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#title(接吻) [#od510bd8]
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
激団親幹線「バソユウキ」から殺し屋→復讐鬼をベースに、左大...
エロ有り。復讐鬼×殺し屋もエロではないけどちょっと有りなの...
ダメそうな方はご注意下さい。
着物が肩から滑り落ち、剥き出しになった白い背が揺れていた。
「あっ…あぁ……っ」
あげる声に隠さぬ艶を滲ませれば、それに煽られるように背後...
律動が早くなる。
膝の上に抱え上げられ、貫かれる下肢。
先刻より執拗に慣らされ続けたその場所は、今は淫らな水音を...
痛みよりもただじっとりとした熱を孕む。
肌理の細かい肌の感触を楽しむように、男の手が胸や腹を這い...
老いも若きも貴賤も問わぬ、男という生き物の変わり映えのな...
それはこの男も例外ではなかったかと、少しだけ可笑しさを覚...
顔に掛かる解けた黒髪の下、口の端が微かに歪んだ。
そしてうねるように背を仰け反らせ、締め付ける力を強くして...
それに男は呻きとも苦笑ともつかない息を肩越しに落としてき...
一瞬の間の後、背後から回された手で顎を取られる。
「君は悪い男だな。」
揶揄し、面白がるような声が耳元近く囁かれ、顔を向けるよう...
乱れた髪を払わぬまま、指先で辿られる唇。
引き寄せられる、しかしその男の口元をこの時白い指先がそっ...
言葉は発しない。
ただ細めた目元に艶然とした笑みを浮かべ、あからさまに先の...
するとそれに男はやはり苦笑を洩らしたようだったが、あえて...
強いようとはしてこなかった。
あとは、与えられるままに……快楽に身を委ねた。
「んぁ…あ…ぁっ…」
突き上げられ、揺さぶられ、あられもない声をあげ続ける。
今更隠さない、隠しようもない獣の享楽。
ただ……その唇への接吻だけを、佐治は最後まで拒んだ―――
頬を埋める絹の寝具がサラリと冷たかった。
気怠い身体を丸めるように沈め、ただ目だけは茫洋と開き続け...
そんな佐治の視界にその時、寝台の天蓋を掻き分け、踏み入っ...
肌蹴た着物を肩に掛けただけの姿のままでいる自分とは違い、...
欠片も残さぬように襟元をしっかりと合わせ、薄手の羽織まで...
左大臣、京鐘籍春。
彼は寝台の上で自分が目を覚ましている事に気づくと、穏やか...
声をかけてきた。
「起きていたのか。何か飲むかい?」
寝台に腰掛けながらの労わるような口調。しかしその奥には、...
こちらの嬌態を示唆するいやらしさが潜んでいる。
だからその申し出にはただ首を横に振り、佐治は寝台の上ゆっ...
解けた黒髪が顔の横を滑り落ちる。
それに籍春は戯れるように手を伸ばしてきた。
「まさか君がまた訪れてくれるとはね。武士頭の件を断られた...
思っていたよ。」
数日前、この部屋を訪れた時の会話を引き合いに出してくる。
その根の持ち方に佐治はクスリと笑った。
「お願い事があったので。」
そして悪びれずにそんな事を言えば、籍春はわざとらしい鼻白...
「これはまた色気のない。だが、まあいい。取引だ。」
声と共に、髪を弄るのとは違う方の手に持たれていた巻物が、...
紐を解き、佐治の目の前に広げられる。
それはこの国の地図だった。
「さあ、君達の堂喝襲撃の場所はどこだい?」
色気が無いのはどちらだと、胸の内、策謀家な男の切り替えの...
それでも佐治はこの時ゆらりと手を持ち上げる。
白く細い指先が迷いなく指す一点。
それは都を離れ西へと向かう街道が通る山中の、更に分け入っ...
新しく立った大王の御前、執り行われた教義問答の場で、大連...
そしてそれに加担する学問頭・音津加羅麿が捕り押さえられた。
罪状は新王美琴に対する反逆罪。
断を下したのは新王の父であり、左大臣として彼らの政敵の立...
これに、教義問答での勝利を足掛かりに宮廷に食い込み、内部...
謀ろうとしていた番新教教主である怒門の目論見は崩れる事と...
