風と木の名無しさん<><>2008/11/20(木) 22:13:39 ID:Nnknh+0f0<> .   ___ ___  ___
  (_  _)(___)(___)      / ̄ ̄ヽ
  (_  _)(__  l (__  | ( ̄ ̄ ̄) | lフ ハ  }
     |__)    ノ_,ノ__ ノ_,ノ  ̄ ̄ ̄ ヽ_ノ,⊥∠、_
         l⌒LOO (  ★★) _l⌒L ┌'^┐l ロ | ロ |
   ∧_∧| __)( ̄ ̄ ̄ )(_,   _)フ 「 | ロ | ロ |
  ( ・∀・)、__)  ̄フ 厂  (_,ィ |  </LトJ_几l_几! in 801板
                  ̄       ̄
        ◎ Morara's Movie Shelf. ◎

モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。

   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |[]_||  |      | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ]_||
   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
   |[][][]._\______   ____________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |[]_|| / |/    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.||  |[]_||
    |[][][][][][][]//||  | ̄∧_∧     |[][][][][][][][].||  |  ̄
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ( ・∀・ ) _ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.||  |
   |[][][][][][][][]_|| / (    つ|8l|.|[][][][]_[][][]_.|| /
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    | | |  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    (__)_)
前スレ
モララーのビデオ棚in801板42
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/801/1224159814/

ローカルルールの説明、およびテンプレは>>2-9のあたり

保管サイト(携帯可/お絵描き掲示板・うpろだ有)
http://morara.kazeki.net/ <>モララーのビデオ棚in801板43 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/20(木) 22:15:10 ID:Nnknh+0f0<> ★モララーのビデオ棚in801板ローカルルール★

1.ノンジャンルの自作ネタ発表の場です。
書き込むネタはノンジャンル。SS・小ネタ・AAネタ等801ネタであれば何でもあり。

(1)長時間に及ぶスレ占拠防止のためリアルタイムでの書き込みは控え、
   あらかじめメモ帳等に書いた物をコピペで投下してください。
(2)第三者から見ての投下終了判断のため作品の前後に開始AAと終了AA(>>3->>7辺り)を入れて下さい。
(3)作品のナンバリングは「タイトル1/9」〜「タイトル9/9」のように投下数の分数明記を推奨。
   また、複数の書き手による同ジャンルの作品判別のためサブタイトルを付けて頂くと助かります。

※シリーズ物・長編物の規制はありませんが、連投規制やスレ容量(500KB)を確認してスレを占拠しないようお願いします。
※感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬はほどほどに。
※「公共の場」である事を念頭にお互い譲り合いの精神を忘れずに。

相談・議論等は避難所の掲示板で
http://s.z-z.jp/?morara <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/20(木) 22:15:46 ID:Nnknh+0f0<> 2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリー物であろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。

  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
  | いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
  \                           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . |
                               | | [][] PAUSE       | . |
                ∧_∧         | |                  | . |
          ┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ      | |                  | . |
          | |,,  (    つ◇       | |                  | . |
          | ||―(_ ┐┐―||        |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   |
          | ||   (__)_), ||       |  °°   ∞   ≡ ≡   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/20(木) 22:16:21 ID:Nnknh+0f0<> 3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。

別に義務ではないけどね。

テンプレ1

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  モララーのビデオを見るモナ‥‥。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  きっと楽しんでもらえるよ。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/20(木) 22:16:55 ID:Nnknh+0f0<> テンプレ2
          _________
       |┌───────┐|
       |│l> play.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
   ∧∧
   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   )
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |            ┌‐^──────────────
  └──────│たまにはみんなと一緒に見るよ
                └───────────────

          _________
       |┌───────┐|
       |│ロ stop.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]

                 ピッ ∧_∧
                ◇,,(∀・  ) ヤッパリ ヒトリデコソーリミルヨ
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |                                |
  └────────────────┘ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/20(木) 22:17:31 ID:Nnknh+0f0<> テンプレ3
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < みんなで
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < ワイワイ
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 見るからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < やっぱり
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < この体勢は
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ〜
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 無理があるからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ" <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/20(木) 22:18:05 ID:Nnknh+0f0<> テンプレ4

携帯用区切りAA

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

中略

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

中略

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/20(木) 22:18:41 ID:Nnknh+0f0<>  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも
 |
 | ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ
 | ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送
 | ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像
 | ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ
 | ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像
 | ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像
 | ・意味不明、出所不明な映像の切れ端
 \___  _____________________
       |/
     ∧_∧
 _ ( ・∀・ )
 |l8|と     つ◎
  ̄ | | |
    (__)_)
       |\
 / ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 媒体も
 | 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど
 | 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。
 \_________________________ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/20(木) 22:19:48 ID:Nnknh+0f0<>    |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   じゃ、そろそろ楽しもうか。
   |[][][]__\______  _________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |       |/
    |[][][][][][][]//|| |  ∧_∧
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ )
   |[][][][][][][][]_||/ (     )
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   | | |
              (__)_) <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/20(木) 22:24:41 ID:Rh+KJRocO<> >1乙です!
どうもありがとう!

前スレ訪問者、続き気になるわ〜。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/20(木) 23:13:09 ID:4KRClNCZ0<> >>1

そして棚のAA修正も乙!!!
<> オリジナル4/4<>sage<>2008/11/20(木) 23:54:50 ID:nciMBZ/k0<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
1さん乙です。さっそく使わせてもらいます。
オリジナル。現代もの。オナホ開発部リーダーのターン。


六六六は上司としてまったく尊敬できない男の顔を思い浮かべながら「あ!」と思った。
あの男にも唯一評価できる事がある。
志井商事のオナホ開発部門の資料室には、古今東西のオナホとオナニーにまつわる
たくさんの本がサブカルチャー的なものからぶ厚い学術文献まで所狭しと並べられている。
本だけじゃない。国内外のオナホールも充実している。今世紀、地球上で発売された
オナホであの資料室にないものはないだろう。いつでも、ミュージアムとして
オープンできる品揃えだ。噂によるとその全てがあの上司の私物らしい。
上司の手帳には、世界中のオナホ・メーカーの新商品の発売日が明記されており、
その全てをコレクション用とオナニー用に1個ずつ逐一購入しているとか。
そういえば、資料室のオナホールにはすべて上司の体感レポートが添えられている。
アイデア会議の際、資料として配られるレポートはそこそこ役に立つ。
オナニーとオナホへの飽くなき探究心。そこだけは評価しなければと六六六は思った。 <> オリジナル2/4<>sage<>2008/11/20(木) 23:56:13 ID:nciMBZ/k0<> ナンバリング間違えました。ごめんなさい。上は1/4です。

【タイプ】非貫通系・簡易ホール【内部構造】ヒダのみ 【販売価格】700円。
バキュームは弱いがスクロールすると気持ちよい。
肉厚感がもう少し欲しい。
ローションは大量に注入した方が◎。売りは素材の柔らかさと密着感か?

いつかの会議で目にした上司のとあるレポートがふっと六六六の頭をよぎった。
オナニーなどしそうにない貴婦人然としたあの男が、オナニーをしている……。
ちょっとだけ想像した美しい上司の烈しいオナニーはやたらと悩ましく思えた。
(やばい。あぶねーな……)
六六六は常識人だ。六六六の常識では同性の上司のオナニー姿を想像することは
なかなかにアブノーマルな領域に入る。
六六六は脳内から、「歓喜のクライマックスをむかえ、喜悦の表情を浮かべている上司の
無修正動画」と「濡れた股間の静止画像」を追い出した。否、追い出す前に
ちょっとだけ「濡れた半開きの股を拭う手」をズームアップし見入った。 <> オリジナル3/4<>sage<>2008/11/20(木) 23:56:58 ID:nciMBZ/k0<> もっと見たい。まだ見たい。不意にそう思っている自分に気がつき、
六六六は勢いをつけ頭を左右に振った。いばら道をゆく気はさらさらない。
落ち着いてよくよく考えれば、オナニーとオナホへの飽くなき探究心を持つ上司は、
ある意味すごい人でも何でもなく単なる変態だ。
「俺の上司は魅力のない変態」
六六六は声に出し、自分に言い聞かせるようにそう唱えた。
はやく次ぎの職場を見つけよう。転職サイトを眺めながら六六六は強くそう思った。 <> オリジナル4/4<>sage<>2008/11/20(木) 23:57:33 ID:nciMBZ/k0<> そういえば、前職でコンビを組んでいた三鷹という男も
転職を視野に入れていると言っていた。三鷹と事業を起こすのも手かもしれない。
俺の背中はお前に預けた。お前の背中は俺が守る。
三鷹は六六六にとってそう言える相手だった。プライベートでの付き合いは
ほぼなく、友情(笑)はさほど育んでいないが、ビジネスパートナーとしては
この上なく最高の相方だった。二人でつくりあげた歯ブラシはいまも売れつづけている。
交際相手とのセックス回数がセフレとするより少ないとか、
1年半近く付き合っている相手と、実際会った回数は30回強ぐらいかもとか、
相手の名字は知っているけれど名前は知らないとか、
六六六の感覚ではそれは付き合っているうちに入るのか!? というような、
聞けば聞くほど唖然とする恋愛(笑)をするいい加減な男だが、仕事はできる。
(声をかけてみようか)


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 第一×第二 1/4<>sage<>2008/11/21(金) 14:50:09 ID:5Kk5NomXO<> 1さん乙です!

ドラマばち☆6話ED中の助手コンビを妄想して書き殴り
えろもなければちゅーもない、よ


|> PLAY ピッ ◇⊂ (・∀・ )ジサクジエンガオオクリシマス


中庭に面した薄暗い廊下でひとりソファに座り込み、坂井は茫然と虚空を見つめていた。
黒埼達の怒号は聞こえていたが、だからといって体は全く何の反応もしようとはしなかった。
この場から逃げ出して、それでどうしようというのか。
樋室の魂胆を推察しようと試みて、すぐに無駄な事だと放棄する。
オペ室で最後にすれ違った時、万に一つでも坂井へ向けられた感情があったとすれば
それは酷く鋭利な棘を含んだ絶対零度の拒絶だった。
あれは見たこともない恐ろしく暗い闇だ。ともすれば飲み込まれてしまいそうな恐怖に
足が竦んで、坂井はその深淵に近付く事さえ出来きなかった。 <> 第一×第二 2/4<>sage<>2008/11/21(金) 14:51:27 ID:5Kk5NomXO<> それからどうしてこの場所へやって来たのかよく憶えていない。
気が付くと、許容しきれない現実から逃れるようにオペ室を離れ、ここに居た。
未だ薄い手術衣のままいるせいで体は冷えきっていたが、そんな事を気にする余裕もない。

ふいに、こつん、とリノリウムの床が硬い音を響かせた。
坂井は反射的に息を呑む。
瞬間頭に浮かんだあり得ない可能性を振り払って顔を上げると、そこには柿谷の姿があった。
「あいつだと思ったか?」
呟いて、苦く笑う。すっかり白衣に着替え終えて表面上は平静を装いながら。
それでも、いつも通りの表情を作ることには少しばかり失敗している。
そのまま何もいえないでいる坂井の隣へ柿谷も腰を下ろした。
会話はない。互いに沈黙したまま、時間だけが過ぎる。 <> 第一×第二 3/4<>sage<>2008/11/21(金) 14:52:40 ID:5Kk5NomXO<> 「…どうして」
やがて、坂井の口から掠れた声が漏れた。
「どうして、こんな、」 こんな事になってしまったのか。なぜ樋室はこんな大罪を犯したのか。
言葉をうまく紡ごうとすればするほど頭の中は混乱して、何を言おうとしているのか
坂井自身にもよく分からない。柿谷も、何も応えない。

樋室の裏切りが許せなかった。でもそれ以上に、白取の忠告にも多口の切実な訴えにも
頑として耳を貸さず、そればかりか外科医になれなかった人間の妬みだと蔑んでさえいた
自身の幼稚な慢心が愚かしくて、羞恥に押し潰されそうだ。

二度目の沈黙。それきり口を閉ざして俯いた坂井の背に、骨ばった掌が添えられた。
布越しにじわりと伝わる熱の優しさに唇が震え、眼の奥がつんと痛む。
ややあって、唐突に柿谷が坂井の体を強く引き寄せた。
柿谷の体は温かかった。崩壊寸前だった坂井の堰が、緩やかに解放されてゆく。 <> 第一×第二 4/4<>sage<>2008/11/21(金) 14:53:34 ID:5Kk5NomXO<> 喉の奥から嗚咽が込み上げた。
鼻先に水滴のつたう感触があって、坂井は自分が泣いている事を知る。
震えるその背に回した両腕に力を込めていっそう強く、柿谷は坂井を掻き抱いた。

サイレンの音が聞こえ始め、騒ぎを知った部外の医師達が何人か慌しく横を通り過ぎる。
途中、尋常でない二人の様子に足を止め、好奇混じりの訝しい視線を向けてくる者もあったが
それらは柿谷に鋭く睨み付けられ、そそくさと立ち去るより他になかった。

「…いいんですか」
情けなく鼻を啜り上げながら坂井は柿谷に問う。
「何が」
短くそう言って、柿谷は坂井の頬を撫でた。
「変に、思われますよ…おかしな…噂、立てられたり」
「構わんよ」
言わせておけばいい。柿谷の言葉が、ひび割れた心を包み込む。
その優しさに甘え、どうかもう少しこの時が続けば良いと、坂井はただそれだけを願った。


□ STOP ピッ ◇⊂ (・∀・ ) イジョウ、ジサクジエンデシタ

次の放送までなら許されると思ってやった。反省はしていない <> オリジナル 1/2<>sage<>2008/11/21(金) 22:56:53 ID:3PV/HaJk0<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!女装子×ソフトマッチョだよ!

「なあ、今度はお前の分も用意しようか」
レースのたくさんついたひらひらのやつ。
俺の上でそんなイカれた事を奴が言う。俺の分?冗談じゃない。女装した男に犯されてる時点でもう俺のなけなしのプライドはズタズタだっていうのに!
「あ、こら、ちゃんと顔上げとけよ。何のためにこんなデカイ鏡のついた良い部屋取ったと思ってんの」
そうだ、この腐れ外道がまともなホテルの部屋を取ったって事実から疑うべきだった。妙に気取った紳士淑女(どうせやることは一つのくせに)が談笑してるロビーでデカイ図体縮こまらせて座ってるなんて俺は馬鹿か!
こいつが安っぽいギャング映画のヒロインみたいな真っ黒なドレスを着てやって来た時に逃げ出せばよかった。ご丁寧にカツラまで被って爪と唇を真っ赤に塗る念の入れようだ。本当に逃げ出せばよかった。
後悔はさざ波のごとく押し寄せる。あと快感も。そう、おぞましい事に俺は感じている。
「まあ僕の美貌にはかなわないだろうけど、お前も結構良い線いくと思うよ?ちょっとごついけど!そうだ、そうしたら後ろだけでイってみようか。女の子だし。こんなに善がってんだし、ん、大丈夫じゃない?ね?」
美貌が聞いて呆れる程の強引さで俺の顎を掴み、無理やり鏡の方へ向けさせる。
目眩がする―そこに写るのはきついスリットの入った、妙にちかちかしたドレスを着た美女(に見える野郎)に備え付けのバーの洒落たテーブルに押し付けられて涙を流して喘いでいるマヌケ(つまり俺)の姿だ。
いったい腐れ縁だからといって倒錯的な趣味に付き合ってやる必要はあるのだろうか?
「ねえ、女に犯されてるっていうのに随分可愛い声をだすじゃない?」
品を作った声で囁かれて鳥肌が立つ。不快さからだけで無いのは爪先まで走った痺れで分かる。俺も焼きが回ったとしか言い様がない。
「…ッ、そんな締め付けんなよ。ナァに今の、良かった?」
俺が突っ込んでいたなら言い訳のしようもあったろうが、これでは俺も立派な変態だ。大体性別を間違えて産まれたような女顔にこんなに立派なものを与える必要があったのかよ。他に恨む相手もいないので神を毒づく。ああ、クソ、気持ちいい。 <> オリジナル 2/2<>sage<>2008/11/21(金) 22:57:22 ID:3PV/HaJk0<> 「集中しろよ」
神様相手に嫉妬か、おめでてーな、そう思ったのは目の前が真っ白になった後だった。
「何、早くない?そんなんじゃもう抱けないね」
何故か嬉しそうに言いながら突き上げる動きにイッたばかりだからというのに煽られる。無駄に立派な上に長持ちって本気で死ね。もう今夜何度目になるか分からないが胸の内で吐き捨てる。
「安心しな、お前の尻の面倒ならみてやるからさ」
大体抱くとか抱かないとか、自分はやりたい放題の癖に俺が一度不安になって女の子と試してみようとしたらどこからか嗅ぎ付けてきて俺を半殺しにしたのはお前だろうが。口にはしない辺り俺も成長した、全く嬉しくはない方向へではあるが。
「あーイきそう、ガンシャしていい?ウソ嘘、服が汚れたら困るもん。やっぱり僕お前の尻が一番好きだよ。形も良いし筋肉の付き具合も最高だしね。うんやっぱりレースの下着も用意してあげるね」
饒舌なのは興奮している証拠だ。こいつは俺のケツが好きで中に出した自分の精液が流れ出てくるのを見るのが好きだ。やられる方は堪ったものではない。死ね。
なんだって俺は尻フェチで女装癖の変態鬼畜野郎とズルズル性交渉を重ねるんだろうか。脱力して埋まるぐらいふかふかの絨毯に身を任せる。
俺の腕は掴んで離さない、とりあえず今は満足した様子の(カツラの髪を無駄に色っぽい仕草でかき上げている、始末に負えない)男を鏡越しに見ながら軽くため息をつく。それをどう取ったのか、浮かれた声が降ってくる。
「しかしお前もアレだね、スキモノだねえ」
――くたばれ!

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・;)イジョウ、ジサクジエンデシタ!変態さん祭りになってしまった・・ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/22(土) 00:02:39 ID:Werh21VD0<> >>21
さっさいこうです・・・・・女装変態攻めもえー!! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/22(土) 00:34:45 ID:O80Z5Sca0<> >>20
これは良いものだ
受けの自問自答っぷりが可愛すぎる <> オリジナル えせ時代劇風1/9<>sage<>2008/11/22(土) 01:21:57 ID:2BZ/1PkgO<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
前スレの続きです。オリジナル。遊郭の番頭さんと化粧師さんの話。



ことを知ってからの、それからの女将は素早かった。すぐ髪を結い茶屋へ出向いては、朝餉の支度と泊まりの
客に小さく挨拶を済ませ、密かに後朝の別れを惜しむ(ふりの)遊女の顔と数を確かめる。親父はさすがに静
かに、だが若衆かむろの餓鬼まで叩き起こし、提灯を持たせた。
遊女に逃げられたのでは、見世の恥だ。面目丸つぶれだ。
暁七ツの鐘が鳴って間もない。明六ツ、大門が開きその先の、見返り柳や首尾の松まで籠かきどもがえいちら
おいちらやってくるのは、まだ先だ。
東の空も白まず、外はしずかに冷え切っている。遣り手の女どもやかむろは廓に散る、男衆は明かりを手に手
に駆ける。
涙雨はようやく霧雨、もやとなり、剥き出しの首や手に雨上がりの怜悧が刺さった。お歯黒どぶも雨水を吸い
膨れ上がっている。吉原この苦界の大門をくぐり、堤燈の群れはてんでばらばらになる。
たった一つの大門は、女は通さぬ。この色街ぐるりを取り囲むお歯黒どぶも、遊女を逃がさぬためだ。まさに
廓よ、と世に言われる。 <> オリジナル 2/9<>sage<>2008/11/22(土) 01:24:15 ID:2BZ/1PkgO<> しかし折りしも昨夜の大雨、夜陰に乗じて抜け出したとも限らぬ。探し引きずり出して来いと、言われるまで
もなくみな承知している。足抜けは許さぬというのが、この街の最大の掟だ。
己は昨日の、あの若衆と一緒になった。不寝番をしていたくせに、何も見聞きせなんだかと女将にどやされた
ところを引っ張り出した。名にひとつ銀の字がつくのでそう呼ばれている。呼ぶと助かったとばかりに堤燈を
片手に飛んできた。
ばしゃばしゃと足音が散る。走れば冷たい泥がはね、掛けた蓑も既に湿り始めている。
日本堤へ飛び出せば不意にその若衆が、兄い、狐火が来るぜと叫んだ。
「狐火だと」
堤下の堀川(右へ下りると大川へ注ぐ)も荒れ狂っている。どどと飛沫の音が聞こえ、その上の方を若衆は指
差す。
手元の堤燈灯りもぼやける朝もやのなか、真っ直ぐの川べりの先に揺ら揺らしている何かが、少しずつ近づい
て来るようだ。
揺らぎ揺らめき、薄ぼんやりと得体はようとして知れぬ。川面を渡るのであれば、本物の化生の類か。
思わずかじかんだ手で懐の匕首を握り締めた。客の誰それが、首尾の松には女郎の祟りが出るだとか、花魁道
中の狐の嫁入りを見ただとか口にしていたことがある。 <> オリジナル 3/9<>sage<>2008/11/22(土) 01:26:00 ID:2BZ/1PkgO<> おい丑三ツはとうに終いだぜ、呟く。
さらに狐だ、化かしにきやがったと騒ぐのを馬鹿言うなと一喝したら、思いもかけずそちらから声がした。
「朝っぱらからこんな処で、何の騒ぎだい」
徐々に近づいてくるそれに、素っ頓狂な声で化粧師の名を叫んだのは、連れの若い衆だった。
「聞いた声だと思ったら、旦那らじゃねえか」
がらころ、下駄の音も泥水のせいで冴えぬ。もやの中から不意にぬっと顔を出した化粧師の姿は、暗い灯りだ
けでもわかるほどに濡れている。
見た此方のほうがぞっとした。この染みる冷えの中まるで平然と、それこそ化生か。しかし吐く息は、お互い
おぼろに白い。
堤燈は借りたんだがなと化粧師はぼやいた。まァいい処で逢った、と続ける。
「あんた、その蓑でも借してくんねえか」
「借りるったって、あんた、もう」
呆れたはずみで掠れた声で言った。藍染も黒々となるまでぐっしょり濡れそぼって、蓑も笠もあるものか。こ
めかみにはりついた髪から、ついと雫が伝っている。芯まで濡れている。
商売道具の漆箱はと見ればいつもの袱紗ではなく、油紙と風呂敷で幾重にも巻かれて懐深く仕舞われていた。
らしい野郎だ。
「一雨降られた」 <> オリジナル 4/9<>sage<>2008/11/22(土) 01:28:15 ID:2BZ/1PkgO<> 昨夜の雨を指すなら、それは一雨どころの騒ぎではない。夜半すぎから小雨となり、朝まだきの今ようやく朝
もや、細かな霧となったところだ。まるでとっぷり更けた丑三ツから、どうどうとわめきがなる川辺をうろついてい
たとでもいうのか。
祝言の夜宴明けなのだと言う。それよか此方の騒ぎはどうしたと若衆を捉まえるが、その手の案内が苦手な男
だ、さっぱり要領を得ない。かと言ってさて、どう話したものかと思案に暮れかけたとき、己の目に堀川のほうか
らぴかり、靄を突いてなにやら光るものが見えた。頼りない堤燈ふたつの灯りの中、僅かにあかるい東空よりも
確かな光を感じる。
口ごもる若衆を問い詰める化粧師を放って、堤燈を掲げそろそろと堤を下りた。葦の茂みに隠されているもの
の、その泥水はやはり思ったよりもずっと近くで猛り渦を巻いている。
兄いどしたい、と慌て大声で若衆が問う。頭の出来は悪くないのだが、早とちりとこのせっかちな性質のせい
で、時折鬱陶しく思うこともある。
その葦の間から、引っかかっているものをやっとの思いですくいあげ、滑りそうになる足をはげまし堤を上が
った。泳ぎは不得手ではないが、しかし落ちれば自信は無い。 <> オリジナル 5/9<>sage<>2008/11/22(土) 01:30:46 ID:2BZ/1PkgO<> わいわいと、危ねえよと騒ぐやからの下へ上ってくれば、化粧師も聞いてきた。
「いったい何だってんだ」
まじまじと眺めている己に二人して問う。此方はと言えば、飛沫で少し濡れた足が切れるように冷えた。
この男、よく寒さを口にせずにいられるものだ。
「いや、新造が」
しかし、その名を言いかけてすんでのところで口をつぐむ。やはり見世の一大事になりかねないことを、いく
ら出入りの化粧師とはいえ、この男に言っていいものか。
「新造が、どうした」
化粧師の足元へ、ほたほたとしずくが伝って新たな染みを作っていた。それは白々と明け始めた朝ぼらけ
の中、泥へ沈んですぐに消え行く。
無言で、提灯にかかげていたそれを放り投げると、化粧師は訝しげに手に取りまじまじと眺めた。黒柘植の、
椿の油ののり具合もあって、うまくすれば暗い中でもぴかぴかと光る。ちらちら花模様がすかしてある。
若衆が盛大にくしゃみをした。鼻が冷えるのだろう、おお寒とうっすら呟いて蓑の下で二の腕を震わせる。
しかし己は黙って垂れるしずくを見る。時折もやで明かりの具合がまだらになる。
「間違いねぇ」
ややあって、化粧師はぽつりと呟いた。水の垂れる手でそれを差し出す。 <> オリジナル 6/9<>sage<>2008/11/22(土) 01:33:08 ID:2BZ/1PkgO<> 「俺の櫛だ」
まさか、と続けるその押し殺した言葉に、察したようだと諦めのため息をついた。既に当人に言われるまでも
なく、見覚えがあった。
この化粧師が細工して、あの振袖新造に手渡していた櫛だ。
名の壱字にちなんで、菊花の紋があしらってある。誰の目にも明らかだった。
諦めと厄介のため息をもう一つついた。これはきっと、面倒なことになった。自慢じゃないが、面倒ごと、厄
介ごとに巻き込まれるのはめっぽう得意だ。
櫛を受け取るとき触れた手の冷たさに、改めて化粧師を見やると、無言だった。漸くぼうやり見え始めた目つ
きや息の白さが、何かを頭の中で警鐘のように鳴らす。
二言三言、その唇がかたどったように見えた
が声は無い。川のどどの音が掻き消したのではないことはわかる。
ふといつぞや、こんなことがあったと思い出す。ああ確かにあった。それまでも付き合いはそれなりに長かっ
たが、だがこんな癖があったとは露知らぬ。
あの時はまるで逢う魔が刻で、しかし今は違う。丑三ツでもない、今はまた別の時だ。
「叶うわけねえと」
言ったのはあんただろうと、思わずこぼれ告げた。若衆は怪訝な顔をしたし、化粧師はそれでも黙っていた。 <> オリジナル 7/9<>sage<>2008/11/22(土) 01:38:39 ID:2BZ/1PkgO<> そしてまた同じことが繰り返される。
何か、声ならぬ何かがそこに在る。そんな眼をするな。
ぶるりと己が方が震えた。冷えているのはあんたのほうだ、とそれはわかっていたが、身に堪えたのは己だっ
た。ぼやぼやともやも白くなり始める、化粧師はそれを身にまとっているかのように見える。この冷たさすら
もだ。
ゆっくり眼が合った。本当に、そんな眼をするなよと言いたいところをぐっと堪えた。なあ寒くはないのか、
それとも冷えてもいないのか。
夜が明け始める。化粧師は、雨にも冬にも馴染んでいる。
どっどと、ごおごおと、何かを飲み込みかねない水音はする。風はなくそれは救いだ。だが己の肌もべたり
濡れ始めていた。
その骨まで冷えようかという冬雨に、いともしっくりくる。頬に雨すじをつけたその馴染みっぷりが、どうにも
好い。たまらなく好い。この寒い中でも、芯から冷えている体でも、ひどく欲しいと思う。あんたであれば何で
あろうとかまわんとまで思った。それが化生の類でもかまわぬ。
堤燈が狐火のように思えたのは、満更見当違いでもないのでは。薄い目、口つき、白くない頬。
そういえば、昨夜の夢であんたは何と言った。今も何を言ったんだ。 <> オリジナル 終わり<>sage<>2008/11/22(土) 01:41:14 ID:2BZ/1PkgO<> 美形でもなく、女のような色香も無い。だから、これは良くある煩いではないのだ。静かに言えば狂ってい
る。確かに本当に狂っている、と己に呟き思う。
こいつはつらいな、と思った。
ただ待ってんだ。この身からあんたが出て行くのを。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
諦めたらそこで試合終了ですよ

ナンバリングミスってすみません… <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/22(土) 01:44:53 ID:RduQPIGv0<> 寝る前にのぞいて良かったー!!
心中してしまったのかな、二人は…。化粧師さんと番頭さんの今後も気になる。
すごく好みかつ憧れの文体です。ほんとGJです。 <> 超掌編、二次、1/2<>sage<>2008/11/22(土) 03:47:19 ID:/uxvWfITO<> 元ネタ「蟻案ロッド・リプレイ・口紅」 トラン×クリス前提で 本編終了から一年後の設定

|>PLAY ピッ ◇⊂ (・∀・ ) ジサクジエンガ オオクリシマース!

簡素な墓石に花を添え、神への祈りを終えたクリスは、ふと気配を感じ振り返った
「やれやれ、これだから神殿は」
肩を竦めながら微笑むレントに苦笑を返す
「お前も弔いに来たのか?」
「なぜ私が? 前任者とは何の面識もないんですよ」
言いながらも、摘んで来たのだろう野花を墓前に手向け
「反神殿組織である、我がダイナストカバルの幹部、トラン・セプター。貴方の遺志は私が引き継ぎましょう」
瞑目するでもなく、祈る訳でもなく。ただ淡々と誓いを述べる
「祈り位捧げたらどうだ、悪の組織の幹部」
仮にも聖騎士の前なんだぞ。と、敢えて茶々を入れてみる。
「聞こえなかったのか、クリス・ファーディナント。我が組織、ネオ・ダイナストカバルは地域住民の皆様に愛される反神殿組織。神への祈りなど不要。…これだから神殿の犬は」
こちらも、敢えていつも通りな返答を返す。
そう、それはトランが生前の頃から頻繁にやり取りされていた、他愛のない言葉の応酬。

レントは来た時と同じ様にふらりと元来た道を帰って行く。 <> 超掌編、二次、2/2<>sage<>2008/11/22(土) 03:49:08 ID:/uxvWfITO<> ただ、ポンとクリスの肩を叩いてから。
それはレントなりの慰めだったのかもしれない。


アルテナから聞いた
『レントの記憶回路の一部は、トランの部品を使ったんだ』
という言葉に、ノエルとエイプリルは純粋に嬉しそうな顔をしていた。
自分は…どんな表情をしていた?
喜び?困惑?
初めて会った時のレントは、理路整然・効率優先の言動しかしなかった。
だが今、レントはかなり人間くさい行動をとる様になってきている。
(なあ、トラン。最近レントが気になると言ったら、お前は怒るだろうか?)
墓石に向かって語りかける。
あの熾烈な神竜との戦闘時、確かにレントに重なったトランを見た。
あれから、自分に芽生えた新しい想い。
果たして、これから続く旅で答えが出るのだろうか?

「行きますよ、クリス」
呼んでいるレントにトランが重なって見えた気がした。

そっとトランの墓石を撫でてから、クリスはレントに向かって歩き出した。
また、冒険の日々が始まる。

□ STOP ピッ ◇⊂ (・∀・ ) イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 超掌編・補足<>sage<>2008/11/22(土) 03:55:38 ID:/uxvWfITO<> 原作知らない方には
?(-"-;)?

な話でスミマセン…m(_ _)m

トランとレントは人造生命で、
トランは話の途中で亡くなってます。
ノエルやエイプリルは旅の仲間です。

失礼しましたm(_ _)m <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/22(土) 07:47:58 ID:DyX7egBc0<> >>16
ありがとうございました!
萌えた! すごい萌えた…!!
受け攻め定まってなかったんですが、第一第二に目覚めました <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/22(土) 21:43:43 ID:5cABCLxg0<> ちょっと失礼
ただいま前スレ埋め立て中(あと5KB)
前スレの神々にコメントし損ねたこと等ある人、是非書いてきてください。 <> 磯っ夫寓話 1/7<>sage<>2008/11/22(土) 22:32:28 ID:64LpId3U0<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 照りつける太陽の下、私は一歩、また一歩と砂の上を歩いていく。背負った荷物がひ
どく重かった。膝が重さに耐えかねて微かに震えている。私は負けじと足を踏ん張って
歩を進める。肩に食い込む重みは徐々に鈍い痛みへと変わっていっていた。一度荷物を
降ろして休みたかったが、後ろにはまだ仲間たちが続いている。私がここで立ち止まる
訳にはいかない。眼前には陽炎が揺らぎ、前を歩く仲間たちの背中が歪んで見える。と
めどなく流れ落ちてくる額の汗を手の甲で強く拭い、私は荷物を背負い直した。

 砂と石だけだった周囲の景色に、少しずつ緑の草木が混ざり始めた。頭上には赤や黄
色の花々が咲いているのも見える。この辺りからは日陰も多くなるし、地面もいくらか
歩きやすくなってくる。このままあと少し進めば、私たちの住処だ。漸く見え始めたゴ
ールにほっと気が緩んだ瞬間、地を蹴った筈の一歩がずるっと石の上を滑った。
「っ、あ」
 前のめりにバランスが崩れる。まずい――と思う間もなく、私は勢いよく地面に倒れ
臥していた。
「っ……」
 急いで体を起こそうとするが、疲弊しきった足腰と痛む膝に阻まれて、なかなかうま
く動けない。仲間たちは自分の荷物を運ぶのに精一杯で、勝手に転んだ私などに構って
いる暇はないだろう。なんとかして起きあがろうと顔を上げた私の目を、金色の輝きが
射った。
「平気?」
 陽光に透けてきらきらと輝くそれは、私の傍にしゃがんでいた青年の髪だった。柔ら
かそうな金髪に、茶色の大きな瞳もやや金を帯びて輝いている。青年は鮮やかなライト
グリーンのシャツに包まれた細長い腕を、舞台俳優の如き優雅な仕草でこちらに差し伸
べた。 <> 磯っ夫寓話 2/7<>sage<>2008/11/22(土) 22:34:35 ID:64LpId3U0<>  この派手な青年には、見覚えがある。一度も話したことはないし、これからも会話を
することなどないだろうと思っていたが。
「キ、キリギリス君……」
「どーも、アリさん。どこもケガはしてないよな。荷物背負ったままで立てる?」
「あ、ああ」
「よし、じゃー行くよー。せーのっ」
 キリギリスは私の手を強く掴むと、そのまま勢いよく引っ張り上げた。ふっと体重が
軽くなった気がして、次の瞬間、私は自分の足で地面に立っていた。
「ん、ちゃんと立てた?良かったね」
 キリギリスは屈託なく笑う。私は少し顔が熱いのを感じながら頭を下げた。助けても
らったのはありがたいが、よく知らない男に転んでいるところを見られ、しかも助け起
こされたというのは大分気恥ずかしい。
「……ありがとう。助かったよ」
「いいよ、たまたま通りかかっただけだし。つーかさ、こんなとこで倒れてたら邪魔っ
しょ」
 キリギリスは脇に置いていたらしい四角い鞄を肩にかけると、両手を頭の後ろで
組んでしげしげと私の姿を見つめる。私の爪先から頭まで無遠慮な視線を走らせ、
「しっかしご苦労さんだよね、そんな重い荷物背負って真っ黒い服着て行列してさあ。
しかもアリさんたち毎日そうやって働いてるでしょ?やばいよね、俺ぜーったいマネ
できない」
 キリギリスは笑いを含んだ声で言った。先刻とは別の意味でカッと顔が熱くなる。キ
リギリスの美しい服と引き比べて己の砂にまみれた黒い服が恥ずかしく、同時にあまり
にも不躾な物言いが頭にきた。私だって好きで毎日重い荷物を運んでいる訳ではない。
第一、今食料を蓄えておかなければ冬を越せないのはキリギリスだって同じ筈だ。私は
唇を噛んで、キリギリスの顔を睨みつけた。 <> 磯っ夫寓話 3/7<>sage<>2008/11/22(土) 22:36:44 ID:64LpId3U0<> 「冬に飢え死にしてもいいのなら、私もあなたみたいに遊んで暮らしますけどね。生憎
私はごめんですから」
 口に出してしまってから、助けられた身で少し言い過ぎたかと後悔したが、キリギリ
スは意に介した風もなく鼻先で笑って、肩にかけた四角い鞄を地面に下ろして蓋を開けた。
「そんな先のこと俺には分かんないから。それにさ、俺は働いてる暇なんかないの」
 その中から現れたのは、優美な曲線を描くバイオリンとその弓だった。夏の明るい陽
光を受けたバイオリンは、何ともつややかな飴色に輝いている。
「弾かないと、すぐ下手になるし」
 キリギリスはバイオリンと弓を手にして呟くと、鞄を肩にかけ鮮やかに身を翻して
近くの葉の上に飛び乗った。バイオリンを構えながら顔だけをこちらに向けて、逆光
の中、唇の端でにっと笑う。
「じゃあね、アリさんも早く行列に戻りなよ。置いてかれるぜ?」
 振り向くと、列の最後尾の仲間がこちらを振り返り振り返り歩いていくところだった。
私は慌ててその後に続く。
 土を踏みしめ、再び住処に向かって歩き始めた私の耳に、遙か頭上からバイオリンの
優雅な旋律が降ってきた。私は思わず足を止めて空を仰ぐ。キリギリスの姿は見えない
が、音の連なりは絶え間なくきらきらと降り注いでくる。
 どこまでも明るく澄みきった音に、ふとあの陽に透ける美しい金髪が目に浮かんだ。
と、同時にあの嘲るような声も耳によみがえり、私はそれを振り払うように軽く頭を振
る。次の一歩を踏み出した私の足下で、小枝がぱき、と音をたてた。 <> 磯っ夫寓話 4/7<>sage<>2008/11/22(土) 22:38:47 ID:64LpId3U0<> ◆

 私たちにとって冬とは、絶え間ない閉塞感と共にある季節だった。地面の中は夜明け
だろうが昼間だろうが常に薄暗く、四方を土に覆われている圧迫感には息が詰まりそう
になる。しかしこの住処は暖かく、夏の内に蓄えた食料は一冬を越すのに足りる量がある。
肌を刺すような冷たい風も、鼻の奥が痛くなるような冷えきった空気も、住処の中にい
る限りは味わうことがない。それだけで充分だった。
 くらく、あたたかい土の中、私は住処の入り口近くで壁に背を預けて体を丸めている。
一応見張りという役割でここにいるものの、敵など来たことがないから心持ちは部屋で
休んでいる時とそう変わりない。少し前から右の肩が熱を持ったように疼いているのは、
夏の間に酷使しすぎたからだろうか。仲間の中にも膝や腕を痛めている者は少なくない。
しかしそれも、また春が来る頃にはきっと癒えているだろう。私は近くに落ちていた布
きれを引き寄せ、膝にかけて瞼を閉じる。

 何分経ったのだろうか。うとうとと微睡んでいた私の耳に、微かな声が聞こえてきた。
「アリさん……?」
 はっと目を開ける。外だ。振り向いた私の目に、入り口にもたれかかるように立つ痩
せた青年の姿が飛び込んできた。乱れた金色の髪、泥に汚れた白い貌。
「キリギリス君……!?」
 私は目を疑った。華やかな輝きを放っていた金髪は以前のようなつやが消え、肩まで
伸びた毛先は乾いたような砂色になっている。羽織った外套の中に着ているライトグリ
ーンのシャツは汚れて色褪せ、元々が鮮やかな色だった分だけ余計に見窄らしく見えた。
以前から細かった体はもう病的な程に痩せており、シャツと薄い胸の間に隙間ができて
いる。ろくな物を食べていないのは一目瞭然だった。 <> 磯っ夫寓話 5/7<>sage<>2008/11/22(土) 22:40:56 ID:64LpId3U0<> 「……よかった、会えて」
 キリギリスはほっとしたように息を吐き、乾いた唇で弱々しく微笑んだ。
「あなた、は……」
 咄嗟に言葉が出ない。あの、自信に満ち溢れた美しく不遜な青年が、何故こんな姿に
なっているのか。
 ――いや、私は知っている。その理由を、私は既に知っている。
「あなたは――本当に蓄えをしなかったんですか!?こうなるのは分かりきっていたこ
とでしょう!私に、あんな風に言っておいて、そんな姿になって、まさか食べ物を恵
んでくれなんて頼みに来たんじゃないでしょうね……!?」
 立ち上がって矢継ぎ早に言った私にキリギリスはちょっとの間目を丸くしていたが、
すぐに笑って目の前でひらひらと手を振った。
「ああ、違う、違う。いくら俺でもそこまで図々しくないよ。まあ、頼みがあって来た
のはそうだけどね」
 キリギリスは肩にかけていた四角い鞄から、例のバイオリンと弓を取りだした。キリ
ギリスの見窄らしい身なりと対照的に、バイオリンは以前と変わらず深い飴色の光沢を
放っており、丁寧に手入れが施されているのがよく分かる。キリギリスは手にしたバイ
オリンを愛おしむように軽く撫でてから、弓と一緒に私の胸の前にすっと差し出した。
私は反射的に両手でそれを受けてしまう。
「こいつさあ、アリさんにもらってほしいんだ。とりあえず、今預かってくれるだけで
もいいんだけど。誰か弾く人がいたらその人にあげていいからさ」
「は――?でも、このバイオリンは……」
 キリギリスはふっと目を伏せて、大きく、大きく溜息をついた。淡い金の睫毛が、瞳
に影を落としている。 <> 磯っ夫寓話 6/7<>sage<>2008/11/22(土) 22:42:57 ID:64LpId3U0<> 「相棒、だったんだけどね。でも俺もうバイオリンは諦めたんだ。これで生きていきた
くて、ずっと、ずうっと練習してきたし、怠けてたつもりはないけど、俺才能ないみた
い。人様に聞いてもらえるぐらいにはなったけど、じゃあ俺の演奏で食べ物がもらえる
かって言ったらそれはもう全然レベルの違う話でさ」
 キリギリスは下を向いて少しの間沈黙してから、突然ぱっと顔を上げて笑い、
「俺さあ、多分もうすぐ飢え死にすると思うんだ」
 そう、明るく言い放った。
 心臓に熱い塊を突き立てられたような衝撃が走る。怒りとも悲しみともつかない、や
り場のない感情が胸にせり上がってくる。
 絶句している私を無視して、キリギリスは続ける。
「相棒抱いて心中ってのも悪くないけど、俺のせいで道連れにしちゃうのも気が引ける
しさあ。こいつ、結構いいやつなんだぜ。低音がよく鳴って、音も深みがあるし」
 キリギリスは私が持っているバイオリンの表面を中指の関節で軽く叩いてみせた。コ
ンコンという音は場違いなほどに暖かく響き、土の壁に微かな残響を残して消えた。
「誰か音楽好きな人が買うかもらうかしてくれたら良かったんだけど、そういう人もい
なくて。どうしようかと思ってたとこでアリさんのこと思い出したんだ。アリさんの家
って暖かそうだし、土の中だから外と違って乾燥してないだろうし、誰か欲しい人が見
つかるまで預かってもらえれば嬉しいなって。あ、できればなるべく風通しの良さそう
なところに置いてくれるともっと嬉しい。強風直撃とかはまずいんだけどね。それと、
気が向いたらたまに柔らかい布で拭いてくれるとありがたいなあ。あ、それから――」
 痛々しいほど痩けた頬に穏やかな笑みを浮かべて、キリギリスは楽しげにバイオリン
の手入れについて話し続ける。
 キリギリスの言葉は、半分も私の耳に入っていなかった。バイオリンを受け取った両
手が震える。頭の中が煮えたぎるように熱い。脈の音が体に響く。
「そうそうあとね、弦のことなんだけど、当分誰も弾く人がいなさそうだったら――」
「――あんたは、」
 キリギリスがぴたりと言葉を止めた。 <> 磯っ夫寓話 7/7<>sage<>2008/11/22(土) 22:44:23 ID:64LpId3U0<>  驚いたようにこちらを見つめるキリギリスの顔を見返しながら、私はゆっくりと息
を吸う。止めて、一気に言葉を吐き出す。
「あんたは何を考えているんだ!馬鹿か、馬鹿だなあんたは本物の馬鹿だ!!」
 キリギリスがびくっと目を閉じて肩を竦める。自分でも思っていなかった程の大声に
驚きながら、それでも私の口は止まらない。
「私の寝覚めのことも考えろ!どこにそんなことを言われてはいそうですかと受け取
れるやつがいるんだ!いやどこかにはいるかもしれないが私はそんな人非人じゃない!
バイオリンは諦めた?だからもうすぐ飢え死にする?勝手なことをぬかすな!演奏に価
値があるかどうか決めるのはあんたでなくて客だ!」
 私は両手にぐっと力を込めて、バイオリンと弓をキリギリスの胸に突き返した。
「――弾いて下さい」
 キリギリスの、金を帯びた瞳が揺らぐ。私はその眼を睨み据えて続ける。
「私があんたの客になる。今死なせるには惜しいと思うだけの演奏を聞かせてくれたら、
食べ物でも何でも差し上げますよ。ずっと練習してたなら、夏よりは上手くなっているん
でしょう?」
 キリギリスが息を飲むのが分かった。
 堅く拳を握っていたキリギリスの指が、ゆっくりと開かれていく。いくらか骨張っては
いるがしなやかな白い指が、バイオリンに、弓に触れる。
 キリギリスは、それをしっかりと握った。
 一歩、二歩と下がり、キリギリスはバイオリンを肩に構える。弓を引いて軽く音を鳴ら
し、糸巻きに触って音を調える。
 それからキリギリスはこちらを向き、すっと腰をかがめて何とも優雅な仕草で一礼した。
薄暗い住処にそこだけ光が差し込んだように、バイオリンを構えるキリギリスの姿がくっ
きりと浮かび上がって見える。私は壁を背に座りなおし、ただ一人で演奏者に拍手をする。
 土の壁に柔らかく響いた拍手の残響が消えた瞬間、キリギリスの瞳がきらりと輝き、鋭く
息を吸う音と共に、張りつめた弦に弓が触れた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/22(土) 23:23:43 ID:LRBF+yH/0<> >>38
おお…素晴しい……
今晩は素敵な夢を見られそうです <> 0/6<>sage<>2008/11/22(土) 23:49:18 ID:c215MSGr0<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  !ナマモノ注意! 大層・弓|退モノ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  03・史上初を含む二冠者&05・31年ぶり王者
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

<> 1/6<>sage<>2008/11/22(土) 23:49:59 ID:c215MSGr0<> ぼけっとベッドに掛けていたら、彼が俺の名を呼ぶ。いつもの優しい声に、顔を上げる。
すると予想した通りの、柔らかい、いつまでも見ていたいような笑顔が俺を待っている。
実際、ずっと見てきたのだ。子供の頃からにこにこと、本当によく笑うやつだった。
「・・・こないだの本、読んだ?」
「ああ、読んだ。えらいええ話やったな。」
悲劇に見舞われた人が、周りの人との関わりの中でまた自分も世界も愛せるようになる話。
「せやろ、ええやろ。にしてもお前、読むのはやなったなあ。」
空港などで彼が選ぶ本を読むうちに。俺の部屋にあるのはそうやって来た本ばかり。
お陰で訪ねてきた人に見つかると、意外な趣味だと言われる。
「まあな。いつまでも昔の俺やない。」
「ふっ!何やその自慢。」
「ええことやん。お前も他のスポ−ツ、ちょっとは分かるようになったやろ。」
今日のようなホテルの部屋でも選手木寸でも、何となくテレビをつけている時など、俺が解説している。
「せやな、お前のお陰。ほんま詳しいからな。」
「そら好きやから。でもなあ、俺が詳しい言うより・・・お前が知らなさすぎ。」
「ほな引き続き、もっと教えてや。」
とりとめのない話をして、笑い合う。自慢、してもいいことだと俺は思う。
我は強い方なのに、誰よりも長い時間をともに過ごすうち、いつの間にやら互いに影響を受けている。
「茶、いれてくるわ。」
向かいのベッドから滑るように立ち上がってテーブルに向かう彼。その後ろ姿を眺める。
薄暗いホテルの部屋の白熱灯の下で、彼がカチャカチャと音を立てる。
すべてが見慣れた光景。変わったところは何一つない。ずっと、彼の存在に慣れてきた。
互いが8歳の時、見込まれてクラブの本部に移った俺は、既に小学生の域を越えていた彼に出会った。
愛くるしい顔立ちに加えて八頭身の彼は、素直にひたすらに、くるくると回り続けた。
俺は羨望すら抱かない位置にいて、しかしずっと彼を見ながら、自分の練習に打ち込んだ。
淡い、憧れのような、後から考えれば、初恋にも似ていたかもしれない思い。 <> 2/6<>sage<>2008/11/22(土) 23:50:48 ID:c215MSGr0<> 「まだ熱いな。」
彼の言葉にはっとする。湯呑みを両手で包んでふうふうと冷ましながら、俺を見上げている。
振り返ることは、俺も彼もあまりしない質だ。この競技をする者の性。浸ったり引きずったりはしない。
切り替えて明日の、目の前のことを考える。理想と、具体的な課題を。今日はさすがに、いつもと違う。
「どないした?」
「いや・・・。」
振り向いた彼の怪訝な顔を凝視してしまう。言葉に詰まる。今さらに、歩いてきた道の長さを思う。
毎日顔を合わす生活は終わるかもしれない。彼と離れた時期を思い出してみる。15歳の春の事。
多くの仲間と離れて、どんな練習をしているのか気になった。とりわけ、彼が。
俺は3年間、ただの1日も休まなかった。そうして個人の言式合ではついに、彼に「勝った」。
彼は相変わらずのすらりとした、筋肉のつきにくい肢体に悩まされていた。
それでも、彼の得意禾重目だけは別。15にして彼を弐本の第一人者にした千回はますます磨かれていた。
「・・・平気?」
すっと、彼の手が上から差しのべられて、おずおずと俺の顔に近づいて来る。
風邪気味の時こんな風に、熱を測ろうと額に置かれた手はひんやりとしていて、気持ちよかった。
思い返しつつ、俺はただ見守る。前髪に触れるか触れないかというところ。そこで、思わず掴んだ。
ぎゅっと、その4本の指を握りしめた。才巴手を握る長くすんなりとのびた指。熱い、と思う。
「・・・って!ごめ・・・!」
「っ!・・・悪い。」
慌てて手を離す。何をしようとしたのか、自分でもよく分からない。
<> 3/6<>sage<>2008/11/22(土) 23:51:49 ID:c215MSGr0<> 「考え事?」
「まあ。」
「そっ・・・かぁ。邪魔して悪かったな。」
「聞かんの?・・・何考えてたんやって。」
「あ、え、ああ。ええの?聞いても。」
彼も変だ、と妙に客観的に見る。普段とは違う。歯切れが悪くて、まとう空気も自然ではない気がする。
「・・・うん。思い出してた。」
「へええ。いつの事?」
それでも頬に戻ってくる穏やかな笑みから、俺は覚えのある安らぎを受け取る。
「お前との、付き合い、やな。」
「あ・・・うん。俺らほんま、長い付き合いやんなあ。」
少し冗談めかした調子で彼は言ってくる。戸惑いはわずかな間、彼の表情に浮かんでいただけだった。
「せやな。」
別離の後に待っていたのは、再会。学生になって関東へやってきて、再び彼とともに歩みはじめて。
自分自身戸惑ったほどの喜びを、日ごとに感じた。なかなか這い上がれなかった彼も、道を逸れなかった。
彼にもこの道はすべてだったのだ。タイプは違えど同じ基本で育てられた彼と、切磋琢磨しあった。
才支を教え合い、多くの人にも支えられて、世界を目指す。意図せず、俺は彼の隣を勝ち取っていた。
優しく人付き合いのいい彼といると心が凪いで、いつまでも一緒にいたいと思う。
卒業後のことも彼と話し合って、同じ環境で続けさせてもらった。隣に住んで、離れる時もなかった。
「おいっ。」
「ん?」
「何で。」
「・・・え?」
「何で、泣くんや!」
ぽかんと開いた口に感じる、塩辛さ。気がつくと彼が真剣な目をしていた。俺の肩に両手を置いていた。
「タ・・・」
「落ち着いた方がええな。俺ら。」 <> 4/6<>sage<>2008/11/22(土) 23:52:57 ID:c215MSGr0<> 彼が俺の分の湯呑みをテーブルから運んできて、俺の手に持たせる。俺の隣にやってくる。
片袖で目の周りを拭う。それから、2人並んで緑茶をすする。
こうしていると、日だまりの猫みたいに心が和む。それなのに、何を感極まっていたのだろう。
「いつまでお前と・・・おられるんやろ。」
ぼそっと、勝手につぶやきがこぼれる。そうだ、不安、なのだ。失いたくないと思う。この笑顔を。
当然のように隣にいて、俺の話にどこまでも付き合ってくれて、俺を包んでくれる彼を。
2人それぞれ、そして一緒に、世界の一番上まで登った。
チイムで、みんなで、彼とともに勝ち取った頂点は格別に嬉しくて、その夏は金色に輝いて見えた。
それからもさらに、俺と彼は進み続けた。栄光もつかんだし、挫折も苦悩も味わった。
「俺はな、お前がおったから、ここまで来られたんや。」
先に言われてしまった。言い聞かせるような、確かな口調。頬の辺りにも、迷いのない視線を感じる。
「・・・俺も。」
俺のシ寅技にも彼のシ寅技にも、それぞれの世界がある。俺にも彼にもこの競技は、自分そのもの。
だから決して一つにはならないけれど、ずっと見てきた。隣で戦ってきた。それゆえの、得がたい絆。
「いつも励まされて。お前抜きの自分なんて想像もつかん。」
「そら、俺の方こそ。」
彼との出会いは、自分を形作る日々の積み重ねの、その本当に最初の方に積まれているのだから。
「せやから、離れんのは無理や。それに、俺らずっとこの世界におるやろ?これからも。」
「・・・うん。」
確かにそうだろう。そう言われると楽な気持ちになれる。毎日は会わなくなっても、平気。
そう自分に言い聞かせる。大人になって、彼はマンションの俺の隣の部屋から巣立って行った。
それでも俺たちは、相変わらずだったではないか。
毎日ともに励み、よく話し合って、飽くことなく美しいものを追求し続けたではないか、と。 <> 5/6<>sage<>2008/11/22(土) 23:53:50 ID:c215MSGr0<> 「それに、それに俺、これからもお前と一緒におるわ。」
「え・・・?」
彼の方へ向き直る。屈託のない笑みが俺を迎える。
「とにかく俺は、日炉雪が好きやから。」
照れたような頬の色。なぜなんだろう。俺も、彼とどこまでも、と積極的に願った事がある。
そうだその、彼が隣人でなくなった辺りだ。祝いながらも、なぜか胸がちくりと痛んだ。
みんなに向けられる笑顔も、傍にあって当然だと思っていた。独り占めしている気にさえなっていた。
だから慌てて、彼を求めている自分に気がついた。そして感じてはならない、自分の欲を見た。
「あかん?」
俯き加減になる俺の顔を、下から覗き込むようにして尋ねてくる。忘れていたのに、と唇を噛む。
「あ、何や、悪かった。変な聞き方して・・・」
「ちゃう!俺は。」
彼を遮って、がばっと顔を上げる。
「ずっとずっと、俺はお前と一緒に・・・。練習せんようになっても、ずっといたいんや。」
自分の口から出て初めて思い出す、率直な望み。こんな時になってからなんて、前とまったく同じだ。
練習に追われて、はっきり感じることなくやり過ごした気持ちまでよみがえってきてしまう。
「うん、これからもな。」
満足そうに答える彼。危うい、と思う。何かが、洪水のように流れ込んできてしまいそうだ。
今までそんなことで迷う余裕がなかった。俺も彼も、度重なる怪我に見舞われたのが大きい。
そのせいで変な話だが、かえって困った夢想にとらわれることもなく、彼の横で安らいでいられた。
彼は肩を手術して1年近く休み、翌年また世界の一線へ帰って来た、その言式合の直前にまた故障。
俺は、彼の分もと気負い過ぎてしまった。帰国して、うつろな目で謝る彼に慰めの言葉をかけた。
彼はまた再起、笑顔の下に鬼の形相を隠して、大舞台に帰ってきた。それを俺のお陰だと言ってくれた。
2人でまた、みんなと挑んだ。俺も、俺の隣の彼も、とにかく必死にやり切った。 <> 6/6<>sage<>2008/11/22(土) 23:54:49 ID:c215MSGr0<> これからは、迷わずにいられるかどうか。でも、俺たちは離れはしない。
再び黙りこくった俺から、彼が湯呑みを取り上げる。テーブルに戻して、また俺の隣へ帰ってくる。
一連の動作をただ眺めている俺に、笑いかけてくる。俺はついに万感を込めて、彼を抱きしめた。
「ああ・・・。」
感慨が、ため息のような声となって溢れる。俺より細い身体をこの腕に抱いて、その感触に酔う。
「ありがとう。・・・まだ、終わりやないけどな。」
彼の言葉が俺の胸に響く。長い腕で抱き返してくる。迷いも何もかも吹き飛ぶほど、心が温かくなる。
「うん、まだ終わりやない。」
「お前は言式合もあるしな。」
「せやな。」
たぶん最後は、彼の得意禾重目。技なしにただ回っているだけでも人を惹きつける、美しい千回。
幼い頃から長い手足の先にまで神経を行き届かせ、鍛錬を積み重ねてきたからこそのもの。
それを俺は、ずっと見続けてきた。彼もまた、口下手な俺の表現を見てきた。
「応援する。」
「うん、しっかりやってくるわ。」
この気持ちは何なんだろう。兄弟のように育って、同じ道を進んで、こうしてすべてに惹かれている。
彼は感謝を示してくれた。俺は何と彼に声を掛けたらいいのか、よく分からない。
でもひとつだけ、やっと振り返る時が来て、自覚せずにはいられない。口にせずにはいられない。
「・・・竹。」
身体を引き離して、彼の目を見て言う。
「好き。」
にっこりと笑って、彼は頷く。まるで初恋が叶ったみたいに、幸せそうに瞳を輝かせて。
かえって俺の方が、きょとんとしてしまう。なぜ、と声にはせず尋ねる。
「何度も言うた。今日も。」
「あ・・・。」
驚きを隠せない俺の頬に、彼の熱い指が添えられた。
<> 終わり<>sage<>2008/11/22(土) 23:56:09 ID:c215MSGr0<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 本当ニ長イ間、アリガトウゴザイマシタ
 | |                | |     ピッ   (T∀T )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/23(日) 10:39:25 ID:j8mbANWX0<> >>46
姐さーーーーん!!
キターーーーって感じですよー!
号泣しました・・・
ありがとう!
いろんな意味でありがとう!! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/23(日) 16:43:53 ID:oRZ1w384O<> >>38
萌えたよ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/23(日) 23:37:59 ID:TOiW4yFO0<> 前スレ埋まったけど、投下途中なのが気になる… <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/24(月) 00:03:14 ID:nFEVzgws0<> 気になりますね・・・
と言いつつ、
以下は前スレ埋めるつもりで3KB分用意した出所不明な映像の切れ端なのですが、
使いどころを失ったら惜しくなり恥も省みずこちらへ出してしまいます。
途中の方をしばらくお待ちしてみたものの、いらっしゃらないようなので。
もしルール違反になるようでしたら本当に申し訳ありません。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> モーニングコーヒー1/3<>sage<>2008/11/24(月) 00:06:41 ID:8n7JjxHF0<>  その朝恭二は、珍しく早くに目が覚めた。と言っても、前夜何事もなく眠りに就いた翌朝であれば、
珍しくも何ともない。ただ、そんな日が週末に存在することは、確かに稀であった。
 そんな珍しい週末の朝、恭二は十分に休息を摂った充足感の中で目覚めた。覚醒とまどろみの間に
たゆたう感覚をしばらく堪能した後、隣で聞こえる寝息の方へ体を向ける。寝息の主はわずかに顔を
こちらへ傾け、薄く口を開いて、まだ深い眠りの中にいるようだった。
 実はここ数週間、一度も段田に体を求められていない。ベッドに入ったと思う間もなく寝息が聞こ
えてくる日が続いていた。仕事が忙しいということは十分に理解できているが、それまで定期的だっ
たものの途絶えた夜がこれほど続くことにどこか拍子抜けしてしまっていることは、否定すべくもな
かった。
 だが、そこに不満があるわけでは断じてない。何もなくとももちろん、恭二は満足だった。こうし
て彼の隣にいられるだけで、充分ではないか……。
 しばらくの間、横顔を愛おしげな目で見つめていた恭二は、急に何かを思いついたらしい面持ちに
なった。段田の気配を窺いつつ、できるだけ静かにベッドから滑り出る。彼が目覚めた様子はないの
にほっとして、恭二は足音を忍ばせ階下へ降りていった。 <> モーニングコーヒー2/3<>sage<>2008/11/24(月) 00:08:01 ID:8n7JjxHF0<>  台所へ入り、薬缶を火にかけながら、自然と笑みがこぼれてくる。いつも彼のしてくれることをた
まにはこうして返すのも、悪くないだろう。
 コーヒーポットと二つのカップを盆に載せ、寝室へ戻ろうと振り返った途端、恭二は手にした盆を
取り落としそうになった。
 ガウンを羽織った段田が、台所の戸口にもたれている。愉しげな微笑を浮かべて、
「おはよう。恭二」
「あ!お、おはよ……やっぱり、起こした、かな……」
「いいえ。なんだかいい香りがするので、それで目が覚めたんですよ」
「…そうか」
 照れくささとわずかな失望を隠しながら、恭二は平静を取り戻そうとする。
「もう少し待っててくれれば、持っていったのに」
「そうですか?それはもったいないことをしましたね。なら、上で飲みましょうか」
 と段田は、恭二の肩越しに腕を回して、盆を持つ手の上に手を重ねてきた。
「やめろ!……大体、もう起きたんなら、わざわざ戻ることもないだろう」
「だって、そのために用意してくれたのでしょう」
「わかった、わかったから、背中押すな!!」
<> モーニングコーヒー3/3<>sage<>2008/11/24(月) 00:09:47 ID:nFEVzgws0<>  階段を上りながらも、肩に回されたままの手が気になって仕方がない。
ベッド脇のテーブルに盆を置いて、ようやく恭二は一息ついた。
 二つのカップにコーヒーを注ぎ分け、一方を段田に渡そうとした途端。
 彼は差し出されたカップではなく、それを持つ手の方をとらえた。
「おい!……」
 抵抗を試みるより早く、腕の中に抱き取られてしまう。段田はそのままベッドの縁へ腰をおろし、
自分の膝の上に恭二を横向きに座らせた。続いて、さらに何か声を上げようとする唇に深く唇を重ね、抗議を封じる。
 恭二がなんとか手放さずにいたカップが受け皿の上で音を立てた。傾いていくそれが滑り落ちる寸
前に段田は取り上げてテーブルの上に置きながら、首を振って逃れようとする頭を押さえて口付けを続ける。
 ようやく唇が解放されると、恭二は頬を染めてうつむき、
「……なにするんだよ」
 それだけ言うのがやっとだった。潤んでしまった目を上げて段田を睨むと、彼はもう何食わぬ顔で
カップを口に運びながら、
「いやぁ、朝のコーヒーはいいですね。まして、淹れてもらったものとあればまた格別ですよ、恭二」
「それは良かったな……」
「でも」
 段田は恭二の耳に口を寄せた。
「あなたのほうがもっと……ね?」
 ますます赤くなった顔を段田は微笑を浮かべながら眺め、
「ほら、飲まないと冷めますよ」
 と、彼にカップを手渡した。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


もし割り込み等のルール違反に当たるようでしたら、重ねてお詫び申し上げます。
大変失礼を申し上げました。
<> KIZUNA−龍−1/6<>sage<>2008/11/24(月) 01:38:32 ID:ylFqBJ7F0<> 残り容量の確認モレで投下が途中になってしまった者です。
皆さんにご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。
もう一度投下させてください。本当にすみません。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「ァアーッ!政、、ぁ..」
まだ途中までしか入っていない状態でも苦しそうにしている佳を見ていると
政は胸が痛くなる。
「坊...無理しなくてもいいんですよ」
「ム、リなんッかしてないッ...ッ」
身体が引き裂かれそうな痛みに耐え、懸命に政を受け入れようとしている。
政にとっては、その健気な姿が可愛くて仕方が無い。
逞しい腕で佳の身体をそっと包み込むように抱き締めた。
「入れるタイミングとかもありますから、とりあえず、暫くこのままでいさせて下さい」
「でもッ、、、」
「大丈夫です。政は今の状態でも坊の中に入ってるから、めっちゃ気持ちええんです」
そう言いながら政は佳の身体の強張りを解こうと、佳の弱い部分を順に愛撫してゆく。
「ハァッ、アンッ...」
痛みが緩和され、佳の身体が熱くなってゆく。
濡れた声が佳の口から漏れだした頃、佳の中に入っているものがゆっくりと動きだした。
それはまるで大人のオモチャのように政の先の部分だけがうねるように蠢く。
「?...ま、政ッ?何?」 <> KIZUNA−龍−2/6<>sage<>2008/11/24(月) 01:39:28 ID:ylFqBJ7F0<> 抜き差しされているわけではない為、挿入時のような痛みはなかったが、
初めての感覚にうろたえ、佳は反射的に逃れるように身を捩った。
逃げる佳の身体を政はグッと抑え付け、固定する。
「アゥッ!」
ゆっくりとしたうねりが佳の敏感な内壁を刺激してゆく。
「ハァッ、ァッ..ンッ..ンッ」
徐々に追いつめられながら佳は数週間前のことを思い出していた。
政に、挿入されても感じられるように自分を開発してほしいと願い出たときのこと。
『ほんまにええんですか?』と何度も念を押す政の言葉に強く頷いたが最後、
感じ過ぎて気を失いそうになるまで指で内壁を探られたことがあった。
その時に知られてしまった佳の感じる部分を政は的確に突いている。
指で弄られた時でさえ、最後には泣いて許してほしいと政に請うてしまったほどなのに、
今日の刺激は比べ物にならないくらい、更に強烈だった。
想像を絶する淫猥な政の動きに佳は翻弄されていく。 <> KIZUNA−龍−3/6<>sage<>2008/11/24(月) 01:40:07 ID:ylFqBJ7F0<>
「や..ぁッ」
愛する政には何をされてもいいと思っているのに、あまりにも限界のない未知の快感に
怯え、思わず拒絶するような言葉が洩れてしまう。
「政ッ、いややッ!..いやぁッ、ぁン、、、ンッンッ」
身体の中をグチャグチャとかき乱され、あまりの快感に佳の意識が遠くなる。
その瞬間、
途中までしか入っていなかった政が奥まで一気にズズッと音をたてて突き上げてきた。
「アッアアーッ!!」
政の背に佳の爪が深く食い込む。
その姿はまるで政の身体に刻まれている青龍に犯されているようにも見える。
しかし痛みはもう快感と相まって何がなんだかわからなくなってきていた。
奥まで入った政は今度は佳の最奥でうねるように蠢きだした。
「イヤァァッ!!」
政は、佳の乳首を舌で舐め上げ、転がすように可愛がり、指は佳の反応しているものを揉みながら
愛撫してやる。
佳は政に身体の中と外、双方から敏感な部分を一気に攻められ、気がおかしくなりそうだった。 <> KIZUNA−龍−4/6<>sage<>2008/11/24(月) 01:40:54 ID:ylFqBJ7F0<> 気を失いそうなギリギリの状況まで追い詰められていく佳。
微かに残っている理性で、快感を誤魔化そうと佳は身体をくねらせるて逃げようとする。
しかし政は、ここでもやはり佳の身体を腕で身動きできない状態に固定し、
強烈な快感を次々と佳に送り込んでいった。
政の動きは緩むことなく、まるで拷問のように続けられる。
「ハッ..ァッ...政ァッ、気ィおかしいなるゥッ」
「坊、おかしいなってもいいんです。いっぱい感じて下さい」
「せやけ、どッ、、も、うッ、あかん...ほんまッに..ァアンッ」
あまりにも激しい責めに佳の眼から涙がふいに溢れ出す。
「政ッ、政ぁ...ッ、アッ..アッ..」
自分の名を呼び、泣きじゃくって縋り付いてくる佳が狂おしいほどに愛しい。
また、感じて悶える姿は、抱く度に色気を増してきている。
そんな姿を見せつけられたら、雄ならば、やはり更に責め立てたくなる。
そこには佳を大切にしたいという政の強い思いとの大きな葛藤があった。
しかし政とってはこれでも相当に手加減しているつもりだった。 <> KIZUNA−龍−5/6<>sage<>2008/11/24(月) 01:42:42 ID:ylFqBJ7F0<> だからもう少しだけ、といつもよりほんの少し長めに佳を責めてみる。
「もッう、怖い...、ハァッ、死んでまう、政ぁ」
「大丈夫ですよ。政がここにいますから、坊を死なせたりなんか絶対しません。
 でも、もしそんなことになったら一緒に政も死にます」
政は佳の耳を甘噛みしながらそう囁いた。
「ぁぁん...あ..んっ....ァンッ!」
とろけるような政の渋くて甘い声にも佳は溺れてしまいそうだった。 <> KIZUNA−龍−6/6<>sage<>2008/11/24(月) 01:44:34 ID:ylFqBJ7F0<> 「キツくしてしもたみたいで、すんません。
 政は、坊が感じてるのを見るのがほんまに好きなんです。」
切ない思いを伝えながら、政はたくさんの熱いキスを佳の身体に降らせる。
「う、、ぁ...っ、もうッ、..ンンッ!」
さすがにこれ以上は、というところを見計らい、政は
佳を解放してやろうとついに最後まで追い詰めていく。
「政ぁ!..あっ..アッ..アーッ!!」
ビクビクビクッと佳の身体が弾けるように震えた。
「ま、さ...ぁ」
そして佳はそのまま気を失ってしまった。
意識が遠のく中、政の声が聴こえたような気がした。
『坊、愛しています。心から、坊だけを...』


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
スレ跨り、マナー違反など、本当に申し訳ございませんでした。 <> 1/2<>sage<>2008/11/24(月) 11:16:38 ID:dgj4ueZfO<> ドラマ「ぎらぎら」サキLネタ。
じつはまだ前回しか見てないが、専スレ>>554に萌えすぎたので導入だけ。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「ひーで、よーし、くーん」
 凍りついた店内で、間延びした声がこだまする。
 鮮やかな投げ技だった。その日リソクに来店したのはサキLだった。彼は殴りかかった一 人の胸倉を掴んで、
背後にいたもう一人を巻き込みつつくるりと地面に叩きつけたのだ。地が揺れるような勢いに全員が
ひるんだ一瞬に、彼は店内にいたヒデヨシの視線を捕らえた。
 にまりと笑んだサキLは、指先だけで手を振ってみせた。
「あそぼ?」

 客として来たのだ、金ならあるし暴れもしないと主張するサキLを控えのスペースで待たせ、この男を
一体どうするべきか、バックヤードでは接客から抜けられるスタッフ全員で緊急会議が開かれた。
 即刻叩き出すべきとの意見が大半、うち一人はいっそ川に沈めるべきだと強弁し、オーナーは
男が引き取り願いに抵抗した場合の対処に悩んでいる様子。ホストクラブは夢と癒しを売る場所だ。
なるべくなら警察沙汰は避けたい。

