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#title(ジョーカー 許されざる捜査官 来栖×伊達 「~君に...
すみません。SS初心者です。無駄に話が長いのにエロ少ない...
最初、マス×盾だったのに、クル×盾になってしまいました。
書けないのに、ツンデレ好きでした。
ナツ×盾もちょびっと。ナツは、報われずにかわいそうなことに...
将来、盾×鑑識もありかというテイストで、カチョに悪魔のシッ...
捏造てんこもりで、カチョに娘がいる設定です。
カチョもあすたんもいない四ハンに残された盾がかわいそうで...
Part.1~4まであります。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
見神との面会を終え、東京拘置所を出て電車に乗り込むと、...
ああ、もうそんな時刻か、と盾はぼんやり思った。
署に帰り着く頃には、すっかり暗くなっているだろう。
また久流須に怒られるな~と、小さいため息が出た。
見神に面会に行くと言っても言わなくても、久流須の眉間にし...
いつからだろう、久流須に苦虫を噛み潰したような顔で見られ...
美弥木の事件の前にコンビを組んだ時は、久しぶりだなと笑顔...
所轄署から自分の配下に配属された時は、おまえが上司かよー...
やっぱり笑っていた。それなのに・・・。
警察学校時代、同じ班になった美弥木と佐衛子と盾の三人は...
お互いの長所短所がうまくかみ合い、得るところが多かったし...
班長の盾の冷静な洞察力、副長の美弥木の大胆な行動力、班の...
三人は、同期の中でも目立った存在だった。
そして久流須。隣の班の副長である久流須は久流須で、その長...
爽やかな笑顔って、ああいうのを言うんだろうな、というのが...
いつからだろう、ちょっとしたはずみに久流須に目が行くよう...
久流須を見ていると、遠い記憶の彼方の霞んだ誰かが思い起こ...
どうしても思い出すことが出来ない。それがもどかしくて仕方...
目の前で両親を殺害されたショックは、多岐にわたって長い間...
事件前の楽しかった頃の記憶にまで容赦なく亀裂が入り、いく...
忘れたい記憶が消えずに、失いたくない記憶が消えた。思い出...
だから、そういう自分を心配そうに見ている美弥木に気が付く...
警察学校時代、久流須と美弥木は格闘技で競い合っていた。
二人より体格も持久力も劣る盾は、唯一射撃の腕がかろうじて...
二人は同期の中でよくトップ争いをしていた。
傍から見ても、いいライバルだった。
子供のようにああだこうだと言い合いながら道場で稽古する二...
盾は好きだった。
佐衛子の時とはまた違った、男三人の気安い関係も、盾には心...
結局その時、両親の死後環境が激変した盾は、経験できなかっ...
そのせいで、少し子供じみていたのだろうか。
「おまえ、こんなものが好きなのかよ!」
と久流須が呆れたことがあった。
警察学校の寮で、こっそり酒宴を開いた時のことだ。
少人数でいくつかのグループになって、すこしずつ酒や肴を買...
ある買出し部隊に盾がいちごミルクを頼んだのだ。
「だって、酒弱いし・・・。」
「せめてウーロン茶とかにしろよ、宴会でいちごミルクなんか...
「前、ウーロン茶頼んだら焼酎割りが来ちゃって、それ飲んで...
と笑いながら、美弥木がフォローにならないフォローをする。
「いちごミルクなら、酒で割られることもないかと思って・・...
久流須はぱかっと開いた口が戻らない。
「俺が鍛えてやる!だいたい美弥木は盾を甘やかし過ぎなんだ...
美弥木に甘やかされ、久流須に怒られる。
でも最後は三人一緒になって笑い転げた。
楽しかったな。
昔から久流須は口が悪いけど、世話焼きだったな。
盾は見るともなしに車内を眺めていた。
ある駅に停車した時、背の高い小学生の男の子が走り込んでき...
少し遅れて、背の低い男の子も車内に飛び込んで来た。
二人とも笑いながら、じゃれあった。
それを見て、盾の脳裏にカチリと当てはまるものがあった。
卒業まで1ヶ月くらいになった時、最初の経緯は忘れたが、...
