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65-56
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#title(ル/ナ/ド/ン/第三 冒険者×弱気吸血鬼7)
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )色々とありがとうございます!!
そう思ってはみたが、確かにヴァンパイアである。
ちょいちょい、と頬をなでるが、特に起き上がる気配もなく、...
バルドは酒場での友人たちとの会話を思い出した。
『なあ、気の弱いヴァンパイアがいたらどうする?』
日本酒を流し込みながら、バルドは友人数人と会話した。
突然の質問内容に、皆は驚いたが、すぐに笑い出した。
『何を言う、そんな吸血鬼などどこにおるというのだ、奴らは...
日倭戦士の友人は、軽く笑ってその言葉を流した。
もちろん彼も随分とやり手の冒険者。ほかの友人も同様で、世...
『気の弱いって、考えたこともなかった。新手のジョークかい...
マニカパの僧侶の友人まで笑い出した。
『だよな、大体ヴァンパイアって言ったら、性格悪いよな。絶...
バルドは夜桜のことを思い浮かべた。
人間と話したい、旅をしたい、添い寝されたかった、そして添...
何かあればすぐに謝るし、常に困った顔でおろおろしている様...
『面白い、けど』
『そんな吸血鬼は存在せん、断言しよう』
友人たちは揃って口にした。
そこまで思いだした。
(存在するってーの。しかも、名前がないから決めてほしい、と...
でもなぜこの部屋で寝ているのか。それに、とても安らかな寝...
ヴァンパイアは人間より嗅覚が優れているらしい。
(俺の匂いで安心して寝ちまった?)
そんなまさか、と自分の考えを笑って打ち消した。
「夜桜、起きねーとまたキスしちまうぞ」
夜桜の頬をぺちぺち叩くと、その刺激に反応して、小さく声を...
「ん、んん…」
口が少し動いた。
声には出ていないが、その唇は間違いなく『バルド』と、動い...
「こら、起きろ。土産もあるぞ」
「…、あっ、しまった、寝てしまった!お帰り、バルド。すまな...
明らかにぎくしゃくしているのは、昼に口づけされてのことを...
その様子を軽く笑いながら、荷物の中に入っている包みを開け...
何かの葉で巻かれた甘味である。
「?」
ガルズヘイムにしか知識がなかった夜桜は、全くそれが分から...
「食えよ、人間の食い物も美味いんだ。柏餅ってやつでなあ、...
さすがは自分勝手なバルド、勝手に買ってきたものを押しつけ...
夜桜はそれを受け取ると、白いその柏餅に口をつけた。
しばらくもぐもぐと食べていたが、あんこの味が口に広がると...
「!!ほいひい」
「バーカ、なんて言ってんのかわかんねーよ、全部食べてから...
ハムハムと一気に柏餅をたいらげた。
初めて食べた人間の食べ物、柏餅は夜桜にとって忘れられない...
ガルズヘイムでは絶対食べられない菓子なだけに、希少だろう。
「抹茶か」
出された抹茶はとても少なく、濃い緑で泡立っていた。
口の中が甘いので、その抹茶を一気に飲んで、むせた。
物凄く苦い。
「な、なんだこれは…」
「甘い和菓子には抹茶って相場は決まってるんだよ。口の中甘...
ごほごほとむせて、苦みが舌に強烈に残る。
出した当の本人は、もう一つ抹茶を作ると、丁寧に作法の通り...
ことんと、丁寧に器を置いた。
よく見れば、その器も高そうなものだが、アイテムの価値まで...
「俺日倭の血が入ってるから結構こういうの平気」
「口直しに何か食べたい…」
「んじゃ俺の血吸えよ」
と、ハイネックを少し下ろして首筋を見せる。
どくどくと脈打つ血管にかぶりつきたくなるが、吸いすぎたら...
「いっ、いい、殺してしまったら大変だ」
「ちょっとだけ飲めばいーじゃん」
「うう…いただきます」
首筋に軽くかみつくと、すぐに血の味が口の中に広がった。先...
「よし、いい子だ」
かみつかれながら、バルドは余裕を持って夜桜の髪をなでた。
「バルド、話をしてほしい」
やはり夜も時間を過ぎると、バルドが布団の中で本を読んでい...
読んでいる本はガルズヘイム製のもので、内容は夜桜にも分か...
「おおー、いいぞ。その前にお前、読書は好きー?」
「好きだ」
頷くと同時に、本を押しつけられた。
人間の、この世界での出来事をまとめた本だった。それはバル...
(バルドは意外に優しいんだ)
「世界史だ、何年にどの国王が変わったとか書いてあるし、ほ...
随分高そうに分厚い本。
それを二冊、そういえば茶菓子もくれた。
夜桜は座ったまま深々とお礼した。
本当に興味すらなければこんなに世話まで焼いてくれないだ...
「ありがとう、バルド」
「なんだよー、このバルド様がこれくらい買うのは普通普通!...