 一人異論を述べたのは、やはりコウヘイだった。

<> 2/2<>sage<>2008/11/24(月) 11:18:08 ID:dgj4ueZfO<> 「客として振舞うと言ったなら、正式に客として扱ってみるのはどうでしょう」
 怒涛のように湧きおこった反論を押さえ、オーナーは彼の発言を促す。
「彼も頭から拒絶されるのでは納得がいかないだろうし、反発もしたくなるでしょう。彼はいままで、
自分の価値を自分から傷つけ否定するような働きかたをしてきました。本当のホストクラブというものを
知らないはずです。いきなり否定するのではなく、リソクのおもてなしを感じていただくのはどうでしょう。
もちろん、他のお客様と同じく、目に余る行いがあった場合は私が責任を持って説得させていただきます」
 なるほどコウヘイさんが言うことなら聞くかもしれない、と考え込み始めた従業員たちに、コウヘイは言った。
「それに、話してわからない人間ではない気がするんです」
 微笑んで語ったコウヘイに、いやあれはわからないだろ普通と言えるスタッフなどいはしない。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
だれか つづき たのむ
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/24(月) 18:52:43 ID:0B6IVtMQ0<> ギ/ラ/ギ/ラドラマ版、公平×秀吉です。
長文&同ジャンルが続いてしまってすみません!
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

俺と翔児、ユウナの三人で公平さんの家に行って、数日してからの昼下がりだった。
お袋はさっき病院に出かけて、俺は一人で留守番だ。
「はぁ…」
…今夜から俺はリンクに復帰する。
公平さんはもう嘘はつきたくないと、奥さんにホストをしてることをばらそうとしたけど、俺たちはそれを止めた。
リンクの支柱である公平さんがもしいなくなったらと思うと、その痛手はやっぱり大きすぎる。
家族に嘘をつき続けてずっとその良心の呵責に苦しんで、でもリンクのために、俺たちのために頑張ってくれてる。
(俺たちで少しでも公平さんを支えることができたらいいんだけどな…)
ソファに寝転んでぼんやりとそんなことを考えてたら、家のインターフォンが鳴った。
出てみると、そこには完全オフモードの公平さんが焼きたての大判焼きが入った袋を振ってにこやかに立っていた。 <> ギ/ラ/ギ/ラ トップブリーダー×黒ワンコ 2/16<>sage<>2008/11/24(月) 18:56:37 ID:0B6IVtMQ0<> 「一体どうしたんだよ今日は」
公平さんには二人がけのソファに座ってもらった。
俺は二人分の茶を入れてテーブルの向かいのカーペットに座ろうとしたけど、公平さんに手招きされて大人しく隣に座った。
俺ん家のソファは店のやつみたく大きくないから、公平さんとの距離が近くて…結構照れる。
大判焼きを一口ばくりと食べ、茶をうまそうにすすったところで、公平さんは改まって俺に向き直った。
「…俺はお前に嘘をついた。だからお前にはちゃんと詫びを入れなきゃいけないと思って来たんだ」
「いや…俺の方こそ悪かったよ…あんたにあんな事情があるなんて知らなくて…だから詫びなんて必要ない」
確かに俺は人を騙す奴が大嫌いだ。
でもあんなにも傷つくことなんてなかったのに、この世の終わりみたいな気分まで落ちまくった。
けど、俺は徐々に気づいたんだ。
今回の事はただ嘘をつかれたから傷ついたんじゃなくて…嘘をついたのが公平さんだったからあんなにもショックを受けたんだってことに。
公平さんは詫びとか言うけど、俺にとってはあの忌々しい店から俺を救い出してくれたことだけで十分だ。
それなのに…。
「それじゃ俺の気が済まない」 <> ギ/ラ/ギ/ラ トップブリーダー×黒ワンコ 3/16<>sage<>2008/11/24(月) 18:58:05 ID:0B6IVtMQ0<> 公平さんはそう言ってニコッと笑った。癒しの笑顔だ。
この笑顔にいつも励まされて、この人のためならどんなことでもやってやるという気になってしまう。
「いや…いいって…本当に」
「それに何より、俺はお前に大事なことを気づかせてもらったから」
「公平さん…」
「だから今日はお前の言うこと、なんでも聞くぞ」
俺はそれを聞いて、大判焼きを食べる手を止めた。
「…なんでも?」
「うん、なんでも」
そう柔らかい笑みで言われ、俺は唐突に、ギャラリアへ俺を連れ戻しにきた公平さんを思い出した。
俺を代わりのいない人間だと言ってくれた。ただの消耗品にはなって欲しくないと。
本当はあの時、嬉しくてあの胸の中に飛び込んでしまいたかった。帰りたくて帰りたくて、心の中では喉が裂けるくらい泣き叫んでた。
でもどうしてもあの嘘のことが頭にひっかかって…公平さんの腕を突っぱねた。
だから今になってうっかり、こんな訳のわかんないことを口走っちまったのかもしれない。 <> ギ/ラ/ギ/ラ トップブリーダー×黒ワンコ 4/16<>sage<>2008/11/24(月) 18:59:06 ID:0B6IVtMQ0<> 「…俺、公平さんの腕の中で甘えてるマイコさん見て、ちょっと…」
「ん?」
「…ちょっとうらやましいと思ったかな…」
「秀吉…?」
「あ…いや、やっぱなんでもねぇ!…忘れてくれ」
なに言ってんだか…と、ばつが悪くなってそっぽを向いた俺の後ろ頭が、ふわりと優しく撫でられた。
振り向くと公平さんの優しい目が俺を見ていた。
そして何度も何度も、その手は俺の頭を優しく撫でる。
「ちょっ…やめろよ!ガキじゃねぇんだからっ…」
その手を避けようとした俺は、逆に公平さんの腕の中にするりと抱き込まれてしまった。
「公平さ…」
「ごめんな秀吉…お前を深く傷つけてしまって…あんなおかしな店にまで行かせちまって」
耳元で優しい声が鳴って鼓膜に甘い反響を残す。
<> ギ/ラ/ギ/ラ トップブリーダー×黒ワンコ 5/16<>sage<>2008/11/24(月) 19:00:08 ID:0B6IVtMQ0<> 本当はすごく怖かった。あんな店に行って自分がどうなっちまうのか全然わからなかった。
あの淀んだ店に連れて行かれても自分がその場にいないみたいな、どこか他人事のような現実感のなさ。
目の前で起こってること、耳で聞いてることが全てテレビの中の出来事みたいで。
でもそこから動いてまたひどく傷つくのが嫌で。
とことんまで落ちればそれ以上落ちることはないなんて、バカみたいなこと考えてた。
悪夢みたいな時間だった。

その両手が、俺の頭と背中を撫でる。柔らかく労わるように。
公平さんの指が触れるところから身体の力が抜けてゆく。解けてゆく。
「は…ぁっ…ん…」
思わず快楽の声が漏れた。
「ごめん、腕の力強かったか…?」
そう言って身体を離しかけた公平さんに俺は。
「秀よ…?」 <> ギ/ラ/ギ/ラ トップブリーダー×黒ワンコ 6/16<>sage<>2008/11/24(月) 19:03:13 ID:0B6IVtMQ0<> 俺は気づいたら、目の前にあった公平さんの唇を自分のそれで塞いでいた。
唇が離れた後は、恥ずかしくて公平さんの顔を見られなかったけど。
「…今日は俺に何でもしてくれるんだよ…な…?」
情けないけど声が震える。
「あ、ああ…」
ほら見ろ、公平さんちょっと引いてるじゃねえか。
でも…
「だったら、俺のことメロメロにしてくれよ。あんたに溺れてどうしようもなくなっちまうくらいに」
その時の俺の目は…恥ずかしいくらいに濡れてただろう。
「俺がもう二度とどっか行かないように、あんたに縛り付けてくれよ」
俺、もう我慢できねぇ…あんたに触って欲しくてたまらないんだ…。
「秀吉」
俺をゆっくりそう呼んだタイミングで、公平さんが発する空気が変わった気がした。
俺の本心を捉えようとするその目。心も何もかも根こそぎ飲み込まれそうな目が俺を見つめていた。 <> ギ/ラ/ギ/ラ トップブリーダー×黒ワンコ 7/16<>sage<>2008/11/24(月) 19:04:49 ID:0B6IVtMQ0<> 目だけじゃない。その熱くてしっとりした空気で全身を包み込まれ、絡めとられる。
まっすぐで綺麗なその指が、俺の頬に触れた。
「あ…っ…やべぇ…マジかよ…」
耐え切れずに思わず声が漏れた。
これがきっと…抑えても溢れ出て滴るような…本物の色気って奴だ。
こんなホストに太刀打ちできる客なんて一人だっていやしないだろう。
「公平さん…」
ソファに押し倒されたことにも気づかないくらい、俺は公平さんのエロい目と指先に溺れていた。

俺だってキスやセックスにはそれなりに自信があった。
けど。
「ん…っ…ふ…ぁっ…!」
レベルがまるで違う。
少し舌を舌先で撫でられただけなのに、背筋と下半身にずしりとした痺れが走った。 <> ギ/ラ/ギ/ラ トップブリーダー×黒ワンコ 8/16<>sage<>2008/11/24(月) 19:05:38 ID:0B6IVtMQ0<> 甘くてけだるい余韻が波のようにどっと打ち寄せて俺を追い詰める。
「ぅん…」
唇が少し離れただけで物欲しげな声を出してしまうくらい、与えられる感覚に溺れてしまっていた。
でも公平さんの唇は、ただ無意味に離れたわけじゃなかった。
「あ…公平さ…」
唇からアゴを辿る。ヒゲごと口に含まれて、じんわり舌で愛撫される。
「あっ…はぁ…」
ヒゲすら性感帯になっちまうのかと思ったら我ながら情けなくなったけど、声が漏れるのを止められない。
「お前は可愛いな…秀吉」
「ひ…あ…っ!」
指先なんて、ただ俺の髪を梳いてるだけなのに…なんでこんな感じるんだ…。
「かっ…可愛いなんて言われて喜ぶ男…いねーよ…っ…」
憎まれ口も声が上ずってちゃカッコ悪いだけだ。
「そうか…そうだよな…フフッ」 <> ギ/ラ/ギ/ラ トップブリーダー×黒ワンコ 9/16<>sage<>2008/11/24(月) 19:09:56 ID:0B6IVtMQ0<> そう言って笑う公平さんの目は限りなく透明で優しいけど、その分どこか底知れない。
この人の無限の愛情は、一体どこから出てくるんだろう。
客一人一人に、常に120%の愛情を注ぐそのパワーは。
誰もが癒され、愛さずにはいられない、伝説のホスト。
「秀吉…お前は黒豹みたいだ…野生的な色気がある…黒髪も綺麗に焼けた素肌も艶があって」
着ていたトレーナーをたくし上げられ、胸から腹、腰をじれったいほどゆっくり指でなぞられて首筋で囁かれる。
「ふ…!」
ビクッビクッと身体が跳ねてしまうのを、巧みに柔らかく制される。
そんな軽い拘束すら、俺をさらに敏感にさせる。
「黒い目は…いつもは鋭く光ってるけど…今日は濡れて溶けてるように見える…
俺はお前のその真っ直ぐな目と、同じくらい真っ直ぐな心が好きだ…たまらなく」
「あ…ん…っ!」
そう言って目尻にキスを落とされると、俺はたまらずに熱い息を吐いて背をよじった。頭が本気でくらくらする…。
「すごく綺麗だ…もしお前がサキエルにとられちまってたら、俺はくやしくてはらわた煮え返っただろうな」
「俺にまで…営業トークすんなよっ…!」 <> ギ/ラ/ギ/ラ トップブリーダー×黒ワンコ 10/16<>sage<>2008/11/24(月) 19:10:57 ID:0B6IVtMQ0<> 「違うよ…俺は本気でそう思ってる」
彷徨っていた公平さんの唇が、もう一度俺の唇に戻ってきた。
「ン…」
ちゅ、と唇が立てる水音にすら敏感になってる。
苦しい。行き場のない熱い渦が身体の中で暴れてどうしようもない…!
酸欠みたいになっちまった俺を察してか公平さんの手が俺の股間に伸びてきて、俺は慌ててその手を止めた。
「ダ…ダメ…!」
「ん…?嫌だったか…?」
「ちがっ…」
「どうした…?」
俺の髪をなだめるように撫でながら優しく問われる。
ダメだ、今少しでも触られたら…。
「…い…」
「ん…?」 <> ギ/ラ/ギ/ラ トップブリーダー×黒ワンコ 11/16<>sage<>2008/11/24(月) 19:11:48 ID:0B6IVtMQ0<> 「イっちまう…っ…からっ…」
恥ずかしくて消えたくなって、枕にしてたクッションにきつく頬をうずめた。顔が燃える様に熱い。
それを聞いた公平さんはクスッと笑って手を引いてくれた。
けど、代わりに尻や太もも、腰を全身で愛撫されて熱はどんどん溜まる一方で。
「お前のその肉感的なところもいい…太ももやこの唇…」
指で下唇をなぞられ、思わず舌先で公平さんのその指を舐めてしまった。
俺ってこんなやらしい奴だったのか…。
「ん…くぅ…っ…」
「つらいんじゃないのか、秀吉」
優しい声で囁かれる。でも…
「でもヤダ…みっともねえトコあんたに見られたくねえ…」
「秀吉」
「ヤダって…」
「大丈夫…脱がして直接触ったりしないから…」 <> ギ/ラ/ギ/ラ トップブリーダー×黒ワンコ 12/16<>sage<>2008/11/24(月) 19:12:41 ID:0B6IVtMQ0<> 「ホントか…?」
「秀吉…」
「ア…!」
吐息で名前を呼ばれ、耳を甘噛みされるともう文句も言えなくなった。
口付けられる。さっきまでとは全然違うキス。
舌をねっとりと吸われ、熱く粘膜を絡ませる。俺の身体が勝手にがくがく震え出す。
ダメだ…ダメだ。もう、本当に。
「…ん…ん…!」
ぼろりと熱い涙が俺の目からこぼれた。
しぬ…公平さん、もうしんじゃうよ俺。
「我慢しなくていいんだよ秀吉」
トレーナーの布越しなのに。
何回か優しく擦られただけなのに。
「愛してる」
耳元で熱く囁かれて頭がぐちゃぐちゃに煮え立って。
「あっ…あぁ…っ!…」
俺はあっけなくイってしまった。 <> ギ/ラ/ギ/ラ トップブリーダー×黒ワンコ 13/16<>sage<>2008/11/24(月) 19:13:58 ID:0B6IVtMQ0<> 「っ…はぁ…はぁ…ん…ん…っ…」
しばらく頭の中が真っ白になって動けなかったけど、その間も公平さんが頭を優しく撫でてくれてたことはわかった。
どうやらぐしゃぐしゃに泣いてしまったらしい。情けねぇ…。
酸素が足りないのか息がちゃんとできなくて苦しい。
「秀吉、ゆっくりだ、ゆーっくり呼吸しろ。息を吸うんじゃなくて吐くんだ」
公平さんの言う通り、吐くほうに集中してたら、息苦しさが少しずつ消えていった。
「落ち着いたか?」
やっとのことでこくりとうなずいたけど、頭が冷えていくにつれ少し気になったことがあった。
「…あれっ、俺、出してない…?」
下着の中に手を突っ込んで確かめたら、少し濡れてはいるものの射精してはいなかった。
「なんだったんだアレ…」
これまでにないくらい豪快にイったと思ったのに。
首をかしげていると、狭いソファの上で俺の身体を抱いている公平さんが少し笑ったような気がした。
それがちょっとくやしい気もしたけど、俺的にはもう実力が違いすぎて素直に公平さんを尊敬するしかない。
「公平さんすげーテクだな。さすが」 <> ギ/ラ/ギ/ラ トップブリーダー×黒ワンコ 14/16<>sage<>2008/11/24(月) 19:14:50 ID:0B6IVtMQ0<> 「俺は別にテクなんか使ってないよ」
「だって俺こんなの初めてだぜ、出さないでイったとか…だいたいこんな早くイっちまうなんて中坊かよっていう…」
「俺はただ、秀吉が望むようにしただけ。特別なことは何もしてないよ」
「でも…」
「セックスの快感ていうのはテクニックとかじゃなくて、やっぱり気持ちだと俺は思う」
「気持ち?」
「相手を深く思ってたら、その分より深く感じるってこと」
「…それって…」
その意味にふと思い当たって、俺は赤面せざるを得なかった。
「秀吉にこんなに愛されてるんだなと思って、俺すごく嬉しくなったよ。ありがとう秀吉」
「ばっ…!なんだよそれっ…!」
俺は猛烈に恥ずかしくなって、公平さんの顔にクッションを押し付けた。
それに声をあげて笑う公平さんはさっきまでの怖いくらいの色気が一変、まるで子供みたいだ。
一体どうなってんだこの人は。
「それに俺も秀吉のこと愛してるから、お前の可愛い顔見れて興奮した」 <> ギ/ラ/ギ/ラ トップブリーダー×黒ワンコ 15/15<>sage<>2008/11/24(月) 19:41:34 ID:RN2AR57oO<> 「そんな嘘つくなよっ…!」
「お前が嘘嫌いなの知ってるのに、嘘なんかつかないよ。
俺は、俺の周りにいてくれる人たちみんなに感謝してるし、みんなを愛してるんだ」
…そんなことを晴れ晴れと言われたら、俺何もいえねぇよ。
「すっげー博愛主義」
「ダメかな?」
「ダメじゃねーけど…っていうか…」
「ん…?」
「そうじゃなきゃ公平さんじゃねーもんな」
「俺を理解してくれる同僚がそばにいてくれて、俺は幸せもんだよ」
公平さんはそう言って、俺の頬にキスをした。
何が黒豹だよ…これじゃまるで飼いネコみてーな扱いじゃねぇかと、俺は死ぬほど恥ずかしくなった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ヘボス文すみませんでした。1/16の名前欄を入れ忘れてしまいすみませんでした。
そして15レスしかないのに16とか書いてしまってすみませんでした。
この15レス目で終了です。数も数えられないのかと…orz

あの…ここでなんなんですが、>>67の続きが気になってしょうがありません…
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/24(月) 21:03:01 ID:0B6IVtMQ0<> 申し訳ありません、69ですがひどい伏せ忘れをしてしまいました
名前を後で一括置換しようとしてたら、その作業自体をぽかっと忘れてしまいましたorz
本当にすいませんでした!
<> オリジナル えせ時代劇風 0/9<>sage<>2008/11/24(月) 21:03:43 ID:NCW76shrO<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
オリジナルの、遊郭の番頭さんと化粧師さん話の続きです。



吉原の名だたる大見世や茶屋では、煤はきも観音市も終わり、いよいよ正月の支度は餅つきのみとなった。
この頃になると寒さも本物ではあるが、時折のどかな小春日和もあり、北風にゆれる迎春飾りもつやつやと
目出度い。
くだらねえ師走だった。しかしこちらは、かまどの灰を掻きだしながらそう、ぶつくさ思うのみだ。
おもての様子が色とりどりであればあるぶん、雨戸を閉め切った此方の具合がようよう身に染みて、ため息
ばかり出る。松飾も出さず、今年は祝儀も期待できまい。仕着日の小袖も貰い損ないそうな遊女の姐さん方
は、また暇を持て余していることもあって、昼夜となく髪を梳かしながら、文を書きながら、あの新造に
悪態をついていた。
全く余計なことを仕出かしてくれた。それには同感だ。この紋日続きのかき入れどきに、文字通り商売上がっ
たりだ。
ふたりの土左衛門は、結局あがらなかった。
見世の衆と奉行所、それから大川の漁師どもで川をさらえたが、あれから見つかったのは女物の草履がひと
つ、男物の足袋のかたわれだけ。 <> オリジナル 1/9<>sage<>2008/11/24(月) 21:05:38 ID:NCW76shrO<> あの水の流れではその先まで行き着いてしまったのかもしれぬし、沈んで深いみどろの底へとらわれたのかも
しれなかった。しかしどちらにせよ、真冬の入水など狂気の沙汰で、命永らえている望みなど到底ない。
そしてあの櫛が、たった一つの形見となり証拠となり、ことは終わった。
いつまでも土座衛門なんぞ探しても、腹の足しにもならぬ。
遊女は商い品だ。それなりに金がかかっている。だから見世の親父と女将は腹の虫がおさまらなかった。よう
やっと稼ぎだしたところで、よくもやってくれたと、その気持ちはわかる。
あの呉服問屋の商人にも怒鳴り込まれた。愚か者だばか者だ、だがたった一人の可愛い息子を、どうしてくれ
た、どうしてくれる。泣き崩れる、その気持ちもわからんではなかった。
そんなことを思い出しながら、先ほどからがりがりとかまどの煤を、厭るほどこすっている。
掃除もやり厭てはいるが、帳簿仕事もないぶん、身を動かすことが見つからぬ。
「ああ、くそ」
しんしんと土から寒さが立ち上ってくる。
はあ、と手先に息を吐く。
さらに弱り目にたたり目で、奉行所のほうから追うて沙汰を申し付けられた。 <> オリジナル 2/9<>sage<>2008/11/24(月) 21:07:24 ID:NCW76shrO<> 世間を騒がしたとの罪状にて、先ひとつきは商いすること罷りならぬと、まあそういうわけだ。
いつもなら盛大に飾り立て、また着飾って正月を迎えるこの見世も、沈んで静まり返っていた。
若衆や針子の里のあるものは、幾ばくかの金を持たされ暇を出された。食い扶持減らしのためだ。
全く誰も彼も大損だ。うまい話とほくそえむのは浄瑠璃師や草子書きだけではないか。いや、浄瑠璃のたねに
もなりはしまい。
若い遊女とぼんぼんの相対死になどありふれている。新造が残した書き付けにも(あの座敷の、夜具の下に
あった)、今生で添い遂げられぬなら、せめて来世で云々とどこにでもあるような文句が書き連ねてあった。
面白みなど何も無く、かんざし一つ、櫛一つ、筆一つも消えており、ただ覚悟の心中であるのを物語っていた。
むしろ種になるなら商人(若旦那の親父だ)のほうだろう。
可哀想にあの商人、娘が輿入れしたばかりだそうだ。
それは若旦那の妹にあたり、一人娘の晴れの日と一人息子の情死が重なれば、まともな人間なら憔悴しき
らずにはおられまい。娘の夫を入り婿に取る算段もあろうが、まずは己のため娘のため、世間体を保つのに
必死だろう。 <> オリジナル 3/9<>sage<>2008/11/24(月) 21:09:51 ID:NCW76shrO<> 傍から見ればその婿野郎、うまい汁を吸いやがってと思わぬでもない。大店の財産が思いもよらず、そっ
くり転がり込んでくるのだ。さて草子書きならばここに食いつきどろどろとした、また好色なやつに仕上げて
くるのだろうが、邪推もここまでにしておくか、俺も暇すぎて頭がいかれている。
大の男がむくつけき体を縮めこんで薄暗い土間でとは、見ようによれば馬鹿馬鹿しいが、ろくな煤はきをする
間もなかったのが、逆に暇つぶしになっている。たまった灰をも掻き出し、ようやっと満足を得た。
「おや」
ひとりごちて、再度しゃがみこんでそのかまどの奥の奥を覗き見た。気づけば随分経っていたようで、冷えた
足腰は思ったより億劫にぎいぎいと鳴る。
何かころりと転がっている。山盛りの灰の中から顔を出したようだ。
興味をそそられ手を伸ばした。硬く冷たい手触りで、いくつかの歯がある。
焼け残った櫛だ、とわかった途端興味が失せた。遊女だろう、どうせ姿を現さぬようになった馴染みの、安物
の進物を年明けの前にとっとと始末したという寸法か。
半身だけ残った黒い櫛は、元からその色だったのかどうかもわからぬほど焼け焦げていた。
やれやれ哀れなことで、煤にまみれてぽい。 <> オリジナル 4/9<>sage<>2008/11/24(月) 21:11:44 ID:NCW76shrO<> 捨てられるのが遊女なら、こっちから捨ててやるとの気風ある姐さんの仕業だろう。
「ざまあねえ」
灰と共に捨てきってしまおうと思ったときにざわりとどこか胸が騒いで、思わずもう一度取り上げた。絵付け
の色も彫り細工も灰と煤まみれだ、だが。
だがこれは、どこかで見たことは無いか。
寒さ以外の怖気がぞっとこめかみから駆け抜けた。菊花の紋の櫛、何でこれがここにあるんだ。
ふうふうと、気づかず乱れそうになる息を呑み、周囲を思わず見渡していた。
銀の字のつくあの若衆は、男の癖に噂話に詳しい。またこいつも暇していたとみえておもての掃除にも身が
入らぬ様子を、徳利片手に酒に誘えばご相伴とほいほい乗ってきた。此方の驕りなのを疑うべくも無い。
昼酒が出来るのだけはありがてえなあ、と笑って番頭部屋に上がりこんでくる。板の間に素足だがこの男も
まずまず冷えには強い。どこぞの誰かさんを思い出させる。
先ほどの寒気を押し隠し、まずはどう切り出すか。こりこりたくあんの尻尾をかじりながらそれとなく聞け
ば、若衆はあっけらかんと答える。
あの商人どうしてやがるか知らねえかなどと、普段の己ならそんな気遣いなど見せぬのだが、そこまで
頭は回らぬか。 <> オリジナル 5/9<>sage<>2008/11/24(月) 21:13:58 ID:NCW76shrO<> 兄い、と出だしだけやや声を潜めたが、ここだけの話と続けるころには全く元に戻っていた。
どこがここだけの話だ。
ただ奴さんの妹が気の毒だ、と若衆はそこだけもごもご口ごもった。嫁いだばかりの婚家で肩身狭い思いを
しているのではないかと、性根が悪い男ではないのだ。
祝言に出てくれた兄貴が、次の日にゃあ大川で土座衛門なんざ、こればっかりは全くお天道さまでもわからね
えよ。聞き捨てならずその弁で待て、と一息入れる。
「何だって、そりゃ」
あの情死は、まさにその日だったと言うのか。兄いご存知なかったんで、と若衆はきゅっと釣りあがった
まなじりを引きつらせ、一杯あけた。
いや待て、あい待て。それはどういうことだ。普段使わぬ頭のどこかが、ぎゅいぎゅいと締められるような
音を立てて回りだす。嫌な予感がする。
これは本当に、全く嫌な予感がする。
確かな話か、と返すとき柄にもなく息苦しくなった。そりゃあ、とまた若衆は一杯ねだる。
「この野郎」
とくとく、からの杯が満たされれば若衆は笑って、髪結い筋からの話でさあと、屈託なく笑いやがった。人の
気も知らぬ。
そして、その話なら詳しいのはその筋じゃねえかと、あの名を言われるまでもない。 <> オリジナル 6/9<>sage<>2008/11/24(月) 21:15:52 ID:NCW76shrO<> こうなると暇なのは渡りに船だ。火の用心と野暮用を言いやって徳利を突きつけると、若衆はありがたくそれ
を受けて、それでも少し妙な顔をした。
日が落ちるころの吉原では、大門から男どもが流れ込んできていた。色とりどりの見世先にやいやいとがや
がやと、それぞれの理由と目的を胸に下卑た、それでいて清々しい笑みを浮かべているものが殆どだ。
師走であろうと正月であろうと、男女のやりくちは変わらぬものだ。三味線の音や茶屋のどっと笑い、芸妓の
朗々とした声がざわめきに混じり、派手な色合いと酒や白粉のにおいがどことなく漂っている。その波どもに
一人逆らい、溝を渡って廓を出る。
出てしまえばあの喧騒は幻のようで、ざりざり足を動かし首筋を撫でる北風に一瞬肩を震わせた。それだけで
廓の風景は夢と散る。今日は堀の川の音も、さよさよと静か。
西の空から丸くなりかけの月が出ていた。
師走の月はくっきり朗々と、そして己はざりざりと、懐に手を入れ堤を歩く。
やがて辿りついたあの小料理屋の縄のれんをくぐると、いつぞやの亭主が景気よく声をかけてきた。 <> オリジナル 7/9<>sage<>2008/11/24(月) 21:18:01 ID:NCW76shrO<> ぷんと香る湯気には少々あてられそうになったが、悪いが一杯やりに来たのではないと丁寧に詫び、常連の
客の居場所を聞き出す。
また昇り始めた月明かりの夜道を歩いた。
言われたとおり二町先の角を曲がり、表通りからの裏木戸をくぐる。
どこにでもあるような裏長屋の隙間を縫って、真っ直ぐに切られた夜空が見える。足元はやや不如意だが、
月が明るいのがありがたい。
ちりんちりんと、この月明かりは鳴るようだ。あァ、今日の夜は実に好い。
圧倒的な寒さは、この怒りに震える身を冷やすのには丁度良い。
ありふれていることに、慣れすぎていた。廓仕事を長年続けすぎ、よくある話に鈍くなっていたのだろうか。
己の阿呆さに己で呆れる。
そして怒っている。端的にいえば、己は物凄く腹を立てているのだ。
長屋の奥、稲荷の隣。そう亭主が言ったとおり、肩を寄せ合うように並ぶ棟々から井戸で一つ隔てられた家屋
の、その先には小さな稲荷宮があった。暗がりに取り残された手桶がひとつ転がっている。風で吹かれたか、
足蹴にされここまで来たか。 <> オリジナル 終<>sage<>2008/11/24(月) 21:20:44 ID:NCW76shrO<> ひょうと北風がまた肌にあたる。だが冷えぬ。
吐く息が立ち上るのを見つつ、大きく一つついた。指は震えてはいない。気も確かだ。
稲荷はしんとして黒々として、不気味でもなくただ黙っている。そうだ黙ってろと誰に言うでもなく思って、
茫漠と明かりの漏れる半障子の板戸に手をかけた。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
またナンバリングミスorz
本願成就までもう少しなんだ…なんだ… <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/24(月) 21:21:45 ID:rpEmFTD50<> キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
今回もGJです。次もwktkして待ってます! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/24(月) 21:25:34 ID:HCnp+xKD0<> 頑張れ番頭さん!
本願成就楽しみに待っています! <> いぬわし31×21 +37  @<>sage<>2008/11/24(月) 22:18:02 ID:bRIhykxG0<> 杜の都球団の、女房達の話です。
沢ムラ賞オメ記念として、当日の話を妄想してみました

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

仙台の空は雲ひとつない快晴だった。
こんなに天気がいいのにさすがは東北地方、空気がハンパなく冷たい。
もう冬って言っていいんじゃないか、気象庁は何してんだってぶつぶつと呟いていたら
尚人さんに「お前、だんだん監督に似てきたんじゃないか」とか
ニヤケ笑顔で言われてしまった。
グラブを投げつけてやろうかと思ったらさすがは次点盗塁王、さっさと
俊足で逃げられてしまって、おまけに俺の周りにいた未来の盗塁王候補も足早に
逃げていってしまった。
そんなわけで、今ここに残っていたのは奇遇にも同じポジションの二人だった。


秋季キャンプも終わりに近づいた今日、球団はとある知らせを待っていた。
結果がどうあれ練習日には変わりないし、実際俺にはさほど関わりのない
知らせだったけれど、とりあえず結果をみんなで待とうという方針になって
こうやって二軍の練習場に集まったのだ。
俺にはさほどどころか、全く関わりのない知らせではあったが
やはり心の中では気になるところだ。
こんな俺でも多少ドキドキしてんのに、隣に座るこの人なんてもう心臓が飛び出る
くらい緊張してんじゃないのかな・・とか思っていたのに。


<> いぬわし31×21 +37  2<>sage<>2008/11/24(月) 22:20:17 ID:bRIhykxG0<> 「なんや、お前までも緊張してんのか」
「俺はそうでもないですけど・・つうか、何でそんな平気なんですか、富士井さん」
富士井さんは、全くと言っていいくらい緊張しているそぶりを見せなかった。
それが俺には意外に思えた。いや、普段の富士井さんもそんなに緊張感のない人(というと語弊があるが、要は温厚ってことだ)だけど、さすがに今日くらいは
多少ピリピリしたりドキドキしたりしないもんなんだろうかと不思議に思った。
そう言うと、富士井さんは声を挙げて笑って、おばちゃんみたいに手を振りながらこう言葉を返した。
「そんなん、俺がどうこうできるもんでもないやろ。そもそも、俺がもらえるもん
でもないし」
「そうですけど・・でも、なんかこう・・」
「ん?」
「自分が富士井さんの立場だったら、生きた心地がしないです」
そもそも、俺がもらえるもんでもないんだけど。でも、何らかの形で関わってるとしたとしても、きっと俺は心臓の拍動に合わせて飛び跳ねちゃうんじゃないかって
くらいに緊張すると思った。
富士井さんはそんな俺の様子を目の端にみて、あははと笑いながら、ふっと言葉を零した。
「まぁな、俺が縞くらいの年齢だったらそうなるわなぁ・・。もし、今回熊がそうなったとしても、俺だってこんな名誉は早すぎやし」
だから俺がもらえるもんでもないっちゅうに、一人でノリツッコミをしながら
富士井さんは実に愉快そうに笑った。
こんなに余裕があるってことは、富士井さんの中ではもう決まっているんだろうけど
それでもという不安はないのかと勘繰りたくもなった。
もしかして、もしかして結果を逃してしまったら?
その時にどうやってフォローをするんだろうかと、また自分だったらと想像しただけで
胃の中が痛くなりそうだった。
だって、万が一ということはこの世にいくらでも有りうるのだ。
その万が一を計算してなくて、何度も失敗した俺にとって「もしかしたら」という
不安というのは結構な脅威だったりするのだ。
そうやってもやもやと考えているうちに、ぽんとグラブで頭をはたかれた。
「練習いこか、縞」
気づけば富士井さんが立ち上がってドアに向かって歩いていたので、俺は慌てて
その後を追った。
<> いぬわし31×21 +37  3<>sage<>2008/11/24(月) 22:22:58 ID:bRIhykxG0<> 練習場へと向かう廊下は、とても静かだった。
相も変わらずもやもやと考えて歩いている俺に、富士井さんがこんな言葉をかけてきた。
「お前『スイミー』って絵本知ってるか」
「え?」
「俺がちっさいころはよう読んだんやけど・・学校で習わなかったか?」
「あぁ、そういえば・・」
学校で思い出した、小さな黒い魚の物語。
確か仲間がみんな食べられちゃって、一匹だけ残った黒い魚が目になって大きな魚を
やっつける話だった。そう言うと、富士井さんはそうそうと返事を返して、小さなため息をついてからこう言葉を繋げた。
「懐かしいなぁ、スイミー。うちの子も大好きな絵本でな、よう読まされたわ」
そう噛みしめるように呟く富士井さんの声が、静かな廊下に響く。
俺も読んだ本だけど、だからそれが何だって言うんだろうかと思っていたら富士井さんがふと足を止めて、こう言葉を零した。
「俺はなぁ、縞。熊がスイミーみたいやって思ったことがあったんや」
「岩熊さんが?」
「そうや、まだお前らが来る前はな。俺らの希望っちゅうか・・願いみたいなもんやったからな、熊は」
「・・富士井さん」
「こいつなら何とかしてくれる、俺らをどっかに連れて行ってくれるて・・そう思っていたんやけど・・」
そう思っていた、だけど。その先の言葉を濁しているのか、それともさとって欲しいのか
富士井さんはじっと床を見つめたまま言葉を閉じてしまった。
希望と思っていたその先にあったものは、俺も詳しくは知らない。
だけど、その先にあった事実は誰もが知っている。果てしなく暗くて絶望しかなかった事実を。
俺も何も言えないでいると、富士井さんが寂しそうな声でこう言葉を吐いた。
「熊がスイミーやったら、俺はマグロをやっつけにいこうとそそのかした魚や」
「・・・」
「俺がそそのかしたばっかりに、あいつは泳いで、泳いで、泳ぎ疲れてしまったんやって。
マグロをやっつけるまえに、俺が壊してしまったんやって」
そう言って富士井さんは、何か苦い薬でも飲み込むような顔をして大きなため息を吐いた。
別に、岩熊さんがああなったのは、富士井さんの責任ではなかったのに。
だけど富士井さんは、すべては自分の責任と思い込んでいるような言葉の強さと儚さをその声にのせていた。
<> いぬわし31×21 +37  4<>sage<>2008/11/24(月) 22:25:43 ID:bRIhykxG0<> 「代われるもんなら、俺がいくらでも黒くなったんに・・まぁすべては過ぎた話やけどな」
そもそも俺が代われるわけがないっちゅうねんと、また一人ノリツッコミをしながら努めて明るい声で富士井さんは顔を挙げた。
俺もつられて顔を挙げたので、互いの表情がそこでようやく見て取れたが何て言うか、富士井さんはとても緊張感のない顔をしていた。
だからそれが温厚ってわけでもない、そうじゃなくて、こう、何かを洗い流したあとのような、清々しいくらいに気持ちのいい笑顔だった。
「富士井さん・・」
「ん、何や?」
「なんで俺に、そんな話をしたんですか?」
なんでそんな顔で、こんな話が出来るのだろうかと。
なんでこんなツライ話を、そんな穏やかな笑顔で話すことができるのだろうかと。
それが聞きたかったのに、富士井さんの答えはまるで予想を反するものだった。
「お前にもおるんやろ?俺のスイミーちゃんが」
「へ?」
「だから先輩として言っておく、スイミーちゃんを飼うのは並大抵のことやないで」
ほな行くで、と富士井さんがおどけたように言って、出口へと足を進めていった。
俺はまた慌ててその姿を追いかけて、やがて扉を開いて外へ出た、その時だった。


外は快晴だった。暗い部屋から外に出たから、日差しが眩しくて仕方がなかった。
目がようやく慣れたころ、クラブハウスから誰かがこっちに向かっている姿が見えた。
確かめるまでもない、あのスラリとした長身と黒髪。
だけど様子が何か変だった。いつもの岩熊さんなら、ピンと背を伸ばして颯爽と歩いているのに、
今は頭をうなだれさせたまま背中を丸めてこっちに歩いてくるのが見えた。
その姿を見て、俺は喉奥からひゅうっという冷たい空気がこぼれたのを感じた。まさか、その万が一になってしまったのだろうか。
自分を落ち着かせるように冷たい空気を吸い込むと、肺まで冷え切ったのか
身体がぶるっと震える。落ち着け、俺が焦ったってしょうがないだろうと
言い聞かせるように呟くと、隣にいた富士井さんが俺の腕を掴んだ。
そうか、俺以上に不安を感じているのは富士井さんだろうと、俺は恐る恐るその顔を見上げた。
<> いぬわし31×21 +37  5<>sage<>2008/11/24(月) 22:31:59 ID:bRIhykxG0<> さぞかし、強張っているだろうと思っていたその表情を見て、俺は言葉を無くしてしまった。富士井さんは、笑っていたのだ。
さっきよりももっと穏やかで、清々しいくらいの、雲ひとつない快晴の笑顔をほころばせながら富士井さんは、のんびりした声でこう言葉を繋いだ。
「安心せぇって。あれは熊の癖やから」
「・・え?」
「ああ見えてあいつは、何かでっかいことがあるとプツっと糸が切れたみたいになるんや。こっち来る前に二回くらいずっこけるで」
心から嬉しそうな声で、富士井さんは言う。そんなバカなと思っていた矢先に、視線の先では岩熊さんが足をもつれさせてすっ転んでいた。
「アホやなぁ、そんな慌てんでもええのに」
富士井さんが眩しそうな顔をして、岩熊さんを見つめながら言葉を零す。
実際、ホントに眩しいんだろう。それはきっと陽射しのせいだけじゃないはずだ。
もう一度岩熊さんがこけたので、たまらず俺は駆け寄ろうとするがいつのまにか富士井さんが進み出ていて、
ゆったりとした足取りで岩熊さんの元に向かっていた。


岩熊さんはぜぇぜぇと息を切らして、ゆっくりとその身を起こした。
俺も富士井さんもその顔を見上げたけど、岩熊さんの視線の中に俺が入っている余地はなかった。
まっすぐ、富士井さんの顔を見つめて。そして岩熊さんは、珍しく興奮を抑えきれないようなはずむ声で、こう言った。
「富士井さん・・あの・・」
「なんや?」
「ありがとう・・ございました」
たった一言。単純な言葉だけを残して、岩熊さんは富士井さんにもたれかかる様にその長身を倒れこませた。
どっこいしょと声をかけながら富士井さんが抱きとめて、そっと宥めるように頭を撫でて。そして、こう言葉を零した。
「そうか、ようやったな。熊」
心の底から嬉しそうな声で、富士井さんは言う。
眩しい笑顔をして、実際ホントに眩しくてたまらないんだろう。
それはきっと陽射しのせいだけじゃないはずだ。
俺も眩しくてたまらなくなったのか、ぎゅっと目を閉じたら、目尻から一筋涙がこぼれ落ちた。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
バッテリー愛に泣けて書いてみた、後悔はしていない。
ちなみに縞のスイミーちゃんは30と設定してみたw
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/24(月) 22:56:43 ID:NTO0OKH7O<> >>67
>>69
GJ!やっぱ秀吉は受だよなあ
コウヘイの色気っぷり最高でした! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/24(月) 23:50:22 ID:PJKbAQxJO<> >>100
おおおおおおGJ!
2319のアニキっぷりがかっこええー!
そして縞もがんがれ…! <> ぎらぎら 体制×工兵 1/3<>sage<>2008/11/25(火) 00:14:12 ID:fKMr+GpG0<> 本スレの体制×工兵一連の流れに禿げ過ぎてつい書いてしまった
尻切れトンボでごめんなさい
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!



「ッ…ぅ、あ………」
ずる、と中から抜けて、はあ、と大きく息を吐いた。
酷い異物感で、霞がかかったようにぼやけた脳は小さく痛みを訴えてくる。
ぼんやりとベッドに投げ出していた上体を起こして、だらしなく両足を開いたままの下肢を
見降ろしたら赤く出血していて、今度こそ頭痛がした。こんな体、妻には見せられない。
「………体制さん」
その名前を呟くとふわ、と頭に何かかけられる。
1テンポ遅れて、それがこのホテルに備え付けの真白なバスタオルである事に気付くと
真白でふわふわしたそれに視界を阻まれている内に横で押し殺した笑い声がした。
酷く耳馴れた男の笑い声。
ぼんやりとした頭をふわふわしたタオル越しに抑えて、のろのろともう一度ベッドに丸くなる。
眼を瞑って深呼吸をすると男の匂いがした。
「風呂、先に入ってきたらどうだ」
笑みを含んだ男の声が頭上から降って来て、こうして目を瞑っていると何だか幸せな気さえしてくる。 <> ぎらぎら 体制×工兵 2/3<>sage<>2008/11/25(火) 00:15:02 ID:fKMr+GpG0<> 無言で小さく身動ぐと、どうやらベッドサイドに腰掛けているらしい男の側から少しして煙草の匂いが漂ってきた。
何をする事もない、何を考える事もない嗅ぎ馴れた煙草の匂いに支配された沈黙の部屋で、
不意に少し泣きそうになって、
片手で顔の上からタオルを抑えてやはり無言のまま今度は体に力を入れて起き上がる。だるい。
少しだけずらしたタオルの隙間から隣で煙草を吹かしている男を覗き見た。
たいせいさん、ともう一度声には出さずに唇を動かす。
声には出さなかったのに、男は横目に見て、笑った。
それはつい何も考えずに身を任せてしまいたくなるような邪気の無い笑顔のようでいて、
つい先日リンクで見たばかりのくらい笑みとも重なった。
重い頭を無理やり動かして被せられたタオルを取り、風呂入ってきます。と俯きながら言ったら
いってらっしゃい、と歌うように男は言って片手を振る。 <> ぎらぎら 体制×工兵 3/3<>sage<>2008/11/25(火) 00:17:50 ID:fKMr+GpG0<> きっとバスルームから出る頃にはもう男は部屋には居ない。
隠す必要も感じないよごれた体を引きずるようにバスルームへ向かえば、歩く度にとろとろと尻の間から垂れてくる
彼の残滓が妙に切なくて、
バスルームの扉を開く寸前少しだけ男へ振り向いたら、まっすぐに見つめてくる視線は焼ける様に熱く感じて体が疼いた。
必要以上に大きな音を立てて曇り硝子の扉を閉めると、急に襲ってきた脱力感に抗えずにしゃがみこんで
尻の間からぽたぽたと床を汚す彼の残滓に余計惨めさを誘われ両手で顔を覆う。
「…体制さん……」
何で、こうなったのか分からない。
「………――…っ…」
閉じた瞼の裏側にはいろんな人物の顔が浮かんで消える。
再三呟きかけた名前は、溢れた情けない泣き声に阻まれて自分でも誰の名前だったかよく聞き取れなかった。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
思った以上に文量少なくてこれなら二つで収まったんじゃあとか思うがキニシナイ
かつて体制さんに工兵さんがわんわんしてた時期があったら…なんて書き込みを見たらもう萌えが止まらなかったんだわんこ萌えるよわんこ <> 埃.及神話 彫栖×瀬戸(緒知栖←瀬戸)5 1/3<>sage<>2008/11/25(火) 00:58:44 ID:yxYJCG120<> 前スレの続きで埃.及神話の甥×叔父。精神的には叔父の兄(甥の父)←叔父も。
今回は甥出てないのでほぼ叔父の兄←叔父です。
獣面人身神の擬人化など自分設定多数注意。益々自分設定増えてきました。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 神殿の中央に祭壇のように作られた段の上、全ての光を拒絶するかのような漆黒の棺はただそこに
鎮座しているだけで瀬戸を圧倒した。棺から目を離すことができない。瀬戸の喉元が、ごくりと脈打つ。
 ――この棺が、どうしてこの神殿に――。
 そうだ、この棺は、他ならぬ己の手で打ち壊したのではなかったか。鎌のような三日月が照らす中、
冷たい沼地で泥の飛沫が身体に跳ねるのを感じながら、冷え切った兄の死体と共々に、切り刻み、砕
き、ただの板きれになるまで打ち壊して尼羅の河に投げ捨てたのではなかったか。
 ――棺がここにあるならば、では、その中は――?
 その疑問に思い至った途端、瀬戸の心臓がどくっと跳ねた。鼓動がうるさいほどに響き始める。瀬戸
は何かに操られているような足取りで段に上がり、棺の側に両手をついて跪いた。
 闇のような黒檀の棺には金銀で細工が凝らされ、上質の翡翠と澄みきった色の碧玉が幾多の星の如
くに散りばめられている。碧の石の繊細な輝きは、兄の瞳を思い出させた。降り注ぐ木漏れ日のように
暖かく、それでいて人々の目を強烈に惹きつけずにはいられない、生まれながらの王の瞳。
 瀬戸は震える手で棺の蓋に触れ、指に力を込めてずしりと重いそれをゆっくりと持ち上げた。中は空
ではない。誰かが、横たわっている。
 そこに眠る人の顔をまともに見た瞬間――瀬戸は全身が一気に総毛立つのを感じた。
 兄だ。
 王の証である羽根飾りのついた冠も今は戴いておらず、素のままの茶の髪がさらさらと広がっている。
やや細面な輪郭、柔らかな弧を描く眉。肉の薄い瞼は伏せられて、鳶色の長い睫毛が更に際立って
長く見える。 <> 埃.及神話 彫栖×瀬戸(緒知栖←瀬戸)5 2/3<>sage<>2008/11/25(火) 01:00:33 ID:yxYJCG120<>  変わっていない。生前の緒知栖と何も変わっていない。唇にさす微かな赤みは死人のものではなか
った。その身体は、確かに血が通っている。穏やかな寝息さえ聞こえてきそうなその姿に、瀬戸はぐっ
と喉が詰まって思わず泣き出しそうになる。耐え難い恐怖と安堵が瀬戸の中で糸のように絡み合って
いた。自分が焦がれ、妬み、そして殺したその相手と、一体どんな風に顔を合わせればいいのか!
 緒知栖の、睫毛が震えた。僅か、ほんの僅か眉間に力がこもり、そして、どんな宝石もかなわないよ
うな美しい碧の瞳が現れる。
「兄様――!」
 緒知栖はゆっくり瞬きをしてから、まるで午睡から覚めたような何気ない動作で起きあがり、側で言
葉を失っている瀬戸の顔を見ておかしそうに微笑んだ。
「やあ、瀬戸」
 暖かく、とろけるように優しい笑顔だった。にっこりと目を細め、愛する肉親を見る表情で、緒知栖は
瀬戸に笑いかけている。
 その笑顔を見るなり瀬戸の思考は真っ白に弾け、気付けば床に手をついていた。目の奥が熱い。首
切り役人の前に出た咎人のように、がたがたと震えながら頭を垂れる。それは命を差し出す姿勢だっ
た。否、命などいくら捧げても足りないのだ。瀬戸が犯した罪のことを思えば。
「兄様、緒知栖兄様……!」
 俯いて瀬戸は叫ぶ。眼から溢れた熱い涙が、床にぱた、ぱた、と落ちるのを感じながら。
「私を罰して下さい……!私は、瀬戸はあなたを殺しました!」
「おかしな事を言う。私はこうしてちゃんと生きているじゃないか。何を罰しろと言うんだ、瀬戸?」
 頭上から降り注ぐ緒知栖の声は、穏やかだった。
「私は反逆者です!罰を――!」
 顔をあげて悲鳴のように叫んだ瀬戸の頬を、緒知栖は両手でぴたりと包み込んだ。その手の暖か
さに、思わず瀬戸は言葉を途切れさせる。 <> 埃.及神話 彫栖×瀬戸(緒知栖←瀬戸)5 3/3<>sage<>2008/11/25(火) 01:03:12 ID:yxYJCG120<> 「……そうか、瀬戸がそんなに言うなら仕方がない」
 緒知栖は哀しげに呟く。高貴な碧の瞳が、愁いを帯びていた。
「――では、罰を」
 緒知栖の声と共に、強い眩暈が瀬戸を襲った。床に崩れ落ちそうになって、思わずすがりついたの
は大理石の柱だった。
 ――柱?
 そんなものはさっきまで目の前になかったはずだ。気付けば瀬戸は立った姿勢で白い柱に抱きつい
ている。祭壇も棺も眼前から消え失せ、どうしたのかと訝ったその時、瀬戸は背中から熱の塊が覆い
被さるのを感じた。もがく間すらも無く瀬戸の身体は柱に押しつけられ、白い長衣は音をたてて引き
裂かれる。そして瀬戸は、後ろから強引に串刺しにされる感覚に声をあげた。
「――あ、あぁ――……ッ!」
 冷たい大理石の柱に頬を押しつけぎゅっとしがみついて、瀬戸は全身に走る悪寒に耐える。瀬戸の
腰は強く掴まれて身じろぐこともできない。休むことなく深くを穿たれ、内蔵を犯される屈辱と異物感の
間から次第に引きずり出される快感が、瀬戸の声を更に掠れさせた。
「く、うっ、ぅ、あぁ……ッ!」
 身体の芯から力強く揺さぶられ、全身にびっしょりと脂汗をかいて、瀬戸の身体は絶え間ない苦痛と
快楽に痙攣する。
 ――ああ――これが罰なのだ。緒知栖兄様が私に与えた罰なのだ。
 瀬戸の瞳から涙が溢れた。陵辱に身体が軋む音を聞きながら、焼けつくような快感を味わいながら、
瀬戸の意識は深い闇の奥に堕ちていく。


 己の喘ぐ声で目を覚ました。
 瀬戸は肩で息をしながら辺りに目を配る。そこは王の寝台だった。白い夜明けの光が、亜麻の天蓋
を透かして寝台に差し込んでいる。瀬戸はその穏やかで日常的な光景に息を吐いた。

 一瞬夢から覚めたことを惜しく思ったことなど――何かの誤りでいい。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 感想本当にありがとうございます! <> オリジナル1/9<>sage<>2008/11/25(火) 01:44:16 ID:XpwAAZNJ0<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
オリジナル。現代モノ。先週のつづき。

退社後、六六六は久しぶりに三鷹に電話をかけた。
丁度、三鷹も六六六にかけようと思っていたらしい。電話に出た三鷹は興奮していた。
一緒に会社を興さないかと誘うと、三鷹は美健用品の企画開発及び販売を手がけている
地元のベンチャー企業に引き抜かれ、いまは耳かきをつくっているのだと言った。
「髪の毛の約20分の1の極細繊維をつくんなきゃなんねえの」
「マジで?」
「日本人の耳垢ってドライが多いんだってさ」
「あぁ、そうかもな。俺もカサカサの乾型だわ」
「だろ? そんでさ、そのカサカサの耳垢をごっそりすっきり掻き出せる、
ブラシタイプの耳かきとやらを今の勤め先がつくろうとしてんのよ」
「ちょ、三鷹! お前、それ社外秘情報じゃないのか?」
「いいの、いいの。しゃべったところで、耳を傷めない安心安全な素材で、
耳垢をキレイにキャッチできて、なおかつ耳そうじが『気持ちぃ〜い!』極細繊維を
つくれる技術者はこの俺以外にそうそういねえから」
三鷹の俺様なセリフをハイハイと聞き流しながら、
六六六は内心、確かにそうかもなと頷いた。 <> オリジナル2/9<>sage<>2008/11/25(火) 01:45:19 ID:XpwAAZNJ0<> 「そんで、ミクロの耳垢も掻き出せるしなやか〜な極細繊維はほぼできあがりつつ
あるんだけど、ブラシの形状がいまいち定まらねえのよ。で、ミロクに助けて欲しいわけ。
社長に、ミロクの事はなしたら、金は払うから、そのデザイナー引き抜いてこいって
うるせえの。『三顧の礼で自らむかえに行けよ』って感じだけどな。一応、伝えとく。
考えといて。そんで、本題なんだけど、お前、デッサン得意だよな?」
「はい?」
突然、話がかわり戸惑っている六六六に三鷹はさらに訊ねた。
「モンタージュな似顔絵とか描ける?」
「犯罪捜査に使われているみたいなやつか?」
「そうそう!」
「顔の特徴とか教えてもらえればそれらしいのは描けると思うけど?」
「ラッキー! さらっと描いてFAXで送ってもらえねえ?」
「かまわんよ。 けど、どうしたん?」
「ちょっとな、人捜してんの」
「ふうん?」 <> オリジナル3/9<>sage<>2008/11/25(火) 01:45:56 ID:XpwAAZNJ0<> 「とりあえず、服装から言うな? ピンストライプの細身のスーツ着て、
マジで仕立ての良いテーラードコート纏ってた。顔は超小顔、顎がシュっとしてる。
髪は黒系。前髪が長めでアシメ。右がちょい長い感じ」
「目元は?」
2Bの鉛筆を走らせながら六六六は尋ねた。
「涼しげ。睫毛がすぅーって伸びてる。下睫毛長めかな」
「鼻は?」
「高かった。小鼻がすっきりしてて、鼻先がツンとしてる」
「口元は?」
「歯並び完璧。すべすべでキレイだったな……」
「イメージ的に歯を見せて笑ってる感じ?」
「いや、口角上げてるイメージはゼロ。薄くて、キュっと引き締まってた」
(なんか、……常務に似てる?)
三鷹に言われるまま描きあげたイラストを見て六六六は眉を寄せた。
「あと、口の端にホクロがあったけど右か左か覚えてねえわ」
「マジで? ホクロがあんの?」
双子の兄である専務は左目の下に、弟の常務は右の口元に小さなホクロがある。
似顔絵の口元にホクロを書き加えると、イラストはますますオナニーマニアの上司に似た。
「雰囲気が何か似てる」
六六六は三鷹にイラストの男が「うちの常務に似ている」旨、告げてみる。 <> オリジナル4/9<>sage<>2008/11/25(火) 01:46:34 ID:XpwAAZNJ0<> 「マジで!? お前の務め先って『コンドームのC』だよな? 
創業者一族の名字ってもしかせんでも志すに井戸の井で『志井さん』だったりする?」
三鷹は前のめりな口調で話しに食らいついてきた。
「そうだけど」
「じゃあ、ビンゴかも! ちょいググってみるわ。その常務のフルネーム教えて」
六六六が三鷹に上司のフルネームを告げた一拍後、上擦った声で三鷹が叫んだ。
「ヒットした!今、画像見てる。コイツだわ!ごめん、FAXもういらねえ。奇跡だな」
「奇跡って、え? 何で? 何でお前がうちの常務を捜してんの?」
「振られたんだよ」
「はい?」
「で、振られた後、衝動的に会いたくなって電話したら、携帯の番号変えたみたいで
繋がらねえの。家も知らんし、今、興信所に調べてもらってるんだけど、自分でも似顔絵
持参で、アイツが行きそうなバーとか回って聞き込みしようかと思ってさ、
ミロクに似顔絵発注したら、新展開! 今ここ。OK?」
全然、OKではなかった。三鷹と常務が男同士で付き合っていたという段階で
普通人の六六六はキャパオーバーだ。話についていけない。 <> オリジナル5/9<>sage<>2008/11/25(火) 01:47:09 ID:XpwAAZNJ0<> 「あした有給取って東京行くわ。志井に『ちょっと話したい』って言っといて」
「ちょ、待てよ!」
「何? めんどくさかったら番号教えてよ。俺、自分で志井に連絡とるわ」
「いや、俺も常務の電話番号とか知らないから」
「だよな〜。じゃあ、志井に俺が『ちょっと話したい』って言ってたって伝えといて」
「……なぁ、ちょっと話したいって、それって、告白か?」
「はい!?」
「それって、『また巡り合えたら言おうと思ってた。もう一度付き合ってくれ』的な告白?」
「まさか! ありえねーし。別に好きとか、もう一度付き合って欲しいとか
そういうんじゃねえもん。会って話さなきゃいけねえことなんか、とりたてねえよ。
けど何か話したいの。ちょっと一緒にいたいみたいな感じ?」
まったく意味がわからなかった。
(もう一度付き合いたいから、興信所まで使って捜していたんじゃないのか?)
六六六には三鷹の恋愛感が理解できない。
(「ちょっと一緒にいたい」のは「好きだ」からじゃないのか?)
「とりあえず、志井に宜しくな。 あと、耳かきの件も、な? 」
電話は一方的に切れた。 <> オリジナル6/9<>sage<>2008/11/25(火) 01:47:41 ID:XpwAAZNJ0<> 六六六が三鷹と話していた間、志井は自宅で日課の手淫をしていた。
きょうのオナホはトリノから取り寄せた。塗るだけで温まるホットジェルを用いた、
「舌で包まれているような」感覚が人気の一品だ。
志井はオナホを専用マシーンにセットして腰を振るよりも、
オナホを手で持って動かす方を好む。手で持ったほうがより「手淫」な感じがするからだ。
志井の部屋には志井がカスタムしたリラックスチェアがある。
素材は本皮。リクライニングの傾斜角は通常時27度、最大42度。
約53cmの幅を持つ広々とした座面には低反発素材を使用し、
オナニー中の多様な体型、姿勢にフィットするレッグレストとフットレストを装備した。心地よさを極めたその椅子に、汚しても良いよう防水加工ほどこしたカバーをかけた上で、
深ぶかと腰掛け自慰をする。志井はその時間が大好きだ。 <> オリジナル7/9<>sage<>2008/11/25(火) 01:48:13 ID:XpwAAZNJ0<> オナホを使ったオナニーはいつも果てがおしまれる。のぼりつめても弾けたくはない。
めくるめく光の只中にずっと立ち尽くしていたいのに、最高に楽しいひとときは、
屋根まで飛んで壊れて消えるしゃぼん玉のようにふっと終わる。
事後の心地よい気だるさにひたりながら、志井はいつも思う。
(やっぱり前が好きだ……)
志井はメンズ用のファックマシーンも持っている。
キャットバックの体勢で、バイブをセットした機械に後ろからファックしてもらうのも
乙だが、前を触っていくほうが性に合っていた。
今まで関係を持ってきた男達との情事の最中も、後を攻められている際、志井は
こっそりと前を弄っていた。だって後だけではなかなかいけないのだ。
志井が後だけの刺激でいったのは28年生きてきてたったの2回。
1回目は21歳の時だ。ファックマシーン使用中にピストン用のコントローラーが故障し、
暴走モードに突入したマシーンに緊急停止のボタンを押す間もないほど、
高速で突き上げられた。過去最高の絶頂を経験したのを覚えている。
空っぽになるまでいかされ、トリップしていた志井をマシーンから救ってくれたのは、
当時、志井と兄の家庭教師をしてくれていた男で、その男はいま兄の秘書を勤めている。
羞恥で身悶えたあの晩の苦さは一生忘れられそうもない。 <> オリジナル8/9<>sage<>2008/11/25(火) 01:48:51 ID:XpwAAZNJ0<> 2回目は、先日別れた三鷹という男との何回目かのセックスだった。
その晩、志井は若干熱っぽかったが人肌が恋しかったため、
東京から飛行機に乗って三鷹に会いに行った。向かい風で飛行機が激しく揺れたため
酔いをひきずってセックスをした。三鷹とのセックスはいつもスタンダードで、
正上位か騎乗位、でなければバックと決まっていた。
その時は志井が三鷹に跨り騎乗位で腰を振った。けれども体調がやや悪かったため
志井の動きは緩慢で、それにイラッときたのか、三鷹は志井の腰を抱き寄せるふりをして、
左右の手で両腰をがっしりホールドすると下から激しく突き上げはじめたのだ。
奥深く入ってきた三鷹に絶え間なく感じさせられ、志井は発汗した身体を仰け反らせ、
必死に口を押さえて喘いだ。遅漏ぎみの志井が、後だけの刺激であっという間に
高みに押し上げられたセックスは後にも先にもその1回だけだ。 <> オリジナル9/9<>sage<>2008/11/25(火) 01:51:04 ID:XpwAAZNJ0<> はやい話、後でいくのは難しい。だから志井は前派だ。
トリノ製のオナホを堪能したあと、志井は体感レポを記し寝袋に潜り込んだ。
志井の部屋には布団もベッドもない。志井が一番好きな寝具は寝袋だ。
エベレスト登頂にも用いられているという羽毛のつまった寝袋を志井は長年愛用している。
リラックスチェアでのオナニー後、お気に入りの寝袋に潜り込む。
それがたまらなく心地よい。
志井は好きなものがはっきりと決まっている。誰に奇異な目で見られてもいい。
ずっとマイペースに生きてきたし、これからもそうする構えだ。
一番はオナニーだけれど、ときどきリアルも恋しくなる。そういう時は、その手のバーで
男を漁ることもあるし、気持ちがお仕事モードに切り替われば別れ話を切り出す。
これまで志井との別れを拒んだ者はいなかった。
互いにほどよい距離感を保てる男としか付き合ってこなかった賜物だ。
自分なんかに深入りする男がいないことを志井はちゃんとわかっている。
きっとオナニーを想うように、誰かを想えたら、誰かと通じ合えるのかもしれない。
そう思うけれど、結局ご自愛が一番大好きだ。
誰かを想うなんて志井にはちょっと出来そうもなかった。
この両手とオナホがあればそれでいい。寝袋の中で自分の掌を見つめ志井は微笑んだ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウジサクジエンデシタ!
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/25(火) 02:05:23 ID:NaryKuA7O<> >>103
せつな萌えた……!事後のエロスも萌えました
ありがとう <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/25(火) 14:45:31 ID:a8OkkfOZ0<> >>106
GJ!
前半部の静謐で神秘的な雰囲気から一気に動に転じる辺りが、
よくできた舞台を観ているみたいで巧いなと思います。
瀬戸犯されてばっかり・・・・。総受ってゆーんだっけ。

>鎌のような三日月が照らす中・・・・
>闇のような黒檀の棺には金銀で細工が凝らされ、上質の翡翠と澄みきった色の碧玉が・・・・
この辺がものすごく好きだ。姐さん碧の瞳になんか拘りでもあるんかいな。

ラスト一文がこの作品の全体を引き締めていると思います。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/25(火) 15:39:56 ID:8TuSt0rJ0<> >>106
名前が萎える
いくら創作でもねーよ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/25(火) 18:06:37 ID:pFj6vK7V0<> >>117
凄く…面白いです。
毎回楽しみ。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/25(火) 18:22:56 ID:fVvgjE1AO<> >>96
素敵すぎです
金哲時代からの二人を思うと泣けてきました <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/25(火) 19:18:54 ID:PYgMOhI0O<> >>106
毎回楽しませてもらってます。
ついに兄様登場とは
神話は知ってるけど、一体どうなってしまうんだ
気になる <> オリジナル えせ時代劇風 0/9<>sage<>2008/11/25(火) 21:44:00 ID:IO9Mxr0LO<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
オリジナル。遊郭の番頭さん化粧師さんの続き。
途中でさるったらすみません。



