名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/12(月) 22:09:40 ID:gzvdm7g0<> モララーの秘蔵している映像を鑑賞する場です。
なにしろモララーのコレクションなので何でもありに決まっています。


   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   すごいのが入ったんだけど‥‥みる?
   |[][][]__\______  ___________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  |      |/
    |[][][][][][][]//||  |  ∧_∧
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ||  | ( ・∀・ ) _
   |[][][][][][][][]_|| / (    つ| |
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄    | | |  ̄
                    (__)_)


モララーのビデオ棚in801板11
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1130935511/
 ローカルルールの説明、およびテンプレは>>2-6のあたり

保管サイト(お絵描き掲示板・うpろだ有)
http://moravideo.s57.xrea.com/ <>モララーのビデオ棚in801板12 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/12(月) 22:10:11 ID:gzvdm7g0<> 1.ノンジャンルのネタ発表の場です
書き込むネタはノンジャンル。
スレ違い/板違い/鯖違い/メディア違い問わず、ネタであれば何でもあり。
たとえばこんなときにどうぞ。

  どこに投稿すればいいのかわからない‥‥
   ・ネタを作ってはみたが投稿すべき既存のスレが無い。
   ・投稿すべきスレがあるのかもしれないけど、よくわかんない。
   ・クロスオーバーのつもりなのだが各スレ住人にウザがられた。
   ・みんなの反応を見たうえでスレ立てるべきかどうか判断したい。

  投稿すべきスレはあるが‥‥
   ・キャラの設定を間違えて作ったので本スレに貼れない。
   ・種々の理由で、投稿すると本スレが荒れそう。
   ・本スレに貼る前にあらかじめ他人の反応を知って推敲したい。
   ・本スレは終了した。でも続編を自分で立てる気がない。

  ヘタレなので‥‥
   ・我ながらつまらないネタなので貼るのが躊躇われる。
   ・作り出してはみたものの途中で挫折した。誰か続きおながい!

迷ったときはこのスレに投稿してね。
ただ、本来投稿すべきと思うスレがある場合は
それがどのスレで(ヒントで充分)、しかしなぜこのスレに貼ったのか、
という簡単なコメントがあるとよい。無いとカオスすぎるからね。

ナマモノは伏せ字か当て字を推奨。
それ以外は該当スレのローカルルールに沿うか、自己判断で。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/12(月) 22:10:33 ID:gzvdm7g0<> 2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリーAAであろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。

  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
  | いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
  \                           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                               | | [][] PAUSE
                ∧_∧         | |
          ┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ      | |
          | |,,  (    つ◇       | |
          | ||―(_ ┐┐―||        |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |
          | ||   (__)_), ||       |  °°   ∞   ≡ ≡   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/12(月) 22:10:55 ID:gzvdm7g0<> 3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。
別に義務ではないけどね。
とりあえず用意したテンプレ。

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  モララーのビデオを見るモナ‥‥。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  きっと楽しんでもらえるよ。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   | <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/12(月) 22:11:38 ID:gzvdm7g0<>  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも
 |
 | ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ
 | ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送
 | ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像
 | ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ
 | ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像
 | ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像
 | ・意味不明、出所不明な映像の切れ端
 \___  _____________________
       |/
     ∧_∧
 _ ( ・∀・ )
 |l8|と     つ◎
  ̄ | | |
    (__)_)
       |\
 / ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 媒体も
 | 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど
 | 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。
 \_________________________ <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/12(月) 22:12:00 ID:gzvdm7g0<> 携帯用区切りAA

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

中略

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

中略

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/12(月) 22:12:30 ID:gzvdm7g0<>    |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   じゃ、そろそろ楽しもうか。
   |[][][]__\______  _________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |       |/
    |[][][][][][][]//|| |  ∧_∧
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ )
   |[][][][][][][][]_||/ (     )
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   | | |
              (__)_) <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/12(月) 22:17:42 ID:Dy9G1tuR<> >>1
滑らかなスレ立て深く乙です。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/12(月) 22:19:09 ID:R0UzcqmF<> 乙いち <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/12(月) 22:27:37 ID:4o9nGBb6<> >1乙〜 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/12(月) 23:00:41 ID:YXTyWuyt<> ビデオってのはさ、夜中に突然見たくなるものなのよ
ネタ、ネタをくれよん <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/12(月) 23:07:36 ID:iWObbrkU<>
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    | >>1さん乙です。早速失礼しまつ。 
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  前スレに投下した飴プロ(VVVVE)ゼリコ×今日中、その後。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 新スレ汚シダナ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<> はじめに<>sage<>2005/12/12(月) 23:12:08 ID:iWObbrkU<> ※クソ長文です。ご容赦ください。
※文中に、ちょっとだけですが去年の祭のエンディングに触れている箇所があります。
 これ読んで抵抗感とか感じる方は、見なかったことにしてください。
※捏造なんで軽い気持ちで読んでいただければ幸いです。

では、どうぞ
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> summertime blues 1<>sage<>2005/12/12(月) 23:15:58 ID:iWObbrkU<> 俺とヘツさんの初試合、結果は惨敗だ。
もともとプロレスってやつは結果はおろか、トーナメントで誰が勝って誰が負けて…って筋書きまでが決まってるもんだが、試合の勝ち負けじゃない。
対峙して実感させられる、器の違い。
敵わない、という事実を、顔を殴られるのと同じ衝撃で思い知らされたんだ。
そりゃそうだ、経験から言っても向こうの方が上だ、普通に考えても答えは簡単に出る。
しかし頭でいくらシミュレーションしようが、悟った振りをしようが、実際に体験することとそれらには、雲泥の差がある。
焼けた鉄が腹の中にあるような激情。抑えようがない屈辱は、涙になって溢れ落ちた。
同時に、彼と戦えたという興奮が、それとグチャグチャに混ざり合い、俺の感情はバーストを起こした。
本当は試合終了後にちょっと台詞を喋らなきゃいけなかったのに、俺はその感情に負けちまった。
カメラが待機していたにも拘らず、それをみんなブッちぎって廊下を突っ切り、控え室に直行した。
部屋に篭ってひたすら泣いた。後で当然ガツンと怒られた。
ガキだよな。かなりガキ臭いな。
しかし、俺はレスリングの世界に身を投じる覚悟を、改めて腹に据えることができた。これで終われねえ。
きっと俺はまたこの人と試合をする。次こそは俺が試合を奪う。絶対に負けねえ。
収まらない悔しさと、夢が叶った歓びが、俺の涙腺を壊していた。
「これは運命だ」と頭の中で言葉が際限なく巡る。目を横に移し、鏡に赤く腫れた顔が映ったのを見る。
みっともねえ、だが知ったこっちゃねえ。けっしてこの日は無駄にしない。
いつかきっと俺は運命を自分の元に引き寄せてみせる。これは運命だ。久リス。



<> summertime blues 2<>sage<>2005/12/12(月) 23:17:19 ID:iWObbrkU<>

それから俺は、年をとった。

電話があったのは、収録を終え身支度も済ませて、帰る途中のことだった。
夜も更けたというのに温度は少しも下がらない。
まだ俺は会場内の裏口へ向かう通路を歩いている途中で、いつものようにクタクタだった。
いつものように少し「うぜえな」と思いつつ、ジーンズのポケットに突っ込んでいた電話を取り出す。
硬い生地が手の動きを邪魔して、不快な気分に拍車がかかった。
汗のせいで肌に張り付くデニムがよりいまいましく感じられる。ついでに暑い。
それも会場内の湿気のせいですっきりしない暑さだ。
もう会社の人間と段取りつけることは残ってないし、大概の挨拶も済ませた。
大体今は帰還中だ電話はお呼びじゃない、誰だ面倒くさい…
かといってシカトするのもまた面倒くさいことになる…そうダラダラ考えているうちに、惰性で画面を
開いていた。
発信先を確認する。
…ヘツワ。
「はい」
気付いたら既に電話は耳元で、しっかり受話ボタンも押して声を出していた。
さっきまでの雑念は電話をかけてきた人物の名前を認識した瞬間にあっさり消えて、俺の行動は脊椎反
射的に始まっていた。
「もしもし?」 <> summertime blues 3<>sage<>2005/12/12(月) 23:20:03 ID:iWObbrkU<> 声は平坦に、平静を失わないように意識する。
「ゼリコ?」
とはいえ受話器から発せられる、音が低い割に柔らかいその声を聞いた瞬間から、もう俺の声はまちが
いなく笑っている。
ああ駄目だこれじゃ、誰相手でも、腹の中に感情を全て溜めて喋ることができると思ってたのに。
「ヘツさん?」
「ああ。今大丈夫か?」
俺の声が和らいだのを受けてか、ヘツさんの反応に、電話かけはじめの時特有の硬さが消えた。
元気そうだ。そりゃそうだ、この人は昨日元気に仕事場に顔を出していた。
P/P/Vでバカみたいに短い試合を終わらせ、さっさとヌマックダウソのチームに合流して去っていった。
つい昨日同じ会場で、俺はこの人の肉声を聞いていたのに、やけに懐かしくて嬉しい。
別にそんな疎遠な訳でもない、連絡もそれなりに取り合ってる、とはいえ予想していなかった突然の着
信だった。
俺はさっきまでズルズル引きずっていた鞄を、横の壁に軽く蹴飛ばして横倒しにする。
その上に、ドカッと盛大に腰を下ろした。
電話を耳に当てている側の髪をすこし掻き上げ、耳にかける。
通路の先にあるシャッターは開いているのに、風は全くなく、相変わらずうだるほど蒸し暑い。
「全然大丈夫」
「悪いな、帰る支度している途中じゃなかったか」
「あーマジで問題ないって」
「すぐに終わるよ」 <> summertime blues 4<>sage<>2005/12/12(月) 23:22:04 ID:iWObbrkU<> 終わらなくていいよ、ずっと喋っててくれよ。そう言う代わりに、壁に凭れて俺は話を聞く体制に入る。
些細な話題でもいい。無下に話を引き伸ばすつもりもないけど、そんな簡単に済ませてほしくもない。
いや簡単に済ませてくれてもいい、とにかくこの電話は嬉しい。
「……今日の放送、見たぞ」
話しかけてきた内容がちょっと、胸を僅かに刺すような内容でも、だ。あくまでも僅かに、だけどな。
今日の放送を最後に、俺はしばらくこの団体を離れる。ビンスと話し合った結果だ。
ビジネス的円満な空気をもって話し合いは終わり、俺は待ちに待った半永久的執行猶予を手に入れた。
これからちょっとプライベートなオフを経て、俺は長年の夢だったフォヅーのライブツアーに出る。
多分ヘツさんは、それを知って電話をくれたのだろう。声のトーンが少しだけ下がったのは、簡単には
聞けない話題に触れていると、ヘツさんが感じてる証拠。
……同件で、ホテルに戻ったら俺から連絡しようとは考えていたんだが。
「あ、見てくれたの?」
で、俺はといえば特に突っかかる必要もないから、特に当たり障りなくさらりと返答する。
「ああ」
「今日そっちはショーなかったんだ」
「移動日だったからな」
「そっか。どうだった?」
「いい仕事だったぞ」
「嬉しいな。最後の俺、かっこよかっただろヘツさん」
これはちょっぴり冗談だ。
なぜかというと番組の後半テレビに映ってたのは、ボロボロに泣き叫び、恥も何もなく上司に許しを乞うて、挙
句セキュリティに連れ出される哀れな男の姿。
現王者のツナを解雇に追い込むつもりが、試合に負け逆に解雇宣告され、俺はストーリー上で、この団体か
ら姿を消す事になった。 <> summertime blues 5<>sage<>2005/12/12(月) 23:24:14 ID:iWObbrkU<> しかし、この冗談にヘツさんは
「ああ。お前は本当に凄いよ」
と、ためらいもせず素直に感嘆してくれた。
一言一言噛み締めるような口調。照れ笑いすらその声からは読み取れない。
昔からだ。この人は、冗談に対して、時に素で返答する。
そこは笑うとこだよと思いつつ、この子供並みの実直な反応に、自尊心をくすぐられる俺も居る。
この人にこう評価されることで、どれほど浮き足立つことだろう。
そして、その冗談の通じないこの人のサマが、どこか可笑しくて、好きだ。きっと電話の向こうでも、あの大きく
て青い瞳をぱちぱちさせて、真顔で答えたに違いない。
「マジで?」
「ああ。いつもながら大したもんだよ」
「惚れてくれた?」
……さすがにこの冗談は苦笑で返されたけどな。
話は俺とツナの試合に及び、そこで少し白熱した。
俺がひとつ主張を出したら、それにこちらが黙り込むほどに真剣にヘツさんは意見を返してくれ(1を求めたら
間をあけて20返ってくるってとこだ。俺の質問に腕を組んで考え込む姿が目に浮かぶぜ)、そこから古き良き
時代の試合の話に発展したりして(例え話題がループにしようが、彼とこの話をするのはいつだって好きだ)。
これは本格的に長くなっちまうかと思い、俺は通路から離れた、すこし物陰になった所に移動した。
バッグをがたがた鳴らし、足で障害物をどけ、再び腰掛ける。無造作な物音は、電話の向こうに居るヘツさん
まで届いたようだ。
「済まん、いいかげん帰る支度しなきゃいけないか」
「あー全然余裕。会場はもうしばらく閉まらないし、今日の移動はないし」
「そうか」
えー…と、とヘツさんが言葉をつなげようとしていた。
「ん?」
「え、ああ…」
言葉が宙に浮いて迷っている。どうしよう、困ってるよこの人、困ってる。 <> summertime blues 6<>sage<>2005/12/12(月) 23:29:58 ID:iWObbrkU<> 「何」
「その…なんだ。口ウ、のみんなは元気か」
口ウという単語が、分離したかのようにぎこちなく耳に響く。
不自然な話の振り方に、背中がむずかゆいような気分になった。この人はどうしてこうも分かりやすいのか。
本当に口にしたい事にはなかなか触れられず、くすぶっているのが感じ取れる。さっきの雑談とは打って変わ
って、急にヘツさんの口調の歯切れが悪くなっている。聞いているこちらとしてはもどかしいが、ま、言いにくい
話題ほど前置きを長くしたくなるもんだし。大方、俺の休暇の件だとは思うが。
…ヘツさんにはまだ詳しく話していない。会社にはしばらくの間レスリング以外の仕事に専念したい、としか話
していない。
それ以上のことを、ピンス以外の人間に報告する必要もない。外野は好き勝手に騒いでいるが知らない。
俺はさらりと返答し、ヘツさんのお茶を濁した雑談に合わせた。
「うん。そうだな、みんな相変わらずだぜ」
「そうか」
「でもみんなヘツさんが突然居なくなったときは、寂しそうにしてたよ」
「…そうか」
「力一トなんかウケるぜ、こっち来てからけっこう愚痴ってて、『僕が移籍するのはいいんだけどさ、なんでヘツ
ワまで向こうに移籍されちゃうんだい』って」
「ハハ、そうか」
ひとしきり笑って、俺がその流れを続けようとした。で力一トの奴、いつもの事だけど喋りだすと止まらなくて…
――おい、とヘツさんが唐突にそれを遮った。
ああもう!なんでそんなタイミングの取り方悪いんだよあんたは!何か言いたいことあるんだろ!何か言い
たそうにしてるの伝わり過ぎてしゃあねえよ!
面白いほど不器用な話の繋ぎっぷりに、この人は本当に相変わらずなのだと、自分がヘツさんと会話している
実感が深まる。
俺は話を止め、沈黙で先を促した。
その…とクッションを置き、彼は一単語一単語選ぶようにして、たどたどしく聞いてきた。
「今日で、しばらく…お前は休むんだよな」
おー、ビンゴ。 <> summertime blues 7<>sage<>2005/12/12(月) 23:32:02 ID:iWObbrkU<> 「ビンゴ?」
ヘツさんが敏感に察知し、声が曇った。――あ、やべ、思ってたことがそのまま口に出ちまった。
「どういう意味だ」
「ごめん、今の忘れて、でもヘツさんが電話してきてくれたのって、その事だろ?」
「……まあな。そうか、分かるか」
ぼそぼそとヘツさんは呟く。あんな言いにくそうにしてちゃ嫌でも気付くよ、という突っ込みは置いておく。
静かな苦笑が受話器からこぼれた。それは俺への返答というよりは、自嘲のようで。
「わざわざ有り難う、ヘツさんに気にしてもらえて嬉しいぜ」
「周りからも言われてるだろう、鬱陶しかったかもしれないな」
「そんなことないよ」
そう、少なくともあんたに関しては絶対に。
「フォヅーか」
「先にそれだね。ヨーロッパ回ってくるぜ。案外そっちのツアーと偶然日が被るかもな」
「どれくらいだ?」
「ツアーの方は少なくとも年末いっぱいは考えてる。満足行くまでやり通して、リフレッシュしたいね。戻ってき
たらヌマックダウソに行きたいな」
「そうか」
「会社が俺の席つくってくれたら、だけど」
わざとらしく手を口に遣り、唇をとんがらせて小声で冗談めかす。人気はもうまばらだから聞かれる心配も無
いが、真剣にそう考えているわけじゃない。
…ま、何が起こるかはわからないとしても、場所を作る自信はあった。W/W/Eの中でも、極論、T/N/Aでも、どこ
のインディでもいい、別に上を目指してるわけじゃない、相応の居場所を得ることは難しくないと思った。
自信、という言葉を必要にしないくらいには素直にそう思っている。このジョークな顔を作るのと同じような自然
さで、そう思っている。
「――馬鹿を言うな」
突然、それまでの緩んだ空気と一転し、急に彼の声は硬く強張ったものになった。
その改まった口調に俺は思わずえ?と普通に聞き返してしまう。
ヘツさんは、淡々と続けた。
「会社も、皆も、お前を待っている。だから、ちゃんと戻って来い」 <> summertime blues 8<>sage<>2005/12/12(月) 23:34:55 ID:iWObbrkU<> 「……」
「冗談でもそんな事は言うな」
「……急に、どうしたの?」とゆっくり聞き返すあいだに、脳みそを奮い立たせ、フル回転させる。
これもこれで例に拠った空気のぶった切り方だが、今の口調はちょっと半端じゃない。何、どうしてヘツさん急
にキレる訳?しかし正しい答えは見つからない。
そして俺は感情に言葉を任せてしまう。
「――別にこの仕事辞めるなんて言ってねえし。つか俺ヘツさんにまだ何も話してねえじゃん」
…最も、俺がW/W/Eをやめるとかやめないとかで盛り上がってる連中をさらに焚きつけようと思って、サイトを
編集してもらっているヤツに頼んで、本当にこの団体を辞めてT/N/Aにでも行くと思わせるような、ちょっとした
いたずらをする予定はあるが。
それはあくまでネットに釣られやすいファンに油をたっぷり注いでやることで、奴らの気分を盛り上げてやる為
だけの話で。ヘツさんを困らせてやろうとは思っていない。
もしヘツさんが、他の外野につられているとしたら、それは少し失望を覚えるものだった。
ヘツさんに何も言わなかった俺が悪いのに、彼の言葉に押し付けがましさを覚え、苛立ちを呼ぶ。
あんたに関係ねえだろ、と。我ながら軽率なもんだが、苛立ちはまちがいなく、この声に表れた。
息苦しい沈黙。
俺はさっきまで少し忘れていた鬱陶しい暑さを再び覚える。ああ、もう、うざってえ。
…しばらくして、そうだな、とヘツさんが朴訥な声で呟いた。
いや、ごめん。呟くこの掠れた声は受話器の向こうに届いただろうか?
「でも、」
「……」
「お前は、…凄いヤツだ、お前にしかないものを…もってるんだ、また試合がしたいと思えるような奴なんだ、
お前は」
やけにぶっきらぼうに、ときどき噛みつつヘツさんは続けた。俺はただ聞いていた。
「うん」
「お前がいるといないとで、この団体のレスリングは随分違ってくる」
「うん」
「だから…ゼリコ、」
「…うん」 <> summertime blues 9<>sage<>2005/12/12(月) 23:37:06 ID:iWObbrkU<> 相槌のトーンは変えない。疲れをふと覚えた。今聞こえる言葉が、愛しくもあり、遠い。
別にヘツさんが煩いわけじゃない。そんなはずが無い。
ただ、たまに、この人をやけに遠いと感じることがある。しかしそれは俺の錯覚ではなく、拭えない事実として
存在している。そしてその遠さに、ぼんやりとした諦念感をいつも覚える。
俺はレスリングではこの人には永遠に敵わないが、この業界で彼が永遠に俺に勝てない分野を俺は見つけ
たし、俺はそれを更に研ぎ澄ませていける。そして俺はレスリング以外でも生きていく手段が欲しいし、それ
ができると信じている。
そして多分この人にはレスリングしか、…試合するしか、生きていく道はない。この人はレスリングへの情熱
だけをかざして、全てを捧げて突き進んでいくんだろう。
しかしこの人はきっとそれが当たり前で、きっとそれだけで生きていける。
彼はそれほどの人間だし、何よりこの人自身が、それができると信じているのだ。
…そしてこの人の内側の炎を、俺は持たない。
自分と他人とは違う、当たり前の事実を頭に繰り返しても、無力感は消えない。心地よい敗北感を感じることも
あれば、絶望も感じる。レスリングに対し、目も眩むような感情の起伏を絶えず感じていた昔の自分は、もは
や記憶でしか俺の中に残っていない。
ああそういえば長期休暇を思いついたときに、あんたについて、少し寂しいような気持ちで考えたことを思い出したよ、ヘツさん。
彼は話を続けた。
「だから……」
「え?」
「いや、だから俺の、…俺のDVDでの、アレだ」
もごもごした口調。声質が災いして、余計くぐもって聞き取りづらい。こちらが聞き返すほどに、更にヘツさんの
言葉の歯切れが悪くなった。アレって?と聞きつつ俺は身体を傾け携帯電話を耳に押し当てる。 <> summertime blues 10<>sage<>2005/12/12(月) 23:40:12 ID:iWObbrkU<> 「おま…ッ!覚えてないのか!お前が言った事だろう!」
押し当てたらいきなり受話音が割れるほどに力一杯怒鳴られたもんだから、耳を受話マイクから遠ざける。
「ちょ…、ごめん、アレって?」
キンキンする耳を押さえて、もう片方の耳に電話を移しかえる。
「本当に覚えてないのか!…その、お前が最後に言ってたことだ」
「ごめん分からないヘツさん」
「……、言うな」
「ごめん、真剣に何て言った?」
ヘツさんの息を飲むような声が聞こえる。
「…………あれくらいで、引退してもいいと思ったなんて、言うな」

「……あ、アレ?八ードノックスの俺のインタビュー……」
どうもヘツさんが気にしていたことは、俺が考えていたこととずれていた様だ。
一瞬で記憶は蘇り、その言葉の意味を得る。




…あの美しい円形のガーデンで、リングの上で祝福し合う二人を見て、俺はもうレスリングを引退してもい
いと思った。
そしてヘツさんのDVDに収録すると言われたインタビューで、あのとき心に浮かんだことをそのまま告げた。
会社の人間が必ず見るとか、ヘツさんも見るとか、そんな予測に不安は少しも感じなかった。 <> summertime blues 11<>sage<>2005/12/12(月) 23:45:23 ID:iWObbrkU<> 正直に思ったんだよ。俺はもうこの団体で…レスリングでやりたいことは大体やったし、ベルトも獲ったし、自
分が大体どれくらいの高みまで行けるか見当もついたし、それ以上の高さに行けない見当もついてきた。
この仕事は好きっちゃ好きだが、別の人生についても考えてもいいころだ、と。他に挑戦したいことも出てきた。
踏ん張ってまでこの力の渦の中に飲まれている気概はもう俺にはない。正直、疲れた。
それでも、唯一つ、俺が一度だけとはいえ頂点に立ったにも拘らず、ヘシさんが未だに報われない事だけが、
心残りだった。
そう思い始めてどれくらい経ってからだろう…あの人が、遂に勝ち得たベルトを抱えてボロボロ泣いている姿
を見たとき。…初めて見たんだ、あの人があんなに泣きじゃくるのを。
普段は真っ直ぐ過ぎる瞳で、味気ない程に曲がらない態度で、自分は強いと信じていた人が、試合ができる
だけで幸せだと繰り返していた人が、子供のように顔をくしゃくしゃにして、泣き崩れていた。
工ディと、家族と喜びを噛み締めあう姿が、スポットライトの白光とともに共に滲んで見えた。
観客は俺とヘツさんの味方で、ヘツさんが全てを覆したのを見て、拳を天に突き上げた。雷のような喜びが会
場に満ちていた。世界へビ一級王座のベルトは、W/C/Wで使っていたデザインそのままだったにも関らず、輝
いて見えた。この祝祭が筋書き通りでも、そして一瞬のものであっても、会場に満ちる歓びは、永遠に彼に保
障されているように感じた。
そのとき彼に伝えたいことは千以上あるように感じられたが、実際どう言えばいいか分からず、結局その日の
バックステージでも、その後の番組収録で一緒に仕事する事があっても、今に至るまで殆ど伝えないままだ。
いや、そもそも伝えたい言葉なんかひとつも存在せず、ただただ胸が一杯だったんだと思う。
…俺は自分にとってのレスリングと、ヘツさんという存在を、切り離して考えることはできない。ある日俺はヘツ
さんに夢を見た。ヘツさんへの批判は、俺への批判に似通っていた。俺はいつかこいつらの鼻を明かしてやり
たいと考えた。俺だけでなく、ヘツさんもこいつらを否定する日が来ればいいと思った。
そして彼はレッスノレマニアでのあの瞬間、俺自身の積年の夢をも確かに叶えた。 <> summertime blues 12<>sage<>2005/12/12(月) 23:48:39 ID:iWObbrkU<> 本当に嬉しそうな彼を見て、俺は満たされたんだ。疲れた身体でぬかるみの中を生きるような毎日から、その
瞬間一気に掬い上げられた。
そして「全部終わってもいい」、そう素直に思ったんだ。
恐らくこのとき、俺の中でレスリングに対する気持ちにも、一区切りがついたのだろう。

――これから100年先のレッスノレマニア120になったって、「100年前に久リス・ヘツワはM/S/GでH/H/Hをタッ
プさせてタイトルを奪った」って言われるんだ。
翌日、ヘツさんがインタビューでそう語ったのを見たとき、突然彼を、その場にいない彼を力の限り抱きしめた
い衝動に襲われたのを覚えている。平べったいブラウン管の向こうにある、自信に満ちた歯抜けの笑顔が心
臓を掴み、俺は泣きそうになっちまった。
そう、これだよ。夢が叶った実感。俺があんたをずっと見ている間にいつの間にか抱いてた夢。
俺が憧れるほどの人が。俺の運命を変えるほどに凄い人が。
俺の愛してる人が、幸せにならないなんて絶対おかしいんだよ。



 
「…話題に出すの遅くない?」
「うるさい」
「だって去年の話じゃん」
「うるさい」 <> summertime blues 13<>sage<>2005/12/12(月) 23:53:27 ID:iWObbrkU<> 茶化しながらも思いは募る。俺の言葉を、ヘツさんはどんな顔で聞いていたのか。苦笑してくれたのか?眉を
八の字にして押し黙り、真剣に困ってくれていたのか?
「引退なんてこの業界じゃほとんどありえないこと、ヘツさんも知ってんだろ」
「だからってな」
「…ごめんな」
声は自然に、平坦になった。
「……」
でもあれは正直な感情だった。あんたが頂点に立つことで、俺が信じてきたものも丸々肯定された。
それで十分だ。それで俺は救われた。
「でもごめん、前から言おうとは思ってたんだけど」
自分の唾を飲む音が、頭の奥で聞こえる。
そういやヘツさんに初めて会ったときも緊張を覚えた。それに比べてこの僅かな、あまりに僅かな緊張。
番組でアングルこなす以外に、ケジメをつける場面があるなんて考えてなかったけど。
「しばらくレスリングは休むよ。他にやりたいことがあるんだ、真剣に考えた結果だよ。レスリングをやめはし
ないけど、でもいつ戻るかは決めてないし、解らない。ピンスがいる限りはここに戻りたいとは思うけど」
「………そうか」
ヘツさんは静かに聞いていた。
ああ、俺はこのことをヘツさんに話していなかった。苦い実感が喉を締め付ける。別に俺がレスリングを始めた
り辞めたりするとき、ヘツさんに報告する義務なんかないが。
そして多分彼なら『お前の人生だから』と答えてくれただろうけど。
「……お前なら、きっと成功するよ。お前の人生だ。お前が幸せになるようにするべきだ」
ほら、ビンゴ。ちょっと嬉しくねえけど。
「うん」
「また連絡する。気をつけろよ」
「うん」
……沈黙が降りた。
「…じゃあ、切るよ、ヘツさん」
「ああ。帰る途中に悪かったな」 <> summertime blues 14<>sage<>2005/12/12(月) 23:56:27 ID:iWObbrkU<> 「それじゃあな」
「――ゼリコ」
俺がシメに入ろうとしたのに、この人はまた例によって唐突なタイミングで話しかけてきた。
「なに?」
「……その、何だ」
「何だってよ」
「……寂しくなるな」
耳に張り付く、その優しい声。
やべえ、何言ってんのあんた。そんな声出すなよ。顔見たくて仕方なくなるだろ。我慢できなくなっちまうからこ
ういうの嫌なんだって。
「だからさぁ、ヘツさん」
ん?と返す声に力がなく、折れそうになる。しかし続ける。俺の声は平常だ、声には出てない。いい仕事だ。
「引退じゃないっつの。いつとは言えないけど戻るときはふっつーに戻ってくるってよ、仕事」
「…そうだな」
「ツアーでそっちの近く回ったら、遊びいくし」
「ああ」
「でも寂しくなったらいつでも呼んでくれよ、夜は眠らせないぜ?」
「何言ってるんだ」
笑い声が戻った。こういうことを言えば大抵笑いは戻る。
俺はそのまま軽いノリで、お気に入りのジャパニーズ・ホラームービーのジョーク(気の置けない連中には何
度か試し済みだ)も披露した。
「うーずーまーきー」
「怖くて眠れないのか」
彼は笑って流す。こういうネタを出したとき、この人は笑ってはにかむか、怒って黙り込むかの二択だ。
いっそ冗談に乗って喋るほうが茶化しやすいのに、この人はなんでそれができないのだろう。ま、そこが好き
なんだけど。
そしてぶっちゃけ流してほしくないんだけど、な。 <> summertime blues 15<>sage<>2005/12/13(火) 00:01:25 ID:epHuld8G<> 「じゃあな、ヘツさん」
「ああ」
そして俺は茶化した空気を保ったまま、電話を終わらせることができた。


俺は一息つく。
相変わらず暑いことには変わらないが、消極的に開き直った気分のお陰か、それほど忌々しくは無い。
暑いのと同じだ、どうもがいても、この諦念と喪失感をどうにもできないことを俺はもう知っている。
なにをどうしても、あの転げ落ちるような激しい日々は戻らないが、俺は明日から別の世界に挑むわけで。
嬉しいことに、そこで懐古してる暇は多分、あまりない。
残念だがそこにヘツさんはいない。俺はそれでいいと思ってる。
とかいいながらさっきのヘツさんの言葉に苦しくなったりして、笑えるよな。別にこれでサヨナラってわけじゃな
いけどよ。
――ま、仕方ねえな。
口の端で笑う。
しばらく座り込んだまま、俺はヘツさんのことを考えながら、高い鉄骨の天井のずっと上のほうを、ぼんやりと眺めていた。

が、
「…そこで何してるの、君」
声の方向を見ると、デカい旅行用鞄を片手に引き摺る力一トがいた。
通りがかりの彼は、鳩が豆鉄砲を喰らったような顔で俺を見ていやがった。
俺はその瞬間、一人で居るときの表情としては非情に怪しい顔を、人に見られたことを悟る。



どう誤魔化せってんだよ、このシチュエーション。やれやれ、ほんと仕方ねえな。

<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/13(火) 00:04:58 ID:epHuld8G<> ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ つーか今冬だし
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

今年の夏投げの翌日から書き始めてたんですが…orz
伏字一部忘れたりポエム入ってたり(ry ま、捏造ってことで。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/13(火) 00:36:15 ID:fYva4dSE<> 姐さん超GJ!
前スレのに引き続いて今回のも禿萌えた
ヘツさんかわいいなw <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/13(火) 01:23:35 ID:2vXrkmN2<> 針金69 O上×69 です。 今日の日記が、あまりにもな内容だったので、一気に書きました。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )トリイソギ、ジサクジエンガ オオクリシマース! <> 1/4<>sage<>2005/12/13(火) 01:24:23 ID:2vXrkmN2<> 楽屋で、アイツが怒っているのを見るのは、久しぶりやなぁ、と、俺はぼんやりと考えていた。
他人事のように、ぼさっと立ったまんま、アイツの背中を見ている。
子供のように、壁に向いて座って、ただ黙っているだけで、全身から怒っている気配が
読み取れてしまうアイツ。
そりゃまぁ、怒る気持ちも分からんでもない。だって、俺も悔しいもん。
『年末、テレビで会いましょう』って、ファンに言うた。
男は、言ったことは守らなあかん。
俺は必死で頑張った。夜も眠れないぐらい…色々考えて、頑張った。O上にも、それを望んだ。
O上も、それに答えてくれて、そして…結局、負けてしまった。
しかも、普通に負けたんじゃない。
自分達で思うぐらい渾身の出来の漫才やって、他人から「一番面白かった」と言われ、見知らぬ人に
握手を求められて、自信一杯のはずやったのに、負けてしまった。

『まだ敗者復活ありますから、結城さん…』

そういえば、準決勝での落選を伝えた時の、マネージャーの声は、寒々しく響いていた。
3回戦で敗退した時、『でも敗者復活があります』と言った時は、マネージャーの声も、希望に
満ちていた。絶望的な状況やったのに、奇跡を起こすような声やった。実際、奇跡が起きた。
しかし、今回は、そのマネージャーの声さえ、寒々しい。
俺はそれを聞いて、逆に奮起した。このままにしてええんか、と。
よっしゃ、敗者復活に挑戦して、目にもの見せてやろやないか、って思えた。はずなのに。
相方が、「こんなアホな審査するような番組、出るんか! 俺は準決勝の審査に納得いかへん!」
と言い出したら、弱い。 <> 2/4<>sage<>2005/12/13(火) 01:25:29 ID:2vXrkmN2<> 「O上、聞けや…」
俺の声まで、いつのまにか、どこか寒々しい響きをもってしまっていることに気づいた。弱いな、俺。

なあ、準決勝の漫才、最高の出来やったな。
終わった後、握手したん覚えてるか?
お前とこの握手するために、ここまで頑張ってきたんや、って思えた。
本当に、いい漫才したよな。ツッコミも何もかも、最高の出来やった。
今度こそ、優勝しようって決めてたのにな。
なぁ、さすがに2回は奇跡起こらへんやろか…。

色々な言葉が頭をよぎる。よぎる内に、俺の胸や頭が、弱気で一杯になった。
二人で漫才をやって、笑いを取ることが、二人でいることの意味で。
それだけのために、俺は全力をかけて、つっぱしってきた。
不安なのは、売れなくなることでも、敗者の汚名をきせられることでも、会社に捨てられることでも
何でもない。俺が不安なのは、お前とコンビ解消することや。
なぁ、O上。絶対優勝するって言ったのに、負けてしまったけど、まだ俺と一緒にやってくれるんか?
<> 3/4<>sage<>2005/12/13(火) 01:26:35 ID:2vXrkmN2<> ふと、O上が、ふりむいた。
「…ほら、お前、泣いてるやろ」
O上が、あきれたように、妙に優しい低い声でつぶやいた。
俺は、それを聞いて、「何を言うてんねん。泣いてへんわ」と答えようとして、変な声が出た。
のどがひきつってるみたいに、言うことをきかない。口がわななくだけ。
「…お前は、俺が怒らんと、また威勢のいいこと言うて、一人で抱え込んでしまうから」
O上が、つらそうに笑った。俺は、手近にあった椅子に座り込んだ。音がいやに大きくなる。
「お前…敗者復活出たいか? 本気で答えろ。今やったら、俺のワガママってことで、やめれるから」
O上が、さらに優しくささやいた。俺はかぶりをふる。そんなことありえない。
「なら、出るか? お前、本当にやりたいんか? よく考えて答えろよ」
たたみかけるように、O上がささやく。
俺は、まわりの空気に押しつぶされるように、どんどん自分の体が小さくなっていくように感じた。
「…それでも、出たい。俺は、舞台に立ちたい」
俺は、負けないように、声をしぼりだす。しかし、その声は、思った以上に小さかった。
気がつけば、床にポタポタと涙がこぼれている。俺の涙か。かっこ悪。
O上は、それでも、泣いてる俺をちゃかさず、ただ黙って、俺を見ていた。

声をあげて泣きたいのをおさえて、俺はうつむいて、悲しみか怒りか悔しさか分からない感情が、
おさまるのを待った。それは、しばらく俺の中で荒れ狂って、ふいにおさまった。
涙が止まったので、俺は顔をあげる。そして、質問を口にした。 <> 4/4<>sage<>2005/12/13(火) 01:27:04 ID:2vXrkmN2<> 「O上…。お前、人のために、自分殺せるか?」

O上は、少し考えた後、うなずく。
「ん。まぁ、家族のためなら死ねるな」
予想していた通りの言葉がかえってきた。
「なら、殺せ。俺も、大事なヤツのために、殺すから。だから、敗者復活いこうや」
何のために。誰のために。どうして。自分を殺すのかは、言わない。
でも、O上は、顔をゆがめて、変な笑い顔を作ると、「まぁええか」と言った。
俺は、はずみをつけて、勢いよく立ち上がった。O上も立ち上がる。
そして、握手。
あぁ、この握手をするだけでも、この賞レースに参加して良かったんちゃう?

俺は、涙が少し残る目じりを、手の甲で握ると、O上を見上げて、ニヤリと笑った。
「敗者復活から、優勝や」
O上は、俺を見つめながら、何も言わずにうなずいた。

お前が結婚して、子供できて、俺はお前の何番目になったんか分からんのやけれど、今回の賞でも
何でもいい。俺も、お前とのつながりを、少しでも強くしたいから、頑張ってんねん。
俺が、誰かのために自分を殺すとしたら、それはお前以外ありえへんからな。

俺は、O上の手を強く握りながら、もう一回、涙をぬぐっておいた。もう泣かへん。あとは前に進むだけ。 <> 4/4<>sage<>2005/12/13(火) 01:27:42 ID:2vXrkmN2<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

今日の仕事中に、モヤモヤしていた気持ちが、ふっとびました。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/13(火) 02:05:34 ID:70wJ5P6c<> >31-36
姐さん超GJ!
69日記に続いて、また目から汁が…。・゚・(ノД`)・゚・。
敗者復活、漏れも祈っとります。 <> 鬼畜赤平×江別 1/7<>sage<>2005/12/13(火) 03:20:14 ID:dZPJ0UD3<> 北の大地のバラエティー番組ネタ。
鬼畜な赤平×江別です。
文中のS=赤平、O=江別です。

>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
<> 鬼畜赤平×江別 2/7<>sage<>2005/12/13(火) 03:20:45 ID:dZPJ0UD3<>  出演者である二人には一室が割り当てられている。旅先のビジネスホテル。
二人とも浴衣で缶ビール片手に雑談に興じている。

 仕事とはいえ旅に出るのは久しぶりだった。二人きりで話をするのも。つい
昔話に花が咲いた。Oは熱心に語っていく。Sに初めて会った時の印象、やや辛
辣な評価、そして今も強い憧憬の対象であることも。
 Sは話に耳を傾け続けた。そんなにくつろいだ様子のSの姿を見るのは久しぶ
りだった。
 だから、Oは決して表してはならない想いについて口を滑らせたのかもしれ
ない。Sに対して敬愛の念ではなく、恋い慕う想いを持っていることを。

 唐突な告白だったが、Sは驚いているようには見えなかった。
 しかし、Oは己の言葉に一瞬にして酔いが覚めた。身を硬くして、これから
降りかかるであろう怒声に備える。が、返ってきたのは沈黙と困ったような微
笑みだった。Oは寝そべっていた自分のベッドから降り、立ち上がる。仰向けに
なっているSの横に腰を下ろす。上体をひねり、Sを見下ろす。片手をついて上
体をかがめ、唇を重ねた。ふっくらとした唇は想像していたよりも柔らかく、
夢中で貪る。息をつこうと瞼を開けた。冷たい眼差しが突き刺さった。
「満足した?」
 Sは苦笑を浮かべる。返す言葉を探すOの太腿にSの手が伸びる。浴衣越しにゆ
っくりと撫で回す。Oは痺れたように動けなくなる。それでもSの手は動きを止
めない。そのうちに中心部の昂ぶりに手が至った。 <> 鬼畜赤平×江別 3/7<>sage<>2005/12/13(火) 03:21:16 ID:dZPJ0UD3<> 「こういうコトを望んでいたんでしょ」
 そんなことはない、言いかけたOの手首が掴まれる。Sは手際よく自分の浴衣
の帯を外し、Oの両手首を後ろに回すと帯を巻きつけはじめる。硬い結び目をつ
くると、Oを仰向けに押し倒した。呆然とSの手に身を委ねるしかない。下着を
剥ぎ取られた。Oの昂ぶりは硬く、先端から露を滲ませはじめている。
「ずいぶん元気だねえ」
 からかいの口調はやめない。胸の突起に唇を寄せてくる。同時にOの昂ぶりに
右手が添えられ、上下にゆるやかな動きを加える。Oは声を出すまいと奥歯を噛
み締める。Sはその表情を苦悶の表れとして受け取ったらしい。
「良くないんだ、ふーん」
 左手がOの秘められた箇所をまさぐりはじめる。昂ぶりからしたたり落ちる滴
を指先ですくい上げると、秘所に馴染ませる。何度か繰り返すうちにOから堪え
きれなくなった声がこぼれ出す。ふいに胸への刺激が止まった。
「腕が痺れて痛いでしょ。体勢変えよう」
 ベッドの上でも気配りを忘れないSの性格に感謝するべきなのか、とOは頭の隅
で考えた。
 Sに上半身を引き起こされる。背中の下敷きになり痺れた腕に血流が戻るのを
感じていると後ろから抱きすくめられた。両足は大きく開かされ、膝を立てるよ
うに命じられる。Sの両手による悪戯が再開される。わざと大きな音を響き、耳
をねぶられる。
「Sさん・・・」
「社長、でしょ」
 一言でベッドでの上下関係が確定された。 <> 鬼畜赤平×江別 4/7<>sage<>2005/12/13(火) 03:21:47 ID:dZPJ0UD3<> 「もう・・・もう駄目です」
「どうして欲しいの?」
 何も答えない。Oは唇を噛み締め、与えられる刺激の波に耐えている。解放への
頂点に達しようとした瞬間、Sの手が止まった。
「どうして欲しいのか、言わないと分からないよ」
 Oが自らを解放へ誘う為に狂ったように身じろぎを繰り返す。Sは立ち上がると、
切なげなOを見下ろしながらゆっくりと浴衣と下着を脱いだ。
「お願いします」
「何を頼んでるの?」
 耳元での囁き声。
「いかせて下さい。・・・お願いします」
 昂ぶりにSの唇が被せられる。熱い口腔、柔らかな舌。上目遣いの視線と目が
合った瞬間、Oは果てていた。口中に吐き出された白濁をSが飲み下し、そのま
まOの秘所に舌を伸ばす。温かく湿った感触が広がる。後ろ手に縛められた両手
で上半身を支える。立てている両膝の震えが止まらなくなる。Sの指がOの秘所
に差し込まれていく。
「Sさん、ちょっと・・・」
「社長、って呼べって言ったよね」
 罰のつもりなのだろう、差し込まれる指が二本に増えた。これまで経験した
ことのない感覚と痛みがOの身体を苛む。
「う、うっ・・・」
 絶え間なく声が漏れる。 <> 鬼畜赤平×江別 5/7<>sage<>2005/12/13(火) 03:22:18 ID:dZPJ0UD3<> 「騒がない。隣のFさん達が起きちゃうよ」
 Oは再び押し倒され、その口にSの昂ぶりが突き込まれた。
 Oの口から漏れる声は、くぐもったうめき声に変わった。Oは喉の圧迫感に耐
えながら必死に奉仕を続ける。
「そうそう、上手・・・、つっ」
 Sの昂ぶりに歯を当ててしまったらしい。
「何、僕のモノじゃ不満?」
 睨みつけられた。Oは口を犯されながら、小さく頭を振る。やりとりの間にも
Oの秘所への攻撃は止まない。二本の指を抜き差しし、内部をかき混ぜる。時折
深く抉られる度にSへの奉仕が中断される。うめき声が喘ぎに変わり、Sの指の
動きに敏感に反応を始める。
「そろそろいいかな」
 Sが呟く。指を引き抜き、Oにうつ伏せになるよう命じる。顎の下に枕を置き、
犬の姿勢をとらせる。腕の縛めはそのまま。充分に柔らかくなったOの秘所に
Sの昂ぶりが押し当てられる。Sはゆっくりと腰を進める。絶叫が部屋に響く。
Oの顔に痛みが走った。強い力で頬を張られたのだと気づいた。
「うるさいよ、Oくん。誘ったのは君だよね」
 淡々とした声。
「すみません。社長。で、でも」
 言葉は続かなかった。Sの長い指でも届かなかった奥まで昂ぶりがねじ込まれ
たから。声を出さないよう、更なる叱責を受けないよう、Oは枕を噛む。涙が溢
れて止まらなくなる。Sは身体を繋いだまま、ベッドの隅に投げ捨てておいた浴
衣の帯を手繰り寄せる。 <> 38<>sage<>2005/12/13(火) 03:30:58 ID:f7epRnKk<> 連投規制にひっかかりました。続きは後日。スレ汚し失礼しました。 <> 38<>sage<>2005/12/13(火) 05:05:58 ID:dZPJ0UD3<> >PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

鬼畜赤平×江別の続きです。 <> 鬼畜赤平×江別 6/7<>sage<>2005/12/13(火) 05:08:05 ID:dZPJ0UD3<> 「Oくん、口開けて」
 素直に口を開けたOに帯で猿轡をかけ、後頭部で縛り上げる。
「これでいくら鳴いてもいいね」
 それまで薄笑いを浮かべていたSから、表情が消えた。激しい動きでOを責め立
てる。猿轡の下から苦しそうなうめき声が続く。もう許してください、と哀願す
る声が聞こえた。
「いやだね。たっぷり楽しませてもらうよ」

 二時間後、手首の拘束と猿轡を外されたOはベッドにぐったりと横たわっていた。
内腿と胸には赤い内出血の跡が散っている。シーツにも点々と血痕が残る。
Sに負わされた傷が痛み、時々シーツを握り締める。浴衣を着て煙草を楽しむSは
その様子を眺めている。
「ああ、Oくん、明日も早いんだから。汚したシーツの後始末をして早く寝るんだ
よ。おやすみ」
 Oの返事は無かった。 <> 鬼畜赤平×江別 7/7<>sage<>2005/12/13(火) 05:10:33 ID:dZPJ0UD3<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/13(火) 10:31:55 ID:YdwkdFWs<> >>31-36
姐さん、私の気持ちを消化してくれてありがとう。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/13(火) 11:07:07 ID:3VeP6k0S<> >>12-29
続き待ってた甲斐があったよ!やべーヘツさん萌え。獅子タン男前。
そして…何故かすぃら、目から塩水が出てくるんだけど… <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/13(火) 11:26:45 ID:BC2e8d5P<> >31-36
姐さんGJGJGJ!
すごくタイムリーで目から汁です。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/13(火) 18:07:56 ID:XW6Bl7k8<> >>46
も、萌えた。鬼畜社長エロス <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/13(火) 18:57:33 ID:yeJ4+e7K<> >>46
北の人たちキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!
姐さんGJですた
シャチョーエロイよシャチョー
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/13(火) 19:57:17 ID:x5xFsaTF<> >>12-29
ありがとう。
読ませてくれてありがとう。
大好きだ。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/13(火) 20:31:19 ID:OOnjX4C9<> >12-29
あああ、今日中もゼリコもかわいいよ! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/13(火) 21:00:30 ID:XW6Bl7k8<>
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    | >>1さん乙!早速ですが超長文投下します
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 現在公開中の洋画『J/の/悲/劇』より
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ジコマンゾクデス
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

※主人公xストーカーという果てしなく救い(&愛)のない話になってます※
※主人公がストーカーの家に怒鳴り込む劇中のシーンの捏造続きという感じになってます※
※いろいろと好き勝手やってるので苦手でしたらスルーしてください※スマソ <> J/の/悲/劇 主人公x恋する男 1/15<>sage<>2005/12/13(火) 21:01:54 ID:XW6Bl7k8<> ぼくがせかせかと部屋に戻ってくるのを見て、八゜リ一の目に一瞬おびえの色が走った。
悲しみとも、苦痛とも取れる―――とにかくそういった類の感情だ。
すがるような目つきでぼくを見つめ、固く引き結んでいる唇をほんの僅か震わせた。
たぶんぼくの名を呼んだのだ。
震える唇からは吐息の音しか漏れなかったが、見慣れた唇の動きで彼の言葉は察する事が出来た。
一体何度見せられた事か、彼の唇が「ジョ一イ」と動いてぼくに笑いかけるあの
夢見るような表情を。
どれだけぼくが手厳しく突き放そうと、怒り狂って口汚く罵ろうとも、八゜リ一は
達観した"赦し"の境地とでもいうような笑みをたたえて
二人の間の愛を確信していたが、さすがの彼もこの時ばかりはその寛容的な笑みを青白い細面から引っ込めていた。
今までも時折目にした事のあった寂しげな目つきが、ただぼくを見つめているだけだ。
不思議な話だが、この異常な状況にも関わらず、ぼくの心は変に冷静だった。
つい先ほど腹立ちまぎれにバットを振り回し、八゜リ一の私物を破壊して回った興奮状態が嘘のようだ。
構えたバットで八゜リ一の脳天を叩き割る映像さえもが一瞬頭の隅をかすめたが、
すんでのところで踏みとどまったのだ。
突然訪れた己の心の平坦さがむしろ恐ろしい。
ぼくは憎悪と興奮に任せて八゜リ一の頭を割ろうとしかけたが、寸前で自制して
バットを投げ捨て、部屋を歩み去った。
それを何故わざわざ踵を返し、部屋に戻ってきたのか自分でもわからない。
この上なく冷静なのに、ぼくはどこかしら異常だった。すでに錯乱していたのかもしれない。
要するに、もう"発狂"していたのかもしれない。この男のように。
<> J/の/悲/劇 主人公x恋する男 2/15<>sage<>2005/12/13(火) 21:02:59 ID:XW6Bl7k8<> ぼくらはしばらく見つめあっていた。
彼のほうは全身全霊をかけて視線に全ての感情を込め、ぼくに何かを訴えかけようと
潤んだ瞳を感情たっぷりに揺らしていたが、ぼくのほうはといえば、恐らくこの上ないほど
感情の読み取れない暗い目をしていたに違いない。
八゜リ一はぼくに哀願の視線を送る事に一生懸命で、僕の視線の気のなさには
あまり気が付いていない様子だ。―――まあ、彼はいつだってそうだった。
ぼくの動向などそれほど意味をなさないのだ。全て彼のほうで、都合のいいように解釈してしまうのだから。
暗い部屋の中で不毛な視線を交わしあう間、ぼくはだんだんと自分が何をしているのか
わからなくなってきていた。曖昧な時間軸の隙間に取り残されたような、
夢の中を漂っているような、薄ぼんやりとした不気味な感覚に取り込まれた。
恐らくあれは、八゜リ一が常日頃暮らしている世界の一部だったのだろう。
八゜リ一の一心不乱の視線に囚われている間に、彼の生きる妄想の世界に
瞬間的に巻き込まれたに違いないと、ぼくは後になって思うようになった。
はるか遠くのほうで車のタイヤがアスファルトを擦る音がする以外はほとんど
無音に近い空間で―――それも八゜リ一の部屋だ。薄暗く、狭い―――
八゜リ一のある意味で非常に一途な視線を一身に受けるのは、正気の沙汰とは思えない事態だった。
今思えば、どうしてぼくはすぐに踵を返して出て行ってしまわなかったのか、不思議で仕方ない。
彼の一方的な視線を断ち切って、部屋から逃げ出してしまう事は容易かったはずだ。
その点から考えてみても、この時のぼくは錯乱していたとしか考えられない。
その時、ぼくには殺意も、憎悪も、嫌悪感もなかった。
常日頃、八゜リ一がぼくの生活に介入してきた時からずっと感じていたそういう感情が、
この時になってまるで消え去っていた。跡形もなく、と言ってもいいだろう。
先ほど、八゜リ一に向けてバットを振り上げたあの時、ぼくの心は前述の感情で埋め尽くされていた。
<> J/の/悲/劇 主人公x恋する男 3/15<>sage<>2005/12/13(火) 21:03:54 ID:XW6Bl7k8<> 躊躇なくバットを振り下ろす事も出来たのだ。あの時のぼくなら、頭を割られて
横たわる彼を見下ろして、腹を抱えて笑う事も出来ただろう。
どういったわけか、汗の滲む手のひらにバットを固く握り締めているぼくの体内から、
満潮だった波が引いていくように憎悪と殺意が消えていった。
瞬時に何もかもから興味をなくし、ぼくは静かな気持ちでおびえる八゜リ一を眺めた。
バットを床に投げ捨て、忍び笑いを漏らしながら部屋から歩み去った。
それから、何の気もなく、ほとんど無意識的に部屋に戻ってきたのだ。
自分で自分が不気味で仕方がなかった。
最も、そう認識したのは後になって自分の行動を思い返してみてからのことだ。
その場で何を思うこともなくただ立ち尽くしていたぼくは、平坦な心で八゜リ一を見返すばかりだった。

「ジョ一……ジョ一イ……ジョ一・ジョ一……」
ほとんど吐息に近い息混じりの声で、八゜リ一は何度もぼくを呼んだ。
その声を聞いて初めて、ぼくは半ば昏睡状態に近い茫然自失の状態から
自分を取り戻した。と、いうよりは、ようやく自分の置かれている状況を思い出した。
思わず自分の周囲を見回して、自分の今いる場所を確かめたくらいだ。
―――少し大げさに言い過ぎたかもしれない。記憶喪失だったわけではないのだから。
何にせよ、いくら冷静な心だったとはいえ、ぼくがこの時どれほど動揺していたか、
どれほどの錯乱状態にあったかを察していただけるはずだ。
とにかく、この時のぼくはありとあらゆるストレスでほとんど壊れかけていた。