それでも立て直す方法などいくらでもあった。
当初狙っていた学問頭の地位を手に入れる事は、けして番新教...
しかし教主である怒門はそれを拒否した。
理由は簡単に見透かせた。
心が揺らいだのだ。
激しい口調で自分達にかけられた先王暗殺の疑惑を指弾し、王...
しながら、その眼前で臣下に裏切られ、足元から崩れ落ちそう...
儚く弱い、かつての自分の許嫁の姿に。
指摘はしてやった。それこそ面と向かって。
それを彼は否定しながら激昂した。
図星だった。
しかし彼は頑としてそれを認めず、こう言葉を継いだ。
『標的は、まずは…宇木名と加羅麿だ』
長年の復讐の対象者。裏切り者の彼らを法の裁きなどで処刑さ...
連行時を狙い、その身柄をさらって、必ずこの手で殺してやる。
憤怒のままに声を震わせるその姿を、自分は醒めた笑みを浮か...
どれだけ声を荒げ、言葉を飾ろうと、自分には彼の真実が見え...
大王美琴から目を逸らす、それは彼の逃げだった。
「ほう、西国落ちをエサに彼らを山中におびき寄せるつもりか...
指された地図の一点だけで瞬時にそれを察した籍春が、顔を上...
「それで、この情報を私に教える見返りに、君が望む事はなん...
そして真正面から問い質されれば、それに佐治はもはや言葉を...
「彼らが堂喝達をおびき寄せるまで、この場所の守りは僕に任...
あなたにはそこに衛兵を送り込んでほしい。」
「衛兵を?」
「ええ、大王美琴による『番新教一党の掃討』の命のもとに」
微笑みながら告げた、この言葉にはさすがの籍春も一瞬驚きを...
瞬きを忘れた目がじっと向けられる。
しかしそれにも佐治が表情を崩さずにいると、彼はしばし考え...
おもむろにその口を開いてきた。
「君は…それでもあの教主は死なないと踏んでいるんだね。」
「都の衛兵ごときでは彼は倒せませんよ。」
「しかし彼に従う者達、確かハマソ国の王女と言っていたか。...
死ぬだろうね。」
「かもしれませんね。」
「そうしたら彼は恨むだろうなぁ……命を下した大王を。」
ひたりと視線を当てられる。それを佐治はただ無言のまま見返...
探り合う視線の交錯。その末に籍春が告げる。
「彼は、大王の命も狙うかもしれない。」
ひどく神妙な声で告げられた、その言葉に佐治は瞬間耐えられ...
声を殺しながら笑った。そして、
「それが何か問題でも?」
挑むように言い返せば、それに籍春は一瞬の沈黙の後、それで...
抑えきれなかった笑みで喉を震わせたようだった。
「私は一応、彼女の父親なんだがね。」
しみじみとした口調で言われ、あぁ、そうでしたねと軽く返す...
「でも、そんな事は今更でしょう。」
そう見透かすように言い切れば、それに籍春は尚も失笑するよ...
国の為、民の為、己の理想の為。
高潔な女の志を挫き、傀儡に仕立て上げ、理想と現実と言う真...
首を締めながら、精神を緩慢な自決へと追い込む。
価値が無いと判断した人間を、自らの手を汚さずに死に至らし...
それは相手が例え血の繋がった娘でも―――息子でも……
そんな冷徹な政治家の面を持った男が、しかし次の瞬間、佐治...
「何かあったのかい?」
一見身を案じてくるような、そんな眼差しと声色。
それに佐治の目がキョトンと見開かれる。
「何、とは?」
「いや、なんだか君らしくないと思ってね。そのひどく急いた...
今度はこちらの番だとばかりに見透かすような視線を向けられ...
佐治の口をつく。
「急く?僕が?どうして?」
拙い言葉の羅列。それに籍春の口元の笑みが深まる。
「さぁ?それでも今の君はまるで、欲しいものが手に入らなく...
子供のようだよ。」
言い終わるのとほぼ同時に、籍春の手が不意に佐治に向け伸ば...
それを咄嗟に払おうと上げた、しかしその手首を逆に掴まれる。
思わず視線がきつくなる、しかしそんな反応さえ面白がるよう...
捕らえた手首を力任せに引き寄せると、傾いた佐治の身体を再...