九尺二間よりはましだが、長屋の土間は狭かった。邪魔するぜと入ったはいいものの、中は思った以上に暗く
狭く、どこへ足を踏み入れて良いか逡巡する。ようやく瓶と転がる魚篭の間に身を入れれば、狭い奥から声が
する。
見れば板戸を開け放って、化粧師はただ絵筆で細工ものを舐めていた。顔も上げず、珍しいなと言う。
あんたかい、何用だ。
「しばれるな」
どの口が言う。
あまりに幽玄にその月夜を浴びているので、瞬間時が止まったように呆けてしまった。だが振り向いたその顔
に、いや飲まれまい、飲まれてたまるかと下腹に力を入れる。取り乱すまい。取り乱しはすまい。
「俺が冷えるから、閉めてくれねえか」
頼むと、化粧師は妙な顔をしつつがたがた戸板を閉めた。此方も入り戸に心張り棒をかますと、またさらに
化粧師は怪訝な顔をした、ようだ。月明かりがなくなると明かりは薄暗い行灯ひとつとなり、髪や眉の影も
濃く、そして複雑になる。
「あんた、あの娘の髪結いに行ったんだってな」
まずは一言間においた。 <> オリジナル 1/9<>sage<>2008/11/25(火) 21:47:31 ID:IO9Mxr0LO<> 誰それを指すのかは黙っている。化粧師の反応を見た。
それが用事かよ、であの娘ったァ誰だ、予想通りの返事が返ってくる。そこで例の呉服問屋の名を言った。
娘の嫁入りと息子の情死が重なるなんざ、それこそ草子書きの都合でもなけりゃ、どう考えてもありえねえ。
どこかで繋がる何かが在る。
あんたしかねえだろう。
「だからどしたい。祝言に呼ばれりゃ、化粧にも髪結いにも行くぜ」
それが生業だからよ、と化粧師。ここまではわかる。ああそれは合点がいく。
ただ俺が腹を立てているのはその先の一点だと、それを一番効果的にこの男に突きつけてやるにはどうしたら
と、月夜の道すがらそればかり考えていた。
夜半にひとの長屋に乗り込んどいて、手土産も無しかと化粧師が混ぜっ返す。この時だとばかりに固まった手
の中、熱く握り締めていた櫛のかけらを叩きつける。派手な音はしなかった。薄汚れた畳と情けない明かりの
中、それは滑って化粧師の手前で止まる。
菊紋を彫り付け絵付けして、振袖新造になった櫛だった。新造も使い込んでいた。
派手でないのが粋なンだと、化粧師は鼻で笑って(冗談と自慢のない交じった)、実は一歯欠け
てんだすまねえなとまた笑っていた。 <> オリジナル 2/9<>sage<>2008/11/25(火) 21:49:24 ID:IO9Mxr0LO<> 焼け残りは、その一番端の歯が無い。間違いなかった。
「知ってたんだろう」
そして目の前にして、疑いは確信へ変わった。直感だ。
こんなもの、見なきゃよかった。
叩きつけられた櫛の半分を見て、二呼吸して化粧師の息の音が変わった。確かに変わった。
どこで、口がそう動いた。
「あんたの細工だ」
「待ちな旦那、何の」
「うるせえ」
それが引き金だった。取り乱すまい、我を忘れるまいとしていたが、怒りなのか嫉妬なのか、ふつふつ湧き
上がる何かで声が震えた。
惚れたはれただの、色街では叶うわけないと嘯いたのは誰だ。舐めるなと言ったのは誰だ。あんただ。
二つある。化粧師の櫛が二つある。ならば何故か、理由はひとつしかないだろう。
「あんた、逃がしたな」
逃がそうとした。
最初から手引きも何もしていない、あの夜あの場に居なかったのは知っている。ただ全く同じ飾り櫛を一つ、
たった一つ、川へぽんと投げ込んだだけなのだろう。
わかっていたから唇を噛んだ。たったそれだけのことだ。
だが情死と足抜けなら事情は違ってくる。こちらがわあわあ川をさらえているのを尻目に、どこかへのうのう
と逃げ延びたと思えば、さらにはらわたが煮えくり返った。 <> オリジナル 3/9<>sage<>2008/11/25(火) 21:51:25 ID:IO9Mxr0LO<> その怒りはこの男に向く。足抜けの罪も、責め苦を負うべきもあの二人とはよくよくわかっている。だがこの
男は櫛を投げ捨てたその足で、芯から何事も無かったかのように、俺の前で平然としていた。
それが許せぬ。血が滾った。あんたもあのあまもと、同じく叶わぬと言ったのは、化粧師のほうだ。
身が震えるほど思うのは、何故あの女の肩を持つのかと。むしろ逆か。
俺には何故、叶わぬままと言うのか。
「あのあま、勝ち逃げじゃねえかよ」
それに叶わぬなら叶わぬまま、ばっさり斬って捨ててくれ。苦々しい何かを含んでいるように、腹の底を探る
のは止めてくれ。吐き気がしやがる。
声を殺して言うくらいなら、最初からぶちまけてくれたら。
「俺は何だ!」
言うなら言え。
俺は突っ立ってるだけだ。畳に上がりこむこともしないし出来ない。月夜のあんたをどうこうしようなんて、
それすら出来ねえで固まる男だ。
「った、んじゃねえか」
しかし不意に聞こえた声が呻くようで、怒気がそがれた。驚いた、誰の声だ。
化粧師の声はとおる。檜や竹の清々しい硬さを髣髴とさせるそれで、逆に口汚く罵られるとそれ故堪える。
だが、これは誰の声かと思った。 <> オリジナル 4/9<>sage<>2008/11/25(火) 21:54:24 ID:IO9Mxr0LO<> 呻きであったり断末魔であったり、そういった疼めく感情に飲まれた声だ。今まで聞いたことなどない。ここ
まで救いの無いのは。
「この、俺がよ」
いや、やはり化粧師の呻きだ。あの櫛の半分の前、ぐっと首を垂れてうずくまっている。そこにいつもの快活
さは無い。
ひとを化かし笑うのが生きがいの、揺ら揺らゆれているだけの、狐で柳のような男だが、こんな生々しい有様
は初めて見る。血を吐く、血にまみれる、どちらもあった試しがない。
「何で拾うんだ」
その娘の祝言の仕度を頼まれたのは、以前の縁からだった。
この化粧師、当代きっての腕利きとまではいかぬが、噂をすれば五指に入る。もともとの馴染みでもあった
し、花嫁とも顔見知りだ。その兄と例の新造のごたごたで廓仕事に気が滅入っていたこともあったが、よし
めでたい席だ、一丁損得抜きで(いや祝儀ははずむだろうとわかっていたが)腕によりをかけてやろうと
出かけていった。
その娘のことは化粧師は好きだった。ころころとよく笑いそれでいて下品でない。大店の箱入り娘だが芯は
強く、仕度しつつ遊郭通いの兄の様子をからかえば(もう既に何処でも評判だった)、あにさんはあたし
より大事があって、と笑った。 <> オリジナル 5/9<>sage<>2008/11/25(火) 21:56:22 ID:IO9Mxr0LO<> 肝が据わっている。ただ父親と兄のすったもんだもよく知っているのだろう、嫁いだ後のことを思うと心残り
と言う。あにさんはあれで思いつめる性質だからと、おとさんは強情っぱりだしと、はあよく見てやがると
感心のため息をついたものだ。
仕度がひと段落して、茶の一杯も出されたとき化粧師は若旦那と会った。よく手入れされた庭を呆然と眺める
姿を、縁から見とめたのだ。ああ昼は親父と諍って、夜は廓に狂っていてはまあこの始末だろう。昼行灯に
拍車、とは口には出さぬが。
「妹の祝言に、冴えない顔してんじゃないよ」
からかえばほとほと困ったと、思わず同情してしまいそうな笑顔を見せた。やれやれ、兄貴だけでなくお天道
さまもご機嫌斜めだ、せっかくの晴れの日に景気が悪い。
今はまだ小雨だが、こりゃ酷くなるなと煙管をくゆらしていたら、何の前触れもなく若旦那は隣に腰かけ、
これを、と何かを差し出した。見れば小さな紫の、上等の袱紗の包みだ。何の真似だい、祝儀なら親父さん
から頂くぜと返したら、また若旦那はあの心底弱ったとでも言うような、人の良すぎる顔で呟いた。
大事な妹です、綺麗にしてやって下さいと。言われなくともそのつもりだ。 <> オリジナル 6/9<>sage<>2008/11/25(火) 21:58:38 ID:IO9Mxr0LO<> 言うと若旦那ははははと空虚に笑って(そのように見えた)、目に焼き付けておきたいと呟いた。ただ一息
おいて、せっかくの晴れ姿であるからとまた笑った。
昨今己のせいで、妹に心労をかけているとわかっているのだろう。しかし笑ってばかりいるくせに、威勢が
弱い。もともと顔と人の良さが売りのような男だが、やつれはてよろよろ笑う姿には、気丈に振舞っている
以上の何かを感じる。
あにさんは思いつめる性質だという妹の弁を思い出す。こういう男が思いつめると一体どういう行動に出る
か、化粧師は廓で散々見聞きしてきた。やばい予感が、はねた髪の一房を張り詰めさせる。
どこか今生の別れのように話している。
若旦那は知ってか知らずか、あんたにも世話になりましたとまた言う。何を意味しているか、普通にとれば
妹の仕度云々のことだろうが、なりましたときている。過去のことのように話している。
ぴんと来た。
「あんた、余計なことは考えねえほうがいいぜ」
するり押し殺した声を吐けば、若旦那はその饒舌を止めた。二人の間を雨の匂いを含んだ北風が走り抜ける。
「死んだら元も子もねえ」
ええいくそ、もうちょっと気の利いた台詞は吐けぬものかと己に舌打ちした。 <> オリジナル 7/9<>sage<>2008/11/25(火) 22:00:23 ID:IO9Mxr0LO<> これじゃあ無粋だ。
無粋も無粋、この二人もそうだ。叶わねえことにじたばたとし、泣き喚き、どうしようもない。真っ直ぐで
純粋で、健気で、ああ畜生、俺は褒めてねえ、断じて褒めてるわけじゃねえ。
もう会わねえつもりなんだろうとカマをかけると、若旦那は押し黙った。ほれ見ろ、嘘がつけない。後生です
と言われても、こちとら何の関わりも無い。
そうだ。権利もなければ義務も無いのだ。
叶わぬと斬って捨てる義理も無い。
「その覚悟があるなら」
俺は何を言おうとしてるんだと、己が煙管の先端を見ながら思った。どんより重だるい空にすうと上る白い
煙は、風にもまれてふっと掻き消えた。ああ、こうなりゃ良い。煙のように消えりゃ良い。
今日は、おあつらえの天気になりそうだぜ。
「何も残すな、足がつく」
傍も見ずに立ち上がる。素足に北風はすっかり染みていた。誰に言ったわけでもないと、化粧師は思って
いた。否、思おうとしていた。
そしてそれを忠実に、あの二人は守ったわけだ。否これも、守ろうとしたわけだ。
婚礼支度の化粧台、飾り細工を、下女が静々と抱え過ぎようとしたとき声をかけたのは、ただの気まぐれ
だったのか。
「ああ、待っておくんな」 <> オリジナル 8/9<>sage<>2008/11/25(火) 22:01:58 ID:IO9Mxr0LO<> 下女の手中の、飾り櫛をひとつ取る。
黒柘植でよく光った新品だ。花飾りがついているだけのものだ。
「かんざし一つのが、粋だぜ」
そう言って勝手知ったる問屋の中、仕立て部屋の絵付け道具と彫り刀を拝借したのだった。気まぐれで花飾り
をむしりその櫛を、まるであの櫛のように。
全く同じものを二つ、そしてその二つともを何故か、この男が手にしている。
「何であんたなんだ」
どっちの櫛も、と。
「そんな訳あるかって、その程度のほんの、ほんの少しだけの」
化粧師は苦しげに、そんな可能性を何故拾うのかと言う。問われても困る。そのほんの少しに何があったの
か、何を賭けたのかこちらから問うた。
「叶えたく、なったんじゃねえかよ!」
すると化粧師は、そう嗚咽して髪を掻き抱いた。
がり、絵筆を齧る音すらした。その八重歯のことを、場違いに思い出した。
みるみる肩が震えて、吐露するものが、その体からずるり抜け出す。強い風も無いのに行灯の火が身悶え
して、化粧師の影も己の影も揺れた。
その何かがごうおと、見えぬ嵐のようにその場を凪ぐ。
「あんたさえ拾わなけりゃ、気づかなけりゃと、俺はずっと」
ぽんと、闇夜に川にひとつの櫛。
「ずっとだ」 <> オリジナル 9/10<>sage<>2008/11/25(火) 22:03:33 ID:IO9Mxr0LO<> まさか、な。
たったそれだけくらい、冗談のような賭けだ。若しや新造が躊躇えば、若旦那が諦めれば、ただ流れていく
だけのこと。いやそれ以前に、これが今日の日でなければ、全て意味を成さぬこと。飲み込まれ沈めば誰に
も何も起こりはせぬ。
罪滅ぼしの意味も、己の良心の呵責もあった。手に手を取って駆け落ちしても、捕まれば目も当てられぬ
折檻、拷問が待っている。それをも知っていた。
逃げ延びたのかは知らぬ。もしかしたら本当に、川底に沈んだのかも知れぬ。ただもう、それも今となっては
どうでもいい。
叶うわけねえよ、叶わねえよ。ああそりゃそうだろう。だがもしうまくいったならそれは。
あんたさえ拾わなけりゃ、気づかなけりゃ。
だがもしあんたが拾ったなら、うまくいったならそれは。
ああ逆だ、何でもかんでも嫌がらせみたいにかちりかちり、噛み合いやがる。噛み合いやがった。
目を逸らすなと、そういうことか。俺は目を逸らせやしないのか。
畜生。
やがて、ふうふうと息を吐ききって、ようやっと顔を上げた化粧師と目が合う。何かが抜けた後の、それが
あばれ狂った後の、その目はやたらつめたかった。 <> オリジナル 終<>sage<>2008/11/25(火) 22:05:15 ID:IO9Mxr0LO<> 狭い、この距離なんざ僅かだ。
結わえきれぬ髪も好い。伸ばした手のひらに触れ掴める。
そのまま仰向けに押しやっても、化粧師は冷静だった。いつぞやの煙管のように咥えていた絵筆を、ちょい
と絵皿へ戻すこともする。
目は逸らさず真っ直ぐのままだ。
畳のまんまはちょいとつらいなと言うので、押しやられていた夜具を足で引きずりだして乗り上げた。おと
がいに掛けた指を化粧師は好きにさせておく。
喰らいつくように口付け貪っても、もれるのは継ぐ息の音だけだった。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
やっとここまで来ました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/25(火) 22:07:17 ID:EvTDHB/U0<> キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
一度は否定された思いを、他の誰かが叶えられちゃ辛いな。
食うか食われるかの空気が凄いです。楽しみに待ってます。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/25(火) 23:09:22 ID:xkZeiNbpO<> 番頭さん&化粧師さんシリーズ
ワタクシ昨今稀に見るハマりっぷりです…
続き楽しみ過ぎるッ!
こんなトキメキをありがとう姐さん <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/25(火) 23:14:36 ID:xQBbPiGk0<> そんなに長く続くなら自分のサイトでやればいいのに <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/25(火) 23:20:30 ID:t8ATIW1t0<> まぁ、確かにオリジナルなら憚る必要ないものな。

内容がいい分、サイト作ってもっと同趣味の方に読んでもらった方がいいと思う。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/25(火) 23:36:06 ID:C28if2x1O<> この程度の長編なら、まだそんなに言う程でもないんじゃない?
オリジ&シリーズ物で何スレにも渡る大長編なら過去にもあったしね。
この話が終わったら、サイト移行なり何なり考えれば良かろうよ。

このまま大政奉還くらいまで書き続けられたら困るけどw <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/26(水) 00:12:09 ID:HuV7S+qCO<> 大政奉還不覚にも吹いたw

しかし定期的に変なの沸くね。
一つのジャンルや投下が続くだけで騒ぎすぎ。
NG登録でもしたらどうか。

オリジナル長編バッチコイな私にはうきうきだ!
同時に神話とオナホと遊郭話読めるなんてなかなかないw

では次どうぞー <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/26(水) 00:37:05 ID:bTsw2CliO<> 長編短編オリパロ、オールオッケーなのが棚の醍醐味ナンジャネーノ?
読みたくなければスクロールorNG設定出来るケド、読みたいのに去られた日にゃぁ、涙チョチョぎれるわw

えせ時代劇風、メッチャ続き待ってる!
あと、ついでに前スレ訪問者も!
<> オリジナル1/4<>sage<>2008/11/26(水) 00:50:34 ID:l8QVnnBV0<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
オリジナル。現代モノ。きのうの続き。


「常務」
出社後、志井が給湯室で珈琲を入れていると、自分に呼びかける超低音のいい声がした。
色気のあるローバリトン。女子社員に大人気の深く響くこの声の持ち主は
おそらく開発部の主任だろう。あたりをつけて振り返ると思った通りの人物がいた。
(声がいいと顔も良く見える。この男はその好例だ)
志井は雰囲気が男前なオナホ開発チームのリーダー六六六を見上げながらそう思った。
身長175センチの志井より、六六六は頭ひとつ分高い。
この長身の年上の部下が仕事中以外に自分に話しかけてくるのは極めて珍しい。
「どうした?」
上目で訊ねた志井に六六六は自分の携帯電話を差し出した。
「常務のお知り合いと繋がっています」
「え?」
小首をかしげつつ受け取った薄い携帯を耳にあてる。
「もしもし?」 <> オリジナル2/4<>sage<>2008/11/26(水) 00:51:11 ID:l8QVnnBV0<> 「お! なつかしい声。俺のこと覚えてる?」
聞こえてきたのは別れた男の声だった。
「夕べミロクに伝言頼んだら、朝、メール来てさ、自分で直接話せだって」
携帯から三鷹の声が聞こえてくることに志井は切れ長の目を見開いた。
それから、志井はちらっと六六六を見た。どうやら三鷹と六六六は親しいらしい。
「いま羽田。志井商事って本社、中野だよな? ビストロ、クスクスってわかる? 
昼メシ一緒に食おうぜ。12時に店の前な?」
付き合っていた時でさえ食事に誘われたことはなかった。
バーで軽く飲むかホテルでルームサービスを頼む。それが常だった。
戸惑いながらも言葉少なに頷き、志井は通話の終わった携帯を六六六に返した。 <> オリジナル3/4<>sage<>2008/11/26(水) 00:51:48 ID:l8QVnnBV0<> 「三鷹とは前の職場で一緒にチームを組んでいたんです」
二人の仲を手短に説明しながら、渡された携帯をスーツの胸ポケットに納める六六六の
大きな手を志井はぼうっと眺めた。
世間は狭い。突然の電話よりも、三鷹と六六六が知り合いだったことに志井は驚いた。
驚きがおさまってから、志井は少し悩んだ。どんな顔をして会えばいいのかわからない。
今まで付き合った男とはほとんど全員音信不通だ。
別れたはずなのに普通に話しかけてきた三鷹が志井はまったく解せなかった。
志井的には携帯のアドレスを削除した時点で三鷹との縁は切れていた。
言葉が通じてないんだろうかとさえ思った。 <> オリジナル4/4<>sage<>2008/11/26(水) 00:52:31 ID:l8QVnnBV0<> 昼に再開した時、付き合っていた時と変わらぬ態度で自分に接してきた三鷹に
志井は大いに戸惑った。「会いたかった」と、「探した」と言われ、心が乱高下した。
日替わりを食べ食べ三鷹は、行きの飛行機が二度着陸に失敗した話をした。
こんな話をしにわざわざ来たのかと呆れつつ、一緒に食べたランチは
メインの魚はもとより付け合せの野菜までうまかった。
「コンドームつくってんの?」
仕事を聞かれ、オナホールをつくっているのだと答えた。
「俺は神の穴をつくりたい」
誰にも言ったことのない野望を語りながら、付き合っていた頃よりも、
三鷹と仲良くなれそうな不思議な予感がした。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウジサクジエンデシタ! <> 黒φ0/12<>sage<>2008/11/26(水) 01:03:01 ID:McVpeaDh0<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

ツ/バ/サ/ク/ロ/ニ/ク/ル 黒×φ
堀鐔学園設定な感じで微妙な裏有り
<> 黒φ1/12<>sage<>2008/11/26(水) 01:03:35 ID:McVpeaDh0<>
それは珍しいことだった。
確かに、こちらから押しかけることは度々あれども、向こうからやってきたのは過去に遡ればいったい最後はいつだったか。
「…どうしたの?」
「暇か?」
「え?…うん、まぁ…」
短く問われて、そして家の中へと入ってくる。
「……どうした?」
玄関先で立ち竦むこちらを振り返って、黒鋼が問う。
「………それを訊きたいのはコッチだよー…?」

「おい」
「何ー?」
なんだろう、なんとなく、いつもと違う。
「…俺は怒ってるんだが、解るか?」
「…まぁ…なんとなく」
ああ、何だ、この仏頂面をしている原因は何か怒っているからなのかとファイは頷いてから首を傾げる。
「…それでなんで、家に来るの?」
<> 黒φ2/12<>sage<>2008/11/26(水) 01:05:09 ID:McVpeaDh0<>
「原因が、てめぇだからに決まってんだろうが!!」
怒鳴られて、ファイは驚いて目を見開いた。
黒鋼がココまで機嫌が悪いのは久しい。

…に、しても。
「オレ、何かしたっけー?」
ギロリ、と鋭く睨まれてファイは片足だけ、後退さる。
もう慣れたと思ってはいたが、やはり黒鋼の眼光は迫力がある。
「…っ、なに…?」
ダン、と壁に叩きつけられて、ファイは困ったように黒鋼を見上げた。

逃げようと思えば逃げられるかもしれない。
逃げられないかもしれない。
どちらにしろ、そんなコトはさして重大問題ではないのだが。
なぜなら、逃げる気など全くないから。
<> 黒φ3/12<>sage<>2008/11/26(水) 01:05:44 ID:McVpeaDh0<> 「黒ぽん?」
「黙ってろ」
「……黙ってろって言われても…」
いったい、何が原因かくらい聞いてはいけないことなのだろうか。
「手ェ出せ」
「手?」
ファイはひょいと右手を差し出す。
「違う。両手だ」
よく解らないまま、両手を差し出す。
すると、くるり、とその両手首を一本のロープで縛められた。
「なにこれ…?」
「解くな」
「解くなって…」
意味が、解らない。
こんな事をされたのは初めてで戸惑いを隠せないが、それをするなと言われてしまえば、大人しくしているしかないのだろう。 <> 黒φ4/12<>sage<>2008/11/26(水) 01:06:18 ID:McVpeaDh0<> 「まだ、解んねぇのか?」
「…だから、何のこと…?」
ファイは正直に、答える。
すると、こめかみあたりの髪を、無骨なその指で、ぐい、とかきあげられ、そして、キスをされた。
声音とか、態度とか、そんなモノとは対極のような優しいキスにファイは、驚いて目を見開いた。
「…黒るー…?」
怒っている、というのに、何故、こんな優しいキスを寄越すのだろう。
「お前には俺がいる。なんで、それが解らない?」
「何の…」
コト?と問い返す言葉が、また唇で塞がれた。
何度も何度もわざと音を立てるようなキスを繰り返す。
壁に押し付けられたまま、黒鋼の意図が解らなくて、ファイはされるがままにそれを受け入れた。
そして。

「舐めろ」
黒鋼の右手の人差し指を口に突っ込まれて、言われるがままに、舐めあげた。 <> 黒φ5/12<>sage<>2008/11/26(水) 01:06:49 ID:McVpeaDh0<> 「…っん…」
丹念にそれを濡らしたトコロで、黒鋼は、ふい、とその指を離す。
首筋に、黒鋼は舌を這わせながら、その指をファイの下肢にあてがいながら、そのまま、衣服を軽く降ろしたダケで、ナカへと差し込む。
「っ、ア」
キスだけで、大分感じ易い身体になっていたとはいえ、流石にその性急過ぎる行為に、ファイは身体を逃げさせる。
とは言っても、元々壁に押し付けられた状態のせいで、1cmも逃げられたのか解らなかった。
「…く、ろ…っ」
耳朶を軽く甘噛みされながら、ファイはふるふるとくびを振る。
「や…。いたっ…、ん…っ、ぅ」
「俺は……」
黒鋼が、言葉を言い澱む。
その先を、何を言いたいのか、ファイには解らなかった。
「な、んで…」
「それは」
黒鋼は、苛立たしげに告げた。

「それは、こっちのセリフだ」 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/26(水) 01:09:19 ID:m5/RmSbx0<> でも、お待たせしました〜とか言って続編連載するのは微妙にモニョる
お前のスレじゃねーよと <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/26(水) 02:15:30 ID:HuV7S+qCO<> さるった?
支援

>>152
つ絡みスレ <> 黒φ6/12<>sage<>2008/11/26(水) 02:21:17 ID:McVpeaDh0<> 散々、ファイの内壁を荒らし続けたその指を、黒鋼はするりと、抜いた。
高揚した身体は、黒鋼の指が突然抜き出されたことに、恨めしそうにヒクつかせる。
「…くろ、た…」
黒鋼の右手が、そのまま、ポケットにに突っ込まれ、そこから、何かを取り出した。
「…?」
そして、それを、迷いもせずに、ファイの後孔に突き入れる。
「…ッ!?」
いきなり、突き上げる痛みに、ファイは身体を仰け反らせた。
熱を帯びたような身体のナカに機械的な冷たさすら伴う、ソレ。
「な…何…っ?」
「なんだと思う?」
「…そんなの…」
解るわけがなかった。
そして、知りたくないとも思った。
カチ、と黒鋼の掌のうちで、小さな音が響いた。 <> 黒φ7/12<>sage<>2008/11/26(水) 02:22:36 ID:McVpeaDh0<> 「あっ」
カクン、と力が抜けた。
小さな小さな機会音と共に、身体の中に埋め込まれたモノが微妙な振動をはじめる。
「っと、しっかり立ってろ」
右腕を、無理矢理支えあげられる形で、ファイの身体は黒鋼に凭れかかる格好になる。
「やぁ…っ、ん…く、」
足腰に力が全然、入らない。
「コイツは、そんなにイイか?」
「なんで…っ」
身体の内に押し込まれたソレが、なんなのか、説明されずとも解った。
バイブ機能付きの、いわゆる、大人の玩具。
今まで、黒鋼はこんなモノを使った事はない。
こんなモノを使ってまで自分をいたぶりたいほど、黒鋼は怒っているのかと、ファイは思わず自嘲を零した。
何を、したのか、見当もつかなかった。
「黒様…っ」 <> 黒φ8/12<>sage<>2008/11/26(水) 02:23:23 ID:McVpeaDh0<> 黒鋼の顔を、なんとか見上げる。
無表情な顔だった。
けれど、何故だろう、無表情な瞳の奥に、何故か悲しみの色が見えた。
本当に、立っていられなくて縋りつくように、黒鋼の身体に手を伸ばす。
「まだ、解らねぇか?」
ファイは、力なく、それでもこくん、と頷いた。
悲しみの色が、更に、増す。

何かが、黒鋼を傷つけている。
だけど、それが、なんなのか。
ぼんやりとしてくるアタマでは、思考なんてまとまりそうにはなくて。
「…黒様…」
縛られた手首に絡むロープが軋むように手首をチリチリと傷つけた。
黒鋼の指先が、ファイ自身へと絡む。 <> 黒φ9/12<>sage<>2008/11/26(水) 02:24:21 ID:McVpeaDh0<> 息が出来ない程に、苦しい。
果てるには、届かないその絶え間ない刺激が、ファイのナカで燻るように熱を残す。

「俺が欲しいのは、ひとことだけだ」
「っあ…」
「それがなんなのか、解らねぇのか、お前」
抱き締めてくる腕のぬくもりが、心地良い。
黒鋼の大きな胸板の中で、ファイはホッと息を吐く。

それは、何?
何が、言いたいのか、教えて、黒様―――――。

「っひぁ…!…ふ、っ」
ファイ自身に絡められた指の爪が、カリッと強い刺激を与え、ファイに、解放を促す。
思わず、溜まっていたソレを吐き出して、涙目で、ファイを仰ぎ見た。
「…」
「一言!一言で構わねぇ!!」
「…わか…ないよ…黒たん…っ」
黒鋼の指が、ファイの後ろに伸びて、それを、抜き差しさせた。
「…ぁっ、ア…」
<> 黒φ10/12<>sage<>2008/11/26(水) 02:25:09 ID:McVpeaDh0<> 何が、なんだか解らなくなる。
言葉、なんて出てはこなかった。
口から出てくるのは、淫らな声。
「…っ、くろさま…」




「…助けて…っ」


短く、零れた声。
黒鋼は、強くファイを抱き締める。

「それだ」
黒鋼の手の中で、ファイはそのままぐったりと気を失った。
「それだけでいいんだ」 <> 黒φ11/12<>sage<>2008/11/26(水) 02:26:26 ID:McVpeaDh0<> そのコトバを、ずっと、待ってた。
助けを求めてくる声を、腕を、ずっと、待ってた。
なにもかもを、全て自分自身で背負ってしまおうと独りで無茶をするその背中を見るのが辛かった。
ひとこと、助けて欲しいと、言って欲しかった。
独りで、歩めるわけがないのだから。
独りで、なにもかもを背負うその背中を。
伸ばしてもかわされる腕が辛かった。

「なんで俺に、ひとこと言えないんだ、お前は」
いつもいつもいつもいつも。
こいつは、独りだった。
独りではないのだと、気がついて欲しかった。

一緒に、居て欲しいと言って欲しかった。
共に歩んで欲しいと言って欲しかった。
助けてと、一言で良い、言って欲しかった。 <> 黒φ12/12<>sage<>2008/11/26(水) 02:27:40 ID:McVpeaDh0<>
コレは、八つ当たりだ。
そんなコトは解っている。
それでも。
それでも。
お前を独り、失うコトはしたくなかった。

頼むから、こんなことを、させてくれるな。
頼むから、なにもかもを背負い込もうとするな。
頼むから、独りで、生きていこうとなど、するな。

頼むから。

ファイのナカから、ずるり、とソレを抜き出して、そして、強く抱き締めた。
気を失った身体を強く強く抱き締めた。

いっそ、自分は狂気すら孕んでいるのではないかと、思わされた。

「………ファイ」
頼むから、俺を…。
聞こえている筈などないというのに、黒鋼は囁く。


「頼むから、俺を、置いていくな」



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

支援してくれた人ありがとう。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/26(水) 07:38:17 ID:wzB2TXGDO<> 感想書いたことないけど、こんな状況だから書いておこう

オナホール話、大好きです
読んでる間、頭の中で中島みゆきの歌声が流れます
技術者が揃って、神の穴プロジェクトチーム発足一歩手前くらいなのかな
どう転ぶのか、続きを楽しみにしています <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/26(水) 08:07:27 ID:HGgil/ZhO<> >>146
黒鋼の気持ちに焦点当てた話は珍しい
GJ!大好きだ!!
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/26(水) 10:41:11 ID:taeerTagO<> >>145
神wのw穴www

もはや姐さんの御自愛話が楽しみで仕方ない。 <> 最終幻想6 レオケフ1/4<>sage<>2008/11/26(水) 14:30:41 ID:b9MixmYx0<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


水色の瞳は、私を映さない。彼の視線は、真っ直ぐ、鏡に向けられていた。
薄ぼんやりとした蝋燭の灯りだけが、この部屋を照らしている。彼の白い肌が、静かに浮いていた。
「…………ケフカ」
名を呼ぶ。呼び慣れている筈なのに、息苦しさを覚えながら。
「……食事を、持ってきた」
細い肩が震える。しかし、彼はこちらを見ようともしない。
ぶつぶつと何事かを呟き、少年の形をした人形を抱きしめ続ける。
「ケフカ」
食事を載せたトレイが手から滑り落ちた。
それを放置し、ケフカに近づく。乱れた髪をそっと撫で、しゃがみ込み、後ろから優しく抱きしめた。
体温も同じで、体臭も同じで、それなのに、もう彼は彼ではない。
こうなると事前に知っていたら、あんなことはさせなかったのに。
悔やんでも仕方がないと分かっていながら、頭の中で懺悔する。
脳裏で閃く、ケフカの怯えた目。血まみれの部屋。
『助けて』と私を呼んでいたのに、助けてやれなかった。
失われた笑顔は、戻ってこない。 <> 最終幻想6 レオケフ2/4<>sage<>2008/11/26(水) 14:31:38 ID:b9MixmYx0<>


「皆のためになるのなら、構わない」
そう言って、彼は微笑んだ。
彼の方が年上の筈なのに、その表情はあどけなく、真っ直ぐだった。
「しかし、どんな副作用があるのか、どんなことが起こるのか……何も分からないんだぞ」
「うん」
言いつつ立ち上がり、ケフカは窓辺に向かった。私も後に続いた。
ついに明日だ。明日、ケフカはあの実験室に入る。
魔導は一ヶ月間に渡って注入されるのだという。
魔導を注入された人間がどんな風になるのか。それは、誰にも分からない。
ケフカは空を見上げている。星が綺麗だよ、と呑気な声を出している。
「やめる気はないのか」
「ない」
「どうしてもか」
「どうしても」
振り返り、こちらを上目遣いで見上げてくる。
「……レオ」
首に手を回され、頭を引き寄せられる。痩身を抱き、誘われるように唇を重ねた。
愛おしくて堪らなくなって更に強く抱きしめると、彼は笑った。
「レオ……好き」
口づけの合間に、甘い調子で告げられる。水色の瞳は潤み、眦には朱が刷かれていた。
心臓が激しく鳴った。胸が熱かった。
「私も好きだ。ケフカ……」
明日への不安を心に纏いつつ、もう一度口づけた。 <> 最終幻想6 レオケフ3/4<>sage<>2008/11/26(水) 14:32:30 ID:b9MixmYx0<>


“魔導注入”とは、一体、どのようにして行われるものなのか。
行ってくるよ、と微笑みながら兵士と共に扉の向こうへ消えたケフカにすら、
それは知らされていないらしかった。
閉じられた扉は私を拒んでいて、まるでケフカが遠い者になってしまった気がして、
私は自室に戻ってから、小さく溜息をついた。
仕事の間もケフカも事が頭から離れず、注意力散漫だと注意されるほどだった。
ひと月もの間、ケフカに会えない。子どもっぽい感情が、私の胸を苛んでいた。

『皆のためになるのなら、構わない』

この帝国のために、繁栄のためにというのがケフカの口癖だった。
しかし、私にはこの帝国が分からなくなっていた。
新しく建てられた魔導研究所に引きずり込まれていく幻獣達は血塗れで、
それは到底“良いこと”だとは思えなかった。
窓の外には星があった。星が綺麗だよ、と言った彼は、今夜は不在だ。
やけに静かな部屋は、私の心を掻き乱してやまなかった。 <> 最終幻想6 レオケフ4/4<>sage<>2008/11/26(水) 14:33:08 ID:b9MixmYx0<> ケフカがあの部屋に入って一週間程経った。
魔導実験で死者が出た。そんな話が飛び込んできた。
魔導を注入されたのは、何も、ケフカだけではなかった。
老若男女問わず、ケフカを含む十人の被験者が選ばれ、実験をうけていた。
そのうちの二人が死んだのだという。
もしや、死んだのはケフカなのではないか。拳を握りしめながら、私は同僚に問うた。
「死んだのは、爺さんと女だそうだ。ケフカじゃない」
私は余程酷い顔をしていたらしい。同僚は苦笑していた。
私の中で、実験への不安が大きな塊となっていく。
命を落とすかもしれない実験だと、頭では理解していたはずだった。なのに、私は衝撃を受けている。
理解していなかったという、何よりの証拠だった。
最後の晩に抱きしめた時の、あの細い体の感触を思い出す。
薄い唇が、上気した頬が、やけに真摯な青い瞳が脳裏を過った。
あの時、彼は何かを隠していたのではないか――そんな考えが、私の頭を支配し始める。
ケフカは嘘をつくのが上手かった。人を傷つける嘘はつかないが、優しい嘘は得意だった。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
そのうち、続きを投下しに来ます。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/26(水) 19:27:14 ID:jSmyUoq5O<> >>167
レオケフキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
続き楽しみにしてます、ありがとう乙!! <> オリジナル 自業自涜 1/2<>sage<>2008/11/26(水) 19:59:27 ID:L18GJurNO<> オリジナル。双子兄×双子弟の近親相姦、不倫描写あり。ご注意下さい。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

 二十代も半ばを過ぎて、少年時代のように毎夜毎夜昂るようなことは流石にないが、それでもたまに
は体がうずうずして眠れない夜がある。
 龍平は布団の中で寝返りをうち、今夜何度目かの溜め息を吐いた。
 ここしばらく続けていた大きな仕事を今夜やっと終え、指一本動かすのも億劫な気分で着替えもせず
にベッドに潜りこんだ。それなのに、疲れきって重怠い全身の中で下半身だけがむずむずと熱い。ひど
く疲れている時に限ってこんな気分になる。睡眠欲と繁殖欲が完全に拮抗していた。
 龍平は目を閉じる。生臭い方の欲望には無視を決め込み布団の中でゆっくりと呼吸をする。疲労と眠
気はすっかり全身に行き渡り、四肢は重く動かす気もしないが、その部分は相変わらず火照って龍平の
指を求めてくる。――なんてしつこいのだろう。
 龍平は根負けしたかのように息を吐いて、かちゃりとベルトを緩めた。右手が刺激を欲している場所
に向かって潜っていく。勝手知ったる自分の体だ。どんな強さで握ってどのように動かせば気持ちいい
かはよく承知している。それはすぐに硬さを持ち始め、龍平は次第に行為に没頭していった。扱きたて
る部分から背筋を通って、無防備な体に朦朧とした快感が広がっていく。 <> オリジナル 自業自涜 2/2<>sage<>2008/11/26(水) 20:02:14 ID:L18GJurNO<>  脳裏に浮かぶのは唯の白い裸身だった。ここ数週間、龍平は恋人と身体を交わしていない。ただ一度だけ
交わったと言えば、それは、実の弟と――。
 握った指が敏感な部分を擦り上げ、龍平の全身にぞくっと快感が走った。同じ顔、同じ声を持つ弟と、
龍平は抱き合ったのだ。熱い舌を深く絡み合わせた口付け。狂おしいまでの衝動が体を突き動かし、汗
と体液にまみれながら龍平は弟の中に何度も精を放った。瞼に映る唯の裸体がゆらりと歪み、形を変えて、
喘ぐ弟の姿になる。
(…っ、く…う、ん、ん、あぁ、龍平…ッ!)
 双子の弟を抱くなど許されることではない。それは唯に対する裏切りであり、龍平が二十六年間抱え
てきた倫理への冒涜である。一時の過ちだと自分に言い聞かせても、龍平は今確かに弟の痴態を思い描
いて自身を慰めているのだ。痺れるような罪悪感、そして快感。背徳の蜜は、どうしてこんなにも甘い
のだろう。
(龍平、そんな…っん、っ、ぁ、ああぁ…ッ!)
 絡ませた指の動きが自然と速くなっていく。翔平の舌は巧みで、唾液でぬめる唇は柔らかかった。翔
平の中は熱く湿っていて、ひどく締め付けがきつかった。ねっとりと舌を使われれば腰が蕩けそうになり、
繋がってしまえばいよいよ思考力は獣並になる。乱れた髪から汗の滴が翔平の背中に落ち、龍平の噛み
殺した呻きと翔平の押さえきれない喘ぎは重なり合って溶け合っていく。そして、ついに――。
 龍平の全身がびくりと硬直した。ティッシュを手に取る暇もなく、龍平は声を詰まらせてどくどくと
自らの手のひらに射精する。最後の一滴を出し終わるまで、龍平は体が芯から震える感覚に恍惚と眉を
寄せていた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/26(水) 22:14:59 ID:m7hj+PfGO<> >>167
待ってました!GJ!
続き楽しみです! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/26(水) 23:37:16 ID:aivL2gBsO<> >>169
これオリジナルっていうか…
どう考えても木公田兄弟じゃん。 <> 携帯捜査官七 三×霧 1/2<>sage<>2008/11/27(木) 00:15:02 ID:HrRQTpCu0<> 水曜夕方七時から携帯が喋ったり踊ったりな番組で
3×霧 今週ネタです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「許さん、許さん…」
霧腹は憧れの『ひとみちゃん』が7にキスをしたことをまだ根に持っている様子で、
ぶつぶつと呟きながら椅子に座って、貧乏揺すりを隠そうともしない。
本部にはいつものメンバー。ジャックの一件が片付いてひと段落というところである。
しかしほのぼのムードの中でも、啓太は詰め寄るご隠居から逃げるように隅でぐったりしているし、
塔子と千種はこれまた隅の方で、独り言の激しい霧腹を避けるように見守っている。
(霧腹さんってネチネチタイプなんだよねえ)
(…まあ放っておいたほうが良いでしょう)
などと、半分呆れを含ませた言葉を交わしながら。
携帯組はというと、7はキスをされたことを思い出しながら
ふらふらとデスクの上をよろめき、3は…霧腹の手の中で、愚痴を聞かされている。
支蔵たちは3かわいそうなどと思いつつも、そんなことはおくびにも出さず仕事、仕事だ。
「…はあ…」
響いたのは霧腹の溜息。たっぷりの羨望と恨みのこもったそれに、また女性二人が眉を顰める。
サードは文句ひとつ言わず、霧腹を慰めてやっている。元気を出して下さいだの、
きっといつかよいことがありますだの、おざなりの言葉で。
当然そんなもので霧腹が癒されるわけもなく、それどころか今の霧腹にとっては
慰めなどただの社交辞令の同情にしか聞こえない。つまり3の行動は逆効果。
「…お前はいいだろうな、別にファンじゃあないんだからなあ」
いつものハキハキとした言葉とは全く印象の違う、間延びした文句に3は困ってしまう。
<> 携帯捜査官七 三×霧 2/2<>sage<>2008/11/27(木) 00:15:53 ID:HrRQTpCu0<> 霧腹はうつろな目を3に向けたかと思うと、いきなり睨みつけ、まくし立てた。
「俺だって確かに頑張ったんだ、ひとみちゃんのために!それなのにこの扱いの違い、許せん!
見ろっ、あの7の有頂天ぶりを!それだけよかったってことだ、あのキスがっ」
3はますます困ったように、バディ、と呟く。
すると霧腹は次の瞬間――ありえない、あってはいけないことをした。
『…っ!?』
3から声にならない悲鳴があがる。塔子と千種はバッチリ現場を見てしまい、
塔子はどこか楽しげな、千種は複雑な表情を浮かべた。
「…わかったか、3、これをひとみちゃんにやられるってことだ。それがどんなに――
…3、どうかしたか?」
3は目を回して、そのままぶっつりとブラックアウトしてしまった。
霧腹は首を傾げる。充電切れにはまだまだならない筈なのに――と。
(うわあー…霧腹さんって時々よくわかんないんだよねえ)
(……もう私は何も言いません)
二人は対照的な表情をした後、それぞれの業務に戻ることにした。
ようやくご隠居から開放された啓太も、7と共に帰路につこうというところだ。
皆がそれぞれ動く中、霧腹は一人怪訝そうな顔をしながらも
整理業務に取り掛かるためポケットにそっと3をしまった。
(バディは迂闊すぎます!こ、こんな、こんな破廉恥な…!わたくし、わたくしは…!)
ポケットの中での3の呟きは、勿論霧腹に聞こえることはなかった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> ぎらぎら サキL×秀世氏 1/4<>sage<>2008/11/27(木) 00:28:59 ID:XObArsa40<> ドラマぎらぎらより。
本スレの流れに萌えに萌えてしまい、もしもサキLが輪句へ移籍しちゃったら話です。
一応サキL×秀世氏です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

こんちわっす!輪句のナンバーワン、トウマっす!
先月はユウキに抜かれたけど、でも輪句のナンバーワンのトウマっす!
俺、あんま悩まないタイプなんすけど、最近ちょっと困ってることがあるんです。
それは何かっつーと、一ヶ月前に輪句に入ってきたサキLっていう奴のことなんですけどね。
ウチに来る前は枕営業の店の代表やってたかなんだかで、とにかく無茶苦茶。
過去にうちの店で大暴れしたせいもあって、コウヘイさんや秀世氏の強力プッシュがなきゃ俺らみんな入店なんかお断りだった。
でも、そんなヤツもみんなのフォローでなんとか一ヶ月もってる。
それどころかだんだん接客もマトモになってきた上に、くやしいけど元々あの顔立ちだろ?
指名とかもつき始めたし、俺らもうかうかしてらんねーなってユウキたちとも話してたんだけど。
困ってるのはそんなことじゃねーんだ。

実は俺には、俺だけの秘密の休憩所っていうのがある。
うちの店が入ってるビルから隣のビルに忍び込めるポイントがあって、そっから隣のビルの屋上に入れちまうんだ。
気分が乗んねー時、俺はいつもそこでこっそりタバコ休憩しててさ。
場所が場所だけに誰にも見つかんねーから俺専用の休憩所にしてたのに、ある夜、そこに先客がいたわけよ。

「ン……ッ……ア……ッ!」 <> ぎらぎら サキL×秀世氏 2/4<>sage<>2008/11/27(木) 00:30:00 ID:XObArsa40<> ……ゴクリ。
聞こえてきた女の子のちょいハスキーめな喘ぎ声がエロっちいなと思いつつ、まーつまりお取り込み中だったわけで。
俺様専用の休憩所で致してるなんてどこのどいつだ?とドアの隙間からこっそりのぞいてみると……その噂のサキLの野郎だった。
壁際に女の子押し付けて、あつーいキスやらお触りやらでお楽しみのようで、
相手の子が誰なのかは影になっててよく見えなかったけど、
その子の膝がカクッと砕けたところをサッと片腕で支えてやるところなんか妙に絵になってたりしてて。
そこがまた嫌味っぽいっつーか腹立つっつーか。
それよりアイツこんなとこで枕営業か?枕は固く禁止されてんだろーがよ!
とぶち切れそうになってたところに、話し声が聞こえてきた。

「ねぇ、俺、輪句に入ってそろそろ一ヶ月だよ?そろそろヤらせてよ。もうこんなキスなんかじゃ我慢できない」
「バ……バカ言ってんじゃねぇ……」



息も絶え絶えの、この相手の子の声……

「キスだけのご褒美じゃ、大人しくしてるのもう限界かも」
「や……だっ……!」

耳を舐められて切なげにもがく相手の子の顔に屋上のライトが当たった。

え っ ?

嫌がってるけどちょっと目がトロンとなってんなって、おい!おおーい!

お、おま、ひ、ひでよしぃ?! <> ぎらぎら サキL×秀世氏 3/4<>sage<>2008/11/27(木) 00:32:02 ID:XObArsa40<> 俺は非常にヤバいものを見た気がしてドアをそっと閉め、そそくさと店に戻った。
ウッソー!うっそだろ?
そう思ったけど、サキLと時間差で店に帰ってきた秀世氏のぐったりとした顔を見て、俺は見間違いじゃなかったと確信した。
もちろん俺はすぐ秀世氏をとっつかまえて事情を聞いたさ。

「……見てたのかよ……」

と、店の間接照明の中でも真っ赤だとわかるくらい顔を赤らめながら、秀世氏は俺から視線をそらした。
(こいつ、ヒゲなんか生やしてコワモテっぽくしてるけど、こういうトコ、なんか可愛いんだよなぁ)
……って違う!俺ホモ違うから!

「お前やばいだろ……コウヘイさんこの事知ってんのか?」
「トウマ……このことみんなには黙っててくんねーか」
「でもサキLにあんなセクハラみたいなことされててよー……」
「いいんだ。アイツを大人しくさせとけるなら、アレくらいなんでもねぇよ」
「でも……コウヘイさんにだけは言っといたほうがよくねーか?」
「ダメだ。あの人、ただでさえプライベートや店のことで大変なのに……。
それに何より、コウヘイさんは俺を信頼してサキLの教育係任せてくれたんだ。
サキLがようやく自分を大事にするようになったって、すごく喜んでんだ。だから」
「でもよー……」
「なーにー?二人で何の相談してんのー?」
「!!!」
「!!!」 <> ぎらぎら サキL×秀世氏 4/4<>sage<>2008/11/27(木) 00:33:57 ID:XObArsa40<> 庄司の乱入でそれ以上話は続けらんなかった。
最後に俺に、心配してくれてありがとな、って言ったときの一途な目がどこまでも秀世氏らしいなと思ったけど。
秀世氏の決意の固さもわかったし、そこまで考えてるヤツにもうどうこう言う気はねぇ。
でもさ。

「ン……ッ……も……よせっ……!」
「ダーメ。……ホラ、舌出せよ秀世氏」

今夜も俺だけの秘密の休憩所で、ちゅ……くちゅ……と舌を吸う音が聞こえる。
サキLと秀世氏の行為がどんどん濃厚に、いや濃厚というよりもはや調教?みたいになってきてる気がする。
いや、俺断じてホモじゃないっすけど!ノゾキの趣味もないっすけど!
現場に遭遇するたびについついこの二人を見ちまって。
でも、ちょっと意外だったのはサキLの表情だった。
ブッとんでる危ないヤツっていうイメージしかなかったけど、よく見ると秀世氏のこと本当に愛しそうに見ながらキスしてるんだよな。
秀世氏はいつもぎゅっと目を瞑っちまってるけど、そのことに気づいてんのかな……?

で、俺の困ってることっていうのは、俺だけの秘密の休憩所を完全に乗っ取られちまったってことと、
従業員同士の恋愛を見過ごしていいのかってこと、
それから秀世氏のケツを守るにはどうしたらいいのかってことなんだけど。

Eグルさんならこういう時どうすっかなあー……。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
どなたかちゃんとした移籍話書いてくだしあorz <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/27(木) 00:47:03 ID:QQApzjcM0<> >>175
GJ!
ラストのEグルさんに吹いちまったw <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/27(木) 01:04:36 ID:+3O/f/Wm0<> >>173-174
GJ! 錐腹さんと3、両方とも可愛すぎるw <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/27(木) 01:53:54 ID:JWc6yZhOO<> >>175
GJ杉。萌え転がった…苦労人当麻カワユスなぁ
移籍前の輪区入り浸り先LX英世氏もスゲー読みたいです <> オリジナル1/5<>sage<>2008/11/27(木) 03:23:16 ID:/iPPDXDS0<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
オリジナル。現代モノ。きのうの続き。


物体のある一定の量を持ったかたまりを美術用語でマッスという。
それまで志井は三鷹をマッスだと思っていた。
お気に入りのバイブと良く似た形のペニスを持つ男は、
三鷹にとって有機的バイブで好きなマッスだった。
オナニー好きの志井はバイブにひとかたならぬ想いを抱いているが、
さすがにバイブと仲良くなるという概念は持ち合わせていなかったし、
バイブに野望を語ったためしはない。
三鷹と仲良くなれそうだと感じた瞬間、遅まきながらわかった。
三鷹は人間の男だ。ペニスは三鷹の身体の一部。まず三鷹がいてペニスがある。
(全然フェイス・トゥ・フェイスじゃなかった)
ペニスと付き合うため、その持ち主と接していただけだった。
持ち主の下半身には多大なる関心があったが、下の名前には何の興味もわかなかった。
(この1年、なんて歪な付き合い方をしていたんだろう)
唐突に気がつき志井は自分がたずねられたよう、三鷹に仕事を訊ねた。 <> オリジナル2/5<>sage<>2008/11/27(木) 03:23:53 ID:/iPPDXDS0<> 「繊維屋さん」
三鷹はそう答え、誇らしげに笑った。
「特殊繊維の開発と植毛のプロだぜ」
そのセリフを聞いた瞬間、志井に閃きが走った。
オナホールの内側にしなやかでコシのある繊維を植毛したら、
たまらなく気持ちいいかもしれない! 撥水加工をほどこせば濡れてもいけるはずだ。
きちんとしなる、びっしりと植毛された毛は、現在主流のマイクロヒダ加工の快感を
軽やかに超える気がした。
(きっと未知なる世界に飛べる。果てない宙を遊泳できる)
つくりたい!!!
この思いをどう伝えれば、三鷹に伝わるだろうか。志井はプレゼンが得意ではない。
志井の専門は産業用フィルムの研究だ。だが、近い将来のため、専門の他に
MBA(経営博士号)をとるべく、学生時代兄と共に学んだ。
指導教授が多忙で細かく指導してもらうのが難しかったため、金にものを言わせ、
家庭教師を招きガッツリと学んだ。その際、ビジネスリーダーには分析力、
リレーション力、プレゼンテーション力が必要だと思い知らされた。
結局ドロップアウトした志井は、兄は取得した学位をもっていない。
兄にくらべ自分はビジネスリーダーとしての人間力がいちじるしく低い事を
志井はよくわかっている。 <> オリジナル3/5<>sage<>2008/11/27(木) 03:24:30 ID:/iPPDXDS0<> 悔やんでも悔やみきれない。コミュニケーション能力のアップをはからず、
無口というキャラに逃げてきたつけが今まわってきている。
伝えたいことを伝えたい。
伝えたい感情にはもだしがたい想いがある。沈黙の「黙」に「難い」と綴って「黙し難い」。
なんとかに焦がれて鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がすだの、
言わないで思っている事こそ、言うに勝れるだのと言うけれど、きっとそうじゃない。
志井は三鷹にも六六六にもこみ上げてくるオナニーへの熱い想いと、
わきがあるオナホのイメージを伝えたかった。
飛行機の時間があると帰って行く三鷹と改めてアドレスを交換しながら志井は、
三鷹をチーム・オナホにむかえることを決めた。いま欲しいのは三鷹のペニスじゃない。
三鷹という男の技術だ。株式会社志井商事には設備がある。人もいる。
あとはジャストフィットな技術があれば、きっと究極と至高の穴を具現化できる。
間違いない。問題はどう伝えるかだ。 <> オリジナル4/5<>sage<>2008/11/27(木) 03:25:03 ID:/iPPDXDS0<> 社に戻る途中、志井はタクシーの窓越しに某酒造会社の屋外広告を見た。
一言では語れませんが、一口でわかります。
したためられていたキャッチコピーにハッとした。
志井はカレーがとても好きだ。下北沢の贔屓の店の「食べた者を必ず虜にするカレー」は
たまらなくスパイシーで食べるたびに志井の第6感に訴えかけてくる。
瞑想にふけりたくなる味だ。何種類ものスパイスを調合することで生まれる香りと味。
チーズをトッピングすることで得られるまろやかさ。
食べる度いつも、志井は寝る前のオナニーを思わせる陶酔的な幸福感や強い至福感、
宇宙との一体感を感じた。とてもとても馬鹿な考えだけれども、看板を見つめながら
志井はあのカレーを一緒に食べることで三鷹や六六六とイメージを共有できる気がした。 <> オリジナル5/5<>sage<>2008/11/27(木) 03:25:49 ID:/iPPDXDS0<> 試にと、志井はその晩、六六六をそのカレー屋に誘った。
突然の誘いを六六六が受けてくれたとき、
はじめてオナホを知ったときのような感動を覚えた。
向かい合ってカレーを食べた。カレーを食べながらオナホとオナニーを語った。
デザイナーの感性と優しさで、志井の熱い思いを察した六六六は年下の上司を見放す前に、
全力でサポートすることをこころに決めた。
(転職はしまい。デザイナーのプライドにかけて良い物をつくろう)
店を出てまんまるお月さまの下を歩きながら、微笑ひとつ六六六は志井に提案した。
「今度はチーム・オナホ全員で来ましょう」
チーム・オナホにはカレーを食べて脳内にオナホを思い描けるメンバーが揃っている。
メンバー全員でこのビジョンを共有したかった。
それに、上司のおごりでテーブルを囲み、「食べた者を必ず虜にするカレー」に
舌鼓をうてば、きっと連帯感のようなものも生まれるだろう。
職場に連帯感と絆を醸成する。デザインと機能性の両面を考慮しオナホをつくる。
六六六はそれを己に課した。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/27(木) 04:37:52 ID:lP5zSos90<> >>186
萌えと燃えが渾然一体となってきた。
毎回ニラニラしてるよー。

とてもいらない報告だが、脳内核融合でカレー味のオナホが生まれた <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/27(木) 07:52:18 ID:3kb5mMiC0<> >>186
硬派な燃えと萌え、すごく面白いです!
仕事に愛と誠意を持つひたむきな男の姿って素敵だ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/27(木) 14:52:38 ID:tWl0eah9O<> >>186
本当に毎回楽しみにしてるんだが、文中に散らばるオナホという単語が一番に目について笑ってしまうw <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/27(木) 17:00:12 ID:JD+StCaS0<> >>186
相変わらずGJ!!しかし筆者さん詳しいね〜
なんかふつーにプ○ジェクトエクスでいけてしまいそうだ…
仕事に対する熱い気持ちはガンガン伝わって来るんだが、対象が対象なだけにいつも思わず笑ってしまう
これからも熱い燃えと萌え待ってます! <> ナマ 年下×年上 1/2<>sage<>2008/11/27(木) 21:35:16 ID:/FDgFbDj0<> プ□里予王求、某八゚糾弾の年下×年上。オサーン二人です
ふと萌えたので・・・

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


度の過ぎた遊びが半分。あとは何もない空白。この関係はそんなところだろう、
とその相手を見ながら後輩は思った。
普段、先輩特権だと先にシャワーを浴びる先輩が、今日に限ってその権利を後輩に譲り、
自分はベッドでうだうだと寝転がったままだ。気まぐれなのか何なのか。
今日は久しぶりのことだったから、何かしら思うところがあるのかもしれない。
後輩が、とりあえずでそう答えを出した瞬間、タイミングよく先輩がゆっくりと体を起こした。
「お前、いつ帰るの」
最初の一瞬、後輩はその言葉の意味が分からずに聞き返そうと口を開いたが、
「え」
と声が出たところで気が付いて、次に思わず軽く口元が緩んでしまった。 <> ナマ 年下×年上 2/2<>sage<>2008/11/27(木) 21:35:58 ID:/FDgFbDj0<> この時期、用がない限りは自宅に帰っていて、先輩と顔を合わすことはほとんどない。
今は糾弾絡みの用事が続いてるため、普段は自宅代わりにしてるこのホテルに戻っているが、
近いうちにまた自宅に戻る。言葉の意味はそこだった。
先に考えた「空白の部分」は、きっとこういうところなんだろう。
子供だと思えば年上らしい振る舞いも多々あり、分かりやすいと思えば一筋縄にはいかなかったり、
辛いと思えば甘い。先輩のそんなところに惹かれて、空白のある関係になってしまった。
そうかこれか、と後輩は他人事のように思った。
そうすると何故か、ベッドに座り込んでいるけだるげな男が、よりいっそう愛おしく思えてきた。
自宅に戻るための飛行機のチケットは今晩のものだが、時間はまだある。
「……今晩の便で帰ります。まぁ、まだ時間はありますけどね」
意地悪な言い方だとは思ったが、意地の悪い関係なんだからそれでいい。
お前シャワーしたばっかなのにな、と今度は先輩が笑うのを見て、後輩はその隣に腰を下ろした。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウジサクジエンデシタ!
チ仏内での先輩・後輩で、尼時代からの関係というわけではないです。
お目汚し失礼しました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/27(木) 22:06:26 ID:DMD/6fDNO<> >>191
なんとなくでしか誰かわからないけど萌えました…
この雰囲気好きです <> ぎらぎら 体制×候兵 1/12<>sage<>2008/11/27(木) 22:14:48 ID:FkYKVV3X0<> 本スレの「ギラギラした魔性」なコウ平さんとタイ成さんの関係に禿げ萌え、第四話、二人の会話以降の場面で妄想。エロです。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!




一歩進むごとに、ささめきと嬌声が遠くなる。
夢幻のように柔らかな灯りと和の意匠をこらした店内と異なり
銀座・琥珀の奥の間とそこへと至るこの廊下も
黒一色と、光を遮断した濃い闇にひたされていた。
最低限の整備をするための数人を除いて、この場所は誰にも知られてはいない。
城の主である葛城タイ成にとっては、これもまた遊び心のあらわれに過ぎない。
しかし後ろ暗い心の奥底そのままのかたちであり
それはつまり、あの真白い男を蹂躙するためにつくりあげた場所だった。
(「あなたはもう、昔のタイ成さんじゃないんですね」)
(「俺は変わらないよ、……お前が知らなかっただけだ」)
<> ぎらぎら 体制×候兵 2/12<>sage<>2008/11/27(木) 22:15:38 ID:FkYKVV3X0<> 最初は遊びだ。そのはずだった。
けれども遊びは嫉妬を抑える最上の薬となり、やがて煽り立てるばかりの猛毒へと変じた。清らかさの奥に眠っていた禍々しい花を生み出したのは自分だ。
はじめは、名前の呼び方。当たり障りのない会話、有り体な口説き文句。
煙草の持ち方、火のつけ方。指の、髪の触れ方、肩の抱き方、抱きしめ方。
ひとつずつ段階を経て教えていく。
そしてキスの仕方を、ベッドの中での作法を。
何も疑問を抱くことなく、二人で道を踏み外していく。
すべてを受け容れる太陽のような男の、底のない信頼はここちよかった。
しかし限りなく受け容れることは、すべてに目を閉じることと同義でもあった。
閉じられた眸は決して何ものも深く見ることはない。
まして自分だけの視線を期待することなど。
極単純な事実に気づいた時にはもう遅すぎた。
<> ぎらぎら 体制×候兵 3/12<>sage<>2008/11/27(木) 22:16:29 ID:FkYKVV3X0<> あの男の身も心も、みずからの手で翻弄するうちに
すべては逆光に射られるように真白にしかみえなくなった。
タイ成の嫉妬は、透明な視線に射抜かれることで、自制の枠を設けることもやめた。
徐々に身も心も蝕み始めた嫉妬を押し殺し
糖衣ずくめのやさしさに絡めて、ナンバー・ワンの技巧で誘う。
夜じゅう、女をもてなし癒すことの真逆、
白々とあける一日のはじまりの時間
終わりへ向かってひたはしり獣のように傷つけあい求めあう。
夜明け前が一番闇が深いのだと誰かは言った。
太陽である男の陰画の姿は、月のように冴え冴えとして冷たく、
そして果てのない闇に似ていた。
果てがないゆえに、湧きでるものを抑える術もない。
いつも夜の中にいるのに夜とはまるで不似合いな清廉なからだが
明け方の朝陽にあえかに浮かび上がるその時、
正反対に情慾に濡れて昏い陰影を刻み、
絡みつき激しく喘ぐことをタイ成は知った。
<> ぎらぎら 体制×候兵 4/12<>sage<>2008/11/27(木) 22:17:40 ID:FkYKVV3X0<> 葛城タイ成は、指図するままに奥の間へと歩を進める、
眼の前の男の凛とした背と白い首筋に、
二人が経てきたいくつかの情景を思いおこす。
そしてそれらと訣別するためのこれからの瞬間を。
ぎしりと床が鳴って、薄い扉を前にした男が立ち止まる。
「開けろ」
頷くこともなく男は扉を開いた。
部屋の中には窓も夜具もなく、
ただ数本の酒とグラスが黒い板張りの床に置かれている。
男は臆することもなく黒い部屋へと歩を進めながら
無言のまま銀灰のスーツを脱ぎ棄てる。
ボタンをはずし、シルクのシャツを微かな絹ずれの音をさせて剥ぐと、
服の上からは伺えないしなやかな筋肉の背中があらわになる。
<> ぎらぎら 体制×候兵 5/12<>sage<>2008/11/27(木) 22:18:34 ID:FkYKVV3X0<> 置き物代わりの床几に、シャンパンのグラスを並べながら、
自暴自棄とも潔さとも違う順序立てた手慣れた動作を
タイ成は懐かしい映画のように眺め、微かに笑い、
その指がベルトへとかかろうとした時、口を開く。
「それは俺の役目だろう。忘れたのか、コウ平ちゃん?」
グラスを酒で満たしながら、昔の声音で呼びかけると
「はやく、終わらせましょう」
男は──ナナ瀬コウ平はようやく振り向き、命ずるまでもなく足もとに跪いた。
着物の袷を長い指で捌きながら、ふ、と視線を一瞬あげる。
ようやく互いの視線は交わる。
しかし、深く静かな湖のように凍てついたその眸が、
さきの一瞬、自分の言葉に絶望を浮かべて揺らいだ様を
タイ成はすでに思い出すことができない。
「何をだ?」
癖のある髪を撫でまわす。
戯れる指の下、コウ平は彼が教え込んだ所作で帯をほどき、その先へと進む。
薄い唇は銜えこもうと開かれ、赤い舌が光る。
<> ぎらぎら 体制×候兵 6/12<>sage<>2008/11/27(木) 22:19:07 ID:FkYKVV3X0<> すべてが克明にそして緩慢にみえるのは、
腹の奥底で渦巻く幾年越しの嫉妬の出口を待つ歓喜の昂りの所為であると
タイ成にはわかっていた。
しかし、それ以上の怒りと、怒りと綯い交ぜになった悦虐への期待が
じりじりとボトルを握ったままの片手の力を勝手に強め、
震えさせるのを理解しつつも抑えようとはしなかった。
──ああ俺はやっとこの男を壊すことができる、この手で。
「何を、終わらせる気だ」
降りおちるシャンパンの淡い金の雨条にコウ平は一瞬目を伏せ、
しかしあとは彼の性のとおりすべてを甘受した。
滴は伏せられた瞼を覆い、蒼白な頬を舐めるようにつたう。
顎を撫で頸をすべりおち鎖骨へとたまり、
<> ぎらぎら 体制×候兵 7/12<>sage<>2008/11/27(木) 22:20:14 ID:FkYKVV3X0<> むきだしの胸元へ、腹へとおちていく流れを、コウ平は目を伏せたまま静かにみつめていた。
ゆうにボトル一本分の量をからだじゅうに浴びせかけられ、
睫毛の先まで淡い金の光で潤ませながら、コウ平はタイ成を上目にみやった。
──あの頃と同じだ、あの身を射るほどの透明な眸だ。タイ成は思い、
今ではもはや憎悪すらその目に見出せぬことに微かな絶望を感じ、
そして絶望を感じてしまう自らを一笑に付す。
一瞬力が抜けた腕からボトルが床に落ちる。
鈍い音が響きわたり、その音に目覚めさせられたかのように、コウ平は口を開いた。
「……これだけですか、タイ成さん?」
声は堅さの中にかすかに、わかち難い別の色を含んでいた。
嘲笑ではない。これは猥らな誘いの色だ。
この男が誰にもみせることもないであろう、
そして自分だけが知りつくしている、あの明け方の色。
「あぁ、あなたが一番好きだった酒だ」
指についた滴を舐り、コウ平は押し殺した声音で少しだけ懐かしそうにつぶやく。
「おぼえていたか、光栄だな」
口の端をあげて言葉を返すと、
視線がすれちがう前に瞼は静かに伏せられ、声もまた、艶を変えた。
「覚えていますよ、俺は。あなたが教えてくれたことなら、何でも……ほら」
<> ぎらぎら 体制×候兵 8/12<>sage<>2008/11/27(木) 22:21:03 ID:FkYKVV3X0<> そして義務的に先ほどの動作を続けるべく、唇に含むと音を立てて吸いはじめる。
ゆるゆるとした動きにあわせて髪に残った滴が濡れた音をたてる唇へ伝う。
舌先が舐めとるさまを目の端に刻む、
その媚態めいた仕草も何もかももう自分のものではない、という逆説としてしか
タイ成には映らなかった。
嫉妬は真白い怒りと、光となって目の前を覆いつくした。
勢いのままに、髪を鷲掴みあおのかせ、濡れたからだを床に押し倒す。
「コウ平っ!」
はずれかかったベルトを一気に引き抜き、下肢をあらわにする。
「お前はこれから知っていくんだよ、
奪われるために知っていくんだ、俺がこの手で、教えてやる……何度でもな」
タイ成は吐き捨て、腕を拉ぎ直すと、酒で幾分濡れたままの指を後孔に挿し入れた。
一瞬息をのみ首筋が震える。
そこを伝う滴を舐めとり、所有の証の紅い痕をつける。
「……っ、…そこ、は」
「お前は首が弱かったよなぁ……あぁコウ平?」
呟き、頸から耳元へと唇で辿ると、コウ平は大きくからだを震わせた。
金の飛沫が雨のように散った。
<> ぎらぎら 体制×候兵 9/12<>sage<>2008/11/27(木) 22:22:00 ID:FkYKVV3X0<> 「俺が手懐けたからだだ、ここも、ここも、ここも」
苛む指の数を増やすにつれ、だんだんと桃色に染まる肌の奥、
通い出した熱い血の奔流は、いまだ肌を濡らす酒の芳醇な香とまざり
そのまま融けいるような甘い息となって唇へといたる。
「…ふ…っ、あ」
声になるのを待つばかりの熱の塊が、出口を失くしてよりいっそう、
黒一色の部屋にうかびあがる蒼白いからだを震わせた。
薄い唇を血がにじむまで噛んで耐え、服従する。
よがる声も名を呼ぶ声も泣き声も押し殺したまま。
けれども腹のあいだでは、昂りがはっきりとその熱とかたさを増していく。
きつく閉じられた瞼、その奥の眸の愉悦の涙と揺らぎを幻視するその姿に、
タイ成は眩暈のような酩酊を噛みしめ、さらに追いつめる。
腰を強くおしつけ浅く緩慢な動きを繰り返すと、
喉をそらせて泣き出す直前のような声をきれぎれに漏らした。
楽しませてくれよ、酔いまじりの声で囁き、指をひき抜く。
「たい、せ……」
「まだだ」
<> ぎらぎら 体制×候兵 10/12<>sage<>2008/11/27(木) 22:22:49 ID:FkYKVV3X0<> 名を呼ぶ声を打ち消して、濡れたままの熱い指を今度は昂りきった前へと絡め、
先端だけを弄ぶと、すぐに透明な体液がとろとろと流れだす。
「んんっ、……あ、あああ」
纏わりつかせる遊びで追いつめながら、タイ成は酷薄な笑みを深める。
からだの震えすら一瞬凪の海のように止んで、焼き切れそうな歓喜の渦の中、
コウ平はみずから溺れるように両手で唇を覆い、嬌声をかみ殺す。
指の間から零れ落ちる吐息のあいだ、かろうじて自由な足先の指が、
かつりかつりと板の間を掠る乾いた音が何度も耳を打つ。
気まぐれにようやく指を離すと
「は、やく……、ください」
解放に吐息はかろうじて言葉となって、
弛緩しきった下肢は、タイ成の腰へと絡みついた。
しっとりと汗にまみれたほの白い胸が切ない鼓動すら聴こえそうに、荒い上下をくりかえす。涙が微かに滲み赤く染まった目元と薄く開かれた瞼。
その奥にすでに絶望を過ぎた諦めの色と、
奥底から淫らな熱が熾き火のように揺らぐのをみて、タイ成はじっとりと囁いた。
「お前は、ほんとうに、馬鹿な奴だよ」
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/27(木) 22:32:32 ID:Zlzr6eE/O<> 支援? <> ぎらぎら 体制×候兵 11/12<>sage<>2008/11/27(木) 22:48:30 ID:pukbfb4/O<> 蔑みの声音に、熱を帯びた肩の線が震える。
それはしかし怒りではなかった。快楽に従順な体が目覚めはじめる兆しだった。
何度も何度も繰り返した場面、彼のもとを自分の意志で去ってからもなお、
呪いのように繰り返されたあの場面、あの体が、今、眼の前にある。
「けどなぁ、終わりだ……終わらせてやる、リンクも、お前も」
──お前が知っていた俺も。
最後の言葉を飲みこみ、一気に穿つ。
滑らないように離れないようにきつく抱きしめ、腰を動かす。
背中が擦れて微かに骨が軋む音がする。酒と体液にまみれた濡れた音とようやくあふれ出たよがる声が重なる。
その中に、吐息と混ざって、名を呼ぶ声がする。焦がれたあの声がする。
すべての音が懐かしく、けれどももう遠かった。
「……っ、タイ成さん、俺は」
「黙れ」
「俺……は、あなた、が」
「黙れっ」
最後の懇願を打ち消すために、腰を深奥へと打ちつけ同時に前を責め立てる。
忘れかけていた、忘れ去ろうとしていた熱を確かめようと深く強い律動を繰り返す。
もう名を呼ぶこともない、ただ快楽に爛れた声は、黒い部屋の虚ろな闇に反響して互いを縛りつけて離さない。
ほぼ同時にのぼりつめ、達した熱さにさらに締めつけられ中へと精を吐き出した。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/27(木) 22:54:02 ID:oenylI2t0<> 支援か? <> ぎらぎら 体制×候兵 12/12<>sage<>2008/11/27(木) 22:56:25 ID:pukbfb4/O<>

「コウ平」
タイ成は、酒と残滓にまみれてしまった着物を繕うと、
白濁と淡い金に塗れたまま黒い床に人形のように横たわる男をみやった。
彼の名を呼ぶ声が届かないことを祈る。「コウ平、俺は、お前が──」
意識を手放した眸にようやくあふれた透明な熱い滴は、
金の光に溶けて、ゆっくりと蒼白の頬を伝っていった。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )ぶっかけたくてやった。今もgrgrしている。

手間取ってしまい、大変ご迷惑をおかけしました。すみません。
支援してくださった方、ありがとうございました。 <> オリジナル えせ時代劇風 0/8<>sage<>2008/11/27(木) 23:10:19 ID:JJ4DogwcO<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!