美弥木と久流須の二人が特訓する、というはめになった。
射撃は大丈夫だし、剣道もなんとかなっているが、柔道はお粗...
「えー、無理だよー、無理ー!」
「「現場に出た時どうするんだよ!!」」
と二人に怒られ、左右を挟まれ道場に引きずられて行った。
何日かさんざんしごかれ、かろうじて二人から許しを得るレベ...
その日は週末だったので、元々それぞれの自分の家に帰るつも...
三人で飲もうぜ、という話になり、一人暮らしの盾のアパート...
警察学校を卒業するまで、外で飲酒するのは厳禁なのだ。
「「盾、金出せよ!」」
「・・・ハイ、ハイ・・・」
なんで二人ともこんなに息ぴったりなんだ。
上機嫌な二人の間で、よれよれの盾はシャワーを浴びた。
立っているのがしんどくなって、早々に切り上げた。
「お先に~。」
「逃げんなよ。」
「わかってますって。」
声を掛けて来た久流須に、盾はヒラヒラと手を振って答えた。
その背中が消えると、久流須がポツンとつぶやいたのを美弥木...
「あいつ、白いな・・・。」
「・・・それに細いし。」
「え?」
「なんでもない。さっさとあがろうぜ、カズが逃げないうちに...
「あ、ああ。」
その晩、うっかり酒を口にした盾はぶっ倒れ、二人に介抱され...
関係を持ってしまったのだった。
「初めて男を抱いた夜に、3Pとはな。」
戻ってこない盾の机を眺めながら、久流須はそんなことを思い...
美弥木の声が蘇る。
「指、入れて。」「そこが前立腺。」
「根元まで入れていいから。」
盾のすすり泣く声・・・。
馬鹿だなあ、何考えてんだよ、俺。職場で。それも警察だぞ。
盾に欲情しているのを美弥木に見抜かれて、初めてそんな自...
動揺したまま、初めて盾の部屋に行った。
盾の部屋はこざっぱりと片付いていたが、ところどころに本が...
うっかり崩してしまいそうになった。
「ごめん、脇にどけといて。」
「あ、ああ。」
なんだか、部屋のサイズと盾の体格にしては、ベッドが大きい...
今の俺が意識過剰なせいだろうか・・・。
「あー、やっぱり、美弥木の言ったとおり。氷買って来て正解...
キッチンで酒の用意をしている盾が、冷蔵庫の中を見てそう二...
「そうだろー。」
と美弥木はにやにやしている。
部屋の勝手を知っている美弥木に、ちょっとムカつく。
「美弥木、おまえ盾んち来た事あったの?」
「うん、4回目くらいかな。俺んちちょっと遠いから、帰るの...
「へー、そうなんだ。」
「何、久流須もお泊りしたかったの?」
「べ、別に!ガキじゃあるまいし!」
「何の話?」と、キッチンから戻った盾が話に加わろうとした...
「何でもない!!」と久流須は大きな声を出して阻んだ。
「???」
美弥木は声を押し殺して笑っている。
その後、盾はもっぱら美弥木と久流須の酒の肴にされていたの...
自分の部屋に二人が揃っているのが嬉しかったのか、酒も飲ま...
それで間違ってしまったのかもしれない。
口を付けたのは久流須のグラスで、美弥木が濃い目に作ってや...
こてんと盾は気絶してしまった。
二人はあわてて、盾を介抱した。
酔いもすっ飛んでしまった。
美弥木が手馴れたふうに盾をベッドに寝かしつけるのを見て、...
腹の立った自分に戸惑って、また動揺した。突っ立ったままの...
「水持ってくるから、見てて。」
「あ、ああ。」
キッチンに美弥木が行ってしまうと、どうしていいかわからな...
とにかく落ち着こうと思って、ついベッドに腰を掛けた。
盾は、久流須のもやもやした気持ちも知らずに、すやすやと眠...