組み敷いてきた。
背に寝台の上、広げていた地図がグシャリと歪む感触を覚える。
しかし籍春はそんな事などもはや気にも留めないように、掴ん...
もう一方の手で佐治の肩を寝台に沈めてきた。
そして無言で寄せられる顔。
唇を重ねようとしてくる…しかし佐治はそれを顔を背ける事で咄...
もはややんわりと拒む余裕すら無くした、そんな佐治の様子に...
「まあいいだろう。何を考えているのかは知らないが、番新教...
台頭はこちらも抑えたかったところだ。堂喝達を始末してくれ...
一気に根絶やしに出来るのなら、まんざら悪い話でもない。し...
唇の代わり、反らされた佐治の首筋に顔を埋めながら、籍春は...
くすぐるような誘いの囁きを落とす。
「それでもこの情報と君との逢瀬一つで娘殺しを見過ごす大罪...
いささか私の方が分が悪いのではないかい?」
言外に示唆してくる男の望むもの。
それは己の目となり足となる、卓越した殺しの技術と洞察力。
わからないはずがない。
しかし佐治はこの時、避けた唇と同様にその思惑からわざと目...
寝台の上、投げ出されていた足がゆらりと膝立った。
闇にも白い両の足が、着崩れ一つしていない男の胴を挟み込む...
その腰にしどけなく絡みつく。
そして抑え込まれた身体の下、わざとらしくもせがむ様にその...
それに籍春はこの時はっきりと苦笑したようだった。
からかうような呟きが落とされる。
「これは、とんだ操立てだ。」
その言葉に佐治は瞬間、脳裏に違う男の声を思い出す。
『人の心を見てきたみたいに言うな!』
自分に向けて投げつけられた、それは白い髪の男の怒号。
あの時にはわからなかった……しかし彼のその胸の苛立ちが、佐...
少しだけ理解出来るような気がした。
あの日、空には白い月が昇っていた。
冴え冴えと冷たい蒼みがかった、そんな光の下、説教殿の回廊...
佐治は追う。
襲撃の準備は整った。人の配置もその手筈も。
そうなっても怒門の背はまだ揺れていた。逃げていた。だから、
後につくそんな背中に語りかける。
「そんなに彼女がまだ好きかい?」
その定まらぬ心を煽り立てるように言えば、それに彼は歩みを...
鋭く踵を返し振り返ってくる、その目が怒りでうっすらと赤み...
しかしそれにも動じずに、佐治は先を続ける。
「未練だね。女がころころ心を変える事なんて世の常じゃない...
離れていた時間は膨大なもの。それを責めてやるのはさすがに...
君は彼女を今でも許せないほど、」
「……黙れ…」
「愛しているのかい?」
「佐治っ!」
一喝と共に怒門がこちらに向け迫ってきた。
技巧も何もかも忘れたような直線的な動きの手が佐治の両肩を...
回廊の壁に押し付けてくる。
「黙れと言っているのがわからないのか!」
そして至近距離で吐き出された叫び。
動揺も露わな、そんな彼を掌握するには、あともう一押しだっ...
だからそんな思惑を胸に、佐治は言葉を紡ぐ。
「黙らせたかったら、塞げばいい。」
挑発するように、笑みを浮かべながら。
しかしそんな言葉とは裏腹に、佐治の心には出来るはずがない...
思いがあった。
共に過ごすようになって一年と少し。その間に自分の生い立ち...
業を知っても、これまで一度としてその趣旨をもって触れてき...
出来るはずがない。そう繰り返し思い、
……見誤った―――
えっと思った時にはもう遅かった。
悠然と見上げていた怒門の顔が不意に眼前に迫り、視界が閉ざ...
そしてその刹那、声を発しようとした佐治の唇に噛みつくよう...
怒りの熱を孕んだ怒門の唇だった。
一瞬の硬直の後、佐治はその事実に戸惑う。
いっそ慌て、もがこうとさえする。
しかし我を忘れたように肩を押さえつけてくる怒門の力は存外...
眉をしかめながら受け入れる接吻は、ただただ熱かった。
押し当ててくるだけの武骨な……それに自分に対する情は無い。
あるのは変わらぬ彼の揺れ。
それに佐治は、きつく閉じた瞼の裏、不意に湧き上がってきた...
いったい、いつまで。
あの牢獄の島を脱出してから今日まで、いったいいつになった...