藍染の下、ここにこういう傷があるのではないかとは、何となくわかっていた。
いやわかっていたというのは正確ではないが、そんな気がしていた、目の当たりにした今確信と
変わった、と化粧師の裸の背を見ながら思う。じよじよと灯は勝手に身悶えして、その微かな
息使い以外身じろぎもしない背の、まるで刺青の鯉のような傷跡を揺らす。
だがその灯の具合は、肉の僅かな軋みをも見せつけた。
翳りが一つ一つ息の根とともに煽る。
痩せっぽちではないが筋骨隆々とはとても言えぬその背には、利き腕のほう、左肩から右腰に
かけて、無遠慮に引き裂かれかけたあとがある。
傷それ自体はもはや、わずかに紅みがあるかというくらいで生々しさは無いが、さむらい嫌い
という言葉の裏にある自負は、むしろ強烈な劣等感のあらわれでもあるのやもしれぬ。
ただ、ひどいものだ。
下手くその刀傷だ。癒えるまでいく月かかったことかと頭の中で舌打ちをした。
するとそれを見透かしたかのように、腕の下から声が聞こえる。
「こんなもん背負ってりゃ、卑屈にもなる」 <> オリジナル 1/8<>sage<>2008/11/27(木) 23:11:46 ID:JJ4DogwcO<> 向かい傷のあんたとは違うぜ、と化粧師はうつ伏せてつぶやいた。
袈裟懸けに背をやられているというのが、この男の負けん気をむごく損ない、挙句引きつらせた
のろう。
しかし次の言には絶句した。
「これ見て驚かなかったのは、あんたと女房だけだな」
女房だと。まさに言葉を失う。
「何だ。いちゃおかしいか」
「いや」
「離縁した」
いいや俺が離縁されたのか、と化粧師はいつもの声で笑った。もう随分になると。
「痛むか」
何がだ。それがか。馬鹿な。
何時だ、誰にだ、聞くならそっちのほうだろう。けれど己の頭は混乱していた。問うべきことが
混じりあう。
そして、いつぞやこんな言葉を交わしたことがあると、ぼんやり思い出していた。それに対する
答えも似ている、ただ言う口が違うだけだ。昔は痛んだがな、だが。化粧師は少しそこで息を
継いだ。
「だから俺ぁ、さむらいは嫌いなんだが」
掌を滑らせると、その背のややざらついた部分と滑らかな部分の境目に、強烈なひっかかりを感じ
た。喉の奥から遠吠えにも似たものがほとばしる。躊躇わず唸り震える口をつけ、舌で舐めつける。
ずずっと肩まで舐めあげると、耳に化粧師の息の音が聞こえた。 <> オリジナル 2/8<>sage<>2008/11/27(木) 23:12:54 ID:JJ4DogwcO<> 頭の芯が固くなりつつも、だが、その後の言を待つ。
ああ俺であったら。
俺ならこんな傷はつけぬ自信がある。刃さえあればすいと水を舐めるように、一太刀で痛みすら
無いかの如く、あんたを。
「落ちて来い」
両の手首を締め、腰に乗り上げる。この手この指に、もう何も掴ませないことも出来る。さあここ
までその、矜持という糸の上から、こぼれて来い。
宿酔い寸前の、これはそれに似ている。俺ならこんな無様な傷はつけぬ。
「花は花」
化粧師は言った。
「鳥は鳥」
続く。そのこまかい産毛のついた耳を食らう。
「月は月」
そして、あんたはあんたと、そう割り切るまでどれだけかかったか、と言った。あいも変わらず呟く
ように。
「いとしい、はわからねえが」
狂おしいってのはわかる、答えるでなく呟けば、あんた悪趣味だ、野暮だと返された。抱きながら
口説くってのは、野暮なんだそうだ。
花鳥風月、それぞれはそれぞれに。己は己、そう化粧師は言った。くすみ薄ぼんやりとした行灯だけ
の灯りの中、かっと黄金色の何かが迸ったのが見えたような気がした。
あんた、最初ッから苦しかったのか。 <> オリジナル 3/8<>sage<>2008/11/27(木) 23:14:23 ID:JJ4DogwcO<> 口に、己の指を食ませるときつく噛んだ。加減しろと言ったら、何か呻くように言ってまたきつく
噛んだ。
ああそりゃ、真っ当な男にはむごいことを強いているなと頭のどこかでは思ったが、それ以上に湧き
立つ何かに狂っては、荒い息で名を呼んだ。繰り返した。
匂いや色香ではない。もっと別の、攻め立てるほどの何かだ。
手のやりかたを変えるとひゅうっと息を呑むので、低い声で聞く。
「これが好いのか」
すると、あんた普段は無口なくせにと、ひゅうひゅうの息の下から返された。初めて勝った気分だっ
た。
あとで身ごと胡坐の上に座り込ませると、くぐもって呻くように旦那、それは勘弁とも言った(いや、
勘弁はしなかったのだが)。
ことの最中に化粧師はその二言しか発せなんだが、それで充分だと思った。
睦言を聞くというのは好い。あんたの声なら尚更だ。
狂おしいは狂しいとも言える。普段のなりからして(足袋を履かぬ、藍染めばかり)どこか冷いやり
と感じていた体も、思ったより熱かった。
あんただけじゃねえ、俺も狂しい。
初めは全てに夢中であって、喰らいたくて喰らいたくてたまらぬ。 <> オリジナル 4/8<>sage<>2008/11/27(木) 23:15:43 ID:JJ4DogwcO<> だが存分に肌を食み、身をえぐり、息を呑むようなその荒いときが過ぎると、やがてひとつひとつが
くすぐったく思えた。
髪を掴むきつさも肩を押しやる力もだ。
頭の中がこそばゆく、どこかうっとりとしびれる。
直接そこへ、脳天から極上の酒をそそがれたようで、また妙に気が高揚した。
いとおしいとはこう、言うのか。そう言うなら、思えば、こんなものたったひとりだ。
ことの後冷たい夜具の端っこに指を遊ばせ、次ぎ何時逢えると聞けば、化粧師はつくづく呆れたとばか
りに言った。
「あんた、物好きにも程がある。手に負えねえ」
まだ組み敷かれながら上がったままの息で、それでも口ぶりが変わらずどこかほっとした。そして減ら
ず口に笑みがこぼれた。
「続ける気かい」
「終わる気はねえぜ」
これで終いなど誰が言った、と返して化粧師が悔しがるのが面白い。ちょっとこれはなかなか無い。
それに、と再び体をのし上げると、化粧師はまたその薄い目を、あのつめたい様にして見上げてくる。
肌を合わせておいて寒さを感じるほど野暮ではないが、ぞぞと背筋を走るものをこれだ、と思う。
あんたにはこれがある。これを俺は、どうしても欲しい。 <> オリジナル 5/8<>sage<>2008/11/27(木) 23:17:51 ID:JJ4DogwcO<> 「あんまりそそらせるな。たがが軋む」
その周りに口をつけると、待てよ明けだと声がする。
「未だ宵だ」
「酉は鳴いたぜ」
「空耳だろう」
内股を忙しなく撫ぜつつ喉の真ん中に食らいつくと、化粧師はふっとそれこそ鳥のような声を漏らした。
廓の仕事をしている同士だ。東の空の具合を見ずとも、夜明けのそれは気配でわかる。
「旦那ッ」
「綺麗な花魁はごまんといるが」
悠然と見下ろし、あの口説き文句を言った。
「俺はあんたが好い。あんたが好いな」
「ごまんとはいねぇよ!」
言ったら、拍子抜けのする反論にあった。
「高尾、瀬川、雛鶴」
「わかったわかった」
「それに、お天道様が顔出してんのに睦み合うってェのは、つくづく無粋だぜ」
その、粋に拘る言い癖を止せと言っても、そう簡単に寝返れるかよ、と返される。ため息交じりにもなる
が、まあいい。徐々に染めていくというのも、好みだ。それも好い。
染められていくのもだ、この口ぶりも、無くなると思えば惜しい。舌なめずりをする癖もあるが、密かに
好いと思っている。
「なァ」
化粧師が不意にぽつり言うので、まじまじと顔を見た。油火の揺らめきと作る影が、ふと生真面目そうに
も見える。 <> オリジナル 6/8<>sage<>2008/11/27(木) 23:18:59 ID:JJ4DogwcO<> 「あんたに惚れたわけじゃねえ」
突然でも、ああそれは真実だろうと直感で理解した。
ちりんちりんと月明かりが降るように、その下でただどうすることも出来ぬように、全く揺らぎ無いもの
を感じる。
そのつめたさのことで、これはしン、としてるんだ。嘘じゃねえなとわかった。
「俺が折れたンだ」
「充分だ」
「そうか」
滅多のことでは折れぬ柳をみずから身折らせた。それで充分ではないか。
いつか惚れさせてやるし、愉悦の声もあげさせてやろう。
まァそれに、と不意ににいやりと化粧師が笑う。静から動へあっさりと身を返し、餓鬼の悪巧みのような
笑みを浮かべる。この男と知り合ってからこういうとき、不味い予感がするのが常だったが、それはやはり
当たった。
「男を知ってるてえのも、化粧の腕には効くかもな」
この言い草だ。甘い色など何処にもない。
しかしため息をつく己に、化粧師はさっとその手を肩に掛けてきた。あんた、存外喋るなと言われて逆に
口を噤んでしまう。考えてみれば、そういうものかもしれない。
狂しく思いながら黙っていた。だがいとおしいは糸引くように残る。糸しい、か、くだらねえ。そんな
言葉遊びもいつもなら、口には出さない。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/27(木) 23:20:26 ID:ZGGHaXA30<> >>194-207
GJGJ姐さん!!こんなふうに心のすれ違う話大好きだ
「黙れっ」と言わざるをえない体制さん切ねえ <> オリジナル 終わり<>sage<>2008/11/27(木) 23:22:15 ID:JJ4DogwcO<> けれど今はそのせいか、そのためか、己が饒舌になっているのがよくわかる。
虫食いの穴が、うまく埋まったのかもしれぬ。染まり染められ、変えて変えられるのだろう。
「ああ、未だ宵だな」
また化粧師は言って、自分の唇を押し付けてきた。吐息を食らうかのようにかぶりついてくる。こちらも
その刺青の傷を思う。
薄い唇は変わらずうまく、舌が遊びそして裸の背を、あの指が雪崩れる。
「未だ」
つうと糸を引き、掠り、爪を食ませる。狂しく糸しく、その爪が食む。
あんた、ああ存分に喰らってくれ喰らうがいい。染まり染められ、食み交じり、綾のように織り成してゆく
のも好い。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
本編終了。ありがとうございました! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/27(木) 23:24:20 ID:oenylI2t0<> 相変わらず激しくGJです。いとしいくるしい、言葉遊びに感動しました。
また機会があったら書いてください!お疲れ様でした! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/28(金) 00:13:44 ID:tvhIs9+jO<> きたあああああ!!
ねえさん激しくGJです!!
もう…この世界観にどっぷりはまってしまいました…
綾のように織りなしていくって、なんて響きで終わるんだああああ
番頭さん本願成就おめでとう…!
また続きあったら是非ともお願いします。織りなしてって下さい! <> オリジナル1/4<>sage<>2008/11/28(金) 01:05:42 ID:JdkiF4Hx0<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
オリジナル。現代モノ。きのうの続き。


羽毛のつまったほこほこの寝袋から這い出してカーテンを開ける。
朝日がまぶしかった。冬の空は夏の空より澄んでみえる。青く高く清々しい。
このスカッと感はオナニーとよく似ている。
志井が深呼吸をひとつした時、携帯が鳴った。メールが一通届いている。
送信者は三鷹だった。
「おはよう」
その四文字に志井はどぎまぎした。「おはよう」と返信し、おもはゆさに目を伏せる。
付き合っていた時、こんなメールのやり取りはしていなかった。
きのうの夜、「きょうは会ってくれてありがとうな」というメールが三鷹から届いた。
打っては消し打っては消しを繰り返し、最終的に、
「こちらこそ。わざわざ会いに来てくれてありがとう」と送った。
そのメールにまた返事が届いた。
「また会おうな。おやすみ」
「おやすみ」と返し寝た。そして6時間後。いま、またメールが届いた。
なんだかとても不可思議な感覚だ。
(付き合っていた時より仲いいかも……)
「これから仕事。行ってきます」
三鷹からまたメールが届いた。 <> オリジナル2/4<>sage<>2008/11/28(金) 01:06:25 ID:JdkiF4Hx0<> 「行ってらっしゃい」と打ちながら、思いついて志井は付け加えた。
「近いうちに三鷹と仕事がしたい」
「俺の専門は繊維よ? オナホとどう絡めんの?」
返ってきたメールに「オナホの内部にびっしり毛を生やしたい」と書き送ったら、
電話がかかってきた。
協力を惜しまないかわりに、三鷹の仕事に六六六の手を借りたいとのこと。
「うちと志井商事で技術交換会か何かできたらベストなんだけどな」
「わかった。そちらの社長にはこちらから連絡しよう」
「頼むわ。じゃあな、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
電話を切った時、ほどよく冷えていた過去ごと未来が変わりだした気がした。 <> オリジナル3/4<>sage<>2008/11/28(金) 01:07:01 ID:JdkiF4Hx0<> 出社後、志井はオナホ開発チームのメンバーを集めミーティングをした。
志井商事のオナホ開発チームは総勢6名。
クリエティブディレクターを務める志井と、デザイナーの六六六。
軟質合成樹脂素材の世界的権威・市川博士。
元大手化粧品メーカーの主任研究員だったローションの専門家・仁科先生。
金型設計・製作のエキスパート五代さん。
株式会社志井商事・技術管理課長の七瀬川さま。以上6名。
平均年齢は34歳。最年少は志井だ。
通常業務は商品企画と技術研究。新型オナホの試作を幾度となく繰り返してきた。
市川博士と七瀬川課長が、より人体に近い触り心地を目指し開発した特殊素材は
厚生労働省第275号の規格をクリアしている。だが、リアルすぎたため、
内部をうねらせたり内壁に突起を配置するのには適さなかった。
そもそも子宮にはオナホによくみうけられるヒダヒダやイボイボはない。
理想の素材を得るため他社と業務提携を目指したりもしたが、うまくはいかず、
チーム・オナホは暗礁に乗り上げていた。だが、いまある最高の特殊素材に
植毛加工を施せば、新たにヒダ加工やイボ加工を施すのに適した素材を開発しなくても、
神の穴がつくれるかもしれない。
志井はホワイトボードにイメージ画を描きながらビジョンを語った。 <> オリジナル4/4<>sage<>2008/11/28(金) 01:07:47 ID:JdkiF4Hx0<> 1デイズの使い捨て。
一晩寝かせたまろやかなカレーのようなソフト。
出来立てのカレーのわさわさした味を思わせるハード。
何十種類ものスパイスを調合して作ったカレーに通じるスピリチュアル。
リアルを求めるお客さまにはソフトを。
コアなオナホがお好みのお客さまにはハードを。
異次元にいきたいオナニー上級者にはスピリチュアルを。
ローションとオナホの形状に変化をつけることで、
3種のオナホをシリーズ展開したいと志井は訴えかけた。
「問題はねぇ、コストなのよぉ。開発費いくらかかってると思ってんのよ。
こんなに耐久性いい素材を一日使い捨てなんて、もったいないわぁ」
技術管理課長の七瀬川さまは基本タメ口だ。おかまはタメ口でいいらしい。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/28(金) 01:20:23 ID:0X/um8Gs0<> スピリチュアルwつか3つともやっぱカレーなのかよww
チーム・オナホ(このネーミングだけで笑える)の今後が楽しみです。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/28(金) 02:32:43 ID:LMwTJBVwO<> >>214 本当に乙です!終わり方が最高…
もし続きを思い付かれたら、是非また投下してください! <> 1/4<>sage<>2008/11/28(金) 03:13:07 ID:vaVZvLUAO<> 最近有名なコピペに感化されて書いたものだよ!
2番煎じだったらごめんね。SSはおろか、801板も久々だから緊張するよ!
|>PLAY ヒ゜ッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

〜〜〜前提〜〜〜
83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2008/11/10(月) 17:27:20.74 ID:iyW5Jc4B0
とある王様が悪徳商人に騙され、『馬鹿には見えない服』を売りつけられた。
みんな王様を馬鹿にすまいと必死に振舞ったのだが、王様は意気揚々とパレードに出てしまう。
しかしある子供に「王様は裸だ!」と冷静に突っ込まれてしまった。

+民は「馬鹿じゃねーの」「こんなのが王様とかこの国オワタ」と王様を野次り、泣かせてしまった。

VIPPERは王様のクオリティの高さに感動し、惜しみない拍手を送った。

ν速民は『馬鹿には見えない服』を持っている王様のファッションセンスに愕然とし、鬱になった。

801板民は王様のモノが存外立派だったことが話題を呼び、その年のコミケで王様本が激増した。

ハングル板民は「あんな服を売つける商人は韓国人だったに違いない」と思った。

学歴板住民は「俺には見える。俺には見える」とずっと言っていた。
<> 2/4<>sage<>2008/11/28(金) 03:14:31 ID:vaVZvLUAO<>
「何なのだ、あの者達は!」
そう吐き捨てるように王は言い捨てる。
「それもこれも――」
あの、数ヶ月前の屈辱を思い出す。
仕立て屋に騙され、裸で公衆の面前に立ってしまったあの時を――。

飛び交う野次、群集の蔑みや好奇の目。何故か一部称える者たち。
いつも人より秀で、賞賛の的であった王には初めての経験であった。
「あんな、全人格を否定されるような発言は、生まれてこの方受けた事はなかった。」

顔を歪めて呟く。そして、何よりも辛いのは――
「城の者は、誰も私を直視しようとしないっ!」
あの一件以来、城内の空気は一変してしまった。
今まで、いつも笑顔で接してくれた者たちも、目を合わせず、ぎこちなく愛想笑いを浮かべて
必要以上には接してこない。
ある大臣に至っては「俺には見える。俺には見える」と呟き、会議中も上の空だ。
<> 3/4<>sage<>2008/11/28(金) 03:15:46 ID:vaVZvLUAO<>
「どうなってしまうのだ。どうするべきなのだ、私は――」
独り言つ王の目の端に、今日も束になった冊子類が映る。
誰が何の為にかは分からない。ただ、毎日のように王に関する話題の載った新聞等が
執務終了後の王の自室に置かれている。
「……最近は、ひきこもりで話題は定着しているな。」
あれ以来、城外はおろか 自室と執務室を往復するのみだ。そう言われても仕方あるまい。
露出の無いせいか、新聞や週刊誌の数は一時期に比べて減ってはいるのだが――。

「何なのだ、これは」
週刊誌の書き立てる醜聞よりも、ある意味では酷い、薄い冊子。
そこには、王のあられもない姿への妄想が書き綴られていた。
「見えない糸×はたおり機だと?今日のは妄想もいいとこだな」
初めは週刊誌に紛れて、一冊か二冊だった妄想達。できるだけ、見ないようにしていたが――。
「今は半分近くがこの妄想達なのだな」
無視は出来ない。これも、国民の声なのだから。
初めて手に取ったときは、数ページで読むのを止めた。
眩暈や動悸がとまらなかった。あの事を再度味わっているような感覚に耐えられなかった。
<> おしまい<>sage<>2008/11/28(金) 03:17:20 ID:vaVZvLUAO<>
しかし、しかし今は――。
何故だか、読む手が止まらなかった。読む手は震えるが、止める事は出来ない。
これは、国民の声なのだと自分に言い聞かせる。必要な事なのだと。
王の身体の中心に、血が集まって行く。
自分の分身を握り締める。どうしようもない快感に支配されて行く。
「……んんっ」
広い部屋に吐息が漏れる。握り込んだ右手がはやる。
人々の視線や、野次を思い出す。先ほど目を通した週刊誌の卑猥な煽り文句。
「……わ、わたしは……、騙されたのだっ!」
羞恥心と快感で眩暈がする。もう、どちらを感じているのか分からない。
針のむしろの毎日。従者の、慇懃すぎる態度。
「……私はっ、私は……ああっ……!」

王は自分の右手に広がった液体を丁寧に拭き取りながら呟く。
「私は……変態だ……」




801板住人×王様でした。気が向けば続き書くかもね!

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/28(金) 11:58:54 ID:EljNriz90<> 続かなくていいです <> 原作バチ/スタ/シリーズ 田ロ×兵籐 1/9<>sage<>2008/11/28(金) 13:54:05 ID:i3lRqgF3O<> 〈注意〉
完全原作ベース、田ロは42歳、兵籐君(ドラマ未登場)過去捏造
イノ/セン/ト/ゲリラ微妙にネタバレ

ご了承頂けましたらドゾ、お手柔らかに。携帯から長文失礼します


|> PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ ) ジサクジエンガオオクリシマ-ス!


不定/愁訴/外来看護師待機室、通称「奥の間」。
深夜の闇に塗り潰された狭い空間は淫猥な水音と特有の熱を含んだ空気に満たされている。
その中心のソファに座り、楼主は跪いて甲斐甲斐しく奉仕を続ける夜鷹の髪を一房梳いた。
これで行灯の薄明かりでもあればさぞかし雰囲気も盛り上がるだろうなあ、などとまるで
他人事のように考えながら柔らかい粘膜の刺激を甘受していると、ふいに自分を見上げる
鷹の目、もとい鳶(トンビ)の視線に気付く。そうそう、夜鷹でなくて夜鳶だ。
「鷹」の響きで連想された端正な横顔が記憶ファイルから呼び出されて、田ロは僅かな
後ろめたさを覚えつつ浮かんだ妄想に苦笑した。ないない。これはない。
ついでにそのせいで、鳶の献身の成果は三割程度減衰してしまったようだ。 <> 原作バチ/スタ/シリーズ 田ロ×兵籐 2/9<>sage<>2008/11/28(金) 13:56:53 ID:i3lRqgF3O<> ずるり、という擬態語がぴったりの緩慢な動作で、覇気を失くした田ロの雄を口腔から解放し
鳶は露骨にため息を吐いて顔をしかめる。
「またですか!何度目ですか!?こんな時くらい雑念を振り払う努力をしてみるとか
そういう相手に対する配慮みたいなものは欠片もお待ちでないんですか」
「うーん…あんまり無い、かな」
正確には相手によるけどね、とはまあ言わないでおく。
とりあえず追加でとびきり満面の曖昧な笑顔を返しておいた。あ、見えないか。
夜鳶、こと兵籐勉は首を振った。誠に残念です、というアテレコが聞こえた気がした。
ちなみに兵籐の位置からは逆光になるが、田ロには非常灯の微かな光で表情くらいは読み取れる。
眉を寄せて唇を尖らせ、上目遣いに見上げてくる兵籐。
その表情は田ロの脳内で約1年前の外来受診者、笹木アツシ君(5歳)のそれと一致した。
崇拝するシト/ロン星人の心情を全く解さない大人に対してアツシ君が見せた、不満と失望と
諦観の織り交ざった一見複雑だが、実は至極単純な抗議。
つまり「なんで僕の言うこと分かってくれないの?」
田ロが困ったなあ、と右側へ頭を倒せばつられて左へ首を傾げる仕種までそっくりだ。
相変わらずの感情シースルーぶり。嗚呼まったくカワイイヤツめ。 <> 原作バチ/スタ/シリーズ 田ロ×兵籐 3/9<>sage<>2008/11/28(金) 13:59:45 ID:i3lRqgF3O<> 『あれでなかなか田ロ先生に懐いているんですよ』
いつぞやの富士原看護師の言葉が脳内再生される。あの時は本気で勘弁してくれと
思ったものだが、どうも最近、荒れ荒んだ環境に身を晒し過ぎたせいなのか、その事実が
じんわり心に優しい。あの魑魅魍魎どもに比べたら、兵籐などまるで愛らしい
子猫のようだ。
そこまで考えて、田ロは自分の発想に寒イボを立てた。待て待て、冷静になれ。
少なくともこんな三十路も越えたクソ生意気な男の事を、そんな風に愛でる趣向はない、筈。
「…分かりました、とりあえずこの溜りに溜まった使用期限切れの精液をこの場で
排出する気があるのかないのか、それだけ教えて頂けますかね」
田ロの沈黙に業を煮やした兵籐が、憮然とした口調で尋ねてくる。
あれ?なんで俺は責められるんだろう。高科院長様が通常業務を逸脱した無理難題ばかり
押し付けてくるもんだから、ここ数ヶ月まともに手淫する暇もない、という下卑た会話で
何がどうなったか田ロのベルトに手を掛けてきたのは、確か兵籐の独断だったと思ったが。

シンキングタイムの間にもゆるゆると先端を弄ぶ兵籐に、内心呆れる。
「ない」なんて答えを選択させる気など毛頭無いくせに。あまつさえ冷静に弁えている
ふりをしながら、「ある」という答えを期待しているくせに。ほらまた透けてるぞ、兵籐クン。 <> 原作バチ/スタ/シリーズ 田ロ×兵籐 4/9<>sage<>2008/11/28(金) 14:02:20 ID:i3lRqgF3O<> 自分で言い出したにも関わらず、先に根負けしたのは兵籐の方だった。
「…っ、おい」
田ロの抗議を無視して萎えかけた性器を再び咥えると、先ほどより幾分性急な動きで
根本から擦り上げ、確に弱い部分ばかりを狙ってくる。
これは巧い。堪らず素直にそう思った。そして、手慣れているな、とも。
そう考えた途端、なんだか意味不明に腹が立ってきた。
本当に意味が分からない。どうして、何が気に入らないのだろう。

「っ、なあ、これって諜報手段か、それとも籠絡手段か、どっち?」
自分でも思いがけない質問が田ロの口から飛び出した。兵籐は一瞬その言葉の意味を
計りかねたようだが、やがて息継ぎの合間に短く答える。
「場合によりけり、ですね」
どちらにも応用可能という事か。つまりそれほど多用していた訳か、こいつ。
「ふうん…、でもあんまり役には立たなかったみたいだね」
声に出してから、田ロは自分の台詞に驚いた。何を言ってるんだ俺は。というかこんな
切り返しをするキャラクターだったか?俺は。 <> 原作バチ/スタ/シリーズ 田ロ×兵籐 5/9<>sage<>2008/11/28(金) 14:04:07 ID:i3lRqgF3O<> 完璧にやらかした、と確信したのは、茫然と顔を上げた兵籐の表情を見た瞬間だった。
頭から血の気が引いて、胸の奥がずきん、と苦しくなる。
「…どういう、意味、ですか」
質しながらも何を言われたのか理解している。兵籐は決して頭が悪い人間ではない。
出世の為にここまでしてきた結果が帝/華/大学医局内抗争での完全敗北、すなわち惨めな
都落ちという結果なのか、と嘲笑されたのだ。田ロの言葉は、確実に兵籐の古傷を抉り
焼け火箸で掻き回した挙げ句、更にそこへ大量の塩を塗り込めるという暴虐行為でもって
彼の心を破砕した。下腹に添えられていた細い指が、隠しようもなく小刻みに震えている。
田ロに向けられた黒硝子の眼が、怒りと、それ以上の絶望に濡れていた。

「違っ、すまない、違う…そんな事が言いたかった訳じゃないんだ」
じゃあ何だ。田ロ自身これが見苦しい取り繕いの言い訳でしかない事を自覚している。
「…いいです、別に、もういいです」
すみませんでした。小さく呟いて立ち上がろうとする兵籐の肩を掴んで無理やり向き合う。
「聞けって!兵籐、本当に俺はお前を貶めたかった訳じゃなくて…」
その勢いに気圧されて兵籐がびくりと動きを止めた。そして、堰を切ったように叫ぶ。
「じゃあ何だよ!馬鹿にして…軽蔑してるんでしょう!?そうですよ、僕は負け犬だ!
帝/華で無様を晒して追い立てられて、東/城でも田ロさんに見事にやり込められた…っ」
兵籐、と小さく田ロの唇が震えた。声にはならなかった。激昂する兵籐の肩に置いた腕に
生温い水が降る。嗚咽を漏らすでもなく、兵籐はただ涙を流す。 <> 原作バチ/スタ/シリーズ 田ロ×兵籐 6/9<>sage<>2008/11/28(金) 14:05:41 ID:i3lRqgF3O<> 「悪かった、どうかしてたよ」
うわごとのように呟いて、放心状態の兵籐を抱きしめる。抵抗はなかった。
やや間をおいて、兵籐がおずおずと田ロの背に腕を回した。鼻を啜って、ぽつり、と言う。
「いくら出世の為だって、こんな事しません、そこまで落ちぶれちゃいない」
それでも、帝/華医大で兵籐は誰かに体を開いていた。それは事実だろう。
ただ、それは医局内抗争に勝つ為の画策などではなかった。田ロはそう推測する。
なんて純粋な男だと思った。揶揄でも何でもない、感動すら覚えた。
どうやら本当に自分は、ここ暫く関わっていた淀んだ偏狭社会の毒気にあてられて
どこかおかしくなっていたらしい。漸く、気付いた。

「どうも僕は、馬鹿正直に人を信じすぎる…らしいです」
兵籐自身の言葉ではない。おそらくは心無く投げ付けられた侮蔑の言葉。そして、的を得た
正しい指摘だ。それはかつて実際に兵籐を傀儡にした経験を持つ田ロが一番よく知っている。
情報戦略でもって院内政治という戦場を生き抜こうとする人間にとって、致命的な脆さを
兵籐は無意識に晒している。しかし、だからこそ彼は東/城医大を居場所とする事が出来た。
田ロはそう思っている。廊下トンビと揶揄されても、上役からの評判は決して芳しくなくとも
彼を「嫌い」だと捨てる声は聞いた事がない。皆、結局最後には「しょうがないなぁ」と笑って許す。 <> 原作バチ/スタ/シリーズ 田ロ×兵籐 7/9<>sage<>2008/11/28(金) 14:07:22 ID:i3lRqgF3O<> 「馬鹿正直の何が悪い」
田ロは兵籐の頭をポンポンと撫でながら言う。
「これでお前が猜疑心の塊みたいなヤツだったら、それこそただね糞野郎だろ」
「…それ、フォローのつもりですか」
ずび、と情けない音を立ててでろでろの顔を拭いながら、兵籐が不満げにぼやいた。
「結論補正じゃなくて、前提事実だな」
意味が分かりません。的確な突っ込みに田ロは苦笑する。誰ぞの屁理屈病が感染した。
「まぁつまり何だろう、そんな兵籐クンが俺は嫌いじゃないよと…え?ちょ、どうした!?」
我ながら完璧な帰結だと思っていたら、兵籐がまたぼろぼろ目から水を溢していた。
何か失敗したか…?冷や汗をかきながら田ロは何とか宥めすかそうと試みる。だがどうしてか
兵籐はその状態でニヤけていた。正確には笑っているつもりが顔面筋のコントロールが効かず
眉は下がったまま、口角だけが引き攣っている。
田ロは訳が分からず兵籐の顔を覗き込んだ。あ、と思う。

既視感。身に覚えのある錯覚。いや、錯覚ではないのかもしれない。
おおよそ2年前、田ロの性的アイデンティティを揺るがしたあの、期待にきらきら縁取られた瞳が
じっとこちらを窺っている。ため息を吐いて、深呼吸をひとつ。
田ロはタカを括った。あの時は間違いなく、ただの気の迷いだった筈なのだが。 <> 原作バチ/スタ/シリーズ 田ロ×兵籐 8/9<>sage<>2008/11/28(金) 14:08:15 ID:i3lRqgF3O<> 「……よく聞こえませんでした」
何かこう色々なものを含んで田ロがやっと吐き出した台詞は、そうして兵籐に一蹴された。
この野郎。教授室の分厚い扉越しに中の会話を完璧に傍受するご自慢の耳はどうした。
冗談めかして尋ねると、田ロの滑舌を非難する答えが返ってきた。…ほう。
小さく感嘆の声をあげると、危機回避センサーを反応させた兵籐が反射的に身を引こうと
腕の中でもがいた。小煩い鳶はさっさと黙らせる事にする。
「う…ぐぅ…っ」
色気もクソもない声が兵籐の喉から漏れる。鳥類を鎮静させる時には目を塞げ、というのが通説だが
歯列をなぞりつつ、ちら、と盗み見たら、どうやらそれは自主的に行われていたので問題ない。
「分かったか?」
問うと、派手に息をついた兵籐に恨みがましく睨まれた。
「田ロ先輩が普段、大変見事な猫を被ってらっしゃる事はよく分かりました」
相変わらずの減らない口だ。そう茶化すと、ふいに兵籐が居心地悪そうにもぞりとした。
しばしの間。そして田ロは自分のとんだ間抜けな格好を思い出して絶句する。赤面。

「…どうします、これ」
言いながら撫でるんじゃない。田ロの返答を待たず身を屈めようとした兵籐をやんわりと制す。
「そういうのはあんまり好きじゃないんだ」
兵籐はその言葉で一瞬肩を揺らした。違う違う、とあやすように膝の上へ導きながら
田ロは遠い昔、嶋津だか速見だかがおきゃんなダンシングクイーン(当時の言葉を引用するとこうなる)
を一発K.Oしたというスペシャル・センテンスを思い出し、その耳元で再現してみた。
「生憎、一方的な風俗サービスじゃ楽しめなくてね」 <> 原作バチ/スタ/シリーズ 田ロ×兵籐 9/9<>sage<>2008/11/28(金) 14:10:42 ID:i3lRqgF3O<> 「…うわぁ……」
大方の予想通りだった反応を乾いた笑いで受け流し、田ロは改めて兵籐へ向き直る。
「念のため確認しておくと、俺は上昇思考が欠損してる万年講師で、リスク/マ/ネジ/メント委員長
なんていう首切り役職を背負わされてて、ついでにこの前、霞ヶ関のお偉いさん達を
約一名除いて全員敵に回して来ちゃったりして…まぁ、事故みたいなもんなんだけど」
第3項目はさすがに初耳だったのだろう、新種の生物を見る目で田ロの顔を見たあと
どうやら軽い貧血を起こしたらしい兵籐を、もう一度抱き込みながら続ける。
「兵籐クン的にはどうかな」
たっぷり数十秒の沈黙。おいおい?などと思っていると、兵籐は小さく唸ってから田ロの
肩に顔を埋めたまま、もごもご喋り始めた。
「大丈夫です…大丈夫ですよ…、さすが田ロ先輩、全て想定の範囲内です」
どう考えても大丈夫じゃなさそうに聞こえる。微妙に文脈もおかしい。だが兵籐は
ひとしきり喋り終えると、ふいに笑って、それから田ロの耳朶に唇を寄せて、囁いた。
「上等ですよ、ぞくぞくします」

これぞスペシャル・センテンス。唇を合わせて、田ロは兵籐の白衣を剥いだ。
同時に自分の首からネクタイが引き抜かれる。片手で器用にワイシャツの釦をはずしていく
兵籐の手際の良さに少々気圧されながら、負けじとベルトに手を掛ける。年長者の意地。
くつろげたウエストから指を滑り込ませると、兵籐が小さく息を呑んだ。
下肢に今度こそ消えない熱が灯るのを感じながら、田ロはその白い首筋に喰らい付いた。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ ) イジョウジサクジエンデシタ!


ありがとうございました。ベタ甘とか初めて書いたんだが、これ恥ずかしいですね
ところで田ロ×兵籐ってもしや凄いマイノリティだったらどうしよう(゚д゚( ゚д゚)) <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/28(金) 14:20:16 ID:VLVaBVN40<> >>230
ドラマから原作に入って田口兵藤に萌えてたんですが、
まさか棚で見れるなんて…ものすごく萌えました! ありがとうございました!! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/28(金) 14:29:34 ID:2lZ/4d6V0<> >>191
6チィムのファンそれぞれがウチのチィムのアレとアレ!と思っていそうですね
是非他にもお願いします <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/28(金) 16:56:26 ID:2DJJIaZc0<> >>219
毎日わくわくしながら読んでます。
恋も仕事も動き始めたって感じですね。
チームのメンバーも個性的です。七瀬川“さま”ってww
続き楽しみにしてます! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/28(金) 18:41:44 ID:i3lRqgF3O<> バチ/スタ文を貼らせて頂いた230です
「兵籐が田ロに懐いてる」と言っていたのは嶋津でした(紅将軍p181)私の記憶違いです
原作ファンの皆様すみません、混乱させてしまい申し訳ありませんでしたorz <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 1/17<>sage<>2008/11/28(金) 19:09:27 ID:BiYgJKdP0<> 長くて申し訳ないです。


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

?オマーさんの航海日誌。


俺の名はオマー。
フロリダ出身、酒と銃とボスの尻をこよなく愛する陽気
なアメリカ人。
スペックは元合/衆国海/兵隊員で、ウガンダでならした
現役傭兵だ。
事情があって、今はフィジー沖の海の上にいる。
今は何もする事が無く、暇で暇で仕方が無いが、ボスの
尻をのんびり眺めながら過ごすのも悪くない。 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 2/17<>sage<>2008/11/28(金) 19:10:36 ID:BiYgJKdP0<> 俺達のボスであるマ ー ティン・キ ーミ ーは、俺がまだ
海兵隊でしがない二等兵だった時代から、伍長をやって
いた。
ボスの素晴らしさは言葉では言い尽くせない。
何より尻が素晴らしい。
俺はフ ロリダ出身。フ ロリダといえばビーチ。そしてビ
ーチといえば尻だ。
尻に目の肥えた俺は、そんじょそこらの尻じゃ満足出来
ない。
白人黒人ラテンアジア、幾多数多の尻を見て来た違いの
分かる俺様が、初めてボスの尻の素晴らしさに気付いた
のは何時のことだったか。
ア フガニスタンの戦場で、塹壕から匍匐で撤退をしてい
たときだったように思う。
俺は弾丸や炸裂するグレネードランチャーの雨を掻い潜
り必死になって匍匐前進していた。その俺の直ぐ目の前
に、その尻があったのだ。 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 3/17<>sage<>2008/11/28(金) 19:11:21 ID:BiYgJKdP0<> 迷彩服に包まれた尻、大きすぎず小さすぎることも無く、
適度な厚みと弾力のある丸い尻が、俺の目と鼻の先で動
いていた。
俺の目は釘付けだった。
必死にその尻を追った。匍匐前進で。
尻が進めば俺も進んだ。
尻が止まれば俺も止まった。
もう銃声は聞こえなかった。
世界の全ては俺と、目の前の尻だけだった。
気付けば前線を脱出していた。
俺は尻に救われたのだと思った。
命を助けてくれた尻の持ち主は、俺の上官であるキーミ
ー伍長だった。
その日から俺の心の拠り所は、神じゃなくてボスの尻に
なった。
十字架と聖書を捨て、代わりにボスの尻写真を持ち歩く
ようになった。もちろん盗撮だが反省はしていない。 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 4/17<>sage<>2008/11/28(金) 19:12:17 ID:BiYgJKdP0<> ボスの200センチ近い大きな体躯は、全く無駄なく鍛え上
げられている。
金色の髪と、アクアマリンにそっくりな薄い色彩のブル
ーの目、しなやかな身体が、大型で猫科の肉食動物を思
い起こさせる。
全身から獰猛な殺気をみなぎらせM-16を手に戦場を駆
る姿は、味方には心強く、敵兵には恐怖の象徴だった。
だが戦場を離れ銃を手放した途端、周りが拍子抜けする
ほど、彼は穏やかな人格に戻るのだった。
声を荒げることも無く、下品なジョークに仲間達が大声
で笑っている際にも、静かに綺麗な色の目を細めて微笑
む程度である。
野戦服に身を包み銃を手にすれば兵士らしい荒々しさを
取り戻すが、普段の彼はぼんやりとしているような印象
すら与えるほど、物静かな男であった。

いや、ぼんやりとした印象と言うより、本当にぼんやり
しているのかも知れない。
<> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 5/17<>sage<>2008/11/28(金) 19:13:08 ID:BiYgJKdP0<> 任務遂行のためフィジー沖の島に向かう途中、船のエン
ジンが何者かに破壊されるという事件が起きた。
それからと言うもの、俺達はやる事も無いので、銃を磨
いたり、たまに撃ったり、
夜にボス以外の傭兵達が集まって好きな相手の打ち明け
っこをしたり、
そしたら皆ボスが本命で抜け駆けはなしだと約束し合っ
たり、
その後酔っ払った皆で甲板を匍匐前進してゴールト船
長に怒られたり、
その船長の尻を触ろうとしてシ ャーロットに目撃され
「ホモ野郎!」と怒鳴られたり、
レ ッジーナに「触っていいわよ」と誘われたが皆で断っ
たら欝病になられて自殺未遂されかけたり、
その事でまたゴールト船長に怒られたり、
また船長の尻を触ろうとしたらドン引きしているマイ
ルズに「島にいるオ ーシャニックのやつらを触れよ」と
助言されたり、
次の日の夜にはまたボス以外の皆でオーシャニックの
乗客の顔写真を見ながら誰が好みか言い合ったり、
「俺、ソ イヤーってやつが生きてたら、殺す前に掘っち
ゃおうかなって思ってるんだ。」「俺も俺も。」「ずる
い!俺も!!」と言い合ったり、
「でも本命はボスだけだぜ。」「俺だって!」「いやい
や俺だって!!」と言い合ったり、
それなりに充実した時間を過ごしていた。
だが皆、日に日に溜まる性欲だけは持て余していた。
なぜなら、ボスと一つ屋根の下で寝起きしてるんだって、
気付いてしまったからだ。
<> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 6/17<>sage<>2008/11/28(金) 19:14:05 ID:BiYgJKdP0<> 退屈で性欲ばかりが溜まる日々、俺達のボスは異常に無
防備だった。
ボスは色白で肌が強くないため、他の傭兵達の様に甲板
で裸になって日光浴をしたりはしない。だからシャツを
脱ぐと、鍛えられた肉体が抜けるような白い肌に覆われ
ていることに目を奪われる。そして胸の突起はとても小
さくて、生まれたての子猫の口元のようなピンク色をし
ていた。
そんな胸を隠すことなく、シャワーの後に上半身裸でい
るボスに、俺達の股間のM-16は今にも暴発しそうだった。
もはや限界だった。
早い者勝ちと言った空気が流れていた。
皆殺気立っていた。
もう島もオ ーシャニックもどうでも良かった。
誰が最初にボスを手に入れるかと言うことばかり考えて
いた。
<> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 7/17<>sage<>2008/11/28(金) 19:14:53 ID:BiYgJKdP0<> ボスのことを思いながら甲板で股間のM-16を磨いてたら、
うっかりレッジーナに見つかってしまった。
どうやらレ ッジーナは今回の旅、圧倒的少数の女と言う
立場を利用して、屈強な傭兵達に囲まれてのアバンチュ
ールを期待していたようで、「2メートルの男の尻に欲情
するなんて、こんなホモばかりなんて、詐欺よ!」と怒
鳴られた。

失敬な。
俺達はホモなんかじゃねえ。
ボスに対して、爛れた憧れとイカ臭い夢を見てるだけだ。
<> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 8/17<>sage<>2008/11/28(金) 19:15:40 ID:BiYgJKdP0<> すっかり絶望して去っていくレ ッジーナの後姿を見送
っていた俺の目の端に、ナ オミが、ボスを壁際に追い詰
めているのが飛び込んできた。
俺はパニックを起こした。
なんと言うダークホース!
ボスが危ない。
俺は慌てて二人の所に駆け寄った。
「やめろぉ、アバズレー!」
俺の怒鳴り声に、二人が驚いて顔を上げた。
二人の下に到着した俺を待っていたのは、強烈なナオミ
の平手打ちだった。
「誰がアバズレよ!」
どうやら壁際の日陰で、ボスはナ オミに無線機兼探知機
のゾディアックの使い方を教えてやっていたらしい。
美人な分だけ恐ろしい顔で睨み付けてくるナ オミに、俺
は素直に謝った。
<> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 9/17<>sage<>2008/11/28(金) 19:16:34 ID:BiYgJKdP0<> 相変わらずの退屈な日々、遂に痺れを切らしたナオミが
島に行くと言い出した。
「女一人じゃ危ないぞ。」と心配するヘリの操縦士のフ
ランクに、ボスは静かな声で「彼女は兵士だ。女じゃな
い。」と言った。
ボスは生まれながらの兵士だから、有能な兵士のことは
男でも女でもリスペクトをする。だからボスにとっては、
ナ オミに対して女と言う描写は失礼だと感じたようだ
った。
正直ナ オミに嫉妬した。
そしたら他のやつらも同じだったらしく、皆悔しそうな
顔でナ オミを睨んでいた。
船を離れるとき、ナ オミがボスに告げた。
「あなた、鈍感なんだから、尻には気をつけなさいよ。」
言葉の意味が全く分からなかったらしく、ボスは薄いブ
ルーの目でじっとナ オミを見つめた。ボスは戦場では誰
よりも危険な兵士なのに、普段は時折無垢な少年の様な
表情をする。今の顔がまさにそれだった。
言わなくてもいい事を言ってしまったのかも知れないと、
ナ オミは気付いたようで、申し訳なさそうな表情になっ
た。
「ごめんなさい。いいのよ。気にしないで。」
軽くボスの肩に手を置いて、ナ オミは首を振ってから出
て行った。
<> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 10/17<>sage<>2008/11/28(金) 19:17:17 ID:BiYgJKdP0<> 昼間、暇をもてあました俺達は、M-16でクレー射撃を楽
しんだ。
銃を手にしたボスは、久々に生き生きと大きな声を出し
て子供のようにはしゃいでいた。
味気ない豆のスープとスパムハム、そしてマカロニ&チ
ーズの夕食で食欲を満たした俺は、部屋に戻る為に薄暗
い廊下を歩いていた。すると、ボスの部屋の扉が開いて
いて、中の明かりが廊下を照らしていた。
好奇心に負け、立ち止まり室内をのぞくと、シャワーを
浴びたばかりとみられるボスが、アーミーパンツだけを
身につけ、昼間使った銃を解体している所だった。
髪から水滴が滴り、首や肩に掛けての白い肌を濡らして
いた。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/28(金) 19:20:32 ID:bsH+P9390<>   <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 11/17<>sage<>2008/11/28(金) 20:04:25 ID:BiYgJKdP0<> [][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

長いので時間を置かせて頂きます。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/28(金) 20:08:37 ID:1yPamsqq0<> 続きwktkしながらお待ちしてます!>>254
ボスの尻の行方が気になる・・・! <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 11/18<>sage<>2008/11/28(金) 21:22:41 ID:BiYgJKdP0<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

オマーさんの航海日記 2


丁寧に銃を解体する手元を見つめる。大型の銃を扱うの
に適した手だが、大切そうに銃を扱う動きは、とても繊
細だった。まるで恋人を愛しむ様な丁寧さだった。
そう言えば、ボスには女の恋人がいるのだろうか?
丹精な顔をしていて、綺麗な色の髪と目を持ち、背も高
く手足も長く、まるで雑誌から抜け出てきた様な整った
体格をしているボスだったから、女が放っておく筈はな
かった。しかしその割には、女性に対して素っ気無い。
俺達がいくらボスに夢中だからと言っても、美人である
シ ャーロットやナ オミの尻や胸は、ついつい目で追っ
てしまうが、ボスにはその気配が見られない。そもそも
共に戦った戦場でも、ボスは必ず自分の部隊の兵士達に
は「女の捕虜はつれてくるな。」と命じていた。ジュネ
ーブ協定なんて関係のない傭兵部隊は、敵地に女がいれ
ば強姦や輪姦は当たり前だった。だがボスは、非戦闘員
の女には目もくれず、戦闘員である女は男と同じように
射殺して、自分の部下達にも同く振舞うように徹底して
いた。
ボスは女に興味がないのだろうか?
だがボスは、だからと言って男に興味があるようにも見
えなかった。
そもそもボスが、性欲的なものを垣間見せたことはなか
った。
少なくとも仕事場、戦地では売春婦を買うところすら、
見たことがなかった。
<> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 12/18<>sage<>2008/11/28(金) 21:23:35 ID:BiYgJKdP0<> そう言えば俺は、ボスの事は何も知らない。
普段は、どんな生活をしているのか全く知らない。
命を掛けた戦場で、こんなにも信頼し合っていると言う
のに、恋人や家族の事すら何も知らない。
他の傭兵仲間のように、自分の事についてボスは殆ど何
も語ろうとしないのだ。

俺は猛烈にボスに対しての興味が湧き上がった。
一体ボスは、本来どんな人物なんだろうか。
考えると止まらなくなった。
そしてあれこれ考えながらボスを見ていると、気付けば
俺はまぬけな事に、勃起をしていた。
俺の股間のM-16は、いやになる程ポンコツである。場所
や状況を選べない。
慌てて立ち去ろうとした俺は、しかし不意に顔を上げた
ボスの綺麗な目の色と、はち合ってしまう羽目となった。
<> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 13/18<>sage<>2008/11/28(金) 21:24:21 ID:BiYgJKdP0<> どれだけその時の俺が、まぬけな姿であったのか想像も
したくない。
廊下でぼんやりと、股間を膨らませて自分の上官を見つ
める傭兵。
まぬけにも程がある。

ボスは俺の顔を見て、それから視線をずらせて股間を見
て、数回瞬きをした。俺が一体何をしているのか、考え
ているようだった。
そのボスを前に、俺は自分でも信じられないような行動
力を発揮した。ボスの室内に入り、扉を閉めたのである。
俺は一体何をやっているんだ?
どこに向かおうとしているんだ?
自問自答したが、身体は勝手に動いていた。
ベッドの上に座っているボスの方に近寄り、見慣れた顔を
両手で包む。
ボスはきょとん、とした表情のまま動かなかった。
綺麗な色の目は俺を映していた。
そこには何も、不安や疑問と言った類の感情は浮かんで
なかった。
ボスは仲間をとことん信頼しているのだろう。
近くて見ると、ボスの目の色は本当に本当に綺麗だった。
薄暗い室内なのに、薄い色の目はすぅっと明かりを吸い
込み、光を放っているかの様にすら見える。
顔を近づけても、ボスは逃げない。
だから俺は思い切って、唇を重ねた。
<> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 14/18<>sage<>2008/11/28(金) 21:25:37 ID:BiYgJKdP0<> 俺は駄目男なので、普段はフロリダのビーチでナンパに
明け暮れている。
傭兵なんてやってる俺は、女と所帯を持つ気なんてなか
ったが、単純に性欲処理が必要だった。だから、同じよ
うにカジュアルなセックスを好む女性と出会っては、そ
の場限りで楽しむことが多かった。
女に対してもやる様に、ボスの口に自分の舌を差し入れ
たが、探し当てた相手の舌は無反応だった。
呆れているのだろうか。
不安になったので、俺は顔を離してボスの顔を見る。
すると先ほどと変わらない、ボスの顔があった。


[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
<> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 15/18<>sage<>2008/11/28(金) 21:46:51 ID:BiYgJKdP0<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

オマーさんの航海日記 3


「ん?あ、ああ。すまん。」
謝ったのは、ボスの方だった。
「え?」
俺は驚いてまじまじとボスの顔を見つめる。
謝った理由が全く分からなかったからだ。
「気付かなかった。溜まってたのか。」
そう言って、ボスは俺のパンツのベルトに手を伸ばした。
「何してるんですか、ボス!」
俺はボスの手を掴んで大声を出す。
するとボスは俺の顔を見て、驚いたような表情を浮かべ
た。
「溜まってるものを出したかったんじゃないのか?船内
の女には手を出さない様に命令したのは俺だ。だから俺
が責任を取る。さすがに男の尻なんて嫌だろうが、口な
ら女とそう変わらないぞ。」
まるで、次の戦場はどんな気候の場所だろうかと、雑談
しているような口調だった。
「別に、ボスの尻なら嫌じゃないですよ。何言ってるん
ですか。」
「お前はゲイじゃないだろう?俺も違う。けど、性欲が
溜まってしまったが為に、士気が乱れるのは俺が困る。
だから部下の性欲の処理くらいするのは構わないぞ。」
<> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 16/18<>sage<>2008/11/28(金) 21:47:23 ID:BiYgJKdP0<> 呆然としている俺がボスの手を離すと、再び彼は俺のベ
ルトに手を伸ばして外し始めた。
かちゃかちゃと言う音が、静かな室内に響く。
俺は誤解をしているボスを止めなくてはと思ったが、し
かし性欲が理性を握りつぶしてしまった。
ジッパーを外されると、俺の股間のポンコツM-16がぼろ
ん、と飛び出した。
敏感になった先に、ボスの温かい息が触れる。
やばい。もう出そうだ。
なんてポンコツなんだ。
ボスの柔らかい唇が触れた。それから、湿った舌が俺の
ポンコツをくるむようにして出迎えてくれて、温かくて
心地の良い人の肉に包まれた。
女が口で奉仕してくれるときには、必ずその裏に見返り
がある。
だけどボスは違う。ボスは俺の事をただ、気遣ってくれ
たのだ。
同じ男だからと、男の生理現象を理解して、上官だから
と処理してくれる。
口に含んだ俺のポンコツを、丁寧に愛撫してくれている
ボスを見下ろしたとき、俺の身体の芯を、心地の良すぎ
る痺れが走り抜けた。それが股間に集まり、耐え切れず
にボスの口の中で出してしまった。
<> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 17/18<>sage<>2008/11/28(金) 21:49:09 ID:BiYgJKdP0<> 「ぅ・・。」
小さく声を出して、ボスが口を離す。
唇から、白濁した液体が伝った。
軽く咳き込みながら、ボスは口元から滴る俺のポンコツ
製の精液を手でぬぐった。
俺はそんなボスが可愛くて堪らず、再び唇を奪った。
唾液以外の苦い味がしたが、そんなことはどうでも良か
った。
礼を込めて、丁寧に丁寧に口付ける。
どんな女にもやったことがないほど、愛情を込めて優し
く口付ける。
ようやくボスの唇を解放すると、いつもは白いボスの頬
が、少しだけ色づいている様に見えた。
「・・・別に、そんな風に俺に気を使ってくれなくても、構わない
ぞ。」
「俺がボスにキスしたかったんです。いけませんか?」
少しにらみつける様に見つめながら尋ねると、ボスは小
さく首を振った。
もう一度ボスに口付ける。
今度はほんの少しだけ、ボスも舌で応えてくれた。
<> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 18/18<>sage<>2008/11/28(金) 21:51:57 ID:BiYgJKdP0<> たかがキスでこんな戸惑うなんて。
ボスは優しくキスをされたことが無いのだろうか。
口で奉仕する事には抵抗がないのに。
俺はますますボスの事が分からなくなった。
そしてもっとボスの事が知りたくなった。

部屋を出て行くときに、恐る恐る尋ねる。
きっと答えてはくれないだろうと思いながら。

「ボスは、どこでこんな事覚えたんです?」
少し考えるような表情で、ボスは暫く黙っていた。
ボスの目が、俺の目から反らされる。
「十代の頃、刑務所でな。」

それは、まったく想像を超える答えだった。
俺の心臓がばくばくと早鐘の様に打ち始める。
返す言葉が見つからず、呆然としていると、ボスは静か
な動作で、再び銃を解体する行為に戻った。

ボスが刑務所にいた。
それも、十代の頃。

そのことが頭の中一杯に湧き上がる。
一体ボスに何があったんだろう。
ボスは一体どんな人生を送ってきたのだろう。

その日俺はベッドに入っても、ボスの事で頭が一杯で、
眠ることが出来なかった。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS<>sage<>2008/11/28(金) 21:54:16 ID:BiYgJKdP0<> 明後日の放送までに書き終えられて良かったです。
もし続きが見たいとおっしゃる方がおられれば、
書かせて頂いてしまうかも知れません。
読んで下さった方、ありがとうございました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/28(金) 22:06:30 ID:PlWI+Rt6O<> >>264
迷子シリーズ一話しか観たことがないのに萌えた!
ボス…!
ありがとう、姐さん、年始年末にレンタルしてくる(`・ω・´) <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/28(金) 22:33:47 ID:F755vYLr0<> リアルタイムで読ませてもらいました。
更新するたびドキドキでした。
原作を見たことないのですが、作品を読むのが物凄く楽しかったです。
ボスと部下の関係がいいですねぇ。
是非、続きが読みたいです。
そして、明日レンタル店に行ってきますw <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/28(金) 23:55:40 ID:pFz3qgiH0<> >>230
原作未読なのにバチ☆と文章に釣られて読んでしまった
42歳の愚痴先生こんな攻めなのか…!
兵籐クンに萌えたので明日本屋に走ります!ありがとうございます! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/29(土) 00:30:17 ID:dK5rqinAO<> 亀気味だが>>215
いつも読ませて貰ってたけど、完結したので感想言わせて貰います。
色っぽい文章に、散りばめられる感情の表現にドキドキしっぱなしでした。
最後の締めくくりもやられました。本当にありがとう。
また密かに続きとか期待してます。 <> ダリル×炭酸 アメリカ人の主食はコーラです<><>2008/11/29(土) 01:30:18 ID:UhZLL7Vh0<> 二期好評放映中のガンダムからダリル×コーラサワー
ねつ造乙とかいわないで…

          _________
       |┌───────┐|
       |│l> play.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└───────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
   ∧∧
   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   )
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |            ┌‐^──────────────
  └──────│みんなでシュワシュワしようぜー
                └───────────────

<> ダリル×炭酸 アメリカ人の主食はコーラです 1/6<>sage<>2008/11/29(土) 01:32:45 ID:UhZLL7Vh0<> がりりと頬を爪で削られ、ダリル・ダッジは思わず片目を閉じた。
その間にも行儀の悪い足が背中といわず脇腹や腰までもをがむしゃらに蹴りつけている。
ダリルは自分のことを常識人だとずっと思っていた。
尊敬できるが天才ゆえに容易く一線を踏み越えた言動をする上官や、一見まともそうだが会話を続けていけばいつの間にか斜め

上に内容がずれている技術顧問、上官を敬愛するがゆえに周囲が見えなくなってしまっていた同僚。
彼らに比べればごくごく一般的で善良な小市民だと、そう思っていたのだが。
(俺も立派に変態だ)
自嘲しながら。自分のベッドに押し倒されている男の哀れな姿を見下ろす。
白いシーツによく映える赤毛を乱した男はダリルの視線に気づいたのか、抗議するように両脚をばたつかせ、踵で背中を蹴る。
すでにズボンは脱がされベッドの下、軍服の上着は半ばまでボタンを外され、捲りあげられ、中途半端に肌を晒している。
非常に艶めいた姿だと言えるかもしれない。組み敷かれているのがこの男でさえなければ。
「おいてめーいい加減にしやがれよこのハゲェ!!スペシャルな俺様をおまえみたいなチョイ役がモノにしようなんざ百年早え

んだよー!!」
八重歯をむき出しにしてぎゃあぎゃあとわめきながら男は上にいるダリルをはねのけようともがいている。
溜息をついて男の腰にダリルが己の股間を押し付けると、ひくっと喉を鳴らした後にさらに盛大に怒鳴り始めた。
「なっ!!てめえなにおったててやがんだよお!!とっととそのうすぎたねえブツをどけやがれ!!このハゲ!!デカ〇〇!!


何が悲しいかといえば、こんな状況でも男曰く「デカ〇〇」なダリル自身がまったく萎えていないところだ。
それどころか男が暴れて餓鬼みたいな憎まれ口を叩くたびにデカくなっていく。
それは押し付けられている男も気づいているのだろう。罵りは止まらないが、猫みたいに吊りあがった三白眼が徐々に潤んでき

ている。
ごくりと生唾を飲み込み、ダリルは男の骨ばった腰に手を這わせた。
細い。それが正直な感想だった。

<> ダリル×炭酸 アメリカ人の主食はコーラです 2/6<>sage<>2008/11/29(土) 01:35:42 ID:UhZLL7Vh0<> 勝手に触んな!!誰が触っていいっつったよ!!おまえ、俺のことを誰だと思ってんだよ!!」
「模擬戦で二千回負け知らずのスペシャル様のパトリック・コーラサワー」
「…へ?あ、ああ、そうだけど」
それこそ耳にタコができるほど聞かされたセリフを淡々と言えば、拍子ぬけした男、パトリックが少し大人しくなった。
これ幸いとばかりにダリルは腰から胸へと肌の感触を楽しみながら手を動かした。
日に焼けていない肌は白く、浅黒いダリルの手と比べればまさに透けるようだ。無駄な肉というか必要な肉もないのではないかと思える痩せた体はあばらの感触までよく伝えてくる。
軍服に隠されたままの胸元まで手を突っ込み、触れた小さな突起を摘まんでやれば下腹が大きく上下した。
先ほどまでダリルを蹴り続けていた足といい、これでGに耐えられるのだろうかと心配になるほどパトリックは痩せている。
「…もう少し、ウェイトをあげたほうがいいんじゃないか?」
MSの積載重量を減らすために体重を絞っているわけでもないだろう。
幾度か食堂で見かけたときのこの男は、カロリーの高そうな、そして子供の好みそうな食べ物をがつがつと食べていた。なぜ、あれで太らないのだろうか。熱心に訓練をしているわけではなさそうだし。
「うるせえな…。一回出撃すると二キロくらい減っちまうんだよ」
子供みたいにくちびるを尖らせてパトリックが言う。
「燃費の悪いやつだな」
まあ、この男らしいといえば、そうなのかもしれないが。
色気のない会話を交わしながらダリルが時間を確認すると、もうあと一時間もない。余裕をもってベッドに連れ込んだはずなのに、実質服を脱がすところまでしか行為は進んでいなかった。
悪いとは思ったが、さっさと始めさせてもらうことにした。
撫でまわしていた手を引くと、パトリックはあからさまにほっとした顔をしてみせた。すぐに顔に出るのはこの男の悪いところだ。
<> ダリル×炭酸 アメリカ人の主食はコーラです 3/6<>sage<>2008/11/29(土) 01:36:30 ID:UhZLL7Vh0<> 「ひっ!?」
尻の丸みを撫でながら狭間に指を這わせてみるが、なにもほどこしていないそこは固く窄まっていて指すら入りそうにない。
ハイティーンの頃の悪友たちとの猥談でアナルセックスのやり方というものは聞いたことがあるが、その手順を丁寧に追っていては後始末まで考えれば時間が足りない。
すまないとは思うがとりあえず突っ込むことを最優先にさせてもらおうと、ダリルは用意していたローションの小瓶を取り出すと、蓋をあけてそのままパトリックの尻に突っ込んだ。
「っう…ぎゃあああ!!!冷てえっ!!」
悲鳴をあげてまたパトリックが暴れだした。その拍子に浅く刺さっていた瓶の口が抜け、零れたローションがパトリックの尻を伝い、シーツに滴る。
「……大人しくしろ」
「うひいっ!?」
苛立ちまぎれに壁を叩いて凄めば途端に彼は大人しくなった。
おずおずとした上目づかいでダリルの機嫌を窺う様子に、なんだか凶暴な気分になってきてしまう。
AEUのエース、というだけあって操縦技術は確かに高いが、軍人というのも疑わしいくらいにパトリックは腕っ節が弱く、直截的な暴力の気配に弱い。
コクピットの中では間近で銃口を突き付けられても平気だというのに、生身では初めて会ったときのように胸倉を掴まれただけで涙目で怯えを見せるのだ。
再び小瓶を突っ込み、とろとろと中身を流し込んでいく。
苦しそうにしながらもおとなしくしているパトリックに満足しつつ、中身が半分くらいに減ったところで小瓶を抜いた。
冷たく、ぬるぬるしているそこに指を押し当ててそっと入れてみれば、予想外に簡単に中へ入っていった。
「うう…気持ち…悪ィ…」
滑って奥まで簡単に入っていくが、幅を広げないことには中に入ることは出来ない。
とりあえず多少強引ではあるがもう一本指をいれ、中で広げたり、回したりしてみる。
「力を抜け」
「簡単に…いうなよ…!」
「ほぐれてなくても入れるからな」
「ううっ…ひでえ…」
パトリックは懸命に力を抜こうとしているがどうにも上手くいかないらしく、時折ダリルの指が痛いくらいに締め付けられる。
深呼吸に交じって喉がひきつれるような音が出ているのが哀れ、ではあるのだが。
<> ダリル×炭酸 アメリカ人の主食はコーラです 4/6<>sage<>2008/11/29(土) 01:37:26 ID:UhZLL7Vh0<> 指を抜くと、ちゅぽんと粘ついた水音がした。
まだまだ準備不足ではないが、時間はないし、ダリルの我慢ももたない。
期待に膨らんでいる自分のペニスに手早くコンドームを被せ、指が抜けて安心したのか力の入っていない腰を抱き抱え、濡れた入口に押し入った。
「うあっ!?ちょ、まて、いた、いてぇって…!!」
やはりほぐしたりなかったらしく、半分ほどまでしかパトリックの体はダリルを受け入れなかった。
中途半端な場所をきつく締めつけられて、正直痛い。
「だから、力を抜けと言っているだろうが」
「ムリ!!マジでムリ!!ありえねえって!!」
ばたばたとパトリックの脚が暴れ、ダリルを蹴り飛ばそうともがく。
見れば顔色は蒼白で、大きな瞳にはまた涙が滲んでいる。
すまないと、確かに思ってはいるだが。
「っうぐあああ!!でかくすんなあああ!!」
ひいひいと泣き叫ぶ、まったく色気のないそれに、やはり興奮してしまった。
これはもう末期だなと内心己自身に呆れながら、ダリルは痩せた腰を押さえて力づくで腰を進めた。
ぎりぎりと締め付けてくる肉壁を無理に押し開くのは、双方にとっても苦痛でしかない。
それでもたっぷりと内部に注いだローションの助けを借りて、ダリルはようやく根本までパトリックの中へと含ませた。
入れてしまえば熱くてきつくて、時々震えるパトリックの中はひどく気持ちよかったが、その肉体の持ち主はよほど痛かったらしく、ぐったりとしたまま忙しなく瞬きをし、子供のようにしゃくりあげている。
「うっ…ひっく…ひっ…」
幼い印象を与える丸みの残る頬を幾つもの涙の粒が伝い落ちる。可愛い。
たまらなくなって、ダリルは嗚咽を漏らすくちびるを塞いだ。
今までに抱いた幾人もの女たちにすらしたことがないほど執拗に口内を隅々まで探り、舌に触れた八重歯は特に念入りに可愛がる。
同時に、女たちにはしたことがないほど乱暴に、繋がった腰を幾度も揺さぶった。
悲鳴はダリルの口の中に消えて、外に漏れることはない。
苦痛にもがく体を押さえつけ、凌辱しながらダリルが思い浮かべていたのはこの男の操縦するMSの動きだった。
その性格をそのままに表すエキセントリックな予想もつかない鋭い軌跡。教則にのせてもいいんじゃないかと思えるほど正確なターン。
<> ダリル×炭酸 アメリカ人の主食はコーラです 5/6<>sage<>2008/11/29(土) 01:38:18 ID:UhZLL7Vh0<> 「ふう…」
「はあっ…げふっ…あ、あうぅ…」
くちびるを離すとパトリックは大きく噎せて、それから懸命に深呼吸を繰り返している。
その顔は涙でぐしゃぐしゃだったが、意外なことに彼のペニスは萎えていなかった。
「ふむ」
少し考えて、ダリルは深く穿つのをやめて、浅い部分でゆるゆると動かしてみた。
「うあっ!!」
びくん、とパトリックが反応を返してきた。
その声には今までにはなかった色気のようなものが微かに感じられる。
「よかったか?」
「へ?あ、い、いや!!よくない!!」
蒼白だった頬を薄赤く染めたパトリックが慌てて否定する。
明らかな虚勢にダリルは笑いながら再び反応があった場所を今度は少し強めに抉ってやった。
「ひやあっ!!」
裏返った悲鳴が上がり、再びパトリックの腰が跳ねる。
「…よくないって?」
「よ、よくねえって!!いいはずねえだろ!!」
涙目で否定する姿が可愛らしく、ダリルはパトリックの腰を抱えなおして彼の泣き所が刺激される角度で動きを再開した。
よくない、と否定したわりには見る間に細い身体はしっとりと熱を帯びて柔らかくなり、長細い脚が自然と開いてダリルの動きを助けている。
二人の体に挟まれた彼のペニスもがちがちに硬さを増し、先端を湿らせている。
「あ、あ、ちくしょっ…!!」
するりとパトリックの手がダリルの肩に回った。
切れあがった眼尻を赤く染めて、ふっくらとしたくちびるを舐めまわしながら彼は喘いでいる。
ダリルの大きなペニスを完全に受け入れている下半身と違い、乱れてはいるものの上は軍服を身につけたままなのに奇妙な興奮を覚えた。次はパイロットスーツのままで抱いてみたい。
「ふあ、あ、やだって!!いてえよ!!抜けよ!!」
「っ…ウソつけ」
グイッとドレッドヘアを引っ張られ顔を顰めながら痛いとわめくパトリックに反論をする。
いやだ、痛いという癖に、パトリックのペニスはとろとろと先走りを漏らして今にも弾けそうであるし、両手両足でダリルにしっかりとしがみついているのだ。
<> ダリル×炭酸 アメリカ人の主食はコーラです 6/6<>sage<>2008/11/29(土) 01:40:44 ID:UhZLL7Vh0<> 突き上げた瞬間にのけぞったパトリックのくっきりと浮いた鎖骨にかじりつきながら深々と突き刺す。
「気持ちいいんだろう?」
「ひっ…よくないって…何べん言わせ…あ、やだ…抜けってば!!」
かぶりを振りながら訴えるその言葉が嘘だということは子供でもわかるだろう。
だがあえてダリルはそれを聞きいれ、ずるずると奥まで含ませたペニスを引き抜く。
「うあ…?や、バカ!!ハゲ!!抜くなって!!んっ…うう…」
絡みつく肉を引きずられる感触に呻いたパトリックは、だが本当にダリルが抜け出ようとすると慌てて脚を懸命にダリルの太い腰に絡め、自分から腰を突き出して阻止しようとする。
「抜けといったのはお前だろうが…」
「うるせっ!!お、お前が入れたいん…だろ…あ、うあ」
窄まろうとする肉を再び固く太いもので押し広げられ、パトリックがきつい瞳を潤ませた。
要するに、パトリックの口が言うことではなく、彼の身体、ぶっちゃけていえば下の口のいうことを聞いてやれば間違いないのだろう。
まだ痛いだの抜けだの文句をつけているのをさっぱりと無視して、ダリルは激しく細い体を揺さぶった。
見上げる猫のような瞳がきゅうと細まり、散々に憎まれ口ばかり叩いていたくちびるが、小さく震えた。声は、出なかった。
食いちぎられそうなほどに締め付けられて、ダリルはパトリックを抱きしめながらついに射精を果たした。
あんなに文句を言っていたくせに、男は初めてな癖に一度も前に触れられないままパトリックも絶頂に達したらしく、腹にねとついた感触が伝わった。
ゆるゆると腰を動かしながら、一滴残らず吐き出す。
<> ダリル×炭酸 アメリカ人の主食はコーラです 最後<>sage<>2008/11/29(土) 01:42:13 ID:UhZLL7Vh0<> 「はあ…」
目眩を覚えて、ダリルはパトリックを抱きしめたまま倒れこんだ。
押しつぶされて文句を言うかと思ったがパトリックは何も言わず、浅い呼吸を繰り返している。正確には、言えなかった、ようだ。
こんなに気持ちのいい放出は初めてだった。
ダリルは、自分は常識人だと自負していた。
間違っても、男で、我儘で、バカで、子供で、二千回で、スペシャルで、模擬戦な男なんかに欲情するような人間ではないと思っていた。
それが、いったいどうしてこんなことになっているのか。
「…お前は、スペシャルだな」
さようなら、常識人だった自分。
そんな感慨とともにダリルがつぶやくと、パトリックは笑った。
「当たり前だろ?俺さまがスペシャルだってことは」
八重歯を剥き出しにした子供っぽい笑顔は、確かにスペシャルにダリルの心を揺さぶるものだった。





スレ計算間違えましたすみません
あと間違ってあげちゃいましたごめんなさい <> ダリル×炭酸 アメリカ人の主食はコーラです 最後<>sage<>2008/11/29(土) 01:45:17 ID:UhZLL7Vh0<> _________
       |┌───────┐|
       |│ロ stop.      │|
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                 ピッ ∧_∧
                ◇,,(∀・  ) いろいろすみませんでした
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |                                |
  └────────────────┘ <> オリジナル1/4<>sage<>2008/11/29(土) 02:43:10 ID:bUYEdfyK0<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
オリジナル。現代モノ。きのうの続き。

「膨大な投資を無駄にしたくないのよ。適正価格ってものがあるでしょ?
7回分入って700円、1回100円なんて安すぎるわ。いいものは高くてもいいと思うの」
七瀬川課長はきっぱりとそう言い一同を見た。
オナホールの素材原料はさほど高価ではない。だが開発費を考えると一箱700円では
元が取れない。それは確かだ。だが志井は首を横に振った。
競争力のある価格で商品を提供したい。価格は7個入り700円。
ライバル社の繰り返し使えるオナホに勝つには、
1回のオナニーに消費するオナホは100円以内におさえたい。
「じゃあ、薄利多売しかないわよ? 高品質のオナホを大量に低コストで生産できるの?
言っとくけど、あたし素材の品質を落とすのには反対よ」
「七瀬川に一票。私も品質を落とすのは断固反対だ」
市川博士はゴツめの黒セル眼鏡のブリッジを左手の中指で押し上げ、言葉を続けた。
「素材の含水率は65%。このラインは譲れないね。ちなみに人体……腸管の水占有率は、74.5%。つまりアナルで74.5%だぞ。いわんや子宮をや。
人体はたくさんの水を含んでいるんだ。ローションに頼りきるのではなく、
オナホそのものの質感に私はとことんこだわりたい」 <> オリジナル2/4<>sage<>2008/11/29(土) 02:43:58 ID:bUYEdfyK0<> 「そうよ! このもちもち感としっとり感を出すのに、うちのコンドーム80万と9311個分、
希望小売価格で1億3千万円相当かかったのよ!」
印籠を出す角さんみたく素材のかたまりをかざした七瀬川課長に志井は言いきった。
「もとは取る。質も落とさない。我が社のコンドームは輸出され外貨を稼いでいる。
同様にオナホも広く海外で販売する。目指すのは薄利多売だ。その為にも大規模生産を実現する」
「どうやって? 常務にできるの? あんたじゃ無理よ」
「俺じゃない。五代がやる」
いきなり志井に話をふられた五代は、困った顔で、だが、さらっと答えた。
「大量生産するならモールド製法でしょ。再利用可能な鋳型使って、工程はオートメーション。
そうすれば製造コストは引き下げられるけど?」
ぱっと見、チャラいホストのような兄ちゃんだが、五代は誰より仕事が出来る。
「工場の新設に億単位のお金がかかるわよ?」
「いいんじゃない? この会社、資本力あるし、社長も設備投資に糸目つけねえもん」
七瀬川さまのつっこみに飄々と応える五代に志井は大きく頷いた。
株式会社志井商事は、コンドームの大量生産&大量輸出で
この国に莫大な外貨をもたらした実績を持つ大企業だ。
社長である志井の父親は、将来的なオナホ生産の増加を視野に
先行投資で生産基盤を強化することを奨励するだろう。 <> オリジナル3/4<>sage<>2008/11/29(土) 02:45:35 ID:bUYEdfyK0<> 「先生はどう思う?」
六六六は仁科を見た。
「とてもいいものを、いっぱい作って、いっぱい売ればいい」
仁科はにっこりと笑い言った。
「素材の水分保持力を高めた上で弱酸性水性潤滑剤を用いれば、オナニーの向こう側にいける。
リピーター率を上げるには素材もローションも決して品質を落としちゃいけない。
何より、大切なのは、安心安全の国内トップメーカー、『コンドームのC』という
ネームバリューに恥じないオナホをつくることだよ。
『本番もC、自慰もC』。そう言ってもらえないとね」 <> オリジナル4/4<>sage<>2008/11/29(土) 02:46:45 ID:bUYEdfyK0<> 仁科は志井商事に転職する前、国内トップの化粧品メーカーの研究所に勤務していた。
ブランド価値を有することで、顧客に反復・継続して購入してもらえることを、
誰よりよく知っている男だ。
仁科の静かだが力強い言葉に六六六は大きく頷いた。目指すのは薄利多売だ。
それから議題は六六六を中心に「オナホ内部の凹凸形状の形成について」に移った。
志井が瞳に星をたたえ、「ホールの内側に特殊繊維をびっしり生やしたい。
そのための技術者を近々このチームにむかえたい」と提案したとき、
六六六は重い苦しい胸のつかえを感じた。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/29(土) 03:49:25 ID:++Ltdeam0<> >>281
いいいいろんなフラグが立ってるぅぅ!
萌え津波が来そうなドキドキで寝られませんー!
六六六なんですか?本命なんですか?そうなんですかぁぁ??
ぜいぜい。
落ち着きます。すんません。
きっと続きが来ると信じて眠れぬ夜を彷徨いますよ〜。
続き、楽しみにしてます。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/29(土) 07:14:02 ID:ce9h79U60<> >>281
もうすでに萌で読んでるのか燃えで読んでるのか
わかんなくなってきたw
寒いがお体に気をつけて頑張って下さい <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/29(土) 07:58:43 ID:zS+Xq+hO0<> コンドームが薄利多売できるのはわかる。
オナホの需要ってパイが狭すぎるんじゃないのか?いくら使い捨てでリピーター需要が
見込めるといっても。
それとも、自分が知らないだけでオナホを使ってる人々はそんなに多いのか?
もしくは、これからパイを大きくするプロジェクトが待っているのか?