髪が短いせいか、実際の年齢より子供っぽく見えた。
最初盾を見た時、その華奢な体形に現場の刑事は無理だろ、と...
次にその学科の優秀さと射撃の腕に舌を巻いた。そして、柔道...
要するに、どんどん惹かれていったわけだ。
「・・・睫毛、長げえな。」
思わず、手が伸びた。
そっと髪をなでると、盾が目を開けた。
「あ、大丈夫か?」
「・・・」
盾の反応はない。
「盾?」
「朝になるとさ、覚えていないんだよ。」
傍らに、水と氷を入れたコップを持った美弥木が戻って来てい...
「盾、夜うなされるんだ。」
「・・・なんで?」
「10歳の時、目の前で両親を殺された。そのせいだろう。」
「え!」
「抱いてやると、うなされない。」
「お、おまえ!!」
「久流須、男の抱き方教えてやろうか?」
「な、なに言ってるんだよ!!」
「・・・その気にならないなら、帰るか?終電過ぎちゃってる...
「・・・おまえは、・・・もう抱いたのか、盾のこと。」
「ああ、カズは覚えちゃいないがな。」
さらりと美弥木は言ってのけた。
久流須は美弥木をにらみつけたが、立ち上げることが出来なか...
久流須の手に、盾の手が重ねられたからだ。
久流須は、その手を引っこめることが出来なかった。
その夜、盾は久流須と美弥木の腕の中で、信じられないくらい...
久流須と盾の関係は、それっきりだった。
盾は覚えていなかったし、腰のだるさは柔道の特訓のせいだと...
喉まで嗄れている理由はわからなかったようだが。
二人して、さんざん泣かせたからな。
三人とも今までどおりだった。
警察学校を卒業して、三人と佐衛子は皆ばらばらの署に配属さ...
配属先に行く前、美弥木と少し話した。
久流須はずっと気になっていたことがあった。
盾は男を受け入れるのに慣れているようだった。
久流須をしきりに欲しがったが、同じくらい久流須を気持ちよ...
深く愛し合ってセックスしていたのでなければ、ああはならな...
美弥木が盾を好きなのは明らかだった。
二人は好き合っているのじゃないのか?だったら何故、その盾...
「おまえが、その、盾の最初の・・・か?」
美弥木には久流須の聞きたいことが伝わったようだった。
「違うよ。俺とそうなる前から、ああだった。
長いこと関係を持っている人がいるみたいだ。その人には、素...
俺が遊びに行った時、電話が来たことがあって、その相手がそ...
久流須は言葉が出なかった。
「盾さ、久流須のことよく見ていたんだよ。」
「え?」
「気が付いてなかったろ?盾もさ、意識してないみたいだった...
「おまえは盾を見ていたから気が付いたってのか?」
「うん。」
美弥木は、盾の“情人”から盾を奪い取りたかったのだろうか?
その一方で、盾の思いを叶えてやりたかったのか?
去っていく美弥木の背に、久流須は怒鳴った。
「おまえはやっぱり盾に甘過ぎるんだよ!」
美弥木はただ笑い声を上げた。
その後は、警察の公報で互いの消息を知るくらいだった。
盾は成績優秀で何度も表彰されたので、久流須も様子を知りや...
盾が捜査一課に抜擢された後、見神の名前を聞いた。
県警本部のお偉いさんが、盾の後見人だと。
久流須がキャリア嫌いになったのは、それが発端だったかもし...
盾と美弥木が同じ所属になったのを知ったのも、公報からだっ...
盾・美弥木コンビが成績優秀だという噂が、その後聞こえて来...
美弥木は盾の恋人になれたのだろうか?
盾のことを忘れて、その時付き合っていた彼女と結婚しようか...
プロポーズはどうしようかなんて考えている時、美弥木と久し...
お互い事件を追っている身だったので、慌しい再会だった。
「俺がいない時、盾が酒呑まされそうになっていたら、久流須...