不毛な視線のやり取りは続いていたが、それを先に打ち切ったのは思いがけず八゜リ一のほうだった。
ある時点で彼は何かに耐え忍ぶように震える息を吐き、悲しげに目を伏せた。
「あなたが何を望んでいるのか、もうぼくにはわからない」
<> J/の/悲/劇 主人公x恋する男 4/15<>sage<>2005/12/13(火) 21:04:36 ID:XW6Bl7k8<> ひどく震え、かすれた小さな声は聞き取る事すら難しく、ぼくは言葉を理解するために
少し彼に近づかなければならなかった。
一歩近づいてきたぼくの動きをどう解釈したのか、彼はほんの一瞬だけぼくのほうを見ると、
乾いて薄皮の剥けている唇を舐め、指先で爪をいじりながら、再び意を決したように喋り始めた。
「ぼくをどうしたい?……殺したいの?」
「堂々巡りだ」
ぼくは即答した。八゜リ一はぼくの言葉の意味を計りかね、眉を顰めてぼくを見た。
何を言っても無駄なのだ。何を言おうと、何をしようと、彼の世界は揺るがない。
ぼくの一挙手一投足を八゜リ一は彼なりに解釈し、全ては彼への求愛行動だと受け取る。
それ以上ぼくが何も言おうとしないのを知ると、八゜リ一は再び喋り始めた。
「どうして、簡単に出来ないんだ……本当に、本当に単純な事なのに。
あなたはこんがらがってる。ただ単純に受け入れる事があなたには……」
そこで苦しげな嗚咽が漏れ、言葉が途切れた。ぼくは心中で"できないのだ"と言い足しておいた。
その後、八゜リ一は何か言おうとしては耐え忍ぶように唇を噛み、引き攣れたような息を
吐くのみだったので、"ぼくは初めから受け入れた。神が与えた運命を"と、
まさしく彼の言いそうな上等文句を代わりに心中で吐いておいた。まさしく彼の言いそうな事だ。
テレパシーが通じたのだろうか、八゜リ一は言いかけた言葉を脇によけ、別の話を始めた。
「心がつぶれそうなんだ、ジョ一。さっき、ぼくとあなたは似てると言ったよね。
ジョ一、変なんだよ。あなたに出会って、ぼくは以前よりずっとずっと孤独になってしまったような気がする」
<> J/の/悲/劇 主人公x恋する男 5/15<>sage<>2005/12/13(火) 21:05:16 ID:XW6Bl7k8<> 「それは気の毒に」
「そういう……あなたの、そういうふるまいが……」
八゜リ一の呼吸が引き攣れ、また言葉が途切れた。唇が痙攣したように震えている。
無理解な恋人を咎めるような、それでいて愛と"赦し"に満ちた悲しげな目をして、
八゜リ一は震える唇を無理やり笑みの形に吊り上げた。
「あなたを愛してる。それだけだ。至極単純な事なんだから、簡単に言うよ。
あなたを愛してる。あなたは物事を難しく考えすぎるんだ」
だから混乱するんだよ、と、ほとんど息だけで言い足して、八゜リ一は首をかしげ、
ぼくに訴えかけるようにすがる目を向けた。
「あなたは猜疑心でいっぱいだ。"愛は無意味"だなんて、よく言えたね。
"科学でしかない"なんて……あなたらしいけど」
「じゃあ単純に考えようか。確かに、ぼくは物事を難しく考えすぎる癖がある。
じゃあ単純に聞こう。どうすれば君はぼくから離れていくんだ」
八゜リ一の細面が呆れ顔と、愛しさに溢れる赦しの表情で入り混じった。
「ああ、ジョ一、そんな心配をして。あなたはすぐにそうやって……
神に誓えるよ。命を捧げてもいい。約束する。絶対にぼくは君から離れない」
「君の望みは何だ?最終的な目的は?」
八゜リ一が質問の意図を計りかねるような表情を見せたので、ぼくは言い足した。
なるべく優しげな笑みに見えるよう、やわらかく唇を吊り上げながら。
「つまり、君はぼくと何をしたいんだ?ぼくと一緒になりたがっているようだけど、
君は最終的に、ぼくをどうしたいんだ。結婚したいのか?」
「……ぼくは、君と……一緒にいて……いろいろな事を分かち合いたい」
「どんな事?たとえば?キスとか、セックスをしたいのか?二人の記念日にシャンパンを開け、
アホみたいな蛍光ピンクの三角帽子をかぶり、贈り物を交換したいのか?
二人の記念日、もちろん、あの日だろう。気球の事故の?」
<> J/の/悲/劇 主人公x恋する男 6/15<>sage<>2005/12/13(火) 21:05:54 ID:XW6Bl7k8<> 「君がそうしたいなら、構わないよ。ぼくは君と一緒にいたいだけだ。愛してるから」
ぼくの悪癖は、一度調子よく喋り始めると、だんだん演説に熱意がこもって
すっかりお喋りに夢中になってしまう事だ。
この時もぼくは喋るのに夢中になり、抑揚をつけ、声の調子を変え、八゜リ一を
侮辱するために顔の表情まで芝居がかり、熱弁をふるった。
ぼくは体内から溢れ出てくる言葉を淀みなく、滞りなく流れるように喋った。
そうするうちに、自分自身の理屈に飲み込まれ、世間に対して頑なになってしまう事がよくあった。
早い話が、頭でっかちなのだ。自分が一番正しい、間違っているのは世間だと、
他人の話を受け付けずに自分だけの理屈を押し通した。
このときの状態もそれに近いものがあったのだと思う。戸惑う八゜リ一の前で滞りない
熱弁をふるう間、ぼくはひとつの結論に達していた。今思えば実に常軌を逸した結論だ。
残念ながら、その場にぼくの考えを否定する者はいなかった。
いたとしても、ぼくの事だ、一蹴してぼくの信念を貫き通しただろう。
最終的にぼくが手に入れた結論はこうだ。今となっては言葉にするのもおぞましい。
「君はぼくに抱かれたいのか?」
そこで言葉をとめ、ぼくは八゜リ一を見つめた。思いがけなく、八゜リ一はその時、
やつれた顔に悲哀の色を滲ませて悲しげに目を伏せた。
「そんな事、考えてない。ぼくはただ、ジョ一、言ったでしょう、あなたを愛してるんだ」
「愛してるなら触れたいと思うはずだろう。あるいは、触れてほしいと」
八゜リ一は目を上げなかった。とはいえ、八゜リ一のほうがぼくより背が高いのだ。
八゜リ一の悲しげな目はこちらから見えていた。今思えば、恥じ入っている目だったのかもしれない。
「それなら、ぼくを抱きたいのかな」
八゜リ一の眉間にしわが寄った。苦痛に満ちた表情だった。
<> J/の/悲/劇 主人公x恋する男 7/15<>sage<>2005/12/13(火) 21:06:44 ID:XW6Bl7k8<> 「君はいつもそうだ。いつも疑問形だ。全部、ぼくに言わせようとする」
「君の話が要領を得ないんだから仕方ない。こっちから尋ねないと話が見えてこないんだ」
「ずるいよ。ぼくには何も言ってくれないのに、ぼくには全部言わせようとするんだ」
すねた子供のような口調で呟いて、八゜リ一はそれきり黙ってしまった。
ぼくの結論。愚かだった。錯乱状態とは、かくも恐ろしい。
「一度だけ君を抱いてやろう。終わったら、もう二度と関わらないでくれ。いいね」
八゜リ一は驚愕して顔を上げた。目に涙が浮かんでいる。今にも零れ落ちそうだ。
「"神聖な約束"とやらを、今ここで交わそう。いいね?もし破ろうものなら、
警察を呼ぶだけじゃ済まないぞ」
「ねえ……ジョ一、本気で言ってるの?あ……あまりにも……」
鼻にしわが寄り、唇が噛み締められた。泣くのを堪えているらしい。呼吸が細かく引き攣れるようだ。
「ぼくを、ど、どれだけ……どれだけ傷つければ、君は……」
「どこがいい?ベッドか?君のベッドじゃ一人寝転んだらいっぱいだな。
残るは床でしかないが、別に構わないだろう。何しろ大好きなぼくと触れ合えるんだから」
「ジョ一、あんまりだ。帰ってくれ。ぼくはこんな事望んでない。ぼくを侮辱して、
ぼくを支配しようとするのはやめてくれ。ひどすぎるよ、こんな事、あまりにもひどすぎる」
顎をつかんで上向かせると、彼は素直に顔を上げた。苦痛にゆがんだ表情を晒し、
肩で息をしている。濡れた目がぼくを捉えた。
ぼくよりかなり長身である彼に口付けるには彼の協力が必要だったのだが、
彼は頑なにそれを拒んだ。仕方なしに、ぼくは彼の首筋に唇を押し付けた。
嫌がるそぶりを見せながらも、彼はぼくを突き放そうとはしなかった。
全身が緊張に張り詰めているようで、首筋に血管が浮き出ていた。
「せいぜいいい思い出にするんだな」
<> J/の/悲/劇 主人公x恋する男 8/15<>sage<>2005/12/13(火) 21:07:21 ID:XW6Bl7k8<> 首筋に唇をつけたままそう囁くと、八゜リ一の目からついに涙がこぼれた。
ぼくがここを訪れた当初から八゜リ一は半裸だったので、体に触れるのは容易かった。
八゜リ一の裸の胸に手を当てると、彼の鼓動がぼくの手のひらを直に叩くかのようだった。
皮膚一枚を隔てたすぐ下に彼の心臓が息づいているように思えて、ぼくは彼の心臓を握り潰そうと
するがの如く彼の胸部に爪を立てた。八゜リ一は痛みに耐えて眉間にしわを寄せるのみだった。
「ジョ一」
彼は目に涙をためてぼくの頬におずおずと手を伸ばし、無声でぼくの名前を呼んだ。
「ぼくはだめだ。どんな仕打ちを受けても、やっぱり君を愛してる」
言葉の内容に反し、彼の声は絶望感でいっぱいだった。
自嘲に満ちた、悲しげな声でそう囁いて、八゜リ一はぼくの顔を両手で抱えて
ゆっくりと顔を近づけてきた。
すぐに押し付けられてきた唇はひどく冷たく、震えていて、かさついていた。
ぼくの眼鏡に彼の顔が触れ、ガラスが油で白く曇った。
彼の熱い息によるものかもしれなかったが、ぼくは鬱陶しくなって眼鏡をはずし、ポケットにしまった。
この方が好都合だ。彼の姿をはっきり見ずにすむ。
愛情に飢えた哀れな男に相応しいすがりつくような執拗な口付けに、ぼくもなるべく応えた。
嫌悪感に耐えられなくなるかもと懸念していたが、無用の心配事だったようだ。
ぼくにあるのは疲れた義務感のみだった。これさえ終われば全てが終わる。
そう思えばこそ、ぼくの頭を狂おしげに抱えて口付けてくる彼の背に腕を回し、
優しく撫でさすってやるなどという芸当も可能だったのだ。
やがてようやく気の済んだらしい彼は先ほどと違って十分な潤いをまとった唇を
名残惜しげに離し、ぼくを両腕で抱きしめた。彼の顔は見えなかったが、呼吸の様子から
泣いているという事は伺えた。しゃっくりのような嗚咽が触れ合っているぼくの体をも揺らしていた。
<> J/の/悲/劇 主人公x恋する男 9/15<>sage<>2005/12/13(火) 21:08:02 ID:XW6Bl7k8<> 「愛してる、ジョ一イ。ジョ一イ、ジョ一イ……ジョ一イ」
「男同士はどうやればいいんだ。いや、もちろん、行為は知ってるけど。
何か必要な道具とかは、あるのか?」
八゜リ一は一度ぼくから体を離し、ぼくを不思議そうに見た。濡れて光る緑色の瞳が
ぼくをまっすぐに見つめている。異様なほど澄み切った目だ。―――赤ん坊のような純粋さをまとった。
しばらくぼくを見つめた後、八゜リ一は眉を顰めた。
「わからない。ぼくもそれほど、詳しくないから。そんなに急がなくてもいいでしょう?
二人で抱き合っているだけで、十分だよ。すごく素敵だ。ようやく通じ合った気がする。
ジョ一イ、愛してるよ。一緒にいるだけで、ぼくはもう満ち足りてる」
「そうはいかない。今日のうちに済ませたいんだ。"神聖な約束"を守れよ」
八゜リ一が再びぼくを優しく抱きしめたので、ぼくも彼の背に腕を回した。
まるで壊れ物を扱うようなおどおどした手つきだ。彼にとっては、
ぼくは何物にも代えがたい宝物なのだろう。この中年のくたびれた男が。
ぼくはおかしくなって忍び笑いを漏らした。八゜リ一は気にしていないようだ。
「潤滑油になるようなものが必要だろう。何か持ってないのか」
「ジョ一、そんな話は必要ない。ぼくを見て?愛してるよ、ジョ一イ。本当に。
言葉にする必要もないかな。ぼくを見ればわかるよね?どれだけあなたへの愛に満ちてるか」
「油を……」
しがみついたまま離れようとしない八゜リ一を半ば強引に引き剥がし、ぼくはキッチンに向かった。
数秒置いて、八゜リ一もぼくについてきた。汚いキッチンの棚に置かれていた調理用の油を
手に取り、ぼくは八゜リ一のほうを振り返った。何て純粋な男だろう。
ぼくを信じきって、愛しげな笑みを唇に浮かべている。
一見、どこまでも人畜無害に見えるこの男が、結果的にぼくの人生を狂わせたのだ。
いや、どうだろう。わからない。あの事故に遭遇したときから、ぼくの人生は180度変わっていたのかも。
<> J/の/悲/劇 主人公x恋する男 10<>sage<>2005/12/13(火) 21:08:42 ID:XW6Bl7k8<> ぼくは八゜リ一から目をそらし、油を少しだけ指先に落とした。
古いのだろうか、あまりぬめりけがないような気がする。ぼくは顔を上げ、八゜リ一の濡れた目を見た。
「早く終わらせたいんだ。服を脱いで、そこにうつ伏せになれ」
「ジョ一?」
有無を言わせぬ鋭い視線――になるように、自分では努めたつもりだ――を
向けると、八゜リ一は穏やかな笑みを引っ込めて困惑の表情をわずかに浮かべた。
しばらくもじもじとその場に立ち尽くしていた後で、八゜リ一はぼくにすがるような目を向け、
ゆっくりと下半身に身に着けていたものを脱ぎ捨てた。
陰部を隠すようにしながら黙ってそこにうつ伏せた彼のそばに跪き、ぼくは油を塗った
指先を彼の尻の割れ目に滑り込ませた。彼の体が緊張に張り詰める。
想像以上に事は難しいかもしれない。ぼくは眉を顰め、油を足して指先を蠢かした。
ぼくの努力はしばらく続いた。何とも言えず、想像以上にそこは固く、何物をも
受け入れさせはしまいと頑なにほぐす指を拒むのだ。
いくら油を足してもそれほどの効果はなかった。
初めのうちは懸命に我慢していた八゜リ一も、ぼくが苛立ちまぎれに無理やり指を二本、
第二関節まで押し込んだ辺りで、悲痛な呻きを漏らし始めた。
埒が明かなかった。八゜リ一が男同士の行為を知らないというのは本当だったようだ。
ぼくの半ば乱暴とも言える慣らしに呻き、八゜リ一は足をじりじりと
床にこすりつけて苦痛に耐えた。
しびれを切らしたぼくは、八゜リ一のその部位が何とか指三本、ギリギリながらも
受け入れた時点で、慣らしを打ち切った。後から考えれば不十分だった事は明らかだが、
その時のぼくはそれで十分だと思っていた。
指を抜かれ、安堵して肩で呼吸する八゜リ一の腰をつかみ、膝立たせると、ぼくはファスナーをあけた。
<> J/の/悲/劇 主人公x恋する男 11/15<>sage<>2005/12/13(火) 21:09:23 ID:XW6Bl7k8<> 赤い顔をしてぼくを振り返り、八゜リ一は涙に濡れた双眸を揺らした。
ぼくはその時、八゜リ一があまり喜んでいない様子でいるのを不思議に思っていた。
これこそが彼の望みだったはずだ。浮かない顔をしているのは何故だろう。
萎えたままどうしても勃起しようとしない己の道具を懸命にこすっている間、
八゜リ一は複雑そうな顔でぼくを見つめていた。
「君の顔が見えないよ」
八゜リ一のすがるような声を無視して、ぼくは何とか勃起してくれた己の道具に
油を注いだ。コンドームの存在をすっかり忘れていた当時のぼくを渾身の力込めてぶん殴りたい。
思い出していたとしても、八゜リ一がそんなものを持っている可能性は限りなく0に近かったろうし、
むろんぼくもコンドームを常日頃持ち歩いているわけではないので、無意味だったのだが。
結果的には何の病気ももらわなかったので、良しとするべきだろうか。
何にせよ、ぼくはもっと慎重になるべきだ。
八゜リ一の尻にも油を垂らし、ぼくは八゜リ一の窄まりに先端を押し付けた。
ああ、さっさと終わらせよう。ぼくの頭の中にはそれしかなかった。
「ジョ一イ、君の顔が見えない。抱き合いたいよ」
なおも食い下がる八゜リ一の声を半ば聞き流し、ぼくは強引な侵入を開始した。
驚くべき狭さだった。八゜リ一の悲痛な悲鳴は言わずもがな、ぼくまでもが
間抜けな悲鳴を上げそうだった。なんて狭さだ。食いちぎられるのでは?
ぞっとするような想像が頭の隅をかすめたが、敢えて気付かないふりをして、ぼくは
義務的な行為をさっさと終わらせるべく、痛みすら覚える狭さの中を一気に貫いた。
ぼくのほうがそこまでの苦痛を伴っていたのだ、八゜リ一のほうは相当だっただろう。
低い搾り出すような声で呻いていた八゜リ一の白い背中を見下ろしながら、ぼくは
腰を使った。なんて滑りけの悪い、不快な狭い穴だろう。
<> J/の/悲/劇 主人公x恋する男 12/15<>sage<>2005/12/13(火) 21:10:09 ID:XW6Bl7k8<> ぼくは自暴自棄になって一心不乱に腰を打ちつけ、抜き差しを繰り返した。
ふいにやたらと滑りのよくなったことを疑問に思った直後、引き出した自分のあれに
目を落として、何が起こったのかを知った。出血だ。
負荷に耐えきれなかった八゜リ一の内部が切れたのだ。
ぼくは血のこびりついたそれを神妙な顔つきで眺めた。動きが止まったことでいくらか
落ち着きを取り戻した八゜リ一は、一度長い吐息を吐くと、ぼくを青ざめた表情で振り返った。
何とも身勝手なことだが、ぼくは八゜リ一を見て何だか気の毒になってしまった。
苦痛に青ざめながらも、その顔はぼくへの愛情と"赦し"に満ちているのだ。
萎えたぼくのものが、自然とそこから抜け落ちた。八゜リ一は微笑みを浮かべた。
「……つらかったか」
言わずもがなの間抜けな質問を吐き捨てるように呟いたぼくに、八゜リ一は何を思ったのだろうか。
あの"赦し"の表情で柔らかな眼差しをぼくに送って寄越した。
「平気だよ。君の愛を感じた」
身を起こし、傷ついた尻をかばいながらゆっくりとぼくに近づく八゜リ一から顔を背け、
ぼくは立ち上がった。八゜リ一もそれに従おうとしたが、尻の痛みが勝ったようで、
苦痛に顔をしかめて床にへたり込んだ。そのまま踵を返して出て行こうとするぼくの背に、
八゜リ一の戸惑いの声が投げかけられた。
「ジョ一?」
外界へと通じるドアのノブを回しかけていたぼくのそばに、あわてた様子で八゜リ一が近寄ってきた。
傷が相当痛むのだろう、その細面はなお青ざめて、苦痛にゆがんでいる。
今思えば、あれは苦痛による表情などではなく、ぼくに対する表情だったのかもしれない。
<> J/の/悲/劇 主人公x恋する男 13/15<>sage<>2005/12/13(火) 21:11:09 ID:XW6Bl7k8<> 「ジョ一イ?どこに行くの?」
心細げに囁いた八゜リ一の言葉より、ぼくは突然思い当たった場違いな疑問に気をとられていた。
全裸でぼくのそばに立っている八゜リ一を見て、"そういえば、八゜リ一は行為の最中、
少しでも勃起をしたのだろうか"という疑問を抱いたのだ。
その時、八゜リ一のそこは完全なる平常状態だった。一見しただけでは何ともいえないが、
それまで勃起していたという様子も見受けられない。
果たして、八゜リ一はぼくに対して、何かしら性的な感情を抱いているのだろうか。
もしかしたら本当に、純粋に神の愛を信じ、ぼくの愛を信ずるがゆえに行動しているだけかもしれない。
それどころか、この男には、普通の人間と同じような欲望がまるで抜け落ちてしまっているのかも。
食欲、睡眠欲、性欲……排泄欲、私欲、利欲、煩悩といった類が。
目の前に立っているこの全裸の男が、突然人間に見えなくなったような気がした。
夢見るような表情で今もぼくに絶対的な信頼を寄せ、ぼくに揺ぎない愛を贈る。
何とも奇妙な恐怖だった。想像できるだろうか、まるで人間味のない非現実的な男が
目の前に全裸で立っていて、それどころか、その男から全身全霊の愛を永続的に浴びせかけられることの恐怖を。
ぼくはその時、もし仮に八゜リ一が黄金の光を背に、ふわりと空に浮かび上がったとしても
それほど驚かなかったであろうという確固たる自信がある。
それほど、その時抱いた八゜リ一への印象は強烈だった。
「ジョ一?ジョ一イ?たくさん話し合わなきゃいけないね。何から始めよう?
二人で住むのに十分な綺麗な家を探して、―――犬も飼おう。前の犬はいなくなってしまったから―――
それから、それから―――ああ!考えるのがもどかしい!ただ抱き合って、そばにいれたら、
ぼくはそれでいいのに」
<> J/の/悲/劇 主人公x恋する男 14/15<>sage<>2005/12/13(火) 21:11:41 ID:XW6Bl7k8<> 「わかってないな。"神聖な約束"は?忘れたのか」
今にも喜びではちきれんばかりになっている八゜リ一にそれだけ吐き捨てると、ぼくは
ドアノブを回した。その手を八゜リ一の白い指が絡め取った。
「ジョ一イ?愛してるよ。ああ、言葉ってもどかしい。そんな言葉じゃ足りない。
本当に本当に愛してる。心から!」
「関わらないという約束だな。破れば、さっきも言ったように、警察を呼ぶだけじゃ済まない」
八゜リ一につかまれた手を振り払うと、八゜リ一の喜びの表情が翳った。
「ジョ一イ、こんな時までそんなふうにふるまうの?君ってやっぱり、少し変だな。
どうしてオープンになれない?そういうの、何だか疲れるよ」
黙ってドアノブを回し、押し開けた隙間に逃げ込むように体全体を外に押し出すと、
八゜リ一の追いすがる手がぼくの腕をつかんだ。
「ジョ一、君は求めるばかりで、ぼくには何にもくれないね。たった一言でいいんだ。
帰る前に、ぼくに言って。一言でいい。それで今日は我慢する」
ぼくは力任せに八゜リ一の手を振り払い、振り向きざまに目の前にあった八゜リ一の
愛に満ちた顔を反射的に殴りつけた。
それほど力いっぱい殴りつけたわけではないのだが、八゜リ一は驚くほどあっけなく
ぼくの殴打に倒れた。たぶん、予想だにしない事態に驚いたせいでもあったのだろう。
八゜リ一はしばらく倒れた姿勢のまま横たわっていた。呆然とした表情で天井を見つめている。
ぼくは一気にまくし立てた。
「一言か。一言じゃ済まん。一言といわず、もっとお前にやろう。
これ以上ぼくやぼくの知人に何かしら面倒をかけてみろ。警察を呼ぶだけじゃ済まないと、何度も言ったな。
殺してやる。いいな、殺すぞ。脅しじゃない。本当にお前を殺してやる。」
<> J/の/悲/劇 主人公x恋する男 15/15<>sage<>2005/12/13(火) 21:12:16 ID:XW6Bl7k8<> 吐き捨てると、ぼくは外界へ向かって駆け出した。
八゜リ一の城、八゜リ一の妄想と夢の世界から逃げ出し、外界の正常な現実味を帯びた
"日常"を求めて八゜リ一のアパートを出た。
行きかう人々、水溜りを跳ねながら走り去っていく車、いかにも治安の悪げな
暗い雰囲気の町並みに、ぼくは心底安堵した。
肌を打つ雨の冷たさすら、ぼくに現実をもたらしてくれる証明のような気がして、
ぼくは安堵を覚えた。
ポケットにしまっていた眼鏡をかけ、行く当てもなく歩き出す。
今日のところは、家には帰れない。
勹レ了をひどく傷つけてしまったし、正直言ってこの気分のまま勹レ了に会うのは苦痛だった。
友人の家を訪ねようと思い至ったところで、ぼくは後ろを振り返った。
ビルとビルの間に隠れるようにして、八゜リ一のアパートが少しだけ覗いていた。
ひどくみじめな、絶望的な思いに囚われて、ぼくはあわてて前に向き直り、足を速めた。
おそらく、八゜リ一はまたぼくの前に現れる。何かの"サイン"を受けたと信じて。
そうしたらぼくはどうする?

ぼくは足を速めた。
早く友人に会いたい。この悪夢から目覚めたい。
ぼくは周囲に水を跳ね飛ばしながら、雨の中一心不乱に歩き続けた。
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/13(火) 21:15:23 ID:XW6Bl7k8<>
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    | 一気に書き捨てました……長文&暗さスマソ
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 映画版で妄想しましたが、性格は原作寄りかもしんない
 | |                | |            \
 | | □ STOP.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ マンゾクシマシタ…
 | |                | |     ピッ   (´∀`; )(・∀・;)(´Д` )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/13(火) 21:49:15 ID:Np+nKSs4<> >>70dクス
マキュー庵ファンなのでおいしく頂きました。
そういえば愛の糸売き、映画化されたんですよね。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/13(火) 23:50:46 ID:uXwcgkki<> >>12
遅レスすみません
禿萌えしてレンタルに飴プロを探しにいったら、20作以上あったので
とりあえずゼリコの名前が入ってるのを借りてきました、楽しみだ <> 悪襟音 茂呂刃×都ー間<>sage<>2005/12/14(水) 00:48:57 ID:7T46AZAE<> |>PLAY ピッ◇⊂(;・∀・) コソーリ オジャマシマス

好評発売中の悪襟音画集より、デザイナー氏の
「彼は意地悪してるけど、本当は元・許嫁love」
「元・許嫁ファンクラブ会員No.1」
とのかっとんだコメントを受けてのネタです。 <> 悪襟音 茂呂刃×都ー間 1<>sage<>2005/12/14(水) 00:53:49 ID:7T46AZAE<> 沈みこむ痩せた後ろ姿を、いい気味だと嘲った。
愚かにも、初めに選定された自分ではなく、あんな男ーー
翅なしの女と契った裏切り者など選ぶからだ。

『最愛の許嫁に見捨てられた気分はどうだ?麗しの聖.天翅殿』
真新しい漆黒の軍装をまとった天翅は、眉一筋すら動かさない。

彼が両手に捧げ持つ兜が、男の単眼に映り込んだ。
『未練がましく、あの者の翅など飾りつけ、それで貴様は愛とやらに
 殉じるつもりか?ただの欺瞞ではないか。馬鹿馬鹿しい』
不快だ。
この青年を構成する全てが、その身に寄り添う空気さえもが
男にとって不快を伴う情報でしかなかった。

彼は何ひとつ反論せず、静かに紫の瞳を伏せただけだった。
『なんだ。恋人に逃げられた己が身を嘆き悲しみ続けたあまり、
 とうとう翅の震わせ方すら思い出せなくなったか?』
わざと恋人に逃げられた、の箇所を強調して揶揄するが、青年の様子に変化はない。
男には、彼が心そのものを忘却してしまった様にも思われた。

自分の前では怜悧にとりすました氷を想起させる美貌が、
あの男の前でだけはさも幸せそうに融けるさまを
彼に選ばれなかった自分は、歯がみして遠くから見ていることしかできなかったのだ。 <> 悪襟音 茂呂刃×都ー間 2<>sage<>2005/12/14(水) 00:56:26 ID:7T46AZAE<> ーー元は私こそがお前の許嫁となる定めだったものを、
横からあの忌まわしい男が奪い取っていったのだ。

肩をつかみ、引き寄せる。
その際、青年が兜を取り落としたが自分にはどうでもよい。
気取られぬ程度の慈しみを込め、かろうじて人の形を為す手で
彼のほっそりしたおとがいを持ち上げた。
『なんなれば、私が忘れさせても良いぞ。あの男と離れてから、さぞやその身も
 疼いておろう?お前を憩わせ、心地良い甘言で酔わせて、精一杯愛してやろう。
 ぐずぐずした幸福にとろけさせ、望むもの全てを与えて、満足させてやるぞ』
長き日々求め、焦がれていた相手を抱き留め、その耳に届くように。
そして彼が反発を覚えやすいように、なるべく下卑た言葉を選んで囁いた。

わざと腰を相手のそれに押し付けながらも、細心の注意を払って唇を指でなぞる。

自分の虫に似た醜く武骨な姿は、意のままに獲物をほふるには適していたが
柔らかく優美な彼に触れるには、あまりに鋭すぎるのだ。
男は今以上、彼の心身にわずかな掻き傷すら付けたくはなかった。
だからこそ、心にもない暴言で彼を罵った。
自分を憎み、恨んでくれれば、少しは生への意欲も湧いてくれるだろうか。 <> 悪襟音 茂呂刃×都ー間 3<>sage<>2005/12/14(水) 00:57:44 ID:7T46AZAE<> 彼を喪うぐらいならば、嫌悪され蔑まれる方がましだ。

がり、と骨ばった硬い音を立て、彼に噛みつかれた。
両手で自分の体を押しのけ、するりと抜け出される。
兜を丹念な手つきで拾い上げ、さも愛しげに抱きしめた。
今し方触れたばかりの唇が歪んで、笑みを浮かべる。
『…お戯れを。モロハ殿』
失礼、と素っ気なく言い残し立ち去る背を見送りながら、男は独白した。
「けして振り返らぬ者を追ってどうするのだ。とんだ道化だな、お前も私も」

彼に噛まれた指が痛む。
屍衣越しに口付けた指先は、どんな翅なしの生気よりも甘く男を潤すかに思われた。 <> 悪襟音 茂呂刃×都ー間<>sage<>2005/12/14(水) 00:59:58 ID:7T46AZAE<> □STOP ピッ◇⊂(;・∀・)イマハ コレガセイイッパイ <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/14(水) 02:02:28 ID:DW3z4y/S<> >>77
ちょ ル、ルパーーン!!

ハァハァゴチでした(´Д`*)カタオモイ、イイ! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/14(水) 02:47:28 ID:1uI6lgnn<> >>77
元ネタわかんないけどテラモエス
モロハ、頑張って…! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/14(水) 05:16:42 ID:Qc9EXz8f<> >>12-29
まじすごいです。うわー。去年の祭りから最近起こったこととかがいろいろ
駆け巡った。なんかほんと目から汁がでた。GJすぎる。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/14(水) 18:57:21 ID:JOs0OrAY<> >77
ごちそうさまーーー!!!! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/14(水) 19:10:46 ID:NoG6nHbn<> >>12-29
すさまじい萌えと感動を味わいました。ありがとう。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/14(水) 23:20:02 ID:nAiInZhg<> >>77
ぎゃー!ルパーーン!!
画集での一言からどでかい萌えをありがとう!
トマアポ好きだけどこっちはこっちでイイ(・∀・)!!!! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/15(木) 00:00:19 ID:bhCVT5nr<> >>12-29
遅ればせながらGJGJ!!
>>82たんと同じく壮絶な萌えと感動を超超ありがとう。
すばらしすぎるよ〜!! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/15(木) 07:13:52 ID:6AB7k4oU<> 遅レススマソ
>>31-36
本当にありがとう…!
物凄く、胸にぐっときた。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/16(金) 01:36:09 ID:QcntQsfi<> >>38
亀だけどGJ!
社長呼びに萌え死ぬかとオモタ <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/16(金) 08:39:25 ID:UFwn0bL5<> 亀ですが>>31
何かもう本当にありがとう
朝から泣きますた… <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/16(金) 10:53:01 ID:6T3zONlU<> 「寒いね><」
「フッお前といれば寒くないさ」
「///」 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/16(金) 18:36:41 ID:O5TBz1GA<> >>88
不覚にもワロタ <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/18(日) 23:53:48 ID:mZC5eJuV<> ちょいと質問なんですが、ここって絵うpとかもありなんでしょうか?
勢いに任せて描いたけどどこに発表すればよいのやら… <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/19(月) 00:33:44 ID:ZRJ4mB+Y<> >>90
良いと思いますよ。
>>1の保管サイトさんにうpロダありますし、以前に挿し絵(?)付きの作品を
投下された方も居られました。
801関連で、ネタなら何でも有りと私は解釈しておりますので、個人的には
絵も大歓迎です。他の方はどうかな? <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/19(月) 00:59:13 ID:1DMfOzXA<> >>90
私も大歓迎です。お待ちしております。 <> テイノレズオブジマビス主人公ノレーク<>sage<>2005/12/19(月) 13:34:43 ID:m705ZJM9<>
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  >90姐さんじゃないけど絵うpに挑戦
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  裸+鎖の厨テンプレ絵
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ アプロダお借りしました
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
PS2用ゲーム、テイノレズオブジマビスの主人公ノレーク単体絵です。
あまりのツンデレっぷりと中盤の苛められっぷりにたまらず描きました orz
ネタバレはありません。

http://moravideo.s57.xrea.com/cgi-bin/upload/img/014.jpg <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/19(月) 13:38:09 ID:m705ZJM9<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  エノバアイドウヤッテテンプレデカコムカナヤム
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  ツンデレハイイネェ
 | |                | |            \
 | | □ STOP.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ イイネェ
 | |                | |     ピッ   (´∀`;)(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/19(月) 13:55:00 ID:qX5QTVEc<> >>93
ツンデレさんなのか、苛められるのか。
・・・積みゲーになってたけど、今晩からプレイしよう。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/19(月) 16:23:09 ID:aAR9hcFv<> >93
ぼっちゃんキター!!
未プレイだけど萌えました(*´д`) <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/19(月) 18:28:19 ID:dPmUR3/W<> >93
モエス <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/20(火) 01:05:14 ID:FTvFC/fq<>
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  >90です。早速投下してみます
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| ブラックヅャック 切り子×テンテーへぼん漫画
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
最近はまって、原作もあまり読んだことないまま
勢いと萌えだけで描いたのでかなりワケワカメなことになっています…orz
http://moravideo.s57.xrea.com/cgi-bin/upload/img/015.jpg
http://moravideo.s57.xrea.com/cgi-bin/upload/img/016.jpg

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ >93姐さんの後にうpるには
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ; ) ちょっとへぼん過ぎた感があるよ
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   | <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/20(火) 01:12:21 ID:klqGihQ4<> >98
(*´д`) <アワワワワワワ
テンテーの横顔が美人すぎますよ!tkmk <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/20(火) 01:23:49 ID:J1/GFECw<> >>98
GJ!このふたりはもう10年以上前から萌えです。
眼福〜!
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/20(火) 08:58:49 ID:z56RLpl5<> >98
とりあえず原作は全部読むのをおすすめ。
時代関係なくいまでも面白いよ。と20年前むさぼり読んでた私も言ってみる。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/20(火) 14:03:09 ID:WiJHdFLE<> 原作のテンテーはテラワワイス&イロッペーぞ(*´д`*)>>98読むのだ! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/21(水) 09:18:32 ID:Ts/dB773<> >>98
とっきめいたよありがとう(*´д`*)
DVD待ちのつもりだったけど今週末に映画館イッテキマス <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/21(水) 14:15:45 ID:twkPQPVO<> モエス(*´∀`) <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/21(水) 21:54:43 ID:zE9G6TPQ<> >93 姐さんに便乗して
T.O.Aのガ.イ→ル.ーク。旅立ち前。
多分、ネタバレはないと思います。(序盤の設定は使ってますが)
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ ) <> T.O.A ガ.イ→ル.ーク1/4<>sage<>2005/12/21(水) 21:56:21 ID:zE9G6TPQ<> 預言どおりの穏やかな日だ。
青い空にぽかぽかとした陽気、庭の草花も色とりどりに咲いている。
ガ.イは屋敷の私室で自分の時間を過ごしていた。
ベッドに寝そべって、地図を眺めては物思いにふける、
それが数少ない趣味の一つだった。
それぞれの町の違った歴史、風土、習慣、世界は一つでくくれないのだろう。
それは魅力的なことであるが、同時に亀裂を産むことにもなる。
マ.ルクトとキ.ムラスカが良い例だ、思想や宗教の多様性など荷物にしかならない。

「ガ.イ。入るぞ」
返事を待たずに、ル.ークが部屋に入ってくる。
ガ.イは思考を中断し、ベッドに腰掛けた。
このファブレ公爵家の一人息子であるル.ークは度々こうしてガ.イのもとへ遊びにやってくる。
表面上は雇い主と使用人という関係でしかないが、
年が近いせいか、二人は幼い頃からの親友だった。
ル.ークは七年前、危うくさらわれそうになり、
それ以前の記憶を一切無くしてしまった。
その誘拐騒ぎのおかげでル.ークはこの広い屋敷に閉じこめられている。
二度とあのようなことが起きぬようにという配慮からだというのはわかるが、
好奇心旺盛な年頃の子どもを閉じこめておくにはこの屋敷は狭すぎる。
贅沢の極みともいえる何不自由ない生活だが、
与えられる物以外何も手に入らない、友でさえも。
<> T.O.A ガ.イ→ル.ーク2/4<>sage<>2005/12/21(水) 21:57:55 ID:zE9G6TPQ<> 「何見てたんだ?」
ル.ークはガ.イの隣に腰掛け、ガ.イが先ほどまで手にしていた書物に目をやる。
「ああ、地図だよ」
パラパラと、世界地図をめくってみせると、
ル.ークは不思議そうな顔をして地図をのぞき込んでいる。
「おもしろいのか? それ」
「結構な」
「ふぅん、よくわかんねぇ」
「ここがバチカル」
ガ.イは地図の一点を示し、そこから指をすべらせ、青色をなぞる。
「これが海だ」
「ああ、おっきな水たまりだろ?」
ル.ークが自信満々に答える姿にガ.イは笑いをかみ殺した。
「そうだな、で、ここに小さな島があるだろ?」
「うん」
「ここでは、豊作を祈って盛大な祭りが行われるんだ」
「祭り?」
「ああ、ごちそうを神に供えたり、踊ったりするらしいんだがな」
「へぇ、ごちそう。うまいのか?」ル.ークが目を輝かせながら訊く。
「さぁな、果物と米を炊いたりするらしいが」
「……なんだそりゃ」ル.ークの目の輝きが困惑へと変わっていった。
「……まぁ、なんせごちそうだからな。多分うまいんじゃないか?」
「だよなー。果物も米もうまいんだから、混ぜてもうまいはずだよな」
勝手に納得するル.ークをよそに、ガ.イは未知の味についてまだ悩んでいた。 <> T.O.A ガ.イ→ル.ーク3/4<>sage<>2005/12/21(水) 21:58:49 ID:zE9G6TPQ<> 「んじゃあ、祭りってのは舞踏会なのか?」
「なんで?」
「踊っておいしいものが出ることなんだろ?」
ガ.イはル.ークの突拍子もない結論に盛大に吹き出した。
「なんだよ、なんで笑うんだよ」
自分の発言のおかしさに気付かないル.ークは大笑いするガ.イを睨む。
「いや、ごめん。だって、農民が優雅なワルツで雨乞いするのを想像するとおかしくてな」
「そうか?」
ル.ークはよくわからないという顔をしている。
ガ.イにとってはこの妙なやりとりが面白くて仕方なくても、
ル.ークにとっては自分の知らないことで笑われているという不安を引き起こすらしい。
まぁそれもいつものことだけれども。
「じゃあ、どんなのか踊ってみせろよ」ル.ークが腹立ちまぎれにガ.イに言う。
「俺が?」
「ああ」
「嫌だね」
嫌、というよりはガ.イだって本当はよく知らないだけなのだが、
そんなことは意地もあってか言いたくはなかった。
「何だよ、つまんねぇ」
ル.ークはベッドに倒れ込みふてくされた様子でガ.イに背を向け、目を伏せる。
まったく、お坊ちゃんはわがままだな、とガ.イは慣れた様子でル.ークの頭をなでる。
「機嫌なおせって」
「やだ」
「今度くだものごはん作ってやるから」
「……」
「うまいかどうか気にならないか?」
「……わかった」
それで許してやる、とル.ークは呟いた。
いい子だ、とでも言うようにル.ークの頭をぽんぽんとなでてやる。
こうしてしばらくすれば、また何でもないように機嫌をなおすだろう。 <> T.O.A ガ.イ→ル.ーク4/4<>sage<>2005/12/21(水) 22:00:04 ID:zE9G6TPQ<> ガ.イは地図に目を落とす。
キ.ムラスカ、マ.ルクト、国境線、大陸、島々。
ル.ーク、お前が思っている以上に世界は広くて楽しいんだ。
退屈だと言いつつ、ル.ークはこの狭い屋敷が気に入っているのかもしれない。
飛べない鳥に空を見せても意味はないのかもしれない。
それでも、何かを諦めきれずにいつも地図を眺めていた。

コンコンとノックの音がする。
「どうぞ」
部屋の主を無視してル.ークが応えた。
侍女がうやうやしくお辞儀をし、用件をル.ークに話す。
「グ.ランツ謡将がお見えになりました」
「ヴ.ァン師匠が! すぐ行く!」
グ.ランツ謡将、と聞いた途端、ル.ークは飛び起き、
さっきの不機嫌さなど忘れたかのように目を輝かせた。
少し呆気にとられながらガ.イは、じゃあな、と出ていくル.ークの背を眺めていた。
その名前一つでル.ークを上機嫌にさせるヴ.ァンを羨ましく思いながら。
「さて、と」
マ.ルクトの郷土料理のレシピなんてどこで手に入るだろうか、と考えながら、
屋敷の料理長の元へガ.イは向かった。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/21(水) 22:02:03 ID:zE9G6TPQ<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )モエがオーヴァーリミッツして書いた
ストーリー後半で矛盾が出てきてもキニシナイ! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/21(水) 22:06:45 ID:5L/zYZ4W<> リアルタイムで読めた!!
この先、どうなるのか…。

元ねたは知らないけど、ル.ークが可愛すぎて萌えてました。
続きが楽しみですよ。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/21(水) 22:14:52 ID:lLE2PAa1<> ゲーム買うべきですか、そうですか。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/21(水) 23:40:10 ID:0CrfvM0u<> 箱入りムスコと使用人モエス(*´∀`)
後半も楽しみにしてます。

無知な箱入りムスコかわいいなぁ。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/22(木) 01:35:57 ID:5N39P/bQ<>
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  最後といいながらまた来ちゃったみたいだよ
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  エロ有なので苦手な人はスルーしてくんろ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<> 下町1<>sage<>2005/12/22(木) 01:36:37 ID:5N39P/bQ<> グイと押し込むと濱田のくぐもったような喘ぎ声が漏れてくる。
はあはあと犬のように粗い息をくり返す自分の呼吸音と肌がぶつかる鈍い音と。
シンと静まった部屋の中で、ただ、それだけの音。
濱田の平たい背に浮き出た肩甲骨を汗の雫がつたい、シーツに染みていく。内股がひきつるように震え、どちらのともつかない獣じみたうなり声が聞こえてくる。
「クッ……」
腕がわなわなと震え、濱田の上体は崩れ落ちた。松元はかまわず白い尻を掴むと、強引に欲望を打ち込み続けた。
「ア、あ……」
「…っ」
「く、そ……」
何がクソやねん。おまえそんなにヨガっておいて。
「まつ、もとォ……」
「なんや」
「……おまえは……」
次の言葉を待つ前に、濱田の口から漏れる前に、恐れるように松元は乱暴にかき乱した。濱田は狂ったように悶え、喘ぎ、思考を霧散させる。細い腕、腰、背中。全てが、愛しいのか邪魔なのか、わからなくなる。
<> 下町2<>sage<>2005/12/22(木) 01:38:42 ID:5N39P/bQ<> 特に意味なんかなかった。ムシャクシャしていた。
東京は相変わらず、しっくりとこない。何故自分がここに立っているのかの答えさえみつからない。
よそよそしく冷たい街。肩に降り積もる疲労と、ゆっくりと心を覆う寂寥と、そして……まるで熱病にかかったような胸の痛み。
濱田は日に日に笑顔が増えていく。自分との会話に知らない名前が増えていく。
そしてため息を漏らす俺を気づかうような微笑み。言葉にならない感情で目眩がする。
その夜は魔がさした。いや、そんな可愛いものだったのだろうか?
その場限りのよくある安い打ち上げだった。全く心の奥がみえないスタッフに囲まれて飲み屋の席にいた。
注がれるままに酒を飲み干す松元を濱田は不思議そうに眺め、居心地の悪さを感じたのか、濱田もおずおずと酒を口に運びはじめた。
松元は相方である男の心の機微を熟知していた。自分が断らない酒をこの男が断るわけない。
悪魔の罠にはまるように。胃が焼けるような痛み。……おまえは、どれだけ、阿呆やねん……。
すっかり酔いつぶれた濱田の机に突っ伏した背中をみつめて暗い濁った瞳を閉じた。
泥酔したもの特有の緩くなった身体を抱えてタクシーに乗り込み、迷わず自宅の住所を告げる。
濱田の静かな吐息を数えながら、自分は狂っているのかいないのかを考え続ける。
意識のない濱田をベッドに横たえ、衣服を剥いた。ヒヤリと夜の冷たい空気が肌を撫で、ようやく濱田はその重い瞼を開いた。
「なんや……!」
自分を組みしく松元とそして自分の身体が全裸であることに、そして自分をみつめる相方の暗い瞳と、そして確かに自分に向けられたそそり立つ松元の欲望の証に…濱田は言葉を失った。
まるで神様に裏切られた子供のような目だと松元は思った。濱田は視線を彷徨わせて、泣き崩れた。
その仕種が余計に松元の心を掻きむしり怒りのか悲しみなのかわからない感情で肌を熱くさせる。
「あかん……」
啜り泣くような濱田の声。
「頼む。………たのむ。松元…」
<> 下町3<>sage<>2005/12/22(木) 01:39:21 ID:5N39P/bQ<> 松元は返事をしなかった。そのかわりに、目を閉じ死んだように息を殺す濱田を無理矢理に抱いた。
何度も何度も抱いた。精液を温かい直腸のなかに送り込んだ。なん度目かの射精のあと、濱田は意識を手放した。額に手をあてると物凄い熱だった。疲労とショックによる知恵熱だろう。
「子供か」
松元は動かなくなった濱田に向かって疲れたように吐き捨てた。そしてしばらくの後狂ったように笑った。眼球から流れる液体は涙だったのだろうか?
そして倒れるように眠りに落ちていった。

朝の鋭い光が瞼の裏で揺れていた。
松元は何度か目を瞬かせると瞼を開いた。その顔をじっとみつめる濱田の瞳があった。
静かに驚いていた。寝ている間にこの男に殺されているかもしれないと思っていた。いや、確かにそうなってもいいと。
言葉もなく濱田の顔を見つめ続ける松元の視線から逃れるように、濱田はそっと立ち上がった。その拍子によろけ、その場に崩れ落ちそうになる。
相当に弱っているようだった。そのことが昨夜のセックスが現実だったのだと言っているようだった。
濱田の静かな背中を眺めるうちに、どうしようもない悲しみが胸を覆った。ようやくだした声は掠れていた。
「どうする?」
松元の言葉はそれだけだった。それしか言えなかった。
「……」
こんな狂った男と、この先何を見るいうねん。そうやろう?
濱田は力なく振り返った。
「どうするて……」
濱田は今にも泣き出しそうだった。卑怯だとわかっていながら、寸でのところで堪えている。
「決めてくれ…」
松元の残酷な言葉に。濱田の瞳の奥が揺れた。暗い確信。松元は無意識に確信している。
濱田は、この男は、この幼馴染みは。俺を、裏切れない。裏切らない。何処までも。
俺を、俺という才能に、…心酔してるんだ。自惚れではない。尊いと、誰よりも信じて……。
可哀想な濱田。俺なんかに捕まってしまった可哀想な…。
逃げられないんだやろ?こわいんやろ? <> 下町4<>sage<>2005/12/22(木) 01:41:00 ID:5N39P/bQ<> あの夜から何度この身体を抱いただろう。
20代の頃の面影は薄れ…弛緩した30半ばの中年の身体。横たわるその背中に松元は面白くも無さそうに指を這わせる。
濱田がなにか呟いた気がした。そう言えばさっき何かを言いかけた気がした。
「さっきの……なんや」
松元の呟きに。濱田は無言だった。しつこく自分の背中を撫でる松元の指を邪魔そうにやんわりと振払った。
松元は別段面白くも無さそうにいつもの笑みを浮かべた。
『まつ、もとォ……』
『なんや』
『……おまえは……』
静まりかえる部屋のなかで数時間前の濱田の熱い掠れた声が頭を回る。
「さっきの、なんやねん」
松元は柄になく聞き返した。終止符を打ちたい気持ちと何も聞きたくない気持ちと。相反する感情のなかで気が狂いそうだ。
濱田はシーツに顔を埋めたままくぐもった呟きを漏らした。

「おまえ、俺を愛しとんのか……?」

初めて聞いたような濱田のか細い声だった。松元は静かに視線を彷徨わせた。答えはでなかった。
この男は俺の返事を聞きたいのか、聞きたくないのか。それさえもわからない。
俺にはなにもわからない。
ただ、濱田の笑顔が見たいと思った。自分と出会う前の、真直ぐな瞳の濱田の笑顔が。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/22(木) 01:42:26 ID:5N39P/bQ<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ なんだろう…すごく暗いっすね…
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/22(木) 01:49:10 ID:HdNbp93w<> >>114-119
初めてリアルタイムで遭遇した。
何て言っていいか分からない。ただ切ない。
姐さん超GJ! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/22(木) 02:32:00 ID:E2bntCdZ<> 酒のせいか、なんか胸いっぱい。うぐっ。
お互い「好き」なんだけど、「好き」の部分が妙にズレてて、
だからこそ関係が成立してるんだ・・・。GJGJ! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/22(木) 02:52:27 ID:IWQ95jhS<> 言葉になりません……
正にコレだ、こういう感じなんだ下町ってのは!あなたの下町SSを死ぬほど
読みたいです <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/22(木) 03:22:31 ID:xU02/jpm<> >>119
泣けたっす!
姐さんの下町話、何度も繰り返し読んでます! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/22(木) 03:39:37 ID:BQhfJ+fi<> >>114->>119
絶賛の中すみません
あの・・前に何度か投下されていた下町話の方とはぜんぜん違う方ですよね?
何か読んでいて全く感覚が違うので・・
あと関西弁がところどころ違うのも気になりました。
この先何を見るいうねん。そうやろう?  は「見るっちゅうねん」「そやろ?」
逃げられないんだやろ?こわいんやろ? は「逃げられへんのやろ?」です。

個人的な好みで申し訳ないけど、この作品は、耽美な雰囲気と直接的な表現の混在で混乱しました。
直接的なのの代表的なのは松元がいきなり「意味も無く」「そそり立つ」のでまず笑ってしまったのと、
「直腸のなかに精液を送り込んだ」という表現が生々しく、
おまけに濱田本人の持病(痔瘻)に関連して「ちょ、直腸に?」と妙な心配してしまうのと
(801ファンタジーにおいて不粋で余計なお世話でしょうが、絶対他にもいるハズだ!
だから曖昧な801穴的な表現にして、「腸」(他にも「肛門」等もNG)表現はやめたほうが萌えられると思われ)
それでもにょってる直後に「可哀想な濱田〜〜俺の才能に心酔して〜〜」、と松元の耽美に酔った思考が続くので
もう面白くなってしまい、真面目についていけなかったw
あとなにより、濱田はズバリとストレートに相手に「愛しとんのか」などとは聞かない、
(もし女性相手でも)性格的にも素直に聞けないような気がします。「本気なんか」程度かな?
キャラ的には「惚れとんのか」でギリギリでしょう。長文スマソ。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/22(木) 04:30:48 ID:XsaLshKW<> 一言。

       無        粋 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/22(木) 04:53:46 ID:ugnizwmt<> >124
…?( ゚Д゚)ポカーン <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/22(木) 05:15:17 ID:Si2+RImo<> とりあえず>124的下町性格も想像でしかない事は気づいてる…よな?
無理に2ch語使わなくていいよ。初心者だってのは読めば分かるから。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/22(木) 05:48:06 ID:AFrfMoDQ<> ここはいつから批評スレになったんだ
関西弁の正確性はまだしも、性器の表現方法まで>124に指導される
言われは>114にはないだろ <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/22(木) 05:56:53 ID:gcp6VZep<> 気持ち悪いのが湧いていますね。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/22(木) 07:35:49 ID:+s9GIhtl<> まあまあ、真面目すぎる人か荒らしでしょう。スルー <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/22(木) 07:41:00 ID:W03l0HKq<> 冬ですからね

>114姐さん GJGJ(*´Д`)ハァハァ <> 114<>sage<>2005/12/22(木) 10:10:34 ID:5N39P/bQ<> 114です。
朝起きて、レスがついていて嬉しかったです。ありがとうございました。
今まで投下した下町話はすべて自分です。その時の気分によって
多少書き方が変わってくるので統一性はないかもしれません。
混乱させてしまったらすいません。

これからもしまた下町を投下することがあったら
大阪弁の違和感など気をつけたいと思います(大丈夫かなぁ?)
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/22(木) 11:10:16 ID:H0ZtzfIh<> >114姐さん
楽しみにしてますんで!
また気が向いたときにでもおながいします。
もー、マッツァンもハマツァンもテラセツナス(´Д⊂ <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/22(木) 13:44:07 ID:ge7ZscSb<> >>114
気になさるな。また、気が向いたら書いて下さい <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/22(木) 15:35:32 ID:t3Niq47Q<> そろそろ冬休みだしな。
>114ごち! ( ゚Д゚)ウマーですた。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/22(木) 18:26:55 ID:7tNN3XhS<> >124に便乗して絡みスレで凄まじいナマジャンル叩きが渦巻いてますよ。
ナマジャンルの人は暫く投下控えたほうが良さげ。

ナマが投下される度、実は嫌悪・憎悪を燃やしていた人たちがあんなにいたんだね。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/22(木) 19:15:04 ID:w40EScaq<> >114
萌えました(*´∀`)
またちょっと落ち着いてからでも投下してくださると嬉しいです! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/22(木) 20:32:56 ID:/K/3V9KC<> >つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。

だから、もちつけ。隔離スレの事なんか気にするな。
漏れは下町萌え属性が芽生えたよ。また気が向いたら投下してくれると幸せ。
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/22(木) 22:28:21 ID:I0hGvUMz<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )バショ オカリシマース

先日最終回を迎えた御曹司ドラマ
茶道家元→天パ
完結してません・・・ <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/22(木) 22:28:52 ID:I0hGvUMz<> 「フランスとかたいして遠くねぇじゃん、なっ、宗次郎」

「そうだな、フランスは遠くないよな」

「こんなのうちのジェットだったら一時間もかかんねぇよ。
あーあ累もうちのジェットで行きたいなら行きたいって言えば乗せてやったのになー
強情なやつだぜまったく、なっ宗次郎」

世界地図のロシアを指差しながら柄砂が喋る。
片手に持っていた赤ペンに累のいないロシアはあっと言う間に塗り潰されていく。
柄砂は昔から親の仇みたいに筆圧が高いからペンの先はすっかり潰れている。
日本から一時間以上掛かるフランスもロシアもきっと柄砂にとってはそう変わらない。
日本に累が居ない、それだけが納得し難い事実として舌ったらずの言葉達を必要以上な饒舌さ
で引っ張り出す。

「面白くねぇ」

累がいないと、
そう続くだろう煩わしさが柄砂は気に食わないのだ。
その煩わしさをきっと人は「寂しい」と呼ぶ。
ただ柄砂だけがその煩わしさの意味に置いて行かれる。
置いて行かれても柄砂は意味に気付かない。でもそれでいい。もしも柄砂のおつむがもう
ちょっとでもまともなら今頃もう東京にはいないだろう。
累と一緒にシャンゼリゼ通りなんかで温かなハーブティーにビスコッティなんて浸して
頬を薔薇色に染めて優雅にアフタヌーンティーでもしているだろう。
それを想像するだけで柄砂のおつむの具合に安心する。俺は「寂しい」と気づいてほしくな
いと思っているのだ。あまつさえ「寂しい」を忘れてくれればいいと願っている。
どこまでも他力本願で無力だ。
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/22(木) 22:30:20 ID:I0hGvUMz<> だから俺はただこうやって柄砂のとりとめのない話を聞く。
話を聞くのが俺じゃなくてもいいことも、話の向こう側に類しか居ないことも身と言わず
骨まで染みてよく軋む。


世間はそれを恋と呼ぶんだぜ


可愛い女の子が好きだ。
胸の大小にはこだわらないのがこだわりだ。
可愛いという事実だけで生きている女の子なんか最高にいい。
可愛い女の子に重たいバックグラウンドや悲しい過去なんて1mgだって
必要ない。
俺に寄ってくる女の子たちはそれをほぼ100%備えている完璧な女の子たちばかりだった。
その完璧な女の子たちとの甘ったるいセックスは最高に気持がよかったし
若い俺の体を十二分に充たすものだった。けれどその甘やかな行為の最中だって
一度柄砂からの電話があれば体内温度は急速に冷えてしまうのだ。

「もしもし宗次郎、俺だ。」

俺は馬鹿なのか健気なのか多分馬鹿なんだろうなと無駄な自己分析とおざなりなセックス
でその場をなあなあに切り抜けてはいそいそと柄砂の元へ急ぐ。
珍しくもない呼び出しは大半があるようでないような
(例えば柄砂の話相手だとか話相手だとか話相手だとかつまり話相手だ)
用事ばかりだったが俺は当然のように呼び出しに応じた・・・。


<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/22(木) 22:32:26 ID:I0hGvUMz<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウデス シツレイシマスタ <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/22(木) 23:35:21 ID:EGcIXN18<> >139
キタ━━━( ´∀`)・ω・) ゚Д゚)・∀・) ̄ー ̄)´_ゝ`)━━━!!!!
続き楽しみに待ってます!(*´д`*)ハァハァ <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/22(木) 23:40:10 ID:CZSiW0PN<> >>139
ありがとう!
筆圧高い御曹司萌えです(*´д`) <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/23(金) 01:52:12 ID:hfRP+ahR<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  姐さんに刺激されて下町だよ
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  空気読まずに投稿だよ!
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 前回の餓鬼からインスパイア
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  | <> 1/5<>sage<>2005/12/23(金) 01:55:20 ID:hfRP+ahR<> で、用件はなんなんですか。
いや別に、僕の口からあの人について今更語ることなんてないです
よ。特にあなたのように、取材でもない、インタビューでもない、
ただ個人的に知りたいからって言われても、何を話すべきかも分か
りませんし。
じゃなぜここに来たかって? それはあなたのおっしゃる”大事な
もの”が気になっただけですよ。どうせあれでしょ。松元の、なん
か女との写真とかなんでしょ。正直マネージャーか何かよこせば済
む話と思ったんですけど、ね。まあ興味がないわけじゃないです
よ。だって全然あの人のプライベートなんて知りませんから。普通
は知りたいとも思いませんし。ただこうやってなんで話を松元では
なく僕に持ってくるってことですよ。
はい、写真ですか。はい、ああ、これは懐かしいな。大阪の、2丁
目の頃ですね。はいはい確かにこれは僕が当時住んでいたマンショ
ンですね。確かに松元が写っていますね。うわぁ、若いな。これど
こで手に入れたんですか? …それくらい教えてくれてもいいじゃ
ないですか。そっちだって僕から何か聞き出そうと思ってるんだか
ら。
次もあるんですか。これは、ああ、大丈夫です分かります、ちょう
ど餓鬼が落ち着いたくらいのときのですね、松元の家。はい、変な
サングラスかけてますけど、僕ですよ。このころはまだ、それなり
に付き合いもありましたから。あの人も東京に出てきて不安定にな
ってましたから。それは相方としてきちんと、フォローするべきと
ころでしょう。ねぇ。 <> 2/5<>sage<>2005/12/23(金) 01:56:06 ID:hfRP+ahR<> まだあるんですか。今度は2枚。オートロックになると中までは入
れんかったんかいな。まだこのころは髪の毛ふさふさや。そうです
ね、そうかもう10年くらい前になるんか。はい、僕と松元が、1
時間差ですね。この頃は直接会うってことはありませんでしたか
ら、これは偶然でしょう。きっと、そんときの松元の女がそこに住
んでいて、僕の友人がたまたまおんなじマンションだったと。ほ
ら、芸能人って同じマンションに住むってよく聞く話でしょ?
なんで松元の自宅がここじゃないって知ってるかって? そりゃそ
れくらいはトークとかで出てきますから、あの人のすんでる位置く
らいは知ってますよ。…確かにここも近いですけれど、でも違うで
しょ。
まだあんの? あなた探偵ですか? そやなかったら絶対ストー
カーか何かや。これ、4年ぐらい前ですよね。大阪の頃から数えた
ら、ものすごい時間かかってますよ。同業者から買い取ったとかで
すか。…黙ってないでなんか言えや。
はいはいそうですね、また同じようにマンションに入れ違いです
ね。で、だからなんなんですか。別に偶然が重なってもいいでしょ
う。というか、そもそも仮に松元と会っていたとしても何か問題が
ありますか? ないやろ。他のスタッフと一緒にネタ考えてまし
た。個人的な相談事を聞いてました。理由は別に何でもいいでしょ
う。いい加減、あんたの狙いは何なん? <> 3/5<>sage<>2005/12/23(金) 01:56:50 ID:hfRP+ahR<> まだあるんですか。今度はビデオ。まだ見せないんですか? うわ
半年前。…そのホテルですね。行きましたよ。松元も。だから何が
おっしゃりたいのか分からないんですよ。
部屋に隠しカメラつけてたんですか。めっちゃ犯罪や。絶対頭おか
しいって。なんでこんなオッサン二人組つかまえてこんな根性いる
作業やってるんや。ありえへん。
もう分かりました観念しますよ。ビデオ見なくても分かります。た
まにはホテルもいいなって思ったんです。そういう冒険をしたいと
きもあるんです。あなたのおっしゃりたいことも分かりましたよ。
で、何がしたいん? 金? それはないなそれやったらもっと早う
言い出してるはずやしなぁ。
趣味? あんたそんな趣味持ったらあかんって。どうしてもってい
うんなら、他にも若くてかっこよろしいのぎょうさんおるやん。な
んでうちらやねん。もうええ年なんやから。やっと厄年も過ぎよう
かっていうときに何してくれとんねん。
ああ、最初に言ってましたねえ。知りたいって。そういうことにつ
いて知りたいなら、そのビデオ見るなり、たぶんあんた他にもいろ
いろ持ってるでしょ。そんなんつなぎ合わせたら分かるでしょ。え、
俺の口から聞きたい? そんなん別に…。 <> 4/5<>sage<>2005/12/23(金) 01:57:50 ID:hfRP+ahR<> はいはい、こんなん言うたらええの? 最初のキスが14、本気で
キスしたんが16、初体験18、それから今に渡ってずうっと、ず
るずる続いてます。はい、もうええやろ。
これ、ネガ? これもマスターテープなん? …お前何してんね
ん。お前ずーっとがんばって集めてきたものやないか。何簡単に手
放すのよ。
え、何? 俺と話せたお礼? うわ、こいつアホや。だってこれ返
したら何もないやん。またストーカーするんか。それはやめよう
や。こっちも今までものすごい気ぃ遣ったりとか、それこそ事務所
の力とかでこういう話題タブーにしてきたり、めっちゃがんばって
きてんねんから。そのうちらの努力は無駄にせんでほしいなぁ。ま
あ、所詮お前にはバレバレやったってことやけれど。
でも、おもろいオモチャが入ったわ。このテープ松元に見したらど
うするやろ? 絶対恥ずかしがって見いひんわ。のりのりでダビン
グされても困るなぁ。でもしそうやなぁ。
なにこれ? あんたの電話番号なん? ときどき電話するからお願
いしますって絶対着信拒否するわ。いったんその携帯死ね。携帯ご
とお前も死ね。
わかったわかった、電話でるし、極力掛けなおします。だからその
テープよこせ。絶対松元に見せたる。 <> 5/5<>sage<>2005/12/23(金) 01:58:51 ID:hfRP+ahR<> もう帰る? なんや、金とか尻とかそういったもの要求されると思
てたのに。今は互いに無理やから。痔下町だから。これからもさす
がによろしくはしたくないのよ痔は。ヤツだけは。
そうそう、あんたの知りたそうなこと、一個今教えたるわ。
松元が横に人が寝てると眠れないって有名な話やん。実は俺もやね
ん。だから嫁と別々のベッドで寝てるし。それは知ってるやろ?
いやだって、俺の右はあの人が寝る場所だから。それは守らなあか
んところ。あの人昔は、夜寝られへんからって俺呼び出したりして
た時期もあったんやで。いやいや、そんなんやなくてただの添い
寝。子守唄歌ってやったりして。氷雨とか。
松元の携帯? 本当に知らんよ。だって必要ないし。そんなん、だ
いたい雰囲気で分かるもんやん。いや分かるんだってなめんなコンビを。
いや、こんな話でいいならときどきなら話しますよ。自分、口固い
やろうし。どういうつもりでこんなん聞きたいかは分からんけど。
最後の質問? 何?
俺は松元を愛してますよ。誰よりも。 <> 5/5<>sage<>2005/12/23(金) 01:59:38 ID:hfRP+ahR<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |                御目汚し失礼しました。
 | |                | |           ∧_∧ 方言は脳内補完でお願いします
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   | <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/23(金) 02:07:49 ID:TERJ/wEx<> う、うわ…こういう形式で書けるってのがすごい。しかも萌える。超すごい。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/23(金) 02:36:03 ID:w8VkoW2I<> 氷雨テラワロスwww
いやぁ、ごちそうさまでした、とっても美味かったっ><
このストーカーここの住人だなw <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/23(金) 02:54:54 ID:P244cEZx<>
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  だぶりゅー@てぃー。てぃー視点
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  オ/リ/コ/ンのクリスマスメッセージから妄想
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 絵描きなんでヘタレですスマソ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 1/3<>sage<>2005/12/23(金) 02:56:13 ID:P244cEZx<> テーブルの上の空き缶は一体幾つあるんだろう。
クリスマスだから、なんて言って酒買ってきて。
20歳になったからって調子に乗って飲みまくって。
そろそろやめた方がいいんじゃない?っていう俺の忠告は無視。
なんやねん、全く。
俺がまだ20歳になってないからって勝手に飲むだけ飲んで
ベロンベロンになってさ。
「うー…」
さっきまで凄いテンションで喋ってたのに、今じゃうーとかそんなの。
ほら、無茶したから。
「英ちゃん。もう寝た方がいいんじゃないの」
「あー?」
「あー?やなくて。飲みすぎ」
「にゃに言ってんだよ撤坪!俺全然飲みしゅぎてねーよ!!」
いや十分飲みすぎてる。だってちゃんと喋れてないもん。
空き缶を適当にキッチンに持っていっていたら、飲みかけの缶ビールを
手に取ってるのが見えて、急いでそれを取り上げた。
「あかん!もう飲むな」
「うるへーな、返せ!っ……」
「……?」
またマシンガントーク並に喋るのか。と思ったらその逆、何も喋らなくなった。 <> 2/3<>sage<>2005/12/23(金) 02:57:22 ID:P244cEZx<> 「どないしたん?」
唸るみたいにうー、とかしか言わない。目の前で手を振っても何の反応もない。
これは……リバースの予感?
「ちょ待てここはやめろよっていうか水!」
ちょうど流し台に置いといたコップに水を入れて、それを飲ませる。
「とりあえず水飲んで」
自分でコップを持つものの、その手が覚束なくって割られても困るから
俺が持つことにした。
時間はかかったけど水は身体の中に入っていった。
コップをテーブルの上に置いて、しばらくじっと英ちゃんの様子を見る。
眠くなってきたのか、うとうとしてる。
とりあえずリバースの心配はなさそう。
「寝るんやったらせめてベッドで寝てや」
残りの片手で数え切れる空き缶と未開封の缶を片付けながら呟いたら、
急にぐいっと腕を掴まれた。
「何すん…」
利き手を掴まれたから、無意識に振り払おうとした。
でも振り払う前に俺は英ちゃんの腕の中に収まった。 <> 3/3<>sage<>2005/12/23(金) 02:58:37 ID:P244cEZx<> 「ちょ、何?離せや」
普段だったら力づくでも離れるけど、今の相手は泥酔した英ちゃん。
さすがに何をして面倒なことになるのは嫌だ…けどこのままはもっと嫌だ。酒臭い。
「英ちゃん、離して」
「うー……ううん………」
嫌だ、か。
それって本心?
俺だって本当は嫌だよ。離れたくない。
「…英ちゃん?」
何となく背中に回った腕の力がなくなった気がして顔を少し上げると、
あの淡い色の目が閉じてた。
「……寝たんかい」
ゆっくり腕の中から出て、眠った身体を起こさないように重い。と言いながら
ベッドに寝かせた。
布団をかけるくらいにはもう規則正しい寝息。
アルコールのせいか顔が赤くて、体温も少し高い。あったかいなあ。
仕事が忙しかったりして会えない日が続いたりすると、英ちゃんの温度思い出すんだ。
いつも俺の肩を抱くあの手のあったかさ。
受け止めてくれる時のあのあったかさ。
英ちゃん、本当、あったかい。
「明日起きて、俺のこと抱きしめたんだよって言ったらどんな反応するんやろ」
何それ?全っ然覚えてない。って言うんやろな。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/23(金) 03:00:27 ID:P244cEZx<> ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ てぃー部屋の資料がないので適当です
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 場所お借りしました
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/23(金) 03:16:53 ID:RxH+ZsGu<> 姐さんGJ!

<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/23(金) 06:28:18 ID:lSez0uTU<> >>145
同ジャンル者だから言うけど、空気読もうよ。
下町目当てでこのスレ見てる人は極少数しかいないんだよ。
絡みスレも読んでみてくれ。
このスレ自体も荒れかねないってことを理解してほしい。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/23(金) 06:48:52 ID:I5tNpTU7<> >160 はいはいわろすわろす <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/23(金) 07:15:32 ID:NJtxBNXc<>    〃∩ ∧_∧
   ⊂⌒(  ・ω・)  はいはいわろすわろす
     `ヽ_っ⌒/⌒c     
        ⌒ ⌒


<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/23(金) 08:07:14 ID:tLu3PkxE<> うわあ… <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/23(金) 09:06:08 ID:5CwIVWmC<> 普通に萌えたが、下町ヲタってそんなにぐちゃぐちゃしてんの?
絡みスレとやらには行くつもりはないが。
粘着のニオーイ。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/23(金) 09:14:06 ID:tLu3PkxE<> 粘着ナマモノアンチだと思われ
絡みスレの最低限のルールも守れない人。。。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<><>2005/12/23(金) 09:34:54 ID:OQGVDgqW<> つhttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1133432929/ <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/23(金) 09:50:20 ID:QHNY73lH<> 他スレ見てないけど下町おもしろいよー
自粛とか空気嫁とかそういうのこそいらない <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<><>2005/12/23(金) 10:11:05 ID:2skMR2Fi<> その絡みスレの下町関係の絡みも>>160が書き込んだものだったりしてw <> sage<><>2005/12/23(金) 10:19:17 ID:xUZjhyLq<> 100-1の時もそうだったけど、ジャンル外者は全く気にしてないのに
一部のジャンル者(CP違いかアンチ?)が空気よめとか言いだすね <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/23(金) 11:20:22 ID:66f0usSc<> 古参気取りで名前欄がsageとは恥ずかしいw <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/23(金) 12:49:04 ID:6/VDrkil<> >>154
GJ! また書いてね。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/23(金) 14:09:41 ID:SYs5p5oJ<> >>154
GJ。他ジャンル者だが萌えた。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/23(金) 20:02:28 ID:G2D8b6Zq<> 下町は笑うと鞭打たれる(竹刀だったっけ)番組しか見たこと無いけど
ここでの投下はいつも楽しみにしてますよ。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/23(金) 21:06:28 ID:qr4VPzrf<> 下町GJ!禿萌えた! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/24(土) 03:01:36 ID:lbei5ABE<> >>160
絶対あんたは>>145と「同ジャンル者」じゃないと断言する。
ただのヒステリックなナマモノ嫌い。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/24(土) 03:25:19 ID:LphgzYHs<> 蒸し返しなんて無粋なことしなさんな <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/24(土) 04:44:55 ID:If4vF0aR<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマスッ…!