すでに燃えで読んでいますw <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/29(土) 08:23:31 ID:hZZWdTiDO<> >>269-277
ダリコラきたー!
ありがとう堪能させてもらったGJ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/29(土) 13:45:54 ID:uNdGjsmEO<> 亀ですが
>>264
元ネタ知らないのにうっかり全部読んでしまうほどなにもかもが好みでした!
レンタルしてきます(*´Д`) <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/29(土) 14:10:40 ID:F642R75bO<> >>269
うおー!うおー!きたー!えろいよおおお
あの時のダリコラ萌えが蘇るハァハァ <> 照退 楽園 0/11<>sage<>2008/11/29(土) 15:13:28 ID:Pl+TEJZs0<> 照退つづきです。これまでレスくれた姐さん方、ほんとうにありがとう。
さるらない程度の文量で書きました。って言ってるそばからさるったらゴメン。
書いてて気づいたんだけど、ここまでの登場人物が全員Tのつく名前だった。(朱龍は私の独自キャラなんで省く)
多分偶然なんだろうけど、全員て。おかげでやたらとキーボードのTを叩いてる気がします。
サブタイはヒライケソの曲から。前置き長っ。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!



ざわめきの中遠くから、泣きながら歌っているようなラブソングが聴こえる。
さびの部分でつい、頭の中で歌い出しそうになって、退蔵は注意力が欠けてきているのに気付いた。
そんな場合じゃなかった。目の前の男は最初から、明らかにそわそわと落ち着きがない。
歓楽街の路上で、麻薬の売人が一般人に薬を売り捌いており、どうやら山根組がバックについているらしかった。
それを調べる為、照と『退史郎』とで飲み屋や風俗店を中心に聞き込みをしていた。
男はキャバクラの呼び込みだった。けたたましい音とネオンの洪水の中で、頬のこけた茶髪の男は、聞かれた事に短く返答しながらも、2人と全く視線を合わせようとしなかった。
照が目で退蔵にチラッと合図する。退蔵もそれとわからない程度にかすかに頷いた。
照はやんわりと穏やかな言い方で、男の顔を覗き込んだ。
「念のため、所持品検査させてもらえるかな?時間とらせないから」
その途端、男は脱兎の如く駆け出した。照はすぐに反応した。地面を蹴って駆け出しながら叫ぶ。
「逃げた!退史郎!」
退蔵も全速力で走り出す。照は無線で応援を要請しながら追っている。速い。
冷たい夜風を裂いて、退蔵も後ろから追った。
すぐに袋小路に入った。男は地理に詳しくなかったらしい。酔客やホステスが、異変を感じ取って避けながらも遠巻きに様子を窺っている。
追い詰められた男は、右手にダガーナイフを持っていた。荒く息を吐いて、ナイフを持った腕が上下していた。
<> 照退 楽園 2/11<>sage<>2008/11/29(土) 15:14:44 ID:Pl+TEJZs0<> 「…ナイフを離しなさい」
照は落ち着いていた。言い聞かせるように男に言って、ゆっくり右手を差し出した。
次の瞬間男は、ナイフを持った右手を大きく振り上げると大声でわめいた。そのまま照に向かってくる。
周りの野次馬が悲鳴を上げる。
「みんな下がって!」
叫ぶといきなり照は、素手のままで男の懐に飛び込んだ。
「先輩!!」
予想しなかった照の動きに退蔵は思わず走り寄る。
男が飛びかかる。照は外側に男をかわすと左足で踏み込んで、男の手に掌抵を叩き込んだ。
カシャンと音がしたと思ったら、あっさりナイフは地面に落ちていた。それを照は足で蹴って遠くへ飛ばす。
次の瞬間、男は地面に打ち倒されていた。
「退史郎!」
照の声に退蔵は、素早く手錠を男の手に嵌めた。追いついた応援の警官たちが、さっと取り囲む。
「確保」
照の声はそれほど大きくなかったが、静まり返った夜の空気の中で凛として通った。
制服の警官たちが男を取り押さえる中、その場から退蔵は後ずさって離れた。
同じように一歩離れた照の姿を見ると、左の耳から血が出ている。
「先輩、耳…」
ハンカチを取り出しながら駆け寄ると、照は無造作に自分の左手で耳をこすって、指についた血を見て呟いた。
「かすった」
聞いた瞬間、退蔵の背筋がスーッと冷えた。冷たい汗が額に浮かぶ。
手が細かく震えだすのを、両手を組んで止めようとした。その様子を見て照はチラッと退蔵を睨みつけた。
「何動揺してるんだ。しっかりしろ」
すぐに背を向けると、パトカーに乗り込んだ。警官が次に、逮捕した男を乗せた。
その次に乗り込みながら、退蔵は手の震えを止められないでいた。
<> 照退 楽園 3/11<>sage<>2008/11/29(土) 15:15:47 ID:Pl+TEJZs0<> 署に着くと、照はそのまま取調室に入ろうとする。コートの肩には少し血が付いていた。
「先輩、手当てしないと」
後ろから肩に手を置いて止めようとすると、照はなんでもないように振り向いた。
「もう出血は止まってる」
「だめです、ちゃんと医務室行ってください。オレも付いていきますから」
近くに立っていた田所が、その声に振り向くと小走りに駆け寄って来た。
「負傷してんなら手当しに行けよ。こっちは引き継いでおくから」
「…悪い。じゃ、後頼む」
照は田所に頷くと、すんなり取調室から離れて歩き出した。退蔵も後ろから付いて歩く。
照から無人のエレベーターに乗り込む。退蔵は後から入った。
扉が閉まると同時に、いきなり退蔵は照の両肩を掴むと左耳に唇を寄せた。
傷口を舌を這わせるように舐める。照の体がすくんだ。
かすかに血の味がした。前髪が触れるほど近くから顔を覗き込んで、退蔵は口を開いた。
「さっきは…」
照は大きく目を見開いて、動けなくなっている。
退蔵はもう一度左耳に唇を寄せると、熱い息を吹き込みながら囁いた。
「…寿命が縮まりましたよ…」
それから突き放すように照を壁に押し付けた。照は目を見開いたまま、力が抜けたように見つめ返していた。
ポーンと音がしてエレベーターが停まる。扉が開いた途端、退蔵は照の腕を掴んで、引っ張るように歩き出した。
「ちょっと…退史郎…」
途惑いながら照も、退蔵の足に合わせて早足になっている。
医務室の扉を開けると、そこにいた女性の監察医が照に気付いて笑いかけてきた。
「あら、照さん。…出血?」
救急箱を取り出すのを見ながら、退蔵は扉の脇に立ったまま、無意識にタバコに火を点けた。
すぐに監察医が退蔵に振り向く。
「ここは禁煙ですよ」
「…すいません」
退蔵は一礼すると、消さずにそのままタバコをくわえて外に出た。 <> 照退 楽園 4/11<>sage<>2008/11/29(土) 15:17:07 ID:Pl+TEJZs0<> 医務室を出た退蔵は、携帯で朱龍に連絡をとった。
さっき逮捕した男は覚醒剤を所持していた。山根組の末端の売人らしい。その上に三合会が関わっている事までうっすら見当がついたが、男はまだ半落ちの状態で、全てを話してはいない。
退蔵は、照が関わった内部事情はすべて積極的に朱龍に報告しようとしていた。
写真を見させられてから、退蔵は憶病になっていた。出来るだけ照から情報を引き出していると見えるように、躍起になっていた。
『早い情報でありがたいよ』
朱龍は電話の向こうで、麻雀の牌をジャラジャラいわせながら言った。
『ソレは下っ端の雑魚だが、そのうち口を割れば、最後にウチの周の名前が出てくるかもしれない』
周は朱龍が信頼している人間の一人だ。今もこの場で共に、麻雀に興じているらしい。
『周の名義で借りているアパートに、今6千万置いてある。強奪した金の残りだが、あれは元々足が付きそうだった。逮捕された男が周の名前を出せば、そこに金があるのがついでにバレるかもしれないな』
「金をどこかへ動かさなきゃいけませんよね」
『金はそれほどでもないが、それよりもっと移動させなければいけない物がある』
電話の向こうから、中国語で笑いあう声が聞こえた。朱龍は低い声で言った。
『バンブルビーズと揺頭がごっそり置いてある。そこにあるのは6億8千万になる』
覚醒剤とMDMAだ。6億8千万。退蔵の心臓が跳ねた。動揺が走るのを悟られないよう笑いながら言った。
「凄い宝島ですね」
『言うなよ?』
朱龍の声が電話口からずしりと響いた。
『オマエ言いふらすなよ?田所も知らないことだからな』
「言いませんよ」
退蔵は背筋を伸ばした。電話だから見えないにしても、笑顔で喋り続ける。
「それにしても凄い金額ですね。全部そこに保管されてるんですか」
『これは一部だ。他に隠し場所はいくつかある』
「………」
『オマエは今後状況が変わるたび報告してくれ。こっちではクスリをまず運ぶ。金はかさばるから、そうだな、1千万でいい』
退蔵は一言も聞き洩らさないように、気を張り詰めた。
『5千万はいっそ置いていってもいいな。そうだ、オマエが半分くらい、まあ2,3千万とっとけよ。残りは職場に持ち帰れ。オマエにも立場ってもんがあるだろう』
退蔵は携帯を握り締めながら、息をつめていた。 <> 照退 楽園 5/11<>sage<>2008/11/29(土) 15:18:16 ID:Pl+TEJZs0<> 電話を切るなり、退蔵は田所の姿を探した。同僚に聞くと、照と喫煙コーナーにいると言う。
照のいる所では話せない。自然とまた離れて2人を観察する形になってしまった。
2人は紙コップでコーヒーを飲んでいた。照は耳にガーゼを貼っている。コーヒー片手に田所に話している。
「あれから進展あった?」
「無い無い。あんなチャラけたヤツなのに、なかなか口割んないんだよな」
2人の様子はくつろいでいて、その事に退蔵はなぜか胸が痛くなった。
田所と一緒にいる時の照は、どこがどうとはっきり指摘出来ないが、なんだかくつろいで安心している空気を醸し出していた。
少なくとも『退史郎』といる時には見せない顔つきだ。田所もまた、和んだ雰囲気で照を見ている。
それを見ているのは、少しきつかった。
田所は上を向いてコーヒーを飲み干すと、
「そろそろオレ行くわ。お先」
と紙コップをゴミ箱に捨てた。喫煙コーナーを出る前に、思いついたように照を振り返る。
「おまえさ、ケガとかほんと気をつけろよ」
そう言って、自分の左耳を引っ張って見せた。
「んー。わかった」
照はコーヒーを飲みながら、のんびり答えた。
廊下に出てきた田所に、退蔵は今来たように歩きながら近寄る。田所は足を止めた。
「ああ、おまえか」
退蔵は緊張した目で田所を見た。
「使ってない取調室ありますよね、あそこ使えますか?」
「使えるけど、どうした?」
「大事な話があります。他の人に聞かれちゃまずいです」
声を潜めた退蔵の真剣な表情を、田所は訝しげに見ていた。
<> 照退 楽園 6/11<>sage<>2008/11/29(土) 15:19:28 ID:Pl+TEJZs0<> 「6億8千万…」
田所が呆然と口を開いた。
「それは…でかいな…6億8千万…」
下を向いて顎を触りながら、取調室の中をうろうろ歩きだした。退蔵は勢い込んで、机に手をつきながら田所を見た。
「田所さん、これいけるんじゃないですか?」
「なんだ?」
「これだけでかけりゃ、しょっぴく事が出来るんじゃ?」
身を乗り出して期待した退蔵を田所はぽかんとして見返すと、小馬鹿にしたように息を吐いた。
「バカか。誰しょっぴくんだ。朱龍はおろか、その下のヤツも捕まえらんねえよ」
「え?だって…」
「朱龍が直におまえに言ったんだろ?今から行ったってもうクスリなんかねえよ。6億8千万っつったら、どれくらいだ?8から12キロってとこか。証拠だって残さねえよ」
「……」
「それこそおまえを試してんだろ。そんな事にも気付かないのか?今、のこのこ踏み込めば裏切ったのはおまえだってモロバレだぞ」
退蔵は額に手を当てて、自分の中で整理しようとした。オレは突っ走りそうだったのか?
「…最近のおまえは本当に、退史郎という別の人間になったみたいに見えてたけどさ」
田所は口の片側だけを上げて笑った。
「おまえ甘いよ。まだまだ全然甘い」
退蔵は自分の髪をくしゃっと掴んで目をそらした。飛びつこうとしてた。こんな事早く終わらせてしまいたいあまりに。
組織を壊滅させる。朱龍を逮捕する。それで全て終わりになるんだ。早く終わらせてしまいたかった。
壁の掃除。
突然、組織に入って3日目にさせられた壁の掃除を、脈絡も無く思い出した。
機械的に、何も考えずにモップで拭いた真っ赤な壁。
バケツの水が、何度変えても赤く濁った。
もし、先輩が。
そう考えついただけで一瞬何かがサブリミナルのようによぎって、慌てて想像の回線を遮断した。
何も想像したくない、今のこの片鱗だけで胃が捩じれそうだ。
早く、早く終わらせてしまいたい。退蔵は大きく息を吐いた。 <> 照退 楽園 7/11<>sage<>2008/11/29(土) 15:21:00 ID:Pl+TEJZs0<> 逮捕した男はなかなか口を割らない。取り調べで周の名前が出るのには、まだ時間がかかりそうだった。
覆面車のワゴンで、照と『退史郎』は麻薬の売人が現れるという裏通りを張り込んでいた。
青空駐車場の端に車を停めてから、まだ10分しか経っていない。運転席の退蔵は、助手席の照に声をかけずにタバコに火を点けた。
照はチラッとタバコに目をやると、またフロントガラスに目を向けた。
退蔵の時は、タバコを吸う時には必ず一言声をかけていた。多分それを思い出している。退蔵は自分の煙に目を細めて、上部だけ細く窓を開けた。
照の右手が、座席に投げ出されていた。退蔵はぼんやりそれを見た後、無造作にその手を握った。
指先が冷たい。あっためてあげる。
「…なんで、手、握るんだよ…」
照は目を伏せたまま、うろたえたように口ごもった。退蔵は照の顔を見て、窓の上部に向けて煙を吹き出してから笑った。
「手つないでちゃだめですか?」
「…変だろ。男どうしで…」
「そりゃそうだ」
右腕を伸ばして灰皿に灰を落としながら、ずっと退蔵は笑顔でいた。目を合わせてこない照の顔を覗き込む。
「それ、一般論ですよね」
「………」
「兄貴のこと、すきだったんでしょ?」
恋人繋ぎに指を絡め直した。照の指が緊張している。退蔵は照の顔を見た。
「兄貴にこうしてもらいたかった?」
「………」
一瞬、照の目に悲痛な色が浮かんだ。
傷ついた顔をしてる。踏みにじられた道端の花みたいだ。
退蔵の中で奇妙な感情が混ざり合った。2つの感情。
そっと庇ってやりたい気持ち。それと同時に、いっそズタズタに踏みつけてしまいたい衝動。
何故こんな気持ちになるのか、自分でもよくわからない。
次にかけるべき言葉が見つからないまま、ただ、指の感覚にだけ集中していた。
指先から伝わる体温。柔らかい感触。拳銃を持つ手とは思えない。
<> 照退 楽園 8/11<>sage<>2008/11/29(土) 15:22:11 ID:Pl+TEJZs0<> 照が顔を上げて、初めて退蔵の顔を見てきた。
「…手を離せよ。気が散るだろ」
「イヤです。オレはちゃんと見てます」
「………」
照が指をほどこうとするたび、ぎゅっと掴んでいた。
結局最後まで売人は現れなかった。その間ずっと、退蔵は指を離さなかった。

「今日か明日あたり、周のアパートがわれると思う。おまえ行くんだろ?」
田所は足を組んで、椅子に背をもたれさせて言った。
「2千万くらい取っとけって言われたんだっけ?派手な使い方すんなよ?」
「オレが持ち帰れって事ですか?」
「当然だろ、全額署にお持ち帰りじゃ朱龍に怪しまれるだろが。言われた分はもらっとけよ。アリだよ」
「2千万なんて大金…」
「車とかいきなり買うなよ?バレないよう地味に使え」
田所は指のさかむけを剥がしながら喋っていた。
「一番人気のない馬に大枚はたいて、オッズを逆転させてから全部すっちまうっていうのも、ある意味爽快だぞ。スッキリする」
「…経験済みですか?」
横目で見ながら聞いた退蔵に、田所は笑って見返してきたが、それは疲れた顔だった。
「今回これだけでかいのを見送るのも辛いけどさ、おまえが自力で在庫を見つけられたら、その時は一斉検挙出来るかもな。まあ今は仕方ないよ。『3千万ありました』で十分だろ」
これを知ったら先輩はなんて思うだろう。田所への厭味ではなく、苦い気持ちで退蔵はうなだれた。6億8千万円分のクスリがこれで流通させられる。
田所は慰めるように退蔵の腕をポンと叩くと、
「6億8千万かあー…」
と、もう一度他人事のように呟いて、大きく背伸びをした。 <> 照退 楽園 9/11<>sage<>2008/11/29(土) 15:23:41 ID:Pl+TEJZs0<> 田所と別れた退蔵が廊下の角を曲がると、遠くに小動物のようにうずくまっている背中があった。
照が何かを拾い集めていた。ただし、その隣にも一緒に拾い集めている姿があった。
千夏だ。2人で散らばった用紙を集めている。
退蔵はそのまま後ずさって、廊下の角まで戻って様子を窺った。2人の声が聞こえる。
「はい、どうぞ」
「悪い。ありがと」
「照さんて時々こういうの、ありますよね?」
2人でちょっと笑っているような感じがあった。これはなんでもない事だ。2人は仕事仲間に過ぎない。
なのに2人でいるのを見ると落ち着かない気持ちになる。
耳をすませている自分に嫌気が差してきた時、2人がそれぞれに別れて歩き出す気配がした。
1人はそのまま向こうへ。1人は退蔵のいる方向へ。カツカツという音から、ヒールの靴で近づいてくるのだとわかる。
人がいないのをいい事に、退蔵はもう少し後ずさって待った。
角から現れたのは千夏だった。退蔵は普通に千夏の方へ歩き出した。
すれ違った瞬間、退蔵は千夏を振り返って声をかけた。
「その香水」
「えっ?」
千夏が足を止めて振り返る。退蔵は出来るだけ感じ良く見えるように笑いながら言った。
「凄くいいね。幸せそうな香りがする」
千夏はびっくりしたように退蔵を見て、頬を赤らめると、
「…そうかな。…ありがとう」
と嬉しそうにして、きれいに微笑んだ。退蔵がにっこりすると、はにかんで軽く頭を下げ、速い足取りで歩いて行った。
どぎまぎしているような足取り。
それを妙に冷静な気持ちで観察しながら、退蔵は考えていた。
なんだ。簡単なことだ。最初からこうしとけばよかった。
これでこの2人を見て、ざわつく事もなくなるかもしれない。
<> 照退 楽園 10/11<>sage<>2008/11/29(土) 15:25:36 ID:Pl+TEJZs0<> その日の夕方、キャバクラの呼び込みの男が周の名前を出してきた。
取り調べを進めるのは田所だった。じわじわと強奪した金の話に近づいていた。
退蔵は照を探していた。デスクワークが山ほどあって、その処理に追われていると聞いていた。
組織犯罪対策課は明かりが消えていたが、照の机にだけ電気が点いている。
近づくと、照は机に突っ伏して眠っていた。
規則正しい寝息が聞こえる。ライトが当たって、頬が白く照らされている。
退蔵はそっと、椅子にかけてあった照のコートを肩に掛けようとした。
『退史郎』ではなく『退蔵』の頃、張り込み中眠ってしまった照に毛布を掛けた時のことを思い出した。
今から考えるとあの頃は、贅沢な時間を過ごしていたんだと気付く。仕事は過酷でも、楽園のように幸せだった。
あの楽園はもう、消えてしまったんだろうか。
コートを掛けると手を離す間もなく、照が身じろぎして目を開けた。
起こしてしまった。それもあの時と同じだ。
そう思っていたら、照は退蔵の顔を見上げて、やけに明るい表情で呼びかけた。
「退蔵」
また呼び間違えた。これで3回目。
退蔵はごく普通にそう思っただけだったが、照は違った。
明るい表情がスッと消えた。ゆっくり2回瞬きをした。
だんだん気付いていくようだった。自分が間違えたという事に。
照はゆるく頭を振ると、何も言わずに席を立って、そのまま部屋の外へと出て行った。
照のコートを掴んで退蔵も後を追う。
「どうしたんですか、先輩」
照はどんどん歩いて行くと、非常口から外へ出た。退蔵も後からついて歩く。
「先輩」
燃え切らないまま夕日が沈んだ後の、冷たく蒼い曇り空の下に、照がぽつんと立っていた。
コートを抱えたまま、退蔵は大股で近づいて行った。
「風邪ひきますよ」
雲が闇を連れてくる。冷え切った空気の中で、照の肩はひどく寒そうに見えた。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/29(土) 15:39:00 ID:OXSZcQCFO<> 支援? <> 照退 楽園 11/11<>sage<>2008/11/29(土) 16:02:11 ID:Pl+TEJZs0<> コートを広げた退蔵に、照は後ずさって言った。
「いいんだ。頭冷やしたいから」
退蔵はコートを照に押し付けた。
「だめです、着て下さい」
照はコートを受け取ったが、抱えたまま着ようとしない。
空から小さく、何かが光りながら落ちてくる。ひとつ。またひとつ。
冷たい雨か。今年初めての雪か。
「…兄貴の夢、見てたんですか」
退蔵は少し猫背になって、照の顔を覗き込んだ。
照は黙って立ちつくしている。風で前髪が震えていた。
「オレでよかったら、兄貴の代わりになりますよ」
退蔵は背筋を伸ばすと、少し横柄に言ってみた。また少しだけ、意地悪な気持ちになっていた。
「いや、いいんだ…わかってるから…」
照はゆっくり瞬きしながら言葉を探していた。前髪が風で煽られる。
目の中で、強く、弱く、光が揺れた。照の言葉が冷たい空気の中に落ちた。
「退蔵は、死んだんだ…」
――驚くほど静かに、涙がこぼれおちた。
消えそうにかすれた声は、実際突風にかき消された。
「もう、どこにもいない…」
考えるより先に、退蔵は腕を伸ばしていた。照の頭と背中を抱えて、力づくで抱き寄せる。
そのままきつく抱き締めた。腕にぎゅっと、痛いくらい力を込めた。
オレはここにいる、ここにいる。
きつく抱き締めながら、退蔵の目からも涙が流れ落ちた。
<> 照退 楽園 終/11<>sage<>2008/11/29(土) 16:04:02 ID:Pl+TEJZs0<> つづく

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


ほんとにさるった!最後の最後に!言霊!?その上ナンバリング最初0にしたけど1だし。スイマセン。
深刻な展開にする一方なんで、独自設定だらけになってるけど、付け焼刃の知識なんでいろいろとアレだとは思います。
至らない点が多いかと思いますが、生暖かく見てやって下さい。(あまりに変なとこがあったらコソーリ教えてください)

辻褄やセリフを合わせる為に、ちょくちょく元ネタの動画を見に行くのですが、見るたびに
ちょwあんたらwwアホスwwOTLwwwてなる。
(それは言わない約束) <> 無題 1/3<>sage<>2008/11/29(土) 19:20:44 ID:ijxwTp0G0<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

その銃は、男が警官であった10年と、逃亡者となった半年の間
共に死線をくぐり抜けてきた……。

男が警官を辞めた日、銃は己の周囲から見慣れた仲間が消えたことに気付いた。
汗と血、埃と硝煙のこびりついた制服や警棒はどこへ行ったのだろう?
同じ金属で出来ていながら鋭い光を放つマグライトはなぜ側に居ないのか。
そういえば、周囲の景色も違うようだ。いつものざわついたロッカーではない。
同じように薄暗く、冷たい場所ではあるが。

その頃から、銃の中には一発の弾丸だけが収められるようになった。
銃は普段から、弾丸などに意識を傾けたりはしない。射撃場で、現場で
それらは自分の内部をただ通過するだけの部品だ。たまに上手く排出されず
恐怖と憤りを感じさせられることはあったが、小さな鉛玉になど
いちいち気を取られる暇は無かった。そう、これまでは。

弾丸「……あの」
銃「……」
弾丸「なんだか、今日は冷えますね。なんて……」
銃「……」
弾丸「……すみません」

驚いた。ひとつには、こんなにも長い間、同じ弾丸と過ごしていること。
自分はもう、お払い箱なのだろうか。そしてもうひとつは、これまで
ただの消耗品と思っていた弾丸の一つにも、物としての個性があることに。
そういえば、剥き出しのままでこの冷たい場所に横たわって以来
自分の内部には、この弾丸しか居ない。 <> 無題 2/3<>sage<>2008/11/29(土) 19:22:50 ID:ijxwTp0G0<> 弾丸「……えっと、銃さんはこの仕事、長いんですか?」
弾丸「結構、待つもんなんですね。その、仕事まで」
弾丸「俺、仲間たちと話してたんですよ。どんな対象に向かって
行くのかなー、って。まあ、俺なんかみたいな大量生産の消耗品は
ほとんどが射撃場の的に当たるとか、威嚇のために地面にめり込むとかで
終わるんでしょうけど、ご主人は警官じゃないですか。警官の弾丸として
配属されたからには、やっぱり危機一髪!って場面で活躍したいよなー
なんて……」
弾丸「あの、俺、喋り過ぎですかね」
銃「……」
弾丸「すみません、怒ってますか……?」
銃「……お前」
弾丸「はい!」
銃「知らないのか……」

銃は、弾丸に語った。こんなにも長い間、整備もされずに放って
置かれるのは初めてであること、そして、おそらく主人は警官という職を
退いたであろうことを。もう二度と、主人と共に戦う日々は訪れないの
だろうかという不安は押し殺し、淡々と、言い聞かせるように。

弾丸「そうですか……はは……道理で、待機が長いと思いました」
銃「まあ、いいんじゃないか。目覚めてすぐに、射撃場に向かわれるよりは」
弾丸「そうですね……いえ、でも……」
銃「なんだ」
弾丸「俺は、何かに向けて飛ぶために産まれてきたんです。俺たちは
目覚めた時から、そういう……抗えない衝動みたいなものに捕われて
いるんだと思います。どこか、遠くへ向かって飛びたいっていう……」
銃「そして、死ぬのか」
弾丸「いや、まあ……そうですけど」
銃「飛び出した先で、何かを殺すこともあるというのに、か?」
弾丸「……」 <> 無題 3/3<>sage<>2008/11/29(土) 19:24:42 ID:ijxwTp0G0<> 弾丸は、それきり黙ってしまった。
その夜、銃は長い間、自分の言葉を苦い思いで反芻していた。
殺すこともある。それが、正しいかどうかは自分たちに判断できることでは無い。
しかし……。
これで、良かったのかも知れない。数え切れないほどの弾丸を送り出し
時には生物を傷付けてきた自分だ。この、何処とも知れぬ冷たい闇の中で
錆びた鉄くずとして朽ちるのが、似合いの結末なのだ。
だが、この若い弾丸はどうなる?
遠くへ向かうために産まれてきた、か……。

終わりは、唐突に訪れた。
彼らの置かれた薄暗い場所へ、一条の光が射す。銃に触れた手は
懐かしい主人だった。明るい場所に連れ出され、弾丸が身の内から
取り出される。ゆっくりと分解され、また組み上げられる。
固い指と、ガンオイルに湿ったボロ布の感触。じっと見下ろす顔は
かつての面影を失っていた。伸び放題の髪が深い皺を刻む眉間に落ち
痩せた頬を無精髭が覆っている。だが、目だけは変わらない。己を見つめる
瞳の奥に、銃は主人の強い決意を読み取った。「俺は、できる」
ぽつりと、男が言う。「やり通してみせる……必ず」組み上がった
銃を確かめるように撫でると、男は微かに口の端を歪めた。
「頼んだぞ」

再び装填されたのは、同じ弾丸だった。
銃は、唐突に悟る。主人にとって、残されたのは自分と、たった
一発の弾丸だけなのだと。 <> 無題 3/3…4/4 スマヌ<>sage<>2008/11/29(土) 19:25:57 ID:ijxwTp0G0<> 銃にとって、そこからの記憶は曖昧だ。長年親しんだ手に握られ
夜の冷たい空気の中をひたすらに走ったように思う。鳴り響く銃声。
他の銃器から発せられる数多の、そして最後に、自分の……。
暖かい手のひらから、唐突に引き離される。硬いコンクリートに
投げ出され、大勢の慌ただしい足音を聞く。体が熱い。熱と硝煙の匂い
だけが残る。自分はどうなったのだ。主人は。彼は……最後の弾丸は
役目を果たしたのだろうか……遠くへ向かうために……。

男は、長い夜を生き延びた。だが、二度と銃を手にすることは無かった。

銃は証拠品として押収され、長い保管期間を経た後に、不良品として
処分された。構造上は全く問題が無いにも関わらず、何故か引き金が
作動しなくなったためである。

その銃は、男が警官であった10年と、逃亡者となった半年の間
共に死線をくぐり抜けてきた。彼には、最後まで忘れられなかった
言葉がふたつある。ふたつながら、同じ言葉が。
長年共にあった主人と、最後の弾丸が、別れ際に口にしたそれは……。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

改行長過ぎって怒られてしまった(´・ω・`) <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/29(土) 19:40:05 ID:8fGxKUC90<> >>301
雑談スレから飛んで来ましたw
ちょ、姐さん仕事速すぎ&上手すぎwww
無機物萌えの真髄をここに見たw <> オリジナル えせ時代劇風 後日談 1/7<>sage<>2008/11/29(土) 21:03:44 ID:dK5rqinAO<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
すみません実はここまでありました


美濃屋の九兵衛は、このところめっきり老けた。例の倅の情死騒ぎからこちら、肌はくすんで髷も
薄くなったと噂になっている。唯一の慰めは嫁にいった娘が、その先でもまずまずうまくやって
いることらしいが、冴えぬ材木屋から一代でこの店を、江戸で指折りの呉服問屋にのし上げた人物
らしからず、商いの場でも時折ぼんやり虚空を眺めている。
その姿には、先に息子に死なれた親父の悲しさがありありと見て取れて、此方もいつも思わず苦い
気持ちになった。
美濃屋の手代も言う。
「旦那様は、十四郎さんがあんなことになってから、随分と」
しかしそこで言葉を濁した。衰えたとは言い辛いのだろう。以前はさすがに十四郎、あの色男の
親父だけあって、年のわりに凛々しく颯爽とした姿を見せていたものだが。
「おさきちゃんが、慰めか」
「でしょうな」
化粧師はため息とともに店先に出でて、空を仰いだ。今日は突き抜けるような青空だ。
ただその分寒さがぐっとくる。ちりちり白く千切れた雲がやたら空の端っこに見え、風がそこまで
あばれていることを物語っている。 <> オリジナル 2/7<>sage<>2008/11/29(土) 21:05:26 ID:dK5rqinAO<> しかし堀川の水は光に遊んで飛んでいた。この道を行くのもひと月ぶりだ。
何年も前に師匠の爺いから引き継いでからこっち、あんな騒ぎがあるまではそれこそ三日にあけず
この道を通っていたものだ。これで金があればまるで豪商の旦那だな、と化粧師はひどい冗談を
思って一人笑う。
いや考えようによってはあの数日は足腰が役に立たなかったので、若しかするとまた仮病を使う
羽目になったやも知れぬ。この化粧師は以前から、時折そうやって道楽(下手の横好きの太公望)
に走ることがあった。
堤の上を歩く下駄に風が渡る。正月が過ぎ、少しその寒風にふくらみがあるような気もする。暦の
上ではもう春なのだ。
だが、寒くないわけはない。まだ日が昇っても霜柱は溶けずざくざくいうし、見返り柳の青葉の上
には、昨日の雪も残っている。まあ、雪の吉原というのもなかなか好い。
溝をこえ門を入り、真っ直ぐ進んで伏見町の角を入る。すると飛び出てきた男にかち合いそうに
なった。銀二だった。
「使いの出かい、銀二」
「へえ、兄いのお達しで」
「せいぜい気張りな」
この若衆が兄いと呼ぶのは一人しかいない。あの男だ。
藤次郎のことだ。 <> オリジナル 3/7<>sage<>2008/11/29(土) 21:07:00 ID:dK5rqinAO<> 「そちらさんこそ寒い中、ご足労なこってす」
若衆筆頭の男は、意外にもこの化粧師を下にも置かぬ。
髪結いの類なんぞおんなの仕事だと蔑んでしかるべき性格だが、ただこの男は以前そう口にして
化粧師に差しで張り倒されたことがある。それ以来目上への態度をきちんと守り、また己の分を
わきまえる素直さも持っていた。
もちろん力勝負なら若衆には負ける。が喧嘩のやり口ははったりと年の功だと、化粧師は思って
いる。
銀二が向かいの茶屋に入る芸妓がたに鼻の下を伸ばしているのを尻目に、ようやっと目当ての見世
にたどり着く。するとまたもやおもて先で、でかい男に鉢合わせしそうになって思わず一歩身を
引いた。今日はよく男に当たる日だ。
「ぉお、藤次の旦那」
顔をあわせるのも久しぶりだった。
特にこんな真昼の日の下は、何時以来だろう。
しかし挨拶もそこそこに、番頭はただせわしなく周囲を見回し呟く。行き交う物売りがその剣呑
な目つきに、思わず肩をすくめて避ける。
「あんた、銀二見なかったか」
それが己への問いだと気づくのに二呼吸ほどかかった。
「見た」
全く、まだ使いもろくに出来ねえのかとその男は、三白眼の強面をさらに歪めてぶつくさ言う。 <> オリジナル 4/7<>sage<>2008/11/29(土) 21:08:56 ID:dK5rqinAO<> 文の使いを頼んだら、肝心の文を置いて行きやがったのだと、ひらひらそれを見せ付ける。
この男無口で通っているが、そのくせ小言とため息は人一倍と来ている。厄介な野郎だ。
「追っかけるなら、急ぐが吉だ」
多分あの若衆、大門の辺りででも油を売っているはずだからと化粧師は言った。
頷いた番頭が脇を走り抜け、やや風が当たる。そのふうわりとしただけのものに、少し髪が揺らさ
れた。
「市助」
珍しく名を呼ばれたので振り返ると、その男はただ己の無愛想な顔を指す。
とんとんと左の頬を突付いて言う。
「蕎麦掻」
そうただ一言残して、そのまま身を返して行く。小言とため息以外は、本当に最小限の言しか口に
せぬ。
しかし慌てて市助は頬を擦った。出掛けに食ってきた蕎麦掻を頬につけたままだったか、間抜けな
ところを見られてしまった。
閨の中では饒舌だ、とそれは最近知ったが、まあどうでもよい。広い背中が遠くなる。
「呼ばれたぜ、秀里」
奉行所の下した禁が解け、今日は久方ぶりの見世とあって、皆が気を入れている。その中でもやは
り一等はこの花魁だ。 <> オリジナル 5/7<>sage<>2008/11/29(土) 21:10:11 ID:dK5rqinAO<> 顔見知りの遊女らにちょいちょい声を掛けつつも、化粧師は一目散に二階のその表座敷へ上がる。
座敷の障子がほんの少し開いている。そこからくっきりあの青い空が見え、冷たさも入ってくる。
逆光の中、一つおんなの影が静かに見える。
「俺が恋しかったかい」
火鉢の火だけがじじと答える。
座敷で黒髪を梳く、花魁は振り返りもせず小さく笑った。
「にいさん、うんと美形にしておくれな」
「はいよ」
いくらこの世の蝶よ、花よとちやほやされても、全盛を誇る花魁でも、哀れだ。化粧師はそれを
知っている。
だがそれ故に、真から天女と惚れさせてやりたい。自惚れもさせてやりたい。この手で。
すっぴんのこの花魁は、やや眠そうな目つきをしている。それで見上げるだけでも十分男好きは
するが、化粧を添えればたちどころに傾城の、物憂げな怪しげな色香が漂う。
好いおんなだ。そういうおんなの相手をするとき、化粧師の頬は自然に緩んだ。
目を閉じながら花魁が、菊花の打ち掛けに合うように、と言う。傍らには紅に黄金に茶にと、見
覚えのあるそれが掛けてあるが、しかし少々季節外れ過ぎやしないか。菊は秋、今は春だ。
「之菊を」
言えば秀里はやんわり頬を膨らませた。 <> オリジナル 6/7<>sage<>2008/11/29(土) 21:11:27 ID:dK5rqinAO<> 「あのこを、悪し様に言うやつがいるだろ。今日は目にものみせてくれようかってね」
一息置いて、化粧師は笑った。ほんとうに、好いおんなだ。
「だからあんたが好きなんだ」
廓一の花魁にそこまで堂々と菊花を背負われては、親父も女将ももちろん助兵衛な馴染みどもも、
そうそうあの新造の陰口を叩くわけにもいくまい。己一つで黙らせる、花魁というのはこうでなく
ちゃいかん。
十四郎と之菊、二人がどうなったかは知らぬ。死してこの苦界を出でたのかも、どこぞでどうにか
やっているのかも。そうなれば似合いの夫婦だなと思う己には呆れた。之菊、そういえば名はこう
といったか。
前の丸い鏡を見ながら花魁がうっすら、あらどちらさんかと思ったわいな、と微笑む。
「あんただよ、秀里」
「にいさん、あちきこの頃綺麗になったと思いねえかい」
「元からあんたは綺麗だが」
白粉筆をくわえ、半端な声で相槌を打つ。ああこの肌を、幾人の男が撫ぜたろう。だが触れたと
思ったそれそのものは、俺の白粉の下にある。化粧師冥利に尽きる。
「まァ、おんなは恋すると色香が増すってな」
「へぇ」
「花魁、恋でもしてるのかい」
「まさか」
声を出してお互い笑った。 <> オリジナル 7/7<>sage<>2008/11/29(土) 21:13:09 ID:dK5rqinAO<> 鏡のように真っ平の、大前提を共有しているが故に笑える。
恋、という字それ自体が、既に面白い。この花魁の年季明けに、心に決めた情夫がいるかどう
かも知らぬ。ただいてもいなくとも、己との隙間は変わりようが無い。花魁が遊女が、
気を抜いて身を任せる男というのは、顔も知れぬ情夫以外では己一人だ。
黙っておくれと静かに紅を引く。目じりにも添えたそれをゆうわり、やわり、指でぼかす。そこに
涙はいつも無い。
「じゃァ間違いねえな」
仕上げに一櫛、その巻き上げた髷に自慢の櫛を添えれば、花魁もうっとりとした笑みを浮かべる。
好い顔だ。完璧だ。
「俺の腕が上がったンだ」
「にいさん、恋でもしてるのかい」
鏡の中で目があって、花魁がふふと吐息混じりにまぜっ返す。
それへの返事は、一息遅れた。
「まさか」
ひとしきり笑ったあと、あらと花魁が障子を見やる。その隙間、突き抜ける青空からちらちら舞う
雪を、にいさん風花、と告げた。
暦の上ではもうそれだが、本当の春は未だ先だ。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
終わり。 <> 君は美しい103 パラレル1/2<>sage<>2008/11/29(土) 21:37:36 ID:7cAltOldO<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )某スレ用に書いたけどあぶれたのでこっちに投下

新しく某国の僧長に選ばれたのは、メールデールだった。
先の僧長は祈祷中に倒れて以来、長い間床に伏していた。
老いた彼が自分の後継者として指名したのは、
物腰が柔らかく、美しい長髪を持った青年であった。

「ハプト、何を拗ねている」
メールデールは、言葉少なに書物に目を走らせている学友に尋ねた。
「拗ねてなんていない」
「しかし君は原書など読めないだろう」
ハプトが読んでいるのは、未だ翻訳されていない異国の本だ。
「あぁ、どうせ俺はあんたほど優秀じゃないさ」
ハプトは本を放り投げた。
読んでいるふりをしてメールデールとの会話を避けても、
賢明な彼を騙すことはできないと悟ったのだ。
「こんな青二才が選ばれたのが気に食わないか」
メールデールの言葉は真実を掠ってはいたが、正確ではない。
「馬鹿を言うな。あんたの努力は俺が一番知っている」
美しいメールデール、優しいメールデール、
愛しい俺のメールデール。
一体いつから焦がれはじめたのか、ハプトにはもう思い出せなかった。 <> 君は美しい103 パラレル2/2<>sage<>2008/11/29(土) 21:39:57 ID:7cAltOldO<> 「あんたが僧長になったら、学園の女がたくさん泣くな」
ハプトは自分の気持ちをすりかえ、当てつけの科白を投げつけた。
「それは君が故郷に帰っても同じことだろう」
メールデールは穏やかに返し、さらに続ける。
「一人の女性を愛せなくても、私は世界を愛せる」
「世界の恋人か」
「そうだ」
世界の幸福を祈り、平和に尽くす。
しかし、だからこそたった一人を愛すことは許されない。
僧長とはそういった存在だった。
「あんたならきっと立派な僧長になるよ」
ハプトが言うと、メールデールはやっと微笑んだ。
「ありがとう。私は君がいる世界を守るよ」
そう言って、メールデールは窓枠に止まった小鳥を指に乗せた。
ハプトは何も聞けなかった。
自分に言われたのか、小鳥に話かけたのかもわからなかった。
それを確かめたら、自分だけを愛してほしいと告げてしまいそうだった。

一週間後、新しい僧長の誕生を祝う式が行われた。
若く美しい僧長は人々に歓迎され、盛大な式になったが、
ハプトは一人図書室にこもりメールデールのことを考えていた。
――君がいる世界を守るよ。
その言葉が胸に深く沈んで、ハプトをどうしようもなく幸せで
どうしようもなく哀しい気分にするのだった。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/29(土) 21:44:00 ID:ZWQCP+0g0<> >>312
後日談ktkr
遊郭の日常のひとコマという雰囲気がすごく素敵です。
化粧師さんの返事が何故一息遅れたのかとか、考えるとニヤニヤしますた。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/29(土) 23:17:43 ID:npLCaMMmO<> >>312
このシリーズ本当大好きすぎる…完結お疲れ様でした。完成度高過ぎる。上質すぎてまとめとかないと勿体無い気がしてならないw
もう本当に、書いてくれてありがとうとしか言えません!
<> (,,゚Д゚)は父性に目覚めるようです(0/5)<>sage<>2008/11/29(土) 23:25:52 ID:1IOKTxwnO<> ( ´∀`)そんなわけでブーン系小説だモナ。合わない人はすまないけど回避して欲しいモナ
( ´∀`)今回は( ・∀・)×(,,゚Д゚)のつもりだけど、(*゚ー゚)が出張ってるモナ。いわゆる女の子注意って奴モナね



|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> (,,゚Д゚)は父性に目覚めるようです(1/5)<>sage<>2008/11/29(土) 23:27:01 ID:1IOKTxwnO<> 所帯を持った覚えはない。
第一、こんなデカい子供を持つほど早熟だったわけでもない。


(*゚ー゚)「ぱーぱ」


それでは、『コレ』は何なのだろうか。
考えながら腹にまたがる赤ん坊の襟を掴み、持ち上げる。
きゃきゃと高い声で笑う赤ん坊は、正直可愛かった。


( ・∀・)「おっす、オラモラr……浮気モノー!!!」


赤ん坊にさらわれた意識を、玄関先の絶叫が無理矢理引き戻す。
手の中の面倒と、玄関の面倒。
自分の運の悪さを呪いながら、俺は渋々起き上がった。 <> (,,゚Д゚)は父性に目覚めるようです(2/5)<>sage<>2008/11/29(土) 23:28:13 ID:1IOKTxwnO<> (,,゚Д゚)「人ん家の前で叫ぶな馬鹿、人聞き悪いんだよ馬鹿。勝手に入ってくるな馬鹿。帰れ馬鹿」

( ・∀・)「辛辣!! っていうか浮気モノは否定しないんだね!」


ちくしょう!と叫ぶ馬鹿を見て、腕に抱えた赤ん坊が楽しそうに笑う。
悪い影響を与えられる前に目隠しをすべきかするまいか、少し悩んだ隙にモララーはさっさと部屋に上がり込んでいた。


( ・∀・)「うん、相変わらず女っ気のない部屋だ。安心した。むしろ心配になるレベル」

(,,゚Д゚)「うるせぇ馬鹿」

( ・∀・)「じゃあ僕は買い物に行ってくるから」

(,,゚Д゚)「俺の台詞は無視かゴルァ」

( ・∀・)「だってこの部屋、オムツも離乳食も何にもないんだもん」


言われて、ようやくハッとする。
そう言えば赤ん坊というものには、そういったものが必要だった。
言われるまで気付かなかったのは、別に潜在的にネグレクトに走る素質があったわけでも常識が欠けていたわけでもなく、この歳になるまで赤ん坊に接する機会がなかったせいだろうと思う。
……思いたい。 <> (,,゚Д゚)は父性に目覚めるようです(3/5)<>sage<>2008/11/29(土) 23:29:35 ID:1IOKTxwnO<> ( ・∀・)「僕は長男だったしねー」

(,,゚Д゚)「人の心を読むな」

( ・∀・)?


きょとんとした顔でモララーは再び玄関へ。
このまま追い返して鍵をかけてやりたいのはやまやまだが、赤ん坊一人置いて家を開ける気にもなれないので、やはり渋々後を追う。


( ゚ー゚)「ばーい?」

( ・∀・)「また来るよー」


赤ん坊が心なしかしょんぼりしているのが気に入らない。
へらへらと笑うモララーの顔が癇に障る。
ようやく部屋を出た馬鹿の背中を蹴ろうか蹴るまいか、またしても悩んでいる隙に、いつの間にか身体を反転させていたらしいモララーの顔が至近距離にきていた。 <> (,,゚Д゚)は父性に目覚めるようです(4/5)<>sage<>2008/11/29(土) 23:31:30 ID:1IOKTxwnO<> ( ・∀・)「馬鹿、とかね。覚えちゃうから、気をつけな」

( ・∀・)「事情は知らないけど、君の子じゃないなら特に」

(,,゚Д゚)「………」


ひそやかに耳に吹き込まれた台詞は馬鹿にしては珍しいほどに正論で、何か言おうとした口が閉ざされる。


( ・∀・)「じゃ、またすぐ帰ってくるから」

(*゚ー゚)「あーい」

(,,゚Д゚)「…………早く帰ってこいよ」


そう言われた手前「事故れ」とも「二度と顔見せるな」とも言うのがためらわれて、赤ん坊と一緒に腕を振る。
途端に明るくなった馬鹿の顔に行動を後悔させられたのは、仕方のないことだろう。 <> (,,゚Д゚)は父性に目覚めるようです(5/5)<>sage<>2008/11/29(土) 23:33:19 ID:1IOKTxwnO<> (*・∀・)「! すぐ帰るかr


まだ何か言おうとしている馬鹿の台詞を中断させるべく、重い扉を閉じ鍵をかける。
ガチャガチャと揺らされたドアノブに、声に出さず「早く行け馬鹿!」と罵声を吐いて、身体を反転。


(,,゚Д゚)「……あ?」


そこでようやく、玄関から部屋の奥へと向かう足跡の形についた泥に気付く。
そう言えば、あいつ、いつの間に靴を脱いだ?


(#,゚Д゚)「――あ、ンの、」

(*゚ー゚)「ぱぱ?」


きゅ、と服を掴む小さな掌。
不安そうに傾げられた首の二つの眼と、ばっちりと目が合ってしまう。


(,,゚Д゚)「……掃除、するか」

(*゚ー゚)「うんっ」


正直、そして不覚にも、父性は後天性なのだという意味を実感させられた。 <> (,,゚Д゚)は父性に目覚めるようです(*/5)<>sage<>2008/11/29(土) 23:34:20 ID:1IOKTxwnO<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/30(日) 00:01:35 ID:V/6dgPrcO<> >>323 心が読めるモララーですとwwwwww
変わった人たちを思い出しました。乙! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/30(日) 00:31:26 ID:+rehgON5O<> ドラマ「千ーム罰☆」で麻酔→ぐっちーの短文。前回の話を見て思わず書き殴り。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
<> 罰☆ 麻酔→ぐっちー 1/2<>sage<>2008/11/30(日) 00:34:42 ID:+rehgON5O<> ―――なんで、最後に見たのがあんな顔だったんだろう。

絶望と混乱と悲しみと怒りでグチャグチャになってた辛い顔だった。
自分が、そんな顔をさせたくせに。
声だって、暗く沈んでいて。ただ俺の自殺を止めようと必死になっていた声だけで。
あの優しい穏やかな声が好きだったのに。
・・・これからずっと、聞けるものだと思っていたのに。

手足の感覚がなくなっていく。
冷たい。寒い。痛い。
これが、『死ぬ』ってことか・・・。

俺が死んだら、きっとあの人は泣いてくれるんだろう。
だけど、それが『人』が死んだから流す涙ではなく、
『俺』が死んだから流す涙であって欲しいなんて、本当に救いようがない・・・。
だから、こんな結末の迎え方をしてしまったのか。
<> 罰☆ 麻酔→ぐっちー 2/2<>sage<>2008/11/30(日) 00:36:11 ID:+rehgON5O<>

―――ねぇ、田□先生。俺、本当に嬉しかったんですよ。

『ただの麻酔科医』でもなく。

『麻酔科医の俺』としてでもなく。

『ただの俺』としてみてくれたことが

本当に嬉しかった。


ああ。もう一度だけ。
出来ることなら。

―――氷室先生。

陽だまりのように
穏やかに微笑むあなたを
もう一度だけ…
<> 罰☆ 麻酔→ぐっちー 2/2<>sage<>2008/11/30(日) 00:37:22 ID:+rehgON5O<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・; )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

<> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/30(日) 01:38:11 ID:GRnCQ/fZO<> >>325
麻酔医、切ない…切ないよ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/30(日) 01:45:03 ID:QmJUUdXU0<> 麻酔医…ぶわっ(;ω;) <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/30(日) 01:52:58 ID:luCMF95AO<> >>325
全俺が泣いた
゜・(ノД`)・゜

麻酔医がぐっちーの守護霊になりますように <> 最終幻想6 レオケフ1/4<>sage<>2008/11/30(日) 02:21:22 ID:7APE2wMc0<>
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


僕は初めて、彼に嘘をついた。
仕方がないことだった。そうだ、これは仕方がないことだったんだ。
自分に言い聞かせるようにしながら、僕は前にいる男を見上げた。
「どうした、ケフカ」
皇帝は笑っていた。暗めの照明が、彼の顔をやけに恐ろしいものに仕立て上げていた。
「何を考えている?」
この実験室に入ってから考えることといえば、彼のことばかりだった。
「……レオのことか?」
皇帝の笑みが、下卑たものになった。頬が熱くなるのが分かる。
唯一つ自由になる首を横に振り、「卑怯者!」と叫び、男を睨みつけた。
腕は椅子の肘掛部分に固定され、足も太い紐で縛られてしまい、どうにも身動きが取れない状態だった。
「この、卑怯者!!」
「誰に向かって、口をきいているっ」
言葉と共に、思いきり殴りつけられた。びりりと頬が痺れ、口の中が、血の味でいっぱいになる。
唇を少し開くと、だらりと血が垂れていくのを感じた。
今日も昨日と同じように、彼の部屋で、他愛もない話をしているはずだった。
なのに、僕はこんな場所で、一か月も過ごさなくてはならない。
「…………まあ、いい。そろそろ魔導注入を行うとしよう。シド、準備はできているのか」
奥の部屋で、老人らしき者の返事が聞こえた。べろりと血を舐めとる。錆びの味がする。胸糞が悪くなった。
『皆のためになるのなら、構わない』なんて、嘘っぱちだ。
この実験が皆のためになんてならないことを、僕は知っていた。
争い事は嫌いだ、人が死ぬのも嫌だ。魔法なんていらない。戦いを生み出すだけだろう。
レオ、ごめん。何度目だろう。この言葉を唱えるのは。
心の中で思う。幾度となく思う。
嘘をついてごめん、と。 <> 最終幻想6 レオケフ2/4<>sage<>2008/11/30(日) 02:22:18 ID:7APE2wMc0<> 「無理矢理、実験につき合わせて、悪いとは思っているんだぞ」
皇帝が言った。投げやりな調子だった。
「……どうだか」
「国民の血液を検査した結果、一番素質がある可能性があるのがお前だったというわけだ」
「素質、ね……」
「抽出した『魔導』を無駄にしたくはない。だから、どうしてもお前が必要だった」
「……レオのことを持ち出してでも?」
「ああ」
初めは、実験につきあう気などなかった。けれど僕は、つきあわざるをえなくなった。
皇帝は「レオが死んでもいいのか」と言って僕を脅した。
「お前が実験に協力しないというなら、レオを殺す」と言い放った。
レオのことを持ち出されれば、従う他なかった。
「準備ができました」
暗い顔で、シドと呼ばれていた男がこちらにやってきた。
この男も脅されているのかもしれない。よく分からない機械を持つ手がぶるぶると震えていた。
隣の部屋に待機していたらしい兵士達が三人、僕を取り囲んだ。
「口を開けろ」と言われて躊躇っていると、兵士に抉じ開けられた。
掌程の大きさの機械についている大きな突起を、シドによって銜え込まされる。思わず呻きが漏れた。
「じっとしていろ。全部飲むんだ」
兵士が僕の顎を押さえつけながら言った。と、突然、口腔に苦みのあるものが満ちた。
「う、う……っ!」
「飲め」
そのあまりの苦さに、目尻に涙が滲む。舌先が痺れた。
「飲み込め」
兵士が嗤っている。馬鹿にした目で、僕を見ていた。
<> 最終幻想6 レオケフ3/4<>sage<>2008/11/30(日) 02:23:05 ID:7APE2wMc0<>

苦い液体を飲み込む、食事をする、排泄をする、体を清める、寝る。そんな日々がどれ位続いただろう。
液体を飲み込む度に、僕の頭はぼんやりと霞みがかり、思考が上手く働かなくなっていった。
心臓が喧しく鳴り、指先が震える。突然、足の紐が解かれた。
そうか、ひと月経ったのかもしれない。僕は安堵の溜め息をついた。
「――――ほっとした顔をしているな」
そう言ったのは、皇帝だった。
足の紐を解いたのは、いつもの兵士ではなかったらしい。そんなことにも気付かぬほど、僕はぼんやりしてしまっていた。
いつもの兵士達は、部屋の隅の方で何やら談笑していた。
途端、皇帝が僕の下衣を引きずり下ろしたので、ぎゃあっと悲鳴をあげてしまった。
片足を持ち上げられ、抵抗しようとするのだけれど、全く力が入らなかった。
シドが走り寄ってきた。久しぶりに見る。少し痩せたような気がした。
皇帝はシドをちらと見、こちらに視線を戻した。
「大した効果がないようなんでな、今日はこちらから入れることにしたんだ」
「こちら……って…………あ、ああぁっ!!」
信じられない場所に激痛が走った。目の前に白い何かが瞬く。
力任せに押し込まれていくそれを、凝視することしかできない。
「あ、あ……あ……っ」
「……被験者が死んだ。昨日は二人、今日は七人だ。皆、魔導の力に耐えきれずに死んでいった。
生きているのは、お前だけだ」
押し込まれたのは、いつもは口に押し込まれている、あの機械だった。
滑った感触がする。何か潤滑油のようなものが塗られているようだが、それは殆ど意味をなしていなかった。
被験者が死んだ?何人だって?
腹の中に生温い物が流れ込んできて、背に寒気が走る。まさか、こんなことまでされるとは思わなかった。
レオのことが脳裏を過る。彼を思うだけで、胸が痛くなった。
彼は、僕を待ってくれているだろうか。無性に彼に会いたくなった。堪えていた感情が、溢れだしてしまいそうだった。

<> 最終幻想6 レオケフ4/4<>sage<>2008/11/30(日) 02:24:13 ID:7APE2wMc0<> 僕に告白してきた時の、彼の表情や言葉を思い出す。

『こんなことを言ったら、貴方は呆れるか気持ち悪がるかするかもしれませんが……』

そうだ、数年前まで、レオは僕に敬語を使っていた。やめさせるのが大変だった。
「貴方の方が年上でしょう!」と言って聞かなかった。

『私は……貴方のことが好きです。貴方の優しい笑顔が好きです』

レオの方が優しい笑顔をしていると思う。そう返すと、彼は首を横に振った。
僕は幸せだった。彼の優しい笑顔と温かな腕があれば、他に何もいらなかった。

「ケフカ」
幸せな思い出から、現実へと引き戻される。
「もう一度、注入してみようと思うんだが」
皇帝の言葉に、僕はゆるゆると首を横に振った。
頭がぐちゃぐちゃで、どうにかなりそうだった。現在と過去が混じり合い、まともな状態を保てない。
「わしは急いでいるんだ。お前に拒否権はない」
首を横に振った。「レオ」と名を読んだ。二度と会えないような、彼の笑顔を見られないような胸騒ぎがして。
何故だろう、もう戻れないような、そんな気がする。
ねえ、レオ。早く、君の所へ帰りたい。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
<> 最終幻想6 レオケフ<>sage<>2008/11/30(日) 02:25:32 ID:7APE2wMc0<> 書き忘れていました、これで終わりじゃないです。
続きはまた投下しに来ます。 <> オリジナル1/4<>sage<>2008/11/30(日) 02:29:56 ID:bS1Vl0bS0<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
オリジナル。現代モノ。きのうの続き。


この胸のつかえの原因は何だろう。
六六六はオナホを語る志井の瞳が輝きを増していくのを息を呑んでみつめていた。
見つめながら、思い至った。まさかと思った。だから無理やり気持ちを切り替えた。
いまはオナホのデザインに集中しよう。
ミーティング後、六六六は自分のPCで図面製作ソフトを立ち上げた。
肌との密着性がよく、極めてやわらかく、吸い付くような素材の特性を最大限にいかした形状にしたい。
1000個売れればヒット商品と言われるジョークグッズ的オナホではなく、
成人用玩具として堂々とオナホールをつくる。これは前代未聞のプロジェクトだ。
安全で機能的かつ衛生的な成人用玩具には性犯罪を抑制する力が潜んでいる。
それだけじゃない。このオナホはきっと、身障者のための性行為補助具としても機能する。
人口増加の抑制にだって役立てるだろう。
株式会社志井商事は、財団法人ジョイセフ(家族計画国際協力財団)と協力し、
「性」と病気に関する正しい知識と予防方の啓発と普及活動に取り組んでいる。
どうかレイプやセクハラがなくなりますように。性の病で苦しむひとが減りますように。
この世界の為にコンドームやオナホールに出来ることを白真剣に考え、
志井商事の営業推進部マーケティンググループは販売戦略を立てている。 <> オリジナル2/4<>sage<>2008/11/30(日) 02:30:26 ID:bS1Vl0bS0<> なすべき事を心得て己が勤めに励むべし。
六六六がすべき事は本体とパッケージのデザインだ。
形態(デザイン)は機能に従う。決してデザイン=見てくれではない。
機能美を極めたオナホで快感を得てほしい。結果としてデザインを感じてもらえたら本望だ。
パッケージも然り。世界をマーケットに事業を展開するには、形や図柄などの
表層デザインだけではなく、輸送や保管などの機能性も要求される。
オナホ職人として恥じない仕事をしよう。
六六六の頭の中には、既存のどのオナホとも違う、人間工学に基づいた設計と、
六六六自身の想像力と直結したフォルムが存在していた。 <> オリジナル3/4<>sage<>2008/11/30(日) 02:31:07 ID:bS1Vl0bS0<> 同時刻、三鷹は職場で日経ビジネスをめくっていた手を止めた。
見開きで特集されていた志井商事の記事に、志井と志井によく似た男の顔写真が載っていた。
美しく引き締まったくちびるの右端に小さなほくろがある方が志井だ。
ちょっと前ならおそらく見分けられなかっただろう。
けれど、いまの三鷹はすぐにわかった。
静寂さと透明感のある男だと思う。
付き合っていた頃、志井の高雅な雰囲気にオナニーなどしなさそうなやつだと感じていた。
まさか、オナホ屋だったとは。
同じ街の人間だと思っていたが、東京在住だったのにも驚かされた。
セフレと別れて欲しいという言うわけでもなく、三鷹の都合に合わせて会ってくれていた。
わざわざ飛行機で自分に会いに来てくれていたのかと思うと、
知らなかったとはいえ、気軽に呼び出していた自分が鬼畜に思える。 <> オリジナル4/4<>sage<>2008/11/30(日) 02:31:36 ID:bS1Vl0bS0<> 交際中、二人の仲はよく冷えたビールのように心地よく冷めていた。
熱く情熱的ではなかったが、冷え切ってギスギスしていたわけでもなく、生ぬるくもなく、
心から打ちとけあうことこそなかったが、
エクササイズ感覚で欲を発散させあう体だけの関係でもなかった。
他者の共感を得られない関係だったとは思うが、
三鷹にとって志井が心地よい男だったのは事実だ。
別れたあと、いろんな事がとても静かに沁みてきた。
再開し、顔を見て話をした。ちゃんと向かいあってみた。
フェイス・トゥ・フェイス……。
そうしたら、志井のほくろの位置がわかった。
会いたかったのは向かいあいたかったからだと、唐突にわかった。
写真にそっと指先を触ればわせる。
好きだ。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/30(日) 03:14:23 ID:sJ40jZ7Y0<> もういい加減に個人サイトでも作ったら?
調子に乗りすぎ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/30(日) 03:23:10 ID:wzaaqORs0<> >>341
>>139
ちょっと上のレスも読めんのかい <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/30(日) 04:16:36 ID:af+M8pgn0<> 短い話しを何度も何度も投稿するんじゃなくて
完結に話を作ればいいのに
何でシリーズ化してんのか本気でわからんな <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/30(日) 07:15:14 ID:64Ek4H+e0<> 最近シリーズが多い傾向なのね。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/30(日) 08:11:11 ID:3BX603P40<> >>340
うお、ついに感情の露出が!
たまにしか覗いてなかったのに毎日来てしまう。
着実な下調べもすごいなー。GJ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/30(日) 09:32:38 ID:UjqJvk3sO<> >>306
もう続きないんだなって油断してたら、完結編きてるー!!グッジョブすぐる!!
今まで出てなかった番頭さんや化粧師さんの名前がわかって、なんかどきどきした!
そうかーそんな風に呼んでるのか…
いいものを書いてくれて本当にありがとうです。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/30(日) 10:52:35 ID:Shaj/0PIO<> >>340
きのうの続きっていうから二作くらいかと思ったら…何日分あるのかな
遡って読むの大変だから、検索ワードに出来るようなシリーズ共通の題名くらいはつけてやってくれorz
連作投下に反対するわけじゃないが
時々しか棚を見に来ない身には少し酷だわこの構成。
<> 風と木の名無しさん<><>2008/11/30(日) 11:24:31 ID:G5os58l20<> 前田尚紀×浅見祐一
前田尚紀×浅見祐一
前田尚紀×浅見祐一
前田尚紀×浅見祐一
前田尚紀×浅見祐一
前田尚紀×浅見祐一 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/30(日) 12:00:50 ID:yg6iiYCs0<> >>306
乙でした 面白かった <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/30(日) 12:55:20 ID:UjqJvk3sO<> >>312

> 鏡のように真っ平の、大前提を共有しているが故に笑える。
> 恋、という字それ自体が、既に面白い。この花魁の年季明けに、心に決めた情夫がいるかどう
> かも知らぬ。ただいてもいなくとも、己との隙間は変わりようが無い。花魁が遊女が、
> 気を抜いて身を任せる男というのは、顔も知れぬ情夫以外では己一人だ。
> 黙っておくれと静かに紅を引く。目じりにも添えたそれをゆうわり、やわり、指でぼかす。そこに
> 涙はいつも無い。
> 「じゃァ間違いねえな」
> 仕上げに一櫛、その巻き上げた髷に自慢の櫛を添えれば、花魁もうっとりとした笑みを浮かべる。
> 好い顔だ。完璧だ。
> 「俺の腕が上がったンだ」
> 「にいさん、恋でもしてるのかい」
> 鏡の中で目があって、花魁がふふと吐息混じりにまぜっ返す。
> それへの返事は、一息遅れた。
> 「まさか」
> ひとしきり笑ったあと、あらと花魁が障子を見やる。その隙間、突き抜ける青空からちらちら舞う
> 雪を、にいさん風花、と告げた。
> 暦の上ではもうそれだが、本当の春は未だ先だ。


> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
> 終わり。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/30(日) 12:57:57 ID:UjqJvk3sO<> ごめんなさい、読んでて間違って送信ボタン押してしまった…
書き手さんにも姉さん方にもすまない。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/30(日) 13:31:23 ID:+vzTXV3j0<> 続き物多いね
昔も同じように小説投下するスレあったけど
長く続くと荒れてたな・・・
そのうち信者ウザイ!ってなってくるのかな <> 風と木の名無しさん<><>2008/11/30(日) 13:36:21 ID:aShTfBYS0<> グロ注意 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/30(日) 14:53:17 ID:2ScKhAnN0<> >>340の人は2レスで投下出来る分を4レスに引き伸ばして
毎日来ているからだと思う <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/30(日) 15:18:15 ID:VFE+hFSx0<> >>306の人は文の流れがいちいち切れて読みにくいなと思う
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/30(日) 17:36:39 ID:NPRxZM6BO<> でっていう <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/30(日) 19:40:39 ID:/ceYMtwqO<> シリーズ物が悪いわけじゃないけど
一回の投稿で完結した方が気持ちいいとは思う <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/30(日) 19:47:32 ID:0GBFFzwOO<> でもさるって支援を待つよりは
あらかじめ分量を調節して何回かに分けて投下しても良いと思う <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/30(日) 19:55:19 ID:49vTEQPnO<> ルール違反ではないし、シリーズ物でも毎日投下でもいいと思う。
見たくなかったらNGすればいいと思う。

>>2
> ★モララーのビデオ棚in801板ローカルルール★
>
> 1.ノンジャンルの自作ネタ発表の場です。
> 書き込むネタはノンジャンル。SS・小ネタ・AAネタ等801ネタであれば何でもあり。
>
> (1)長時間に及ぶスレ占拠防止のためリアルタイムでの書き込みは控え、
>    あらかじめメモ帳等に書いた物をコピペで投下してください。
> (2)第三者から見ての投下終了判断のため作品の前後に開始AAと終了AA(>>3->>7辺り)を入れて下さい。
> (3)作品のナンバリングは「タイトル1/9」〜「タイトル9/9」のように投下数の分数明記を推奨。
>    また、複数の書き手による同ジャンルの作品判別のためサブタイトルを付けて頂くと助かります。
>
> ※シリーズ物・長編物の規制はありませんが、連投規制やスレ容量(500KB)を確認してスレを占拠しないようお願いします。
> ※感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬はほどほどに。
> ※「公共の場」である事を念頭にお互い譲り合いの精神を忘れずに。
>
> 相談・議論等は避難所の掲示板で
> http://s.z-z.jp/?morara <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/30(日) 19:57:55 ID:wNcE8rkA0<> 棚
あまり特定の人に占拠されると投下しにくくなるからな
前もそれでもめてた
分量を調節して投下することは大事かも
あと馴れ合いを嫌う人も多いから
予告みたいな発言はやめたほうが良いとは思う

今回は今のところ問題になるレベルではないと思うけどね <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/30(日) 19:59:34 ID:NRF7QgL30<> >>360
しむらーここは棚ー! <> オリジナル1/6<>sage<>2008/11/30(日) 20:16:30 ID:aSAIKNQU0<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
オリジナル。現代モノ。オナホール話。