「はあ?なんだよそれ?相変わらず甘やかしてんだな!」
久流須は、去っていく美弥木の背に怒鳴った。
美弥木は、笑いながらヒラヒラと手を振って行ってしまった。
それが最後だった。
盾は知らない。
「頼むな。」
その一言のために、久流須ががむしゃらに頑張って捜査一課に...
彼女は構ってくれなくなった久流須に愛想を尽かして、去って...
それなのに、久流須が捜査一課に配属されて久しぶりに会った...
慈愛に満ちた優しい微笑みで拒絶されるのは、堪えた。
そして、追い討ちを掛けられた。
盾と見神がそういう関係だと、はっきり知ることになったのだ。
二年前、盾の部下になって間もない頃、事件が起きて朝早く盾...
その時、マンションの入り口で長身の初老の男とすれ違った。
なんとなく気になった。
マンションの住人が、朝の散歩に行くという態ではない気がし...
事件がひと段落した頃、もしかしたらと思って名鑑を捲って見...
それで、見神だとわかった。
そうか、あの男が見神か。
久流須が県警本部に配属されて来た頃には、既に見神は退職し...
見神が盾のところから“朝帰り”したのだと思った。
実は、“制裁”の際に怪我を負った盾を心配して、引渡しの後に...
盾が警察学校に入る前から今まで、二人はずっと続いていると...
俺たちと寝たのだって、覚えてない。
俺の出る幕なんかないだろ、美弥木。
久流須は、盾に笑顔を見せなくなった。
「おにいちゃん」
そう呼んでいた。
なのに、顔と名前が思い出せない。
その子は、本当の兄ではない。
父親同士が親友で、長いこと家族ぐるみの付き合いのあった家...
お互いひとりっ子だったので、1つ上のその子は盾を弟のよう...
同じ学年の子と比べると小柄だった盾と、自分の学年では一番...
その子とでは、実年齢以上の差があるように見えた。
盾は、よくその子に世話を焼いてもらっていた。
二つの家族で行った、海水浴にキャンプ。花火もドライブもス...
はじけるような笑顔があった日々・・・。
ああ、そうか。
俺は久流須に「おにいちゃん」の面影を重ねていたのか。
十何年も経って、ようやく腑に落ちた。
盾が10歳の時、突然別れが来た。
「おにいちゃん」の一家が失踪してしまったのだ。
借金の連帯保証人である盾の父親に何の相談もなく、一家は夜...
そして、盾家の地獄が始まった。
事件後、最初見神は盾を引き取ろうとしたが、家庭を失って...
陰惨な経験をし、心に深い傷を負った盾は周囲と壁を作り、「...
養子縁組の話も何回か出たが、結局一つも実を結ばなかった。
自分の罪に押しつぶされそうになっていた時、
通っていた中学の教師に性的関係を強要される事件が起きた。
他人をいたぶるのが好きなやつは、傷を負った人間を嗅ぎ分...
盾は十分成績優秀だったが、周囲と打ち解けられないところが...
その教師は、内申書の心証と引き換えに盾に関係を迫ってきた。
養護施設の生徒が、高校進学するために奨学金を必要とするの...
かろうじて逃げ出したのに、養護施設近くまで追いかけてきて...
止めてくれたのが、見神だった。
養護施設の子にはかばってくれるやつはいない、と思っていた...
警察手帳を突きつけられてあわを食って逃げて行った。
盾は、自分が震えているのが、怒りのためなのか怖れのためな...
見神が現れるのがもう少し遅かったら、自分はあの男を殴って...
握り締めたままの両手の拳を、見神の大きな掌が包み込む。
「よく我慢したな。」
見神には、盾が暴力の衝動と戦っていたのがわかっていたのだ。
名駄偽の血のにおいと、肉を裂き骨に当たる包丁の感覚が蘇っ...
見神が、盾の肩を引き寄せた。
盾は見神の胸に顔を埋めて、少し泣いた。
守ってくれる親のいない寂しさと惨めさ、理不尽な世間に太刀...
どうしようもなく涙となってこぼれた。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
次回に続きます。
すみません、浄化ー話でございました。あ~、どきどきします...