「アカキ"」のアカキ"とナンコ"ウです。 <> 1/2<>sage<>2005/12/24(土) 04:46:05 ID:If4vF0aR<>  暗い部屋の中で、アカキ"は足を大きく広げて座っている。
 その目は、足元にうずくまって彼のものをなめたてているナンコ"ウを見下ろしていた。
 深くくわえこんだナンコ"ウの顔が、一瞬苦しげにしかめられる。
 アカキ"は「無理しなくてもいいよ」というように、軽くナンコ"ウの髪を撫でてやった。
 ねばつく体液がたてる音の合間に、ときどきアカキ"のうめく声が聞こえた。
 そして、熱い舌に満遍なく愛撫を受け、アカキ"は果てた。精がナンコ"ウの顔を白く汚す。
少し飲んでしまったのか、ナンコ"ウは軽くむせた。
 「うまくなったじゃない……」
 深い満足を感じながら、アカキ"はナンコ"ウのおとがいに触れる。
 「ア、アカキ"……その……」
 ナンコ"ウはしかし、ひどく戸惑っていた。自分によってアカキ"が達するということが、
何度繰り返しても信じられないでいる。触れられるのも気恥ずかしいのだが、くす
ぐったさにも似た嬉しさがあるのも事実だった。
 突然アカキ"は立ち上がり、手ぬぐいを一枚取って水に濡らした。後始末をするつもり
なのだろう。それは当然のこと、むしろ自分がやらなければならないのだが、ナンコ"ウは
何故か置き去りにされた気がした。 <> 2/2<>sage<>2005/12/24(土) 04:47:26 ID:If4vF0aR<>  「あーあ……、汚しちゃって」
 しかし戻ってきたアカキ"がまずしたのは、ナンコ"ウの顔を拭いてやる事だった。
 「い、いいよアカキ"。自分でやるのに」
 「いいから」
 強く言い、アカキ"は丁寧な手つきでナンコ"ウの顔をぬぐった。ナンコ"ウは思わず目をつぶって
従った。
 「ナンコ"ウさん、きれいになったよ」
 終わったことを確かめるかのように、アカキ"はナンコ"ウの額にくちづけた。そのとたん、
ナンコ"ウは顔を真っ赤にしてのけぞる。
 「ククク……。ナンコ"ウさん、まさかこれで終わりってわけじゃないでしょ」
 「ア、アカキ"ィ……ッ!」
 ナンコ"ウを押し倒すと、アカキ"は恐ろしさを感じさせる笑みを浮かべ、のしかかった。
部屋は、すぐに二人のあえぐ声で満ちていった。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/24(土) 04:48:38 ID:If4vF0aR<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタッ…! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/24(土) 05:55:38 ID:4x0pEcff<> >180
シゲルGJ!
ところで姐さんシゲルは何才設定ですかハアハア <> 犬がいる季節<>sage<>2005/12/24(土) 12:38:14 ID:P7xGca6m<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

某刑事ドラマだよ
でも主役二人じゃないんだってさ
ミウラ&イタミンデ イタミン->カメ ラシイヨ

イタミンがなんで先輩に向かってあんなタメ口なんだろう、と常々の疑問への
こじつけ回答です。練り込まれてない上、下手でごめんなさい。
子が親の跡を継ぐことが少ない現代、先輩から後輩へと受け継がれていく
刑事のDNAみたいなものを書きたかったんですが…。 <> 犬がいる季節1<>sage<>2005/12/24(土) 12:39:55 ID:P7xGca6m<> 芹澤を見ていると、伊民も刑事として、ずいぶん成長したものだな、と三裏は思う。
憧れの刑事になれたという喜びに目を輝かせ、張り切るあまりに失敗しては
叱られてしょげていた、まだ幼さの抜けきらない、配属されてきたばかりの新人の頃。
TVドラマのスマートな物語と、現実は違う。
年に何度か、温もりすら残っている新鮮なものから、常人ならトラウマになって、
しばらく寝込むだろう死体のお相手、後はひたすら、邪険にされながら市民に
聞き込みをし、成果があろうとなかろうと、日々の書類書き。
それにめげて、配置転換を申し出るならまだいいが、中にはショックのあまり
退職願いを出すのも、入ったばかりの新人には、よくあること。
次第に、伊民の表情は暗いものになっていき、捜査の進展に繋がる情報を掴めない
ことに対する焦りと苛立ちが滲み出ていた。
肩を叩き、酒に誘ったところで、気が晴れるはずもない。こういうものだと、
時間をかけて慣れるなりコツを掴むしかない。
このままだと、伊民が持ってくるのは、配置転換か、退職願いか。そう三裏が
腹の内で確信めいたものを抱くようになった頃。
伊民は化けた。
ベテランの先輩である三裏の後を子犬のようについて回っていた、新人や若者らしい
可愛げが無くなった。
それだけではない。
三裏の言動、すべてをコピーするようになったのだ。話し方から歩き方、ちょっと
した仕草まで。 <> 犬がいる季節2<>sage<>2005/12/24(土) 12:41:35 ID:P7xGca6m<> 刑事として未熟な伊民が、刑事として生き残るには、それしかないのだと言うように。
当然、他の署員に始めは馬鹿にされ、からかわれていたが、伊民は意に介さなかった。
まるで自分自身が三裏であるように振る舞い、時には、聞き込み相手から、
若いくせに態度が大きいと反感を買うことがあった。それでも。
誰もが伊民の変貌に慣れた頃、伊民の三裏の言動の真似が、伊民本来のもので
あったかのように馴染んだ頃、そこには紛れもない刑事がいた。
あれから何年が経ったことか。
その伊民の、また新たな変化に、少し前から三裏は気づいていた。
課の奥に、中途半端に設けられた小部屋。そこに新たな住人がやってきてから。
「匿名係の瓶山ぁ!」
今日も威勢のいい怒鳴り声に、居合わせた者がまたか、という顔になる。
刑事でもないのに事件をかっさらっていき、その上、あっさりと解決していく彼ら。
昔苦悩していた伊民からすれば、羨ましさの裏返しの妬みと、憧れのような感情を
抱いたところで、不思議はない。
被疑者や証人の前でまで、柄の悪い言葉遣いで怒鳴るのはちょっとまずいんじゃ
ないかなぁ、とさすがの三裏も思わなくもないが、煮詰まっていた時期の−−
刑事になるために、自らを捨てる前の伊民を思うと、事件への過剰な期待も失望も
なく、元気に過ごしていることに比べたら、たいしたことではない気がして
しまうのだ。 <> 犬がいる季節3<>sage<>2005/12/24(土) 12:43:10 ID:P7xGca6m<> 幸い、変わり者の警部は、いつも穏やかに二人のやりとりを眺めていることだし。
少なくとも、現役のうちに一人は刑事を育てることができたことを、三裏は少し
誇らしく思う。
後ろで、あーあ、と呟いた芹澤、少しお調子者でそそっかしいこの新人は、
どうだろうか。三裏自らが心を砕かなくても、持ち前のめげない性格で、
伊民の後をついて歩くのだろうか。、
怒鳴りあっている二人を、そろそろ止めるべきか、と口を開くより早く、
警部が静かに自分の部下の意識を、不毛なじゃれあいから切り離すべく声を
掛けたところだった。途端、今までの事がなかったかのように、瓶山は上司へと
振り返る。毎回三裏がその様を犬のようだと思っているのを、知ることもなく。
一方の伊民はというと、まだ鼻息が荒い。羨ましいか、と聞いたら、この後輩は、
どう答えるのだろうか。定年が程近い先輩に手土産として、口を開くだろうか。
犬猫の一生は短い。一説には、一年が人間の十年ほどに相当するという。しかし。
育ち急がず、もう少し子犬の時期が長くてもよかったのではないかと、
時折三裏は思うのだ。 <> 犬がいる季節<>sage<>2005/12/24(土) 12:44:41 ID:P7xGca6m<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 

お目汚し失礼いたしましたorz
決して来年が戌年だからというわけでは…! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/24(土) 13:31:18 ID:TaM31+Pc<> >180
アカキ"攻めかーっ
も、萌えた… <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/24(土) 14:33:33 ID:UJQBbVUZ<> >>186
わんこーず・・・。
切な萌えです。イタミンたまには子犬にもどってみうらっちに甘えるがいい! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/24(土) 17:10:36 ID:GFyoYMC5<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  イブだけど下町だよ
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  >>145からの続きだよ。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ いろんなスレからインスパイア
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  | <> 1/10<>sage<>2005/12/24(土) 17:12:35 ID:GFyoYMC5<> 濱田の唇に欲情した。
どうして急にこうなってしまったかは分からない。今日は普通どおりの収録で、2本目で、いつものようにゲストをさばき、何もかも変わらないはずなのに、松元は左にいる男から視線を外すことができなかった。
ゲストたちの何気ない一言を濱田が拾い、松元がふくらまし、濱田がつっこみ、ゲストが笑う。そんな流れ作業を繰り返しながら、松元はだんだん反射神経の笑いに移っていく。
ぽってりした感触が先端を包む。舌先でくすぐられる。軽く吸われる。松元が軽い声を上げたところで濱田の目が笑う。そして奥まで咥えこみ、根元を少しきつめに唇で締めながら敏感なところを舌で何度も往復する。
松元は目を閉じる。息が荒くなる。頭が白くなる寸前に濱田は往復する。全体を柔らかい唇の感触が包む。音を立てて吸われる。抑えようとしても声が止まらない。むりやり濱田の頭を引き剥がす。
不満そうに見上げる発情した濡れた目、唾液と松元の分泌したものに汚された厚い唇。松元はそれらを見て気が遠くなるほど興奮し、そして笑いが止まらなかった。 <> 2/10<>sage<>2005/12/24(土) 17:13:23 ID:GFyoYMC5<> 突然頭を叩かれた。
隣を見る。
濱田は怒ったように唇をとがらせている。乾いた目にさらに欲情しそうになりながらも、一気に現実に引き戻された。
今は悲しいくらいに仕事中だ。
ゲストたちの雰囲気に気を使い、バランスよく話を振り、ボケたり、ときにはツッコみ、濱田と声を合わせ、大げさに笑ってみたりしながら、それでも松元は先ほどの妄想を頭から取り除けないでいた。
42歳、厄年。うさぎ団ピョーン。
脈略のないことが頭にうかぶ。うまく会話に入っていけない。それに気づいたのか濱田が一方的に仕切りはじめた。もう松元には気を遣っていない。無表情な目。黙々と仕事をする目。
いつからこんなにも遠く感じるようになってしまったのだろうか。家族のためスタッフのため、そして松元のために働く男のとなりで、その唇をけがす想像をしていたことを恥じた。そしてまた、興奮した。
淡々とコーナーは進む。終わりに近くなったとき、年齢の話になった。よっしゃ。 <> 3/10<>sage<>2005/12/24(土) 17:13:59 ID:GFyoYMC5<> うさぎ団の話をする。そして松元は連呼した。ぴょーん。ぴょーん。ぴょーん。
いつものように叩かれると思っていたのに、濱田は松元の腕を思いっきりつかんだ。そのときの目はひどく濡れているように見えた。
「なんや、お前もやりたいんかえ」
スタッフもゲストも観客も、そのことだとは気づかなかったはずだ。だけど濱田には通じている。松元は確信した。
わずかに間が空く。目が合う。そして濱田はうなずいた。その顔は明らかに上気していた。
結局一緒にやりたかったんじゃないですか。ゲストの声が遠く聞こえる。そんなのどうでもいい。そんなことじゃないんだ。松元は思わずガッツポーズをした。みんな大笑いする。
それから二人は声を合わせた。ぴょーん。ぴょーん。 <> 3/10<>sage<>2005/12/24(土) 17:15:03 ID:GFyoYMC5<> 収録が終わり、適当に挨拶をしながら楽屋に帰る。
携帯を取り出し、今日の予定をキャンセルするために後輩に電話する。
ごめん、肉槍のせいでウンコホールがえらいことになってちょっと今日無理。ほんと松元さん大丈夫ですか。って、ニクヤリってなんですのん、イボですか? なんかしゃべってくださいよ。用事できたんですか松元さんっ!
電話を切りため息をつく。後輩に悪いことをしたと考えながらも、うれしさを抑えられない自分を冷酷な人間だと松元は思う。欲情だけで人を切り捨てられる。
もう一度ため息をつく。そして視線をさまよわせる。
テーブルの上に、見慣れないものがあった。
イヤホンのついた小さな機械。今はやりの携帯オーディオプレイヤーだと気づいた。でもなぜこんなところに?
忘れ物はありえないし、マネージャーから何も聞いていないし、でもこれは明らかに松元の楽屋にあり、誰かが置いていったとしか考えられない。
好奇心が湧いた。松元はイヤホンをつけ、試行錯誤しながら再生した。 <> 5/10<>↑は4/10ですsage<>2005/12/24(土) 17:16:30 ID:GFyoYMC5<> 聞かなきゃよかった。聞くべきではなかったのだろう。
そこには濱田の声があった。ご丁寧に相手の声は完全に消されている。最初は冷静だった濱田が写真に驚き、ビデオの登場で簡単にしゃべっている。彼が本当に隠したがっていた松元とのことを。
いや、本当は誰かにしゃべりたかったのかもしれない。そうとしか考えられない。そうじゃないとつじつまが合わない。まだ言い逃れできたはずなのに、どうして、濱田はしゃべったのだろうか。
濱田から直接愛してるなんて言葉を聞いたことはない。ただ、インタビューや取材のときなら似たような表現をよく使う。必ずといっていいほど言う。
その言葉を雑誌で見るたび、松元は嫌悪感と罪悪感に襲われる。言いたいなら直接言え。でも、直接言えないようにしてしまってるのは松元自信なのだ。
今度はこんな形で濱田の告白を聞いた。彼の声が耳元で残る。
俺は松元を愛してますよ。誰よりも。
誰よりも、ってあれか、親も嫁も子供よりも好きってことか。それとも俺の周りにいる誰よりも自分が一番愛してるって言いたいんか。どっちにしろ、そんなことぬけぬけと他人に言うって頭おかしいんとちゃうか。ありえへんやろ。 <> 6/10<>sage<>2005/12/24(土) 17:18:56 ID:GFyoYMC5<> 松元は手元の機械を投げようとして、思いとどまった。
イアホンを取りポケットの中に入れる。松元はちょっとだけ笑い、キーケースを取り出しぶらぶらとさせた。
玄関を開けると、すでに靴が並んでいた。
部屋のドアを開ける。濱田はベッドの上で大の字になっていた。思いっきり寝ていらっしゃる。そしてテーブルの上にある、1本のビデオテープ。
今どきDVDちゃうんかと思いながらテレビ付近を捜す。この家にビデオデッキなんてものはなかった。必要ないのだ。
結局テープをテーブルに戻し、松元はベッドに腰掛けた。横目で濱田を見る。
互いに老けた。40過ぎには見えないですよといろんな人が言う。同級生に比べれば確かに全然若く見えるだろう。
でも本人には分かるのだ。昔と違う。ただ、年をとったことを松元は後悔していなかった。濱田と一緒に過ごした年月を否定する気になれなかった。中年だからと差別されたとしてもかまわない。それで自分たちの価値が下がるとは思えない。
どうせデビューしてからこのかた、ずっと叩かれ続けてきたのだ。今更多少のことでは動じない。
だが今回のことは松元に衝撃を与えた。
今カミングアウトする理由がない。わざわざしゃべる必要もない。松元は濱田の考えを推し量れずにいた。 <> 7/10<>sage<>2005/12/24(土) 17:19:44 ID:GFyoYMC5<> 濱田を軽くビンタした。
すかさず殴り返される。それはきれいに松元の頭にヒットして、濱田の反射のすごさに改めて感心する。
「もっとやさしく起こせぇや」
濱田があくびする。疲れていたのだろう。
「こっちは多少聞きたいことがあるんや」
頭をふりながら濱田が起き上がった。目の前に松元はポータブルプレイヤーを差し出した。
「何でしゃべったん?」
濱田は機械と松元の顔に視線を往復させる。そしてしばらくうつむいていた。
「聞いたんか」
松元は答えずにプレイヤーをテープの横に置いた。
「あいつも、変なところで律儀やなぁ」
濱田が力なく笑う。松元はそれを見て、また少し腹が立っていた。 <> 7/10<>sage<>2005/12/24(土) 17:20:22 ID:GFyoYMC5<> 「なぁ」
濱田が顔を上げる。力ない、乾いた無表情の目。そこに自分が写っているか不安になる目。
「何でバラしたん?」
「何でって、テープあるやん」
感情のない声で濱田は答えた。
「お前アホか。あの日、俺ら、何もなかったやん」
そう、何もなかった。
冗談でホテルを取った。悪乗りして行った。シャワー浴びて備え付けの浴衣に着替えて、テレビ見ながら濱田はぶつぶつ言っていて、松元はそれを聞きながら冷蔵庫にあったビールを飲んで、濱田にも勧めて、一緒にちびちび飲みながら寝た。
本当にそれだけだった。
何とでも言い訳できるはずだ。確かにベッドがダブルだったのは痛いが、それはホテルのミスだとか何とか言え。
今度イベントを行いたいと思っているが、企画を立ち上げる前に互いの意見の交換をしておきたかったから会いました。泊まったのはスケジュール的に昼の時間が取れなかったからです。マネージャーに話せば企画が勝手に進んでしまうんで。 <> 9/10<>↑は8/10sage<>2005/12/24(土) 17:21:32 ID:GFyoYMC5<> 松元は唇を噛んでいた。
「何もなかったら、しゃべると思うか?」
濱田が声を出して笑った。松元はあっけにとられる。さっきまで無表情だったのに、今度は子供みたいだ。よく動く柔らかい唇を見て、松元は例の妄想を思い出す。
「…何もなかったよ」
「あったよ」
「なかったって」
松元はだんだん分からなくなる。この悪人は、言い訳させるなら大概の人には負けないだろう。あんな素直に話すとは思えない。
「誰かに聞いてほしかったんか?」
また濱田が笑う。少しだけ、目が濡れている気がした。
「それもあったかもしれんけど…。なぁ松元、俺あのときヤツに言ってなかったことあんねんで」
謎かけされた。きっと馴れ初めとかきっかけとかそんなことじゃなく、濱田でさえ言い訳できなかった理由。分からない。
松元は首を振った。
「俺、松元が眠らな、熟睡できんのよ」
必死に半年前に記憶を呼び起こす。
ビール飲んで寝た。濱田の顔が赤かった。唇をときどき動かして、子供のように寝ていた。
「アッーーーーーーー!」
松元は叫んだ。 <> 10/10<>sage<>2005/12/24(土) 17:22:58 ID:GFyoYMC5<> 分かった。
寝顔があまりにもいとおしくて、松元は寝ていたはずの濱田にキスをした。そして、抱きしめて、そのまま眠りについた。
「気づいてた?」
「思いっきり」
松元は顔が熱くなるのを感じた。恥ずかしい。ありえないくらいに恥ずかしい。
「なんで起きてるときにしないんかなぁ」
濱田は唇だけで笑う。だんだんその顔が、妄想の顔と重なってくる。恥ずかしくて体中が熱い。それがまた、欲情を呼んだ。
「お前かて、俺には愛してるって言わんくせに」
「お互い様やね」
互いに顔を見合わせて笑った。
松元はなんだか幸せな気分になっていた。
「なぁー、濱ちゃーん」
「なんや」
口調だけふざけて、松元は濱田の目を真剣に見返す。
「ちょっと口でやってえやぁ」
濱田が視線を落とす。鼻で笑う。
「ええやんちょっとだけ」
顔を上げた。濱田の熱い目、柔らかい笑顔。
松元は押し倒したくなる衝動を必死でこらえた。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/24(土) 17:23:46 ID:GFyoYMC5<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ いやぁ、長かったですね。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) イブになにやってんだろう…。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   | <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/24(土) 19:09:39 ID:0K/6aWKD<> >189
ちょwwwおまwwwGJGJ!!!
素敵な萌えSSをプレゼントしてくれてありがとう(*´Д`)ハァハァ <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/24(土) 20:00:16 ID:HHR5EC4g<> >189
ありがとう、本当にありがとう!
ああやっぱり外出しないで良かった… <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/24(土) 21:04:55 ID:bMTUyj4M<> 「アッーーーーーーー!」
テラワロスwwwwwまっちゃんハズカシwww
GJ! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/24(土) 21:15:47 ID:7ZYspgHt<> ハッピーで可愛いお話をthanks!
またよろしくお願いします。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/24(土) 21:24:33 ID:OF+FJOZX<> >>182
そのエピソード素敵だねぇ!
ありそうだ。モエス!
イタミソと亀のダブルわんこ。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/24(土) 23:03:45 ID:GvVpVkjd<> >>189
萌えすぎて泣いた
GJ <> 189<>sage<>2005/12/24(土) 23:15:31 ID:GFyoYMC5<> 誤字見つけてテラハズカシスwwwwww

おまけ。キバヤシ。

「アッーーー!」、といえばそう、TDN。
これを逆に並び替えるとNDTとなる。
Nが接頭語になるとしたら"non"、つまりNOだ。
DTとはもちろん下町のことだ。

つまり「アッーーー!」という松元氏の叫びは、
下町はこのスレにもういらないっていう宣言だったんだよ!!!!!!!


Ω ΩΩ <ナンダッテーーー!
           ΩΩ<勝手に消すな。居座ったる。キバヤシしばくぞコラ。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/25(日) 00:47:57 ID:ugnvTPd+<> >207
キバヤシがしばかれそうなオチに不意打ち食らってワロテシモタww
GJ。ご馳走様ですた。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/25(日) 11:42:04 ID:HVSj6kI+<> >>186
乗り遅れちゃったけどミウラタン、格好良いなあ! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/25(日) 20:52:12 ID:tNzTu3ug<> >>186
淡々とした文体が堪りません
激しく萌えました
GJ <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/25(日) 23:36:22 ID:XtMnsX8P<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

*9が指定したカプ・シチュに*0が萌えるスレPart4
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1128660073/979
のお題で書いたのですが、まとめサイトの掲示板が現在利用できないので場所をお借りします。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/25(日) 23:36:53 ID:XtMnsX8P<> 絵本を抱きしめたまま、狐はいつまでも泣きじゃくる。
「もう泣くな。目玉が溶けちまうぞ」
狼が肩を抱くと、狐は縋るように身を寄せ、だがまだ泣き止まない。
涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔を舐め回すと、狐は泣き顔のままくにゃりと笑った。
「狼さん、くすぐったいよ」
「落ち着いたか」
「うん」
頷くが、一度緩んだ涙腺はなかなか戻らない。
狐は涙を流しながら、狼の胸に顔を押し付けた。
「がぶ、死んじゃったのかな」
「どうだろうな」
「生きてるよね。また、めいに会えたよね」
「もちろんだとも」
狐の背中を撫でながら、そういえばこの絵本の続きが出ていたな、と狼は思いだした。
明日にでも買ってやろう。きっとハッピーエンドに違いない。
そう囁こうとした狼はしかし、狐の小さな声が聞こえて、ぎくりと硬直した。

「狼さんは、死なないでね」

狼は思わず狐を抱きしめた。
「死ぬもんか!絶対に!」
かわいい狐に悲しい思いなんて、させたくない。
「お、狼さん!」
狐もぎゅっと狼に抱き着く。その拍子に、狐の手から絵本が滑り落ちた。
ばさりと音をたてた絵本を見遣ると、帯のうたい文句が狼の目に入った。
『ともだちなのにおいしそう』
言葉は真っ直ぐに狼の心を突き刺した。狼の想いを言い当てていたからだ。
狼は狐をそんな風に見ている。食欲でない欲に濡れた目で、絵本の彼よりもっと凶暴な気持ちで。
狐は狼を疑いもしない。もし言えば、狐はきっと怯えて泣くだろう。
狐を怖がらせるのは本意ではない。だから、死ぬまで言わない。
狼は狐を掻き抱いたまま、「死ぬもんか、死ぬもんか」とうわごとのように繰り返した。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/25(日) 23:37:24 ID:XtMnsX8P<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/25(日) 23:47:01 ID:j0hQyz7z<> >>212
最萌えケモ+新しいケモキター!

ガ/ブ氏より凶暴な狼さんモエス <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/26(月) 00:16:39 ID:duima8OA<> >212GJ!
うわあ…凄い好きかもこの作品。
読むことができてよかった。ありがとー。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/26(月) 00:30:34 ID:o8yVrPcx<> >>212 GJ!
「ともだちヤ」の狼と狐で想像したよ…!!萌えた! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/26(月) 06:54:32 ID:HwNYShXI<> >「トモダチヤ」
うわ!すっげ萌えキタ。
つか、続きは買わないほうがいいよ狼さーん!w <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/26(月) 17:02:01 ID:YwYpnUfy<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  灰色 小六弦×声 えろは無いよ
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  普段絵描きなのに文書いたらやっぱり難しかったorz
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) 苦手な人はスルースルー
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 灰色 小六弦×声<>sage<>2005/12/26(月) 17:03:03 ID:YwYpnUfy<> ほとんどの人間が終電に乗り損なわないようにと帰ってしまうと、部屋には俺とテノレの二人だけが残った。
「…二人っきりにー、なっちゃったねぇー」テノレが言った。
「そーだねー、これじゃあいつも二人で飲むときと同じだね」
「うーん、そーだねぇ……でも―――」

「でも?」
その問いかけに答えはなかった。
さっきまでソファーに凭れかかっていたテノレの頭はいつの間にか床に落ちていた。
だいぶ酔いが回っていたようだから、たぶん眠ってしまっているのだと思った。
「しょうがねーなぁ」
座っていた床から立ち上がるとグラ、と立ち眩みがした。
テノレほどではないが、少し酒を飲みすぎたらしい。
(とりあえずテノレをどうにかしてから、家に帰ろう)
酔いがまわってクラクラする頭を落ちつけながら、俺はソファーの前の床に横になっているテノレを揺さぶり起こした。
「テッ子〜、こんなとこで寝たら凍死するよ〜」
「んー…」
「ほら、」
渋るテノレを無理矢理引き起こしてベッドに連れていった。
(くそ、重い)
歩く意思のない身体は酔った俺の身体には重く圧し掛かった。
ぐいと持ちあげベッドにテノレの身体を横たえ、布団をかぶせた。
「じゃあ、俺帰るから」
そう言った時、突然テノレが、俺の上着の袖を掴んだ。
「ちょ、テッ子?」
「やだ…寂しい…」
「は」
「一緒、に…いてよ…」 <> 灰色 小六弦×声<>sage<>2005/12/26(月) 17:03:46 ID:YwYpnUfy<> テノレの掠れたような甘い声に、今まで抑えてきた感情が、殻を破ってじわりと溢れ出した。
寝言だ。寝言だ、寝言だ、寝言だ。
そう自分を落ちつけようとした。
でももうどうしようもなかった。止めることが出来なかった。
手を、そっとテノレの頬に添えて、親指で口唇をつ、となぞった。
薄く開いた隙間から吐息が漏れる、そこに顔を、ゆっくりと寄せる。
心臓が跳ねあがるように鼓動する。
自分の鼻がテノレの頬に触れ、あと少しで口唇と口唇が重なろうとした、その時だった。
電話が鳴った。
テノレの、家の電話だった。
音はすぐに止んだ。が、俺を我に返らせるには充分だった。

俺は、何を、していた? <> 灰色 小六弦×声<>sage<>2005/12/26(月) 17:04:38 ID:YwYpnUfy<> すう、と息を吸う音が聴こえる。
同じベッドの、窓際の側から発せられた寝息に、背中越しに眠っている男の存在を再度確認させられた。
俺は、緊張でギリと身を硬くこわばらせた。あれから、何時間も時がたっていた。
(なんでこんなことしてんだろ…)
自分でも、バカだなと思う。
あのあと、すぐに帰ろうと思った。
でも、どうしてもテノレに掴まれた袖を、解くことができなかった。
解きたく、なかった。

もう窓の外はうっすら白みはじめているというのに、未だ寝つけないでいる。
テノレに向けた背中側が熱い。
ドクドクと鼓動が煩く、耳に響く。
身体の変調をなんとかごまかしたくて、俺は目を閉じた。
隣に、手を伸ばせばすぐ届く距離にいる。
なのに触れることすら許されない。
まるで見えない境界線が引かれているようだと思った。
テルは自分のことをただの友達としか思ってないことはわかっている。
そもそもテノレはそういう性癖を持ってない。俺だって持ってなかったけど。
自分の気持ちを自覚したときから、これが叶うはずがない不毛なものだってことはわかってた。
それでも、傍に、隣にいたいと、おまえに触れていたいと、そう思う俺は、
「最低だ…」
夜明けの薄明るい部屋に一言、呟いた。




「でも―――俺は卜ノのことが好きだから嬉しい」
こんな言葉があのあとに続いていたことなど、この時の俺は知らない。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/26(月) 17:06:03 ID:YwYpnUfy<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 「文のまとまり」ってなんだろう
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
小六弦の名前全然出てこない上にあだ名になってしまってごめんなさい <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/26(月) 21:26:44 ID:ToQFmmdn<> >>222 GJ!! 超GJです姐さん!!
自分の中では全編音声映像で流れました!!
メンバーのあだ名呼びモエス(´Д`;) <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/26(月) 21:27:47 ID:nAxT4d4p<> >>218
GJ
萌えますた
この二人好きなんで嬉しい <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/27(火) 06:20:57 ID:47/wl9Cg<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  夜中に書き捨て……短いうえにヘタレでスマソ
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  ギリシャ神話のアレス×ハデスですよ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

<> ギリ神/アレス×ハデス<>sage<>2005/12/27(火) 06:24:20 ID:47/wl9Cg<> ハデスは俺の叔父だけれども、俺よりも背がすごく低くて顔もどこかの子供みたいだ。
本人曰く冥府に来てから身体が成長しなくなったせいだという。なるほど、確かにこんなに
暗くて空気が湿っぽくて、体の芯から冷えていくような場所で成長できるものなんて魔物か
隠花植物くらいだろう。そんな場所に長く--そう、この俺が生まれるうんと前から--いるせいか
ハデスの躰は真っ白でか細くて、貧弱というか華奢というかわからないけれど、なにか衝撃を
与えたら折れてしまうような躰だ。本人は恥じているけれども、冥府独特の青い炎の明かりに
うっすらと照らされる躰を俺は心の底からきれいだと思う。
あいつが寒い寒いというからじゃあ暖めてやろうみたいなノリだったかもしれない。それから
ずるずるとこんな爛れた関係になってしまった。というか、俺があいつの躰を気に入って
しまったのだ。あの、白樺の小枝みたいな躰を。
情交の際、ハデスは声を決してあげない。耐えているのだ。俺は相手が女だろうと男だろうと
肉欲にあえぐ声を聞くのが好きだったから、それが不満だった。
 自分のああいった声を聞くのが辛い。自分自身がひどく浅ましい生き物だと自覚させられる
から辛いのだと、俺が理由を問うたときハデスはそう言った。あいつらしい答えだ。でも俺は
許してやらない。だから毎回俺はせめて一度でも声を上げさせたいと思って、あいつを他の
誰よりも激しく抱く。俺は満足して、あいつは恨むような目で俺を見た後、観念したように笑う。
その時間は俺にとってかなり幸せだった。
<> ギリ神/アレス×ハデス<>sage<>2005/12/27(火) 06:25:19 ID:47/wl9Cg<> そして何度目だかもうとっくにわからなくなってしまったある日のその時間に、ハデスは疲れたのか
俺の腕の中で眠った。それまで、俺はともかくハデスが情交の後に眠ることなど--いや、俺の前で
眠るなどという無防備な姿を見せたことなど一度もなかったから、俺はなんだかものすごく嬉しくなって、
毛布を肩までかけてやると細い躰を優しく抱きしめた。すると、今までどんなに激しく抱いてもいっこうに
熱を持たなかったハデスの躰から、ほんのりと体温が感じられた。俺は更に腕に力を入れて抱きしめた
けれど、ハデスは眠ったままだ。たぶん俺が今まで見た中で一番安らかな眠りだ。みじろき一つしない。
ただ静かな、ゆっくりとした寝息が一定のリズムで聞こえる。それだけだった。ただそれだけなのに、俺は
俺の体温の全てをこいつに捧げてもいいと思った。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/27(火) 06:26:44 ID:47/wl9Cg<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ もう何も言えない
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

キャラねつ造甚だしくてすいません。ごめんなさい。もう帰ります。
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/27(火) 17:44:27 ID:hEpt4rOk<> 謙虚なつもりなんだろうが自分の作品を貶すのも嫌われるよ。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/27(火) 18:02:25 ID:Q+doD4cl<> うん。謝るぐらいなら最初から(ry <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/27(火) 22:05:22 ID:b/zuZizR<> >225
でも、よかったよ。

今度、またビデオ鑑賞させてくれ。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/27(火) 22:31:30 ID:EKqdY1Ls<>
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  下町妄想続きみたいだよ
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  まやもやエロ有なので苦手な人はスルーしてくんろ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 下町1<>sage<>2005/12/27(火) 22:32:19 ID:EKqdY1Ls<> 「何かを犠牲にしたとしても、手に入れたいものはありますか?」

突然打ち合わせ室で呟いた耶麻崎の言葉に、濱田は読んでいたスポーツ新聞から目をあげた。
「なんやねん、急に」
「いや、さっき雑誌の取材で。初めての記者さんやったんですけど、いきなり聞かれて」
「ふん…」
「急に言われても、困るやないですか」
「適当に答えたれや」
「濱田さんはなにかあります?」
紙をめくる手を止める。咄嗟に条件反射で考えはじめた自分に、小さく笑いを漏らす。
「って、考えさすな、ボケぇ」
机の下で耶麻崎の足を軽く小突くと、濱田は笑った。「いらん脳みそ使わせるな」
耶麻崎は足を大袈裟に擦りながら、あははと笑った。
「さっきまで松元さんが此処におったから、おんなじ質問したんですよ」
「へえ…」
濱田は別段興味も無さそうに新聞の文字を目で追ったまま、頷いた。
「松元さんは、そんなもんないって即答でしたわ」
「……」
何故だか肩がこわばった。濱田は一拍遅れて笑った。
「あいつらしい」
「ですね」
「……」
不思議なくらいに、文字が目の上を滑っていった。
そして、思い出したように気付いた。
さっきの質問で、濱田の頭に咄嗟に浮かんだのは、あの男の横顔だった。 <> 下町2<>sage<>2005/12/27(火) 22:33:16 ID:EKqdY1Ls<> 「今日は、勘弁せえ…」
松元の温度の低い、しかし病的なまでに濃厚なキスから唇を解放されると、濱田は掠れた息で呟いた。
いつものホテルの部屋だ。松元は思い出したようにこの部屋に濱田を誘った。
毎夜のごとく続くこともあるし、1、2ヶ月の間があくこともあった。
肌をあわせる期間が空けば空く程、松元は濱田をまるで壊れ物のように扱う。
しかし、何かのきっかけで、乱暴になる夜もあった。
この頃はたて続けに、この部屋に呼ばれていた。いい加減に身体が限界だった。
松元は飽きることなく濱田の身体を求めた。30半ばの中年の身体は幾夜にも及ぶセックス、しかも同じ男の器官を受け入れるという行為に悲鳴をあげはじめていた。
しかし濱田の弱音にも松元は眉ひとつ動かさなかった。
明らかに濱田の身体がボロボロになっているのがわかっているはずなのに。
そして松元には決まった女がいるのかもしれない。いや、いるだろう。
それなのに。
濱田は悔しさで目に涙を滲ませた。しかし、いつものように数秒遅れて、なんとも言い難い陶酔感に包まれる。
その感情の正体は、まるで自分の暗部を、何処までも深い自分の暗部を露呈しているようで、認めなくないものだった。

「アッ……」
無理矢理に後ろから両足を開かれる。熱い松元の身体がのしかかってき、ゆっくりと侵入を始めた。
震え出す腰を宥めるように濱田は深呼吸をくり返す。内股の筋がひきつれる痛み。
「松元…今日は、無理やて…」
呪文のように呟く弱々しい抵抗の言葉にも、松元は何の答えも用意しない。
「……っ」
自分のなかで脈打つ松元の存在を、粘膜を通して無意識に感じとってしまう。嫌悪なのか興奮なのかわからない胸の疼きに、その場に胃のなかのものを戻しそうになる。
容赦なく行き来をくり返す松元の腰の動きに、思わずくぐもった悲鳴が漏れる。
「あ、頼むて……やめえ…」
擦られるたびに、甘い痛みが全身を駆け抜け、濱田はたまらず頭を振った。
「なんや」
「痛い、言うとるやろ……ケツんなか」
濱田の言葉に松元は咽の奥で笑うだけだった。 <> 下町3<>sage<>2005/12/27(火) 22:34:53 ID:EKqdY1Ls<> 「笑いごとや…」ない…言いかけた濱田の言葉は松元がそっと伸ばした指に黙らされてしまう。
滴るほどに濡れた前を握られて、濱田は恥ずかしさで目眩がした。
『べとべとやな』
松元は煽るように濱田の耳に掠れ声で囁いた。濱田は何も言えずに耳を赤く染めるしかできない。
腰の動きが再開される。擦れる度に疼痛を訴えていた粘膜はやがて、蕩けるような甘い熱を生み出しはじめる。
聞いたこともないような高い息が鼻から漏れていくのを、止められない。
「んぅ……っ」
抉るように打ち込まれ。捏ねられる。
「あぁ……っ………んっ……あ、あ……」
自分の腰を支える松元の手の温度がやけに、生々しい。
濱田は腕を戦慄かせて上体をシーツに埋めた。打ち込まれる度に揺れる身体がシーツに不思議な皺をつくる。
松元を受け入れる、その部分の輪郭がじんじんと熱をもち、そして全身を包む。
口から漏れる自分の甘い喘ぎ声に耳を塞ぎながらも、濱田はやがて訪れる真っ白になる瞬間を待った。
しかし、脳裏をよぎる光景にその集中はかき乱された。
言葉。
今日の昼間だ。部屋、白い……。耶麻崎の…言葉。松元の……

何かを犠牲にしたとしても、手に入れたいものは……
「あぁ……っ」
一際強く突き上げられて、濱田は悲鳴をあげた。速まった腰の動きに、太ももが痺れはじめる。
手に入れたいものなんてない。
そう言った。そう言ったんやろ。おまえは、なんにもないんやろ。なんにも……
「…っ…んぅ……」
なんにもないんやったら……。
「なんで…俺やねん……」
喘ぐように呟く濱田の言葉は、シーツに吸い込まれ消えていった。誰にも届かない言葉。
目の前が歪み始める。目頭に火が灯ったように熱さが込み上げ、自分が泣いているのだと濱田は気付く。 <> 下町4<>sage<>2005/12/27(火) 22:36:45 ID:EKqdY1Ls<>
初めて、松元を受け入れたあの夜。飲めない酒を飲んだ。泥酔するほどに。
自分でだって気付いていた筈だ。松元に抱え上げられ、奴の住んでいたマンションに連れ込まれる間。
俺は、俺は、何を考えていた?
飲めない酒を意識を失うまで飲むほど俺は間抜けではない。
俺は何を考えていた?
あいつの身体がのしかかってきて、あいつの顔に浮かんだ欲望を嗅ぎとった瞬間、俺は何を考えていた?
あいつの精液を飲み込んで、あいつの喘ぎ声を聞いて、あいつが自分のなかでイった瞬間、俺は何を考えていた?
何時だって、逃げだせた筈だった。違うのか?

何かを犠牲にしたとしても、手に入れたいものは……

お前が無理矢理俺を抱いた瞬間、俺は何を思ってたんや。
手に入れたと思ってた。
お前が悲しい顔して俺を捏ねる間、俺は、思ってたんや。
松元を、お前を、手に入れたて。
お前が苦しんでる間、俺は、俺は。
死にそうなくらいの痛みのなかで、でも俺は確信してた。
こいつは完全に俺のもんになったって。
そんなん、思ってたんや。
そんなん、思ってたんや………

<> 下町5<>sage<>2005/12/27(火) 22:37:44 ID:EKqdY1Ls<>
「最低や……」
肩で息をしながら呟いた濱田の言葉に松元は眉根を寄せる。
そろそろ、限界だった。腰の感覚がなくなり、まもなく欲望は吐き出されるだろう。
「最低や………」
なにが、とは聞かなかった。松元は無言で濱田の腰をグイとひきよせると、擦り付けた。
濱田の高い悲鳴が漏れて頭がガクンと落ちた。
ポタポタと濱田の両脚の間から白濁した液が滴り落ちた。どうやら松元の射精と同時だったらしい。
濱田の身体は音もなく崩れ落ちた。

ひきつけを起こしたように泣き続ける濱田の横で松元はじっと天井をみつめたままだった。
いつまでも濱田の涙は涸れることがないようだった。
涙の理由を推測しようとも、結局自分に辿り着いてしまう自惚れと自己嫌悪のなかで松元はただ目を見開いていた。
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/27(火) 22:41:05 ID:EKqdY1Ls<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ あと一回続きます。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 年内に終わらせるようにはしたいなと思います。
 | |                | |       ◇⊂    ) (ウサギ団かわいっす)
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/27(火) 22:45:44 ID:9hvpdZDj<> 姐さん!!
あと1回といわずに、なんどでもっ!!! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/27(火) 23:41:44 ID:80OxiTXD<> モエー(´Д`*) <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/27(火) 23:49:42 ID:RVP5ze9J<> あーいつも萌えつきさせてもらってます!
今回も萌え尽きて禿げた・・・ <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/28(水) 00:24:39 ID:6ddWLm1Y<> 萌えるのに胸がキュンキュンするよ…GJ! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/28(水) 00:31:56 ID:SDKSakbX<> 続き楽しみ!ですー。

<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/28(水) 03:14:18 ID:dLH+OyYN<> 萌えつつも目頭が熱く(*´д`*)
レス遡って前のも読んでくるノシ <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/28(水) 06:49:03 ID:lPLT6icV<> >>238
GJです!楽しみっす!
年末のビッグな贈り物やでコレ <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/28(水) 17:47:20 ID:H4LEKSYg<> 下町姐さんGJGJ!
すげー年末萌えをありがとう!テラセツナス‥
続き楽しみにしております <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/31(土) 04:05:43 ID:gHo+QQM3<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  ア機ラで有名なO友かちゅ洋の「紀文はもう船倉」っていう漫画があってね
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  そこから説明しなきゃいけないようなマイナーさかよ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧  ちなみにボオイ×鉢巻きだよ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<> 1/2<>sage<>2005/12/31(土) 04:06:35 ID:gHo+QQM3<> さくさくと砂を踏む音に俺は浅い眠りから覚め、ゆっくりと目を開く。菊壱文字を抜く必要はなかった。
俺は岩にもたれて片膝を立て、愛刀を胸に抱えて座ったその姿勢のまま、聞き慣れた足音の主を待った。
「こんなとこで寝てたのか。無用心だな」
「俺達以外の誰が居るよ、こんな砂しかねえとこに」
咥え煙草から煙をくゆらせながら俺を見下ろしているボオイの長身に、ひらひらと手を振ってみせる。
「そろそろそうでも無さそうだぜ。眼鏡が偵察から戻った。東の方で小競り合いが始まりそうだ。…どうする」
「チェ、反対方向かよ…まァいいや、とりあえずメシでも食ったら出発するか」
「そうだな」
短く相槌を返しながらボオイは煙草を唇から離し、空を見上げながらうまそうにゆっくり煙を吐いた。
そして咥え直さずに、そのままピンと親指で弾いて捨てた。
砂の上に音も無く落ちた吸い差しの煙草から細く紫煙が立ち昇る。
頼りなく流れ、霞んで風に消えていく煙をぼんやり見ていると、ボオイが片膝を突いて俺の隣にしゃがんだ。
あるじの無い煙草の火が力尽きたように消えた。
ボオイの顔が近付く。
俺は目を閉じた。
ボオイの唇がそっと俺の唇に触れた。
「なんでだよ」
「鉢巻きが目を閉じたから」
なんでメシを食うのかと聞かれてハラが減ったからと答えるみたいに、ボオイはそれが当たり前みたいな口調で簡潔に答えた。 <> 2/2<>sage<>2005/12/31(土) 04:07:08 ID:gHo+QQM3<> 「…お前がカオ近付けるからだろォ」
俺はボオイと目を合わさずに呟いた。
またボオイの顔が近付く。
また俺は目を閉じた。
ボオイの唇がさっきと同じようにそっと触れ、そしてすぐに離れた。
二番目に気になった事を訊いてみる。
「舌は入れねえのか」
「入れていいのか」
そう返されると困る。
「いや…ウーン…まずいな、舌入れると、越えちゃダメな一線を越えちまう気がするな」
「じゃあ入れよう」
「エッ」
今度は俺が目を閉じるより早くボオイの唇が重なった。
目の前の長い睫毛に気をとられていると舌が滑り込んでくる。
俺は目を閉じた。
ボオイの大きな手が俺のランニングに触れてそして。
「おーい、鉢巻き、ボオイー!」
眼鏡の呼ぶ声がした。意外と近い。
ボオイが身を起こして歩き出す。
俺も菊壱文字を持って後ろに続く。
そして俺達は互いの舌の感触を思い出しながら、また硝煙と銃声のただ中に戻ってゆく。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/31(土) 04:07:40 ID:gHo+QQM3<>  ____________
 | __________  |
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 大掃除中にコミクス発掘して読んでたら
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )  なんかもう辛抱たまらん気分になっちゃって・・・
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   | <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/31(土) 08:59:07 ID:U+fCpYji<> >>247 元ネタ知らないけど萌えたよ姐さん!
朝っはらからいい萌えをありがとう!! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/31(土) 20:15:56 ID:qM7iKVMt<>
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  下町妄想続きみたいだよ
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  あと一回と言いつつ終わらなかったみたいだよ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<> 下町1<>sage<>2005/12/31(土) 20:16:49 ID:qM7iKVMt<> 「あぶな……っ」
丁度その時、松元は足元を見ていなかった。スタッフのひとりに声をかけられ、振り向いただけだった。
リハーサルの緊張感と倦怠感が入り交じった空気のなかで、足元をよろけさせた松元にむかって声がとんだ。
気づいた時には、男の身体を下敷きにする形で昏倒していた。
「大丈夫ですか……!」
スタッフが駆け寄るなか、松元は焦って自身の身体をどけた。右足の膝が、下になった濱田の鳩尾に入ってしまったらしかった。
「大丈夫…」
スタッフがもう一度呼び掛けた声が終わらないうちに、濱田は顔をあげてぶっきらぼうに声をあげた。
「平気や」
濱田は一瞬小さく頭を振る仕草をしたが、直ぐになんでもないように立ち上がろうとした。しかし、ふいに身体がよろけて崩れそうになる。その肩を松元は咄嗟に支えようと掴んだ。その途端、濱田は肩を強張らせる。
振払いもせず、しかし、しっかりと拒絶を示すその感触に、松元はゆっくりと手を降ろす。
「え……っと……」
ピンと張り詰めたふたりの空気に気圧されながらも、スタッフの若者は途切れてしまった段取りの説明を再開させようとした。しかし、濱田の背中をじっとみつめたままの松元に気づき、不安そうに目を泳がせる。
「ええよ、続けて」
「あ、はい」
濱田がその表情に気がつき、先を促す。しかし、松元は依然スタッフの声に耳を貸さない。
最初のうちは気づかない振りをしていた濱田もやがてイライラしたように振り向き、相方の顔を見上げた。
「なんやねん」
濱田の声に、やっと気づいたように松元はその視線をうえに上げた。 <> 下町2<>sage<>2005/12/31(土) 20:17:24 ID:qM7iKVMt<> 「聞いたれや。説明してんのやから」
「……」
「おい」
「……さっきのすまんかったな」
「あ?」
返ってきた松元の答えに濱田は小さく眉根を寄せる。スタッフの困惑した顔。
「大丈夫か」
「いつの話してんねん。さっき大丈夫言うたやろうが、あのな……」
「すまん」
濱田は二の句が告げずに、瞬きを繰り返した。この男はからかっているのか、それとも。
「なんや……」
掠れ声しかでなかった。なんでそんな顔すんねん。初めてあったような男の顔。相方ではない男の顔。
からかってなどいない。滅多に心の奥を表情に出さない男だ。
「謝まんなや…!」
濱田は咄嗟に声をあげた。自分でも驚くほど子供染みた声だった。まるで癇癪を起したように。
怖いと思った。何が?わからない。
こわい。こわい。こわい。
腹の奥がカッと燃えて、目眩がした。気づいた時には松元の身体にぶつかるようにして倒れていた。
「すごい熱や……」
マネージャーの声が遠くで聞こえていた。足元から引きずり込まれるように、濱田は暗闇に飲み込まれていった。
<> 下町3<>sage<>2005/12/31(土) 20:18:01 ID:qM7iKVMt<>
夕焼けのくすんだ橙色の光りのなかで。
「まっつん、行こうや」
呆然とする松元に向かって、咄嗟に呟いていた。擦りむいた肘が痛かった。
あの時、松元は、本当に自分と一緒に来たいと思っていたような気がして。
松元は視線を彷徨わせてこっちを向いた。
そうだったのか?
俺の勘違いやったのかもしれんな。

「吉元行こうな」

頷いたやんな?おまえ。

何かを犠牲にしたとしても、手に入れたいものは。

そんなもんはない。
そんなものは……

<> 下町4<>sage<>2005/12/31(土) 20:18:50 ID:qM7iKVMt<>
「……っ」
何回か目を瞬かせると、ようやく濱田は目を覚ました。途端に部屋に響く耳障りな時計の秒針がたてる音に顔を歪める。
べっとりと汗で額にはりついた前髪をかきあげると、首を巡らした。
どうやら楽屋らしい。部屋の隅にそっとマネージャーの姿があった。意識を戻した濱田に気づいたマネージャーが寄ってきた。
濱田は上半身を起すと、額に手をあてた。
「どんくらい寝てた?」
「一時間ちょっとです。凄い、熱ですけど……」
「現場はどうなってん」
「松元さんが今、スタジオに行ってはりますけど……本番待ちの状態です」
「そうか」
無言で立ち上がった濱田に、驚いたようにマネージャーが声をかける。
「大丈夫ですか。40度近いですけど……」
ほなら、おまえ変わってくれんのか。
濱田は冗談めかして言うと楽屋を後にした。

なんで、今頃、あの時の夢なんか見たんだろう。
本番中、松元の瞳はまるで硝子玉みたいに見えた。何も映っていない。
何も、俺も映っていない。何も。

<> 下町5<>sage<>2005/12/31(土) 20:19:53 ID:qM7iKVMt<> 家路を辿ろうとハンドルを切るうちに違う景色に変わっていく。無意識か、それとも何処かで逃げていたのだろうか。
濱田はホテルを目指していた。自宅に電話を入れ、ロケで今日は帰れないと連絡する。
隣の車のクラクションが頭のなかをワンワンと反響する。
此処にくるのは久方ぶりだった。たいして思いいれもない、白で統一された家具。当たり前だ、此処でしたことといえばあの男とのセックスだけなのだから。
何故、ここに来たのだろう。考えようとも、もう体力のほうが限界だった。
プツリと意識の糸がきれるように、濱田はベッドにうつ伏せに倒れると、そのまま睡魔に溺れて行った。

深夜の2時を過ぎた頃、携帯が鳴った。気のせいかもしれない。三回程のベルの後、音は途切れた。
熱は依然下がっていないようだった。濱田は緩慢な仕草でベッドから身体を起すと、携帯の液晶を眺めた。
着信の履歴にはあの男の番号が残っていた。三度のベルだ。間違いかもしれない。
濱田は発熱時特有の背中の寒気に肩を竦めると、ベッドに戻った。
じんじんと火照る頬に夜の空気が冷たかった。
まるであの男の指先のようだった。冷たい指先。その冷たさに触れられる度に、小さな吐息を漏らしていた。
その指先は、迷うように、鎖骨を辿り、躊躇いがちに乳首に触れる。捏ねて、押しつぶす。
「……っ」
うなされるように、濱田は寝返りをうった。熱のせいなのかわからない、疼きが腰の奥から全身を駆け巡った。 <> 下町6<>sage<>2005/12/31(土) 20:21:04 ID:qM7iKVMt<> 情けなさで涙がでる。
最後に松元に抱かれたのはいつだろう。
泣き崩れたあの夜から。あの夜以来、松元は濱田の肌に触れることはなかった。
指先が、腰を滑り、股間に入り込む。先端を焦らし、試すように。
「……」
痺れたような足先が熱い。頭痛による吐き気なのか、濱田は小さくえずいた。
血を集めた中心に指を這わせようとした時、もう一度ベルはなった。
濱田はふらつく身体で、電話をとった。息があがってうまく言葉にならない。
「…なんや……」
思わず震える自分の声に舌打ちする。思った以上に喉にきているらしい。ヒリヒリと焼けつくようだった。
電話の向こうは無言だった。
なんやねん。なんか言えや……
「松元?」
「……」
なんかあるから電話してきたんと違うんか。昼間のことか。それとも
「なあ……」
携帯を握る手が汗で滲んだ。
「……」
「なあって……!」
阿呆でも大丈夫かでも、何でもいい。このまま無言が続けば、自分の嗚咽が込み上げてきてしまう。
足元がグラグラする。 <> 下町7<>sage<>2005/12/31(土) 20:21:46 ID:qM7iKVMt<> 「今、何処におんねん」
松元の声は異様な程静かだった。
「こっちの勝手やろが」
心臓が俄に跳ねた心地がした。此処にいるとは知られたくなかった。顔を合わせたくもなかった。
話をしたくもなかった。

こわい。こわい。こわい。

「何処におんねん」
「家や。嫁が起きるからもう切る……」
「ホテルか」
「……」
「お前、熱あるんちゃうんか。なんでそんなとこおんねん」
「……」
違うと言いたいのに、言葉がでてこない。松元が焦れて電話を切った。まもなくこの部屋にやってくるだろう。
この部屋にやってきて……どうする……何を話す……なにかを、俺に告げるんじゃないのか。
聞きたくない。何も聞きたくない。
だったら、なんで俺はこの部屋に来た……?なんでや……なんでこんな女々しい真似してんねん……

何かを犠牲にしたとしても……

「お前は何も欲しくないんやろが……」
だったら、来んなや……だったら、どうして……
どうして、あの時……。
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/31(土) 20:24:06 ID:qM7iKVMt<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 年の瀬に何やっとんのじゃ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) という疑問は敢えて自分にはしなかったよ
 | |                | |       ◇⊂    ) セツナクナルダケダカラ……
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |     捏造甚だしいです、すいません。
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/31(土) 20:51:41 ID:vbF0PhP4<> ありがとうございました。。
おそらく今年最後の下町萌え!

姐さんGJ!
いいお年を! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/31(土) 21:12:11 ID:RbPu+8jh<> 続きをwktkしながらお待ちしております <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/31(土) 21:12:59 ID:Yfe1IlGN<> ありがとう!萌えた!
いいお年を(´∀`) <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2005/12/31(土) 22:43:50 ID:dGmZb81/<> ここで待たすなんて殺生なw でも楽しみに待ちまっせ

<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/01(日) 00:07:38 ID:G0S67n1+<> >105-110の続きです。T.O.Aガ.イ→ル.ーク
ネタバレあり(ガ.イの過去)なので気を付けてください。
未クリアなのでひょっとしたら矛盾があるかもしれません…。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )
<> T.O.Aガ.イ→ル.ーク1/10<>sage<>2006/01/01(日) 00:08:30 ID:G0S67n1+<> 「くだものごはん」のレシピは意外と簡単に手に入った。
城下の食材屋の主人がごく最近、旅のついでに聞いたものだという。
だが、どうせそれは商売上手な主人が作ったでたらめのレシピだろう。
マルクトにこんな果物は自生していないし、なによりあの島は戦争で滅びてしまった。
でも、それでも別に構わないのだ。
嘘だろうと、本当だろうとル.ークにはわからないのだから。

ガ.イは材料を抱え、屋敷の調理場へと向かった。
昼食の後かたづけが済んだ今は、料理人達も休憩に入っているだろう。
その時間帯であれば、料理長は調理場を自由に使うことを許可していた。
ただし、後片づけを神経質なまでにきちんとしないと
料理長からの厳しいお叱りが待っている。
それに、そもそも使用人達の食事はまかないが出るため、
わざわざ料理をする者はあまりいない。
料理人以外にこの調理場を使うのは
おそらく、ル.ークのわがままに付き合うガ.イぐらいのものだろう。
料理長に怒られない程度には、調理場の扱いに慣れていた。
まぁ料理の腕はひどいものだが。 <> T.O.Aガ.イ→ル.ーク2/10<>sage<>2006/01/01(日) 00:09:48 ID:G0S67n1+<> 「お買い物の帰り?」
調理場へと向かう廊下にさしかかったとき後ろからファ.ブレ公爵夫人に声をかけられた。
慌てて、ガ.イはお辞儀をしようとすると夫人は手をかざし、それを制した。
「いいのよ、気にしなくて。またル.ークのわがままかしら?」
「あ、いえ。別にそういうわけでは」
「ふふ、わかるわよ、それぐらい。
いつもありがとう、ガ.イがいるとあの子も退屈しなくて済むわ」
「ありがたいお言葉です」
「でもね、あの子が変なことを言ったら叱ってくれていいのよ。
あの子、ガ.イの言うことしか聞かないから」
夫人は、ガ.イと話すとき、主人ではなく一人の母親になる。
ガ.イのことを使用人ではなく、ル.ークの親友として接してくれるのだ。
いつもの毅然とした態度ではなく、とても幸せそうに彼女は笑う。
「はい、肝に銘じておきます」
「ふふ。あ、いけませんわ。あなた、劇に遅れますわよ」
夫人は、思い出したかのように、後ろからゆっくりやってくるファ.ブレ公爵に声をかける。
「先に行ってなさい」
ファ.ブレ公爵は憮然とした態度で夫人に言い、
夫人は置いていきますわよ、と馬車の待つ玄関へと向かっていった。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/01(日) 00:10:16 ID:asCwx1Dl<> イブに書いてたおいらよりましっすよw

どうかこの二人を幸せにしてやってください。
できることなら。 <> T.O.Aガ.イ→ル.ーク3/10<>sage<>2006/01/01(日) 00:11:06 ID:G0S67n1+<> ファ.ブレ公爵はガ.イのもとへと不機嫌をあらわに近づいてきた。
公爵が一歩を踏み出すごとに重くなる空気に息ができなくなる。
ガ.イはファ.ブレ公爵の冷たい視線に射抜かれ、
操られたかのように片膝を付き、頭を垂れ、臣下の礼をとる。
「人に取り入るのが得意なようだな」
頭上から降るファ.ブレ公爵の言葉に、ガ.イは無言で応えた。
「……何だ、私には尻尾を振らないのか」
誰がそんなこと、という言葉をなんとか飲み下す。
膝を付くのはお前の目を見ないためだ、お前に忠誠を誓っているからではない。
ガ.イは自分に言い聞かせる。
お前の目を見れば、俺は自分を押さえられなくなる。
「まぁいい。ガ.イ、お前にル.ークの世話を任せたのは間違いだと思っている。
まさか、あのような出来損ないになるとはな。
あれでもファ.ブレ家の次期当主なのだ、もっと威厳と誇りを持ってもらわねば困る」
「申し訳ありません」
「まさか、お前はル.ークと対等だと思ってはいないだろうな」
「いえ、そんなこと」
「……使用人風情が、思い上がりおって」
笑みを浮かべながらそう吐き捨て、ファ.ブレ公爵は立ち去った。
ガ.イはその姿のまましばらく立ち上がることもできず、怒りを堪えるのに精一杯で、
握りしめた手のひらに爪が食い込んでも、痛みに気付かなかった。 <> T.O.Aガ.イ→ル.ーク4/10<>sage<>2006/01/01(日) 00:12:00 ID:G0S67n1+<> 重い足取りで調理場に着き、料理を始める。
鬱々とした感情に押しつぶされそうになりながら、それを振り切るように支度にかかる。
レシピによると米を甘いミルクで炊き、
いちごをベースとして潰した果物のソースをかけるといった料理らしい。
とても自分の舌には合いそうにないな、とガ.イは苦笑した。
米も果物も素材としてはいいのだから、混ぜてもおいしいはずだ、
というル.ークの言葉を思い出す。
どんなに元が良くても、駄目になることは多いのだ、それを彼は知らない。

ぐつぐつと煮立つ鍋を眺める、手を動かす作業が終わってしまうと
どうしても嫌なことばかり考えてしまう。
「使用人風情」という言葉が頭に浮かんで離れない。
あんなことがなければ、自分だって、ル.ークと同じく貴族の身分であった。
少なくとも人に頭を下げて生きていくような人間ではなかったのだ。
ファ.ブレ公爵は全てを笑いながら奪った。
家族を、親類を、未来を。
五歳の時だった。家族が殺される瞬間のことは覚えていない。
だが、あのファ.ブレ公爵の楽しそうな顔は忘れることはなかった。 <> T.O.Aガ.イ→ル.ーク5/10<>sage<>2006/01/01(日) 00:12:51 ID:G0S67n1+<> 自分がこの屋敷にいるのは、ひとえに復讐するためなのだ。
ファ.ブレ公爵を殺すためではない。殺すだけでは飽き足りない。
ファ.ブレ公爵の大切なもの全てを笑いながら壊すためでしかないのだ。
大切な一人息子を殺せば、遺される者の痛みを思い知らせることが出来るだろう。
ファ.ブレ夫人には感謝している。
ル.ークの友達として自分をあてがってくれたのだから。
そこまでお膳立てしてくれれば、あとは気に入られるだけでいい。
言うことはなんでも聞いた。
たとえ仇の子であろうと、復讐のためならなんでも出来た。

その甲斐あってか、ル.ークは一番ガ.イに懐いた。
あとはファ.ブレ公爵の目の前で、どうやって殺すのが一番効果的なのかを考え、
そして実行に移るのも時間の問題だというときに、あの誘拐事件だ。
母である夫人はおろおろと心配し、ついには倒れてしまった。
ファ.ブレ公爵はというと、跡継ぎがいなくなり、ファ.ブレ家の行く末を案じていた。
そのファ.ブレ公爵の態度を見て、
もしかして、自分の復讐は何の意味もなさないのではないかという不安がよぎる。
そして、おそらくそれは正解であっただろう。
記憶喪失のル.ークが発見されてからも、本人には無関心であったのだから。
「ル.ークが生きてさえいれば、家はどうにでもなる」
ファ.ブレ公爵は安堵した様子でそう言っていた。
それなら、ル.ークが成人の儀を行い、ファ.ブレ家当主となった時に殺そうと思い直す。
公爵は「息子」じゃなく「ファ.ブレ家当主」が死んだのなら悲しむに違いない。 <> T.O.Aガ.イ→ル.ーク6/10<>sage<>2006/01/01(日) 00:14:18 ID:G0S67n1+<> 夫人の計らいでガ.イはル.ーク専用の護衛兼使用人となった。
一番懐いていたガ.イが側にいれば、いずれ何か思い出すのではという期待があったのだろう。
歩き方や言葉すら忘れたル.ークの世話をするという母親代わりのような役目だった。
その頃からだ、屋敷でガ.イに対する風当たりが強くなったのは。
一人息子の専属使用人という破格の待遇と名誉、
それは人の妬みを刺激するのに十分だったらしい。
十四歳の子どもでしかなかった当時は
喧嘩になっても体格差のせいで、一方的に殴られるだけだった。
顔や体にあざを残すことも度々あった。
何故かル.ークはそれを見てはやたらと触りたがるのだ。
それも嬉しそうに。
こいつは、そんなに人の傷が楽しいのだろうかと不快に思っていた。

ル.ークが一番最初に覚えた言葉は「ガ.イ」だった。
ル.ークはガ.イの手を取り歩くことを覚えた。
ガ.イは日に日に、ル.ークの中での自分の地位が上がっていくことに喜んだ。
ル.ークは実の両親の前に立つと、怯えてガ.イに頼る始末だった。
ガ.イは公爵や夫人よりも自分がル.ークの一番身近な人間なのだと思うと
おかしくて仕方がなかった。 <> T.O.Aガ.イ→ル.ーク7/10<>sage<>2006/01/01(日) 00:15:15 ID:G0S67n1+<> ようやく三歳児程度の言葉が話せるようになったころ、
いつものようにル.ークがガ.イの頬のあざをぺたぺたと触ってきた。
ル.ークが笑っている、それがどうしても気に入らない。
だがあしらうのも面倒なのでガ.イは気にするのを止め、
ル.ークの好きなようにさせておいた。
「いたい?」
「へ?」
「いたいいたい」
ル.ークがガ.イのあざをゴシゴシと遠慮なく、さする。
所作は幼いが体は十歳だ、放っておけるほど生やさしいものではない。
手加減をしらないル.ークの腕をガ.イは乱暴に振り払った。
「ああ、痛いから止めろ」
ガ.イはル.ークにきつく言ったあとで、ふと思い出す。
自分が、ル.ークがケガをしたときに傷を撫でてやっていたことを。
「いたくない、いたくない」
ル.ークが自分の口癖を言っているのに気付いたとき、ふいに涙がこぼれた。
ル.ークはそんなガ.イを見て一瞬きょとんとした顔をしたが、
すぐさま笑顔になってガ.イの頭をなでる。
「笑うと痛くなくなるから、笑え」いつも自分はル.ークにそう言っていた。
笑おうと思った、笑えるのだと思っていた。気持ちは殺せるのだと。
そうやって、今までこの屋敷で過ごしてきた。
何かが切れたように涙が止まらなくなり、ガ.イはル.ークを抱きしめ赤子のように泣いた。
ほんの少し、痛みがひいたような気がした。 <> T.O.Aガ.イ→ル.ーク8/10<>sage<>2006/01/01(日) 00:16:12 ID:G0S67n1+<> どうして、今さらこんなことを思い出したのだろう。
忘れていたわけではなかった、公爵、復讐、憎しみ。
ただ、それが全てではなくなったのだ。
しかし、それは確実に胸の奥に刺さっていて抜けない。
その痛みは、ル.ークとともに笑う自分を否定する。