国に戻れば、と思った時もあった。
仇を目の前にすれば、と考えた時もあった。
しかしそのどの時を過ぎても、怒門の心は人と鬼との間を揺れ...
彼は白から黒に染まった男。
元は白だった男。
だからこそ、苛立つ。
もしかしたら……また戻ってしまうのではないかと。
ならば、
いっそもっとその白い心を揺らして、二度と光の射さぬ漆黒の...
白い信頼で想う仲間が消えれば
白い記憶で忘れえぬ女が死ねば
彼に残るのは……黒い闇の自分だけだ―――
「……ん…っ…」
長かったのか短かったのか、わからない時間の果て、佐治の重...
苦しげな吐息が洩れる。
それに瞬間怒門はハッと我に返ったようだった。
押し当てられていた唇が慌てたように離される。そして、
「…すっ、すまん…!」
反射的に口にされる謝罪。
肩からも手が外される。
しかしそんな離れゆく男に、今度は佐治がその手を伸ばした。
2、3歩と後ずさるその姿を追って、追う指先が怒門の横髪を...
それに驚いたように見開かれた怒門の目は、先程の怒りの赤で...
青に染まっていた。
だからそれに佐治は想う。
戻るな、そして……離れるな。
引き寄せた唇に再び自らそれを重ね合わせて、微かに開いてい...
戸惑う相手の舌を絡め取り、呼吸も継げぬ激しさで貪れば、そ...
肩を震わせたようだったが、それでも彼はこの時、そんな佐治...
してこなかった。
ただその手が自分の背を抱き返してくる事もない。
だから佐治は刹那、胸の内で呪うように繰り返す。
消えればいい、仲間も女もこの国も。
自分だけになればいい。
2人だけに……なればいい―――
すべての崩壊の始まりだった月の下のただ一度の接吻。
怒門に縋る佐治の瞼の裏で今までの世界が揺れる。
………いや、違う。
揺れていたのは、自分だった―――――
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
真っ黒な内容の上に投下ミスりました。ナンバリングすみませ...
- GJ!ゲキシネで目覚めました! -- &new{2010-10-04 (月) 2...
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#title(接吻) [#od510bd8]
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
激団親幹線「バソユウキ」から殺し屋→復讐鬼をベースに、左大...
エロ有り。復讐鬼×殺し屋もエロではないけどちょっと有りなの...
ダメそうな方はご注意下さい。
着物が肩から滑り落ち、剥き出しになった白い背が揺れていた。
「あっ…あぁ……っ」
あげる声に隠さぬ艶を滲ませれば、それに煽られるように背後...
律動が早くなる。
膝の上に抱え上げられ、貫かれる下肢。
先刻より執拗に慣らされ続けたその場所は、今は淫らな水音を...
痛みよりもただじっとりとした熱を孕む。
肌理の細かい肌の感触を楽しむように、男の手が胸や腹を這い...
老いも若きも貴賤も問わぬ、男という生き物の変わり映えのな...
それはこの男も例外ではなかったかと、少しだけ可笑しさを覚...
顔に掛かる解けた黒髪の下、口の端が微かに歪んだ。
そしてうねるように背を仰け反らせ、締め付ける力を強くして...
それに男は呻きとも苦笑ともつかない息を肩越しに落としてき...
一瞬の間の後、背後から回された手で顎を取られる。
「君は悪い男だな。」
揶揄し、面白がるような声が耳元近く囁かれ、顔を向けるよう...
乱れた髪を払わぬまま、指先で辿られる唇。
引き寄せられる、しかしその男の口元をこの時白い指先がそっ...
言葉は発しない。
ただ細めた目元に艶然とした笑みを浮かべ、あからさまに先の...
するとそれに男はやはり苦笑を洩らしたようだったが、あえて...
強いようとはしてこなかった。
あとは、与えられるままに……快楽に身を委ねた。
「んぁ…あ…ぁっ…」
突き上げられ、揺さぶられ、あられもない声をあげ続ける。
今更隠さない、隠しようもない獣の享楽。
ただ……その唇への接吻だけを、佐治は最後まで拒んだ―――
頬を埋める絹の寝具がサラリと冷たかった。
気怠い身体を丸めるように沈め、ただ目だけは茫洋と開き続け...
