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63-35
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#title(三匹が斬る! 殿様×千石 「流恋情歌 Part3」)
>>18の続きで、時代劇「参匹がKILL!」より、素浪人の殿...
訳あって殿様がオカマちゃん風味。エロなし。
全三回投下の最後です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「旦那、厚かましくって悪いんだけどさ、もう一つお願いがある...
「構わん、俺に出来ることなら引き受けてやる。ただし、金絡み...
「ふふ、お金はちょっとは必要だけど、それは大丈夫。せんさん...
兵四郎は懐から、小判を二枚と懐紙に包んだ千吉の遺髪を取り...
「あたしのお墓に、せんさんを入れてやって欲しいんです。この...
どうせあたしのお墓なんて、ろくでもない出来に決まってるん...
「わかった、確かに引き受けたぜ。金もありがたく貰っておこう」
真之介は金と遺髪を一緒に懐紙に包み直し、懐にしっかりと入...
ほっと息をついた兵四郎は、さっぱりと清々しい笑顔になった。
「ああよかった。これで安心して、あの人に会いに行けるわ……う...
「いいとも。ただし俺は、金はあまりねえぞ」
からかうように駄目押しする言葉に笑い、兵四郎はじっと真之...
「旦那、あたし達この何日か、隣同士の布団で寝てたわね」
「うん、そうだな。お前は女だが身体は殿様なんだから、何も問...
「そうね。でもあたし、いつだかの夜中にふっと目が覚めて……隣...
「変な気持ちたあ、なんだ」
「そのねえ、旦那の……口をね、吸いたく、なっちゃって」
「……ば、馬鹿!何言ってやがる」
唐突で意外な告白に、真之介は顔を赤く染めてうろたえた。あ...
「だってねえ、惚れた男に瓜二つの人が、すぐ側でかわいい顔し...
「そ、そりゃあそうかもしれんが、しかし」
「まあ、最後まで聞いて下さいな。あたし旦那の肩に手をかけて...
「う、うん……」
「そしたら旦那が、ぼんやりと目を開けてあたしを見つめるもん...
「そ、それで?」
「旦那ったら、固まったあたしの顔を見て、それは嬉しそうに笑...
「なんっ……う、う、嘘だっ!」
「こんな嘘ついて、何の得があるもんですかね。抱き着いたまま...
いよいよ湯気が上がりそうな顔色になった真之介は、口をぱく...
兵四郎は慈母のように微笑むと、遠くを見つめるようにしてま...
「あたしね、死んでからも……死んだとは気付いてなかったんです...
だからあたし、戻って来ないあの人はひょっとしたら海の側に...
話題を変えられてほっとした真之介は、無言で頷き先を促した。
「そしたらある日、この八坂の旦那がやって来て、あたしのすぐ...
側にいると不思議と、すごく気分が安らいだんです」
「うん。こいつは、そういう男なんだ」
「ええ、本当にそう。それで今度は九慈の旦那がやって来て、八...
あたしは目の前で笑ってるあんたを見て、てっきりせんさんが...
「そりゃあつまり……どういうこった」
言わんとすることが今一つ掴めない真之介は、胸をぼりぼりと...
兵四郎は悪戯っぽく、歌うように耳元で囁いた。
「だからね、この人はあんたが好きなんですよ。あたしはその気...
「なっ……馬鹿!ふ、ふざけたことを言うなっ」
「ふざけてなんかいませんよ。あたしが何年、色の道でおまんま...
仰天して目を剥いた真之介を見据え、兵四郎は笑って啖呵を切...
「八坂の旦那だけじゃないですよ。旦那も、この人を好いてるん...
「……お絹!」
「駄目だよ旦那、あたしにはわかるんですよ。いつかの夜のこと...
「そ、そりゃあお前が取り憑いて、ややこしいことになってるか...
「うそうそ。例えばあたしがこの人以外に取り憑いたとしたら、...
「いと、愛しそうって、どんな顔だ!」
「そりゃ、いろんな顔よ。今慌ててる、その顔だってそう。何も...
「……照れてねえ!」
真之介は真っ赤な顔で絶叫したが、兵四郎はころころと笑いこ...
「まあいいわ、旦那が白を切ったところで見え見えなんだから。...
「……やかましい!おま、お前一体、何が言いたいんだっ」
「何って、あら、なんだったかしら……ああそうそう、お願いがあ...
「う、うん……なんだ、言ってみろ」
あらたまった顔付きで見つめられ、真之介は深呼吸をして乱れ...
兵四郎はついっと右手を伸ばすと、真之介の顎に触れた。幾度...