ガ.イが思考に没頭していると、急に体が重くなった。
「うわっ」
思わず叫び、なんだと思い振り返ると、そこには肩にのしかかるル.ークがいた。
「んだよー、そんなにマジでびびんなよ」
からかっただけなのに、とル.ークは悪びれもせず言う。
「危ねぇな。火使ってんのに」
「つうかさ、それ、ヤバくない?」
鍋を見るとだいぶ水分が少なくなっている、
もうすこしで鍋を焦がすところだった。
ガ.イは慌てて火を消した。
鍋を焦がしたら、まず普通に怒られるだけではすまない。
「ヤバかった。なんとか大丈夫だけど」
「何作ってんだ?」
ル.ークは楽しそうに鍋を覗き込む。
「ああ、こないだ言ってたやつ」
「あれか! 神様が食べるやつ」
「まぁ、そうだな」
供物だからあながち間違いでもないよなとガ.イは思う。
器に盛り、赤いソースをかける。
白と赤の色合いを見て、案外見た目はおいしそうかもな、と少し安心した。 <> T.O.Aガ.イ→ル.ーク9/10<>sage<>2006/01/01(日) 00:16:51 ID:G0S67n1+<> 二人して床に座り込んで、食事をする。
メイドに見られたら怒られるな、とは思うが、
ル.ークは普段出来ない行儀の悪いことをするのが好きらしい。
ガ.イは一さじ、口に運ぶ。甘過ぎた。
砂糖の入れすぎだろうか、そもそも甘いごはんというのが気にくわない。
少し落胆しながら、ル.ークに感想を聞いてみる。
「ん? 結構うまいじゃん」
ル.ークは喜んで食べている、鍋ごと食べる気だ。
「でも、なんかなぁ、俺はダメだな」
そんなに甘い物好きだったか、とル.ークに問う。
「そういうわけじゃねぇけど、これはなんか好きだ」
「そうか」
意外な好評にガ.イが喜んでいると、ル.ークは続けて言った。
「まぁ、ガ.イの作るべとべとしたサンドイッチより千倍はマシだな」
一言多いんだ、お前は、とガ.イは心の中で呟いた。
「じゃあ、料理人に作ってもらえばいいだろうが。
大体なんで、俺のまずい料理を食べたがるんだよ」
ガ.イが軽い調子で返すとル.ークは少し考え込む。
「んー、なんでだろ。食べられない味だから」
「なんだよ、それ。作ってもらって食えたもんじゃねぇって」
「いや、そうじゃなくって。料理人じゃ作れねぇんだって」
「まぁ、料理人は食べられない料理は作らないわな」
「だから違うって! 
 面白いっていうか珍しいっていうか、……食べたことのない味だからだ」
だから、お前の料理が嫌いなわけじゃねぇとル.ークはそっぽを向く。
やっと、合点がいった。
くだらないことなのだろうが、
自分がル.ークの世界を広げていることを感じて嬉しくなってしまう。
思わず頬のゆるむガ.イをル.ークは笑うなよ、と小突く。
「さぁて、食ったんなら片づけるぞ。そろそろ夕食の支度もあるだろうしな」
照れ隠しにガ.イはそう言うと、待ってくれとル.ークは口いっぱいに頬張った。
<> T.O.Aガ.イ→ル.ーク10/10<>sage<>2006/01/01(日) 00:17:45 ID:G0S67n1+<> くだらないことで心から笑えるのはル.ークがいるからだとガ.イはいつも思い知らされる。
ル.ークの世話は決して楽な仕事じゃない。
地位と名誉ぐらいであんな重労働が出来るはずがない。
大体、自分以外の誰がル.ークのわがままに付き合えるだろうか。
誰がル.ークの不器用な感情表現を理解できるのか。
馬鹿なことをたくさんした、悪いこともいくつか教えた。
二人だけの秘密も数え切れないほどある。
ル.ークの成人の儀式まであと三年。
おそらく、復讐は果たせない。
なにより、一番悲しむのは自分だとわかりきっているのだ。
なにも、この手で大切な存在を無くす必要はない。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/01(日) 00:18:19 ID:G0S67n1+<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )ファブレ家、愛と憎しみの日々
なぜか妙に昼ドラチック。
今年が皆さまにとって萌え多き年でありますように。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/01(日) 00:55:40 ID:YisLjhaX<> 2006初萌えです。ありがとうございます。
皆様に幸あれ! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/01(日) 15:28:44 ID:K8+zCdYn<> 姐さんGJ!
初萌えと初泣きをダブルで頂きました
目から鼻水が……! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/01(日) 22:13:13 ID:XyVkAsbh<> >265-277
乙です!クリアした目で読むとますます心に染みるよ…
あなたの書く使用人→公爵子息の視線の温かさがすごく好きです。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/02(月) 20:28:52 ID:5tc8oBra<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  マヅレンジャーの神々ネタだよ。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  T→Y→魚→ウノレ前提だけど他にもあるってさ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 完全一方通行かいゴルァ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
<> 冥/府/神 1/4<>sage<>2006/01/02(月) 20:30:01 ID:5tc8oBra<> 「何を見ているんだ」
そう声をかけられて、Yバ一ンは振り返りもせずに呟いた。誰かは見なくてもすぐわかる。
普段は無口なくせに、余計な時に口を挟むものだ、と思った。
「カワイイ女の子を見てるんだよ、ティ夕一ン」
視線の先には、カワイイ女の子――少なくとも彼にとっては――の妖幻密使バソキュリアがいた。
その手には赤い鱗が握り締められ、上を見上げて、あらゆる意味で遥か高みにいる相手と会話をしている。
そして、Yバ一ンの視線はバソキュリアを通り過ぎ、その上へと向かう。
彼が「一番おっかない」と評する神、夕゙ゴンに。
すっと、音もなくYバ一ンはバソキュリアとの話を終えた夕゙ゴンに歩み寄った。
「見つけたんだね、あの天/空/聖/者」
「ああ」
「僕も行くよ」
それが不満らしい夕゙ゴンから何か言われる前に、Yバ一ンは言葉を続ける。
「確実に取り返したいしね、ン・魔の魂」
夕゙ゴンが返答をする前に、そこへ更に割り込んでくる者があった。
「俺も行こう」
ティ夕一ンの巨体を夕゙ゴンとYバ一ンが同時に見つめる。
「一人の天/空/聖/者のために、これだけの冥/府/神が集まるとはな。大した男だ」
皮肉半分な口調で夕゙ゴンは言い、そのまま足を進めて行く。その後をYバ一ンが追おうとした時、
ティ夕一ンが彼にだけ聞こえる声で囁いた。
「逸るなよ」
「どういう意味かな」
だが、答えは返ってこなかった。 <> 冥/府/神 2/4<>sage<>2006/01/02(月) 20:31:05 ID:5tc8oBra<> 問い詰めても何も言わないことはわかっていたから、仕方なくYバ一ンは夕゙ゴンとティ夕一ンと並んで
歩き出す。
だいたい、こいつは何を考えてるのかわからないんだ、いつもいつも。
そして、ふと思い出したかのように夕゙ゴンに尋ねる。
「そういえばスレイプニノレには何も話さなくていいのかな。 随分怒ってたみたいじゃない」
「だからだ。冷静さを欠いていては危うい。ただでさえ二/極/神の一柱、怒レイクを失っているんだ。
これ以上何かあってはン・魔の魂を取り戻したところで復活がなるかどうか」
そんなにン・魔の復活が大事なのに、戒律を破ったのはどういうわけかな。
言葉には出さずにYバ一ンはそう考え、口元を歪めた。
美しくて賢いスフィソクス、君は正しいよ。戒/律を破ればン・魔は復活しない。
けれど夕゙ゴンはそれを破った。
『俺が戒/律だ』
そう言った夕゙ゴンをYバ一ンは思い出す。スフィソクスに有無を言わせぬ恐ろしい威圧感。
そんなにあの天/空/聖/者を、ブレイジェノレを引っ張り出したかったのかい、夕゙ゴン。
二極神のスレイプニノレまで巻き込んで。
夕゙ゴンにはスレイプニノレが戒律を盾にとって断らないという自信があったはずだ、とYバ一ンは信じていた。
だって、みんな知っている。スレイプニノレが同じ二/極/神の怒レイクの猪突猛進な危うさを案じていたことを。
ま、確かにそこが怒レイクの可愛いとこでもあったけどね、とYバ一ンはくすりと笑う。
夕゙ゴンは、スレイプニノレの感情を利用した。たった一人の天/空/聖/者のために二/極/神も戒/律も犠牲にしようとした。
それはあくまでン・魔の魂のためだと彼は言うかもしれない。
でも、戒/律を破ってン・魔が復活しなかったら何にもならないだろう? <> 冥/府/神 3/4<>sage<>2006/01/02(月) 20:32:13 ID:5tc8oBra<> じわりとYバ一ンの中に、暗い怒りが募ってくる。
ああ、まずいな冷静にならないと。僕はいつだって冷静なんだ、そうだろう?
けれどブレイジェノレを目指して進む夕゙ゴンを見ていると、思考は千路に乱れていった。
そんなに負けたくなかったのか、ブレイジェノレに。
そんなに気になるのか、ブレイジェノレが。
たかが、一人の天/空/聖/者を神である君が。
僕たちのリーダーであるはずの君が。
夕゙ゴン。
「Yバ一ン」
不意に名を呼ばれて、Yバ一ンは思わず足を止めた。気付けばティ夕一ンがこちらをじっと見ている。
「何かな」
「逸るな、と言っただろう」
言葉はそれだけだった。またティ夕一ンは口をつぐんだまま歩き出す。
一体何なんだ、言いたいことがあったらはっきり言えばいいのに。
けれど、そうして問い詰めることは何故か躊躇われる気がしてYバ一ンもまた再び歩き出した。
暗い暗い、冥/府の道を歩き続けてようやく夕゙ゴンは目的の者を見つけた。
じっとそこに立つ、魔/導/騎/士の姿のブレイジェノレを彼は見つめている。
そんな目をして、まるで愛しい者に出会ったみたいだ。
苛々とYバ一ンは夕゙ゴンを見つめていた。
自分がどんなに滑稽かわかっているのかい、夕゙ゴン。 <> 冥府神 4/4<>sage<>2006/01/02(月) 20:33:09 ID:5tc8oBra<> だが、その時Yバ一ンは自分を見つめる者の目に気付いた。
ティ夕一ン。
突然、全てに納得がいって、Yバ一ンは可笑しくなった。
そうか、君も僕を見ていたのか。
僕が夕゙ゴンを見ているように。
夕゙ゴンがブレイジェノレを見ているように。
僕は滑稽だったかい?
ブレイジェノレを見ている夕゙ゴンのように滑稽だったかい?
そして、君もきっと滑稽なんだろうね。
Yバ一ンはン・魔の魂を封印するブレイジェノレの前に立ちはだかった。
見てあげるよ、夕゙ゴン。君が執着する男の力を。
見せてあげるよ、ティ夕一ン。君が案じている僕の力を。
そして、何もかもが終わるはずだ。
地上世界も、僕らの馬鹿馬鹿しいこの憂鬱も。
だって、僕らは神なのだから。
「こんな奴、僕一人で充分さ」
この陰フェルシアに君臨する神々なのだから。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/02(月) 20:34:19 ID:5tc8oBra<> ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 何つーか多角関係でスマソ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 怒レイク受も萌えるんだ
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   | <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/02(月) 20:37:11 ID:5tc8oBra<> 最後の名前欄伏せ忘れてごめんなさい…orz <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/02(月) 22:35:48 ID:91CMEQ0R<> 十一人目の神が降臨シタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!
究極の一方通行恋愛モエー!
某スレで悶々と吐き出すだけだった萌えが形になってるよ!
どのセリフもリアルにあの声で聞こえてくるよ!
有難う有難う神!ビデオ見返して次の放送までハァハァして過ごすよ! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/02(月) 22:44:37 ID:vtzQ7zpC<> >281 GJ!
年末年始で一週飛んだ所を癒されたよ!自分も怒零区は受だと思います。
しかし、「魚」か…確かにな… <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/03(火) 05:40:28 ID:Qcv5Rdfp<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  スレ復活乙記念ネタ投下モナ‥‥。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  乳首責めアホエロビらしいよ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ イチニンショウチュウイ!
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) ドキドキ
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |

『乳首系総合スレッド5』 から来ました。ネタ投下のため、こちらをお借りします。
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/801/1134493153/
※超長文です。ご容赦ください。(がちゅんはありませんが、やや天麩羅風味)
※乳首に特化しております。苦手な方はスルーでおながいします。
※ところどころ同スレ内のご意見お借り致しました。誠に勝手で申し訳ありません。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )デハ ジサクジエンガ オオクリシマース!

『乳首強化合宿体験者レポート【未熟な乳首・開発育成コース編】』
体験者:高橋 仁(17歳2ヶ月・仮名) <> 乳首強化合宿1/12<>sage<>2006/01/03(火) 05:41:21 ID:Qcv5Rdfp<> 「高橋仁くん17歳・・・っと・・・健康に心配はなさそうですね。
 ではまずシャツの前をめくってください」「・・・ハイ・・・」
「まず乳輪の直径は…、次は乳首の直径ね…、最後に乳首の高さね」
メガネをかけた白衣の先生(?)が、ノギスで僕の乳首を測定してる。
ゥゥ・・・なんか恥ずかしいよォ・・・悪いことしてるワケでもないのに俯いてしまう。
「はい、次は勃起後の乳首を測定します。」
(ェ?ぼぼ勃起後??ナナナニ?)驚いて顔をあげると、
「説明聞いてなかったのかな?ノーマル時と勃起後の数値でコース決めるって」
メガネの縁に手をかけながら、冷静な声で説明される。
(数値?コース?なんのコト?)
「勃起は自分でやってもいいし、私が手伝ってもいいですよ。どうしますか?」
「ぁ・・・じじゃぁ、よよく分からないので、ぉお願いします」
「分かりました。ではシャツはそのまま上げておいて下さい」
そういうと白衣の手を伸ばして、僕の乳首に刺激を与えてきた。
アルコールで消毒されてちょっと赤くなった僕の乳首・・・ゥッ、冷たっ・・・
先生(?)の指も消毒のせいか冷たくなってる。けど乳首の方はアルコールのせいか
少し熱くなってるみたい・・・冷たい指が気持ちいいような、少し痛いような・・・
「んっ・・・」けど、乳首をくにくに揉みこまれてると、直に勃起してしまう。
「そろそろいいかな。じゃ乳輪の直径・・・cm、乳首の直径・・・」
なんかくらくらして声が遠くに聞こえてきた。だって僕の乳首は勃起してるのに、
先生(?)は淡々と金属の測定器で、僕のサイズを測定していく。

「はい。高橋君の測定は終わりました。この用紙に君のサイズが書いてあるから、
 メニューが始まる前に、今日組む人達と挨拶する時このデータも発表してください」
「・・・ハイ・・・どうも・・ぁりがとうございました・・・」
用紙を手にして【乳首検査室】と書かれた部屋を後にする。用紙には
『未熟な乳首・開発育成コース』にチェックマークが入っていた・・・ <> 乳首強化合宿2/12<>sage<>2006/01/03(火) 05:42:02 ID:Qcv5Rdfp<> (ハァ・・・なんでこんな合宿に参加しなきゃなんなくなったんだろ・・・)
よくは分からないけど、冬休み前に部活の顧問から呼び出されて
「高橋はクラブの本合宿前に、この合宿に参加して欲しい。費用は学校側で負担する」
って言われてよく分からないまま、手渡された紙に書いてあった場所に来たんだ。
紙には『強化合宿』とだけ書いてあった。他のヤツらも参加するって言ってたけど、
任意の者にしか参加させないので内密に、って言われたから部活仲間がどうしてるか
分からない。一人で来るのはちょっと心細かったけど、強化合宿って言うからには
知ってるヤツも参加してるだろうし・・・ま、ともかく一人じゃないよな、と思いつつ
『強化』って言葉にちょっと期待して来たのに・・・。

僕はバスケ部に所属している。 けど、ちょっとタッパが控え目って言うか・・・
(要するに背が・・・あくまでバスケ部で、だ)
それに自分でもちょっときゃしゃかな?って分かってるから、タメなのに190近くって、
肩とか胸とかガッチリしてる高岡や森達にちょっと憧れてたんだ。
背は急に延びないにしても、胸筋とかふとももとか鍛えられれば、って。
それなのに、コレってナンだ??!?帰りたいとも思ったけど、根がマジメ過ぎる僕は
次の部屋へ向かってしまった。(ついでに好奇心も旺盛なんでショウカ・・・とほほ) <> 乳首強化合宿3/12<>sage<>2006/01/03(火) 05:42:34 ID:Qcv5Rdfp<> ともかく【未熟な乳首・開発育成コース】って書いてある部屋へ入ってみる。
部屋はブース毎に仕切ってあって番号が振ってある。
手元の紙をみると、ええと・・・G−3・・・G−3?一体いくつブースがあるんだ・・・
戸惑いながらもたどり着いたブース内に入る。中に2人の男子がいた。
(えっと・・・なんだろ、このヒト達・・・タメくらいかな・・・)
この期に及んでイマイチ状況が分かっていない。
「えーっと、キミ高橋仁くん?はじめまして。僕は佐倉康。コウって呼んで下さい」
「ははじめまして。高橋仁です」とりあえず握手。
優しそうな眼差しにシルバーフレームの眼鏡が似合ってる。
「オレは、工藤敦。よろしくな」こっちも握手。色黒で背が高い。短めの黒髪がカッコいい。
「それにしても仁くん、カワイイね。目がイイよw おっきくって。モテるだろ。」
は?ナニ、かわいいって。ばかにしてんの?ホメてないよ、モー。
自分はカッコいいからって・・・ちょっとムっとしてると工藤くんが続けて
「今日は得しちゃったかな、俺たち、な?」って・・・得?得ってナニ?
「まァな。けど、仁くんちょっとムっとしてるぞ、アツシ」
アレ?なんかさっき優しそうに見えたのに、眼鏡の奥のコウくんの目が悪巧みっぽく見えた・・・
「ま、お互い紹介も終わったし、始めよっか。じゃァ、仁くん『ご挨拶』からね」 <> 乳首強化合宿4/12<>sage<>2006/01/03(火) 05:43:07 ID:Qcv5Rdfp<> 挨拶・・・さっきの測定を思い出してちょっとビクってなった。
この部屋入ってから、タメくらいのヤツらと一緒になって少し肩の力が抜けてた・・・
「ぁ・・・あいさつって・・・」イキオイ言葉がひらがなになってしまう。
「あれ?分かんないっか・・・まーいーや、じゃこれ見ながらでいいから『ご挨拶』して」
工藤君が小さなカードを手渡す。コウくんは優しく笑いかけてくれてるけど・・・
(エ・・・これって・・・)
『(氏名)です。乳輪の直径○cm、乳首の直径○cm乳首の高さ○cmです。
 勃起後のサイズは 乳輪の直径○cm、乳首の直径○cm乳首の高さ○cmです。
 よろしくお願いします。 ※シャツは最初に脱ぐこと』
(・・・)
「どうしたの?早く始めないと、僕達仁くんにペナルティつけないといけなくなっちゃうなァw」
ペナルティ?なんだかよく分からないけど・・・イヤ〜な・・・
「それとも居残り補習したくってわざと黙ってるのかな?」
ドキン!なんか分からないけど、ちょっとコワイ。慌ててシャツを脱ぐ。
「たたたかはしじんです。
乳輪の直径2.7cm、乳首の直径0.6cm、乳首の高さ0.2cmです.
勃起後のサイズは、乳輪の直径2.9cm、乳首の直径0.9cm乳首の高さ0.5cmです。
よろしくお願いします!」は恥ずかしー、一気に言って勢い良くアタマを下げる。
「クっ、ほんっとかわいいなー仁くん。よく出来ました」工藤くんが笑ってる。
「はい、よく出来ました。じゃァ、始めようか・・・」そう言うと康くんがタオルを手にした。 <> 乳首強化合宿5/12<>sage<>2006/01/03(火) 06:00:24 ID:Qcv5Rdfp<> 「仁くん、ここに座って。手後ろに回してね」言われたままに腰を降ろして手を後ろに回す。
すると腕を組まされ、タオルで巻かれた後、何かで腕を縛られ拘束された。
背中に腕を回しているので、背筋がまっすぐになって・・・要するに乳首を前に突き出した
ような格好になった。わ、恥ずかしい・・・さっき乳首を検査されたことを思い出す。
「じゃァ、準備運動から始めるよ。このまま始めると肌を痛めちゃうから、
マッサージオイル使うね。いい匂いだよ、安心して」
あ、ホントだ・・・なんだか甘いいい匂い・・・ちょっとリラックスしちゃう・・・
って目を閉じた隙に、左右の胸に手の感触が!
ビックリして目を開けると、康くんが後ろから手を回して僕の胸をゆるゆるマッサージしてる!
時々乳輪をさわさわいじられたり・・・
「んっ・・・」声を押さえようって思うんだけど、なんだか体がキュってしちゃって・・・
康くんはゆるゆるさわってるだけで・・・乳首にはさわってくれない。なんだか切ない気分・・・
ってさわんなくっていいんだけど、なんだかだんだんじれったくて
「はぁっ・・・ぁっ・・・」って小さく声が漏れ始める。
「交代!」あ、今度はアツシくん・・?
「ちっちぇーオッパイだなっw」そう言うと乳輪をクルクル指で回したり、強く揉まれたり。
でもやっぱり乳首にはさわってもらえない。違う、さわってほしくなんてないよ。
って思うけど、なんだか涙も出てきた。
「ぁ・・・ぁ・・んー」「どうしたの仁くん?苦しい?」康くん、声は優しいけど・・・
「何かしてあげられることあったら言ってね」って。「ぅ・・・んー」その間にもアツシくんの
手は止まらない。なんだかどんどんつらくなってきた・・・それにアツイ・・
「ぁ、ん・・・ぁ、アツイよぉ・・・」
「ふふ、仁くんツライでしょう?このオイルはね、ちょっと仁くんがえっちになっちゃう
おクスリが入ってるんだよ。けど常習性はないから安心して」
「でも、仁くんて素質ありそうだから・・・おクスリいらなかったな・・・」
なに?くすりって・・?でももうよく考えらんない・・・首とか振り出しちゃった
「んー・・・ぅ・・・」切ないよ・・・
「そろそろ、言ったほうがいいんじゃない?お願いしてごらん」康くんの笑顔。 <> 乳首強化合宿6/12<>sage<>2006/01/03(火) 06:01:08 ID:Qcv5Rdfp<> 「お、おねがい・・?」「そう、お願い。僕達にどうして欲しいの?仁くん」
「ぁ・・ちちく」そこまで言って「言えなぃ・・・」涙声で訴える。だって、男なのに恥づかしいよ。
「言えないってさ、どうする康?俺はこーんなカワイク言われたら甘やかしてもいーけどw」
あ、アツシくん触ってくれるの?って期待しちゃった・・・
「仁くんあのね、これは訓練なの。だから仁くんがちゃんとおねだりできるまで
僕達何もしてあげられないよ?」
ぅー・・・恥づかしいよ。でも、もうガマンできない・・・だって乳首がアツくって
ピクピクしてるんじゃないかって、そんなカンジなんだもん・・・
「ん・・・ちちくび・・さわって」「なに?」「乳首さわってっ」思い切って言う。なのに・・・
「乳首さわってってさ、OK?康」
「仁くん・・・、人にお願いする時はどう言うの?ちゃんと言えないとOK出せないなー」
僕の膝に手をおいて、優しく覗きこんでくる。ぅぅっ、康くんってイジワルだ・・・
あの悪巧みの目は錯覚じゃなかったんだ・・・でも言わなくちゃ。触ってもらえない
「ぉ、お願いします。僕の乳首さわってくださいっ」
「・・・まぁいいか、アツシ、かるくね」カルクぅ・・?「ぁぁっ・・・んっ」気持ちいぃ
アツシくんの指の腹が、僕の乳首に軽く触れただけなのにっ・・・じんじんしちゃう
「どう?仁くん気持ちいい?」「ん・・・ぃぃ」「どこが?」「ち、乳首・・」
「ふふ、まぁ、仁くんは初めてなんだからこんなもんか」エ?も、もう終わりなの・・?
「ゃ・・・ん・・もうちょっと」「ダメ。これはまだ準備運動なんだから・・・
仁くんのかわいい乳首は、僕達がこれから責任持ってちゃぁんと開発してあげるよ。
そしてもっとカワイクおねだりできるようにね・・・」
!!!!!!僕どうなっちゃうの?? <> 乳首強化合宿7/12<>sage<>2006/01/03(火) 06:02:03 ID:Qcv5Rdfp<> 「ようやっと準備運動が終わったからね、仁くん。コースメニューに移るよ」
康くんがニッコリしながら言う。でも僕は・・・もう肩で息をするくらいくらくらしてた。
「やっぱかーわいーな、仁くんw お目々がウサギさんになってるゾーw」
アツシくんが嬉しそうに言う。2人ともイジワルだよ。

「はい。じゃァ、次はコレね、仁くん」康くんがなにやら黒い帯のようなものを手に・・・
「なに・・・?」「ふふ」微かに微笑むとシュルって音がして、目の前が真っ黒に!
「ゃ、なに?コワイよ」「大丈夫。仁くん落ち着いて」ふいに肩をゆっくりなでられる。
「ふ・・・」「落ち着いた?」ビクっ。だって耳元で急に声がするんだもん。
そのまま耳元でささやかれる「ほら仁くん、こうすると耳とか・・・ビンカンにならない?」
「ゃ・・・ん・・・わ」アツシくん?に両膝をなでられた。
目が見えない分、他の神経が敏感になっちゃったの?さっきよりびくってなっちゃう。
それに、乳首はさっきよりもっとじんじんしてる気がする。これってやっぱりおクスリなの?
「はァ・・んっ」コリ。両方の乳首をツメで引っかかれる。「ぁあっ・・ん」ダメ。気持ちいぃ
今度は摘まれてくにくにされる。そうされながらツメの先で乳首のてっぺんを強くグリグリされる。
強烈に感じちゃう「ぁ・・んっぁ・・・ぁ・はっ・・ぁぁっ・・んー」乳首が痺れてくる・・・
きっともう真っ赤に腫れちゃってるよっ
「仁の乳首はカワイイなー。こんなにイジメてもまだまだピンク色なんだからw」
・・・アツシくん、恥ずかしいよっ

「じゃ、そろそろ始めよっか」康くんが、宣言するように囁いた。 <> 乳首強化合宿8/12<>sage<>2006/01/03(火) 06:02:47 ID:Qcv5Rdfp<> 「ぁっ・・」冷たいっ・・・イキナリなに?けど、反対側の乳首はチクチクするみたいな・・・
「は・・・ぁ・・・んー」右の乳首は何か冷たいものでクルクルされてる。
左の乳首は、なんだかちくちくするものでコスられてるような・・・
「仁くん、分かる?何でいじられてるか当ててごらん。当てたら先に進むよ」
「ぁ、ここおりっ」「どっちが?」「ェ?えっと・・・ぁ、みぎ?」
「まだ余裕があるね。先が楽しみだなァ・・・ふふ。じゃァ、左は?」
「ひひだりは・・・」こうしている間にも右で当てたはずの氷の責めは一向に止まない。
「ぁ・・ひだひだりは・・けいと・・っ」「はい、よく出来ました。じゃ、どっちも感じてみようか」
そう言うと、氷と毛糸が逆になる。今までチクチクして熱くなりかけていたところに
急に冷たいものでなでられると火傷したように熱く感じた「ぃ痛っ」
右の乳首は毛糸が当たる。冷え切ってビンカンになったところにちくちく擦れてむず痒い。
「ゃ・・・ゃだ・・・ィジメないで。乳首、も・・イジメないで・・・」
「イジメてないよ、仁くん。訓練って言ったでしょ?それにまだ始めたばかりじゃない」
康くんが優しく耳元で囁く。クちゅ・・急に反対側の耳に舌が差し込まれ舐められた。
「仁・・ィィか・・?」アツシくんも囁く。「は・・・ぁ・・・」声にならない。
その間にも両方の乳首へ別々の責めが続いている。 <> 乳首強化合宿9/12<>sage<>2006/01/03(火) 06:03:52 ID:Qcv5Rdfp<> 「じゃ、次ね」・・こ今度はナニ?「ぁ・・んっ・・・」
あれからこの調子でずーっと乳首だけをいじめられっぱなし・・・
筆とか(固めのも柔らかめのも)、お豆腐?とか指はもちろん、
果てはぬるぬるしたもので(アレはナマコ・・?)
「仁のお豆固〜くシコってコリコリしてるよ〜。お箸でつまみやすいなァw」
って、もーやらしいよっ。この声はアツシくんか・・
「ぁ・・っぁ・・ん」右側の乳首はナニ?グリグリって・・・刺激強・・すぎ・・
康くんって、優しそうなのになんか容赦ないカンジ。今も「こっちは何?」って
もうなにも考えらんないのに、言えるまで止めてもらえない。
「ぁ・・わか・・んないっ・・・も・わかんないよォ・・」ホントにわかんない。
「仁くん・・答えられるまでこのままだよ」ふ・・・でも・・もうダメ・・
「オイ、康。少しはいんじゃねェのw?言ってやれよ、仁くんのカワイイ右側の乳首は今、
綿棒でグリグリ責められまくってますってw」ゃ・・言わないで。恥づかしすぎる・・・
けど、そんなこと言われるともっとアタマがトロンってなっちゃう・・ <> 乳首強化合宿10/12<>sage<>2006/01/03(火) 06:16:50 ID:Qcv5Rdfp<> 「・・仁くん。こんなカンタンなの答えられないなんて・・集中できてないの?
 少しお仕置きしないとダメかな?」コワイ・・・康くん、なんかコワイ
「ぁ・・ん、でも・・も、わかんない・・」「まー、そんないじめるなよw 康」
って一見優しいアツシくんだけど、こーなったのも元々アツシくんのせいじゃないかっ。
「そう・・仕方ないね。集中力取り戻してもらわないと」康くんがそう言ったあと、
何かで乳首の根元をくびられた・・「ゃ・・かゆ・・」
「ふふ・・なんだか分かる?」「わか・・わかんないけど・・なんかかゆいよォ・・」
「かわいいよ仁くんの乳首。赤い毛糸、リボン結びで縛っちゃった。似合ってる」
け、けいとで乳首縛られてるの〜??しかもリボンて・・やだやだ、かっこ悪いよ。
「ふっ、ほんっと似合ってる。カワイイよ、仁w」
「ゃ・・ゃだゃだ、とって・とってぇ・けいととって・・かゆい・・けいとヤだ・・痒いよォ・・」
「ダメ。言ったでしょ、訓練て。今の仁くんは集中力に欠けてるから、お仕置きだよ」
そんなァ・・だってもーアタマがくらくらしてわかんないんだもん・・・
「ホンっト、キビしいよなァ、康はw なー、仁w?オレは優しいからサ、
おねだりが上手にできたら、とってあげてもいいかなー」
「ぉ、おね・・だり・・・?」「そう、言ってみ。」「な、なに・・言う・・の・・?わかわかんない・・」
「オイオイ、しょーがねェなー・・w ま、仁はかわいいから甘やかしてもいっかw」
そう言うと、アツシくんは僕の耳元で何かささやき始めた。 <> 乳首強化合宿11/12<>sage<>2006/01/03(火) 06:17:41 ID:Qcv5Rdfp<> 「・・ぼぼくは、ち、ちくびをっ・・いいじめられるのが大好きなっ・・い淫乱男子高校生です・・・」
「ももっと、乳首をイジめてほしくって・・わっ・・ざと黙ってました・・」
ダメ・・・も・・ダメ・・って思ってるのに、アツシくんに耳元でささやかれるまま
「・・こんないやらしい乳首に・・もっと・・お仕置きして・くださいっ・・もっとキビしくシゴいてっ・・ください」
「もっとキビしく乳首をシゴいてほしいって・・w どうする?康。」
ぁ、ヒドい・・アツシくん、ヒドイよっ。毛糸とってくれるって言ったのに・・・
それに、カンジっぱなしで勃ち上がりきってるxxにはまーったく触ってもらえない・・・ツライ・・・
「そうだね・・・仁くんほど淫乱だと、まだ足りなかったんだね。じゃァね・・・」
レロっ・・ゃっん・・・舐められてる・・・「どう?仁くん、気持ちいい?」
「ぁ・・もちぃ・・気持ちぃ・・」「どうして・・?」
「ぁ・・ん・・康くんに・・ぼくの・・どスケベなオマメ・・舐められ・・てるからっ、ぼく・・いんらんだっ・・から」
アツシくんに言われたままだけど・・でも、そうかも・・だって目隠しになんてとっくに外れてるんだ。
だからホントはなにされてるか、全部分かってた・・その上・・
「ぁ・・舐めっ・・て、アツシくんっ・・も、ぼくのい、いやらしいちくび・・もっとイジメてっ・ください」
信じらんない・・なに言ってんだろ・・でも・・も・・ダメだ・・
「よしっ、おっけーw」カリっ・・右の乳首をカルく噛まれた・・・ <> 乳首強化合宿12/12<>sage<>2006/01/03(火) 06:18:14 ID:Qcv5Rdfp<> 「・・・仁くん、仁くん・・分かる・・?」ん・・?なに・・?
「おめでとう仁くん。よくがんばったね。こんなに泣いちゃって・・・」
康くんが冷たいタオルで頬や額をぬぐってくれてる・・・どうしちゃったんだ?ぼく・・・
「すげーよ、仁。初めてなのに、乳首だけで達けるようになっちゃうなんてw」
アツシくんが腕をマッサージしてくれてる・・って・・なんだかアソコがぬるぬるして気持ちわる・・
「達っちゃたの・・?」「そう、仁くん、予想以上に優秀な乳首だね。開発のしがいがあったよ」
「っつーかオレ達の指導の賜物だろっw けどまー、仁の乳首がどスケベだからかw」
もー、ホンっトにやめてよね、アツシくん、やらしーよっ#
「あ、そうだ。痛み止めのお薬塗っとくね」って・・・また乳首にヘンなもの塗られてる・・ぁ・・・んっ
「さ、これで乳首強化合宿『未熟な乳首・開発育成コース』に認定されます。改めておめでとう」
「ぁ、ぁりがとうございます・・」って、なんでお礼なんて言ってんだ?でも、とりあえずコレで・・
「次はいよいよ『敏感すぎる淫乱な乳首・躾お仕置きコース』だね。がんばって!」
ハ?ナニ?これで終わりじゃないの・・?2人ともニコニコしてるけど・・
ホントに僕の乳首、これからどうなっちゃうのー!????!! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/03(火) 06:19:01 ID:Qcv5Rdfp<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ アホナウエニケゲーヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・#)  
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ココマデ オツキアイ アリガトウゴザイマシタ <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/03(火) 07:22:54 ID:gBTKEovc<> 良い新春を有難うございます!GJです。萌えた〜〜!!
また機会あったら待ってます〜。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/03(火) 07:40:38 ID:qgE3XRXR<> GJ!乳首強化合宿萌えました!
仁の天然な性格がすごい好みです。責め方も新鮮に思えました。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/03(火) 11:31:41 ID:CxoyYotj<> GJGJ!
次回のコースレポもお待ちしております!w <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/03(火) 16:50:57 ID:ChtElMxy<> >>290-303
新年に新たな世界の扉を開かせて貰いました。(*´Д`)ハァハァ
GJ!!!!!!!!! <> sage<><>2006/01/03(火) 20:05:04 ID:8cNXl+dr<>
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  無視志のイヒ里予×銀子だってさ。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  あんまりエロくないみたいだけどどうかな。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ イヤナヒトハスルーシル
 | |                | |     ピッ   (ォ∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||ム┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  。。   ー   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<> はじめに<>sage<>2006/01/03(火) 20:07:26 ID:8cNXl+dr<> ※無視板でのお正月ネタで爆発萌えたのでネタを作成しましたが、
 自信がないのでこちらで垂れ流させて下さい。イヒ里予セメ×銀子ウケ
※禿長いです。エロはありません、チッス止まりです。
※文中の間取りとか時代考証とか適当、即興なので誤字脱字ご容赦。
※妄想とねつ造の産物ですので、生暖かい気持ちで読んで頂けると嬉しいです。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! <> お正月さん(1/12)<>sage<>2006/01/03(火) 20:10:19 ID:8cNXl+dr<> 「まったく、勝手に人の物を触るなと言っているのに……来たぞー」
 海に面した高台の、大きな平屋を目指して海岸沿いをずっと歩いてきた男は、コートの襟を深く合わせた。
 夜も更けた海岸には村の者は誰一人と歩いていない。
 それもそのはず、彼の頭上からは牡丹雪が静かに舞い降りて来ている。
 足下はこの地方にしては珍しく積もった雪にまみれ、すでに感覚がない。
「冷えるな。あと半時もあれば俺も埋もれそうだ。おーいイヒ里予、早く出てこい」
 近所には響かないように小さく叫びながら、肩に積もった雪を軽く払う。
 しばらくして右手からがたごとと音が聞こえた。
 片眼鏡の痩身の男が近付いて来た。
「よう」
 片手を上げ人の形をした白い石像のようになっていた銀子を見て、男はため息をつく。
「銀子。いつもいつもどうして玄関から来ないんだ。軒に入っていればいいものを」
「お、そうか。いや、間口が広い方が入りやすそうでね」
「こんな日に雨戸も閉めずにいる家があるか。お陰で気づくのが遅れた」
「まあ、確かにそうだな」
「とりあえず風呂わかしてやるから入れ。医家で風邪引かれたらたまらん」
「そりゃ親切にどーも、イヒ里予先生」
<> お正月さん(2/12)<>sage<>2006/01/03(火) 20:11:49 ID:8cNXl+dr<>  三和土から上がり框に上がると直ぐの大きな囲炉裏部屋に通された。囲炉裏の中はちろちろと赤く炭が熾っている。
 勝手知ったるという風に銀子は囲炉裏から少し離れた場所に背負っていた箱を置いた。この商売道具の中には火を嫌うモノや火を異常に好きなモノが居る。もちろん、普通の薬包なども入っている。
 いつもの囲炉裏の一角を陣取って腰を落ち着けると、辺りをぐるりと見渡す。奥には十余畳もあろうかと思われる大広間と怪しげな物が山積みになった座敷が見える。
「また、なんかしか増えてるな。そのうち埋まるね、こりゃ」
 そこで銀子はふと思い出してコートを脱いだ。衣紋掛けはないので近くの衝立に無造作に掛けると炭入れと火鋏を取り出し、湯を沸かす支度を始めたイヒ里予に声をかける。
「イヒ里予、勝手に俺の商売道具に触るなよ」
「は」
「は、じゃねえっての。箱の引き出しに手紙入れてたのお前だろうが」
「ああ、そうか。だから来たんだよな」
 囲炉裏端から姿は見えないが声は至って嬉しそうだ。
「つい最近なんだか背中が騒がしいと思って開けたんだがな」
「騒がしいって、普通の手紙だったろうが」
「文字とか墨とかな、人の感情のこもったモノに惹かれる奴らがいるんだよ。だから墨を摺る時は心を落ち着けて摺るっていうだろう。ありゃあ、字に心がこもるからなんだよ」
「へえ。でも実害なかったんならいいじゃねえか」
「大ありだっての」 <> お正月さん(3/12)<>sage<>2006/01/03(火) 20:13:09 ID:8cNXl+dr<>  銀子は火掻き棒を手繰り寄せて炭を少しひっくり返した。炭の中に残っていた水分がはぜ、火の粉が舞い上がる。
「初めはそう気にするほどでもなかった。そのうち道中でなにやら叫びはじめやがったから、峠で開いてみたんだが」
「何が叫んでたんだ」
 イヒ里予は支度の手を止めて囲炉裏をのぞき込んだ。
「お前の手紙だよ」
「ほう……峠で朗読会か」
「お前なあ、自分が書いた内容を覚えてないのか」
「いや」
 にやりと笑うイヒ里予に銀子は小さく舌打ちをした。
「途中まではまあ普通だったから、特に気にしてなかったんだがな」
 少しは気にしろと言いたかったがイヒ里予はぐっと堪えて続けた。
「おお、そうそう。晦日には帰れって書いたんだっけな。去年も一昨年も一昨昨年も来なかったからな。今年こそはちゃんと人間らしい年越ししろって思ってだな、老婆心から手紙を入れてやったんだ」
「老婆があんなこと書くかよ」
 銀子は懐から煙草を一本取り出すと熾った炭に近づける。葉が焦げる小さな音がして煙草に火がついた。
「あれぐらい書かねえと、お前来ないもん」
「道端で好いているだのどうなのと、紙切れに騒がれた俺の身にもなってくれ。茶屋の女将にどれだけ笑われたことか」
「うーん。心を込めて書いたからなあ」
 土間の一角に積んであった柴を一束とって抱え、勝手口に向かう。
「どうせやましいことばかり考えて書いたんだろう」
「ま、一応手紙としての役は果たしてるんだからいいじゃないか。お正月さんを迎えるまでに間に合って」
「何えらそうに誤魔化してんだ。だしにされた神さんも大変だな」 <> お正月さん(4/12)<>sage<>2006/01/03(火) 20:14:21 ID:8cNXl+dr<> 「おい銀子、こんな所で寝るな。風邪を引く」
 囲炉裏端でうとうととして半時を過ぎたあたりで、イヒ里予が声を掛けてきた。
「あ、ああ」
 仕事の依頼がない時は、いつも野宿か打ち捨てられたあばら屋を勝手に拝借して泊まっているため、こうやって知り合いの所にいるとつい気が緩む。
 ま、俺から盗る物なんて何にもねえんだが、と銀子はぼんやり思う。
「やっと風呂沸いたぞ。今日は本当に芯から冷えるな。夏なら半時待たずに沸くんだが」
 襷を外し濡れた手を腰にかけた手ぬぐいで拭くと、外で冷えたのかさっそく囲炉裏にあたる。なぜ手伝いの者にさせないのか不思議だったが、銀子は別段気にもしなかった。
「じゃ、借りるとしますかね」
「手ぬぐいはそこにあるやつ適当に使ってくれ」
「洗ってあるんだろうな」
「医を志す者、清潔第一だぞ」
「そうかね……色々汚れてそうだがなあ」
「何か言ったか」
「いんや」
 銀子はそそくさと母屋を後にした。 <> お正月さん(5/12)<>sage<>2006/01/03(火) 20:15:28 ID:8cNXl+dr<> 「こりゃ寒いな。戻ってくる時に風邪引くんじゃないのか」
 離れにある風呂まではほんの少し歩くが、この寒さではその距離でも辛い。
「待てよ。内風呂が無かったか、この家」
 ふと思った。以前夏だったかに来た時は渡り廊下を越えても屋内にあったはずだ。
「まあ、いいか」
 そう納得したものの肝心の風呂に着くと銀子は首をひねった。もちろん外にあるとは言え一応は屋根も囲いもある。問題は形だった。
「これはあれだな、うん。五右衛門風呂とかいうものだな。単にこれを見せたかっただけじゃないのか」
 五右衛門風呂は西で流行っている風呂だという。物好きのイヒ里予が作ってみたのも無理はない。だから自分で風呂を沸かしたに違いなかった。
「旅者に見せても意味ねえってのがわからんのかね」
 風呂の蓋を取って中を覗く。
「さては俺が知らんと思ってるな。まったく金持ちの考えることはわからんね」
 寒いので手早く服を脱ぐと浮いている木蓋を踏みながらゆっくりと浸かる。湯が溢れて少しもったいないと思ったが、ここは水も豊富だからこんなことができるのだろうとありがたく頂くことにした。
「気持ちはいいが、もたれることができんのが欠点だなこれは」 <> お正月さん(6/12)<>sage<>2006/01/03(火) 20:16:58 ID:8cNXl+dr<>  一息ついて屋根を見上げると一角が開いている。そこからちらりと雪が舞い降りてきた。
「これで月でも出てるといいんだが、雪見風呂っても案外乙なもんだな」
 銀子は湯がぬるくなる前に上がろうと、慎重に立ち上がった。浮き上がってこようとする板の中心をしっかり片足で押さえる。釣り合いを崩せばたちまち熱い石に背中が触ってしまうだろう。
「あ、なんだこりゃ」
 踏みしめた板と足の裏で何かがもぞりと動いた気がした。
「湯が好きなのってのは聞いたことがないが……捕まえるのも面倒だしな」
 銀子は気にせずそのまま風呂から上がった。
 置いてあった下駄を引っかけて母屋へと向かう。
 風呂から出ると、冷たい風が吹き抜けたが、十分に暖まった体は母屋に着くまでそれほど冷えなかった。
「石風呂ってのはこういう効果があるのか」
 ふむふむと頷く。そしてふと顔を上げ自嘲気味に笑う。
 そこに有るはずの雪の音は遠くの波の音に消されて聞こえない。
「ずっと、居られるとでも思ってんのかね、俺は」 <> お正月さん(7/12)<>sage<>2006/01/03(火) 20:18:03 ID:8cNXl+dr<>  囲炉裏の部屋に戻るとイヒ里予はいつのまにか汁を用意していた。こういう所は妙に気が利く。まさに至れり尽くせりだ。
「どうだった」
「いい湯だった」
「他には」
「板を踏み外して、背中が焼けた」
「どれ、診てやろう」
 表情を崩さずに薬箱を出すイヒ里予に銀子も表情を崩さずに言う。
「とでも言うと思ったのか」
「相変わらず……意地が悪いな」
「どっちが。見え透いたことするなよ。あの風呂いつ作らせたんだ」
「一昨昨年かな」
 道理でうるさく呼びつけるはずだと、銀子はやっと合点がいった。
「手紙なんぞムシに持たせればいいだろうに」
「緊急じゃねえものは駄目なんだと」
 つまり体良く淡幽に追い払われたのだと銀子は理解した。
 イヒ里予は炭に少し灰を掛けて火を加減すると、天井から下がった鉤を調節して鍋を丁度良い高さに合わせた。
「雑煮食うか」
「なんだ。もう雑煮炊いてんのか」
 澄んだ出汁に里芋、金時人参、椎茸、漁師町独特の白身の魚、四角い焼き餅が入っている。
「正月は寝正月に決まってる」
「医家の先生が寝正月ねえ。罰が当たるんじゃねえの。で、お節はないのか」 <> お正月さん(8/12)<>sage<>2006/01/03(火) 20:19:01 ID:8cNXl+dr<> 「お節は今作ってもらってる。あー、餅つきには出たさ、これが成果」
 そう言って餅を菜箸でつまんで椀に落とす。それから適当に具材を拾って玉杓子で出汁をたっぷりかけた。
「年明けに挨拶に来る村のもんに食わせてやろうと思ってな。まあ、この里芋も貰いものだし」
 銀子に先に雑煮を渡すと自分の椀にもよそった。
「ところで、今日は何も持ってないのか」
「突然呼ばれたのに用意できるわけがないだろう」
「いつもその箱に入れてるんじゃないのか」
「今はちょっと休み中なんだよ、光脈筋にしばらく居てたからな。なんならその辺のムシでも適当に捕まえておけ」
「見えるわけでなし、変なもの勧めるなよ。ってえか、休みなら来いよっ」
「なにを好きこのんで男二人で年越しせにゃならんのだ。こっちの身にもなってくれ」
 銀子は餅をほおばりながらとりつく島もないことを言う。
「あーあー、お前はそういう奴だよ」
 胡座に肘をついて拗ねるイヒ里予に銀子は小さく笑った。
「んまいな」
 人里での正月は久しぶりで、ここの雑煮はどことなく懐かしい味がする。
「お前が作ったのか」
「うちのばあさんに教わった。ま、これくらいはな。あとは愛情でだな……露骨に嫌な顔するなよ」
 今にも雑煮を口から出しそうな銀子にイヒ里予は文句を言う。
「そういえば、この部屋暑くないか」
 銀子は首筋あたりをぽんと叩いて言う。首筋にはじっとりと汗がにじんでいる。
「隙間風のあばら屋とでもいいたいのか」
「いや、違う本当に」 <> お正月さん(9/12)<>sage<>2006/01/03(火) 20:20:02 ID:8cNXl+dr<>  囲炉裏端は暖かいが、周りはお世辞にも暖かいとは言えない。日本家屋は夏向きには出来ているが、こういった冬にはあまり威力を発揮しない。海に近いここでは潮風対策の方が大事で風の通りをよくして家を守るようにしている。
「銀子、お前熱があるんじゃないのか」
「いや、風邪は引いてない」
「顔が赤いぞ」
 イヒ里予は囲炉裏を回り込んで側に寄ると銀子の額に手を当てる。
「本当だ。熱はないな」
 銀子は椀を持ったまま、じっと考えてみた。
「あれ……か」
「あれ?」
「風呂に……いや、なんでもない。ま、直に治るだろ」
 イヒ里予は訝しんだが、当人の申告が無い以上医家の出番ではない。銀子には当てがあるようだから、多分これはムシ師の範疇なのだろう。
「無茶するなよ。布団、座敷に敷いてあるから食ったら勝手に寝ろ」
「あー」
 生返事をして銀子は立ち上がった。座敷へと歩き出そうとしてゆらりと体が傾ぐ。
「お前本当に大丈夫なのか」
「一応薬がある」
「一応って。ほら肩につかまれ」
 肩を貸すとふわりと何か甘い香りがした。光酒の持つ独特の香りだ。他のムシ師も銀子もたかだか酒瓶一つ、ここまで匂うことはない。
 ……こいつから直接香ってるとしか思えん。
 イヒ里予は小さく目眩を覚えて呟く。
「あのな、一番やばいのはお前なんだぜ」 <> お正月さん(10/12)<>sage<>2006/01/03(火) 20:21:04 ID:8cNXl+dr<> 「おい、箱を持ってきてくれ」
「はいはい病人は静かにしろ。触るなってさっき言ってたのは誰だよ」
 かなり広いこの母屋の一番奥にある座敷は銀子のお気に入りだった。奥座敷、つまりは仏間。一番上等の客間ではあるが、仏間に好きこのんで居座るこの男もよく分からない。
「で、薬ってのはどの引き出しにあるんだ」
「あー、上から三段目、右から二番目の一番底。それ以外は開けるなよ」
「これか」
 指定された引き出しから小さな薬包を取り出すとイヒ里予は一つ頷いて竈へと湯を取りに行った。
「ほら、溶いてやったから、口を開けろ」
「自分で飲む」
「そんなのは腕が上がるようになってから言え」
 イヒ里予は自分の膝へと上体を抱え込んで、容赦なく銀子の口に親指を突っ込むと、溶き薬を流し込んだ。
「この薬本当に効くのか」
 始めは白い粉だったのが、湯に溶くとおよそ人の飲めるような色ではない、しかもとんでもない臭いを発している。
 ムシ師の使う薬はイヒ里予にはよく分からない。気つけだの、滋養の薬だのはわかるが、ムシに効く薬はあちら側の物であって、普通の人間に扱える代物ではない。
「ほら、もう寝……ちょっと待てここで寝るな、枕を使え枕を」
 早速、イヒ里予の膝枕で寝息を立て始めた銀子にイヒ里予はまじまじと銀子の顔を覗き込んだ。
「まさか初夢ってオチじゃねえだろうな。ま、とりあえずお年玉ってことでもらっておくかな」
 イヒ里予はまだ赤みの差している頬に手を触れて引き寄せると、その唇に一つ口づけを落とした。
「おめでとうさん。今年もよろしく」 <> お正月さん(11/12)<>sage<>2006/01/03(火) 20:21:56 ID:8cNXl+dr<>  翌朝、イヒ里予は銀子に問いつめられていた。
「イヒ里予。お前、昨日俺に何かしたな」
「何もしてねえって」
「じゃあ、なんでお前まで顔が赤くなってんだよ」
「風邪でも引いたんじゃないのか」
 平気でうそぶくイヒ里予に銀子はぼそりと呟いた。
「あのムシは……移るんだよ」
「なんだよ。早く言えよそれ、いつもいつも情報が遅いん……あ」
「やっぱりな」
 白い目で見られてイヒ里予は肩を竦めた。それでも医家としての矜恃があるのか、咳払いを一つして質問する。
「咳とか出てなかったし、どうやって移るんだ」
「あ、あれは……その」
 珍しく銀子が言い淀む。はっと気づいてイヒ里予は小声で言った。もうすぐ村の者が年始回りに来るからだ。
「待て、もしかしてそういうムシなのか」
「……そうだ」 <> お正月さん(12/12)<>sage<>2006/01/03(火) 20:22:55 ID:8cNXl+dr<> 「あれは水や動物の粘膜を介して移動する。あの薬で追い出して朝がくれば朝露に移って勝手に消えるはずだったんだが」
「それを先に言えよ」
「お前が何もしなければ何も問題はなかった。言えばややこしいことになるからな」
「ややこしいって、別に顔が赤くなる位で特に問題ないとは思うんだが、ほら元気だし」
「そりゃ、お前が普通のヒトだからだよ。ムシを寄せる体質の者にとっちゃあ、ちいと難儀なやつでな」
「何がだ」
「言わない」
「おいおい」
 ぷいと横を向いた銀子にイヒ里予は完全に降参した。こうなると梃子でも喋らないからだ。
「ということで、今日は俺に触れるなよ」
「ちょ、ちょっと待て、そりゃあないだろう。昨日はお預けで、今日もか」
「何、やましいことさえなけりゃ、何の害もない。この薬飲んで大人しくしてろ」
 銀子の手にあるのは昨日の白い粉薬だ。
「これを飲めってのか」
「ま、お前の落ち度だからな、天罰ってやつだろうよ」


 イヒ里予がそのムシの症状を効いたのは、しばらくして後だった。
「……媚薬効果ねえ、もう一匹くらい見つからないか」
 そう言って恨めしそうに風呂桶を覗き込む。
 湯船には丸い月が静かに浮かんでいた。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/03(火) 20:25:16 ID:8cNXl+dr<>
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ イヒ里予先生まだ、探してるんだろうナ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||ム┌ ┌ _)_||  |
 |  。。   ー   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
 ものすごい速攻で作ったので、色々破綻がありますが、ご容赦下さい。
 長時間のご視聴ありがとうございました。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/03(火) 23:21:57 ID:he6bJLcM<> GJ!!
新年早々良いもの見させて頂きました。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/03(火) 23:32:15 ID:UMhloAUB<> GJ!GJ!
イヒ里予センセ素敵だよ!文章も読みやすくてよかったよー! <> モーテルにて(始)<>sage<>2006/01/04(水) 00:13:05 ID:7M8DwmsN<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  新年早々またお邪魔してしまいますモナ
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|60年代飴ナマモノ2人組(シ"ェリー×卜厶)。
 | |                | |            \ 捏造舞台は'57年11月末くらい。16歳。
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) ナンダソノムイミナコマカサハ
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |

いつも萌吐きに利用させていただいております。これまでご反応下さった方、
スルーして下さっている方々、本当にありがとうございます。
前スレ351-357の続きになりますが、あまり関係はありません。
またひたすらの長文と多レス消費、申し訳ありません。

<注意>
・知識がないのに、今度は人種ネタに少し手を出しています。
・合意なしのことは行われませんが、行為は一方にとって苦痛の方が大きいです。
・直接の描写はありませんが、体内洗浄を連想させる部分があります。
・中盤以降、単なるエロ描写、PWP(プロットなしポルノ)化しています。 <> モーテルにて(1/10)<>sage<>2006/01/04(水) 00:13:52 ID:7M8DwmsN<>  彼らが出したシングルは10万枚のヒットとなった。2人は有頂天だ。
 実のところ彼らは星の数より多い、いわゆる『一発屋』の使い捨てティーンズロッカーであり、
後の逸話がなければまもなく歴史の彼方に跡形もなく消え去る存在である。
しかし現在のところ彼ら自身がスターだ。高視聴率番組「バンドスタンド」に出演し、
リー・ノレイスとの共演まで果たしたのだ。
 彼らはかなりの印税も手にし、シ"ェリーは車を買った。赤いインパラ・コンパーチブノレ。
卜厶の得た印税は、大目の小遣いを除いては進学資金として貯金されてしまった。放課後や
休日、シ"ェリーはたった3ブロックを意気揚々と運転して卜厶の家に乗りつける。車を手にした
彼らの行動範囲は広がる。助手席で卜厶が地図と鼻を突き合わせて道を決め、適当な行き先で、
響きのいい、そして無人の場所―高架下やトンネルなど―を見つけては歌う。シ"ェリーは
軽く溜息を吐いて友人に付き合う。彼にとって、誰もいない場所で歌うことは自分達の才能の
無駄遣いとしか思えない。それでも友人が楽しそうに音響を試し、顔の向きを変えて、
声を響かせるための最適な角度を探る姿は彼の心を和ませる。うまくいくと、卜厶は得意気に、
「ここは僕の口の中と同じ形なんだよ。だからこんなに響くんだ。」と言う。
そんなはずはないのに。普段は嫌になるほど理性的で大人びているくせに、このことに
関してだけは理不尽で子供じみたことを言い出す卜厶はシ"ェリーにはかわいらしく
見える。
 地域チャートでは10位以内に入るヒット曲を出した、高校生であり、スター歌手であるはずの
彼らではあるが、校内は不思議なほど平穏だ。各々が親と約束したように、
成績を落とさないよう、学校では今まで以上に熱心に勉強していたせいかもしれない。
 学校では、彼ら2人はすでに部外者となりはてていたからかもしれない。

 後年、楽屋を訪ねてきた当時のクラスメイトの女性をシ"ェリーは全く覚えておらず、
気まずい思いを味わう。 <> モーテルにて(2/10)<>sage<>2006/01/04(水) 00:14:28 ID:7M8DwmsN<>  彼らは1週間後に4日間、他のミュージシャンと一緒に舞台に立つという仕事を受ける。
出演者の中で白人は彼らだけ。未成年なのも2人だけ。安全のためとして、
「夜は絶対に部屋から出ないように」という条件が契約に追加される。

「そこでお前を抱くから。」契約を結んだ帰り、高架下でシ"ェリーは軽い口調で卜厶に告げる。
 卜厶は足を止め、腕を組んで、心配症の姉のような表情、年長者が無分別な若者を見る
ような表情を浮かべてシ"ェリーを見下ろす。2人は同い年、細かく言えばシ"ェリーの方が
3週間年上だが。
「冗談だろ?」
「本気だよ。」
「どうして?」
「そうしたいから。」シ"ェリーは満面の笑みを浮かべて卜厶を真っ直ぐ見つめる。
彼は知っている。こうして自分が傍若無人に振舞う姿が、卜厶を魅了していることを。
「きっと楽しいよ。」と続ける。
「楽しめなかったら?」
「止めて、元に戻ればいい。」それを聞いた卜厶が、信じられないというように目を見開く。
「本当に戻れるのかい?」
「誓うよ。」シ"ェリーは右手を挙げ、宣誓のポーズを取る。卜厶が噴きだす。
 彼は腕を組んだまま、顔を伏せて考え込む。無意識に舌先が口から覗き、上唇の中心を
軽く湿して戻る。かすかに頷いたような動きを見せた後、頭が上げられる。
「それなら、一度試してみてもいいかもしれないな。」彼は身を少し屈め、周りを見回すと
シ"ェリーに軽くキスをする。
 それからの1週間、彼らは本当に遠くの地までドライブに出かけ、ドラッグストアで
多少の準備物―ローション等―を購入する。その間中、卜厶は4歳年上の、自分にそっくりな
成人した兄から借りた身分証明書をポケットの中で握り締めていた。結局必要なかったのだが。
 その兄は、弟が友人と旅先で秘密の酒盛りでもしたくなったのだろうとしか思っていないし、
それに協力することは兄として半ば義務だと思っている。 <> モーテルにて(3/10)<>sage<>2006/01/04(水) 00:15:03 ID:7M8DwmsN<>  ステージはあまりうまくいかない。観客も全員黒人だった。本格的なR&Bシンガーの
中にあって、白人ロックンローラーの2人は胡椒瓶の中の2粒の塩のように場違いで、
観客達の冷笑の的となる。彼らは他の出演者の引き立て役だ。興行主の狙いもそこに
あったのだろう。

 モーテルの部屋に戻ると、シ"ェリーはほとんど投げ出すようにギターを下ろす。
「そして俺たちは、明日のステージまでこの部屋から出られないわけだ。」
シ"ェリーが卜厶を睨んで、攻撃的な口調で宣言する。
 卜厶が口を開く。意識して落ち着いた口調をつくり話しかける。
「シ"ェリー、僕たちは笑われるために呼ばれたんだよ。評価されなくて当然なんだ。
 わかってるんだろう? だからそんな態度取るなって。」
 シ"ェリーが深い溜息を吐いて頷く。
「ああ、その通りだ。お前に八つ当たりして悪かったよ。」
 卜厶は知っている。シ"ェリーがこれほど動揺しているのは、抜け目のないはずの自分が
大人たちに出し抜かれたことを思い知らされたせいだろう。
「僕を抱くんだよね。身体洗ってくるから待っていて。」
ゆっくりと微笑みかけて、反応は待たずにバスルームへ向かう。
 戻って、ローションの瓶をベッドの脇に置き、シ"ェリーを抱き寄せてキスをする。
彼の頬がほんの少し湿っている。ベッドに乗る。
「頭の中でどうやっていた? 僕はどうすればいい? 仰向け? うつ伏せ?」
「……仰向けで、足を開いて。」卜厶はそれに従う。シ"ェリーも服を脱ぎ、ベッドに上る。
「それからお前を触って一度いかせ…」
「いや、それは省略しよう。これからのことを考えると、絶対楽しめないから。
 …いいから一度試しに入れてみてくれよ。」
 シ"ェリーが肩をすくめ、自分の肉体の周りと、その指にローションを塗りつける。
指が1本、身体に差し込まれる。それほどの痛みはない。頷くと抜かれ、もっと太い塊が
押し付けられる。シ"ェリーが性器をあてがっているのだ。
「力を抜いて。」
 先端が押し込まれる。先ほどの指と違い、明らかに無理な行為だ。卜厶は力を入れまい
とするが、身体は痛みに勝手に強ばってしまう。ローションの力を借りて先端の膨らみを
何とか潜り込ませるが、そこでシ"ェリーは動けなくなる。 <> モーテルにて(4/10)<>sage<>2006/01/04(水) 00:16:01 ID:7M8DwmsN<> 「痛くなくなったら言ってくれ。」シ"ェリーが苦しい息の下から話しかける。
「それまで待つから。」