その日の就業後、六六六ら5人は七瀬川に飲みに誘われた。
「今後、最低月1回はこうした時間を持ちましょうよ」とのこと。
「仲良しごっこも悪くないんじゃない? あたし達、一匹オオカミ過ぎた気がするわ」
誘われるままチーム・オナホ全員で飲んだ。飲み代は志井が出してくれた。
飲み会の最中、下戸そうだと思っていた志井が思いのほか飲むのに六六六は意外性を感じた。
飲み会後、家の方向が同じだったため、「駅まで一緒に帰りましょう」と誘ってみた。
行き着けのアダルトショップに寄るという志井に付き合ったのは、市場調査のためと
もう少しあと少し一緒にいたかったからだ。
寒い冬は人肌にあっためたオナホでほっこりしたい。
志井はまず、蓄熱後コードレスで約5時間、ぽかぽか状態を維持できる、
オナホ用のホットウォーマーをカゴに入れた。次いで単2電池4本で動くローター内臓の電動オナホ。
それから、ローションと1000円前後の簡易オナホを次々と。
「簡易オナホとは思えない耐久度が憎い。これはわざとらしい刺激がない」
志井はキッチュなパッケージのオナホをぽんぽんカゴに入れた。
最後にホルダーにオナホをセットして使う、ACアダプターを使用した最新全自動セルフプレジャー・マシンを一台レジに運び、志井はゴールドカードで支払った。
ホットウォーマーが3,800円。電動オナホが5.980円。簡易オナホが31点で27,900円。
ドイツ製のセルフプレジャー・マシンは50,000円もした。
六六六は唖然とした。店員はニコニコ顔だ。 <> オリジナル2/6<>sage<>2008/11/30(日) 20:17:17 ID:aSAIKNQU0<> 両手にショップの袋を持った志井に六六六は手伝いましょうか?と申し出た。
セルフプレジャー・マシンが入った左手の袋はみるからに重そうだ。
ひとつひとつはそう重量のない簡易オナホとはいえシリコンの塊が31個と、
ローションやらホットウォーマーやら電動オナホが詰め込まれている右手の袋も大概だろう。
一度は遠慮したが、六六六の再度の申し出に、志井は「じゃあ、軽い方を」と、
右手に持っていた袋を差し出した。六六六はマンションまで荷物を運んだ。
「ありがとう。助かった。あがっていけ。珈琲を入れよう」
玄関先で中にいざなわれた。
リビングで使い心地のよさそうなリラックスチェアと、付属の袋に収納された寝袋を見つけた。
登山かキャンプが趣味なのかと思った。意外とアウトドアだなと思う。
「山とかにはよく行かれるんですか?」とたずねた。
「いや、あれは常用している」
どうぞと、六六六にマグカップに入ったインスタント珈琲を手渡し志井は答えた。
六六六はリビングのカーペットの上で、寝袋にくるまり、
ファスナーを寝袋の端まで引っ張って眠る志井を想像した。
この年下の上司にもっと快適な睡眠をとって欲しいと心からそう思った。
「寝袋じゃ疲れがとれないでしょ?」
訊ねた六六六に志井はふっと目だけで微笑み、愛着があるんだと答えた。
「あんまり共感は得られないけどな」
(そりゃそうだろう。一般的じゃない)
ひしひしとそう感じた。感じながら強くこの人の生活と性生活を改善したいと思った。
毎日の生活に布団かベッドを取り入れてもらいたい。
おそらく連日であろうオナニーを否定はしないが、いくらなんでも出費が多すぎる。
望まれなくても干渉したい。たとえ押し付けだとしても、このひとの歪な生活の形を整えたい。
心地よい暮らしをデザインしたい。たまらなくそう思った。この上司に六六六が思う幸せの形を贈りたい。 <> オリジナル3/6<>sage<>2008/11/30(日) 20:18:15 ID:aSAIKNQU0<> 上司の暮らしをデザインする。それを自分のライフワークにすることを六六六は勝手に決めた。
だがその前に神の穴だ。それだけじゃない。三鷹の勤め先の耳かきのデザインもある。
翌日、六六六は週末に予定されている技術交換会に備え耳かきのためのカンプをつくった。
同時刻、三鷹はオナホールのための技術提案書を書いていた。
週末、技術交換会は有意義におわり、ほどなくして発売されたニュータイプの耳かきは、
爆発的にヒットした。
年末、コンドームのCから鳴り物入りでオナホールがデビューした。
洗浄しやすく乾かしやすいライバル社の繰り返し使えるオナホに真っ向から挑んだ、
より衛生的で快適な1デイズの使い捨てオナホは国内外で着実に売れた。
だが薄利を補えるほど多くは売れなかった。コンドームとオナホは違う。
翌年の暮れ、株式会社志井商事の代表取締役社長である志井の父親は、オナホ−ル部門を
売却する意向を明らかにした。餅は餅屋。コンドーム屋はよいコンドームをつくって売る。それだけでいい。
志井商事のオナホ部門は全自動セルフプレジャー・マシンを主力商品に持つ、
ドイツの最大手オナホ・メーカーが買い上げた。創業以来オナホール一筋で事業を展開してきた欧州の雄だ。
先方は志井商事・オナホ部門の「人・技術・設備」。その全てを欲した。
志井を除くチーム・オナホのメンバーはドイツの研究所勤務になった。
売買契約の書面作成や押印までの最終調整、合意後の速やかな事業継承に向けたスケジュール作成。
それらを終えた後、志井は一連の責任をとり常務を辞した。 <> オリジナル4/6<>sage<>2008/11/30(日) 20:18:51 ID:aSAIKNQU0<> 何もかもが終わった気がする。
三鷹からもう一度つきあおうと声をかけられ首を横にふった。
六六六から一緒にドイツに来てくださいと誘われ志井は断った。
どちらも選べなかったから、選ばないことを選んだ。
しばらくゆっくりしてから、ミュージアムをつくって自身のオナホ・コレクションを公開したり、
セルフプレジャーの専門雑誌をつくったりしようか……。今後のことはそれぐらいしか考えていない。
きょうは大好きなオナニーをしたくない。そんな気分だ。
無性にセックスがしたい。誰でもいいから、一夜限りの関係を持てる男と寝たかった。
なんとなく五代と目があった。
五代が男もいけるくちだというのは、七瀬川主催の飲みの席で聞き及んでいた。
断られたら出張ホストを呼ぼう。そんな軽い気持ちで声をかけてみた。
有難いことに五代は了承してくれた。
「俺でいいの?」
右手で前髪をかきあげ、含みのある笑顔で尋ねる五代に志井は目元と口元に微小を浮かべて頷いた。 <> オリジナル5/6<>sage<>2008/11/30(日) 20:19:30 ID:aSAIKNQU0<> 酷薄そうなホストめいたチャラい見た目どおり、五代は遊びなれていた。
ホテル→シャワー→ベッド。その流れが驚くほどスムーズだった。
久しぶりのベッドの上で志井は誘うように股を開いた。
「軟膏とローションどっちがいい?」
五代に聞かれ志井は「軟膏」を選んだ。
「慣らすぜ」
志井の体をベッドに沈め、五代は薬指を使ってやさしく押さえるように軟膏を塗った。
「この指って薬の調合するときに使われてたから薬指って言うんだって」
五代は指を進めながら薀蓄を語りだした。
「その昔は、力が入らないしあまりにも使われないから『名無しの指』って
言われてたらしいんだけど、ある時、一番使わないこの指が一番清潔だって、
ある薬師が薬をあつかう際に、この指を使い始めてから、『薬指』って名前を得たらしいよ」
語り終わるころ、そこは中指を足すのに丁度いい頃合いになっていた。
「挿れよっか?」
五代は薬指に中指を添え挿入した。三回浅めに出し入れし、一回深く突く。
激しい指の動きに志井は股間を火照らせた。
「気持ちいい?」
訊ねられて二度頷いた。頷きながら先走りで股間を濡らし、濡れた股を更に開いた。
もっと欲しい。もっともっと欲しい。
「……五代、五代、もう一本くれ」
三本の指で犯されたくて、志井は下から五代を見上げ人差し指をねだった。
薬指、中指、人差し指、三本の指が付け根まで差し込まれていく。
あぁ、気持ちいい。
志井は後ろがゆるむにつれて涙腺がゆるんでいくのを感じた。亀頭のように目が濡れる。
「常務?」
五代に呼びかけられ、「もう、常務じゃない」と答える声が裏返った。 <> オリジナル6/6<>sage<>2008/11/30(日) 20:20:35 ID:aSAIKNQU0<> 「いったん抜くよ?」
「嫌だ」と言ったのに五代は指を引き抜いた。口さびしい。不満を感じていると、
一拍後、左右の親指を与えられた。右手と左手の親指の腹が蕩けた縁にかけられる。
そのままぐっと開かされ、五代が入ってくる予感に先走りが溢れかえった。
「つけるの忘れた」
耳元で囁かれ、コンドームレスのセックスをたしなめる間もなく入れられた。
その挿入の仕方で五代のセックスの上手さが知れた。全身で感じる。おかしくなりそうだ。
いま、五代の全部が収まった。志井の鼻先にキスをひとつ落とし五代は腰をふり始めた。
よどみなく動く腰に、志井は声をはずませながら左手を自身に這わせた。
「後ろだけじゃいけない?」
無理だと頷いた。じゃあ、と五代は共に開発したオナホを、
たっぷりのローションと共にそこにあてがってくれた。
長さと硬さが異なる極細繊維の束が波になってペニスをさらっていく。
五代がオナホを動かす度、無数の繊維が絡む。うごめく。気持ちがいい。
「あっ、あっ…」
もっちりとした素材の吸着感だって褒めても褒めても褒めたりない。
なのに何で、何で、世界的大ヒットに結びつかなかったのだろうと泣きたくなった。
オナホを買いたいけれど何を買ったらよいのかわからない初心者にも、
オナニー上級者にも好評だった。海外需要もあった。なのに、何故?
五代に角度を変えて突き上げられ、体をのけぞらせながら志井ははらはらと涙した。
感傷にひたっていたら、オナホごとそこを握られ高速でしごかれた。
「空っぽにしてやるよ。きょうは何も考えないほうがいいっしょ?」
志井は五代のやさしさに涙しながら、その晩最初の吐精をした。


> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
長々とすみませんでした。終わります。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/30(日) 20:25:02 ID:cXO4MBdhO<> 絡みも覗いてみてね。 <> ぜつぼう先生 痴漢×先生+准×望 1/10<>sage<>2008/11/30(日) 21:45:09 ID:1DbB9BqA0<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

ぜつぼう先生
原作で男子生徒が痴漢にあう話があってスレがざわっとしたので
触発されて書きました。
痴漢に遭う先生、後ちょっとだけ准望。


規則的に揺れる列車の中で、望は窮屈さに小さくため息をついた。
休日だからか、今日は随分列車が混んでいる。
こんな時、いつもなら望はきっちり両手で吊革に掴まり、万が一にでも痴漢の疑いが掛からないよ
うに心を砕くのだが、今日は乗車するなり人の流れに押されて、入ったのと反対側の乗車扉の間際
に立つことになったので、その必要もなかった。
ひしめき合う車内、望はドアに寄りかかるようにして窓を流れる風景を見つめる。
しばらく揺られていると、列車はまた次の駅に着いて、新しい乗客を積み込んで発車する。
人に押されてきたのだろう、背中にぴたりと人の気配が密着する感覚が望を圧迫した。
こんなに混むのなら、もう少し時間をずらした方が良かったかも知れない。
近所の書店には入らない新刊書の発売日だからといって、そんなに早くから大規模書店のある駅ま
でいそいそと出掛けなければならない道理もなかったのに。
たまたま早く目が覚めたからといって朝から出掛けるようなことをしてみるとこの始末だ。
目的の駅まであと五駅。十分少々の我慢だ、と窓に掌を添えた時、望は腰の辺りに妙な触感を覚え
て身じろいだ。
<> ぜつぼう先生 痴漢×先生+准×望 2/10<>sage<>2008/11/30(日) 21:45:48 ID:1DbB9BqA0<>
「……?」
なんだろう。混みあっているから体に何かが触れるのは当たり前だけれど、今のは腰から腿にかけ
て、なにかが不自然な通り過ぎ方をしていったように思う。
とはいえ満員の車内、人に押されて振り向くことすらままならないから、望は気のせいだと思うこ
とにして窓の外を流れる街の光景に目を戻した。
眺める窓ガラスに、車内の様子も不鮮明に映りこんでいる。
望の背後に、身長は望と同じくらいだが、望より随分と体格の良い男が、ぴったりと張り付くよう
にして立っているのが分かった。
がたん。緩いカーブで列車が揺れた拍子に、背後の男が望の方に更に寄りかかるようになる。
体を押されて、望は半歩ばかりドアの方に追い詰められて、窓に添えた手に力をこめて体を支えた。
混雑した車内だから押されること自体に不足を唱えるつもりはない。けれど。
「……っ」
揺れが収まっても寄りかかってきた男は望から離れる様子はなく、それどころかさらにぴったりと
背後について、ほとんど背中に覆い被さるような体勢をとろうとする。
「あの──」
流石に苦しい、と抗議の声をあげようと思った途端、望はいきなり上腿を鷲づかみにされて息を呑
んだ。乱暴な指が袴の上から望の腿を掴み、ひどく乱雑な動きで撫で回している。
「え……」
<> ぜつぼう先生 痴漢×先生+准×望 3/10<>sage<>2008/11/30(日) 21:46:45 ID:1DbB9BqA0<>
これは一体どういう事か。
痴漢、という最も安易な推測を思い浮かべかけて、望はありえないとその思いを打ち消した。
いくら自分が痩せぎすな体格であるとはいえそこそこの長身だし、子供の頃ならいざ知らず、今は
女性に間違えられるはずもない。
きっと何かの間違い、偶然のことだろう。そう結論づけて、さりげなく背後の男から距離を取ろう
と身じろいでみる。とはいえ余裕のない車内のこと、ほんの数センチばかり移動できたかどうか、
というところだったけれど、望の腿に触れていた掌はどうにか離れたように思えた。
僅かに安堵した矢先、耳元で苛立たしげな耳打ちの音がした。
攻撃的な気配が背後でざわめいた気がして望は思わず身を竦める。
すると男の指が再び望の腿をしっかりと掴み、乱暴に尻へと撫で上げた。
これは何かの間違いや気のせいなどではあり得ない。
望がそう自覚した時には、男の指は袴越しに望の内股の間へと潜り込もうと仕掛けていた。
「やめ……」
首だけで振り返って制止の声を上げようとした望の口を、大きな掌が塞いで声を封じた。
背中から密着する男の体と、下半身を撫で回すもう片方の掌。
ぴったりと押しつけられた男の下腹部が分かり易すぎる膨張を示しているのが分かって、望は不自
由な体勢で辛うじて左右に首を振った。
<> ぜつぼう先生 痴漢×先生+准×望 4/10<>sage<>2008/11/30(日) 21:47:37 ID:1DbB9BqA0<>
「んん……っ」
「大人しくしてろよ。すぐに済むからさ」
もがく望の体を押さえ込みながら、男は息を荒げて声で耳元に吹き込んだ。
まだ若い声だった。大学生くらいかも知れない。
信じがたい。これまで痴漢の被疑者にならぬようには気を配ってきたけれど、この期に及んでどう
して自分が痴漢の被害者になっているというのか。
頭が混乱して現状把握も覚束ない上に、背中から抱え込むように覆い被さられ、体全体をドアに押
しつけられているから、もはや抵抗もままならない。
男はしばらく好きなように望の尻を撫で回したり会陰部を指で探ったりしていたが、袴ごしに触っ
ているのが面倒になったのだろうか、次には袴の裾をたくし上げに掛かった。
「っん……うぅ──っ」
着物の裾ごと袴を捲りあげられて、いつもは厚く覆われている足が空気に晒される感触が分かる。
顕わになった足に、今度は直接男の手が触れた。
「ん──っ!」
「こんな捲りやすい格好してるんだからさ──これって触っていいってことだよな」
腿から尻、そして下穿きの上から内股をくぐって股間をまさぐりながら男がさらに耳元に呟く。
その言い種に望は激昂していいやら呆れていいやら分からなくなった。
捲りやすい格好が痴漢の免罪になるとするなら、世のスカートを穿いた女性は痴漢に対して一切文
句が言えないことになってしまうではないか。
「アンタもさ、ほら……こんなになってるし」
「っん……」
前に回った手で望の下腹にある膨らみを掴みながら、揶揄するように男は続ける。
耳元に熱い息を掛けられ、あちこち撫で回されて、情けないことに望の下半身は欲情をあらわす形
に育ち始めていた。

<> ぜつぼう先生 痴漢×先生+准×望 5/10<>sage<>2008/11/30(日) 21:48:08 ID:1DbB9BqA0<>
こんなところで身動きも出来なくて、ただ触られるがまま受け入れるしかない状態ではそれも仕方
ない、と思いたいけれど、こんな事で反応してしまうなんて、あまりに自分の体が浅ましくて情け
なくなってくる。
顔を真っ赤にして俯いてしまった望に気をよくしたのか、男は望の項に熱い息を掛けながら唇を触
れさせた。
前に回った手が下腹部から這い上がって胸元へ届き、着物のあわせからシャツの上へ掌が這い込ん
で胸をまさぐる。
探る指先に乳首を探しあてられて捏ね回されて、膝が崩れてしまいそうになった。
「……たまんないね。このままここで喰っちまおうかな」
「んんんっ」
口を塞がれたまま、望は喉の奥で声をくぐもらせる。
こんな場合だけれど、こうして口を塞がれているのはある意味不幸中の幸いかもしれない。
この手がなければ、自分はあらぬ声を人込みの中で漏らしてしまっていたに違いないから。
それにしてもこの男はどこまで図に乗る気なのか。軽口めいて呟かれた言葉がどこまで本気なのか
分からずに、ただ身を竦めながら男の気が済むのを待つしかないでいる望の背後で、ジッパーを下
ろす小さな音が聞こえた。
続いて、生々しい感触がさらけ出された腿に押しつけられて、望は全身が粟立つのを感じた。
<> ぜつぼう先生 痴漢×先生+准×望 6/10<>sage<>2008/11/30(日) 21:48:48 ID:1DbB9BqA0<> 「ん──っううっ……!」
ぎゅっと目を瞑ってただ頭を振る。
目尻にじわりと涙が溜まって、それがぽろりと溢れて頬に零れた。
何も悪いことなんてしていないのに、どうしてただ混みあった電車に乗っていたというだけでこん
な目に遭わないといけないというのか。
絶望した。早起きは三文の得なんてもう決して信じてなるものか。
そう心の中で宣言したその時。
「ぐ──ぁっ!」
蛙の声のような引き攣った声が背後で聞こえた、と思うと、密着していた男の体がにわかに望の体
のそばから飛び退いた。
望の口を塞いだり体を這い回っていた手も外されて、捲りあげられていた着物と袴がぱさりと元に
戻る。
「……?」
一体何があったのか。様子を確かめようと恐る恐る振り返ろうとした途端、扉に添えていた手が横
から延びてきた手にしっかりと掴まれてぐいと引かれた。
「っ……!」
恐怖心を覚えて反射的に手を引こうとしたけれど、強い力で引きつけられているので逃れられない。
どうしようかと戸惑っていると、いつの間にか停車駅に着いていた列車が止まり、開く扉の向きが
変わったのだろう、目の前の扉がすっと開いた。
すると、望の手を掴んだ手が、更に強く望の手を引いて、扉の外へと引っ張り出そうとしてきた。
目の前には沢山の乗車待ちの客が数人。
まごついているとひどい非難の目を向けられそうで、望は手を引かれるままにホームに降り、新し
い乗客を詰め込んですぐに扉を閉めて発車する列車を見送った。
<> ぜつぼう先生 痴漢×先生+准×望 7/10<>sage<>2008/11/30(日) 21:52:00 ID:1eRSv6y60<> 人でひしめき合う列車の中、窓越しに、さっき望の背後にいたと思しき長身の男が、ひどく苦しげ
に顔をしかめて、体をくの字に曲げている姿がちらと見えた気がした。
では──あそこにあの男がいるということは、さっき望を列車から引っ張り下ろしたのは誰だとい
うのか。
「先生、大丈夫でしたか?」
望がそう思ったのと、降車客の人込みが引いて、自分の手を掴んでいる相手を望がようやく視認で
きたのと、聞き慣れた柔らかい声が望を呼んだのとは同時のことだった。
「久藤君──」
望の目の前、教え子である──そしてそれ以上の秘めた関係を持ってしまっている──久藤准が、
とても心配そうな顔で望のことを見つめていた。
「久藤君……」
望の手をしっかりと掴んでいる准の手の温かさと、彼の望を案じる表情とが、望に包み込まれるよ
うな安堵感を与える。
さっきまでの恐ろしさと緊張から解放されたことに一気に力が抜けたようになって、望はぱたぱた
と涙を零してその場に蹲ってしまった。
「うん……怖かったですね。もう大丈夫ですから」
望の手をしっかりと握ったまま、もう片方の手で准が望の髪をそっと撫でて宥める。
「そこのベンチに座りましょう」
ふたりが降りた駅は、望の目的の駅ではなかったけれど、あんなことがあったあとすぐに次の列車
に乗る気持ちにもなれなくて、望は准に手を引かれるままホームの中ほどにある小さなベンチに腰
を下ろした。
<> ぜつぼう先生 痴漢×先生+准×望 8/10<>sage<>2008/11/30(日) 21:52:31 ID:1eRSv6y60<> 他の客はとうに改札に向かっていて、もうそんなに混みあう時間でもなくなったのか、ホームには
他に誰もいない。
准が自販機から暖かいココアを買って渡してくれるのを、なんだか立場がないように思いながらも
ありがたく受け取って口を付ける。暖かい甘さが喉から胸の底に染み通っていって、望はようやく
少し落ち着いた心持ちになった。
「……久藤君は、どうしてここに?」
「多分、先生と同じ理由ですよ。きょうは○○出版の新刊発売日でしょう?」
どうやら、自分たちは別々に同じ場所を目指して、同じ列車の少し離れた場所に偶然乗り合わせて
いたらしい。
満員の車内、彼がふと目をやった先に、口を塞がれて男にのしかかられている望が見えたので、人
込みをかき分けて男の背後に歩み寄り、持っていたハードカバーの本の角で男の背中を強打したう
えに、振り返った男の金的を蹴り上げて反撃不能にしたところで、丁度停車した車内から望をつれ
て降りたのだ、と准はそう説明した。
彼にしては些か乱暴な振る舞いだが、あの暴漢には本当にひどい目に遭ったから、余り気の毒には
思えない。
「ありがとうございます──久藤君がいなければどうなっていたか……」
「先生のこと守ることが出来て良かったです。でも……怖い目に遭わせちゃったから──あんなこ
とされるまえに先生の傍に居られなかったのが悔しいです」
不本意そうにそう告げる准の気持ちだけでただ嬉しくて、望はもう一度ありがとう、と准に言った。 <> ぜつぼう先生 痴漢×先生+准×望 9/10<>sage<>2008/11/30(日) 21:53:29 ID:1eRSv6y60<> 「いいえ。本当にひどい目に遭いましたね。ほら、こんなに襟も乱れて……」
乱暴に撫で回されていたから、着物の襟元が乱れてみっともないことになっていた。
いつのまにやらシャツのボタンまで中途の一つ二つが外されている。
隣に座った准が、こちらに身を乗り出して襟元に手を伸ばす。
ボタンを留めようとしてくれているのだろう、准の手がシャツに触れ、そうして指先がほんの微か
にその下の望の肌に触れた。
「……んっ」
ぞくり、と、触れられた場所から不意の熱さが皮膚の底に這い込む。
望は思わず身を竦めて、自分の喉から零れた声が奇妙に熱を帯びた響きであったことにうろたえた。
「あの──久藤君、いいです。自分でしますから……」
「先生?」
逃げ腰になって准から離れようとする望を訝るように覗き込みながら、きっと他意はない准の手が、
そっと望の肩に置かれた。
准の顔が近い。呼吸が近い。体温が触れる。
「や……っ」
全身が不埒な熱さに取り巻かれて、さっき触れられていたそこかしこに置き去りにされていた火種
が熾る気分に苛まれる。
「先生……」
どうしてこんな。
あんないやな思いしかしなかったことなのに、どうして男の手が離れたあとも体に情欲の名残が残
ってしまっているのか。
それも、准の前だというのに。
<> ぜつぼう先生 痴漢×先生+准×望 10/10<>sage<>2008/11/30(日) 21:56:15 ID:1eRSv6y60<> 浅ましい。こんな自分を見られたくない。
「済みません久藤君。私……帰ります」
口早に言いきって、准の方を見ないようにしながら立ち上がる。
手も足も少し震えていたけれど、シャツのボタンだけなんとか留めて、ホームの反対側、さっきと
は逆に向かう路線に入ってきた列車に乗り込もうと足を進めた。
「……先生、いかないで」
その手を、准の手にしっかりと掴まれて引き寄せられて、ホームの途中で足を止められる。
ホームに入ってきた列車は、乗ろうとする客がいないことを確かめるとすぐに扉を閉めて発車して
しまった。
背中のすぐ傍に准の気配。
さっきあの男に寄りかかられている時とは全然違う、何も怖いことはされないという安心感と……
そうして、体の底から湧きあがる熱に溺れてしまいそうな恐ろしさとの両方の気持ち。
「久藤君……私……今、変ですから──離してください……」
「……大丈夫。変だなんて思いませんよ。あんなふうにされてたら、誰だってそうなるのは仕方な
いです」
望の体のことをすっかり悟っているらしい准の言葉に、望はひどく恥ずかしくなって俯いた。
やはり自分は何て浅ましいのだろう。
「だって僕も……そんな気持ちになってる先生のこと見たら、欲しくて仕方なくなってしまってる
んですから」
「……久藤君」
熱い声で耳の近くにそう言われて、望は驚いて准を見返った。
言葉と少しも違わない熱っぽい瞳が真っ直ぐに望を見つめている。
触れられているのはただ手首だけだというのに、それだけでまた体の奧に熱さが生じてしまう。
「ねえ……先生。悪いこと──していいですか?」
掠れた声で囁かれて、疼く心に逆らうことが出来なかった。
言葉通りいつにない悪そうな顔でうっすらと笑みを浮かべる准の誘惑に、望はこくりと頷いた。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

長くなりすぎたので一旦ここで終了。気が向いたら悪いことの中身書きに来ます。
読んでくれた方、ありがとうございました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/30(日) 22:14:12 ID:Yo3UCLwJ0<> >>362-367
おつかれさまでした。とても楽しく読ませていただきました。
チーム・オナホのフルメンバー1〜7がふたたび揃う日がくることを祈って。
志井元常務がセックスとベッドに悦びと安らぎを見いだす時がきますように。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/30(日) 22:47:30 ID:1U+/MH5T0<> >369-378
お疲れ様でした。
されるがままの先生エロイヨー
悪いことの中身が気になって仕方ありません!
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/30(日) 23:53:06 ID:NPRxZM6BO<> >>369
GJ!萌えに萌えた
個人的に痴漢シチュウマーなので大変楽しませていただきました <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/11/30(日) 23:54:24 ID:Zk1LO01i0<> >>288
照退姐さんありがとうお疲れさま
姐さんのを読むためにいつもここをのぞいているのです。今回もドキドキして読みました。
あのふたりがホントにこれくらい練られた濃いドラマで演ってくれたらなあ…
実際それくらい演じられる力のある人たちだけに惜しいとおもってしまふ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/01(月) 01:13:25 ID:HH7Ayjxg0<> >>369-378
自分が想像してた以上にエロかった上に、描写も丁寧ですばらしかったです
痴漢されてる先生本当エロ可愛いし、駆動もえらく男前でエロかっこいい!
悪いことの中身、全裸ネクタイと靴下で正座してお待ちしてていいでしょうか
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/01(月) 02:35:28 ID:IkJcDMqg0<> >>367
ああ、終わってしまった。毎日楽しみに読んでました。
ひょっとして、予定より端折って終わっちゃったんじゃ・・・><
志井と三鷹とか、六六六の常務の生活改善作戦(ドイツから遠隔操作?)とか
また気が向いたら続き書いてください。待ってますぜ。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/01(月) 02:38:49 ID:oF8RFuRx0<> 六六六っていう名前が萎える <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/01(月) 03:07:04 ID:AnP0i8IEO<> NGしやすくていいじゃない <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/01(月) 04:17:18 ID:Z3UAa701O<> 六六六ってどう読むの?ムムム? <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/01(月) 12:45:48 ID:Neskx3QZ0<> >>367
深夜ドラマにしてもいいくらい良い出来でした
最終話は無かったことにしたいですが…
名残惜しいですが、お疲れ様でした。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/01(月) 17:17:27 ID:rj6auvFyO<> >>367
あああ…終わってしまったのか…
毎回楽しく読ませて頂きました
ありがとうございました <> 風と木の名無しさん<><>2008/12/01(月) 19:56:48 ID:L14PO3lq0<> MZD
Mr.KK

<> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 2 1/19<>sage<>2008/12/02(火) 19:23:42 ID:Tu+DfJy60<> 前回は興味を持って頂き、ありがとうございました。
今回は長くなってしまったので、数日に分けたいと思います。
皆さんのお邪魔にならないこの時間、今日と明日と明後日に、こっそりアップさせて頂きます。


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

ボンコツ傭兵とボス1


フロリダの空の色は、ボスの目よりもずっと濃い。
ボスの目はもっと、朝方の空の色の様に薄くて澄んだブルーをしている。
ジャマイカが近い為陽気な気風を持ったフロリダは、気楽にのんびりとベ
ランダにでも寝そべり、海やヤシの木、開放的な水着を身にまとった女た
ちの尻でも眺めながら過ごすに限るが、俺に取っては気楽で奔放な女た
ちの尻よりも、無駄なく鍛えられたボスの尻の方がよっぽど恋しかった。 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 2 2/19<>sage<>2008/12/02(火) 19:24:19 ID:Tu+DfJy60<> 目を開くと、俺は青い空を見上げていた。
フロリダの空とおんなじで、ボスの目の色よりもずっと濃い色の青い空だ。
あんな綺麗なブルーの色は、そう見たことがない。
そんな風に考えていると、俺はどうして自分が空を見上げて倒れているの
かを思い出した。
俺達は捕獲任務ターゲットであったベンジャミン・ライナスと共に、脱出す
る為のヘリにたどり着いたが、正体不明の武装集団に取り囲まれたの
だ。
海兵隊時代からそうしていた様に、ボスの指示を受け仲間のコクール、ラ
コア、そしてレッドファームは銃を構えて反撃の為に展開し、俺はボスの
援護の為に傍に残った。だが地の利があり武装した敵は想像以上に数が
多く、俺はクレイモア地雷などのブービートラップを仕掛けなかったことを
悔やんだ。彼らはの動きはただ銃を持った集団なんてものではなかった。
統率の取れた戦闘部隊だった。小さな南国の島に、訓練されてた多数の
ゲリラ部隊が潜んでいるとは聞かされていなかったし、想像もしていな
かった。
「手榴弾だ!」
ヘリの操縦士のフランクの言葉で、ボスが咄嗟に手榴弾を蹴り飛ばす。し
かしそれは、運悪く、調度振り向いた俺の足元で炸裂した。
意識を失う前に、耳にボスが息をのむ音が聞こえた。 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 2 3/19<>sage<>2008/12/02(火) 19:25:10 ID:Tu+DfJy60<> 俺は死んだ、と確信した。
なのに俺は生きていた。
胸元が痛むので手をやると、血が流れていた。だけどそう酷い出血じゃな
い。
目をやると、胸元に手榴弾の破片が刺さっていたが、本来防弾チョッキを
貫くはずのそれは、心臓どころか肺にすら到達していなかった。それは、
胸ポケットの何かが、破片を受け止めていたからだ。
それは、ボスの尻写真だった。
俺がシャワーに忍び込んで盗撮したベストショットだ。もちろん反省はして
いない。
広い肩幅と背中、そこから窄まる腰、そして丸く盛り上がった尻までの、鍛
えられた男の肉体にしかないそそるラインだ。この写真は大切だったか
ら、曲がったりしない様に、金属のプレートに貼り付けていたのだ。それが
俺を、手榴弾から守ったのだ。
俺はまた、俺の幸運のシンボル、ボスの尻に救われたのである。 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 2 4/19<>sage<>2008/12/02(火) 19:26:07 ID:Tu+DfJy60<> 島に上陸する前の事だ。
まだ俺達が船上でのんびりバケーション気分だった頃。
ナオミが死んだと聞かされた時、ボス以外の俺達陽気な傭兵は、いつもの
様に甲板でアザラシの様に日光浴をしていた。
船内から出てきたボスの表情は強張っていた。
ボスの手足の長い鍛えられた肉体のラインは、ぴったりとしたワイフビー
ターとパンツ越しにも見て取れる。紫外線に弱い為、焼くことが殆ど無いむ
き出しの白い首や腕は、暑い日ざしの中でうっすらを汗ばんでいた。
自分達の上官であるボス、マーティン・キーミーに夢中な俺達傭兵部隊
は、アザラシの様に日光浴する以外にも、全員仲良く股間にポンコツ
M-16を備えていたから、強張った表情のボスもそそる、と思って、ひそか
に半勃起をしていた。
海の上で停泊して数週間。ほぼ毎晩行われる告白し合いっこで、俺達は
すっかり自分達の股間のポンコツ具合に開き直っていたから、「今日のオ
カズは決まり。」ぐらいに思っていた。
<> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 2 5/19<>sage<>2008/12/02(火) 19:26:43 ID:Tu+DfJy60<> そんな俺達5匹のアザラシブラザーズの股間のポンコツに気付かないボス
は、顔を強張らせたまま言った。
「ナオミが死んだ。殺された。」
水平線の向こうにある島の方に目を向け、ボスは甲板の縁に組んだ両手
を置いて、一つため息を付いた。そんなボスの、尻のラインに俺達は釘付
けだった。
「彼女はそう言うタイプじゃない。そう言うタイプじゃないんだ。」
ボスの言わんとしてる意味は分かった。
人にはタイプがある。
戦場で死ぬタイプと、そうでないタイプだ。ナオミは明らかに後者だった。
だけど死んだ。
そう言う死者が出る戦場は、予想外の事が起きて、場合に依っては味方
に甚大な犠牲を出す事もある。ボスはそれを危惧しているようだった。
けど俺達はその時、美人が一人死んだ事は残念に思ったが、ボスのそそ
る表情と目の前にある綺麗な形の尻に夢中で、そのボスの悪い予感が的
中するなんて、思ってもいなかった。それに、俺達は皆海兵隊時代からボ
スの下で戦っていて、ボスが今まで自分の部隊に一人も犠牲を出してい
ない事を知っていたから、安心しきっていたのだ。 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 2 6/19<>sage<>2008/12/02(火) 19:27:20 ID:Tu+DfJy60<> 俺はもうどうしようも無いポンコツ野郎なので、ボスが俺の性欲を処理して
くれて以来、駄目だ駄目だと思いつつも、何かと理由を付けてボスの部屋
に行っていた。余り立て続けに行くと、さすがのボスも少し困ったような顔
をしたが、でもぱんぱんに膨らんだ俺の股間には説得力があったらしく、
ちゃんと丁寧に処理してくれた。
数週間も狭い船に詰め込まれっぱなし。
ボスからすれば、俺達の様な粗暴な傭兵が性欲をつのらせて、ナオミや
シャーロット、レッジーナを強姦する事の方を危惧していたのだろう。だが
実際は、俺達の頭にはボスの事しかなくて、ボスの事を考えて股間を膨ら
ましていたのだけど。
俺は知っていた。ナオミやシャーロットがどんなに美人だろうと、こんなにも
俺のポンコツを大事そうに丁寧に扱ってはくれないだろうし、ボスの口の中
よりも気持ちの良い場所なんてないって事を。 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 2 7/19<>sage<>2008/12/02(火) 19:27:50 ID:Tu+DfJy60<> 夕方にはボスは大抵、一人で静かに部屋で銃を磨いたり、作戦を読み返
したりしている事が多かった。他のクルーがキッチンや甲板で酒を飲んで
騒いでいても、ボスが参加する事は無かった。一度酔っ払ったレッジーナ
が、船のクルーを相手にラップダンスを始めた事があって、普段はしか
めっ面のゴールト船長までもが出てきて、皆と一緒に笑っていた事があっ
たが、ボスは大はしゃぎしている俺達に付き合ってビールを一本開けたも
のの、暫くするといつもの様に船内に戻ってしまった。
俺はこっそり後を付けた。するとボスはシャワー室に入っていった。
無機質で弱い明かりの元、湯気の中にボスの白い身体が浮き上がる。
腕を動かす度に、野生動物の様な無駄の無い背中の筋肉がしなる。水に
濡れた身体のどこよりも真っ白な尻はぐっと締まっていて、丸くて触り甲斐
がありそうにつるつるとしていた。
俺はもちろんゲイじゃないから、プレイボーイやペントハウスを見ることは
あっても、ゲイ向けのヌード雑誌を見ることは無かったが、だけどどんな雑
誌に載ってる身体だって、ボスの身体には適わないだろうと思った。
シャワー室を後にする前に、もちろん俺は盗撮した。いつもの様に反省は
していない。 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 2 8/19<>sage<>2008/12/02(火) 19:28:37 ID:Tu+DfJy60<> 島探索の為に物理学者のファラデー、考古学者のシャーロット、霊能力者
のマイルズの三人を連れてフランクが船を離れてから、船はすっかり静か
になった。欝が酷くなったレッジーナはバーボンを抱え込んで部屋から出
てこなくなったし、通信士のミンコウスキーは精神錯乱を起こして医務室に
閉じ込められていた。
前ほど人目を気にする必要がなくなって来たから、俺達のボス争奪戦は
苛烈になっていった。誰もが抜け駆けでボスの部屋に行きたがったし、食
事の時にはボスの隣に座りたがった。ある時など、ボスにサンドウィッチを
作ったと言うメイヒューと、疲れてるだろうからボスにマッサージをすると言
うレッドファーンが、ボスの部屋の前で殴り合いをした事があった。その時
俺はちゃっかり、ボスの部屋の中にいた。
余りにも激しく怒鳴りあい、どったんばったん暴れている二人を心配してボ
スは部屋から出ようとしたが、俺は少々強引にボスを止めた。普段は冷静
なボスが、整った顔に心配そうな表情を浮かべる様子が、とても色っぽく
見えて、俺はそんなボスを独り占めしたくなったのだ。 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 2 9/19<>sage<>2008/12/02(火) 19:29:52 ID:Tu+DfJy60<> 立ち上がろうとするボスの手を掴み、ベッドに引き戻して座らせた。俺の事
を信頼しきってる為無警戒なボスの上半身を押し倒し、唇を奪った。壁一
枚挟んで喧嘩している二人に対して優越感を持ちたくて、俺は普段よりも
欲深くなってた。
ボスのシャツをズボンから引っ張り抜いてたくし上げた。ボスは俺の手を
止めようとしたが、強く舌を吸うとすぐに力が抜けた。
もちろん、平常時に格闘したら、間違いなくボスの方が強い。俺なんて、何
秒持つだろうというレベルで、戦闘能力の基礎が違う。ボスは身体が大き
かったし、その大きな体躯と長い手足、しなやかで柔らかい身体を最大限
に活かした軍隊格闘術は、海兵隊時代から圧倒的だった。けど、そんな風
に強くて頼れる傭兵隊長は、唇を吸うだけでまるで処女の様に大人しく
なった。キスをしている間の、息継ぎすらうまく出来ないほどだった。
「っ・・・。」
露になった胸を、手で包むように揉むと、小さな声が漏れた。
俺は、男の胸が、こんなに柔らかいとは思わなかった。もちろん力を入れ
れば固いのだが、厚みのある胸は力を抜くと、脂肪の塊の女の胸と違い、
強く揉むほど弾力を感じた。
相変わらずメイヒューとレッドファーンは、扉の向こうで殴り合っていた。二
人とも子供の様に半べそになっている。「ボスはお前の事なんか嫌いだ。」
「ボスは今日お前より俺の方に話しかけた。」等と怒鳴りあっている。
小学生レベルだ。
だが分からないでもない。
ボスを前にすると、俺達の様な下ネタ大好きな下品で荒くれ者の傭兵でさ
え、甘酸っぱい初恋をしている少年の気持ちに戻ってしまうのだ。


[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン! <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 2 10/19<>sage<>2008/12/02(火) 19:43:19 ID:Tu+DfJy60<> 前回の話は
>>243 に置いてあります

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

ポンコツ傭兵とボス1 後編

シャワーを浴びたばかりのボスの首からは、甘い石鹸の香りがした。ボス
は無精者の俺達と違い、毎日ちゃんとシャワーを浴びて清潔にしていた。
ボスは懸命に俺を止めようとしていたが、女を抱くときと同じように耳から
首に掛けて唇と舌で愛撫しながら女よりも大きな胸を揉み上げると、ボス
の両手は俺の身体を押す代わり、俺のシャツを握り締めた。
意外なほどにウブな反応だったから、俺の頭に再び疑問が浮かび上が
る。
俺はずっと、ボスほど外見に恵まれていれば、女なんて星の数ほど寄って
くるのだろうと思っていた。だけど、どうやら他人との肌の触れ合いに慣れ
て居ないようだった。
ボスは一体、どんな人生を送ってきたんだろう。
躊躇無く口で部下の性欲を処理する事が出来るのに、キスや愛撫となる
と途端に処女の様に固くなってしまう。
十代の頃刑務所にいた事があり、そこで男同士の性処理方法を学んだの
だと教えてくれたが、一体そこで何があったのだろうか。
扉の向こうの二人は喧嘩疲れした様で、二人して扉を叩きながら子供の
様に「ボスー!」「ボスー!」と叫んでいる。
うっさい。邪魔すんなお前ら。
俺は何様かと思うほど、偉そうに思った。思ってから二人にちょっと謝っ
た。
すまん。頼むから今はボスを独り占めさせてくれ。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/02(火) 20:24:21 ID:QexCTSzJ0<> ?
支援した方がいいのかな? <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 2 11/19<>sage<>2008/12/02(火) 20:32:29 ID:Tu+DfJy60<> 支援感謝です!

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


「っ・・・二人が・・・。」
息の上がった小さな声、がボスの口からこぼれた。
けど、俺がボスの胸を吸い上げた途端、ボスの言葉は途切れた。
セックスが大好きな女達とは違う、綺麗な色の小さな小さな乳首だった。
ボスは身をよじろうとしたが、その為の力すら入れる事が出来なかった様
で、顔を上げるとボスは顔を紅潮させて、ぐったりとベッドの上で横たわっ
ていた。
今まで見て来た、一番美人でスタイルの良い女の裸よりも、シャツをたくし
上げられて四肢を無防備に投げ出す、目の前の傭兵隊長の方がそそっ
た。けど目の前の身体は、女のように俺のポンコツをぶち込めばいいと言
うわけじゃない。どんなに身体が大きかろうと、逞しい体躯をしていようと、
傷つけない様に丁寧に大切に扱わなくてはならない。それほどに、愛おし
い存在だった。
普段の様に性欲さえ吐き出せばいいという訳ではない。心の底から大事
だと思える相手を抱いているのだという感覚が、今まで経験したことの無
い充実感を俺に与えた。 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 2 12/19<>sage<>2008/12/02(火) 20:33:07 ID:Tu+DfJy60<> 薄い色の目は、紅潮した肌の中で益々綺麗に見えた。
冬の、凍った湖の様な色だと気付いた。
澄んでいて、凄く繊細な色をしている。
荒い息を吐き出す、少しだけ開いた唇の奥からは、白い歯と、濡れた舌が
のぞいていた。
俺はボスのベルトを外し始める。そして下着ごと、パンツを引き摺り下ろし
た。
白い肌の、金色の茂み。そこにある、半分程勃ち上がった乳首と同じ様な
色をした綺麗なピンク色の性器に、俺は目を見開いてしまった。
俺は驚いた。
俺はヒスパニック系だから、生まれつき髪の色も肌の色も濃い。ボスは名
前からも分かるとおり北方民族だ。しかし同じ人間の男で、ここまでも色彩
が違うものだろうか。
そこには、色素の沈着なんてまったく無かった。赤ん坊の頃から、全く変
わらない色合いがあった。
起き上がろうとするボスに顔を近づけて、唇に優しくキスを落とす。
「すぐ済みますから、じっとして。もう少しだけ、足開いてください。」
その時のボスの顔は、見たことがない程あどけなく見えた。
情け無い事に、俺のポンコツは既にビンビンだった。でも俺は、ボスを前に
かっこつけたかったから、ばれないように平静を装った。本当に俺は、かっ
こつけたいお年頃の、十代の少年の様だった。
<> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 2 13/19<>sage<>2008/12/02(火) 20:34:33 ID:Tu+DfJy60<> 俺はボスの長い足の間に、体を入れることに成功していた。
ほんの少し身体を動かせば、俺の固くなったポンコツの先は、ボスの入り
口に触れる筈だった。
本当なら、このまま挿れてしまいたい位だったが、俺の股間がいくらポンコ
ツだったと言っても、ボスを傷つけたくないと言う気持ちの方が強かった。
すぐに濡れまくるアバズレとは、ボスは違うのだ。俺は野郎とセックスする
方法なんて知らなかったから、もうちょっと勉強してから挑もうと思ったの
だ。
だから、いつもボスがやってくれてる事を、返してあげようと思ったのだ。
首元や髪の毛と同じ、石鹸の香りのするピンク色の竿を、俺は口に含ん
だ。
驚いたボスが足を閉じようとしたが、俺は手でそれを抑えた。
俺が口を動かしている間、ボスはずっとシーツを握り締めていた。耳まで
真っ赤にして、息まで止めている様だったから、俺は口を竿から話して、
手で優しく握り、安心させる様に赤くなった耳や頬にキスを落とした。
「大丈夫だから、ちゃんと息を吐いてください。」
ブルーの目が俺を見つめる。
息がゆっくりと吐き出される。
<> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 2 14/19<>sage<>2008/12/02(火) 20:35:54 ID:Tu+DfJy60<> まるで、一番最初に男を受け入れる時の、少女の様だと俺は思った。
ボスが息を止めない様に、俺に合わせられる様に耳元で呼吸をした。そ
の間俺は手で、自分が自分のポンコツを処理する時よりもずっと優しく、ボ
スのものを丁寧に愛撫した。ボスはその間、俺の首に手を回す様にして
しっかりとしがみ付いていた。呼吸の合間に、僅かに漏れる小さな声が、
俺を奮い立たせた。
無意識に閉じようとする足を身体で押さえながら、俺はボスを楽にして
やった。
何度か身体を震わせて、全て吐き出したボスは、すっかり脱力してベッド
に沈み込んでしまった。
ベッドの白いシーツの上で、ボスのピンク色に染まった胸が荒い呼吸に合
わせて上下していた。
俺は我に帰る。
そう言えば、扉の外のメイヒューとレッドファーンはどうなっただろうか。 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 2 15/19<>sage<>2008/12/02(火) 20:36:57 ID:Tu+DfJy60<> ボスも気になった様で、息を整えながらゆっくりと身体を起こして、シャツと
ズボンを元に戻す。そしてボスはそこで、俺の股間のふくらみに気付い
た。
「あ、いや・・・。そんなつもりじゃ・・・。」
ボスが何か言ったりしたりする前から、思わずそう言った。
そして予想通りボスは、いつもの静かな動作で、俺のズボンのベルトに手
を掛けた。
「いいんです。そんなことしなくてもいいんですって!」
俺は何故か慌てた。
いつもやってもらってる事なのに。
呼吸が乱れているのに、俺のポンコツに対して律儀なボスの気遣いに惚
れ直した俺だったが、でもなんか、してあげたからしてもらうというのも、あ
んまりにも淡白過ぎて寂しかった。
俺はまるで、思春期の恋する青少年だった。 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 2 16/19<>sage<>2008/12/02(火) 20:38:59 ID:Tu+DfJy60<> 俺は己のポンコツの自己主張を無視して、ボスの手を抑えてからキスをし
た。
何度も何度もキスをした。それでもキスし足りなかった。
ボスとは仕事の時しか会わない。俺達は傭兵だったから、戦場でしか顔を
合わせないのだ。俺達傭兵は、後ろ指差されながら人殺しと破壊工作を
生業とし、最後は戦場で野垂れ死ぬ宿命なのだ。だからこそ、絆が強くな
る。相手をとことん信頼出来る様になるのだ。
丁寧な愛撫を込めたキスをしてから、ボスの目を見つめると、ボスは静か
で信頼しきった表情で俺を見ていた。
「本当にいいのか?」
ボスには俺の股間が全く収まっていない事に気付いていた。だけど俺も、
たまにはボスに男らしさを見せようと思った。
「いいんです。又今度、してもらいますから。」
そういってやせ我慢をすると、再びボスにキスをしてから、ベッドにボスを
残して部屋を出た。 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 2 17/19<>sage<>2008/12/02(火) 20:41:45 ID:Tu+DfJy60<> 扉の前にでは、メイヒューとレッドファーンが半べそで体育座りをして待っ
ていた。喧嘩に疲れた様である。
俺がボスの部屋から出てきたことに、心底驚いたような顔をした。二人の
顔はまるで、近所に住む憧れの年上の女を歳の離れた兄に奪われた瞬
間の様な、少年の表情だった。
「セコンドリー・プロトコールの打ち合わせしててな。俺がボスの身体に、
デッドマン・トラップを仕掛けないといけないから。」
爆薬などを扱う工兵でもある俺の言葉に、二人は納得した様だった。その
後二人は、めそめそ泣きながら「ボスー」「ボスー」と子供の様に、ボスの
膝にすがり付いて行った。ボスは身体が大きいので、膝枕がとても心地よ
いのだ。
鍛え上げられたでかい図体をしてる癖に、子供の様に両側から甘えて来
る情け無いポンコツ傭兵達を、ボスは呆れることなく受け入れてやってい
た。いつもなら嫉妬に狂い「ボスの膝争奪戦」に加わる俺だったが、今は
なんとなく二人に申し訳ない気持ちもあって、何も言わずに部屋に戻った。 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 2 18/19<>sage<>2008/12/02(火) 20:47:01 ID:Tu+DfJy60<> 島からの珍客が船にやって来た。
オーシャニックの生存者だった。彼らの仲間がまだ島にいると言う事は、俺
達は彼らを一人残らず殺さなくてはならないと言う事だった。それが、俺達
が請け負った任務の一つだった。
俺達はようやく、島に潜入した。
島で、作戦通り任務を遂行していた。
ベンジャミン・ライナスを追詰め、後は行きたまま捕獲して連れ帰るだけ
だった。だが、そんな俺達は、予想外の反撃を喰らった。
巨大な黒い煙の塊が、ジャングルの闇から出現した。
その黒い煙にメイヒューが持ち上げられた時、俺達は一斉に引き金を引い
たが、実弾が通じるような相手ではなかった。それはこの世のものではな
い、化け物だったのだ。
銃弾が通じない。それが分かるとボスはアーミーナイフを抜いて、躊躇なく
黒い煙の中に飛び込んでいこうとした。メイヒューを助けようとしたのだ。
だけど相手が悪すぎた。相手は生き物ではない。化け物だったのだ。だから
俺達は、必死になってボスを止めた。
血塗れになったメイヒューが地面に落とされる。
俺達はようやく、今の任務がどんな過酷な戦場よりも、危険である事に気
付いた。
船に帰るヘリの中、ボスはメイヒューをしっかりと抱きしめていた。メイ
ヒューはそれに気付いたらしく、ずっとボスの名前を呼んでいた。 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 2 19/19<>sage<>2008/12/02(火) 20:48:09 ID:Tu+DfJy60<> 「大丈夫だ。もうすぐ着くから。必ず助けるから。」
何度も何度も、ボスはメイヒューに言う。
内臓の損傷も出血も激しく、メイヒューが助からない事は誰に目にも明ら
かだった。
「ボス、ボス・・。傍に居てください。どこにも行かないで・・。」
いくつもの戦場を経験した、歴戦の傭兵が泣いていた。子供の様に泣きな
がら訴えていた。
メイヒューは死ぬのが怖いのだ。だけどそれよりも、ボスと永遠に離れてし
まうのが、哀しいのだ。
ボスはずっとメイヒューを抱きしめていた。
「俺はどこにも行かない。お前の敵は、必ず取ってやるから。」
ボスがメイヒューに言う。
メイヒューは少し口元に笑みを浮かべてから、意識を失った。
そのままメイヒューは、意識を戻すことなく死んだ。

それが俺達の、終わりの始まりだった。



[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

途中の支援ありがとうございました。助かりました!
また明日この時間帯に投稿させて頂ければと思います。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/02(火) 23:19:04 ID:m69HtkcSO<> 楽しみにしてます <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/03(水) 01:08:33 ID:hAD+6MCd0<>

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  ほえろのマヵロ二と美大生犯人。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  祭までに仕上げたかったけどムリみたいなので途中投下。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  | <> マヵロ二x美大生 1/5<>sage<>2008/12/03(水) 01:12:29 ID:hAD+6MCd0<> 「夫婦は他人だから、他人同士一緒に生活すれば、憎みあうのは当たり前でしょうね。」
壁に寄りかかるようにしてぽつんと座っている青年は、解りきった様に言い放った。
「そうかなあ、でも、そうじゃない夫婦も居るよ。」
「その人は自分をごまかしてるんだ。」
殺人犯・・・・。女房殺しのヤマを追いかけている・・・・そんな話が、こんな不可思議な会話につながるなんて誰が思っただろう。
少なくとも早見には予測できなかった。しかも理解できない事を言ってのけているではないか。
”他人同士で憎みあう?”意味が解らない。何を言いたいのか、自分がおかしいのか、彼が普通じゃないのか。
その考えが、さも当たり前かのように淡々と語る青年を見ていると、もはや何が正しいのか区別がつかないような感覚も覚えた。
いやいや、でもおかしい。早見は切り返す。
「そうかなあ・・・。わかったよ、アンタ愛情って奴を信じないんだな。そういいたいんだろ?」
「信じてますよ。他人同士じゃない親子とか兄弟とか、親戚とかつまり血でつながった愛情なら・・・・・。」
ますます早見は首をかしげるハメになった。
「いやいや、だけどさ、それは・・・・・・・」何かを言い返そうとしたその時、看護婦が酒を持って入ってくる。
看護婦は下品に笑いながらそそくさとグラスに酒を注いで、青年に手渡す。勿論、早見の分は無い。
この女、本当に持ってきやがった・・・と思いつつ、青年と看護婦がグイっと飲む様をただ漠然と見つめるしかなかった。
一杯引っ掛けたいところだが・・・・・・。
なんともいえない沈黙が辺りを包む。
先ほどまでやけに饒舌だった青年は、女が来てから青年はたいした会話もしなくなり、ドサっとベッドにへたりこんでしまった。
現実離れした経験とその疲れに酒が効いたのだろう。
「私もなんだか眠くなっちゃった〜、あ、刑事さん、奥に部屋ありますから。」
そう言って女はスカートから覗く白い脚をくねらせ、近くの診察台に横になると、
嬌声にも似た声を出しては、寝るのにもっとも最適なポジションを求めて体が波打つ。
女の艶かしい足は男を誘惑へと引きずり込むように感じた。
それが女の意思にも見える。その標的は青年に向けられてるわけだが。 <> マヵロ二x美大生 2/5<>sage<>2008/12/03(水) 01:13:19 ID:hAD+6MCd0<> 男二人の前でなんとも無防備な奴・・・・こういう女は嫌いだ・・・
そう思いながら早見は青年の毛布をかけ直してやるとそこには静かに寝息をたてる顔があった。
なんだか小生意気なことを言っていた彼も、こうして見るとツンとした態度の女よりかよっぽど純粋そうで、
まだあどけなさの残る顔にほんの少しだけ、胸の高まりを感じる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
目の前の女よりも男に目が行くなんてよっぽど疲れている・・・・・・・早見は目を醒ますようにブルブルと首を横に振った。
犯人を逃がし、不思議な青年と出会い、下心丸見えの女が近くにいる。
今日は可笑しな出来事が沢山あったのだ、だから変に興奮している・・・・そうに違いない。
「刑事さん・・・・・・。」
「あ?」
「どうしたんです?」
「いや、その・・・・・・。」
ぱっちりと大きな目が早見を捉えていた。自分の胸の高まりを見透かされるくらいに。
「悪い・・・・毛布掛けるつもりが起こしちまったみたいだな。」
「ううん、良いんです。なんだか少しだけ悪い夢を見ていたから・・・・・。」
「どんな?」
「・・・・・・・・・・・・・。」
「い・・・・いや・・・・良いよ。言いたくないならさ。」
「刑事さん。」
「なんだ?」
「ちょっと二人で話せませんか?」
「いいけど、ここじゃ、ダメなのか?」
青年は何も言わず、女を見つめる。女は女らしからぬいびきをかいて寝ている。
「んじゃ、奥の部屋に行くか。」
青年はこくりと頷き、早見の後を付いていく。随分と素直じゃないか・・・さっきまでの気の強さはどこに行ったのか。 <> マヵロ二x美大生 3/5<>sage<>2008/12/03(水) 01:14:06 ID:hAD+6MCd0<> 「さっきの話・・・・」
「ああ、アレか。愛情っての・・・・言わせて貰うけど血のつながった愛情ってのはまた違うんじゃないかな。」
「どういう事?」
「だってほら、アンタの言ってる事は、兄弟愛とかそういうのだろ。それと恋愛とは違うって事。」
「そ・・・・そんなことない・・・!」
青年の顔が紅潮し、声を荒らげる。
「じゃあ、なんだってんだよ・・・なんだ、急に。」
「貴方は何もわかっていない。貴方ならきっとわかってくれると思っていたのに・・・。」
「おいおい・・・・。」
失敗した・・・・そう思った。よりによって”青年”に見とれていないで、とっととこの部屋で一人寝るべきであった。
よくわかっている、この手のタイプは納得するまで話し続ける。疲労などものともしない。
そんな事とうにわかっていた筈なのに。
「で、俺に何をして欲しいんだよ。どうやら俺とアンタは考えが違うようだ。」
「・・・・・・・・」
「要するにアンタは、血のつながった者同士しか信じられないってわけだ。でも愛ってのは違うと思うけどなぁ。俺は。」
「血がつながっている方が信じ合える、愛し合えるって僕は信じています・・・・。」
なにか事情がありそうだが、これ以上踏み入れると危険な気がする・・・。勘が訴えている。もう関わらないほうが身のためだと。
すぐそこには一応は寝られそうな、堅い診察ベッドが待っているというのに・・・・・・・・・。
あとどのくらい耐えればそこに辿り着ける?
まずはこの青年の気を削いで、一刻も早く追い出さなければならないだろう。
「お悩み相談って奴か?そうか、アレだろうアンタ、身内を・・・・。」
「貴方も、そんな事、畜生がすることだと思いますか?」
「・・・・・・い、いやそれは・・・状況がよくわからないしさ、なんとも・・・その。」
殺意すら感じるその冷たい目線が自分を凍らせる。恐ろしい目。
「・・・・・人それぞれだけどさ、でも他人の女ってのも良いもんだぜ?」
青年の視線を避けるようにクルリと背を向け、無意識に腰に手を掛ける自分がいる。念のために。
「他人なんて所詮、他人です。信じられない・・・・・・。」
「うーん・・・・・・・」 <> マヵロ二x美大生 4/5<>sage<>2008/12/03(水) 01:14:48 ID:hAD+6MCd0<> 一方的な理論に早見はうんざりしていた。賛同して欲しいのだろう。この青年は。
他人を信じることが出来ないこの青年は、身近に話せる人を欲しがっているのだろう。自分の考えに賛同してくれる都合の良い者を。
「やはり貴方・・・・いや他人から見たら畜生・・・・なんでしょうね。」
「反対に聞くけどさ、じゃあなんで他人である俺にそんな事を話す気になった?会ったばかりの俺に。」
「・・・・・わからない・・・。」
「近親相姦してますけどそんな事するのは畜生だと思いますか、なんて言われても対応に困るだろう?」
「そ・・・・・そんな汚らわしい言い方をするなんて・・・・。」
「俺は他人だし、そんな事しか言えないし考えられないんだよ。一回他の誰かと寝ればそんな考えもかわるだろうよ。寝れればの話だけどな。」
イライラして自分でも決して上品とはいえない会話をしていると思った。
青年は早見の言葉に萎縮したのか堅そうなベッドに背を丸めて座っている。
「刑事さん・・・・・・僕、もうどうしたらいいかわからないんです・・・・。”他人”の女なんて・・・嫌です・・。僕には、抱けません・・・。」
本当にお悩み相談になってしまった・・・・。これは長丁場になりそうだ。
青年は穢れているようで、純粋なのだ。とても。繊細すぎるのだ。きっと。
「それに・・・・・・」
「それに?」
「こんな事話したの貴方が初めてなんです。こうやって、ちゃんと話せたのも。」
「へぇ・・・・。」
「貴方だったらどうにかなりそうな気がして。」
「う・・ん・・・・・」 <> マヵロ二x美大生 5/5<>sage<>2008/12/03(水) 01:15:42 ID:hAD+6MCd0<> 頭を掻きながら早見は青年が丸くなっているベッドへ腰掛け、おもむろに胸ポケットから出した煙草の箱をトントンと叩き、青年に差し出した。
ほっそりとした白い手が伸びてきて、抜き取った煙草を唇に持っていく。
早見が自分の煙草に火をつけた時だった、火を貸そうと振り向くと青年の顔が間近にあるではないか。
青年は伏目がちに煙草の先を見つめながら、早見の煙草の先に合わせると、ジュッという音と共に青年の煙草は徐々に赤く染まっていく。
「火くらい、貸したのに・・・・・」
早見にはその時間が偉く長く感じて、高まりを抑えきれずにいた。まるで女と口付けしてる感覚にも思えてならないのだ。
「そういや、アンタ、名前は?」
「貞文です。」
「何やってんだ?」
「大学生・・・・美大なんです。」
「へえ、そんな感じするぜ。」
「そう、ですか?」
変人、奇人、それでもって純粋、繊細。芸術家きどりはこういう奴ばかりだ、と早見は思う。
「友達とか、大学なら可愛い子いるだろ?」
「・・・・・・・・うわべだけの友達なんていりません。」
「まあ、そりゃそうなんだが・・・・。」
「でも、刑事さんとこうやって話せるのはとても楽しい。」
「俺はうわべだけじゃないのか?」
「貴方は特別な気がします。だから、色々話した・・・。」
「そうか・・・・・・」
どうも気に入られてしまった。睡眠への道のりへは長そうだった。 <> マヵロ二x美大生 オワリ<>sage<>2008/12/03(水) 01:16:56 ID:hAD+6MCd0<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヨクワカランくてすいまえんでした。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   | <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 3 1/10<>sage<>2008/12/03(水) 22:07:55 ID:d0KByQ6H0<> 規制されてました・・。
本日もお目汚しに参りました。
今日こそはご迷惑の掛からぬ様、粗相の無い様にしたいと思います。

前々作
>>243-263
前作
>>391-410

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ポンコツ傭兵とボス 2


初めて部下を失った。
その事に対しての、ボスの怒りはすさまじかった。
俺達以外を、全て潜在的な敵と見なした様だった。
捕獲任務ターゲットであるベンジャミン・ライナスはボスの事
を詳しく知っていたらしい。
裏切り者がいる事は間違いなかった。それも、一人ではないか
も知れない。
俺達は疑心暗鬼になっていた。船を爆破して、島を焼き払い、
すぐにでも脱出したかったが、そんな俺達をボスが止めた。
どんな手を使っても、島に戻る。
必ず敵を打つ。
ボスはそう言った。
その言葉に嘘がない事を、俺達はすぐに気付いた。 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 3 2/10<>sage<>2008/12/03(水) 22:09:04 ID:d0KByQ6H0<> 島へ行く唯一の手段であるヘリの操縦を、フランクが拒否し
た。その時ボスは、何の躊躇も無く、見せしめに船の医師の喉
を切り裂いた。一瞬の出来事だった。
のんびりとしていた船の空気は、その瞬間に永遠に変わった。
船のクルーは思い出したのだ。俺達が、人を殺す事が仕事の傭
兵であると。
ボスのブルーの目は、戦場で見るときと同じ、殺戮者の凍てつ
いた目だった。
ボスに取っては、とことん信頼しているのは、仲間だけだっ
た。それ以外は全て敵だった。状況次第では、全員を殺さなく
てはならないかも知れない。それを知っていたから、必要以上
に溶け込もうとしなかったのだ。
事態を収めようと、銃口を向けたゴールト船長を撃ち殺した時
には、ボスは自分が片道切符を手にしたのだと知っていたのだ
ろうか。いやひょっとしたら、それよりもずっとずっと前に、
ウィドモアと言う大富豪から依頼を受けたときから、ボスは自
分が今回の任務から帰還できない事を知っていたのかも知れな
い。そうでなければ、自分の心臓の鼓動が止まった時に起爆す
る、デッドマン・トラップと呼ばれる無線装置を付けよう等
を、しなかった筈だから。今までそんなものは、一度も身に付
けた事は無かった。それも、人質等通じない他者の命等一切省
みないと言われる、ベンジャミン・ライナスと言う危険な男捕
獲の為に。
メイヒューが死に、初めて部下を失ったときに、死の予感は確
信に変わったのだろう。
俺達は、破滅に向かって進み始めていた。
<> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 3 3/10<>sage<>2008/12/03(水) 22:10:51 ID:d0KByQ6H0<> 芝生の上から上半身を起こした俺はボスの尻の写真に感謝をし
つつ、無くしたり落としたりしない様に、大事に胸ポケットに
それを戻した。立ち上がり数歩歩くと、自分の近くでレッドフ
ァーンが息絶えているのを見つけた。
ボスは見当たらなかった。
俺は一体、どの位意識を失っていたのだろう?
ジャングルの中へと入っていく。
そこで俺は、コクールとラコアの死体を見つけた。
俺は不安になった。
俺達の部隊は壊滅した。
海兵隊として派遣されたアフガニスタンでも、傭兵部隊として
戦場を駆け回ったアフリカでも、俺達はずっと一緒に戦ってい
た。何故なら俺達は、ボスと離れたくなかったからだ。ボスの
下で戦いたかった。ボスの傍に、ずっといたかったのだ。
もし、もしこうしてジャングルを走っている内に、ボスの死体
を見つけたらどうしよう。
俺は高鳴る胸を押さえながら走った。
そして、俺は草むらに倒れるボスを見つけた。 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 3 4/10<>sage<>2008/12/03(水) 22:11:27 ID:d0KByQ6H0<> 地面に横たわるボスの、ブルーの目はうっすら開いていた。
俺はボスが死んでしまったと思い、パニックを起こしかける。
しかしすぐに、自分がボスの身体に取り付けたデッドマン・ト
ラップの、無線装置の受信機を持っている事を思い出した。
受信機のライトは緑に点滅していた。ボスの心臓はまだ動いて
いた。それに顔を近づけると、瞳孔は開いてはいなかった。
恐らくは何かしらの強い外因的な衝撃等が原因で、身体が
ショック状態に陥っているのだろう。
ボスの口に自分の口を押し付けて、息を吹き込んだ。肺が膨ら
むと、ブルーの目に力が戻り、激しく咳き込みながら、ボスが
意識を取り戻した。
地面の上で身をよじったボスの、わき腹の後ろから、夥しい量
の血が地面に流れ出していた。
軍人なら誰でも知っている。そこは急所だった。接近戦のナイ
フ格闘術で、一番最初に狙われる場所だ。そこを刺せば、どれ
ほど屈強な者でも肝臓を損傷して致命傷になる。
俺はぞくりとした。
軍隊格闘術に強いボスを相手に、急所をナイフで狙える程腕の
立つ特殊訓練を受けた者が、目には見えない敵の中にいるの
だ。
<> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 3 5/10<>sage<>2008/12/03(水) 22:12:24 ID:d0KByQ6H0<> ボスは何度か瞬きをして、目の前にある俺の顔をじっと見つめ
た。まるで、幽霊でも見るような表情で。
だから俺は、ボスの顔を両手で包み、顔を近づけた。
「俺ですよ、ボス。生きてますよ。」
抱きしめると、ボスの口から安堵の息が漏れた。
ボスが俺が生きている事に、心底喜んでいる事が伝わって来
た。至近距離のボスの身体は、血や硝煙の臭いに混じって、甘
い石鹸の香りがした。
「良かった。俺は、お前を殺してなかったんだな。他のやつら
は・・・。」
「ここに来る途中、レッドファーン、コクール、ラコアの遺体
を見つけました。部隊は崩壊です。島を脱出脱出しましょう、
ボス。この怪我じゃ、もう戦えません。」
俺はボスの目を見つめながら、ボスが首を縦に振ってくれるこ
とを願った。ボスが決して、任務を途中で放り出す様な人間で
はないと知りながら。
「・・・頼みがある。脱出する前に、行かなきゃならないとこ
ろがあるんだ。」 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 3 6/10<>sage<>2008/12/03(水) 22:13:08 ID:d0KByQ6H0<> 俺達はオーキッドと呼ばれる温室の様な場所に戻っていた。
俺はボスに肩を貸しながら、ゆっくりとした足取りで進んでい
た。その間も、ボスの脇腹の傷からは血が流れ続けた。
ベンジャミン・ライナスがそこにいるらしい。
ひょっとして、ボスに大怪我を負わせたのは、あのベンジャミ
ン・ライナスだったのだろうか。しかしその問いに、ボスは少
し笑いながら首を振った。
「サイードと言ったか。あれは・・・いい兵士だ。」
ボスがつぶやく。
スコットランド訛りの英語を喋る男と共に船にやって来た、小
柄だが逞しい体格をした、ハンサムなアラブ系の男の名だっ
た。その男は我々と同じ、死地を経験した事のある兵士の目を
持っていた。
ボスは自分に致命傷を負わせた敵を憎むどころか、感心してい
る様だった。
前々から気付いていたことだったが、ここに来て俺は確信を
持った。どうしてだか分からないが、ボスは生への執着が薄
い。俺達の事になるとあれほど必死になるボスは、自分の事に
なると全く持って疎かった。 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 3 7/10<>sage<>2008/12/03(水) 22:13:49 ID:d0KByQ6H0<> オーキッドにたどり着くと、ボスは壁に寄りかかりながら、荒
い息を繰り返した。
刺されば傷から流れ出した血は、ミリタリーブーツまでぐっ
しょりと濡らしていた。
足に力が入らないらしく、小刻みに震えていた。
もう戦うどころか、立っていられる状態ですらなかった。元々
薄い色の顔は失血により真っ青で、唇も色を失っていた。
「・・・オマー、頼みがある。」
「何ですか?ボス。」
気力だけで立っているボスを見て、俺はもうボスの為だった
ら、なんだってやるつもりだった。あのアフガニスタンのシャ
ヒード達の様に、爆弾を巻いて飛び込めと言われたら従うつも
りだった。
何よりも、このままボスを死なせたくは無かった。ボスが死ぬ
なら、俺も死にたかった。
「最初にここに来たときに、一人乗りの脱出艇を、島の反対側
に残しただろう。あれで、お前はここから脱出しろ。」
それは、俺が一番聞きたくない言葉だった。 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 3 8/10<>sage<>2008/12/03(水) 22:14:43 ID:d0KByQ6H0<> ボスは自分の首から下がるドッグタッグを外して、俺の胸ポ
ケットに差し込んだ。
「お前の任務は、ここで終わりだ。後は俺の仕事だ。」
ボスの顔が、戦場での冷酷な殺戮者の表情ではなく、普段の、
穏やかで静かな表情に戻った。
「お前と一緒に戦えて、良かった。ありがとう。」
それから、ボスが激しく咳き込む。口元から、血が流れた。
しかし倒れこむことなく、ボスは壁のスイッチを押した。
扉の向こうで、何かが動く音がした。古いエレベーターの音
だった。
「いやですよ!何を言ってるんですか!皆死んだのに、ボスを
見捨てて、俺だけ逃げられるわけないでしょう!」
壁に手を付いて、身体を支えながら、ボスは装備を外し始め
る。もう体力は限界だったから、重い銃や無線、手榴弾等を見
につけたまま、戦うことは出来なかった。 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 3 9/10<>sage<>2008/12/03(水) 22:15:35 ID:d0KByQ6H0<> 「オマー。これは、頼みじゃない。命令だ。」
迷彩服と防弾チョッキだけになると、ボスは再び俺の方にブ
ルーの目を向けた。
「お前は俺と違う。お前には、まだ人生がある。両親もいる。
脱出しろ。生きて帰還するんだ。」
その言葉で、俺は気付いた。
ボスが、どうしてこんなにも、俺達の事を気遣うのか。
ボスがどうして、決して自分の人生を語ろうとしないのか。
ボスに取っては、俺達と過ごす時間だけが、人生だったのだ。
俺達は好奇心から、ボスの人生を色々を詮索したが、ボスは何
も持たない人だったのだ。
ずっとずっと若い頃に、全てを失っている人だったのだ。
生まれた祖国には、もう何も残っていなかったのだ。だから戦
場に固執した。そこで名も知れず、死んでいく事を望んだの
だ。恐らくその死に気付き、弔ってくれる者すら持たないのだ
ろう。
ボスには、俺達だけだったのだ。
だから、自分が死んだとしても、俺達の事を生かそうとしてい
たのだ。
何も持たない自分に比べて、俺達が色々持っている事を、知っ
ていたからだ。
そして今日、ボスの全てである部隊を失った。だからせめて、
生き残った唯一の部下である、俺のことを死なせたくはなかっ
たのだ。 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 3 10/10<>sage<>2008/12/03(水) 22:16:19 ID:d0KByQ6H0<> 俺はボスから、離れたくなかった。
ボスが死ぬのなら一緒に死にたかった。
だけど、ボスの気持ちに気付いてしまったから、もうボスに逆
らうわけには行かなかった。
俺は、ボスの為に生きなくてはならなかった。ボスがこの世界
に存在した事を覚えているのは、ボスがどんなに素晴らしい人
だったかを記憶しているのは、もう俺だけだったから。
だから俺は、ボスの為に生き延びなくてはならなかった。



[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!


