い貼る 元893←金髪 熱 4/4<>sage<>2009/05/17(日) 17:02:26 ID:DHCfZvfp0<> 「そうやって調子乗ってると、そのうち本当に沈められるぞ、ガキ」
鬼は耳元でそれだけ言うと、あっけなく離れていった。
しばし呆然としていた俺は、突然体に走った原因不明の熱をゆっくり逃がしてから起き上がる。
「…なんなんだよ…」
呟いて、さっきと同じように壁を向いて寝転んでしまったおっさんの背を盗み見た。
僅かながら、肩が規則正しく上下しているのがわかる。
今度こそ本当に眠ってしまったのかもしれない。

さっき、熱が離れる前、こいつの唇が降りてきた時。
ほんの一瞬だけ、その先を見たいと思ってしまった。
よくわからないけれど、俺は確かに何かを期待した。
人間本当に身の危険を感じると感覚がおかしくなるのだろうか。
たとえば殺されそうな時って、さっきみたいに体が熱くなって、早く殺して、みたいに思うのだろうか。
…いや、ないよな。それじゃ変態だ。じゃあなんなんだ、さっきのは。
少しだけ考えたけれど、すぐにめんどくさくなって敷きっ放しの布団に潜り込んだ。
眠って全部忘れよう。
考えて答えが出ても、なんだかろくなことにならない気がするから。 <> 臼い貼る 元893←金髪 熱 END<>sage<>2009/05/17(日) 17:03:39 ID:DHCfZvfp0<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 失礼しました。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/17(日) 17:31:27 ID:/T4cm+jV0<> >154
ウヒョーまさかの元893←金髪!!!
金髪かわいすぎる GJです! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/17(日) 17:32:57 ID:kuHiDqmB0<> 生注意
高学歴ゲイニソ 炉算 京大×大阪府大

飴話「愛.方」の回でこのふたりに転んだ全国の姐さん方に捧げます


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
<> 金曜日に変わった直後 1/5<>sage<>2009/05/17(日) 17:36:36 ID:kuHiDqmB0<> 『×××××見ましたよ!相変わらずラブラブじゃないですか〜』
『ちょお!全国ネットであんな告白してもええんですか!?』

東京で放送が終わった直後から、後輩たちから続々と入ってくるメール。
大阪府大はボタンに指を置き、画面を次々に切り替えながら届いた文面を読んでいく。
ガラスのテーブルに置いてあるもう一つの携帯。
マナーモードになっているそれがヴィィィン、ヴィィィンと2度振動した。
大阪府大はチラッとそちらを見たが、すぐに視線を元の位置に戻し、自分の手の中にある携帯のキーをカカッ、カカカッと押し始めた。

大阪府大が送信ボタンを押すと当時に、リビングの扉が開いた。
「すが〜、シャワー空いたで〜」
間延びした声の主は、タオルで短い髪をわしゃわしゃと拭きながら、バスローブ姿で中へと入ってきた。
「うじー、メール来てたで」
「メール?誰からやろ」
京大は小首を傾げながらテーブルの方へ歩みより、そこに置いてあった自分の携帯を手に取った。
「んー、ああ、東京はこっちより放送早いんやったな」
どうやら京大に来たメールも、大阪府大に来たメールと同様のものだったらしい。
誰からなん?と大阪府大が尋ねると、先程自分にメールを送ってきたのと同じ後輩の名前が返ってきた。
ちなみに出身は関西だが、現在は東京在住の男である。
リアルタイムで番組を視聴し、その直後にふたりにそれぞれ別々にメールを送ってくるところを見ると、今日はもう家に帰っているのだろうか。夜遊び好きで知られているヤツにしては珍しいことだ。
<> 金曜日に変わった直後 2/5<>sage<>2009/05/17(日) 17:37:33 ID:kuHiDqmB0<> 「なんやあいつ、おまえにもメール送ってんか。暇なヤツやなー。で、返信したん?」
「たった今したで」
「何て?」
「『こっちは今放送あってる最中や。先にオチバラすな、アホ』て」
「黒い!黒いで〜、すがちゃん!」
京大は苦笑いを浮かべながら、ソファーに座る相方の隣に腰を下ろした。
「冗談や。そんなん送ってどないすんねん」
大阪府大は白い歯を見せてケタケタ笑う。
「でもまぁこの番組に限ったことやないけど、全国ネット言うたかて、地域で放送時間がずれることはままあるんやから、そこは配慮してもらいたいよなー」
「せやな」
そう言って二人は、目の前に鎮座するテレビの液晶画面に目を遣った。
先日自分たちが出演し、ラブラブぶりを余すところなく見せ付けた某番組が、東京とは約1時間遅れで放送中であった。

それからしばらくの間、互いに寄り添うようにソファーに座り、大阪府大も京大も無言でテレビ画面を眺めていた。
テレビの中ではちょうど、大阪府大が京大の好きなところを熱く語っている最中であった。
「なぁ、うじ」
視線は前方に固定したまま、大阪府大が口を開く。
「何や?」
京大も肩にもたれかかる相方の方を向くことなく、短い言葉だけで応答する。
「俺、どうしてもわからんことが一つあんねん」
「うん?」
「さっきあいつからメールもろたて言うたやろ」
あいつ、とは先程京大にもメールを送ってきた、例の後輩のことだ。
「うん」
「あいつな、『全国ネットでこれはちょっとやりすぎたんとちゃいます?』って言ってきてん」
「あー、あいつ、俺に送ってきたのにも同じようなこと書いとったわ」

「これ、やりすぎなんか?」
「え?別に、普通なんとちゃう?」
「やんなあ」 <> 金曜日に変わった直後 3/5<>sage<>2009/05/17(日) 17:38:23 ID:kuHiDqmB0<> 会話はさらに淡々と続く。

「あとな、もう一つうじに聞きたいことあんねん」
「うん」
「これの打ち合わせん時、スタッフに『ちょっと大げさすぎるくらいの言い方や動きをするように心がけて下さい』って釘さされたやろ?」
「言われたなあ。『がっつりコントのノリでお願いします』とかな」
トーク番組でいくら台本がないと言えど、一応大まかな流れは存在するしリハーサルも行う。
視聴率獲得のため、多少の演出を制作側に求められるのは当然の話だ。

「おまえこれ、大げさに言うたりしたりしてるんか?」
「いやあ、全然。素のまんま…いやちゃうな、むしろその逆で、抑えてた方やけど?」
「やんなあ。俺だって、いらんことべらべら喋らんようにて、抑えてんもんなあ」

「……………」
「……………」
ふたりとも口にこそ出さなかったが、それぞれ頭の中では思っていた。
これは、漫才のネタにすればダダすべりに違いない、と。
なんせどちらもボケまくり(にしか見えない)で、互いにツッコむところがないのだから。 <> 金曜日に変わった直後 4/5<>sage<>2009/05/17(日) 17:39:09 ID:kuHiDqmB0<> 「…うじ。俺、その、別にネタ振ったわけやないで?」
沈黙を気まずく思った大阪府大が、ほんのり頬を染めて京大を見上げる。
「わかっとるよ。そんな弁明せんかてええわ」
その上目遣いが、あいも変わらず愛くるしく、京大は大阪府大の瞼にちゅっ、と口づけを落とす。
「少なくとも俺たちにとっては、逆にコントのノリやと思ってもらった方が都合ええやろ?テレビではこんくらい抑えるぐらいでちょうどええねん」
「うん……あっ」
京大が大阪府大の首筋に唇を寄せ、軽く吸った。
弱いところを攻められて、大阪府大の体がビクンと跳ねる。
「けどな、本音言うたら実はそんなことないねん。俺たちは相思相愛や、菅は身も心も全部俺のもんやて、もっともっと言いふらしたり見せつけたりしたい気持ちもあるんや」
京大はゆっくりと大阪府大をソファーに押し倒す。
シャツをまくりあげ、親指の腹で乳首を弄れば、そこはすぐに硬くなりぷっくりと膨れ上がった。
「あっ、うじぃ……あかん、そんなん…」
「だからって俺らがこんなんしとるの…いや、その前におまえのこんなイヤラシイ姿、公共の電波に乗せるわけにはいかんもんな」
「なっ…そっ、そんなん俺かてイヤや!お前以外に見せるとか、じゃなくて、こんなんお客さんに見せれるわけないやろ!!」
かあっと赤くなり声を荒げる大阪府大に、京大は思わずふきだしてしまいそうになるのを必死でこらえた。
「やんなあ。お客さんもこんな風には笑ってくれへんよ。多分絶対ドン引きや」
つけっぱなしのテレビから断続的に上がる笑い声。
もちろんあの日の収録を観覧していた客の声に相違ない。
だけど―――。 <> 金曜日に変わった直後 5/5<>sage<>2009/05/17(日) 17:39:58 ID:kuHiDqmB0<> 「……うーちゃん」
「うん?」
大阪府大はふたりきりになり甘えモードに入ると、例外なく京大を『うーちゃん』と呼ぶ。
相方のスイッチが入ったことに気づいた京大は、大阪府大の胸の辺りを執拗に愛撫していた舌の動きを止め、顔を上げた。
「テレビ、消してや」
「何で?先に見よったんはおまえやろ」
「そらそうやけど……何や、逆に見られてるみたいでイヤや。集中できひん」
大阪府大は近くにあったクッションを顔の辺りに引き寄せて、少し潤んだ瞳で京大を見つめながら懇願する。
《ああ、もうこいつときたら何でこんなにかわいいんや。そんな顔されたら俺、敵わへんよ、すがちゃん》
京大はふうっと溜め息をついて、大阪府大に覆い被さっていた上体を起こす。
「ほんなら、寝室行くか?」
「…うん」
大阪府大はふわりと微笑んで、両腕を京大の方へ突き出した。
「うーちゃん、抱っこ」
「もう、相変わらずめっちゃ甘えたやなー、すがちゃんは」
そんなことを言いつつも、言葉の響きはちっとも嫌そうには聞こえない。
京大はくすくす笑いながら、大阪府大の体躯をよいしょっと抱き上げた。
男同士とはいえ、京大と15p差のある大阪府大の体は、抱えるにはちょうどよいサイズである。
「うーちゃん、ええ匂いする」
大阪府大は京大の首に腕を回し、顔に顔を近づけて耳元で囁く。
「いつもと同じシャンプーやん。ちゅーか、すがちゃん、シャワー浴びんでええのん?」
「ええよ、ってうーちゃん、俺がシャワー浴びる前からヤる気満々やんか」
「あ、やっぱバレた?」
「うーちゃん!」

大阪府大の大声とともにリビングの扉が閉められ、辺りには静寂が訪れ―――たわけではなかった。
ソファーの隅に置いたままの大阪府大の携帯からは、メールの着信を告げる音楽が鳴り響き、つけっぱなしのテレビの画面には、背中合わせに立つ大阪府大と京大の姿が大写しになっているところであった。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/17(日) 17:43:31 ID:kuHiDqmB0<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!



言うまでもなく妄想630%全開なんだぜ
最初飴話が大阪では1時間遅れの放送だって知らなかったんだぜ

毎度大阪府大が甘えん坊受バリバリ全開だけどいつか京大受も書いてみたいんだぜ



私信レス:前回「どっちが大事?」に感想くれた皆様、dd! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/17(日) 19:05:45 ID:b66Rd+8c0<> >>160
飴話、録画してあるだけでまだ観てないんだけど、GJ!
こないだの道案内でシャツにスケスケだった大阪府大の乳首(*´Д`)
やっぱり愛方に散々いらわれていたのか。

頼むわw >京大受

余談だが、関西弁って濡れ場になるとなんかやたらイヤらしく聞こえるよな。 <> オナホ 13-1<>sage<>2009/05/17(日) 19:33:57 ID:/+AbfWS60<>
オリジナル。現代もの。オナニー男のその後。


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


志井の父はコンドーム世界売り上げ第1位の(株)志井商事代表取締役だ。
親のコネで入社した会社で、志井は常務としてオナホール部門を率いていた。
だが莫大な開発費を投じた1デイズの使い捨てオナホの売り上げが国外で伸び悩み、
志井商事は不採算事業であるオナホ部門をオナホール世界シェア第1位の
コール社(本社:ドイツ/インゲルハイム)に売却した。
現在、志井の下で働いていた5人の優秀なオナホ職人たちは、皆インゲルハイムの研究所に勤務している。
コール社が志井商事のオナホ部門を買い取る条件の1つが、彼ら全員のコール社移籍だったからだ。
5人がそろって移籍を決意したのは5人で研究を続けたかったからにつきる。
決してコール社が彼らに提示した金額の高さだけではない。
志井は部下たちを見送り、売買契約の書面作成や押印までの最終調整、
合意後の速やかな事業継承に向けたスケジュール作成などを終えた後、
一連の責任をとり常務を辞した。一時は志井商事を去ることも考えたが、
社長である父にオナニー専用コンドームの開発準備室を任され、今は室長を務めている。
<> オナホ 13-2<>sage<>2009/05/17(日) 19:36:18 ID:/+AbfWS60<> いま志井は、オナホールに挿入する際に着用する専用のコンドームの開発に夢中だ。
志井の恋人だった「中出し推奨派」の三鷹という男は、
コンドームをつけてオナホに突っ込むのは無粋だと主張した。
けれどオナホとコンドームを併用し、ご自愛をするといい事がたくさんある。
オナホを汚さないから衛生的だし後片付けもらくちんだ。
オナニー後、甘美なけだるさに浸っていたい気持ちに折り合いをつけて、
死んだ精子が付着したオナホを洗っているときのむなしさを志井は知っている。
それだけじゃない。洗った後は乾かさなければいけない。干されたオナホは男の抜け殻みたいだ。
出すまでは悪くない。なのに出した後がわびしい。こんなのは嫌だ。
毎日もっと颯爽とオナニーをしたい。だから志井は1デイズの使い捨てオナホをつくった。
オナニーは後ろめたいものでも薄暗いものでもない。
いたって健全な男の楽しみだ。ごく当たり前な行為だ。そのはずだ。
1デイズの使い捨てに勝る衛生的かつ颯爽と使えるオナホはない。そう信じて開発に勤しんだ。
しかしながら時代がエコモードの昨今、オナホを毎日使い捨てるという案はノーグッドで、
志井らが開発したオナホは志井商事の主力商品にはなりえなかった。
コール社の数ある商品のうちのひとつとして、
「1デイズ使い捨てオナホ」の製造レーンは残っているが
世界的に需要があるかと言えば爆発的には無い。
<> オナホ 13-3<>sage<>2009/05/17(日) 19:37:02 ID:/+AbfWS60<> コスト的にもオナホを使い捨てるのは正直厳しい。ならば薄皮を一枚脱ぎ捨てればいい。
捨てるのはオナホではなくコンドームだ。オナホとコンドームを併用してオナニーをする。
そうすれば射精後、先っぽに白濁の溜まったコンドームを捨てたら仕舞いだ。
オナホの洗浄というむなしい後始末をせずにすむうえ、
より衛生的にオナニーにふけることが可能になる!
何よりコンドームのもたらす着圧とオナホの内壁の形状が、
素手で剥き身のペニスをしごくだけでは得られない快感をもたらしてくれる。
射精という大ヤマに向かってカタルシスが邁進していくのだ。
そういうわけで志井商事はコール社と共同で新型オナホとオナニー専用コンドームの開発をはじめ、
志井は研究と実験をかねてオナニーに励んでいる。
どんな形状のオナホにどんな素材のコンドームをあわせれば、神の穴になるのか?
永遠の命題の解を求めて、日々くりかえす自慰はセックスよりも楽しい。
探りたいのはオナニーの深遠。夢は着けた方が気持ちいいオナ専コンドームの具現化だ。
<> オナホ 13-4<>sage<>2009/05/17(日) 19:37:43 ID:/+AbfWS60<>
志井の下半身はハードボイルドでノワール的だ。
オナニーをこよなく愛している志井は、日々夜々アスリートのようにオナニーをする。
その姿勢はやや病的だ。恋人だった三鷹という男に去られてから、
志井は以前にもましてオナニーに打ち込むようになった。
三鷹は化繊と植毛のスペシャリストだ。
志井が開発に携わっていた1デイズの使い捨てオナホの内部に、
ペニスをまんべんなく刺激する「長さと硬さが異なる極細繊維の束」を生やしてくれた。
もともと二人は単なるセフレだったが、
志井ともっと深まりあいたいと思った三鷹が志井を口説き落とした。
三鷹の目に映る志井は拒絶のオーラと魅惑の光を同時に発していた。
ベッドや布団に「身体を受け止められる感じ」が嫌いなのだと寝袋を常用し、
80uの2LDKには、オナニー専用のリクライニングチェア以外は、
ダイニングテーブルと付属の椅子しか置かないなど奇異な面も多々あったが、
無口で無愛想なくせに、セフレが必需品な程度に遊びなれていたし、
下戸そうに見えて、自分の好みを知っているくらいには酒もたしなむあたりは、
根が遊び人の三鷹的に好ましかった。何より、志井の少女マンガの世界の住人めいたキレイな顔には
最初から、ちょっとした好意以上の気持ちを抱いていた。
<> オナホ 13-5<>sage<>2009/05/17(日) 19:38:15 ID:/+AbfWS60<> とはいえ、携帯している黒革の手帳には、世界各国の主要メーカーのオナホの発売日が記され、
買い忘れることなく購入してはオナニーにふけるほど、セックスよりオナニーが好きな
志井のファニーな個性は、「顔のアップがもう滅茶苦茶キレイ」なぐらいでは、
ごまかしきれない程に痛く滑稽だった。
理解することは容易ではない。三鷹は志井を知ってそう思った。
そう思ったら、理解したくなった。もっと志井を知りたくなった。
絡みにくい男だが、たまらなくかまいたくなった。だから口説いた。
そうして志井は口説き落とされ、三鷹と三鷹の巧みなセックスが大好きになった。
三鷹が運命のひとに巡り合ったのは、志井が三鷹との仲に永遠を感じはじめた頃だ。
まことの深みとか誠実さだとかそういうものが自分に欠けていることは、
百も承知で三鷹は志井にバイバイを言った。
二人の仲に終わりが生じたのは、ひとつの恋愛としてちゃんと成立していたからだ。
適当につきあっていたら、きっとしまりのない別れ方をしていただろう。
<> オナホ 13-6<>sage<>2009/05/17(日) 19:38:43 ID:/+AbfWS60<> 互いに相手をめいらせるような倦怠期が訪れるよりはやく、三鷹の心が変わったのは、
志井にとっては不運だったけれど、運命の相手だと確信できる男に巡り合えた三鷹は幸せだ。
その男と目があった瞬間、その一瞬が志井と過ごした数ヵ月を凌駕した。強く惹かれた。
三鷹は子供の頃、縁日でキラキラのザラメがふわふわの綿あめに変わっていく不思議に
目を奪われた事がある。三鷹が繊維の世界に身を投じたきっかけだ。
男との出会いは、その時とまったく同じで、前のめりな興奮を伴う衝撃的な出会いだった。
だから直感でわかったのだ。運命の男だと。
三鷹はいま地元金沢で蒔絵筆を作っている。
本来、蒔絵に使われる専用の筆にはネズミの背中の冬毛が使われるのだが、
鼠猟をする猟師の減少等で、蒔絵筆をつくるのに必要なネズミの毛が入手できないうえ、
筆の作り手の高齢化も進んでおり伝統的な筆は製作が困難になっている。
その為立ち上がったのが、コシが強く漆の含みのよい筆を化繊でつくるプロジェクトだ。
道具が消えれば職人も消える。地元の伝統工芸存続のために三鷹は技術者としてプロジェクトに参加した。
<> オナホ 13-7<>sage<>2009/05/17(日) 19:40:48 ID:/+AbfWS60<> 取材で輪島の若い蒔絵職人の仕事場に行った日、三鷹は志井を裏切ることを決めた。
彼の描く竹に装飾性と遊び心とアニミズムを感じた。彼の手と筆に目を奪われた。
アディダスのタオルを頭に巻き蒔絵を施している彼の横顔に、
10代の頃夢中だったバスケット漫画で精彩を放っていた、
主人公チームのシューティングガードがダブった。
はやい話、彼の外見も彼の作品も超好みど真ん中!どストライクだった。
真摯な瞳で漆器の表面に漆で竹を描いている若い男の横顔から、目が離せなかった。
片恋上等!たとえこの男と性器の結合によって歓びを共にすることができなくても、
ただ彼だけに心を寄せ続けていたいと強く思った。
この男が描きたいものを描き続けていけるよう、繊維のプロとして
何としても筆を作り上げるんだと心に決めた三鷹は志井との別れを決意した。
もう、どうしようもなかった。志井に抱いていた愛情や二人の思い出を、
ペガサスみたく軽やかに飛び越え、三鷹は若い蒔絵職人へと走った。
そういうわけで、志井はいま独り身だ。
ときどき志井は、三鷹との出会いは本当に素敵だったなと反芻する。
金色の夢をハイスペックな画素数で見ていたような数ヵ月だった。
三鷹は自分なんぞにはもったいない男だったのだと思う。
付き合っていた間、いつだって三鷹は志井を無理なく素直な気持ちにさせてくれた。
もうずっと前からあきらめていた自分の内面をまるごと受け入れてくれた。
別れたくはなかったけれど、自分と付き合い続けることが
三鷹の幸せに繋がらないなら、別れるべきだとハートでわかった。
だから志井は三鷹を見送った。後悔はしていない。
<> オナホ 13-8<>sage<>2009/05/17(日) 19:42:01 ID:/+AbfWS60<> 志井には心から打ち込める仕事がある。かけがえのない仕事があるということは、
かけがえのない伴侶がいるのと同じくらい贅沢な事だ。だから大丈夫。
それにオナニーという典雅な趣味だってある。
以前はペニスでの刺激でしかいけなかった志井だが、
交際中、三鷹がアナルを開発してくれたおかげで、いまは後の悦びだって知っている。完璧だ。
真夜中の2時につくばの研究所から帰宅し、志井は愛用のバイブを手に取った。
もっか志井は母校の名誉教授と伸縮自在の特殊フィルムの開発に取り組んでいる。
オナニーのためのコンドームを追及するのは楽しい。だが仕事のあとのオナニーはそれに勝る。
志井が手にしているのは太さと長さが三鷹とよく似た防水機能付きのバイブだ。
単4電池2個で得られるパワフルさと、フォルムが気に入っている。
志井の後孔によく馴染むバイブだ。
志井はバイブとローションのボトル3本を手にバスルームへ向かった。
志井が抱えているローションは志井の元部下で、ローション開発の世界的権威・Dr.仁科の手によるものだ。
志井の嗜好をよく知る仁科が先週、志井に1ダース送ってきたそれは
ドイツのバート・ヴィルトバート温泉の源泉をベースに、何種かのハーブと
乾いた男のアナルに最適な成分エクトインを高配合している。仁科の最新作だ。
エクトインは水分を捕らえて逃がさない。
このローションを使えば濡れないアナルに、気持ちよくバイブが入っていく。
志井は近頃とろっとろのローション風呂につかりながらする、バイブオナニーにはまっている。
バスタブにボトル3本分のローションを贅沢に投入し軽くかき混ぜながら、志井は胸を高鳴らせた。
まったりとしたお湯が志井を誘っている。だが、まだ入ってはいけない。
浸かるのは身体を清めたその後だ。
<> オナホ 13-9<>sage<>2009/05/17(日) 19:43:04 ID:/+AbfWS60<> バスチェアに座って身体を洗い、ついでにシャワーで前を刺激する。
両脚を大きく開き右手で亀頭にシャワーをザーザーあて、
左手でそこを弄っていると身体が火照ってきた。
志井の頭は一旦シャワーを弱くしろと命じたが、体がシャワーをますます強くした。
足の裏が熱い。頬が紅潮する。気持ちよくてたまらない。あっという間に勃起した。
ヘッドからお湯が束になって迸る。それが満遍なく志井の股間を気持ちよくしている。
シャワーヘッドを鈴口に近づけては喘ぎ、遠ざけては悶えをひとしきり楽しんだ後、
志井はシャワーを壁に固定し、開いた股間に心地よい水圧による刺激を受けながら
両手で思いっきりご自愛をした。オナニーの背徳性なんて知らない。羞恥心だってない。
変態でいい。三鷹がしてくれたみたいに志井は夢中で手を動かした。
悔しいけどペニスはまだ三鷹の大きな手を覚えている。これは自分の手だ。三鷹じゃない。
志井の手じゃ神の指を持つ三鷹の手には及ばない。
それでも己の気持ちよいところを知り尽くした両手に力を込めて、
三鷹が教えてくれたリズムで上下させていると直ぐに絶頂がやってきた。
股間から命が湧き出してくる。
おさえきれなかった声を風呂場中に響かせて志井は達した。息が荒い。
呼吸を落ち着かせた後、志井は死んだ精子で汚れた股間を洗い流し、
気だるい身体をローション風呂に沈めた。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/17(日) 19:57:47 ID:BjioLfUXP<> 支援? <> オナホ 13-10<>sagee<>2009/05/17(日) 20:02:36 ID:/+AbfWS60<> ハーブの新鮮な芳香に包まれながら、とろみのあるお湯に手足を伸ばす。
あっという間に志井の体は股も胴も四肢もぬるぬるになった。
志井は今しがた全力で駆け抜けるような射精をしたペニスを、
ローションをまとった左手でごく軽く3回半扱き、
「お疲れさん」と、とびきり優しくひと撫でした後、
会陰にもローションを伸ばし、会陰から後孔へと指をすべらせた。
指の腹を使い開口部にローションをなじませ行き渡らせる。
深く浅く、ローションまみれの指を出し入れしている最中唐突に、
三鷹が脚を持ち上げて深くペニスを挿れてくれたのを思い出した。体のあちこちが三鷹を覚えている。
いった直後にお掃除フェラと称して射精後の敏感なペニスを何度も吸い上げられた。
ペニスをくわえてくれた三鷹の口や、先っぽを舐めてくれた舌が頭をよぎる。
三鷹とのセックスは忘れない。忘れられない。
タマを揉まれた。お尻のほっぺたを揉まれた。右の乳首を舐められた。左の乳首を摘まれた。
お臍を舌先でくすぐられて勃起した。抱かれて揺さぶられると自然に腰が動いた。
鼻先にキスを受けた。唇を吸われた。大好きだった。
志井は股を大きく開き、ローション濡れのバイブを後孔に近づけた。
三鷹はもういない。でも思い出とバイブがある。だから独りの夜も寂しくない。
バイブを両手で静かに沈め、三倍速で引き抜く。
それからまたゆっくりと、バイブを根元まで挿入した。
ああ、とってもいいな。満たされる。
<> オナホ 13-11<>sagee<>2009/05/17(日) 20:03:09 ID:/+AbfWS60<> バイブをうごめかす度ローションにまみれた後孔が卑猥な音を放つ。
ひとしきり手動で楽しんでから、志井はバイブレーション機能をオンにした。
リズムよく押し寄せる強弱のある振動と、焦らすような優しい刺激が
かわるがわるやってくるランダムモードを選び、後孔の事はバイブにまかせる。
フリーになった両手を前にもっていき、右手でペニスを持ち左手で先端を弄りながら、
志井はソファの背に寄りかかるように浴槽にもたれた。
ローション風呂に抱かれていると心がやすらぐ。気分は羊水の海に漂う胎児だ。
バイブがちょうど、まったりモードなのも気持ちに影響しているのかもしれない。
ゆるやかな波のようにやってくる優しい揺らぎが心地よかった。
「ちょっとだけ、寝ようかなぁ……」
独り言をいい目を閉じる。まどろんでいたら突然バイブの動きが切り替わり、
メリハリのある刺激がフォルテッシモでズドーンッとでやってきた。
「アンッー!」
思わず喘がされ自嘲する。だがこれがいい。ペニスも悦んでいる。
志井は深い笑みをうかべ、内壁に染み入るようなバイブの振動をむさぼった。
自作自演でも快楽は得られる。汗ばんだ体を震わせながら、
志井は惚けた顔でマントヒヒのようにオナった。
しょせん恋愛より自愛派だ。もしもまた誰かといつか付き合えるなら、
セックスが三鷹と似てる男がいい。
<> オナホ 13-1<>sagee<>2009/05/17(日) 20:03:29 ID:/+AbfWS60<> バイブをうごめかす度ローションにまみれた後孔が卑猥な音を放つ。
ひとしきり手動で楽しんでから、志井はバイブレーション機能をオンにした。
リズムよく押し寄せる強弱のある振動と、焦らすような優しい刺激が
かわるがわるやってくるランダムモードを選び、後孔の事はバイブにまかせる。
フリーになった両手を前にもっていき、右手でペニスを持ち左手で先端を弄りながら、
志井はソファの背に寄りかかるように浴槽にもたれた。
ローション風呂に抱かれていると心がやすらぐ。気分は羊水の海に漂う胎児だ。
バイブがちょうど、まったりモードなのも気持ちに影響しているのかもしれない。
ゆるやかな波のようにやってくる優しい揺らぎが心地よかった。
「ちょっとだけ、寝ようかなぁ……」
独り言をいい目を閉じる。まどろんでいたら突然バイブの動きが切り替わり、
メリハリのある刺激がフォルテッシモでズドーンッとでやってきた。
「アンッー!」
思わず喘がされ自嘲する。だがこれがいい。ペニスも悦んでいる。
志井は深い笑みをうかべ、内壁に染み入るようなバイブの振動をむさぼった。
自作自演でも快楽は得られる。汗ばんだ体を震わせながら、
志井は惚けた顔でマントヒヒのようにオナった。
しょせん恋愛より自愛派だ。もしもまた誰かといつか付き合えるなら、
セックスが三鷹と似てる男がいい。
<> オナホ 13-12<>sagee<>2009/05/17(日) 20:03:51 ID:/+AbfWS60<> すみません。ミスりました。

ドイツと日本の時差は8時間ある。志井がオナニーにふけっていた未明、
六六六は仕事をしていた。
六六六と綴ってミロク。珍しい苗字を持つ32歳のデザイナーは、
志井の元部下で、共に1デイズの使い捨てオナホを開発した仲だ。
ドイツに引っ越す際、六六六は一日引きこもってオナニーをすることもある、
オナニー至上主義者で就寝には寝袋を愛用している4つ下の、
ファニーで不健康な元上司を日本に残していくことが気がかりだった。
六六六の目に映る志井は保護してあげないといけない子だ。
生活習慣の改善に向けて自分に出来ることがあれば何だってしてやりたかった。
ベッドで体を休めて欲しいと願い、ポケットコイル・マットレスのベッドを贈ったり、
殺風景で寒々しい部屋に憩いをと、オーガスタの鉢を贈ったりもした。
六六六の心配の種だった志井が、六六六も良く知る三鷹という男と
交際をはじめたことを知った際、異性愛者の六六六は男同士のカップリングに、
驚きを隠せなかったが、三鷹になら志井をたくせる気がした。
三鷹と一緒になる事が志井のライフスタイをきっと豊かにしてくれる。そう確信した。
だからこそ、別れたことを三鷹から聞かされたとき、志井は三鷹を殴りたくなった。
仕事中、ときどき元上司のことを思い出す。三鷹に放られ、心に傷をおってなければいいんだが……。
ニュータイプのオナホのデザイン画を前に溜息をついた六六六の顔を、
同僚の五代が「まだ悩んでんの?」と覗き込んだ。
<> オナホ 13-13<>sagee<>2009/05/17(日) 20:04:55 ID:/+AbfWS60<> 六六六の前に広がっているデザイン画は先日のミーティングで、
ボスから「大量生産できない。形状を考慮しろ」といわれたものだ。
「あんたのデザインは俺が具現化してやる。だから、あんたはOKの基準を下げんなよ」
五代はそう言い切り、六六六の肩を叩いて去っていった。
五代の言葉は嬉しかったが、先ほどの溜息はオナホとは何の関係もない。
デザイン画はたまたま広げていただけだ。
心の奥で五代にわび、六六六は気持ちをお仕事モードに切り替えた。
金型をつくり工場を動かす。五代はそのプロだ。
外見はいかにも仕事の出来なさそうなチャラい男だが、精密な金型づくりも、
巨大な工場の設計も、工場を実際に動かすオペレーターのための運転マニュアルの作成も、
天才五代はさらっとこなす。頼りになる男だ。
ちょっと形成できなさそうなデザインでも、機能的にその形がベストだと確信したら、
五代は必ず具現化してくれる。だからと言って五代に甘えていてはダメだ。
より無駄の無いデザインへとブラッシュアップさせなければ。
六六六はデザイン画に熱視線を落とした。
そうだ、このオナホの試作品ができたら、それを手土産に元上司の顔を見に行こう。
ふと思いつき六六六はそう決めた。
いつも横顔を凛と引き締めている、なかなか笑わない薄い唇が、
オナホを見てにこりとしてくれたらとても嬉しい。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
完。 投下中、連投規制にひっかかりました。
ご迷惑をおかけしてすみません。支援ありがとうございます。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/17(日) 22:50:22 ID:BV5BbXt+0<> >168
オナホ姐さん、お帰りー!!
彼らのその後が読めて嬉しかったよ
さらにその後にも期待w <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/17(日) 23:11:20 ID:MTo2IS7nO<> 昨日投下した高校生801未満の続きです。
一応青木×澤村のつもりで書いてます。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> 1/5<>sage<>2009/05/17(日) 23:12:31 ID:MTo2IS7nO<> かあん。小気味いい金属音とともに、テレビの向こうで歓声が上がった。
球はぐんぐん伸びて、ライト側フェンスに直撃した。サードランナーがホームベースを踏む。
俺は思わず立ち上がり、叫んだ。
「よっしゃあ!」
テレビの中で俺の愛する竜戦士たちが跳び跳ねていた。延長11回、やってくれると俺はもちろん思ってた。
さっきまでの暴言はちょっとした気の迷いだ。
「あら、終わったの?
 じゃあチャンネル回してよ、まだドラマやってるから」
母さんの声が台所から聞こえるが、そんなのもちろん却下だ。
「まだヒーローインタビューあるから無理!」
心の中で青木にお礼を言う。今日の帰りあいつに会わなかったら、俺はこんなに素晴らしい試合を見逃すところだった。
「放送席、放送席」
アナウンサーの声も心なしか弾んで聞こえる。お立ち台に上がったのはもちろんサヨナラのバッターだった。
マスコット人形を抱えて観客に手を振るその姿は、日本男児たる者一度は必ず憧れたことのあるものに違いなかった。
しかし、さっきのは実にいい当たりだった。テレビを眺めながら思う。
俺はホームランの感触を思い出していた。 <> 2/5<>sage<>2009/05/17(日) 23:13:30 ID:MTo2IS7nO<> 芯で捉えられたボールに重さはない。拍子抜けするくらいにあっけなく、バットときれいに反発し合うのだ。あれは本当に気持ちがいい。
そんなことを考えているうちに、ヒーローインタビューは終わった。
「母さん、何チャンネル?」
首を回して母さんに声をかけると、少し呆れたような怒ったような声が返ってきた。
「もうとっくに終わっちゃったわよ。
 野球と違って、ドラマに延長はないんだから。」
私だってたまにはテレビくらい見たいわ、とこぼしながら食器を拭く母さんに非常に申し訳なくなって、明日は母さんの好物のおはぎを買って帰ろうと心に決めた。
ただし明日もテレビは譲らないが。
「じゃあ俺、勉強するから」
言って階段を上がる俺に、母さんはどうだか、とため息をついた。親というのはさすがだ。俺はもう今日は寝るつもりだった。
明日は早く学校に着いて、今日の芸術的サヨナラについて青木と語り合おう。



「おーす、青木」
朝俺が目一杯早く(といっても始業30分前だが)教室に着くと、青木はもう席に着いて今日の予習をやっていた。
「おー澤村」
俺が声をかけるとその手を止めて、こちらを向いた。相変わらず犬みたいに人懐っこい笑顔だと思った。 <> 3/5<>sage<>2009/05/17(日) 23:14:48 ID:MTo2IS7nO<> 「昨日はサンキューな。
 お前のおかげでいいことあったわ。」
俺が言うと青木は目をまんまるにして、それから顔を真っ赤にして笑った。
「まじで!?俺、超嬉しい!」
ああ、本当に犬みたいだ。今にも尻尾を振り出しそうだった。
「俺今日落ち込んでたんだけど、今ので一発で元気出たぜ!」
立ち上がって、椅子の背越しに俺に抱きつきながらそう言う。スキンシップの過剰な奴だと思った。ますます犬っぽい。
「はあ?お前、なんか落ち込んでたのかよ。」
首と肩の間ににぐりぐりと押し付けてくる頭を手で押しやりながら訊いてやると、奴はいかにも重要なことであるかのように、言った。
「ほら、昨日巨人がサヨナラ負けしちゃったじゃん?」
はた、と俺は動きを止めた。今信じられない言葉を聞いた気がしたが、念のためもう一度確認してみる。
「…今、巨人って言ったか?」
「え、うん。」
その声が聞こえるやいなや、俺は俺の首に巻きついていた青木の腕を引き剥がし、肩に乗っていた頭を押しのけて立ち上がった。
「さ…澤村?」
青木はわけがわからないといったふうに俺を仰ぎ見ていた。こんな奴を一瞬でもいい奴だなんて思った俺が馬鹿だった。
「巨人ファンと話すことはない」 <> 4/5<>sage<>2009/05/17(日) 23:15:54 ID:MTo2IS7nO<> 俺は吐き捨てるとその場を立ち去った。
といっても、斜め前でこちらをくすくす笑いながら見ていた谷川さんのもとへ行っただけだが。
「あはは、男の子ってほんとにわけわかんないことでケンカするよね。」
そう言って笑う谷川さんはとても可愛い。そうだ、本来「可愛い」っていう単語はこういうことを言うのだ。
青木みたいなでかい野郎に使うような言葉じゃない。どうやら昨日の俺はどうかしてたようだ。
と、そんなことを考えていたからなのかもしれない、青木が背後から近寄っていたのに気付かなかった。
「澤村ぁ、お前どこのファン!?」
そんな声と同時に急に後ろを向かされて、ひっ、という間抜けな声が出てしまった。
そして青木がこっちをあまりにまっすぐ見てくるから、なぜだかちょっとどきどきした。
「ちゅ、中日だけど…」
そう言うと青木は俺の両肩を掴んだまま大声で言った。
「じゃあ俺も今日から中日ファンになる!」
だから嫌いにならないで、と何度も肩を揺さぶる青木を見てたら、俺はまたしても噴き出してしまった。ほんとに馬鹿というか、犬みたいな奴だ。
「馬鹿、別にいいよ。別にこんなことで本気で人を嫌いになるわけないだろ?」 <> 5/5<>sage<>2009/05/17(日) 23:16:47 ID:MTo2IS7nO<> ほんとに?と涙目で俺に問いかける青木は、でかい野郎なのにやっぱり可愛いかった。
ああほんとに、と答えると、そのまま抱きつかれた上に泣かれた。しょうがないから背中を撫でてやったら、また澤村大好き、と叫ばれて、顔が赤くなるのがわかった(だっていくら相手は野郎でも恥ずかしいじゃないか)。
「あはは、二人ともラブラブね」
谷川さんに言われ、俺はちょっと慌てて青木を引き剥がすと、こいつがスキンシップ過剰だからさ、と照れ笑いをした。こういうからかいは得意じゃなかった。
でも青木なら器用に返すんだろうな、と思いながら隣のでかい犬を見ると、真っ赤な顔で俯いていた。
それを見ていたらなんだか俺も妙に恥ずかしくなって、口ごもってしまった。
谷川さんはそんな俺らを見て、さらにくすくす笑っていた。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/17(日) 23:17:11 ID:MTo2IS7nO<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

お粗末さまでした! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/17(日) 23:32:01 ID:4AGeRbN60<> >>184
ひどい!なんてひどいヤツなんだ澤村!!いいぞもっとやれwww
とりあえずたまには母ちゃんにドラマを見せてやるんだ。

青木は早く恋心を自覚してあわあわしたらいいと思います。
そして青木はドラキチの澤村のために卜゙アラの動きをマスターしたらいいと思いますww <> 下手 米英 「あの頃は。」1/2<>sage<>2009/05/18(月) 00:08:10 ID:XIU8UGzpO<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!



公園のベンチ。
昼下がり。

例えば、隣にいるのが他の誰かなら。
俺はこんな複雑な感情を抱かないだろう。

「……なあ」
「ハンバーガー食べてるから、邪魔しないでくれないかい?」
「聞いてればいいからよ」

隣は見ない。
伝えたいのは、こいつじゃない。自分にだから。

「鼻に付くんだ。お前が。」
「……」
「大切、だった。今も、あの頃は大切だ。……殴っていいなら、今すぐ殴るくらいにはお前が嫌いだ」

もぐもぐ。
アルフレッドがハンバーガーを咀嚼する音が聞こえた。

「だけど、大事、なんだよなぁ……」
「鬱陶しいよ、キミ」
「KYメタボ野郎に言われたくねーよ」

そのまま、しばしの静寂。
<> 下手 米英 「あの頃は。」2/2<>sage<>2009/05/18(月) 00:09:34 ID:XIU8UGzpO<> 「よくわからないよ。」
「あ?」
「きっと、何年も、何十年も、何百年もかかる」
「何の話しだ?」

唐突に始まった話しに、
俺はようやくアルフレッドの顔を覗き込んだ。

「キミを好きかどうかさ」

こいつも複雑そうな顔をしていた。俺たちは、関係を切った筈だった。
だけど、未だにあの頃を引きずり、
あの頃に抱いた感情を刷り込まれている。

新しい未来を選んだのに。
俺たちは。

「また、不味いスコーン焼いてくれよ」
「不味いは余計だ。……気が向いたら作ってやる」

年を取った俺たちは、また、過去を棄てきれないでいる。

新しい関係になるためにもう一度、さよならを。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/18(月) 01:28:07 ID:9NvqGdwc0<> (・∀・)イイ!! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/18(月) 10:27:14 ID:In+OAc+Z0<> >>168
ぐはぁっ、待ってましたよ!オナホ姐さん。待ってた甲斐がありました。
感激屋のご自愛志井ちゃんのその後が気になってましたが、
別れちゃったのかぁ・・・。三鷹好きだったので残念。
だけれども!デザイナーさんとの成り行きには期待大。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/18(月) 15:49:23 ID:b7zZ0hWv0<> >>160
飴話キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!GJ!GJ!
Sっ気を見せる京大に萌えたw
京大受けにも激しく期待 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/18(月) 19:27:23 ID:8FYNFSQM0<> 誰か府知事受も書いてくれ

夢にも思わなかったトヲル萌えに目覚めた >前スレ
あの人のかわいさに気づかなかった自分を殴りたい <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/19(火) 00:19:53 ID:mBGHjvza0<> >>160
放映できない愛方話を期待しておりますw <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/19(火) 21:42:45 ID:Ot2+xrqQ0<> 前回は暖かいコメント本当にありがとうございました。
皆さんのおかげで続きを投下する勇気が出ました。

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  駅擬人化 青梅線 拝島駅×昭島駅。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  前回の続きです。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 駅擬人化 青梅線 拝×昭 中編 1/4<>sage<>2009/05/19(火) 21:44:00 ID:Ot2+xrqQ0<> 西立川駅が去った後、そのまま不貞寝を続ける気にもならなかった俺は自分の駅に戻った。
帰り際にどうしても気になって昭島駅に寄ってみたけど、
奴が近くにいる気配はしてもどこにいるかまではやっぱりわからなかった。

戻ってきてからも何かもやもやといろんな考えがまとわり付いて離れない。
ホームのベンチに座り込んでぼんやりと何本もの電車を見送った。
もし本当に昭島駅が今色々大変なんだとしたら助けてやりたい。
今日だって立川駅が大変だったなら昭島駅にも相当人が来ただろう。
そうじゃなくてもそもそも酷い態度を取ってきた。謝りたい。
一方でもっともっと自分や自分の周辺が発展して欲しい気持ちも否定できない。
当たり前だ。俺は駅なんだから。より人間に求められる存在になりたい。
そういう自分が欲しくても手に入らないものを手に入れようとしているやつに
どうやったら優しくなれんだろう。

俺の中の二つの気持ちは、永遠にどっちも譲らないし和解も出来なそうに思えた。
俺って我侭すぎる。昭島駅と仲良くしてたいくせに、昭島駅より使えない駅になりたくねーんだ。
西立川駅や国立駅はおんなじ風に思ったりしなかったんだろうか。
思ったことあんならどうやって折り合いをつけてんだろ。
俺はこんなままじゃまた自然に昭島駅とやってくなんて絶対無理だ。
きっと何したって嘘んなる。
<> 駅擬人化 青梅線 拝×昭 中編 1/4<>sage<>2009/05/19(火) 21:45:01 ID:Ot2+xrqQ0<> 「あーもう!」
イライラする。今は何より自分の身勝手にイライラする。
夕方に差し掛かった日曜の下り電車は飽きもせずまた遊びから帰ってくる客を次々と俺の所に降ろしてきたから、
俺はそれを憂鬱な気持ちで迎え入れた。
彼等がどこから乗ってきたかは見ればわかる。新宿、東京、渋谷、原宿、吉祥寺、立川、
ごもっともなラインアップの人々は誰もが充実した一日に満足した様子で、
そんな彼等の気持ちのおかげで自分の憂鬱も大分やわらいだ。
全ての駅がそうであるように、利用客の満ち足りた気は何よりのごちそうだ。
だからもっといい駅になって、もっと喜ばれたいと思う。
急ぎ足で改札へ向かう客たち中にちらほらとだけど昭島駅からの客もいた。それでも昔に比べれば大分増えてる。
洋服の袋を持ってる女性や映画館帰りの家族連れ。彼等の明るい表情を見て素直によかったと思った。

「…あ。」
そうじゃんか…。なんで今まで忘れてたんだろう。
一番大事なのはこれだったはずだ。
俺のところから、いろんな人が自由にいろんな所に行って幸せだったらそれで良いじゃんか。
昭島駅が便利な駅になったからといって、俺がいらなくなるわけじゃない。
昭島駅がよくなれば俺んとこも良くなるし、逆もまたそうなはずだ。
駅と駅はつながっていてはじめて意味があるんだから。
「どこにも妬む理由、ねーじゃん。」
馬鹿だ俺。昭島駅に追い越される焦りとやっかみばかり強くなって、
いつのまにか昭島駅から帰ってくる人達を見なくなってた。彼等だって俺を使ってくれる人たちなのに。
もっとちゃんと自分自身を見つめていればとっくに気付いたことだった。

―昭島駅に会いたい。

いてもたってもいられなくなり、次の瞬間俺は飛んでいた。 <> 駅擬人化 青梅線 拝×昭 中編 3/4<>sage<>2009/05/19(火) 21:46:23 ID:Ot2+xrqQ0<> 午後の最初のピークを過ぎた昭島駅は、それでも絶えず人が行き来していた。
またしばらくすれば平日ほどではなくても上り方面からどっと人が帰ってくるはずだ。
勢いで高架した駅の改札前に来てはみたものの、あたりに昭島駅はいなかった。
近くにいる事は感じられるが、いつも座っているホームのベンチにもいない。

さがさねぇと。でもどうやって?
昼間西立川駅に言われたことを思い出す。
「練習っていっても…どうすりゃいいんだろ。」
とりあえず目を閉じて昭島駅の気配だけに集中してみる。すると、なんとなく気配が一つの方向に収束してくる気がしてきた。
と同時に、昭島駅以外の駅の気配に気付いた。誰かと一緒にいる。こいつらは…。
さらにその方向に気を向けると閉じた目に映像が浮かび上がった。
そこは駅に隣接された複合デパート内のフードコートだった。オープンスペースのテーブルに着いた昭島駅と、他に二人。
中神駅と東中神駅だ。ガキどもはコート内のマリオンクレープで買ったであろう甘ったるそうなクレープを嬉しそうに食べてる。
もっと集中すると声も聞こえてきた。

「おいしかったー。悪ぃな昭島駅、奢ってもらっちゃって。」
全然悪そうに思っていない中神駅が言った。
「ごちそうさまです。」
東中神駅の方はきちんと頭を下げる。
「ううん。手伝ってもらったお礼だから遠慮せず食べて。
君たちも沢山僕の分の気を引き受けて疲れたでしょ。」
昭島が笑いながら手をパタパタと振る。
<> 駅擬人化 青梅線 拝×昭 中編 4/4<>sage<>2009/05/19(火) 21:47:45 ID:Ot2+xrqQ0<> 「今まで知らなかったけどでかくなるって大変なんだな。ま、俺等はどうせ暇だから全然いいけどよ、」
「僕達じゃ役者不足で大して力になってないと思います。」
弱小駅だもんねーとおどける中神駅に同意するように東中神駅が頷いた。
「そんなことないよ。ちょっと手伝ってもらう位で良いって立川駅も言ってたし。」
「そう?でもなんか顔色良くねーしやっぱ拝島駅にも教えて頼んだ方がっぃてっ!」
話の途中でうめいた中神駅が屈んで足元をさすりながら隣の東中神駅を睨みつけた。
中神駅はそ知らぬふりで口を開く。
「この後もお手伝いしたいのは山々なんですが…。」
「あっいいよいいよ。大丈夫。君たちのところもこれから下り客が増えるでしょ。」
「そーなんだよな。ま、お互い頑張んべ。」
「無理しないでくださいね。もしもの時は福生駅に頼めばいいと思います。」
「うん。そうするよ。ありがとう。」

クレープを食べ終わった二駅はそれぞれ自分の駅に戻って行き、後には昭島駅だけが残った。
「うーん…。あいつらにも心配かけてるんだ。もっとしかっりしなきゃなぁ。」
残された昭島駅はそう呟いて伸びをした。その上を見上げた顔と、丁度目があった気がした。
「…拝島駅?」
その瞬間その場から昭島駅がいなり、慌てて意識を戻すと目の前に昭島駅が立っていた。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/19(火) 21:49:18 ID:Ot2+xrqQ0<>
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
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 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) お目汚し失礼しました。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<> 風と木の名無しさん<><>2009/05/19(火) 22:32:46 ID:e0C/IZOr0<> >>204
続きktkr!いままで駅なんてまったく興味無かったのに姐さんのおかげで気になってきたじゃないか!
後編楽しみに待ってます