指は緩やかに這い上がり、半開きの唇をそっとなぞった。
「あたしね、やっぱり触れたいんです。この、唇に……」
「お、お絹……」
「三年待ってたせんさんは、再び触れ合うことが叶わないままで...
「だが、そりゃあ……千吉が妬きゃあしねえか」
「ふふ、優しい旦那。お世話になった旦那が相手なら、きっとあ...
「し、しかし……」
「中身はあたしだけど、身体は八坂の旦那なんですからさ。惚れ...
「だっ、誰が惚れ合った仲だ!」
「もう、照れちゃって……それともやっぱり、本当の相手があたし...
「いやっ、そ、そんなこたあねえが……」
からかった後に寂しげに目を伏せた兵四郎の言葉を、真之介は...
「嬉しい。じゃあ旦那……目を」
「う、わ、わかった……」
素直にぎゅっと目を閉じた真之介の肩に手を置くと、兵四郎も...
困ったように真之介が笑うと兵四郎も微笑み返し、その肩に腕...
「ありがと、旦那。八坂の旦那にも、ありがとうって伝えとくれ...
「ああ、必ず伝える」
「頼みましたよ。ふたりとも本当に、せんさんに負けないくらい...
甘く耳元に囁くと、兵四郎は真之介の肩に顔を埋めた。
「お絹……?」
抱き着いて押し黙ったままなのを気にかけ、真之介が女の名前...
「俺だ、仙石」
「殿様……お絹は?」
「向こうへ行った。きっと千吉が迎えに来たんだろうな、嬉しそ...
「そうか、行っちまったか」
身体を離した兵四郎は、慎之介がため息混じりに呟くのを見て...
「寂しいか、仙石。お絹に口を吸われて、満更でもなかったみた...
「馬鹿、そんなんじゃねえ」
「そうか?俺は中で見ててちょっとばかり、妬いていたんだぞ」
「ばっ、馬鹿野郎!ふざけんなっ」
頬に朱を走らせた真之介を、兵四郎は穏やかに見つめた。
「……お絹からの言づてだ。ありがとう、だとよ」
「ああ、聞いてた。お前達の話は、みんな聞こえていた。俺達の...
逸らそうとした話をまた引き戻され、真之介は慌てた。
「あ、あんなのは、女の戯言だっ」
「戯言か……俺はそうは思わんぞ。いや、思いたくない」
「と、殿様……」
「妬いたというのも本当だ。自分でも、狭量だとは思うが。気の...
まあ仕方がないが、と笑う兵四郎を見て、真之介は眉根を寄せ...
この人は旦那が好きなんですよ、というお絹の言葉を思い返し...
「仙石、どうした?俺の言葉が、気に障ったか」
無言でいるのを気にかける兵四郎の肩を掴むと、真之介は上げ...
そして兵四郎の唇に、自分のそれを荒っぽく押し当てた。
驚いた兵四郎が目を閉じる間もなく口を離すと、しかめっ面を...
「真之介……」
「うるせえ!何も言うなっ」
「しかし真之介、今のは」
「黙れってんだ、殿様!お前が、く、くだらん嫉妬なんぞ、する...
真顔になりいざり寄ってきた兵四郎から、真之介は喚きながら...
兵四郎は腕を掴むと力任せに引き、気まずさと恥ずかしさに火...
「は、離せ、殿様っ」
「真之介、頼む。このままでいてくれ」
「殿様……な、泣いてんのか?」
身じろいだ真之介は、触れ合う兵四郎の頬が濡れているのに気...
「ああ、そうだ」
「なんでだ。何を泣いてんだ」
「何故だろうな。まだお絹の気持ちが、俺の中にあるのかもしれ...
静かに優しく囁くと、兵四郎は真之介を抱いたまま、身体をそ...
流れ滴る涙を頬に受けた真之介は、覆い被さる背中に腕を回し...
淡い闇と静寂が、抱き合うふたりをひそやかに包み込んだ。
女は川を見ていた。
滔々と流れる水に切なる想いを託し、いつかはきっと海にたど...
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
蛇足・お絹さんのイメージは在りし日のタイチキワコさんだったり。
最後までお読み下さり誠にありがとうございました。
あと処々にてお言葉を下さった姐様方、身にあまる喜びでした...
- この二人のシリーズはほんとに好きです!伏線も展開もお上...
- 泣きました!あなたは神か…(∀`。)次回作に期待しています! ...
- もう大好きです!素晴らしいお話ありがとうございました‥!...
- もう大好きです!素晴らしいお話ありがとうございました‥!...