場所の提供と皆さんのご清読に感謝致します。ありがとうございます。
明日にはちゃんと終わりますので、もう少々ご辛抱頂けたら幸いです。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/03(水) 22:31:49 ID:L4QNxxEoO<> ゚(゚´Д`゚)゚。もう見てらんない
でも楽しみにしてます… <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/03(水) 22:33:48 ID:dMsl/EEYO<> 待ってました!隊長…(ノД`)゜。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/03(水) 22:50:24 ID:nhPQkiYn0<> 感想イラネ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/03(水) 22:56:02 ID:o9BmPqSs0<> >※感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬はほどほどに。

感想レス自体は別に良いんじゃない
書き手としても嫌な気はしないし <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/03(水) 22:59:15 ID:bb/ZbdHb0<> つこのスレの書き込みは全てネタ <> 罰☆ 病理→執刀医 「壊れ行く、その前の。」5/5<>sage<>2008/12/04(木) 00:34:20 ID:Epr8oaml0<> 罰☆8話冒頭の集まり後の病理医を捏造
義兄への愛故にがっつり病んでもらいますた
描写に多大な自己解釈含まれます

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )デハ ジサクジエンガ オオクリシマース!



苛立ちと動揺を隠さない、──隠せない。
酷く落ち着きに欠けた足取りで、成見は人気のない長い廊下を歩いていた。
義兄が夜中にチームのメンバーをわざわざ集めた時、もしかして、と感じた予感は見事に的中した。
だから、成見はこんなにも冷静でいられなくなっている。
成見は昔から、子供の頃から、可愛げがないと言われてしまうくらいには冷静で、そう簡単には感情を昂ぶらせない。
大層な捻くれ者だという自覚がある。
しかし、たった一つだけの例外が義兄である霧生の存在、その言動だった。
並大抵のことでは表情を変えず、本音を晒さず、一体何に喜び何に傷付くのだと言われてきた成見を、
その感情を、霧生は赤子の手を捻るような容易さで翻弄出来てしまう。
まさに神のような手技でもって、霧生は義弟の建前を切り裂き、その奥で震えている心を容易く扱ってしまう。
義兄は、成見の他人に対して張っている厳しいガードに対して自分が絶対的に有利であり、
成見の意志には関係なく唯一のフリーパスになっていることを意識していない。
<> 罰☆ 病理→執刀医 「壊れ行く、その前の。」4/5<>sage<>2008/12/04(木) 00:36:14 ID:Epr8oaml0<>
義兄の前で成見が割合素直な物言いや態度を見せているのは、
自分でそうしているのではなく、──そうさせられているのだ。
無自覚の支配がそこにある。それを心地いいと思えるのは、ベッドの中で二人、情を交わしている時くらいだ。
付随してくるのが羞恥ならばまだ構わないが、こんな風に苛立たせられるのは不快だった。

妙な方向へ転がる思考に、成見は溜息を知らず溜め息を零していた。
こんなにも混乱させられていることが、酷く腹立たしかった。
義兄は、色々な意味で、本当に性質が悪い人だ。今回の事に関しては、もう最悪の極みだと言って良い。
落ち着いて考えることも出来ない思考の断片が転がる頭部に鈍い頭痛を覚える。
やがていつの間にか、成見は病理の研究室に帰り着いていた。

「…そうだよ、最悪だ」

世の何もかもを恨むように吐き捨てる。シン、と静まり返った冷たい部屋の空気が僅かに揺れた。
青白い机上のライトを灯して、成見は崩れ落ちるように椅子に体を預けた。 <> 罰☆ 病理→執刀医 「壊れ行く、その前の。」3/5<>sage<>2008/12/04(木) 00:39:04 ID:Epr8oaml0<> 仄かな明りに照らされる机上に何を見るでもなく視線を落とし、
成見はチームの解散と、自身がメスを置くことを口にした時の霧生の顔を思い出す。
ヒムロをチームの麻酔科医として選び、その犯行を見抜けなかったこと。
その責任を取るというのが霧生の建前だが、それが義兄の本心でないことを成見だけが知っていた。
そう思う、感じているなどというレベルの話ではない。
成見は霧生の影だ。だから知っている。他の誰もが知らない霧生の真実を知っている。
誰にもそれを告げないのは、成見が霧生自身に等しいからだ。
霧生が望まない暴露を成見が行うわけがない。
いつか口にした言葉の通り、成見は霧生を守り続けるだろう。
けれど、天秤がバランスを崩しかけている。
二人の翼は、今強く厳しい風に煽られているのだ。
続く困難と不運に、霧生は飛行を続けることは危ういと感じている。
輝く外科の銀嶺を目指して二人、互いの欠落を埋めるようにして拡げた翼には、人の命という重みが掛かっている…。
それでも、自分と義兄が一緒ならば、まだ大丈夫だと成見は信じていた。義兄だって同じはずだ。
成見のアシストを、その技量を疑っているわけではないだろう。
ならば、何故あんなことを言うのか。
<> 罰☆ 病理→執刀医 「壊れ行く、その前の。」2/5<>sage<>2008/12/04(木) 00:42:01 ID:Epr8oaml0<> チームに波紋を齎した殺人者はヒムロだ。術死の原因は彼だ。
そのヒムロが逮捕されたのだから、それで終わればいいものを。
逃亡したヒムロが死んだことに不審を抱き、
このチームに纏わる全てを掘り起こして日の光を当てようとしている奴らがいる。
彼らの手から、多分最後の秘密を隠す為に、
霧生は今このタイミングでチームを解散させ、メスを置くことで全ての幕引きをするつもりなのだ。
義兄の秘密を共有する成見を、万が一にも道連れにしない為に、だろう。

義兄の考えそうなことだった。
誰よりも近くで霧生を慕ってきた成見の人生を歪めてしまった負い目は、
未だに彼の背に重たく圧し掛かっているのだ。
成見自身がどんなに言っても、心底納得することは出来ないでいるらしい。
どちらにせよ、霧生は機会を待っていたのだろう。成見を解放する機会を。
それを成見が望まずとも、成見の為になると霧生は信じているのだ。
<> 罰☆ 病理→執刀医 「壊れ行く、その前の。」1/5<>sage<>2008/12/04(木) 00:48:22 ID:Epr8oaml0<> (嬉しくないよ、俺は)(義兄さんと、最後まで一緒がいい…)

ぎしり、と椅子が軋みを上げる。机に肘をつき、真夏でも温度の低い
ひんやりとした両手で目元を覆って、成見は音もなく唇を動かした。

義兄さん。ねぇ、義兄さん。俺は、まだ飛んでいたいんだよ。
それがどれだけ、危うい飛行だったとしても、それでも…。
アンタは俺のモノなんだから、この手を離すなんて嫌だ。
俺は……、………許さないよ。

俺が……必要でしょ…?

薄っすらと濡れた目が、冷たく光る。
崩壊の時は、すぐそこまで迫ってきているのだろうか。
ならばせめて、義兄と共にその時を迎える権利だけは、どうしても手放したくなかった。
一人助かる気はない。何もかも一緒がいい。
己の依存具合に呆れ、ひっそりと笑みを浮かべたつもりの成見の表情は、
ライトの加減か、今にも泣き出してしまいそうに歪んでいた。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


カウントが間違ってた…!!orz
意味分からない感じでスイマセンorz <> 生 白ぬこ王求団1411 1/4<>sage<>2008/12/04(木) 01:55:24 ID:FhmL8dVNO<> シ一ズンオフのコネタに萌えます。
14が髪をきったあたりの話で。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


党首会前に、幹事だったし一発びしっと髪を切った。
秋口にも切ったけれど、多分今年はもうこれで終わりだ。寒さが厳しくなって
みんな眠る。髪もあまり伸びなくなる。
お疲れ様でした!と乾杯!のあと、可愛い可愛いその王子様がふと、じーっと
こっちを見ているのに気づいて、斧寺は襟足のあたりがやたらすうすうと落ち
着かなかった。もう店の中はすっかり暖房で温まっていて、無くなった髪の
たいしたことない温みなど気にしてもいなかったのに。
酔いは先に頬に来る。あったまって笑い上戸になっていたが、ふとぐるり周りを
見回したときに(幹事だからね)また時折ぱっと、その目を伏せる彼の気配を
感じる。
悪い気分じゃないが、落ち着かない。そんな変ななりだろうかと不安になる。
げらげら笑って絡む先輩を、常に冷静な後輩に押し付けて(でも耳は赤い)
斧寺は壁際に寄った。
もうビールから日本酒に移行した奴もいて、鍋から立ち上る湯気がほんのり香る。 <> 生 白ぬこ1411 2/4<>sage<>2008/12/04(木) 01:57:19 ID:FhmL8dVNO<> ぐつぐつ好ましい音もする。よってたかって鍋をつまむ机と、こんな席まで例の
ゲーム機を持ち込んで盛り上がっている机との間を、斧寺はその大きなからだを
縮めて渡る。
そのままそろそろと、別の先輩に可愛がられている彼のそばに移動。畳をする
する音無く滑り、不意に差し出されたビール瓶に彼は言葉無くきょとんとした
顔でこちらを見た。
ほろ酔いか、温まったせいか、切れ長の目が少し赤くてゆるくなっている。
「お疲れ、騎士くん」
「あ、はーい」
「まま、一杯」
「え、もう俺結構飲んでんですよー」
固いこと無しでと笑えば、ふにゃんと顔が緩んだ。人を油断させるような笑顔が、
騎士は得意だ。
さっきからの視線を思い返してみる。そして騎士の襟足を見ると、伸びたまま
ぴよぴよと、好きな方向にはねている。
その感触を、斧寺は知っている。濡れたときの柔らかさやら、どうやって触れると
どういう顔をするかも。
「んじゃ、斧寺さんも」
「いやそれよりさ」
「はい?」
「俺なんか、変?」
「え」
さっきから見てたでしょ、変な気分だったよーと照れ隠しもあってぼそぼそ呟くと、
岸は一心不乱に鍋をつつきだした。白菜ばかり拾っている。 <> 生 白ぬこ1411 3/4<>sage<>2008/12/04(木) 01:59:42 ID:FhmL8dVNO<> ただでさえ細いんだから、もっと肉も食え。
ぐつぐつの鍋と湯気を見ているようで、こっちを意識しているのはわかっている。
騎士はそう、照れるとそう。追い詰めれば見つめるくせに、それまではあまり声も
視線も寄越してくれないタイプだ。そこがもどかしくもあり、たまらなくもあり。
耳とうなじが見える。
ハイネックのシャツのせいで、だから襟足は余計にはねている。
「髪、切ったんすね」
ぼんやりそれに夢中になっていたら、白菜収集を終わった騎士が、今度は手の中の
小鉢のそれを見ながら言う。
誰かがひときわ大きな声で笑っていた。斧寺は小さく答える。
「え、うん」
「長くても良いのに」
「え」
何でもないです、と騎士の呟き。箸を付けるでなく、それを弄って細かくしている。
自分も変に緊張して、とりあえずその辺りにあった誰かのコップを拝借した。
手酌で一杯。
「また岩先さん?」
半分ほど飲んだところだ、視線だけをそちらに返した。
「俺は短くても、長くてもいいです」
ちらりこちらを見て、騎士はふいっと鍋を見た。ぎゃー!誰かの断末魔が聞こえる。
多分あのゲームで最下位が決定した瞬間なのだろう。 <> 生 白ぬこ1411 3/5すみません<>sage<>2008/12/04(木) 02:01:29 ID:FhmL8dVNO<> 夏場のことだ。伸びた髪を鬱陶しいけどどうしたものかと思っていたとき、短いほうが
似合ってるとその後輩に言われて、きりが良いかと短くしたことがある。まあ奴に
言われたところで嬉しくもないけど、とは言っていたが、それでもそのほうが好きと
言われたので、悪い気持ちはしなかった。
多分今回のそれを、騎士は同じことの繰り返しかと聞いているのだろう。仲のよいその
後輩と、連れ立ってここまでやってきたのも知っていることだし。
しかしそれはそれで、どうしてこう気まずいというか、変な空気になるんだろうと
斧寺は弱った。
二人っきりなら誠心誠意質問も受け付けるんだが、こう間が悪いというか何と言うか。
「だから」
不意に騎士がぽつんと繋いだ。相変わらず白菜入りの小鉢を大事そうにもってちょこん
と座って、こちらを見ない。
「今度切るとき、は俺に言わせて下さい」
「いやあの、騎士くん、別に今回は自分で決めて」
「一回くらい言わせて下さい」
「…んん」
「岩先さんばっか、ずるいじゃないですか」
言うなりばっと、先ほど注いだコップの残りをみな空けた。斧寺がぽかんとするくらい、
見事な一気だ。 <> 生 白ぬこ1411 5/5<>sage<>2008/12/04(木) 02:03:17 ID:FhmL8dVNO<> 「騎士くん」
「っふ、んですか」
「いや、可愛いなと」
「何すか、それは」
そろっと、一瞬だけハイネックの後ろ、飛んだ襟足に触れた。少しだけ騎士の肩が跳ねる。
罰ゲームのコールと爆笑の声が聞こえていた。あちらはあちらで、誰かが一気飲みにのせ
られている。
酔いと温みで、頬はぽうっとしていた。自分も彼も。
これ以上は触れないよと、小さく言う。そろそろとそれを弄ぶ。
本当にずるいな、と言う声が聞こえた。誰に対してなのか、聞くのは止めておいた。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
寒いとこう、あったかい気分のがいいですよね
ナンバリングはミス連続です、すみませんでした <> 風と木の名無しさん<><>2008/12/04(木) 02:20:59 ID:YPPzJ7jOO<> 感想レスには「感想」って書くようにして、気になる人がNGできるようにしたら?
棚作品は、出すだけで満足!って投下してて、そういうものだと思ってたけど、
感想ほしい書き手さんもいるみたいだし

絡みでも話題ループだから、なんか決めたほうがいいんじゃないかと思ってる <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/04(木) 02:35:13 ID:LGBI2n4o0<> 「感想」と書いてNGに出来るのは良い案だと自分は思います <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/04(木) 08:50:18 ID:V3uCt/3n0<> 提案・相談は専用の場所があるので、こちらでどうぞ。
http://s.z-z.jp/?morara <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/04(木) 23:41:18 ID:WZInhYcU0<> 感想いらねって人にまで配慮し出すと収拾付かんだろ…
感想もなしのSSスレなんて見たことないわ <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 4 <>sage<>2008/12/05(金) 00:14:32 ID:KzUkVG340<> 夜分遅くにこっそりお邪魔致します。
お取り込み中の所の投稿でドキドキなのですが、今日で最後のお目汚しさせて頂きますです。

前々々作
>>243-263
前々作
>>391-410
前作
>>419-428

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

ポンコツ傭兵とボス 3 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 4 1/8<>sage<>2008/12/05(金) 00:16:23 ID:KzUkVG340<> ボスに唇を重ねた。
丁寧に丁寧に口付けをする。
血の味がした。
ボスの血だった。
温かく柔らかい唇と、舌を丁寧に愛撫する。
唇を離すと、ボスの閉じられた目の縁に、金色の睫毛が見えた。
目蓋が持ち上がり、何度も見ても息を呑む程綺麗なブルーの目が俺を
映した。
「ボス、もし帰還したら、俺の所にきませんか?」
ボスがじっと俺の目に見入る。俺の言葉の意味を、理解しようとする様
に。
「気楽な野郎の一人暮らしですけど、そんな狭くもないですよ。ベッドも
キングサイズだし、ビーチも近いからのんびり過ごせますよ。」
俺の言葉の真意を、ボスは考えている様だった。
俺は本気だった。
もし二人とも生きて戻れたら、俺はボスを連れて帰りたかった。戦場に
戻ることなく、ボスと一緒に人間らしい生活を一から築き上げたかった。
もうゲイと呼ばれようとホモだろうと、何でも良かった。俺はボスの事を
愛しているのだ。何よりも、ボスが大事なのだ。 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 4 2/8<>sage<>2008/12/05(金) 00:17:47 ID:KzUkVG340<> ボスが微笑む。
それは今まで見た、どの微笑みよりも優しく、嬉しそうな微笑だった。今
まで見た事が無い程、満たされた表情だった。
俺の気持ちは伝わったのだ。
俺はもう一度ボスに、唇を重ねた。
言葉よりもキスで、俺がどれほどボスのことを大事に思っているか、伝
えたかった。キスにすら躊躇する程、孤独しか知らなかっただろうボス
に、大切にされると言う幸せを、少しでも知って欲しかった。
古いエレベーターが、軋みを上げながら到着した。
俺はもっとボスの唇を味わっていたかったけれど、ボスの残された任務
の邪魔をしたくなかった。これからボスは、プロの傭兵としての、最後の
仕事に向かうのだ。
俺は、ボスから離れて、海兵隊時代の時の様に、敬礼をした。
「ご無事で。」
ボスの目が、優しく細められる。
「ああ、お前もな。」
エレベーターの扉が開かれる。
絶望感を覚える程、深い深い底に降りていくエレベーターの扉が。
そこでもしボスが死んだら、誰がボスの身体を弔ってくれるというのだろ
う。
だけどボスは、自分が祖国で弔われる事を望んでいる訳ではなかっ
た。ただ、一緒に戦った俺の記憶の中だけに、残る事を望んだのだ。
無機質な壁を彩る、綺麗な花々。そこで傷だらけで佇み、微笑むボス
の姿が、目に焼きついた。

それが、俺が見たボスの、最後の姿だったから。 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 4 3/8<>sage<>2008/12/05(金) 00:18:49 ID:KzUkVG340<> 俺はボスから離れて走り出した。
ボスの為に、生きて島を脱出しなくてはならなかった。
それがボスが俺にくれた、最後の命令だったから。
手にした無線機には、ボスの鼓動がずっと届いていた。
俺は走りながら泣いていた。
全てが終わったのだと、気付いたからだ。
皆死んだ。
ここに来るべきじゃなかったのだ。
それとも、俺達はここに来る運命だったのだろうか?
俺達はこの島に、引き寄せられたのだろうか?
皆、ここで死ぬ運命だったのだろうか?
俺にはもう、何もわからなかった。 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 4 4/8<>sage<>2008/12/05(金) 00:20:00 ID:KzUkVG340<> ジャングルの中を走りながら、俺は船上での出来事を思い出していた。
あんな風に、ボスと、仲間達と、気楽にのんびり過ごしたのは、初めて
だった。あんなに楽しかった日々は、青春時代にも経験したことはな
かった。
眩しい甲板での仲間達との日々が、きらきらと輝きながら、脳裏に蘇っ
て来る。
皆で、アザラシの様に甲板で日光浴した事。
子供の様にむきになって、ボスを取り合った事。
毎夜毎夜、くだらない事を言い合って、笑い合った事。
俺達は船上での短い間、本物の兄弟の様だった。ボスと言う存在の元
に集まった、家族だったのだ。
ボスが笑っている姿が脳裏に浮かぶ。
綺麗な綺麗なブルーの目が、陽光の下で眩しそうに細められている。
その時俺の手元の、無線機が出していたデジタル音が、止まった。
ライトが緑から赤に変わっていた。
それは、ボスの鼓動が、止まったことを示していた。 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 4 5/8<>sage<>2008/12/05(金) 00:21:13 ID:KzUkVG340<> フロリダにある自宅のベランダからビーチを眺めると、美しい肢体の女
達が歩いている姿が見える。
だが俺はもう、それを見ても何も感じなかった。どんないい女に声を掛
けられても、何の性欲も沸いてこなかった。俺はもう、女なんてどうでも
よかった。
俺は、ボスだけが欲しかった。
たまに朝起きてから、思うことがある。
ひょっとしたら、ボスはまだ生きていて、ひょっこりと顔を見せるかも知れ
ないと。
だけど同時にそれが、愚かで滑稽な願望であると言う事も気付いてい
た。俺はもう、存在全てがポンコツだった。
けど、馬鹿な俺は妄想する事を止められなかった。それでしか、生きる
気力を見付けられなかった。
フロリダの明るい陽光が差し込む部屋の大きなベッドの上に、ボスが寝
そべる姿を想像する。きっと柔らかいシーツの上で、長い四肢を広げて
横たわる身体は、きっとどんなピンナップの美女達よりも綺麗だろうと
思った。
シーツに寝そべりながら、夢から覚めたばかりの眠そうな薄いブルーの
目で、ボスが俺の事を見上げ親し気に微笑む所を想像する。俺はそん
なボスに口付けをする。そしてボスは優しく丁寧に、口で俺のポンコツ
の処理をしてくれるのだ。
そんな事ばかり考えて、自分の股間のポンコツの処理ばかりをしてい
た。俺はそれ程までに、全ての希望を失っていた。俺はきっとこのま
ま、静かに妄想の世界から戻れなくなり、狂って行くんじゃないかと思っ
た。それほど俺は、ボスの死から立ち直る事が出来なかったのだ。
ボスは、もうこの世にはいない。
もしその狂気の妄想の世界にボスがいるなら、現実には戻って来たく
無かった。 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 4 6/8<>sage<>2008/12/05(金) 00:25:08 ID:KzUkVG340<> 民間軍事会社からの誘いは来たが、ボスや仲間の居ない戦場に戻る
気もしなかった。
何もする気が起こらなくて、自暴自棄になっては重火器を手にして警察
等に突っ込み、蜂の巣になって死んでやろうかと思ったが、俺の手元に
残るボスのドッグタッグがそれを押し留めた。
ボスはそんな事を望まない。
ボスは俺に、意義のある人生を送って欲しいと望んでいる筈なのだ。何
が何でも、ボスの最後の思い遣りに応えなくてはならない。
ボスのいない、光を失ったこの世界で。

そんな折、俺は意外な訪問者を迎えた。
背の高い、訛りのきつい英語を喋る黒人の男。俺達に島での任務を依
頼した、ウィドモアからの使者だった。
男は十万ドル分の小切手を俺に渡した。それは俺達のボス、マーティ
ン・キーミーへの前払い分の報酬だった。ボスは島に向かう前の遺言
で、もし自分が死んだら報酬は全額、生き残った部下達に分け与えて
欲しいと、言い残していたのだった。
ボスには、死んだときに遺産を渡す、家族すらいなかったのだ。
本当に、ずっとたった一人で、孤独に生きて来たのだ。
俺は、目の前に他人がいる事なんて、構わずに泣いた。
子供の様に、声を上げて泣いた。
ボスの気遣いが、そして孤独が、痛いほどに切なかった。
ボスを抱締めたかった。優しくキスをしたかった。
ずっと独りで生きて来たボスは、最後もたった独りで、人知れず死んで
しまったのだ。 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 4 7/8<>sage<>2008/12/05(金) 00:26:33 ID:KzUkVG340<> 「あなたの悲しみは、とてもよく分かりますよ。オマーさん。」
男は言った。
「彼は素晴らしい兵士でした。だからこそ、ウィドモア氏はキーミー氏を
雇ったのですから。彼が亡くなったのは、事故の様なものです。」
泣き続ける俺に、男は名刺を差し出した。
ボスがいなければ、何も出来ないポンコツの俺に。
「よろしかったら連絡をください。私なら、あなたを助けられると思います
よ。」
男は立ち上がり、玄関に向かった。
出て行く前に、足を止める。
「例えば、あなたの大切なボス、マーティン・キーミーと仲間を殺した者
達の、居場所とかね。」

俺の涙は、あっと言う間に引いていった。
ボスを殺したヤツが生きている。
顔を上げた時、もう男はそこには居なかった。
俺の手元には、男の名刺だけが残った。
名刺を片手に、俺は肌身離さず持ち歩いている、ボスのドッグタッグを見下
ろした。

俺達に囲まれたボス。
俺達がどんなに情けない理由で喧嘩をしても、ボスは微笑んでいる。俺
達がどんなに子供の様に甘えても、受け入れてくれる。
ボスがいて、俺達がいる。
俺達は正に、家族そのものだった。 <> 海外ドラマ L O S T 傭兵隊長萌えSS 4 8/8<>sage<>2008/12/05(金) 00:28:06 ID:KzUkVG340<> キスに戸惑うボスの顔を思い出す。
ボスの柔らかい唇と甘い石鹸の香り。
優しい微笑みと、信頼し切ったブルーの目。
大きくてしなやかで綺麗な身体。
花に囲まれ血塗れで佇む、脳裏に焼き付いた姿。

生きる目標が見つかった。
俺にはもう、フロリダの温和な生活なんて要らなかった。
何も要らなかった。
ボスと、仲間達の記憶だけがあれば良かった。
獰猛な、兵士の本能が蘇って来る。感じた事がない様な、攻撃的な殺
意に全身が包まれる。

俺はボスと仲間達の為に、再び戦場に戻る事にした。
ボスがこの世に存在していた証しを、刻む為に。

それを刻んだら、俺はようやく、ボスや仲間達の元へと行く事が出来る
のだ。

【Mission Completed】


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/05(金) 00:47:23 ID:WUy2gKs90<> >>439
11は昨日誕生日だったらしいっすね
思う存分短くなった襟足とかをじょりじょり触らせてあげるといいと思うよ <> タケさんと俺1/8<>sage<>2008/12/05(金) 01:03:59 ID:gDREN68E0<> ボス…!DVD借りて来ます!>>456さんGJ。・゚・(ノД`)ブワッ

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
vipの「初めて/セ/ッ/ク/ス/し/たwwwww」スレで、処女を失ったが童貞の>>1と
タケさんのその後を勝手に妄想した。※草生やし・記号・猥語注意

酔った勢いでセックスしてしまいました。相手は男。俺も男。
加えて38のドカチンのオッサンが相手ときたら、友達にも誰にも言えるワケないwww
今から考えてみれば、酔ってたってマジで嫌なら、
童貞のくせに処女を失うなんて事にはならなかったはずだ。
だけど俺は、小さい頃から知ってた面倒見のいいタケさんに
好きや、許してくれって言われて、半分無理矢理なセックスを
受け入れて、しかもマジで感じてた。あーあ。
男として終ワットルって思われてもしゃーない。
ホモはやだ。元カノとだってやりなおしたい。おにゃのことセックスしたい。
童貞のままで死ねるかって思うでしょ。男なら。 <> タケさんと俺2/8<>sage<>2008/12/05(金) 01:04:47 ID:gDREN68E0<> ホモは嫌だけど、タケさんは好きかもしれない。
そこんとこがぐしゃぐしゃしてる。しつこく言っとくけど、俺はホモじゃねえ。
元カノにメール送ってみたりしたけど、あんまり反応は良くない。
風俗で脱童貞ってのは個人的によろしくない。てか嫌だ。
タケさんはバツイチで、ホモではなくてバイというやつで、
どうしてもって時には風俗に行くらしい。気持ちええぞー^^とか言われても、
やっぱりセックスするなら、好きなおにゃのこと、二人っきりで、やりたい。
二の腕に触れた元カノのおっぱいの、ふにゃっとした感触。
首筋からふんわり漂っていた香水のにおいを思い出して、
ムラッとして、一回抜いて、よし俺はホモじゃねぇと呟きました。
俺だっておまんこ舐めたい。入れたい。しかし、残念ながら俺は
モザイク入りでしかそれを見たことがない。どこまでもDTっ……www <> タケさんと俺3/8<>sage<>2008/12/05(金) 01:05:53 ID:gDREN68E0<> クリスマスといえば、何それおいしいの?っつー童貞と魔法使いには
縁の無いイベントですよねー^^
元カノにも、バイト先のおにゃのこにもスルーされたんで、
おばあちゃん家で、みんなでクリスマスやろーって事になった。
俺はタケさんに、おばあちゃん家で、みんなでクリスマスやらん?みたいなメール送った。
一週間経った。
何も返信がない。
電話もした。オッサン出ねえwwwwwガン無視wwww
一人くらいいなくても、みんなはたいして気にしないだろうけど、
どんちゃんワイワイやってる時に、部屋で一人ポツンとしてる
オッサンの姿を思い浮かべたら、なんか寂しくなった。
「寂しいよーオジサン毎日寂しい」
俺はタケさんの事を好きかもしれんと言って、タケさんはありがとうと言って、
タケさんの部屋に泊まろうか?って俺が言った時の、タケさんの言葉。
寂しいなら電話出ろwwwって思った。まあ忙しいのかもしれない。
年末はドカチン仕事いっぱいで忙しそうだし。 <> タケさんと俺4/8<>sage<>2008/12/05(金) 01:06:26 ID:gDREN68E0<> 俺は気が付いたらチャリ漕いでました。
頬に当たる風が冷たいです。当然夜だからホント冷たい。寒い。
「いつ来てくれてもええで^^」とタケさんは部屋の鍵をくれた。
「何するかわからんでー、マリオカートとwii勝手に持ってくかもしれへんやん」と言ったら、
「いくらカズでも、そんなん勝手にやったらどついたるわwww」
と言って頭をぐりぐり撫でられた。タケさんの手は結構でかくてあったかい。
ドアを開けたら土だらけのドカチン靴があった。タケさん居るやんけ。
居るはずなのに何故かリビングが薄暗い。なんでですか。
ちゃぶ台の上は飲みかけのブランデーが入ったグラスがありました。
あと、やらしいDVDが何本か。どうやらスーパー賢者タイムだったらしいです。
くっさ。酒くっさ。嫌な予感はしましたが、ガン無視されたら、やっぱ気になりますよね。 <> タケさんと俺5/8<>sage<>2008/12/05(金) 01:07:25 ID:gDREN68E0<> 布団の固まりからドカチンズボンの足が二本出てました。
動かない。酒くさい。
「タケさん?」
このオッサンくさい臭い、間違いなくタケさんです。
「俺やでー」
布団めくったら驚いた。もう布団がふっとんだとかいうレベルじゃない。
オッサン、上はタンクトップ、下はズボン脱ぎかけのまま
ちんこ丸出しで寝てました。いくら自分の部屋でも油断しすぎなんじゃないのかそれは。
想像してみてください。ちんこ丸出し+脱ぎかけズボンでガーガー寝てる
酒オッサンくさい赤井秀禾口。
ガチホモの人から見てみればここは襲うべきなんでしょうね。
俺はいくらタケさん相手でも、突っ込みたくはないなあと思いました。
「そんな格好しとったら風邪ひくよ」
適当なスウェットを押し入れから出して、オッサンくさい靴下とズボンを
脱がしにかかりました。 <> タケさんと俺6/8<>sage<>2008/12/05(金) 01:09:24 ID:gDREN68E0<> 「…なんやカズか」
むにゃむにゃ半開きのタレ目が開いた。
「風邪ひくよ、ほら、着替え」
「着替えさせてんかーだるいねんー」
なんでしょうねこのオッサン。ちんこ丸出しで甘えた声出してます。
「お酒飲み過ぎたんと違うか、臭いわ」
「せやね」
「また襲われたらかなわんから早う酔い覚ましてやwwww」
「襲うかボケwさっき抜いたわwwww」
ふらりと起きたタケさんは、俺が手に持ってたスウェットとパンツを取った。
なんか今タケさん、サラリと抜いたとか言った。
「すまん、水汲んできてくれるか」
「ええよ」
水を汲みに行った台所には、アルミの空き缶がゴロゴロ並んでた。
タケさんどのくらい飲んじゃったんだろう。メールも電話もくれなかった理由、
聞けそうにもないなあ。 <> タケさんと俺7/8<>sage<>2008/12/05(金) 01:10:20 ID:gDREN68E0<> ズボンを脱いで、布団の上で揺れながらあぐらをかいているタケさん。
何故ズボンは脱いで、靴下は脱がないんだ。そしてちんこ相変らず丸出し。
早くしまってください。やっぱり身内のちんこは見るもんじゃないです。
「ほら」
「ん」
ぶはー、とコップの水を全部飲んで、糸みたいなタレ目でタケさんが俺を見た。
「カズ」
「なに?」
「ちょっと、隣来てほしい」
「……ん。でもその前にパンツ履いてなwww」
タケさんは俺が出したパンツをもそもそと履いて、布団を申し訳程度に直した。
「なんもせーへんよ」
「何回も言わんでもええわwww」
実を言うと、何回言われてもやっぱり不安は拭えない。
ちょっと身体を固くして隣に座ったら、タケさんの頭が肩によりかかった。
吐く息はまだ酒くっさい。
あー、でも、あったかい。 <> タケさんと俺8/8<>sage<>2008/12/05(金) 01:12:00 ID:gDREN68E0<> 「暖房入れへんの?」
「くっついたら暖かいやん」
いつの間にか後ろから身体全体でよっかかってるタケさん。…いや、暖かいけど。

「オッサン一人だと寒いんや」

言い方がひどく寂しそうだったところに、俺はちょっと同情した。
「布団かぶったらええやん」
「おらー!布団星人やー!」
「ちょwwwタケさんwwww」
オッサン、どさくさに紛れて布団被りながら俺を押し倒しましたwwちょwwおまww
「どや、暖かいやろ」
「暖かいけど酒くっさいわwww」
なんか・・・俺、タケさんと一緒に布団の中です。
暖かいのはいいけど、なんかあたってきます。
明らかにタケさんのチンコが固くなってる。わざと身体に当ててきてる?
…危機ですか。

後日続きを投下します。[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/05(金) 08:54:38 ID:0+9qUhES0<> 海外ドラマ最高..!そしてvipに萌えた。
長連載の時に、前作、前々作とラインナップがあるととても読みやすくて
有り難いと思いますた。
ありがとう!! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/05(金) 09:50:51 ID:aAATzAXM0<> >>458
好きかもしんないこういうの! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/05(金) 12:10:17 ID:/PxvdmkIO<> びっぱー萌えるなー!本スレも気になるw <> 三角関係に萌えないか?1/4<>sage<>2008/12/06(土) 23:28:40 ID:SDBr7In9O<> 比較的平和な三角関係スレに萌えた住人です。
攻×受×主人公を表したかったはずがテンプレ満載のBL学園になってしまいました。総ホモ注意


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!



「ぶはっ。今日はまた派手にやられたなあ」

ぐしゃぐしゃの頭にボロッと崩れた制服姿。黒澤は呆れを通り越して思わず吹き出してしまった。
クラスメイト兼、元部長の白石は、受験期間の真っ直中にも関わらず、四つも隣の教室に通っては見事足蹴にされて帰ってくる。
今のところかれこれ0勝60敗といった散々な戦歴だ。部長の威厳はどこへいったのか。それでも諦めない根性は呆れつつも尊敬に値する。
黒澤の座る席の前までくると、白石は飛び跳ねた髪をがしがしと乱暴に直して、黒澤の目の前にドカッと座り込んだ。
普段サラサラと揺れる白石の黒髪は、艶やかで柔らかく指に馴染み、黒澤のお気に入りだった。
ただ、そう何度も触れられるわけではないので、こうして遠慮なく白石の頭に手をかけたであろうE組の連中を、密かに羨ましく思い、また腹立たしくも感じる。
しかし黒澤はそんな感情を微塵も外に出さない。まだ跳ねる耳元の髪を、直してやれる距離であっても、知らぬ振りで微笑んで、頬杖をついたまま彼の愚痴をきいてやる。

「くっそ…あいつら、碧だって論文忙しいんだから邪魔すんじゃねーってあれ程言ってるのに…」
「みどりちゃん、3Eのアイドルやからねえ」
「そうなんだよ、まあ碧が可愛くて頭も良くて何もかも完璧なのになぜか守ってやりたくなる、側にいて癒されたくなる気持ちは分からないでもないけどな
 というか碧の良さがわからない人間なんてこの世にいるわけないんだが…でもそんな碧だからこそ世話焼いても焼かしたくないってのが当然じゃねーのか!?
 あいつら寄ってたかってここ教えてくれだのこの問題解いてくれだのいちいちいちいち碧に引っ付いて全くふざけんじゃねーっつう…」
「ああ、わかった。わかったから一旦落ち着き、シロ」
「シロってゆーな」
「いや、それ今更すぎやん」 <> 三角関係に萌えないか?2/4<>sage<>2008/12/06(土) 23:55:37 ID:Ue2lChBj0<> はああ、と大きなため息をつくと、白石は机に突っ伏した。
無防備に晒されている黒髪と、そこにチラつく長い睫が、黒澤の胸をドクンと高鳴らせる。
それでも黒澤は頬杖を崩さぬまま、右手を握りしめてただ視線だけを白石に落とした。

「…あいつお人好しなんだよ、ほんと。中学受験の時、風邪引いたおばさんに気遣って一人で出かけてさ
 途中で座り込んでるお婆さん助けて病院まで付き添って本命の試験逃しちまったんだ」

マンガみたいな話だろ?眉を寄せて苦笑しながら目を合わせてきた白石に、黒澤は視線だけで相槌を打った。

「ここの試験の時もさ、消しゴム忘れた越境のやつに、半分ちぎって貸したせいで、
 しかも不器用だからすげー割合で割けたやつの大きい方相手に渡して、最後の教科ほとんど修正なしで解いてたんだ」
ほんとバカがつくくらいお人好しなんだよ、だから心配してんのになんでE組の奴らは〜!
そう思い出したように白石は頭を上げると、その髪を苛立たしげにかき回した。

「知らんかったわあ。みどりちゃん、そない危ない橋渡ってきてんねや」
「そーなんだよ!いくら指定校だからってどんな間違いがあるともわかんねーのに」
「そらシロ兄さんも心配しはりますわ」
「だろ?なのに当の碧は推薦でみんなに申し訳ないからとかなんとか、奴らの手伝いやめねーし」

ほんといい加減にしろよ…白石の愚痴がピークに達した瞬間、ガラッと教室のドアを開ける音がした。
「白ちゃん、いる?」
「おーみどりちゃん」
「碧!?」
がたんと音を立てて立ち上がったかと思うと、白石はものすごい早さで声の主に駆け寄っていた。
「おまっ、セーターだけじゃ寒いだろ?ちゃんと学ラン羽織れよ」
「はは、大丈夫だよ〜うちのクラス結構暑くてさ」
「密度高なってるもんなあE組は」
「それにしたって廊下は寒いだろ、風邪引いたらどうすんだってあれほど…」
「もーシロ兄さんホンマ落ち着こや」

まあまあとたしなめながら、で、みどりちゃんはどうしたん?と黒澤は碧に話をふった <> 三角関係に萌えないか?3/5<>sage<>2008/12/07(日) 00:03:03 ID:1a1waB370<> 「谷本先生が職員室こいって、前の人の面談、早めに終わったらしいよ」
「ほんとか?じゃあ行かないとな…サンキュー碧」
「ううん。谷本先生熱心だから話長いんでしょう?がんばってね」
「お前も、もう外暗いんだからなるべく早く帰れよ」
「せや、やもっちゃんに負けんなシロ。みどりちゃんは俺が責任もって送ってくさかいに」
「よし任せたぞ、図々しいE組の連中からちゃんと碧を守って風邪なんか引かせないように車にも気をつけて車道側には黒澤お前が…」
「もーわかったから!」

白石が廊下を曲がった姿を見届けると、黒澤と碧ははあっ、と息をついた後、顔を見合わせて笑い出した。
「ほんっっっまに何やねんなあいつ」
「もう本当心配性なんだから…」
「自分こそ国立受験控えてるっちゅーのに、推薦のみどりちゃんアホみたいに心配してんねやから世話ないわ」
まあ僕が抜けてるから心配かけちゃうんだけどね。そう呟くと、碧は申し訳なさそうに黒澤を見上げた。
「ごめんね、黒澤。なんか…」
「ええよ。白石のアレはいつものことやからなあ」
「黒澤は専門だっけ」
「あー…そのはずやってんけど…」
ちょう考えとんねん。大型犬のような人懐っこい柔らかな笑顔をつくると黒澤は後ろ手で首のあたりを掴んで話し始めた。
転校で入ってきた黒澤の成績は、この高校の平均偏差値よりずいぶんと高かった。
その黒澤が家業を継ぐので専門に通うと早々に宣言したため、学校側の落胆ぶりは大きかったというのがもっぱらの噂だ。

「世話してもろてる身で、大学なんて考えられへんねやったんけど、おじさんらが絶対将来のためなるって後押ししてくれはってん」
「ほんとに!?じゃあ受けるとしたら…」
「ああ、白石とおんなしとこ」

準備なんもしとらんし、落っこちたら恥ずかしいから白石には言わんといてな。
照れながら語る黒澤に、碧は目を細めて極上の笑顔を向けた。
好きな人が好きな人と同じ進路を選んでくれた。こんな嬉しいことはないのだから。 <> 三角関係に萌えないか?4/5<>sage<>2008/12/07(日) 00:04:45 ID:1a1waB370<> 「黒澤なら大丈夫だよ!」
「わからんて。まあ頑張ってみるけどな」
「受かったら、もちろん白ちゃんに告白するんだよね?」
「なっ…」
「ちゃんと、伝えてくれるんだよね?」

直球すぎる問いかけに黒澤は思わず言葉を失った。
にこにこと天使の笑顔でほほえむ目の前の男に、一瞬たじろいて後ずさりそうになる。

「もー…みどりちゃんにはかなわんわあ」
「白ちゃんの事、大事にしてくれるって約束したよね」
「ああ、覚えとるよ」
「白ちゃんは気付いてないけど、絶対黒澤が必要なんだよ、黒澤しか白ちゃんを幸せにできないんだよ?」
「だから、それは大袈裟やて…」
「大袈裟じゃない」

真剣な碧の眼差しにほとほと困りかけた黒澤は、しばらく赤くなる顔を押さえていたが
それでも数秒無言で考え込んだ後、わかった、と決心した顔にいつもの笑顔を作ってくれた。
同級生の誰よりも大人びていて、頼りになる優しい笑顔。
無理を承知でぶつけた想いにも、はっきりと向かい合ってくれたこの笑顔が、碧は大好きで、思わず胸が痛んだ。

「みどりちゃんとの約束は、ちゃんと守る」
「絶対だよ」
「ああ。だからそんな泣きそうな顔せんといて」
な?
よしよしと触れられた頭に黒澤の熱が伝わって、本当に涙がこぼれそうになるのを碧はぐっとこらえた。
この手がいつも、白石の髪を愛でたくていながら握りしめられていることを知っていたから。
優しすぎる手が、早く大好きな大好きな白石を包んでくれればいいのに。
その日を願って、碧は顔を上げると、えへへ、と微笑んだ。 <> 三角関係に萌えないか?5/5<>sage<>2008/12/07(日) 00:17:16 ID:1a1waB370<> 「さて、帰るかあ」
「でも黒澤、今日は白ちゃんのこと…」
「コラアアア黒澤ァァァ!」
「何うちの碧に触ってんだテメエエエ!」
「うわ、私立組」
「なんだコラ、私立バカにしてんのかコラ」
「天下のK大決まってる碧に向かって何様だコラ」
「いやみどりちゃんのことやのうて…」

勢いよく駆けてきたE組の赤川と青木に、黒澤は呆れ顔を浮かべた。
白石がE組に突撃しては返り討ちにあって帰ってくるのはこの連中だ。
むさ苦しく熱いお祭り男たちは、元部活仲間で気心が知れているにも関わらず、E組で集まってしまうと始終このおかしなテンションのため、黒澤も毎度軽くあしらっては首を突っ込まないようにしている。
「碧に何かしたらただじゃおかねーぞコラ」
「おめー白石が鈍すぎるからって碧に鞍替えしたらぬっ殺すかんな」
「は!?なに言って…」
「オメーが白石に惚れてることなんて気付いてないのは鈍い白石とアホの黄村くらいなんだよ!」
フンッ!と偉そうにふんぞり返る赤川と青木に呆れながら、黒澤はため息をついた。

「その黄村にみどりちゃんもっていかれてんで?」
黒澤が指さした方向には、いつの間にか黄村が碧の首に腕を巻き付けてキャイキャイとはしゃいでいた。いつのまにー!と赤川青木が騒ぎだす。
「碧〜勉強ないなら一緒に帰ろ〜」
「んーいいけど」
運動神経抜群の黄村は部内でも飛び抜けた活躍をするエースであり、もちろん早々にスポーツ推薦を決めていた。
碧の肩に手をまわすと、レッツゴー!とものすごい早さでE組へと消えていった。
「黒澤ー!今日はいいから、ありがとうねー!」
つれて行かれざま振り返って残してくれた碧の言葉に相槌を打つと、騒ぐE組連中を見送って、黒澤は自分の机へ腰を落ち着けた。
窓の外を見上げれば、すでに星が煌めいて、寒そうな外気を想像させる。
暖房を切られた教室はひんやりと静かに夜の空気が浸食し始めている。
こんな空間に、白石が一人帰ってるのは寂しすぎるだろう。
せめておかえりの一言で迎えたくて。未だコートも着てこない白石に、せめてマフラーくらいは貸してやりたいと。
そんな事を考えながら黒澤は静かに白石の帰りを待つことにした。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/07(日) 00:23:44 ID:1a1waB370<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


途中アク禁で涙目になったり
PCから見たらみたで下手すぐる文章で涙目になったりしましたが

とりあえず平和な三角関係は萌えます。ということで
スペースありがとうございました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/07(日) 08:49:54 ID:Wh6NYf8oO<> ビッパーに萌えすw <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/09(火) 00:25:18 ID:Libc5yALO<> 急に寒波が襲ってきて春が恋しくなったので一レスものを。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


満開の桜の木にもたれて昼寝、ってのはなかなかできない贅沢だ。
そういえば、願わくば花の下にて、と詠んだ先人がいたっけ。

愚にもつかないことを頭に浮かべながらまどろんでたら、ひらり、春の欠片が鼻先に舞い降りたのがわかって瞼を上げた。
指先でつまんで、戯れに口付けなんか落としてみる。
流れる風にそっと離して、さて何処へと見送ってみる。
そしたら。
まさか、ねぇ。そんな、タイミング良く。
ちょうどこっちに近付くお前の額ントコに、命中、なんて。

―――…笑っちゃうよねぇ。

あァ、ワケわかんないってカオしてる。
額にはまだ、世界一柔らかい流れ玉。
うん、ここはやっぱ、キッチリ止めを刺さないと、なんて。

「あー、ストップ、じっとしてな」
「……?」

薄桃の弾丸を空に還して、不思議そうに、でも言葉通り微動だにしないその額に銃口を押し当てる。
形なき銃弾を残して見上げながら、密かに、返り討ちを期待した。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
ろくなことない子どもとその相棒のつもりだったけどなんかもう誰でもよさげ。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/09(火) 02:51:26 ID:OJNuWmZ+0<>
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |   !ナマモノ注意!也急モノ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| とても仲良しな、某在京九談の
 | |                | |             \左右セットアッパーコンビ
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> ナマ 某在京九談の左右セットアッパーコンビ 1/2<>sage<>2008/12/09(火) 02:52:45 ID:OJNuWmZ+0<> ファン感謝祭で久々に彼と会った。

「お久しぶりです」
「ヨッ! 久しぶり!」
「お元気してましたか?」
「ま、代わり映えもなく。てか、秋季練習が終わってそんなに経ってないじゃん」
「……それもそうですね」

自分で思う以上に、この人に会わない期間をとても長く感じていたようだ。
シーズン中は毎日会っていたし、毎日の様でブルペンで共に肩を作っていたから、
こうやって離ればなれになるのはオフの期間ぐらいしかない。
その期間でさえ、僕は少し寂しく感じてしまっているらしい。

「チーム最多タイの登板数、だよな?」
「ですね。抑えの僕がチーム最多の登板数ってのも珍しい気がします」
「うちの先発様は完投が多いからな。先発様々だ」
「でも、やっぱゲームを締める立場ってのは…すっごく緊張しましたよ」
「そうだろうな。俺だって自分がお前の立場に立ったら全うに仕事が出来るか怪しいモンだ」
「そんなこと無いと思います…」
「いやいや、お世辞はいらんよ。ハッハッ」

キラキラと眩しいくらいに染められた髪の毛を彼は笑いながらガシガシと掻きむしった。
そういえば、バッターとの兼ね合いで一度だけ僕が8回彼が9回のマウンドに上がった日が合った。
でも、あの日だって彼はちゃんと抑えていた。 <> ナマ 某在京九談の左右セットアッパーコンビ 2/2<>sage<>2008/12/09(火) 02:53:56 ID:OJNuWmZ+0<> 「……あなたが、8回を投げてくれたから僕が9回のマウンドに上がれたんです」
「…何だお前」
「だから、僕はあなたが居なければ抑えとして一年投げてこられなかったと思うんです」
「……」
「感謝してます、とても」

今年もあと少し。
だから、言っておきたいことはイマノウチに言っておこう、と今日家を出たときから思っていた。
更改も終わったら、当分この球場へ来ることはない。

「あー…」
「…どうしたんですか?」

ふ、と彼の顔を覗き込むと妙な表情をしていた。
細目を更に細め、何故か顔が赤い。

「お前って本当恥ずかしいよ、世間知らず」
「……え?」
「ま、一応…お礼は言っておく。ありがとな、そう思っていてくれて」

俯いたままだったけど、彼はハッキリとそう言った。
その言葉を聞いて、僕も何故か顔が熱くなるのを感じた。
海風が吹き荒れる寒空なのに、どうしてか身体だけはとても暖かかった。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/09(火) 02:54:18 ID:OJNuWmZ+0<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ちょっと801要素薄
 | |                | |     ピッ   (・∀・;)
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> タケさんと俺1/5<>sage<>2008/12/10(水) 01:37:01 ID:/GvW6dpfO<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

>>458-465の続きです



ストーブを点けようか、それともエアコンのリモコンを探そうかと思ったけど、

どちらにしろ、自分の上にいる布団星人のオッサンのせいで動けない。

うつぶせになった状態で、はーはー酒臭い息が耳にかかって気持ち悪いったらない。

普通にそこらへんにいるオッサンよりかは気持ち悪くはない…いやいや!

俺男だし!タケさんオッサンだし!

固いチンコがケツにあたってるのと、なまあったかいタケさんの息が耳元にかかっ
て、

なんだかぐるぐる、わけわかんなくなってきてしまった。

「あかんなあ…俺」

「…何があかんのよ」

踏み出してしまったと思いました。 <> タケさんと俺2/5<>sage<>2008/12/10(水) 01:41:47 ID:/GvW6dpfO<> 「カズが来てくれた思うたら、元気になってきた…」
グッ、とケツの割れ目にタケさんの固いチンコが当たった。
あーやっぱわざとおにんにん当ててきてますこのオッサン。
布団に寝てて、水飲むのに起きて、丸出しの時はフニャチンだったのに。
タケさんの「好き」はそういう事で。俺の「好き」は、好きとは言ったけど、
それは小さい頃から知ってるおじさんとしての好きなのか、
性的な対象として好きなのか、人間的に好きなのかなんなのか、
ごちゃごちゃしてて、「好き」は「好き」だけど、はっきりは言えないわけで。
スレのみんなにはガチホモの素質があるんだろとか、嫌な気してない時点で
そっちの世界に片足突っ込んでるだろとか言われたけど、何か、違うわけで…。
ああ、北の国のジュンみたいになってきたよ。ワケワカラン。 <> タケさんと俺3/5<>sage<>2008/12/10(水) 01:46:53 ID:/GvW6dpfO<> 「なんで俺の部屋、来てくれたん」
「なんでて、電話してもメールしても、返事してくれへんし」
ハッ、と頭の上に電球が点くAAが浮かんだ。
策士孔明の罠か。タケさんは俺が心配して来る事を予測して「そうした」のか?
「仕事で忙しかったのと、どうせおばちゃん家やったら、返事せえへんかて、
勝手に来て、勝手に食うても誰も文句言わんし、ええかなって思てたんやけど」
タケさんの手が俺の腹の下に伸びてきた。
またか、俺はみんなの言うようにまた雰囲気に流されて、パンパンされんのか、
って思ったら身体が強張った。痛いのは絶対イヤ。その前にやっぱ男としての
プライドがまた傷つきそうな気がして、あー、もうダメだと思いました。
そしたらタケさんの両腕がギュッ、と俺の胸の前で結ばれて、
俺の身体をタケさんが抱きしめるみたいな形になった。
「心配かけたな。ごめんな、ごめんなカズ」
タケさんはガチムチ体型だから、ギュッと抱きしめられたらすごく痛い。
はっきりいって骨が折れるか、息ができなくなるかってくらいのぎゅーぎゅーだった。
まあ勿論、その間も固いおにんにんが俺の尻に当たっているわけですが。 <> タケさんと俺4/5<>sage<>2008/12/10(水) 01:52:03 ID:/GvW6dpfO<> ぎゅーぎゅーされた後、片手で抱きしめられながら、
ひたすら片手で頭をなでなでされてました。俺は一応20才です。
あと身長170超えてるからね。でもオッサンに頭なでなでされてんだよね。うん。
タケさんのチンコが固い事だけを除けば、これはちょっとしたスキンシップの範囲内ですよねー^^
って言ったら、またガチホモ乙とか言われるんだろうな。そうですねわります。

でも正直、人肌のぬくもりって気持ちいいんだ。
ハタチ超えて人肌のぬくもりをじっくり味わうなんて機会は、
それこそ恋人か夫婦の間でしか味わえないわけでしょ。
タケさんは、妻も、恋人もいない。
風俗行って何時間でも嬢といたら?って言われたら
それもまた違うと俺は思う。お金でサービスをしてくれる嬢と
温もりを分け合うのと、好きだと思っている人と温もりを分け合うのとでは
確実に何がが違うと思う。俺は童貞だけどそこはわかる。
何度も言うけど、タケさんのチンコが固くなかったら、俺は変な事考えずに、
ああまたこのオッサンしゃあない、今だけやぞコラって思えるんですよ。
やっぱり変だな俺。同情なのか、好意に値するよって事なのか、わからん。 <> タケさんと俺5/5<>sage<>2008/12/10(水) 02:00:54 ID:/GvW6dpfO<> どれだけの間そうしていたかわかんなかった。一瞬意識が落ちて、
気が付いたら、タケさんは布団を抜け出していて、俺の目の前で
タンクトップとパンツと靴下姿のまんま、ボトルのコーラをガブガブ飲んでた。
寒いだろwwww
…パンツの前方部分は普通になってた。パッツンパッツンじゃなくて本当に良かった。
「おうカズ、起きたか」「えー、ええ、俺、寝てた?寝てた?」
「おー、頭撫でとったら寝たから、腕枕してやったわwww」
時計の針がありえないところまで進んでました。寝た、って感覚が全然無かった。
って腕枕。オッサンの腕で腕枕。わー。
「今日はもう遅いけど、送ってく」
「え?俺チャリだし、普通に帰るよ?それに車はまずいやろ、飲酒運転や」
「だから、オッサンがチャリの横で歩いて護衛したるわ」
「護衛てwwwww」
タケさんがコーラのボトルを置いて、頭をかきながら言った一言がアレでした。
「あんなあ…カズ、めっちゃかわいいねん。そこらのオトコに襲われたらどないすんねや」
俺がコーラ飲んでたらモニタにコーラ吹いたwwwどころじゃなかったと思う。
ただ、赤面して、襲ったんはオッサンやないかーい、とタケさんにツッこんだ。
ホンマすいませんとか、このオッサンはとか、言ったり言わなかったして、
結局、夜中なのに、タケさんは本当にマンションまで送ってくれました。
「また今度な」
頭をくしゃっとされた。少しよろよろしながら帰るオッサンの後ろ姿を
見送って、なんか俺、女の子みたいって思って、ちくしょーって思った。
今度立てるスレが「初めて女の子とセックスしたwwwww」
になるかどうか、今のところはわからない。うん。わからないと言っておく! <> タケさんと俺補足<>sage<>2008/12/10(水) 02:06:56 ID:/GvW6dpfO<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
携帯から投稿したからちょっと変になった。すみません。
484の誤字→ ○そうですねわかります
 ×そうですねわります
元ネタ?は2/ちゃん/ねる/コピ/ペ 初/め/て/セ/ッ/ク/ス/し/た/ でググると
記事保存サイトさんが出てきます。また機会があったら書きたいです。
ありがとうございました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/10(水) 02:09:53 ID:lhHupVZA0<> >>486
GJ! GJ!
オッサン好きにはたまらんww
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/10(水) 15:20:36 ID:IxVk32muO<> >>300
亀ですが、待ってました!
いつも素敵な作品ありがとう!
この二人の行く末が気になるw
泰蔵の気持ちよくわかるわ〜。 <> 照退 夜空のムコウ 1/9<>sage<>2008/12/10(水) 18:03:42 ID:tX/dCrhB0<> >>488 ありがd。投下しようと思ったらレス着てて顔赤くなった。
これで通算6話目で、長くなり過ぎなのでいっそ自サイト作ろうと意気込んだのですが、
HTMLって何?とか思うど素人な上、年末進行で絶対年内に出来そうにないです。
なのであと3回くらいここに投下させて下さい。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「退史郎」
明るい声で呼びかけられて、退蔵は署の廊下の真ん中で振り返った。
照が両手にネクタイを持って、ちょっと笑った顔で立っていた。
「首貸して」
言いながら、退蔵のワイシャツの襟を、ネクタイを持ったままの手で上へ捲った。
「ん?どうしてですか?」
退蔵は少し屈んで、自分の首にネクタイを巻いている照の顔を見下ろしながら言った。
仔鹿みたいな目で上を向いて、照はネクタイを結ぶのに集中していた。その顔をしばらくじっと眺める。
「総監が来るってさ。こんな時ぐらいネクタイしとかないと」
きゅっと締める。そのままの距離で、照は目を上げた。
間近でごくわずかな時間、2人で見つめあった。
多分自分も同じ目をしていると思いながら、退蔵は照の目を見ていた。何か言いたげな目。少し熱を帯びたような目。
照はネクタイから手を離すと、スッと一歩退蔵から離れた。
先に立って歩き出しながら、スーツのポケットに手を突っ込んで退蔵に話す。
「総監帰るまで、それ外すなよ。今日はピアスも着けんなよ」
そのまま首だけ向けて歩きながら、きゅっと笑って言った。
「そのままでいろよ」
退蔵は半歩遅れて歩きながら、つられて同じように笑った。
<> 照退 夜空のムコウ 2/9<>sage<>2008/12/10(水) 18:05:29 ID:tX/dCrhB0<> 昨日の夕方、涙が零れたのを見た瞬間、照を思わず抱き締めていた。それから自分も少し泣いた。
すぐに涙は止めたつもりだったが、照に泣いていたのがバレてしまった。
照は同じ辛さを共有出来たように思ったのかもしれない、と後で退蔵は想像した。
大事な人を亡くした人同士、心の痛みを分け合えたような、そんな気持ちでいるんだと思った。
『退史郎』の涙を、兄を亡くした悲しみから来るものだと思っているんだ。
泣いた後の少し赤い目をして、照は退蔵に言った。
「これからはもう、名前呼び間違えたりしない」
何かをふっ切ったような透明な視線。
「絶対間違えないから」
違うんです、先輩。冷たい風に吹かれて、退蔵は手を固く握りしめていた。
オレは退蔵なんです。なんで言っちゃいけないんだろう。いつまでこんな事続けるんだろう。
退蔵のことは忘れてくれていいと思っていた。退史郎に心変わりしてくれればいいと思っていた。
だけど『退史郎』として接する度に、照の心の中にどれだけ『退蔵』が残っているのかを確認しようとしていたのに気付いた。
退史郎に心が傾きかけているのを感じるたびに、胸のどこかが軽く痛んだ。
まるで『弟』に自分の恋人を略奪されるのを、黙って見てるしかない『兄』の気持ち。
それから同時に、死んだ『兄』の恋人をうまく誘惑してかどわかそうとしている『弟』のような気持ち。
自分の心が2つに分かれていた。
オレは一体何をやってるんだろう?千夏や田所にだけでなく、自分自身にまで嫉妬している。
めんどくさい男だな。退蔵は自分にあきれながら、静かに目を閉じた。

2日後、キャバクラの呼び込みの男がやっと、周が現金強奪に絡んでいるのを吐いた。
それを取調室で直に聞いた退蔵は、すぐに朱龍に連絡を取った。
事務的に全て報告した。今の時点でクスリは既に持ち運ばれて、5千万だけが残されている筈だった。
この電話の後は誰も、あのアパートには近寄りもしないだろう。
実際に照と『退史郎』でアパートに踏み込んだのは、それより5時間も後の事だった。 <> 照退 夜空のムコウ 3/9<>sage<>2008/12/10(水) 18:06:37 ID:tX/dCrhB0<> 翌日、退蔵が段ボール箱を抱えて田所のもとへ訪れると、田所はどこかおどけたように目を丸くして退蔵を見た。
「どうしたよ?そのケガ」
退蔵は切れた口の端に手をやって答えた。
「殴られましたよ、先輩に」
「照に?」
「犯人に『金を置いて行けば逃がしてやる』って言ったって、そうあの人に言ったらコレですよ」
田所は喉を鳴らして笑った。
「そりゃ殴るわ。なんでおまえそういう事言うの?」
「いいんです、オレはこういう役なんです。でなきゃ2千万なんて持ち帰れないでしょ」
退蔵は金の入った段ボール箱を田所の机の下に置いた。声を潜める。
「…これ、どうしたらいいんですか?」
「そのまま自分ちに持ち帰りゃいいんだよ、こんなとこ持ってくんなよ」
田所はなんでもないように答えた。退蔵は更に声を潜めた。
「オレ無理です。こんなのもう…完全にアウトじゃないですか、度を越してますよ。持ち帰りたくないです」
「もらっとけ。こういう部分もあるんだよ」
田所は半笑いを浮かべながらも、きつい目をして言った。
「オレもおまえもだいぶ危ない橋渡ってるんだ。これはもらっていい金だ」
「……」
退蔵は田所から目をそらして机の下の箱を見た。一つ息を吐くとその箱を持ち上げた。
立ち去ろうとする退蔵に、田所はついでのように問いかけた。
「おまえさ、捜査課の千夏ちゃんとデキてんの?」
「は!?」
不意を突かれて大声を出し、自分でも焦った。田所は口を尖らせて、ちょっとふざけたような顔で見ている。
「…なんでですか?」
「デキてねーの?まあ、なんだ、社内恋愛はほどほどにな」
なんかニヤニヤしている。千夏さん。あの女。まさか社内で喋ってんのか?
くすぶった思いで箱を抱えて、退蔵はその場を離れた。 <> 照退 夜空のムコウ 4/9<>sage<>2008/12/10(水) 18:08:00 ID:tX/dCrhB0<> 昨日、千夏と体の関係を持ってしまった。思い入れは何ひとつ無かった。
持ち帰ろうとした現金を見られたから、口止めとしてのその場の勢い。自分でも無茶苦茶だったと思う。
すぐそばに照の気配があるのに、そんな事をした。
罪悪感は不思議な程無かった。むしろ、本当に愛したい人の気配を感じながら女を抱いたりしてる自分自身に、どこかひんやりした興奮を覚えていた。
ひとでなしだ。
照も千夏も『退史郎』を不埒でいい加減で適当な男だと思っているだろう。
誰にも信じてもらえないだろうけど、いつも精一杯の行動で動いていた。咄嗟に最善の方法を選ぼうとして、結局は最悪の行動をとっているだけだった。
一番最初に潜入捜査を引き受けた時点から、それは始まっていたのかもしれなかった。
今日はまだ一度も照と口をきいていない。
近寄ろうとすると何も言わずに離れて行く。事務処理が実際に滞っているらしく、集中して書類を書いたり資料室に行ったりしてるので、声をかけられない。
退蔵も仕方なく、昨日の報告書をまとめていた。
照は怒ってる。怒ってるのに、なんか泣きそうな目をしている。
はっきりと嫉妬してる空気を読み取って、退蔵は却って嬉しくて笑い出しそうにさえなっていた。
この一日で千夏は照に寄りつかなくなっている。邪魔な虫を追い払えて、自分の心の平安の為にはこうして正解だったとさえ思えた。晴々していた。
今の自分は何もかもでたらめだった。なんだかバカバカしい。もうどうだっていい。したいようにすればいい。
だけど、浮かれた気分は時間が経つにつれ、少しずつ沈んでいった。
照は午後もずっと自分を無視している。徹底的だ。
最近いい感じだったのにな。全部自分で招いた。自分の心がバラバラになっていて、やってる事がめちゃくちゃだ。
あーあ。
退蔵は天井を見上げた。本当にオレは一体何がしたいんだ?
「やりすぎたな…」
声に出してぼやいた。今更どうにもならない。
ひとつ気付いた。千夏には本当の意味で口止めしておかなくてはいけなかった。 <> 照退 夜空のムコウ 5/9<>sage<>2008/12/10(水) 18:09:37 ID:tX/dCrhB0<> 千夏を屋上へ呼び出すと、退蔵は風に炎が煽られるのを左手で覆って、タバコに火を点けながら聞いた。
「千夏さん、署内で誰かに話した?」
俯いてもじもじしながら付いて来た千夏は、その言葉に顔を上げると心外そうになじった。
「なんにも言わないよ私、誰にも言うわけないじゃない!」
「本当に?」
「こんな事、言えるわけないでしょ?なんでそんな事聞くの?」
上目で軽く睨みつけて、後ろで手を組んだ姿勢で退蔵をじっと見返してきた。
言ってないらしい。
だとしたら、照が田所に話したという事なのか。
初めてその事に思い当って、退蔵はなんだか暗い気持ちになった。
「退史郎くん、何か理由があるんでしょ?」
千夏に一歩近付かれて、退蔵は顔を上げた。
「本当のあなたはこんな事する人じゃないんでしょ?…お兄さんの事とか、何かいろいろ理由があるんじゃないの?」
そんな事が透けて見えてるんだろうか。退蔵は屋上の手摺にもたれて煙を吐いた。
誰の目にもそんな風に見えてしまうのなら、田所が言うように自分は本当に甘いんだろう。
退蔵は千夏と目を合わせずに、抜けるように高い青空を眺めていた。

照のデスクワークはまだ続いていた。時計は23時をまわっていた。
田所は先に帰った。退蔵ももう帰っても良かったのだが、今帰るわけにいかないと思って、自分も事務処理をしていた。
2人きりの室内に、いつもは聞こえない時計の秒針の音がカチカチと響いていた。
「コーヒーでも飲みますか?オレ持ってきますよ」
静けさに耐えきれずに退蔵は声をかけた。そうしてから、今のは『退蔵』ぽかっただろうかと思い直した。
最初に決めた『退史郎』の人格が崩れているんじゃないか?あやふやな事をしていたら、全てが破綻する。 <> 照退 夜空のムコウ 6/9<>sage<>2008/12/10(水) 18:10:49 ID:tX/dCrhB0<> 照がどんな風に思ったのかはわからない。
「いらない」
一言だけ短く返ってきた。
「…怒ってるんですか?」
ペンをグルグル回しながら聞いてみる。
「何を」
冷たくて素っ気ない。取りつく島もない。と思っていたら急に照は立ち上がった。分厚いファイルを抱えて部屋を出て行く。
退蔵も後ろから付いて行った。
「…なんでついてくんだよ」
退蔵の方を見ずに、機嫌悪そうに呟く。
「資料室に直しに行くんでしょ?ちょうどオレも取りに行く物があったから」
照が少し振り向いたので、ここぞとばかりに満面の笑顔を見せた。照はすぐに前を向く。
真っ暗な資料室の照明を点けると、蛍光灯が切れかけてチカチカと点滅を繰り返していた。
誰かが閉め切ったまま吸ったのか、うっすらタバコのにおいが籠っていた。
ファイルを棚に戻して、照が部屋の奥の窓を細く開けた。そこから冬の風が吹きこんでくる。
退蔵は特に必要でもない前科リストを2年分取り出しながら、照の後ろ姿を見ていた。
冷たい空気に身を当てている。窓の向こうには、雲ひとつない星空が続いている。
ひとつひとつの光が冷たく冴えていた。月明かりで、照の肩から腕にかけて白く照らされている。
照がゆっくり窓を閉めた。窓に照の吐いた息が少しだけ、白く残ってすぐ消えた。
「…千夏さんの事、気にしてんですか?」
軽い口調で切り出してみた。照は答えずに窓の向こうを見ている。
はっきりさせたかった。誰に対して、どう嫉妬しているのか。
「千夏さんの事、気に入ってたとか?」
照は体半分振り向いて退蔵を見た。退蔵は何も考えていないように笑顔を見せた。
「ねえ。なんで怒ってるんですか」 <> 照退 夜空のムコウ 7/9<>sage<>2008/12/10(水) 18:13:15 ID:tX/dCrhB0<> 「…怒ってない」
点灯してはジジッと音を立てて消える蛍光灯に、照の姿が一瞬暗く、見えなくなった。
「怒ってるでしょ?」
「怒ってない」
物凄く怒ってる目をして、照は蛍光灯に目を上げた。チカチカする灯りに目を細めて、照は言った。
「…もう、おまえの事考えたくないだけだ。…おまえが何考えてんのか、もうわからない…」
「先輩」
「…もういいよ」
退蔵がじっと見つめても目を合わせようとせずに、照は蛍光灯を見上げたまま急にさめた口調で、
「この蛍光灯、もう寿命だな。総務で替えてもらわないと…」
と呟いた。この人は不器用だ、と退蔵は思った。そしてそれ以上に自分も不器用だった。
退蔵は照を見つめたまま後ずさって入口まで行くと、
「そうですね。目が疲れるんで消しますか」
と言って、あっさり壁のスイッチを押した。
暗闇になる。窓からの月明かりで、窓際の照の姿がぼんやりと浮かび上がっていた。
「…何してんだよ。電気点けろよ」
暗くてここからじゃ照の表情はよく見えない。手探りで歩くとだんだん目が慣れてくる。近くまで来ると、照の顔が影になって見えた。少し睨んでるのもわかる。
「…これじゃ見えないだろ」
「見えますよ、結構」
退蔵は最後の数歩をゆっくり近づくと、照の肩に手をまわした。
「オレからはよく見えてます」
「…電気点けろよ」
肩にかかった腕を振り払おうとするのを腕で押さえつけた。
「点けなくていいじゃないですか」
照は腕の中でもがいた。
「離せよっ」
苛立ちを含んだ声。腕を振りほどこうとする。オレより一回りも小さいくせに。退蔵は抑え込んだまま離さなかった。
照の目に月の光が反射して、怒りでチラッと光った。
強くて弱い、目の中の光。照の頬に手のひらを滑らせる。
「千夏さんと同じこと、してほしいんですよね?」 <> 照退 夜空のムコウ 8/9<>sage<>2008/12/10(水) 18:14:55 ID:tX/dCrhB0<> それを聞いた途端、照は力まかせに腕を振りほどいて、苛立って叫んだ。
「いいかげんにしろよっ」
怒ってる表情をもっと見ていたくて、両手を押えこんで自分の真正面に向き直らせた。
照は逃れようと力を入れながら、退蔵を睨みつけている。
「してやるよ」
退蔵は薄く笑って、照の腕を窓枠に押し付けた。
「しなくていい!」
目の中の強くて弱い光。見ていると、何かが心の底から湧きあがってきた。
「したいんだよ」
退蔵はギュッと握った照の両手を、包むように掴み直した。
「オレがしたいのはあんたなんだよ」
怒り過ぎて苦痛すら感じているように、照は激しく睨みつけた。
「おまえなんかっ…」
照は一旦、左手を振りほどいた。退蔵はすぐにその手を掴み直してぎゅっと押さえつけた。
「………」
照の腕の力が少しずつ緩んでいった。退蔵はゆっくり顔を近づけた。
どこか不思議そうに、視線が揺らいでいた。唇を近付ける。
勢いでしてしまうつもりだったのに、これが初めてのキスだと思うと、どうしても真摯な気持ちになってしまう。
そっと触れた瞬間、かすかに唇から震えが伝わった。
照の指が強張った。その指を覆うように上から撫でて、同じように照の唇を自分の唇で覆った。
甘くて優しい感触。
時間の流れが急速に遅くなってゆく。
そっと舌を差し込むと、照の指がほどけた。手の中から逃げようとする指をギュッと握り締めて、少しずつ口の中に入っていった。
揃った歯の感触が愛しかった。舌を重ねるとビロードみたいになめらかで温かい。柔らかでせつなかった。
おずおずと照の舌が押し返してくると、愛しさで泣きたくなった。
頭の中がゆっくりと、とろとろと溶けだした。
思考がとろけてぼやけていく中で、同じ言葉だけが狂ったように浮かび続けている。
すきだ、すきだ、すきだ、すきだ、……
<> 照退 夜空のムコウ 9/9<>sage<>2008/12/10(水) 18:17:13 ID:tX/dCrhB0<> ピリリリリリリリ
いきなり全て引き裂くように、退蔵の携帯が鳴り響いた。
かまわず無視して、噛みつくように舌を絡めた。2人きりでいられる時間がわずかなのなら、今ここで心を全部吸い取ってしまいたかった。
携帯はしつこく鳴り響く。離れようとする照の唇を追って捕えて、退蔵は力まかせにくちづけを繰り返した。
呼出音は急に止んだ。踵を返して去って行くような切り方だった。
「…………」
静かに2人は顔を離した。
軽く息を弾ませる。照の唇が、月の光を反射して光っていた。
潤んだ瞳の色が、葡萄の実のような色に見えた。
また呼出音が鳴った。1回だけ短く。メールの知らせだった。
退蔵はのろのろと携帯の表示を見た。
『Re:人のいない場所で連絡してくれ』
田所からだった。退蔵はぶっきらぼうに言い放った。
「…呼ばれちゃいました」
そのまま掴んでいた左手を離そうとすると、照が縋るように手を握り締めてきた。
ハッとして動きを止める。
照自身が自分の行動に少し驚いているような目をして、見つめ返していた。
その手をぎゅっと握り返した。反対の手で髪を撫でる。それから頬に唇を押しあてた。
「………」
反対側の頬にも、もう一度唇をあてて、それから全部離れた。
「…すいません。行ってきます」
俯いて扉に向かい、明かりを消したままでドアのノブに手を掛けて振り返ると、照はぽつんと窓の前に立ち尽くしていた。
月に照らされて、その姿がいつもより小さくて、淋しそうに見えた。
あんたを今ここに残して行きたくない。
そう思ったが、口には出さずに、そのまま静かに扉を開けて外へ出た。
早足で廊下を歩きながら、スーツのポケットの中の携帯に触れると、チリチリした苛立ちが生まれた。
少しずつ膨れ上がって行く苛立ちを抑え、歯を喰いしばった。
照だけが大事だった。
他の全てがどうでもよかった。ただ、照だけを大事に思った。
<> 照退 夜空のムコウ 終/9<>sage<>2008/12/10(水) 18:18:47 ID:tX/dCrhB0<> つづく。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
6話目にしてやっとチュー。2人とも奥手でスマン。
ここからなんです。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/10(水) 18:48:36 ID:jKUVb8iH0<> で?いつになったら終わるの?
前の話しイレネ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/10(水) 19:30:01 ID:ycbUD91PO<> あと3回だって <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/10(水) 21:22:17 ID:AMndyGdtO<> >>498
GJ!
この切なさともどかしさも照退ぽくてスキー(・∀・) <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/10(水) 23:20:30 ID:OaBM61FX0<> >>498
奥手でイイヨ
照退好きだ! <> 最終幻想6 レオケフ1/5<>sage<>2008/12/10(水) 23:25:37 ID:JoE+lZD90<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