#comment
終了行:
#title(ジョーカー 許されざる捜査官 来栖×伊達 「~君に...
すみません。SS初心者です。無駄に話が長いのにエロ少ない...
最初、マス×盾だったのに、クル×盾になってしまいました。
書けないのに、ツンデレ好きでした。
ナツ×盾もちょびっと。ナツは、報われずにかわいそうなことに...
将来、盾×鑑識もありかというテイストで、カチョに悪魔のシッ...
捏造てんこもりで、カチョに娘がいる設定です。
カチョもあすたんもいない四ハンに残された盾がかわいそうで...
Part.1~4まであります。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
見神との面会を終え、東京拘置所を出て電車に乗り込むと、...
ああ、もうそんな時刻か、と盾はぼんやり思った。
署に帰り着く頃には、すっかり暗くなっているだろう。
また久流須に怒られるな~と、小さいため息が出た。
見神に面会に行くと言っても言わなくても、久流須の眉間にし...
いつからだろう、久流須に苦虫を噛み潰したような顔で見られ...
美弥木の事件の前にコンビを組んだ時は、久しぶりだなと笑顔...
所轄署から自分の配下に配属された時は、おまえが上司かよー...
やっぱり笑っていた。それなのに・・・。
警察学校時代、同じ班になった美弥木と佐衛子と盾の三人は...
お互いの長所短所がうまくかみ合い、得るところが多かったし...
班長の盾の冷静な洞察力、副長の美弥木の大胆な行動力、班の...
三人は、同期の中でも目立った存在だった。
そして久流須。隣の班の副長である久流須は久流須で、その長...
爽やかな笑顔って、ああいうのを言うんだろうな、というのが...
いつからだろう、ちょっとしたはずみに久流須に目が行くよう...
久流須を見ていると、遠い記憶の彼方の霞んだ誰かが思い起こ...
どうしても思い出すことが出来ない。それがもどかしくて仕方...
目の前で両親を殺害されたショックは、多岐にわたって長い間...
事件前の楽しかった頃の記憶にまで容赦なく亀裂が入り、いく...
忘れたい記憶が消えずに、失いたくない記憶が消えた。思い出...
だから、そういう自分を心配そうに見ている美弥木に気が付く...
警察学校時代、久流須と美弥木は格闘技で競い合っていた。
二人より体格も持久力も劣る盾は、唯一射撃の腕がかろうじて...
二人は同期の中でよくトップ争いをしていた。
傍から見ても、いいライバルだった。
子供のようにああだこうだと言い合いながら道場で稽古する二...
盾は好きだった。
佐衛子の時とはまた違った、男三人の気安い関係も、盾には心...
結局その時、両親の死後環境が激変した盾は、経験できなかっ...
そのせいで、少し子供じみていたのだろうか。
「おまえ、こんなものが好きなのかよ!」
と久流須が呆れたことがあった。
警察学校の寮で、こっそり酒宴を開いた時のことだ。
少人数でいくつかのグループになって、すこしずつ酒や肴を買...
ある買出し部隊に盾がいちごミルクを頼んだのだ。
「だって、酒弱いし・・・。」
「せめてウーロン茶とかにしろよ、宴会でいちごミルクなんか...
「前、ウーロン茶頼んだら焼酎割りが来ちゃって、それ飲んで...
と笑いながら、美弥木がフォローにならないフォローをする。
「いちごミルクなら、酒で割られることもないかと思って・・...
久流須はぱかっと開いた口が戻らない。
「俺が鍛えてやる!だいたい美弥木は盾を甘やかし過ぎなんだ...
美弥木に甘やかされ、久流須に怒られる。
でも最後は三人一緒になって笑い転げた。
楽しかったな。
昔から久流須は口が悪いけど、世話焼きだったな。
盾は見るともなしに車内を眺めていた。
ある駅に停車した時、背の高い小学生の男の子が走り込んでき...
少し遅れて、背の低い男の子も車内に飛び込んで来た。
二人とも笑いながら、じゃれあった。
それを見て、盾の脳裏にカチリと当てはまるものがあった。
卒業まで1ヶ月くらいになった時、最初の経緯は忘れたが、...