そんな佐治の視界にその時、寝台の天蓋を掻き分け、踏み入っ...
肌蹴た着物を肩に掛けただけの姿のままでいる自分とは違い、...
欠片も残さぬように襟元をしっかりと合わせ、薄手の羽織まで...
左大臣、京鐘籍春。
彼は寝台の上で自分が目を覚ましている事に気づくと、穏やか...
声をかけてきた。
「起きていたのか。何か飲むかい?」
寝台に腰掛けながらの労わるような口調。しかしその奥には、...
こちらの嬌態を示唆するいやらしさが潜んでいる。
だからその申し出にはただ首を横に振り、佐治は寝台の上ゆっ...
解けた黒髪が顔の横を滑り落ちる。
それに籍春は戯れるように手を伸ばしてきた。
「まさか君がまた訪れてくれるとはね。武士頭の件を断られた...
思っていたよ。」
数日前、この部屋を訪れた時の会話を引き合いに出してくる。
その根の持ち方に佐治はクスリと笑った。
「お願い事があったので。」
そして悪びれずにそんな事を言えば、籍春はわざとらしい鼻白...
「これはまた色気のない。だが、まあいい。取引だ。」
声と共に、髪を弄るのとは違う方の手に持たれていた巻物が、...
紐を解き、佐治の目の前に広げられる。
それはこの国の地図だった。
「さあ、君達の堂喝襲撃の場所はどこだい?」
色気が無いのはどちらだと、胸の内、策謀家な男の切り替えの...
それでも佐治はこの時ゆらりと手を持ち上げる。
白く細い指先が迷いなく指す一点。
それは都を離れ西へと向かう街道が通る山中の、更に分け入っ...
新しく立った大王の御前、執り行われた教義問答の場で、大連...
そしてそれに加担する学問頭・音津加羅麿が捕り押さえられた。
罪状は新王美琴に対する反逆罪。
断を下したのは新王の父であり、左大臣として彼らの政敵の立...
これに、教義問答での勝利を足掛かりに宮廷に食い込み、内部...
謀ろうとしていた番新教教主である怒門の目論見は崩れる事と...
それでも立て直す方法などいくらでもあった。
当初狙っていた学問頭の地位を手に入れる事は、けして番新教...
しかし教主である怒門はそれを拒否した。
理由は簡単に見透かせた。
心が揺らいだのだ。
激しい口調で自分達にかけられた先王暗殺の疑惑を指弾し、王...
しながら、その眼前で臣下に裏切られ、足元から崩れ落ちそう...
儚く弱い、かつての自分の許嫁の姿に。
指摘はしてやった。それこそ面と向かって。
それを彼は否定しながら激昂した。
図星だった。
しかし彼は頑としてそれを認めず、こう言葉を継いだ。
『標的は、まずは…宇木名と加羅麿だ』
長年の復讐の対象者。裏切り者の彼らを法の裁きなどで処刑さ...
連行時を狙い、その身柄をさらって、必ずこの手で殺してやる。
憤怒のままに声を震わせるその姿を、自分は醒めた笑みを浮か...
どれだけ声を荒げ、言葉を飾ろうと、自分には彼の真実が見え...
大王美琴から目を逸らす、それは彼の逃げだった。
「ほう、西国落ちをエサに彼らを山中におびき寄せるつもりか...
指された地図の一点だけで瞬時にそれを察した籍春が、顔を上...
「それで、この情報を私に教える見返りに、君が望む事はなん...
そして真正面から問い質されれば、それに佐治はもはや言葉を...
「彼らが堂喝達をおびき寄せるまで、この場所の守りは僕に任...
あなたにはそこに衛兵を送り込んでほしい。」
「衛兵を?」
「ええ、大王美琴による『番新教一党の掃討』の命のもとに」
微笑みながら告げた、この言葉にはさすがの籍春も一瞬驚きを...
瞬きを忘れた目がじっと向けられる。
しかしそれにも佐治が表情を崩さずにいると、彼はしばし考え...
おもむろにその口を開いてきた。
「君は…それでもあの教主は死なないと踏んでいるんだね。」
「都の衛兵ごときでは彼は倒せませんよ。」
「しかし彼に従う者達、確かハマソ国の王女と言っていたか。...