- すみません、誤って連投になりました。失礼しました! -- ...
#comment
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#title(三匹が斬る! 殿様×千石 「流恋情歌 Part3」)
>>18の続きで、時代劇「参匹がKILL!」より、素浪人の殿...
訳あって殿様がオカマちゃん風味。エロなし。
全三回投下の最後です。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
「旦那、厚かましくって悪いんだけどさ、もう一つお願いがある...
「構わん、俺に出来ることなら引き受けてやる。ただし、金絡み...
「ふふ、お金はちょっとは必要だけど、それは大丈夫。せんさん...
兵四郎は懐から、小判を二枚と懐紙に包んだ千吉の遺髪を取り...
「あたしのお墓に、せんさんを入れてやって欲しいんです。この...
どうせあたしのお墓なんて、ろくでもない出来に決まってるん...
「わかった、確かに引き受けたぜ。金もありがたく貰っておこう」
真之介は金と遺髪を一緒に懐紙に包み直し、懐にしっかりと入...
ほっと息をついた兵四郎は、さっぱりと清々しい笑顔になった。
「ああよかった。これで安心して、あの人に会いに行けるわ……う...
「いいとも。ただし俺は、金はあまりねえぞ」
からかうように駄目押しする言葉に笑い、兵四郎はじっと真之...
「旦那、あたし達この何日か、隣同士の布団で寝てたわね」
「うん、そうだな。お前は女だが身体は殿様なんだから、何も問...
「そうね。でもあたし、いつだかの夜中にふっと目が覚めて……隣...
「変な気持ちたあ、なんだ」
「そのねえ、旦那の……口をね、吸いたく、なっちゃって」
「……ば、馬鹿!何言ってやがる」
唐突で意外な告白に、真之介は顔を赤く染めてうろたえた。あ...
「だってねえ、惚れた男に瓜二つの人が、すぐ側でかわいい顔し...
「そ、そりゃあそうかもしれんが、しかし」
「まあ、最後まで聞いて下さいな。あたし旦那の肩に手をかけて...
「う、うん……」
「そしたら旦那が、ぼんやりと目を開けてあたしを見つめるもん...
「そ、それで?」
「旦那ったら、固まったあたしの顔を見て、それは嬉しそうに笑...
「なんっ……う、う、嘘だっ!」
「こんな嘘ついて、何の得があるもんですかね。抱き着いたまま...
いよいよ湯気が上がりそうな顔色になった真之介は、口をぱく...
兵四郎は慈母のように微笑むと、遠くを見つめるようにしてま...
「あたしね、死んでからも……死んだとは気付いてなかったんです...
だからあたし、戻って来ないあの人はひょっとしたら海の側に...
話題を変えられてほっとした真之介は、無言で頷き先を促した。
「そしたらある日、この八坂の旦那がやって来て、あたしのすぐ...
側にいると不思議と、すごく気分が安らいだんです」
「うん。こいつは、そういう男なんだ」
「ええ、本当にそう。それで今度は九慈の旦那がやって来て、八...
あたしは目の前で笑ってるあんたを見て、てっきりせんさんが...
「そりゃあつまり……どういうこった」
言わんとすることが今一つ掴めない真之介は、胸をぼりぼりと...
兵四郎は悪戯っぽく、歌うように耳元で囁いた。
「だからね、この人はあんたが好きなんですよ。あたしはその気...
「なっ……馬鹿!ふ、ふざけたことを言うなっ」
「ふざけてなんかいませんよ。あたしが何年、色の道でおまんま...
仰天して目を剥いた真之介を見据え、兵四郎は笑って啖呵を切...
「八坂の旦那だけじゃないですよ。旦那も、この人を好いてるん...
「……お絹!」
「駄目だよ旦那、あたしにはわかるんですよ。いつかの夜のこと...
「そ、そりゃあお前が取り憑いて、ややこしいことになってるか...
「うそうそ。例えばあたしがこの人以外に取り憑いたとしたら、...
「いと、愛しそうって、どんな顔だ!」
「そりゃ、いろんな顔よ。今慌ててる、その顔だってそう。何も...
「……照れてねえ!」
真之介は真っ赤な顔で絶叫したが、兵四郎はころころと笑いこ...
「まあいいわ、旦那が白を切ったところで見え見えなんだから。...
「……やかましい!おま、お前一体、何が言いたいんだっ」
「何って、あら、なんだったかしら……ああそうそう、お願いがあ...
「う、うん……なんだ、言ってみろ」
あらたまった顔付きで見つめられ、真之介は深呼吸をして乱れ...