それにしても最近擬人化が熱いなw <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/19(火) 22:33:16 ID:e0C/IZOr0<> うわあageてたすまん <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/19(火) 22:56:28 ID:mBGHjvza0<> >>199
続きキター!
昭島、可愛いなあ…w 拝島、ガンガレよ!
何気に福生が気になりますよ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/19(火) 23:29:50 ID:fUZFnqbwO<> 一昨日の801未満続きです。
レスくださった姐さんの言葉に触発されて書きました。
後悔はしていない。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> 1/6<>sage<>2009/05/19(火) 23:35:54 ID:fUZFnqbwO<> 「澤村ー!さーわーむーらー!」
喧しい声と共に、バタバタという足音がこちらに近づいて来る。本当に犬みたいな奴だ。もう少し慎みというものを持ったってバチは当たらないだろう。
手当たり次第に叫びながら教室の戸を開けているらしく、ここかっ、という声と共にがらがらというけたたましい音が廊下に響いている。
「ここかっ!」
やっと俺のいる教室にたどり着いた青木が戸を勢い良く引いた。もちろん俺はとっくに教卓の下に隠れているから、見えるのは谷川さんだけなのだが。
「おはよう、青木くん」
いつものくすくす笑いで、谷川さんは青木に声をかける。
「あ、ごめん谷川さん。澤村見なかった?」
青木は少し恥ずかしそうにはにかんで、谷川さんにそう訊いた。
英語の辞書をめくっていた谷川さんはその手を止め、少し首を傾げながら言った。
「澤村くん?悪いけど見てないなぁ。」
青木は、そうかありがとう、と少し落胆したように言ってまた教室を出ていった。
ここかっ、と声をあげるのはやめにしたのか、廊下には戸を引くがらがらという音だけが響いていた。
「澤村くん、青木くん行っちゃったよ。」
谷川さんがくすくす笑いながら俺に声をかける。
「ごめん谷川さん」 <> 1/6<>sage<>2009/05/19(火) 23:36:20 ID:fUZFnqbwO<> 教卓の下から這い出ながら、ありがとう、とつけ足す。
「どういたしまして。
 それで、今日はどうしてケンカしてるの?」
谷川さんは相変わらずのくすくす笑いで俺に訊ねた。
「いや、ケンカっていうか、俺が勝手に逃げてるだけなんだ」
「そうなの、じゃあどうして逃げてるの?」
俺はう、と言葉に詰まる。谷川さんはにこにことこちらを見ている。俺は意を決して言葉をふり絞った。
「それがあいつ…なんか、気持ち悪くて」
谷川さんは一瞬きょとんとして、それからまたいつものくすくす笑いに戻って、どういう意味?と訊ねた。
谷川さんの予想より柔らかい反応に俺は安心して、そうすると俄然青木の所業を話したい気分になった。
「それがさ、昨日あいついきなりドアラの真似しだして」
言いながら昨日の青木を思い出してしまい、思わず噴き出しそうになるのをなんとか堪える。
昨日の青木は似てる似てないなんぞというそんなものではなかった。そのものだったのだ。
あいつが巨人ファンでさえなかったら、ドアラの中の人への就職をおすすめしたいレベルだった。
「本気で似てたんだ…不覚にも爆笑しちゃってさ、そしたら急にこう、俺の手ぇ握って『澤村、野球部入って!』」 <> 3/6<>sage<>2009/05/19(火) 23:38:07 ID:fUZFnqbwO<> 最後は渾身の声マネだ。言いながらあまりの恥ずかしさに思わず顔を両手で覆った。
今時少女漫画でもあんなくさい告白はないに違いない。
しかもそれがドアラのモノマネのあとだ、俺の全身が総毛立ったのは言うまでもない。
恥ずかしいやら気持ち悪いやらで、その要求を聞くまでもなく、断る、と叫んで俺はその場から走り去った。おそらく膝の怪我をしてから最も速かった(と思う)。
「そんで昨日は逃げきれたんだけど、さっき学校着いたんだけどあいつ昇降口で待ち伏せしててさあ」
「あはは、また手握られた?」
ご名答!俺は片手で目を覆って、黙ったまま頷いた。恥ずかしすぎる。
とそこであることに気づいた。
「あれ、てかあいつ朝練は?」
馬鹿かあいつは。部活の勧誘で部活をサボってどうするんだ。
すると谷川さんは目を丸くした。
「え?今日からテスト週間だよ、澤村くん」
え?
今度は俺が驚く番だった。まさかもうそんな時期だとは。まだまだだと勝手に思い込んでいた。
「やばい…」
なんたってここのところ全く勉強していない。今教科書の何ページまで進んでいるのかすらわからない。
脳裏に赤点の山がありありと描き出された。まずい、まずすぎる。 <> 4/6<>sage<>2009/05/19(火) 23:39:50 ID:fUZFnqbwO<> しかし全く以て回避の方法が思い浮かばなかった。
「どうしよう、谷川さん…」
思わず知らず、声が震えた。青木に構ってる暇はますますもってなくなった。
脳内で青木(というかゴールデンレトリバー)が耳を垂れて下を向いた。ええい、お前なんぞに割くような時間はない。
「あはは、きっと大丈夫よ。
 それにわからなかったら青木くんに聞けばいいんじゃない?」
そうか、その手がある。俺の中で何かが閃いた。
教室の戸をがらりと開け、腹の底から叫んだ。
「青木ィ!」
するとどこにいたんだか青木がものすごい勢いで駆けてきた。
「澤村、入る気になってくれたの!?」
またも俺の手を取って言う。振り払ってやりたいとこだがぐっと堪えて言う。
「条件がある。」
何、とがっつく青木を制止しつつ、話しはじめる。あまりきらきらした目で見ないで欲しかった。こいつと目が合うと、なんでか苦しくなるからだ。
「まずひとつ。
 俺は野球部には入らない。お前だけにコーチすればいいって言うんならやってやらんでもない。」
青木は予想通りどうして、と詰め寄った。
俺以外の奴らにも教えてやってよ、と俺の目をまっすぐ見て言う。
俺の顔はきっと真っ赤に違いなかった。 <> 5/6<>sage<>2009/05/19(火) 23:41:24 ID:fUZFnqbwO<> 青木に手を握られたくらいでこんなになってしまうというのなら、いずれできる(予定の)彼女と手を繋いだ暁には俺はどうなってしまうのか、少し心配になった。
「最後の大会まで三ヶ月きってるっていうのに今更入れるわけないだろバカヤロウ。
 そんなことしたらお前らの信頼関係パァだボケ。キャプテンならそんくらい考えろバカ。」
一息にそれだけ言いきると、青木は目に見えて落ち込んでいた。仕方ないから頭を撫でてやろうかと思ったら、手は青木に握られていてふさがっていた。
だから俺のデコを青木のデコにくっつけて、言った。
「キャプテンが上手くなるだけでチームは上向く。
 俺はスパルタだぞ。三ヶ月、覚悟しとけよ。」
握られていた手がほどかれた。と思ったら、背中に腕が回って、抱き締められていた。
「俺やっぱ澤村超好き!」
また胸の奥の方が苦しくなった。相変わらず顔も熱い。しかしなんだか幸せだった。
ふと顔の横にある青木の顔を見てやると、青木の顔も真っ赤だった。
「あー…青木?もうひとつ、条件あるんだけど」
「何ー?」
ぎゅうぎゅうと俺を抱き締めながら青木は言った。今にも尻尾を振りだしそうだった。
「その…さ、悪いなとは思うんだけど」 <> 6/6<>sage<>2009/05/19(火) 23:42:43 ID:fUZFnqbwO<> 「勉強教えてくんない?」
俺がおそるおそるそう切り出すと、青木はなんだそんなこと、と笑った。
「俺でいいならいくらでも教えるぜ!」
澤村の家にも上陸できるしな、と青木はつけ足した。誰も家まで上げるとは言ってない。
まあべつに悪かないが。帰りに母さんのおみやげにおはぎを買って、それで俺の家で勉強しよう。
そんなことを考えていたら、谷川さんのくすくす笑いが聞こえた。
「本当に二人ともラブラブね、もしかして私お邪魔かなあ?」
はっと我に返って、青木を引き剥がすと、とんでもない、と慌てて言った。
顔から火が出そうだった。
青木の顔を盗み見た。どうやら奴の顔も火出る寸前みたいだった。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/19(火) 23:43:33 ID:fUZFnqbwO<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

途中ナンバリングミスりましたすみませんorz
お粗末でした! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/20(水) 00:00:55 ID:PvRbz0910<> >>208
顔が近い!顔が近いよ澤村!!!(*´Д`)
ここが学校じゃなかったら青木は勢いに任せてアッーかとハラハラした。
ワンコ攻め×男前受け大好物です。本当にありがとうございます。
谷川さんは一服の清涼剤。テストガンガレ若人。

しかしドアラ…言ってみるものだな。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/20(水) 00:21:04 ID:lGPzEGDhP<> ドアラいいな
ドアラの話が読みたい
D31との <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/20(水) 00:43:46 ID:E7yn+S9bO<> >>199
立川の駅の古茶屋さくら樹の
 紅葉のかげに見送りし子よ  牧水

季節外れご容赦! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/20(水) 03:45:21 ID:0sIOeQiR0<> >204
青梅線続きキター!
クレープ食べる二駅イイ。
続きもwktk待ってます <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/20(水) 23:30:34 ID:fe0RQ9oj0<> 鯨忍 来扇子 白×黒 「Wait for」
お邪魔いたします
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> 鯨忍 来扇子 白×黒 「Wait for」1/3<>sage<>2009/05/20(水) 23:31:08 ID:fe0RQ9oj0<> 藤藁の手が、声が、体が、俺のスペースをちらちらと侵してくる。
何年経っても、幾つになっても、俺に依存しようとする態度は相変わらず変わらんし、ほんの少しの事で嫉妬するその性質も変わらん。
その重さにもうそろそろ、潰されそうやで、ほんまに。

「外れてんで」
ふいに、相方の低い声が俺の思考へと割って入った。
いきなり聞こえた声にはっとして目の前を見ると、藤藁の顔が正面にあって、その手が俺のピンマイクへと伸ばされている。あまりにも真正面にいる事に驚いて、俺は距離を取ってから今の状況をゆっくりと、考えた。
…また、やってもうた。
目の前は立ち見も出るほど満席状態の観客席。
ぼんやりしていた俺の状態を前の方の客は気付いてたようで、数人が不思議そうな顔をこちらに向けていた。
まずい、どうフォローしよか…俺はピンマイクを直しながら、必死に考える。そこに藤藁のわざとらしい盛大な溜息が聞こえた。
「お前なあ…さっきから聞いてんのか」
笑いでも何でもなく、普通の会話として呆れを含んだ声で尋ねられる。
「聞いてるよ。聞いてないようでしっかり聞いてんねん」
責めるような藤藁の視線から逃れるため、俺は俯いてもう既に直し終わったマイクをごちゃごちゃと触りながら、嘘を付いた。本当は…まったく聞いてへんくて漫談の掴みの部分しか記憶になかった。
俺の適当な嘘に納得する筈もなく、短い沈黙のあと、藤藁は観客席へと顔を向け語りかけるようにして話しはじめた。 <> 鯨忍 来扇子 白×黒 「Wait for」2/3<>sage<>2009/05/20(水) 23:31:31 ID:fe0RQ9oj0<> 「…あのねえ、聞いて下さいよ。こいつ2週間位前からちょこちょこあるんですよ。いきなりぼんやりしだすっつか」
やっぱりそうきたか…。
そろそろやろうな、と予想していたその行動に俺は心底うんざりして長く細い息をゆっくりと吐いた。
つい数十分前の楽屋ですでにこの事について小言を言われたばかりやった。前の舞台でネタを飛ばし、前々回では今と同じようにぼんやりと心ここにあらずで。
多分、客の前で吊るし上げられるだろうと予想はしてた。答えの出ない押し問答や、今回の俺のように何度繰り返しても治らない事はこんな風にさらし者にされるのが、互いの暗黙のルールでもあるから。
俺はどうやってこの会話を早めに切り上げようかと、思考をフル回転させる。
「…疲れてんねん、最近暑いし夜寝られんし、夏バテもあるし…もうオッサンやねんか」
「そんなもん俺かて一緒やろ。おい、貴ちゃん」
「誰が貴ちゃんやねん」
すかさず突っ込むとそのテンポのよさに客席がどっと沸く。それを強引に落ちにして、藤藁の言葉が続く前に、カンペを読んでこの話を終わらせた。
コーナーのSEが流れる一瞬の合間に藤藁をちらりと横目で見ると、瞳孔の奥で動揺がかすかに読み取れた。俺は久しぶりのその目に、徐々に冷静さを取り戻していく。 <> 鯨忍 来扇子 白×黒 「Wait for」3/3<>sage<>2009/05/20(水) 23:32:11 ID:fe0RQ9oj0<> ライセンスを組んで十数年、機嫌が悪かろうがへこむことがあろうが、俺はいつも冷静を装ってきた。それは藤藁を動揺させない為でもあった。
どちらかが揺らげばどちらかがしっかりと立つ。そうやってバランスを取るのが舞台上では当たり前の事なのだ。
当たり前、それなのに。
今思えば、仕事上のこの関係が、俺たちそれぞれのスペースを徐々に侵していたのかもしれへん。

『これが恋やないなんて、誰が言えんねん』

ニ週間前にそう言った唇がするすると言葉を紡いでる。
俺を起こさへんようにって、柔らかく押し当てられたあの唇が。
その呟きを俺が聞いたなんて、本人は全く知らないし、わかってないやろう。
できる事ならば俺かて聴きたくなかった。何も知らんままに、お前と舞台に立っていた頃に戻りたい、ただただそう思った。
そうすれば、
この感情に気付く事も無かったのに。
ホンマに、これが恋やないなんて、誰が言えんねん。
あと少しでいい。
あと少しでいいから、俺が囚われているのはお前の愛情表現の重さって事にしといて。
仕事も私生活も手に付かんほど、考えこんでまうお前へのこの感情が…友情以上のものやって全力で認められるまで、待っとって。
潰される前に、認めるから。どうか。

ケリが付いたら、即効抱きしめにいくから。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/20(水) 23:33:12 ID:fe0RQ9oj0<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ありがとうございましたー <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/21(木) 23:07:22 ID:vBzrXOb70<> >>220
こういう感じの好きです。
GJでした! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/22(金) 01:17:24 ID:RMF9WkfO0<> お邪魔致します。オリジナルものでファンタジーRPGなどの
魔王×勇者のBLです。「消えた勇者と闇の魔像」
               ,-、



                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < BOX仕様
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < 長丁場
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < がっつり〜
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
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 |_____レ" <> 消えた勇者と闇の魔像1(1/3)<>sage<>2009/05/22(金) 01:21:34 ID:RMF9WkfO0<> 「消えた勇者と闇の魔像・1」
数年前、魔王と勇者の壮絶な戦いがあった。

大いなる力の継承者として王命を受け、長い長い旅の果てに 深い森と
渓谷に隠された魔王城に辿り着いた勇者は、人間界へと 侵攻する魔王の
野望を阻止せんと、最後の戦いを挑んだ。
その夜、針のように細い三日月が黒雲に覆い隠され、雷鳴轟く嵐の中、
魔王城から光の渦があふれ、耳をつんざく轟音が空と大地を引き裂いた。
夜が明け、人々は徐々に何かが変わった事を感じた。魔王城は未だ存在
していたが、人々を脅かした魔物の侵攻はそれ以来ぱたりと止んだのだった。
しかし、勇者は城から出て来ず、待てど暮らせど彼が王国に帰還する
様子は無かった。これは全て、勇者が魔王と相討って全てを収めてくれた
のだと人々は語り合ったのだった。
 
そして数年の時が経ったが、魔王城周辺はいまだ色濃く瘴気が漂い、そこに
近付く者はたちまち幻惑され、生き残った魔物たちの贄として連れ去られるのだという。
その証拠に、魔王城から時折風に乗って声が聞こえて来るのだ。時に哀切に
満ちたその声は魔物の手に堕ちた生け贄の、断末魔ではないかと。
そうして近隣の村人たちは勇者への感謝をいだきつつも、それぞれの平和な
営みを守る事に没頭し、今やそこへ近付くものは誰もいなかった。 <> 消えた勇者と闇の魔像1(1/3)<>sage<>2009/05/22(金) 01:25:48 ID:RMF9WkfO0<> 闇に塗り込められたかのような深い深い森と底など見えぬ程の切り立った渓谷、
そして針のような鋭い岩肌の中に、魔王城の威容が現れる。
天高くそびえる塔、巨大な城門、頑強な城壁、複雑に入り組んだ内部は
地下深くまで伸び、まさに人の手ではなし得ぬ業だ。

その地下のもっとも奥深く、重い暗闇の中、小さく灯る炎に照らされ
黒髪の青年の姿がゆらゆらと浮かび上がる。そしてその髪よりも黒い影が、
青年の腕を捕らえ宙に浮かせていた。

引き締まった裸身、その身に走る幾つかの刀傷。しかしきめの細かい
象牙色の汗ばんだ膚。青年は苦しげに、それでいてどこか夢見るような
心地でうっとりと喘いだ。
「うぅ…ん…っ」
青年を戒めている黒い影は、角の生えた家畜を模した像。
これこそが魔物の力の源であり、命をつなぐ「闇の魔像」であった。

やがて聞こえてきた足音に、青年はぼんやりと顔を上げた。夕刻の
空のような赤い眼が、闇の中から現れる。貴石で染め上げたかの
ようなローブに逞しくしなやかな身体を隠した銀髪の男が現れた。
青白く光る膚、切れ長の眼、闇の王たるにふさわしい精悍な顔つきと、
全身から漂う威厳と風格。勇者と相討ちになったという魔王だ。

「どうだ…楽しんでいるか?」
どくん、と明滅する光が魔像から弾け、部屋の壁を伝い染み込んで行く。「んく…っ…み…見た…とおりだ…」
一糸まとわぬ姿で戒められた青年は時折切なげに眉根を寄せ、びくりと
身を竦ませる。 <> 消えた勇者と闇の魔像1(3/3)<>sage<>2009/05/22(金) 01:29:30 ID:RMF9WkfO0<> 魔像は、青年の菊座に深々と醜悪なモノを突き刺していた。
そしてぎちぎちに張りつめた体内で、まるで生きているかのようにその
身をくねらせる。内圧で首をもたげた青年自身が、その度先走りを滴らせ、
青年を昏い快楽へと誘っていく様を物語る。

魔王はそんな青年の痴態に薄く微笑んで、朱の走った濡れる胸にそっと
指を走らせた。その瞬間また身体を強張らせるのに、魔王は愉悦を覚えた。
「いつまで経っても慣れんな…魔像と我に夜ごとその身を捧げていると
いうのに…」
「いう…な…っ」
そう、戦いに敗れたあの日以来、彼はここで魔像と魔王に永遠に捧げられた
"生け贄"となったのだ。
「うぅ…っ」
「魔像も、お前を気に入っているのがわかるだろう?」
魔像の口から、ずるずると蛇のような触手が這い出て、青年の身体に
まとわりつく。そして全身を締め上げ、愛撫する。
「ククク、お前も相当に好きものだ。こんな形で力を吸われたいとはな」
「ち…が…あぅう…」
嫌悪感に身を捩るも、何度も情を交わし、快楽の絶頂を教え込まされた
身体は、淫らな悦びを次々と呼び覚まし、かつての勇者をますます苛むのだった。
魔像に無惨に貫かれ、無数の触手の海の中で 戒められ、全身への愛撫に
身悶えるこの青年こそ、大いなる力の継承者、勇者の成れの果てだった。

その黒髪はかつて、輝くばかりのブロンドで深海を思わせる蒼い瞳と
相まって見るもの全てに勇者としての輝かしい力と栄光とを感じさせる
ものであった。今はしかし、そのブロンドは失われ、どす黒く染まって
闇に溶け込まんばかりであった。

<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/22(金) 01:32:52 ID:RMF9WkfO0<>                ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < 誤植あったね
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < 2本目も
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 1になってたね
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
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 |_____レ

すみません1/3が二つになってしまいましたm(__)m
また続きます。お邪魔致しました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/22(金) 03:00:11 ID:uPGMBM/w0<> 連続での投稿失礼します。
>>118-128 及び >>199-204 の続きです。
前々回に引き続き暖かいご感想ありがとうございました。
ここの姐さん方のコメントで自分の中でも色々と話が広がってとても楽しかったです。

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  駅擬人化 青梅線 拝島駅×昭島駅 後編
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 予想外に支持を頂いた彼の番外編つけてみました。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) よろしくお付き合いください。
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<> 駅擬人化 青梅線 拝×昭 後編+番外 1/9<>sage<>2009/05/22(金) 03:01:48 ID:uPGMBM/w0<> 目の前に現れた昭島駅は俺が来たことに目を丸くしてる。
会いたかったはずなのにいざ対面してみると何故だかまともに顔が見られなくてつい顔をそらしてしまった。
ここ最近見ないようにしていた所為かも。
「拝島駅、どしたの?」
「え…あ、いや、別に覗いたとかじゃなくて…。」
実際は覗いてたわけで、上手い弁明が浮かばなくて焦っていると、は?と首を傾げられた。
どうやら、こっそり見ていた事は気づかれてないらしい。
「あ、何でもない。うん、なんだ、その、…元気にしてっかなと思って。」
やべぇ、不自然すぎる。正直何て言うか全く考えてなかった。
少なくとも謝ろうと思って、できれば前みたいな感じに戻れれば良いと思った。
俺の返事はやっぱりおかしかったみたいで、昭島駅がさらに怪訝な顔をする。
流石にここ最近自分からは全く昭島駅を訪ねてなかったから当然と言や当然だった。

「まあ、立ち話もなんだし座ろうぜ!な。」
時間稼ぎの意図もあって昭島駅が定位置にしてるベンチの横に座って、昭島駅を手招きした。
「…」
さあ、どうやって切り出そ。頭の中を引っ掻き回して言葉を捜してたら、
昭島駅に先手を打たれてしまった。
「何かあった?困ったことがあるなら僕でよければ聞くけど…。」
自分だって大変なくせに他駅の心配してる場合かよ。と、言いそうになるのをかろうじて飲み込んだ。
「俺じゃなくて、…最近お前色々しんどいだろ?」
結局直球。隣に座った昭島駅が驚いてこちらを向いたのが分かったけど、
やっぱ視線を合わせづらくて俺はずっと正面を向いてた。 <> 駅擬人化 青梅線 拝×昭 後編+番外 1/9<>sage<>2009/05/22(金) 03:02:56 ID:uPGMBM/w0<> 「…立川駅から聞いたの?」
「えっ、別に。」
「じゃあ西立川駅だ。」
「うっ…俺が自力で気付いたとはおもわねーの?」
「思わない。」
「…。」
流石良く分かってらっしゃる。けど何か普通に話せてるしこの流れならなんとか謝れる気が…
「そっか。でも気にしないで。僕拝島駅には言う気なかったし。」
…は?俺は思わず昭島駅を見たけど、今度はやつがうつむいてるので顔が良く見えない。
「困ったら他の線の駅達もいるし、もうしばらくすれば耐性がつくって立川駅も言ってたから、
拝島駅を煩わせるほどのことはないよ。そろそろ戻れば?そこにいられても邪魔なんだけど。」

「なっ!…っ。」
いきなりの言い草につい怒鳴りそうになって、慌てて我慢した。
落ち着け俺。感情的になるな。冷静に考えろ。また見落とすぞ。
そもそも昭島駅が考えなしにこんなこというわけがない。きっとあんだ。何かサインが。
一呼吸してよく昭島駅の方に向き直る。昭島駅はベンチに座ったまま向こうを向いて黙っている。
「昭島…?」
返事はない。
「本気でそう思ってんなら目ぇ見て言えば?」
「…。」
沈黙を取繕うように先程ホームに滑り込んだ下り電車が発車のベルを合図に俺の駅へと旅立っていった。
「…あーもう、だからお前の嘘はすぐバレんだよ。」
「ぅるさっ、…だから嫌だったんだよ。自分の状態知ったら拝島駅が断れなくなるじゃんか!」
話が見えない。 何故そこで俺?
<> 駅擬人化 青梅線 拝×昭 後編+番外 3/9<>sage<>2009/05/22(金) 03:03:56 ID:uPGMBM/w0<> 「僕嫌なやつなんだ。嫌われてるのわかってるのに、自分が会いたいから拝島駅んとこ行ってんだ。
嫌がってんの、分かってるのに。
だからせめてしつこくならないようにしてたけど僕のこと知ったら君断れないだろ?
現に今来たじゃん。義理だって分かってるのに舞い上がりそうで自分もう嫌だ。」
昭島駅は一気にまくし立てるとベンチの上で膝を抱えて頭をうずめてしまった。
今度は俺が目を丸くする番だった。何かすげー事を聞いた気がするけど、それに答える上手い言葉が出てこない。

「あんさ、俺の態度も悪かったけど、別に嫌いだったわけじゃ…。」
「…気ぃ、使わない、でよ。」
「本当だって。こっち向いて俺の顔を見てから判断しろよ。」
半ば無理くり昭島駅の両腕を掴んでこっちを向かせた。
久々にまともに見た昭島駅の顔は歪んでるし濡れたまつげがいびつな束になってるし酷い有様だった。
「何泣いてんだよ。」
「泣いてない。」
「泣いてんじゃん。」
「これは…地下水だし。」
「ぷっ!何それ?」
俺が噴出した隙に手を解いた昭島駅は急いで顔をぬぐった。
失態を見られて不本意なのか憮然としたまま未だ笑う俺を向いてる。
改めて見るとその顔は以前よりやつれてた。記憶の中の昭島駅より顔色も悪いし輪郭も鋭い。 <> 駅擬人化 青梅線 拝×昭 後編+番外 4/9<>sage<>2009/05/22(金) 03:05:37 ID:uPGMBM/w0<> これ程の変化に気付かない位俺は昭島駅と向き合っていなかったんだと改めて痛感した。
昭島駅の外見の変化にばかり気を取られて、反発していたのを思い出した。
気付くべきは見てくれじゃなくて中身の変化だったのに。
「ごめん昭島駅…俺ほんとガキだ。ホントごめん。ごめんな。今まで冷たくして悪かった。」
情けないやら申し訳ないやらで馬鹿みたいにごめんを繰り返した。
「えっ?な、何で拝島駅が謝るの?」
「俺、自分のことしか考えてなくて全然周りが見えてなかった。
昭島駅がどんどん大きくなるから焦ってたんだ。取り残されそうで。
嫌いになったわけじゃねーんだ。本当に。信じてくれよ。頼む。」
どうしたらこれまでの事を穴埋めできるのか分からなかったけど、必死だった。
俺の様子に昭島駅は小さく頷いて、それでもまだ念を押すように聞く。

「僕が嫌になったんじゃないんだよね?」
「ああ。」
「面倒臭くなったんじゃないんだよね?」
「お前が七面倒くさいのは今に始まったことじゃないだろ。」
「う、うるさい。…また一緒にいても良いんだよね?」
最後の質問にしっかりと頷く。
「そっか…。よかったぁ…。」
ようやく納得した昭島駅が思いっきり笑ったのでつられて俺も笑った。
二人でまた心から笑えてるって、たったそれだけのことがすっげえ嬉しい。
まだまだ俺はガキだけど、気付かないことが沢山あるかもしれないけど、
これからもずっとこいつとこうしていられるために精一杯頑張ろうと思えた。

「じゃあ俺、そろそろ帰るわ。」
それからしばらく久々に色々話して、時間も遅くなってきたので俺は自分の持ち場に戻ることにした。
流石にこれ以上ほっとくわけにはいかない。ベンチから立ち上がって昭島駅に挨拶しようとしたときだった。
突然昭島駅が立ち上がって俺の正面に立った。驚きと焦りが混じった顔をしてる。
「な、な、な、なんか拝島駅背ぇ伸びてない!?」
「は?そんなことないと思うけど…。」 <> 駅擬人化 青梅線 拝×昭 後編+番外 5/9<>sage<>2009/05/22(金) 03:06:50 ID:uPGMBM/w0<> 俺の記憶が正しければ、今の俺と昭島駅の背丈は同じくらいのはずだ。
「絶対伸びてるって!ほら!」
昭島駅は俺を掴んでエレベーターの前まで引っ張って行く。
二階へと伸びるそのガラス張りの外壁に写った俺の身長は、確かに隣に並んだ昭島駅より少し大きかった。
「やっぱり…。なんか顔も前見たときより老けてるし。確実に2歳は行ってる。」
身長を確認した後は俺の肩を掴んでまじまじと顔を覗き込んでくる。眉間の皺がガチだ。
「老ける言うなよ。別に良いじゃんそんなん。」
「良くない!あー、今度こそ追い越せると思ってたのに!」
聞けば昭島駅はずいぶん前からひそかに「俺越え」を狙ってたらしい。

昭島駅との身長や年―といっても表面上のものだけど―の差なんて気にしたことがなかった。
そりゃやつが出来たばかりの頃は俺のが全然上だったけど、ここ数十年はほぼ一緒だと思ってたし。
きょとんとする俺とは反対に昭島駅はすごく悔しそうだ。まあ、気持ちは良く分かる。
要するにこいつもガキなんだなと妙に安心した。
「なんで拝島駅ばっかりいつも先行っちゃうんだろ…。」
「ん?んー、そーだなぁ。」
言われてみれば今回の事で俺は少なからず変わった気がする。
それが外見に現れたんだとしたら…

「愛、かなー。」

しばらくその発言の意味を考えていた昭島駅が急に真っ赤になったのを見届けてから、
「じゃあまた明日な。」
とその場を後にした。

―おわり―
<> 駅擬人化 青梅線 拝×昭 後編+番外 6/9<>sage<>2009/05/22(金) 03:18:06 ID:uPGMBM/w0<> 〜番外編〜 『立川駅のホンネ』

数週間ぶりの晴天の休日のおかげでロータリーを縦横無尽に行き交う人をガラス越しにベッカーズの中で眺めながら、
立川駅は手にしたコーヒーの最後の一口を飲み干した。
「遅い。」
そう呟いてカップを戻す。ラッシュと人身事故の時さえ耐えれば平穏な平日と違って、
休日の人出はひっきりなしにじわじわと体力を奪うので休まる暇があまりない。
かといって彼等によって自分が生かされているのだから文句を言う筋合いもなかった。
駅はただ受け入れるのみである。
戯れに周囲の路線の様子を気配だけで探ってみれば、まあどこもそれなりに忙しいようだった。
昭島駅も中神駅や東中神駅のおかげでなんとかやっているみたいだ。
腰が重くなって昔ほど気軽に出歩けなくなった分、こういう能力は大分鍛えられた。
―それってテクニックのわりに体力がないってことじゃ〜ん。―
そんな立川駅を、昔ある駅はそう下品に例えて笑った。
そのある駅は、現在未だ拝島駅と一緒にいる。
「チッ、早く来いよ。」

そう言うや否や目の前に見飽きたヘラヘラ顔が現れた。
「チョリーッス。たっちゃん元気〜?」
「遅い。変な挨拶するな。その呼び方止めろ。」
不機嫌そうに吐き捨てると同時に自分の受けている負担をごっそりと現れた西立川駅に押し付ける。
「わっ!ちょっ!そりゃないんじゃないの!?君のでしょ!?」
いきなりの無茶振りに彼はよろめきながらもなんとか持ちこたえた。
「いいからちょっと持ってろ。」
立ち上がって楽になった体を伸ばし、深呼吸をしたあと、
「いいぞ、ほら。」
といって自分が押し付けたものをまた引き受けるため手を差し出した。 <> 駅擬人化 青梅線 拝×昭 後編+番外 7/9<>sage<>2009/05/22(金) 03:19:24 ID:uPGMBM/w0<> もとよりずっと押し付けている気はかった。自分がテクだけ男ならば、
目の前の駅は一発屋である事を立川駅は良く知っていた。
それにこいつの所だって今日は既に相当人が来ているはずだ。
体に馴染んだ感覚が立川駅の元に再び戻って来たが、それは預ける前に比べて少し軽くなっていた。
その変化に気付いて西立川駅を一瞥するも、やつは何事も無いように、
あーキツかったと笑いながらカウンターへ行ってしまう。
こいつはいつもそうなのだ。のんきな顔して何も言わずに来て、何も言わずに勝手に引き受けていく。
だから今日も立川駅は肝心な事を言いそびれてしまった。

以前は確かに急な自分の変化と人の増加に慣れないで苦戦していた。
それを周囲に悟られたくなくて隠していたのも事実である。
そんな中何故か唯一気付いた西立川駅に、不本意ながら何度か助けられてきた。
頼んだ事はなかったが、気付いて以来西立川駅は様子見にちょくちょく意識を飛ばして来て、
大変な時だけ飄々と現れるのだった。
しかし、実を言うと今の立川駅は西立川駅が思うほど「テクだけ」ではなかった。
今日くらいの人出なら、十分一人でやっていけるほどの体力はもうあるのだ。
問題は、西立川駅が自分の「大変な時にだけ」しか来ないことだった。
様子を探りに来ても立川駅が普通にしていればそのまま戻ってしまう。
その結果が現状だった。
<> 駅擬人化 青梅線 拝×昭 後編+番外 7/9<>sage<>2009/05/22(金) 03:20:26 ID:uPGMBM/w0<> つまり、西立川駅が様子を探りに来るタイミングを見計らって、
「わざと」キャパオーバーを装うようになって今に至っている。
最初はほんの出来心だったが、つい2度、3度とやるうちに打ち明けるタイミングを完全に逃していた。
我ながら子供っぽい事をしているのは立川駅自身わかっていて、言わなくてはと思うのだが、
その度に先ほどのごとく言えずに終わるのだった。
はぁ、と小さくため息をついていると西立川駅がトレーの上にハンバーガーと2人分のコーヒーを乗せて戻ってきた。
向かいに座ってコーヒーの片方を立川駅に渡すと自分はバーガーを嬉しそうにもりもり食べ始める。
「なあ、…。」
「ん?」
「いや、…やっぱ何でもない。」
駄目だ。何もなくても会いに来いなんて今更言えるか。
代わりに呷ったコーヒーは苦味を残して言葉と一緒に喉を過ぎていった。

―終わり― <> 駅擬人化 青梅線 拝×昭 後編+番外 7/9<>sage<>2009/05/22(金) 03:28:16 ID:uPGMBM/w0<> 他地域の方も読んでくださってるので最後に一つだけ補足させていただきますと、
昭島市は水道水が100%地下水なんだそうです。
最初から最後までローカルなネタ、ご容赦ください。
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) ここまでお付き合い本当にありがとうございました。。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/22(金) 03:30:34 ID:mVa7rB1C0<> >>231-240
青梅線の続き待ってた!番外編も嬉しいです。
拝島成長したね〜。タラシっぷりに乾杯です。地下水垂れ流しな昭島も可愛い。
意地っ張りたっちゃん可愛いよたっちゃんwww西立川可愛いのに男前でツボです。
地方者だから駅はサッパリわからんけど、路線図見ながらニヤニヤしてるw
いい萌えをありがとう! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/22(金) 03:53:08 ID:RMF9WkfO0<> またお邪魔致します。
>>226->>230の魔王×勇者の続きです。よろしくお願いします〜
               ,-、
 
                //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < 第二巻だって
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < 6部作第一章序章
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < みたいな!?!
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
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      <> 消えた勇者と闇の魔像・2(1/2)<>sage<>2009/05/22(金) 03:56:30 ID:RMF9WkfO0<> 針のような細い月の浮かぶ夜空がにわかにかき曇る。
勇者はその晩、魔王の足下にくずおれた。もはやとどめを刺すのみと死神の
鎌を構えた魔王の足首を掴み、苦しい息の下から懇願した。
「魔軍を…ひけ…王国の人々を襲うのはもうやめてくれ!」
「ならん、魔像は人の精気を必要としている。そして魔像無くして魔物も
生きられぬ。我は魔を束ねる王。一族を守り、種を保たねばならぬのだ…。
それにこれも貴様たち人間と同じ、生き残る為の戦いをしているに過ぎぬ」

”まばゆき正義とふかき博愛”。大いなる力の継承者として選ばれた
勇者は、互いに流された血を思うとどちらか他方しかならぬとはなんと
悲しい選択なのだろうと感じた。

「ならば…俺を…生け贄にすれば良い」
「俺から精気を吸い取れば良い。俺は大いなる力の継承者だ。いくらでも
吸えば良い」

魔王は思いも寄らぬ言葉に、表情を失った。
「魔像とやらが腹一杯なら人間を襲わなくても済むんだろう?何より…
お前たち魔物の一族も滅びずにすむ…」
「なんだと…?」
人間の勇者として、己と同族にとっての最大の敵として、挑んできた男の
言葉。戦える力はもう無いが、その言葉は強く、そして勇者の清冽な蒼い瞳は
輝き、血に塗れた顔は、途方も無く美しく見えた。
<> 消えた勇者と闇の魔像・2(2/2)<>sage<>2009/05/22(金) 03:58:54 ID:RMF9WkfO0<> 「…精気を吸い尽くされ、死ぬ事になっても、なおそれを望むか」
「闇に堕ちてまで、人々を救いたいのか?まして、我らが一族をも
救おうだと?」
「俺は、大いなる力の継承者…生けるものを守る為に戦う…勇者…」
その傷ついた手が、ついに魔王の手首を握りしめた。瞬間、かっと魔王の
目が見開く。
「自惚れるな、こわっぱ!」
「ぐぁああっ!」
たちまち魔王の身体から電撃が走り、勇者の身体はあっという間に
弾き飛ばされた。しばし、痛みに呻く勇者の姿を見やり、ふっと瞳を
伏せると魔王は静かに倒れた勇者の元へと歩を踏み出す。

「よかろう…望みを叶えてやろう。ここまで渡り合った勇者を讃え、
稀なる栄誉を与える」
「人と魔を救った大いなる救世主として…我も直々に礼を尽くそうぞ?」
「う…」
魔王の銀の髪が、己の顔に被さるのを感じたが、ついに勇者は意識を手放した。

頬を伝う血にそっと舌を這わせたあと、それは愛おしむように勇者の
身体を抱き上げ、魔王は静かに地下へと続く階段を下り始めるのであった。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/22(金) 04:02:30 ID:RMF9WkfO0<>                ,-、

                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < チャプターが
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < 中途半端な
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 気がするな…
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ

次からが少々長いのですが、またよろしくお願いしますm(__)m <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/22(金) 13:49:55 ID:RMF9WkfO0<> 連投になってしまいますが申し訳ありません。
>>226->>230と>>242->>245の魔王×勇者の続きです。
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < 本格的に
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < エロに突入
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < みたいだね…
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ" <> 消えた勇者と闇の魔像・3(1/8)<>sage<>2009/05/22(金) 13:58:54 ID:RMF9WkfO0<> 「…?」
ゆっくりと眼を開くと、高い天井が見えた。部屋に灯りは無く、かすかに
おどろおどろしい装飾の施された柱や壁が見える。何か滑らかに磨かれた
石の上に横たえられているようだ。
身につけていたものは全てはぎ取られていた。魔王との戦いで負った
傷のダメージは回復していたが、両手両足を拡げた状態で戒められ、
身動きできなかった。不意に闇から声が響いた。
「目が覚めたか」
「魔王?!どこだ」
「これより…儀式を行う」
「儀式だと?」
「魔の呪印をもって…お前に不死の秘術を施す」
「何?」
声は耳元から聞こえるようでもあり、はるか遠くからも響いてるようにも聞こえた。
「お前は人間のため、そして我らが魔族のために、その身を捧げてくれるのだろう?」
そういえば、あの戦いの最後に、そう約束した。例え自分が死んだとしても、それで
平和を勝ち得る事が出来るなら本望だと。だが、不死…とは。
「いわばお前は救世主…我らの新たなる神となってくれる。不死たれば
こそ、それも実を伴うというもの…」
「なっ…」
やがて燐光を放つ宝珠のネックレスが、魔王と共に空中に現れた。
「これは"とこしえの宝珠"。今からお前の体内にこの魔力を注ぎ込み
融合させる」
ゆっくりと魔王は勇者のそばに歩みよる。自分の上下する胸の向こうに
見えるその姿に得体の知れない恐怖を覚え、勇者は身を捩ってその場を
逃れようとするが、両手両足をしばる枷はびくともしない。
そして魔王は大きく開かせた彼の足の間に指を這わせた。
「ヒッ…」
突然の行為に勇者は頬を染め、ますます身を硬くした。
「男の愛を…受けた事はあるか?」 <> 消えた勇者と闇の魔像・3(2/8)<>sage<>2009/05/22(金) 14:03:49 ID:RMF9WkfO0<> 「なっ、何言ってる」
燐光に照らし出される勇者の顔がさあっと朱に染まる。もちろん誰にも
触れさせた事など無かった。
「女とも、数える程か」
くくっと喉の奥で笑う魔王の表情に更に屈辱感を覚え、顔を背けて毒づいた。
「お前が平和を乱さなければ…恋の一つや二つもあったさ…」
拗ねるような様子に、魔王はふっと苦笑する。
「…気にするな、相応の準備をするだけだ」
不意に辺りにかぐわしい香りが漂った。魔王は香油の瓶を取り出して、しなやかな
指でその中身をすくい取った。とろりと糸を引く香油。その様にこれから何を
されるのか悟った勇者はますます暴れた。
「よ、よせ!いやだ!!イヤだぁッ!」
その懇願も虚しく、冷たい指が、体内にゆっくりと入ってきた。
「…ッ!!!」
声にならない悲鳴。ショックで身を硬くするが、香油で滑った魔王の指は
あっという間に根元まで迎え入れられた。
「く…は…」
「狭いな…」
魔王はにやりと微笑んで呟く。しばしその温度を味わうかのように勇者の
体内でぐるりと指を回した。
「よ…せッ…動かすな…」
名状しがたい感覚に襲われ、どうしてよいか判らず、勇者はじっと息を
詰めて過ぎ去るのを待った。やがて魔王が指を静かに抜きさると、詰めて
いた息を吐き出しほっと力を抜くが。
「いいだろう…できるだけゆっくりと、仕上げてやろう」
「あう…ッ」
再びの挿入に眼を見開き、思わず声を上げる勇者。指は2本に増やされて
いた。押し広げられる痛みの中にもやもやとした何かが下半身から沸き上
がるのを感じ、訳も判らず歯を食いしばる。
<> 消えた勇者と闇の魔像・3(3/8)<>sage<>2009/05/22(金) 14:08:52 ID:RMF9WkfO0<> 「くく…嘘はついていないようだな」
「ぐっ…あ、当たり前だ…男の…愛などと…」
頬を染め、じっと震えるその様を見下ろしながら、熱く狭いそこを
押し広げるように指を動かす。
「痛…ッ…!」
「ならば、それは我が頂くこととしよう」
「?!」
不意にひやりと頬を撫でられる。魔王の言葉の意味をはかりかねるうちに
また一本指が増やされた。引き裂けそうになる痛みに、じわりと涙が浮かんだ。
「くぅ…」
3本目をいくらか進めた所で動きを止め、なじむのを待つ。汗を滲ませ
上下する胸。
そして、それも根元まで飲み込む感触に魔王はほくそ笑む。
「くくく、どうやら…我の指に"感じて"いるようだな」
「馬鹿な…あぅっ!」
その言葉にかっと頬を染め叫ぶが、不意にある場所に指を這わされた感触に
慌てて身を捩る勇者。
「こちらも、黙っては居られない様子だ」
「触…るな…!」
つつ、と指を這わされたのは、首をもたげ始めていた勇者自身。先端からは歓びを
感じている証が浮かんでいた。そしてぐるりと体内に収めた指を回すと、
勇者の身体が
ビクビクと震え、どっとその歓びの証を溢れさせる。
「んああ…っ!」
魔王の指を濡らしているのが香油ばかりではない事に気づかされ、ますます羞恥し
戸惑う勇者。無理に開かされた足を閉じようとすれば体内の魔王の指を
締め付け、かえってそれを強く認識するばかりだ。
「いや…だ…」
ついに勇者の蒼い瞳からも涙があふれ出した。その事実にも悔しさを覚え、 余計に涙を誘った。
「さあ、待たせたな。儀式をすませよう」
「あ…っ」 <> 消えた勇者と闇の魔像・3(4/8)<>sage<>2009/05/22(金) 14:13:40 ID:RMF9WkfO0<> ずるりと指を抜きさる。不意にぽっかりとそこが抜け落ちるかのような
異様な感覚にますます頭が混乱する。
魔王は静かに宝珠を繋げたネックレスを手に何事か唱え始めた。
「とこしえの宝珠よ」
「…何す…!アッ!」
先ほどまで魔王の指に蹂躙されていた穴に宝珠を押し当てられた。魔王の
指と違い、
無機質で硬く冷たい感触に嫌悪を覚え、拒絶の声をあげるが。
「や…っ!やめろ…やめ…!」
ひとつひとつ、宝珠が体内に飲み込まれて行くその度、腹の上で熱く濡れた己自身が
ひくひくと震えるのを感じる。
「あぅ…っ!ぐ…っ」
肉壁を押す冷たいそれが、次々と飲み込まれ、中でかき混ざる感覚におぞましさを
覚え首を振る。宝珠は勇者の体温にすぐになじんだが、異物感に堪えきれず、
悲鳴をあげてしまう。それなのに己自身はそれを快楽として認識している事実。
そしてついに全ての宝珠が体内に飲み込まれた。魔王の手に黒い光が集まる。
「大いなる力の継承者、これより不死なるものとして、我が契約の印と
汝が力をもって新たなる生を与えん」
「…やっ!ぎあぁぁぁぁぁ!」
魔王の呪文に応え、宝珠が振動を始める。突然の感覚に勇者の肉壁がきゅうっと
収縮する。中に詰まった球体が蠢き、味わった事の無い感覚を与えた。同時に
内臓から走る激痛。先ほど魔王の指が与えたものより明確な、相反する感覚。
「いぁっ!あっ!ぁああああーーー!!!ッ」
体内から雷に打たれたかのような衝撃が走った。戒められた身体が仰反り
勇者自身から勢い良く白濁液が吹き上げた。彼はついに達したのだ。
己で慰めた訳でもなく、女にされた訳でもない、初めての体験。常ならばそこで、
達した時点で終わりの筈だったが。
「なん…いやだ…とまら…なっ…!あぅぅ…」
涙に濡れた瞳が驚きに見開かれる。体内から沸き上がる快楽に堪えきれず
ついに
屈した己自身。にもかかわらず、いまだやまぬ射精に膝をすりあわせて
もがくが、再び宝珠が熱を帯び、振動を始めた。 <> 消えた勇者と闇の魔像・3(5/8)<>sage<>2009/05/22(金) 14:18:34 ID:RMF9WkfO0<> 「魔と闇に全てを捧げる、この者に永久永遠(とことわ)の生命を…!」
魔王は勇者が腹の上に溢れさせたものを次々に塗り拡げ始める。汗ばみ
赤みを帯びた膚を、魔王が呪文を唱えながら撫で上げ、指を走らせる。
「ひぁ…!いやだ!いやだぁああ…」
鍛え上げられた裸身をひきつらせ、勇者は泣きながら悲鳴を上げた。自身が
吐き出したもので穢されていく己の姿に堪えかねて。
「もう…やめてくれ!不死なんて…いらないぃ…!」
「だめだ…不死は与える」
「も…抜いて…くれ」
未経験の快楽に抵抗しようともがいても、逃れる術など無く、勇者はついに
すすり泣きながら魔王に懇願した。もちろん、彼が口にしたその言葉の意味など
知る由もなく。
「それは…かなえよう」
やがてゆっくりと宝珠の振動が止まり、とめどなく快楽の証を吐き出した自身の
昂りも収まっていった。
「はぁ…っ…」
恐ろしい快楽の責めがようやく止んで、荒い息を付きながら、強張った
身体から
力を抜く。と、体内で明らかな力の流れを感じ、勇者はびくりと身をよじった。
「い…っ!」
胸にまで塗り拡げられていた自身の液が、熱を持ち始める。じゅっと肉の灼ける
匂いがして、それらが文字のようなものを浮かび上がらせる。
「ぎぁああっ!」
それが、魔王の闇の呪印だった。浮かび上がった文字は、やがて光り始めた宝珠の
力の渦と共に勇者の全身に迸り、最後に、まるで勇者を絡めとるかのような黒い龍の
姿を描いて消えて行った。そして同時に、勇者の黄金の髪は、闇よりも
黒い夜色に染まっていた。 <> 消えた勇者と闇の魔像・3(6/8)<>sage<>2009/05/22(金) 14:26:11 ID:RMF9WkfO0<> 「あっ…あ…」
ふっと息を付き、魔王はぺろりと指に残った勇者の残滓をなめとり、あまりのことに
震えるばかりの勇者の姿に、満足げに微笑む。
「よく、似合っている」
涙と汗に乱れ、張り付いていた髪をゆっくりと梳きながら魔王は囁いた。
「我ら魔が棲む闇夜のごとくに」
「ん…っ」
囁いた声の響きに、勇者の全身が何故か熱く疼いた。その感覚を確かめる
間もなく、
呼吸を塞がれていた。魔王の冷たい唇が食むように勇者の唇を吸った。やがてくちゅ…と
淫らな音が響き、舌が己の口中へと入り込むのを感じ、勇者は首を振って逃れようとする。
「勇者よ…お前は…人々を救う為に此処に来たのではなかったか」「…っ!」
「…だけど…こんな…」
「このような…深い口づけを交わすのは…初めてか」
さっと勇者の頬が染まる。突然に恐るべき辱めを受けたというのに、 今更
口づけも何も無い筈だった。
「…ならばそれも…我が頂こう…」
再びの口づけ。今度は、逃げなかった。というよりも、魔の王たるにふさわしい、
凶悪な捕食者の笑みと、間近に光る魔王の夕闇色の瞳に射すくめられ、動けなかったのだ。
唇を割って入り込む、魔王の舌の思わぬ熱さにどきりとした。
「ん…む…」
逃げをうつ勇者の舌を絡み取って捕え、ねっとりと吸い上げ、甘噛みする。 牙の感触に
どきりとして唇を離すと互いの唾液が糸を引いた。
「…っん…!」
まだまだというように、今度は角度を変えてまた口づけられる。魔王から
次々と
与えられる未知の感覚に思わず息を止めてしまい、ますます頭がぼうっとして来る。
だが、頬を捕える手も、髪を梳く指も、驚く程に優しかった。人々を恐怖に陥れる
破壊呪を紡ぎだす唇。触れるものを切り裂き、砕く、死の鎌を操る手。獲物の肉を
引きちぎる残忍な指。それなのに今与えられているものは、ひどく甘くて、穏やかで。
<> 消えた勇者と闇の魔像・3(7/8)<>sage<>2009/05/22(金) 14:31:55 ID:RMF9WkfO0<> 脱力し、蒼い目を潤ませた勇者から唇を離すと魔王の銀の髪がさらさらと 音を立て
顔にかかる。
「ククク…お前は、思っていたよりも遥かに」
ゆっくりと身を起こしながら魔王は呟く。
「…初心だな」
魔王の口づけにすっかり蕩かされた勇者は、抗議する力も残っていないのか悔しそうに
顔を背けるのが精一杯だった。
「さあ…さきほどの願いを聞いてやろう」
「…?」「抜いてやる」
「抜く…って」
「まだお前の中に収まっている、力を失った宝珠だ」
「…!!」
朦朧としていた意識がたちまち引き戻される。融合させると言っていたのに…
が確かに、体内に違和感が残っていた。
「やっ…」
魔王の指が再びそこに触れようとすると、勇者は腰をずらせて足を閉じるそぶりを見せた。
「どうした」
「さっきの…そのまま…引き、抜くのか…?」
「…気に入ったというのなら、このままにしておくが…?」
「ち…違う、そんなの」
「ふん…」
何か言いたげにするが口ごもるそぶりに、魔王は呆れたように鼻を鳴らす。だがすぐに
残忍な笑みを唇に載せ、勇者の太ももにそっと掌を這わせた。
「んうっ!」
そのままぐっと足を押さえつけ、空いた手の指を再び突き刺した。
「あう…っ」
勇者は不意打ちに悲鳴を上げたが、魔王の指はあきらかに先ほどよりも 容易く
侵入できるようになっていた。
「我は、お前が乱れる様を見られればそれで良い…」
低く響いた魔王の声に、ぎゅっと汗ばんだ拳を握りしめる。
「我だけが、な」
「!」 <> 消えた勇者と闇の魔像・3(8/8)<>sage<>2009/05/22(金) 14:38:48 ID:RMF9WkfO0<> 魔王の指が体内を掻き回した瞬間、そこでじゃらりと硬いものがねじれた
感触がして
勇者ははっと息を呑んだ。快楽へと誘うあの、未知の感覚に触れる予感。
雫をたらし、だらりと横たわっていた己自身が再び首をもたげるのに気づき、勇者は
また羞恥に頬を染めるのだった。
「んぅーーーっ!」
眼を閉じ、歯を食いしばったが、その感覚はまだ堪えきれるものではなかった。魔王は
勇者の中に残された宝珠のネックレスを一気に引っ張りだしたのだった。
「ゃっあっ!あぁっ!」
熱い液に塗れた硬い宝珠が狭い穴を拡げて飛び出す感触に勇者はびくびくと断続的に
身体を引きつらせて悲鳴を上げた。そして完全に屹立した勇者自身も、それに合わせ
どくどくと先走りを溢れさせる。
「いぁ…っやっ!んぁあ!」
つぷんと最後の一粒が抜き取られると同時に、また勇者はがくがくと腰を
震わせ、吐精してしまった。
「まさか、これだけで達するとはな…」
喉の奥でしのび笑う魔王の声に、悔しさを隠せようも無く、勇者はくそ…っと呟いた。
かしゃんと、床にネックレスが投げ捨てられた。
「呪印はもう刻んだからな」
吐精したばかりのそれに、つ、と指を這わせる。
「我が清めてやろう」
「!…お前…」
先ほど口づけを交わした唇が、今度はゆっくりとそれに、勇者の男の証に 触れた。
冷たい指が愛しげに熱を持つそれをなぞり、濡れそぼった先端に魔王の舌がざらりと触れた。
「ひ…!おまえ…よせ…そんな…」
じゅ、と濡れた音が響く。魔王が己のものに舌を這わせ、吐き出してしまったものを
啜り上げている。やがて冷たい指と熱い口腔が絡み付く感触に、再び己自身が硬く熱を帯び始めて。
「っ…それ以上は…も…っ!」
堪えたが、無理だった。
<> 消えた勇者と闇の魔像・3(8/8)残り<>sage<>2009/05/22(金) 14:42:32 ID:RMF9WkfO0<> 「あっ…あっ…んっ」
魔王は巧みにどくどくと吐き出された勇者の若い迸りを口中に受け止め、 丁寧に全て舐めとった。
ごくりと、飲み干す音に勇者はぎょっとする。
「飲んだ…のか」
「我が清めてやると言った。何を気にする必要がある」
顔に散ってしまった分まで指で拭い舐めとる様に、消え入りそうな気分になった。
己の出したものを飲まれてしまった、奇妙な敗北感に打ちのめされる。