 卜厶はしばらく待つが、苦痛は最初のレベルを保ち続ける。そのまま2人は活人画のように
見つめあう。

 卜厶は痛みに抗うのをやめる。苦痛に浸り、それを自分の感覚の基本として受け入れる。
傷がついているのではないはず。単に痛いだけだ。特別危険はない。彼は日常生活での
外界に対する態度と同じように、「傍観者」として自らの肉体を認識する。
 つい先程の自分の行動を思い出し、考える。身体を洗うために使った液体の量を思い出す。
大丈夫。奥まで入り込んだ分を差し引いても、今の自分の体内には、友人を受け入れる
スペースが十分あるはずだ。
 シ"ェリーを見上げる。小柄な、でもエネルギーに満ちた姿。一瞬羨望を感じる。
彼と一緒にいると、自分が鈍い大男になった気がする。本当のところは、自分は平均より
ほんの少し背が高いだけなのに。
 その彼は必死でなにかを耐えている表情を浮かべている。先端だけにずっと刺激を
受け続けて、もう限界を超えているのだろう。時折背中を震わせては首を振っている。
 ほんの少し体重をかければ簡単に挿入できるだろうに。それでも自分の苦痛が治まるのを
待とうとする彼に、卜厶は紛れもない愛情を感じる。彼には確かに強引なところがあり、
少々わがままでもあるが、本質は優しい、得難い友人だ。自分の同意なしにことを進める
ことはしない。嬉しくなって微笑むと、期待に満ちた視線が返される。
「まだ痛い?」
「ものすごく。」
 シ"ェリーの眉尻が下がり、少し情けない、犬のような表情になる。
「急ぎすぎたんだと思う。やっぱりもっと指で慣らせばよかっ…」
「シ"ェリー、傷がついていないか見てくれる?」
「…大丈夫みたいだ。…でも痛むんだよな。一度抜くから…」
「かまわない。」彼の腰に絡めた両足に力を込めて彼の身体を少し固定し、自分の腰を
彼に押し付けていく。「いいんだ、痛くても。」
 新たに、今まで以上の痛みを伝えてくる自分の肉体に卜厶は一瞬感嘆する。苦痛で
明瞭になった意識が、周囲の光景をくっきりと目に焼き付ける。特に友人の表情の変化を。 <> モーテルにて(5/10)<>sage<>2006/01/04(水) 00:16:34 ID:7M8DwmsN<>  摩擦の刺激を受けたシ"ェリーはさっきまで必死で堪えていた欲望に完全に支配されて
しまっている。本能的にずり上がろうとする卜厶の肩を彼の両腕が押さえこみ、その肉体を
貫いていく。もう身体が動くのを留めることはできない。シ"ェリーの腰は上下し、口から
漏れる呻き声と否定の言葉はどんどん大きくなる。
「…だめだこ…んなのは…これじゃおまえが…」
 卜厶は少し首を持ち上げ、彼の頭を引き寄せて、その唇を自分の口で塞ぐ。
 彼の口に舌を差し込むと、それが決定的な刺激になったかのように、彼が達する。
身体の奥に熱が放たれるのを感じる。卜厶の胸の上にシ"ェリーが身を投げ出す。
 向かい合った2人の表情は対照的だ。苦痛に歪んだ顔で、目だけが笑っている卜厶。
快楽に溶けた顔の中でその目は苦痛を訴えているシ"ェリー。踏みとどまれなかった自分を
恥じているのだ。

「…痛かったよな。」
「ものすごくね。今も痛いよ。」卜厶が顔全体で笑う。
「でもいいんだ。この状態は嫌いじゃない。」シ"ェリーを両腕で抱きしめ、もう一度
唇を交わす。
「ほら。繋がっているのに、手も口も空いているんだ。」髪をかき乱す。シ"ェリーは
頭を左右にして振り払うが、笑顔になっている。
「そのうち、…慣れれば僕も楽しめるようになるかもしれない。」
―そう、きっと慣れるのだろう。シ"ェリーに慣らされるのだろう。
「ああ、この4日の間に、少なくとも痛くはない状態にしたいな。でも今夜はここまで。
 これ以上お前の痛がる姿は見たくないんだ。」

 シ"ェリーの後にシャワーを浴びて部屋に戻ると、彼は既にパジャマを着込んで、もう
一方のベッドに腰掛けている。彼が自宅から持参した、くたびれているけれど清潔な、
自分のものと似たような寝衣を見ると、やはり自分達にはハングリー精神が足りない
のかもしれないと卜厶は思う。 <> モーテルにて(6/10)<>sage<>2006/01/04(水) 00:18:15 ID:7M8DwmsN<>  ついさっきその上で行われた行為を思い出させる、乱れたベッドで自分は眠ることに
なるのか、と少しげんなりしたのを見てとったのか、シ"ェリーが微笑んで招く。
「こっちのベッドで一緒に寝よう。」
 下着を着けようとした手を止められる。
「君は裸で。」
「僕だけ?不公平じゃないか。」楽しそうな彼につられて、つい声が笑ってしまう。
「そのほうが君のためだよ。僕まで裸になったら、またやってしまう。
 痛がらせてしまう。」
 そのままベッドに横たわると、彼が背中から身を寄せてくる。改めてローションで
濡らされた左手が前にまわされる。熱を持った塊が腰に押し付けられる。
 本当に軽く刺激される。今夜初めて感じる、純粋に肉体的な快楽。
「痛くした倍の時間、お前を気持ちよくさせてくれ。」背後でシ"ェリーが呟く。
 彼の手の動きは繊細で、反応を引き出す術を心得ている。濡れて滑らかな、初めての
感触も素晴らしい。いつものように物陰でお互いを探り合うのではなく、ベッドに安全に
横になって友人に身を任せているのも心地良い。さっきまでの痛みをすっかり忘れさせてくれる。
口から喘ぎ声が漏れる。
 込められる力が強くなるとあっというまにいきそうになる。あとほんの少し刺激されれば
達するだろう。彼の胸に背中を預け、絶頂に備える。頭の後ろでシ"ェリーがかすかに
笑い声を漏らし、耳朶の後ろに軽くキスされる。そして手が離される。卜厶は直前で
放り出されてしまう。
 刺激を求めて腰が動く。触れるのは空気のみだ。彼の手は今では腹部から胸を這い上がっている。
「卜ミー、ゆっくりだ、ゆっくり楽しもう。」
彼がからかうような、ただし優しい声で囁きかけ、少し胸を弄る。 <> モーテルにて(7/10)<>sage<>2006/01/04(水) 00:19:03 ID:7M8DwmsN<> 「シ"ェリー、焦らすなよ。」
「焦らしているんじゃない、さっきの埋め合わせをしたいだけ。」彼が真面目な口調に
切り替えて唱える。
「もう全然痛くない。十分楽しんだ…から…」
「なら今からもう一度入れたいと言っても大丈夫?」またさっきと異なる、熱を帯びた
声と共に腰に押し当てられたものが少し動く。
 一瞬背中が強ばったのがわかったらしい。
「嘘だよ。今夜はもう絶対痛い思いはさせない。だから任せて。」
 肩を引かれ、仰向けにされる。
「自分で触ってはだめだよ。」

 シ"ェリーは友人の足の間に座り、気まぐれのように腹や内腿に指を滑らせる。
親友の無防備な肢体を見下ろす。先ほどは欲望に負けてほとんど目に入らなかったが、
全裸の彼を見るのは今夜が初めてかもしれない。
 全体的にはシ"ェリーがそうなりたいと願っている肉体だ。すっと伸びて、余分な肉は
ひとかけらもついていない。感嘆と、かすかな嫉妬がシ"ェリーの心をよぎる。
しかしふと違和感を感じる。彼の体型は少しおかしい。ほんの少しバランスを欠いているのだ。
 これまでそれほど熱心に運動に取り組んでこなかった彼の手足は骨張っているが細めだ。
ただ、胴体は異なっている。胸筋と腹筋だけが発達している。
『歌のせいだ』シ"ェリーは思い当たる。毎日のように歌っている、その呼吸によって
ついた筋肉だ。歌うために彼が身体を鍛えているのではない。彼の声が、宿主の卜厶の
肉体を内側から侵食しているのだ。彼は自分の身体が声の器に変化しつつあることに
気づいているのだろうか。そのアンバランスさは、シ"ェリーの官能を一層刺激する。 <> モーテルにて(8/10)<>sage<>2006/01/04(水) 00:19:36 ID:7M8DwmsN<> 「どう?」
「どうって…焦らすなよ。本当にぎりぎりなんだから。」
「そうかい。俺もさっきぎりぎりの状態でかなり待たされたんだけどね。」
むっとした口調を装う。
 シ"ェリーに対してだけは物怖じしない卜厶が、こんな状況下でも口を滑らせる。
「…でも、入れてからはすぐにいかせてやったろ。」
それを耳にしたシ"ェリーはうっすらと笑う。
「そんなこと言うお前は、きっともっと我慢がきくんだろうな。」
 胸を撫でていた左手を下ろしていく。目に期待の色を浮かべる友人に微笑みかける。
性器の先端と接している腹の皮膚に指先を這わせ、そこにできた小さな水溜りを拡げる。
「ほら、こんなに濡れてる。」
「さっきお前が塗ったやつが垂れてるんだよ。」
「違うよ。」シ"ェリーがベッド脇からもう一度壜を取り、隣に少量のローションを
垂らし、交互に指先で延ばす。
「ほら、感触が違うだろ?」卜厶はなにも答えない。腹を撫でるシ"ェリーの指の側面が
極々かすかに先端を擦っている。そこから伝わるわずかな刺激に全身を支配されて、
喋れなくなっているのだ。ひたすら身を捩じらせている。
「違うよな?」シ"ェリーが楽しげに問いを重ねる。卜厶はなんとか頷く。
 シ"ェリーが右手を後ろに伸ばしていく。先ほどと違い、硬直と弛緩を繰返した
その筋肉はほぐれている。
「明日は…これくらい触ってから入れることにするよ。そうすればあまり痛まないと思う…」
卜厶は必死で首を左右に振る。平静を装うが、あまりうまくいかない。
「シ"ェリー、聞いてくれ。もう本当に限界なんだ。これ以上何かされたら、
 明日起きられなくなる。ステージに立てない。もう焦らさないでくれ。」
シ"ェリーのパジャマの裾を掴む。
「明日は午後まで空き時間だし、大丈夫だよ。それに俺の方が大変だ。この手でギターも
 弾かなきゃいけないんだからさ。」強弱はあるにしろ、先ほどから休みなく友人の肌の
上を滑りつづけている手を持ち上げ、指をひらつかせる。
「だったら、もうさっさと…」返ってくるのは心底楽しそうな笑みだけだ。 <> モーテルにて(9/10)<>sage<>2006/01/04(水) 00:21:00 ID:7M8DwmsN<>  シ"ェリーはズボンと下着を下げ、もう一度手にローションを落とす。右手を親友の
身体の脇に突いて、体には触れないように覆いかぶさり、左手を下ろしていく。
 卜厶の視線が手を追うのを感じながら、彼の期待を再び裏切って、シ"ェリーは
自分の性器を握り締め、彼の上で自慰を始める。
 少し大げさに呻き声を上げ、鼻からも甘く息を漏らす。
「ああ、手が濡れていると本当に気持ちいいな。さっきのお前の中の方が上だけど。」
友人を見下ろす。彼は刺激を求める自分の肉体のすぐ上で、別の身体を愛撫している
その手の動きから目を離せなくなっている。その顔にははっきりと飢えの表情が浮かんでいる。
目を見開き、ひっきりなしに唇を舐め、唾を飲み込み、体は自分以外に加えられる愛撫に
反応して跳ね上がっている。
 卜厶の渇望の表情、欲望を露わにしたその顔が、自分の手の感触よりもシ"ェリーを
刺激する。おそらく自分しか知らない表情だ。卜厶が自分から何かを求めることは
ほとんどないのだから。
 殊更ゆっくりと手を動かしてみせる。程なく限界が近づく。シ"ェリーはもう一度
卜厶に笑いかけると、腰を下げて先端同士をほとんど触れ合わせ、喉を鳴らすように
喘いで射精する。まるで卜厶が射精したように、彼の性器から腹にかけて白い飛沫が
飛び散る。
 欲していたものを与えられずに身体を汚されて、卜厶は呆然としている。
シ"ェリーは少し息を切らして、相変わらず楽しそうに微笑んでいる。
「どうして欲しいか言って。ねだってよ。」
「…さっきからずっと頼んでいるだろ。もう焦らさないでくれ。」
「そうじゃなくて。」彼の耳に口を寄せ、ほとんど息だけで話しかける。
「やめさせたいことじゃなくて、して欲しいことを言ってくれ。」
「……いかせてくれ。お願いだから。」そしてこんな状態でも軽く笑ってこう続ける。
「あと、上脱いでくれよ。間が抜けている。」 <> モーテルにて(10/10)<>sage<>2006/01/04(水) 00:21:37 ID:7M8DwmsN<> 「力を抜いて。
 これからまた指を1本だけ入れる。痛かったらすぐ言ってくれよ。」そしてそっと、
ゆっくりと中指を滑り込ませていく。卜厶が軽く眉をひそめる。
「大丈夫?痛くない?」と尋ねると、頷く。指の根元まで収める。
 指はそのまま動かさず、その指の根元に舌先を触れさせる。そのまま上に口を動かす。
辿っていくと、ローションの人工的な味、そして先端に付着した自分の精液の味を感じる。
それはどちらもまずく、シ"ェリーはつい先刻の悪戯をほんの少し後悔する。
 数回同じように力を込めて舐め上げると、卜厶は堪えられなくなる。性器が絶頂の
前兆に震え、両足のつま先が丸まり、腰が持ち上がる。シ"ェリーは口を離し、
手のひらで性器を腹部に押し付けるようにして扱く。身体の中に収めた指が締め上げられる。
 卜厶が身体全体を跳ね上がらせて達する。乾きかけた友人の精液に彼自身が放ったもの
が重なり、2人分のもので腹から胸が汚れる。
 呆然とした卜厶が、自分でもわざとかどうかわからないままシ"ェリーを抱き寄せたので、
シ"ェリーの身体も汚れてしまう。
 2人とも荒い息を吐いて、見つめあって微笑みとキスを交わす。
 シ"ェリーが身を起こし、タオルとティッシュでお互いの身体を清める。ベッドに戻ると
卜厶を抱き寄せて、今度は単にその身体に腕を回して横たわる。

「何かを入れた状態でいって欲しかったんだ。
 明日は後ろからも入れさせてくれる?」その耳に囁くと、卜厶はかすかに身を震わせ、
笑い声を立てて頷く。
 まもなく2人は深い眠りに落ちる。ぴったりと身を寄り添わせて。
もう一方より明らかに乱れたベッドの上で。 <> モーテルにて(終)<>sage<>2006/01/04(水) 00:22:21 ID:7M8DwmsN<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ マタナガナガトハキダサセテ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) クレテホントウニアリガトウ
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

 視点不安定でスマソです。

 皆様とこのスレにとって良い年となりますように。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/04(水) 01:02:46 ID:tTO2Fjqa<> もうなったよ、325のおかけで。
年明けから萌えさせてもらいました。GJ! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/04(水) 02:13:40 ID:D+drTfkv<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  >>281姐さんに刺激されて書き掛け一気に仕上げちゃったよ
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  鎧×トカゲだってさ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ マダミンナゲンキナコロダッテヨ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  | <> 鎧×トカゲ1<>sage<>2006/01/04(水) 02:15:32 ID:D+drTfkv<> 印フェル視あの神々などと呼ばれてはいるが、裁きの石版が沈黙している
今は暇でしかないのだった。

 彩りも何も無い神々の谷にて。冥府/十神は思い思いの場所に陣取り、
思い思いの事をして悪戯に時を消費していた。

 畏怖リートは昼寝、ティ太ーンはしきりにヘアスタイルの具合を気に
している。ゴーゴンは枝毛でも探しているような仕草ではあったが、
実際は頭に飼い慣らす蛇どもの世話をしているらしい。それを横目にスフィン楠は
読書、トー度は壁への落書きに熱中し、細黒プスは愛用の銃の手入れに
余念がない。駄ゴンは何やら瞑想に耽り、そんなことは気にも留めていない
歪バーンは現在は二人に分裂しているクイーンバンパイアと他愛もないおしゃべりに興じていた。

「あ゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」
そんな思いがけずまったりした一時をぶち壊したのは、『印フェルしあの荒ぶる英雄』
奴隷区の絶叫だった。
「ンだよこの退屈さ加減はよォ! 暇すぎて身体が鈍るどころか石になっちまわァ!!
もう我慢できねェ人間界で暴れ倒してやる!」
「奴隷区、闇の戒律を忘れたのですか」
本日何度目かの奴隷区の繰言にも、スフィン楠はその度にわざわざ本を閉じて付き合う。
しかしその一本調子な諌めが血の気の多い奴隷区に通じるはずもなく、
その度に他の神であるいずれかが本格的に宥めにかかる、というのがここ最近の『奴隷区が騒ぎ出した時の対処法』だった。
 一度目は奴隷区の横顔にトー度がヘドロ色のシャボン玉を吹き付けて怒りの矛先を逸らした。
 二度目はゴーゴンがしなだれかかって奴隷区を宥めた。
 三度目はマイペースなティ太ーンが徐に五目並べ勝負を仕掛けて誤魔化した。
 四度目は奴隷区と同じく直情的な畏怖リートがマルデヨウナ世界に
奴隷区を誘い出し、やがて日が暮れた頃妙に爽やかな顔つきで帰って来た。 <> 鎧×トカゲ2<>sage<>2006/01/04(水) 02:18:17 ID:D+drTfkv<> さて、次は誰がこの暴れ者を諌めるか。

 互いに視線を交わし、牽制やら何やらを始める。しかし奴隷区はそれすら
待てないらしく、愛用の剣を持ち出し勝手に人間界への門を開いている。

「奴隷区! お待ちなさい、人間界に神罰を下せるのは裁きの石版――」
「ンマなんざどうでもいいんだよさっきからおんなじ事ばっかり言いやがって、
問題はこの俺様が暇で退屈で死にそうだって事なんだよ!!」
三賢/神の一柱かつ最も生真面目なスフィン楠が恫喝されてしまうのなら、
もう口で勝てるものなどいなかった。むしろこの闘争本能のかたまりに口喧嘩を
挑もうなどとは誰も思わない。


 ――いや。

「――待て、奴隷区」
重厚な響きを持った声が、ぼそりと奴隷区を引き止めた。
「……ンだよ、スレイプニル」
その場の全員の眼が、一段上がった場所に鎮座する二/極神の一柱・スレイプニルに注がれた。
 真っ黒な鎧に身を包んだスレイプニルは、ゆっくりと歩き出す。段を降り、
知らず道を開ける他の神々には見向きもせずに奴隷区の前に立ちはだかった。
「…………そんなに、暇か」
「……お、おう、暇だ。暇で暇で死にそうだ」
同じ二/極神の片割れの登場に多少たじろいだかに見えた奴隷区だったが、
すぐにいつも通りの粗野な口調で言い捨てた。
 スレイプニルはいつも通りの聞いているのかいないのか微妙な佇まいでそれを
聞いていたが、やがてゆっくりと頷いた。 <> 鎧×トカゲ3<>sage<>2006/01/04(水) 02:19:29 ID:D+drTfkv<> 「分かった。――暇を潰せば、いいわけだな?」
「ああ」
「そうか…………久方ぶりに、遊んでやろう。奴隷区」
「――何?」
「スレイプニル――」
「安心しろ、手合わせするだけだ。マルデヨウナ世界にも行かん。構わんな?」
断続的に被せるようなスレイプニルの言葉に、さしものスフィン楠も沈黙するしかなかった。



「え? えぇ? いいんですか、歪バーン様ぁ」
「歪バーン様ぁ〜」
ナイとメアが困ったように見上げてくるのを和んだような笑顔で見ていた
ワイバーンだったが、問い掛けには眉を少し上げるだけだ。
「いいんじゃない? 正直ね、僕もちょっと楽しみなんだよ。印フェルしあの
矛と盾……面白いカードじゃないかい?」



 神々の谷の外れに、スレイプニルと奴隷区は差し向かいで立っている。
 スレイプニルの手には槍、奴隷区の手には剣が握られている。どちらも愛用
のそれで、決して手合わせ用の贋物などではない。
「んもお、二人ともヒマ人だなあ。ボクにはさっぱりわかんないよお」
「そう言うなって。奴隷区がこれで少しは大人しくなるなら俺は賛成するね」
基本的に怠惰な神々は、魔法で岩壁に映し出したその風景を眺めているだけだ。
膨れっ面のトー度をティ太ーンが宥める側から、奴隷区が踏み込んだ。 <> 鎧×トカゲ4<>sage<>2006/01/04(水) 02:20:31 ID:D+drTfkv<> 「――――らああああァアっ」
奴隷区は盾を持たない。両手で握られた剣の一撃は、スレイプニルの篭手で
防がれ弾かれた。
 上げられた左脇の隙を突いて奴隷区が掟破りにも蹴りを繰り出す。重い蹴りの
ために軋む鎧の音にも表情を変えることなく、スレイプニルは正確に奴隷区の胸を突いた。
ガキッと金属の擦れ合う不快な音が響き渡り、奴隷区が軽く仰け反る。
竜神の鎧によりダメージはまるで無く、後ずさった足でしっかり身体を
支えているので倒れる事はない。再度奴隷区の斬撃がスレイプニルを襲う。

 ガチィッ

 斬る、と言うよりは横殴りの一撃がスレイプニルの顔面に炸裂した。剣の腹
によるものなので斬られはしていないが、衝撃は相当のものだったろう。
スレイプニルは低く呻いてたたらを踏み、素人目には大した事のないような
小さな小さな仕草で頭を軽く振った。

 万事が本能優先で行われる奴隷区の戦法はまるで型と言う物がない。
反対にそこそこに騎士としての礼節が整ったスレイプニルはその予測のつかない攻撃が見えない。

 ――と、観戦していた側にはそう見えた。
 
 スレイプニルの隙のない構えが崩されたのを見て好機と取ったか、声にならない
気合を一閃させ奴隷区が突っ込んでくる。スレイプニルは奴隷区を見ていない。 <> 鎧×トカゲ5<>sage<>2006/01/04(水) 02:21:26 ID:D+drTfkv<>  が。

剣を真正面に構え突き進んでいった奴隷区の視界から、スレイプニルが消えた。
「――――――な!?」
疑問を発する余地も無く、奴隷区の身体は地面に倒れ臥していた。
 その背はスレイプニルの槍が容赦なく押さえ込んでいる。奴隷区が竜神の鎧
を着ていなければ怪我は免れないような強さで持って押さえているはずなのだが、
当のスレイプニルはその脇で涼しい顔で槍を持っているだけのように見えた。



「どーいう事よ」
ゴー権が不満たらたら、と言った表情で呟いた。
「―――――避けたな」
それに答える形で最黒プスが呟いた。
駄権はまるで表情を変えることなく映像を眺めている。まるで最初からこうなる
事が分かっているかのようだった。


 実際、スレイプニルはダメージなど受けていなかったのである。
 あの型破りな剣による殴打を予測していたかどうかまでは分からないが、とにかくわざと態勢を崩し、奴隷区を誘い出したのだ。

 日頃骨のある相手に当たらないと愚痴を零すだけあって、奴隷区の戦闘能力
は高い。だが、それ故に油断が出た。鉄壁であるはずの鎧と、自身の力を逆手に
取られて奴隷区は地に倒れ臥したのだ。 <> 鎧×トカゲ6<>sage<>2006/01/04(水) 02:22:19 ID:D+drTfkv<> 「ケッ、相変わらずお行儀のいい戦いだこって」
「……暇は潰れたか」
「まあな」
顔の半分を地面につけたまま、奴隷区は言い捨てた。だが、その声音に
先ほどの刺々しさは無い。


 負けはしたが、楽しかったのだ。

 奴隷区とスレイプニルは、矛と盾との称に違わず正反対で。
 正反対な相手と手合わせするというのは、どちらにも楽しめる遊びのような
ものだったが、如何せん二/極神という立場ゆえ積極的にやりあうわけにも
行かず、それが奴隷区のイライラの根源でもあった。
 そして、久し振りの手合わせは奴隷区の意識の奥にあったもやもやを霧散させていた。


「――で、そろそろオレ帰りてェんだけど」
「……ほう」
奴隷区の遠回しな『槍をどけろ』という言葉にも、スレイプニルは生返事を
返すのみだった。
「だから、早くどかせよ」
「随分とムシのいい話だな――オレはまるで暇を潰せていない」
あっさりと直球に切り替えた奴隷区に対し、スレイプニルはそう言い放った。何を! とすぐさまいきり立つ奴隷区を無視し、スレイプニルはその横に片膝を突いた。

 そして盾を放り捨て、空いた手で奴隷区の頭を掴む。槍も手放されたが、奴隷区は動けない。
「な、スレイプ――――ヒッ」
奴隷区の言葉は途中で中断された。 <> 鎧×トカゲ7<>sage<>2006/01/04(水) 02:23:38 ID:D+drTfkv<>  スレイプニルの口が、奴隷区のうなじに寄せられたからだ。
 ちゅ、と微かな水音を立てて、スレイプニルの舌が下から上へと奴隷区の
鱗を這った。

 唯一鎧に守られていない弱点を攻められ奴隷区はもがいた。
「ア――、うぁ……やめ、ろ! ンなとこ……舐めんじゃねェよ――――!!」
奴隷区の声にも耳を傾けることなく、スレイプニルは高級な氷菓でも味わうような
ねちっこい舌使いで奴隷区を攻め立てる。ひとしきり楽しんだ後、やがて
ぢゅっと一吸いしてからようやく顔を上げた。

「――――今度は、俺が“暇潰し”させて貰う」
「何だと!? わっ……やめろ、やめろよォ―――――っふ」

ついに懇願の混じり始めた声と共に、奴隷区が自由な首から下をくねらせる。
頭が抑えられているせいでうまく立ち上がれず、更にスレイプニルの巧みな舌技に
よって力も入らないようだった。

 スレイプニルの舌は休まない。全体を使ってうなじをべっとりと舐め上げ、
舌先でもって擽るように鱗の端を突く。びくっびくっと跳ね上がる奴隷区の
身体を楽しむように、右手は奴隷区の背中から腰にかけてをゆったりと撫で回す。
肌にくちづけ、顔全体を動かし唇の柔い肉で焦らすように愛撫すると、奴隷区は
もどかしげな嬌声を上げた。鱗の縁を伝うように舌先が這い回り、奴隷区を悶えさせた。

「んぁ――――あ、クソ、そこ、嫌だ…………はぁっ――んう……」

奴隷区の声が、神々の谷に延々と響いていく。 <> 鎧×トカゲ8<>sage<>2006/01/04(水) 02:25:35 ID:D+drTfkv<> 「ティ太ーンー、ちょっと何も見えないんだけどお」
「いーから。お前は菓子でも食ってろ」
ティ太ーンがトー度の眼を片手で塞ぎ、空いた手でせっせとその口に
菓子を突っ込んでいる。
 ゴー権はキリキリと歯軋りしながら髪の蛇を引っ掴み、哀れな蛇が悲鳴を上げる。
 スフィン楠は読書に戻り、畏怖リートは欠伸を一つして苛立たしげに炎を一つ吐いた。
 最黒プスはほんの数瞬臨界点を突破したような雄叫びを上げたが、
やがて自主的に我を取り戻した。
 それから徐に親指で顎を撫で、愛銃をゆっくりと二/極神が乳繰り合って
いる方角へと向けた。

「あっはっは、ダメだよ最黒プス。神々同士でやり合っちゃあンマ、
復活しないかもしれないだろ?」

歪バーンがにこやかに最黒プスを諌めた。その笑顔に底冷えするものを感じてか、
ナイとメアがひーん、と悲鳴を上げてひしと抱き合う。
「ああ、そんなにびっくりしなくてもいいからね。スレイプニルってあんな風だけど、
たまーにネジが飛ぶんだよねえ――――――ったく、ふざけてんじゃねェよあのバカ二極/神が」
ついに歪バーンが張り付いたような笑顔を取り払った後ろで、駄権は無言で彼らを見つめていた。

「…………おのれ、ブレイ/ジェル」
まるで言いがかりはあるが、とにかく恨みのたっぷり篭った呟きが、神々の谷に消えていった。 <> 鎧×トカゲ<>sage<>2006/01/04(水) 02:27:29 ID:D+drTfkv<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ケッキョクノトコロホノボノモエナノサ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

捏造だったり戦闘下手だったりして申し訳ナサス。オチは>>281神に影響をうっすら受けました。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/04(水) 03:03:50 ID:MHXoCiwn<> >>338姐さん

二/極/神萌えましたーー!!
奴隷苦は受派なのでハァハァしました!
絶命した神もいて嬉しいです。 <> TOAネタバレ注意?<>sage<>2006/01/04(水) 03:08:35 ID:gFTr8x1o<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )初めまして。TOAのヴァン×ルーク吐き出させてください。
              未クリアのため、終盤との矛盾があったら、ごめんなさい。


ヴァンとルークの正体を知らない方は、ネタバレが匂うので、ご注意です。

<> TOAネタバレ注意?<>sage<>2006/01/04(水) 03:10:29 ID:gFTr8x1o<> 窓枠から見える空は果てしないのに、そこへ飛び込むことができない。
中途半端な広さの屋敷をグルグルと回るだけの毎日は、鬱屈を溜め込むばかりだ。
薄いカーテンから午後の強い日差しが降り注ぎ、ルークは昼寝が過ぎたことを知った。
外へ出たいという我侭だけは、今日も例外でなく許されなかった。
朝食を食べ、することが無くなったルークは、部屋に閉じこもり、ふて寝していたのである。
起きたところで、面白いことなんて何も無い。
いや、一つだけ、いいことがある。
「……へへっ。おはようございます、師匠。」
ルークの部屋には、剣術の師であるヴァンの肖像画が掛けられている。
籠の鳥同然の毎日が始まる目覚めは憂鬱だが、ベッドから降り一番、それに向かって挨拶をするのは好きだった。
両親にねだって、王家付きの画家に描かせた絵は、今にも挨拶を返しそうな程にヴァンの姿を写し取っている。
ルークは見飽きることもなく、はにかんだ顔で額縁の中のヴァンを見ていたが、やがて、絵は動き出さないのだと気付いたように、溜息を吐いた。
「あーあ、会いたいなぁ。次はいつ来てくれるんだろう、師匠。」
ヴァンは現在、王家の命で他国へ赴いている。それについて母からは、直属部下の六神将を数名率いての大事だと聞かされた。
「ちぇっ、国の仕事なんて、どーでもいいのに。いつもオレの家にいてくれたらいいのに……。」
無意識に指が肖像画へ伸びて、表面から一ミリの距離でヴァンの姿を辿る。
こうしてヴァンの訪れだけを楽しみに待ち侘びている時、ルークは自分が唯その為に生きているような気がした。
低く心地よい響きが一声、「ルーク」と己の名を呼ぶ時、生きることを認められた気持ちになれる。
会いたい。触れたい。声が聞きたい。
精神的に幼いルークは、その渇望の呼び名を知らなかった。誰かの為に生きているのだという想いの名も。 <> TOAネタバレ注意?<>sage<>2006/01/04(水) 03:11:03 ID:gFTr8x1o<> コツコツと二回、軽くドアがノックされて、ルークはようやくヴァンの肖像画から視線を離した。
「何だよ。」
返事をすると、内気な表情のメイドがそっとドアを開け、遠慮がちに用件を伝えた。
「失礼します、ルーク様。あの……、お客様がお見えになったので、お伝えに来ました。」
「客だぁ?面倒くせーな。」
かったるそうに頭を掻いたルークに、メイドはおずおずと言葉を添える。
「あの……、ヴァン・グランツ様が……。」
メイドが言い終わるまで、ルークは部屋にいなかった。
ドアを勢い良く開け、メイドの横をすり抜けて飛び出し、弾頭のように廊下を駆けていく。
「師匠!師匠が帰って来た!!」
途中、行き会ったガイが何か声をかけたようだが、ルークの耳には届かない。
ガイも走るルークの弾んだ声を聞き、呼び止めるのを諦めたらしい。
「師匠!!」
応接間のドアをノックもせずに開けると、焦がれたヴァンの姿が、朝夕眺める肖像画よりも堂々たる風貌で、確かに立っている。
ヴァンと話の途中だった父母も応接間にいたが、ルークの視界には全く入らなかった。
視線は一点集中法で、振り向いたヴァンへと注がれている。
「お……、お帰りなさい、師匠!」
弾む声でどうにかそれだけ言うと、ヴァンは口髭の中の唇をフッと緩め、落ち着きのある微笑を見せた。
「――ルーク。」
呼ぶ声が、ルークの全身に伝わり、響く。鼓動が震える。
屋敷から出ることも叶わず、物だけを与えられる生活の中で、この瞬間だけが、涙の滲むような感動をルークに与える。
ルークは、人形に等しかった自分の身体に熱が生まれるのを感じ、生き生きとした瞳で笑った。
「師匠!話を聞かせてください!それから、稽古も!あと、オレ……っ。」 <> TOAネタバレ注意?<>sage<>2006/01/04(水) 03:12:05 ID:gFTr8x1o<> 久しぶりに会えた喜びを隠そうともしないルークを、ヴァンの言葉が静かに制止する。
「ルーク。今は公爵と話をさせて頂いている。少し待っていてくれるか。」
「あっ、はい。待ってます!」
普段は聞けないルークの素直な返事を聞いて、公爵夫妻は顔を見合わせた。
「……私たちの話は、今夜にでも。」
「ええ、今日は泊まっていって。
任務を果たした労いも込めて、もてなしましょう、ヴァン。」
ヴァンが公爵夫妻に礼儀正しい返事を伝えるよりも早く、ルークが飛び上がって、間に割って入る。
「やったぁ!師匠、ゆっくりしていってよ!ずっと公爵家にいてくれたっていいのに!」
先程、待っていると言ったことを、もう忘れたかのような様子のルークに、今度はヴァンも制止はせず、苦笑するに留まった。
「……務めがあるのでな。しかし、今日は公爵のお言葉を有り難く受けよう。」
それとなく、本当に何気なく、ヴァンの大きな手がルークの肩に触れた。
逞しい僅かな温かさが、ルークは堪らなく嬉しくて、嬉しいのに泣きたくなる。
久しぶりに会ったせいかも知れない。
「少し、背が伸びたな。――ルーク。」
低く響く声、力強い手、優しい眼差し、それらが生きる意味だった。
レプリカドールだった「ルーク」の、レプリカとしての意味だった。

【 追記 】
後に、全ての戦いが終わっても、ルークが懐かしい思い出を否定することはなかった。
レプリカである自分が確かに息づくように、あの日々もまた、確かに息づく真実だったと、願ったのかも知れない。
そして、おそらく、旅を経て成長したルークは、ヴァンへの想いの名を知ったのだろう。
――人として、何より確かな感情の名を。 <> TOAネタバレ注意?<>sage<>2006/01/04(水) 03:12:47 ID:gFTr8x1o<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )思い付き + 蛇足失礼。お付き合い、ありがとうございました。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/04(水) 12:33:16 ID:La9J4NFJ<> >>325-336 禿萌え!GJ! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/04(水) 20:07:51 ID:x3ePbNon<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

ア力キ゛の悪鬼と聞きわけのないじじぃ。
原作未読。アヌメ6〜10話視聴。
想像補完のため捏造ばかりですまない。だが、私は謝らない。 <> 1/8<>sage<>2006/01/04(水) 20:09:50 ID:x3ePbNon<> 金は、ある程度纏まったときには大した力を持つ。
強引に毟り取った厭わしい金でも、金は金。煩わしいことは何一つこの身に負うこともなく、尋ね人の居所さえも知ることが出来た。
強力な磁石のように俺をひきつける、盲目の代打ち。ずっと忘れられなかった。
だから、ささやかだけれども重要な情報が記された紙切れが、俺には何にも代え難い宝物のように思えた。もとより、俺に大切なものなんて殆どありもしないから、強くそう感じた。
紙切れをズボンのポケットにしまい込み、珍しく緊張して俺は出掛けた。
週末では家を空けていることも考え、平日の昼を選んで訪ねたというのに、壱河サンの家はあいにく留守のようだ。
質素な平屋。控えめだけれども、きっちり計算されつくられた庭付き。玄関扉の鍵は閉められているし、家人も居るのか居ないのか判明しないほど静かな様子で、戸惑う。
そこらに無造作に配置されていた拳大の石を拾い、玄関扉を破壊するために振り下ろそうかとも思ったが、俺は考え直した。
ひゅうと耳元で風が鳴くような季節、どこかの出先から帰宅して想定外の惨状ときては老体には厳しいものがあるだろう。石を足元に置き直して、表の通りに出た。
暫く近隣を動き回ってみたが、何をしても落ち着かないので、そのまま目的もなく散策する。
往路では周囲を見回す裕りがなかったが、駅や商店は遠くないうえに、路面も平坦で幅がある。じじぃみたいに目が不自由でも、不便ではなさそうだった。
穏やかで落ち着ける土地。
じじぃには似つかわしくない甘ったるい環境だけれど、俺が知っている姿は一面に過ぎない。勝負と離れている時のじじぃは、ここで自然に息をして、日々を過ごすのだろう…。 <> 2/8<>sage<>2006/01/04(水) 20:11:58 ID:x3ePbNon<> 漫然と考えていただけなのに、なぜか俺の気分は悪くなった。
植え込みのかげで、膝をつく。
無駄に歩いても、消耗するだけ。いっそのこと、駅前で待ち伏せしたほうが確実な気がする。
根拠はないけれども、そこでなら必ずじじぃに会える予感がする。それに、今日まで長く待ったのだから、それと比べるほどもないわずかな時間を待てないと思いたくなかった。
俺は立ち上がり、数区画先の駅を目指して歩き始めた。余計なことは考えないよう、黙々と歩くことに専念した。
改札の見える場所を陣取り、到着する列車を2回ほど見送った頃に、待ち望んでいたじじぃの姿が現れた。
俺は棒のように突っ立ったまま、おおよそひと月ぶりに目にするその姿を見守った。
一番に目に入ったのは、濃い色の入ったサングラスに微かに透ける瞳。どこも無事で五体満足、変わりないようだけれども、何かが違う。それがなんなのかは分からないが、考えるのは後にした。時間が惜しい。
ぼうっとしている俺の前を、じじぃが素通りしてゆく。俯いて、何の関わりもない人の流れにのったまま、ゆっくりと俺から離れてゆく。白い杖が道路を軽く叩く音も、次第に遠のく。
見えないのだから仕方ない。俺に気が付かないのも当たり前。けれども、俺は訳もなく不愉快な気分になった。
普通の人に紛れてしまうようでは嫌だ。あんたは特別なんだ。俺の目も耳も、全て一瞬で奪う。
尊大で誰より強くあってくれないと、許せない。
足が勝手に駆けだしていた。
陰から見るだけで耐えられるはずもない。
俺は何度か人にぶつかったが、一切を無視して、手を伸ばす。
「下向いてるのは似合わないよ」
声を掛け、背後からその細い腕を掴むと逃れられぬよう力をこめ、無理にこちらを向かせた。 <> 3/8<>sage<>2006/01/04(水) 20:13:52 ID:x3ePbNon<> じじぃの体が一瞬ふらついたと思ったら、次には凍り付いたように硬直する。
かつん。と、音を立て杖が地に落ちた。
その控えめな音に僅かに視線を寄越す者もいたが、俺の姿を認めると足早に離れていった。
もっと沢山年取っていれば、どうとも思われないのだろうけれど、俺の髪は雪のような色をしているから恐ろしいほど目立つ。普通の人には、それも気味が悪いそうだ。
俺に関わりたくないと言うのなら、それはかえって好都合。今更そんな態度に、感情も動かない。
俺は目の前の人以外に、興味はない。
「壱河サン」
名を呼ぶ。
「!?
 誰だ…」
じじぃの誰何の声に、心なしか怯えの色が混じっている。
それを耳にして、俺は泣きたくなった。
縋るものさえ無く、ひとりきり何もない場所に放り出されたように、不安を感じた。
胸が詰まる。
視線をあわせたくなくて、俺は咄嗟に顔を背けた。意味のない行動だと知っていても、そうしないではいられなかった。
「声だけじゃ分からないか?」
溜め息のようにしか言葉が出ない。
ついさっき急に、今まで考えもしなかったような推論に思い至ってしまったからだ。 <> 4/8<>sage<>2006/01/04(水) 20:15:54 ID:x3ePbNon<> もし…、もしも…だ。
もしも、じじぃが俺のことなど覚えていなかったら…。忘れられていたならまだしも、悪印象の余り記憶からまるまる排除されていたとしたら、俺のしてきたこと全て馬鹿みたいじゃないか。
滑稽にも独りで盛り上がって、考えなしに動き出してしまった。
「誰でも構わないが、早く手を離せ」
懇願でもなく命令に近い言葉。従ってしまえば逃げられる。と、反射的にそんな考えが浮かんだ。
ようやく捕まえたのに…。
何故、俺のことをどうでもいいように認識するのだろう。
なにも酷いことしていないのに、俺から離れようとするのだろう。
次々わき起こる疑問と恐れに突き動かされて、俺はじじぃを脇道に連れ込んだ。既に人の流れも疎らになっていたから、俺の不審な挙動を見咎める者もいなかった。
「わしをどこへ連れて行く気だ。
 やめろ」
声量を押さえた低い声で、鋭く拒絶される。
つらい。
劇的な再会を期待していなかったとは言わない。むしろ期待していたのだろう。
所在が知れるまでの間、もやもやとして過ごした。もう一度会えば、このもやもやの理由も分かると思った。
だけど、じじぃの声を聞く度に俺は胸が痛くて苦しくてたまらなくなる。
会わない方が良かったのか、と後悔し始めている。 <> 5/8<>sage<>2006/01/04(水) 20:18:30 ID:x3ePbNon<> 服を隔てて感じるじじぃの痩せた腕の感触に目眩を感じながらも、俺は歩み続けた。
「オレだけが悪い様に言うなよ。
 あんたが、オレにこうさせているのに…」
ぶつぶつと小さく呟く。
世界がまわる。どこもかしこも、暗く不安定に感じる。
「呆けたまま進むな。
 前を見ろ」
じじぃの声に意識を引き戻され、前方に注意を戻すと視界が木目でいっぱいになった。
脇道は袋小路だったらしい。
見えないのによくわかったな、とすこし感心する。
「邪魔が入らないなら、…ここでもいいや」
行き止まりの木板の塀にじじぃを押し付けて、俺はようやく歩みを止める。
腕を開放すると、じじぃは直ぐにそこを庇うような仕草をした。そういえば、俺がずっと掴み回していたのは、利き腕側だったな。
大事な体だから、痛めていなければいいが…。
そうだ、あの勝負のせいで、惨いことをされてはいないだろうか確かめないと…。
相も変わらず無防備に開いた胸元に手を伸ばすと、気配を読みでもしたのか器用な手が迷い無くそれを制す。 <> 6/8 <>sage<>2006/01/04(水) 20:19:54 ID:x3ePbNon<> あの夜触れた、あたたかな手。同じ熱と感触に、一瞬で俺の手は押し戻される。
瞬きにも満たないほどの接触なのに、じじぃの手は真っ暗な俺の内にあったかいものを注いだ。
痛みと息苦しさが去って、ざわり、と俺の胸が騒いだ。
こんな状況にあるというのに、俺はもっと沢山触れたい、と望んでしまう。
「なんのつもりだ、これは?」
何の思惑もない。触れたいと思った。それだけ。
問われても答えようがない。
「…わからない。
 ただ、気になったから、触りたくて」
ひどく混乱していて意味不明な返答だったけれども、俺なりに精一杯返す。
じじぃが俺のことこれっぽっちも覚えていなくても、変わらない。
会いたかったし、心配になったし、触れたかったし、全て見失うくらい欲しくなった。
ひかれるのだ。どうしようもなく。
「ああ、そうか…。そうだったのか…。
 オレは、あんたを求めて来たみたいだ」
じじぃの白く長い髪のひとふさを掴み、それを指でゆるく梳いてゆく。
直ぐさま叩き落とされて、俺の行動は阻まれた。
「小僧…止せ。
 年寄りをからかうのも大概にしろ」 <> 7/8<>sage<>2006/01/04(水) 20:21:58 ID:x3ePbNon<> まただよ。本当に勘が良い。
盲目なんて嘘じゃないかと疑いたくなる。
それにさ…やっぱり、俺のこと覚えてるじゃないか。
あんたこそ何のつもりなんだ?知らんふりしていれば、俺がすんなり身を引くとでも考えてたのかよ?
「なんだよ、オレのこと分かってるじゃないか。
 ねぇ、オレの名前呼んでよ。壱河サン…」
ほんの一握りの特別な人にしか呼ばせない。だから、滅多には呼んでもらうことがない俺の名前。
ここで、今、聞きたい。
じじぃの声で、俺をあったかくして欲しい。
いつの間にか俺は渇望で一杯になってしまった。
「…し…っ…知るものか。
 貴様のように恐ろしい餓鬼のことなど」
じじぃは、俺を難なく操る。ひとことふたことで、狂喜させるよりも簡単に俺を絶望させる。
暴君だ。
「そこを退け。
 二度とくだらない理由でわしを振り回すな」
捨て台詞のように吐き出して、じじぃは俺を押しのけた。抵抗もしてみたが、驚いたことに俺の腕力ではじじぃを留めておくことは出来なかった。
不意打ちがなければ、まだ敵わないということか…。 <> 8/8<>sage<>2006/01/04(水) 20:24:15 ID:x3ePbNon<> 「壱河サン…」
じじぃが塀に片手を添えながら、道を辿る。未練がましくその背に声を掛けようとも、こちらにはお構いなく去ってゆく。
だからといって、諦めない。
じじぃは、気持ちいい。声も匂いも、思い通りにさせてくれない強情さも気持ちいい。
全部欲しい。残さず俺のものにしたい。
「ククク…。
 残念だけど…、オレあんたの居所もう知ってるよ…」
口角がゆるやかに吊り上がり、俺は久しぶりに声を出して笑った。
こうなったら実力行使しかないよなぁ…。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/04(水) 20:25:45 ID:x3ePbNon<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

年末年始の散財でコミック買う余裕なし。デーヴィデーボックス…はやく…届け。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/04(水) 22:59:46 ID:yuZApMxr<> >>338
奴隷区受け萌ぇぇぇぇぇぇぇー!
ムッツリ野郎のスレイプ煮るにも萌え。
面白がってるYバーンもブチキレ寸前の最黒プスも
ある意味ブレ意ジェル一筋の打ゴンもみんなみんな愛しいよ! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/04(水) 23:58:55 ID:9oX8ERN1<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )絢/爛舞/踏祭(ゲーム版)の主×艦橋で良く倒れる人。
              ビデオ棚9の146-149の続きになります。
              終わってないけど取りあえず前編投入。
<> 本日も舞踏中その1<>sage<>2006/01/05(木) 00:01:08 ID:9oX8ERN1<>  『周囲に敵艦及び敵R/Bの反応無し。戦闘は終了しました』
 艦を統括しているAIの平板な音声が激戦を終えた事を告げる。
 「やれやれ…今日も一日ご苦労さま、と…」
 水中での高速戦闘による緊張から解き放たれたKはそう呟くと、己が乗るR/Bを制御
している球形ロボット=ボールに艦への帰還ルートを指示し、自分がもたれていたシート
に体重全てを預けて目を閉じた。
 地表の大半を水に覆われた火星において、高速かつ小回りの利く人型兵器=通称R/B
は戦闘の要だ。
 数々の艦が大量のR/Bを投入し数と機動力で圧倒するのに対し、Kが乗り込んでいる
『夜明/けの船』はR/Bが僅か4機。
 『夜明/けの船』自体がかなり強力な兵器を積んでいるとは言え、通常であれば苦戦せ
ざるを得ない戦闘において対等、あるいはそれ以上に渡り合えているのは、館長を始めと
した各人員の実力もさる事ながら、艦内において数少ないR/B乗りであるKが飛び抜け
た活躍をしているからでもあった。
 彼一人で叩き出した撃墜数は既に300機以上。
 高速戦闘を行う為に卓越した空間認識感覚を必要とされるR/B乗りの中でもこの戦歴
は異常な数値を示しているのだが、その本人はと言うと。
 「……このまま寝ちゃ駄目かなぁ」
 かなり緩んでいた。
 「あ、そうだ。もしもーし、飛行/長、ひこーちょー」
 『何だ』
 操縦系統をボールに任せたままKがコクピット内の通信機で艦へと呼び掛けると、機械
を通した男の声がすぐに届く。 <> 本日も舞踏中その2<>sage<>2006/01/05(木) 00:01:53 ID:9oX8ERN1<>  『昔からの友』であり、戦友である男だ。
 Kはだらしなくシートに身体を預けたまま、その男=Yに向けて話し出した。
 「今回も無事に戦闘終了。と言う事で、一緒に夕飯を食べるのはどうよ」
 『俺は仕事が残っている』
 「堅い事言うなよ、飛行/長殿。少しは休憩しないと、またそこで倒れるぞー?」
 『大きなお世話だ』
 「ったく、相変わらずだなぁ」
 食事の誘いをあっさりと断られたKは気を落とすでも無く呟いて、次の一手を考えよう
とした。
 その時である。
 今迄艦に帰還する為の制動を行っていたボールが不意に馴染みの有る電子音を小さく鳴
らし、コクピット前面に映し出されていたレーダー画面の端に新しいデータを映し出した
のだ。
 何のデータを。とKが身を乗り出してそれを凝視する。
 「……っ!!」
 途端、彼は盛大に吹き出した。
 『どうした』
 「あ、いや……何でも無い」
 『かなり怪しいぞ、その間は。一体何が有った』
 「人の追及は躱す癖に、俺に対しては厳しいよな、Y…」
 幸い、こちらのモニター状況はデータを送信しない限りは艦側には反映されない。
 Kは突然とんでも無いデータを表示したボールの頂点に当たる部分を右手でぺちぺちと
叩き、Yに聞こえぬ様に嘆息する。
 それは懐かしいとも言える物だった。
 以前、頑張る自分にご褒美を。例えばプライスレスな思い出を頂戴。等と言うかなり馬
鹿げた提案の結果、食堂でYに口付けた。
 その時に撮影されていたらしい画像データが映し出されていたのである。
 おそらく、食べ終えた後の食器を回収しに来ていたボールが犯人だろうが、まさかそれ
が回り回って自分のR/Bにまで到達しているとは予想もしなかった。
 まぁ、結構長い時間口付けを交わしていたのだな。とKは何処か呑気に思いながらも、
さてこの窮地をどう脱しようかとも考える。
 しかし、この場合、抜け出すのは難しそうではあった。 <> 本日も舞踏中その3<>sage<>2006/01/05(木) 00:03:16 ID:9oX8ERN1<>  「大した事じゃあないから。本当に」
 『K、お前が俺に隠し事をするとはな…』
 「…何だ、その古女房みたいな発言は」
 『それもある意味間違いじゃあないな。だから、素直に言え』
 音声のみの会話だが、相手が微かに笑っている様な、そんな声色である事は分かる。
 きっとデータを実際に見れば怒るに違いないのだが、Kはいつもは気難しい男が自分の
発言を認めたのに言い様の無い、一番近い物を上げるとすれば喜び。を感じていた。
 Yが考えている全てをKは知らないし、知ろうとも思わない。
 自分はYに踊らされているのかもしれない。そう考えた事も有るが、それがどうしたと
すぐに己で考え直し、Yに踊らされていていようが何を求められようが、Yがこの世界に
自分を呼んだ以上、答えるのが友と言うモノだろう。そう結論付けた。
 だからこそ、裏が有る無しに関わらずYに言われるのは、正直に嬉しいと思う。
 Kは自分の口元が自然と緩むのを感じながら、再び口を開いた。
 「仕方無いなぁ……じゃあ、帰還したらデッキに来てくれ。素直に話すとするよ」
 『了解した。では、一度通信を切るぞ』
 「こちらも了解」
 ぷつりと微かな通信途絶の音と共に、コクピット内に静寂が訪れる。
 「さてと……殴られでもしたら、お前のせいだからな?」
 『キュ…ピビビ?』
 やれやれと二度シートに身体を預けたKは、自分がした事の重大さを全く気付いていな
いらしいボールにそう言うと、返って来た電子音に苦笑してから目を閉じた。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/05(木) 00:05:12 ID:c3c7hY4x<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )ヒトマズココマデ。
              次はもうちょっと早く続きカクヨー!! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/05(木) 05:56:02 ID:gkTCBI0H<> >364

元ネタ知らないが萌えた。じじぃイイヨじじぃ。文章も好み(*´Д`) <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/05(木) 12:48:30 ID:MtAO1A0D<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  輝きスレの姐さんたちに触発されたよ
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  兄×弟だって
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ キブンテキニハオトウトソウウケダ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  | <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/05(木) 12:49:37 ID:MtAO1A0D<> この物置は一体何年越しなんだ。
空けた瞬間咄嗟に閉めたくなる凄まじい様相を見上げながらそう思った。
何が入っているかさっぱり見当もつかない箱が無数に積み上げられ隙間にはわけのわからん小物がぎっしりと詰まっている。
「どうしろってんだよ俺に……」
ため息をつきながらマスクをかけた。

箱の中は主に「今まで何故捨てなかったのか疑問に思わずにはいられないもの」ばかり。
物置の中身全部引っ張り出して火をつけたら一瞬で片付くんじゃないのか?
そんな物騒なことを考えながら次々とはこの中を検めてはゴミ袋に放り込む。
いくつ箱を開けたかもう憶えていない。
うんざりしながら新たに箱を引っ張り出すとバランスを失った箱がいくつかドサドサと落ちてきた。
「あー!もうやってらんねー!」
落ちてきた箱をまとめてゴミ袋に放り込もうとしたときだった。
箱からぬいぐるみの頭がのぞいているのが見えた。

「なんだこりゃ?」
そう思いながら出してみると古びたクマのぬいぐるみだった。
これには見覚えがる。
いつ頃までか、兄貴が片時も手放さなかったクマのぬいぐるみ。
俺が物心ついたときには既にあった。確か親父がパチンコでとってきたんだとか聞いたことがあったっけ。
詰め物が抜けてスカスカになって片目も取れているがそんなにボロボロじゃない。
箱をゴミ袋に叩き込むとクマだけ持って物置を閉めた。

「俺もうバイト行くからな!あん中全部捨てろよ!そしたら解決だろ!」
母親に毒づき半分でそう言うと自転車にまたがった。かごにはクマのぬいぐるみ。
向かう先は自転車で15分ほどの、アンティークショップとは名ばかりの古道具屋。
俺のバイト先だ。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/05(木) 12:51:18 ID:MtAO1A0D<> 「ちーす」
クマのぬいぐるみ片手に入ると店長とセンパイが「なんだそりゃ」と口々に言いながら近寄ってくる。
「うちの物置で見つけたんで直してやりたいんだけどいいすか?」
店長がクマを受け取り、ぐいぐいと身体を押している。
「んー、素材入れにあるね、似たタイプの詰め物」
言いながらスプレーを吹きかけて布でゴリゴリと拭いている。
「素材入れと裁縫箱持ってきて。うーん、でも目が取れちゃってるなあ」
呑気にそんなことを言っているところを見ると仕事する気はまったくないらしい。
まあ尤も、年の瀬にこんな店にくる酔狂な奴もいないだろうが。

埃を落とされたクマはちょっとだけみすぼらしさがマシになった気がする。
破れ目から詰め物を詰めてやって綻びを繕うと随分しゃっきりした。
「目、どうしようね」
「アイパッチ作って海賊にしようよ」
さっきから店の古本を読むばかりだったセンパイが口を挟んだ。店長が笑い転げている。
「それいいね!革あるから素材入れ探してみて」
3人とも仕事そっちのけでクマに夢中だ。たぶん店長は一人で店番するのが暇だから俺らを呼んだんだろう。
だとしたら時給分の仕事は充分に果たしたぞ、俺。

ああでもないこうでもないと言いながらアイパッチをつけてやるとクマ海賊は随分可愛くなった。
「おお、可愛い可愛い。立派な海賊だ」
センパイがぱちぱちと手を叩いている。店長も随分満足げだ。
「ははは、クマのお世話で1日終わっちゃったねえ。もう閉店時間だよ」
「あ、そんじゃそろそろ帰ります。店長良いお年を。あと詰めもんとかありがとうございました」
「店長良いお年をー。んじゃまた来年!」 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/05(木) 12:52:06 ID:MtAO1A0D<> センパイと連れ立って店を出る。
止めていた自転車にまたがるといつものようにセンパイが後ろに乗っかってきた。
「高橋さーん、重いんすからいい加減自分のチャリ買って下さいよー」
「いいじゃんいいじゃん、高々5分ぐらいだろ?」
センパイはいつもと同じ台詞を返して自転車から降りようとしない。
「お年玉貰ったら買って下さいよ、チャリ」
「そんな切羽詰ってチャリほしくねーもん。お前いるし」
「重いんですってば!」

少し遠回りになる道を通って先輩を下ろし、チャリを飛ばした。
兄貴は仕事納めと忘年会だとかでまだ帰っていない。
きれいになったクマをベッドに入れておいてやった。

翌朝、隣の部屋からの声で目が覚めた。
「くまくま!くまくまじゃないか!しばらく見ないうちになんだかかっこよくなったねえ。お兄ちゃん会社の大掃除だから行ってくるねー」
やたら浮かれた兄貴の声。ああそうかよ、そんなくまくま戻ってきて嬉しいかよ。
て言うかよく名前なんて覚えてたな。
兄貴が出かけてしまってから部屋にこっそり入るとマウスクッションの上に座っている。
随分えらそうだ。ハンカチかなんかでマントまでつけられている。
どんだけくまくま好きなんだよお前。

年が明けても兄貴はくまくま三昧だ。
くまくま直してやったのは俺だぞ。感謝のひとつでもしてみろ。

そんなことを考えていたら「隆、ちょっとおいで」と兄貴が嬉しそうに手招きした。
呼ばれるまま言ってみるとくまくまがうり坊にまたがっている。
どこから沸いてきたこのうり坊。
「可愛いだろ?可愛いだろ?」
「……はいはい、可愛い可愛い」
「可愛いなあくまくま。世界一だよ」
へらへらと笑いながら携帯で写真なんか取っている。年を考えろ。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/05(木) 12:52:43 ID:MtAO1A0D<> あからさまに不機嫌になった俺の気配を察知したのか、兄貴が顔を覗き込んできた。
「あれ?隆はくまくま可愛くないの?」
「可愛くねえよ」
「どうして?くまくま直してくれたのお前だろ?」
「別に可愛いから直したわけじゃねえよ。たまたま見つけたからなんとなくだよ!」

さっさと部屋を出て行こうとしたら後ろから抱きつかれた。
「もしかして俺がくまくまばっか構ってたから怒ってる?」
「ンなわけねえだろ!離せよバカ兄貴!」
「可愛いなあ隆は。くまくまより可愛いよ」
怒鳴ってやろうと後ろを振り向いたらいきなり唇を塞がれた。
「くまくまは確かに可愛いけどさ、お前が直してくれたから可愛いんだよ」
「……バカヤロ」
顔が熱くなるのがわかった。
結局兄貴に振り回されっぱなしだ。だから嫌なんだ。

赤くなった顔を見られたくなくて顔を逸らした。
視界に入ったくまくまがなんだか笑っているような気がした。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/05(木) 12:54:07 ID:MtAO1A0D<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ クマ×オトウトガモリコメナカッタヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

初投下なので色々変なとこがあったらすみません。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/05(木) 13:12:57 ID:0mKrjblH<> くまくまーーーーー!!!!!!
そしてこっそり先輩GJ。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/05(木) 13:46:14 ID:9fRfGf/c<> >>355
謝る必要ナシ!
自分の中にある悪鬼のイメージと重なるのでとても嬉しかった。
文章もカッコいいなあ・・・。映像が目に浮かぶ。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/05(木) 14:03:53 ID:NyeQ0j0v<> >372
萌えた――――――――――ーー!!!!
姐さんありがとう(*´∀`*) <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/05(木) 15:06:59 ID:0Plr9ljQ<> >372
ハルァァ――――-――-――-――(*´Д`*)――――-――-――-――-――-――ン!!!
元ネタにリアルタイムで遭遇したけど、まさかこんなに萌え萌えなSSになるなんて!!!!
くまくま可愛いよくまくま。兄貴可愛いよ兄貴。>372GJGJGJ!!!!萌えを有難う!!!! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/05(木) 15:36:20 ID:wOT8soJP<> オフサイドでシンゴとヤクマル!
やり切れない気持ちのままに原作補完したものです。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ ) <> オフサイド1<>sage<>2006/01/05(木) 15:38:53 ID:wOT8soJP<> 「ひとりでやってみる」とさらりとヤクマルに言われて、オレはとっさに言葉が出てこなかった。
頭が真っ白になって、ヤクマルの言葉の意味がわからなかった。
落ち着こう、落ち着こうと思うのにちっともうまくいかなくて、スポンジを握る手が震えそうになる。
今、こいつ、オレと離れて別々のチームでサッカーをやりたいってそう言ったのか?まさか、そんな。
甘ったれで調子が良くって、いい格好しいのお前が、オレのセンタリングなしで一人でサッカーをやりたいって、そう言ったのかよ?

