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#title(茶わん酒)
※ナマモノ注意、枯れ専注意
昇天の紫緑です。
時系列は218〜の「地獄雨でもどこまでも」と234〜の「語るも...
コエンユさんも登場しますが、筆者自身コエンユさんのことを...
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
座敷で足をくつろげているというのに天井は見当たらず、生...
その中身は酒なのか、水なのか。不思議なことに、墨汁のよ...
「ようハゲ、元気か?」
「なんだい、油すましの知り合いなんざいねえよ」
「そんな冷てえこと言わねえで、どうだ1杯やらねえか?」
「あたしが下戸だって知ってんだろ?」
「いいじゃねえかよ。再会を祝して、ほら!」
「やめとくれよ。猫の茶碗じゃあるめえし、そんな小汚いの...
「つれないねえ、やっと会えたってのに」
「冗談じゃないよお。あたしはまだまだやらなきゃいけない...
16でひとりぼっちになった。24の時に赤線の灯が消え、故郷...
「落語に専心なさい」という神のお告げかと思ったが、自分...
何事も手中に収めなければ気のすまない性分の世間知らずに...
女遊びは芸の肥やしとよく言うが、結婚してからは律儀に義...
しかし今、自分は確かに、目の前の男を欲している。
「師匠、おかげんはいかがですか?」
「……ゼンマイ仕掛けの気分さ」
やたら小難しい名前の病気の手術が決まった時、男は持ち前...
だがしかし、気が滅入るのはどうにも抑えられない。
薬品の匂いと無数の病の重苦しさに囲まれながらきびきび動...
「さすりましょうか?」
「すまないけど頼むよ」
妻や医者や一門の者に吐けない弱音も、同じ舞台に立つ同士...
ほんのひと昔前までは見栄を張る余裕も少しばかり持ち合わ...
「こんなとこに物騒なもん埋め込んじまったんですね」
「おっかないよ、体ん中に金属が入ってるなんて」
楕円を描くように行き交う手の力強さに、ほどよく引き締ま...
こればかりは仕方ないが、噺の人物を演じるにあたって、自...
ボルトなんぞという無骨なものを入れた分、幾らかでもたく...
だが、男はそのいびつな丘陵の形を記憶するように、自らの...
「……細いですね」
お二人が並ぶと画面が映えますから、という理由で横並びに...
なるほど、健康的な褐色の青年と、とち狂った水墨画のよう...
この男が手を握り返さなければ、旧友亡き後の道筋がどうな...
息子というには近すぎて、弟と呼ぶには遠すぎて、後進と可...
単なる色狂いなのか、異常なまでの物好きなのか。
「……こっちに」
「はい?」
ぐるりと体を反転させたので、腰を抱くような姿勢になった...
病に倒れるのは初めてではないのに、喉や胸の奥がきゅうと...
今日は、今は、とことんだめだ。見飽きたはずの不味い面の...
「こっちにきとくれ」
「……どうしたらいいんで?」
「そばにいてくれたらいいんだよ」
困り果てたように後ろ頭を掻くと、ベッドの下に膝立ちにな...
首筋に鼻先を擦り付ける姿勢になったが、噺家のくせに香水...
五臓六腑を染めるように香りを吸い込んで目をつむると、見...
「なあに、嫌な夢みてね」
「はあ」
「全身麻酔ってのは眠りすぎるみたいだね、懐かしい奴がい...
「……お迎えには早すぎますね」
女のようで女でなく、男であるのに男らしくないこの体を、...
誰にも見せたことのない醜態を晒したというのに、屈辱より...
「不細工な顔にお似合いの不細工な茶碗に飲めもしねえ酒つ...
「そいつはよかった。あなたにとどめを刺すのは私ですから...
かつて置屋通いで身を滅ぼした男を何人も見てきたが、この...
心の隅から隅まで糖蜜が注がれるような充足感は、高座でも...
赤子をあやすようにトントンと背中を叩きながら、もう片方...
女になりたいと望んだことは一度もないが、こんな心持ちを...
「おお、怖や怖や」
「……私をひとりにしないでください」
ぽつりと落とされた一言に滲み出る切実さが愛しい。
朋友の引退が決まり、席こそ離れてしまったが、対等な立場...
にも関わらず、この男はいつまでもこめかみをじりじりと焼...
その度に頭と言わず体と言わず心と言わず、とかくすべてが...
これは不貞にあたろうか、もう顔も思い出せない親への不孝...
「お前はあたしと道連れだって、何度言ったらわかるんだい」
「地獄の底までお伴しますよ」
「おや、あたしは天国に昇るんだから、今のうちにせいぜい...
「因業なじいさんだ」
骨が砕けそうなほど腕に力が入って、神経の端から端まで火...
ああ、確かにこのまんまじゃ地獄に落ちても詮無いね。
どうしたもんかね油すましよ、こいつが欲しくて堪らない。
次に会えたらその茶わん酒をもひとつ余計にくれないか。
この罰当たりな極悪人と差しつ差されつ飲みあかそう。
おっと忘れてた
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
コメント書き込んでいただいた皆様、ありがとうございます!
- いつもは某スレでコメントさせていただいておりますが、今...
- (続き)素晴らしい紫緑をいつもありがとうございます! --...