死ぬだろうね。」
「かもしれませんね。」
「そうしたら彼は恨むだろうなぁ……命を下した大王を。」
ひたりと視線を当てられる。それを佐治はただ無言のまま見返...
探り合う視線の交錯。その末に籍春が告げる。
「彼は、大王の命も狙うかもしれない。」
ひどく神妙な声で告げられた、その言葉に佐治は瞬間耐えられ...
声を殺しながら笑った。そして、
「それが何か問題でも?」
挑むように言い返せば、それに籍春は一瞬の沈黙の後、それで...
抑えきれなかった笑みで喉を震わせたようだった。
「私は一応、彼女の父親なんだがね。」
しみじみとした口調で言われ、あぁ、そうでしたねと軽く返す...
「でも、そんな事は今更でしょう。」
そう見透かすように言い切れば、それに籍春は尚も失笑するよ...
国の為、民の為、己の理想の為。
高潔な女の志を挫き、傀儡に仕立て上げ、理想と現実と言う真...
首を締めながら、精神を緩慢な自決へと追い込む。
価値が無いと判断した人間を、自らの手を汚さずに死に至らし...
それは相手が例え血の繋がった娘でも―――息子でも……
そんな冷徹な政治家の面を持った男が、しかし次の瞬間、佐治...
「何かあったのかい?」
一見身を案じてくるような、そんな眼差しと声色。
それに佐治の目がキョトンと見開かれる。
「何、とは?」
「いや、なんだか君らしくないと思ってね。そのひどく急いた...
今度はこちらの番だとばかりに見透かすような視線を向けられ...
佐治の口をつく。
「急く?僕が?どうして?」
拙い言葉の羅列。それに籍春の口元の笑みが深まる。
「さぁ?それでも今の君はまるで、欲しいものが手に入らなく...
子供のようだよ。」
言い終わるのとほぼ同時に、籍春の手が不意に佐治に向け伸ば...
それを咄嗟に払おうと上げた、しかしその手首を逆に掴まれる。
思わず視線がきつくなる、しかしそんな反応さえ面白がるよう...
捕らえた手首を力任せに引き寄せると、傾いた佐治の身体を再...
組み敷いてきた。
背に寝台の上、広げていた地図がグシャリと歪む感触を覚える。
しかし籍春はそんな事などもはや気にも留めないように、掴ん...
もう一方の手で佐治の肩を寝台に沈めてきた。
そして無言で寄せられる顔。
唇を重ねようとしてくる…しかし佐治はそれを顔を背ける事で咄...
もはややんわりと拒む余裕すら無くした、そんな佐治の様子に...
「まあいいだろう。何を考えているのかは知らないが、番新教...
台頭はこちらも抑えたかったところだ。堂喝達を始末してくれ...
一気に根絶やしに出来るのなら、まんざら悪い話でもない。し...
唇の代わり、反らされた佐治の首筋に顔を埋めながら、籍春は...
くすぐるような誘いの囁きを落とす。
「それでもこの情報と君との逢瀬一つで娘殺しを見過ごす大罪...
いささか私の方が分が悪いのではないかい?」
言外に示唆してくる男の望むもの。
それは己の目となり足となる、卓越した殺しの技術と洞察力。
わからないはずがない。
しかし佐治はこの時、避けた唇と同様にその思惑からわざと目...
寝台の上、投げ出されていた足がゆらりと膝立った。
闇にも白い両の足が、着崩れ一つしていない男の胴を挟み込む...
その腰にしどけなく絡みつく。
そして抑え込まれた身体の下、わざとらしくもせがむ様にその...
それに籍春はこの時はっきりと苦笑したようだった。
からかうような呟きが落とされる。
「これは、とんだ操立てだ。」
その言葉に佐治は瞬間、脳裏に違う男の声を思い出す。
『人の心を見てきたみたいに言うな!』
自分に向けて投げつけられた、それは白い髪の男の怒号。
あの時にはわからなかった……しかし彼のその胸の苛立ちが、佐...
少しだけ理解出来るような気がした。
あの日、空には白い月が昇っていた。
冴え冴えと冷たい蒼みがかった、そんな光の下、説教殿の回廊...
佐治は追う。
襲撃の準備は整った。人の配置もその手筈も。
そうなっても怒門の背はまだ揺れていた。逃げていた。だから、
後につくそんな背中に語りかける。
「そんなに彼女がまだ好きかい?」
その定まらぬ心を煽り立てるように言えば、それに彼は歩みを...