昨日まで…まさか、こんな事になるなどと誰が想像しただろうか。不意に襲いかかって
来る虚脱感。勇者の眼にじわりとまた涙が滲んだ。

               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < めちゃめちゃ
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < 余ってた…
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 余ってたね…
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
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 |         | ./
 |_____レ
改行を読み違えてしまい申し訳ありません… <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/22(金) 15:48:00 ID:S7EPcyhSO<> てか連載ものはサイト作ってそこでやれ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/22(金) 15:51:18 ID:EZMT09FjP<> 確かにね…
この後また「消えた勇者と闇の魔像・4」とかやられたらひく
周囲の反応を伺いながら、反応がなければやめるって大事だと思うよ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/22(金) 16:34:04 ID:RYQI9PMU0<> 絡み504
明らかに気のせいではないのも混ざってるが
駅擬人化とかはあげる間隔が短すぎるからそう感じるんだとオモ

棚連載関係
最初から長編連載だってわかってるものなら確かにあげてほしくない
ただ反応が思った以上によかったから、「続きになりますが…」って
うpるのもあるし、難しいな <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/22(金) 16:35:06 ID:RYQI9PMU0<> 豪快に誤爆したスマソ… <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/22(金) 20:15:21 ID:m/bhaoqIO<> 長編はダメってルールがあるわけじゃないんだし
マナーさえ守ってれば長かろうが短かろうがいいんじゃないの <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/22(金) 20:33:36 ID:A630TZMf0<> 今までだって長編はいろいろ投下されてたし、
まとめサイトにも連載物のインデックスだってあるのに
何でいまさら長編は駄目ってことになっているんだろう? <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/22(金) 20:48:54 ID:PhV6Zhn10<> 自分は萌えたがの…勇者と魔王。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/22(金) 20:53:20 ID:R4VrT5aFO<> >>240
続き待ってた!
本編にも番外編にもにやにやしました、ありがとう!!
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/22(金) 20:54:00 ID:89iFMcTg0<> 我慢できない人が増えたのでは。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/22(金) 20:59:05 ID:Ky3DceUB0<> 連載物があまり良くないって意見があるのは
その人がまるでスレ占領してるって感じがするからじゃね
あげる間隔をあければ多分OKなんじゃない?
それならスレ占領してるって感じにはならんと思うし <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/22(金) 21:09:12 ID:N+tmYFot0<> 自分の興味ない系が続くとふじこる人の声がデカイだけだとオモ
書いて頂けるだけでありがたいわ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/22(金) 21:42:55 ID:xOeDH/HN0<> そうだよね>書いて頂けるだけありがたい
KYなのも良くないけど、長編ダメ連載ダメとか言ってるうちに書き手がいなくなってしまう。
何のための棚なのか分からん。 <> ゴットギコ<><>2009/05/22(金) 22:22:11 ID:MQTaIRao0<> ギコチャットやろー





<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/22(金) 23:36:40 ID:PXe+0IM0O<> でっていう <> 240<>sage<>2009/05/22(金) 23:43:57 ID:uPGMBM/w0<> 駅擬人化の者です。
物議を醸す行為をしてしまい大変申し訳ありませんでした。
自身の空気の読めなさを恥じるばかりです。
ご不快に思われた方々及び作品を投稿し辛く感じてしまわれた方々本当にごめんなさい。

今後私の愚行を軽く吹き飛ばす名作が続々出てきて
また良い流れのスレに戻りますように。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/22(金) 23:57:17 ID:EZMT09FjP<> >>270は悪くない
他の作品を差して悪く言った
すみません <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 00:15:54 ID:oVJuCb0G0<> >>270
いやいや貴方は悪くありませんって <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 00:37:13 ID:x/L1bAeo0<> >>270
落ち着け、言われているのは貴方のことではない <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 00:43:06 ID:sXqi6ArpO<> 「悪い方」でも楽しんで読んでた人がいるかもって考え付かないの? <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 01:00:23 ID:xpPzVW9w0<> >>2に「規制はない」って書いてあるんだから、それでいいじゃないと思います。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 01:05:59 ID:4tY5I0id0<> >>270
指摘受けてるのは自分投下した>>226以降の分ですよ。
スレ住人の方含めて大変申し訳ないですm(__)m
とにかく初めての事で色々ご迷惑おかけしました。
今後は気をつけます。
棚使わせてもらってホントにありがとうございました。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 01:06:48 ID:unsoTo59O<> >>270
大好き!大好き!大好き!一生好き! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 01:07:56 ID:cvDcK/Gb0<> 長いものなんて今までいくつもあったのに何でいまさら

>>276
好きな人間も居るので気を落とさないでください <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 01:11:21 ID:unsoTo59O<> >>276
大変面白かったのでどんどんやって下さい。

もうちょい世界観の描写があると入りやすいかな、
そちら方面の素養がないもので申し訳ない。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 01:13:47 ID:TeFlaMlY0<> >>270 >>276
雑多に色々なものが読めるのがここの良いところですよ。
お二人とも変な自治には惑わされず、お好きにどうぞ。
これからも楽しみに待っています。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 01:19:38 ID:Ic8EWcAD0<> 勇者と魔王の人はさっさとアプロダだかサイトだかに変更、棚からはあっさり撤退のもよう
巻き添えくらってついでのように叩かれた駅擬人化の人はとんだとばっちり <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 01:23:29 ID:SkM4xaJUP<>             ___
           ,r'     `ヽ、
          ,i"        ゙;
          !.(●)   (●),!
          ゝ_      _,r''
         /  ;;;;;;  ・・ ;;;;) <>>1それは報告しなくてもいいです。
         /          (_
        |    f\ トェェェイノ     ̄`丶.
        |    |  ヽ__ノー─-- 、_  )
.        |  |            /  /
         | |          ,'  /
        /  ノ           |   ,'
      /   /             |  /
     _ノ /              ,ノ 〈
    (  〈              ヽ.__ \
     ヽ._>              \__)

<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 01:29:13 ID:3oQbc1fnO<> 勝手なルールを作らないでほしいよ
ここ見ていい歳なら自分が気に入らないからなんて幼稚な事はしないでいただきたい <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 01:40:09 ID:WZ0BupFk0<> >>257=>>270 (日付変わって>>282か?)
絡みにも行かずにここで悪口書いて、
結果的に無関係の書き手を追い出した気分はどうだ?
「あなたは悪くない」と言いつつ、「私も悪くないけどぉ」と思ってんだろ?
というかそもそも魔王のSSもスルーしろよ幼稚園児 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 01:46:21 ID:6B+Yj/rT0<> >>284
落ち着け、レス番ずれてるぞ。

絡みのレスを持ってくるのもなんだが、
向こうで「感想に対する書き手のレスを禁止にしては」という意見があった。
馴れ合いだとか言って荒れる元になるし、次からテンプレに加えたらどうかな。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 01:53:13 ID:RK0a3b2TO<> 魔像の人は元々いたスレでも応援する信者がいる反面うざがってた住人もいたので
今回の棚での苦言および絡みでいきなり連載について炎上させたのも
いいかげんイライラした元スレ住人の可能性が高いです。
内輪の鬱憤がこっちに迷惑かける形になって申し訳ないやら恥ずかしいやら <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 06:16:22 ID:s+rJ7J440<> ここってアプロダと一緒でこの場に借りて
作品をうpしてるだけなんじゃないの
色んなジャンルの人たちが
なのに声の大きい大人になりきれてない人たちが
わがまま言い過ぎたんだよ
あのジャンル嫌このジャンル長すぎってね
初期の頃は長文もあったりいろんなジャンルもあったのに
最近は投下するのも躊躇う状況作って楽しい? <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 07:22:11 ID:5/3I8NVSO<> >>2
> 相談・議論等は避難所の掲示板で
> http://s.z-z.jp/?morara
というわけで、あっちに書いてきた

↓以下投下スペース <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 11:36:11 ID:Hg8hnUchO<> 駅擬人化の書き手さん行かないで…(´;ω;`)
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 11:43:59 ID:P1iT8+AiO<> そういう書き込みが逆に離れさせると何故気がつかないのか
ファンに見せかけたアンチか <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 12:19:48 ID:Hj9olBuHO<> む、この流れでブーン系を投下してよいものか <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 12:22:05 ID:HLtSLGSw0<> この流れだからこそ待ち望まれているかと <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 12:24:03 ID:Hj9olBuHO<> それもそうだ
では投下しよう <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 12:25:58 ID:Hj9olBuHO<> ヤンデレのモララーに死ぬほど愛されるようです


( ・∀・)「ドクオ」

僕が声を掛ければ、ドクオはビクンっと身体を震わせてゆっくり振り返った。
声を掛けたのと同時にその服の裾を掴んだから逃げようと思っても逃げられないだろう。

その事実に気づくとドクオは泣きそうな顔をした。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 12:28:32 ID:Hj9olBuHO<> (;'A`)「…ウララーとお出かけじゃなかったのか?」

( ・∀・)「睡眠薬を飲ませたから、しばらくは起きれないよ」

ガシッとドクオの腕を掴むと、顔を青くしてひぃと小さく声を上げるドクオ。
可愛い。

( ・∀・)「ねぇ、僕ヒマになったんだ。ドクオ出掛けよう。ねぇ、ドクオ、出掛けようよ」

僕がぐぐぐと顔を寄せる分、イヤイヤと顔を逸らすドクオ。
可愛い。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 12:29:58 ID:Hj9olBuHO<> (;'A`)「どこに行くんだ?外は暑いぞ。日射病になるぞ」

( ・∀・)「ドクオが行く場所ならどこまでも、地獄までも」

これは本心。
雪山で二人っきり遭難とか最高。

そこで僕は思いついた。

( ・∀・)「ドクオ、役所にいこう」

(;A;)「へ?」

ついに泣き出したドクオが可愛い顔でこちらを振り返る。

そんな顔して、何、●●を××して欲しいの?
動悸がする。もうクラクラ。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 12:31:42 ID:Hj9olBuHO<> ( ・∀・)「ドクオ、コレ、コレを役所に出すんだ」

ピラリと出して見せたのは婚姻届。

もちろんドクオは判を押すだけで良いように準備万端にしてある。

( ・∀・)「ドクオ、判を押して。判押して。そして一緒に提出しにいこう。ねぇドクオ、ドクオドクオドクオ」

結婚したら毎日好きなものを作ってあげる。
あの白豚には負けないよ。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 12:31:50 ID:HLtSLGSw0<> 支援? できればタイトル・ナンバリング推奨 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 12:33:14 ID:Hj9olBuHO<> 僕、ドクオ似の男の子と女の子、二人づつが良いな。
大丈夫、ドクオならきっと子作りだって出来るさ。
みんなお揃いの服を着させるんだ。
もちろん僕の手縫い。

老後は世界中を回ろうか。
外国に移り住むのもいいよね。

(;A;)「もう離してぇぇぇぇ!!!!!」

ああ、ドクオの泣き顔、まだ足りないよ。

( ・∀・)「愛してるよ、ドクオ」 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 12:36:49 ID:Hj9olBuHO<> >>294-297>>299
これで終わりです
ヤマオチ意味なし
以前総合に投下した「ヤンデレのミセリに死ぬほど愛されるようです」の編集前ばーじょんでした
>>298
おっと、すまん、久々で忘れていた
お詫びにヤンデレのモララーに死ぬほど愛されてくる <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 12:38:28 ID:HLtSLGSw0<> >>300
乙でした
ドクオかわいいよドクオ
途中で邪魔してすまんかったorz <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 12:50:33 ID:S7fIUKWq0<> 鳳・替え歌 かなり古い歌なのでぐぐって頂ければ
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> 笑む湾でかんだ粕画 1/2<>sage<>2009/05/23(土) 12:51:25 ID:S7fIUKWq0<> バカ言ってんじゃないよ あんたと俺は 喧嘩もしたけど ずっと2人で やってきたんだよ
バカ言ってんじゃないよ あんたの事だけは 昔からずっと 支え続けてやってた 俺だよ

よく言うよ いつも邪魔してばかりで 俺が 何にも知らないとでも 思ってるのか

よく言うよ 俺と組んだ あんたの負けだよ 物好きな人がいいなら 俺も考え直すから

バカ言ってんじゃないよ

バカ言ってんじゃないよ

すべってんのが分かんないとか ありえないだろ

笑む湾で かんだのぐらい 大目に見ろよ

開き直る その態度が 気に入らないんだよ

笑む湾で かんだのぐらい 大目に見てよ

頭ついて 謝ったって 許してやるもんか <> 笑む湾でかんだ粕画 2/2<>sage<>2009/05/23(土) 12:52:26 ID:S7fIUKWq0<> バカやってんじゃないよ 本気でそんな 俺を見捨てて 独りでやれる わけがないだろ
バカやってんじゃないよ 俺を見くびるのか 本気を出せば あんたなんて 軽々超えるよ 

よく言うよ そんな適当な事が お前の口から出てくるなんて いかれてんのか

よく言うよ こんな小さな事で 怒っていても 可愛くないさ 大人になろうよ

バカやってんじゃないよ バカやってんじゃないよ

俺にだって 本気になれば 相手はいるんだよ

笑む湾で かんだのぐらい 大目に見ろよ

開き直る その態度が 気に入らないんだよ

笑む湾で かんだのぐらい 大目に見てよ

100回言い訳 聞かされたって 許してやるもんか


笑む湾で かんだのぐらい 大目に見ろよ

上から目線の そのキャラだって そろそろおじゃんだろ

笑む湾で かんだのぐらい 大目に見てよ

今夜一晩 つきあったら 許してやるよ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 12:53:33 ID:S7fIUKWq0<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
お粗末さまです、ありがとうございました <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 12:57:52 ID:0p8gc68o0<> ええっと... <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 13:05:21 ID:rGEe4UO80<> ワロタ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 13:18:08 ID:Hg8hnUchO<> な?若林ヲタだろ? <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 13:54:36 ID:itVCk5x40<> 替え歌って、ありなの? <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 14:14:35 ID:UQ4S664E0<> 溢れる気持ちをたくさんの人に見て欲しかったんだよ。
土日だし。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 15:33:41 ID:izbnM1AIO<> 替え歌の投下は前にもあったじゃん
何にそんなに食いついてるんだ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 15:39:11 ID:a0EAPih+0<> >>311
鳳だからじゃない?
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 15:54:07 ID:S7fIUKWq0<> すんません;投下主です;

自分は投下前に相当悩んで、思いきって載せたんですが、やっぱ出さないほうがよかったかなとorz <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 15:56:45 ID:HLtSLGSw0<> 気にすんな、マナー違反してるわけじゃないよ
作者さんが萎縮するのが棚にとって一番のマイナス
投下してくれてありがとうと言いたい <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 17:13:29 ID:unsoTo59O<> >>313
言葉の選び方がそっくりな上元歌ともリンクしていて
何より雰囲気がピッタリ!
落としどころもあるし、力作だと思いました。

今度カラオケ行ったら歌わせて貰いますね!
投下して下さってありがとうございました。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 19:54:47 ID:PfJNS6/X0<> ありもなしもこのスレはすべてネタ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/23(土) 22:15:30 ID:TPBf2IZRO<> >>313
上手いなー
面白かったです。萌えました <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/24(日) 10:16:30 ID:6uFNsKxN0<> >>316
ネタだから替え歌でもなんでもやっていいっての?

その論理で行くと
AAの連張りだろうが、チラ裏日記だろうが
「ネタスレだから」なんでもかんでも許容していいってことで間違いない? <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/24(日) 10:28:18 ID:zbDgQyGt0<> >>318
>>2-3を理解できるまで音読してみよう。話はそれからだ。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/24(日) 10:31:28 ID:zbDgQyGt0<> ついでにこれ貼っとく。続きはここでどうぞ。

相談・議論等は避難所の掲示板で
http://s.z-z.jp/?morara <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/24(日) 10:41:52 ID:n7RpuopqO<> 荒らすだけ荒らしてさっさと消えたな鳳厨
ほんと目障りな害虫だわ
しかもつまんねーし <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/24(日) 12:23:47 ID:LFYyAzyK0<> 人を害虫とか言ってしまうあなたも同じ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/24(日) 13:45:15 ID:kHtynU4qO<> 「も」はないだろ… <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/24(日) 20:30:43 ID:Dg30K9th0<> 鳳ってだけで過剰反応してるやつは何なの? <> 生徒×先生1/3<>sage<>2009/05/24(日) 23:32:27 ID:O5QIoW9zO<> 生徒×先生。年の差一回りくらい
オリジじゃなくて元ネタあるけど、激しく捏造してるのでタイトルは伏せ

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


退院した俺に手渡されたのは、先生の電話番号と住所の記されている紙片だった。
それから6年間。学校を卒業してからも、俺は土曜日になったら先生の家へ出かけていく。


『大輔か?入っていいぞ』
呼び鈴を鳴らすと薄いドアの向こうからいつもの返事が聞こえてくる。
遠慮なく部屋に入ると、よく来たなと笑顔の先生が迎えてくれた。
ここでご飯を食べたり、勉強したり、他愛の無い話をしたり、本を読んでもらったりして過ごすのは習慣のようになっている。

「それにしても、大輔も年頃なんだし休日のたびに俺の家なんかに来てもつまらなくないか?
 友達とか、その、ほら、彼女はどうなんだ?」
「そういう先生は俺を家に上げてていいの」
「気にするな。友達で俺と休みが合う奴はあまりいないんだ、……それに教員は出会いが少ないからな。
 って、俺じゃなくてお前は本当に大丈夫か?」
「別に。学校ではそこそこうまくやってるし。
 彼女はいないけど先生に心配されるようなことは何もないよ。
 ……それに、家にいたってつまらないしね」

その言葉に先生の目が何かに気づいたように見開き、すぐさま悲しそうに伏せられる。
物が散らばって雑然としているのに、どこか空っぽな俺の家のことを知っているからだろう。
それを持ち出すのは卑怯だと思うけど、先生を黙らせるのにとても効果があるのは事実だ。

好きだと思っている人を相手に、恋愛について話をするのは怖かった。 <> 生徒×先生2/3<>sage<>2009/05/24(日) 23:33:42 ID:O5QIoW9zO<>
共通点なんか無いに等しいけれど、この付き合いが続いているのは俺が「かわいそうな子」だからだ。
新任教師だった当時、駐輪場で倒れていたという俺の姿はさぞ強烈だったことだろう。
先生の人の良さと同情心だけがこの関係を支えている。
とうに成長期は終わり、高校にも入学したのに、たぶん先生の中で俺はまだランドセルを背負った子供のままだ。
俺の気持ちが知られたりして、このつながりがなくなってしまうのは耐えられない。

けれど、もし伝えてしまったらどうなるだろうと、頭の中でなぞったことが何度もある。

“俺がお前に優しくしているから、きっと勘違いしているんだ。
 大丈夫だ。いつかお前のことをもっと大切にしてくれる人が現れる”

形式的なお断りではなく、本当に俺のことを思ってそう言ってくれるだろう。
でも先生は、俺の中でどんなに先生が絶対的な存在になっているか知らない。

“俺が一番つらいときに支えてくれたのは、家族でも友達でもなく先生じゃないか。
 もう俺のことなんて放っておけばいいのに、ずっと支えてくれてる。
 この先どれだけ待ったら先生以上の人なんて出てくるんだよ”

想像の中で俺はいつでもそう訴えて、先生を組み伏せる。
先生は抵抗もしない。声を荒げることもしない。目だけがいつだって悲しそうだ。
――そんな情景を思い浮かべて抜くこともあるなんて、先生は絶対に考えもしていない。 <> 生徒×先生3/3<>sage<>2009/05/24(日) 23:35:06 ID:O5QIoW9zO<>
「言っておくけど、俺に気を遣うようなことはするんじゃないぞ。
 こういうことを言うと気を悪くするかもしれないが、俺はお前が頼ってくれることが本当に嬉しいんだ」

つらつらとろくでもないことを考えている俺が沈んでいるように見えたのか、先生が言葉を継ぐ。

「俺はどんなときでも大輔の力になる。
 約束しただろ?俺はお前を見離したりしないって」


「……だったら、またここに来てもいい?」
「……ああ!もちろんだ!」

心の底からそう思ってくれていると知ってるからこそ、それを損なうようなことはしたくないと思う。
けど、この時間を他の俺のような子――もしくは彼女に譲り渡さなければならない日のことなんて、考えたくもない。
本当に尊敬しているのに、大切に思っているのに、好きなのに、先生のために引くことができない。
この気持ちがいつかきれいに消化されることはあるんだろうか。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

ただの自己満足のために投下
誘い受けとかじゃなく、ネットに投下する時点で無反応も批判もある程度覚悟してる
だからもし今「つまらないけど、別に好きじゃないけど感想つけなきゃ!」と思っているなら、
このネタはスルーしてください

ここを利用する以上、読み手としてのマナーも必要なんだろうけど、
書き手にだってもちろんただのルールだけじゃなく、必要とされてるマナーや心構えはある
自分のマナーを忘れて相手のそれに付け込むことなく、その上で自由にやっていけたらと思ってるよ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/24(日) 23:45:12 ID:H8XH6v3U0<> ただのバカです <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/24(日) 23:56:02 ID:sjLpZ6Q5O<> もうね愛のない感想はスルーしたらいいよ

投下して下さる皆さんいつもありがとう <> コンビニと駄菓子屋0/3<>sage<>2009/05/25(月) 03:39:20 ID:4icDifNf0<> 初投稿です。




                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |   擬人化コンビニ×駄菓子屋です
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|   
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> コンビニと駄菓子屋1/3<>sage<>2009/05/25(月) 03:44:32 ID:4icDifNf0<> 俺はコンビニ。街のコンビニ。建築されて15年、見た目10代後半。働き者。
俺には大嫌いな奴が二人いる。
一人は太陽の店と書かれた看板とは裏腹に高層マンションの日陰にひっそり存在する駄菓子屋。(建築されてかなり年寄りらしいが見た目は20代後半。いつも椅子に座って猫を抱きお茶をすする万年日和見野郎)
もう一人は駄菓子屋を日陰に追いやった張本人の高層マンション。(建築されてからはまだ3年だが見た目20代前半ばかでかい。クールなインテリ眼鏡。上から目線うぜぇ。)

日中問わず働いてる健気な俺のもとに駄菓子屋がやって来て手招きをする。君の好きなよっちゃんいかあげるから?ざけんな俺は忙しいっつの。
店長に平謝りして駄菓子屋のもとへ行く。
「かけてこなくても」と笑う駄菓子屋。
「うるせー、俺は忙しい中時間を空けたんだぞ 用件があるならさっさと言え」
「私この度店をたたむことに致しまして その報告を」
「…そか やっとか ははっ ライバル一人減った つーか最近じゃライバル視もしてなかったけど」
あれ?でも店をたたむって事はこいつは…消える?
「あなたとこんな風にお話出来るのも後少しですね」
「何のんびり構えてんだよ!?自分が消えるかどうかの時に!もっと動けよ 働けよ!俺みたいにがむしゃらに!
あんたいつもそうだ!あんたと一緒にいると24時間頑張ってる俺がバカみたいだ」
眉間に皺を寄せ怒る俺。駄菓子屋はゆっくり話し始める。
<> コンビニと駄菓子屋2/3<>sage<>2009/05/25(月) 03:46:37 ID:4icDifNf0<> 「…店も 建物も人も 寿命はいつか来ますよ
私は家の人達を親子三代見守って来た みんなそれぞれ良く頑張ってくれました
沢山のお客さんとも出会った 駄菓子を買って行く子ども達の笑顔が好きだった
…あなたとも出逢えた」
駄菓子屋が俺の方を向き優しく微笑み話を続ける。
「最初は正直…うるさい若者が来たなと迷惑に思ってたんですけどね」
「な!?」
「スーパーボールを見て目を輝かせたりよっちゃんいかで釣られたりあぁこの人もうちに来る子ども達と何ら変わらないと分かったら安心して
今では愛しいと思うまでになりましたよ」
何これ?告白?今さらっと告った?
「…何で今更そんな事 俺が あんたにずっと言いたくて言えなかった事 何さらっと言ってんだよ
お前なんか大嫌いだ!」
俺、その場から逃げた。めっちゃ逃げた。俺迷子。涙出て来た。
「コンビニ?」
ゲ…高層マンション。やべっ泣き顔見られた。
「何で泣いてるんだ?何かあったのか?」 <> コンビニと駄菓子屋3/3<>sage<>2009/05/25(月) 03:48:16 ID:4icDifNf0<> 「お前のせいで お前のせいで太陽の店に日があたらなくなった お前のせいで駄菓子屋が」
違う 分かってる 誰のせいでもない 駄菓子屋の言う通り寿命なんだ。
高層マンションは泣きじゃくる俺を見てただ黙って抱きしめた。

後日、駄菓子屋の店を閉める理由が新しいショッピングモール建設の為、家の人が土地を売ったのだそうだ。
家の人達は土地を売ったお金でこの街よりまだ田舎へ引っ越し、そこでまたのんびり駄菓子屋を続けるらしい。
どんだけ駄菓子屋好きなんだよ!っていう。
駄菓子屋、頼むから携帯持ってくれ。メール覚えてくれ。手紙なんて悠長なもん俺の性にあわねーんだよ!
返事おせーし。待つ側の身になれよ。ったく一度消えかけたくせに危機感ゼロですか、そうですか。

店には入れ替わり立ち替わり客が来る。コンビニで笑ってる奴なんて見ないよなーと思ったらいた。
駄菓子コーナーで懐かしむ大人。一緒にいる子ども。
何だか無性に会いたくなった。
「店長 ちょっとよっちゃんいか買いに行くんで数日間休暇下さい」

新しい駄菓子屋は日当たり良好だった。 <> コンビニと駄菓子屋<>sage<>2009/05/25(月) 03:52:53 ID:4icDifNf0<> 以上です。
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) エロなくてすみません
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/25(月) 04:07:40 ID:M3hK5xkhP<>
\  だ、駄菓子屋ッ! /

            \   コ、コンビニさん  /

    {{ _____ {{ / ̄ ̄ ̄ ̄\ }}
   {{ /=7= つ /__駄菓子_\ }}
  {{  /     / {{  |__|__|   | }
 {{  / ::: Π/   {{ |________| }
     ̄ ̄ ̄ギッシギッシ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/25(月) 08:18:05 ID:GYYX309AO<> >>334
萌えた!
面白かったよ!

最近切ない系の投稿が多くて、そういうの好きな自分としては凄いありがたい! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/25(月) 09:32:06 ID:2lnvWj70P<> >>334
萌えた
( ;∀;)イイハナシダナー <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/25(月) 11:54:58 ID:ohSNfxdL0<> >>330-334でじんわりしてたのに
>>335で盛大に噴いた。台無しだてめえwwww <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/25(月) 13:38:43 ID:ckQ2jF16O<> >>334
これいいな!好き! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/25(月) 13:39:02 ID:sQwR2okm0<> >>334
萌えた!GJ!!
擬人化で萌えたのは初めてだよ。
いつかコンビニのために駄菓子屋が携帯持ってくれるといいな。 <> 13階 0/8<>sage<>2009/05/25(月) 13:56:08 ID:WJ0CPIUT0<>
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  洋画「13階(要英訳)」からデイビッドxホイットニー
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| マイナーだけどね
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 今回と次回で二回分の投下になります
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
<> 13階 1/8<>sage<>2009/05/25(月) 13:57:04 ID:WJ0CPIUT0<> 彼は見覚えのある薄暗い空間に立っている自分に気がついた。
はじめの数秒は少々頭が混乱したが、すぐに事情を飲み込めた。なにしろ、ここを訪れるのはこれが初めてではない。
彼の感覚からすると少々古めかしい印象がするコンピューターが立ちならび、
巨大な電子機器がうめくような音を立てて作動している。
彼はコンピューター制御されたガラス製の自動扉の前に立ち、おぼろげに浮かび上がった自身の姿をながめた。
顔立ちや体つきこそそっくり同じだが、こんな服装は好みじゃないし、髪型も微妙に違う。
彼は確かめるように右手を持ち上げ、目の前で拳を握ったり開いたりした。
感覚も現実そのもの。ガラスを触れば冷たく感じるし、機器に触ればわずかな振動を感じ取ることができる。
が、これは現実ではない。すべてはコンピューターでプログラムされた産物であり、
現実の彼の身体は自宅のソファに寝転がったままでいる。

これは彼がプログラミングして作り上げたコンピューター上の"仮想世界"だ。
1999年のアメリカを再現していて、質感といい触感といいすべてが現実のものと相違ない。
くわえて、ここには住人も存在する。各々が意思を持って行動していて、日々お互いに影響しあって生活している。
むろん人工知能ではあるが、デイビッドは彼らにすこぶる優秀な"自我"を植えつけた。
彼らは単なるコンピューターで作られた"データ"などではなく、それぞれが複雑な感情を持って生きている。
現実の人間とまったく同じなのだ。

デイビッドは今、"仮想世界"に住むひとりの住人に意識を接続させていた。
デイビッド専用にデザインした住人で、名をダグラス・ホールといい、姿形こそ彼とまったく同じだが、
"仮想世界"でさまざまな影響を受けながら生活するうちにデイビッドとはまったく違った
自我や個性を身につけていた。服装や髪型の好みの違いがいい例だ。

彼はきびすを返し、薄明るく光る液晶画面の前で背中を丸めて作業している後ろ姿に近づいた。
砂のようなくすんだ金色をした髪が絡まりあい、肩甲骨のあたりまで伸びている。 <> 13階 2/8<>sage<>2009/05/25(月) 13:58:09 ID:WJ0CPIUT0<> 後ろに立ったデイビッド――それともダグラス――に気がついたのか、コンピューターの前で
一心不乱にキーボードを叩いていた男が振り向いた。眠たげな目は半分も開いておらず、目尻が赤く染まっていた。
「調子は?」
さして興味もなさそうにデイビッドが尋ねると、男は降参するように両手を上げて肩をすくめた。
「だめだ。先は長そうだ」
「そうか」
男の後ろから覗き込むようにして画面を見やったデイビッドは、すぐさま男が何に苦労しているのかを理解した。
だがあえて何も言わなかった。この世界のデイビッドは――「ダグラス」は、プログラム関係の作業には
あまり従事していないからだ。おそらく、もっぱらプログラムはこの男に一任している。

ダグラスが何をして生計を立てているかを知ったときのおかしさといったら、これ以上皮肉で
傑作なジョークはないとデイビッドは思った。
これこそがそれぞれ自我を持ち、日々知恵や経験、個性を蓄積させていく超現実的な人工知能のなせる業だ。
神のイタズラか、単なる偶然か。神のイタズラだとするなら、いったい誰が"仮想世界"の神なのか?

ダグラスは"仮想世界"の中で、さらにもうひとつの"仮想世界"を作る研究にかかっていた。
自分自身が"仮想世界"に住む人工知能だということもつゆ知らず、デイビッドとまったく同じ研究をして
超現実的な人工知能だの、きわめてリアルな触感だの、何だのと頭を悩ませているのだ。
コンピューターの前に座ってプログラムに没頭している男はダグラスの同僚で、
他にも数人の研究員がいるが、現在のところ研究室にいるのはデイビッドとこの男だけのようだった。

自分たちが住むこの世界がプログラムされたものとも知らず、"仮想世界"の研究に日夜傾倒している連中を見ていると、
しばしば彼は自分自身の存在に疑問を持った。もしかしたら俺が現実と思い込んでいる世界も、
どこかの誰かに構築された"仮想世界"なのではないか?
この俺自身の思考や記憶も、巧みにプログラミングされた人工知能のなせる業なのでは? <> 13階 3/8<>sage<>2009/05/25(月) 13:59:03 ID:WJ0CPIUT0<> 考えてみると、なんとも皮肉でおかしみを感じる疑問だ。いっそ哲学的だとすら思う。
"自分は本当に存在しているのか?この世界は現実なのか?"
何世紀も前から我々を悩ませている大きな疑問のひとつだ。

大きな背中を丸めて夢中でキーボードを叩いているこの男はジェイソン・ホイットニーという名で、
デイビッドの昔の隣人をモデルにデザインした男だ。
モデルになった男は立派な身なりをした紳士的な男だったが、ホイットニーのほうは
"仮想世界"で生活するうちに彼なりの個性を身につけ、元になった男とはある種真逆の人間になっていた。
だらしなく伸ばしっぱなしの金髪は肩のあたりで絡まりあっているし、着ている服はひと目で安物とわかるものばかり。
そのうえ着たきりすずめだ。しまりのないことこの上ない。
モデルになった男よりよほど高給取りであるはずなのだが、要するにこれは彼の性格の問題だった。
身なりをまったく気にかけず、そのくせ自分にいまひとつ自信が持てない内気な男。
日がな一日コンピューターの前に座ってひたすらプログラムに傾倒するのが彼の"仮想世界"における人生だった。
ホイットニーが腕を伸ばして背筋を反らせると、デイビッドの耳にも彼の凝り固まった筋肉がほぐれる
かすかな音が届いた。
「少し休むことにする。どうせ、これ以上ねばっても今日はいい成果が出せそうにない」
椅子をくるりと回転させてデイビッドと――ダグラスと向き直り、ホイットニーははにかんだような笑顔を見せた。
「疲れた」
単なるひとりごとのようにも聞こえたが、デイビッドはそれに応えてうなずいた。
「だろうな」
「ひとつの仕事に取りかかってると、またぞろ別の問題が見つかるんだ。毎日毎日デバッグばっかり、嫌になるよ」
デイビッドは深い共感を込めてうなずいた。彼が直面している問題はデイビッドにも覚えがあった。
デイビッドはすでにその域を脱したが、少し前までは彼のように毎日がデバッグ地獄の繰り返しだった。
あるときはプログラム上のバグが永遠に存在し続けるものと錯覚して気が狂わんばかりだったが、
いくら問題の多いシステムだろうといずれはやりおおせる。今はただひたすらひとつひとつ仕事をこなしていくことだ。 <> 13階 4/8<>sage<>2009/05/25(月) 14:00:00 ID:WJ0CPIUT0<> 「プログラムに関することは俺にはさっぱりだけど、できるかぎりサポートするよ」
デイビッドならものの一時間で彼の頭を悩ませている問題を解決することができたが、
デイビッドはあくまで"ダグラス"として同僚を応援した。
ホイットニーは大柄な体格に似合わぬシャイな少年のような表情を見せ、小さな声で礼をいった。
「ずっと仕事づくめで、ろくに話もできなかった。寂しかったよ」
両膝の間で両手をあわせ、彼は邪気のないほほ笑みを浮かべた。
デイビッドは顔をしかめた。彼の物言いが三十を越えた成人男性にしてはあまりに幼く思えたからだ。
以前"仮想世界"に接続したときはこんな言動をとるような男ではなかった。
内気な性格は今も変わらずだが、もっと冷静な――ビジネスライクな付き合い方をする男だったはずだ。
デイビッドがしばらく"仮想世界"に接続しないうちにダグラスとの関係性が変化したのか、
あるいは"ホイットニー"の人工知能――彼の個性が変化したのか。いずれにしろ、たちの悪いバグでなければいいが。

デイビッドが黙っていると、ホイットニーは椅子から立ち上がってデイビッドのそばに近づき、
彼の頬に優しく手をそえた。ホイットニーの顔が次第に近づいてくるのを見て、
彼はホイットニーが何をしようとしているのかを悟った。
「よせ!」
たまらずデイビッドは腕を振り、ホイットニーから数歩あとずさった。
プログラムは完璧に仕上げたはずだ、もう改善点はない。――はずだ。
デイビッドに拒絶され、ホイットニーは深く傷ついた表情を見せた。
眉をよせて唇を曲げ、つかのま泣きべそをかいた子どものような表情になった。
「ご、ごめん」
「悪い冗談はよせよ」
「ごめん、キスしたかったんだ。それだけだよ」
ホイットニーの表情と口ぶりから、からかいやたちの悪い冗談の類ではないことがわかった。
多大なる疲労とストレスに圧倒されて青ざめていた顔が、デイビッドの目の前で少しずつ赤らんでいった。 <> 13階 5/8<>sage<>2009/05/25(月) 14:00:45 ID:WJ0CPIUT0<> ホイットニーはすっかり恐縮していた。
顔を伏せているために、彼の長い髪がカーテンのように彼の顔のほとんどを隠していた。
「お前、ゲイなのか? ホイットニー」
デイビッドが感情を抑えた声でそういうと、ホイットニーはびっくりして顔を上げた。
長い金髪がひとふさ顔に垂れ、ほんの一瞬、デイビッドは彼が女のように見えた。
「ゲイってわけじゃ……いや、でも……」
「別にそういうことに対して偏見があるわけじゃないが、無理強いはよしてもらいたいね」
デイビッドがきっぱりといいきってみせると、ホイットニーは再びひどく傷ついた表情を見せた。
デイビッドの拒絶の言葉そのものに対して傷ついているというよりは、少々の驚きと非難の色をにじませた顔つきだった。
「……ダグラス、少しひどすぎないか? 僕が嫌になったんならはっきりとそういえよ」
たしかに、"同性愛者"というのも立派な個性のひとつだ。デイビッドは自分が仕上げた人工知能の出来に
改めて拍手喝采を送ったが、当の彼はデイビッド専用にデザインした住人、ダグラス・ホールに惚れているらしい。
デイビッドにとってはあまりぞっとしない筋書きだった。
「嫌になったわけじゃない。相手かまわずキスを迫るのはどうかと思うだけさ」
「相手かまわずって、何だよ? ダグ、僕が誰彼かまわずキスしてるとでも思ってるの?」
「そんなの知るか、好きなようにキスすればいい。ただ、俺はお断りだ」
ホイットニーは目を剥いた。非難がましく眉をひそめ、赤らんだ頬をぴくぴく震わせている。
ホイットニーはきわめて内気で温厚な性格の住人だ。いったい"仮想世界"でどのように育ったら
ここまでおとなしい人間ができあがるのかというほど、それこそ虫一匹殺せないような男だ。
そのホイットニーがここまで怒っている姿を目にするのは、「ジェイソン・ホイットニー」という住人の
プログラムが完成してからこっち、実に初めてのことだった。
それでも、ホイットニーはデイビッドに殴りかかるようなまねはしなかった。
目尻に涙をためて怒りに震えながら、それでも自信なさげにデイビッドの顎のあたりに視線をすえていた。 <> 13階 6/8<>sage<>2009/05/25(月) 14:01:45 ID:WJ0CPIUT0<> 「君がはじめにキスしたんじゃないか」
「え?」
ホイットニーは鼻をすすった。うつむいて、また自前の長髪で顔のほとんどを隠してしまった。
「僕が嫌になって別れたいっていうんなら、はじめからそういえばいい。そんな態度は公平じゃないよ」
「俺がはじめにキスしたって?」
ホイットニーが顔を上げた。疑わしげな表情が顔面いっぱいに広がっている。
「具合でも悪いのか、ダグ?」
「俺がはじめたのかい?」
「先月の頭、この研究室で僕にキスして『好きだ』といったんだ。忘れたいんだろ、いいさ。
終わりにしよう。友人でいるのも耐えがたいというならそれでもいい。でも、僕を
この職場から追い出すのだけは勘弁してくれ。僕にはこれしかないんだ」
あんまり目を見開いたので、まぶたに痛みを覚えるほどだった。デイビッドは口を手で押さえ、
ふらつく体をデスクに置いた右手で支えた。ショックや驚きの類ではない。
たしかに驚いたことは事実だが、大部分は滑稽味が占めていた。デイビッドは自分が
床を転げまわって大笑いするのを決死の思いで抑えていたのだ。
――俺の住人がゲイに目覚めた!俺をモデルにデザインした俺の住人が、同僚と恋に落ちている!
いうなれば、これはダグラスとホイットニーの恋であると同時に、デイビッドと
彼のかつての隣人との恋でもあった。デイビッドは血が出るほど唇を噛み、
笑いの発作に満ちあふれた吐息を震えながら吐き出した。

「悪かった、ホイットニー。ふざけただけだ。サプライズだよ」
わずかにかすれた声でデイビッドがそういうと、ホイットニーは疑惑に満ちた表情をひそめた。
「どっちにしても、不愉快なサプライズだよ、ダグ。別れたいのか、そうでないのか、はっきりしてくれ。
どっちにしろ、こんなの公平じゃない。きみの態度はひどいと思う」
「別れたいわけないだろ。愛してるよ、ホイットニー。本当だ」
ゲイの同僚が無理矢理キスを迫ったのならともかく、どうやら彼らは相思相愛のようだ。
それもダグラスのほうからはじめた恋だという。そうなると、ダグラスの知らぬうちに
最悪の形で恋に終わりが告げられるというのは少々気の毒な話だ。 <> 13階 7/8<>sage<>2009/05/25(月) 14:02:50 ID:WJ0CPIUT0<> ただでさえ「接続中」はなるべく周囲の状況や住人の関係性を変えないよう気をつけている。
でないと、「接続」から解けた住人が混乱をきたしかねない。自分に空白の数時間が存在することを
感づかせることは極力避けるべきなのだ。

ホイットニーはむすっとしていた。こわばった表情やショックで赤らんでいた肌は
徐々に落ち着きを取り戻しはじめていたが、さりげなくデスクに置かれている腕は細かく震えていた。
ただでさえ気の小さな男に、気の毒なまねをしてしまった。昨日まで深く愛し合っていたはずの恋人に、
突然キスを拒絶されて"お前はゲイか?"などと尋ねられたのだ。デイビッドにとってはきわめて滑稽な話だが、
おそらくホイットニーにとっては滑稽どころの話ではないだろう。
うつむき加減の顔にくすんだ色の金髪がかかり、彼の顔に影をつくっていた。
ウェーブがかった長い金髪や白い肌は魅力的といえなくもないが、ホイットニーはいわゆる
中性的なタイプの男ではない。6フィートをはるかに超える長身やがっしりした体つきは
そういった要素とは無縁のものだ。
ダグラスがこの男のどこに魅力を感じて研究室でキスを迫るという行為に出たのか
皆目見当もつかないが、デイビッドには関係のない話だし、興味もなかった。
指先を金髪のカーテンに絡めると、ホイットニーがびくっと体を震わせてこちらを見た。
「悪かったよ。からかってみただけだ。驚かせたかったのさ」
「驚いたなんてもんじゃないよ」
ホイットニーは色白だった。頬、唇、指先などの末端部位だけが血の色が透けて見えるように赤く、
研究室の弱い蛍光灯の下では肌全体が青ざめてさえ見えた。
デイビッドは彼の唇に視線をすえた。つややかで健康的な色をしていたが、その周りに
うっすら生えた、デイビッドと同じ男特有のひげの青みが目についた。
これを見て"キスをしたい"という欲求を抱くダグラスの気持ちは永遠に理解できそうにないが、
とくべつ嫌悪も感じなかった。どうせここは"仮想世界"の中の小さな研究室で、
デイビッドの行動を見ているものもいない。だが、不思議とホイットニーと唇を重ねた瞬間、
胸騒ぎにも似た居心地の悪さを覚えた。ばつの悪い、何か悪いことをしているような感覚。
自分がしていることがあまりに馬鹿げていて、あまりに不自然な気がしたからだ。 <> 13階 8/8<>sage<>2009/05/25(月) 14:05:36 ID:WJ0CPIUT0<> 自分よりずっと背が高く大きな体をした男に口づけているというのは、
いくら"仮想世界"での出来事とはいえ気味のいいものではなかった。感触はどこまでもリアルだ。
想像していたよりずっと柔らかい唇だった。女のものとそう違いはない。
唇が触れ合っただけで離れていこうとしたホイットニーのうなじをつかんで、デイビッドは
半開きの唇に舌をつっこんだ。湿った吐息がデイビッドの唇を霧のように包み込んだ。
甘い味がした。チョコバーの包み紙がくしゃくしゃになってホイットニーのデスクに転がっている。
「ダグ……」
ホイットニーは泣きべそをかいていた。唾液で濡れた唇を右手の甲でぬぐい、左手で
デイビッドのシャツの背中部分をつめが白くなるほど強く握っていた。
「ホイットニー、お前、俺以外の人間とキスしたことあるのか?」
「高校時代に一度だけ、ジュニア・プロムで……すぐふられたけど」
一度でも経験があったというのが驚きだ。ホイットニーは真っ赤な顔をしてデスクチェアにもたれ、
デイビッドの一挙手一投足にどぎまぎしていた。デイビッドがもう一度キスすると、
ホイットニーはほとんど気絶しそうな様子で顔を血液と同色に染めた。



                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  次回で終わります
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| もさい金髪ロンゲ192cmおっさんマンセー
 | |                | |             \
 | | |> STOP.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |

<> 生 荒野と別の地 1/4<>sage<>2009/05/26(火) 01:44:49 ID:4ovxbblfO<> 某ナマモノ。某狂信者っぽい人と、元某漁師な人で。

>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!