美弥木と久流須の二人が特訓する、というはめになった。
射撃は大丈夫だし、剣道もなんとかなっているが、柔道はお粗...
「えー、無理だよー、無理ー!」
「「現場に出た時どうするんだよ!!」」
と二人に怒られ、左右を挟まれ道場に引きずられて行った。
何日かさんざんしごかれ、かろうじて二人から許しを得るレベ...
その日は週末だったので、元々それぞれの自分の家に帰るつも...
三人で飲もうぜ、という話になり、一人暮らしの盾のアパート...
警察学校を卒業するまで、外で飲酒するのは厳禁なのだ。
「「盾、金出せよ!」」
「・・・ハイ、ハイ・・・」
なんで二人ともこんなに息ぴったりなんだ。
上機嫌な二人の間で、よれよれの盾はシャワーを浴びた。
立っているのがしんどくなって、早々に切り上げた。
「お先に~。」
「逃げんなよ。」
「わかってますって。」
声を掛けて来た久流須に、盾はヒラヒラと手を振って答えた。
その背中が消えると、久流須がポツンとつぶやいたのを美弥木...
「あいつ、白いな・・・。」
「・・・それに細いし。」
「え?」
「なんでもない。さっさとあがろうぜ、カズが逃げないうちに...
「あ、ああ。」
その晩、うっかり酒を口にした盾はぶっ倒れ、二人に介抱され...
関係を持ってしまったのだった。
「初めて男を抱いた夜に、3Pとはな。」
戻ってこない盾の机を眺めながら、久流須はそんなことを思い...
美弥木の声が蘇る。
「指、入れて。」「そこが前立腺。」
「根元まで入れていいから。」
盾のすすり泣く声・・・。
馬鹿だなあ、何考えてんだよ、俺。職場で。それも警察だぞ。
盾に欲情しているのを美弥木に見抜かれて、初めてそんな自...
動揺したまま、初めて盾の部屋に行った。
盾の部屋はこざっぱりと片付いていたが、ところどころに本が...
うっかり崩してしまいそうになった。
「ごめん、脇にどけといて。」
「あ、ああ。」
なんだか、部屋のサイズと盾の体格にしては、ベッドが大きい...
今の俺が意識過剰なせいだろうか・・・。
「あー、やっぱり、美弥木の言ったとおり。氷買って来て正解...
キッチンで酒の用意をしている盾が、冷蔵庫の中を見てそう二...
「そうだろー。」
と美弥木はにやにやしている。
部屋の勝手を知っている美弥木に、ちょっとムカつく。
「美弥木、おまえ盾んち来た事あったの?」
「うん、4回目くらいかな。俺んちちょっと遠いから、帰るの...
「へー、そうなんだ。」
「何、久流須もお泊りしたかったの?」
「べ、別に!ガキじゃあるまいし!」
「何の話?」と、キッチンから戻った盾が話に加わろうとした...
「何でもない!!」と久流須は大きな声を出して阻んだ。
「???」
美弥木は声を押し殺して笑っている。
その後、盾はもっぱら美弥木と久流須の酒の肴にされていたの...
自分の部屋に二人が揃っているのが嬉しかったのか、酒も飲ま...
それで間違ってしまったのかもしれない。
口を付けたのは久流須のグラスで、美弥木が濃い目に作ってや...
こてんと盾は気絶してしまった。
二人はあわてて、盾を介抱した。
酔いもすっ飛んでしまった。
美弥木が手馴れたふうに盾をベッドに寝かしつけるのを見て、...
腹の立った自分に戸惑って、また動揺した。突っ立ったままの...
「水持ってくるから、見てて。」
「あ、ああ。」
キッチンに美弥木が行ってしまうと、どうしていいかわからな...
とにかく落ち着こうと思って、ついベッドに腰を掛けた。
盾は、久流須のもやもやした気持ちも知らずに、すやすやと眠...