めちゃくちゃ動揺している自分をごまかすために「そりゃいいわ!俺もそう思うワ!」なんて言ってみたけど、そんなのは全部嘘だった。
オレの方ではそんな事、考えたこともなかった。
ヤクマルのいないサッカーなんて、そんな事。

左スミに持っていって、あいつにセンタリングをあげる。
小学五年のお前と初めて同じチームでプレイしたあの試合からずっと、それがオレのサッカーだった。
オレの蹴ったボールを走り込んできたお前がゴールに叩き込む。それがいつだって最高に楽しくて、気持ちよかった。
ヤクマルの笑顔とガッツポーズを見ると、世界が自分達のものになったみたいな気がした。
それなのに、お前は。
オレとサッカーしながら、一人でプレイする事をずっと考えていたって言うのか。いったい、いつから…? <> オフサイト2<>sage<>2006/01/05(木) 15:39:56 ID:wOT8soJP<> 「もっと、いろんな可能性があるかなって、おもうじゃん、シンゴの方もさ。」
言いながらヤクマルがカウンターにこつんと頭をくっつける。
こんな時だってのに「根元の黒いとこ伸びてきちゃってるな…また染めてやんなきゃ」なんて思いながらカウンターに散る髪の毛を見る。
触った時の柔らかい感触だってよく知っている、ぱさぱさとひろがる茶色い髪。
「オレも思いきって何か変えないと、ゴローにおいてかれちゃう…ライバルでいられなくなっちまう。」
オレの方なんて全然見ずに、ぼそぼそと呟いたヤクマルの、見たことのないような大人っぽい表情にどきりとした。
焦りや不安を感じながらも負けずに強くあろうとする、男の顔だと思った。
ジャージャーとわざと勢いよく水を出して皿をすすぎながら、やっとのことで「その通りさ」と言った。
とにかく理性とか演技力とか見栄を総動員して、なんでもないような顔をして、平気なふりでヤクマルと別れた。
じゃーなと手を振りながら反対の拳をぎゅっと強くにぎって、堪えた。
<> オフサイド3<>sage<>2006/01/05(木) 15:42:18 ID:wOT8soJP<> 「シンゴ、いい加減に起きなさいよ」と言う姉ちゃんの声で目が覚めた。
二日酔いで頭ががんがんする。
そうだ、昨日はあれからめちゃめちゃに呑んで、無理やり眠りの世界に逃げたのだった。
気持ち悪くて頭が痛くて、しかもやたらに孤独で寂しくて、寂しいなんて思ってる自分が情けなくて、泣きそうになりなる。
とてもじゃないけどこんな顔誰にも見せられない。
というか、気持ち悪くて身体を起こせない。最悪だ。
布団を被って昨日のヤクマルを思い出す。
ヤクマルの声や、言葉や、ストローをいじる指先なんかを。
あいつは一人で、随分先に行ってしまったんだなあと、ぼんやり考える。
今まで、オレがあいつを支えてるつもりでいたけど、あいつはオレの支えが無くても一人でどんどん進もうとしている…。

「…います?」「疲れてるみたいでずーっと寝てるけど、勝手に上がって」
次にまた姉ちゃんの声で目が覚めたときには、外は大分暗くなっていた。
青っぽく染まった部屋の窓から商店街の街灯の灯が見える。
とんとんと、階段を上がってくる足音が聞こえる。
ヤクマルの、軽い、いつもの足音。
「おっす、シンゴ」勢い良く襖を空けた薬丸が、ちょっと心配そうな顔で枕元にどかっと座り込む。
「なんだよ、どっか具合でも悪いのか?」
「…二日酔いだよ、頼むからもうちっとそーっと入ってきてくれ」
「情けねーな、そんな呑んでたっけ?」
「呑んでたんだよ、あー気持ち悪い。悪いけどヤクマル、水持ってきてくんない?」
はい、と手渡された水が身体に染み渡る。
大分気分も回復してきたようだ。
「散歩でもしようぜ」と誘われ、ヤクマルを待たせてシャワーを浴びて外に出た。 <> オフサイド4<>sage<>2006/01/05(木) 15:44:23 ID:wOT8soJP<> もう三月も終わりなのに、まだまだ夜は冷える。]
背中を丸めてマフラーに顔を埋めるようにしながら夜の商店街を歩く。オレが育った街のオレンジの街灯が、ヤクマルとオレを照らしてアスファルトにぼんやりした影を作っている。
ピンクやオレンジの、安っぽいビニールの飾りもなんだか寒そうだ。
「さみーなあ」
「なー」
「あー、でも風冷たくて気持ちいーなー」
「お前ちょっと酒くせーぞ」
「お前だって結構呑んでただろ… なあ、お前今日、何か用事?」
「…ちげーよ、ただ遊びに来ただけ。それよりちょっと寄ってかない?」
にやりとしながらヤクマルが指さしたは、小学校のフェンスだった。

「うわー、校庭せまっ!」
「オレらが大きくなったんだろ」
言いあいながらフェンスをよじ登って校庭に侵入した。
フェンスから飛び降りられずにそーっと地面に足をつけるオレを見てヤクマルが笑った。
「しょーがねーだろ、頭痛いんだから。つーかあんまり大声で笑うなよ、見つかったらやばいぞ」とたしなめると、
ヤクマルが一段と大きな声で「あ!」と叫ぶ。
人の言う事なんて全然聞いちゃいない。
「あれあれ!」と言いながら駆け出した先にはサッカーゴール。
白い木枠で作られた小さなサッカーゴールの足下には、サッカーボールが転がってる。まさか、まさか。
二日酔いで死にそうなオレにこれ以上何をさせようっていうんだ。
今はサッカーボールなんて見るのも嫌なくらいだってのに。
そんな笑顔でこっちを見たって、今日ばっかりはちょっと無理だぜ。
固まって立ち尽くしているオレの方に、「いっくぜー!」という叫び声と共にボールを持ったヤクマルがドリブルで向かってくる。
<> オフサイド5<>sage<>2006/01/05(木) 15:45:52 ID:wOT8soJP<> 「うわー信じらんねー!吐きそう!」
「おらおら、そんな事言ってるとシュート行くぞ!」
「…させるか!」
ヤケクソになってヤクマルとボールを奪い合った。
本当に信じられないのはオレの頭だと思う。
気持ち悪いし、頭は痛いし、孤独で寂しいのも変わらなかったけど、この時間をなんだかすごく、楽しいと感じているオレの頭だと。
こいつがいなくなるなんて、信じらんねーな。
でも、こいつは行くんだろう。オレが泣いて止めたって行くだろう。
嫌になるほど一緒にしてきたサッカーだけど、やっぱりまだまだやりたりねーよ。
もっと、ずっと、お前とサッカーできたらいいのに。

とは言えもちろん先にギブアップしたのはオレの方だった。
というか、この状態でサッカーなんてできた事を褒めてもらいたい。
いつも勝手言って、オレを振り回しやがって。
「も、もう、無理!!!!限界!!」倒れ込むように校庭に腰をおろし、手をついて見上げた空には星が見えた。
両手で数えられる程度しか見えなかったけど、冷たい空気の中でチカチカと瞬いている。
「ったく、情けねーなー、…お前、そんなんでこの先一人で大丈夫かよ?」
隣に仰向けに倒れたヤクマルの、不自然に上ずった声が下の方から聞こえてきた。
つまり、やっぱり、そういう事だったんだな。
それを確認するめにわざわざ会いに来たのか。
動揺を隠そうとした自分の必死の演技を思い出して、なんだか可笑しくなった。
ばれてたんだろーな。笑える自分が不思議だった。
昨日はあんなに絶望的な気持ちだったというのに。 <> オフサイド6<>sage<>2006/01/05(木) 15:48:10 ID:wOT8soJP<> 「…なんかさ、今ボール蹴ってて急に思い出したんだけどさ。」
質問に答えずに唐突に話しだす。
こっちをじっと見るヤクマルの不思議そうな視線を頬に感じた。
「オレ、ガキの頃、お前と初めてサッカーした時さ、負けたくねえって思ったんだよ。
お前みたいなお坊ちゃん育ちのやつに負けるもんかってさ。
お前と組んでするサッカーがあんまり楽しいんで、そんな気持ちずっと忘れてたんだけどさ。」
「へえ…」と言ったきりヤクマルが何も言わないので一人で続ける。
こんなにべらべらしゃべるのって本当はオレのキャラじゃないけど、たまにはいいだろ。
昨日はショックで何も言えなかったし。
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/05(木) 15:49:41 ID:uZQRSAOp<> うをををををを!>355GJ!
年末年始の忙しさですっかり棚見るの忘れてたら、ア力ギと市河さんがいる!
ありがとうっ…! <> 389<>sage<>2006/01/05(木) 15:50:44 ID:uZQRSAOp<> あ、ヤバイ!割り込んでしまったみたいだ…
本当にスミマセン <> オフサイド7<>sage<>2006/01/05(木) 15:50:47 ID:wOT8soJP<> 「…オレさ、自分の事周りの奴より大人だと思ってんだよな。
父親いなくて、周りの奴よりちっとは苦労してるし、小さいころからませてたからさ。
クールだとか、大人びてるとか言われてさ。
お前のことも、オレがフォローしてやってるんだと思ってた。
お前が好き勝手できるのも、オレのフォローがあるからだって、お前の面倒見てるような気持ちになってたんだな。…怒るなよ?」
「…ああ」
「でもお前、オレの知らない所で、自分でちゃんと考えてたんだな。
強くなりたい、そのためにはどうしたらいいのかって、ずっと。」
「やっぱりちょっとショックだったよ。
オレはお前とずっとサッカーやっていくつもりだったから。
でも、お前に言われて初めて、考えてみようかと思ったんだ。
オレのサッカーってなんなのか。
もしかしたら、お前にセンタリングあげる以外の、もっと新しい、もっとワクワクするような自分のためのサッカーがあるのかもしれない、って。」
「で、さ。今、ものすごい久しぶりに、ガキの頃の、お前の事ライバルだと思ってた気持ち思いだしたんだよ。そしたらさ、」
「うおー!!」
ヤクマルが突然大声で叫んで勢いよく上半身を起こす。
オレが気持ち良く話してるのに、っていうか盛り上がってるところなのに一体なんだよ?
「そう、そうなんだよ!」
もう真っ暗で顔なんてよく見えないけど、目をキラキラさせているヤクマルの表情が見えるみたいだ。こっちを向いた声がワクワクしてる。
「お前がライバルなんて、すげー燃える!チームメイトもすげー楽しかったけど、きっとライバル同士っていうのもいいぜ!」
「お前、オレの台詞とるなよ!今から言おうとしてたとこだろ!」
「あはは、わりーわりー。なんか想像したら興奮してきちゃって。」
「…まあいいや、なんか気ィ抜けちゃったよ。とにかくそういうこと。
お前がゴローに対して思ってるみたいに、オレもお前に追いつきたい、追い越したいって、思ったんだよ。…お前のおかげでさ。」
「さんきゅーな」と、小さく付け足すと横から満足そうなため息が聞こえてきた。
<> オフサイド8<>sage<>2006/01/05(木) 15:51:59 ID:wOT8soJP<> 「お前なら、わかってくれると思ってたよ。
…前にさ、ゴローが言ってたんだ。
シマモトと、フワの事でさ。あいつら別々のチームで、敵同士みたいになっちまったことシマモトは気にしてたけど、それは夢がくいちがっちまったわけじゃなくて、二人は今でも同じ夢を追いかけてるんだって。
ユニフォームの色が違うだけなんだ、ってさ。
それってなんか、わかるような気がしないか?
…春から別々のユニフォーム着る事になるけどさ、きっとオレ達いつか、一緒に全日本のユニフォーム着るんだ。
すごく強くなったオレとお前で一緒にさ。」
「ああ。約束だぜ。」
声が震えないように、短く応えて立ち上がり、ヤクマルに片手を差し出す。「帰ろうぜ、身体冷えちまう。」
オレの手を掴んで立ち上がったヤクマルのひんやりした指の感触を、ずっと覚えていようと思った。
春休みの予定をぽつぽつと話し合いながら帰るオレ達を、高くのぼった月がぼんやりと照らした。
近所の生け垣から名前を知らない花の匂いがして、確かにもうすぐ春なのだと思った。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/05(木) 15:53:45 ID:wOT8soJP<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )終了!

いえいえ、問題ないです。>389 <> FC名作犯人ネタバレ注意<>sage<>2006/01/05(木) 16:03:29 ID:5elB8Hw3<> 萌え吐き出させてください。
ものすごい古いですが ファミコン名作「神戸の連続殺人事件」
犯人ネタバレします。犯人有名ですが一応注意。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )主人公×助手ダヨ
<> FC名作犯人ネタバレ注意<>sage<>2006/01/05(木) 16:04:28 ID:5elB8Hw3<> 「俺はてめえに惚れてる」
そう言われて僕は曖昧に微笑むしかなかった。
まさか殺害計画の一週間前にそんなことを言われるとは思ってもみなかった。
のうのうと僕も好きですよなどと言い返して、
犯罪者の恋人などという不名誉を彼に差し上げるわけにはいかない、そう思った。

僕は計画通りに二人の人物を殺し、あえて捜査にかってでた。
そうして、自分が捕まるのは時間の問題だと思った。彼は鋭すぎる。
隠し事など出来ない。
彼が僕を逮捕する日はそう遠くない。僕はそう気付いた。

「なぁ」
誰もいない取調室で彼が僕に声をかけてくる。彼は気付いている。僕には分かる。
洲本での聞き込み、地下迷宮での日記。答えは一つしかない。
「服、脱げよ」
「……セクハラですか?」
僕は最後の悪あがきをしてみる。
「馬鹿。俺ぁ確かにてめえが好きだが、無理矢理どうこうしようなんて考えてたら、
もうとっくに手ぇだしてら。そういう意味じゃない。服を脱げ」
ああ、もう逃げられない。彼から逃げることは無理だ。
僕はゆっくりとワイシャツのボタンを外した。右腕にあるアザを彼に見せる。
僕は半ば快感すら感じながら、彼に言う。 <> 2/2FC名作犯人ネタバレ注意<>sage<>2006/01/05(木) 16:05:22 ID:5elB8Hw3<> 「見事な推理でしたよ」
「……褒められても嬉しかねぇよ」
「でしょうね」
彼は僕にシャツを着せ、ボタンを止めながら言った。
「自首しろよ」
「……いいんですか?せっかくのあなたの手柄なのに」
「馬鹿言ってんなよ。いるか、そんなもん」
彼は顔を伏せた。僕は子供に話しかけるように優しく言った。
「ねえ、もう虫眼鏡で太陽見ようとしちゃ駄目ですよ」
「……ああ」
「死体を叩くのももちろん駄目です」
「ああ」
「市外局番、しっかり覚えてくださいね」
「ああ」
一番上のボタンを止めたところで彼の手が僕の顔に触れた。
「なぁ、お前がもし俺のこと好きでも、きっとこれじゃあ、
キスぐれぇしかさせてくれなかったんだろうな」
「……まあ、服を脱がされちゃたまんないですからね」
いつかそういうことを出来る日が来ればいいのだけれど、それは全く不可能だ。
「ねぇ、僕のこと」
待っていてくれますか。そんなことはおこがましくて聞けない。
「待ってるよ。お前が罪を償ってくる日を待ってるぞ、俺は」
ああそうだ。彼の前では隠し事なんて出来ない。だからきっと僕が隠してきた気持ちも彼は気付いている。
見計らったように彼が訊いてきた。
「なぁ、お前俺のことどう思ってんだ。聞かせろよ」
僕は笑いながら答えた。
「……惚れてますよ、ずっと前からね」  <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/05(木) 16:06:49 ID:5elB8Hw3<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )アリガトウスッキリシタヨ…。
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/05(木) 16:55:05 ID:8J6m+I2z<> >>395>>396
献血を・・・献血をお願いします。
鼻で失血死してしまう・・・(*´∀`*) <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/05(木) 17:00:49 ID:qp/3UJ1h<> >>349
遅レスだが萌えタ――――――――――!!
ヴァソノレク(ヴァソ←ノレーク)萌えの自分にとって、読んでてたまらない気持ちに
子犬のような坊ちゃんモエス <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/05(木) 17:07:50 ID:XVd7zeN7<> >>395-396
ヤス可愛いよヤス
ボス男前だよボス <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/05(木) 18:42:03 ID:3tG1CHjZ<> >372(くまくま)
>394(神戸)
共にGJ!
元ネタ知らんが禿萌えた(*´Д`)
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/05(木) 19:44:42 ID:lZXsUZJ5<> >>395>>396
「ねえ、もう虫眼鏡で太陽見ようとしちゃ駄目ですよ」 
「……ああ」 
ほのぼのした。GJ! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/05(木) 20:53:19 ID:3FLsOxA9<> >>395-396
禿あがるほどGJ!
よもやボスヤスお目にかかれるなんて
萌にまかせてまたプレイしたくなりますた <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/05(木) 21:20:28 ID:omesHBM6<> >「ねえ、もう虫眼鏡で太陽見ようとしちゃ駄目ですよ」
>「……ああ」
>「死体を叩くのももちろん駄目です」
>「ああ」
>「市外局番、しっかり覚えてくださいね」
>「ああ」

全文引用するくらい剥げワロタ、そして萌えた。
この会話の応酬はPLAYした人にしか分からないネタだけど
笑いつつも涙出てきちゃうなコレ (ノД`)・゜・ <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/05(木) 22:11:18 ID:YOBP1OjS<> >372も
>382も
>394も
萌えすぎて禿ました。
ありがとうありがとう。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/06(金) 02:32:14 ID:jsrKxqpd<>
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  引っ張り続けた下町、やっと終わるみたいだよ
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  エロ有なので苦手な人はスルーしてくださいね
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<> 下町1<>sage<>2006/01/06(金) 02:33:28 ID:jsrKxqpd<> ふっと息が漏れる。そして目許が僅かに緩み、小さく俯いて肩を揺らし、観念したようにこっちを向く。
濱田の笑顔。はにかんだように、照れたように。
あの笑顔が好きだった。こいつが笑ってくれるならなんでもしたると思っていた。
濱田の目、唇、うなじ、髪の毛、指。
笑い声。全てを。
いつからだろう。独り占めしたいと思った。思ってしまった。
俺の我が侭。馬鹿な妄想。妄想にとりつかれた狂った男。
狂った男は幼馴染みの大事な戦友を犯した。無理矢理、身体を押し開き欲望を流し込んだ。
涙を舐めとり、それでも責め続けた。

もう一度、あの頃の濱田の笑顔が見たい、なんて。
どの口が言うてんねん。
狂った男は何をした?
今さら、何を言うてんねや……


車に乗り込むと、ハンドルに手を置いたまま、松元は瞬きを繰り返した。
じっとりと背中に汗が滲んだ。
どないするつもりや。
無意識に自身に問いかけている。しかし、その答えは用意されていない。
いつだってそうだ。いつだって答えは用意されていない。それなのに、俺は求めてばかりいる。
濱田は何を思ってきたんだろう。俺の隣に誰よりも立っていてくれた男は。

夜中の道は比較的空いていた。
終日営業の趣味の悪いショッピングビルから漏れる場違いな明かりに目を細めると、松元は紫煙を吸い込んだ。
距離が縮めば縮む程、喉が乾き指先がかじかむような錯覚を覚えた。
酷い熱だったようだ。昼間に倒れた濱田の真っ青な顔が脳裏をよぎる。身体が強くない癖に無理をする。
弱音を吐けない、頑固で、意地っ張り、融通がきかない、どうしょうもない……。
ふいに鼻の奥がツンとし、微かに目の前が歪む。
そんな男をここまで追い込んだのは誰や?
多分、俺なのだから。
あいつは今、何を思っている? <> 下町2<>sage<>2006/01/06(金) 02:35:10 ID:jsrKxqpd<> 見知ったホテルの部屋の前につくと、松元は吸い寄せられるようにノブに手を回した。
ゆっくりと、ドアを開ける。見なくてもわかる、気配で、温度で。誰よりも身近で誰よりも遠い存在。濱田がいる。
男はじっとベッドに腰掛けていた。目許が赤い。多分熱があるのだろう。
濱田は松元の姿を確認しても口を開かなかった。何を考えているかもわからなかった。
肩で息を繰り返している様子から察して、辛い状況なのだろう。
「熱…大分あるんか」
松元はボソリと呟くと、一歩踏み出した。濱田の肩が少し揺れた気がした。
「大丈夫なんか、医者行かんでええのか」
沈黙を恐れるかのように、松元の空ろな声が静かな部屋に響いた。
「……」
小さな濱田の声が聞こえた。聞きとれないほどの。
「なんや」
「……何しに来てん」
「何がや」
「自分、何しに来てん」
「何って……」
「何で来てんねん!何で……っ」
「濱田……?」
「お前が!お前がそないなこと、するから、するから……俺は……っ」
涙で潰れたような声は、やがてかき消え、濱田は身体を折るように咳き込み始めた。
松元は咄嗟に傍に寄ると、濱田の背中を擦ってやろうとした。
「濱田……俺は……」
何かを言おうとした。無意識に口が動いた。しかし、その言葉は濱田の熱い唇に吸い込まれてしまう。
「……っ」
濱田……!
声にならなかった。濱田は松元の身体を強引に引き寄せると、のしかかるように唇を重ねてきた。
ねっとりと熱い感触に、腰の奥が沸き立つ。熱い濱田の身体。もの凄い熱だ。
「おまえ、物凄い熱……何する、つもりや……!」
ようやく唇から逃れると、松元は絞るように声を出した。
目の前には充血した濱田の瞳があった。
<> 下町3<>sage<>2006/01/06(金) 02:36:59 ID:jsrKxqpd<> 「抱けや……」
「何を言うてんねん……」
「抱きにきたんやろ……」
「違う」
「だったら……」
「濱田、俺は………濱田!」
無理矢理スウェットの下をずり下ろすと、濱田は松元の股間に顔を埋めようとする。
らしくない性急さに松元は微かな目眩を覚える。
言う事を聞かない濱田を押さえ付けようと松元は滅多に出さない本気の力で持って、濱田の手首を捻り上げた。
「……っ」
鋭い痛みに濱田は顔を歪める。こんな顔がみたいんや無いのに。
こんな顔、させたいんやない。
濱田は松元の指を振りほどくと、自身のパーカーとシャツを脱ぎ捨てた。
熱で上気した身体、その湿った皮膚が露になる。
欲情した。松元は情けなさと悔しさで涙を滲ませた。
こんな状況で、今までにないほど欲情している自分自身に絶望した。
おまえ、正気か?こいつ、高熱やってんぞ…
濱田の熱い身体がのしかかってくる。くぐもった吐息が首筋にかかり、それだけで堪らない気持ちになる。
「濱田、俺は話が……」
「俺は話したないんや。お前が欲しくておかしなりそうになって…」
「阿呆。何を言うて…」
濱田の指先が、微かに…。
「そんな震えた声で何を言うてんねや…!」
「黙れ…!」
聞いたこともないような濱田のつぶれた叫び声に、松元は瞳を閉じた。濱田の悲しい嘘に、涙がこぼれた。
熱い肌に指を這わせ、宥めるように身体を開き、愛撫する。鼻から漏れたような濱田の高い吐息。
せわしなく濱田は松元を迎え入れた。十分にほぐれていない輪郭が悲鳴をあげる。
「…っ」
濱田は自身の手の甲に歯をたて、声を押し殺していた。
動こうとしない松元に焦れたように、深く受け入れるように身体を押し進めると間もなく腰を擦り付けた。
粘膜が擦れあう刺激に、次第に互いの息もあがっていく。松元は奥歯を噛み締めて唸った。
<> 下町4<>sage<>2006/01/06(金) 02:37:46 ID:jsrKxqpd<> 「おまえ…なにを、かんがえて…る…」
松元の掠れた声に、濱田は濡れた視線を送る。
「何も考えて…ない…」
「俺は……こんな…こんなん…」
拒絶を示す言葉を探している自分に吐き気がする。今さら何を、言えるというのか。
先に境界線を破ったのはどっちなんや?
粘膜がゆっくりと締め付ける。搾り取ろうと蠢く。脚先が張り詰め、筋が引きつれる。
こんなん……こんなんが…。こんなんが願った形なんか?
俺らは、なんでこんな処まで来てしまったんや…?
暴れ出す欲望を抑えていた理性は速まる摩擦の温度に焼かれ消えていく。
松元は低いうなり声を滲ませると、濱田の背中を折れる程抱き締めた。止められなかった。
何度願ったことか。狂った男はお前の全てが欲しかった。
目玉、鼻筋、頬、顎、首筋、胸、腰…爪先……そして中心で脈打つ肉まで。
全てを舐めとるように、全身を愛撫し、濱田の高い悲鳴とともに吐き出された欲望を飲み干した。
「んぅ……っ……」
皮膚が解け合い、ひとつの肉塊になってしまったような錯角。
熱い塊は何度も絶頂を迎え、捏ねあい、揺れ、せめぎ合い、そして無が包み込んだ。
松元は涙をこぼし続けた。熱い雫は、濱田の頬を、背中を濡らし、シーツに染みていった。
濱田の身体に包まれて。
ドクドクと心臓の鼓動が聞こえる。どちらのものなのかもわからない。
熱い濱田のなかを自分で満たして。
「まつ、もとォ……」
高熱で掠れた濱田の声。
「気持ちええか……」
まるで祈るように。
「気持ちええか………」
その震えた声に、松元は堪らず嗚咽を漏らした。濱田の背中を後ろから抱き締めると、松元は泣き崩れた。
いつも答えは用意されていない。
答えは用意されていないんや。

<> 下町5<>sage<>2006/01/06(金) 02:39:21 ID:jsrKxqpd<>
「濱田……」
「……」
「嫌いにならんといて……」
松元の小さな呟き。その細い声。
「松元…?」
「嫌いにならんといて……濱田。俺のこと、嫌いにならんといて……」
「……」
「お前に嫌われたら、俺は……」
もう、どうしていいか、わからへんねん………。

相変わらず最低なことを言っている。世界一の屑野郎だ、俺は。
だけど、言葉を止められない。

ただ泣き崩れる松元の顔を、熱い両手が包んだ。
目の前に濱田の瞳があった。その瞳には、まるで少年のような自分の泣き顔が写っていた。
永遠にも感じる数秒間、お互いは見つめあう。
夜の静寂のなかで、まるで世界中に残された、たったふたりになってしまったみたいに。
ふいに濱田が笑い出した。
「…なんや」
突然の笑い声に、松元は声を上ずらせる。
「おまえ、ひどい顔してんで…」
そう言う濱田の顔も涙でぐしゃぐしゃだった。松元も濱田につられるように少し笑った。
<> 下町6<>sage<>2006/01/06(金) 02:41:01 ID:jsrKxqpd<> 濱田の小さなため息。
「……これ以上、あんたのことばっかり考えてたら、頭おかしなるなぁ……」
「……」
松元はじっと濱田の瞳をみつめた。ずっと焦がれていたのかもしれない、その瞳。
「おまえに出会ってから……ずっと、頭おかしなっとるわ…」
濱田は、まるで独り言のように呟き続けた。
「あの日から、今までな……」
何かを伝えたいんだろう。濱田なりの、告白なのだろうか?
松元はじっとその瞳をみつめるしかできなかった。
こんなに、こんなに深く、誰かの、他人の心に触れることなど、この先ないのかもしれない。そんなことをぼんやり考えていた。
濱田はそっと、松元の唇に自身の唇を重ねた。
多分、これが最後のキス。誰もしらない二人の最後のキス。
「……もう、お前には抱かれてやらん」
濱田の涙でつぶれた声。
「…ああ」
「我慢できるか?」
「…阿呆。おまえ、俺がどんだけモテない思って……」
言いかけた松元を濱田の熱い腕が包んだ。濱田の匂い。力一杯の抱擁。
松元はその胸に鼻を擦り付けた。
「我慢できへんかったら、一週間……半月、…半年、お前でマスかいたるわ」
松元の潰れた声に、濱田は小さな息で笑った。
苦しかったな。苦しかったんやな。
もうこの肌には触れられない。
そのことを思った瞬間、どうしようもない喪失感と、そして一方で安堵に似た気持ちを感じていた。
松元は、濱田のうなじに鼻をすりつけ、呟いた。濱田の匂い。
「おまえんなか……ぬくかったで」
しばらくの後、濱田の小さな声が聞こえた。
「ありがとお」

松元はそして考えた。
コイツの前に現れるのは、これで最後かもしれない。それが…いいのかもしれない。 <> 下町7<>sage<>2006/01/06(金) 02:41:51 ID:jsrKxqpd<> 濱田はそのまま、眠りに落ちていったようだった。
松元はそっとその部屋を出ると、歩き出した。振り返ってはいけないような気がした。
帰りの車のなかで携帯が鳴った。
しばらく考えた後、手に取った。
「…なんやねん。こんな時間に」
「…すいません」
電話の相手であるマネージャーは酷く重たい口ぶりだった。こんな深夜にかけてくるなんて滅多にしない男だ。
「……なんか話か?」
「すいません…ほんま、こんな時間に」
「ええって。聞くから」
「すいません。どうしても気になってしまって」
「何がよ」
電話の向こうで言葉を選んでいる気配が感じられた。
丁度信号につかまり、松元は息をついた。
「……濱田さん、大丈夫ですかね」
「……ああ。風邪なんやろ?」
松元の返事は一拍遅れた。
「…なんか、あったんですかね…」
「…何がいな」
煮え切らないマネージャーの声に、松元の心臓はふいにそのスピードを速め始めた。
「今日、濱田さん倒れたやないですか。俺、あの人おぶって楽屋戻ったやないですか」
「ああ」
「そしたら、濱田さん。意識なくしてはるのに、なんか言うてるんですよ」
「……」
「うわ言みたいに、なんか聞こえて…僕、聞こえて」
「…何や」
「すまん。すまんって言うてはったんですよ。松元、すまんって。何度も…」 <> 下町8<>sage<>2006/01/06(金) 02:43:12 ID:jsrKxqpd<> 「……」
「なんかあったんすか。なんか、あの、俺……」
「悪い。高速のったから切るわ」
松元はそれだけ言うと、携帯のボタンを押した。
目頭が燃えるような心地がして、一気に涙で前がぼやけた。
松元は低いうなり声を漏らした。

濱田。
濱田。濱田。濱田。濱田。

涙は止めどなく溢れ続けた。

俺が、どうしても欲しかったんは、お前。
どうしても手にいれたかったのは笑ってるおまえ。
口に出したら、消えてしまうと思った。

何かを犠牲にしても、手に入れたいんは……

だけど、それも終わり。
解放してやる。解放してくれ。
なぁ、もう一度、あの日の笑顔がみたいなぁ。
笑ってくれへんかなぁ。
また俺のわがままなんかなぁ……


<> 下町9<>sage<>2006/01/06(金) 02:43:55 ID:jsrKxqpd<> しばらくの瞬きの後、ようやく濱田は目を覚ました。
とたんに軽い頭痛に気付き、額を押さえる。今は、何時なんだろう。
カーテン越しに入ってくる明かりは、あきらかに夜ではないことを告げていた。
ベッドに横たわった身体はきちんと服を着せられていた。松元の仕業だろうか。
意識がはっきりしてくるにつれて、今日のスケジュールが脳裏を掠める。しかし、数秒後に一日完全オフなことを思い出し、息をついた。
どっちにしろ、今日は使い物にならない。熱と昨夜の無理がたたって、身体は起き上がることさえ難儀だった。
ベッド脇に置いてあった、ミネラルウォーターのペットボトルに気付くと、濱田はひとくち飲みこんだ。
干涸びた咽が生き返った気がした。ペットボトルの脇には風邪薬の錠剤が置いてあった。松元がよく飲んでいる薬だ。
濱田はそっと指先でそれと摘むと、ゆっくりと飲み込んだ。
それで全てが終わった気がした。
「もう、会えへんのやろか……」
濱田は無意識に独り言を呟いていた。

なぜか、もう、松元には会えないような気がしていた。
いつもどこかで思っていた。ある日、突然自分の目のまえから姿を消してしまうんやないかと。
何故だろう。そう思っていた。


とうとう2日間、仕事を休んだ。本意ではなかったが身体が言うことをきかなかった。年をとったなと思う。
ずらせる内容の仕事だったのがせめてもの救いだった。
あえて相方のことは、聞かなかった。いや、聞けなかった。
「……よし」
濱田は鏡の前にたつと、小さく息を漏らした。
むくんでいた顔は、ようやく元に戻ったようだ。ピシャリと頬を叩いた。
通い慣れた道路を進む。目的地に近付くにつれて、ハンドルを握る手のひらに汗が滲む。
ぶっつけ本番のしゃべりの舞台。
あの男は居るだろうか。まだ俺の隣に立ってくれるだろうか。
本気でそんなことを考えている自分に苦笑する。
あの男だって、もう30過ぎた大人だ。…そんな阿呆なことをするはずないと、思っているはずなのに。
しかし、あの男だけはわからない。松元という男だけは、最後まで何をするかわからない。
<> 下町10<>sage<>2006/01/06(金) 02:47:30 ID:jsrKxqpd<> 身体を労う道ゆくスタッフに礼をいいながら、一歩一歩進んでいく。
楽屋へ続くその廊下の先に、濱田はよく見た背中を見つけた。
何年も一緒に歩んできた背中。見間違える筈がない。
松元が、いた。
鼓動は知れず速くなり、全身を反響していた。
松元が、振り返る。数秒遅れて、濱田は気付く。
気付いたとたんに、濱田は指をさして、大声をあげた。
自分でもおどろくくらいの、大きな笑い声だった。

ホンマにしよった。こいつ。阿呆や。ほんまに…

「坊主になってるやん…!」
濱田の声に、松元は一瞬息を止めて、濱田の顔をじっとみつめた。
「阿呆や、コイツ。ホンマに坊主になっとる…」
濱田の笑い声。
松元はようやく、目もとを和らげた。そしてゆっくりと照れくさそうに笑った。
「阿呆言うな、ボケぇ」
松元は先日まであった髪の毛をそっくり剃りあげていた。まるで中学生に戻ってしまったみたいな風貌だった。

濱田は声を枯らして笑った。こんなに笑ったのはひさしぶりだった。
再確認するように。
松元も、笑っていた。

「えっと…ダウソタウソの松元です。初めまして…かな」
松元は照れたように笑いながら、手を差し出してきた。しかし、その目の奥は真剣だった。
濱田はおずおずとその手を握った。
「阿呆か、何が初めましてやねん」
「初めましてや。…坊主になった俺は、初めましてなんやから」
「…何言うてんねん」
「…初めましてやろ?言うてみい」
「……。初めまして、松元さん。ダウソタウソの濱田です。よろしく」
観念したように濱田は呟いた。松元は濱田の手を握りかえしてきた。その手はらしくないほど温かかった。 <> 下町11<>sage<>2006/01/06(金) 02:48:38 ID:jsrKxqpd<> 「よっしゃ、行くかぁ……」
松元は呟くと、スタジオに続く道を先に歩いていった。
濱田はその背中に続いた。
松元の背中。戦場に向かう相方の背中。
濱田はその背中をじっとみつめた。

また、一緒に戦えるなぁ。
また一緒に夢、見ような。一緒に死ぬほど笑って……。



あれから何年たっただろう。
時間を数えるのは得意やない。振り返るのも好きではない。
ただ、毎日を生きてきた。相方の隣で。

あれから、一度も、松元からの電話は鳴らない。
時々、ベルの音に、予感を嗅ぎとり、鼓動を速くすることもあった。
その度、あの肌の温度を思い出し、そんな自分にどうしようもなく切なくなったり、呆れ返ったり、恥ずかしさで苦しくなったりする。
自分だけがこんな目にあっているのは癪だが、多分あの男もおんなしだろうと、濱田は考える。
だけど、もう電話は鳴らない。
戦場では毎日会う。
でも、電話は鳴ることはないだろう。

「えっと…ダウソタウソの松元です。初めまして…かな」
「……。初めまして、松元さん。ダウソタウソの濱田です。よろしく」

よろしく。よろしく。

愛してますよ。
出会ってから、これから、くたばるまで。
隣に立っててな。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/06(金) 02:50:40 ID:jsrKxqpd<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ やっと終わったよ…ヤレヤレ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

こんな感じを踏まえて、前スレ>451のリンカーンその後SSに続くってのが
以上自分の下町妄想でした。
今までつき合ってくれた方有難うございました。
なんとか終わりましたw <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/06(金) 02:51:50 ID:W1bc3ydt<> りっリアルタイムキター!!!!!
GJ!GJ!GJ! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/06(金) 02:55:52 ID:EcZhXE+F<> >>406-418
初めてリアルタイムに遭遇した・・!!
萌え&目頭が熱く・・・。GJ!! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/06(金) 02:59:47 ID:tQovPs5O<> ありがとうございます。
寝る前に軽く覗いてみたら…
うぅ…セツナス
ほんとGJでした! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/06(金) 03:48:47 ID:LAJaAChz<> うわーうわー…
ずっと406の下町小説追ってたけど
すごいいい…
GJです! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/06(金) 03:51:22 ID:FK6eNPbQ<> お疲れ様です。濱田の描き方に松元アイズな愛が溢れてて良かったです。
またぜひ書いて下さい。
(今回と全く繋がって無い話でも全然いいですので) <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/06(金) 05:02:06 ID:eNIoN/B6<> >355
遅レスながらGJ!
新年早々貴重な一河受けが読めて幸せ…
ありがとう姐さん! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/06(金) 12:44:45 ID:ln4bJo5b<>
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    | Holy black night(要和訳)って推理小説があってね
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| かなりマイナーだから布教も兼てみたよ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ エロ有注意だゴルァ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
《注》
数年前の作品で原作でも二人はできてるので伏字要らずと判断しました。
該当スレの有無が分からなかったのでここに吐き出させてください。





<> 1/6<>sage<>2006/01/06(金) 12:47:14 ID:ln4bJo5b<> 混濁していた意識が徐々に戻ってくると麻生は簡素なベッドの上で目を覚ました。暫らくここはどこか、と考
えて、ふと隣の存在に気付く。
ああ、そうか。
一人合点して寝返りを打つと柔らかな髪が胸元に触れた。その毛先の一本一本までを愛しむように抱き込
んでやれば、むずがってその滑らかな四肢を伸ばしてくる。
まるで猫だな。
いい年の男に猫、という表現もどうかとは思うが事実練の爪はひどく痛い。俺を殴る時でも、ベッドの中でも。
軽く苦笑してベッドから擦り抜ける、と凄い腕力でまた引きずり込まれた。どうやらネコ科のライオンだったら
しい。
「どこいくの」
寝起きの不機嫌そうな声が麻生を捕捉する。足を絡めて逃げられなくする。
「どこも行かない」
麻生はその獰猛な青年を宥めるように頭を撫で付けて、それから耳元へ口を近付けた。
「喉渇いたから、それだけだ。どこへも行かない」
練はそれでも暫らく手を離さなかったが、やがて納得したのか握った手の力を弱めた。
「俺にも酒、なんでもいいから、きっついのね」
起きても来ずに布団の中から声が聞こえる。だるいのだろうか。昨晩は無理をさせたかもしれない。いらぬ
気遣いだと練には言われるがそれでも出来る限り負担は減らしてやりたいと思っていた。練は自分よりもず
っと忙しく、ある意味で有望だ。幾つも経営する会社からは夜中でさえ度々連絡が入ってくる。かたや自分
はと言えば小汚いビルで詰まらない依頼ばかり請け負う探偵業。麻生は悪魔と恐れられるこの若い実業家
が自分と寝ることが、必ずしもプラスにはならないと知っていた。勿論もはや数字で割り切れるような関係
でないこともまた分かってはいたが。それでもたまに、恐ろしくなるのだ。自分はまた、彼を陥れてはいない
だろうか…彼に償いをするはずが、欺瞞に満ちてはいないだろうか… <> 2/6<>sage<>2006/01/06(金) 12:49:36 ID:ln4bJo5b<> 時刻はまだ午前四時を少し回ったところ。棚からジンを取り出すと、栓を抜いて二つグラスに注ぐ。波々と
注がれた酒からはツンとアルコールの匂いが漂った。
起き抜けに飲む酒じゃねえな…
自虐的に笑う。酒を元あった場所へ戻すとグラスを持ってまた寝室へ戻った。
部屋に入ると山内は上半身だけ起こして待っていた。片方のグラスを手渡すとニヤリと笑う。十年前にはし
なかった笑い方だ。麻生は何故かその含み笑いが好きだった。
「ジン、開けちゃったのか」
ベッドへ入るとグラスを燻らしていた練が口を開いた。
「いけなかったか?」
特に考えず最初に目についたジンを開けたのだが、何か思い入れでもあったのか。
練は質問には答えなかった。
「俺、アル中になっちゃうかもよ?」
嘯いている。言い終わらないうちに、一気に飲み干していた。好い飲み方とは言えない。
「もう手遅れだろ」
麻生も酒を煽った。
「あんたもね」
山内はチロッと舌を出して最後の一滴まで舐め取ると麻生の上に跨がってきた。皺くちゃになった白いシャ
ツ一枚だけを素肌に羽織った姿は甚く扇状的で、もう一度その股ぐらに顔を埋めてしまいたくなる。
「何考えてんだよ変態」
読まれているのか、練は軽蔑した表情を向けると麻生側の棚にグラスを置いた。
「まだヤり足んないわけ?」
そんなつもりは… <> 3/6<>sage<>2006/01/06(金) 12:52:20 ID:ln4bJo5b<> 言いかけて、止めた。練に嘘の類は通じない。そして嘘を吐くことも、俺には許されていないのだ。
もう二度と。
麻生は跨がったままの山内の股間に顔を埋めた。
「…足りない」
懇願するように舐めていた。形の整った山内自身が硬くなるまでにそれほど時間はかからなかったが自ら
を含まれた男は顔色一つ変えない。ただその身体から発される匂いだけが強さを増している。
「何が、足りない?」
練は目を細めていた。まるでウットリと夢に浸る少女のように、しかし少女にはない艶美さを持って。その表
情にはもう先程浮かんでいた侮蔑の色は無い。ただ自分に忠実な犬を可愛がる主人の顔があるだけだ。
「練…が足りない」
口にモノを含んだまま息も絶え絶えに言葉にすると、練はその目を更に細めて、軽く身震いした。
クる……っ!!
そう思った瞬間にはもう口の中に生暖かさが広がっていた。麻生は突然の解放にむせて吐き出そうとした
が山内が口を塞いでそれを遮る。
「飲み下せよ、龍太郎」
俺が足りないんだろう?と山内は麻生の髪を両手で梳く。それから苦しさで涙目になった麻生の目尻にキ
スを落とした。
この男は自分が逆らえないのを知っていて、それでも敢えてこうせずにはいられないのだ…。それはひどく
サディズムで、マゾヒズムな愛だ。麻生は思った。そして彼をそう歪めてしまったのは他ならぬ自分なのだ。
麻生は飲み下しながら涙が頬を伝うのを感じた。 <> 4/6<>sage<>2006/01/06(金) 12:54:42 ID:ln4bJo5b<> 「ご褒美」
今度は山内が麻生を咥える番だった。器用に麻生のそれを舌で持ち上げ唇の先を使って軽い刺激を与え
てくる。麻生はそれだけで張り詰める自身を感じていた。さらに袋を揉みしだかれ、その付け根から亀頭へ
と一気に舌で蹂躙される。麻生は溜まらずに声を上げた。
「駄目だっ…もう…!」
長い射精だった。気が付けば練の顔から体中に白濁した液体が飛び散っている。申し訳なさで真っ暗にな
った。
「…すまない」
「……ソーロー野郎」
慌てて謝ったが罵声は飛んできた。それでも機嫌は寧ろ良くなったようだ。山内は麻生を組み敷いたままの
態勢で自らに付いた麻生の精液を掬い取る。それからご機嫌で自らの秘部に塗りたくった。
「溢れるぐらいてめえにやるよ…だから…」
山内は麻生自身を扱いて再び反らせていく。そして自らを宛がいながらそう紡いだ。
「だから……っぁ」
練は腰を落としながら浮言のように何か言おうとしていた。
「だか…ら?」
締め付けられる圧迫感に支配される麻生もそれを懸命に聞こうとしていた。
「だから…っは…俺の中もっ…あ…っ!…龍太郎で…満たせよ…っ」
途切れ途切れに、でも確実に頂点は見えてきている。麻生は軽く起き上がると山内の腰を掴んで更に深み
へと落としてやった。その瞬間、また練の嬌声が高くなる。麻生の背にしがみ付いて引っ切り無しに啼き続
ける。麻生は山内の身体をしっかりと抱き締めると、身体が上下するのを手伝ってやった。
絶頂が訪れる。
麻生は山内の中で果て、山内もそれを受け止めて果てた。
二人の荒い息遣いが、寝室の中でこだまする。
お互い息が整うまで話す気にもなれず、ただ時が虚ろに過ぎていった。 <> 5/6<>sage<>2006/01/06(金) 12:57:04 ID:ln4bJo5b<> ふいに口を開いたのは麻生だった。真っ白な天井をぼんやりと眺めたまま微かに問い掛けていた。
「俺って、巧いか?」
最初練はキョトンとして、それから腹を抱えて笑い始めた。暫らく転げ回って、それでも足りないのかヒーヒ
ー言っている。
「笑うなよ、人が真剣に」
麻生は自分が馬鹿だったと半分投げ遣りになって山内を非難する。
山内はなんとか笑いを堪えたかと思うと急に真顔になって答えた。
「ド下手」
そういうとまた笑い転げた。先程愛し合っていた時の卑猥さはもうなくなっていて、まるで無邪気な子供のよ
うだ。こうしている彼を見れば、誰が彼を次期春日組組長山内練だと思うだろうか。
「下手ならなんで…」
なんで自分を手元に転がしておくのだろう。練にとって麻生という人間は、愛する以上に憎くて殺しても殺し
たりない人間だろう。だからといって性欲処理に使うと考えるのは些か安直かもしれないが、そうでないとす
ればしかし心を捕らえている人間にわざわざセックスする必要などあるだろうか。そんなことをしなくても俺
はとっくに練に捕らわれていて、いつでも練のためなら死ぬ覚悟がある。だから練に利潤の無いこの行為
はナンセンスで、練がそれを分かっていないとも思えない。麻生にとってはそれが不思議だったのだ。練は
確かに淫乱で誰とでも関係を持ちたがるが、その分多くセックスの経験があり、自分で満足するとは思えな
い。事実俺の他にも相手はいるのだ。それでも尚自分が練にこうして必要とされているのは何故だ?それ
とも単に練の特異な気紛れなのだろうか。
と、山内が口を開いていた。 <> 6/6<>sage<>2006/01/06(金) 12:59:26 ID:ln4bJo5b<> 「龍太郎は確かにド下手だけど、そんなことどうでもいい」
珍しく甘ったるい声を聞いた。いつか鼻歌を歌っていたあの声だ。
「なんで?」
確かめたかった。何だっていい。自分が今、こうしてここにいることの意味を、理由を。
自分が地位も、名誉も、それまでの人生も、総てを投げ打ってそれでも練を選んだわけを。
そしてその質問に、練は簡潔に答えた。
「…愛されてるって分かるから」
言葉を重ねる。
「誰より愛されてるって分かるから、龍太郎とするのが一番気持ちいい。一番下手だけど、一番気持ちい
い」
そして昔の、あの泣きだしそうな笑顔で笑うのだ。
「俺ってマゾかな?」
麻生はジリジリと胸を焼かれるような感覚に襲われた。それをさっき飲んだ酒のせいにして、否定してしま
えればどんなにか楽だろう。
「ああ…お前マゾだよ」
もはや麻生は自分がどんなに顔を歪めているかにも気付かなかった。ただ山内の胸にしがみ付いて嗚咽
を洩らすだけだ。そして山内もその泣きじゃくる赤ん坊を愛しそうに抱き留めてやるばかりだった。
「…泣き虫」
一生離れられはしない。
十年前のあの日、猛暑の中ですべての歯車が狂いだしたあの夏の日から、二輪の歯が落ちていくことは
決まっていたのだから。
どうせ堕ちるなら二人がいい。その方がずっと深くまで堕ちてゆける。
ただそれだけ、それだけのことなのに。
麻生は頬に冷たさが触れるのを感じた。
涙が…涙が止まらないのは何故なんだろう… <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/06(金) 13:01:47 ID:ln4bJo5b<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ちょっと暗すぎた
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ;)
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/06(金) 13:09:01 ID:sif2Ur8m<> >>425
大好物カプキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!
変態組長(スマソ)がエロすぎです。
かなりいい布教材料だと思う。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/06(金) 14:22:19 ID:w5D+u2hw<> >425GJ!
原作大好きなだけに読めて嬉しいよ。
凄いいい布教作品だと思う。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/06(金) 15:34:51 ID:m8euzxHE<> 密林でポチッとしてきました。
原作読んでからまた読ませていただきます。

棚のおかげで日々新しい萌えに出会えるよ。
書き手の皆さんありがとう。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/06(金) 17:32:15 ID:HQ8HM0GD<> うわあ〜…
私全然作者さんじゃないけど
>>435みたいな書き込み見たら嬉しくて泣いちゃうわ
良かったね〜本当に良かったね〜! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/06(金) 21:31:07 ID:v2+Lb8Zz<> 下町姐さん、ありがとう&お疲れさま!
いつもドキドキしながら読んでました。
全作素晴らしかったです。
また気が向いたら、書いてください。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/06(金) 21:33:07 ID:lWx/TtQ+<> >>425
>>425
今、アマゾンでレビュー読んで驚いた
美しい男妾あがりのヤクザって、これなんてBL?
布教ありがとう!

腐女子のために
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/06(金) 21:34:30 ID:lWx/TtQ+<> 一番上と一番下の行は
消し忘れです。スマソ

腐女子のためにあるような小説だ、みたいなことを
書こうとしてた(恥 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/06(金) 21:51:56 ID:7PvN2tX6<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    | エネッチケーでやってたドラマ「ときお(←実際はカタカナ)」の話
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| 時男→匠だってさ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 萌えに才能が追いつかず
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) かなりビミョンだけど許せ!
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
《注》
ネタバレ含みますので注意してください
役者が蛇なのでソレが苦手な人はヌルーして下さい…初投稿です… <> 1/2<>sage<>2006/01/06(金) 21:52:44 ID:7PvN2tX6<> 「なあ、お前さ、一体なんなんだよ。」

匠さんはそう言うと、うっすら黴臭い安ホテルの布団に倒れ込んだ。
着慣れていないせいか、どうしてもだらしない感じに見える浴衣から
彼の細くて白い足が肌蹴て見える。
それに僕がドキっとした事は、多分彼に悟られていないはず。

「こんな駄目男に付いて来てさぁ…しかも変な事に巻き込まれてるのに逃げねぇし。
家出だかなんだか知らないけど、金ならないぜ?」

そう言いながら、匠さんはもぞもぞと身体を動かしてる。
タバコを探しているのだろうが、残念だけどそこには無いよ。
タバコは身体に悪いんだから。
これは貴方がこの先言う、未来の言葉。

「そんなの知ってるよ。金が目的なら僕だってもっと人を選ぶし。それに…」

それに

「お前、ガキのくせにズバズバとよく言うよなぁ。」

匠さんは呆れたと不機嫌ともとれる顔をこっちに向ける。
何故か僕は居た堪れなくなって
それを拒否するかのように顔を背けた。 <> 2/2<>sage<>2006/01/06(金) 21:53:42 ID:7PvN2tX6<>
「そうかな。」
「そうだよ。」

匠さん。
僕は、

「ん?そういや、なんか言いかけた?お前。」
「いや?そうだ、匠さん寝たら?僕起きてるから。」

そう、普段より少し大きな声と早い口調で言葉を言い終えた僕を見て
匠さんはすこし怪訝な顔をしたけど、実は結構眠かったらしく
「悪いな」と呟いて、大きな欠伸を一つしてから目を閉じた。

匠さん。
僕は、
漸く貴方に出会えたんだよ。

だんだんと聞こえてくる小さな寝息と、それに合わせて揺れる小さな肩。
いいチャンスかもしれない。後でキスでもしてみようか。

窓から空を見上げると、気味の悪い赤く光る月が
嘲笑うかのように僕を妖しく照らした。


「会いたかったんだよ…お父さん…。」 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/06(金) 21:54:32 ID:7PvN2tX6<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 本当に失礼致しました…
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ;) しかも微妙な長さですいません…
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 00:07:44 ID:UQYHs1Kt<> え?(゚Д゚ ≡ ゚Д゚)つ、続きは? (*´Д`)ハァハァ <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 00:13:45 ID:WjMUrdeI<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  オリジナル年下攻×ヒステリック受らしいモナ
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  砂漠シチュってどーなの?
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゜Д゜ ) キセツハズレモイイトコ…
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 00:15:12 ID:WjMUrdeI<> 照りつける太陽光線と地表で熱せたれた空気で、頭がふらふらする。
足元を吹く風すら熱くて話にならない。
俺達は砂漠の異国を歩いている。

「あちーよ」
今日何度目かもわからない泣き言をもらすと、相手はハイそうですね、と
振り返りもせずに生返事をした。
前を歩く男の首筋はうっすらと汗でしめっている。
小一時間前から俺の分の荷物も背負っているので、体力的にはつらいはずだった。
しかし、ことさら暑さがこたえているようには見えない。淡々としたペースで歩いていく。

俺はそれについていくだけで精一杯だ。みっともないことに、手ぶらなのにもうへろへろだった。
日本との時差や気候の違い、慣れない食事などが原因で、俺は宿を出発する前から疲れていた。
畜生、あいつ何だって平気なんだ。悔しさがこみあげてくる。むかむかして、突発的に怒鳴った。
「あちいっつってんだろ!」
きょとんとした顔で男は振りかえり、立ち止まった。
「暑くて死ぬ。水飲まなきゃ死ぬ」
俺が強い口調で言うと、男は困惑したような表情を浮かべた。
「水って……もう飲みきっちゃったじゃないですか」
数十分前、男の制止を振り切って水筒の中の水を飲み干したのは俺自身だった。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 00:16:36 ID:WjMUrdeI<> おまえの水出せよ」
「ありませんよ」
「嘘つけ」
「本当ですって。野々山さんつらそうだったから、途中で俺の水野々山さんの水筒に移し替えてたんです。
さっき野々山さんが飲んだので終わりです」
そう事もなげに言われて、俺は言葉につまった。
じゃあもっと真剣に止めとけよ、勝手に何やってんだ、俺のせいにするつもりか――。
ひどい台詞はいくらでも思い浮かんだが、どれも心とは離れた言葉だった。

言いようがわからずうつむいた俺に、男は笑いかけた。
「そんな顔しないでください」
耳元で囁かれ、なんとなしにそういう雰囲気になって、キスした。砂漠のど真ん中でなにやってんだと
頭の片隅で思う。でも暑いからもうどうでもいい。乾いていた唇を男が舐める。
舌を伝って、男の唾液が口内に入ってきた。思わず喉を鳴らして飲み下すと、それを見計らったように男は離れた。
「気休めですけど」
その言葉で初めて男の意図に気付いた。雰囲気も何もない。
「ハッ、気休めにもならねえよ」
俺はぷいと横を向いた。舌打ちもした。

男は意に介すことなく、再び進行方向を向いて地平線を眺めた。両手をひさしのように額に当て、目を細めている。
「あぁ、どうやら野々山さんが死ぬ前に街にたどりつけそうですよ」
「……おまえ、着いたら速攻で水汲んでこいよ」
男はもう歩き出していた。俺もだるい体を引きずって足をすすめる。あつい。太陽光線も、地熱も、空気も、風も。
だから俺の顔まであついのだ。
「野々山さん」
「あ?」
「気休めが必要ならいつでも言ってください」
「いらねえ!」

俺達は砂漠の異国を歩く。まもなくたどり着くであろう街を目指して歩いている。
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 00:18:45 ID:WjMUrdeI<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 萌えツボが自分でも
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ;) よくわからなくなってきた…
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   | <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 00:32:44 ID:5PmQSkzl<> >>445-448
受けが個人的に萌えてるコテハンとそっくりで萌えた… <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 00:34:33 ID:/00aIjXm<> >>448
元ネタがわからないけどGJ!禿萌えました。
とっても気になってるのでヒントをお願いします。

他にも過去に気になるものがあったので、よろしければ
これから落としてくれる他の姐さんも最初のリモコンの所で
何かしらヒントをいただけると有難いです。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 00:35:30 ID:XaTIkUrp<> >>450
オリジナルらしいよ <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 00:36:23 ID:6ErbTOrh<> >>450
作者じゃないけどオリジナルって書いてあるじゃん… <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 00:45:22 ID:TPQ+I9gE<> >>440
卜キオが……!
またドラマ見たくなったよ。GJ。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 00:46:05 ID:/00aIjXm<> ゴメンナサイ。
なぜか年下攻の存在だけオリジナルなんだと思い込んでた…
とりあえず受けの水汲みの妨害をしに逝ってきます。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 00:48:27 ID:WjMUrdeI<> >>450
一応ナマモノのモデルはいるんですが、
捏造に捏造を重ねてるのでほぼオリジナルです…
ヒントって感じじゃないんですが↓のスレをどうぞ
http://that3.2ch.net/test/read.cgi/gline/1117336859/l50 <> 450<>sage<>2006/01/07(土) 01:17:06 ID:/00aIjXm<> >>455
ヒントのお陰でイメージが広がりました。あぁ、野々山さんが…!
これで妄想に浸れそう。d! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 01:25:41 ID:Yji3R5vV<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  金8六期の正×広文
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| ちょっと茨の香り
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 01:28:32 ID:Yji3R5vV<> 「た、こ、や、き。あ、けど正んとこ入れんのかな」
まあ確かめてみるしかない。

ピンポーン。

ガタゴトガタッと物音がした。どれだけ散らかってんだよ。
ドアが開いたような音がして、奥から正が出てくる。
「あ、入れよ」
「正、その顔」
思わず口からそんな言葉が出た。出てくるまでは暗くて目と口くらいしか見

えなかったけど、俺の前に居る正は、傷跡だらけだ。
「別にいんだよ、これは。全然痛くねえ」
「あ、そう」
滅茶苦茶痛そうやん。
でも正が念を押すような顔で言ったから、とりあえず納得…は出来なかったけど、返事をした。
正の部屋には鳥が一羽、ちっさなかごの中に入っていた。あとは色々、正の物がつめこまれている。
「たこやきたこやき。美味いよ」
座る場所も落ち着いて、正も座った頃に出した。正はなぜか正座している。
「いいから」
え、あ、たこやき嫌いとかか。あそっか。え、何で顔近づけて。
「ん」
すぐに正は離れた。
ちゅってしたな。 ちゅ? キス? 俺はやっと状況が分かった。
「っんだよその顔」
そう言う正の顔は、真っ赤だった。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 01:30:17 ID:Yji3R5vV<>  ____________
 | __________  |
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 終わりです
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   | <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 01:44:37 ID:BFkGi/ff<> >459
ちょ、ま、鼻血…ティッシュティッシュ! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 02:09:58 ID:4k0McgVu<> 遅レスだけど
>>382のシンゴとヤクマルに禿げ萌〜!!!!!!
切なさが蘇ってきます

シンゴがまたそのまんまな心情を原作で出してるから
ほんと切なス(;;)
補完してくれてありがとうです>>382姐さん <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 04:49:04 ID:PlFDugmk<> ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 需要は全く無いと思いますが…
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ;) 某劇団座長&元演出助手のお話。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 04:51:20 ID:PlFDugmk<> 『俺とクドウの関係?まぁお互いに、カミさんがいるっていう立場なんだけどね。
恋とか愛とかって理屈じゃあないのよ。恋という字を書こうとしたら変っていう
字になりました…ってのはフラワァーカンパニーズなんだけど、まぁその通り
なんですよ。恋愛ってそんなモンなんですよ。自分の中で発酵しかけてた
既成概念を覆すもんなんです。』…間抜けなインタビュアーに答える形式に似た
言い訳ばかりしている己の頭の中をじっくり考えるだに、死にたくなる。
俺は脳みその髄まで生き急いでる仕事人間なのか、と。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 04:52:49 ID:PlFDugmk<> 「クドウ、お前時間大丈夫なの?」
「多分大丈夫です。アンタとこんな風にイチャついてる時間くらいはありますよ。」
「…さっさと仕事に行け。売れっ子作家さんよぉ。」
「そんなこと言って素直に俺が出てったらイヤな気分になる癖に。」
「そんな事ねぇよ。」
「物書き同士ってのは因果なもんですねぇ。お互いやりにくいったらありゃしない。」
「ローションあるからヤり易いだろ?」
「そういう意味じゃなくて。」
「冗談だよ。」
事務所の固い机の上でコトを終えた俺とクドウは、憎まれ口とも睦言とも
取れない会話を交わしていた。固いスチール机の上でヤった所為で
至極腰骨が痛い。クドウの間の抜けたニヤニヤ笑いが憎い。
身体がキツいのは、他の誰でもない俺様だ。
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 04:53:44 ID:PlFDugmk<> 「キモチ良かった?」
「誰に向かって口きいてんだてめぇ。」
「マツヲスズキ様ですよ…って、Hの最中は可愛かったのにねぇ。」
「エッチとか言うなバカ。恥ずかしい。」
「セックス、性交、まぐわい、エトセトラ…」
「死ね。いっそ死んでしまえ。」
身体の痛みが言葉に表れているのだと思う。どうしても口調が辛辣になる。しかめ面のまま煙草に火をつけようと乱れた衣服を直そうとしたら、
クドウに腕を掴まれた。
「…何だよ。」
「服着ないで下さい。まだ。」
「こんなオッサンのたるんだ身体見て何がおもしろいんだよ。」
「いや、もう一回くらいヤれる時間あるかなぁと思って。」
「あぁ!?お前まだヤんの!?」
「ヤってもヤっても足りませんよ。俺まだまだ若いし。」
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 04:55:50 ID:PlFDugmk<> 真面目な顔をしたと思ったら、いきなりの下ネタだ。どうしようもねぇと顔を背けて無視しようと思ったら、
強引に顎を掴まれて向き合う形に持っていかれた。
「あんたね、自分がどれだけイイ身体持ってるか知らないんでしょ?」
「知らねぇよ。」
「滑らかな…まぁ毛は生えてるけど…肌に、感じ易い薄い皮膚。」
「頭にはそれ程毛ぇ生えてねぇけどな。」
「んなこたぁ関係ないっつの。とにかく、イイんですよ。アンタの身体。」
「………身体だけかよ。」
「んにゃ、身体以外も…って言わせないで下さい。」
「気持ち悪ぃ。さっさと仕事に行け。」
「俺は、本気ですよ。」
何が本気だ。
「じゃあカミさんと別れちまえ。」
「それは別です。アンタも別でしょ?」
「……別だけどよ。」
嗚呼、矛盾をはらみまくった不毛なループ&ループの会話よ。
だらだらと時間は過ぎていく。時は金也、昔の偉人はうまい事言ったもんだ。
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 04:57:03 ID:PlFDugmk<> 「そんな事言う口だったら塞ぎますよ。」
「塞げるもんなら塞いでみやがれ。」
「え、いいんですか?」
アホなクドウは即座にバックルをかちゃかちゃいわせたので、
俺は慌ててそれを止めた。
「バカ!」
「え、そういう意味じゃないんですか?」
「気色悪ぃボケかたすんな!」
「色キチガイと言って下さい。」
至極真面目な表情に、こっちの頭が痛くなる。色ボケにも程がある。
「………お前、ファンが泣くぞ。」
「泣きたきゃ泣けばいいんですよ。俺泣かせるのも嫌いじゃないし。」
「…それ、ダブルミーニングだろ。」
「気のせい、ですよ。」
気のせいならば、そんな顔をするな。エロ野郎め。
射精した直後か。中学生男子か。
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 04:59:46 ID:PlFDugmk<> 「あ、やべ時間ギリギリだ。俺行きますわ。」
「さっきからさっさと行けっつってるだろ。」
「じゃあ、行ってきます。浮気しないで下さいね。」
「…しねぇよ。する体力も気力もねぇよ…」
ぼそりと呟くと、今度こそ俺は煙草に火をつけた。白い室内に紫煙が広がり、
俺の視界をぼかした。…そう。今俺の視界がぼけているのは、煙草の所為なのだ。


「…どーしてこーなっちゃったかね…俺はよぉ。」

誰にもわかるはずがない疑問を延々と考えるのは、少しばかりキツい作業だ。アノ音をかき消す為に
付けっぱなしになっていたテレビの中では、若手のお笑い芸人が何やら好き勝手に
痛いだの止めてくれだの叫んでいる。


…俺も叫びたいよ。


え、何をかって?