歌わない奴にはわからないだろうけど、歌うことは人生だ。
俺は歌うほうの部類なんでそう思う。多分お前もそう思ってるんじゃないかと思う。
そんで、誰かと歌うのは仕事でもあるけどそれだけでもない。時折意味を持つ。
仕事なんだけど、生き甲斐でもあるんだけど、何て言ったらいいかな。
共鳴と言ってしまえばそんなもんだ。でもそれじゃ、あんまり普通すぎる。
ぴったり、合う、この感覚って言うのは不思議だ。

「あの、何してんすかー?」
「ん、メールチェック」

練習後のレッスン室に座り込んでたら、すっかり着替え終わった後輩達が声をかけてくる。
汗の流れるまま携帯をいじくっている俺を置いては、先に帰りにくいんだろう。
悪いね、ソングリーダーが動かなくて。良いんだぜ、放っておいてくれても。
俺は好きでここにいるんだから。

「あ、鍵は俺閉めとくから、先あがってよ」
「…え、でも」
「いーから。ほい、かいさーん」

ぺこぺこ。指先で携帯電話のボタンを探りながら、俺は顔も上げず手を振った。 <> 生 荒野と別の地 2/4<>sage<>2009/05/26(火) 01:46:35 ID:4ovxbblfO<> レッスン室の床はまだ冷たくて気持ちが良い。もたれ掛かるバーも鏡も、ひんやりしている。
俺の背中を汗が伝う。息の中にはまだ熱がこもっている。
夏のように、荒野のように。

「は、はーい、アリガトございまーす」
「お疲れ」

埃舞う荒野のように。
あ、飲み会の誘い。これは後で返事しておこう。それから下らない出会い系メールはさっくり削除。
珍しい友人からの、何てこと無いメールに少し頬を緩めたら、ほたりと鼻先から汗が落ちた。
そしてその後、もっと珍しいメールに今度は汗が体中からまた噴出した。
『お疲れ』
って、タイトルだけじゃ全く何の変哲も無い。

「…ユっ…」

『久しぶり、元気ですか。もうすぐ大阪です。行って来ます!』
内容も、それだけ。何の変哲も無い。
差出人がお前じゃなければ。

「ひさしぶり…」

俺は思わず声に出す。目の脇を流れる汗が、涙じゃないぜと思う。
こもった息の熱が声と混じった。自分の声なのにやたら遠く感じた。
ああ、久しぶりだな。お前は元気かな。
全くいつの間に、だ。いつの間にメールなんか覚えた。
普通の奴なら驚かないよ。こんな普通のメッセージ、全然驚かないよ。 <> 生 荒野と別の地 3/4<>sage<>2009/05/26(火) 01:48:31 ID:4ovxbblfO<> でもお前、この韓国人め。畜生、また日本語上達してやがる。
最早ペラペラどころか、ネイティブじゃねーか。
メッセージパネルの光が、天井の蛍光灯に負けじとじじと光っていた。そこに声は無かった。
だけど俺は思い出していた。

『よーう、ゆーすけ』

変なイントネーションの、まだたどたどしかった日本語と、なのに色々喋るあの性格。
真っ直ぐぶつかって来る役の解釈。真正面から歌い合ったその感覚。
その、感覚。
歌うことは人生だ。
その中でこんなに、ぴったり合うのは、お前だけだ。お前だけだ。
不思議なことに、国境も言葉も超えていた。
俺はメッセージパネルを指でなぞった。
そしてお前は知らないうちに日本語がまた上手くなって、漢字まで適切に使い分け始めた。
知らないことが、いつか増え始めていた。

「…久しぶり、っと」

荒い息が、荒野のように。埃舞う荒野のその中のように。
今はバラバラの、お前の地のように。
そう感じたのは、ただ願望だったのかもしれない。ゆっくりゆっくり、返事を書く。
お前の声は本当に好きだ。あまりに自分と違うのに、これしかないというところを突いてくる。 <> 生 荒野と別の地 4/4<>sage<>2009/05/26(火) 01:50:34 ID:4ovxbblfO<> 本当に、そこを埋めるんだ!って、言わなくてもお前はわかっていた。
久しぶりだな、そっちこそ元気か?
漢字使っても、読めるよな?
俺はうまくやってるよ。なあでもさ、お前の歌がちょっと懐かしいよ。

「ちょっと、な」

こもる熱を声にのせて呟いた。荒野の歌声。お前の高い響き。
耳に残るは、高らかな狂信者の歌。
また歌おう。またいつか歌おう。
どこででもいい、いつでもいい。なあ、歌うことは、俺達の人生だ。
仕事だろ、って笑える話でもあるんだけど、またお前と歌いたいよ。
お前と歌いたい。
目を閉じて俺は熱を吐ききった。真正面から俺は、誰よりもお前と、そうやって生きてきたんだ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/26(火) 12:23:13 ID:u1GaqDYd0<> 生 昇天と合点 合点×昇天・灰+紫緑
昇天スレでのレスに萌えました。お借りしてすみません。


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> 生 お医者様でも草津の湯でも 1/6<>sage<>2009/05/26(火) 12:23:48 ID:u1GaqDYd0<> この商売をしている人間の中でも、一見この人程理性的な大人に見える人間も少ないと思う。
だがそれがまやかしであるのは、翔太が一番知っていた。

ほぼ連日ある芝居終りの飲みの後、一人になった帰り道でいきつけのバーにふらりと寄ったのは、
今思えば虫の知らせの様なものだったのだろう。もしかしてと思って扉を開けたら、案の定自分の会の
打ち上げが終わった後の士の輔が一人ぼんやりとグラスを傾けていた。別に偶然と呼べる程の偶然でもない。
知り合って二十六年、仲良くなって十六年、それ以上になったのは……これはまぁ置いておくけれど、
そんな長い付き合いの中で知りえた行動パターンから推測出来たからだ。何のことはなく、この店が
士の輔にとってもいきつけであり、家の近所だから帰りに寄る可能性が高い。ただそれだけだ。
翔太は迷わずに士の輔の前に行き、対面に腰を下ろした。
「お疲れ様」
「お疲れ」
簡単な挨拶をして、注文を聞きに来てくれたスタッフに軽めの酒を頼む。明日も舞台があるのだから
痛飲は出来ない。ゆっくり空けたグラス一杯分近況報告や最近読んだ本やなんかの情報交換をして、
二人で店を出た。
車の行きかう大通りから逸れて住宅街に入る。夜更けのしんとした細い道を照らす街灯の下を、白い猫が
悠然とした足取りで横切った。飼い猫だろうかと逸れた意識を戻したのは、士の輔は少し拗ねた口ぶりだった。
「そういや、うっかり見ちゃったよ」
「あ?」
「『後で部屋に来なさい』だなんて、お前と唄丸師匠、随分と親密な関係なんだな」
嫌味が混じった口調と、少し尖った唇。士の輔が完全に拗ねているのだけは理解が出来たが、何の事だか
一瞬本当に思い当らなかった。
<> 生 お医者様でも草津の湯でも 2/6<>sage<>2009/05/26(火) 12:24:17 ID:u1GaqDYd0<> 翔太にとって司会の唄丸は所属協会の会長であり、師匠同士の付き合いもあったから前座の頃から
世話になっている。師匠亡き今では、副会長の小雄座と共に翔太の結婚問題を心配して口煩く言ってくれる
数少ない人でもあった。頭が上がらない部分は勿論あるし、可愛がっても貰っている。けれどそれで士の輔が
妬く理由が分からない。
話が飲み込めずにきょとんとしている翔太に苛立って、士の輔が三題話の様に短く告げる。
「岩手県。第二問。嫁に来ないか」
「あ、あーっ! ……あんた、それで拗ねてんの」
「拗ねてねぇもん」
「拗ねてんじゃん。馬っ鹿でぇ」
「やかましいよ。親密じゃんって言ってるだけだろ」
「なんなの、その拗ね方は」
「だから拗ねてねぇっちゅうの」
路上では火の点けられない煙草を取り出しかけてはシャツのポケットに戻して、士の輔は盛大に眉を
顰めている。頑として認めないという姿勢は一貫しているらしい士の輔の、あまりにも解り易い態度に、
呆れ半分で翔太は疲れた笑いを零しながら、収録後の楽屋で見た一幕を思い出していた。



この扱いの差は何なんですか、と歳に似合わないひどく拗ねた声が聞こえ翔太は顔が上げると、我が耳を
疑った様な顔をしている唄丸に、樂太朗が嫉妬を隠さずに言葉を継ぐ所だった。
「俺が馬鹿言ったら座布団召し上げで、翔太は『後で部屋に来なさい』なんですか」
「楽屋に帰るなり、なんなんだい」
「妬いてるんです」
胡乱気に問うた唄丸に、樂太朗は胸を張らんばかりに言い返す。その堂々とした態度は、疲れ果てて椅子に
沈み込んでいた小雄座とその隣に座っている幸樂が思わず拍手をしてしまう程だった。諸先輩からの
賞賛混じりの反応に、樂太朗は悠然と片手を上げて応えると、さてとばかりに唄丸へ向き直る。
<> 生 お医者様でも草津の湯でも 3/6<>sage<>2009/05/26(火) 12:24:47 ID:u1GaqDYd0<> 翔太はというと、引き合いに出されているのが自分だと分かっているので、樂太朗の視界に入らない様に
そっと角度を計算しつつ一騎打ち観戦を決め込んだ。
「妬くねぇ。男の嫉妬深いのは、煮ても焼いても食えないって言いますよ」
「ご心配なさらずとも、師匠に対してだけですよ」
「余計に悪いよ。大体、あんたが座布団を取られるのは、司会であるあたしに喧嘩を売るからだろ」
「喧嘩なんて売ってません。あれは愛情表現です。師匠だって分かってる癖に」
さらにきっぱりと言い切って見せる樂太朗の横顔を眺めながら、翔太は笑いを堪えるのに必死だった。
無茶を言っているのは百も承知なのだろう。樂太朗も本気で文句を言っている訳ではない。じゃぁこれは
何かと尋ねるのならば、コミュニケーションの一環としか言い様がない。
目の前で拗ねるのは、ただ単に構って欲しいからだ。
それが証拠に今この楽屋の中で唄丸を独り占めしている樂太朗は、ひどく嬉しそうだった。
唄丸はこれ見よがしな溜息を一つ落とすと、樂太朗を仰ぎ見る。
「だったらもっと分かり易くしとくれよ」
「そうですか。師匠、愛してます」
「……鳥肌立っちゃった」
真顔で告白をしてきた楽太朗を一刀両断にして、唄丸は寒そうに肩を竦め二の腕を掌で擦った。
「ひでぇ。師匠がストレートに言えって仰ったから、恥かしいのを堪えて言ったのに」
「嘘つけ。喜色満面だったじゃないか」
「これでもシャイなんですよ。ねぇ、師匠」
「はいはい、分かりました。有難うね」
「それだけですか? 普通『あたしもだよ』とか、そういうのを返してくれるもんじゃないんですか?」
「どうしてあたしがあんたに愛を語らなきゃいけないんだい」
「そういえばそうですね。大丈夫です。言葉にされなくても、師匠が俺を愛して下さっているのはちゃんと伝わっていますから」
「……もう好きにおしよ」
「そうします」
<> 生 お医者様でも草津の湯でも 4/6<>sage<>2009/05/26(火) 12:25:18 ID:u1GaqDYd0<> にっこりと微笑んだ樂太朗に、呆れ返った表情は唄丸なりのポーズなのか。可愛がっている後輩からの
愛の告白に、実は満更でもなさそうな気配が漂っている。結局は痴話喧嘩にもなりはしないじゃれ合いだ。
結末が見えていたのか、小雄座と幸樂は廊下に避難を済ませている。うっかり最後まで聞いてしまった
己の不運を翔太は噛み締めた。



ついっと見上げる視線の先には、睨む様に自分を見ている士の輔がいる。それが楽屋での樂太朗を
彷彿とさせて、翔太はやっぱり笑うしかない。
理知的で、理屈家で、無駄に大物オーラを出している、翔太の仲良し。紳士的な大人に見えるのは、
確かにそういう一面も併せ持っていはいるが、長年司会をしている健康科学番組のイメージが強いからだ。
意外と子供っぽいと翔太は常々思っている。特に翔太が絡むと、士の輔はこうなるのだ。
ったく面倒なおっさんだなと思いながらも、結局はそんな士の輔が可愛いと思ってしまう辺り、翔太も
相当なものなのだけれど。
「シノさんさぁ……」
素直に可愛いと言ったらどんな顔をするだろうかと好奇心が沸いたが、喜ばせるだけだろうと思い当って
口から出かけた言葉を咽喉元に留める。
「何だよ」
「ほんっとに……馬鹿だよね」
「お前なぁ」
「そんなに俺の事好きでどうすんのさ」
くっと顎を上げてわざと挑戦的な口調を使い、ざっくり切り込んでやった瞬間の士の輔の表情は見物だった。
高座以外ではかけている眼鏡のレンズの向こうの目がまんまるに見開かれたかと思うと、次の瞬間ただでさえ
アルコールの所為で赤かった頬がさらに赤くなる。その慌てっぷりがおもしろくて堪らない。
わざわざ眼前で拗ねるのも、もっと引っ掻き回してやりたくなるのも、同じく幼い愛情表現の一種だ。
<> 生 お医者様でも草津の湯でも 5/6<>sage<>2009/05/26(火) 12:27:34 ID:DZPV1oRb0<> 人通りのないのをいい事に、衝動のまま士の輔のシャツを掴むと、ぐいっと引き寄せる。自分が踵を上げて
距離を詰めてやるつもりはなかった。
店を出る直前まで吸っていた煙草の残り香。一番最初に触れ合ったのは冷えた鼻先で、唇はその直後。
苦い筈の唇が不思議と甘く感じるのは何時もの事だけれど、ゆっくり味わうには場所が悪い。
名残惜しくはあったけれど、引き寄せた時と同じ唐突さで突き放した。
三秒にも満たない唐突な口づけに泡を食った士の輔の声が情けなく引っくり返る。
「しょ、ショウちゃん」
「俺も人の事言えないか。こんな事しちゃう程度には、さ」
左手で唇を押さえて呆然としている士の輔に、気恥かしさを押し殺した平坦な口調で呟いて
翔太は先に歩き出した。慌てた足音が付いてきて隣に並ぶ。
「心臓止まるかと思ったぜ」
「止まっちゃえばよかったのに」
「そりゃ……幸せな死に方かもなぁ」
「今でも頭ん中が幸せだよね、シノっちは。打たれ強いというか」
「生憎と誰かさんに鍛えられてるから」
「師匠の事を『誰かさん』呼ばわりなんてしたらしくじるよ」
「お前だ、お前っ」
分かってるよと肩を竦めたら、もっと疲れ果てた様に士の輔が脱力して肩を落とす。振り回されていると
思っているのはお互い様で、その実振り回し合っているのだからバランスが取れている。
「これでめげない俺も偉いよなぁ」
「あんたんちの一門は、師匠の理不尽に耐えるのが修行の一環だからじゃねぇの」
「違うよ。それだけ惚れてるって言ってるんだよ」
「……真顔で恥かしくないのかよ、あんた」
「ショウちゃんさぁ、毒づくんだったら、顔赤いの直さないと意味ないぜ。そういう所も好きだけど」
<> 生 お医者様でも草津の湯でも 6/6<>sage<>2009/05/26(火) 12:28:26 ID:DZPV1oRb0<> 意趣返しにくつくつと咽喉の奥で笑いながら、士の輔がついっと伸ばした指先が翔太の熱い頬に触れる。
狭い路地に人通りはない。
嫌なら避ければとでも言いたげな余裕を漂わせて、目尻の笑い皺を深めた士の輔が顔をゆっくりと近付けて
来る。此処で逃げては男が廃ると何の役にも立たない意地を張って、翔太はせめてもの抵抗で睨み付ける眼を
閉じずに受け止める。
重なる唇はどうしようもなく甘く、言葉にしない気持ちが溶け出してしまいそうで困ってしまう。
唇だけでは足りなと、広い背中に回したくて疼く腕を必死に押さえた。
大体、今更どの面を下げて愛の告白なんて出来るのか。己の天邪鬼な性格が悪いと分かっていても、
さらりと言ってしまえる樂太朗と士の輔が憎くなる。とてもじゃないけれど、好きだなんて口には出せない。
この商売をしている人間の中でも、一見翔太程明るく人当たりの良い大人に見える人間も少ないと思う。
だがそれがまやかしであるのは、翔太自身が一番知っていた。
何処かで猫がにゃぁと鳴く声を耳が拾う。
士の輔に似た掠れ声の鳴き声に、それじゃ駄目じゃん、と諌められた様な気がした。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/26(火) 19:12:19 ID:D6YO9H3WO<> >>354
うおお萌えた!GJ!! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/26(火) 19:42:37 ID:t4b8lIgR0<> 昇天のSSは時々来るけど、この界隈の方々は口調が色っぽくていいよね。
いつも楽しみにしてます。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/26(火) 22:53:04 ID:UiG8XhKgO<> 邦画スレ484です。同士がいて嬉しかったから488姐さんに勝手にコソーリ捧ぐ。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )映画ゴエモンのさいぞー×みつなり <> 映画GOEMON 才蔵×三成1<>sage<>2009/05/26(火) 22:55:42 ID:UiG8XhKgO<>  帰宅すると、出迎えた妻がおどおどと視線を上げた先にあの男はいた。
 思わず立ち竦んだ才蔵に気づくと、主である男は考えの読めぬ、不敵ともいえる笑みを浮かべた。



「二百石与えよう」

 妻子を宥めて部屋の外に出した才蔵に、三成はそう告げた。侍になりたいのだろう、召し抱えてやる――と。
 才蔵は迷いはしたが、答えは初めから一つだった。自らの能力をもって、家族を支え、主に仕え、己を試す。それが才蔵のやるべき全てだった。
 頷いてみせると、三成は満足そうな顔をして頷き返した。そして、

「ならばこちらは二百の石高を約束しよう。お前には忠義を示してもらう」

と言った。

 戸惑いを覚えた才蔵が、忠義とは、と訊き返そうとした時、三成は才蔵が背にした壁に勢いよく両腕をついた。
腕に挟まれた才蔵は身動きを忘れた。粗末な木の壁が叩かれて粉塵をあげる。三成と才蔵の顔の間は一寸となかった。 <> 映画GOEMON 才蔵×三成2<>sage<>2009/05/26(火) 22:57:06 ID:UiG8XhKgO<> 「侍になりたかろう」
「…おやめ下さい」
「昔、信長公を亡くしてすぐの頃は、お前から頭を下げてまで夜這いに来たではないか」
「俺からではありません!…あれは、三成様が」
「一度目はな」

 三成は鼻で笑った。才蔵は、向けていた強気な視線をつい逸らしてしまった。

「よい面構えになったな才蔵。特に目が変わった」
「…あの頃の俺とは違う。今は妻子がおります。俺が守るべきものが、」
「先刻承知よ」

 ぐい、と三成が身を寄せた。壁との間に窮屈に挟まれた才蔵は、鼻腔の奥まで主の匂いを嗅いだ。甘い薫りであった。

「今一度問うぞ。侍になりたいのだろう、才蔵。女子供を守るために」
「…」

 才蔵は折れた。正確には、自分が折れたのをどこか冷静な自身で感じた。
主の髪から耳元から薫る甘い匂いのせいかと思いつつも、それに引き寄せられるかのように白い首筋に顔を埋めた。
 三成は、芯から愉快そうに笑った。

「才蔵、お前、主の命とて渋々従ったつもりだろう」

 笑いながら才蔵の股ぐらに膝を割り入れる。才蔵は眉間に皺を寄せて耐えた。

「ここはこの通りだ。ええ、若造の頃と何が変わった」 <> 映画GOEMON 才蔵×三成3<>sage<>2009/05/26(火) 22:58:48 ID:UiG8XhKgO<>  答えぬまま、才蔵は愛撫を続けた。耳たぶをしゃぶってから、舌を出して耳の中を掻き回す。ぞくぞくと三成が膝を震わせたのがわかり、いい気味だと僅かに思った。
 煽るような台詞を口にするばかりの三成だったが、はだけていく着物をくぐった才蔵の指が秘部にたどり着くと
流石に息を呑んだ。と思えば途端に借りてきた猫のように静かになり、入り口を指で押す度にため息のような喘ぎを漏らす。
機を見て才蔵が指を一本忍び込ませると、ああ、と高い声になった。

「あ、ぅあ、さい、あっ、ああ…」

 ぐりぐりと抉ると高圧的な眼が恍惚の表情に染まっていく。
 才蔵は、此度ばかりは己の持つ忍の能力が嫌になる。扉一枚向こうの妻の気配をありありと感じるのである。
じっと二人のやり取りが終わるのを待っている気配も、三成の嬌声にびくりと肩を震わせたことさえも。
 罪悪感と背徳感を振り払うように、才蔵は抱え上げた三成の片脚を抱き直した。

「才、才蔵」
「…いかが致しましたか三成様」

 才蔵はわざと指を抜いた。

「早くしろ、っあ、そのように撫でて焦らすとは」
「どうされたいのです」
「早う、ああ、堪らぬ」

 女のように恥じらうことはせず、しかし顔ばかりは遊女のような淫猥さで、三成は指先で才蔵のものを捉えた。
早く、と誘う指に才蔵は突き込みたい衝動にかられる。

「全く、全く貴方という方は…!太閤様にも愛でられているのだろう、多くの兵を集めては己をなぶらせているという噂もある。にもかかわらず…!」 <> 映画GOEMON 才蔵×三成4<>sage<>2009/05/26(火) 23:00:13 ID:UiG8XhKgO<>  普段、主に向かって言う台詞ではない。才蔵自身それに気付きつつも、大声を上げるのを止められなかった。
 三成はそれに怒るでも煽られるでもなく、

「お互い様よ」

 ただ才蔵を流し目に見た。
 初めて主の肌を知った若き日の才蔵が虜になった、あの時のままの妖艶さだった。
 そうだ。老若男女遊ぶ相手には苦労もすまいに、あの美しい男はまた今自分を求めている。
 瞬間、才蔵は我を忘れた。入りたいと思い、突き入れた。三成の喉が反る。奥へ割り入る程に詰まった甘え声が出る。
 泣き顔にも似た主の顔に、才蔵は一度だけ妻を思い出した。
けれど絶頂が近づくにつれ激しさを増してついには獣のように喘ぐ三成の声は既に妻に聞こえていないはずがない。
それを思いながらも、締め付けがきつくなる終盤には才蔵自身も声を堪えられず、おお、おおと吼えながら中に精を吐き出した。

 幾時か続いた絶頂の緊張を解くと、才蔵は背は壁にずるずると預け、前には同じように脱力した三成を抱えた。
三成は乱れた長髪をかき上げると、深く舌を絡めて才蔵に接吻した。才蔵はしたいようにさせておいた。
 三成の目の光は嘲笑のようでもあり、支配を確認した愉悦にも似ていた。
妻子のための忠義、見事。そう耳元に囁いてから三成は身を起こし、着物を整えたが、才蔵は暫くそれを見ているだけだった。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/26(火) 23:03:13 ID:UiG8XhKgO<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )口調とかうろ覚えすぎ

携帯なので見辛かったらごめん。あと色々ごめん。
最初に書き忘れたけど未見の方は注意して下さい!orz <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/27(水) 00:53:04 ID:+x3dAYX6O<> 応援団スレ126です。
色々考えた結果赤リーダー×新人に落ち着いたよ。
カプ違げぇよウワアァァン!って人、ゴメーヌ(´・ω・`)
携帯からで見辛くてゴメーヌ(´・ω・`)

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )赤応援団リーダー×新人で ジサクジエンガ オオクリシマース! <> 応援団 赤リーダー×新人1<>sage<>2009/05/27(水) 00:56:10 ID:+x3dAYX6O<> 雨の日の、皆帰って誰もいなくなった団室。
夕方なのに、もうだいぶ薄暗くて、烏の鳴き声さえ聞こえない。
そんな日に、タイミングよく二人だけ帰りそびれてしまった。
「…寒くないか?」
正面にいる、たった今服を脱がせた彼に聞いた。
窓が風雨に晒され、カタカタと鳴る。
二人の座る畳が少し湿気ているような感じだった。
「少し…冷えます」
そう言って左腕を寒そうに擦る彼の肩に、彼の着ていた上着を羽織らせた。
「田中、今日はどうする」
素肌に上着を羽織った彼に相談する。
「上に乗るか?下がいいか?」
彼は少し考えると、広い胸板に倒れ込んできた。
「今日は…上に乗りたいです。先輩」 <> 応援団 赤リーダー×新人2<>sage<>2009/05/27(水) 00:57:29 ID:+x3dAYX6O<> 龍太は上着を脱ぎ、ワイシャツのボタンを外した。
「先輩、自分が」
そう言って、田中は彼のスラックスに手をかける。
スラックスの上から陽根を擦られると、彼は眉を少しだけピクリとさせた。
布の上から彼の陽根を何度か擦ると、田中はその手を止めた。
「あの…先輩、いいでしょうか?」
彼は何も言わずに頷いた。
そのまま彼はスラックスのボタンを外し、ファスナーを下ろした。
「…寒いから早く頼む」
そう言うなり龍太は、照れくさそうに田中から目を反らした。 <> 応援団 赤リーダー×新人3<>sage<>2009/05/27(水) 00:59:29 ID:+x3dAYX6O<> 一枚の布越しにもう一度龍太自身を擦る。
ある程度堅さを増したところで、田中は龍太自身を覆っていたボクサーパンツを半分脱がせる。
布の下から出した彼自身は堅くなり、鈴口から僅かに先走りを溢していた。
「先輩…」
龍太がその呼び掛けに頷くと、田中は彼の陽根を口に含んだ。
舌先で鈴口をなぞり、溢れる先走りを吸う。
そして雁首をねっとりと味わうように舐め、口の奥まで彼をくわえた。
扱くように頭を動かしながら、裏筋を舌でなぞる。
それを繰り返し、龍太自身を強く吸う。 <> 応援団 赤リーダー×新人4<>sage<>2009/05/27(水) 01:01:37 ID:+x3dAYX6O<> 「もういい、ヤバい…」
そう言われて龍太自身から離れると、彼は息を荒くして興奮していた。
扱かれたものはぬるぬるとして、窓からの薄暗い光に蠢いてるようだった。
「先輩、気持ち良かったですか?」
田中は笑顔で彼の顔を覗きこむ。
すると、龍太は上着の下の田中の丸裸の胸に触り、指先で臍の下までなぞった。
そして大きな右の掌で勃った田中の陽根を軽く握る。
「…おい、次は俺がやる」馬乗りになった田中の体を押し倒し、天を向いた彼自身をぐっと握る。
「うわっ!」
「ほら、いくぞ」
驚く田中ににやけながら言うと、脚の間にある彼自身を先程彼にされたように、口に含む。
だが、先程のされたように丁寧にではなく、少し荒っぽい。
歯を立てないようにだけ気を付けながら、強引にしゃぶる。
強く吸い、根元を指で扱く。
龍太口を離した時、今にも達しそうな田中の顔が見えた。
「せ…先輩…我慢出来ない…」
はぁはぁと肩で息をする田中を見て、龍太は側に投げ置かれた襷と鉢巻きを手に取った。
鉢巻きで彼の陽根を縛り、襷で両手首をまとめて後ろ手に縛る。
「う…先輩…」
辛そうに横になる田中の頬に、龍太は自身を擦り付けた。 <> 応援団 赤リーダー×新人5<>sage<>2009/05/27(水) 01:02:38 ID:+x3dAYX6O<> 「じゃあ…やっか」
厳かに感じ取られる声で言う。
龍太は彼を四つん這いのような体勢にさせて、膝立ちにしてから起こす。
そのまま龍太は仰向けになり、膝立ちの体勢のままの田中を自分自身の真上に跨がらせる。
手を伸ばし、田中の精を含んだ先走りを掬い取り、秘所に塗る。
指を彼の中に挿れる。
田中はあっ、と小さく声を出し、嫌そうに腰を捩った。
指を出し挿れし、粘液と秘所を馴染ませる。

十分だと感じた龍太は指を抜き、自身の先端を彼の秘所に宛がう。
「行くぞ?」
緊張した顔の田中に確認しる。
張り付いた表情のまま、首を縦に振り返事をする。
「お前、いっつも緊張してるよな…何回目だよ」
左手で乱暴に田中の腰を掴みながら呟き、右手で自身を彼の秘所に強く押しつけた。
「いや、何て言うか…恥ずかしい?って感じ…」
「ふーん…そうなのか?」答える田中に生返事を返した龍太は、宛がっていた己自身を押し込む。
「あっ…先輩、いきなり…」
僅かに身じろぎ抵抗を見せるが、流石に自分よりも体格の大きい龍太には敵わない。
「うっ、あ…」
ぐいぐいと龍太の太いものが押し込まれ、田中の背はぞくぞくと粟立つ。
後ろ手に縛られた手を強く握り締め、挿れられる感覚に堪える。
龍太は眉間に皺を寄せ、きつく締められていく自身を奥へ奥へと挿れる。
「全部入った…大丈夫か?」
田中の腰を両手でしっかり支えながら聞く。
「…大丈夫です」
縛られた手を居心地悪そうに動かしながら、田中はバランスを取る。 <> 応援団 赤リーダー×新人6<>sage<>2009/05/27(水) 01:04:55 ID:+x3dAYX6O<> 「じゃあ、動きます…」
そう言うと、そのままもぞもぞと腰を動かしだす。
始めはゆっくりとした動きだったが、徐々に速く腰を振る。
ぬるりとした粘着性の水音が、誰もいない雨の夕暮れの団室に響いた。
二人の荒い息遣いが互いをどんどん高め、煽る。
田中が肩から羽織っていた龍太の上着は、激しい動きに合わせていつしか脱げ落ちていた。
龍太自身に感じるうちに、彼の秘所はぎちぎちと龍太をきつくきつく締め上げる。

「あぁ…はっ、いい…そうだ…」
龍太は田中の腰から両手を離し、片肘を床について半身を起こす。
そして空いている手で田中自身を扱く。
「先輩、俺…もうイきそうです…」
田中は腰を振りながら、そのまま体をびくびくとさせ、達した。
溢れ出した白濁は、龍太の手に流れて、彼の手を汚した。そして達した興奮から秘所をきつく締め、龍太自身をも同じく達させようとする。
「うっ…くぅ…っ」
苦しそうな、気持ちよさそうな、どちらともつかない声を上げると、龍太は興奮のうちに達した。
白濁を田中の中へと流し込み、情交の最後へ向かう。龍太の手についた田中の白濁が、ぬめぬめと光を反射していた。 <> 応援団 赤リーダー×新人7<>sage<>2009/05/27(水) 01:06:07 ID:+x3dAYX6O<> 「先輩…」
田中は龍太が自身から手を離すと、自分の体を彼の胸板に倒れ込ませた。
非常に疲れたのか、肩で荒く呼吸をしていた。
龍太はにやりと笑うと、そのまま仰向けになる。
空いている手を田中の頭へ乗せ、その坊主頭をガシガシと撫で回した。
田中が恥ずかしがりながら目を閉じたのを見た後、自分の手を彼の背中へ回す。
襷で縛っていた彼の両手を解放する。
田中は両手が自由になると、手の力を抜いて重力に任せた。
「田中、帰れるか?」
安心した顔の田中に、龍太は優しく聞いた。
彼は薄く両目を開けると、体を起こした。
「大丈夫ですよ先輩。もし帰れなかったら、先輩の所に泊まります」
「おう、そうか」
龍太は自身を田中から抜く。
そして側にあった自分のシャツで、彼と自分の白濁を軽く拭った。
横に投げ出された自分の上着を田中に掛けてやり、自分から離してそっと寝かせてやる。 <> 応援団 赤リーダー×新人8<>sage<>2009/05/27(水) 01:07:50 ID:+x3dAYX6O<> 「あぁ、そろそろ行く用意した方がいいですよね」
体を起こして龍太を見る。
「まだいいさ。どうせ今日は俺んとこ泊まるんだろ?」
下着を身に付けた後、水の入ったペットボトルを田中に投げてやった。
ペットボトルの水を飲む田中を見ながら、龍太はポリポリと頭を掻いた。
「いつもみたいに応援して疲れるのもいいけどよ、こうやって疲れんのも…いいかもな」

雨足は弱まり、空が段々明るくなってきた。
団室の西窓から見える眺めは、いつの間にか変わっていた。
幾つかの雲を抱え、雲の切れ目から夕日が射す眺めになっていた。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/27(水) 01:12:57 ID:+x3dAYX6O<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

口調とか何かもう、色々滅茶苦茶ですが以上です。
やっそんシーン書いたの初めてだから、変かもしれないけど気にしないでくれ。
誤字があったり何か変だったらすまん。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/27(水) 01:21:36 ID:glL78A/P0<> 応援団久しぶりにやってみたい気分になった

<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/27(水) 04:05:17 ID:zqPJuhvfO<> >>363
邦画スレ488姉さんじゃないけどGJ…!
蜜ナリなんつー罪な男だ…
歳象×蜜なのに太閤様に抱き込まれてる蜜まで見えた気がした
<> オナホ 16-1<>sage<>2009/05/27(水) 06:08:11 ID:MhrD9JxD0<> オリジナル。現代もの。エロは10から。

>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

おネエなオカマの足元はヒールが基本だ。フラットな靴ははかない。
技術屋の七瀬川は、ヴィア・ウノのハイヒールで闊歩する。
だけど女子になりたいわけじゃない。なるべくして女になれなかった!なんて、彼はまったく思っていない。
なりたいのは女ではなくオカマ。強くてまばゆいエネルギーをパーッと出せる女優のようなオカマだ。
胸におっぱいはいらない。おっぱいの代わりに男心も女心もわかるハートのエースを宿していたい。
気の強さは誰にも負けなくて、いたずら好きで、怖いもの知らず。誰にでも思ったことをずばずば言う。
そんなオカマに七瀬川はなりたい。
だからきょう、七瀬川はブレスト中ボスに言ってやった。
「オナホはねぇ、男だけのもんじゃないのよ!」
ベッドで男女のカップルがプレイにとりいれたっていい。
男の子が気持ちよくなることばっかり考えていたらだめ。女の子が手にしやすいオナホだってこの世には必要。それが七瀬川の持論だ。
この男くさいチームにオカマの感性をもたらす。七瀬川曰く「それがあたしがこのチームにいる理由」らしい。
軟質合成樹脂素材が専門の市川博士は七瀬川の主張がよくわからない。
<> オナホ 16-2<>sage<>2009/05/27(水) 06:09:20 ID:MhrD9JxD0<> 市川は七瀬川とデータを示し合わせながら、熱く議論を戦わせるのが好きだ。
自分と素材の話ができる男がこのチームにいる。そのことの方が市川的には重要だ。
ポリオールの分子構造を変化させることによって製造できるであろう、やわらかくて妖しい感触を持つ低反発弾性フォームと、
セイロンかマレー産の天然ゴムを、高温の水蒸気で蒸して発砲させたラテックスフォームをプロファイル加工し、
通気性とソフト感を出した素材なら、どっちがより機能的で健全で心踊るオナホになりうるかについて、
自分と語ることができる七瀬川という男を市川は評価している。
オカマの感性云々は市川には難しすぎてさっぱりわからない。
だが、10時のブレイクタイムに七瀬川が淹れてくれるカミツレ茶はうまい。
七瀬川が淹れてくれるからカミツレ茶が飲める。七瀬川がいなかったらきっとコーヒーメーカーがドリップした珈琲しか飲んでない。
だとすれば、10時のカミツレ茶の旨さに、オカマの感性を、つまりは七瀬川を知る手がかりが潜んでいる可能性がある。
カミツレ茶の湯気でくもった黒セルの伊達めがねを拭きながら、市川は無意識にオカマの技術屋を目で追った。
(恋ですねぇ〜)
市川の視線の先に七瀬川を見つけ、ローションマスターの仁科はくすっと笑った。
それから右手前方のデスクでPCに向かっている能工巧匠なデザイナー六六六をしばし観察し、ひとり小声でつぶやいた。
「どちらが先に交際に進展しますかねえ」
声フぇチを自称するボスのお嬢さんが、音域に例えるとローバリトンな、
深い癒しを与える六六六の声に惚れているのを仁科は知っている。
声がいいと姿かたちまで良く見えるらしい。お嬢さんはガチで六六六を狙っている。
バイエルン育ちのドイツ娘に捕獲されるその前に、六六六が志井とどうにかなればいい。それが仁科の願いだ。
<> オナホ 16-3<>sage<>2009/05/27(水) 06:10:03 ID:MhrD9JxD0<> ローションと愛の伝道師・仁科の目に映る六六六はどうみても志井に好意を抱いている。
好きの種類はいろいろとあるだろうが、この際「愛している」でいいんじゃないかと、そう思うのだ。
男同士でもいいだろう。仁科には幸の薄そうなかつての上司を応援したい気持ちがある。
かつての上司といまの上司。どちらが尊敬できるかといえばそれは勿論いまの上司だ。
現在のボスは部下に対し、余計な気遣いはいっさいせず、パパっと支持だけを出す。
キツくて情け容赦ない男だが、元上司・志井と比べて、はるかに仕事ができる。
無口で無愛想というキャラに逃げ、伝えるべきことを伝える能力が皆無だった上司・志井を仁科はそう高く評価していない。
研究者としても三流以下だと思う。仁科の目から見て、志井の専門性は低い。
過大評価して修士の学生レベルだ。いまは大学時代の恩師を中心とした有識者と共同で
よりフィットするコンドームを目指し、四方に伸び縮みする特殊フィルムづくりに取り組んでいると志井から聞かされた時、
ひとりじゃ実験計画も立てられないボンボンにはアドバイザーが不可欠なのだろうと思った。
けれど、ひとりのオナニストとして仁科は、誰より熱くたぎる白濁の持ち主な志井をリスペクトしている。
志井のオナニーへの誠意と熱意は仁科の胸をも熱くする。だからこそ、仁科は志井を応援したいし、
六六六が志井に好意をもってくれているという稀有な事が我が事のように嬉しい。
仁科は「伝えたいけど伝えきれない」感でイッパイイッパイになりながら、オナホについて語っていた志井を覚えている。
ご自愛が好きな自分を疑わない志井に、したたかにハッピーになって欲しいと心から思うのだ。
(六六六が五代くんみたく、男もいける口なら背中を押しやすいんですけどね……)
六六六を含め、この世は異性愛者でいっぱいだ。やきもきしながら、仁科は右手のペンをくるりと回した。
<> オナホ 16-4<>sage<>2009/05/27(水) 06:10:57 ID:MhrD9JxD0<> 仁科の指先でくるりくるりと回っているブルーブラックのペンをぼーっと眺めながら、
五代は元上司・志井の私生活に踏み込むべきか、傍観者に徹するべきかを考えたていた。
志井とは請われて一度だけ寝たことがある。志井の恋人だった三鷹とは穴兄弟だ。
五代と三鷹は遊び人同士とても気が合った。仕事抜きでちょくちょく飲みにいった事もある。
もっとも男の趣味は真逆だ。三鷹はキレイ系に分類される志井のようなタイプが好きらしいが、五代はゴリマッチョ派だ。
ガテン系のゴツイ男をあんあん言わせるのが一等好きで、志井のような草食系は、どちらかといえばタイプではない。
けれど志井の良識のない、しっかりしていない感じは好きだ。きちんとしているのは顔立ちだけというのがたまらない。
抱けと言われれば抱ける。余裕で勃つ。そんな性癖を見込まれて、五代は三鷹から志井の後孔を頼まれていた。
「本当は六六六にまかせてぇんだけど、六六六は普通人だから」
そんな前置きをし、三鷹は自分が去ったあと志井が絶望に打ちひしがれていたら、
あたたかな心の交流の伴ったセックスをして欲しいと言った。
心と体の震えにはセックスが効く。三鷹はそう信じている。
飛行機代は俺が出すから、はやいうちに一度、日本に戻って志井がどんな風に過ごしているか確かめてくれと
真顔で頼み込んだ三鷹を五代が「あんた、おこがましいよ」と笑い飛ばしてから、
もうずいぶん日がたつ。五代は志井のメンタル面はそんなに弱くないと思っている。
あれは自分のこころとケツの面倒ぐらい独りでみられる男だ。
失恋なんかで泣く必要はないときっと知っている。ケツが寂しい夜は己でバイブを突っ込むに違いない。
人肌が恋しくなったら自分に声をかけたみたいにセフレを調達するだろう。
放っておいても、絶対に大丈夫だ。自力で浮上して、凛々とオナニーをしているに違いない。
そもそも、そんなに気になるなら三鷹が自分で顔を出せばいいのだ。別れたからってそれで終わりってわけじゃないだろう。
気を持たせるような付き合いはしない。きっぱり別れる。そう決めたんなら、
いらん心配なんかしてんじゃねえよ、まったくもう……。言いたいことがありすぎて、五代は溜息ひとつ天井を仰いだ。
<> オナホ 16-5<>sage<>2009/05/27(水) 06:11:46 ID:MhrD9JxD0<> 「どうした?」
浮かない顔で天を仰いでいる五代に目をとめ、六六六は魅惑の低音ボイスで尋ねた。
「穴兄弟が捨てた男のこと考えてた」
肩をすくめて苦笑した一拍後、ふと思いつき五代は六六六にあれこれぶちまけた。
三鷹と自分が穴兄弟なこと、オナホ−ル部門の売却が決まった晩、弱っていた志井に請われて寝た事、
志井をふった三鷹からその後の志井の様子見を頼まれていること、
五代的には志井は胸に少々傷やへこみが生じても、気分だけの絶望で日々を過ごしている気がすること等など。
五代から聞かされた話に六六六は眉を寄せた。胸が痛い。三鷹の身勝手さにむかついた。
志井があの晩、五代にすがっていたこともショックだった。いてもたってもいられない気分になった。
いますぐ日本に行きたい。行って志井の顔が見たい。そう思った。
仕事にけりをつけ有給を申請する。そう決めるなり六六六は行動に移し、週末マイン国際空港から成田へと飛んだ。
手土産にしようと思っていたニュータイプのオナホは完成しなかったが、
仁科が志井のために調合したハチミツ色のローションを持たせてくれた。
突然の自分の来訪を志井がどう思うかはわからない。だが仁科先生の手作りローションは喜んでくれるだろう。
直行便で約12時間。16時半にフランクフルト・マイン国際空港を立ち、成田に着いたのが日本時間の10時50分。
時差の関係で朝を2回むかえる。体はだるいが時を得した気がした。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/27(水) 06:24:09 ID:ovMWsRTQ0<> 支援? <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/27(水) 06:24:21 ID:hdNVHnBXO<> 支援 <> オナホ 16-6<>sage<>2009/05/27(水) 06:25:08 ID:MhrD9JxD0<> 連絡を取りたい。スタバで珈琲のマグを片手に電話をかけてみる。忙しいのか志井は出ない。六六六は志井商事の本社を目指した。
通いなれた懐かしい道を辿り、本社の1階ロビーで馴染みの受付嬢に志井のスケジュールを尋ねる。
オナニー専用コンドーム開発準備室に彼女が問い合わせてくれたところによると、
室長・志井典雅(シイテンガ)は、現在コール社の日本支社にて
オナニー専用コンドーム及び対応オナホールの試作品・品質評価会に出席中らしい。
戻りは14時過ぎで、その後、人材統括局マネージャーと新組織・人事会議、
工場長と打ち合わせ、技術センター長らと会合、つくばの研究所にてミーティング後、
厚労省医薬食品局の審査管理課長と会食とのこと。室長さんはそれなりに多忙らしい。
六六六は志井の携帯に日本に来ている旨メールした。志井には私用の携帯をこまめにチェックする習慣がない。
深夜に帰宅後、ネクタイをゆるめながら見た携帯の液晶に六六六からのメールを見つけ、
更衣がいっぺんにどうでもよくなった。首からネクタイをぶらさげたまま志井は時計をみた。
メールをもらってから13時間近くたっている! 
「もしもし」と電話をかけた。返信が遅れた事をわびた。携帯から聞こえてくる六六六の落ち着いた深い声に懐かしさがこみあげる。
「今夜、時間をつくれますか」と問われ大きく頷いた。頷いたところで、電話の向こうの六六六には見えやしない。
変な間が生じただけだ。「もしもし?」と返事を促され「会いたい」と言った。
「今どちらですか?」
「家」
「伺ってもいいですか? それとも外で待ち合わせます?」
「来れるか?」
「もちろん。酒と何かつまみになるもの買っていきます。リクエストありますか?」
「食パン」
つまみにはどうかと思ったが「わかりました」と請け負い六六六は電話を切った。
<> オナホ 16-7<>sage<>2009/05/27(水) 06:26:25 ID:MhrD9JxD0<> せっかくだから六六六は焼きたての食パンを買いたかったが、23時にまだ営業しているパン屋さんはそうない。
しかたなく24時間あいているスーパーで、スペックによると天然酵母と国産小麦を使用しているらしい
牧歌的なパンを2斤買う。ビールと適当に見繕ったつまみの入った袋もぶら下げ、
一度だけ行ったことのある志井のマンションへ。
マンションのインターホンをならしたら、志井がロックを解除し迎え入れてくれた。
怜悧な美貌のトップオナニスト。口数が少なく、感情が表情に出にくい人。
六六六の記憶の中の元上司はそんなだった。性癖等にいささかゆがみがあるが、見てくれだけは◎な、
凛々と美しい男だと思っていたが、数カ月ぶりにあった志井は精彩を欠いていた。
目の下のクマのせいだろうか。やつれてみえた。たぶんだが体重もだいぶ落ちている。
ほっそりと見えるのは絶対に股上の浅いノータックスラックスをはいているからじゃない。
六六六は気をもんだ。きっと五代栄養素をちゃんと摂取してないのだろう。
志井に会ったら「ご無沙汰しています」と会釈をし、まず「夜分すみません」とわびた後、
土産を渡す。そんなシミュレーションをしていたけれど、一目見るなり衝動に駆られ、
全部すっ飛ばして志井を抱きすくめた。ハッとしたときにはもう、そうしていた。
「かぶれたな」
ドイツ暮らしでハグが日常になったに違いない。突然、六六六に抱きしめられたことを志井はそう解釈した。
「違いますよ」
くすりと笑い、志井をだきしめたまま六六六は否定した。
<> オナホ 16-8<>sage<>2009/05/27(水) 06:27:03 ID:MhrD9JxD0<> 腕の中の志井は骨ばっていて抱き心地が良くない。絶対に痩せた。もっと肉をつけさせないと。
元上司の食生活を慮りながら六六六が志井をぎゅっと抱き寄せたその時、
志井が意味深な含み笑いをし、上目で六六六を見あげた。
上目で自分を見上げている志井の目のキラキラ具合がハンパない。
大人びた子どもみたいな目をしている志井なら幾度も見たてきたが、
こんな、いたずらっこめいたおめめの志井は今まで拝んだためしがない。
六六六がドギマギしていると、志井は爪先立ちで長身の六六六の耳元に口を寄せた。
「あたってる」
「えっ!?」
「ちんちん、あたってる」
「……っ!! すみません!!!」
すげえかっこ悪ぃ。まさかの勃起だった。元上司に勃起している事実に六六六は焦った。元気な愚息を問い詰めたい。
鎮まれ自分! 何故このタイミングで勃つ!? そっちの気はないはずだ!!
あせればあせるほど股間はがちがち硬度を増していく。
「オナホならあるけど?」
六六六は志井のありがたい申し出を勃起しながら聞いた。この部屋に大量のオナホがあることはよぉーく知っている。
(志井さんのオナホをひとつもらって、さっさと風呂場で抜いて来い)
六六六の頭は呆れて股間に指令を出している。だけどもだけどだ……。
下半身が頭をリードしているのに六六六は気がついた。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/27(水) 07:01:19 ID:ovMWsRTQ0<> 支援? <> オナホ 投下中止<>sage<>2009/05/27(水) 07:04:48 ID:MhrD9JxD0<>
□ 中止 ピッ ◇⊂(・∀・ )規制で投下にもたついています。

今朝はもう投下できそうにありません。
投下待ちの皆様、ご迷惑をおかけして本当にすみませんでした。
<> オナホ <>sage<>2009/05/27(水) 07:12:46 ID:MhrD9JxD0<>
>>386 387 391
支援ありがとうございます!

連投規制がとけたので続投したいのですが、時間がなくなってしまいました。
長時間、棚を占領してしまい本当にすみません。
朝方、投下しようと思っていた姐さま方、申し訳ありませんでした。
<> 徳井と矢部のダラダラ日記4 特異×八部<>sage<>2009/05/27(水) 07:22:31 ID:yy+VpSI/0<> お久しぶりに投下させていただきます

鯨人 特異×八部 ライトエロ有
八部がツンデレのおはなし

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
<> 徳井と矢部のダラダラ日記4 1/3<>sage<>2009/05/27(水) 07:26:49 ID:yy+VpSI/0<> 携帯をいじっている時に、彼からいきなりかかってくる電話は少し嬉しいものがある。
特異は幾分、顔を緩ませながら通話ボタンを押した。
「はいはい」
「おう、俺」
「ははは」
「なんやねん、いきなり。不気味やわぁ」
「や、ちょうど八部さんにメール打ってたもんで」
「そぉか」
「そそ。今終わりですか。メシ行きません?」
「あーうん。それで電話してんけど」

家で待ってろ。
八部の言葉に特異はさほど気掛かりもなく自宅に戻った。
ただあまり八部自身からの要望を聞いたことがなかったので、
特異はなんとなしに嬉しさを感じていた。
適当に酒とつまみを買い込んだ。彼も何か持ってくるかもしれない。
せっかく自宅で飲むのだからエッチはするだろう。かれこれ二週間ぶりだろうか。
とりあえず風呂を沸かしておこう。メシはあまりもので炒飯でも作ればいい。
ダラダラと暇を潰しているうちにインターホンが鳴った。

玄関を開けると予想通り、手に何袋かぶら下げて、ヘラッと笑っている男が立っていた。

「早いすね」
「まぁな。はい」
「どーもー。あ、チーかま。これ好き……何ですの、それ」

特異は差し出された袋の中身を見ていたが、八部が白い紙箱を持っているのに気づいた。
呼び掛けを無視してスタスタとリビングへ消えていく彼の後に特異も続く。
今日の八部はどことなく落ち着きの無い様であった。
付き合ってまだ1年と満たないが、特異は他人には分からない、
彼の微妙な気分の温度差を察する事が出来ると自負している。
自信過剰と言われても構わない。 <> 徳井と矢部のダラダラ日記4 2/3<>sage<>2009/05/27(水) 07:29:24 ID:yy+VpSI/0<> 八部はリビングに入るなりキッチンへ向かった。食器棚から二枚皿を出しているのが見える。
近づくとシッシッと手を振られリビングに追い返された。
紙箱の中身は否応なしに想像できる。ケーキだ。
スタンダードなショートケーキな気がする。食いたい気分にでもなったのか。
彼が買っている様子を想像して笑いが込み上げる。
OLならば絵になるが、オッサンとケーキはちょっと面白い。

特異の予想は的中していた。
八部がショートケーキを持って戻ってきたので、種類までズバリ当てたのだった。
ただひとつ、予想外の物を除いてであるが。
ケーキに蝋燭が一本刺さっている。はて、確かお互い誕生日は今月ではないはずだ。
真意が見えず八部の顔を見つめると、彼はソワソワと目を泳がせ、
大きく息を一つ吐いてからボソリと素っ頓狂な事を言い放った。

「誕生日、おめでと」

何を勘違いをしているのか。どこから突っ込んでよいのか分からない。
特異は目をパチクリとさせ、八部の顔をまじまじと見た。
ポカンとしている特異を尻目に、八部はテキパキとライターで蝋燭に火をつける。
「はい。じゃー…消してください」
「え」
「……ほら、はよ吹いて」
「はあ…」
話が見えないまま、一応彼の言う通り蝋燭に向かい息を吹きかける。
火は呆気なく消え、八部はさっさと蝋燭を片しケーキを食べはじめた。
なんとなく理由を聞くタイミングを逃した様で、同じ様にケーキに手をつける。
「……やっぱ俺、こんなん苦手やわ」
フォークでクリームを突きながら独り言の様に呟く八部を見る。
彼は目線を合わそうとせず、皿の一点を見つめながら話しはじめた。 <> 徳井と矢部のダラダラ日記4 3/3<>sage<>2009/05/27(水) 07:32:07 ID:yy+VpSI/0<> 「俺、知らんかってん」
「うん」
「先月やってんな、おまえ」
気づいた瞬間、彼が一層愛おしくなってしまった。
「そーゆことね」
「柄やないねん。この歳でこういうのは」
「ええよ別に」
「…誕生祝い、遅れてごめん」
ようやくチラリとこちらを見た八部は、照れ臭かったのだろう、
特異の肩に頭からうなだれ、はぁとため息をついた。
事務的で実に味気ないこの時期外れの誕生日が、あまりに幸せすぎて参った。
これが俗に言う小さな幸せとやらか。
「カワイイこと、してくれるやない」
ニヤニヤとからかう口調で言うと、頭突きのプレゼントをもらった。
そのまま唇が重なる。八部から甘い味がするのは砂糖のせいだけではない気がした。
あとはもう衝動に身を任せ、お互いなだれ込むようにベッドに倒れ込んだ。

最中、ふと気になり八部に問う。
「なんでホールで買ってくれんかったの、ケーキ」
すると彼は特異の腹をつまみニヤリと笑ったので、規則的な律動をやめ荒く腰を動かしてやった。
「はっ、あ、クソ…、俺の体力、考えろ阿呆、ぅあ…」
「ダイエット、すればいんでしょ。付き合ってよ」
揚げ足を取るなという目で睨まれたが、このあと八部か散々鳴かされたのは言うまでもない。

翌朝、八部は朝一の仕事のため足早に出ていった。
昼過ぎまで寝ていた特異も、ようやく重い腰を上げ出掛ける支度をする。
玄関でふと靴棚の上を見て、特異は一人で笑った。
以前、八部の腕時計をカッコイイと言ったのを思い出す。
棚の上には使い込まれた腕時計と紙が一枚置いてあり、“おまえにやる”と雑な字で書いてあった。 <> 徳井と矢部のダラダラ日記4<>sage<>2009/05/27(水) 07:34:28 ID:yy+VpSI/0<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

大変、お粗末でした
読んで下さった方、ありがとうございました <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/27(水) 09:41:57 ID:71CLWyATO<> 初投下です。かなり作品に脈絡のないクロスオーバーものなので苦手な人はスルーして下さい。

古泉(涼宮ハルヒの憂鬱)×夏目(夏目友人帳)

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> 帰り道(クロスオーバー 古泉×夏目)1/2<>sage<>2009/05/27(水) 09:47:39 ID:71CLWyATO<> SOS団の活動が急遽中止になり、珍しく二人で一緒に帰る事になった。
付き合い始めてから三ヶ月、放課後は古泉が忙しい事もあり二人で帰ったのはまだ数える程しかない。他愛のない会話をしながら、内心では二人とも少し緊張していた。それを気付かれまいとする不器用な努力にもお互い気が付いていて、その事に少しほっとする。
古泉に気付かれないように夏目はちらりと後ろを振り返った。そこにいるのはにゃんこ先生だ。いつもは夏目に抱えられていたり横並びに歩いているにゃんこ先生が、今日に限って距離を取って後ろを歩いている。
夏目の緊張はそのせいでもあった。夏目の視線に気付いてにゃんこ先生はからかうようにニヤリと笑った。

「どうかしましたか?」
「あ。いや、何でもない。」

古泉が夏目の顔を覗き込む。その動作で二人の距離が少し近づき、夏目が慌てて視線を前に戻す。その拍子に、不意に互いの手の甲がコツンと触れた。

(……あ。)
(……手、が。)

思いがけず相手に触れてしまった事に気が付き、二人は気恥ずかしさと戸惑いからかち合った視線をほぼ同時に逸らした。触れた所から体温が上がっていくような錯覚。ただ歩くだけで精一杯でうまく言葉が出ない。結局夏目は口をつぐんでしまう事になった。
このまま離れたくはないけど、どうしていいか分からない。お互いそう思っているのかしばらく緊張感をわずかに含んだ沈黙が流れる。
それから初めに動いたのは古泉の手だった。触れた手を絡め取ってギュッと握る。それはいわゆる恋人繋ぎの状態だ。
<> 帰り道(クロスオーバー 古泉×夏目)2/2<>sage<>2009/05/27(水) 09:48:48 ID:71CLWyATO<> (う、わ。)

二人分の心臓がドキリと跳ねた。重なった手のひらがやけに熱い。
恥ずかしくて顔を上げる事が出来ない。かといってずっとこのままでいるのも気まずいと思い、夏目は思いきって顔を上げて古泉を見た。そうしたら頬を赤くした古泉が夏目を見ていて、予想外に目が合う。
その頬に自分も同じ表情をしているのだろうな、と思いながら夏目はキュッと手を握り返した。

「…温かい、な。」
「えぇ。温かいですね。」

二人は照れて笑い合う。帰り道が別れるまでの短い時間をやけに長く感じながら、道がずっと続けばいいのにと思った。さっきまでとは違って気まずさのない、おもはゆい沈黙を踏みしめて歩く。それは多分、幸せという類いのもの。
後ろの方を付いていくにゃんこ先生はそんな二人を見ながら小さく溜め息をついた。もちろん二人がそれに気が付く事はない。