髪が短いせいか、実際の年齢より子供っぽく見えた。
最初盾を見た時、その華奢な体形に現場の刑事は無理だろ、と...
次にその学科の優秀さと射撃の腕に舌を巻いた。そして、柔道...
要するに、どんどん惹かれていったわけだ。
「・・・睫毛、長げえな。」
思わず、手が伸びた。
そっと髪をなでると、盾が目を開けた。
「あ、大丈夫か?」
「・・・」
盾の反応はない。
「盾?」
「朝になるとさ、覚えていないんだよ。」
傍らに、水と氷を入れたコップを持った美弥木が戻って来てい...
「盾、夜うなされるんだ。」
「・・・なんで?」
「10歳の時、目の前で両親を殺された。そのせいだろう。」
「え!」
「抱いてやると、うなされない。」
「お、おまえ!!」
「久流須、男の抱き方教えてやろうか?」
「な、なに言ってるんだよ!!」
「・・・その気にならないなら、帰るか?終電過ぎちゃってる...
「・・・おまえは、・・・もう抱いたのか、盾のこと。」
「ああ、カズは覚えちゃいないがな。」
さらりと美弥木は言ってのけた。
久流須は美弥木をにらみつけたが、立ち上げることが出来なか...
久流須の手に、盾の手が重ねられたからだ。
久流須は、その手を引っこめることが出来なかった。
その夜、盾は久流須と美弥木の腕の中で、信じられないくらい...
久流須と盾の関係は、それっきりだった。
盾は覚えていなかったし、腰のだるさは柔道の特訓のせいだと...
喉まで嗄れている理由はわからなかったようだが。
二人して、さんざん泣かせたからな。
三人とも今までどおりだった。
警察学校を卒業して、三人と佐衛子は皆ばらばらの署に配属さ...
配属先に行く前、美弥木と少し話した。
久流須はずっと気になっていたことがあった。
盾は男を受け入れるのに慣れているようだった。
久流須をしきりに欲しがったが、同じくらい久流須を気持ちよ...
深く愛し合ってセックスしていたのでなければ、ああはならな...
美弥木が盾を好きなのは明らかだった。
二人は好き合っているのじゃないのか?だったら何故、その盾...
「おまえが、その、盾の最初の・・・か?」
美弥木には久流須の聞きたいことが伝わったようだった。
「違うよ。俺とそうなる前から、ああだった。
長いこと関係を持っている人がいるみたいだ。その人には、素...
俺が遊びに行った時、電話が来たことがあって、その相手がそ...
久流須は言葉が出なかった。
「盾さ、久流須のことよく見ていたんだよ。」
「え?」
「気が付いてなかったろ?盾もさ、意識してないみたいだった...
「おまえは盾を見ていたから気が付いたってのか?」
「うん。」
美弥木は、盾の“情人”から盾を奪い取りたかったのだろうか?
その一方で、盾の思いを叶えてやりたかったのか?
去っていく美弥木の背に、久流須は怒鳴った。
「おまえはやっぱり盾に甘過ぎるんだよ!」
美弥木はただ笑い声を上げた。
その後は、警察の公報で互いの消息を知るくらいだった。
盾は成績優秀で何度も表彰されたので、久流須も様子を知りや...
盾が捜査一課に抜擢された後、見神の名前を聞いた。
県警本部のお偉いさんが、盾の後見人だと。
久流須がキャリア嫌いになったのは、それが発端だったかもし...
盾と美弥木が同じ所属になったのを知ったのも、公報からだっ...
盾・美弥木コンビが成績優秀だという噂が、その後聞こえて来...
美弥木は盾の恋人になれたのだろうか?
盾のことを忘れて、その時付き合っていた彼女と結婚しようか...
プロポーズはどうしようかなんて考えている時、美弥木と久し...
お互い事件を追っている身だったので、慌しい再会だった。
「俺がいない時、盾が酒呑まされそうになっていたら、久流須...