詳しくは何か知らないけど、アイの言葉とかウラミツラミの言葉とか色々。


まぁ色々叫んでも、全部がリセットされるわけじゃないんだけど。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 05:01:26 ID:PlFDugmk<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ PLAYとSTOP間違えた…orz
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 06:04:02 ID:VMHGKxVf<> >>462-469
朝っぱらから禿萌えた
言葉のやり取りがツボです
GJ! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 12:08:38 ID:6ErbTOrh<> >>462
萌えたー!萌えたし姐さん言葉選びが上手い!
本気を誤魔化すのが上手くなりすぎた親父の純情って感じでどこか切ないのもイイ。
姐さんの他の作品も読みたくなりました。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 12:35:05 ID:I+tEwUKC<>  ____________     
 | __________  |     古.畑ファイナル第二夜の弟→兄
 | |                | |     過去捏造とかしてるので注意だよ
 | | |> PLAY.       | |     ――――――v――――――――
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 古.畑ファイナル第二夜 弟→兄 1/6<>sage<>2006/01/07(土) 12:35:46 ID:I+tEwUKC<>
彼は俺のヒーローだった。

――貴方にお父さんができるの。
――お兄さんもできて、これからは四人家族になるのよ。
母親に連れられて初めて顔を合わせた日、大人二人がどうやって俺達を打ち解けさせようかもぞもぞ
しているのを察したのか、彼は僕の手を引いて、近くの空き地に連れて行った。
こっちは幼児だったが、向こうはもう中高生だ。母親違いなどという複雑な事情を理解したうえでの行為
だったのだろう。
俺が不思議そうな顔をしていると、彼は俺が初めて見る白いボールを手にして、ごく軽く投げて寄越した。
反応できなかった俺はボールをこぼし、慌てて拾いに行く。
「キャッチボール、知ってる?」
俺が首を横に振ると、彼はここに投げてごらん、と右手を出した。俺は恐る恐るボールを投げ返す。
ボールはとんでもない所にひょろひょろと飛んでいったが、彼は腕を伸ばして上手にキャッチした。
「ナイスピッチ」
そう言うと、彼は優しく微笑んだ。
言葉の意味は解らなかったが、その瞬間から、俺は「キャッチボール」と「兄さん」が、大好きになった。 <> 古.畑ファイナル第二夜 弟→兄 2/6<>sage<>2006/01/07(土) 12:36:38 ID:I+tEwUKC<> ◇

面会室に入ると、兄は腰を上げ、立会の看守に礼をした。看守が面会は三十分までですと告げる。
透明なアクリルの板に隔てられ、兄弟が向かい合う。
「こう尋ねるのもおかしいが、元気にしているか」
「動けないと身体がだるいよ……それより」
ああ、と兄は勢い込む俺を手で制した。
「代理人の人は対応に追われていてね、今日も来る予定だったんだが」
「そうじゃない、兄貴は」
俺の問いを理解するのに、兄は少し時間を要したようだった。一拍置いて口を開く。
「書類送検はされたんだが、不起訴になるかもしれない……
 古.畑さんが申し出てくれてね、普段は強く出ない人なのに」
「なら、良かった」
良かった――のかな、と兄は消え入りそうな声で呟く。良かったさと返し、アクリル板に規則的に穿たれた
穴を、何ともなしに指でなぞる。
一枚板を隔てただけで決して触れられない、このもどかしさは何だ?
会話が途切れたのを見て、看守がこっちに視線を寄越す。早々に切り上げられるのを防ぐために、兄は
とりとめもない事を話した。
マスコミの姿勢はどちらかといえば同情的であること。海の向こうでも騒ぎになっているらしいこと。あのデコ
の広い人は随分ショックを受けていたということ。
会話は核心――そんなものがあるのかも解らないが――に触れることもなく、面会の三十分間を上滑りして
いく。
この感覚は初めてではない。
それどころか俺はずっと、心の奥にある種の焦れる気持ちを抱えていたように思う。
兄と出会った日から、ずっと。 <> 古.畑ファイナル第二夜 弟→兄 3/6<>sage<>2006/01/07(土) 12:37:41 ID:I+tEwUKC<> ◇

不気味なほど月が暗かったことを覚えている。空を仰いだ俺は大きく息を吸って、自転車を漕ぎ出した。
もう夜道には人気がない。ぽつぽつと灯る街灯を便りに川沿いの土手を走る。
自転車を軽く軋ませながら走っていると、前方から誰かが駆けてくるのが見えた。
「兄貴?」
ばたばたと走ってきた兄が二十メートルほど前で立ち止まり、息を整えた。
驚いて兄の許まで行くと、彼は息を切らせながら片手を上げた。自転車を降り、並んで歩く。
「迎えに来て貰う年でもないだろ」
ああ、と兄は言い淀んだ。言い辛いことがあるらしい。解り易い人だ。
暫くああとかうんとか唸りながら、やがて兄は口を開いた。
「喧嘩、したって連絡があってな」
「殴り合ってはいない」
「それは」
「見てた奴等がびっくりして知らせたんだろうけど、大袈裟なんだよ」
街灯の灯りが途切れ、足許が暗くなる。

俺達が兄弟になって十年ほど後。キャッチボールも知らなかった俺は高校球児になっていた。
兄は補欠ながら甲子園に進んだものの、野球を続けることを選ばず、卒業後に警察官になっていた。
俺は本格的に野球に入れ込み、毎日のトレーニングと自己管理で少しずつ確実に実力をつけていた。
今日もグラウンド整備の後に残って走り込みに加わっていると、顧問の教師が声をかけてきた。
――継続と努力はいいことだ。
――その上お前は結果を出している。
――兄さんとは違うな。

言われた途端、身体がすっと冷え、直後熱くなった。
教師の許までずかずか歩み出て、真正面から向き合う。手を出すことはしなかった。
余程俺は怒りに満ちた表情をしていたのだろう。周りにいた仲間が驚いて俺を止めた。教師はぎょっとした
顔をしていたが、何も言わず慌てて離れていった。
自分を取り戻すまでに、数秒掛かった。
腹が立ったのだ。自分でも信じ難いほどに。 <> 古.畑ファイナル第二夜 弟→兄 4/6<>sage<>2006/01/07(土) 12:38:24 ID:I+tEwUKC<> 「先生も、一体どこで兄貴の話を聞いてきたんだろうな」
俺が軽く言うと、兄は複雑な表情をした。
「お前は優秀なんだ、将来はプロにだってなれるかも知れない……今学校と諍うことは避けろ」
「だから諍ったわけじゃないって。 兄貴を悪く言われたんだ、黙ってられるかよ」
「俺のことなんかでそう憤るな」
「なんかって何だよ」
暗くて見えないが、兄が困った顔をしているのが解る。
「俺自身をどう言われようが構わない――けど、兄貴のことだから怒ったんだ」
ちかちかと瞬く街灯の下を通り過ぎる。兄は何も言わない。明滅する視界に、昂じる気持ちは勢いを増す。
兄は優しいので、例え直接悪く言われても強く言い返すことはない。それをいいことに好き勝手言う輩を、
俺はいつも苦々しく思っていた。
俺の兄貴を傷つける奴は、許さない。許せない。
この気持ちは、まるで――

「俺は、兄貴が」
「一.朗」
小さくも硬い声で遮られ、胸がびくりと震えた。
兄は眼を伏せたまま、悲しそうな顔で首を横に振った。
それを目にした俺は――酷く狼狽えた。
いつも真っ直ぐに、平静に保っていた筈の心が、動揺でぐらぐらと揺れる。
違う。
俺はそんな顔をさせたいんじゃない。

街灯の光が届かなくなり、再び辺りが暗くなる。
それから家に着くまで、俺達はひとことも言葉を交わさなかった。 <> 古.畑ファイナル第二夜 弟→兄 5/6<>sage<>2006/01/07(土) 12:42:15 ID:I+tEwUKC<> ◇

「あの刑事――古.畑さんは、俺が兄貴を救ったって言ったんだ」
つまらない話を遮って唐突にそう言うと、兄は古.畑さんが、と呟いた。
兄弟を隔てる一枚の硬い板。高校生の俺は、このアクリル板を無理矢理破ろうとしていたのかもしれない。
そして俺はその頃となにも変わっていない。
教師の言葉に憤った。郡.山を手に掛けた。ひとつだけ、嘘をついた。全ての動機は同じだ。
俺はずっと、恋にも似た思いをもって、ただ兄を守りたがるガキだった。兄を救えるなら、それでいいと
思っていた。
しかし――俺のこの思いが、兄の笑顔を消してしまうのだとしたら、俺は。
俺のしてきたことは。
「兄貴」
重たい口を開く。出ない声を無理矢理絞り出す。怯えているのか。

「……俺は、兄貴が好きだ」
今度は、兄は遮らなかった。
胸がぐっと緊張する。無理矢理、顔を上げる。今の俺は相当情けない顔をしているんだろう。
俺は、兄ちゃんを好きでいていいのかな。
声にならなかった。

少し間を置いて、俺の目にきちんと向かうと、兄はいつものように優しく微笑み、少しだけ頷いた。

憑き物が落ちたように、俺の肩からすっと力が抜けるのが解った。
この表情を守れたなら、何も悔いはない。
会話が途切れたのを見計らったのか、立会の看守がではそろそろ、と呟いた。
兄は立ち上がり、深々と頭を下げる。
促されて立ち上がり、退室しようとすると、後ろから兄が声をかけてきた。
「俺は、お前を待ってる」
「――……」
「お前とまたキャッチボールするの、楽しみにしてるからな」
振り向かずに、小さく頷いた。 <> 古.畑ファイナル第二夜 弟→兄 6/6<>sage<>2006/01/07(土) 12:43:08 ID:I+tEwUKC<> いつか、この透明な板を越えて向かい合えた時、兄貴にちゃんと伝えよう。
ありがとう、と。
そして、俺は兄貴の弟で良かった、と。

俺は心の裡で微笑んで、面会室を後にした。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 12:44:09 ID:I+tEwUKC<>  ____________
 | __________  |     お粗末様でした
 | |                | |     しかしあの兄弟愛は激しかったな
 | | □ STOP.       | |     ――――――v―――――――― 
 | |                | |           ∧_∧ 
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 13:02:55 ID:ZPOHZsnU<> >>472
うわあああああんGJ!GJ!GJ!
生まれて初めてスポーシ選手に萌えた矢先にアリがd!! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 14:28:58 ID:oTTGczDt<> >472
良質な兄弟愛をありがとうございました
ちょっと、目から汗が…(TДT*) <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 14:46:32 ID:ApqqxpS9<> 芸人板から来ました。
ダウンタウンwwwwwwwww <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 15:35:05 ID:t3TQ7P6c<> >>472
キタァァァァァァ(゜∀゜)ァァ( ゜∀)ァァ(  ゜)ァァ(  )ァァ(`  )ハァ(Д`)ハァ(;´Д`)ハァハァ
ありがとう!萌え氏にました_| ̄|○ノシシ <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 18:36:29 ID:FxXpGMIc<> >>472
もうdクス!!!!
メチャクチャ萌えさせていただきました・・・(´∀`*)アァン <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 21:08:48 ID:AW3sg1Nf<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  千国婆沙羅のグリ×ダテムネ
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  えろもおちもないけどな
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 婆沙羅 グリ×ダテムネ1<>sage<>2006/01/07(土) 21:09:34 ID:AW3sg1Nf<> 曇天の空、暗い室内には二人の男。
一人は上座でゆるりと煙管を咥え、一人はじっと向かいの男の挙動を見つめ続けていた。
時間だけが流れていくのに厭いた上座の男が細く紫煙を吐き出す。
「俺の顔に何かついているか?」
「あっ…いや、伊達殿は…その」
煙管を咥えた男――イ尹達正攵宗は慌てふためいて視線をひざ上に落とした向かいの男に
視線をくれると楽しそうに口角を上げた。
向かいに座る男に好いた、惚れたと何度も何度も言われ続け先だって
その想いに折れるように応えた正攵宗だが、応えた途端相手の男の態度が急変したのには驚いた。
目を合わせれば赤面し、触れ合えば身を硬くする。
今まで真面目くさった顔で何度も恥ずかしくなるような言葉を紡いできただけに、
その豹変振りは正攵宗の目に格好の獲物として映しだされていた。
当初、想いに応えたらそのまま突っ走ると思ったと呟いたところ
男は「伊達殿が某を想っていてくださるというだけで、胸がいっぱいになるでござる」と
見ているこっちが目をそらしたくなる表情で胸に手を当てながら答えていた。
(初心過ぎる…)
これからどうからかってやろうかとニヤニヤと笑みを浮かべた正攵宗の心のうちも知らず
目の前でうつむいていた男がちらりと顔を上げたので、
正攵宗は慌てて顔を引き締め不機嫌そうな表情を作った。それを見て男がまた口を噤む。
「早く言え」と急かしてみれば意を決したような必死の形相で男は叫んだ。
「伊達殿は!そ、某の…っ!」
「おまえの?」
「某の名前を、呼んでくれない…でござる、か?」
「…っ」
尻すぼみになる言葉を理解した途端、自分にとって分が悪い話の方向に進みそうで
正攵宗はしまったと小さく舌打ちした。 <> 婆沙羅 グリ×ダテムネ2<>sage<>2006/01/07(土) 21:12:01 ID:AW3sg1Nf<> 「『おい』『お前』伴天連の『ゆう』とやらでも夫婦のようで
 某的には問題ないでござるが…その
 こ、このような関係になってから一度も名前を呼ばれてないでござる」
「Ah〜…記憶違いじゃねぇか?」
どこか後ろめたそうな正攵宗にしょぼくれた犬、もとい男が悲しそうに正攵宗を見つめる。
「某が気づかなかっただけかも知れませぬな…しかし
 今一度呼んでくださらないだろうか…?」
実際、正攵宗は記憶違いだと言ったが向かいに座り期待に瞳を輝かせている男の名前を
呼んだ事はない。
今までに一度もない。
「…」
期待の目と沈黙が重苦しくて思わず逸らしたところで正攵宗は障子に写る影に目を留めると
その口元が再びにんまりと笑みをかたどった。
「イ尹達殿?」
障子から目を離し滑るように視線を向かいの男に向ける。多少の色も添える事も忘れずに。
途端男の顔が赤みを帯び正攵宗は思いついた計画がうまくいく事を確信した。
男が何か言おうと口を開いたところで正攵宗は小さく囁いた。
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 21:16:42 ID:AW3sg1Nf<>
「…ゆき」

それは暗い部屋に溶けたかのように音になってなかったが、その言葉を聞いた男が
ぶるりと震え目を見開いた。
その変化を見てから正攵宗は再び障子へと視線を投げた。
「…が降ってるな」
「イ尹達殿…」
恨めしそうな目で見つめられるがその絡む視線を振り切り煙管を置くと
立ち上がり障子を開けた。
冷え切った空気が肌を撫でていき白い吐息が漏れた。
「こりゃあ…積もるな」
そう呟けばいつのまにか背後に立っていた男を振り返る。
どことなく力なく降る雪を見つめている男を正攵宗は少しだけ、ほんの少しだけやりすぎたかと
反省し、「おい」と声をかけた。その声音に多少怒ったような響きが混じっており
男は慌てて居住まいを正した。
「つ、積もるならば某すぐに帰らねばなりませぬ!」
後ろ髪引かれる思いだとか、帰ってからも一日も忘れませぬだとか言い続ける男に
正攵宗は黙れとその頬を軽く張った。
正直面白くない。帰れという意味で積もると言ったわけではなかったのだ。
「泊まっていけ」
叩かれた頬を押さえ呆然とする男を畳へと押し倒し正攵宗は笑った。
「俺に名前呼ばせたいんだろ?」 <> 婆沙羅 グリ×ダテムネ オワリ<>sage<>2006/01/07(土) 21:18:45 ID:AW3sg1Nf<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ グリ村の名前すらでなかったが
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 気にしない
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

一個目伏せ忘れて二つ目から急いで変換しまくったよ_| ̄|○ゴメソ <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 21:43:54 ID:ttlXzoJm<> >485
GJ!萌えた!
ゆき…と言いかけて誤魔化すあたりとからしくてハァハァしますた! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 22:05:03 ID:z+aOCxQJ<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  歴史物。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  幕末組 山波×肘方
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 22:05:59 ID:z+aOCxQJ<> 肘方さんに泣かれてずいぶん経った。私たちはろくに口を聞いていない。
若先生の助言のとおりにしてみるも、若先生がしたときのみ効くものだったらしく、全く効果がなかった。
あの方が肘方さんからの特別な好意を正式に受け取らないうちに、手に入れてしまおうか。
そんな考えが、私の脳の片隅に生まれた。想い合っていることは確かだが、まだ行動に表したことはないようだ。
今奪ってしまえば、若先生の勘違いだったということに出来るかもしれない。
「いいでしょうか」
小声で言っても、小さな灯りからは何の返事もない。
寝ようと布団をかぶったところで、浮かぶのは前に見た赤い目だけだった。
起きても眠れた感覚はなく、空を見るとまだ夜明け前で、青黒くほの暗い。

私はため息をついて袖の乱れを直し、ふと気づいた。寝不足で、痩せている。
元々痩せ気味だと分かっていたが、前よりもいたたまれない細さになっている。
見ているうち、空は東から順に暖かい色に染められていく。
それは肘方さんが句をひねるかと想うくらいの景色だった。何を見ようとも、あの乱れた着こなしの姿が思い浮かぶ。
最初は、言ってしまえば気に入らなかった。
荒々しく、論というものを知らない人物だという感じが強かった。
日に日にその愚かさと共にある素直さに苛立ちつつ、惹かれていく自分に気づいた。
出来るなら一生胸の奥だけに、という試みは容易に崩された。婚礼の日が原因だ。
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 22:07:10 ID:z+aOCxQJ<> 婚礼の日を思い出すと、後悔ばかりが沸いてくる。
置田くんたちと共に儀式を覗く姿は、少々行儀が悪いが、無邪気な喜びが垣間見られた。
良くも悪くも彼らしいところを見て、私は苦笑して通り過ぎた。
いつのときでも幼馴染のめでたいことは喜ばしいもので、そこに説教はいらない。
その後、慌しい事も終わり、食客たちだけで酒を交わしていた。
話は若先生の婚礼の話からご新造さんの話、自分たちの恋愛の話と移り変わって行く。
私は大分飲みすぎたと省みて、外の風を浴びに出た。
月だけが頼りの暗い庭を見回す。肘方さんは食客たちの中に居なかったことが気になり、静まり返った中で心配になっていた。
ぱしゃ、と水の跳ねる音がした。
耳をすませて井戸へ近づいていくと、暗い中でも白いきれいな顔が視界に入った。
自ずと言葉が出てしまうくらい魅せられたのを覚えている。
「なぜ来なかったのですか?」
俯いて、赤い目が覗く顔を見れば、余程鈍感でなければ分かるはずだった。
思う以上に酒に酔わされていたのだと思う。
つー、と伝う涙を見るまで、私は何も気づかずに肘方さんの返事を待っていた。今思えば愚かで、恥じ入るばかりだ。
私は、俯いて泣く肘方さんを部屋に入れて座らせた。
そのとき私は完全に酔いは醒めたものと思い、嗚咽を漏らす肘方さんの背中をさすり続けた。
少しおさまったところで、息苦しいのか肘方さんは肩で息をしていた。
「かっちゃ…ん」
このときほど、細かい性根を嫌だと思ったことはなかった。
頭に血が上るようで、気づけば壁に押しつけていた。
それでも未だ肘方さんの目はうつろで、真っ赤な目をしていた。
欲と嫉妬は、自覚のない酔いによって増していたらしい。
私は食客たちの集まりに戻らず、部屋で一夜を越した。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 22:07:48 ID:z+aOCxQJ<> せみの声がうるさくなった頃に、肘方さんは目を覚ました。もう目は充血しておらず、いつもの目に戻っていた。
私の姿を見ると、肘方さんはまた涙を流した。
しかし、井戸に居たときとは違い、拭って隠そうとした。
目をこすりすぎるからか、みるみるうちに目は充血していった。
涙を拭いながら、肘方さんは着る物全てを掴み、着替えを済ませた。いつもに増して着方は乱れていた。
「何で来なかったかなんて、あんたに知られる筋合いはない」
ぴしゃりと戸を閉められ、私は一人取り残された。
それきり、今までずっと口を聞いていない。
後悔の念で落ち込む私をしりめに、辺りはすっかり明るくなっていた。
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 22:08:53 ID:z+aOCxQJ<>  ____________
 | __________  |
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ありがとうございました。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   | <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 22:13:32 ID:+cWPcWds<> リアルタイムキターーー!
乙です。
赤い目の復調萌え。
懐かしの三男さんですね。続編でも言及されててよかったですよね。

また書いてください!! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 22:26:07 ID:zk/zML8q<> >462-469
姐さん、GJ!
萌えさせていただきました。
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 22:54:03 ID:WjMUrdeI<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    | >>445-448の続きモナ
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  今度は攻め視点らしいよ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) カタリナゲーヨ
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 22:55:04 ID:W7Emtync<> >>472
すごい
そのまんまだ
そのまんま。
すごい。すごい!!gj! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 22:55:20 ID:WjMUrdeI<> 冷たい水を湛えた小型のたらいを抱えて待ちあわせ場所に戻ると、彼は日干しレンガを
土で塗りこめて作られた壁にもたれてへたりこんでいた。俺が戻ってきたことにも気付かず、
下を向いてぼんやりとしている。
顔が青白い。あぁ、無理をさせてしまった、と思う。
「野々山さん、水」
しゃがみこんで声をかけると、彼の目が強く光った。顔色に反して目はぎらぎらと輝いていた。
彼はすばやく俺の手にあったたらいを奪いとり、その縁に直接口をつけて水を流し込んだ。
いや、流しこもうとして――盛大に吐き出した。
「おまっ、これ……!」
激しくむせているので、背中をさすってやった。咳が止まらなくて、彼の目じりに涙が浮かぶ。
苦しげな呼吸の合間をぬって、彼は抗議の声を上げた。
「これ水じゃねえ!」
「塩が入ってるんですよ」
「はぁ?!」
彼は顔をしかめた。子どもを諭すように俺は話す。
「汗いっぱいかいたから、ただの水じゃダメなんです」
「普通の水でいい」
「飲んでください。体調くずしたら大変ですから」
彼は何か言いたげに俺を睨みつけたが、体が水分を欲しているのだろう、普段と比べたら
ずいぶん素直に塩水を飲んでくれた。たらいを空にして、口元を乱暴に腕でぬぐう。
「しょっぺーよ、余計に喉乾くだろこれ」
不満そうに言うので、水筒を取り出して彼に手渡した。
「これで口すすいで。真水ですから」
彼の眉間に一段と深いしわが寄った。
「じゃあ最初からこっち出せよ!」
「だから水分だけとると逆に危ないんですって」
彼は舌打ちしながら水筒の蓋を取り、口に水を含んだ。だいぶ気が立っている。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 22:55:54 ID:WjMUrdeI<> 「いっぱい飲んでください。あっちに水汲める所見つけたんで大丈夫ですよ」
返事は返ってこなかった。いつものことなので俺もたいして気にしない。
俺の言動のうちの何が彼の怒りのスイッチを押すのかは、長年一緒にいて大体わかっていた。
(彼は生来感情の起伏が激しいのだ。)怒り方も、忘れ方も、許し方も知っている。
この程度なら小一時間も経てば機嫌は直るはずだ。俺はその間、余計なことはせずに
待っていればいい。
隣に座って、壁にもたれて話しかけた。
「野々山さん、俺、ここに来て良かったです。初めて父親の生まれた国に来て、正直色々と
わだかまりもあったけど、砂漠の中歩いてたらなんかどうでもよくなりました。
暑くて喉も渇いて、つらいはずなんですけど、俺、砂漠嫌いじゃないんですよ。
知らない景色のはずなのに、懐かしいというか、やけに自分になじんでくるんです」
はなから返事は期待していなかった。でも彼は聞いてくれている気がした。ただ、自分が
感じたことを彼に伝えてしまいたかった。
「俺ね、小さい頃はガイジンだーって周りの子に苛められてて、なんで自分の父親は外国人
 なんだろうとか、自分は日本人じゃないんだろうかとか、うじうじ悩んでたんです。
 まぁ日本人なんですけど。中高入ったら逆にハーフってだけで女の子が寄ってくるから
 得した部分もあるんですけど、やっぱりこう、ニュースでちらっとこういう風景が映ったり
 するだけで胸がざわめくんです。思春期でね。自分でもよくわからなかったんですけど、
 この国に対する思いっていうのは……憎いと言えば憎い、でも、うん、今思えば行ってみたい
 って思いも多少あったのかなぁ」
しゃべりすぎたかと思って彼の方を向いた。目が合ったけれど、先にそらしたのは彼の方だった。
目を伏せて、少しの沈黙の後、彼が口を開いた。
「俺も外人扱いしてたしな」
珍しく殊勝なことを言うので俺は驚いた。確かに出会った頃は彼に散々嫌味を言われて、
まだ子供だった俺は幾度も陰で泣いたものだった。
彼はその時のことを思い出しているのだ。今の俺のために後悔しているのだろうか。
当時は彼が大嫌いだった。彼が俺のことを毛嫌いしていることが明らかだったから。でも―― <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 22:57:24 ID:WjMUrdeI<> 「でももう良いんです。たぶん俺はこの国が好きだし、もちろん日本も好きです。
俺にとってはどっちも代わりなく大切な場所なんです。砂漠を歩いてる時、野々山さんが
いてくれて良かった。うまく言えないけど、野々山さんがいたから素直に受け入れられた
ような気がするんです」
灼熱の中で、今までの複雑な思いも、好きも嫌いも全部通りこして、ここは自分の場所だと
感じたのだ。振り返れば焦がれた人がいる。
この場所に、この人と共にいることが嬉しかった。
彼はじっと俺を見つめていた。その黒い瞳には砂漠の街が映りこんでいる。
きっと彼から見た俺の茶色い瞳にもこの街は映っているのだろう。
「途中、危うく涙出そうでした。見られるの恥ずかしいからどんどん先歩いちゃって、
すいませんでした。キスしたのも、本当は俺の勝手です。気休めなんてのは言い訳です。」
そこまで話して、口の端だけで笑ってみせた。彼がこの顔に弱いことを俺は知っている。
「野々山さん、ありが……っ!」
言い終わる前に口を唇で塞がれた。すぐに舌を差し入れられた。口を開いて招きいれる。
角度を変えてもっと深く交わろうとした。キスの時、彼の舌は恐ろしく器用だ。
尖らせてつつくような動きも、柔らかくくすぐられる動きもたまらない。
俺も舌を絡めて応えた。彼の好きな部分を舐めあげると、彼は小さく鼻を鳴らした。
口の中がわずかに塩辛かった。
こんな行為を信心深い現地人に見られたら、大変なことになるだろう。わかってはいたが、
止められなかった。彼の息が続かなくなったところで、ようやく唇を自由にされた。
「これは俺の勝手」
どこか得意げな彼の言葉に、今度は素直な気持ちで微笑んで、彼の赤くほてった頬を
手の甲でさすった。
「野々山さん、血色戻ってきましたよ。良かった」
彼は、うざい、と一言だけ言って俺の手を払った。どうやらまだ完全に機嫌が直った
わけではないらしい。しかしその払い方は決して乱暴なものではなかった。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 22:58:29 ID:WjMUrdeI<> 空になっている水筒に気付いて、水汲んできましょうか、と尋ねた。
「あぁ、頼む」
まあ、うちの王様は短い返事をするくらいにはゴキゲンなわけだ。いい兆候だと思いつつ、
腰を上げて水場に向かって歩きだした。頭の中で、今日の夜のことを夢想する。小奇麗な宿を
とって巧くなだめすかせば、最後までもっていけるだろうか。
先程のキスですっかりその気になってしまった俺は、かなり際どいことまで考えていた。
「悠!」
大声で名を呼ばれて振りかえると、彼が追いかけてくるのが見えた。
少し離れた距離から、俺も行く、と告げられた瞬間、この砂漠の国に雨が降るのでは
ないかと思った。これは本当に最後までいけるかもしれない。
にやつきそうになる顔を抑えて、駆けよってくる彼が隣に並ぶのを待った。
彼がいれば、どこだって俺の居場所になるのだ。そんなことを考えたが、本人に言う気は毛頭ない。
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 22:59:07 ID:WjMUrdeI<>
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 正直終わらせ方がわからなかった
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 今は反省している
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   | <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/07(土) 23:07:33 ID:W7Emtync<> >>499です
割り込んでしまって大変申しわけありませんでした!!

昨日も書き込みましたが、野々山さんが個人的に好きなコテハンにそっくりで
大変萌えますた。わがまま女王受け最高です。gj! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 02:04:25 ID:OqjDlU97<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  木10ドラマ大/奥より柳澤×ツナ吉
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  エロ有り。しかもオチてない
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 02:05:00 ID:OqjDlU97<> 「上/様、もっと足を開いて」
「あ…ぁ、柳澤……」
「ほら、挿れますよ。ご自分で好きにしなさい」
膝を折った彼の上に座る様促されるが、硬くそそり立った彼の性器を自ら受け入れる事をどうしても躊躇ってしまう。
私が腰を下ろそうとしないのに苛立ちを感じたか、彼は厳しい声で私をたしなめた。
「良いのですか?ここで止めても。
 私はいっこうにかまいませんが、それでは上/様がお辛いでしょう」
「柳澤……儂には出来ない、手を貸してくれないか………」
哀願する様に彼の目を見つめるが、眉ひとつ動かす気配は無い。
温度を感じさせない瞳の奥では、まるでおぞましい物を見るかの様に
私は映っているのだろう。欲にまみれた卑しい己の主人が。
彼はぞっとするような優しい声色で囁いた。

「抱いてやるから、早く来いと云っているのです」
もうこれ以上の論議は無用だろう。
彼が私を抱くのは、私が望んだから。
当然優しく労る義務は無く、そこに愛など無い。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 02:06:10 ID:OqjDlU97<> おそるおそるあと僅かという所まで腰を落とすと、
突然腰を掴まれ一気に貫かれた。
「あァぁあぁっ!!は、や…柳澤……!」
「力を抜いて」
「は……ンッ、……」
まるで刀を突き刺された様な衝撃に私はあえいだ。
不遠慮に私の中に捩込まれる熱いものに徐々に思考を奪われていく。

やがて彼の動きが止まり、その圧迫感を受け入れ息をつくと、彼が囁いた。
「見なさい、全部入りましたよ」
また ぞくりと肌が粟立つのが解った。
「あぁ、貴方には見えないのか。
さも嬉しそうに食わえ込んでいますよ、上/様の尻は」
そう言うと微かに動きをつけて内壁を擦られた。
もどかしくて堪らない。
「や なぎ…さわ、早く……」
だが彼はそれきり動きを止めてしまった。
刻がたつにつれ内部にある彼の性器の形がくっきりと分かる様になり、
焦れこそすれ私が萎えてしまう事はなかった。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 02:07:01 ID:OqjDlU97<> 強い快楽が欲しくて自ら腰を振ろうとすると、彼の手がそれを阻止した。
「勝手な事はしないで下さい」
「厭…もう…いきたい………」
仕様のない人だ、と彼は呆れた様に呟いた。
「上様、ここに竹/丸をお呼び下さい」
「た…けま、るを……?」
何故この状況で飼い犬を呼べなどと言い出すのか。
彼の真意は全く分からないかったが、言う通りにしておいたほうが
良さそうだという事は経験で解った。

「竹/丸、おいで」
声を振り絞ると、すぐさま廊下から足音が駆けてきた。
犬は寝屋に飛込んでくると、撫でて貰おうと私に頭を差し出した。
左耳をくすぐってやるとふるふると首を振る。

愛らしい仕草に今の状況を忘れかけた時、彼が低い声で言った。
「上/様。これから私が何をしても、大声をあげてはなりません。
云う通りにしないと、どうなっても知りませんよ」
え………?
私が返事をする間も無く、私の性器になにかどろりとした物がかけられた。
油だ。
するとそれまで大人しくじゃれていた犬は私の股間に顔を近付けてきた。
そして次の瞬間、犬は私を舐め始めた。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 02:08:41 ID:OqjDlU97<> 「う、わ………」
「静かにしないと、咬み切られるかもしれませんよ。
あぁ、でもそれも愉しそうだ。
上様が去勢なさったとしたら、この大/奥は一体何の為に在るのでしょうね」
声を殺す私の耳元で実に愉快そうに彼が喋る。
おそらく、それは本心だろう。
「ふっァ……やっ、あぁぁ………!」
「お静かに」
獣の執拗な愛撫は、長い事焦れた私の体に一瞬で火をつけた。
あまりにも強烈過ぎる快感に何度も許しを請うたが、犬に言葉は通じない。
もっときちんとしつけておくべきだったと後悔した。

「ねぇ上/様。あんな法令を発しておきながら、
飼い犬を慰みものにするのは如何なものでしょうねぇ。
世間には虐待ととられても仕方ない」
「ちが……わ、私は……」
「違う?何が?犬に舐められて喘いでいるくせに。気持ち良いんだろう?」
「あ…あ…柳澤ぁ……」
「ほらもう限界だ。良いですよ、達して。
貴方の大好きな犬に舐められて、はしたない人だ。
どうせなら、こちらにも犬のを挿れてあげましょうか」
彼はそう言って強く腰を打ち付けた。
「あ…あっあっ……んんーーッ!!」
二匹の雄に前後を攻められ、私は果てた。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 02:09:43 ID:OqjDlU97<> 顔をくすぐられる感触に目を開けると、犬が私の頬を舐めていた。
さっきまで性器を舐めていたその口で、と眉をひそめたが、
純粋な眼差しに心は安らいだ。

体を起こすと彼の姿は既に無かったが、それはもう慣れた事だった。
行為の最中彼が吐く暴言の数々も、一度たりとも口付けをしない事も。
どちらも私が命ずれば彼は従うだろうが、そんなのは意味が無いのだ。
出来るだけ彼の望む様、好きな様に抱かれたい。

何故これ程までに彼に固執するのか、自分でも不思議なくらいだ。
相手には不足しない身分だというのに、権威を笠に着せ部下に抱かれるなど…。

自分の異常さに気付き恐ろしくなった。
何か物の怪に取り付かれているのではと、屏風に映った自分の影を見つめた。
しかしそこには微かに揺らめく自分の形が黒く染め抜いてあるだけだった。
「人間というのは恐ろしいな、竹/丸……」
私の目には、色欲に溺れた一人の人間の闇が映っている。
「心まで欲しがるなんて、獣より余程たちが悪い」

それは、哀れな雄の成れの果て。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 02:11:10 ID:OqjDlU97<>  ____________
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 | |                | |           ∧_∧ 昨日突然エロ神が降りてきた
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
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<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 02:53:41 ID:ap93DqF9<> 遅くなったけど>>462姐さん、GJGJGJ━━(゚∀゚)━━!!! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 04:15:01 ID:0nWVsMjr<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  462です。マイドキュメントを整理してたら出てきました。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  荻萩のお話、暗めです。
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 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 04:16:41 ID:0nWVsMjr<> 「俺さぁ、死ぬ時は荻に殺されたいな。」

散々互いの身体を貪って、もう動けないってくらい疲れ果てて。
疲れてるとロクなことを思いつかない。不意に思い浮かんだ
言葉は口にすると酷く不気味な舌触りになって、二人の間を彷徨った。

「んー?腹上死?」
「バーカ。首しめんのでも、毒殺でもいーけどさ。」
「俺捕まるじゃん。」
「刑務所ん中で俺のこと思い出してよ。」
蛍光灯の切れた暗い部屋に、裸で二人っきりだからこんな気持ちになるんだ。
荻は穏やかに笑っているようだけど窓から入る見事な満月の光を持ってしても、
細かい表情は読めやしない。
「…暗い話に暗い部屋で縁起悪いねぇ。」
「うん、明日蛍光灯買いに行かなきゃ。」
明日と言わず今からでも、コンビニに行けば買える。そうは思ったものの、
動くのが億劫なのでそんな考えは無いことにした。荻も、何も言わなかった。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 04:17:22 ID:0nWVsMjr<> 「蛍光灯と電球間違えるなよ。」
「何処の誰がそれ間違うんだよ。」
「おー、ヤ萩今日月凄いよ。見て見て。」
「…お前の話はトぶねぇ。」
そうは言うものの本当に見事な月がぽっかりと浮かんでいたので、しばらく二人
無言のままぼうっと月を眺めてしまった。金色で、まん丸で、決して手が届かない。
それは遠いようで常に身近にある、何かを暗喩しているようだと思った。
「たまーにね、夢見るんだ。」
「夢とか見るの?」
「そりゃまぁ、人間だしねぇ。」
「どんな夢?」
「ヤ萩とヤってて、ずーっとヤってんだけど、いつの間にかヤ萩の身体が
足から砂になって消えちゃうの。ヤな夢でしょ。」
その砂は、願わくば、どこかの海辺に戻してほしい。咄嗟に思ったが、口には
しないでおいた。それは余りにロマンチック過ぎる。
「…疲れてんじゃない?」
「…かもねぇ。」
当り障りの無い返事を返しつつも、俺はぼんやりと想う。


俺の身体(元)を使って子供が遊ぶ。
俺の身体(元)の上でサーファーが休む。
俺の身体(元)の上でカップルが愛の言葉を囁き合う。
そして荻はたまに砂を抱き泣く。
…泣いて、くれるだろうか? <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 04:17:55 ID:0nWVsMjr<> 「ヤ萩。」
「何?」
「ずーっと考えてたんだけどさぁ、俺やっぱりお前のこと殺したくないわ。」
「うん?」
ついさっきしたばかりの話を思い出すのに、少しの時間を要した。若年性痴呆症、
というイヤな言葉が頭をふとよぎる。
「あのね、死ぬ時は二人で南極行くの。」
「………南極ってあの南極?」
「そうそう。んで、二人で凍死。これ良くない?」
「……………」
ひょっとしたら自分が思っている以上に、俺は荻に愛されているのかもしれない。
きっと砂になっても氷の塊になっても(尤もこれは二人ともだが)
荻は泣いてくれるんじゃないだろうか。
「すげぇ良い考えじゃない?」
「良いね。手ぇつないだまんま凍っちゃえばもっと良いな。」
「失楽園みたいだねぇ。」
「アレはちょっと…青酸カリは、ねぇ。」
「…南極の行き方、調べとこうか。」
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 04:19:01 ID:0nWVsMjr<> 微かな月の光が暗い部屋を照らす。
しんとした部屋にたゆたう淡い光は、希望の光と呼ぶには儚すぎて。

「んーん。まだいいや。後三十年くらいは。」
「ジジイ二人が仲良く心中かぁ。見つかったら何て言われるかねぇ。」
「そんなの関係ないよ。」
「あ、メガネ取ればいいんじゃない?そうしたら誰だかわかんないから。」
「メガネは顔の一部だからな。」


下らない会話をしている内に身体の疲れは少し引いていた。

明日は二人で蛍光灯を買いに行こうと荻を誘ってみようと、思う。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 04:22:36 ID:0nWVsMjr<>  ____________
 | __________  |
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 暗めでナマモノでスマソ…
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |


他の作品も〜と仰ってくれた姐さんに捧げます。
凄く嬉しかったのです。ナマしかなくて申し訳ない。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 07:27:42 ID:PJEexKvC<> 471姐さんじゃないけど、>>462姐さんGJ!!!
お、おかしいな、目から汁が… <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 10:26:18 ID:uo229ghc<> >506
た、たまらん!GJ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 10:55:40 ID:ZuHwZY3/<> >>514
モエタよ・・ありがとうありがとう
良かったらまた見せてください <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 12:36:52 ID:2iNRLs5I<> >>514
も、もっと整理しようよ!
まだ何か出るよ! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 14:11:44 ID:Y06MYf9L<> >>514
O奥今日ほどちゃんと見ておけばよかったと後悔した事は無いよ…
禿げ上がりました。萌をありがとう! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 14:13:23 ID:Y06MYf9L<> ギャーアンカー間違えた。>524は>506へです。そして連投ごめんなさい。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 15:00:33 ID:XQnlOKxd<> >506
テカテカしながら見させてもらいました。GJ!! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 15:37:18 ID:hlUXyxGe<>                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  超性感帯正座ー×の風→火だよ。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  卓斗←火前提だってさ。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ カゼガグチグチイッテルダケノハナシニナッタゾ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
<> 風→火 1/5<>sage<>2006/01/08(日) 15:38:55 ID:hlUXyxGe<> 俺は慎重な性格だ。
アクアノレはそれを臆病と呼ぶけれど、とにかく危ないことには手を出さないと決めている。
これを言うとまた「あんたそれでも海/賊なの?」と文句をつけられそうだが、とにかく戦うのは苦手だ。
この間持ち帰った地球の古文書を、現在の言語と照らし合わせて研究した結果、
実に俺向きの言葉が見つかった。
「君子危うきに近寄らず」
とにかく、俺はそういう男なんだ。
だから船を失ったことはショックだったが、
でも俺たちの子孫だっていう連中のやっかいになることも受け入れた。
アクアノレの言うとおり、俺たちには船がないんだからそうするしかない。仕方ない。
本当は一刻も早く宇宙に帰りたいんだけど、人生なんて思い通りにいかないものなんだから、
そこそこのとこで折り合いつけて妥協するしかない。
そう、妥協。
はっきり言って、みんなそれが足りない。
特に、この男は。
「ブレア一卜゙、なあ今からでも遅くないから謝っちゃえよ」
 俺の(あくまで「俺の」だ)ス夕ッグ七を持ち出した上に裏切り行為を働いたため、こいつは現在幽閉中だ。
あの俺たちの子孫だっていう二人は、殺しはしないものの一生閉じ込めとくつもりらいしい。
「俺も一緒に謝ってやるから。アクアノレだって本気で言ってない……と思うんだけど」
冗談だよな、三/将軍解散って。俺やブレア一卜゙にウンザリってのはいつも言ってることだし。 <> 風→火 2/5<>sage<>2006/01/08(日) 15:40:28 ID:hlUXyxGe<> 「あんなプライドない奴のことなんて知るか! とにかく俺はあんな連中と組まねえからな!」
「そんなこと言ったって、このままじゃお前一生そこで暮らすことになるぞ」
「あーあー上等だぜ」
ブレア一卜゙は牢の中でふんぞり返っている。ああ、これだからこいつはもう。
「本気だぞ、あいつら。お前に子供さえ作らせたら、あとは始末するって言ってた」
「俺に子供? どうやってだよ」
「……知らないけど」
そういやどうするんだ? ブレア一卜゙に子供? 女でも連れてくるのか? 
それとも人工授精? 人工授精ってことは精子がいるんだよな?
うわ、どうしよう。今スゴイ想像しちゃったよ。
「おいおい、まさか5OO年後の科学で俺を妊娠させる気じゃねえだろうな」
……もっとスゴイ想像しちゃったよ!
「どーした」
「いやいやいやいや何でもない」
マズイなあ、ブレア一卜゙の顔、まともに見らんないよ。しかしブレア一卜゙に子供ね……。
嫌だな、どんな方法にしろ何となく嫌だな。
話題変えよう。
「って言うか、何でそんなに頑固なわけ。いいじゃないか、
あの口ボ船長があいつらに変わったって思っておけば」
「バ一夕゙一船長はあんな奴らとは違う!」
「えっと、ご、ごめん、怒った?」
「怒ってねーよ!」
 怒ってんじゃん! <> 風→火 3/5<>sage<>2006/01/08(日) 15:41:35 ID:hlUXyxGe<> 「とにかく俺はあいつらが嫌いだ! ……あいつら卓斗を殺そうとしただろ。
あいつは俺が倒すんだよ! それだけでも許せねえ」
夕ク卜? ああ、あのおかしい人たちの一人か。
「そういや大騒ぎだったな、お前。『お前が死んだらどうすればいいんだ』とか何とか」
俺がそう言うと、途端にブレア一卜゙の顔つきが変わる。
え? 赤くなってる?
いや、元からだけど。
「あん時は怖かった」
怖い? お前が? そんな神経ありましたっけ??
「あんなに怖かったのは初めてだ、船長が機械だってわかった時より怖かった」
いきなり神妙に話し出すなよ、お前らしくないよ。
「卓斗が死んじまうって思っただけで……だって船長ももういねえし、
卓斗がいなくなったら俺には何もなくなっちまう」
あの、俺は?
「あいつを倒すのが俺の全てなんだよ、他にはねえんだ。あの爆発の時を思い出すと、
今でも怖えよ。何だこれ……なあ、俺どうなってんだよ」
「いや、俺に聞くな」
と言うか、だから俺は?
「だってお前、頭イイじゃねえか!」
「それとこれとは別問題だろ!」
それより俺は? <> 風→火 4/5<>sage<>2006/01/08(日) 15:43:05 ID:hlUXyxGe<> 「そういや俺、このまま卓斗に会えねえのかよ……」
「だから謝れ、と言ってもムダか」
「ああ、ムダだな」
ホント、どうしようもないな、こいつ。ヘコむわ。
そして俺はどうでもいいのかよ!
「なあブレア一卜゙、俺は嫌なんだよ。お前がこんなとこに入ったままなのも、
アクアノレと喧嘩別れしたままなのも、前みたいに三人で仲良くやってきたいんだよ」
全く何でこんなことになったんだか、ヘコむヘコむ。
「俺のこと実験台にしたくせにかよ」
「それは置いといて」
「置いとけるか!」
しつこいな、大体お前も楽しんでたじゃん。
「とにかく、俺はそのうちこんなとこ逃げ出してやる! そして卓斗と決着をつけてやる!」
またあのおかしい人たちのことか!
「頭痛くなってきた、もう勝手にしろ」
ブレア一卜゙の気持ちは変わらないみたいだったし、俺は俺で何だかもやもやした気分になってきた。
もういいよ、お前なんて知らないからな。
「なあサイクリ一卜゙」
「何だ」
今さら謝るって言ったって遅いよ。俺に謝ってからじゃないと一緒に謝ってやらないぞ。
「アクアノレに言っとけ、お前が謝るなら仲直りしてやるって」
「……それを俺が言えると思うか?」
「無理だな」 <> 風→火 5/5<>sage<>2006/01/08(日) 15:44:20 ID:hlUXyxGe<> じゃあな、とブレア一卜゙は牢の中から俺に手を振って、ごろりと寝転がった。
「……う〜ん……食べ過ぎた……ごちそうさま……」
もう寝言か! 全く呑気な奴だな。でもアクアノレと仲直りする気はあるんだ、それだけは良かった。
でもアクアノレがどうするのか全然わからないけど。
「見ていろ、卓斗の奴!」
新手の寝言だ。全くご苦労様だな。
『卓斗がいなくなったら、俺には何もなくなっちまう』
「あのバカ」
お前、本当にとってもバカだ。
俺に聞かなくたって普通、気付くぞ。俺に恐/獣作る頭脳がなくたって気付くぞ。
お前、あの夕ク卜とかいうおかしい人のこと好きなんじゃないかよ。
でもって、だ、あんま考えたくないし、ヘコむし、
危うきに近寄りたくない俺のモットーと反するんだけど、と言うか危うすぎるんだけど
でも気付いてしまったから仕方ない。
俺はお前が好きみたいだ。
「言わないでおこ」
どっちも、だ。とりあえずはこのまま様子見だ。
アクアノレが知ったら、また「だからあんたは夕゙メなのよ、臆病者さん」って言われることだろう。
けれど、仕方ないじゃないか。最初から希望の無いことに頑張れる奴なんていないだろ。
やっぱり俺は慎重な性格だ。
もしくは、臆病者だ。
そこそこの幸せ。
それで満足なんだよ。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 15:45:14 ID:hlUXyxGe<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ こないだの回が辛抱たまらんかったので…
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 16:54:04 ID:yjjUg2lj<> >>514
切ないけどラブくて、うっかり目から汁出そうになったよ。
ありがとう。良作をありがとう。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 17:00:05 ID:2A8wmAMs<> 神!ありがとうありがとう!
火将軍関係のSS読みたくてたまらかんたったので嬉しい! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 19:21:41 ID:Ns2qyNq0<> d!
火は本当にライバル大好きだなぁともえもえしていたのですが
それはそれとして物凄い受け臭を感じていたので風火楽しかった!
ていうか正座ーは可愛いの多すぎて困るYO! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 19:43:07 ID:6toIrubC<> >533
GJ!
何だか場面がめっさ浮かんできたよ。
萌えたし笑えたしありがとう! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 20:01:49 ID:gRPcXiib<> >>472
遅レスですが、GJGJGJ!!
スレ保存決定だ。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 21:04:22 ID:5suBzCdx<> ぐぐぐぐグッジョブ!!!
姐さんありがとう!!ほんとにありがとう!!
風さんがかわいくてしょうがないよ・・・ <> 風と木の名無しさん<>sage<>2006/01/08(日) 21:40:24 ID:hwWkbdO7<> 風さんちょうかわええ
一週遅れだから尚のこと気になる…>こないだの回
オメガGJ! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 22:21:12 ID:OC/zxrqk<> 姐さんありがとう!最高!!
火が可愛すぎるよ。
萌えと笑いが溢れる名作をどうもありがとう! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 22:25:59 ID:I2hxDihO<>                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  漫画版「広告の主語社」
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  信条×仁志田
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

一応一巻2話の合間です。
漫画しか読んでないので2人の性格が変じゃないといいですが。
捨て駒仁志田と信条さん。 <> 1<>sage<>2006/01/08(日) 22:26:30 ID:I2hxDihO<> 「無駄死にだ。」
そんなことない。そんなことないですよ、先輩。
「今からでも遅くない。あの莫迦に命令を取り消させよう。」
僕が死んだらあなたが助かる。
「でもそしたら追手はどう撒きます?」
「…それはこれから考える。」
舌打ちして先輩は言葉を切った。




あの莫迦、こと中隊長に追手の足止めをすることで中隊の戦
線離脱を援護せよという命令を受け(まぁ要は捨て駒だ)、僕
が了承してから先輩の眉間のしわはますます深くなるばかり
だった(この人、いつも眉間にしわ寄せてるからもう手遅れだな)。
これから戦わなければならないのだから、出来るだけ早く遠
くに中隊から離れなくてはならないのに、先輩に人気のない
物陰に半ば強引に連れ込まれ僕は辟易していた。
<> 2<>sage<>2006/01/08(日) 22:28:42 ID:I2hxDihO<> 「無駄死にだ。」
先ほども同じことを聞きました。
「先輩、もういいです。僕なら大丈夫です。」
「何が大丈夫だ。本気で言っているのか、仁志田少尉。」
苛立ったように足元の雪を蹴り飛ばして、先輩は僕を睨んだ。

「本気です、信条中尉殿。」
僕も先輩を睨み返す。先輩は怖気ついたように目を細めた。長年の
付き合いでやっと分かるくらいのかすかな動き。
先輩はもう一度盛大に舌打ちすると、あきらめたように嘆息
した。切り替えの早さも先輩の才能の一つだ。
「……お前が僕を睨むなんてこと、初めてなんじゃないか?」
そうだ。こんな行為、初めてだ。こんな事態にならなきゃ先
輩を睨む、なんて恐ろしいこと考えない。
「お前にそんな眼を向けられるなんて、考えたこともなかった。」
こわばっていた先輩の肩の力が抜ける。
<> 3<>sage<>2006/01/08(日) 22:29:30 ID:I2hxDihO<> 「仁志田。何故お前が死ぬ必要がある?」
これはきっと僕に問うているわけではない。自問しているんだろう。
「先輩が指揮官だったら、死なせないんでしょうね。」
僕が微笑むと、先輩もやっと表情を少し緩ませた。
「当たり前だ。こんな負け戦、勝とうと思わない。」
そんな顔しないでくださいよ。あぁ、だから先輩と二人きり
で話すのなんか嫌だったのだ。決心は鈍らなくても、未練で
足が動かなくなる。
どうにも言葉が続かなくて足元を見る。先輩が僕に近づいたの
が気配で知れる。雪を踏むきゅっとした音が小気味良い。
僕の肩を掴み顎を持ち上げる。先輩の睫毛に粉雪が掛かるので、
そっと指でそれに触れると、僕の体温で容易く溶ける。
先輩が掻き抱くように僕の唇に喰い付く。かさついて切れた
唇の皮が当たってちくりと痛む。目を閉じるのがもったいない。
少し硬い唇が僕の上唇を噛み、舌をそうっと唇に入れ込む。
先輩はその舌を僕の歯に当ててきたが、迷ったように歯間を
行き来するとあきらめて唇を離した。

「これ以上は、凍傷になる。」
残念だが。そう言ってかすかに口元を綻ばせる。少しよっ
た眉間のしわの、その顔が可愛らしくて僕も釣られて思わず微笑んだ。 
<> 4<>sage<>2006/01/08(日) 22:30:15 ID:I2hxDihO<> 「戻ろう、時間がない。」
踵を返した彼にもう迷いはなかった。もう大丈夫、と言って
も始めから心配などしてなかったけど。先輩は強い人だか
ら、きっとこの国を救ってくれる。
僕はそう信じる。
ふと気付くと半歩前を歩く彼の歩調が弱まった。僕の隣に
並び、いぶかしる僕など意に介さず突然僕の小指を握った。思わ
ぬほどの強さだったので、僕の心は大きく跳ね上がる。
「……先輩、」
「なんだ?」
前を向いたまま彼が応える。僕は目を伏せて緩慢に首を振った。
「なんでもない、なんでもないです。」
言いたいことが沢山あったけど。言って欲しいことも、訊
きたいことも沢山あったけど。
もう良い。僕の全てはもう終わる。

触れ合った指は厚い手袋に阻まれて、やわらかい皮膚も
温かい熱も伝わってこなかった。
ただこの感触だけは、忘れない。




死んでも忘れない。

<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 22:31:27 ID:I2hxDihO<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 暗いですね…
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 23:13:35 ID:41c+XsBx<> >542
心情ー!二死田ー!切なさテラ萌えス!
GJです。心情はへたれ受けだと思ってますたが
へたれ攻めもいけると思いました。
是非に、機会がありましたらまた広告モノ投下してください! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/08(日) 23:44:45 ID:jgdQH0iP<> ままままさか広告が読めるとは思わなかった!!
セツナス!テラセツナス…!(ノд`)・゚・。・
私も心情は受なほうなんだけどこれはこれでイイ!ハアハア!
いいもの読ませて頂きましたありがトン〜 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/09(月) 21:07:29 ID:XlMuA27E<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  正月8匹ワンコドラマネタ。力持ちワンコ×美人ワンコ。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  ドラマ設定なのでサトミの8姫との結婚ネタは無視サ。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 田×坂 1<>sage<>2006/01/09(月) 21:08:42 ID:XlMuA27E<> シノの婚儀が終わってようやく気忙しさから解放された、夜。
悌と智のケンシは何とはなしに二人、廂に佇み闇に浮かぶ月を眺めていた。
「ま、シノはようやく長年の望みがかなったわけだ。ハマジ姫と末永く仲睦ま
じく過ごされるんだろうなあ」
まあ、あの二人のことだ。俺なんかが心配するまでもないな。
あはははは、と笑うコブンゴに、隣のケノが唇をつりあげた。
「人の心配する暇があったら己のことを考えろ、と言われるだろうよ」
「おのれの、こと?」
中天にある月を見上げていたコブンゴは、ぱちくりと眼を瞬かせた。
「いくさも治まったし、俺たちもサトミの家中から縁談を持ち込まれるのは
時間の問題だろ」
「縁談!」
大声を出したコブンゴに、ケノが薄く笑う。コブンゴの灼けた頬に血が上った。
「そんなに驚くことでもないだろう。ハッケンシはサトミの宝。その存在を永劫、
安房の地に結びつけておこうと思案するのはサトミからしてみれば当然の理。
そしてケンシも人の子。ましてや若い独り身となれば、女をあてがってしま
うのが一番手っ取り早い」
顔にまったく似合わない辛辣な口調で、ケノはサトミの内情を解きほぐしてみ
せる。普段ならばその声に聞き入っているだけなのだが、コブンゴは傍らの
存在をそっと窺った。 <> 田×坂 2<>sage<>2006/01/09(月) 21:09:19 ID:XlMuA27E<> 「け、ケノは、どうするんだ」
口から零れた問いは、情けないほど裏返っていた。
「俺か」
ついとケノは簀子縁に降り立った。くるりと反転し庭を背に高欄に腰かけ、
コブンゴを見上げてからりと言う。
「俺はいい。俺より美しい女など、滅多にいないからな」
高慢な言い様も、月光を浴びた貌の冴え冴えとした美しさに見惚れたコブ
ンゴには、うなづく他はない。
見惚れていて、その唇が紡いだ言葉を聞き逃した。
「……え?」
雲が月を覆い隠したのか、眼下にある白い貌が陰になる。
「コブンゴは。……どんな女を娶るのだろうな」
「おれ、は」
「お前は強いし、気持ちの良い男だ。お前なら、いくらでも良い嫁御の来
てがあるだろうよ」
幾ばくか口早なケノの声音。表情は変わらず見えない。それが不安になって、
コブンゴは簀子縁に足を踏み出した。
その時、ちょうど雲が切れた。
ケノの白い整った顔が露わになる。
出会ったときから変わらない、美女と見まがう容貌。年を経たというの
に翳るどころか尚輝きを増す華やかさに象られた貌の中で、唯一強い光
を放つ瞳。ケノをケノたらしめている意志を宿した双眸が、まっすぐにコブン
ゴを見つめていた。 <> 田×坂 3<>sage<>2006/01/09(月) 21:10:35 ID:XlMuA27E<> 気がつけば、思いもかけず間近にケノと眼を合わせてしまっており、コブン
ゴはうろたえた。
うろたえて、その己にさらに焦りが増す。
ケノはコブンゴの答えを待っている。

俺の、嫁の話を。
嫁?

泳がせた目線の先にケノの顔が飛び込んでくる。コブンゴの口からようやく
放たれたのは割れた大声だった。
「俺もっ。俺もケノと同じだ!妻は、娶らない!」
「な、に?」
夜半には不似合いな程の大音声は、却って眼前にいるケノには聞き難かっ
たようだ。
「すまん!」
耳を押さえたケノに、コブンゴは頭を下げた。
「……もう少し小さな声で話せよ。で、なんだって」
「だから、お前と同じで、俺は妻は娶らんと……」
水を向けられて、コブンゴは口篭もりつつ先程の言葉を繰り返す。
「何を言っている」
ケノが眉をしかめた。
「俺と、同じ?どういうことだ」
コブンゴは唾を飲み込んだ。拳を握り締める。
「あんたより美しい女なんていないから。あんたより好きになれる女なん
ていないから。だから、俺も妻はいらない」
一息に捲し立ててしまってから、我に返った。

己は何を言ったのか。何を、告げてしまったのか。 <> 田×坂 4<>sage<>2006/01/09(月) 21:11:11 ID:XlMuA27E<> 高欄に掛けていた筈のケノの手はだらりとさがり、驚きに見開かれた瞳にコ
ブンゴの間の抜けた姿が映っていた。
「……」
「あ……」
呆然と互いの顔を見つめていたのはほんの数瞬の間だった。ケノが大きく
吐息をついて腕を組む。
「コブンゴ。お前は何か思い違いをしている」
子供に言い諭すような口調だった。
「出会いが妙だったから仕方がないが。俺は十六のアサケノではない」
「わかってる。俺の好きなのは、イヌザカケノ、あんただから」
ケノが苛立ったように舌打ちをした。
「だから。男の俺は、お前の好きな女田楽のなりはしないんだ」
「でも、今だってあんたが一番綺麗だ」
婚礼に列席した鮮やかな色合いの直垂は、ケノによく似合っていた。
しかしケノは、ふん、と鼻で笑った。片腕をあげ、元結に手をかける。
「確かに俺は嫁は取らぬが、主君たるサトミのために、これからもできうる
限り勤めるつもりだ。間者でもなんでもする。だからこんな美麗な格好
などしていられない」
ケノは髪を振りほどいた。漆黒の髪が、ケノの顔にかかる。
「俺は変装が得手だからな。どこぞの国で、乞食や軽業師に扮して虱のわ
いた体になっておるかもしれぬ」
髪をざんばらに流して、そう嘯く姿さえ美しい。
「乞食だろうが、虱まみれの汚い行き倒れだろうが、俺はあんたが好きだ」
コブンゴは身を乗り出し、ケノの両肩を掴んだ。月の光を借りずとも見える
距離で相手を見据える。
「好きなんだ、俺は。あんたの姿も、その中身も。好いた人間を放って別
の女を娶れるほど、俺はできた男じゃないんだ」 <> 田×坂 5<>sage<>2006/01/09(月) 21:12:27 ID:XlMuA27E<> 思いの丈を込めた告白は、しかしケノの応えに破られる。
「以前に言ったな。俺は、妻にはなれぬ」
きっぱりと言い切られてコブンゴは言葉に詰まる。ケノの肩を掴んでいた大
きな手が滑り落ちた。
「コブンゴ」
振り仰ぐ顔はコブンゴの言葉にもまったく揺れを見せていないように見え
た。
「すまん、今晩のことは忘れてくれ」
いたたまれず、ケノの顔から目を逸らしたままコブンゴはその場から去ろう
とした。だが袖口を掴まれ、顔をあげる。
「忘れてなどやるものか」
ケノが、瞳を眇めてこちらを睨んでいた。
「俺は、お前の妻にはなれぬ。だが」
ぐいと胸倉を引き寄せられ頭を何か柔らかいもので包み込まれる。
容易には纏えぬ鮮やかな直垂の色合いが視界に飛び込んで、コブンゴはケノ
の腕に抱き込まれていると知った。
絹のすべらかな感触にされるがままになっていると、ふわりと直垂の囲いが
解かれる。
黒髪に縁取られた強い眼差しがまっすぐにコブンゴを見据えていた。
「コブンゴ。お前と一緒なら、畜生道に堕ちてもいい」
「――ケノ」
「返事は」
「本気、か」
問う声は震えていた。 <> 田×坂 6<>sage<>2006/01/09(月) 21:12:58 ID:XlMuA27E<> 「返事は!」
焦れたようにケノが声を荒げる。
「否やがあるはずがないだろう!」
叫んで、衝動のままにケノを抱き上げる。細身の体は、易々とコブンゴの腕
におさまった。
腕にある重みを嬉しく思いながら、広廂にあがってくるくると回る。つ
られるようにケノの鮮やかな袖が揺れる。
それを眺めるうち、コブンゴの頭にふと思い浮かぶ。
「あ?畜生道って。俺たち犬なんだからまんまでいいんじゃなのか」
「……お前は、馬鹿だな」
上から降る呆れた声音が、コブンゴには何よりも心地良い。
「ケノより頭のいい者がおるものか」
「本当に、お前は……」
溜め息をついて髪をかきあげる姿にいとおしさを感じて頬を摺り寄せた。
「こら、髭が痛い」
「すまん!」
慌てて顔を離すと、そのまま強く抱きしめ返された。
「謝るなら、このまま俺を閨に連れていけ」
「承った」
「落とすなよ」
「任せておけ」
弾む声でコブンゴは請合った。
月が翳ろうとも、腕にある者の顔はくっきりと見える。
中天にあった月は今はわずかに傾いていた。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/09(月) 21:13:29 ID:XlMuA27E<> ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヘボイママ、オシマイ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |

ドラマ設定と言いつつ乞食とか原作ネタを混ぜてスマンデス
ケノが乞食に身をやつしてても男に言い寄られていたエピが好きナンダヨ。スマンorz
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/09(月) 21:24:57 ID:4lPvkn0p<> >557
ウマー!
この組み合わせ好きなんだ(*´∀`) <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/09(月) 21:39:35 ID:4IVEeUKa<> >557
図書館行って10年ぶりに原作読み返そうかなと
思ってたとこだったので嬉しい(*´д`*)
やはりケノちゃん大好きだー!! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/09(月) 22:03:39 ID:kRQZkWCv<> >557
萌えた!禿萌えた!
GJ!超GJ!! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/09(月) 23:39:28 ID:8JGDSomm<> >>557姐さん、GJ!!
あのおいしい設定を、さらにおいしく料理していただけるとは!
コブンゴの単純お人好しっぷりとケノのツンデレ美人っぷりと、
設定に絡めたうまい落ちに悶えさせていただきました。
ごちそうさまでした!
原作読み返す前に、こんな萌えネタ読んじゃったら、
もう二人のラブストーリーとしか読めないですよ! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/10(火) 01:54:56 ID:l18xrsD9<> ワンコ萌え!GJ!!
閨って単語見て俺妄想が止まりませんよ。
ごちそうさまでしたー!
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/10(火) 03:27:29 ID:PS1qAAw5<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  マイドキュメントん中からまた出てきました。
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  高速台車、オザー×ヤイ。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/10(火) 03:28:02 ID:PS1qAAw5<> 仕事帰りタクシーに乗りこみ数十分。窓の外の流れる景色を見ていたら
「このまま遠くまで連れて行ってくれませんか?」と、ついついタクシーの
運転手に言いかけた。赤の他人にこんなことを言いそうになるという
ことは、相当疲れている証拠だ。頭がメルヘンだ。日常生活にロマンが
入り込むと、それはそれは滑稽なことになる。少し痛む頭を軽く振り、
俺は目的地の変更を運転手に告げた。
「ジュソさん起きてる?」
目的地のマンションの下に着いた所で、目的の人間の携帯に電話をかける。
ややあって低音の声が聞こえた。
「え、オザワ?起きてるけど…何?」
「あのねぇ、何となく頭がメルヘンでファンタジーになっちゃってねぇ。
今ジュンソさん家の下。っていうか、玄関のまん前。」
「…はぁ!?」
「入れて。」
何も言わず彼はマンション入り口のオートロックを解除してくれた。
部屋に入ると部屋着の彼がしかめっ面をして立っていた。
「何なのよ。頭がメルヘンって。」
「タクシー乗ってたら、何かねぇ。乗りモン乗ってたらならない?」
「なりません。」
「タクシーの運ちゃんに"このまま遠くまで連れて行ってくれませんか?"
って言いそうになっちゃってねぇ。サムいでしょ?」
「極寒だな。」 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/10(火) 03:28:35 ID:PS1qAAw5<> 勝手知ったる人の家、とばかりにソファにどっかりと腰を下ろし煙草に火をつけた。
「うん、我ながら極寒だね。」
「…何飲む?」
「焼酎ウーロン茶割り。」
「ねぇよ。」
「何があんの?」
「マイヤーズラム、ビール、ジン、コーヒー、オレンジジュース。」
「マイヤーズオレンジ。」
「…はいはい。」
めんどくさそうに台所に立ち、グラスを二つ手に戻ってくる彼を煙草の
煙越しに見る。彼はラムオレンジと自分の分のビールを床に置き、
俺の隣に腰を下ろした。
「シェーカーあればもっと美味いんだけどね。」
「十分です。」
「何してたの?」
「ボーっとテレビ見てた。そしたらお前から電話がきた。以上。」
「…ジュソさん怒ってる?急に来たから。」
今更になって迷惑だったかな、と思うが仕方が無い。もう遅い。
「怒ってねぇよ。呆れてるだけ。」
「何に呆れてんのさ。」
「メルヘンでファンタジーなオザワさんに。」
「ジュソさんメルヘンとファンタジーの意味わかる?」
「馬鹿にしてんの?」
「からかってるだけ。」 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/10(火) 03:29:48 ID:PS1qAAw5<>
それっきり会話は途切れてしまった。何となくグラスについた滴を指で
ぬぐいソファで拭いてみる。右手に持った煙草はそろそろフィルターギリギリだ。
「…で、何しに来たの。」
「何したらいいの?」
「……出来ればこのまま帰れ。明日も仕事だし。」
「出来ると思う?」
「……出来るわけないか。」
「ジュソさん、ヤろ。」
「またお前はハッキリ言うねぇ…。」
「ヤりたいもんはヤりたいんだもん。しょうがないじゃん。」
「お前動物?」
「うん。今だけ。ヤらせてよジュソさん。」
「お生憎様………」
「あのさ、いいムードん時に突っ込み台詞は、止めようよ…」
「いいムードになってんのはお前だけだ」
「もうすぐジュソさんもいいムードになるって」
「あーあ、明日仕事…」
「愛と仕事は天秤にかけられないんだよ?」
「何だよそれ。」
「両方重すぎて天秤が壊れるからさ」
「……ぜってぇ言わねぇぞ?」 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/10(火) 03:30:47 ID:PS1qAAw5<> そこからはもうお決まりのシーン展開。
肉体疲労に精神疲労は勝てない。
メルヘンもロマンティックも遥か彼方に。



「オザワさんまだ、どっか行きたい?」
「んー?もうイったからいいや。気ぃ済んだ。」
「………バカ。」
「アタシ認めないよ、って言わないの?」
「……ぜってぇ言わねぇ。」 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/10(火) 03:33:24 ID:PS1qAAw5<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ケコーン前に書いたヤツだとオモ…。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/10(火) 11:40:44 ID:c3wJKh03<> >>462姐さん
姐さんのハードディスクは宝箱かよ!
もうちょっと…もうちょっとさがしてみてくれ。
絶対まだなんか挟まってるはずだ! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/10(火) 15:02:51 ID:hk8U6Rmq<> >>563
神キター(´Д`*)ハァハァ
姐さんのSSはどれも萌えすぎるよ・・! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/10(火) 15:23:06 ID:Ya2Nz3qJ<> >425
最萌カプキター!!!
マイナーじゃないよ!むしろ基本だよ!
スレは活字総合で良いと思う。

萌えた人はR/I/K/Oシリーズとハナちゃんシリーズも是非! <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/10(火) 18:27:44 ID:qoYHEGYG<> >>563
姐さんスゲエよ、スゲエよ姐さん!!
お約束突っ込みを「ぜってぇ言わねぇ」に激しく萌えたよ!!(*´Д`*) <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/10(火) 18:35:47 ID:pSEJ0yXr<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  相/棒の初代悪魔×二代目悪魔
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  キショめ注意報。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドンダケ懐カシインダ、ゴルア!
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


<> 1<>sage<>2006/01/10(火) 18:38:17 ID:pSEJ0yXr<>
事故で悪くした左足をこなして、彼は口の端だけで笑った。
「私は動かせないから、君がやるんだ」
それは多分、うそだ。
引きずっているけど、痛めてるのは足で、腰じゃない。
だけど僕は従順に彼の言葉に従う。

彼はつまらない此の世の抑圧から僕を解き放ってくれた。
僕は従順に彼の言葉に従う。
僕は今、彼の教えてくれた新天地に生きているから。


服を着たままの村輝さんと、皺くちゃのシャツを着てるだけの僕。
あの人の目が、僕の体に注がれている。
息を呑むと、さっきあの人が僕の口に押し込んだ十字架のピアスが僕の舌を引っかいた。

<> 2<>sage<>2006/01/10(火) 18:39:13 ID:pSEJ0yXr<>
ベッドの上でゆったりと両腕を広げる彼の元までいざってゆく。
彼のベルトに手をかけてチャックを下ろし、まだ柔らかいままの彼のオスを取り出してそっとキスをする。
目で聞いたらそのままで、って言うものだから、彼をナカに埋め込むのに僕はずいぶん苦労した。
「はっ…」
圧迫感に息がつまった。覚悟してたよりは痛くない。
けど、見たらまだほんのちょっとしか入ってなかった。
ちょっと困って村輝さんを見ると、そこではじめて手を貸してくれた。
彼の乾いた手が僕の両手をとって、彼の喉元まで導く。
絡んだ視線がはずせない。
うすっらと彼が笑う。
「わかってるだろう…?」
そう言って手を離される。
僕の手がぱたりと彼の首に落ちた。
薄い皮膚を隔てて、てのひらに骨の感触と彼の拍動が響いてくる。
じっとりと汗ばんだ僕の手は、彼の肌にぴったりくっついてしまって離れない。

<> 3<>sage<>2006/01/10(火) 18:41:32 ID:pSEJ0yXr<>
「さぁ」
じれたように彼が腰をゆさぶった。
バランスを崩した僕は、とっさに腕を張って上体を支える。
もちろん僕の腕の先は彼の首へと続いている。
てのひらに骨の継ぎ目まで伝わってきた。
ヒュッと高い音が鳴る。
彼の喉から出たにしては可愛らしい音だ。
僕はもっとそれを感じたくて、ますます上半身を傾けた。
まともに体重がかかって、みるみる彼の顔が赤く染まっていく。
その色の広がりに合わせて、僕の中に埋まっていた彼自身がどんどん膨らんでいくのがわかった。
僕の壁を押し広げて、彼が侵入してくる。
肉の絡む水音がする。
無意識に僕は腰を揺らして、彼をさらに奥へと誘った。
苦しげに喘ぎながらも、彼の瞳は快楽に濡れて光っている。
血が、競りあがってきて僕の耳を聾する。
僕は腕の震えを止められなくなって、彼の上へ倒れこんでしまった。
角度が変わって、彼のものがえぐるように僕の中をかき回す。
「や…ああぁ!」
頭の中が真っ白になった。
その拍子につい首を絞めていた力が緩んでしまう。
彼が不満そうに息を吐いた。
慌ててもう一度力をこめようとするのを、彼の手が遮った。 <> 4<>sage<>2006/01/10(火) 18:42:37 ID:pSEJ0yXr<>
「もういい」
気だるげな声に僕はどきりとする。
(どうしよう)
気を悪くさせてしまっただろうか。
だけどふと、僕の中で彼がビクビク痙攣しているのに気がついた。
おなかの辺りが暖かくなって、僕はほっと息を吐く。
「…少し眠るから、そのままでいなさい」
僕のものはまだ達してなくて僕の体と彼の体の間で哀れっぽく震えていたけれど
僕は素直に彼の言葉に頷いて、村木さんの肩口に頬を寄せた。

気がついたら口の中に鉄っぽい味が広がっていた。
多分さっき倒れこんだときピアスで思いっきり引っかいてしまったんだ。
ふふ、っと笑って僕はちょっと体を起こすと、目を閉じている村輝さんに口付けた。
彼は何の反応もしなかったけど、軽く下唇を舐めたらちょっと口を開けてくれたので
すかさずピアスを彼に返した。 <> 5<>sage<>2006/01/10(火) 18:43:17 ID:pSEJ0yXr<> 彼は黙ったまま、それを口の中で転がした。
僕の味、ちゃんとわかる?