(全く…馬鹿かあいつらは。)

赤い頬をして微笑む夏目に目をやってどこか満足げにそう一人ごちた。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/27(水) 09:51:11 ID:71CLWyATO<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

かなり自己満足だけど後悔はしていない。
不慣れなんで見辛かったらごめんなさい。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/27(水) 12:30:17 ID:GpUMCo8A0<> >>393
非常に続きが気になる。
時間があるときまた投下してくださいね。
楽しみにしてます。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/27(水) 18:47:33 ID:8HCnnWGhO<> >>398
照れてる谷カワイイ!
また投下されるの心待ちにしてます! <> オナホ 16-9<>sage<>2009/05/27(水) 19:27:40 ID:MhrD9JxD0<> オリジナル。現代もの。朝はお騒がせしてすみませんでした。

>PLAYピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

何で勃起してんのか脳はまだわかっちゃいないが、股間はもう直感で知っている。
勃った。それが答えだ。あとは俺が覚悟を決めるだけ。
「オナホはいりません」
選んだ道は男道。帰り道なんか知らねぇよ。
志井を抱き寄せ、股間を密着させたまま六六六は言った。
「志井さんを抱きたい」
ずっと抱きしめていたいと深く響くいい声で囁かれ、志井は顔を赤らめた。耳たぶが燃えているみたいに熱い。
三鷹には「六六六とだと素敵な純愛経由しねえとエロいことできないぜ」と言われたけれど、そうでもないみたいだ。
軽薄な志井は、もうさっきからずっと股間にあたっている六六六のペニスが気になって気になって仕方なかった。
三鷹のことがまだ好きなのに、貪欲なからだは六六六を欲している。
これは精神と肉体の葛藤じゃない。モラルも節操もないだけだ。ふふっと自嘲し志井は伸び過ぎた前髪をかきあげた。
唯一の取り柄だった容姿が衰えた自覚はある。六六六とこういう流れになるのなら、
髪ぐらい切って身奇麗にしておけばよかった。
しかもここのところ性欲は在るが食欲がなくて肉が落ちている。きっと抱き心地は最悪だ。
ちゃんと食べておけばよかった。あれこれ悔やまれるが瞬間でどうにかなることではない。
見た目と抱き心地の悪さはテクでカバーだ。
遠路はるばる自分みたいなもんに会いに来てくれた。しかも抱きたいと股間をふくらませてくれている。
物好きな元部下を、必ず満足させてやるんだと心に誓い、志井は六六六の手をとると彼をベッドへ誘った。
ベッドカバーをかけたまま誰も使っていなかった六六六のベッドに、元もとの持ち主を押し倒す。
男は初めての六六六にちゃんと気持ちよくなって欲しい。六六六への思いが込み上げてくる。
仁科先生からだと手渡された土産のローションは頼もしい助っ人に思えた。
<> オナホ 16-10<>sage<>2009/05/27(水) 19:29:02 ID:MhrD9JxD0<> 男同士のセックスにかけては大先輩だ。二人で服を脱がせあった後、志井はやる気満々で六六六にまたがった。
いい声の持ち主に相応しいセクシーな喉仏に唇を寄せる。
それから六六六の股間に顔を寄せ、うつむくと落ちてくる前髪をかきあげながら、
亀頭を完全に口に含んで丁寧にしゃぶった。
ときどき息継ぎをし、途中で趣向を変えて裏筋あたりを優しく舐めてみる。
六六六が気持ちよさそうにしているのが凄く嬉しい。
調子に乗って先端を舌先でつついていたら、下になっていた六六六が突然からだを起こし、
志井は強引に組み敷かれた。
「すみませんけど、上がいいです」
体勢を入れ替えると六六六はチュッという音付きで志井の右頬にキスをし、男惚れしそうなほど鮮やかな表情で笑った。
(仕方ないな……)
志井はベッドが嫌いだ。背中を受け止められる感じが気持ち悪い。ベッドに仰向けなんてなりたくなかったし、
今夜は自分が六六六をリードする気でいたから余計に上でいたかった。
だけど、そんな顔をされたら駄目と言えない。仕方ない、下になってやるか。
寛大な気持ちで志井はその体勢を受け入れた。まあ、下からでもリードはできる。
「見えるか?」
六六六を見上げ、目を見ながら志井は自分で脚を開いた。
「男同士はここを使うんだ」
<> オナホ 16-11<>sage<>2009/05/27(水) 19:29:49 ID:MhrD9JxD0<> 六六六によく見えるよう腰を浮かせ、仁科からもらったローションでそこを広げて見せながら
急に不安になり志井は尋ねた。
「萎えない…?」
六六六にとっては、これが人生初のアナルセックスだ。
男同士のリアルを目の当たりにしたら、いけそうな気が失せるかもしれない。
伸びた前髪越しに見える自分の両膝の向こうの六六六の顔色を、志井はおずおずと伺った。
「志井さん、あなたねぇ……」
超A級のアングルにフル勃起していた六六六は苦笑し、室内犬の頭を撫でるように志井の髪を撫ぜた。
「男同士がどこを使うかぐらい知ってますよ」
六六六は志井の手を取って自分のペニスを触らせた。
「ほら、わかります? 貴方が煽るから、俺こんなですよ」
手のひらのど真ん中に確かな手ごたえ感じたらしく、志井が安堵しているのを六六六は目を細めて眺め、
水とジグリセリンとスクワラン、それからペンチレングリコール、あとは何が入っているのか
彼の知識ではちょっとわからない仁科作のローションで濡れそぼっている志井の後孔を見つめた。
「俺にも触らせてください」
志井の了承を得る前に六六六はそこに指を潜り込ませた。
不意打ちで入ってきた2本の指にじっくりと探られ、志井は過剰に反応した。
<> オナホ 16-12<>sage<>2009/05/27(水) 19:30:33 ID:MhrD9JxD0<> 「痛くないですか?」
痛くない。痛くはないがもどかしい。ゆっくり動かされる指に切なく喘ぎながら、志井は自分で脚を持って臀部を突き出した。
「もっと……」
「もっと、どうすればいいですか?」
「……指を」
「増やしますね?」
「いや……」
首を横にふり、志井は赤面した。もっと速く、もっと深く、もっと激しく動かして欲しいなんて言えない。
言いあぐねて志井は、「もっと、遠慮なく…」とねだった。
その意味がわからないほど疎くはない。
六六六は目元に笑いを浮かべたまま大きく頷くと、志井の片膝を持ち上げ自分の肩にかけた。
「気持ちいいところ、教えてくださいね」
同性のケツの穴に指を入れる事なんて一生無いと思っていた。
なのに今、年下の元上司のここを弄っている。しかもだ、それが凄く楽しい。
人差し指と中指を情熱的に動かしながら、六六六は志井の悶え顔をみつめた。
前立腺はたぶんここ。あたりをつけてそこを刺激すると、志井のしまり具合がきつくなった。
亀頭も瞳もびしょ濡れだ。
「ここがいいんですね?」
顔を赤らめ涙目で喘いでいる志井に優しく笑いかけながら激しく指を動かし、
六六六は志井がもっと気持ちよくなるようにと、そこにたっぷりとローションを足した。
<> オナホ 16-13<>sage<>2009/05/27(水) 19:31:25 ID:MhrD9JxD0<> ローションの潤恵をまとった指で六六六は前立腺を攻めたてる。
「あ…ぁあ…ぁ…っ」
たった2本の指で体が熟れていく。気が狂いそうに気持ちいい。
六六六に担がれていない方の膝をがくがくさせながら志井は喘いだ。
息があがる。後孔と目の奥が熱くてたまらない。それに亀頭も、亀頭も熱い!
こんなのは初めてだ。バイブオナでだってこんな風にはならないのに、
指2本で涙腺とカウパー腺がバカになる。こんなに濡れるなんて、ありえない。
もしかしなくても、仁科先生かもしれない……。
あのひと、絶対このローションに何か入れてるッ! 喘ぎながら確信した刹那、
志井は六六六がさらにローションを足すのを見た。
「やめ…もう…ァ…ッ」
頭を打ち振って逃れようとした志井の後孔に、六六六は3本の指を穿ち、たっぷりと潤いを与えた。
「あぅぅ…」
これはこれで気持ちいい。だけどもう充分。欲しいのはもっと強い刺激だ。
近くて遠い絶頂に耐えられず、志井は自分のペニスに手を伸ばした。
年下の元上司がオナニー好きなのはよくよく知っていたが、
実際にご自愛あそばしているところを生で見るのは初めてだ。
六六六は元上司のオナニーを息をのんで見つめた。白い内股が眩しい。隠れ巨根なのも驚きだ。
<> オナホ 16-14<>sage<>2009/05/27(水) 19:32:15 ID:MhrD9JxD0<> オナニー中、志井は瞳だけを動かし、悩ましげな輝きを放つ濡れた目で、ちらりと六六六を見た。
その扇情的な流し目に誘われた。六六六は弾かれるように志井においかぶさり自慰を中断させると、
コンドームのCの主力商品を手早く装着し、志井の両脚を持ち上げた。
「挿れます」
花で例えたら淡いピンクのカスミソウな吐息を漏らしながら、志井は分け入ってくる六六六に下肢を震わせた。
「痛くないですか?」
「大丈夫……。全部、はいった、な」
「はい」
志井の中はあたたかくて、いれてるだけで…もう…爆ぜそうで、六六六はどうしようもなく煽られた。
「動いてもいいですか?」
耳元でそう囁き、本能のまま腰を打ちつける。
「…あっ、あっ、あっ…んぁ」
のっけから気持ちいい。繋がったまま六六六にふっと笑みをむけられ志井はドキッとした。
幸せでイキそうだ。
「……典雅さん」
なんの前触れも無く愛おしげに名前を呼ばれ、六六六のローバリトンに感じた。
そっと頬を撫でられ唇を奪われた瞬間、志井は強烈な射精感に襲われ、
モノクロでは説明できないキラキラの白濁を流星群みたいに迸らせていた。
<> オナホ 16-15<>sage<>2009/05/27(水) 19:32:52 ID:MhrD9JxD0<> 体位を変えて獣の姿勢でもう一回。おまけにバスルームでもう一戦交え、
風呂上りに二人でビールを飲んだ。ビールの缶をあけた後、志井は飲みたりないと、
ワインセラーからブエナビスタの赤を取り出した。
ワインになら合うかもしれない。六六六は買ってきた食パンを袋から取り出した。
「トースター借りていいですか?」
「無い」
「え?」
「焼くとサクサクする」
耳もカリカリになるしと眉を寄せる志井を六六六はまじまじと見た。
志井は六六六が買ってきた食パンをそのままで、もそもそと食べ、
「手作りっぽい」と不満を言い大半を食べ残し、口に入れてしまった分をワインで流し込んだ。
唖然としている六六六に、ほろ酔いの志井はいつになく饒舌に、焼きたての牧歌的な手づくりパンより
工場でつくられた大量生産の食パンの効率を追求した味が好きなんだと語った。
それから六六六が持ってきた買い物袋をごぞごそし、ポテトチップスのうす塩味を見つけると、
台所にいき冷蔵庫からノンオイルの青じそドレッシングとカイワレを持ってきた。
志井は六六六の目の前で大皿にあけたポテトチップスに、ドレッシングをささっとかけカイワレを散らした。
すすめられるまま食べた元上司のエポックメイキングな手料理もどきはめちゃくちゃうまかった。
うまかったが、血や肉になるとは思えない。オードブルの一品にならGOODだが、主食にはNGだ。
このひとが他に何をどう食べているのか可及的速やかに把握しなければ!
必要に応じて改善勧告等を行う。夜もベッドか布団を常用させよう。六六六はそう心に決めた。
<> オナホ 16-16<>sage<>2009/05/27(水) 19:34:05 ID:MhrD9JxD0<> なのに、二人用の寝袋を通販で買ったけれど、届いたときには三鷹にふられていたなんてさらっと言いながら
真新しい大きな寝袋を広げられたら、ベッドで寝なさいとは言えなくて、結局その晩、六六六は志井と寝袋で寝た。
おでこや鼻がくっつくほど近くで見た年下の元上司の寝顔は、
多少痩せてもやっぱり半端なくキレイだった。
このひとを、オナホがペニスを包むように、際限なく甘やかしたい。時にはどSな刺激もあたえたい。
六六六は志井の寝顔を眺めながら誓った。
(ずっと傍にいます)
めんどうくさくても一緒にいられる。たとえどんなにかぶいても俺は貴方のオナニーを笑わない。
貴方のオナニーは俺のオナニーです。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
オナニー終了。ありがとうございました。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/27(水) 20:01:03 ID:Y0j7mfi90<> >>405
リターンマッチ乙。
遠距離カポーに幸多かれ。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/27(水) 21:16:59 ID:iTwFE8Am0<> >>405
乙でした。そしてGJ。
報われて良かったなぁ、みろく。
三鷹のおかげもあってか、ちょっとずつ人間らしくなっていく志井も可愛い。
可及的速やにワロタ。
幸せになれー!ってもう幸せかw <> 生 877万 日邑×下羅 「Handsome Devil」<>sage<>2009/05/27(水) 23:05:28 ID:RuPTz2kM0<> やんちゃなオサーン受け(エロ
hmrがstrを送迎していた頃の捏造話です。規制かかったらすいません。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> 877万日邑×下羅 (1/9)<>sage<>2009/05/27(水) 23:06:30 ID:RuPTz2kM0<> 以前、とある大先輩に「相方とふたりっきりでおるのとか、平気なん?」と聞かれたことがある。
俺は「まあ、比較的平気ですね」と答えた。相方は、ただ俯いてくすくすと笑っていた。

あの時、俺が脇の下に冷汗をかいていたことに、先輩方は気づいていただろうか?



「ああっ日邑さんっ」
下羅が喉を反らせ、周囲に響き渡るような声を上げた。
「馬っ鹿野郎、大声出すなって……」
搾り出すような声で囁き、俺は背後から下羅の口を塞ごうとした。
「だって、日邑さんがいきなりすげえ突くんだもん」
下羅が少年のように上気した顔をこちらに向ける。
「しょうがないだろ、なるべく早く終わらせなきゃなんねえんだから」
俺は口の中で答え、ふざけ半分に逃げようとする彼の腰を無理やり掴まえて引き戻した。
<> 877万日邑×下羅 (2/9)<>sage<>2009/05/27(水) 23:07:17 ID:RuPTz2kM0<> そうだ。常識で考えて、こんな状況でこんなことを楽しめるわけがない。
午前四時の仕事帰りの車の中で、しかも、下羅のマンションの地下駐車場で。
おまけに、いくらシートを下げても、男ふたりが重なって座れるほど俺の車は天井だって高くない。
けれど厄介なことに、下羅はそういった危険で不自由な状況のすべてに、
めったやたらと欲望を刺激されてしまうらしかった。

そして情けないことに、俺は発情した下羅にめったやたらと弱いのだった。


ダッシュボードに両手を突いてうつ伏せ、下羅はさっきから荒い息を吐いている。
俺のほうからは、俺の動きに合わせて上下する背中と、仄白い首筋がほんの少し見えるだけだ。
こいつは今どんな表情をしているんだろう、などと考えていたら、まるでその言葉が届いたかのように
下羅が肩越しに俺を振り返った。
「日邑さん、すげえやらしい顔してる」
下羅が唇の端を上げて笑う。一瞬その表情に見惚れてしまった後で、
「……お前の顔の方が、よっぽどいやらしいよ」
俺が言い返すと、
「そんなことないって、ほら」
下羅は手を伸ばしてバックミラーを動かし、俺の顔が映るようにした。
「こら、やめろよ! 趣味悪いなマジで」
俺がミラーを元に戻そうとし、下羅がそれを阻止しようとして、ちょっとの間揉みあいになる。
くすくす笑いながら腕にしがみついて来る下羅に、俺は自分たちがどういう状態にあるのかを忘れ、
一瞬いつもどおり楽屋でふざけているかのような錯覚に陥った。
<> 877万日邑×下羅 (3/9)<>sage<>2009/05/27(水) 23:08:30 ID:RuPTz2kM0<> じゃれ合うのにも飽きたのか、やがて下羅がひとつ息を吐いて俺の体に凭れ掛かった。
全体重が膝にかかり、俺のものが彼の奥深くまで受け入れられる。それだけで快感に流されそうになる自分を
懸命に抑えながら、俺は下羅の下腹部へ手を伸ばした。硬く勃ちあがっている性器を手で包むようにして擦りあげてやると、
下羅が小さく喘いで俺の耳に唇を押しつけてきた。ぴちゃぴちゃと濡れた音を立て、彼の舌が耳朶を愛撫する。
頭の芯がじわじわと熱くなり、俺は急いで下羅の頭を引き離すと、ぽってりと膨らんだ唇に自分の唇を重ねた。
舌を深く絡めながら、性器を擦りあげる手の動きを早めると、下羅が、俺の膝に強く爪を食い込ませて来た。
「あぁっ、はぁっ……」
やがて、俺の肩に頭を預け、下羅が焦点の合わなくなった目を天井へ向ける。
いつもは人を食ったような表情ばかり見せているその瞳に、今は迷子になった子供のような、
どことなく頼りなげな色が浮かんでいた。

いつもこうだ。いつも自分から強引に誘ってくるくせに、ぎりぎりまで追い詰められると、下羅は急に怯えた表情を覗かせる。
そんな時、俺は自分が下羅を不当に傷つけているような気がして、無性に心が咎めてしまうのだ。
<> 877万日邑×下羅 (4/9)<>sage<>2009/05/27(水) 23:09:19 ID:RuPTz2kM0<> 「修」
久しく呼ばなかった名で呼ぶと、下羅が俺へ怪訝そうな視線を向けた。
「ごめんな、修」
「……?」
半ば無意識に口を突いて出た言葉に、下羅が片眉を上げる。
「ごめんって、なにが? 日邑さん」
「うん、や、別になんでもない」
急に照れ臭くなり、俺は汗ばんだ下羅の首筋に顔を埋めた。
下羅はしばらく黙って考えているようだったが、やがて俺の前髪を優しく梳き上げると、
日邑さん、も一遍キスして。と耳元で囁いた。


行為が済んだ後で、シートを完全に倒し、汗と体液まみれの体を重ね合ったまましばらくぼんやりしていた。
早く服を着てこの場を離れなければ、と理性は警告を送ってくるが、働きづめの一日の最後の労働を終えた体は、
そう簡単には命令に従ってくれそうにない。それに下羅の重みと、徐々に緩やかになっていく鼓動とを感じながら
横たわっている心地よさは、正直な所なにものにも替えがたかった。

<> 877万日邑×下羅 (5/9)<>sage<>2009/05/27(水) 23:09:57 ID:RuPTz2kM0<> 「日邑さん、さっきなんで俺に謝ったの」
ふと思い出したように、下羅が俺に尋ねた。
「いや、だから別に、あれは」
俺はふたたび口ごもる。下羅は上半身を起こし、そんな俺をしばらく眺めていたが、やがて瞼を伏せると、
「日邑さん、どこにも行かないでね」
不意に小声で呟いた。
「どこにも行かないでって、なんでだよ? 行くわけねえだろ」
きょとんとして尋ね返した俺に、
「でも、なんか急に『ごめん』とか言うから、」
下羅が視線を合わせずに続けた。

「前にもなんかで言ったけどさ、俺って日邑さんっていう存在を世間に伝えるためにやってきたみたいな所があるじゃん。
でもここ数年で、日邑さんのことを皆が知るようになって、誰でも日邑さんを面白おかしく動かすことができるように
なったでしょ。だから、なんか時々不安になるんだ。俺って、もう日邑さんにとって別にいらねえ存在なんじゃないかって」
そこで言葉を切ると、下羅が俺の手を取って頬に押し当てる。
「だから、せめてこうやってセックスとかしてれば、日邑さんとずっと一緒にいられるのかなって……」
「なに言ってんだよお前、らしくねぇこと言うなよ!」
俺は興奮して身を起こした。
<> 877万日邑×下羅 (6/9)<>sage<>2009/05/27(水) 23:10:49 ID:RuPTz2kM0<> 「そんなの俺だってなぁ、俺だっていつも、お前がいつ『お笑いに飽きた』って言い出すかと思ってビクビクしてるんだぞ?
それとか、俺より弄りがいのある相手を見つけてそっち行っちゃうんじゃないかとか、毎日そんなことばっかり
考えてるんだからな!」
激しい剣幕で言い募った俺を、まじろぎもせずに見つめていた下羅が、
「それ本当? 日邑さん」
「おお、本当だよ」
俺は大きく頷いた。「だから別に、こんな風に俺を誘う必要はないんだぞ」と続けようとして、その言葉を飲み込む。
俺は、狡いところのある男だ。
「……」
下羅が目を細めて笑う。そして俺の首に腕を回し、なにか言いかけた瞬間、不意に背後でエンジンの音が響いた。

<> 877万日邑×下羅 (7/9)<>sage<>2009/05/27(水) 23:11:25 ID:RuPTz2kM0<> 「うわ、やっべ、誰か来た!」
悪戯を見つかった子供のようなはしゃぎ声を上げた下羅とは対照的に、
「おい、早く服着ろよ!」
俺は慌てて身を伏せると、囁き声で下羅に命じた。下羅がごそごそと身支度をする合間に、
駐車した車の扉が開く音が耳に届いた。靴音が、ゆっくりこちらに近づいてくる。
「下羅さん、早くしろって!」
「うん、今終わった」
やっと着替えを終え、扉に手をかけた下羅に、
「鞄忘れるなよ、カバン」
俺は小声で念を押す。外に出た下羅の横を、マンションの住人が特に注意を払うこともなく通り過ぎていった。
ひとつ伸びをすると、背中越しに俺に手を振り、下羅は踵を返して悠々と住人の後を追った。

<> 877万日邑×下羅 (8/9)<>sage<>2009/05/27(水) 23:12:05 ID:RuPTz2kM0<> 「……やれやれ」
安堵のため息をつき、俺は自分も服を着ようと身を起こす。
が、すぐに大きな異変に気がつき、全身から一気に血の気が引いた。
「ふ……服がねえ……」
助手席の下に脱ぎ捨ててあった筈の、ズボンと下着がなくなっている。そんな馬鹿な、と助手席の下に這いつくばる
俺の脳裏に、別れ際やけに膨らんでいた下羅の鞄がフラッシュバックした。
「あっの野郎……」
歯軋りをしながら、俺は下羅の携帯を呼び出した。何回目かのコールで、すでに眠たそうな声の下羅が出る。
「あれ、どうしたの? なんかあった?」
「なんかあったじゃねえよ、俺のズボンとパンツ返せ!」
「はぁ? なんのこと?」
「とぼけんな! お前、どさくさ紛れに鞄に入れてったろ?」
「え? ……ああ〜、本当だ」
明らかに笑いを噛み殺しているのがバレバレの声で、下羅が答えた。
「ごめん、間違えて持って来ちゃった。明日現場で渡すわ」
「なんで明日なんだよ、すぐ持って来てくれよ! フルチンで運転なんかしてたら俺、警察に捕まっちゃうだろ?」
「ん〜でもさぁ、靴と靴下は履いてるんでしょ?」
「それが何だって言うんだよ、なお変態っぽさが増すだけじゃねえか!」
「けどまあ、安全運転で行けば大丈夫なんじゃない? ……ごめん、もう俺着替え終わって寝るところだから」
「嘘つけ、別れてからまだ五分と経ってないだろ……おい、下羅さん! 下羅ぁ!!」
必死の叫びにも構わず、無情にも電話はそこで切れた。下半身丸出しのまま、俺は呆然として携帯を見つめる。
<> 877万日邑×下羅 (9/9)<>sage<>2009/05/27(水) 23:12:45 ID:RuPTz2kM0<> 「なんなんだよ、あいつは……」
思わずそんな言葉が口をついて出た。つい先刻、すがりつくような瞳で「どこにも行かないでくれ」と言っていた下羅と、
今頃腹を抱えて笑っているであろう下羅の、一体どちらが本当のあいつなのか。
長年一緒に居る俺にも、それは皆目見当もつかなかった。
ただひとつ分かっているのは、どちらの下羅のことも俺は好きで仕様がないということだけだ。




そして結局のところ、俺にはそれだけで十分なのだった。






<> 生 877万 日邑×下羅 「Handsome Devil」<>sage<>2009/05/27(水) 23:14:00 ID:RuPTz2kM0<>
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
最近は仕事量が逆転してるようですが(wいろいろ乗り越えて仲良しでいてほしい二人です。
何らかの描写orカプそのものに不快になられた方がいたらすいません。ありがとうございました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/28(木) 01:02:58 ID:g/SQfFDFO<> >>425
正直興味のなかったCPだが、読んでみたらめちゃめちゃ萌えた!
良いもん読ませてもらった!
ありがとう! <> 受理と証券その2<>sage<>2009/05/28(木) 02:47:26 ID:LiVxyiNvO<> AA
名残惜しく唇を離す二人。蜜の糸が僅かに二人を繋ぎ止めていた。
うっとりと証券を見つめる受理。潤んだ瞳に濡れた睫毛、テレビやステージで見せる色気ではない。恥じらいと高揚が混ざり、証券の中に残るささやかな理性を大きく揺さぶる、官能的な表情だ。紅く染まった頬に証券はそっと触れた。
「そんな色っぽい顔、誰に見せてんだ?」
「今は、お前だよ。」
今は、だと?女に見せる顔とは思えなかった。
「俺以外の男じゃ誰だ?」受理は黙って目を伏せた。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/28(木) 03:11:51 ID:/3qxBtsZO<> >>425
GJ!
このカプでエロが見れると思わなかった <> 受理と証券<>sage<>2009/05/28(木) 03:22:14 ID:LiVxyiNvO<> いきなり二話からですみませんm(__)m一話はジュリー周辺で801にあります。拙い文ご容赦m(__)m <> 受理と証券その3<>sage<>2009/05/28(木) 03:33:56 ID:LiVxyiNvO<> そうだよな・・こんな美人で甘く歌う子を、ほっとくわけない。畜生!
証券の中で受理を取り巻く男たちの顔が浮かんでいた。女に対してここまで嫉妬などしたことがなかった。証券の顔が険しくなっていた。
受理は上目使いで証券を見ていた。そして、口端を軽くあげた。
「何だよ?」と証券。
「まさか、妬いてるのかなって。」
受理はからかうつもりでいった。
「ああ・・そうだよ!今夜は帰えさねえから!」 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/28(木) 04:48:42 ID:kh0yMLAe0<> ID:LiVxyiNvO

悪いことは言わん
半年ROMれ
というか帰れ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/28(木) 05:17:20 ID:mv04x4WNO<> >>425
GJ
萌えました
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/28(木) 07:48:21 ID:tl2OsDU4O<> >>427 >>429-430

>>1-9を読め。
AAって何か分からないなら分かるまでROMれ
最後まで全部書き上げてから、一気に投下しれ
改行もちゃんと使って読みやすく汁
説明でも顔文字使わない。今時2でm(__)m使う奴いねーよ <> 受理と証券<>sage<>2009/05/28(木) 08:08:46 ID:LiVxyiNvO<> >>433
何も知らないで投下しまくってごめんなさい〜。出直してきます。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/28(木) 12:58:56 ID:wrB/4m0F0<> 知る知らないの問題じゃなくスレに書き込むときは1周辺確認するのが常識 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/28(木) 13:23:59 ID:xZSJaY02O<> 酷い書き手がいたもんだ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/28(木) 13:49:35 ID:I9T1O0w7O<> >>436
あまりに酷いので、どんな厨スレの住人なのかと元スレ見てみたら
住人は棚投稿について懇切丁寧に注意した上で誘導してた
ただ単に、自分が判らない事を知ろうとはしない人だったんだな <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/28(木) 18:09:25 ID:MtxhW0qDO<> まあまあこのスレは全てネタ。
荒れると感想や投下がしにくくなるから、そろそろマターリいこうぜ。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/28(木) 21:27:25 ID:7n2t3gJA0<> >>398
ツンデレな八部氏は美味しすぎる
徳との距離感も絶妙でツボです。ご馳走様でしたー <> アウトテイクス II - 00/11<>sage<>2009/05/28(木) 21:40:53 ID:QkZhdzmO0<>
一話完結シリーズのオリジナルです。今回少々エロあり。

保管庫の方々ならびに前回読んでいただけた方、
ありがとうございました。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> アウトテイクス II - 01/11<>sage<>2009/05/28(木) 21:42:04 ID:QkZhdzmO0<>
モデルという人種に、自らの裸身を人目に晒すことへの羞恥はない。
――少なくとも、職業上では。

悪友かつ同業者のジャックに渡す画像をさがし、
わたしは古い保存フォルダからようやくそれを拾いだした。
マーティス・Lのオールヌード数十枚。
日付は7年前。彼のごく駆け出しのころのものだ。
撮影者はわたし、テリー・デュカス。



男も女もセクシーに撮る。
作りものめいているがグラマラスでゴージャス、ほどほどに下品。
それがわたしの写真の「売り」だ。
とくに男性俳優の写真には定評がある。
どこかしら既成イメージと違った魅力を引きだして見せると。
なぜって「デュカスはゲイ」だから。
――まあ、わたしは否定しない。
将来同性結婚でもしないかぎり、公言するつもりも機会もないが。

世間からすれば、わたしはずっとそのレッテルから逸脱することなく、
むしろ安住しているように見えたかもしれない。
実際わたしのキャリアは順調に上昇位置をキープし、
時代の寵児たち、セレブリティの男も女もわたしに撮られたがった。

世間やクライアントに望まれるまま、
わたしは「デュカスの写真」を撮りつづけた。
わたしには持って生まれたようなオリジナリティ(アクともいう)があり、
過剰さの上限を踏みはずさないセンスがあった。
気難しいアーティストなどではなく、孤高を好むような繊細さも持ち合わせないわたしは
社交を好み、世渡りにたけ、いいスタッフにも恵まれた。 <> アウトテイクス II - 02/11<>sage<>2009/05/28(木) 21:42:59 ID:QkZhdzmO0<>
しかし、わたしは飽いていた。
誰を撮っても「デュカスの写真」に仕立て上げ、
数々のメジャー誌のカバーを飾り、もてはやされつづけることに。
自分より本物で成功に恵まれないアーティストは世界中にいくらでもいる。
表舞台に出られる者がいるとして、どうせほんの一握り。
本人の熱意と努力だけでは足りない、チャンスと運が必要なのだ、絶対的に。
世間なんて見る目がない、しかも飽きっぽい。
その移り気さで、いずれ「デュカス」も見捨てるだろう――。

否定・懐疑・危惧。
自分のなかの停滞を鎮めるために、わたしはくだらないパーティに出るのを減らし、
代わりにわたし個人のためだけのシリーズを撮りはじめることにした。
それが7年まえのことだ。

ごく個人的ワークなので、スタッフは一切使わない。
モデルのブッキングも自分でやるが、
売り物の写真ではないのでメジャー・エージェンシーの専属モデルは使えない。
いっさい噂になりたくないからだ。
下積み時代に戻ったような面倒だらけだったが、
頭のなかの雑音を追い出すにはちょうどよかった。
さしあたって、撮りたいモデルは決まっていた。
会員制エスコート・クラブのジャレッド。当時19歳の男娼だ。

わたしに関する噂の多くが(なぜか)断定するように、わたしはゲイだ。
正しくはバイセクシャルだが、男のほうにより惹かれる。
「それはあなたがナルシストだからよ」
いつだったか、そう女になじられたことがあるが――それもまた正しい。
自分を無条件に愛せる人間なんて、自分しかいないじゃないか。
ラッキーなら肉親も無条件に愛してくれるかもしれない。
信仰があれば、さらに慈悲ぶかい神の愛とやらに縋れるだろう。 <> アウトテイクス II - 03/11<>sage<>2009/05/28(木) 21:43:42 ID:QkZhdzmO0<>
わたしのおもだった情熱はいつも仕事へ向けられ、
男も女も、恋人たちは大抵そのことに失望し去っていった。
ゲイでナルシストで無信仰のわたしは、ごく手軽で秘密の保てるセックスを好んだ。
幸いわたしの交遊関係は幅広く、
いかがわしい商売を生業とする「友人」にも事欠かなかった。
彼らにとってわたしは上客であり、わたしの好みをわきまえサービスを提供することに吝かでない。
まるでケータリングを頼むみたいに、わたしは欲しいときに連絡しさえすればよかった。

たしかあのとき、長いつきあいのクラブ・マネージャーはそう言った。
「ちょうどいい子がおりますよ。
エスコート自体まだはじめたばかりの新人ですが、
そのぶん業界ズレしていないし容姿もまずまず。たぶん、気に入っていただけるかと」
そうして送られてきたのがジャレッドだった。

彼は、道を誤った――はじめてジャレッドを見たときの、それが第一印象だった。
道徳的な意味じゃない。天分の使い方だ。
彼はモデルになりうる背丈とプロポーションと顔立ち、それに雰囲気を持っていた。
首輪――主人に所有され服従する徴を思わせる黒のチョーカーを身につけているが、
タトゥーやボディピアスはなし。
マスキュラーやスイマーのそれとは異なるが、細いなりに鍛錬された筋肉があり鑑賞に堪えうる。
まさに、わたし好みの容姿だった。
ゲイ受けするにはさらなる筋肉とその重量が圧倒的に足りないし、
猥雑さも雄臭さもなく不適格だが、ファッション・モデルならいけただろう。 <> アウトテイクス II - 04/11<>sage<>2009/05/28(木) 21:44:33 ID:QkZhdzmO0<>
「でもモデルになって成功するとは限らないでしょう?」
生来の内気さからか、ちょっとはにかむように笑う彼は、穏やかに言葉を返した。
「――俺はすぐお金が欲しい」
それに、ほら――と、
わたしのコックに深く乗ったまま、自らのそれに指を滑らせた。
「最初のころは痛くて…すごく辛いだけだったけど――
いまじゃ入れられても萎えたりしないし、むしろ……」
ね、わかるだろう?――と、わたしを見つめたながら腰を揺らめかす。
屹立した彼自身のコックも揺れ、汗ばんだ腹をぴしゃりと何度も打ちつける。
見上げながらわたしは思わず呻きをもらし、ジャレッドの頭をかき抱いて唇を求める。
唇、舌、息――口腔のなかすべてを与えあい、貪りあう。

相性のいいことに、ふたりともキスをたのしむのが好きだった。
呼吸を合わせ、互いにリズムをやりとりし高めあっていくやり方も。
嘘いつわりない熱がさらなる熱を呼び、わたしたちふたりを爆風のように吹き飛ばす。

ペイ・フォー・ゲイ。金のためゲイのふりするストレート。
ジャレッドは自分がそうであるのを隠さなかった。
内気さと率直さ、性的な大胆さ。
それらを同時にあわせもつ彼は、あらゆる意味できれいだった。
金が必要な理由は訊かなかった。
打算込みのファックなら、わたしにも昔した憶えがある。


ジャレッドを知ってから――
スケジュールが許すかぎり、わたしは彼を指名し続けた。
セックスを重ねるごとに、
ふたりで過ごす時間の穏やかさと求め合う熱の激しさとの両方が深まっていった
――それは、わたしだけの思い込みではなかったと思う。
この喘ぎと熱は、たとえば向こう岸へ泳ぎたどりつくまでのものにすぎないのだろうか。
泳ぐほどに深さをまして、脚をとられそうになるのは錯覚か? <> アウトテイクス II - 05/11<>sage<>2009/05/28(木) 21:45:28 ID:QkZhdzmO0<>
彼の目を見ながら髪をなで、すぐそばで声を聞いていたいという気持ちは、
自分に従順なペットを愛玩するようなものだろうか。
事実、わたしは彼を買いつづけている――。
できるなら、ほかの誰かに彼を買わせるチャンスを少しでも与えたくなかった。
それが彼を保護することにもなるのだと、どこかで思ってさえいた。


両腿を膝で、腋下を晒し交差させた両腕を手で押さえつける。
上から四肢をロックし体重を乗せたまま腹から胸へ身体を擦りつける、何度も何度も。
互いの身体が波打ち、ベッドを鈍く、重く軋らせる。
血色が全身へとさらに散りひろがって、汗や息もろとも熱を帯びていく。
わたしの下、苦しげな口元を舌でくりかえし湿らせ、必死に彼は顎を持ち上げようとする。
乞うようにわたしの目を見上げながら。
ゾクゾクするような悦びを味わいながら、わたしもまた彼から目を離すことができない。
キスを与え、互いにむさぼりあう
――いったん顔を離そうとすると、まだ足りないとでも言うように唇を開き、
彼は目でわたしを追いすがった。

「こわいな……
あなたとは相性がよすぎて――どんどん自分が変になっちまう」
もう自分のことをストレートだなんて言えない。
冗談めかして彼は笑った。
「ときどき、あなたのこと考えるだけで震えがくる……」 <> アウトテイクス II - 06/11<>sage<>2009/05/28(木) 21:46:31 ID:QkZhdzmO0<>
以前どこかのパーティーでだったか、
一組の男女が延々とファックしているだけのヘボい新作を撮った監督が、
ポルノ以下と軒並み酷評されたのを
「――あれは純愛映画だったのに!」
と酔っ払いながら憤っていたことがある。
それを離れたテーブルから眺めながら、わたしは仲間と笑った。

セックスだけ。
ほかに相手について何も知らないまま、恋に落ちるなんてありえるだろうか?
もちろん無人島に漂着したアダムとイブなどでなく。

「ファンタジーだから、奴は映画にしようとしたんだろう?」
と皮肉屋のディーン。
実業家、美術コレクター、パーティーのオーガナイザー――肩書きはいろいろ。
痩せぎすの長身で、真っ白な肌にまっすぐなプラチナブロンド。
アルビノで目が弱いため、黒眼鏡をいつも手放さない。
鼻梁に指をあてがう癖があり、細く長い指がひどく目立つ。

「あってもおかしくはない」
と言ったのはジャック。
豊かな黒髪、浅黒い肌、貴族然とした面構えに英国訛り。ディーンと並ぶと対照的だ。
「へえ」とディーンとわたし。なにかホットな過去話でも?と一瞬興味を引かれたが、
「俺とイーディだって似たようなものだ」
の台詞にふたりとも呻いた。
イーディはジャックが溺愛する雌犬だった。
血統書付きスパニッシュ・グレイハウンドの。 <> アウトテイクス II - 07/11<>sage<>2009/05/28(木) 21:47:39 ID:QkZhdzmO0<>

「俺は知ってるよ?」
とジャレッドは笑った。
「あなたは有名な写真家で、いつもセレブや才能のあるひとたちと仕事してる。
リッチで、身につけるものも住まいも趣味がいい。
好きな酒はスコッチ。うまい料理が好きで、煙草は味が判らなくなるからやめた。
ドラッグをやらないし無茶なファックもしないからうちの上客だってマネージャーが言ってた。
だからおまえはラッキーなほうだって。――そのとおりだと思うよ」
つづけて、とわたしは彼に促す。
「ドギー・スタイルより顔の見えるほうが好き。
トレーニングしてるから腹は出ていない。好きな下着はボクサータイプ」
たしかに、そのとおり。
「嘘に敏感」
そう?
「俺が酒よりチョコレートが好きだって見抜かれた」
そう、ジャレッドはハーシーズに目がない。
ミルクチョコとコンドームの箱入りはどちらも切らさないようにしている。
「髪はブラウン、目はグリーンで――暖かみがある。
ハシバミ色が混じってるせいかな……。きれいで、見飽きない」
わたしをまっすぐ覗き込みながら顔を近づける。
彼の瞳が揺らぎ、饒舌に、貪欲になる。

尋ねても答えられないこと、ごまかし、最悪嘘。
そんなのをみるくらいなら、はじめから訊かないほうがいい。
ジャレッドといたあのころ、わたしはそう思っていた。
のちに悔やんだこともあるが――もしやり直すことができたとしても、
わたしはやはり訊かなかったと思う。
そうしなくてもジャレッドがだんだん苦しげになっていったのを、わたしは憶えている。 <> アウトテイクス II - 08/11<>sage<>2009/05/28(木) 21:48:27 ID:QkZhdzmO0<> ジャレッドの微笑に翳りがさすようになったころ、
「もう……あまり、俺を呼ばないで」
そう彼は口にするようになった。
何かを言いかけ、代りにため息をつくことも。
わたしが嫌になった?――そう尋ねると、彼は首を横に振った。
「――だってあなた、俺に飽きるのがはやくなるよ」
自分にはこの身体と顔しかない。
セックスはもっと巧くなれるかもしれないが、そんなのたいした意味はない。
自分は空っぽだし、見た目なんていずれ色褪せる。

時間の問題だよ――と彼は肩をすくめた。
「だから――もしそうなったら、俺は……」
きみは――? そのあとの言葉を、わたしは彼の口から訊きたかった。
だが諦めのような、脆い微笑を浮かべるだけで、
ジャレッドはけっして答えなかった――最後まで。
そのあとの言葉を、ジャレッドはけっして答えなかった――最後まで。
仕事のスケジュールの合間を見つけ、
彼の写真を撮るアイディアを実行に移そうと決めたころ、彼はクラブをやめ姿を消した。

彼は「ジャレッド」という名前以外、わたしに何も残さなかった。
名前だって本名であるはずがない。
だがわたしには、それしか彼を呼びようがない――。
一度、わたしの選んだチョーカーを贈ろうとしたが、彼はきっぱりと拒絶した。
単に首元を飾るだけではないその意味あいに、彼が気づいていたからだと思う。
彼の所有物になりそこなったそれを、わたしは捨てることができなかった。
ばかげた感傷なのだと思う、しかしどうしてもできなかったのだ。

ゲイでナルシストで無信仰のわたしは、ジャレッドへの感情を愛と認めるのが怖かった。
安全な自己愛から踏み出して、他者を求めることができなかった。
金も贈り物もなしの空っぽの手を、彼へと伸ばす勇気がなかった。
――愚かなことだ。
ほんとうに。 <> アウトテイクス II - 09/11<>sage<>2009/05/28(木) 21:49:05 ID:QkZhdzmO0<> 表面上なんら変わることなく、わたしは「デュカス」の写真を撮りつづけた。
無価値なのはわたしだ、世間はなぜ気づかないのだろう?――そう罵りながら。
マーティスに出会ったのは地獄のような、わたしにとって最悪のころだった。

たしか――彼と同じ北欧出身のモデルについて、撮影現場を覗きに来たのだったと思う。
マーティスは当時素人同然で、売り出しよりもウォーキングなどのレッスンを必要とするレベルだった。
写真家にもよるだろうが、わたしの現場は人の出入りにさほどやかましくない。
プライベート・ワーク用のモデルを拾うのにも、そのほうが都合がよかった。

この業界で珍しくないとはいえ、
ゲイと風評のある写真家からエージェンシーには内緒の仕事を持ちかけられ、
マーティスがどう思ったのかは知らない。
あらかじめ打診したのはヌード。
しかもわたしの内面の荒みを、もし彼が感じとっていたとしたら――。
実のところ、盛大な自虐だらけのダークサイドに落ち込んでいたわたしは、
彼が承知するのをまったく期待していなかった。
だが、彼の返事はOKだった。
報酬、コネへの期待、単純な好奇心――
理由はそのどれかかもしれないし、どれでもないかもしれない。
わたしにはどうでもよかった。
顔立ちも髪や目の色も違っていたが、マーティスはどこかジャレッドを彷彿させた。
わたしには、わたしの写真のなかでジャレッドになってくれる誰かがどうしても必要だった。

都合のべ3日。
ふたりきりのセッションで、マーティスはわたしの要求するシーンを彼なりに演じてくれた。
カメラのレンズごしに見つめながら、彼の穏やかな微笑と内面の芯の靭さ、
しなやかさがジャレッドに似ているのだと、わたしは知った。
わたしはマーティスに、ジャレッドのことを一切話さなかった。
だが、淡々と撮影に費やした時間と残された画像とは、確実にわたしを救ってくれた
――どんなに望もうと完全なんかありえないとしても。
わたしの内実がどうであれ、
わたしたちはごく短期間のチームを組み、報酬をやりとりし、握手して別れた。 <> アウトテイクス II - 10/11<>sage<>2009/05/28(木) 21:49:46 ID:QkZhdzmO0<>
そして本当に残念なのだが、
その莫迦が身近にいるのを最近わたしは知った。ジャックだ。
あるファッション誌の冒険的編集者が、
マーティス起用のエディトリアルを彼に示唆したという。

「でもマーティスなんてモデルのことは知らないし、興味も持てない」
打診された仕事を断ろうと思っていると、ジャックはこともなげにわたしに言った。
有名無名にかかわらず、自分が関心をもてないものについては
「知らない」と言い放ってはばからない。
ジャックとは、そんなふうに尊大で傲慢で嫌味な奴だ。
クリエイターなのにその好奇心の狭さといったら驚くほどだ。
それでいて仕事は一流なのだから――同業者として忌々しいのひとことに尽きる。
見ないものを、どうして知ることができるだろう?