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※ナマモノ注意、枯れ専注意
昇天の紫緑です。
時系列は218〜の「地獄雨でもどこまでも」と234〜の「語るも...
コエンユさんも登場しますが、筆者自身コエンユさんのことを...
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
座敷で足をくつろげているというのに天井は見当たらず、生...
その中身は酒なのか、水なのか。不思議なことに、墨汁のよ...
「ようハゲ、元気か?」
「なんだい、油すましの知り合いなんざいねえよ」
「そんな冷てえこと言わねえで、どうだ1杯やらねえか?」
「あたしが下戸だって知ってんだろ?」
「いいじゃねえかよ。再会を祝して、ほら!」
「やめとくれよ。猫の茶碗じゃあるめえし、そんな小汚いの...
「つれないねえ、やっと会えたってのに」
「冗談じゃないよお。あたしはまだまだやらなきゃいけない...
16でひとりぼっちになった。24の時に赤線の灯が消え、故郷...
「落語に専心なさい」という神のお告げかと思ったが、自分...
何事も手中に収めなければ気のすまない性分の世間知らずに...
女遊びは芸の肥やしとよく言うが、結婚してからは律儀に義...
しかし今、自分は確かに、目の前の男を欲している。
「師匠、おかげんはいかがですか?」
「……ゼンマイ仕掛けの気分さ」
やたら小難しい名前の病気の手術が決まった時、男は持ち前...
だがしかし、気が滅入るのはどうにも抑えられない。
薬品の匂いと無数の病の重苦しさに囲まれながらきびきび動...
「さすりましょうか?」
「すまないけど頼むよ」
妻や医者や一門の者に吐けない弱音も、同じ舞台に立つ同士...
ほんのひと昔前までは見栄を張る余裕も少しばかり持ち合わ...
「こんなとこに物騒なもん埋め込んじまったんですね」
「おっかないよ、体ん中に金属が入ってるなんて」
楕円を描くように行き交う手の力強さに、ほどよく引き締ま...
こればかりは仕方ないが、噺の人物を演じるにあたって、自...
ボルトなんぞという無骨なものを入れた分、幾らかでもたく...
だが、男はそのいびつな丘陵の形を記憶するように、自らの...
「……細いですね」
お二人が並ぶと画面が映えますから、という理由で横並びに...
なるほど、健康的な褐色の青年と、とち狂った水墨画のよう...
この男が手を握り返さなければ、旧友亡き後の道筋がどうな...
息子というには近すぎて、弟と呼ぶには遠すぎて、後進と可...
単なる色狂いなのか、異常なまでの物好きなのか。
「……こっちに」
「はい?」
ぐるりと体を反転させたので、腰を抱くような姿勢になった...
病に倒れるのは初めてではないのに、喉や胸の奥がきゅうと...
今日は、今は、とことんだめだ。見飽きたはずの不味い面の...
「こっちにきとくれ」
「……どうしたらいいんで?」
「そばにいてくれたらいいんだよ」
困り果てたように後ろ頭を掻くと、ベッドの下に膝立ちにな...
首筋に鼻先を擦り付ける姿勢になったが、噺家のくせに香水...
五臓六腑を染めるように香りを吸い込んで目をつむると、見...
「なあに、嫌な夢みてね」
「はあ」
「全身麻酔ってのは眠りすぎるみたいだね、懐かしい奴がい...
「……お迎えには早すぎますね」
女のようで女でなく、男であるのに男らしくないこの体を、...
誰にも見せたことのない醜態を晒したというのに、屈辱より...
「不細工な顔にお似合いの不細工な茶碗に飲めもしねえ酒つ...
「そいつはよかった。あなたにとどめを刺すのは私ですから...
かつて置屋通いで身を滅ぼした男を何人も見てきたが、この...
心の隅から隅まで糖蜜が注がれるような充足感は、高座でも...
赤子をあやすようにトントンと背中を叩きながら、もう片方...
女になりたいと望んだことは一度もないが、こんな心持ちを...
「おお、怖や怖や」
「……私をひとりにしないでください」
ぽつりと落とされた一言に滲み出る切実さが愛しい。
朋友の引退が決まり、席こそ離れてしまったが、対等な立場...
にも関わらず、この男はいつまでもこめかみをじりじりと焼...
その度に頭と言わず体と言わず心と言わず、とかくすべてが...
これは不貞にあたろうか、もう顔も思い出せない親への不孝...
「お前はあたしと道連れだって、何度言ったらわかるんだい」
「地獄の底までお伴しますよ」
「おや、あたしは天国に昇るんだから、今のうちにせいぜい...
「因業なじいさんだ」
骨が砕けそうなほど腕に力が入って、神経の端から端まで火...
ああ、確かにこのまんまじゃ地獄に落ちても詮無いね。
どうしたもんかね油すましよ、こいつが欲しくて堪らない。
次に会えたらその茶わん酒をもひとつ余計にくれないか。
この罰当たりな極悪人と差しつ差されつ飲みあかそう。
おっと忘れてた
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
コメント書き込んでいただいた皆様、ありがとうございます!
- いつもは某スレでコメントさせていただいておりますが、今...
- (続き)素晴らしい紫緑をいつもありがとうございます! --...
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