僕は体を起こすと、後ろを振り返った。
僕らの背後の壁いっぱいに描かれた女の目が、僕らの全部を見ている。
――vim parior
空っぽの口の中で呟く。
目を閉じてこれからの未来を思う。
なんて魅力的なんだろう。
待っててね。いつか貴方に、僕がピアスをあげるから。
そっと彼の耳に囁いた。

「――vim parior」




僕は今、とても侵されている。
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/10(火) 18:43:53 ID:pSEJ0yXr<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 5話の遣り取りが、睦言にしか聞こえんでな…
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/10(火) 21:11:26 ID:HlY7ypET<> >579
ネ申・・・!!!!!!!!!!!!
「僕の味、ちゃんとわかる?」にはげ萌えました…!
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/10(火) 21:42:45 ID:RM2qtJe3<> 遅くなったけど491-495姐さんありがとう!!
禿萌えしました。「かっちゃん…」っていうトツがトツが〜〜萌え <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/10(火) 22:20:06 ID:cV/yzB17<> >>579
ラストのセリフにナカヅマらもの小説を思い出しますた
そこはかとなくエロス。 <> 582<>sage<>2006/01/10(火) 22:25:53 ID:cV/yzB17<> >>582
×ラストのセリフ
○ラストの一文

スレ汚しすまん。 <> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/11(水) 07:53:06 ID:nf0YkGRM<> |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )絢/爛舞/踏祭(ゲーム版)の主×艦橋で良く倒れる人。
            ビデオ棚9の146-149からこのスレの367-369の続き
              になります。 <> 本日も舞踏中その4<>sage<>2006/01/11(水) 07:54:01 ID:nf0YkGRM<>  戦闘終了後のR/Bを収容したデッキには、命令及び自己判断によって動き回る大量の
ボール達と、彼等に紛れる様にして行き交う整備クルー達の忙しげな空気で満たされてい
る。
 Yは自分に気付いて挨拶を返して来る整備クルーに軽く右手を挙げる事で答えながら、
一機のR/Bの前で向かい合わせに立っているKの姿を見つけてそちらへと近付いた。
 「よぉ」
 「待たせたか」
 「ん?いや」
 自分の傍へと歩いて来たYに気付いたKは己の乗るR/Bから視線を移し、僅かに目を
細めて軽い挨拶を投げ掛ける。
 それにYは軽い頷きと言葉で答えたが、そうするとKの目は更に細まり、子供の様な笑
みに形を変えた。
 「取りあえず、先程の件だが」
 「あー…それ、なんだけどなぁ」
 早速本題に入ったYにKが言う。
 「実際に確認して貰った方が良いと思うんだよな。うん」
 「確認する?」
 「そ。ちょっとしたデータなんだけどな。まだ、モニターに表示される様になってるか
らさ」
 自分で見てよ。とKは付け足し、つい数分前迄自分が身体を埋めていたコクピットを指
差した。
 そこは緊急時にはすぐに乗り込める様にハッチが開かれたままになっており、乗り手で
あるKの言葉に反応したのか、コクピット内に組み込まれているボールが返事をする様に
微かな電子音を鳴らした。
 「データか……では、そうさせて貰おう」
 一体何のデータなのかはまだ分からないが、モニターに。と言うのであれば画像の類い
なのだろう。そう考えながらYは顎を軽く引いて同意し、圧倒的な戦力差であったにも関
わらず傷一つ無いR/Bへと身体を寄せて上へと開かれたハッチに右手を掛け、静かにコ
クピット内へと身体を入れた。 <> 本日も舞踏中その5<>sage<>2006/01/11(水) 07:54:49 ID:nf0YkGRM<>  天井が高いせいも有るだろうが、他の区域よりも照度の低いデッキからコクピット内に
入り込むと、起動されたままの制御システムやレーダーが発する光が眼鏡に反射して妙な
明るさを感じさせる。
 「一体何のデータだ…?」
 Yは、R/Bの前に立っていたKが自分を見ているのを視界の端に入れつつ、彼が言っ
ていたデータを探す為に視線を巡らそうとし、すぐさまそれを見つけて動きを止めた。
 「……な…っ!!」
 一瞬ただの静止画かと思ったそれは、動画データだった。
 映されている場所は食堂だ。
 そして、自分とKが。
 「……何故、だ」
 どうしてこんな物がここに有るのか。と言うよりも、そもそもどうしてこんな物がデー
タ化されているのか。
 シートに完全に身体を預ける間も無かった為、Yはへたり込む様にしてそこに座り、
少し前に食堂で行われた馬鹿げた『思い出作り』の事を強制的に反芻させられている今の
状況に、思わず意識が遠のきかけたが、何とか堪えた。
 「…K」
 「何?」
 自分でも分かる位、明らかに普段よりも低い声が出た。
 それに対して呼ばれた側であるKの方はいつも通りの。いや、少し上ずっているらしき
声で答える。
 「ちょっと、ここに来い」
 「え?希望/号は複座じゃな」
 「良いから来い」
 「はい…」
 最初からこうなる事は予見していたはずだが、Kは冷え始めた空気を撹拌しようとして
失敗し、叱られた子供よろしく項垂れながら二人が乗るには狭いコクピット内へと乗り込
んで来る。
<> 本日も舞踏中その6<>sage<>2006/01/11(水) 07:55:32 ID:CksQ4ZV2<>  「これは、何だ」
 「何って…その、思い出はプライス/レス。の証拠?」
 「ほう。そうか」
 「な、何だよ、その意味有りげな笑いアンド握り締められた拳は…!!」
 「特に意味は無いぞ。本当だ」
 「嘘付け!かなり嘘付け……ってがはっ!!」
 Yはシートの横に中腰で立って抗議の声を上げたKの顎に鮮やかな右アッパーを決め、
それと同時に左手でコクピットハッチを閉める様、操作する。
 Kが仰け反っている間にハッチが閉じてデッキからの光は遮られ、小さいながらも完全
に独立した空間となったコクピット内でモニターの淡い光が二人を照らし出した。
 「ったぁ…。あのなぁ!俺が記憶しておいてくれって頼んだんじゃあないんだぞ!?」
 「あんな所で馬鹿げた事をするお前が悪い」
 顎をさすりながらもめげずに抗議を続けるKにそう言い返し、Yはずれている訳でも無
い眼鏡を指で押し上げる。
 「全く…お前のお陰で、とんでも無い物が流されているらしいな」
 「俺だって、さっき気が付いた所なんですけど…?」
 「お前は自業自得だろう。俺はそのとばっちりを受けた事になる」
 「……Y、お前って冷たいヤツだったんだな…」
 「知らなかったのか」
 外では二人掛かりでR/Bの調整をしていると思われているのだろうか。ふとそんな事
を考えながら、Yは不満げに唇を尖らせているKの顔を見遣る。
 「…何にせよ、このデータを消去する事は出来ないだろうな。この艦に居るボール達の
みならず、他の場所に居るボールにも広がっている可能性が高い」
 「あーああ…俺の大切な思い出がデータとして残るなんてなぁ…せっかく独り占め出来
るって喜んでたのに」
 「もう一度殴ろうと思うが、覚悟は良いか?」
 「いえ、もう結構です。ごめんなさい」
 わざとらしく右拳を握って見せると、Kが慌てて首を横に振った。
 「やれやれ…本当に、とんでも無い事になったモンだ」
 「お前が言うな」
<> 本日も舞踏中その7<>sage<>2006/01/11(水) 07:56:12 ID:iaLos5O5<>  Yは頭上からの呟きを聞いて肩を竦め、嘆息する。
 己が言った通り、広がったデータは消去も回収も出来ないだろう。
 彼等なりのネットワークを持っているボール達の事だから自分達以外に見せたりはしな
いだろうが、このデータが数え切れない程の複製されていると思うとさすがに気が重い。
 その事実を追い払う為に再び眼鏡を押し上げようとしたYは、その手が横から伸ばされ
たKの手に掴まれたのに視線を上げた。
 「何だ」
 「なぁ、そんなに嫌か?」
 手の力はさほど強くはない。
 しかし、続いた問い掛けは呟く様でありながら、はっきりとYの耳に届いた。
 「そんなに、嫌だったか?」
 少しニュアンスを変えた問い掛けがもう一度発せられる。
 いきなり何を。と言いかけたYは、シートの端に身体を預けながら己へと顔を近付けて
来たKの表情が僅かに苦い物を浮かべているのに気付いて口を噤んだ。
 「…それなら、悪かった。ごめんな」
 答えが無かったのに構わずKはそう言うと小さく、自嘲気味に笑った。
 「もうやらないよ」
 子供が悪戯を叱られた時に浮かべる、いつも彼が浮かべている全く気を遣って無さげな
笑みかと思ったが、ほんの僅かに、それとは違う一歩退いた何かをYは感じた。
 「K、ちょっと待て…」
 齟齬が生じている。
 そう思いながら、上手く言葉が出て来ない。
 他の突発事項ならどの様にでも誤魔化し、強引に巧妙に流れを変える手管を幾らでも考
えられると言うのに、今は何も出て来なかった。
 「何を、言っているんだ」
 「何でも無いさ。もう、な」
 優しいとも言える穏やかな言葉と共に、握られていた手が解放された。
 造り物の身体だが、そこには体温が有り、Kの存在が感じられる。
 その為に解放された手が、空虚さを押し付けられる。
<> 本日も舞踏中その8<>sage<>2006/01/11(水) 07:56:45 ID:iaLos5O5<>  「待て。俺は」
 違う。と言いかけて唇が震えた。
 恐れる事は無いはずなのに、ほんの短い言葉すらも伝えられない。
 「気にするな、友よ。…ってな」
 言葉を詰まらせるYを制する様にKは言い、前屈みにしていた身体をゆっくりと起こし
ながら、今度はいつもの笑みを浮かべた。
 しかし、それが余計にYに焦燥感を覚えさせる。
 確かに友だろう。間違いは無い。
 ただ、今言われた事は何か違う気がした。
 「K、待ってくれ」
 そう言ったが、Kの身体は退いて行く。
 このまま何事も無かったかの様にハッチを開き、お互い外に出てしまえば、本当に何事
も無かった事になるのだろうか。
 Kは上手くやるだろう。表面上のみであれ、友として。
 己は上手くやれるだろうか。表面上のみであれ、友として。
 それでは駄目だ。とYは思った。
 この男に対して、上っ面を塗り潰させる様なつまらない誤魔化しだけはさせたくもない
し、己もしたくも無い、そう思った。
 「K」
 短く、名前だけを呼び、掴まれていた手を伸ばし、Kの着る太陽系/総軍の青い制服の
胸元を掴むと退きかけた身体を自分の方へと引き寄せた。
 そして。
 「Y、どうした…?」
 完全に接触する直前、間近から呼び掛ける小さな声が聞こえたが、Yは目を閉じて聞こ
えなかったふりをする。
 すると声はそれ以上続かず、ただ己の肩にKの手が触れて、そこを軽く掴まれた。
 「ふ……」
 最初は重なっているだけだったのが、息を吐く為に薄く開いた所を食まれ、思わず声が
漏れる。
<> 本日も舞踏中その9<>sage<>2006/01/11(水) 07:57:21 ID:ny+xb7nR<>  最初は重なっているだけだったのが、息を吐く為に薄く開いた所を食まれ、思わず声が
漏れる。
 何度か戯れる様に、形を確かめる様に動きを繰り返され、時折答えると肩を掴んでいる
手に少し力が入った。
 やがて胸元を掴んでいた手を離し、自分よりは少し高い位置に有る腰へと腕を回すと、
角度を変えて深く求められる。
 熱く、ぬるみの有る物が己のそれに絡まって来るのにも、異物感を覚える事すら無く、
ただその動きに応じ、呼吸をする間も忘れる程集中して行く。
 「ん…く……」
 飲み込み切れずに零れ落ちる唾液は、それらしくカモフラージュされた造り物の男の物
なのか己の物なのか分からなかったが、気に留める余裕は既に無かった。
 肩に置かれていた手が自分の後頭部に移動し、上向いている頭を支えてくれているのは
いつからだろう。
 細切れの思考をそのままにYが僅かに目を開くと、前と同じく律儀に目を閉じているK
の顔が見える。
 これと言って特徴の無い、ある意味特徴の無い事が特徴とも言える顔だが、今はKとし
て認識されるそれがYは気に入っていた。
 現行、好きだ。に変更するべきだろうか。
 ただ、間違っても本人に悟られる訳には行かないが。
 「は…っ…」
 合間に息が漏れ、すぐに塞がれ、絡められ、再び呼吸を許され。
 目を開いていても熱に視界が霞み、軽い目眩を感じた。
 一心不乱に何度も何度も、執拗な程に繰り返しても、まだ足りない様で更に没頭する。
 溺れている。
 己はそんな思いを抱いていた事を認識したくなかっただけなのだろうか。
 Yは目を閉じると、Kの腰に回した腕に一層力を入れてその身体を引き寄せた。
<> 本日も舞踏中その10<>sage<>2006/01/11(水) 07:57:58 ID:ny+xb7nR<>  数十秒か数分か、とにかく幾らかの時間が過ぎた。
 どちらからともなく顔を離した二人は同時に小さく息を吐き、同時に視線を合わせる。
 「えーと、ごちそうさま?」
 「……前にも言った台詞だな」
 「そうだったっけ」
 実際は覚えているのだろうにKがそらとぼけたのは、彼なりにこちらに気を遣っている
つもりなのだろう。
 「本当に、お前は……」
 身体は寄せたままでYは呟き、最後は言わないでおいた。
 「ん?馬鹿とか阿呆とか続いたりする?」
 「その両方だが、今だけは違う物も有ると言っておこう」
 近く、遠くからの呼び声に応えてくれる友よ。
 親愛なる。深く愛すべき者よ。
 葬るべきモノを葬り、繋ぐべきモノを繋げ、最後はそこから消え去る者よ。
 絢爛/舞踏。この世界においては希望と呼ばれる存在よ。
 お前を呼ぶ時、俺は、出来る限りその傍らに立ちたいと思う。
 口には出せずとも、本当はいつも思っているのだ。
 愛おしい。と。
 「ふぅん…ま、良いけどさ」
 Yのはぐらかした言葉も、何か思っているであろう事も追及せず、Kはそう言ってから
首を傾げる。
 「そういえば、ここにもボールが居るんだよなぁ…」
 それについては、Yも気が付いていた。
 R/Bを操縦する際にサポートとして必要不可欠であるボールは、この希望/号にも組
み込まれている。
 操縦桿に埋まる様にして据えられているそれは、今も稼働中のセンサーが明滅を繰り返
している所だ。
<> 本日も舞踏中その11<>sage<>2006/01/11(水) 07:58:33 ID:lY8p7aX6<>  「又、記憶されてたりしてな」
 「今更だ。データが二つになろうが三つになろうが、俺はもう気にしない事にした」
 「おぉ……Yが開き直った」
 「おかしいか?」
 「いーや、俺としては、物凄く結構な事だよ」
 Kが笑う。
 それは子供が悪戯を思い付いた時の様な、邪気の無い笑みで。
 「じゃあ、取りあえずデータ候補をもう一つ増やしても良い?」
 「……好きにしろ。ただ、余り時間を掛けるな。そろそろ他の連中に怪しまれてもおか
しくは無いからな」
 「はいはい。分かってますよ…」
 今度は、Kが自分から顔を寄せて来る。
 その口の端に僅かに残った笑みを見たYは自分の唇も笑みを刻むのを感じながら、落と
される口付けを受け止めた。
<> 名無しさん@ローカルルール変更議論中<>sage<>2006/01/11(水) 07:59:36 ID:lY8p7aX6<> □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
              というか、連投規制が大変でした…。
              お粗末様です。
<> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/11(水) 18:48:37 ID:WlCoz4zK<> マイドキュメント姐さんすごいな
荻萩も素ぴ輪もそのまんまの音声で再生されちゃうよ!!
もっと探して探して〜 <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/11(水) 19:59:58 ID:KzuatwYj<> 棚5スレ目485-488(二厘某兄弟)の1年後、現実がスゴいことになって萌えたので投下します。
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | |>PLAY.       | |
 | |                | |           ∧_∧事実ハ妄想ノ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) ハルカ斜メ上ヲ行クモノナノダネ
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 二厘某兄弟2006正月<>sage<>2006/01/11(水) 20:02:08 ID:KzuatwYj<>  ふ〜、準備完了〜!…って、もうこんな時間!?寝るヒマないじゃん!
 どーすんだよ、寝過ごしたら大変じゃん…って、ねーよ。飛行機だし(笑)
 ただ、一人なんだよなー。乗換とか大丈夫かなー。わかんなかったらその辺にいる人に聞けばいい…
…ソレ絶対ムリ!!日本語通じないってば!!外国!外国!
 訊かなくても大丈夫なように、もう一度行き方チェックしなきゃ。

 …あー、本当なんだなぁー。本当にオレ、GΡに行くんだなぁー。
 ワイノレドカードじゃないもんな。フル参戦だもんな。世界一速いヤツらと走れるんだなー。
 …やっと、兄ちゃんと一緒の舞台に立てるんだなー…。
 それも、去年までの兄ちゃんと同じチームで。
 そっかー。オレ、直接兄ちゃんと戦うだけじゃなくって、過去の兄ちゃんの成績とも戦わなきゃいけないんだ。
 直接対決の兄ちゃんは、チーム変わったばっかりだし、そのチームもあんまり走ってないからよくわかんないけど。
 でも、走った時は速かったなー。1.2.5ではチャンプ争いとかしてるくらいだし、コレはアナドレマセンな。
 で、兄ちゃんの過去の成績は…初年度から表彰台とか、2年目で優勝とか、かー。
 やっぱすげーなぁ。オレの兄ちゃんだから当然だけどね。
 ま、大丈夫!絶対負けない自信あるもんね。根拠はないけど。
 2.5.0に上がって2年間、兄ちゃんがいない間にオレすっっごく成長したんだから。
 去年の日本GΡではさっさとコケちゃったけど、ソレがなかったら勝ったのは兄ちゃんじゃなくてオレだったんだから絶対。
もちろん根拠はないけどさ。
 シュ−へ−はスゴいヤツだって、びっくりさせてやるんだから。世界中も、兄ちゃんも。

 …あっ!コレも持って行かなきゃ!兄ちゃんにおみやげ!
 一応先輩だし、わかんないことがあったら色々教えてもらうんだし、
それに、…えへへっ、一緒に暮らすんだから、ルームメイトへのごあいさつってことで!
 これからいっぱいケンカするんだから、最初くらいはいい印象もってもらわないとね! <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/11(水) 20:03:55 ID:KzuatwYj<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 相モ変ワラヌ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )  仲良シ兄弟ナノダネ
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
注:「おみやげ」だけ妄想で、他は大体事実に基づいてます。現実テラモエスwww <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 00:19:03 ID:+kSwXYqa<>                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  ゲーム悪魔土成ドラキュラのラルフ×アルカードだって
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  戦ってるだけだけど出会い編らしいよ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<> ラルアル 1/5<>sage<>2006/01/12(木) 00:23:07 ID:+kSwXYqa<> 「待て」
 その声を聞いたとき、ラルフ・C・ベルモンドは背筋に氷のような緊張が走るのを覚えた。
 彼ほどの手練れでなければ、それを戦慄とさえ呼んだかもしれない。感じた緊張は氷柱のように
うなじをかすめ、身体の深い場所へと音もなく落ちていった。
 どこかで鳥、あるいは別の何物かが、鋭い叫び声をあげて飛び立っていった。深閑とした暗黒の
城に、不吉なはばたきがかすかに木霊していく。
 身構えて、腰にまとめた鞭の握りに手をやる。使い慣れた革が手の中できしみ、一瞬の気遅れを
追いやった。うす闇にただよう霧のむこう、幻のようにたたずむ人影を、鋭い視線で射抜く。
「誰だ。そこにいるのは」
「──その鞭。〈ヴァンパイア・キラー〉か」
 霧が揺れて、石畳を靴が打つ音が聞こえた。ゆっくりと近づいてくる。
 低い声はさらに続いた。
「ベルモンド家の者。そうだな? 不死者殺しの聖鞭を手にする者は、ただあの家系にしか出ないと聞く。
その鞭を真に使いこなせる者も、また。お前はベルモンドの者か、人間の男」
「それを訊いて、どうする」
 相手は応えなかった。
 ただ影の中で何かが蠢き、重たげな金の刺繍のあるマントが、崩れかけた狭い通路の縁をかすめて
小さな衣擦れの音をたてた。
 まばゆいばかりの銀髪がさらりと靡いた。
 壁の松明の光が、相手の半面を照らし出した。
 我にもあらず、その一瞬、ラルフは言葉を失った。
 それほどまでに、現れた者は美しかった。凍る月光が、そのまま人のかたちをまとったかのような。
 その者は背のなかばまでとどく銀髪を肩に流して、感情の伺えない目でこちらを見つめていた。
 おそらく、ラルフとさほど変わらない年齢であるのだろう──もし、人であるとするなら。
 二十歳そこらと見える、青年だった。白い顔は彫像のように整い、長い睫毛の下の瞳はさえざえと
した氷青色。すらりとした長身に黒衣をまとい、マントの裏地の緋があざやかに目を射た。
 一見女性的とさえいえる秀麗なおもざしにあって、まなざしにこもる力と、強靱な意志の光が何よりも
印象的だった。腰につるした細剣の柄の金色がにぶく光る。 <> ラルアル 2/5<>sage<>2006/01/12(木) 00:24:11 ID:+kSwXYqa<>  ほんの半瞬の忘我からさめて、ラルフは腰から鞭を外して強く両手に張りわたした。
「おまえは妖魔か。それとも、人間か」
「答える必要があるのか?」
 感情のない声が近づいてくる。
「それはそうだな」
 ラルフは太い笑みを浮かべた。
「この城で出会う相手は二つに一つ。──俺の行く手を塞ぐ者か、それとも──そうでないか、だ!」
 声とともに、魔を討つ鞭の一撃が宙を走った。
 確かに相手をなぎ払ったと見えた鞭は、だが空を切り、マントの翻る音がはるか頭上でした。すばやく
鞭を引き戻し、上を仰いだラルフの目に、上空から落下してくる黒衣の男と白く燃える刃のひらめきが燦と
燃えた。
 髪の毛一筋の差で剣を避け、さらなる追撃を鞭の柄で払いのける。二撃、三撃、相手の攻撃は
おそろしく迅く、その細腕からは予想もつかないほど重かった。
(近すぎる!)
 ベルモンドの鞭術は、近接戦にはあまり向いていない。腰から聖別された十字架を抜き、力任せに
なぎ払う。妖魔であればこれだけでもひるむはずだったが、相手は紙一重の差で身を引き、顔色一つ
変えずに、懐に入って鋭い突きを放ってきた。剣風が頬をかすめる。
 からくも避けきって、ひとまず飛びのいて距離をとった。長い銀髪がうす闇に弧を描き、敵は、
美しい顔にほとんど表情をあらわさないままラルフを見た。
「なるほど。それなりの腕前はあるようだな、ベルモンドの男」
 低い声がいんいんと伝わってくる。
「では、こちらからも問わせて貰おう。──お前が、このドラキュラ城へ来た目的は?」
「城主、魔王ドラキュラの討伐!」
 答えと同時に鞭を飛ばす。
 相手の剣が一閃し、弾かれた鞭先が激しい音をたてて壁の燭台を打ち砕いた。手首の一ひねりで、
鞭は戻らず、そのままの勢いで銀髪の敵の背後に飛ぶ。
 ほとんど見もせずに、相手はその攻撃も弾いた。剣の間合いの外からラルフが加える猛攻を、目にも
とまらぬ素早さではじき返していく。
 敵手ながら、ラルフは内心感嘆した。あれだけの迅さと正確さで剣を操れる者など、これまで見たことも
なかった。しかも若く、かつ、あれだけ美しいとは。 <> ラルアル 3/5<>sage<>2006/01/12(木) 00:25:47 ID:+kSwXYqa<>  十何度めかに弾かれた鞭先が、天井のシャンデリアのを直撃した。
 シャンデリアは不気味な音を立ててゆがみ、次の瞬間、ぐらりと傾いだ。錆びついた骨のような残骸
が、衝撃に耐えきれずきしみながら相手の頭上に落ちかかる。
 銀髪の敵は、その場から動かなかった。飛びのく間も与えられないと知ると、落下してくる超重量の
真鍮と水晶のかたまりにむかって、気合いとともに剣をふるった。
 ただひと太刀で、巨大なシャンデリアが真っ二つに寸断される。激しい破砕音とともにもうもうと埃が
舞い、崩れ落ちる金属と貴石の破片のただ中に、ゆらりと月影のごとき麗姿が立った。
 蒼氷色の視線が敵の姿を求めてすばやく左右に走ったとたん、
「遅い!」
 収まりかけた埃の膜を割って、鞭を構えたラルフが突進してきた。
 払いのけようとしたが、近すぎた。束ねた鞭が生き物のように刃にからみつく。至近距離からのひと
打ちに、ねじり取られた細剣は高々と宙に飛んだ。
 飛びすさり、剣を取りなおそうとした青年の胸に、ラルフの肩が全体重をのせてぶち当たる。
 二つの身体はもつれ合うようにして後ろに倒れこんだ。
「動くな」
 すばやく身を起こそうとした青年ののど元に、鞭の柄が突きつけられた。
「動くとこのまま喉を潰す。──さあ、もう一度訊くぞ。おまえは何者だ? 人間か、それとも妖魔か?
何のためにこの闇の城にいる?」
 ぐいと柄を押しつける。「答えろ」
 ことごとく攻撃を弾かれているように見せかけて、その間に周囲の壁や床を崩し、相手の逃げ場を
奪っていたのだった。そして最後にシャンデリアを落として、その時できるだろう相手の隙をつく。
計略が見事に功を奏したことに、ラルフは満足していた。
「そういう口は、もう一度自分の状況を確かめてからきくことだ」
 静かに青年は言った。美しい顔には、この期に及んでもなんの感情も表れていなかった。 <> ラルアル 4/5<>sage<>2006/01/12(木) 00:26:48 ID:+kSwXYqa<> 「負け惜しみを!」
 かっとして言いかけたラルフは胸にちくりとした痛みを感じ、思わず口をつぐんだ。
 見おろすと、いつのまにか青年の手が脇の小剣を抜き放ち、こちらの胸につきつけていた。
 切っ先はわずかに胸を突き、胸当てを通して肌に食い込んでいる。あと少し手を動かせば、針のような
刃が肋骨を通りぬけて心臓を貫き、ラルフを殺すだろう。
 どっと冷や汗がわいた。
「武器を引け、ベルモンド」
 無表情に青年は言った。
「これ以上、やりあう意味はない。私にも。おまえにも」
 ラルフは声もなく腕を引き、立ち上がるしかなった。相手が身を起こして軽く埃を払い、衣服を整える
さまをなすすべもなくただ眺める。
 乱れた長い銀髪をうるさげに後ろへかきやる。小剣を脇の革鞘に戻し、飛ばされた剣に歩み寄って、
刃こぼれの有無をざっと確かめてから鞘に納める。
 そのようなちょっとした動作ひとつさえ、舞踏のように優雅だった。身仕舞いを終えて黙然と立つ青年
に、ラルフはもう一度、用心しながら歩み寄った。
「お前は、いったい……」
「先ほど、言っていたな。この城で出会う相手は二つに一つ。行く手を塞ぐ者か、それとも、そうでない
か、だと」
 蒼い月光を映す双眸に射すくめられて、ラルフは思わず頷いた。
「では、私は前者ということになる。もはや、私はお前の行く手を塞ぐ気はない。生半可な力では、ここ
は入ることのならぬ場所だ。人ならばなおさらな。しかし、ベルモンドの男、お前ならば先へ進んで、目的
をとげることができるかもしれない」
「目的──」
「魔王、ドラキュラ討伐」
 瞳に悽愴な光が走った。ラルフは稲妻に打たれたように心臓がはげしく拍つのを覚えた。
「深い理由は聞かぬがいい。だが、ベルモンドの男、私もまた、お前と目的を同じくする者だと言って
おこう。あの男の暴虐と邪悪を、これ以上座視するわけにはいかない。──殺戮を殺戮で、憎悪を
憎悪で返すことは、しょせん真の悪たる混沌を益する行為でしかないのだから」
 青年はふと目を伏せた。白銀の髪に隠れた白い頬に、はじめてかすかな翳が走ったかに見えた。 <> ラルアル 5/5<>sage<>2006/01/12(木) 00:27:45 ID:+kSwXYqa<> 「お前、名は?」
 考えるより先に、ラルフはそう口走っていた。
 青年はいぶかしげに顔をあげた。細い眉根を寄せて、いくらか困惑しているように思えた。
「名など、訊いてどうする」
「協力しろなどと甘いことは言わない」
 ラルフは言った。どのみち、一人で暗黒の魔王と退治する覚悟で城に入ったのだ。今さら道連れや同盟者
など欲しいとも思わないし、誰かに助けを求めるなどベルモンドの誇り高き血が許さない。
 だが、なぜかこの青年には離れがたいものを感じた。姿形の美しさ、そのすさまじい剣技の冴えにも
増して、さえざえとした瞳にこもる強靱な光が、ラルフの男としての何かに反応していた。 <> ラルアル 6/5<>sage<>2006/01/12(木) 00:28:51 ID:3WVhrfoz<> 「だが、お前の目的が俺と同じだというなら、この先、またかち合うこともあるだろう。あるいは、
再度剣を交えることになるかもしれん。その時に、相手をなんと考えればいいか、わからないと困る
と思っただけだ。俺の名はラルフ。ラルフ・C・ベルモンド、お前は?」
 青年は小さく唇をあけて、閉じた。ためらうような様子を見せて間をおいたが、やがてぽつりと、
「──alucard、」
「なに?」
「アルカード」
 静かな声で、青年はきっぱりと言い切った。
「〈ドラキュラに反する者〉、それが私の名だ。呼びたければそう呼べ、ベルモンド。私はべつに構わない。
この先、会うことがあるとは限らないが」
「俺の名はラルフだ。『ベルモンド』じゃない」
 むっとしてラルフが言いかけたときには、すでにアルカードと名乗る青年はきびすを返していた。
 ブーツの踵がかつかつと石畳を踏み鳴らして遠ざかっていく。最期に一瞬、あざやかな銀髪が闇に
浮かび上がり、再び沈んだ。破壊された通廊には、すでにラルフしかいなかった。
「アルカード」
 暗い魔城にひとり立ちつくし、ラルフは呟いた。自然に拳に力がこもった。
 月輪にも似た白い顔が脳裏によぎり、理由もわからず胸がさわいだ。
 再びどこかで鳥が鳴いた。
 異形の気配が近づいていた。きしるような鳴き声が通廊の果てから聞こえてくる。また霧が濃くなり、
腐った肉の異臭が漂ってきた。月が翳った。
 ──今はとにかく、進むことだ。暗黒の城の城主。混沌の魔王。
 ドラキュラ。
「……お前とは、また会う気がする。アルカード」
 ラルフは大きく息を吸い、ふたたび、聖鞭ヴァンパイア・キラーを握りなおした。 <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 00:29:56 ID:3WVhrfoz<>  ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ 配分間違えて6回にナッチャッタ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   | <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 00:37:31 ID:Bkx2nH4S<> >605
姐さんグッジョブです! アルちゃん素敵……(*´д`)
シリーズは月下しかプレイしたことないけど萌えますた。 <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 00:53:50 ID:nQx92/CV<>                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    | レポート書けずに現実逃避、ネット三昧 
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  今回発掘された化石は拉麺sです。
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
<> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 00:54:26 ID:nQx92/CV<> 例えば、これ以上彼に依存してしまったら。考えるだに恐ろしい話だ。
帰る彼に行かないで、なんてすがる自分を想像したら吐きたくなった。

「ケソタロー、明日のリハ何時からだっけ。」
「んー、十二時から。遅れんなよ。手加減してやったんだから。」
「そーゆーことをサラっと言うなよなー…」
「何、もっとスケベ親父風に言ったほうがいいの?」
「言ってみて。」
「……イヤだよ。」
ケソタロウは、何の引け目からは知らないが俺に物凄く優しく触れる。
触れて、舐めて、入れて、そして決まった場所に帰る。頭でわかっていても、
その事実は余り気持ちのいいものではない。とは言え、この関係を終わらせる
ことなど出来るわけが無い。嘆けども嘆けども状況は変わらことはない。
「帰る、んだよね。」
「…うん。」
「ここで女だったら必死にすがりついて『帰らないで』って
言うのかもしれないねぇ。」
「イヤな事言うね、カタギ利さん。俺に何て言って欲しいの?」
「…何も言って欲しくないんだろうね。あんまり気にしないで。」 <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 00:54:58 ID:nQx92/CV<> ケソタロウは立ち上がりかけた腰をおろして、煙草に火をつけた。
薄い煙がオーロラのように部屋を満たしていく。
手に触れると消えてしまうそれは、触れないという意味では本物のオーロラと
何ら意味は変わらず俺は寒くて暗い南極で抱き合うアザラシを想った。
「カタギ利さんさ、心理学の基本概念って知ってる?」
「寿命でもわかんの?」
「…ネタの話じゃなくてさ。」
「冗談だよ。知らない。」
「人間って、仮面被って生きてる生き物なんだって。ペルソナっていうんだけどね。」
「ふぅん?」
「でね、そのペルソナには限りがないんだ。剥いでも剥いでもまた別のペルソナが
表れて…ペルソナをとっかえひっかえ生きてんだって。玉葱みたいに。」
まだ十分吸える長さの煙草を、ケソタロウはゆっくり揉み消し
俺の方に向き直った。ケソタロウの言う事は時としてとても抽象的で、
俺はその言葉の中から何を感じ取ればいいのか困る事がある。
困惑した顔を作りケソタロウの方を見てみた。視線に気づいた彼は少しだけ
表情を崩し俺の髪にそっと触れた。
「…だからね。カタギ利さんといる時の俺と、家に帰った時の俺は
本体は同じでも着けてる仮面が違うの。別モンだと思えば、
いいんじゃない?俺は絶対家でする顔をカタギ利さんの前ではしないから。」
…安心させようとして言っているのだろう。しかし、俺はケソタロウを
ここに少しでも長くいさせたくてもう一つ小さな爆弾を落としてみた。

<> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 00:55:32 ID:nQx92/CV<> 「生産性のないカンケー。」
「…え?」
「子供作れないし世間様にバレたらマズいし続けてても未来なんかない。」
「カタギ利さん。」
「でっかいオッパイもケソタロウを自然に受け入れる身体の構造も無いし結婚もできない…」
「…カタギ利さん、それ以上言ったら俺ヒドいことするよ。明日来れなくなるくらい。」
「…ごめん。」
別に本気で怒らせたいわけじゃない。タチの悪い戯れだ。僕は素直に謝った。
「やめたい?こんな"生産性のないカンケー"。」
「やめたくない…やめたくない。まだ。」
「…安心したよ。」
どうしようもない。自分で自分の首を絞めているような気持ちになり、
俺はケソタロウに気づかれないようにため息をついた。
「何かヤな奴になってるね。俺。」
「本当にヤな奴は自分のことヤな奴なんて言わないから。」
「時間、平気?」
<> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 00:57:15 ID:nQx92/CV<> 今なら、三面鏡の前で男を送り出す愛人の気持ちが良く分かると思う。
「あぁ、そろそろ行かなきゃ。」
ジャケットを羽織り、手の甲で俺の頬に触れ軽く抱きしめるとケソタロウは
振り向きもせずに玄関を出て行った。後姿に向かって俺は、誰に聞かせる
でもない独り言を呟く。最近は癖になってしまい、改めようとも思わなく
なった独り言の癖は心理学的に見るとどんな名前を付けられるのだろう?

「…家出したいなぁ…。」

独り暮らしの家、だけど。

「…帰れない、帰るとこもないけど…ねぇ。」

独り言は壁に吸い込まれ、無かったことになっている。

僕は、どこへも帰れない自分を想い、少しだけ泣いた。

どこまでも暖かいケソタロウの手を、名残惜しげに感じつつ。 <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 00:57:17 ID:ZF5nMBcu<> >595
萌えました。
ご本尊のふいんき(なぜかryがそのまんま出てて、GJです。 <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 01:00:39 ID:nQx92/CV<>  ____________
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 | |                | |           ∧_∧ これもケコーン前に書いたヤツですね…。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
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ここ数日シリーズ物でもないのに連投してる者ですが、
不愉快な方いらっしゃましたら仰って下さい。すぐ消えますので…。 <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 01:04:43 ID:BaWdhce3<> >>607
萌えすぎた!リアルタイムで萌えた!
過呼吸起こしそうだw <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 01:05:27 ID:PRRPM77p<> じゃあ消えて。

つうかシリーズ物とかいちいち言うな。名乗らず勝手に貼れ。
そういう構ってちゃんな発言がうざい。 <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 01:17:16 ID:iPc9r5Yf<> >>607
自分初めて麺sに萌えた
消えないで、もっと発掘してください!! <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 01:33:25 ID:Hffwd3uD<> 投下するのはいいけど、一々反コテ化する必要ないと思う。
一々名乗るのがうざったい。

萌えを吐き出したいならば、このスレでいいけど、
SS投下して、褒められたいだけならば、サイトとか作ったらいい。 <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 01:39:13 ID:4pyuZ2QY<> >605
神キター!
文体がゲェムの蔦絡まるような雰囲気出てて酔えました姐さん!
硬派なのも悪魔錠らしくてGJです、凄い萌えました!
ごちでした! <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 01:48:41 ID:wPv+0R6/<> 投下自体をウザがってる人は自分が見ないようにすればいいだけ。
が、そういう意見もあるだろうに黙って流せず意見を促す>>607も大人気ないよ。
スレ占領するほど投下してる訳じゃないんだから好きにしたら良い。 <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 01:51:08 ID:JjL8AsKT<> >605
二人の動きや表情が目に浮かんだ!
ラルアル好きだから見れて嬉しいです <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 01:53:30 ID:0ija4zcC<> 誘い受けはやめとけってこった。 <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 05:20:12 ID:Asu+zkgj<> 投下するだけなら、好きにしていいと思う。
いちいち、誘い受けしたり、消えた方がいいですか?とかいわなきゃ
誰もケチつけんでしょ <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 05:23:04 ID:rf+PQ0MI<> いやまあ、最近ここに投下されたSSは各ジャンルの本スレに貼られてるから
ぶっちゃけ自ジャンルは自粛してほしいがな。 <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 10:10:35 ID:Y3/zJFNI<> >>605
萌えたし燃えた!(*´Д`)=3
戦闘シーンテラウマス!ウツクシス!ラノレアノレ(*´Д`)ハァハァ
悪イ云リメイクされないかなマジで…(*´д`) <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 12:56:10 ID:Y3/zJFNI<> あ、無粋ながら一つツッコミ…
アノレカードの瞳って金色じゃないっけ?(小島絵を見る限り…)ママンはアイスブルーだけど。 <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 13:35:57 ID:0NiFxSZy<> 本スレにアド貼りに来た奴、見てたら頼むから氏ね <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 17:09:08 ID:vLB7mb9d<>                     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  蟲/師、虹×銀…のつもり
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄|  アニメ雨がクルが相当萌えだったらしいよ
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ 今更ゴメソ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 1/4<>sage<>2006/01/12(木) 17:09:58 ID:vLB7mb9d<> その男はギンコと名乗った。
蟲/師だという。


街道沿いに立った市で、早速背負ったでかい瓶を売り払った。
できたばかりの旅の連れは案外口が達者で、瓶は思ったよりも高値で売れた。
背中が軽いのはどのぐらいぶりだろうか、清々したというよりもかえって心
許ない。
立ち並ぶ店の間を抜けながら、ギンコの話す虹蛇の話に聞き入っていると、彼
はふと、話のさなかにゆるりと視線を反らし、あらぬ方向をじっと見つめた。
これで幾度目になるだろう。つられて目を転じても何も見えないのは、既に
承知している。
俺はそれでも普通の人間よりは「見えやすい」方だというが、彼の言う方向
にいくら目をこらしても、微かな燐光の名残を感じるだけで、見えるという
にはほど遠い。
だから俺は、その、たった今なにものかを見ているらしい、ギンコの横顔の方
を眺めることにした。
歳に似合わぬ白髪に湖水のような緑の目、異相の横顔を。 <> 2/4<>sage<>2006/01/12(木) 17:10:42 ID:vLB7mb9d<> 蟲/師、という人間のことは、名だけならば知っていた。
村にいたころ、そう名のる旅人に橋造りの助言を請うた事があったからだ。
旅をしてきた五年でも、似たような連中と何度か道を共にしたことがある。
あれも今思えば蟲師であったのだろう。
彼らは年齢も性別もばらばらだった。ただ医家か薬売りのように背に大きな
薬箱を背負っており、それが特徴と言えば特徴だったが、むしろ印象深いの
はその目だった。
蟲/師は皆、全てを心の底まで見透かすような、不思議な目をしていた。
ギンコもまた、そうだった。
長い前髪の下からのぞく片眼でひたりと見据えられると、自分の中身が何も
かも、自分でも気付かなかったような思いや感情でさえ、根こそぎきれいに
浚われてしまうような気がした。
彼らはそのまなざしで、ひとに見えざるものを見るのだという。 <> 3/4<>sage<>2006/01/12(木) 17:11:32 ID:vLB7mb9d<>
唐突に、ギンコがこちらを振り向いた。
それこそ心を読まれたようでどきりとする。が、
「なあ、あれ買ってくれ、あれ」
開いた口から転がり出たのは、至ってのんきな一言だった。
ひょいと指さす先には小さな屋台があった。にわか作りの軒下に七輪を並べ
て、その上でなにやら売り物を焼いている。串に刺さっているのは五平餅か。
そういえば、先程から醤油の焦げる香ばしい匂いが辺りに漂っている。
「うまそー」
「……」
がっくり肩から力が抜けた。話の中座は蟲が原因ではなかったらしい。
「あんたなぁ」
「長雨で食料がやられちまったって言ったろ。ここ数日ろくに喰ってねえん
だ」
なあ頼むよ、と子供のように袖まで引っ張ってくるありさまだ。
なんにしろ、雨を探して歩くしかなかった五年間で、初めて掴んだ有力な手
がかりには違いない。情報料と思えば安いものかと、一本買い求める。
「ほれ」
「ありがてェ」
受け取って、熱い熱いと言いながら嬉しそうにかぶりつく姿はやはり子供の
ようで、俺は呆れを通り越して、つい吹き出してしまった。
「なんだよ」
「……いや」 <> 4/4<>sage<>2006/01/12(木) 17:12:37 ID:vLB7mb9d<>
不思議な奴だ、と思った。
容貌といい風体といい、胡散臭いことこの上ないのに、どうしてか警戒心を
抱かせない。

思えば、虹の話を人にするのも久しぶりだった。
どんな些細な事でもと、縋るような思いでいても、最後に「そいつはどこの
御伽草子だい」と笑い飛ばされるのが関の山だ。そんなのにはこの五年で、
いい加減飽き飽きしていた。
なのに俺はあの時、気が付くとあの、父と虹の話をしていた。
そして、やがて話が終わった時、この男はごくあっさりと、話を信じる、と
言ったのだ。



「えーと、どこまで話したっけか。
 そう、まず、な。普通の虹ってのは――」
 
話しながら一歩前を行くギンコの足下で、水溜まりに映った空は、先程の雨も
虹の行方も素知らぬふりで、ただ底抜けに青かった。


<> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 17:17:09 ID:vLB7mb9d<>  ____________
 | __________  |
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ エロ皆無で失礼
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   | <> ラルアルの人<>sage<>2006/01/12(木) 20:23:01 ID:A70bAXtV<> >>625
おわ、ご指摘ありがとうございます。
どっちかなーと思ってたのですが、ママン似ということでブルーアイに。
本気出して魔力発揮中だけ金色になるってことで
今回は勘弁してくだちい。 <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 21:09:37 ID:NgGgQ64n<> >>632
GJ!!
なんだろう、なんだか切ない気持ちになったよ・・・。
「ありがてェ」にハァハァ <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 21:17:40 ID:mf4bDT9b<> >>632
旅路の風情を感じた。姐さんありがとう。 <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 23:47:25 ID:BtovGunq<>
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    | T.O.A.のノレーク×アッツュです
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| エロ無いので801もどきです
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ネタバレ!
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
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ラスボス直前なのでネタバレ注意でお願いします <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 23:50:33 ID:BtovGunq<> 「まだ、消えてない」
口の中で呟いた。両の手の指先をゆっくりと動かし、拳を作るように折り曲げると、爪の先端が掌に当たって少し痛い。
この体は、まだここにある。
ノレークは一度顔をあげた。思案に耽る姿を怪しまれていないかと、辺りをぐるりと見渡したが、仲間たちは各々、傷の手当てをしたり、荷を探ったり、武器の具合をみたりと忙しそうだ。
誰もが、次こそが最後の戦いになると察していた。それを前にして、ノレークにだけ特別に気をかけられる程の余裕など無い。今はその方が都合が良かった。
ノレークは間も無く、人でいうところの死を迎える。以前に一度、一瞬と感じる程の僅かな間だったけれど、この手が透けるように消えかかった事がある。
音素乖離を起こしているのだとその後に知った。死んだら消えてしまう。自分を構成する全てがばらばらになり消滅してしまうのだ。
先に逝った人々を思い浮かべる。まるでずっと昔の事のようだ。
ノレークはいつでも、今でも、彼らの死の瞬間を、鮮明に瞼の裏に描き出す事ができる。
自分の手で奪った命、何かの為に失われた命、全てを毎夜のように繰り返し夢に見ていた。
忘れてしまったのではない、昔のようだと感じるのは、ひとえに、世界との決別が近い故の悟りだ。
最後の戦い、そして己の死を前にして、いよいよノレークの心は凪いだように穏やかだった。そう感じさせるのは、つい先ほど、死を迎えた彼の存在が大きいのかもしれない。
こめかみに片手をあてる。だがアッツュの声が聞こえる事は無かった。
彼が何かを伝えてくる時は、いつも頭痛を伴っていたので、同じように頭を抱えれば、あの声が響いてくるのではないか。そう考えての行動だったが徒労に終わった。
(お前は、やっぱり俺の先を行くんだな)
アッツュは、ノレークと対峙する時はいつも口が悪くて、レプリカだと邪険にして、もしかしたらその存在を憎んですらいたかもしれなくて。 <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 23:51:42 ID:BtovGunq<> それでも、いつも、いつも、手助けしてくれた。
ノレークの行く道の先のどこかに必ずアッツュが居た。遥か先だったのか、目前だったのか、アッツュが死した今となってはわからないけれど。
「俺はノレーク・フォン・ファブレだ」
そう叫んだ彼は、”ノレーク”として生まれ、”アッツュ”として生きた、その意味を知ったのだろうか。
アッツュ。いつも背中しか見せない、アッツュ。俺はまだ生まれた意味を知らない。
けれどアッツュ。お前が、俺はレプリカなんだと教えてくれてから、解った事ならあるんだ。
ずっと一人だと思っていたけど、罪を犯した俺だけど、仲間がいる。レプリカでも家族と呼んでくれる人がいる。助けてくれる人がいる。
アッツュ、お前もいる。
俺はもうすぐ死ぬけれど、レ.ムの塔の時のように、罪を償う術を探して投げやりに命を差し出すんじゃない。
ノレークはもう一度掌を見た。体はここにある。自分はここにいる。
アッツュが死んでも、ノレークはアッツュにはならない。同じように、例えあの時ノレークが死んでいても、きっとアッツュがノレークに戻る事はなかっただろう。
”ノレーク”の居場所をアッツュへ返す事など始めから出来ない話だったのだ。二人はもう、別の人間なんだから。
今、俺にも出来る事があって(力がある)やりたい事があって(守りたいものがある)それは、この世界を続けていく事になるんだ。
俺は、生きる。償い続ける為に。命の道を続けてくれた、全ての為に。
少なくとも俺たちは、死ぬために生まれてきたんじゃない。
?げていく為に、お前は生きていったから。
この体が消えるその瞬間まで、俺は、生きていく。そう、思っている。
後ろを振り返った。そこにアッツュはいない。仲間たちが、備えも万端にこちらを見ていた。
ノレークは精一杯、力強く言った。
「さあ、行こうか」
命を、繋げていくために。 <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/12(木) 23:53:41 ID:BtovGunq<>  ____________
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 | |                | |           ∧_∧ ホントにエロ無い……
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こんな素敵スレ知らなかったよ。思わず記念投下しました。悔いはない。 <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/13(金) 01:48:56 ID:scAlDRbp<> >>639
寂しくもあり悲しくもあるけど萌えました GJ!! <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/13(金) 02:17:58 ID:F86FWnyZ<> >627-632
銀古がカワエエ萌へー(*´Д`*)
原作で省かれた?部分を華麗にフォロー。
ゴチですた。
<> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/13(金) 03:29:51 ID:9UbHrRqz<> >632
GJ!!!
禿萌えた! <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/13(金) 05:36:48 ID:L9G8UEyz<>  ____________
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 | |                | |           ∧_∧ 無邪気な悪鬼とその対戦相手ネタ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) スレの流れとはちょっとズレたかも…
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ダブル目隠しプレイ。お約束設定でスマソ。しかもエロシーンのみです注意
<> 1/4<>sage<>2006/01/13(金) 05:37:20 ID:L9G8UEyz<>  それは奇妙な、それでいて蟲惑的な光景だった。
 骨ばった脚を投げ出して仰向けに横たわる少年の髪は、暗闇にほの白く浮かぶ夜具と
同様に白い。
 そしてその足元に蹲って、足指を舐め回してる白髪の老人。
 老人は湿った水音を鳴らして、指の股に舌を差し入れる。唾液でふやけてすっかり軟
らかくなった皮膚の厚いところを甘く噛むと、掴まれた足首がぴくりと震えた。

「壱河さん」
 乱れそうになる息を押し込めて名前を呼ぶ。もう二十分近くもこんな事が続いていた。
「あんた、相当イカレた格好してるよ 今」
「盲目のわしには何も見えんのだから、気にならんさ」
 足の甲に浮き出た骨を通って、くるぶしに辿り着いた唇が乾いた笑い声を漏らす。
「俺には良く見えるよ。こんなガキにむしゃぶりついて喜んでるあんたの姿がさ」
「そしてこんな老いぼれに足指をしゃぶられておっ立ててる自分も良く見えるわけか…
…なぁア力ギ…」
 壱河は言葉と共に掴んでいた片方の脚をぐいと持ち上げて、膝の裏をきつく吸う。そ
の言葉は事実だった。まだ膝より上には触れられてもいないというのに、執拗に続けら
れた愛撫は確実に身体を反応させていた。こんなことが気持ちいいなんて、どうかして
る。そう思っていても、始まってしまえばどうすることも出来なかった。
 壱河との情事だけが、ア力ギをこんな体に変えてしまう。そんな自分を直視するのが
なんとなく不快で、のろのろと持ち上げた腕を顔に重ねる。
<> 2/4<>sage<>2006/01/13(金) 05:38:06 ID:L9G8UEyz<> 「フッ…まぁそういうこと。見えないほうがいいかもね」
 みっともないのはお互い様なのに自分だけがこの光景を見ているという事実。それ
が苛立ちとも羞恥ともつかない息苦しさを沸きあがらせ、つい皮肉が口の端に上せる。
「何をそう尖っておる。見たくても見られないのはこっちだぞ」
 そんな煽りを軽くいなしながらやっと脚から離れた壱河は、宥めるようにア力ギの
顔を丹念に撫で回していたが、ふと動きを止めたかと思うと、やがて考え深げに小さ
く笑った。
「そうだな…お前と同じ物を見ることは無理だが、その逆なら出来ないこともない」
「え…?」
 言うや否や、壱河は浴衣の袂から手拭いを取り出したかと思うと、ア力ギの目に被
せた。慣れた手つきで瞬く間に頭へ巻きつけ、こめかみの辺りで結び目を作る。
「これでお互い、五分と五分…どちらも見えなければいいんじゃないのか?」
 そう言いながら布越しに瞼をなぞり、眉間を通って髪を撫でる壱河の手は、ひどく
丁寧だった。

 規則的に互いの肌がぶつかる音。その度に自分の背中と夜具が擦れる鈍い音。舌の
通った跡が外気でだんだん冷たくなってゆく感覚と、その為に却って際立つ自らの熱。
 普段と変わらぬ筈の相手の息遣いや肌のぬくもり、髪を梳く指の動きまでもが視覚
を塞がれた状態だと一層鮮明に感じられ、その一つ一つが情欲を煽る。
「ふっ…んっ…う…っ」
 それでも抽送に合わせて漏れる声を殺していたが、
「いつもより締め付けがきついじゃないか…この趣向が気に入ったのか…?」
 耳元で響く低い笑い声と共に図星を指された瞬間、かっと頬が燃えると同時に背筋
をぞくぞくと異様な戦慄が走った。羞恥心と興奮が絡み合いながら押し寄せ、ア力ギ
の理性を溺死させんと侵食してゆく。 <> 3/4<>sage<>2006/01/13(金) 05:38:53 ID:L9G8UEyz<>  ようやく触れた壱河の指が鈴口を抉るようにして押し割ると、堪え切れずに滲み出
した先走りが指先を濡らす。追い討ちをかけるようにそのべたつく指が上下し始める
と、もうア力ギは自らの腰がその動きに合わせて揺れるのを止めることが出来なかっ
た。
「ぅあ…っ、う…んっ…ああっ…」
 激しくかぶりを振る度に、雪のように白い髪が乾いた音を立てて畳を打った。
 そんな中、おぼつかない手つきで壱河に触れようと手を伸ばす。見えないことが、
触れたいという思いを更に強めるが、掌に感じる鼓動が自分のものなのか相手のも
のなのかは既に解らない。
 
 あんたの頭の中で、俺は一体どんな姿をしている?
 どんな姿態を晒して、どんな風にあんたを欲情させてるんだ…?
 
 錯綜する思考の底からむらむらと奇妙な対抗心が湧き上がる。壱河の想像の中にい
る、自分ならざる自分に対して。
 そんな思いにとらわれながら、近づく限界を自らへと引き寄せるかの如く、壱河の
首に腕を回した。
「壱河さん………」
 快楽に泣き疲れてかすれたこの声が、どれだけ相手を欲情させるかをア力ギは知っ
ていた。我慢するのを止めて、思い切り感じたままを声に出す。目の前にいるのに見
えないこの男に届くように。 <> 4/4<>sage<>2006/01/13(金) 05:39:32 ID:L9G8UEyz<> 「くっ…」
 声は届いた。ア力ギの肩を掴む壱河の両手には力がこもり、耳元で響く息遣いから
は余裕が消えた。煽られて一層膨れ上がった己の情欲に慄く声だった。
「…なんてガキだ………」

 その時ア力ギに見えたものは、終局に向かってもつれ合いながら奈落に落ちてゆく
二つの身体。ようやく、壱河と同じものを見ることができたと、確信した。
 その瞬間、奥底から押し寄せる高波に最後の思考が呑み込まれる。
しかしひときわ大きな声を放ちながらも、その苦しい息の下でア力ギはふっと微か
に笑った。

 やっとあんたを 捕まえた <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/13(金) 05:42:53 ID:L9G8UEyz<>
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 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ お恥ずかしい。最初のAAの画面が
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 「STOP」のままでした。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
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勢いだけでこんな朝からやってるだけSS投下してしまったけどとりあえず <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/13(金) 05:54:21 ID:IlFT26Dr<> 姐さん、GJ!
お互いに見えないプレイとは、恐れ入りますた(エロいyo!)
ここ最近の福/本スレ住人は、よってたかって漏れを萌え頃す気でつか(*´Д`)ハァハァ
畜生、あの白髪の小悪魔めー!(*´Д`)ハァハァ <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/13(金) 06:20:28 ID:omSp4VdI<> (*´Д`)GJ!エロイヨー
朝からいいもん読ませてもらいました! <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/13(金) 07:47:13 ID:cwLC3yuk<> 姐さんGJです…!
朝からたっぷり萌えさせて頂きますた(*´Д`)ハァハァ/lァ/ヽァ <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<><>2006/01/13(金) 08:13:55 ID:HWoQOFdu<> 名無しに電流走る…っ!
朝から素で鼻血でたハァハァ
ありがとう、神っ…いわゆるゴット…っ! <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/13(金) 08:15:03 ID:HWoQOFdu<> すみませんアゲてしまいました…orz <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/13(金) 09:46:27 ID:d0q3Jg/f<> 姐さんGJ!
白いご飯が50杯くらいいけそうです(*´Д`)ハァハァ <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/13(金) 11:08:34 ID:9N1mWvRW<> GJ!GJ!
(*´Д`)シゲル ハァハァ <> 名無しさん■投票日決定ルールスレ参照<>sage<>2006/01/13(金) 18:00:19 ID:kK10cYys<> 容量的にそろそろ次スレの季節かな?
もしそうなら長編投下予定の姐さん方は気をつけて下さいねー <> 猿河童がらみ1<>sage<>2006/01/13(金) 18:44:00 ID:LxBfKijM<>
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                    |  ドラマ西/遊/記の猿×河童だよ
 ____________  \         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| エロもなんにもないただの作者の妄想だからな
 | |                | |            \
 | | |> PLAY.       | |              ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
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                    | その前に猿×河童なんていえるかどうか怪しいぞゴルァ
                    \
                       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ <> 猿河童がらみ2<>sage容量大丈夫かな<>2006/01/13(金) 18:44:43 ID:LxBfKijM<>
 「あっつーい!みず!」
 「うるさい馬鹿猿」

  じりじりと照りつける太陽が容赦なく彼らを襲う
  五条も口では強がって見せたが彼も相当参っている。

 「みず!みず!みずちょうだいよ〜豚ちゃん」
 五空が八回によりかかる。
 八回は押しのけながら「あなたが一人で飲んだじゃないですか」

 五空はふてくされながらも あっづー と叫ぶが誰も構わない

 今度は五条にもたれかかった
 「なぁ〜河童は頭の上に水あんだろ?ちょうだい!みず!」
 「うるさい。少しはだま・・・」

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