だからわたしは、
ずっと手元で眠りつづけてきたマーティスの写真のなかから一枚だけ選び、
平手打ちがわりにジャックへ送りつけようと思っている。
彼がマーティスと仕事しようがしまいが、どうだって構わない。
ただ、それを見てなおマーティスを無視しつづけることができるなら、
奴とのつきあいも考えなおさなければならないだろう。
莫迦で尊大なんて最悪だ。

しかし、わたしは半分――いやそれ以上に確信している。
写真を見たジャックが「もっと!」とさも当然のように要求してくることを。
だが絶対にノーだ。
残りを奴に見せてやるつもりはない。
わたし以外にこのシリーズを見る権利があるのはマーティス本人、
それにジャレッドだけだ。
どちらも、まだそうしたことはないけれど。
いつか――もしそうできることがあるならと、いまも願っているけれど。 <> アウトテイクス II - 11/11<>sage<>2009/05/28(木) 21:50:28 ID:QkZhdzmO0<>
ジャレッドのイメージは、いまもわたしのなかで薄れることはない。
昔ほどではないが、夢で見ることもたまにある。
だから――マーティスの写真にわたしが託したのは、彼の面影ではない。
それをなぞらえるためだけなら、写真なんて撮る必要はなかった。
よくも悪くも、何を撮ろうが画像に残るのはいつもわたし自身の一部だ。

さて――
わたしはこれから、古い画像ひとつひとつ目をとおさなければならない。
同時にジャレッドと過ごした時間をまた思い出すことになるだろう。
そして、わたしは繰りかえし祈る。
彼がどこかで、あの笑顔を浮かべていることを。いまも。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> アウトテイクス II - 09と10のつなぎ<>sage<>2009/05/28(木) 22:04:06 ID:QkZhdzmO0<>
それから数年――。
マーティスとはプライべートはもちろん仕事でも会っていない。
わたしは依然「デュカス」であり続け、
マーティスはトップ・モデルとして常に最前線に位置しているというのに。
わかっている、
エレガントなマーティス・Lとクイア的な「デュカス」ではイメージからして合わないし、
敢えて冒険したがる者もない。
それでもわたしは彼の成功を喜んでいるし、
彼がそれに値する人間であることをほとんど確信している。
もし何かしら彼を見誤る者がいるなら、わたしはその愚かさを残念に思うだろう。

<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/28(木) 22:04:50 ID:bae5Fr82O<> オリジナル高校生ものです。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> 1/6<>sage<>2009/05/28(木) 22:05:19 ID:bae5Fr82O<> 「なあ、今日は何してやろうか?」
先輩が俺に声をかけた。
いつものことながら、俺はちょっと赤くなってそれに応じる。
「えー、じゃあまた膝枕で」
先輩はちいさく笑うと、ほんとにしょうがない奴だな、なんて言って部室の汚い畳の上に座った。
俺の心はちょっと罪悪感で疼いた。だってこんなこと先輩が俺にしてくれるのも、「小さい頃に父さんと生き別れた」なんていう俺の適当な嘘を信じてくれてるからなんだから。
「しつれいしまーっす」
だけど先輩の膝の上に頭をのせると、もうそんな罪悪感はどこかにいってしまって、いつものようにどきどきした。
いつもなら頭を横に向けるところを、今日は上に向けてみた。
俺を覗きこむ先輩の顔(短髪と日焼けがよく似合うとびっきりの二枚目!)を見上げて、先輩のほっぺたに手を伸ばす。
「ねー先輩、俺のことスキー?」
「はあ?嫌いな後輩にこんなことするわけねーだろ。むちゃくちゃ可愛がってるっつーの。」
「んー、そうじゃなくって。」
ちょっと呆れたように言う先輩(そんな顔もまじかっこいい)に、俺は頭を振る。
「俺、先輩のこと大好きなんだよね、その、…レンアイ対象として?」
俺はどきどきしながら先輩を見上げた。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/28(木) 22:05:55 ID:QkZhdzmO0<> …投下ミスりましたこと、ご容赦ください。ありがとうございました。 <> 1/6<>sage<>2009/05/28(木) 22:06:35 ID:bae5Fr82O<> といっても俺には勝算があった。俺はずるい奴だから、こういうことは勝算がなかったらぜったいに言わない。
「え、何お前ホモ?」
「そういうわけじゃないけどー」
だって先輩かっこよすぎるから、と付け加える。
だけどこれは嘘だ。思えば俺は初恋から男の子だった。しかも何がすごいかって告白した子とは百パーセント付き合ってる。
同性愛に理解の乏しい昨今にあって、この数字は驚異的だ。
つまり俺には今回も先輩と付き合える自信があった。だから、先輩の
「悪いけど俺そんな趣味ないから」
っていう言葉を聞いた途端、俺は思わず飛び起きた。
「嘘、」
「それこっちのセリフ」
「え、え、何、先輩俺のこと好きなんじゃないの」
「どう思えばそうなるわけ」
そんな馬鹿な。天地がひっくり返って、上から岩でも降ってきた…ような気がした。
「え、じゃあ先輩、今聞いたこと忘れてくれる…?」
そんなことあるわけないだろ、と自分にツッコミを入れながら先輩に申し出る。この申し出を承けるなら先輩は相当の馬鹿だ。
「え、いいけど」
(前言撤回!先輩大好き!)
俺は心の中で大きくガッツポーズをした。
「その代わり、」
え、と言う間もなく、俺は押し倒された。 <> 3/6<>sage<>2009/05/28(木) 22:08:06 ID:bae5Fr82O<> ちょっとドキっとしたけど、騙されちゃいけない。先輩が俺にこうやってくっつくときは、そう。
「えー、またプロレスですかぁ」
「おう、新しい技覚えたからな」
嫌そうなふりをいつもするけど(だって喜んでたらMみたいだから)先輩の体温が感じられるから、実は俺はこのプロレスごっこが嫌いじゃなかった。
ほら、今だって耳に熱い吐息がかかってる。
「ふぁ!?」
思わず変な声が出た。だって、この耳に触れてるものが息なんてもんじゃなくなったから。これは間違いなく、舌だ。
「先輩、ちょ、何してっ…」
「何だよ、黙っとけって」
ちょっと面白がってる先輩の声が憎たらしい。だって先輩には言ってないけど、俺は耳が弱い。それもかなり。
(先輩にはそんな気なくても、俺は感じちゃうんだよ!)
もしかしたら過去にそういうレスラーがいたのかもしれない。そりゃあきっと効果抜群だっただろう。
だって俺は今にも勃ちそうなんだから。
「せんぱ、やばっ、…!」
そんなこと考えてたら、先輩の膝が俺の体の中心をえぐった。
「うあっ、や、ぁ、」
ぐりぐりと動かされる先輩の膝に、思わず声が洩れる。
これはなんて技?わかんない、でも気持ち良かった。 <> 4/6<>sage<>2009/05/28(木) 22:09:17 ID:bae5Fr82O<> 先輩のその膝の動きに夢中になってたら、今度は先輩が手を片方動かした。その手は俺の胸に向かって、そんでまたせわしなく動き出した。
「んぁ、あ、やっ」
明らかに乳首を狙ってるっぽい先輩を、何とか睨み付けてみたけどたぶん効果はない。
俺は気持ちいいことは大好きだけど、こんな感じたらドン引きされるような状況では嫌だ。
先輩に気持ちいいことしてもらえるんならもっとこう、俺もこんな抑えた声じゃなくて、可愛くあんあん喘ぐのに。
プロレス技かけられてるんならそれもできない。
「んっ、あ、」
やばい、射精そう。そう思ったときに先輩の手と、足が俺から離れた。
「え、」
そんな、ここでやめちゃうの?
思わずそう言っちゃいそうになったけど、先輩のじっとこっちを見る顔を見てはっとして踏みとどまった。
(やばい、こんなんじゃ引かれる!)
(いつもみたいな反応しなきゃ、いつもどんな反応してたっけ?)
「もー、先輩痛いっすよぉ」
そう言いながら起き上がろうとしたけど、体に力が入らなくて起き上がれなかった。
ほんとは今すぐにでも触って、イってしまいたかった。
先輩はこっちをじいっと見て、そして言った。
「なぁ、そんなエロい顔して嘘つくなって。」 <> 5/6<>sage<>2009/05/28(木) 22:10:24 ID:bae5Fr82O<> さあっと顔から血の気が引いていくのがわかった。俺は必死に取り繕う。
「ちが、嘘じゃな…」
「…俺も、お前のこと超好きなんだけど?ほらもちろん、レンアイ的な意味で」
「え?」
俺は自分の耳を疑った。だって先輩さっきそういう趣味ないって言ったじゃん!
俺の心の声に答えるように先輩は言った。
「さっきのはさ、また適当なこと言って俺のことおちょくってんのかと思って。ほら、父さんと生き別れた、とか」
え。俺は一瞬動きを止めて、それからなんとか力の入らない体を起こした。
「先輩、それいつから気づいてたの?」
「先週の大会、お前の親父さん見に来てたよな?」
確かにそうだった。自分の迂濶さに、俺は今更ながら腹が立った。
「じゃあなんで俺の言うこと聞いてくれてたの?」
俺がそう問いかけると、先輩は少し躊躇うように視線をさっと左右に走らせ、しかしまた俺の方を見て、言った。
「そりゃあお前、せっかく好きな子といちゃつける機会をわざわざ棒に振る馬鹿はいないだろ?」
「え、じゃあそれってまさか、」
「さあそこらへんを踏まえてもっかい聞こうか、俺の可愛い後輩改め、恋人さま?
 さっきのプロレス技、どうだった?」
俺は一も二もなく答えた。 <> 6/6<>sage<>2009/05/28(木) 22:12:29 ID:bae5Fr82O<> 「ちょー気持ち良かった!」
嬉しすぎて涙が出そうだった。
「ああそう、じゃあ今何がして欲しいわけ?」
「さっきのつづき!」
俺は先輩の首に両腕を回しながら、言った。
幸せすぎて、このまま溶けていっちゃうんじゃないかと思った。
先輩の手が、俺の顎を掴んだ。
「りょーかい」
そう言いながら軽いキスをひとつ。
いちばん近くから見た先輩は、やっぱりすごくかっこよかった。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

お粗末さまでした!
非常にどうでもいいですがこの二人は水泳部、という設定です。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/28(木) 23:41:09 ID:wzuk7yr80<> >>460
二人とも可愛かった!
GJ!!! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/29(金) 01:00:28 ID:XA3QG7x/0<> >>452
GJ!萌えました
保管庫のほうも読んできます <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/29(金) 07:37:29 ID:8W2pB2x00<> 半生注意。

Wツンデレで妄想
季節感ガン無視ですよ

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> 相模 1/7<>sage<>2009/05/29(金) 07:39:28 ID:8W2pB2x00<>  今日は朝から上天気だった。気温はぐんぐん上昇し続け、コートを着て帰るのがバカバカしく思えてくる。
こんな陽気だというのに競澤は、デスクの横に巨大なゴミ箱をでんと置き、しかめ面で始終鼻を噛み続けていた。
「朝からズルズルうるせえなテメエは」
「…僕は先輩と違って繊細に出来てるんです。フツー体に異物が入ったら、追い出そうって反応するでしょ?
 あ〜あ、先輩ってばついに自分の体からも見放されちゃったんですね」
「うるせえ!つーか何とでも言え。俺は花粉ごとき屁でもねえんだよ。羨ましいかこの野郎!」
「くっ…!」
 箱ティッシュに手を伸ばしながら充血した目でぎっと睨み付ける競澤の視線を、軽やかにスルーする。
実にいい気分だ!
 ちょうど昼休みだった。上機嫌ついでに庁舎の外に出てみる。
お堀の周囲にぐるりと植えられている柳は新芽を吹き始め、風に揺れている。
空の色は薄く霞んでいて、冬のそれとは明らかに違う。
こんな気持ちいい季節が憂鬱だなんて可哀相な奴だぜ。ざまーみろ。空を見上げてうーん、と伸びをした。
<> 相模 2/7<>sage<>2009/05/29(金) 07:40:28 ID:8W2pB2x00<>  その時、青を二つに割るように、旅客機が濃い飛行機雲を従えて飛んで来るのが見えた。
『俺、飛行機雲って好きなんだよなー』
 瞬間、あいつのふと呟いた言葉が、声の記憶と一緒に鮮やかに蘇った。
 茫然とした。
 どんなに思っても叶うことはもう二度とない。それならいっそ記憶の底に沈めてやる。
そう心に決めたはずだったのに、ふと思い出したたった一言が、あっという間に思考の全てを
塗り替え支配してしまった。
 飛行機雲はぐんぐん伸びて、もうすでに狭い空の三分の二ほどを切り取っている。
 気が付くと足は向きを変え、庁舎のエレベーターの最上階ボタンを押していた。

 屋上に続く重い扉を開ける。昼休みはそろそろ終わりだから、人影はほとんどない。
空を見上げると、さっきの飛行機雲がくっきりと見える。
 思わず、はあ、と深く息を付いた。
 何やってんだろ俺。そしてまた深く息を吸う。
 鼻の奥に、煙草の臭い。
 はっとして見回す。あいつの吸っていた煙草の臭いだ。何でこんなタイミングで?一体誰が?
巨大な排気ファンの柵にもたれる人影があった。…あの影は、よく知っている。
 影がこちらを向いた。 <> 相模 3/7<>sage<>2009/05/29(金) 07:41:33 ID:8W2pB2x00<> 「おや、板身刑事。珍しいですね」
「うっ!」
 気付かれない内に退散しようと思ったのに、先に話し掛けられたら逃げられないじゃないか。
「携部殿こそ何やってんですか。なんか事件でも転がってましたかー?」
 殊更嫌味を込めて言う。この人に弱みなんて見せられるか。
「いいえ」
 この人は真っ直ぐに他人を見る。だから今日のように気持ちが乱れた日は、特に居心地が悪い。
負けたような気がしながら視線をさ迷わせると、吸いかけの煙草を挟む指が目に止まった。
「雲を見ていました。あなたもそうですか?」
 ぎくりとした。
「ひっ飛行機雲なんて珍しくもないもの、何で俺がわざわざ見に来なきゃなんないんですか!」
「僕は単に、『雲』と言っただけですが」
 ああ…。やられた。がっくりと肩が落ちる。
 そんな事は気にしない様子で、携部は吸いかけの煙草をまたくわえると、軽く眉をしかめて深く吸い込んだ。
そして静かに吐き出す。
 沈黙が落ち着かなくて、つい話し掛けた。
「煙草」
「はい?」
「止めたんじゃありませんでしたっけ?」
 なんでこんな事知っているんだ俺は。
「たまに吸いたくなります。…こんな雲を見たり」
 二人空を見上げた。さっきの飛行機雲はまだくっきりと残っていた。 <> 相模 4/7<>sage<>2009/05/29(金) 07:42:30 ID:8W2pB2x00<> 数年前、ひどく後味の悪い事件を扱った直後、誰が言い出した訳でもないけれど、
何となく皆でここに立って、空を眺めた事がある。
 事件は解決したのに、問題は何も解決しない。やるせなさに誰もが押し黙っていた。
あの携部さえ言葉を探しあぐねた様子で、じっと空を見ていた。
 そんな時、あいつが口を開いた。
『でも、黙って見過ごして、何も無かった事にしたら、一歩も進まないじゃないですか。
 俺信じたいんです。犯人のことも、この携察って組織のことも』
 どんだけ甘い奴なんだと思った。その甘さが、お前自身の首を絞めている事に気付いているのか?
今回だけじゃない。あいつのスタンスは、初めて出会った時から何一つ変わっていない。
呆れるほどバカ正直で真っ直ぐで、この世界は善意で成り立っていると信じて疑わない。
 一課でコンビを組んでいた頃は正直心配だった。このままじゃ間違いなくあいつは潰れてしまう。
この組織がどれほど深い闇に侵され、それを浄化する事などもう誰にも不可能なのだと、
ある程度ここに身を置けば誰だって気付くはずだ。
 なのにあいつは無邪気に信じ続けている。
 あいつが現実に直面し、打ちのめされ深く傷つく姿なんか見たくない。
あいつが傷ついても、自分にはなにもできない。
 ただ空を見上げ、唇をぐっと噛み締めた。悔しかった。 <> 相模 5/7<>sage<>2009/05/29(金) 07:43:25 ID:8W2pB2x00<>
『……きみに、その覚悟があるなら』
 沈黙を破るように静かな声が響いた。
『もう一度、真実を洗い直してみますか?どんなに残酷な結末が待っているとしても』
(!!)
 思わず声の主を見る。あんた、たった一人の部下によくそんなこと。
『……はい!』
 真っ直ぐに携部を見ながら、バカ正直な、力強い返事をあいつは返す。
 そうか。
 こういうのを、天の采配って言うのか。
 この腐った組織の中にも、あいつの居場所はちゃんとあったのか。
『バアーーーカ!』
 嬉しくて緩みそうになる口元を引き締めながら、ついつい出てくるのはいつもの悪態。
『超窓際のおまえら匿名に、何ができるってんだよ』
 知っている。こいつらは組織の中で存在を殺され、何もできない。
 だからこそ何もかもできるのだ。
『うるせえな!テメエと遊んでる暇はねえよ』
『暇なのはそっちだろーが!』
 がんばれよ。
 おまえなら、何かを変えられるかも知れない。

『何をぐずぐずしているんですか。行きますよ』
 さっさと歩き出す携部の後を慌ててあいつは追い掛ける。
『待ってくださいよ〜、……あ』
 ぴたりと足を止め、空を見上げた。
 つられて見上げた空に、真っ直ぐな飛行機雲が白く伸びていた。
『俺、飛行機雲って好きなんだよなー』
 誰に言うでもなく呟いたのだろうあいつの言葉が、なぜか水のようにするりと心に浸みていった。 <> 相模 6/7<>sage<>2009/05/29(金) 07:58:14 ID:8W2pB2x00<>
「…バーカ」
 自分ひとり、先に行っちまいやがって。
 鼻の奥がつうんと痛い。まぶたの裏側が湿っているのがわかる。隣の携部に感づかれただろうか。
うつむくこともできずに、ただ空を見上げ続ける。
 す、と目の前に紫煙が揺れた。
「どうぞ」
 声に顔を向けると、火のついた新しい煙草を差し出された。
「…どうも」
 受け取って、互いになにも言わず、並んで煙草を吹かす。
肺いっぱいに煙を吸い込んだ。あいつの匂いに胸が塗りつぶされる。
 吐き出した煙が風に吹かれて高く流れていく。それを追って再び見上げると、
飛行機雲はいくつかに千切れて、西の方角へと流れていた。
「この季節の風は、大陸を渡ってアラビア半島、ヨーロッパを越え、さらに大西洋、アメリカ大陸、
太平洋を経由し再び日本へと帰ってきます。
…ですからあの国にも、同じ風が吹いているのでしょうね」
 携部がふっと視線を飛ばした。
「……」 
 そうだ。あいつはこの空の下にいる。姿は見えないけれど。
 ここには確かにあいつの居場所があって、俺たちは何物にも替えがたい時間を共有していた。
そして日差しの中で同じ風に吹かれているあいつもたぶん、同じことを思っているはずだ。

 おまえなんかなあ、馬鹿だし要領は悪いしすぐトラブルに巻き込まれるし、どこに行ったって迷惑なんだよ。
 だからたまには帰ってこい。仕方ねえから待っててやるよ。
 おまえの場所はちゃんとあるんだからよ。 <> 相模 6/7<>sage<>2009/05/29(金) 08:00:14 ID:8W2pB2x00<> 「あーっ!こんなところでサボってたんですか先輩。とっくに休み時間終わってますよ」
 扉が音を立てて開き、競澤が大またで近づいてくる。いっぺんに空気が騒がしくなった。
「ああ?分かってんだよんな事は。テメエこそ鼻栓詰めたのかよ!」
 慌てて煙草をもみ消した。携部は知らん顔で携帯灰皿に自分の吸殻を押し込んでいる。
「鼻栓て。あっ、先輩似合いそうですよ、鼻栓とか鼻メガネとかそういうベタなお笑いグッズ」
「ハア?小学生じゃねえんだ俺は」
「言い出したの先輩じゃないっすか」
 こつこつ、と爪先に携部の靴が当たる。何なんですか!?と横目で見ると、
そっと後ろ手に灰皿を差し出してくれた。

「それでは僕は失礼」
「あっ、どうも〜。 
 ……先輩、携部となに話してたんですか?なんか鼻声だし、目が赤くて涙目だし」
「うっうるせえ!これはな、…花粉だ花粉!花粉のせいだ!」
 競澤はニヤニヤ笑って、へえ〜、とか言いながら顔を覗き込んでくる。
「…なんか用があったんじゃねえのかよ」
「あ、別件逮捕の容疑者の指紋が、御徒町の殺人現場の指紋と一致したみたいです」
「そういう事は早く言えー!!」
 すぱかーん、と競澤の頭をはたきつつ小走りで階段を駆け下りる。

 飛行機雲はまだ薄く消え残っていた。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/29(金) 20:21:56 ID:JvOo9nGi0<> >463-470
うん、うん
そう、そう
凄く好き
いい話
作者さんGJ!
板身ってカプエロ一切なしの上で、瓶の事が
むかつく=気になる
そんな感じ
それは恋愛には決してならない、そんな感じ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/30(土) 00:08:35 ID:OFouSHAV0<> GJ!
見送る者達にも日常というものがあり、その中で「かつての日常」に思いをはせて…いいねぇ。 <> ハナチラ 赤音→伊烏<>sage<>2009/05/30(土) 01:18:41 ID:oHrdn0A/0<> ガチ剣劇エロゲ「刃鳴散らす」赤音→伊烏の過去話。
・若干ネタバレ気味
・聖都と枝篇は未プレイ未読につき御免
・エロ要素皆無
・全二回予定

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> ハナチラ 赤音→伊烏 1/7<>sage<>2009/05/30(土) 01:19:44 ID:oHrdn0A/0<> 「どうだ、夕餉の後に一局」
 たっぷり汗を吸った道着一式をまとめ、住込みの門下生が寝泊まりする離れへ
帰ろうとした武田赤音を、聞き慣れた落ち着きのある声が呼び止めた。
 こんな魅惑の誘いを断るはずがあろうか。
「ええ、もちろん! 二局でも三局でも、何十局でも!」
 満面の笑みで振り返り即答する。後ろで一つに束ねた髪が少し遅れて背を打った。
 相手の目には勢い良く尻尾を振る柴犬めいて見えたかもしれない。
「あまり長丁場だと明日の稽古が辛いぞ」
 窘める相手のわずかに下がった眦を見れば、彼が本気で困っているわけでは
ないことは知れる。
 鹿野道場にあまねく厳しい指導と根暗な性格で知られる青年に、こんな表情を
させる人物はさほど多くない。
(自惚れてもいいのかな、おれ。ちょっとだけなら、いいよな?)
 自分との勝負を重ねることが、彼にとっても喜びなのだと。
 靴先をとんとんと三和土に打ちつけながら、赤音の心は浮き立つ。
「予定はないのか?」
「師範代、普通は誘う前に訊くものですよ、それ」
「む……、すまん」
 弟弟子の自分にまで律儀に頭を下げる長身を見上げ、赤音はくすりと笑った。
 彼が赤音との対局に割く貴重な時間の前に、どんな瑣事が意味を持つだろう。
「あるわけないじゃないですか。なんなら夜通し打ったって平気です」
 心の手帳に記された予定表を赤音はまっさらの白紙に戻し、黒々とした文字で
“伊烏 義阿”と大書した。

<> ハナチラ 赤音→伊烏 2/7<>sage<>2009/05/30(土) 01:21:06 ID:oHrdn0A/0<>  夕食後に師範代の部屋を訪ねると、縁側に面した座敷には既に灯りと古びた
将棋盤が置かれていた。
 少し待て、と言い置いて何やらごそごそやっている彼の言葉に従い、一足先に
盤の片側、赤音の定位置に膝を揃えておとなしく待つ。
 根太が腐りかけているらしく、ぎしり、と足元が不穏に軋んだが意に介さず、
いつものように赤音は二人分の駒を並べ始めた。
 この老朽化した建物で行う対局も、そう長いことではあるまい。
 国内の治安悪化に伴い、かつてのような文化的流行からだけでなく、護身術と
して武道を嗜む者は増加の一途を辿る。古流兵法である綾瀬刈流を教えるこの
鹿野道場も、一時の没落が嘘のような活況だ。
 加えて、ここ数年で他流派も刮目するほどの頭角を現した若き俊才が師範代を
務めるとなれば、復興した刈流鹿野道場の前途は安泰。いまや赤音のみならず
門弟衆全員の共通認識である。
 新しい檜香る道場で彼と木刀を打ち合わせる自分を夢想する赤音の耳に、
りん、と涼やかな音色が届いた。見上げれば、露草の絵をあしらった気の早い
ガラス風鈴が月の光に照らされ、軒先にゆらゆらと揺れている。
(朴念仁の野郎揃いの道場に、こんな風流な小道具を吊る人といえば――) <> ハナチラ 赤音→伊烏 3/7<>sage<>2009/05/30(土) 01:23:01 ID:oHrdn0A/0<> 「今朝、三十鈴殿がわざわざ足を運ばれてな」
「ああ、やっぱり――って、茶ならおれが用意したのに、すみません」
 茶器一式と果物の載った盆を携えて現れた彼に、赤音は慌てて弁解しながら
立ち上がった。普段はどうせ対戦に没頭して二人とも茶など飲まぬため、一勝負
ついた後に赤音が淹れるのが習慣である。要は彼の気まぐれだが、言われるまま
ぼんやり座っていたのはいかにも失態だった。
 盆を受け持とうとした赤音を、いい、と制して彼は対面に座った。
「たまには水菓子でも摘みながら気軽に打つのも一興だ。――食べるだろう?」
「あ、はい。頂きます。わあ、どうしたんですかこれ」
 半分に割られ、差し出された夏橙をありがたく受け取る。
 瑞々しい初夏の芳香がふわりと漂った。
「初物ですね。っていうか、ずいぶん食べてないなあ」
 聞けば新参の門下生の実家から送られてきたものだという。
「ああ、俺も久方ぶりだ。食べきれないからといってな、三十鈴殿がお裾分けに
置いてゆかれた。俺とお前で仲良く分けろ、と」
「三十鈴様らしいですね」
 物資の搬送ひとつにもテロの危険を伴う時世、遠方からの青果は稀少で貴重だ。
心身を鍛えるべく子息を託された名門道場主に送られるような高級品は、本来
気前良く門人に分け与える類のものではない。
 彼女は嘘が下手だ。だがその嘘は限りなく優しい。
 鹿野家の愛娘の名を口にするとき、峻厳さを湛えた彼の目元は穏やかに緩み、
赤音の声には淡い憧憬が滲む。清楚にして可憐。彼女はまさしく花であり、
赤音の見るそれは遥かな高嶺に咲いていた。
<> ハナチラ 赤音→伊烏 4/7<>sage<>2009/05/30(土) 01:25:25 ID:oHrdn0A/0<>  いいから師範代は座っててください、と有無を言わさぬ口調で言い残し、彼の
持ってきた電気保温ポットには目もくれず赤音は流し台へと立った。
 赤音が茶の給仕を担当するのは、単に弟弟子の務めという理由だけではない。
 彼がぬるめに設定したポットの湯で淹れる茶はすこぶる不味いのだ。
 道場御用達の安い番茶はぐらぐらの熱湯で出すのが基本である。
 本人も自分の淹れ方に問題があるのは重々承知だがどうにもならぬらしく、
ちょっと赤音が目を離すと、ぬるくて薄い茶を実に侘しそうに飲んでいる。
 一言命じてくれればいいものを、そういう先輩風を吹かすのは嫌いな性分らしい。
どうかすると赤音にまで気を利かせて番茶風味の白湯を振舞ってくれたりする。
 皮肉や嫌がらせならまだしも素の親切心だから悪質である。彼なりに努力して
淹れてくれたのだろう一杯を無碍にするわけにもいかない。
 そんなわけで赤音は、彼が茶を欲する気配には自ずと敏感になった。
 最近ではおおよそのパターンや嗜好も掴めているが、先刻のように後れを取る
こともあるから油断できない。ほとんど先読み合戦の相を呈している。
(大体、夏橙に番茶って取り合わせはないよな)
 赤音は明日から煮出した釜炒り麦茶を冷蔵庫に常備しておくことに決めた。
約束がなかろうが押し掛けてでも準備するとしよう。
 間違っても彼に委ねる気はない。水出しパックなど邪道である。
 自分のいない間にも、憧れの兄弟子に不味い茶など飲ませてはならないのだ。
 まあ、あわよくばついでに一局ぐらい指せたらな、という下心もないではないが。 <> ハナチラ 赤音→伊烏 5/7<>sage<>2009/05/30(土) 01:27:24 ID:oHrdn0A/0<> 「どうぞ」
「ああ、いつもすまんな」
 一口啜って旨そうに息をつく彼を見届けて、赤音も腰を下ろした。
 なし崩しにお茶の時間に突入しそうな雰囲気だが、こんなのんびりした夜も
たまにはあっていいだろう。飲食と勝負を同時に行うのは難しい。
 夏橙の爽やかな酸味と温かい番茶のミスマッチを堪能する。平和だ。
「良かったですね、うちが茶の湯重視の流派でなくて」
「そうだな」
 つと縁側のほうに目を逸らした彼を見た赤音の脳裏に、ふと閃いたひとつの
仮説があった。――まさか、とは思うのだが。
「師範代」
「なんだ」
「……なんでもありません」
「そうか」
 月光降り注ぐ夜の庭に目をやったままそれだけ言うと、ずずと番茶を啜る。
 やたらに年寄り臭いその様を見ながら、じわじわと赤音の疑念は募る。
 まさか。
(まさかこの人、それが理由で刈流を選んだんじゃないだろうな)

 ――今度は熱いお茶(の釜)が一杯怖い。
 何やら落語的一節まで浮かんできて、赤音は思わずこめかみを押さえた。

(いや、落ち着けおれ。この人の剣は凄いんだ。入門経緯は関係ない。うん)
 聞いてしまったが最後、自分の修練の動機までもが腰砕けになる予感がして、
赤音はこの件についてそれ以上深く追究するのをやめた。
<> ハナチラ 赤音→伊烏 6/7<>sage<>2009/05/30(土) 01:29:06 ID:oHrdn0A/0<> 「あっと、大事なことを忘れてた。師範代」
「どうした、赤音」
「笑ってください」
 ――先の先。
「…………何?」
「初物ですよ、初物」
 フリーズから立ち直った彼に夏橙の皮をひらひらと振ってみせる。
 刀礼など剣に関する作法を除けば、赤音は元来あまり縁起を担ぐ性質ではない。
ちょっとした思いつきからなる悪戯である。
 南向きの縁側沿いに将棋盤を挟み、東に赤音、西に彼が座していた。
「朝日の昇る方角を向いて、ほら、にっこり」
 真後ろを振り返って赤音はぺろりと舌を出し、ことさら無邪気な笑顔で向き直る。
相手が婦人ならずとも保護欲をくすぐらずにおかぬ必殺の笑みだ。
「はい、どうぞ。師範代も」
「……」
 今度の彼は明らかに困っていた。
 いつぞや赤音が彼の前でうっかりやかんの湯を零したときの狼狽ぶりには遠いが、
手中の駒を落ち着きなく裏返しては弄ぶ様に当惑が見て取れる。「と金」さながらの
画期的な逆転手段はないものかと必死に模索しているのかもしれない。
 あいにくと剣技や将棋とは逆に、対人能力にかけては赤音が数段上手である――
彼相手では自慢にもならないが。
「……俺はいい」
「駄目ですよ、剣とか駒とかルービックキューブなんかとばかり会話してたら
すぐに表情筋が退化します。万年仏頂面じゃ三十鈴様も愛想尽かしちゃいますよ」
「話し相手なら先生や、お前や道場の皆がいるだろう」
 これだもんな、と赤音は思わず天を仰ぐ。根暗の自覚ゼロだ。
 赤音の入門時の齢よりずっと幼少の頃から住込みの門下生であった彼は、
いささか人心の機微に疎いきらいがあった。いわば朴念仁の中の朴念仁である。
 師や同門の徒と剣ばかり語っていればいいというものではない。 <> ハナチラ 赤音→伊烏 7/7<>sage<>2009/05/30(土) 01:30:23 ID:oHrdn0A/0<> 「だから、おれで練習しとけば後々困らないじゃないですか。ね?」
「しかし」
「……そう、ですよね」すかさず赤音は泣きに転じる。「おれなんかじゃ、
師範代の話相手には不足だって、本当はわかってます」
 ここで肯定されたら実際かなり本気で傷付くのだが、彼は絶対にそうした
反撃をしてこないという確信がある。冷淡そうな外見とその内面は逆だ。
 しょんぼりと消沈してみせる赤音に、彼は深く静かに動揺した。
「あ、いや……そうだな。季節の恵みに感謝する、という姿勢は確かに大事だ」
 ――勝負あり。
 防戦一方だった彼は、絆される形でとうとう陥落した。
 常に厳しく引き結んだ彼の端整な顔が、翌朝には顔面筋肉痛を発するだろう
恐るべき不器用さで、ぎぎ、と引きつった。よく観察すれば笑顔らしきものに
見えないこともない。下手糞すぎてどこか福笑いに似ている。
 たまらず赤音は吹き出した。
(ああもう、真面目なんだからこの人は)
 そこが彼の彼たる所以なのだが。
 込み上げる可笑しさに腹を抱えて笑う。いつかこの人を爆笑させてやろう、と
心に決めつつ。
 まんまと乗せられたことに気付いた彼は普段にも増して渋面になった。
 心なしか頬に朱が上っているようにも見える。
「あまりひとをからかうな」
 目上を、とも、兄弟子を、とも言わない。
 対等に扱って貰えていることが嬉しくて、すみません、と謝りながらも赤音は
ますます笑いの発作が止められない。
 憮然とした表情の彼は、やがて自分でも可笑しくなったのか、
「仕方のない奴だな、お前は」
作り物ではない本物の微笑をこちらに向け、赤音は内心で快哉を叫んだ。

<> ハナチラ 赤音→伊烏<>sage<>2009/05/30(土) 01:32:18 ID:oHrdn0A/0<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イガラスはいじり甲斐があり過ぎるね

茶菓子の組み合わせ云々は個人的な趣味です。
一般的には別にNGでもない……と思う。
次で終わります。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/30(土) 18:04:28 ID:/kWMcVgMO<> 携帯から失礼します。
生で大鳥の二人。

突っ込みがブログを非公開にするときの話です。

START <> 大鳥その一<>sage<>2009/05/30(土) 18:08:52 ID:/kWMcVgMO<> 「俺、ブログ非公開にしようと思って」

深夜の楽屋。やっと今日二本目の番組の収録が終わり、連日のハードスケジュールにさすがにぐったりしながら呟いた。

俺より一足先に着替えおわった相方は興味なさそうに「ふぅん」と言いながら荷物を詰める。

「ずっと迷ってて…砂糖くんにも相談したんだけど、もう俺とコアなファンだけのものじゃなくなってしまったし…」
好き勝手に書いてきた文章。
売れない悔しさや、迷いや、世間と自分への憤り。
もともとつらつら書くのが好きなのと、そのときの気持ちを残しておきたいのもあって、ほぼ毎日更新してきた。
こっぱずかしいけど、大切な記憶だった。けど…

「もう、状況が違いすぎる。何を書いていいかわからないし、前みたいな文章は書けない」
これは芸人失格なんだろうか。ファンを悲しませることになるんだろうか。
ふと、楽屋のテレビに俺たちの出ているCMが映し出される。
大きすぎる反応は、もう俺の手に負えるものじゃなくて。

…もしかして俺は昔に戻りたいと思っているのか。
仕事がなくて、毎日区民プールで泳いで、真夜中にサッカーをして、ふざけながらネタ合わせして、喧嘩して。

二人でテレビに出たかった。
スポットライトを浴びて、天然で不器用なコイツの面白さを世間に知らしめてやりたいと。
けど、この胸のもやもやはなんだ。

「お前聞いてないだろ」
さっきから一言も言葉を発しない相方にため息をつく。
まあ独り言みたいなものだからいいけど。

<> 大鳥その二<>sage<>2009/05/30(土) 18:11:41 ID:/kWMcVgMO<>
「K-1の記事が観れなくなるのはちょっと残念だなあ…」

…え。

「お前読んだの」
読みましたよそりゃあ、と相方は笑った。そのまま暗唱しようとするのを慌てて止める。
「何で覚えてんだよ!」
「嬉しかったから。熱いよね、和歌林は」
だけど考えすぎだ、と微笑んだ。
「もともと日記なんて個人のものでしょうよ。一番に自分のことを考えていいんじゃないの。ファンも大事だけどさ」
「お前はいつも自分のことしか考えてないだろ」
「そ、たまには粕画を見習いなさい」
何でそんな上からなんだよ!とぶつぶつ文句を言いながらも、このところ胸を選挙していた異物が徐々に溶かされていくのを感じた。
「和歌林が考えて決めたことなら、きっと間違ってない」

その言葉に思いがけずどきっとしていると、もしかしてこの所悩んでる様子だったのは、このこと考えてたから!?真面目すぎだろー!とけらけら笑われる。


こいつだけは変わらないなぁ。
世間も、事務所も、友達の接し方さえ変わったのに。
この男だけは、変わらない。
これから先も、ずっと。


「お前と話してると、何かめちゃくちゃしょうもないことで悩んでるように思えてきたよ」
「そうだろうそうだろう」と満足気に頷くポンコツの相方。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/30(土) 18:11:53 ID:WZHyCynCO<> >>482
>>1-9 <> 大鳥その三<>sage<>2009/05/30(土) 18:13:15 ID:/kWMcVgMO<>
そして、良いことを思いついた、というような顔で鞄を漁りだした。
取り出したのは、一冊の汚い大学ノート。
「捨ててあったんだよ。ネタ帳にしようと思って拾ったの」
「相変わらずセコイな!」
突っ込みもかいさず、何かをそのノートに書き綴る相方。
数分後、書き終わったようで、ふーっと息を吐き、はい!と俺に渡す。
「次は和歌林の番だ!期限は三日ね」
「何これ」
「交換日記。」
「交換日記ぃ!?」
「何でも好きなこと書いていいぞ。俺しか読まないからね!もしかしたらものによっちゃあ俺も読まないかもしらん」

はぁ、と言いながらノートを開くと、
「○月○日。今日のロケで食べたラーメンはうまかった!」とでかでかと書いてある。
思わず吹き出してノートを汚した。
「こらこらこら!」
「わりぃわりぃ」

そして、数行空いて小さな文字で

「いつもありがとう。これからも宜しく!今年こそ優勝だ!」


見上げると、「怒った?怒った?」と心配気にちらちら見るポンコツ野郎。
「しょうがねぇなあ」と言うと、ネタ中のアドリブが認められたときのように、へらっと顔を崩す。

…かなわないのは俺の方かもしれない。

とりあえず今日帰ったら、次のページに、延々と今日の収録の反省と、相方へのダメ出しを書いてやろうと思う。

うす茶色のノートの表紙に「どろ/だんご日記2」と書いた相方を、「ひねりねぇな!」と思いっきりどついた。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/30(土) 18:15:05 ID:/kWMcVgMO<> STOP□


お目汚し失礼しました… <> 風と木の名無しさん<><>2009/05/30(土) 19:12:42 ID:PiOay88CO<> >>487
氏ね <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/30(土) 19:32:09 ID:cDmbzBDHO<> 最近なんだかマナーがないな…
読めばわかるのに <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/30(土) 21:41:53 ID:zCTn9B9M0<> なんで最低限のテンプレくらい読まないんだ。
>>1読めば、どこを読んでなにをしなきゃ
ならないかくらいわかるだろう。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/31(日) 01:08:21 ID:NwAreFKa0<> テンプレ使うのがマナーだ、AA必ず使えと言う人は>>4を見直したほうがいいと思う。
そこまでごちゃごちゃ言う事ないだろーに。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/31(日) 01:08:35 ID:gqWtZ5ImO<> そこまで叩くようなミスしてるか?
お前ら気持ち悪いぞ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/31(日) 01:36:21 ID:17rTfnRuO<> 携帯・PC使い分けて自分を援護ですか
鳳厨さん、流石です <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/31(日) 01:40:39 ID:6dwdnXX60<> 開始時と終了時のテンプレは必ずしも使わないといけないものではない。
ナンバリングもあった方がいいが、それだって「推奨」であり強制ではない。

それより、長時間占拠しているわけでもないのに、投下真っ最中に割り込んだり
罵詈雑言をする方がマナーとしてはいかがなものかと思う。
私情や私怨を挟んでマナーを振りかざし、あまつさえ反対意見は全て自分が
叩きたい対象の自作自演と見なす行為を行う方が明らかに厨行為かと。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/31(日) 01:53:22 ID:h7p0CMh40<> ていうか>493のような変な粘着の方がキモイよー
はたから見てて
絡みでも言われてるけど粘着アンチ?
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/31(日) 01:55:46 ID:f9+jRjpP0<> >>494
同意。テンプレくらい読めばわかるのにと言ってる人が読んでいない件。

↓次の投下ドゾー <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/31(日) 01:58:19 ID:c7je2fY/0<> 何をそんなに怒られてるのかわからんくて
ジャンル特有のルール違反でもしたのかと思ったが、そうじゃないのか
投稿形式がきっちりしてなくてイラっとしただけなら落ち着け <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/31(日) 01:59:04 ID:c7je2fY/0<> リロ忘れですまん <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/31(日) 02:01:31 ID:u7xeKFNpP<> ココ過疎らせたいアンチがいついちゃったのかね?最近ヒドすぎる
作品は普通にいい話だったと思うし、ありがたいです
作者様が減りませんように! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/31(日) 02:02:20 ID:6dwdnXX60<> >>473
まさかここでハナチラが見られるとは。
過去の赤音と伊烏らしくて非常にいい! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/31(日) 02:16:11 ID:17rTfnRuO<> 見事一斉に沸くもんなんだね、援護派 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/31(日) 02:31:18 ID:IauuCG2U0<> 作品投下・感想以外はぜひ絡みスレへ


↓何事もなかったかのようにドゾー <> 風と木の名無しさん<><>2009/05/31(日) 09:29:30 ID:RsXWtc3vO<> 和歌「お前の飼い主は俺だろ?」粕「う、うぃ・・・」
http://avg-maker.com/view.php?id=543294 <> 風と木の名無しさん<><>2009/05/31(日) 09:39:28 ID:RsXWtc3vO<> よし、ここokと
他行こう <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/31(日) 09:40:37 ID:1jf6zR0vO<> 昨日考え無しに投下したものです。
本当にすみませんでした… <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/31(日) 09:50:54 ID:P82Y0BbAO<> >>505
定期的に文句言う人いるから悪意のある感想は気にしないようにね

投下乙です <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/31(日) 11:54:07 ID:17rTfnRuO<> >>505
昨晩からこのスレに張り付いてたじゃんw
今さら何だよお前 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/31(日) 11:58:18 ID:CcC5mcFq0<> 病気の人が一人居座っちゃうと、他の住人は大変だなあ… <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/31(日) 12:53:00 ID:aCScwNi/O<> 17rTfnRuO
帰れ。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/31(日) 12:59:04 ID:vvDThr+BO<> 前置きとちゃんとスタート・ストップがあるだけまし
叩く理由が分からない <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/31(日) 13:37:04 ID:1QHS3TNrO<> >>510
ジャンルが鳳だからだと思われ。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/31(日) 15:16:25 ID:EQK4gWqf0<> オリ・ヤンデレ系です。※少々グロ描写注意
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> ヤンデレ・ボーイ 〜天使と悪魔は紙一重〜 1/2<>sage<>2009/05/31(日) 15:17:24 ID:EQK4gWqf0<> 俺は誠司。やっとバイトが終わり、彼氏である拓郎に会いに行くところ。しばらく会っていなかったから、顔を見るのが楽しみだ。

交差点を曲がって少し行くと、彼の稽古場が見えてくる。
拓郎は街の打楽器サークルのメンバーで、今日は次のコンサートに向けての稽古だと言っていた。

駐車場に近付いた瞬間、俺の目に凄惨な光景が飛び込んできた。

稽古場に上がる階段の前に、女の子が倒れている。衣服は黒いワンピース1枚。肌から髪から服にまで、白い染みがびっしりとついている。
そして・・・死んでいる。目を見開いたまま。

「早苗!?」妹の早苗だった。俺はとっさに駆け寄って、必死に呼ぶ。
「早苗!!嘘だろ!?早苗!早苗!」

「手遅れだよ、誠ちゃん」「・・・拓郎?」
柵に頬杖をついて、拓郎が笑っていた。いつも「天使のように美しい」と思っているはずの笑顔が、不気味さを帯びて恐ろしく見える。
「誠ちゃんがいけないんだぜ。血のつながったさっちゃんと、あんなことするからだ」
「あんな、こと・・・。・・・!拓!お前、何でそのことを!」

確かに、俺と早苗は、少し前から親近相姦の関係にあった。正直、そんなつもりじゃなかった。早苗の彼氏のことで、相談にのっているうちに、そうなってしまっていただけだった。

「最近、俺に会うのが少なくなったと思ってさ、ちょいと調べさせてもらったよ。・・・気付かなかった?買ってない物が増えてるってこと」

俺はハッとした。どうりで最近、電卓やらペンやらが時々置いてあったわけだ。

「盗聴器・・・?」「そうさ。・・・どうだ、誠ちゃん。安らかな顔じゃないか」 <> ヤンデレ・ボーイ 〜天使と悪魔は紙一重〜 2/2<>sage<>2009/05/31(日) 15:19:27 ID:EQK4gWqf0<> 「ふざけんな!!何処が安らかだ!俺の妹をこんなにボロボロにしといて、言えんのはそれだけか!」
俺の金切り声を聞いても、拓郎は涼しい顔で続ける。
「何言ってんだよ、安らかだろ。・・・悦びの顔でな」「悦びって・・・まさか!?」

「サークルの仲間に、ちょいと参加してもらったよ。あいつら、最近溜まってたっぽかったぜ・・・何度さっちゃんをイかせても、止まりやしねぇ。・・・まあ、俺も溜まってたけどな」

「最後にイきそうになったところを、こいつでひと突きだ。・・・あれだけ、他人の血が綺麗に見えたのは初めてだったぜ」
そう言って掲げた拓郎の手には、血みどろのスティックが握られていた。


「俺は誠ちゃんの恋人だ。誠ちゃんに擦り寄る奴は、誰だろうと容赦しねぇ。・・・身内でもだ」


拓郎の高笑いが、夜の闇に吸い込まれるように、何処までも響いていた。





□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
お粗末さまです。ありがとうございました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/31(日) 16:56:50 ID:NT8Y6vywO<> >>512
拓郎テメェなんて事をー!!!
あ、GJでした <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/31(日) 17:09:11 ID:/7Aq98QB0<> >>512
グロというかヤンデレというか、以前にこれは801なのか…?
違う注意書き(扶助暴行)が必要な気が。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/31(日) 17:37:49 ID:8i0UrQcSP<> >>513

GJ!
この手の話が大好きだ。
愛ゆえのヤンデレマンせー <> R.u.i.n.a 廃.都.の.物.語 ア.ベ.リ.オ.ン×シ.ー.フ.ォ.ン 0/10<>sage<>2009/05/31(日) 21:08:05 ID:/14Ru9cc0<> 何だか呼ばれたような気がしたので投下
R.u.i.n.a賢者編でしーぽんエンド後、ネタバレ満載
あと中盤の固有イベントを見てないと多分わけわかめです、よろしく

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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> R.u.i.n.a 廃.都.の.物.語 ア.ベ.リ.オ.ン×シ.ー.フ.ォ.ン 1/10<>sage<>2009/05/31(日) 21:08:36 ID:/14Ru9cc0<> あれから二ヵ月後。
古代の帝王は倒れ、町には徐々に平穏が戻りつつあった。
チュナをはじめ石化の病にかかっていた子供たちも各地で続々と蘇生したと聞くし、
中空の都に魅せられていた人々もまるで夢から覚めたように各々の生活へと戻っていった。
周辺の畑では冬小麦の種まきも終わった。
来年はきっとイナゴにも荒らされずにきちんとした収穫が望めるだろう。

とはいえ、町への来訪者はまだまだ後を絶たなかった。
テレージャとヘデロン教授率いる調査隊の人足たち、
いまだ一攫千金を夢見る冒険者に商人、好奇心旺盛な観光客。
この半年間、多くの災厄に見舞われたこの町において
彼らがもたらす経済効果に期待する者は数多かった。
実際パリスなどは妹と共に小さな店を開いて
土産物を売ったり遺跡内のガイドをして稼いでいるようである。
遺跡の中ではまだ夜.種たちがうごめいてはいるが、
以前のように倒しても倒しても沸いて出てくるようなことはなくなった。
夜の闇に乗じて町を襲うこともない。丸腰で遺跡の奥深くまで潜るような無謀をしない限り、
彼らはもう危険な存在ではないのである。

アベリオンは今、焼け跡に以前とさほど変わらないささやかな小屋を建て直して住んでいた。
小さな畑も作ったし、遺跡内で採取できるコケや薬草を調合して
薬品として販売することで十分に暮らしていける。
最近では彼を医師として頼ってくる者もおり、
以前師匠と共にしていた事と何も変わらない穏やかな暮らしだった。 <> R.u.i.n.a 廃.都.の.物.語 ア.ベ.リ.オ.ン×シ.ー.フ.ォ.ン 2/10<>sage<>2009/05/31(日) 21:09:06 ID:/14Ru9cc0<> シーフォンは――アベリオンの引止めに応じて、まだこの町にいる。
「お前とは関係ねーけど」、もう少し遺跡を調べてみるそうだ。
そして同時にパリスの主催する観光客向けの冒険ツアーにて「ラスボス役」を請け負っている。
大廃墟の中心近く、様々なコケやキノコが薄い光を放つ小さなドーム状の場所に
古代遺跡の秘術を狙う「邪悪な魔術師」が研究のための「事務所」を営んでおり
ツアーに参加した客たちは「偶然」彼の怒りに触れて襲われてしまう。
パリスが考えた陳腐な筋書きだったが
元より魔王になりたがり(そして実際になりかけた)シーフォンのこと、
嬉々としてその役を演じているようだった。

客が来ない時間帯には、遺跡内の大図書館に収められていた文書を
片っ端から解読して読み漁っている。それは構わない。
構わないのだが、熱中するあまり何日も遺跡から上がってこない事が度々あった。
そもそも、シーフォンにこの町に残るように引き止めたのが自分だった手前
なんとなく彼に対して責任を感じてしまっているアベリオンは、
結局、3日に一度ほどオルハに詰めてもらったバスケットを持って大廃墟へ潜り
食事を摂らせた上で彼を地上に引きずり出してくるという役を担っていた。

今日も今日とて、バスケットを片手に遺跡へ潜る。
守護者や亡霊たちが暗闇をうろついているのが目の端に止まるが、
向こうから襲ってこない限りはこちらも手出しをしない事にしていた。

事務所の入り口にかかっているプレートが「在室中」となっていることを確認すると
アベリオンは軽くドアをノックする。
返事がないのは分かりきっているので、そのままドアノブへ手をかけた。
部屋の隅の石柱にもたれかかって読書にふけっていた赤毛の「邪悪な魔術師」は、
不機嫌そうな視線だけをアベリオンに投げてよこした。

ちなみに、この事務所には粗末ながらテーブルと椅子も運び込まれている。
しかしシーフォンはあまりそれらを使おうとはせず、
もっぱら床の上にだらしない格好で座ったり寝転んだりして本を読んでいるのだった。 <> R.u.i.n.a 廃.都.の.物.語 ア.ベ.リ.オ.ン×シ.ー.フ.ォ.ン 3/10<>sage<>2009/05/31(日) 21:09:37 ID:/14Ru9cc0<> キノコの燐光と、かつては夜空の星だった玻.璃.瓶の光が辺りを青白く照らしている。
この玻.璃.瓶は「事務所」の開設祝いがてらアベリオンが彼に贈ったのだ。
自分にはもう必要のない物だし、油も魔力も消費しないから便利だろうと。
贈られた方は「まぁお前がどうしてもって言うんだったら僕様が貰ってやるよ」などと
いつも通り可愛げの欠片もない態度で受け取ったが、それでも確かに重宝している様子である。

「大分進んだね」
「そりゃ、僕様って天才ですから」

床の上に積まれている未読の本の山と、既読の本の山の大きさが
数日前にアベリオンが来た時と比べて大きく入れ替わっていた。
それを横目に見ながら彼がテーブルの上にバスケットを置き、
同じく携えてきた瓶から飲み物の準備をしているうちに
シーフォンは本を閉じて大人しくテーブルに着いた。
初めて彼が差し入れを持ってここにやって来たとき、シーフォンは「余計なことをするな」などと
相当鬱陶しがっていた様子だったのだが、
自分がいくら口撃してもアベリオンはめげずに何度も通って来たために
そのうち考え方を変えたのか、単純に食事の手段として受け入れている節がある。
そのアベリオンの方は、実はシーフォンの毒舌など今更屁とも思っていない。
最初こそ面食らったものの、数ヶ月間共に探索をするうちにすっかり慣れてしまっていたのだ。

席に着くや否やバスケットに手を伸ばそうとした彼の眼前に、
アベリオンはずいと手拭いを突きつけた。

「先に手を拭いてから」

遺跡に埋もれていた古書や粘土板をいじくり回していたシーフォンの手は埃まみれだった。

「いちいちうるせぇな。オカンかよお前は」
「アルソンには負けるけど」
「…………」 <> R.u.i.n.a 廃.都.の.物.語 ア.ベ.リ.オ.ン×シ.ー.フ.ォ.ン 4/10<>sage<>2009/05/31(日) 21:10:08 ID:/14Ru9cc0<> 返す言葉が見つからなかったらしいシーフォンは、渋々といった態度で手を拭うと
今度こそバスケットの中身に手を伸ばした。
真っ先に掴んだのは、この時期に採れる少し酸味と苦味のある柑橘を使ったフルーツサンドである。
しかし生クリームもたっぷり使われているので十分に甘い。
シーフォンはこういったフルーツサンドやパイの類は好んで食べたが、
逆に刺激の強い香辛料を多く使った料理は
たとえどれだけ貴重で美味しい素材を使っていようとも決して食べようとはしなかった。
態度は大人よりも大きいのに、こうした味覚などの細かい部分は年相応なままなのが少し微笑ましい。

食べている間は雑談を交わした。
やっぱり遺跡の中にはもうロクな物が残ってないとか、
昨日来た客が人工精霊を見るなり腰を抜かして滑稽だったとか――ちなみに人工精霊は
外見があのままでは格好が付かないので少しいじってある――
柵の修繕をしている間に山羊が逃げ出して大変だったとか、そんな他愛もない話だ。

しばらくそうしてバスケットの中身も空に近くなった頃、腹がくちくなったのか
シーフォンはテーブルを離れて、横倒しになった石柱の上へ気だるげに寝転がった。
まくれたローブの裾から覗く薄い腹には、
生涯消えないだろうと思われる巨大な傷跡が残されていた。
彼が必死で力を得ようとし、そして結局その力に呑まれてしまった証である。
その傷跡を残したのは今まで向かい合ってサンドイッチを食べていた相手だった。
アベリオンが、その手で練った魔力の氷槍で彼の脇腹を貫いた。

あの時どうすれば良かったのか、アベリオンにはいまだ分からないままでいる。
一歩間違えば彼を殺していたかもしれないし、逆に自分達が死んでいたかもしれなかった。
しかしそれを言い訳にはしたくない。
ああなるまでに彼を止められなかったのは
自分のせいでもあるとアベリオンは思っていた。 <> R.u.i.n.a 廃.都.の.物.語 ア.ベ.リ.オ.ン×シ.ー.フ.ォ.ン 5/10<>sage<>2009/05/31(日) 21:13:19 ID:/14Ru9cc0<> 「……お前、鍵.の.書をどこに隠した?」

ふいにそう問われて、彼はどきりとした。
この二ヶ月というもの、二人の間で鍵.の.書の話題が挙がることはついぞなかったのである。
驚きつつもアベリオンがシーフォンに視線を向けると、
彼は寝転がって天井を見つめたままこちらを向いてもいなかった。
表情も口調も淡々としていて、何を考えているのかアベリオンにはまるで分からない。
重苦しい沈黙が事務所を満たした。

鍵.の.書は、再び上下巻を別々にしてこれまでとは違う場所に封印してあった。

アベリオンは、シーフォンにあの本を読む力量がないとは思わない。
また、あの本から得た力で彼が実際に世界征服なり何なりに乗り出すとも思えなかった。

ただひとつ思うのは、シーフォンがあの本の内包する「音楽」に触れたとき
果たして彼はこの世に戻って来るのだろうかということだった。
「より強く、より高度に、より自由に!」――ただそれだけを今も求めている彼が、
あの輪の一員に加わるという誘惑を断ち切って現世に戻って来てくれる保障はどこにもない。

もし戻って来なかったら……それは、シーフォンにとっては最上の幸福かもしれないが
残された者にとっては彼の死と同じことである。
アベリオンは、そうなって欲しくはないと願っていた。 <> R.u.i.n.a 廃.都.の.物.語 ア.ベ.リ.オ.ン×シ.ー.フ.ォ.ン 6/10<>sage<>2009/05/31(日) 21:13:50 ID:/14Ru9cc0<> 初めこそ、その憎らしい態度とあまりにも乱暴な魔力の使い方に反感を覚えていた。
事あるごとに勝負を挑んでくるわ魔術書も奪おうとするわ、
百歩譲っても好感を持てる相手ではなかったのである。
それを放っておけないと思うようになったのはいつからだろう、とアベリオンは自問する。
いつか星の明るかった晩に懺悔めいた決意を聞いたとき?
寒さと疲労にうなされてこぼれた涙を見たとき?
はっきりとはしない。
ただ、過去の亡霊に利用されたあげく血溜りに沈んだ彼を見て
絶対にこのまま死なせたくない、失いたくないと思ったのは確かである。
そしてシーフォンも、口でこそ死を望むような言葉を零してはいたが
どこかに生きたい気持ちは残っていたのではないかと思う。
実際あれは、命を落としていた方が不思議ではないくらいの傷で……

また思考がエーテルの海へ飛びそうになって、アベリオンは慌てて元の話題へ意識を戻した。
鍵.の.書だ。

デネロスは、アベリオンを一人の魔術師として認めた上であの書を託してくれたのだったが
つまりアベリオンは個人的かつ主観的な理由でシーフォンに鍵.の.書を読ませたくないと思っている。
いや、読ませていいかどうか分からないと言うべきか。
いくら絶大な力を持っているとはいえ彼もまた10代の少年なのである。
経験や分別といった点では、師匠に及ぶべくもない。

「……なに黙ってんだよ」

寝転がったままのシーフォンがアベリオンをじとりと睨みつける。
アベリオンは、彼に対し何か言ってあげたいとは思ったが、かといって何を言えばいいのかも分からず
結局困惑したような表情のまま黙りこくるだけになってしまった。

「まあいいさ。お前があれをどこかに隠したのは分かってんだ。
 そのうち必ずギタギタにのして場所を吐かせてやるからな」 <> R.u.i.n.a 廃.都.の.物.語 ア.ベ.リ.オ.ン×シ.ー.フ.ォ.ン 7/10<>sage<>2009/05/31(日) 21:14:21 ID:/14Ru9cc0<> 「よっ」と、勢いをつけて上体を起こした彼は言う。

「そのためにも、いつまでもここに居る訳にはいかねー。
 大体僕はこんなチンケな町におさまるような器じゃないんだ。
 大図書館の調査もあと少しで終わる……そしたらおさらばだな」

それを聞いて、アベリオンがはっと顔を上げた。
しかしその驚いたような表情は、数瞬のうちに何らかの決意に満ちた顔へと移り変わる。
赤い瞳は彼の意思をとても忠実に代弁するのだ。
その光にシーフォンの目が奪われた次の瞬間、彼の口から出たのがこの言葉だった。

「シーフォン。僕と一緒に暮らそう」

かつての勇者が使ったという、凍れる時間の秘法かとも思われるほどの静寂がこの場に落ちた。

「………………僕は前から思ってたんだ。
 お前、相 当 な ア ホ だろう」

長い長い沈黙のあと、やたらと「アホ」の部分を強調してシーフォンは言った。
思わずといった感じで眉間に当てた指もわなわなと震えているように見える。

そして、彼は勢い良く立ち上がった。

「何をどうしたらいきなりそんな話になるんだよ!?
 なんで僕様がお前と一緒に住まなくちゃならねーんだ!
 いいか、僕はお前をブッ倒して鍵の書を奪ってやるって言ったんだぞ!?
 お前の耳はあれか、パンの耳か!?それとも脳味噌がプリンなのか!?
 大体お前、そんな事して僕に寝首をかかれるとか思わねーのかよ!?」
「思わないよ」
「………!!」 <> R.u.i.n.a 廃.都.の.物.語 ア.ベ.リ.オ.ン×シ.ー.フ.ォ.ン 8/10<>sage<>2009/05/31(日) 21:14:52 ID:/14Ru9cc0<> 青筋を立てながらぎゃんぎゃんとまくし立てたシーフォンに対し、
アベリオンは表情すら変えずにしれっと言ってのけた。
その返答が余りにも予想から外れていたらしいシーフォンは絶句し、
鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしてしばらく口をぱくぱくさせていたが
やがて諦めたように額に掌を当てて天を仰いだ。

「ああ殺してぇ。今すぐコイツ殺してぇ」

アベリオンは一瞬「出来るんならどうぞ」と言ってしまいそうになったが
火に油を注ぐだけだと気づいて口には出さなかった。「賢き者」は常に賢明なのである。

「で、どう?一緒に住んでくれる?」
「んなわけねーだろバカ!僕様はこの町出て行くって言ってんの!!」
「でも、僕はシーフォンと一緒にいたい」
「っな………!」

一月前にも聞いた台詞をもう一度聞かされ、シーフォンは驚きに目を見開いた。
あの時は同じ台詞を聞いてただ呆然としていただけだったのが、
今は少し顔を赤くしているのが、進歩といえば進歩だろうか。
そして、二対の赤い瞳が互いにかち合う。

「僕なら大丈夫だよ。そう簡単に殺されたりしない」

――みなまで言わなかったが、その断片的な言葉だけで
シーフォンはアベリオンの言わんとする所を理解したようだった。そして激昂する。

「う、うるさいッ!お前に僕の何が分かるって言うんだ!!」
「分からないよ。ほんの少ししか分からない。でも、だからもっと知りたいと思ってる」 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/31(日) 21:26:53 ID:k0Skois6O<> すみません、規制に引っ掛かりました
一時中断させてもらいます
[][]PAUSE ピッ◇⊂(・∀・;) <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/31(日) 21:37:33 ID:jCr6qVs/O<> 投下支援 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/31(日) 22:00:55 ID:4mcY5LLHO<> 私怨 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/05/31(日) 22:03:47 ID:svOyweN40<> >>516
元ネタがあるのかは知らないがネタじゃね?
タイトルで糞ワロタ <> R.u.i.n.a 廃.都.の.物.語 ア.ベ.リ.オ.ン×シ.ー.フ.ォ.ン 9/10<>sage<>2009/05/31(日) 22:06:37 ID:/14Ru9cc0<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・;)サイカイ!