おちゃらけて笑うが、その言い方に悪気はなく、むしろ夜桜を...
「そうだ、バルドの話がまた聞きたい。特に、その、バルドが...
そうだ、こいつはモテる。
その割に結婚しないというのはどういう意味なのかが分からな...
「ん?いいぜいいぜ、よし、もっとこっち来い」
そこまではいつくばっていくと、夜桜は遠慮がちにバルドに抱...
昨日のように腕の中に入れてほしいことを訴えているのだ。
バルドはそれに気づいて、腕を広げて抱きよせる。
(バルドの匂い…)
「俺がなー、冒険に出たのは十六歳、成人してからだ。親父の...
祖父母もいないし、母親はすでにいなかったから、事実上一人...
なってから、七年間ずっと一緒。でも不思議と仲間と恋愛に発...
バルドの匂いに安心しながら、夜桜は聞き続けた。
くん、とかぐたびに、優しいにおいがする。それがバルドの匂...
「シルフが暴れてるってんで、ためしに挑んだらあっさり倒れ...
「人間は単純だな」
「そうなんだ。愛とか関係なしに、『あの有名人だから』って来...
(私が、抱けと言ったら、抱くのだろうか)
自分が変なことを考えているのに気づいて、夜桜は軽く首を振...
あくまで考えていることは、賭けに負けてしまうということ...
「だから何度も言うけど、そういう無防備なところ見せてると...
「鈍器で殴られたいようだな」
「ふっ、その割に目がとろんとしてるし。可愛い可愛い」
ぐりぐりと夜桜の頭をなでた。
それを片目をつむって、おとなしく受ける。
脅し文句ですら迫力のない声で、今にも眠ってしまいそうな弱...
「でも、バルドといれば寂しくないのは事実だ」
「お、デレた」
「何語だそれは。事実を言ってはいけないのか」
少しすねて膨れて、服をきつく握る夜桜を見て、バルドがまた...
「はは、そういうところも他のと違うよな。ま、それで今に至...
そこでバルドの顔を見上げた。
目つきは悪いほうだが、にこにこ笑っていて、怖くもない。
大体ヴァンパイアというものを見る人間の目つきは殺気があふ...
それどころか、彼は夜桜を連れて帰った。
気まぐれにしてもおかしな男。そう思って、言葉を紡いだ。
「なぜバルドは結婚しない?二十七といえば人間は大抵結婚し...
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )後数回で終わります
#comment
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#title(ル/ナ/ド/ン/第三 冒険者×弱気吸血鬼7)
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )色々とありがとうございます!!
そう思ってはみたが、確かにヴァンパイアである。
ちょいちょい、と頬をなでるが、特に起き上がる気配もなく、...
バルドは酒場での友人たちとの会話を思い出した。
『なあ、気の弱いヴァンパイアがいたらどうする?』
日本酒を流し込みながら、バルドは友人数人と会話した。
突然の質問内容に、皆は驚いたが、すぐに笑い出した。
『何を言う、そんな吸血鬼などどこにおるというのだ、奴らは...
日倭戦士の友人は、軽く笑ってその言葉を流した。
もちろん彼も随分とやり手の冒険者。ほかの友人も同様で、世...
『気の弱いって、考えたこともなかった。新手のジョークかい...
マニカパの僧侶の友人まで笑い出した。
『だよな、大体ヴァンパイアって言ったら、性格悪いよな。絶...
バルドは夜桜のことを思い浮かべた。
人間と話したい、旅をしたい、添い寝されたかった、そして添...
何かあればすぐに謝るし、常に困った顔でおろおろしている様...
『面白い、けど』
『そんな吸血鬼は存在せん、断言しよう』
友人たちは揃って口にした。
そこまで思いだした。
(存在するってーの。しかも、名前がないから決めてほしい、と...
でもなぜこの部屋で寝ているのか。それに、とても安らかな寝...
ヴァンパイアは人間より嗅覚が優れているらしい。
(俺の匂いで安心して寝ちまった?)
そんなまさか、と自分の考えを笑って打ち消した。
「夜桜、起きねーとまたキスしちまうぞ」
夜桜の頬をぺちぺち叩くと、その刺激に反応して、小さく声を...
「ん、んん…」
口が少し動いた。
声には出ていないが、その唇は間違いなく『バルド』と、動い...
「こら、起きろ。土産もあるぞ」
「…、あっ、しまった、寝てしまった!お帰り、バルド。すまな...
明らかにぎくしゃくしているのは、昼に口づけされてのことを...
その様子を軽く笑いながら、荷物の中に入っている包みを開け...
何かの葉で巻かれた甘味である。
「?」
ガルズヘイムにしか知識がなかった夜桜は、全くそれが分から...
「食えよ、人間の食い物も美味いんだ。柏餅ってやつでなあ、...