兵四郎はついっと右手を伸ばすと、真之介の顎に触れた。幾度...
指は緩やかに這い上がり、半開きの唇をそっとなぞった。
「あたしね、やっぱり触れたいんです。この、唇に……」
「お、お絹……」
「三年待ってたせんさんは、再び触れ合うことが叶わないままで...
「だが、そりゃあ……千吉が妬きゃあしねえか」
「ふふ、優しい旦那。お世話になった旦那が相手なら、きっとあ...
「し、しかし……」
「中身はあたしだけど、身体は八坂の旦那なんですからさ。惚れ...
「だっ、誰が惚れ合った仲だ!」
「もう、照れちゃって……それともやっぱり、本当の相手があたし...
「いやっ、そ、そんなこたあねえが……」
からかった後に寂しげに目を伏せた兵四郎の言葉を、真之介は...
「嬉しい。じゃあ旦那……目を」
「う、わ、わかった……」
素直にぎゅっと目を閉じた真之介の肩に手を置くと、兵四郎も...
困ったように真之介が笑うと兵四郎も微笑み返し、その肩に腕...
「ありがと、旦那。八坂の旦那にも、ありがとうって伝えとくれ...
「ああ、必ず伝える」
「頼みましたよ。ふたりとも本当に、せんさんに負けないくらい...
甘く耳元に囁くと、兵四郎は真之介の肩に顔を埋めた。
「お絹……?」
抱き着いて押し黙ったままなのを気にかけ、真之介が女の名前...
「俺だ、仙石」
「殿様……お絹は?」
「向こうへ行った。きっと千吉が迎えに来たんだろうな、嬉しそ...
「そうか、行っちまったか」
身体を離した兵四郎は、慎之介がため息混じりに呟くのを見て...
「寂しいか、仙石。お絹に口を吸われて、満更でもなかったみた...
「馬鹿、そんなんじゃねえ」
「そうか?俺は中で見ててちょっとばかり、妬いていたんだぞ」
「ばっ、馬鹿野郎!ふざけんなっ」
頬に朱を走らせた真之介を、兵四郎は穏やかに見つめた。
「……お絹からの言づてだ。ありがとう、だとよ」
「ああ、聞いてた。お前達の話は、みんな聞こえていた。俺達の...
逸らそうとした話をまた引き戻され、真之介は慌てた。
「あ、あんなのは、女の戯言だっ」
「戯言か……俺はそうは思わんぞ。いや、思いたくない」
「と、殿様……」
「妬いたというのも本当だ。自分でも、狭量だとは思うが。気の...
まあ仕方がないが、と笑う兵四郎を見て、真之介は眉根を寄せ...
この人は旦那が好きなんですよ、というお絹の言葉を思い返し...
「仙石、どうした?俺の言葉が、気に障ったか」
無言でいるのを気にかける兵四郎の肩を掴むと、真之介は上げ...
そして兵四郎の唇に、自分のそれを荒っぽく押し当てた。
驚いた兵四郎が目を閉じる間もなく口を離すと、しかめっ面を...
「真之介……」
「うるせえ!何も言うなっ」
「しかし真之介、今のは」
「黙れってんだ、殿様!お前が、く、くだらん嫉妬なんぞ、する...
真顔になりいざり寄ってきた兵四郎から、真之介は喚きながら...
兵四郎は腕を掴むと力任せに引き、気まずさと恥ずかしさに火...
「は、離せ、殿様っ」
「真之介、頼む。このままでいてくれ」
「殿様……な、泣いてんのか?」
身じろいだ真之介は、触れ合う兵四郎の頬が濡れているのに気...
「ああ、そうだ」
「なんでだ。何を泣いてんだ」
「何故だろうな。まだお絹の気持ちが、俺の中にあるのかもしれ...
静かに優しく囁くと、兵四郎は真之介を抱いたまま、身体をそ...
流れ滴る涙を頬に受けた真之介は、覆い被さる背中に腕を回し...
淡い闇と静寂が、抱き合うふたりをひそやかに包み込んだ。
女は川を見ていた。
滔々と流れる水に切なる想いを託し、いつかはきっと海にたど...
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
蛇足・お絹さんのイメージは在りし日のタイチキワコさんだったり。
最後までお読み下さり誠にありがとうございました。
あと処々にてお言葉を下さった姐様方、身にあまる喜びでした...
- この二人のシリーズはほんとに好きです!伏線も展開もお上...
- 泣きました!あなたは神か…(∀`。)次回作に期待しています! ...
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シリーズものインデックス2
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