いつの間にかアベリオンも立ち上がっていた。

妙な気迫に圧されるようにしてシーフォンが半歩後じさる。
その間にアベリオンは一歩の距離を詰めた。

「一緒にいよう」

ここで、論理的かつ合理的な正論を用いての説得は逆効果である。
天邪鬼なシーフォンは、アベリオンの話が納得できるものであればあるほど
それに反発してしまうだろう。
しかしこの機を逃してはならない、とアベリオンは思った。

ぎゅっとシーフォンの手を握る。
彼は少しひるみはしたが、もうそれ以上後ずさろうとはしなかった。
アベリオンとそう大きさの変わらない手は、意外にも大人しく彼の手の中におさまっている。

「……お、お前が」

ほとんどか弱いとも言える声でつぶやいたその顔は、完全に横へと背けられていた。
視線を必死で外へとそらし、けしてアベリオンの顔を見ないようにと
シーフォンは努力しているらしい。
青白い玻.璃.瓶の光が彼の赤い顔を照らしていた。
鮮やかな赤毛にも青い色彩を持った光が当たり、
まるで古代の不思議な炎が燃えているようだとアベリオンは思う。

「お前が僕様の下僕になるっていうんなら、か、考えてやっても、いい!」 <> R.u.i.n.a 廃.都.の.物.語 ア.ベ.リ.オ.ン×シ.ー.フ.ォ.ン 10/10<>sage<>2009/05/31(日) 22:07:08 ID:/14Ru9cc0<> アベリオンは、口調ばかりは忌々しく吐き捨てるようにして言ったその言葉を耳にして
彼の手を握ったままにっこりと笑った。

「うん、わかった。じゃあ今日から僕はシーフォンの召使だ。
 その代わり一緒に住んでくれるね?」
「かっ、かかか、勘違いすんじゃねーぞ!
 お前の弱点をみ見破るために一緒に住むだけだからな!
 いつか絶対殺してやるからかかか覚悟しとけ!!」
「はいはい、ご主人様」
「あああムカつく!なんかムカつくー!!」

シーフォンは、もうこの状況に耐えられなくなったとでも言うように
アベリオンの手を勢いよく振りほどき、いつも携えている杖だけを手にして
事務所から飛び出していってしまった。
いくばくも経たないうちに爆音が聞こえてきたところを見ると、
哀れな遺跡の守護者たちが八つ当たりという名の雷の洗礼を受けているのかもしれなかった。

その音を聞きながら、アベリオンは苦笑してバスケットを片付ける。
そしてシーフォンが先ほど読んでいた数冊の本と、星のランプを手にして
彼もまた事務所のドアをくぐった。
ドアに取り付けてある簡素なプレートを「在室中」から「不在」へと裏返す。
期間限定と思われた邪悪な魔術師の事務所は、
この遺跡を訪れる物好きたちがいる限りはずっとこのまま営業していくことになるだろう。
カラン、と、木のプレートが小気味よい音を響かせた。 <> R.u.i.n.a 廃.都.の.物.語 ア.ベ.リ.オ.ン×シ.ー.フ.ォ.ン 終わり<>sage<>2009/05/31(日) 22:08:12 ID:/14Ru9cc0<> 支援ありがとうございました!
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ゲーム「4/2/8」のライター編、本編終了後の捏造話です
途中で出てくるTIPは素人のにわか知識ですので信用しないで下さい…

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ほんのちょっとだけ印刷屋→ライター風味だモナー
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  未プレイの人は本編ネタバレ注意だからな!
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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御i法i川は発売されたばかりの「噂iのi大i将」最新号のページを満足げに閉じた。
それをテーブルに置くと、応接ソファに体を沈めて静かに目を伏せる。

よし。
それなりにいい出来だ。
もっと時間があれば突き詰めていけたであろう箇所もちらほらと目に付き、
甘かったかと歯噛みしたが、それは今後の号で形にしていけばいい。
なにより、事件が発覚した直後に発行された雑誌で「噂iのi大i将」ほど
詳細に真実を記したものはない。文字通りのスクープ記事。
テレビと新聞にはスピードでは叶わなかったが内容で負けたとは思えなかった。
大手マスコミではこの記事を書けない。この俺の記事は他人には書けない。
さあ、ここからが勝負だ。
閉じていた瞳を開き、視線を手元のメモ帳に一直線に叩きつけた。
次号のための企画案を愛用の万年筆で書き込んでいく。

「精が出るな、御i法i川」

頭i山が御i法i川の手元を覗き込む。

「なんだ、いたのか。頭i山さん」

「なんだはないだろう。ここは俺の会社だ」

頭i山は御i法i川の前に置かれた「噂iのi大i将」を手に取り、パラパラとめくった。
<> 4/2/8本編終了後捏造(印刷屋→ライター) 2/9<>sage<>2009/06/01(月) 00:41:00 ID:ytFmKqPG0<> 「…いい出来だな」

「当然だ。俺が書いた」

自信満々の御i法i川に頭山が苦笑する。

「それに頭i山さん、あんたのも、流石だ。
昔取った杵柄って言うにはまだ早いんじゃないか?」

からかうような口調で褒めた。

「それに、千i晶の記事だっていいだろ?」

あたかもついでのように後輩の仕事を褒めてみた。
嘘じゃない。今までの千i晶には出来なかった仕事だ。あいつもこれからまた、成長していくだろう。
今も、最近はやりののコンセプトカフェとやらへ取材に行っているはずだ。頑張って欲しい。

頭i山も御i法i川の言葉に口元を綻ばせた。

「ああ、そうだな。他の内容が重い中、磯の記事のおかげでいいバランスがとれてる」

いい雑誌だ。

そう言って頭i山は向かいのソファに腰を下ろすと、もう一度誌面に目を通す。 <> 4/2/8本編終了後捏造(印刷屋→ライター) 3/9<>sage<>2009/06/01(月) 00:41:46 ID:ytFmKqPG0<> 「誤字脱字もまったく見当たらん。外に出しても恥ずかしくない雑誌だ」

「…それくらい、当たり前のことだろう」

記事の誤字脱字は無くて当然、あったら恥だ。ミスとはそういうものだ。
御i法i川はちょっと不機嫌になった。持論に水をかけられた気がしたからではない。
あの男の話題が出てくるであろう嫌な予感がしたからだ。

「まあ、そうだが。しかしあの短い時間でいきなり書き上げて発行したんだ、
出来て当たり前のことが出来ない可能性だってあった」

頭i山は閉じた雑誌の表紙を手の甲でパシッと叩く。その満足そうな表情に御i法i川は身構えた。

「これは、片i山くんのおかげだな」

きた!
俺の前でその名を出すな!
なんか苦手だ!

と御i法i川は思ったが、顔に出すだけにした。
言葉にしたら奴を呼び出してしまうような気がする。言霊の力というやつで。
それに御i法i川も、彼に恩を感じていた。だからむやみに突っぱねるのは気が引けた。

「この調子で、次の号もいいものを作ろう。いい雑誌ばんばん売って、借金なくして、また一からやり直しだ!」

頭i山は上機嫌で自分のデスクにつくと、自分の仕事に没頭し始めた。
花のために、生活のためにと妥協の連続で発行してきた雑誌で、やっと誇らしいと思える仕事ができた。
いや、これが第一歩なんだ。情熱を取り戻した頭i山の心の声が、御i法i川には聞こえてくるように感じた。
<> 4/2/8本編終了後捏造(印刷屋→ライター) 4/9<>sage<>2009/06/01(月) 00:42:43 ID:ytFmKqPG0<> あの日、日付が変わり輪転機を回すにも限界だという時刻まで、印刷屋はヘiブiンi出i版を待った。
それだけでなく、校正役を自ら買って出た。規定や常識に厳しそうな男が、あきらかに業務外の作業を、
それも本来他社の仕事である労働をわざわざ引き受けようとしたのは少々意外だった。

「待っていたってどうせ暇ですから。それに、赤だらけの原稿を手直しするのは結局こちらですからね」

キザったらしく眼鏡の位置を直しながらそう言う片山の姿は憎たらしかったが頼もしかった。
御i法i川、千i晶、頭i山が原稿を書き上げていくそばから、片i山は記事に目を通し訂正箇所をチェックしていく。
誤字脱字の指摘から、これでは段組がどうのとか、句読点の位置が美しくないとか、
基本的なことから神経質ともいえるレベルのことまで片i山は突っ込んできた。
その度に千i晶はテンパり、頭i山は台割り片手に共にああでもないこうでもないと話を進めた。
そんな様子の向かいで、御i法i川はひたすら記事を書き続けた。
書き続けながら、時折聞こえてくる片i山の言葉に、こいつもプロだ。そう思った。
苦手な相手を認めるのは悔しいが、嘘はつけない。

「そういえば片i山くんにも今度、お礼をしなくちゃあいけないな。」

頭i山がふと思い出したように顔を上げ、御i法i川に向かって呟いた。

御i法i川は聞いていないフリをした。

「近いうちに酒でも奢るか?なあ」

御i法i川は聞こえなかったフリをした。 <> 4/2/8本編終了後捏造(印刷屋→ライター) 5/9<>sage<>2009/06/01(月) 00:43:18 ID:ytFmKqPG0<>
[うそ臭いTIP]----------------------------------------------------------------------------

●赤

赤というのは、編集部が最終的に出す原稿の訂正部分のことを指す。(訂正することを「赤入れ」という)
原稿に誤りや変更がある場合、赤字で「ここをこういう風に直してくださいね!」と指示を入れ、
印刷する前に印刷所で直してもらう。赤だらけの原稿を納品すると印刷所のオペレーターが泣くらしい。

●台割り

出版する本・雑誌のページ内容の振り分けを決めたもの。
本は8の倍数のページでしか印刷できないため、1ページ余ったり足りなかったりすると大変なことになる。
なので、はじめに台割りを作って混乱のないようにする。

---------------------------------------------------------------------------------------- <> 4/2/8本編終了後捏造(印刷屋→ライター) 6/9 <>sage<>2009/06/01(月) 00:43:59 ID:ytFmKqPG0<> ふと時計を見ると、11時を回っていた。12時から取材の予定を入れてある。
少し長話をし過ぎたかもしれない。
御i法i川はメモ帳と万年筆を鞄にしまうと、コートを羽織った。

「じゃあ、俺はこれから取材に行ってくる」

頭i山に向かって声をかける。

「ああ、いい記事を頼むぞ!」

片手を挙げてこちらを向いた頭i山に、

「…その台詞、誰に言ってるんだ?俺を誰だと思ってる?」

「わかってるさ」

ビシッと突き出した御i法i川の人差し指と、頭i山の視線が交差する。共にニヤリと笑う。
御i法i川は颯爽と身を翻し、編集部のドアを開けて出て行った。
そしてビルを出て、




数歩めでずっこけた。


<> 4/2/8本編終了後捏造(印刷屋→ライター) 7/9 <>sage<>2009/06/01(月) 00:44:42 ID:ytFmKqPG0<>
「…何をしているんだ、君は」

「それはこっちの台詞だ!」

アスファルトの地面に尻餅をついた御i法i川を、呆れ顔の片i山が見下ろしている。

「何しにきた!」

「…仕事だ。補足しておくと、今日はへiブiンi出i版に用があってここを通ったわけではない。
今は取引先から弊社へ帰社する途中。以上」

はぁ、と溜息をつきながら説明する片i山は相変わらず感情の読み取りにくい無表情だったが、
すました顔に「やれやれ」と書いてあるのがはっきり見えるようだった。
御i法i川はコートの尻についた埃を払って立ち上がる。
意気揚々と飛び出した先に片i山がいて、びっくりしすぎてすっ転んだことが
今更ちょっとだけ恥ずかしくなってきた。

「そうか。…呼び止めてすまん」

いちおう謝っておくことにする。

「…別に、急ぎの用はないので。お得意様との雑談も仕事のうち。これ、社会の常識」

今のはもしかして片i山なりに気を遣ったのだろうか。
厳密には自分は「お得意様」の出版社の人間ではないのだが、
そこは突っ込むのをやめた。話題を発展させたくない。 <> 4/2/8本編終了後捏造(印刷屋→ライター) 8/9 <>sage<>2009/06/01(月) 00:45:16 ID:ytFmKqPG0<>
「……」

「……」

言葉が続かなかった。物書きともあろう者が、なんたることだ。
やはりこの男を相手にすると調子が狂う。

「…君は?」

声と共に、片i山が強い視線を投げかけてくる。

「ああ、……これから取材だ」

そうだった。急いでいるのだ、自分は。
腕時計を見ると、刻々と約束の時間が近づいてきていた。

「それじゃ、失礼する」

返事を聞くより先に、御i法i川は片i山に背を向けて走り出した。
スーパーカブはまだ修理中で、君i塚のタクシーも見当たらない今は走るしかなかった。
いや、歩いても取材には間に合うのだが、一秒でも早くここから立ち去りたかった。
背中に片i山の視線を感じる。じっと見られている気がする。
気になったが振り返れなかった。じわじわと額に汗が滲んだ。

なんだこの状況は!
ホラー映画か!

自分で自分にツッコミを入れながら、御i法i川は走った。 <> 4/2/8本編終了後捏造(印刷屋→ライター) 9/9(おわり)<>sage<>2009/06/01(月) 00:49:46 ID:ytFmKqPG0<>
逃げるように走り去る御i法i川の背中を、片i山は立ち止まったまま見つめていた。
曲がり角を曲がってその姿が見えなくなるまで見送った。
…見ていて飽きない人だ。
片i山は、御i法i川を見送る自分を楽しんでいることに気付いた。
もう少し話をしてみればよかったかもしれない。
追いかけるほどの必要性は見当たらないが、少しの好奇心は接触するのに充分すぎる理由だと思った。

「…それではまたいずれ、近いうちに」

誰に言うでもなく呟くと、自然と口元が微笑のかたちになる。
欲しいおもちゃを見つけた子どものような、そんな笑顔だった。
た。


========================================================================
                   ...to be continued...?
========================================================================

※これで終わりです

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) …鬼畜攻めフラグ?
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<> >534-543<>sage<>2009/06/01(月) 00:55:03 ID:EqqSDR2FO<> 規制されてしまったので携帯から失礼します
最後の最後でコピペミスしました、お目汚しすみませんorz

>543の最後の行、「た。」は不要です <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/01(月) 02:00:47 ID:w69hmij/O<> ナマモノ注意
今年パッとしないタテジマ戦士です

毒舌天然美人に尽くす涙目捕手で

|>PLAY ピッ ◇⊂ <> 9914<>sage<>2009/06/01(月) 02:09:27 ID:w69hmij/O<> 身体以上に心が疲れた

所謂「無援護」で好投するピッチャーを見殺しにしたのは何度目になるだろう
終盤に取り返しのつかない失点をさせてしまったのも何度目になるのか
キャビネットからミニチュアの洋酒ボトルを取り出し封をネジ切ると一気に煽った
次々に瓶を空けていく。
頭がクラクラしてきたが煽るのは止めない。粗方飲みきったところで携帯が鳴った
「寝られへんねん」
声を聞いた途端酔いが醒めていく
「わかりました」
宿舎のホテルに似つかわしくないジャージのまま部屋を出る。同じフロアだから誰に会う訳でもないが、そこまで考える余裕は無かった
ドアの前に立ち呼吸を整える。ノブに手を掛けて捻ると黙って部屋に滑り込み後ろ手で鍵をかけた
部屋の隅にはダブルサイズのベッドがあり、その上にはバスローブ姿の若旦那が転がっている
「何や、勝手に入ってきて」
「鍵かけてなかったですよ」
「忘れとったんや」
ふとベッドサイドに目をやると空のミニチュアボトルがズラリと並んでいる
この人は何も悪くないのに…
熱いものが込み上げてきて可能は若旦那の顔を覗き込む
氷の様に冷たい美しい顔には何の表情もなく、ただ可能を見つめ返すだけだった
<> 9914<>sage<>2009/06/01(月) 02:10:53 ID:w69hmij/O<> ふと若旦那が可能の頬に手をのばす
「なんでオマエが泣いてるんや」
答えの代わりに口づける。深い深いキスを角度を変えて何度も、何度も
体重を掛けないように添い寝の態勢をとりバスローブの胸元に手を差し入れた。乳首をまさぐると吐息が漏れ、ねだるように両手が背中に廻される
胸元を押し広げ首筋に唇を這わせると若旦那は不服そうに喘いだ
「ヒゲ痛いやぁん」
剃って来ましょうかと尋ねるとクスリと笑って
「待ってられへんわ」
と返ってきた。ああ、笑ってくれたと嬉しくなる
控え目に立ち上がる乳首を舌で転がすと大きく仰け反り、さらに強く可能の頭を抱え込む
「最近打率下がってるやん。みんなの相手してるんやろ」
「身体もたないっすよ」
先発陣の名前を出しては相手をしたか尋ねてくるのでキスで口を封じる
そのまま抱え起こし後ろから自分の足をつかい若旦那の膝を広げて固定する
ローブがはだけて両肩が露になっているが敢えて脱がさずにいた
下腹部に手をのばして膨らみ始めた欲望を煽り立てると鼻にかかった甘い喘ぎがキスの下から溢れ出す
可能が先走りにまみれた指を後ろに沈めると焦れたような切ない声がした
「そ…れと違う」
聞こえないフリをして沈めた指で刺激を続ける。腰をきめられた若旦那は逃げようと身を捩るが、キャッチャーの強靭な足腰はびくともしない
氷の様だった顔は上気して花が咲くように紅く染まり、恨めしげな目付きはゾクリとするほど艶かしかった
形の良い唇が動いている、甘い吐息だけをこぼしながら。
ハヤクキテ、ハヤクキテ、ハヤクハヤクハヤク…
<> 9914<>sage<>2009/06/01(月) 02:12:21 ID:w69hmij/O<> 若旦那の限界が近づいているのを悟った可能は下半身を自由にしてやると腰を抱えて指を引き抜き、一気に己を撃ち込んだ
若旦那の欲望を握り込み刺激しながら自分の腰を打ち付ける。せめて今夜だけでもぐっすり眠れるように、祈りにも似た想いをのせて打ち付け続ける
可能の手の中で弾けた若旦那は短い悲鳴をあげてガックリと崩れ落ちた。張りつめたままの己を引き抜いた時に
「イッても良かったのに…」
と呟いた若旦那を静かに横たえるとバスルームへ向かう。自分自身で張りつめたものを処理すると濡れタオルを用意してベッドへ戻った
<> 9914 ラスト<>sage<>2009/06/01(月) 02:13:17 ID:w69hmij/O<> いろんな物でドロドロの若旦那を拭き清めていく。されるがままの若旦那はナンダカンダと喋り続けていた。
扱い方が手荒だとか俺でイかないとは失礼だとかブツブツと毒づく若旦那に冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターを差し出したが受け取らない
「もぉ水飲むんもしんどいわ」
「脱水症状で足がツりますよ」
「いやや、しんどい」
溜め息を1つ洩らすと可能は水を含み若旦那に口づけた
「もっと」
「横着しないで下さいよ」
言いながら何度も口移しで水を飲ませ続けた
「もう要らんわ」
見ると瞼が重そうだ。シャワーを使いバスルームから戻ってくると完全に寝入っていた。
スウスウと軽い寝息を立てる横顔にお休みなさいと声を掛けて部屋を出ていく。その背中に掛けられた小さな呟きは淀んだ気持ちを軽くしてくれた

アリガトウ
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/01(月) 02:14:50 ID:w69hmij/O<> □ STOP ピッ ◇⊂


温いエロですみません
投下に時間かかってしまってすみません

なんか色々すみません <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/01(月) 07:14:48 ID:sREWXQyqP<> >>550
矢急のナマモノはイイ!ですね
いいもん見せてもらいましたごっそさまです
次回は竜でぜひ
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/01(月) 10:09:56 ID:fV/eKO2X0<> どうしてここで550に1読めという人が出ないんだろう。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/01(月) 10:34:54 ID:MyLEfhRa0<> >>552
日曜深夜はみんな寝てるからじゃん? <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/01(月) 11:30:51 ID:rd3Z2H580<> >544
まさかの4/2/8ktkr!
原作の雰囲気をそこなわず、かつ萌えるというGJぶり
TIPもGJGJw
いいもの読ませてもらいました <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/01(月) 15:43:12 ID:x59CGuvq0<> >>544
萌えさせていただいた!GJ
いつでもいいんでまたアナタの4/2/8が読みたいっす <> 吸血鬼の飼い方2 誕生日の過ごし方<>sage<>2009/06/01(月) 19:52:54 ID:XfPhHPa10<> 前スレ棚47レス484-492「吸血鬼の飼い方」の続きで、誕生日の出来事ですが、前回から
半年から一年後くらいのお話なので、ちょっと話が飛んでいますが、前作読んでなくても
大丈夫じゃないかと思います。

オリジナル。現代日本ややファンタジー。コメディ狙ったはずが微妙に暗い。
へタレ吸血鬼になつかれてうっかり飼ってしまった、特異体質の若者の話。
DVもといお仕置き健在。エチー無し。

前回いただいた感想で気が付きましたが、耽美とかまったく考えていなかったので、
吸血鬼=耽美じゃなきゃイヤ!という方は回避よろしくお願いします。

>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> 吸血鬼の飼い方2 1/7<>sage<>2009/06/01(月) 19:53:41 ID:XfPhHPa10<> 「今日誕生日だったでしょ、だからプレゼント」
 にこにこと、ちゃぶ台と呼ぶのもおこがましい、折り畳み式の安い座卓の向こうで
男は言って、細長い箱を差し出した。
 座卓の上には、既に空になった皿が並んでいる。
 白身魚のムニエルに、温泉卵ののった生ハムとベビーリーフのサラダ、テーブルロールに
サーモンのタルタル、きりっとした白ワイソというメニューは、教科書通りの作り方だった
ようで、特においしいというほどのものでもなければ、まずいとも言えない、人間の
食べ物の味はわからない、と常々言うだけあって、あまり料理のうまくない人間が頑張って
作ったような、ごくごく無難な出来だった。
 それなのに。
 −−フランスパンはあんまり好きじゃないでしょ?どっちかっていうともちもち系?
そういうパンが好きでしょ?君は肉より魚のほうが好きだから、魚中心にしてみたけれど、
どう?
 いつの間に好みを覚えたのか、男は自分の言葉の正しさを確認するように、彼が頷くまで
上目遣いで待った。
 人間の食べ物なんて食べない、吸血鬼のくせに。
 何日か前から、今日は早く帰って来て、としつこく言われたのはこれが理由だったのか、
とわかったのはいいが、誕生日なんていつ言ったっけ、と思って彼は、なぜか最近一般市民を
装ってバイトをしたりと人間社会に適合しようとしている人外のために、自分の履歴書と
住基カードを渡したことを思い出す。
 そこにあった誕生日は正確なものではなく、幼い日に児童.施設に保護された日付だった
のだけれど。 <> 吸血鬼の飼い方2 2/7<>sage<>2009/06/01(月) 19:54:40 ID:XfPhHPa10<>  料理の後には、どこで覚えたのか、一人か二人で食べてしまえるぐらいの小さなホールの
ショートケーキを前に、HappyBirthDayToYouを歌って、火を灯してみせた。
「甘いもの好きじゃなくても、こういうのは別腹でしょ?」
 これもまたいつ覚えたのか、彼が滅多にケーキも和菓子も食べないことを、微妙な日本語で
男は指摘してみせる。
 憧れのホールケーキ。
「……お前が半分食べるなら、食べる」
「そう来なくちゃ」
 体調が悪くなる気がするから人間の食べ物はいらないと、以前この人が良さそうな
長身の男にしか見えない吸血鬼は、彼が人間の血以外食べないのか、と訊いた時に
そう答えたのに、にこにこと嬉しそうに応じて、包丁を取りに行くのだろう、立ち上がる。
「ちょっと待った。ケーキ切るんだったら、包丁、火で炙らないと」
 慌てて立ち上がると、狭い部屋と続きの台所の流しの下の扉裏から包丁を引き抜いて、
すでに向き直っていた吸血鬼が首を傾げる。
「え?火炙り?どうするの?」
 その手から包丁を受け取って、ガスコンロの火で刃を炙るのを目を丸くして見ているのに
構わずに座卓に戻って、中央にのせられていたプレートを外してケーキを二つに切り分け、
包丁を流しで洗おうとすると、ダメダメ、と止められる。
「今日は君がメインゲストなんだから。後でやるから座って、座って」
 笑顔で部屋の中央へと追いやられて、複雑な気分で座卓の前に戻る。フォークを握らされて、
取り分けたケーキののった皿を渡されて、慣れないことに落ち着かず、とりあえず、
フォークを白くクリームの塗られた表面に突き刺して黄色い断面にして、口に運ぶ。
何年ぶりかの甘さ。舌の上でしっとりとしたやわらかなスポンジケーキが崩れる。 <> 吸血鬼の飼い方2 3/7<>sage<>2009/06/01(月) 19:55:38 ID:XfPhHPa10<> 「丸いケーキ切り分けるのって、夢だったんだよな……」
 思わず呟くように言った彼に、どうやら正座ができないらしく、正座から立ち上がりかけた
ような、膝に手を突いた中途半端な姿勢で隣りに座っていた男が、もともと乗り出し加減の
大きな体を、興味があるのかさらに乗り出す。
「オレ、親いないからさ。『こども.の.家』は月に一度誕生会っていって、まとめて誕生パーティ
やってたし、一人分ずつ切ってある普通のショートケーキだったし」
 食堂につけられた紙テープ、並んだカットケーキを全員が紙皿にそれぞれ取り分けて。
誕生日が特別なものではなく、一年の区切りのひとつであり、ケーキを食べる日でしか
なかったあの頃。
 いつも見上げていた、十.字.架を尖塔に戴く白い教.会.に併設された、児童.施設
「こどもの家」。そこで育った彼が吸血鬼を自分のアパートに連れて帰り、その食料である
獲物になったのは、何の因果か。
「いつか家庭を持てたら、クリスマスとか誕生日は丸いケーキ買って帰って、奥さんと
子供と一緒に切り分けるのかな、って思ってたんだけど……」
 吸血鬼にとっては好都合だろうが、彼の人間離れした大量に血が溢れ出す特殊体質では
望めないと思いつつも、ずっと憧れていた温かな家庭の、幸せの想像図。やはり叶わない
ものなのだろうか、と座卓の上の小さなケーキを見下ろしていると、人外の的外れな
のんきな言葉が呆気なく感傷を押し退けた。
「ふうん、よかったね、結婚する前に叶って」
 肝心の部分を聞いていたのかいないのか、そのまま、あーん、と口を開ける。横目で
見ても、通じない。 <> 吸血鬼の飼い方2 4/7<>sage<>2009/06/01(月) 19:56:45 ID:XfPhHPa10<> 「君が食べさせてくれるなら、食べるよ」
 ずっと雛鳥のように開けられている口に、しかたなく手にしたフォークで、男の分の
ケーキを突き刺す勢いで一口分取って、押し込む。
 −−人間の食べ物を食べられる吸血鬼もいるけど、あれは絶対、人間の食べ物がわかる
自分って格好いいとか、ハイソな吸血鬼は人間の食べ物ぐらいわかって当然、っていうセレブ
気取りだよ、絶対。
 そう力説する男に、思わず何かのテレビか映画で見たことがあるのだろう、脳裏に浮かんだ、
「吸血鬼はワイソが好き」というイメージは本当なのか続けて彼が尋ねると、普段の
のんびりした口調ではなく、やや早口でやはり力説が返ってきたのだった。
 −−あれはね、絶対血を連想させるための作り話だよ。なんとなく違いはわからなくないけど、
食べ物と一緒で、ワイソが好きだとか、水代わりに飲む、なんて言ってる吸血鬼は、絶対
格好つけてるだけ。だいたいあんな血みたいに赤いのに、全然おいしくないなんて詐欺だよ。
 そんなことを言いながら、ワイソバ−でウェイターをしている吸血鬼こそ、詐欺だろう。
 むかつきながら自分の分と男の分、交互にケーキをフォークに刺して、口に入れて、
ようやく両方の皿が空になると、男はぺろりとクリームのついた自分の唇を舐める。
 整った顔立ちは、それでいてどこか愛嬌があって、女にもてそうだと思わせるのに
十分だというのに、ついでのように彼の唇も舐めて、怒ろうとした彼に、プレゼントだと言って
箱を差し出したのだった。
 渋々受け取ると、男は皿を重ねて台所へと向かう。狭いボロアパートは、立ち上がって
長身の男が2、3歩も進めば、辿り着いてしまう。彼の前で洗い物などしたことがない
というのに、バイト先で覚えたのか、意外と手際よく片づけて水切りカゴに並べると、
慣れない状況にぼんやりと眺めてしまっていた彼に、箱を開けるように顎で促す。 <> 吸血鬼の飼い方2 5/7<>sage<>2009/06/01(月) 19:57:47 ID:XfPhHPa10<>  短剣。
 一瞬そう思わせた、箱の中に窮屈そうに収まっていた銀色の輝きは、どうやらペーパーナイフ
らしい。ご丁寧に柄には十字の浮き彫り、その中心には赤い小さな石が、本物なのか
ガラクタなのか、輝いている。
「ボールペンじゃ持ちにくいでしょ?これはね、お店で色々見てみたんだけど、一番
握りやすかったから」
 隣りにちょこんと、立ち上がり掛けた正座のように、膝に手を突いた姿勢で座っている
吸血鬼は、誉めて、と言わんばかりの笑顔で顔を覗き込む。
 黙り込んだままの彼の手を両手で包んで持ち上げると、男は自分の胸−−左胸に押し当てる。
「ここだからね?わかってると思うけど、間違えないでね?」
 人間と違って温かさのない体は、シャツ越しでもひんやりとして感じられる。それなのに
人間を装って、手のひらを脈拍が微かに押し返す。
 我慢が限界に達した彼は、手を解放されると、無言で頬に平手をお見舞いする。
「なんで〜?アクセサリーとか好きじゃないでしょ?指輪って結構無くすって聞いたし、
これなら役に立つでしょ?大事に持っておいてくれるかなぁって」
 彼の引き出しには、銀製のボールペンが入っているのは確かだが、なんとなくそのままに
なっていただけであって、この吸血鬼と出くわした際に、背中に突き刺さっていたのを
引き抜いてやったものだ。銀製品と言えば、すなわち、この一見人間にしか見えない
吸血鬼にとどめを刺すためのものでしかない。縁起でもない。
 わざわざプレゼントに、あまり見るのも嬉しくない、ましてや触るのはどうにもぞっと
するのだと言っていた銀のナイフを、自分で選んでくる神経がわからない−−獲物でしかない
自分と、人外の捕食者とでは、相互理解が難しいのは当然だが。 <> 吸血鬼の飼い方2 6/7<>sage<>2009/06/01(月) 19:59:03 ID:XfPhHPa10<>  箱を閉めると、密閉度が高いらしく、閉じこめられた空気が反発して、音を立てた。
それを無造作に放り出して、座卓を畳み、ペンダントライトを豆電球にし、押入を開ける。
「えー?!」
 彼をほろ酔いにさせていたワイソの効果は、いつの間にかどこかへ霧散していた。
煎餅布団を床に下ろすと、納得のいかない吸血鬼が、不満げに周りをうろうろしてうっとうしい。
薙ぐように足で蹴って退けて、黙々と布団を敷く。
「ああ、そっか!」
 何か勘違いした様子で、吸血鬼はいきなり喜色満面声をあげる。
「そうだよね!誕生日においしいご飯とお酒とプレゼントと言ったら、後はえっちだよね!
そっか気づかなくてごめん。照れ屋さんだなぁ〜」
 布団に潜り込もうとしていた彼は目をつり上げると、何をどう勘違いしたのか自分で
白状した男の、人間でいうところの急所−−股間に手加減のない蹴りを入れた。
「……ぐ……っ。……っえ?ちょっと待ってっ。なんで?ええっ?!」
 布団にくるまってすっかり横になり、目を閉じた、男の相手をする気がないことが明白な彼に、
なぜ機嫌を損ねたのかさっぱりわからない人外は、蹴られた場所を押さえてうずくまり、
戸惑うばかりだ。
「うるさい。オレは寝る。お前もさっさと寝ろ。……じゃない、『休息』しろ」
 吸血鬼特有の、呼吸も脈拍も止めた、仮死状態のような長期間可能な眠り−−「休息」。
 しばらく顔も見たくない、と言われ、吸血鬼は彼の枕元に這いつくばって理由を問う。 <> 吸血鬼の飼い方2 7/7<>sage<>2009/06/01(月) 20:00:06 ID:XfPhHPa10<> 「ねぇ、なんで?!なんで?!」
「うるせぇ!今すぐプレゼント使って欲しいのか、あァ?!」
 小さな子供のような繰り返しに返って来た、いつになくドスの効いた脅しに、仕方なく
部屋の隅に下がって、人外は肩を落とす。
 今日のためにシフトを変えてもらい、そのため明日はバイトがあるから、彼の要求には
応じられない。バイトを始めたのが誕生日を祝うためだけならば、すっぽかしてそのまま
辞めてしまってもいいのだろうが、他にも理由があるのだからそうはいかない。
 この怒り方だと、明日もきっと彼の態度は変わらないに違いない。
 どうすれば機嫌を直してもらえるのだろう……。
 今までで一番の難題に、答えはなかなか出そうになかった。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

吸血鬼的にはこれでもプロポーズのつもりだったらしい。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/01(月) 20:00:06 ID:tJWJDfJn0<> 支援 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/01(月) 20:09:18 ID:XfPhHPa10<> >>564
もしかして、私に支援くださったのでしょうか…?
連続10レス以下だったので大丈夫でしたが、お心遣いありがとうございました。

書き忘れて申し訳ないのですが、前回読んでくださり、レスくださった方もありがとうございました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/01(月) 21:06:53 ID:05pEuxpf0<> >>544
絵が浮かぶほど4/2/8の雰囲気ですな、GJです
みのりんかわいいよみのりん <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/01(月) 22:52:26 ID:7QxJecCd0<> >>556
GJでした!
ちょっとひねた彼も天然な吸血鬼の彼も優しいな
またこの二人の話が読めて嬉しいです <> 私立il女学園 <>sage<>2009/06/02(火) 23:22:27 ID:Tpju2ILj0<> 投下させていただきます。直接描写はありません。
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | 乾式ノベル読んだら腐脳に何か湧いたってさ。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| それがどうして女学園パロに
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ダイジョウブカ?
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

        ★ ★   厳  重  注  意  !!  ★ ★


・この先には女体化パラレルネタがあります。苦手な方はIDあぼーんかスルーをお願いします。






<> 私立il女学園1/10<>sage<>2009/06/02(火) 23:23:26 ID:Tpju2ILj0<>  『何なんスかね?』
 瓶が差し出した紙きれには、そう走り書きがしてあった。
 『わかりません。』
 ウキョは余白にそう書き足して、瓶に返す。
 そして二人して、ひたすら息を詰めて、調理実習室の教卓の下に隠れていた。風紀委員長の
ラムが突然やって来たからだ。自分達が居るのが見つかったら、ここを部室にしている料理研究
同好会のみんなに迷惑がかかる。
 なにしろウキョと瓶は、卜ク〆イガ力リ、なのだから。

 名門私立・桜田女学園の闇の伝統、教職員に嫌われた生徒を自主退学に追い込む為の措置
"反省室送り"。それをくらったにもかかわらず、ある意味図太く学生を続けている者が、現在
二人居る。
 一人は、もはや反省室の主と化した感のある、高等部生のウキョ。
 もう一人は、中等部生の瓶。

 本来、反省室に送られた生徒は一切の部活動を禁じられている。しかしウキョの知能を当て込
んで文化系クラブが、瓶の運動神経を頼って体育系クラブが、彼女達にこっそり助っ人を頼みに
来ることは珍しくない。というか、もはや常態と化している。
 むろん、二人がおおっぴらに助太刀を出来る訳ではない。教師の目をかいくぐって匿名で試合
に参加し、極力目立たないように成果を挙げるのは、なかなか骨の折れる作業だ。けれど、どん
なに苦労して立てた手柄も、公式には正部員たちのもの。二人は正当な評価どころか、自分の
名前すら失ったまま、ただ去るしかない。
 それでも請われれば、時には請われなくとも現れて、仲間の窮地を救っていく。
 生徒達はいつしか、反省室の二人をこう呼ぶようになった。

 ──── 『匿名係』。 <> 私立il女学園2/10<>sage<>2009/06/02(火) 23:24:37 ID:Tpju2ILj0<>  むろん、学校側がそんな状況を許す筈がない。
 反省室のものとの交流を禁ずる、などという"ケツの穴の小っせえ(by瓶)"通達を、教師側が
正式に発布し、それを守らせる為に風紀委員を西へ東へと走らせる。そんな、大人としての恥も
外聞も忘れ果てた弾圧が始まってから、もうどれ位になるだろう。
 それでも、権力を傘に着たイジメのような状況に反発を覚え、あるいは権威よりも友情と尊敬を
選んで、瓶やウキョと付き合いを続ける生徒も、たまにはいる。
 料理研究会のヨネも、そのうちの一人だ。本人曰く、自説の証明に協力してもらっているだけ、
だそうだが、それを信じているのはヨネ本人だけであろう。

 「ずいぶん、ご活躍のようで。」
 ラムの冷たい声が実習室に響く。対応しているのはヨネ一人だ。他の部員達は、風紀委員長
の姿が見えるや否や、みんなさりげなく逃げてしまった。『みつ編みのゲシュタポ』との同席は、
特に後ろめたいことのない生徒でもご遠慮申し上げたい事態なのだろう。
 「昨年・今年と、製菓レシピを作って、配布したそうですね。バレンタインとホワイトデーに合わ
せて。」
 起訴状でも読み上げるかのような口調に、場が凍る。物陰から盗み聞きしているだけの瓶で
すら怖いのだから、面と向かって断罪?されているヨネの恐怖は如何ばかりか。
 「た、確かに、配りました。でででも、」
 しかし、ヨネも言うべきことは言う気らしい。たとえ相手にどれほど迫力負けしていようとも。
 「それは、みんなにお菓子を作る本当のコツを知って欲しかったからです。シフォンケーキが膨
らむのもジャムが固まるのも全ては化学変化、原理を正しく理解して作業をすれば、誰でも失敗
なくお菓子が作れるはずなんですから。」 <> 私立il女学園3/10<>sage<>2009/06/02(火) 23:25:22 ID:Tpju2ILj0<>  『お菓子作りは、科学なのです!』
 というのが、ヨネの持論だ。フラスコと試験管を手に材料の成分分析に明け暮れる姿はとても
料理の研究をしているようには見えないが、本人は至って大真面目である。
 そんな彼女が、テンパリングの手順を科学的目線から解説し原理を理解してもらおうと思い
立ったのは、当然といえば当然かもしれない。
 一年で一番、チョコレートに興味を持ってもらえる2月。オリジナルスイーツのレシピを何種類も
載せたDVDを作って、彼女は学園中に配りまくった。
 反応は上々で、続編を望む声に、ホワイトデー用のレシピも考案し、前回同様自分のお小遣い
をはたいて百枚以上コピーし、配布。今年で2年目、なかなか盛況である。
 「この件が、い、委員長にどう伝わったかは存じませんが、わたし、何も後ろ暗いことはしてい
ません。無理に押し付けたりはしませんでしたし、もちろんお金なんかとっていません。」
 ヨネは必死で弁解を続けるが、それを黙殺しているかのようなラムの態度が、とにかく不気味だ。
匿名係を部室に出入りさせるような輩は、たとえ過去にどれ程の実績がある者でも容赦しない、
ということなのだろうか?
 (どうすりゃいいの!?)
 机の下で、瓶は友達の身を案じるしか出来ない自分が情けなかった。助けに行ってやりたい。
だが、ここで自分が姿を現せば、それこそヨネの窮地は決定的なものになってしまう。どうしよう。
何か逆転の突破口はないのか?
 無意識のうちに、隣に居るとても頼もしい先輩に目をやり …普段は頼もしい先輩のとんでもない
行動を目撃する羽目になる。
 ウキョは教卓から顔を覗かせて、ヨネとラムの様子を見ていたのだ。 <> 私立il女学園4/10<>sage<>2009/06/02(火) 23:26:09 ID:Tpju2ILj0<>  (ちょっと!? 何してんですか一体!)
 慌てて服の裾を引っ張ると、ウキョは「何か?」とでも言いたげな表情をした。
 見つかっちゃいますよ! と口パクで訴える後輩に対し、余裕の笑みを返すと、生徒手帳の
余白に何やら書き付け、それを瓶に見せる。
 『委員長は、私たちを探していませんよ。』
 探していない?
 そんなバカな!
 いかに"匿/名/係の警/部/殿"の異名をとるウキョの推論でも、俄かには信じられなかった。
悪法でも法である以上は遵守するのが、ラム風紀委員長という人物である。その彼女が、教師
の通達があるにも関らず、自分達を探していない? ありえない。第一、それならば何故この
調理実習室に現れたのか?
 瓶がよほど怪訝そうにしていたからだろう、ウキョはさらに解説を始めた。意外にも癖のある字
が手帳のメモページを埋めてゆくにつれ、瓶の陽焼けした顔に驚きが広がってゆく。

 と、ラムがやっと口を開いた。
 「あの」
 「ななななな何でしょうか!?」
 「………叫ばなくても聞こえますから。」
 「すみません…」
 静まり返った調理実習室に、冷徹で知られる高等部生の低く呟く声が響く。 <> 私立il女学園5/10<>sage<>2009/06/02(火) 23:26:53 ID:Tpju2ILj0<>
 「評価しています。」

 は?
 と、間の抜けた声を発したきりフリーズしてしまったヨネを、誰が責められようか。
 口を閉じることも忘れて立ち尽くす目の前の下級生に、委員長は淡々と続ける。
 「風紀委員会はかねてより、バレンタイン及びホワイトデーにおける徒に華美を競い驕奢に傾く
風潮を懸念していました。昨年から手作り菓子の贈答が流行るようになり、学生の身分にふさ
わしい健全な慣習に戻りつつあります。あのレシピ集のおかげでしょう。評価しています。」
 評価するというからには褒めているのだろうが、ちっともそう聞こえないのは何故だろう。
 そんなことをヨネ(と机の下の二人)が考えているうちに、ラムは部室を去ってしまった。

 「…ウキョさん。」
 「行ってしまいましたね。」
 メトロノームより正確な足音が遠ざかって行くのを確認してから、匿名の二人は教卓の下から
這い出してきた。
 「ああ、お二人とも。ご無事で何よりでした。」
 風紀委員長が去ったこと、ウキョと瓶が見つからずに済んだこと、両方にホッとしたのだろう、
ヨネは大きく息をつく。
 「それにしても、風紀委員会とは、警察犬のように鼻が利く方々ですな。」
 反省室の二人が今日ここに来たのは、偶然以外の何物でもない。なのに、まるで彼女達が現
れるのを事前に知っていたかのように、ラムが部室にやって来た。委員の誰かに四六時中尾行
でもさせているのか、監視カメラ網でも作って放課後中モニターしているのか、とついつい不気味
な想像を並べてしまう。
 「そのことですが、ヨネさん。」
 ウキョが片手を軽く挙げる。
 彼女が他人の話を遮りこのポーズをとった時は─── 『K部殿』の推理が始まる合図だ。 <> 私立il女学園6/10<>sage<>2009/06/02(火) 23:27:37 ID:Tpju2ILj0<>  「風紀委員長がここに来た理由は、本当に我々の捜索だったのでしょうか?」
 この質問に、付き合いは長いはずのヨネも流石に面食らう。
 「そう言われましても… お二人の立ち寄り先として、ここは有名らしいですから。」
 「それなんスけど、」
 瓶が、ウキョの受け売りだと前置きした上で、説明を始める。
 「本当にアタシらを捕まえようとしてたんなら、一人で来るのはおかしいんじゃないか、って。」
 体力自慢の瓶は勿論、ウキョも実は足が速い。匿名係を何度も追跡しているラムならば、二人
の俊足を知っている筈だ。
 「ほら、この調理実習室、出入り口が2つあるじゃないスか。準備室へのドアも勘定にいれたら
3つ。しかもここ一階だし…」
 「あ、そうか!」
 もし匿名係の二人を捕まえようとしているのなら、人を使って出口を全て固めなければ、逃げら
れてしまうのは解りきっている。風紀委員長が、それに気付かない訳がない。
 彼女は、ウキョ達がここにいることを知らなかった。だから一人でやって来たのだ。
 「あの方の目的は、我々二人ではなかったのですよ。」
 ならば、何の為だというのか。
 「…DVDの件を、咎めに来た?」
 「いえ、それは違います。」
 DVD配布が問題だというなら、去年今年と2年間も放置しないだろう。
 「ですが、DVDの件で来た、というのは、あながち間違いではないかもしれませんね。」
 "K部殿"の眼鏡の奥の瞳が、面白そうに笑っている。 <> 私立il女学園7/10<>sage<>2009/06/02(火) 23:28:37 ID:Tpju2ILj0<>  「数日前、いささか興味を引かれる光景を目にしました。」
 クラスこそ違うが、ウキョもラムも同じ高等部、校舎は一緒だ。廊下ですれ違ったり、下駄箱で
顔をあわせたり、という程度の接触はある。
 なので、普段は持ち歩かないものを携帯していたら、お互い気付く、かもしれない。少なくとも、
ウキョは気が付いた。
 「エンジェルフード、でしたか? あれを風紀委員長がお持ちになっていたのですよ。」
 それを見かけたのは、下校の時だった。透明なセロファンに包まれた真っ白なケーキを、彼女
は大事そうに抱えていた。カバンに入れなかった理由は、綺麗なリボンアートを潰したくなかった
からなのかもしれない。
 朝にすれ違った時には、そんなものは持っていなかった筈だ。ならば校内にいる間に入手した
ことになる。しかし、購買にも学食にも、そんな菓子は無い。とすれば、入手経路はただ一つ。
 「誰かからの、贈り物だったのでしょう。ラッピングが妙に凝っていること、店名らしい文字列が
どこにも見当たらなかったこと、この2つから考えると、手作りのプレゼントであると見ました。」
 「確か、今年のホワイトデーレシピの中に、ありましたよね。エンジェルフード。」
 あの試作品美味かったんでよく覚えてます、と瓶は楽しげに言う。
 さて、とウキョは改めて後輩二人に向き直った。
 「あのラム風紀委員長が、誰かに何かを贈られたら、どうすると思いますか?」
 「お返しを考えるでしょうな。」
 ヨネが即答する。杓子定規が服を着て歩いているような委員長だ。プレゼントに対し何も返礼
しないというのは考えられない。 <> 私立il女学園8/10<>sage<>2009/06/02(火) 23:29:29 ID:Tpju2ILj0<>  「では、今回のような場合は、お返しに何を選ぶと思いますか?」
 「そうですねぇ…」
 なにしろ"徒に華美を競い驕奢に傾く"ことを粛正する役目をもった人である。感謝を金額で表現
するような品物を選んだら、周囲に示しがつかないだろう。
 「…ノートを貸してあげるとか?」
 「成る程、成績優秀で真面目な彼女のノートは、テスト勉強に大いに役立ちそうですねぇ。」
 「ご利益ありそうッスね。アタシも同じ学年だったら、土下座して借りるかも。」
 「しかし、もっと有力な候補を忘れていませんか、ヨネさん?」
 そう言われても、どうにも思いつかない。そもそも、思考過程が辿れるほど委員長の人となりを
知っているわけでもない。みつ編みのゲシュタポ、氷の風紀委員長、そんな評判だけでもう充分
だ。それ以上の情報が必要あるだろうか。親しくもない、なろうとも思わない相手に。
 「考えてみてください。彼女が貰ったのは、手作りのケーキでした。」
 そんな凝った物をくれる友達があの委員長にもいたんスねぇ、と瓶がしみじみ言うものだから、
思わず他の二人も吹き出してしまう。
 「贈り主の存在も興味深いですが、その詮索は後ほど。さて、ケーキのお礼を、と考えた場合、
同じ『手作りのお菓子』を返すのは、なかなかいいアイデアだと思うのですが。等価交換が成立
しますし、何より学生らしい、分をわきまえた品です。」
 「そうなると、問題になるのは、委員長の菓子作りの腕ッスね。自分で食べるんならともかく、
最初から他人にあげる予定なら、不味いものを作る訳にはいかない。お礼なんですし。」
 ヨネは決して頭の鈍い娘ではない。匿名係の言わんとすることはすぐ解った。解ったが、どうにも
信じ難い結論でもあった。
 「…まさか。」
 ラム委員長が部室へ来た理由は、ヨネのレシピDVDを貰う為だった、なんて。
 「何事にも慎重を期する方ですからねぇ。それに、貰ったケーキという実例を見れば、頼りに
出来ることは判るわけですから。」 <> 私立il女学園9/10<>sage<>2009/06/02(火) 23:30:20 ID:Tpju2ILj0<>  「でも、それならどうして。」
 委員長はそんなことは一言も言わずに去って行ったではないか。
 「そうなンですよね。そのへんどうなんスか、ウキョさん。」
 「ええ、私もあれは意外でした。評価している、とおっしゃっておられたので、その後に"一枚
わけてくれないか"と続くかと思っていたのですが。」
 読みは外れていたのか? と匿名の二人が首を捻っている。
 (…もしかして)
 ヨネは思い返す。
 自分が言い訳している間、風紀委員長はずっと眉を顰めていた。評価しています、と言った後、
口を引き結んで黙り込んでいた。それらの態度は不機嫌からくるものとばかり思い込んでいたけ
れど、本当にそうだったのだろうか?
 もしも、ウキョの推理が正しいのだとしたら。
 (もしかして、レシピが欲しいと言い出せなくて困っていたの?)
 ラム委員長がお菓子作りに関心があるかどうかなんて、知ろうとも思わなかった。今までは。
 彼女にだって、風紀委員以外の面があるだろうに。
 「わ、わたし、風紀委員長にDVD渡してきます!」
 丸っこい体で転がるようにヨネは調理実習室から駆け出す。
 いってらっしゃい、とウキョは呟き、満足げに微笑んだ。