近頃、彼の夢ばかり見るようになった。
夢の中で、彼はいつも笑っている。淡く、濃く、弱く、強く、まるで夜空に浮かぶ星のように、
様々な表情を見せながら微笑んでいた。
本物の彼を、一目見たい。
ケフカ以外の被験者は皆死んだと聞かされた。ただ、彼に会いたかった。彼の無事を確かめたかった。
引き留めようとする同僚を振り切って、私は研究所へ向かった。


普段の真面目さが、こんなところで役立った。見張りの兵士は簡単に私を奥へ通してくれた。
実験室の扉は閉ざされている。その隣の部屋の扉が少しばかり開いていることに気づき、そっとそちらへ歩み寄った。
「……――――で――……だから――――」
「そうだな――……――それで…………――」
兵士達が、何かを話している。話し終えたらしく、扉を開く音の後、部屋は静まり返り、そうして何も聞こえなくなった。
私は、実験室に入ったことがない。その為、この建物がどういった構造をしているのかも知らない。
この隣の部屋は、実験室へと続いているのだろうか。
迷った末、私はそっと扉を開いた。ぎいぎい、と軋む戸の向こうには、一人の老人が椅子に腰かけていた。
魔導の研究をしている男が一人、研究所にいると聞いている。とすれば、この老人が『シド』なのだろうか。
しかし、『シド』はもっと若い男だと思っていたのだが。
もしかしたら、研究が原因で老けこんでしまったのか、それとも、老けこんでしまうほどに心労が溜まっているのか。
緩慢な動作で、老人が振り向く。
「貴方が、シドですか?」
聞けば、彼は真っ青になった。
「そ、そうだ。……み、見張りは……いなかったのか」
「ええ」
シドが立ち上がる。と同時に、テーブルから硝子でできた器が手から零れ落ちた。割れ、床に散らばる。
「ああ、そうか、見張りは……」
ぶつぶつと何かを呟きながら、首を横に振り、
「とにかく、出て行ってくれ。ここは立ち入り禁止なんじゃ……」 <> 最終幻想6 レオケフ2/5<>sage<>2008/12/10(水) 23:29:19 ID:JoE+lZD90<> 「ケフカに会いたいんです。一目見るだけでも構いません」
シドが、ひゅっ、と喉を鳴らした。
「だ……、駄目じゃ!」
シドが目を泳がせる。彼の視線が行きついたのは、私の右手にある茶色の壁だった。
それはよくよく見てみれば不自然な代物で、他の壁は何らかの凹凸があるのに対し、その壁はやけにまっ平らだった。
「ここから、実験室に行けるんですね?」
シドは項垂れた。「すぐに入るのは無理だ」と呟いた。
「実験室には魔導が溢れてしまっている。空気に混ざっているから、普通の人間は入ることができないんじゃ」
「……ケフカは」
喘ぐように、彼の名前を口にした。彼は普通の人間ではない、ということか。
私の表情で何かを悟ったのか、シドは自嘲じみた表情で唇の端を上げ、首を横に振った。
壁掛けの装置に近付き、右手を持ち上げる。
「ケフカは普通ではない。普通の人間なら、もう、今頃」
振り降ろされた右手が、大量にあるスイッチの中の一つを押した。
壁が、茶色から薄茶色へ、そうして透明へと変化していく。そして透けて見えた光景に、
私は悲鳴をあげることもできずに体を震わせた。
椅子に腰かけているケフカの痩身に、男が覆い被さっていた。
床に転がる鎧や兜から、その男が兵士なのだということが分かった。ケフカの顔は、男に遮られていて見えない。
「……もう、や……いや、だ、いやだ!!」
弱く響く、ケフカの悲鳴。透明の壁があるというのに、どういう仕組みでそうなっているのか、声は鮮明に私を貫いた。
体中の血が沸騰するかのような感覚に陥る。叫び出しそうな体を叱咤した。
男の陰に隠れて細部は分からないが、それでも、何をされているのかは分かる。
男が腰を動かす度に、ケフカは悲鳴混じりの喘ぎをあげる。白く細い足が揺れ、すすり泣く。
もう一人の男は、隣に立ち、下卑た声で笑っていた。
「早く、やめさせろ!!」
シドに向けて叫ぶが、シドは青い顔で立ちつくしているだけだった。
「魔導が漏れる……開けることはできん。抜けるまで、しばらく待たないと……」
「あの兵士達は入っているじゃないか!!」
「あいつらはもう駄目じゃ、魔導で頭がおかしくなってしまっている。
好奇心から魔導の満ちた実験室に入り、快楽だけを追い求めるようになってしまった」 <> 最終幻想6 レオケフ3/5<>sage<>2008/12/10(水) 23:33:24 ID:JoE+lZD90<> 「漏れてもかまわん、早く……!!」
「急に抜くと、ケフカの体にも良くない、わしやお前も死ぬことになる!!」
私はおし黙った。自分はともかく、ケフカの体をこれ以上傷つけるわけにはいかなかった。
「……あっ、あ、あ、あ、あぁっ」
ケフカを犯している男の動きが速さを増す。濡れた音と、肌を打ち付ける音が響く。
「……いやだ、気持ち悪い、いやだ……っ」
「うるせえ!!」
「あぁ…………!」
ぶるり、男が震えた。絶望に打ちひしがれた響きを持った悲鳴が聞こえ、
「……レオ……」
彼が、私の名を呼んだ。
胸が、焼けつくように痛んだ。
「レオ、レオ……ッ」
男がケフカの体から退くと、精液が椅子を汚し、床まで垂れているのが見えた。
指先が痺れ、やけに喉が渇く。
ぱさついた金の髪。瞳は曇天のように暗かった。
まさか、こんな目にあっていたなんて。どうしてもっと早く気付いてやれなかったのか。
「ケフカ」
こちらの声は聞こえないようになってるらしい。ケフカはぴくりとも動かなかった。
「まだ、中に入ることはできないのか!」
シドに問うと、
「もうすぐじゃ、もうすぐ――――」
さっきケフカを犯していた兵士とは別の兵士が、ケフカに覆い被さろうとしている。
「いやだ!」とケフカが首を振ると、兵士は下卑た笑い声をあげながら彼の足を大きく開いた。
ケフカが、わけの分からない悲鳴をあげる。
断末魔にも似たその声は部屋中に響き渡り、そうして突然、辺り一面に電流が走るのが見えた。
「あああああああっ!!」
一瞬、何が起こったのか理解できなかった。
電流が走り、火の手があがる。風がびゅうびゅうと吹き荒れ、瞬間、兵士の首が私の足元に転がっていた。
硝子が割れている。ケフカが、虚ろな瞳で私を見つめていた。
「……レ…………オ……」 <> 最終幻想6 レオケフ4/5<><>2008/12/10(水) 23:34:53 ID:JoE+lZD90<> 血の臭いが充満する。気付けば部屋中血塗れで、二人の兵士の体は真っ二つになっていた。
いや、真っ二つどころではない、とにかく無茶苦茶だった。シドはというと、外傷こそ殆ど見られないものの、気を失い、地面に突っ伏していた。
硝子に飛び散った血がぽたぽたと垂れ、濡れた音を放つ。静かな部屋に広がる音はやけに現実的で、
この光景は嘘ではないのだと私の頭に教えていた。
これは、一体どういうことなんだ。
心臓が早鐘を打つ。ケフカの周りに光が集まり、それは徐々に強さを増し、同時に、彼が遠くへ行ってしまうような気がした。
足を前に出す。床は酷く滑り、赤黒く染まっている。彼が見せていた笑顔を思い出す。
『星が綺麗だよ』
唐突に、あの夜の彼の声が蘇った。彼は、幸せそうに笑っていた。
私の指に指を絡ませ、嬉しくて堪らないという顔をしていた。
胸が苦しくて、堪らなくなる。彼は、もう一度あの笑顔を見せてくれるのだろうか。彼はどうなってしまうのだろう。
近づき、手首の拘束を解いた。水色の瞳は、『死んでいる』という言葉を連想させる。
元々痩せ気味だった体は更に痩せ、骨が浮いていた。彼の目線の高さまでしゃがみ込み、強く強く抱きしめた。
「……ケフカ」

***

兵士の胴体が落ちている。
胴体が。手が。足が。天井に血が着いている。そうだ、着いている。レオの頬にも。
レオが、レオの幻が、僕をぎゅっと抱きしめる。僕は悟る。
ああ、これは夢だ。
こんな夢なら、何度も見た。レオが僕を抱きしめてくれる夢、とても悲しい、幸せな夢。

『私は……貴方のことが好きです。貴方の優しい笑顔が好きです』

彼はいつだって優しく、僕に笑いかけてくれていた。
彼の匂い、彼の体温、彼の真面目なところ、本当に、その全てが大好きだった。
目の前の幻の背に手を回す。力が入らず、指先がするりと滑り落ちた。
体の中には力がたぎり、なのに、指すら上手く動かすことができない。
喰われる――――そんな考えが頭を過った。 <> 最終幻想6 レオケフ5/5<>sage<>2008/12/10(水) 23:37:09 ID:JoE+lZD90<> 力に喰われる。僕が僕でなくなる。世界が闇に染まる。心と身体が引き裂かれてしまう。
レオ、助けて。僕は口にする。いや、口にすることもできなかったのかもしれない、思っただけだったのかもしれない。
闇は僕の頭を喰らい、力は僕の手と足と胴を喰らう。美味しそうに舌舐めずりをして、だらだらと涎を垂らす。
僕を抱きしめている、その腕の力が強くなった。
「ケフカ!!」
レオ。
もう僕は駄目なんだ。何が駄目なのかはよく分からない。でも、駄目なんだ。多分、二度とレオのところへは戻れないと思う。
「私の声が聞こえるか、ケフカ……!」
聞こえるよ。聞こえるのに、返事ができない。
感情が死んでいくのが分かる。僕の中が魔導に侵されて、空っぽになっていくのが分かる。
僕は魔導の入れ物になる。硝子のコップの中に満たされていく水を想像する。いつか溢れる、溢れてしまう、その水を。
僕はどうなってしまうんだろう。
レオは泣くだろうか。空っぽの僕を見て泣くだろうか。僕は彼を守れたんだろうか。彼を守るために、僕はこの部屋に入ったというのに。
目を閉じると、真の暗闇に包まれる。夢かもしれない。なのに、幻に抱かれて、僕は幸せだった。

***

ケフカは無表情を保ったまま、生クリームの乗ったパイを鷲掴みにする。
白い指が生クリームで更に白くなり、パイをぱくりと一口含んだ後、彼はちらりと人形を見遣った。
少年の人形を持ち上げ、パイをぐいぐいと押しつける。
「美味しい?」
何もかもを諦めたような微笑で、
「ねえ、美味しい?」
白く汚れた人形に話しかける。
「ねえ、レオ……美味しい?」
息苦しくなる。彼の声に、震えが止まらなくなる。
今の彼にとっては、あの人形こそが『レオ』なのだ。彼の水色の瞳に、私は二度と映らない。
生クリームで汚れた口元と頬が、まるで化粧を施したように白く染まっている。
唇の端を上げ、何とも表現し難い表情で、彼がわらった。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/10(水) 23:53:36 ID:yy/ux2cUO<> >>498
感想。
ずっとファンです。楽しんで読ませてもらっています。
照さんを何より大事に思ってる退蔵が切ないです。
奥手というかじれったい進展がリアルで良いですよね。バリ好みです。台詞も各々の声で脳内再生されますし。
次回作も期待しております! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/11(木) 00:10:55 ID:Tm8zk1/q0<> >>507
すげえ。ここで読めるとは <> オカ板師匠シリーズ 弟分×師匠 1/5<><>2008/12/11(木) 07:29:03 ID:6/F3r+M3O<> 今更師匠シリーズにときめき悶えたので投下。棚初心者+携帯からなので不作法などあったら申し訳ない…
|<PLAY ピッ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

思い出すのはいつだって夜だ。師匠は昼が似合わなかった。もっと言えば、単純に夜の似合う男だった。
三回生の春の夜だ。珍しく酔った師匠を抱えて、俺は必死にベンチまで歩いた。いつもの大学近くの公園だった。桜は風もないのに阿呆のように散りさざめいて、その夜鳩はいなかった。サークル仲間の喧騒が遠い。
もう帰りましょうと俺は言った。春とはいえ夜はまだ冷える。屋外ならなおさらで、しかし師匠はごきげんに笑うだけだった。俺は呆れてため息をついた。
「いいよ、ここで寝るから」
にこにこしながらぼけたことを言う。やはり寄っている、口調がどこかたどたどしい。
「馬鹿言わんでください、風邪ひきますよ、それか死にます」
やや語気強くたしなめると、ふふっと笑って、師匠が呟く。
「死ぬよ。たぶん、そのうち」
<> オカ板師匠シリーズ 弟分×師匠 2/5<><>2008/12/11(木) 07:34:19 ID:6/F3r+M3O<> いつもの調子で流すことができず、俺は少し戸惑った。多分その前の春、同じ場所で交わされた会話を思い出したからだ。
「悪霊になりますか」
「なるね、どえらいのに。お前どうする」
「どうするったって」

アルコールに澱んだ頭で考える。自分はそんなに大層な人間でもない、お祓いや除霊ができるでもない。
でも、師匠が死んで、悪霊になって、どこにもいけなくなるのは、困ります。
やや困ったような口調で答えた俺に対し、師匠は喉の奥だけで笑った。楽しそうに、悪童のように。
「じゃあ、僕が、死んで、人じゃなくなって、どうしようもなくなって、そしたら、お前が、僕を、食えばいいな。
なあ、お前が、食うんだぜ。僕がなくなるまで、最後、まで」

<> オカ板師匠シリーズ 弟分×師匠 3/5<><>2008/12/11(木) 07:41:15 ID:6/F3r+M3O<> 師匠は言って、笑って、それから、俺の肩口に頭を預けて、息をついた。
明日をまちわびる子供のような笑みだった。やわらかく手と手を絡めて、やくそく、な、と、ささやく吐息が春に散る。
鳩じゃあるまいし、と俺は笑った。それから狂いながら散る桜と夜を見た。
師匠の背中が規則正しく上下して、それはとてもおだやかだった。

俺はただの馬鹿だったのだと今にして思う。
あのとき絡められた手を、どうやって離さないでいるか、逃がさないでいるか、ただそれだけを考えているべきだったのに。 <> オカ板師匠シリーズ 弟分×師匠 4/4 (訂正。すいません)<><>2008/12/11(木) 07:48:09 ID:6/F3r+M3O<> でも俺はただの馬鹿だったので、あの手は離され、俺はこうして一人でいる。
俺が馬鹿でも一人でも、春は来るし、桜は散るし、鳩の目は丸い。
あれから何度も春が来て、俺は何度もあの公園を通り、そのたびに目であのベンチを追う。
けれど古びたベンチはいつだって空だ。あのひとがどこかで笑っていても、ひとでなくなって静かにここにいたとしても、もう俺にはわからない。
だから俺は鳩を見る。精一杯の憧憬を込めて。
けれどもしあの夜に帰れるなら、もう俺は鳩などうらやまない。
らちもない過去の仮定を抱いて、閉じた瞼の闇の向こう、確かにあの夜の彼の笑み。俺は唇だけでつぶやいた。

ずっとそばにいてくださいよ。


□STOP ピッ◇⊂(・∀・ )
サイショカラオワッテタフタリ
お目汚し失礼致しました! <> 義ら義ら 先得る×英義(1/7)<>sage<>2008/12/11(木) 12:04:22 ID:auXY3p7gO<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


開店前の店内。いつもにも増して騒がしく、そしていつもにも増して、耕平が困っている。
そんな様子を、英義は輪から外れて一人ぼんやりと見ていた。


事の発端は、他愛もない会話だ。
自分達がどんなキスをするのかで盛り上がって、当麻が耕平に話をふった。

「耕平さんはどんなのすんの?ちょっとしてみてよ」

明らかに、冗談半分。頬を差し出した当麻に、真面目な耕平は本当にキスをした。
可愛い、という言葉が似合いそうなキスに照れながら、こんな感じ、と耕平は笑う。
商事の絶叫が聞こえて、参考に俺にも、なんて誰かが言い出したらその後は早かった。
優しい耕平はちゃんと一人一人に対応していた。
頬とか、おでことか、瞼とか。キスを一つと数えるなら、商事の怒りはその何倍にもなっていくのが見てとれた。
そんな様子を見ながら、英義はぼんやり思う。
アイツは違った、と。
半ば強引に奪われはしたものの、荒々しさよりも優しさを想像させるようなそれを思い出し、英義は口元を抑える。
と、同時にその人物を目で探してしまう。
バレないように、目だけで。
そして、視線は絡み合う。
すぐにそらした、が、視界の端にいつもの笑みが見えた気がした。 <> 義ら義ら 先得る×英義(2/7)<>sage<>2008/12/11(木) 12:07:37 ID:auXY3p7gO<> ここに来たのは、このホストクラブを気に入ったのもある。
でもそれ以上に気に入ったのが彼、英義だ。真っ直ぐで真面目で、ちょっとからかうと真っ赤になって怒る。

先得るはずっと英義を見ていた。
そして、視線は絡み合う。
店内の様子や反応を見ていると、どうやら自分との行為を思い出したらしい。
加虐心が擽られる。今度はどんな表情をしてくれるのだろう?
期待を胸につかつかと相手に歩み寄る。英義ははっと顔を上げて後退りをした。

「何だよ…」

多分、唇の動きからそう言ったのだろう。うるさくて聞こえやしない。

「期待、してるんでしょう」

自分も囁くように。でも、唇の動きで読み取れるようにゆっくりと。ジリジリと壁に近づいていく。英義の背中が当たるのと、先得るが手をつくのは、ほぼ同時だった。
顎に手をやり、逃げられないようにして、英義が嫌がっているであろう笑みを浮かべる。今度は聞こえるように、しっかりと耳元に唇を寄せた。

「キス、されたいんでしょ?」
「そんなこっ…」

文句を言う口はふさいで、…すぐに離してしまった。
英義がぽかんとしている。が、それ以上に先得るは自分にびっくりしていた。
唇を重ねようとした時の英義の表情。それに芽生えた、よく分からない感情。その感情に任せるままに体を委ねたら、いつものようなキスが、出来なかった。

「可愛いね」

そう言って、嫌がる笑みを浮かべて、頭を撫でて、その場を離れるしかなかった。
先得るは戸惑っていた。
自分に芽生えた、よく分からない感情。これは一体、何なのか…。 <> 義ら義ら 先得る×英義(3/7)<>sage<>2008/12/11(木) 12:08:53 ID:auXY3p7gO<>
「ったく、有機のヤツ…よりにもよって口にちゅーしてもらいやがって!俺もあぁやれば……英義?」

輪の中で一番騒がしかったであろう商事が、むすっとして英義に歩み寄る。そしてぶつくさ言いながらも、それでも英義の様子に気づいた。
真っ赤で、話を聞いてくれていない。

「英義?」
「っ!」

顔を覗き込めば、過剰に後ずさる。あ、商事か、などと呟いて、ますます怪しい。
自分が騒いでいた間に、何かあったのだろうか?商事はきょとん、としながら英義に尋ねる。

「何かあった?」
「…もねぇよ」
「ひでよ…」

ぷいっと顔を背け、すたすたとカウンターに行ってしまう。
いつもと様子の違う彼に、商事は追いかける事が出来なかった。
何となく拒否された気がして、しょんぼりしてしまう。今日はあまりいい事がない。
少し溜め息をつきながら壁に寄りかかった商事に、今度は耕平が歩み寄る。

「どーした商事、元気ないな」
「耕平さん…何かよぉ、英義が冷たくってさぁ…俺何かしたのかな?」
「うーん…今はちょっと、虫の居所が悪いのかもしれないぞ。商事が何かしたわけじゃないさ」

そう言われて頭を撫でられれば、今日はいい日になるかも、なんて上機嫌になれるのが商事のいいところだ。
ありがと耕平さん、と自分の持ち場に戻る商事を見送ると、耕平は身だしなみを整える為ロッカールームへと向かった。今日はいつも以上に疲れた気がする耕平に耳に届いたのは、ライターの音だった。 <> 義ら義ら 先得る×英義(4/7)<>sage<>2008/12/11(木) 12:11:53 ID:auXY3p7gO<>
かちゃ、かちゃと。ライターの蓋を開けては閉め、閉めては開けている。

「遊びの、つもりだったんだけどねぇ…」

こんなに自分が戸惑うとは思わなかった。これではまるで、自分が遊ばれているようではないか。
不思議と悔しいという気持ちはなかった。だからなおのこと、戸惑う。
強く蓋を閉める。気持ちの整理の出来ない先得るの元へ、耕平がやってきた。

「先得る…どうした?元気ないようだけど」
「……」

ここは年の功にでも頼ってみようか、先得るは英義の名を伏せて話し始めた。
最初はからかうつもりで、いや今もなのだけれど、それが最近はうまく出来ない。
悲しい顔は見たくない。優しくしてしまったりする、と。
話していく内に、耕平の顔が嬉しそうに輝いていく。先得るは少々不思議そうに、耕平を見つめた。

「先得る、それは恋してるんだよ、その子に!」
「恋?」
「そうだよ、先得るにも本気になれる人が出来たんだな…俺応援するよ、頑張れよ先得る!」

嬉しそうな顔をしながら肩を叩く耕平を見つめながら、先得るは更に戸惑っていた。
恋?相手は英義だ、男が男に、なんてありなのだろうか。
鏡に向かって髪型を整える耕平にそう聞きたかったが、やめた。この男の事だ、少し困りながら、それでも応援してくれるだろう。
随分と、望みのない恋をしたものだ。先得るは自嘲気味に笑いながら、ロッカールームを出ていった。 <> 義ら義ら 先得る×英義(5/7)<>sage<>2008/12/11(木) 12:13:39 ID:auXY3p7gO<>
耕平の変化を一番に見抜くのは、いつも商事だ。まぁ、毎日ご主人様を一生懸命追う犬のような彼のこと、それは半ば当たり前の事ではある。
今日の耕平は、何だか上機嫌だ。彼の幸せそうな顔を見ていると自分まで嬉しくなる。
幸い、どちらにも客はついていない。商事はぱたぱたと耕平の元に駆け寄り、体をくっつけた。

「こーへーさんっ。何かすっげぇ上機嫌じゃーん、どうしたの?」
「ん〜、実はな」

耕平は軽く周りを見渡し、こそっと商事に耳打ちをする。

「先得るに本気で好きになれる人が出来たみたいなんだよ」
「えぇっマジで?!」
「あぁ、これでアイツも賞味期限がどうとか言わなくなるかもな…商事、これ誰にも言うなよ?」
「分ぁかってますって!俺が耕平さんとの話、誰にも言うわけないじゃぁん」

内緒の話を自分にしてくれた。
理由は違えど、商事にも上機嫌が移る。
そして、それが故に、耕平との約束を忘れてしまったのだ。加えて相手の事を信頼していたから言ってしまったのだ。
商事がついつい口を滑らせてしまったのは、英義だった。

「これでさ〜、アイツもまともになるんじゃね?」

店の片付けをしながら、声を少しひそめながら笑い言う商事に、英義は返事が返せなかった。先得るに、本気の相手。
分かりきっていてもショックだった。自分は遊ばれていたのだ。
だけど、何故?何故自分はこんなにもショックを受けているのだろう。
気がつけば、夜の公園に来ていた。
考え込んでいて、ふらふらと歩き回っていたらしい。
疲れた。
英義は吸い寄せられるように、ブランコに座る。見上げた空には、月がぽかりと浮かんでいた。 <> 義ら義ら 先得る×英義(6/7)<>sage<>2008/12/11(木) 12:22:46 ID:auXY3p7gO<> もう既に英義は帰った、という。店の片付けをしている時から様子がおかしかった彼を、先得るは見逃さなかった。
あれは、自分の店に連れ込んだ時に見せていた表情によく似ている。帰りの挨拶もそこそこに、先得るは店を飛び出した。
心配で仕方がなかった。闇雲に走り回るも、行き先などわからない。気がつけば、夜の公園にいた。先程までの喧騒はどこへやら、静かなものだ。
先得るはとりあえず立ち止まり息を整える。と、その時。
きぃ、と金属の軋む音が聞こえた。きぃ、きぃ、と、一定のリズムを刻むそれを探して周りを見渡す。
滑り台、シーソー…小さな公園だった。ブランコに座る、不釣り合いなその影を見つけた先得るは、そちらに向かって歩いていく。

「やっと見つけた」

言いながら隣のブランコに座る。きぃ、と音が重なった。

「……何しに来たんだよ」
「ん?英義を探しに」

にっこりと微笑みながら言う。対照的に、英義は顔をしかめた。それでも、ブランコは鳴っている。

「…本気で、好きな人が…出来たんじゃねぇのかよ」
「それ、誰から聞いたの?」
「耕平さんから聞いたって、商事が…」
「どっちもおしゃべりだなぁ〜…」

小さな溜め息を一つ、つく。何となく商事には話しそうな気がしていたが、まさかこんなに早くだとは。分かって聞いているのだろうか。先程の一言目から考えて、分かっていないようだけれど。
先得るが英義の方を見ると、ぱっと視線をそらした。不機嫌そうな声が聞こえる。

「本当ならその人んとこ行けよ…」
「ん?だから来てるじゃない」
「は…」

文句を言おうとしたその口を、思わず閉じてしまった。先得るの目が、とても、真剣だったから。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/11(木) 12:23:12 ID:80WDCZ1wO<> 支援? <> 義ら義ら 先得る×英義(7/7)<>sage<>2008/12/11(木) 12:24:58 ID:auXY3p7gO<> 「俺が好きなのは、英義だよ」

嘘だ、とも言えなかった。いつもの先得ると違うのは、嫌でも分かったからだ。
ブランコから降りた先得るが自分に口づけても、英義は抵抗しなかった。舌と舌が絡まり、英義から力が抜けていく。キスを終え息を整えた英義は、力なく聞いた。

「嘘、つくな…男が男なんて…」
「英義は、嘘つく人が嫌いなんだよね?」
「……?」
「英義が言うように、男が男に…って思われるのに、更に英義の嫌いな嘘なんかつかないよ?好きなんだから」

よしよし、と頭を撫でられても、嫌ではなかった。むしろ安心している自分がいて、英義はうつ向いた。
ふと、首回りが暖かくなる。見覚えのあるマフラーが視界に入り、驚いて顔をあげたところをまたキスされた。

「寒そうだったから、ね。あげるよ、それ」

そういえば、コートもマフラーも置いてきたままだ。どれだけ身の回りに構っていられなかったのだろうかと、英義はますますうつ向いてしまう。砂利を踏む音が聞こえた。少しずつ、遠くなっていく。
視界に足をとらえた。どうやら先得るは、このまま帰ってしまうらしい。
気持ちがぐるぐる回る。自分でも整理がつかず、

「先得るっ…」

名前を呼んで、立ち上がるだけで精一杯だった。振り返る先得るは、やはり苦手な笑みを浮かべて、手を振る。

「また明日」

先得るの背中を見送った英義は、彼とは逆に歩き出した。何となく肌寒い気がしたが、マフラーに顔を埋めるとそれは気にならなくなった。
明日、会って普通の顔を出来るだろうか。商事はともかく、耕平は誤魔化せそうにないけれど。
夜の喧騒の中に戻りながら、英義は少し、笑みをこぼした。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/11(木) 15:55:19 ID:T2J6LQPH0<> >>510
まさかここで読めるとは……!
久しぶりに虹見て萌えた。GJです! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/11(木) 17:06:41 ID:Xb+rtT+JO<> >>489
照退姐さんいつもGJ!!
読めなかった話があるのでいつかまとめてくれると嬉しいです <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/11(木) 18:18:04 ID:94CGBZYg0<> >>489
照退待ってました!
読んでて萌えまくったからDVD観て来る! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/11(木) 18:37:23 ID:ZB7h7I4UO<> >>523
>>1 <> 弟×兄?1/4<>sage<>2008/12/11(木) 19:16:53 ID:av1WCmUaO<> 流石兄弟・ぬるいけど暴力表現てんこもり・暗い
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


好きだって言ったじゃないか!
なのになんでなんでなんで!


ばしん。

何度も何度も頬を打つ
今は乗りかかっているのでちょうど殴りやすい位置にある頬だけれど
もうどこをどう殴ったなんて覚えてないくらいだ。ーどうりで手が痛いー

兄者の顔は痣だらけの血まみれで
腫れている上涙でぐちゃぐちゃになっていて汚い。
でもそっちのほうがずっと良いよ
さっきのあいつらに向けてたヘラヘラした笑顔よりずっと良いよ。
思い出すと折角収まりかけていた、ぐるぐるととぐろを巻くどす黒いモノが
喉までせり上がってきて気持ち悪い かちかちと歯の鳴る音がうるさい

髪を攫み上げ、そのまま頭を床に叩き付ける
見開かれた目の焦点がブレるのを見て、少し溜飲がさがる。

そうだ、それで良いんだ兄者は何も見なくていいんだ
兄者はおれだけ見てれば良いんだ。
<> 弟×兄?2/4<>sage<>2008/12/11(木) 19:18:09 ID:av1WCmUaO<> ばしん。
何度も何度も頬を打たれる
口の中に広がる苦い味と、腫れた部分をまた容赦なく殴られる痛みに
顔をしかめっつぱなしだ 何度も殴られた顔が痛い
蹴り上げられ踏みつけられた腹は痛みと吐き気を送り続けてくる
ぼろぼろと零れていく涙すら痛みを与えてくる
身体中が痛い。
ぼやける視界に、振り下ろされる手が映ったがすでに
抵抗や防御などを行う気力はそがれている。
今回の何が弟者の逆鱗に触れたのかも分からぬまま俺は髪を攫みあげられーーーー


弟者が俺に暴力を振るうのは、初めてでもなければ珍しいことでもない
日常とまでは言えないが、けして非日常ではなかった。
最初の頃は説得や抵抗を試みたが、こうなった弟者には言葉は通じず
弟者は見た目のわりに力があるので抵抗は空しく終るだけでなく
さらに弟者を激昂させてしまう
謝っても許さなければいいのかもしれない 殴り返せば良いのかもしれない
だが、泣いて謝る弟者をみるとつい許してしまうし、殴り合いでは勝てそうにもない
それに、弟者に手を上げるのはどうしてもためらわれた。 <> 弟×兄?3/4<>sage<>2008/12/11(木) 19:19:44 ID:av1WCmUaO<> 今回は何が原因だったのだろう。
朝は普通だった
昼に弟者が教科書を借りに来た時も普通だった
夕方、友人と帰宅中に弟者をみつけ、3人で帰った時だって普通だった
部屋に入った時はどうだっただろう?

そこからだ、ドアを閉めるまでは普通に話していた

ドアが閉まるなり、弟者は俺を殴り飛ばした、腹を蹴り踏みつけた。
後は無様に転がった俺の上にのり、何か怒鳴りながらただ俺を殴った

弟者が何と怒鳴っていたかは、今回もわんわんと脳を揺さ振る様な耳鳴りに
邪魔され聞き取ることは出来なかった。
.
.
.
.
.
耳鳴りで目が覚めた どうやら気絶していたらしい
全身が鈍く痛み、身動ぐのも辛い。
耳鳴りかと思っていたのは弟者の泣き声だった
俺の腰のあたりに縋りついてみっともなく泣いている。 <> 弟×兄?4/4<>sage<>2008/12/11(木) 19:22:22 ID:av1WCmUaO<> 「 ごめんなさいごめんなさいごめんなさ、ちがうおれは悪くない!
待ってちがうんだ許してごめんなさいごめんなさいゆるして
兄者が悪いんだだって■■■■■■■■■っていつも言ってるのに!
あぁちがうそうじゃないごめんなさいゆるして
ごめんなさいごめんなさいすきなんだおれだけみてよ」

もういいよ、怒ってなんかないよ
そう伝えたいのに口からは擦れた咳が出るだけだった。
もしかしたら首も絞められていたのかもしれない。
腕が重いなぁ、なんとか腕をもち上げ
年がいもなくわんわんとなきじゃくる弟者の頭にのせ 撫でる
逆効果だったのかさらに泣き声は激しくなった。

ああ、一体どうしたら弟を救ってやれるのだろう?








気付かないふりをやめれるまで初めに戻ってもう一回

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
某スレの74を読んで妄想が止まらなくなって書いた
反省はしている 
勝手に使ってごめんー
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/12(金) 02:21:25 ID:KZqjbXQ10<> >>498
ありがとう
奥手っていうかこの感じがまさに照退だものね <> 八重歯と縄 0/4<>sage<>2008/12/13(土) 00:56:11 ID:60uWNzrT0<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  八重歯とAVと縄ネタ
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  正直すまんかった。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<> 八重歯と縄 1/4<>sage<>2008/12/13(土) 00:57:39 ID:60uWNzrT0<>  八重歯がタイトルについているからと、ただそれだけの理由でこんなビデオを借りてしまった自分に今更ながら嫌気がさす。
画面の中の少女は縄で縛られるのを必死で抵抗している。ああとかいやだとか叫んでいる。
怯える顔がアップになり、叫ぶ口元が写される。
ちらりと見えた歯は確かに八重歯だ。その事実に心臓が跳ね上がった。
じっとりと手汗。冗談じゃない。ぶんぶんと頭を横に振る、が、ビデオを止めることはしない。

俺も相当の阿呆だ。少女はいつの間にか裸で、その肢体には縄が絡み付いている。
生来の白さと張りを持つ肌の上を、太く荒い縄が無遠慮に走っている。
ぎり、と男がその縄の端を引っ張った。痛ァいと少女。見える八重歯。嫌じゃないんだろうと男は笑う。
少女の口から、ちらりと覗いた赤い舌に奴の顔がフラッシュバックする。おいおい。
男があどけない乳房にしゃぶりつく。その柔らかさを見ながら、全く無縁の、しっかりした筋肉の胸板を思い出す。
舌を這わせ指でなぞると、切羽詰まった吐息を漏らすあのしなやかな肢体。
それにぎちぎちと、荒い縄が食い込んでいく様子を想像してみる。
日に当たらない部分の素肌は案外色白で、二の腕や内腿の皮膚がいかに柔らかなものか自分は知っている。
その下の筋肉の強さなど微塵も感じさせず、少し強く吸っただけで痕が残るあれ。
縄が絡み付き、その軋みで真っ赤に腫れて血が滲むその時、奴はどんな顔をするのか。
―――ごくり、と知らずに喉が鳴った。口の中はからからに渇いている。
空けたまま放置していた缶ビールを一気に煽っても、ぬるく苦い味しかしない。
まずいと頭の隅で理性が叫んでいる。このAVで性欲を処理した時とはわけが違う。
あの時も相当の後ろめたさを味わったが、
本業の忙しさで忘れられたし、疲れきってこんなもの使う機会も無かった。
だが、これからこのビデオを鑑賞しに奴が来ることになっている。
(「俺に似た奴が出てるAV持ってるんだって?」)(誰から聞いたんだろう) <> 八重歯と縄 2/4<>sage<>2008/12/13(土) 00:58:28 ID:60uWNzrT0<> オフで時間もあるし、二人きりで会うのも久々だ。
そういうコト、になるかもしれない。
下心がないとは言わない。ただ、今のままではそのとき暴走しない自信が無い。
職業柄(そして生まれ持った性質として)理性は強い方で、
自制心も忍耐力も人並み以上だと自負している。だが自分は、あの肢体を組伏せる容易さも、
組み敷いた感触も知っている。あの強い男が見せる、刹那の弱さをもっと見たいと思う自分がいることも。
―――ひと際甲高い少女の嬌声で現実に引き戻された。少女が抱きかかえられたまま、

思い切りのけぞって果てていた。暗い室内で白い喉が震えているのが妙に卑猥だ。
ビデオを巻き戻しながら時計を見る。約束の時間から30分は過ぎていた。
先約があるから遅れるかもしれないことは聞いている。シャワーを浴びる時間は無いが、
夜風に当たれば少しは気分も変われるだろう。ベランダから外を見降ろす。
町から住宅街へネオンのグラデーション。冬が来たことを告げるように、冷たい風が頬を撫でた。
奴に電話でもしようかと携帯を開いたところで、チャイムが鳴った。
続いてろれつの回らない口調で名前が告げられる。奴だ。ドアを開けに行く前に奴が入ってきた。
ひどく酔っているが、俺の顔を見ると少し改まった表情で「ごめん」と謝るのがおかしかった。
「あいつらが全然離してくれなくってようー」
「別に構わんが、大丈夫か?」
水でも飲むかと聞くと素直にうなずいた。
冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出し手渡す。
ごくごくと飲むのに合わせて上下する喉が、
あの少女が絶頂の最中に見せたそれと合わさって見えて頭を振る。落ち着け俺。 <> 八重歯と縄 3/4<>sage<>2008/12/13(土) 00:59:51 ID:60uWNzrT0<>
奴はそんな様子に気づくわけもなく、蓋を閉めるのもそこそこに話し始める。
友人の結婚祝いの飲み会だったらしい。都合で式自体には出席できなかったようだが、
そのぶん飲み会ではっちゃけたというところか。
普段は(俺にだけ)見せる厳しい視線とは違い、頬を上気させ目じりを下げたまま話す奴は素直に可愛い。
ひどい滑舌と普段より強い訛りのせいで、何を言ってるかは半分くらいわからないが。
「そーだ!これもらった!」
奴は素っ頓狂な声をあげると、何やら怪しげな不透明の袋を差し出した。妙に重い。
ビンゴの景品だという。中を見ていいと言うので袋をひっくり返す。
何か固いものと長いものが音をたてて床に落ちた。
『八重歯のインテリ女教師 凌辱の放課後!』
『いつもと違うパートナーが見れるかも?!SMロープ(赤)』
「これどうしろって言うんだよなー」
けらけらと笑う奴はよそに、タイミングの悪さ(良さか?)に目眩がする。
八重歯はジャンルとしてアリなのか。
いや、そういうことではなく。忘れかけていた妄想が戻ってくる。
暗い室内で、鍛えられた肉体を縛られたまま涙を流しているのは―――なあ、と呼ばれて顔を上げた。
目の前に奴の顔。いつの間にか息のかかる距離まで近づいている。
じっとりと、絡み合うように目が合う。
「…使ってみるか?」 <> 八重歯と縄 4/4<>sage<>2008/12/13(土) 01:01:06 ID:60uWNzrT0<> 冗談だったのか本気だったのか、俺は知らない。
ただ、アルコールを十分すぎるほど摂取した体に火をつけるのは容易いことは知っている。
唇を押し付け舌で歯列をなぞり、息さえ飲み込むような激しい口づけをすればいい。
想定外の激しさに抵抗するのも、元々の体格差に酔いが加われば無意味に等しい。
床に押し倒しシャツを脱がしながら、ロープに手を伸ばす。俺を見る目に挑発の光が宿る。
だが一瞬よぎった怯えの色を見逃しはしない。誰でもないお前が持つその弱さがもっと見たい。
ぐちゃぐちゃと考えながら、自分の唇が歪んでいるのに気づく。はは、と小さく声が漏れた。
この表情はきっと、あのビデオの男に似ているだろう。奴は少女か。
あの少女のように泣き叫ぶのもいい。あくまで頑ななのもいい。
ただ、”嫌じゃないだろう”、その返事を聞いてみたい。

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 色々アレだな。
 | |                | |     ピッ   (・∀・;)  
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/13(土) 02:04:19 ID:aTHZCUkBO<> >>531
ちょwww姐さんまさかwww
まさか読めるなんて思わなかったよGJ!
せんせーの八重歯かわいいよ八重歯 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/13(土) 05:54:54 ID:ObnxbqP8O<> >>531
姐さん大好きだー!本当に書いて下さるとはw
続きの妄想が止まりませんありがとう <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/13(土) 20:57:15 ID:jleE9+nlO<> 亀も良いとこなんだけど、>>38の寓話にもう萌えて萌えてしょうがないです。姐さんGJ、くはー

でもいくら好きだからって、妄想した続きを勝手に投下するってのは駄目ですよね、やっぱり…… <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/13(土) 21:41:28 ID:LoBU/doL0<> ここって全部モララーのネタスレだからおkだと思ってた
まあ、一応お伺い立てたほうが丁寧だとは思うけど <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/13(土) 21:59:10 ID:+WpsgzqiO<> >>538
磯っ夫寓話投下した者です。楽しんで下さったようで嬉しいです。
煮るなり焼くなりご自由にドゾ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/14(日) 02:16:43 ID:d3tNaEXV0<> >>514姐さん、GJ!
…商事ワンコが、次は口にちゅーしてもらえるように祈ってます。 <> 538<>sage<>2008/12/14(日) 03:18:35 ID:rWO4NzaJO<> >>539ー538の姐さん方ありがとうございます!
頂いた萌えを少しでも還元すべく粉骨砕身妄想に励み、いつの日か棚に投下したいと思います。
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/14(日) 03:21:12 ID:rWO4NzaJO<> ふああアンカー間違えた自分にレスつけてどうすんだ
>>540さんすみませんすみません <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/14(日) 08:25:18 ID:NC3s7wp30<> 八重歯の元ネタが禿げしく気になります。
ヒント頂けませんか。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/14(日) 11:19:58 ID:G7ats2xeO<> 某左手で投げる人…でいいんですよね?>八重歯さん <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/14(日) 13:18:25 ID:96ac+c38O<> 作者ですが、
ナマだとしかお答え出来ません。
すみません。 <> 罰星 役人×愚痴 1/3<>sage<>2008/12/14(日) 18:14:44 ID:opMhUj86O<> 泣きすぎてる。泣きすぎてる。自分でもそう思う。
でも涙が止まらない。どうして僕はこんなに泣いているんだろう。
まだ、キスされただけだ。白鳥さんは僕にひどい事なんかひとつもしていない。
白鳥さんのベッドの上、僕は壁に背をつけて白鳥さんのキスを受け入れた。柔らかい唇が合わさり、啄む様に角度を変えながら甘噛みされる。
…気持ちいいな、と思った瞬間、白鳥さんの舌が口の中へ入ってきた。びっくりして反射的に押し出そうとした舌を吸われる。
頭が混乱する。白鳥さんの舌が、僕の口の中を探る様に這いまわる。頭の中がぐちゃぐちゃになる。身体が震えてきた。
目の奥が痛い感覚がして涙が溢れた。目をぎゅっと瞑るけど涙は止まらない。
白鳥さんの唇が離れた。…僕がしゃくり上げて泣いてるからだ。 <> 罰星 役人×愚痴 2/3<>sage<>2008/12/14(日) 18:29:25 ID:opMhUj86O<> いつもの調子と違う、優しい声が聞こえた。
「…ぐっちー…?…嫌か?…辞めようか?」
しゃくり上げるのを堪えて僕は首を強く横に振る。くらくらする位に。
嫌じゃないから来たんです。嫌じゃないからここに居るんです。
自分の意思では止まらない涙。言葉が出ない。
白鳥さんが小さな溜め息を一つついた。
「…ごめんね、ぐっちー…」
「…違っ…!」
やっと声が出た。開いた目が涙でぼやける。白鳥さんの淋しそうな顔が目の前で揺れている。
涙の向こうの白鳥さんが遠くなる様な気がして、僕は手を伸ばした。
しがみついた白鳥さんの胸から心音が伝わってくる。
またしゃくり上げそうになるのを必死で飲み込む。
言わなくちゃ。言わなくちゃ。 <> 罰星 役人×愚痴 3/3<>sage<>2008/12/14(日) 18:41:16 ID:opMhUj86O<> 「…僕…白鳥さんが、好きです…」
白鳥さんの心音が強くなった気がした。
「僕は、…白鳥さんが、好きなんです…。」
やっと言えた。ずっと、言いたかった。身体が震えてまた涙が出る。
白鳥さんが、僕を抱き締めた。暖かい身体。大きな手に力が籠っている。
「…やっと言ってくれたねぇ、ぐっちー。ずうっと待ってたんだよ?」
いつもの言い方で白鳥さんが笑った。
「好きだよ、ぐっちー。」
「…はい。」
それだけ言うのが精一杯だった。止まらない涙を白鳥さんの柔らかな舌が舐め取った。
また重なった白鳥さんの唇から僕の涙の味がした。 <> 罰星 役人×愚痴<>sage<>2008/12/14(日) 18:44:46 ID:opMhUj86O<> 初めて書いたんで稚拙なのは勘弁して下さい。
ぐっちーが可愛くて心不全になりそうです。
お目汚し失礼しました。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/14(日) 19:02:01 ID:Mc3Yk/KP0<> >>550
原作版なのかドラマ版なのか悩むところ…。
ドラマの方なんだろうけどw
あと、

>>1
(2)第三者から見ての投下終了判断のため作品の前後に開始AAと終了AA(>>3->>7辺り)を入れて下さい。

次からは気を付けようぜー。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/14(日) 19:02:21 ID:sn34tjvPO<> >>547
姐さんテンプレくらいはつけてね。 <> 547-550<>sage<>2008/12/14(日) 20:03:06 ID:opMhUj86O<> >>551
>>552
すいませんでした。
今PCが使えなくて、携帯だとどうやってテンプレをコピペするのかやり方が分からなかったんです。
ルール守れなくてすいませんでした。
多分改行も上手くいってなくて萎えるかもですね…。
反省します。
後これも書かなくてすいませんでした。ドラマの方です。映画も原作も見たこと無いです。
ごめんなさい…。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/14(日) 20:13:45 ID:blmA82/E0<> >>553
>>7 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/14(日) 20:45:55 ID:opMhUj86O<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

!!!!!
やり方わかりました!ありがとうございます!
寛大な姐さん方に感謝します。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/14(日) 20:49:07 ID:Yw+IJeOt0<> テストは相応のスレでやってくれ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/14(日) 21:29:36 ID:D8OiK45y0<> テンプレがあると知りながら「ケータイだとコピペわかんなーい。いいよね?」
で書き込み。注意されるとスレでおためしvかよ。

これだから携帯厨は。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/14(日) 21:38:27 ID:gJP0buOi0<> >>557
IDオメ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/14(日) 21:47:26 ID:NC3s7wp30<> おおお801光臨 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/14(日) 22:14:19 ID:n+cswL6K0<> 久し振りに降臨見た
是非IDスレに行ってくれ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/15(月) 07:38:19 ID:ul+9yy5gO<> >>558
そういう姐さんもIDごとGJしてるよ!
いやーなんかスゴいな <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/15(月) 07:50:44 ID:FCvI4vOnO<> そろそろ長編注意? <> 変態戦士 赤×理想の上司<>sage<>2008/12/15(月) 22:50:00 ID:KitF3Wyc0<>
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  初めてのビデオ棚だから色々許して欲しい。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  わかる人がいるのかな。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<> 変態戦士 赤×理想の上司 1/8<>sage<>2008/12/15(月) 22:51:03 ID:KitF3Wyc0<> ピッ

携帯を切った後、その場で考え込む。
「ヴァンプ様、レッドのやつは何て?」
後ろにいた戦闘員1号が問いかけた。
「・・レッドさん、風邪ひいて寝込んでるんだって。だから今日の対決は中止。」
振り返らずにヴァンプはそう答えた。

今日はいつもの通りサンレッドと怪人率いるフロシャイムは対決を予定していた。
しかし約束の時間になってもレッドが現れなかった。
毎回対決については文句ばかり言うレッドだったが、約束をすっぽかすことは無かった。
日にちを間違えたのかもー・・・と不安になったヴァンプは、携帯電話からレッド宅
(正しくはかよ子宅)に連絡を入れてみたのだが。 <> 変態戦士 赤×理想の上司 2/8<>sage<>2008/12/15(月) 22:52:48 ID:KitF3Wyc0<> 「大丈夫かなァ・・・レッドさん。かよ子さんは研修で数日家を空けるって言ってたし・・・
ついこの間まではかよ子が熱を出して寝込んでいたばかりだ。
もしかしたらその風邪がレッドにうつったのかもしれない。
宿敵とはいえ、気になりだしたらどうしようもなく。
「・・・・ちょっと私行ってくる!」
「えっ、ちょっ、ヴァンプ様ーーっ?!」
戦闘員2号に持っていた槍と盾を手渡すとヴァンプは走り出した。 <> 変態戦士 赤×理想の上司 3/8<>sage<>2008/12/15(月) 22:53:31 ID:KitF3Wyc0<> 「・・・おまっ・・今日は対決は止めだって言っただろうが・・・っ」
ドアを開けたレッドはあからさまに怒りの口調で第一声を放った。
「分かってますよ!今日はレッドさんの様子を見にきただけですから!」
いつもならレッドにビクビクしているヴァンプだったが、
今日は相手が病人ということも手伝ってか、多少強気だった。
失礼しますと、ズカズカと家の中に入る。
「あ!っおい、こら!」
止めようするレッドをすり抜けてリビングに入る。
「やっぱり!来て正解!」
ヴァンプはため息をついた。 <> 変態戦士 赤×理想の上司 4/8<>sage<>2008/12/15(月) 22:54:06 ID:KitF3Wyc0<> 色々散らかり放題の部屋に、ここで寝ていたであろう毛布や座布団が置いてある。
「ちゃんとお布団で寝なきゃダメですよレッドさん、
ああ、何これ〜冷凍ピザ?食欲があるのはいいことですけどもっと消化の良いもの食べなきゃ・・・」
「おまっ・・・母親かっつーの!うっせーよ!いーから帰れ!」
煩いヴァンプにイライラしてレッドは頭を抱える。
風邪のせいでただでさえ頭痛がするというのに。
「この状況を見て帰れませんよ、折角来たんだし。」
そう言いながら手に持ったものを目の前に差し出す。
スーパーの袋に、卵やら水が入っていた。
「それに宿敵のレッドさんが風邪なんかにやられちゃ私だって困りますから」
そういうとヴァンプは今度はいそいそと寝室に行き、布団一式を畳に敷いた。
「はい、レッドさんここに寝て」
「・・・・・」
呆れて何も言えない。
大声を出した所為か熱も上がったようだ、頭がボンヤリしてきた。
レッドはまた大きくため息をつくと、観念して布団に入った。 <> 変態戦士 赤×理想の上司 5/8<>sage<>2008/12/15(月) 22:54:41 ID:KitF3Wyc0<> 「・・・ん、・・・ドさん。」
耳元で声がする。
「レッドさん」
目を開けるとそこにはヴァンプが正座をしていた。
「私、帰りますね。甘酒と卵粥を作っておいたのでお腹がすいたら温めて食べて下さい」
随分深く眠っていたらしい、時計を見ると数時間経過していた。
リビングをみると綺麗に片づけられているようだった。
かよ子の片づけなんかよりよほど丁寧だ。
鼻には甘酒のとてもいい香りが感じられる。
「一晩寝たら、だいぶ良くなると思いますから。あとお薬は飲んで下さいね。」
まだ頭はぼーっとしたままだ。
ただ、何故か妙に安どしている自分がいて。それに気づいたレッドは無性にイライラが込み上げてきた。
「熱は・・・まだ高いですね」
水を触っていたヴァンプの冷たい手がレッドの額に触れた。
その瞬間、レッドの手がヴァンプの腕を掴んだ。
「・・?!」
「どういう・・・つもりだよお前は・・・っ」 <> 変態戦士 赤×理想の上司 6/8<>sage<>2008/12/15(月) 22:55:20 ID:KitF3Wyc0<> 「俺は敵なんだろ?いつもあれだけコテンパンにされてるくせによ」
「ちょ・・っ、レッドさん痛・・っ」
ギリギリと掴む手に力が入る。
「なのにそんな俺がいる家に一人でノコノコとやってきやがって・・・
武器や防具も置いてよ?ああ?!なめてんのか?!」
「・・・・っあ!」
ぐっと腕を引かれたかと思うと、ヴァンプは布団に押し倒されていた。
冷汗が出た。こんなに怒りを露わにしたレッドは初めてだった。
「もっとこてんぱんにやられなきゃ分かんねェのか・・・」
「レ・・・レッドさん?!」
「・・・・そんなら・・・滅茶苦茶に傷つけてやるよ・・・」
ボソリとそう言ってレッドの顔がヴァンプに近づいてきた。
ゆっくりと、顔と顔がつきそうになる、瞬間。
<> 変態戦士 赤×理想の上司 7/8<>sage<>2008/12/15(月) 22:56:08 ID:KitF3Wyc0<> 「−−−−−−−−−−っあーーー!」
「どわっ!」
突然とんでもない力でヴァンプがレッドを押しのけた。
レッドが風邪の所為でいつもより力がなかったのかもしれない。
「レッドさん!ほら熱!またすごい上がってる!」
「・・あァ?」
そういうとヴァンプはレッドの額に手を置いてまた叫んだ。
「ほらほら!もー寝てなきゃダメ!」
倒れたレッドに布団をかけてヴァンプはポンポンと叩いた。
「今日は大人しく寝て!対決は今度でいいですから!」
「た、対決・・・」
こいつ、今のも対決って言いやがった・・・
唖然としているレッドを余所にヴァンプは立ち上がる。
「今度はちゃんと怪人も連れてきますから!もちろんレッドさんが全快してからですけど。
風邪ひきなヒーローを倒しても、自慢にもなりませんし、そもそもフェアじゃないです」
また、悪の組織らしからぬセリフを言いながらヴァンプは振り返らずに出口へ向かう。
「今日は帰ります、お大事にレッドさん」
一人ぽつんと残されたレッドは、天井を見ながらまた本日何度目になるか分からない溜息をついた。
「・・・馬鹿か・・・俺は・・・」 <> 変態戦士 赤×理想の上司 8/8<>sage<>2008/12/15(月) 23:01:41 ID:KitF3Wyc0<> 「あ、お帰りなさいヴァンプ様〜」
アジトにつくと戦闘員たちが迎え入れてくれた。
「どうでした?レッドのやつ。」
「うん、だいぶ熱があったけど、大丈夫。明日には下がるんじゃないかな」
「それはよかったっスねー、また対決の日取り決めましょうね」
「そうだねー」
いつも通りの会話をしていたが、ふと戦闘員1号が首をかしげた。
「ヴァンプ様?顔が赤いですよ??レッドに風邪、うつされちゃったんじゃないですか?
ヴァンプは自分の手を頬にあてて、その熱を確かめた。
「・・・うん、そうかもしれない・・」

熱も、そして止まない動悸も、風邪の所為だと。
二人は自分に言い聞かせるのだった。 <> 変態戦士 赤×理想の上司<>sage<>2008/12/15(月) 23:03:06 ID:KitF3Wyc0<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 正直スマン
 | |                | |     ピッ   ( ∀ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/16(火) 00:20:36 ID:gKmU/DWm0<> よ く や っ た !!
ヴァンプ様かわゆすぐる
萌えた! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/16(火) 00:24:10 ID:yqfKxwf30<> 今486KBです。姐さん方、気をつけて! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/16(火) 01:42:52 ID:Nh0b0Hdb0<> >>563
自分でもびっくりするほど萌えた
ニヤニヤが止まらん
ありがとう <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/16(火) 17:56:46 ID:LM33wYew0<> 次スレ立ててみる <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/16(火) 17:59:09 ID:LM33wYew0<> ごめん、ダメでした <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/16(火) 18:41:44 ID:OHrQFcUb0<> 行ってくる <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/16(火) 18:46:06 ID:OHrQFcUb0<> ダメだった。申し訳ない <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/16(火) 18:49:32 ID:wdYgqMX+0<> 行ってみる <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/16(火) 18:53:12 ID:wdYgqMX+0<> すまん、ホスト規制だった <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/16(火) 19:00:33 ID:hAcmkjP/0<> 立ててみる <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/16(火) 19:05:14 ID:UE0kYTIEO<> >>576-582
この流れフイタwww
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/16(火) 19:09:46 ID:hAcmkjP/0<> 立ててきたよ

モララーのビデオ棚in801板44
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/801/1229421717/ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/16(火) 21:25:05 ID:sEhioMpJO<> >>584乙です <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/16(火) 21:57:07 ID:dxmNqN3qO<> >>584乙! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/16(火) 21:57:49 ID:ZLH8uLiZ0<> >>584乙でs <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/16(火) 23:56:36 ID:yqfKxwf30<> >>584
乙であります!

現在、488KB
長編はもう厳しいかな? <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/17(水) 00:10:46 ID:rkasPE6G0<> うん、5話以上の話は次スレの方が安全だと思う。 <> 四2八 刑事×研究者 1/2<>sage<>2008/12/17(水) 13:08:13 ID:gw9pBw+C0<> ゲェム四2八の刑事×研究者
未クリアだけど、台所イベで萌えすぎて止まらないから書いた
今後キャラ変わっていったら大笑いですが…

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

「いやだ。はずかしい」
ソファで半ば寝転がったような体勢のO沢が、着衣を乱されて小さく訴えた。
そこには数時間前までにあった家事原への警戒心、不快感、苛立ち…といったマイナス方向への感情は伺えない。
ただ戸惑ったように見上げてくる。
抗う素振りすら見せずただ『いや』と言われて、それが心底から拒絶するものだとは誰も思うまい。
それこそ数時間前の彼であれば、逆毛を立てた猫のような態度で怒鳴り、逃げ出したことだろう。
「本当に嫌なんですか?…本当に?」
じっと目を見つめて問いかけると、まるで催眠術にかかったかのように返事をする。
「…はずかしいから、いやだ」
「つまり行為自体は嫌ではないと?」
逸らそうとする視線を許さず尚も問うと、O沢は曖昧に首を動かす。
肯定とも否定とも取れるそれは、彼の心の動きそのものであった。
「では、恥かしくない様にして差し上げましょう」
家事原は自らのネクタイを外すと、それを使って素早くO沢の目を塞いだ。
何をされるのかと身を固くし、起き上がろうとする身体を押しとどめ耳元で囁く。
「見えなければ、恥かしくないでしょう?」
言葉に、呪縛される。
急に塞がれた視界の不安感よりも、暗闇の安堵感が大きい。
<> 四2八 刑事×研究者 2/2<>sage<>2008/12/17(水) 13:09:03 ID:gw9pBw+C0<> (どうしてしまったというのだ、私は…)
ほんの少し前まで【不愉快な男】としか思っていなかった家事原の言うがままになり、それを拒絶しない自分が不思議で仕方がない。
(疲れているのだ…何も、考えたくない)
娘の誘拐、社内の陰謀、苛立ちを隠そうともせず投げ付ける妻…
O沢の身に立て続けに降りかかる災難により、プライベートな空間と時間は侵され、心を休める暇もない。
(何も、見たくない)
内なる欲求に従い、ネクタイによる目隠しの下の瞼を閉じる。
(何も、考えたくない)
自分は疲れすぎているのだと、上手く働かない頭で思う。
未だ生死すら分からぬ娘に心のどこかで詫びながら、思考を閉じた。


言葉もなく横たわるO沢を家事原が見下ろす。
その顔は真剣そのもので、奥底が読めないという意味では数瞬前と同じだが、まったく別の顔だった。
O沢を休ませる、その作戦は成功しそうだ。
昨夜から起きた【事件】により、O沢の神経は痛め付けられ、ほんの少しの刺激でもあっけなく切れてしまいそうだった。
【事件】は解決の糸口を見せず、今後どのくらい時間を要するのか見えてこない中、彼に潰れてもらう訳にはいかない。
(手のかかることだ)
天才というイキモノは、その才と引き換えにするかのように何処か欠けた、変わった人物が多いがO沢も例に漏れないようだ。
ただそれは彼の場合、極度な世間知らずといった態のもので家事原の目にはかわいらしくも映る。
先の見えない事件の渦中、不謹慎と思いつつも芽生え始めたO沢個人への興味を自覚せざるを得ない家事原であった。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

後悔とは後ですること!
でも反省はしている
さぁ、クリアに向けて再開するぞ
<> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/17(水) 15:29:31 ID:pfwmLcg3O<> >>590
バナナ刑事と天才キター!!
天才の言い回しがスゲー萌えました!
台所のシーンは、天才の右腕も混ぜても、非常にいいイベントですよね!
ごちになりました! <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/18(木) 03:07:10 ID:XllL3C8LO<> >>590
14:00終了後ご覧ください





>>590
私は家事原×研究者に大興奮です
(ノ`△´)ノ
自分の領域に踏み込まれたくないと願っていたはずの研究者だけど
戸惑いつつも身を委ねるなんてエロ過ぎます
バナナgj( ̄へ ̄)
それにまさか棚で見れるとは思ってもいませんでした、本当にありがとう!
ぜひクリア後の続編も期待したいなo(^▽^)o <> 4二8 研究助手×研究所長 1/2<>sage<>2008/12/18(木) 14:16:08 ID:3dvyhfC/0<> 埋めがてら、ゲェム4二8、研究助手×研究所長
連投になってしまい申し訳ない

×というより、助手→所長です
なかなか時間が取れず、まだ15:00までしか進んでなくて、だから色々間違ってるかもしれませんが
萌えの暴風雨が止まらない…


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


(何故だ…)

警戒心の強いひとだった。
いや、警戒心が強いというより、他人が自分の世界を侵すことを何より嫌うから誰も近付けさせないようにしている、そんなひとだった。
だからゆっくりと近付いて、彼の視界に自分がいることが普通だと思わせることから始めた。

我ながら気の遠くなるような計画

身近で共に働く彼は、まさに天才という名に相応しい男だった。
それを素直に認められず、自分だって負けてはいない、負けるはずがないと何度も思った。
しかし、折々に触れるその才能の煌きを目の当りにする度に打ちのめされ、
所詮自分は秀才止まりでこの男に勝つことはできないのだと、自らのプライドを粉々にする【事実】を認めざるを得ない。
酷い屈辱感だった。

同時に、研究以外での彼が如何に不器用で何もできないかを知る。
できない…のではないだろう。
正確には研究以外のことには興味がなく、必要に駆られないとやらない、やりたがらない。
その必要の最低ラインが普通の人間と著しくずれていることに気付きもしない。
食事ですらよく忘れ、あまり楽しむこともせず、必要な栄養素を的確に摂取できるのであれば短時間で済ませられるサプリメントで十分なのにと思っている節があり、
研究に携わっていない時の彼はまるで植物のように静かだ。 <> 風と木の名無しさん<>sage<>2008/12/18(木) 14:17:39 ID:3dvyhfC/0<> そんな彼に近付くのは以外に簡単だった。
助手という立場であれば尚のこと。
彼の厭う煩雑な事務作業をやってやることから始める。
次第に自分の存在に慣れ、感謝しつつ様々な事を委ねるようになっていった。
あまり人間になれていない、天才という名の歪な生物をゆっくり手懐けていく。
…何れは自分の手からしか餌を食べなくなるほどに躾けてやりたいと………


それがどうだ………
目の前の光景に、眼球の裏が深紅に染まるほどの怒りを覚える。
昨夜会ったばかりの、ほんの少し前には自分に『嫌な男だ』と愚痴を言っていたその相手に…
少し拗ねた顔
はにかんだ様な微笑
自分が長い時間をかけて手にしてきたそれらを、いとも容易く差す彼が憎い。
…憎くてたまらない。


/////////////////keep out//////////////////

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


badendに向けて一直線w
感想くださった方、本当にありがとう
同士がいて、ものすごーく嬉しいです <> 木目木奉  板ミ→瓶山 <><>2008/12/19(金) 10:00:50 ID:XLK08D+M0<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | |>PLAY.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 色々ショックだったけれども禿萌えたので投下
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 勢いで書いたので変なところがあったら申し訳ない。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 木目木奉  板ミ→瓶山 1/4<><>2008/12/19(金) 10:01:35 ID:XLK08D+M0<> 彼は居なくなってしまった。
行ってしまったのだ。

とても遠い場所へ。





「まぁた携帯見てやがる」

少し離れた所から様子をうかがっていた身裏は背利沢に打ちした。

「先輩が辞めてからよく見てますよね」
肩を竦め、背利沢が小声で言葉を返す。

二人の視線に気付くことなく板ミはその大きな身体を縮め
両手で持った携帯を睨み付けていた

携帯を開き、顔をしかめ、何か操作をするがすぐにイラついたように携帯を閉じる…
瓶山が辞職してからここの所毎日のように見る光景だ。

「…いっつも何やってるんでしょうね」
「メール…って訳でもなさそうだな」
「あ、まさか板ミ先輩。結婚相談所からの電話待ってるとか」

「馬鹿、それならもっとウキウキしてるだろ」
「ああ、そっか……」

二人の相談を他所に
携帯をポケットにしまった板ミは軽く息をはくと席を立ち、一課から出ていった。 <> 木目木奉  板ミ→瓶山 2/4<><>2008/12/19(金) 10:04:11 ID:XLK08D+M0<> 「なんか……」
ばたんと閉められた扉の音を聴き、ぽつりと背利沢が呟く。
「張り合いなくなったっていうか…」

「…警部殿は今もなんら変わりなく現場に勝手に入ってくるけどな」
老眼鏡を下にずらし、板ミの去った扉を見つめながら身裏も口を開いた。
「…やっぱり瓶山がいないとなあ……」
「板ミ先輩とのアレがあるから匿名って感じでしたよね……」

もう聴くことのできなくなったあのやりとりを思い出しながら、二人は小さくため息をついた。

__

「匿名係の……瓶山ぁ〜…」
板ミは誰も居ない男子トイレの小便器の前で、ぽつりと懐かしくなってしまったフレーズをつぶやく。
そういえばこのトイレで身裏と共に瓶山と会話した覚えもあった。

「……へっ、なぁに言ってんだ。思い出すな。バカが…」
自分に言い聞かせる。

瓶山が居なくなってから、現場に椙下がくるとうっかり瓶山の姿を探してしまう自分に気が付いてしまっていた。
「居なくなってせーせーすらぁ。はっ、あのバ亀」

そして、何事もなかったかのように振る舞う椙下に、こちらが動揺してしまった。
心にぽっかりと穴が開いたような喪失感。
同じ匿名の相棒であるはずの彼だって感じていないはずがないというのに。

自分だけ聞き分けのない子供であるかのように感じることも
自分の中での瓶山の存在の大きさを実感してしまうことも気に入らなかった。

何もかもが面白くない。どうしてこんなに振り回されている気分になるのか。
どうして特亀なんぞにこんな気持ちにさせられているのか。 <> 木目木奉  板ミ→瓶山 3/4<><>2008/12/19(金) 10:05:23 ID:XLK08D+M0<> あの時廊下ですっぱりと別れを告げ、素直になれない自分なりに背中を押して送り出したつもりだ。

女々しく引きずるのは趣味じゃない。
冷水で洗った手でバチンと頬を叩き、正面の鏡を睨み付けた。

気合いを入れ直す。

死んだら一番に化けて出てやると言った瓶山の顔を思い出し、板ミは ハッ、と鼻で笑った。

一課に戻る途中で再び携帯を開く。
もう解約してしまい、使われていない瓶山の番号が表示されている。

そういえば……昔ふざけて音声案内のマネをしたことがあったことを思い出した。
そう、捜索の現場から引き上げるときだ。
匿名を積み忘れたあの時の瓶山の怒った声。今思い出しても笑える。
あのやりとりも懐かしい。

……ああ、ダメだ
何もかもが瓶山につながってしまう。
忘れようとするほうが無理なのだ。
板ミは苦笑した。


「消せるかよ…バカヤロ」
肩を竦め、結局またそのまま携帯を閉じる。
消去することはもうやめた。

「忘れたくねぇよ…瓶山…」

携帯を握り、ぎゅっと目を瞑る。そしてゆっくりと息を吐いた。

そうだ、こんなことで自分を見失うべきではない。 <> 木目木奉  板ミ→瓶山 4/4<><>2008/12/19(金) 10:06:16 ID:XLK08D+M0<> 再び両手で頬を叩き、自分を奮い立たせる。
死んでも化けて出るといった相手だ。
生きてりゃ必ずまた会える。

そうだ、次に会うときは瓶山を顎でこき使う時。
出世した自分を見せてやる。

新たな決意を胸に意気揚揚と少しだけ足音を強く立てながら瓶山と別れた廊下を歩いていった。



「あ…先輩…」

一課に戻ってきた板ミを見て、背利沢が声をかける。
板ミは顔を顰めたまま背利沢の方へ歩み寄ると

「何ぼけっとしてんだコラ!背利沢ァ!鑑識行って例の資料取ってこい!」
力強くその頭を叩いた。

「でっ!!!…ぁ!?は、はい!!」
叩かれた背利沢は頭を押さえながら訳もわからず走りだす。

「・・・訳わかんねぇぇぇ〜!!」
思わず不満を口にするが、拳を振りかざし威嚇する板ミを見てあわてて一課を飛び出していく。

「やぁっと戻ってきたか…」
板ミの様子になにかを悟ったのか、身裏はその様子を見て軽く笑ったのだった。

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