さすがは自分勝手なバルド、勝手に買ってきたものを押しつけ...
夜桜はそれを受け取ると、白いその柏餅に口をつけた。
しばらくもぐもぐと食べていたが、あんこの味が口に広がると...
「!!ほいひい」
「バーカ、なんて言ってんのかわかんねーよ、全部食べてから...
ハムハムと一気に柏餅をたいらげた。
初めて食べた人間の食べ物、柏餅は夜桜にとって忘れられない...
ガルズヘイムでは絶対食べられない菓子なだけに、希少だろう。
「抹茶か」
出された抹茶はとても少なく、濃い緑で泡立っていた。
口の中が甘いので、その抹茶を一気に飲んで、むせた。
物凄く苦い。
「な、なんだこれは…」
「甘い和菓子には抹茶って相場は決まってるんだよ。口の中甘...
ごほごほとむせて、苦みが舌に強烈に残る。
出した当の本人は、もう一つ抹茶を作ると、丁寧に作法の通り...
ことんと、丁寧に器を置いた。
よく見れば、その器も高そうなものだが、アイテムの価値まで...
「俺日倭の血が入ってるから結構こういうの平気」
「口直しに何か食べたい…」
「んじゃ俺の血吸えよ」
と、ハイネックを少し下ろして首筋を見せる。
どくどくと脈打つ血管にかぶりつきたくなるが、吸いすぎたら...
「いっ、いい、殺してしまったら大変だ」
「ちょっとだけ飲めばいーじゃん」
「うう…いただきます」
首筋に軽くかみつくと、すぐに血の味が口の中に広がった。先...
「よし、いい子だ」
かみつかれながら、バルドは余裕を持って夜桜の髪をなでた。
「バルド、話をしてほしい」
やはり夜も時間を過ぎると、バルドが布団の中で本を読んでい...
読んでいる本はガルズヘイム製のもので、内容は夜桜にも分か...
「おおー、いいぞ。その前にお前、読書は好きー?」
「好きだ」
頷くと同時に、本を押しつけられた。
人間の、この世界での出来事をまとめた本だった。それはバル...
(バルドは意外に優しいんだ)
「世界史だ、何年にどの国王が変わったとか書いてあるし、ほ...
随分高そうに分厚い本。
それを二冊、そういえば茶菓子もくれた。
夜桜は座ったまま深々とお礼した。
本当に興味すらなければこんなに世話まで焼いてくれないだ...
「ありがとう、バルド」
「なんだよー、このバルド様がこれくらい買うのは普通普通!...
おちゃらけて笑うが、その言い方に悪気はなく、むしろ夜桜を...
「そうだ、バルドの話がまた聞きたい。特に、その、バルドが...
そうだ、こいつはモテる。
その割に結婚しないというのはどういう意味なのかが分からな...
「ん?いいぜいいぜ、よし、もっとこっち来い」
そこまではいつくばっていくと、夜桜は遠慮がちにバルドに抱...
昨日のように腕の中に入れてほしいことを訴えているのだ。
バルドはそれに気づいて、腕を広げて抱きよせる。
(バルドの匂い…)
「俺がなー、冒険に出たのは十六歳、成人してからだ。親父の...
祖父母もいないし、母親はすでにいなかったから、事実上一人...
なってから、七年間ずっと一緒。でも不思議と仲間と恋愛に発...
バルドの匂いに安心しながら、夜桜は聞き続けた。
くん、とかぐたびに、優しいにおいがする。それがバルドの匂...
「シルフが暴れてるってんで、ためしに挑んだらあっさり倒れ...
「人間は単純だな」
「そうなんだ。愛とか関係なしに、『あの有名人だから』って来...
(私が、抱けと言ったら、抱くのだろうか)
自分が変なことを考えているのに気づいて、夜桜は軽く首を振...
あくまで考えていることは、賭けに負けてしまうということ...
「だから何度も言うけど、そういう無防備なところ見せてると...
「鈍器で殴られたいようだな」
「ふっ、その割に目がとろんとしてるし。可愛い可愛い」
ぐりぐりと夜桜の頭をなでた。
それを片目をつむって、おとなしく受ける。
脅し文句ですら迫力のない声で、今にも眠ってしまいそうな弱...
「でも、バルドといれば寂しくないのは事実だ」
「お、デレた」
「何語だそれは。事実を言ってはいけないのか」
少しすねて膨れて、服をきつく握る夜桜を見て、バルドがまた...
「はは、そういうところも他のと違うよな。ま、それで今に至...
そこでバルドの顔を見上げた。
目つきは悪いほうだが、にこにこ笑っていて、怖くもない。
大体ヴァンパイアというものを見る人間の目つきは殺気があふ...
それどころか、彼は夜桜を連れて帰った。
気まぐれにしてもおかしな男。そう思って、言葉を紡いだ。
「なぜバルドは結婚しない?二十七といえば人間は大抵結婚し...
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