 「瓶君、行きましょうか。」
 「はい、ウキョさん。」
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/02(火) 23:45:39 ID:aKV6jsMS0<> 支援 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/02(火) 23:46:06 ID:VHfyfyyt0<> 支援? <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/02(火) 23:53:00 ID:kBaubbAjP<> 支援 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/03(水) 00:04:24 ID:MhSlj9sn0<> あとひとつでおわりなのに規制とは…
支援するしかあるまい。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/03(水) 00:09:08 ID:M9DZRNkT0<> もしかして前も女学園もの書いていた人かな?
あれ好きだったんだよね。支援 <> 私立il女学園10/10<>sage<>2009/06/03(水) 00:10:23 ID:jug9zrgp0<>  後日、ラムが「お返し」を渡そうとしていた相手が誰なのか判った。
 「考えてみれば、彼女以外に候補はありませんでしたね。私としたことが迂闊でした。」
 「え、じゃあ風紀委員長って、ミナ以外には仲の良い子いないんスか? 高等部にも?」
 見かけませんねぇ、とウキョは砂時計をひっくり返しながら言う。三分計だから今日はセイロン
かな、と瓶は思った。
 「…あれ? この香り、セイロン、みたいだけど何か違うよーな…」
 「相変わらず君はいい鼻をしていますね。」
 このブレンドティーはセイロンベースなんですよ、とティーコゼーを被せながら解説する先輩に、
中等部のおてんば娘が話を続ける。
 「いやぁ、でもラム委員長って手先が器用なんスねー。いくら太巻き寿司の要領で作るッたって、
材料はグニャグニャに練った小麦粉でしょ? よくあんな正確に学園章が再現できるもんだなー
と、ミナの持ってたクッキー見て感心しちゃいましたよ。」
 あの時、ヨネがラムに渡したDVDは、まだ校正の終わっていない新作の試作盤だったのだ。
そこに収録されていた「校章型アイスボックスクッキー」を、瓶と同じクラスの風紀委員・ミナが、
ある日の朝、嬉しそうに抱えて登校してきた。この時点ではまだ新作DVDのチェックは終わって
おらず、誰にも配布はされていなかった。だからクッキーの作り方を知っているのは、考案者の
ヨネと、この世にたった一枚しかない試作盤を貰ったラムだけ。
 そしてミナが持っていたクッキーには、地味ながらも非常に凝ったラッピングが施されていた。
 「にしても、ヨネさんも粋なもの考えるなぁ。そろそろ色んな大会の予選が始まる頃ッスからね。」
 「なるほど、応援クッキーという訳ですか。」
 冷酷な面ばかりが目立つラム委員長だが、心許した相手には尽くすタイプらしい。
 「では我々も、お互いの健闘を祈って。ヨネさんが作ってきてくれましたからね。」
 「ひょっとしてそのブレンドティー、クッキーに合わせて選んだンすか?」
 学園の片隅にある、打ち捨てられたような反省室。今は静かなこの部屋も、じきに嵐のような
忙しさに覆い尽くされることだろう。予選の季節は、「匿名」の季節でもあるのだから。
 小さな窓から外を見た。今日もいい天気だ。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/03(水) 00:10:58 ID:jug9zrgp0<> ありがとうございました。
支援くださった方々に幸アレ。
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) ここのさるさんは10レスなのね。1つ学んだ。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ちなみに「お菓子作りは科学」という台詞は、製菓板の質問系スレの住人が言っていたもの。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/03(水) 00:19:26 ID:jmDLds7d0<> >>584
乙でした!
ゲシュタポという言葉がよく似合うなあ、ラムはw
そして製菓板住人は格好良いな <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/03(水) 00:28:20 ID:tf6PzfiQ0<> >>584
GJ!面白くて一気に読んでしまった
あと、「お菓子作りは科学」という言葉を胸に刻んだ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/03(水) 16:39:03 ID:lFmwIf1c0<> >>584
GJ!すごく面白かったです! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/03(水) 18:09:34 ID:D3pjP5p10<> >>584
相手がミナで本当に良かった………!!! 嬉しくて鼻から汁が止まりません…www <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/03(水) 22:39:54 ID:EhijIDSF0<> 嬉しくて鼻汁とは

奇特な体質でつね <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/04(木) 00:01:48 ID:UCupfKFR0<> 映画スレ14の441です。このコテで出てくるのは最後だと思います。
原作との関連性も薄く、需要も少なさそうですが、折角なので置いときます。

「縁」「夜叉」「涅槃」とは別次元です。

映画 ギャング○ター1
主人公輪姦

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> 無明長夜 Mumyo-joya 1/6<>sage<>2009/06/04(木) 00:03:10 ID:UCupfKFR0<>  顔に強烈なライトが当てられ、お前は目を覚ます。
 霞がかかったような視界の中に、数人の男の姿。高い天井。段々と視力が戻ってくる。
そこは倉庫のようなだだっ広い空間だ。そしてお前は、埃塗れの薄汚いベッドの上に身を
横たえられている。ああくそ、スーツが汚れちまう。
 起き上がろうとしたが、体が動かない。拘束具を着けられているわけでもないのに、手
足がまるっきり言うことを聞かない。
 敵に囚われるとは、お前らしくもないドジを踏んだものだ。まだ朦朧としていた頭に、
段々と記憶が蘇ってくる。無理やり押しこまれた車の中で、注射を打たれて気を失ったの
だ。体が動かないのは薬のせいか。
 背中に冷や汗が滲む。語り草になるような死に方をした連中の顔や名前が次々と脳裏を
過って行く。だが、この世界に足を踏み入れた時から、覚悟はできていた。
 だから、この期に及んでも、絶対に取り乱したり恐怖を露にしたりはしない。
 お前は落ち着いた態度で、ベッドの側に立つリーダー格らしいのと視線を合わせる。
 奴は唇を歪め、言う。
 「さすが、あのフレディ・メイズが一目置くだけのことはあるな。いのち乞いどころか、
ちっともビビってねえとは大したもんだ」
 「無駄口利かず、殺るならさっさと殺りやがれ」
 お前は言う。幸か不幸か、口は普通に利けるみたいだ。
 奴は何も答えず、薄笑いを浮かべたまま、ナイフを取り出す。銀色の刃が弱々しい蛍光
灯の光に煌めく。お前は口の中が渇くのを覚える。
 奴がお前の上着の釦を外す。腹を掻っ捌かれるのか・・・・。お前は身を固くする。奴がお
前のネクタイを解き、カッターシャツの釦を外す。徐にナイフでタンクトップを切り裂く。
 「あ・・・・!」
 今まで全く動じなかったお前が、不意に驚きと戸惑いの表情を浮かべる。奴の手がタン
クトップの中に忍び入り、右の乳首を摘まんだのだ。 <> 無明長夜 Mumyo-joya 2/6<>sage<>2009/06/04(木) 00:04:15 ID:1ZY4GJlU0<>  「てめえ、何しやがる!ふざけやがって!」
 思いがけない出来事に、お前は平静さを失い、怒り心頭に怒鳴りつける。だが、奴はお
前のその反応を楽しむように平然として、乳首を弄り続けている。その目にはっきりと好
色な光を見て取って、お前はさっき腹を切られると思った時よりもぞっとする。
 女が羨む、お前の白くきめの細かい肌が、湿気た空気に晒される。奴が気障ったらしく
口笛を吹き、後ろの連中が歓声を上げる。全員、ニヤニヤ笑いながら欲望にぎらつく視線
をお前の肌に注いでいる。
 奴はお前の金髪を一房手に取り、弄ぶ。
 「初めて見た時からお前をヤリたかった。このきれいなブロンドも、白い肌も、欲しく
てたまらなかった」
 すっかり動揺しながらも、お前は精いっぱい虚勢を張る。
 「冗談じゃねえぜ!カマ掘られるくらいなら死んだ方がマシだ、早く殺せ!」
 「心配しなくても、死ぬまで嬲った後は、細かく切り刻んで土に埋めてやるからよ」
 奴はくつくつと笑いながら、為す術もないお前の体の上に伸し掛かってくる。今のお前
は栗鼠の子よりも非力だ。
 「畜生、やめろ!やめろってんだこの変態野郎!・・・・ああっ!」
 さっきまでの堂に入った物腰はどこへやら、お前は生娘のように頬を赤らめて、慌てふ
ためき、恥じらう。
 奴の固く充血した部分が腰に当たり、お前は曾てない恐怖と羞恥に震える。女を虐待す
るような趣味はないが、今生まれて初めてあいつらの気持ちがわかったような気がする。
 奴の生温かい舌が乳首をねちっこく舐める。お前は死ぬほど嫌で、ぞっと鳥肌を立てる。
乱暴に吸われ、歯を立てられて、痛さのあまりに思わず呻き声を立てる。
 「何だ、感じてるのか?感じてるんだろ、お嬢ちゃん?」
 奴がお前のベルトを外す。スラックスが、ブリーフが引き下ろされ、萎えきったモノを
弄ばれる。両足が開かれ、一番恐れていたことが起こりつつあるのを絶望と共に知る。
 衆人環視の中、お前は男に犯される。 <> 無明長夜 Mumyo-joya 3/6<>sage<>2009/06/04(木) 00:05:06 ID:1ZY4GJlU0<>  ガキの頃から喧嘩に負けたことがないとはいえ、大抵の肉体的苦痛は知っているつもり
だった。だが、この体がメキメキと音を立てて壊れるような痛みは、今まで経験したこと
がない種類のものだ。凄まじい激痛に、堪えきれず絶叫し、悪罵の限りを尽くす。その声
が、表情が、連中を喜ばせるだけだとわかっていても、どうしようもない。ただ屈辱に塗
れるだけだ。
 別の男がもう一人、ベッドに上がって来て、顔の上に馬乗りになる。
 「おかしな真似はするなよ。さもないと歯を全部引っこ抜くぜ」
 悲鳴を上げ続けるお前の口に、奴のでかくなったチンポコが捻じこまれる。どうせ殺さ
れるなら喰い千切ってやろうかとも思うが、下半身の痛みと、喉まで押しこまれる息苦し
さのせいで、呼吸をするのがやっとだ。とてもそれどころじゃない。
 奴らが二人して動き出す。お前の顔が蒼白になり、世界は再び暗くなる。苦痛が限界点
を超え、程なくして意識を失う。
 顔に冷水が浴びせられ、お前は再び目を開ける。腰から下には、鈍痛と不快な感覚が蟠っ
ている。口の中は変な味がする。奴がお前を覗きこんでいる。
 「失神するほどよかったのかよ」
 お前は奴の顔に唾を吐く。
 「てめえのそのお粗末なモノでか?笑わせるぜ。神父の説教より退屈で寝ちまったよ」
 体は相変わらず痛むが、やっとお前にも反撃する余裕が戻ってきたのだ。
 奴は怒りもせずに、寧ろお前のその反応を楽しんでいるらしい。頬に付いたお前の唾液
を指で丹念に拭き取り、嬉しそうに舐める。本物の変態だ。
 奴は後ろを振り返って、言う。
 「聞いたかい?お前らのチンポでイカせてほしいってよ」 <> 無明長夜 Mumyo-joya 4/6<>sage<>2009/06/04(木) 00:05:40 ID:1ZY4GJlU0<>  どれくらいの時間が経ったのだろう。
 気が狂うほど何度も犯され、チンポを咥えさせられた。あまりに激しい輪姦に何度も気
を失い、その度に光を当てられたり水をかけられたりして目を覚まさせられた。
 お前の端整な顔も、ほっそりとした体も、奴らにかけられたおぞましい精液でねとつい
ている。自慢の金髪は所々白く固まって、見る影もない。乳首は千切れそうに痛む。めちゃ
くちゃに噛まれた唇には血が滲んでいる。
 だが、お前のアイスブルーの瞳には、未だ反抗心と敵愾心が燃え立っている。一体何人
目の相手になるやら、乳首にチンポを擦りつけている男と目が合う。目尻に悔し涙を溜め
て奴を睨みつけ、「Fuck!」と吐き捨てる。
 「ファックだって?ならお望み通りもっとやってやるよ」
 奴はヘラッと笑って、お前の中に侵入して来る。
 この苦痛と屈辱には慣れるということがない。お前は呻く。
 「あ・・・・ぐ・・・・ぐあ」
 「おお、こりゃたまらん・・・・!フレディの野郎のチンポコも毎晩のように咥えこんでる
んだろ、え?淫乱ケツマンコちゃん」
 誰よりも敬愛する暗黒街の王者を侮辱されて、お前は憤る。
 「何だと!?今度フレディをホモ呼ばわりしてみやがれ、てめえら全員八つ裂きにして
やる!」
 「へっ、体も動かねえ上に、もうすぐくたばるくせしやがって、何言ってやがる」
 奴はいい気になって動き出す。突かれる痛みに耐えながらも、お前はわずかに指先の感
覚が戻りつつあるのを感じている。
 十代の頃だったか、街のゴロツキと喧嘩をして、十二針縫う大怪我をした。そのこと自
体は別段大したことではなかったが、その時、麻酔が通常の半分以下の早さで切れたとか
で、もぐりの医者が目を剥いていたものだ。どうやらお前はそういう特異な体質であるら
しい。
 こんな所で、こんな無様な死に方をするのは真っ平ごめんだ。今ここで死ねば、フレディ
はすぐにお前のことなど忘れるだろう。そんなことは我慢できない。お前はあの男に認め
られたい。奴の下で頭角を現し、いずれは奴のようになりたいのだ。
 その為には、是が非でも生き延びなければならない。お前は知恵を巡らせる。 <> 無明長夜 Mumyo-joya 5/6<>sage<>2009/06/04(木) 00:06:26 ID:UCupfKFR0<>  「・・・・なあ」
 と、掠れた声で呼びかける。
 「あん?何だよ」
 応じた相手に、悩ましく媚を含んだ目つきで訴えかける。内心反吐が出そうだが、そん
なことはおくびにも出さない。
 「・・・・もっと・・・・してくれよ。あんたを歓ばしてやるからさ」
 お前はなかなかの役者だ。それこそ女に生まれればよかったかも知れない。
 奴は簡単に有頂天になり、仲間の方を見返る。
 「観念したようだぜ」
 再びお前に向き直り、肩を押さえつける。
 「そうとも。どうせならお互い楽しまねえと。なあ?」
 その通り。てめえにとってこれが最後なんだから、せいぜい楽しんでおけ。お前は心の
中で毒づく。
 「・・・・すげえ・・・・あんた、最高だ。フレディよりずっといいよ」
 お前は恍惚の表情を浮かべて、溜め息交じりに囁く。飽くまで体だけはぴくりとも動か
ないふりをしながら。
 見物している連中の間から、ほうっ、という感嘆の声が上がる。
 「殺すのが惜しくなってきたな」
 と誰ぞが呟き、「馬鹿言え」と隣の奴につつかれる。
 もう少し。あと少しだ。自分の体の上で、間抜けな顔をしながら腰を振っている男を見
上げながら、お前は冷静に時機を測っている。
 奴が呻き、お前の中に射精する。同時に、お前は奴の腰から銃を抜き取り、顔面目がけ
てぶっ放す。頭を吹き飛ばされた男と繋がったまま、とうに体の自由を取り戻していたお
前は半身を起こす。身構える隙すら与えず、全員の額を正確に撃ち抜く。
 血と脳漿の海を無感動に見つめながら、お前は息をつく。恐らく、何が起こったのかす
らわからなかったことだろう。
 奴らは、お前とフレディがデキていると思ったまま地獄へ行ったのだろうか。だとすれ
ば、それだけが少し心残りだった。 <> 無明長夜 Mumyo-joya 6/6<>sage<>2009/06/04(木) 00:06:54 ID:UCupfKFR0<>  夜明けの近いテムズ川の畔で、お前は盗んだ車のハンドルに突っ伏している。
 嘔吐しそうになるのを辛うじて堪える。今夜この身に起こったことは、一生涯、誰にも
話すまいと心に誓う。
 出来得る限りではあるが、身なりは整えた。フレディの許へ帰るのだ。
 お前はアクセルを踏む。

 ペントハウスに戻ると、フレディが居間で朝刊を読んでいた。奴は、主要な新聞と雑誌
には、毎日、全て目を通している。この時間に起きていることは珍しくないが、トミーの
姿すらなく、一人でいることは珍しい。
 お前の姿を見ても、いつもの如く、「ああ」と言っただけで、また紙面に目を落とす。
 お前が何を言うでもするでもなく、ただ佇んでいると、べつにどっちでもいいんだが、
というような口調で話し始める。
 「つまらないチンピラだが、お前が連れ去られた所を見てた奴がいたんだよ。助けてや
れんでもなかったが、お前ならどうにか一人で戻って来るんじゃないかと思っていた。あっ
さり殺られるなら、所詮それだけの玉だったってことだしな」
 だったら助けてくれりゃよかったのに、と思いながらも、普段通りを装って、
 「シャワー借りていいか」
 と尋ねる。
 フレディは初めて視線を上げる。女のような顔が、敏感に異変に気づいた様子を見せる。
 奴は立ち上がり、柄にもなく心配でもしたのか、お前の肩に手を掛けようとする。お前
はその手を反射的に振り払ってしまう。
 驚くフレディと目が合った瞬間、思いもかけず、たった一筋だけの涙が頬に流れる。
 「お前・・・・」
 フレディは息を呑む。
 やがて奴は、何ごともなかったかのように背を向け、言う。
 「よく帰って来たな。早くシャワー浴びてこい。最高級のブランデーを用意しておくか
ら」

Fin. <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/04(木) 00:07:30 ID:UCupfKFR0<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

でもあの人、マキシーやビリーに対するリンチのやり方を見ていると、
なんかその辺に屈折したものを抱えてそうな気がする、というのは腐ィルター掛けすぎか。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/04(木) 08:09:34 ID:Yaf3oXMa0<> >>597
元ネタ知らないけど面白かった!
GJっす! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/05(金) 00:12:55 ID:VBXlT7XK0<> ぬるいけどいいですか?
カフェのギャルソンと客の有名作家

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> ゴシックホラーの帝王1/3<>sage<>2009/06/05(金) 00:14:15 ID:VBXlT7XK0<> とうとう表紙になってしまった。
作家が文芸誌とはいえ前面に出るというのはどうだろう? 
しかも、『グレッグ・ビショップの50年史』などと自分の年表を作られた日にはもう、裸で町中を歩くのとどこが違うのか。
インタビューは受けたが、人生を表にするなんて聞いていない。
秘書のベルーカに電話すると、あなたは承諾しています、間違いなく、と怒鳴られた。
かつ、10頁の大特集をしてくれるこの雑誌に感謝すべきだ、と更に怒鳴られた。
その通りだ。いや違うね君! 顔をさらしたくないから作家を目指したようなものなのに。
学生の頃はサッカーに夢中な仲間を横目にベンチでどうしようもないホラー小説を書いていたものだ。
クラス一のスポーツマンでモテ男の主人公が美女に誘われて森の中に入り、変な宗教の生け贄になるとか、これまたハンサムな男が、ハンサム故に女の恨みを買って呪い殺されるとか、なんともひどかった。よっぽど自分の見た目に自信がなかったのだろう。
それが今やゴシック・ホラー界の王と言われ、思春期の妄想をうまく作り直して出したものは映画化されてしまった。
人前ではなんとか大物らしく振る舞うことができるようになったが、やっぱりそれは自分ではない。
私は未だに妄想から逃れられない14歳なのかもしれない。

こうしてカフェのテラスに座っていると、時々ファンです、サインしてもらえますか、と声をかけられることがある。
勘弁してくれプライベートだぞと心の中で悪態を吐きつつ、微笑んで手帳にサインする。
「あの、To スティーブって書いてくれますか?」
もう、慣れてしまった。こういう人生に。
<> ゴシックホラーの帝王2/3<>sage<>2009/06/05(金) 00:15:16 ID:VBXlT7XK0<> 「めんどくさそうな顔してましたね、先生」
ハートマークが泡に書かれたカプチーノを持ってギャルソンのセスがやってくる。
いつも通り。
11時ごろに家の近くのこのカフェの、いつもと同じテラスの席に座る。
すると他のギャルソンではなく常にセスが、注文をとりにくる。
私が注文するものは決まっている。けれどセスは必ずいかがいたしますか? と聞くのだ。
私も馴れ合いは好きではないから、メニューをしばらく眺め、
「じゃあ、カプチーノを頼むよ」
と敢えて言うのだ。馬鹿馬鹿しいくらいにいつもと同じやり取りだが、お互いにそれを楽しんでいた。
少なくとも私には毎日の儀式のようで何か安心するのだ。
その繰り返しのせいで毎日会っているというのに、しばらくの間は彼の名前さえ知らなかった。
長身で横に流したブロンドの髪、俯くと目元が影になってしまう彫りの深い顔立ちは、カフェの女性客を増やし続けている。
私の席に必ずセスが来ると読んだ女性客が、私より先にその席に座っていて、思わず学生の頃と似たような気分に陥ったこともあった。
しかし次の日からその席には予約席のカードが置かれていて、うろたえる私をその席に導いてくれたのが彼だった。
「先生の席ですから」
先生と言われたことで、彼が私が誰か知っていることも初めて分かった。
こちらも名前を知っておかなければ失礼かもしれない。さりげなく聞くと、彼は見たこともないような、子供っぽい表情になった。
「セスといいます」
いつものクールな態度はどうした? とはいえ、それ以来何とはなしに一言二言話すようになっていった。 <> ゴシックホラーの帝王3/3<>sage<>2009/06/05(金) 00:16:05 ID:VBXlT7XK0<> 「カプチーノくらいゆっくり飲ませてほしいものだよ。ファンってのは大切だけれど」
セスは目を細める。笑っているらしい。そしてなぜか、立ちつくしている。いつもなら、すぐに去っていくのに。
なにか言いたそうだったので、こちらから聞いた。
「いや、大丈夫、なにか話があるならいってごらん。めんどくさいなんて思わないから」
するとセスは思い切ったように顔を上げた。気のせいか、顔が赤い。
「僕は、今日でここを辞めるんです」
「……へえ」
「先生の給仕ができるのも最後なので」
それは残念だ、といいかげんなことを言ったと思う。サインが欲しいのだろうか? 先ほどのファンのせいで言い出しにくくなったのかもしれない。
「手を…」
ああ、握手ね。と私は立ち上がって右手を差し出した。背の高い若者だ。私の頭より上に顎がある。
 彼のひょろ長い体は静かに折れ曲がり、金髪の髪が静かに私の右手に降りてきた。そして、手の甲に生温かく柔らかいものが触れた。
「えっ……」
かなり突拍子もない声が口から飛び出てしまった。セスは何事もなかったように頭を上げる。私にもう一度笑顔を見せると、いつも通り背筋を正して去っていく。

これはどういう意味だろう?
しかしときめく時期はとおに過ぎてしまった。
いや、ときめく時期なんてやつは、私に一生来ることはない。
ほら、こんなふうに、私の目の前で素通りしていく。

私は少年みたいな心を押し隠して、不敵に笑みを浮かべる。
なぜならゴシックホラーの帝王なのだから。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/05(金) 00:17:03 ID:VBXlT7XK0<> ありがとうございました!

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/05(金) 02:25:25 ID:RlfF8HaLO<> >>603
わああ何かやけに萌えた!
良いもん読ませてもらった、ありがとう! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/05(金) 04:31:24 ID:YSSjidVVO<> >>603
GJでした
良い雰囲気で参りました <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/05(金) 16:55:40 ID:aDi8q8Ix0<> >>603
オープンテラスが浮かんできた!
雰囲気もキャラも身長差もたまらん!!
GJでした!! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/05(金) 18:41:17 ID:Ye8lpmuc0<> >>603
えっ!? ちょっ!? ココで終わり〜!? すんごく気になる〜!
もっと攻めてくれー!ww と言う感じに悶えさせて頂きましたw
有り難う〜!GJ!! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/05(金) 21:45:49 ID:zjSLstsF0<> >>603
オリジナルですよね?
この主人公でまた
なにか続きが読みたいですね。
読みやすかったです。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/05(金) 23:42:12 ID:/HPtEzpj0<> >>603
皆さんの感想を読んで読んでみた。

たったこれだけでその世界が目に見えるように想像できました。
個人的には先生がうちの御本尊と重なる部分もありさらに萌えました。
素晴らしかったです。
この二人、いつかどこかで再会してくれるといいな…。 <> 糸色望先生芸術家×医師<>sage<>2009/06/06(土) 03:29:25 ID:XsMby09e0<> スレお借りします
さよなら糸色望先生の芸術家×医師です
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ラブラブとかでは全然ないです…サーセン
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  長男がヤンデレっつーか普通に病んでます
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 不健康ナ エロヲ メザシタヨ!
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 糸色望先生芸術家×医師 1/6<>sage<>2009/06/06(土) 03:30:15 ID:XsMby09e0<> 着替えようと白衣の襟元に手を伸ばした瞬間、薄暗い診察室の片隅の電話が鳴った。
「――はい」
「やあ、命」
予想していた通りの声が受話器の向こうから聞こえ、命はためいきをつく。
「……兄さん」
「なんだ、その冷たい声は。――診療はもう終わったんだろう?
今からアトリエに来なさい」
「ああ、なるべく早く行きます。少し待っていてください」
どんなに疲れていようと拒否権はない。
電話を直前に響いたくぐもった笑い声に、命は再びためいきをもらす。
もう一度着替えようとして、やめた。
次に来るときは白衣のままで来いと言われていたのを思い出したからだ。
そのときの景のゆがんだ笑みも脳裏をかすめ、命は苛立たしげに目を伏せた。 <> 糸色望先生芸術家×医師 2/6<>sage<>2009/06/06(土) 03:31:03 ID:XsMby09e0<> 古い家屋の扉の鍵は開いていた。
「景兄さん」
ガラガラと喧しい音をたてる引き戸を開けながら、奥にいるであろう兄に声をかける。
こういうときの景はいつも、玄関に出て命を迎えるなどということはしない。
暗く湿った部屋の奥で胡坐をかき、命が自分から入ってくるのを待っている。
そんな景の、どこか焦点の合わぬ目を見るたびに、
獲物がかかるのを待ち構えている蜘蛛のようだと命は思う。
「遅かったじゃないか」
電話から15分とたたずに来たというのに、景はそう言った。
だが言葉とは裏腹に、その声に責めるような調子は感じられない。
うっすらと笑いすら浮かべている。――いや、この笑みはいつものことだ。
口元はやわらかく緩んでいても、兄は喜んだり嬉しがったりしているわけではないのだ。
血を分けた弟の命ですら、景の表情から喜怒哀楽を感じ取ったことはない。
景の心にどんな感情が渦巻いているのか、微塵も理解できない。
明確なのは、その目に宿った狂気だけだ。
突然景が立ち上がり、命の肩を乱暴に掴むと畳の上に引きずり倒した。
「待ちくたびれたよ」
「……ごめんなさい」
「兄さんをこんなに待たせるなんて悪い子だな、命は」
「ごめんなさい」
「――悪い子にはお仕置きが必要だ」 <> 糸色望先生芸術家×医師 3/6<>sage<>2009/06/06(土) 03:32:33 ID:XsMby09e0<> 本当に悪趣味だ、と命は思う。
清潔な白いシャツはだらしなくはだけられ、
ネクタイは緩められ惨めったらしく首からぶら下がり、
スラックスと下着はとっくに引き剥がされた。
それに反して、白衣はきれいに残されている。
聖職者を貶めているというシチュエーションが、
この男の劣情をよりいっそう刺激するのだということを、命は知っていた。
診療所の寝台の上で組み敷かれたこともあった。
診察室の鏡の前で大きく足を広げられながら犯されたこともあった。
(どうしようもない男だ)
激しく突き上げられながら、火照った身体と裏腹に冷めた頭で命は考えた。
獣の様に実の弟である自分を貪る景を、命は心の底から軽蔑している。
何度身体を重ねても、心が繋がったなどと感じたことは一度もない。
肉体を幾たび蹂躙されようと、この男の狂気に精神を犯されたりはしない。
天井から吊り下がる明かりの灯っていない裸電球をうつろな目で見つめながら、
命は部屋中に響き渡る卑猥な音と自らの嬌声を聞いていた。
「いやらしいな、命。お前は本当に淫乱だ」
「あ、ああ、ごめん…なさい、兄さん、許し、て……」
気が遠くなるような感覚。
兄に負けないくらい下卑た身体が、強い波の予感を訴える。
視界の端で、自分の爪先が断続的に跳ね上げられている。
ああ、やっと終わる、と命は目を閉じた。
不意に景が命の耳元に唇を寄せ、囁いた。
「お前と初めて寝たきもそうだった。
自分から馬乗りになって、抱いてくれとせがんできたっけな、命。
いやらしい子だ、お前は」 <> 糸色望先生長男×次男 4/6<>sage<>2009/06/06(土) 03:33:28 ID:XsMby09e0<> 「……?」
命は薄く瞼を開ける。
命の頭を引き寄せ、理知的に整えられた髪をぐしゃぐしゃとかき乱しながら
景は言葉を続ける。
「まだ高校生だったっていうのに、男に、それも実の兄に迫るなんて、
まったく業が深いよ」
「兄…さ、ん……?」
何を言ってるんだ、この男は。自分が自ら望んで――そんなはずがあるものか。
(――いつもの戯言だ)
鈍る頭でそう考えようとした、その時。

記憶の水底から小さな断片が急に浮かび上がってきた。




真冬の夜の外気に晒されて冷え切った外套と頬。弾む白い息。
学生服の下のシャツが汗でまとわりつき、肌の表面がひどく冷たい。
その反面、身体の奥がどうしようもなく熱かった。
部屋の襖を開け、外套と帽子を脱ぎ捨てる。
振り向いた景に、熱に浮かされるように命は言った。
――こんな玩具じゃもう足りないんだ、兄さん。 <> 糸色望先生芸術家×医師 5/6<>sage<>2009/06/06(土) 03:38:15 ID:XsMby09e0<> (嘘だ)
これは自分の記憶じゃない。
この男の虚言にそそのかされて、脳が勝手にイメージした幻想だ。
それをまるで自分の記憶であるかのように錯覚しているだけだ。
騙されるな。兄さんの狂気に飲み込まれるな。
精神までこの男に陵辱されるな。
ああ、だけど、指先に蘇るこの生々しい感覚はなんだ。
氷のように冷たい学生服の釦に自ら指をかけ外す、この感覚は――

「なんだ、お前……いつからそこにいたんだい」
抽送を止めぬまま、虚空を見つめてぽつりと景が呟く。
混乱する頭を動かして、命は景が誰に言葉を投げかけているのか確認しようとした。
ぐい、と荒々しく引き起こされ、繋がったまま身体の向きを変えられる。
苦痛と――認めたくはないが、快感で――仰け反った白い喉から声が漏れた。
壁に向かって命の身体を開きながら、後ろから抱きすくめ、景は笑った。
「命、そういえば命は会ったことがなかったかもしれないねえ」
俯いていた顎を掴まれ、無理やりに正面を向かされる。
ぞくりと肌が粟立つ。命は反射的にきつく目を閉じた。
「――妻の由香だよ」 <> 糸色望先生芸術家×医師 6/6<>sage<>2009/06/06(土) 03:39:59 ID:XsMby09e0<> いつも兄の言う戯言のひとつだ。
彼の中では妻なのだろうが、他の人間にはただの壁のシミにしか見えない。
話には聞いていたが、命は実際にそれを目にしたことはなかった。
「さあ、命。お前も挨拶しなさい」
命を揺さぶりながら、景が言う。
(狂ってる)
そう思いながらも、命はどうしても目を開けることができない。
目を開ければ、そこに見えるのはただの壁のシミではなく、
ひとりの女の姿であるかもしれない――
そんな考えが頭から離れず、どうしても目を開けられない。
(狂ってる)
それは兄だけだろうか。それとも、自分ももう、その闇に絡め捕られているのだろうか。
あるいは自分は、最初から、その闇の世界の住人だったのだろうか。
不意に瞼の裏がめまぐるしく明滅し、背筋を大きな快楽の波が駆け上る。
この波に飲まれきったとき、もう元いた場所には帰れなくなる。
そんな確かな予感を覚えながら、命は意識を手放した。 <> 糸色望先生芸術家×医師<>sage<>2009/06/06(土) 03:41:07 ID:XsMby09e0<> ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )以上です 失礼しました。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/06(土) 04:37:49 ID:p/lIOOih0<> >>617
病んでてじっとりと重苦しいエロスに萌えたぎった!
ありがとう! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/06(土) 11:31:17 ID:WF7p1dxN0<> >>617
原作知らないのだけれど、ぞくぞくきました
こういうの好きだ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/06(土) 14:15:54 ID:SDQrW2D10<> >>617
エロかったです。
原作読んでみようかと思いますた。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/06(土) 19:34:37 ID:L/F3xCYV0<> >>617
病んでるの好きなので萌えに萌えました。
原作タイトルだけ聞いたことある程度なので調べてこよっと。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/06(土) 20:08:48 ID:m42sa9glO<> 背の低い概屋主と、背の高い当主と、年下の内屋主がモデル。
とはいえ好きな設定と好きなひとで想像して頂ければ。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
<> 大物食いの銃5×10 1/5<>sage<>2009/06/06(土) 20:12:12 ID:Nq404Iem0<>
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  なんかシャワーどっか行きますた
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  初めてなんでズレたら木綿
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/06(土) 20:12:17 ID:Q6JilJSY0<> 次スレ
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/801/1244286210/ <> その腕に1/4<>sage<>2009/06/06(土) 20:12:55 ID:m42sa9glO<> 皆がグラウ.ンドに出始めた時間、人気のない廊下で一人立っていた。
目の前には清掃用具の入った大きいロッカー。
その上にある段ボールの更に上にちらりと見える白い指先を見ていた。
それは自分の右手のバツテイ.ンググローブだった。
何故あんな所に。
いつの間にか片方のグローブだけがなくなっていた。
ポケットに中途半端に入れていたのが落ちたのか、…取られたのか。
通り過ぎた際にちらりと視界の端に映ったのは不幸中の幸いだった。
もしくは誰かが「意図して」見つけやすい場所に置いたか。
こんなつまらないことをする同僚の顔を二・三人思い浮かべる。
チー.ムの中でも特に背の低い自分をターゲットにした悪戯にしては、まさに犯人の思惑通り。

届かない。
踏み台を探すには小さなプライドが邪魔をする。人に取ってもらうのも頼みにくい。
なくしたことさえも、まだ誰にも話していなかった。

「めんどくさいなあ…」
ぐっと膝を曲げて勢いよくジャンプした。右手を思いきり伸ばす。チッと皮の感触が指先に触れた。
「ああもう」
見上げるとその指先は少し位置を変えていただけだった。
替え持って来ていたっけ…と考えたその時、左の視界が暗くなる。
背中に体温が密着する。見上げると長い棒のような黒い腕が伸びて、グローブを掴んだ。
<> 大物食いの銃5×10 1/5<>sage<>2009/06/06(土) 20:13:33 ID:Nq404Iem0<> 被った 終わるまで待ちます
スマソ <> その腕に2/4<>sage<>2009/06/06(土) 20:17:04 ID:m42sa9glO<> 「はい」
黒い腕が目の前に下ろされて、グローブは手元に戻る。
「…サンキュ」
「何、お前いじめられてんの?」
「可愛いがられてるんだよ」
「同じ意味だろ」
ふふ、と背の高い彼は笑顔を見せる。
同い年だが、自分とは違って背が高く腕も長く、おまけに顔も綺麗に整っている。
プロのスポーツマンだよなあ…とその顔をじっと見つめた。
手を伸ばしてその二の腕に触れる。
もしその背丈が、その長い腕があれば、昨日の試合であのボールは拾えたかもしれない。

そこで思考は途切れた。
予期せぬことが起こっていた。
「…へ?」
その長い腕がいつの間にか自分の両肩のそばでロッカーを押さえている。
つまりその腕に捕えられていた。
「ええ?」
もう一度問い返す。
「…下から見つめたらアカンなあ…」
「な、何言って…」
腕の脇から逃れようとすると、その長い腕が体に絡みついた。
後ろから抱きつかれるような体勢になる。
何の冗談だろう。これ冗談だよな。
強い力に抵抗しようにも、体の自由がきかない。
相手の熱が、体に侵食して─。 <> その腕に3/4<>sage<>2009/06/06(土) 20:22:52 ID:m42sa9glO<> 顔を上げると年下のチームメ.イトが憮然として立っていた。
一重の目がこちらを真っ直ぐ睨みつけている。
「…何やってるんスか」
「え…あー」
背中にくっついていた体が離れた。
長身の彼は笑いを堪えるようにして口許に手を当てる。
「誘われた」
「ちょっ…!」
言い返す隙を与えず、長い影は空気を絶妙に澱ませて、足早にその場から離れた。
睨みつけていた男は、その背中を見送ってぐるりと顔をこちらに向けた。

「…あいつちょっと…変だよな。ははは…」
取り繕いの言い訳は、彼の無言の前にかき消されたようだった。
普段なかなか感情のよめない彼だが、今ひどく不機嫌なのはよくわかった。
ため息をついて、諦めた。
「嫌な所見られたな…」
「嫌な所を見てしまいました」
「そりゃ悪い」
足早に彼の横を通り過ぎる。
ぽつりと呟くのが聞こえた。
「…グローブ、取れて良かったですね」
「ああ」
背中で応えて、グラウンドに向かって歩く。
すたすたすた。
規則的な早い足音。
…ん?
「おい、お前なんで知ってるんだ」
振り向くも、そこに彼の姿はなかった。
<> その腕に4/4<>sage<>2009/06/06(土) 20:27:40 ID:m42sa9glO<> 「我ながら幼稚すぎたな…」
あの人のグローブを偶然拾って、思い付いたつまらない悪戯。
ふっ、とため息をついた。
「先越されてどうすんだよ…」
先ほどの睨むような視線とは変わって、伏し目がちにうつ向いた。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/06(土) 20:31:56 ID:m42sa9glO<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

単に「背の低い子が背の高い子に物を取ってもらう」シチュが書きたかっただけでした。

>626
お待たせしました。
こちらこそ失礼しました。 <> 大物食いの銃5×10 1/5<>sage<>2009/06/06(土) 20:33:21 ID:Nq404Iem0<> >>630
トン 萌えシチュだな

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  なんかシャワーどっか行きますた
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  初めてなんでズレたら木綿
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 大物食いの銃5×10 2/6<>sage<>2009/06/06(土) 20:35:03 ID:Nq404Iem0<> 水音だと気付くのは、もちろんかなり早かった。
そんなものはクラブハウスで毎日聞いている。
シャワーだ。
ただ、この部屋で聞こえ始めるというのが問題だった。
「何やってんだよ」
(馬鹿シム……考えろよ。人んちだぞ)
フライパンの柄を握り締めながら考えたけど、なんかもう、そう言うんじゃない気がする。
思えば、自分の不用意さに涙がちょちょ切れそうだ。
(くそ)
(どうすんだよ)
(もやしと茄子の豚キムチ炒め)
(じゃなかった……この俺の動揺……)
この際、もやしはどうでもいい。
勿体ないが、豚コマも諦めよう。でもキムチは小室が勧めてくれた良いやつだ。高かった。
(こんな事なら)
(ガンガンマートで特売になってたハウちゃんカレーでも食わせときゃ良かった)
シムがシャワーを浴びている。
その意味の重大さを考えれば、ホイホイと調子に乗ってキッチンに立ってしまった自分を
責めない訳にはいかない。
なぜって。
俺が、一度あいつにフラれてるからだ。
<> 大物食いの銃5×10 3/6<>sage<>2009/06/06(土) 20:36:12 ID:Nq404Iem0<>

シムは覚えてないかも知れない。
何せ酒の席だった。
酔いが回って、外れなくていい頭のネジが何十本て同時に跳ね飛んだんだろう。
あと、若かった。
そういうのもあるかも知れない。そういう事にしておきたい。
酔った勢いでくだを巻き、巻いた挙句にホラ貝よろしくぶん回してご機嫌で、シムが
あんまり気持ち良さそうに俺の選んだ日本酒の銘柄を褒めるもんだから……調子に乗った。

――実は俺、ちょっと前からお前のこと好きなんだけど

砲台があったら自分を300人くらい詰めてアリゾナ辺りに向かって射出したい。
「え?」くらいは引き出せるかと思ったのに、シムの返事ときたらミドルレンジのスーパーボレー。

――俺は、会った瞬間からお前って髪型モッサリだなって思ってる

爽やかな笑顔で差し出された言葉は、俺の貧弱なハートと一緒にバックスタンドに
突き刺さった。
いいんだ……
あいつは酔ってた。そりゃあもうこれ以上ないんじゃないかってくらいご機嫌に酔いまくってた。
俺はそれに流された。
で、つい言っちまったんだ。それだけの事だ。何が悪い。
くそ。
ハラショーだ。 <> 大物食いの銃5×10 4/6<>sage<>2009/06/06(土) 20:37:34 ID:Nq404Iem0<>
ところで、「ちょっと前から」なんてとんでもない。
もうかなりずっと黙ってた。
それこそあいつが「10番」を背負うようになってから、ずっと。
だから、自分でも軽く振ったつもりだった。
失敗したって笑い話に挿げ替えて上手くかわせると思った。
それなのに。
結果、俺が痛感したのは
「保険を掛けた花束なんて差し出すもんじゃない」
って事実だった。
その日はいい加減にぐったりして店を出る羽目になった。
帰り道なんて本当に悲惨で、とりあえず朝起きた時アスファルトに転がってなかったから
どうにか家には帰ったんだろうってくらいの感覚がある程度で、もう本当に全く記憶がない。
次の試合から、俺は髪を結ぶようになった。
我ながら自分の神経の弱さにはクラッカーを鳴らしてやりたい気分だ。
でも、切るのはなんとなくシャクだった。
だってシムは全然、居酒屋でのやり取りを覚えてなかったから。
むしろ、あいつに自分を認めさせてやるまで絶対髪型なんて変えるもんかと思った。
切るのは――そう――なんだ、こら……いい表現が思いつかない。
とにかくあれだ。そう、あいつに豆鉄砲食らったハトみてーな顔させてからだ。
「……」
だけど。
俺が身に着けようと思ったのは、ヘロヘロした輪ゴムだけなんかじゃない。
ダルファーっていう超攻撃的な監督を迎え入れ、4トップが採用された時、俺は目標を立てた。

――キャプテンマークを巻いてやる <> 大物食いの銃5×10 5/6<>sage<>2009/06/06(土) 20:38:53 ID:Nq404Iem0<>
唐突な思いつきだったけど、実際「信念を持って立てた誓い」だったと言っていい。
FWを4枚。
必然的に中盤は薄くなる。
そうしたら、MFに必要とされるのは一体どういう人物か。
(ハードワーカーが絶対に必要になる)
俺は、そう思った。
技術じゃない、閃きよりもセンスよりももっと現実的でシビアなもの、それが中盤に求められると
直感的に思った。
そして――「それ」なら、俺にできると思った。
10番は、シム。
そんなのは分かってる。
ガンナーズの指揮者はあいつだ。花はあいつが抱えてればいい。
でも、「穴」を埋めるのは俺だ。俺じゃなきゃいけない。
そう思って、がむしゃらにやったんだ。
キャプテンになるか体が糸コンニャクになるのが先かってくらい必死に泥まみれになって走って、
ほんと……走って走って走りまくった。
「……バカだよな」
(そしたら)
(いつの間にか)
(俺は本当にキャプテンマークを渡された)
「……」
ぼんやり考える。
(シムとの連携も自然に増えた)
(あいつのプレーから)
(俺に対する信頼を感じるようになった)
(……幸せだって思った)
変な感じだ。
脳内で鳴り響いていたサイレンが、霧のように広がってくみたいな。
水音が聞こえる。静かだ。
それなのに、心臓だけがバケツをガンガン叩いてるみたいにうるさい。
<> 大物食いの銃5×10 6/6<>sage<>2009/06/06(土) 20:40:07 ID:Nq404Iem0<> どうしろって言うのか。
今更だ。
(くそ……さっぱり分からん)
(何で急に)
(忘れてんじゃなかったのか)
(俺をからかってんのか)
(それとも本当に何も考えてないのか……いやそれが一番有り得るけど……)
チームの誰だってこの部屋には上げた事がないのに、訳の分からない呪文みたいに猫の名前を
ブツブツ言いながら上がってきたあいつを止めなかった。
いや、止められなかった。

それは、そういう事だ。

俺は、「あいつの特別」になってやると思ってサッカーを頑張った訳じゃない。
そんなのは違う。
でも、認めさせたいと思ったのは確かだ。
シムの中であの時の俺は、たとえば髪型くらいにしか注目する所がなかった選手だったって事だろう。
それが、キャプテンになって。
ひょんなところから話が合う、なんて事になって。
なんかウマイ感じに話が進んじゃったりなんかして。
「……それがこのザマだ」
深く入り込み過ぎるんじゃなかった。
いつの間にかシャワーの音が止んでいる。
(こんなのは、もうたくさんだ)
途端に状況を見誤って、足元から空がひっくり返る。
こんな――
俺が今抱えてる、バカみたいな、本当にどうしようもない、笑っちまうくらい陳腐で寒気がするくらい
青臭い感情。

(期待、ってやつだ)

本当にこの感情だけは、手に負えない。 <> 大物食いの銃おわり<>sage<>2009/06/06(土) 20:42:04 ID:Nq404Iem0<> ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 失礼シマシタ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/06(土) 20:46:20 ID:Q6JilJSY0<> 自分も被った。もう一回貼っときます。

モララーのビデオ棚in801板49
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/801/1244286210/ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/07(日) 02:19:11 ID:P2LsLssF0<> >>638
乙です!向こうでも言われてることだけど、この容量じゃ仕方なかった
一度ですんなり建つとも限らないものだしね。
そして投下してくださる皆様、いつも色々な萌えを本当にありがとうございます。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/07(日) 12:28:52 ID:PwZW/Ypk0<> 埋め <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/07(日) 15:45:53 ID:DFAx/7pq0<>

埋め


<> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/07(日) 19:12:10 ID:C7B5fmWC0<> 埋める <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/07(日) 20:26:37 ID:06CeXCVrP<> なんかいる <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/07(日) 20:37:53 ID:HUg/F8++0<> な、何が居るんだ!
気になるじゃないか!! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/07(日) 22:01:51 ID:xlGq5cDu0<> あなたのうしろに…



うめ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/07(日) 22:41:38 ID:lvvGcKZR0<> おこじょ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/07(日) 22:48:31 ID:BfAJikae0<> むささび <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/07(日) 22:49:21 ID:0b4ed1ip0<> やまね <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/07(日) 22:51:13 ID:BfAJikae0<> たぬき <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/07(日) 22:51:33 ID:BfAJikae0<> きつね <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/07(日) 23:00:15 ID:mduMJ9xs0<> ねこ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/07(日) 23:00:21 ID:tYWQLz6p0<> まんとひひ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/07(日) 23:03:16 ID:BfAJikae0<> ひつじ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/07(日) 23:12:40 ID:J5AzKpyk0<> じんべいざめ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/07(日) 23:12:44 ID:QRAWHl580<> じゃいあんとぱんだ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/07(日) 23:15:24 ID:mduMJ9xs0<> ダックスフンド <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/07(日) 23:17:58 ID:QRAWHl580<> どあら <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/07(日) 23:18:22 ID:PwZW/Ypk0<> どうやったらちょうど500KBこすのとれるんだろう <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/07(日) 23:36:49 ID:strQ5aOh0<> らっこ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/07(日) 23:49:28 ID:qJ1b3MVz0<> こぷすれ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/08(月) 00:23:24 ID:3xL9oKIo0<> ここは500KBを目指すスレになりました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/08(月) 00:33:32 ID:ufd8IpYsO<> 500!500! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/08(月) 00:35:02 ID:w0Uku2Kx0<> ミシシッピーアカミミガッパ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/08(月) 00:36:20 ID:hpSm752O0<> パンダイルカ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/08(月) 00:43:20 ID:LL/sEkGy0<> −−−−−−−−−− 終了 −−−−−−−−−−− <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/08(月) 00:45:33 ID:w0Uku2Kx0<> だが断る <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/08(月) 00:45:43 ID:rwFyd5aL0<> こいつ……まだ入るぜ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/08(月) 00:46:22 ID:bEWkWJk80<> いいセンスだ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2009/06/08(月) 00:49:33 ID:LL/sEkGy0<>     1         2           3           4

.     __                       __             _
    ,i,_,i_        ,-,_         ,-i,_,l 、      :.. :. ≡=-i'__l,
    |  `i         /'-' `i         //l   l       iコ==ラ`'i ti
    | lヽi li,   →  | lヽl li   →   l i,,l   l |   →     ./  /l/
    | l-'l |,l       | | // l        `"|iコ=''         /  /
.    'Fヲ|,H      E三l_l_A         | .i .|         /  /
    ,i_| .| |                   | || |         i' /l .l,
     -'‐'                      | || |_       l l .ヽ,ヽ,
                          ‐' ' `‐'       -'-'  -'-'
    脱ぐ       たたむ      コーヒーを     砂糖と塩を
                         つくる      まちがえる。 <>