鋭く踵を返し振り返ってくる、その目が怒りでうっすらと赤み...
しかしそれにも動じずに、佐治は先を続ける。
「未練だね。女がころころ心を変える事なんて世の常じゃない...
離れていた時間は膨大なもの。それを責めてやるのはさすがに...
君は彼女を今でも許せないほど、」
「……黙れ…」
「愛しているのかい?」
「佐治っ!」
一喝と共に怒門がこちらに向け迫ってきた。
技巧も何もかも忘れたような直線的な動きの手が佐治の両肩を...
回廊の壁に押し付けてくる。
「黙れと言っているのがわからないのか!」
そして至近距離で吐き出された叫び。
動揺も露わな、そんな彼を掌握するには、あともう一押しだっ...
だからそんな思惑を胸に、佐治は言葉を紡ぐ。
「黙らせたかったら、塞げばいい。」
挑発するように、笑みを浮かべながら。
しかしそんな言葉とは裏腹に、佐治の心には出来るはずがない...
思いがあった。
共に過ごすようになって一年と少し。その間に自分の生い立ち...
業を知っても、これまで一度としてその趣旨をもって触れてき...
出来るはずがない。そう繰り返し思い、
……見誤った―――
えっと思った時にはもう遅かった。
悠然と見上げていた怒門の顔が不意に眼前に迫り、視界が閉ざ...
そしてその刹那、声を発しようとした佐治の唇に噛みつくよう...
怒りの熱を孕んだ怒門の唇だった。
一瞬の硬直の後、佐治はその事実に戸惑う。
いっそ慌て、もがこうとさえする。
しかし我を忘れたように肩を押さえつけてくる怒門の力は存外...
眉をしかめながら受け入れる接吻は、ただただ熱かった。
押し当ててくるだけの武骨な……それに自分に対する情は無い。
あるのは変わらぬ彼の揺れ。
それに佐治は、きつく閉じた瞼の裏、不意に湧き上がってきた...
いったい、いつまで。
あの牢獄の島を脱出してから今日まで、いったいいつになった...
国に戻れば、と思った時もあった。
仇を目の前にすれば、と考えた時もあった。
しかしそのどの時を過ぎても、怒門の心は人と鬼との間を揺れ...
彼は白から黒に染まった男。
元は白だった男。
だからこそ、苛立つ。
もしかしたら……また戻ってしまうのではないかと。
ならば、
いっそもっとその白い心を揺らして、二度と光の射さぬ漆黒の...
白い信頼で想う仲間が消えれば
白い記憶で忘れえぬ女が死ねば
彼に残るのは……黒い闇の自分だけだ―――
「……ん…っ…」
長かったのか短かったのか、わからない時間の果て、佐治の重...
苦しげな吐息が洩れる。
それに瞬間怒門はハッと我に返ったようだった。
押し当てられていた唇が慌てたように離される。そして、
「…すっ、すまん…!」
反射的に口にされる謝罪。
肩からも手が外される。
しかしそんな離れゆく男に、今度は佐治がその手を伸ばした。
2、3歩と後ずさるその姿を追って、追う指先が怒門の横髪を...
それに驚いたように見開かれた怒門の目は、先程の怒りの赤で...
青に染まっていた。
だからそれに佐治は想う。
戻るな、そして……離れるな。
引き寄せた唇に再び自らそれを重ね合わせて、微かに開いてい...
戸惑う相手の舌を絡め取り、呼吸も継げぬ激しさで貪れば、そ...
肩を震わせたようだったが、それでも彼はこの時、そんな佐治...
してこなかった。
ただその手が自分の背を抱き返してくる事もない。
だから佐治は刹那、胸の内で呪うように繰り返す。
消えればいい、仲間も女もこの国も。
自分だけになればいい。
2人だけに……なればいい―――
すべての崩壊の始まりだった月の下のただ一度の接吻。
怒門に縋る佐治の瞼の裏で今までの世界が揺れる。
………いや、違う。
揺れていたのは、自分だった―――――
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
真っ黒な内容の上に投下ミスりました。ナンバリングすみませ...
- GJ!ゲキシネで目覚めました! -- &new{2010-10-04 (月) 2...
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