「はあ?なんだよそれ?相変わらず甘やかしてんだな!」
久流須は、去っていく美弥木の背に怒鳴った。
美弥木は、笑いながらヒラヒラと手を振って行ってしまった。
それが最後だった。
盾は知らない。
「頼むな。」
その一言のために、久流須ががむしゃらに頑張って捜査一課に...
彼女は構ってくれなくなった久流須に愛想を尽かして、去って...
それなのに、久流須が捜査一課に配属されて久しぶりに会った...
慈愛に満ちた優しい微笑みで拒絶されるのは、堪えた。
そして、追い討ちを掛けられた。
盾と見神がそういう関係だと、はっきり知ることになったのだ。
二年前、盾の部下になって間もない頃、事件が起きて朝早く盾...
その時、マンションの入り口で長身の初老の男とすれ違った。
なんとなく気になった。
マンションの住人が、朝の散歩に行くという態ではない気がし...
事件がひと段落した頃、もしかしたらと思って名鑑を捲って見...
それで、見神だとわかった。
そうか、あの男が見神か。
久流須が県警本部に配属されて来た頃には、既に見神は退職し...
見神が盾のところから“朝帰り”したのだと思った。
実は、“制裁”の際に怪我を負った盾を心配して、引渡しの後に...
盾が警察学校に入る前から今まで、二人はずっと続いていると...
俺たちと寝たのだって、覚えてない。
俺の出る幕なんかないだろ、美弥木。
久流須は、盾に笑顔を見せなくなった。
「おにいちゃん」
そう呼んでいた。
なのに、顔と名前が思い出せない。
その子は、本当の兄ではない。
父親同士が親友で、長いこと家族ぐるみの付き合いのあった家...
お互いひとりっ子だったので、1つ上のその子は盾を弟のよう...
同じ学年の子と比べると小柄だった盾と、自分の学年では一番...
その子とでは、実年齢以上の差があるように見えた。
盾は、よくその子に世話を焼いてもらっていた。
二つの家族で行った、海水浴にキャンプ。花火もドライブもス...
はじけるような笑顔があった日々・・・。
ああ、そうか。
俺は久流須に「おにいちゃん」の面影を重ねていたのか。
十何年も経って、ようやく腑に落ちた。
盾が10歳の時、突然別れが来た。
「おにいちゃん」の一家が失踪してしまったのだ。
借金の連帯保証人である盾の父親に何の相談もなく、一家は夜...
そして、盾家の地獄が始まった。
事件後、最初見神は盾を引き取ろうとしたが、家庭を失って...
陰惨な経験をし、心に深い傷を負った盾は周囲と壁を作り、「...
養子縁組の話も何回か出たが、結局一つも実を結ばなかった。
自分の罪に押しつぶされそうになっていた時、
通っていた中学の教師に性的関係を強要される事件が起きた。
他人をいたぶるのが好きなやつは、傷を負った人間を嗅ぎ分...
盾は十分成績優秀だったが、周囲と打ち解けられないところが...
その教師は、内申書の心証と引き換えに盾に関係を迫ってきた。
養護施設の生徒が、高校進学するために奨学金を必要とするの...
かろうじて逃げ出したのに、養護施設近くまで追いかけてきて...
止めてくれたのが、見神だった。
養護施設の子にはかばってくれるやつはいない、と思っていた...
警察手帳を突きつけられてあわを食って逃げて行った。
盾は、自分が震えているのが、怒りのためなのか怖れのためな...
見神が現れるのがもう少し遅かったら、自分はあの男を殴って...
握り締めたままの両手の拳を、見神の大きな掌が包み込む。
「よく我慢したな。」
見神には、盾が暴力の衝動と戦っていたのがわかっていたのだ。
名駄偽の血のにおいと、肉を裂き骨に当たる包丁の感覚が蘇っ...
見神が、盾の肩を引き寄せた。
盾は見神の胸に顔を埋めて、少し泣いた。
守ってくれる親のいない寂しさと惨めさ、理不尽な世間に太刀...
どうしようもなく涙となってこぼれた。
[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!
次回に続きます。
すみません、浄化ー話でございました。あ~、どきどきします...
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