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48-231
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#title(駅擬人化 青梅線 拝島駅×昭島駅 後編+番外編 「...
連続での投稿失礼します。
>>118-128 及び >>199-204 の続きです。
前々回に引き続き暖かいご感想ありがとうございました。
ここの姐さん方のコメントで自分の中でも色々と話が広がって...
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
| 駅擬人化 青...
____________ \ / ̄ ̄ ̄...
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 予想外に...
| | | | ...
| | |> PLAY. | | ...
| | | | ∧...
| | | | ピッ (´...
| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(...
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
目の前に現れた昭島駅は俺が来たことに目を丸くしてる。
会いたかったはずなのにいざ対面してみると何故だかまともに...
ここ最近見ないようにしていた所為かも。
「拝島駅、どしたの?」
「え…あ、いや、別に覗いたとかじゃなくて…。」
実際は覗いてたわけで、上手い弁明が浮かばなくて焦っている...
どうやら、こっそり見ていた事は気づかれてないらしい。
「あ、何でもない。うん、なんだ、その、…元気にしてっかなと...
やべぇ、不自然すぎる。正直何て言うか全く考えてなかった。
少なくとも謝ろうと思って、できれば前みたいな感じに戻れれ...
俺の返事はやっぱりおかしかったみたいで、昭島駅がさらに怪...
流石にここ最近自分からは全く昭島駅を訪ねてなかったから当...
「まあ、立ち話もなんだし座ろうぜ!な。」
時間稼ぎの意図もあって昭島駅が定位置にしてるベンチの横に...
「…」
さあ、どうやって切り出そ。頭の中を引っ掻き回して言葉を捜...
昭島駅に先手を打たれてしまった。
「何かあった?困ったことがあるなら僕でよければ聞くけど…。...
自分だって大変なくせに他駅の心配してる場合かよ。と、言い...
「俺じゃなくて、…最近お前色々しんどいだろ?」
結局直球。隣に座った昭島駅が驚いてこちらを向いたのが分か...
やっぱ視線を合わせづらくて俺はずっと正面を向いてた。
「…立川駅から聞いたの?」
「えっ、別に。」
「じゃあ西立川駅だ。」
「うっ…俺が自力で気付いたとはおもわねーの?」
「思わない。」
「…。」
流石良く分かってらっしゃる。けど何か普通に話せてるしこの...
「そっか。でも気にしないで。僕拝島駅には言う気なかったし...
…は?俺は思わず昭島駅を見たけど、今度はやつがうつむいてる...
「困ったら他の線の駅達もいるし、もうしばらくすれば耐性が...
拝島駅を煩わせるほどのことはないよ。そろそろ戻れば?そこ...
「なっ!…っ。」
いきなりの言い草につい怒鳴りそうになって、慌てて我慢した。
落ち着け俺。感情的になるな。冷静に考えろ。また見落とすぞ。
そもそも昭島駅が考えなしにこんなこというわけがない。きっ...
一呼吸してよく昭島駅の方に向き直る。昭島駅はベンチに座っ...
「昭島…?」
返事はない。
「本気でそう思ってんなら目ぇ見て言えば?」
「…。」
沈黙を取繕うように先程ホームに滑り込んだ下り電車が発車の...
「…あーもう、だからお前の嘘はすぐバレんだよ。」
「ぅるさっ、…だから嫌だったんだよ。自分の状態知ったら拝島...
話が見えない。 何故そこで俺?
「僕嫌なやつなんだ。嫌われてるのわかってるのに、自分が会...
嫌がってんの、分かってるのに。
だからせめてしつこくならないようにしてたけど僕のこと知っ...
現に今来たじゃん。義理だって分かってるのに舞い上がりそう...
昭島駅は一気にまくし立てるとベンチの上で膝を抱えて頭をう...
今度は俺が目を丸くする番だった。何かすげー事を聞いた気が...
「あんさ、俺の態度も悪かったけど、別に嫌いだったわけじゃ…...
「…気ぃ、使わない、でよ。」
「本当だって。こっち向いて俺の顔を見てから判断しろよ。」
半ば無理くり昭島駅の両腕を掴んでこっちを向かせた。
久々にまともに見た昭島駅の顔は歪んでるし濡れたまつげがい...
「何泣いてんだよ。」
「泣いてない。」
「泣いてんじゃん。」
「これは…地下水だし。」
「ぷっ!何それ?」
俺が噴出した隙に手を解いた昭島駅は急いで顔をぬぐった。
失態を見られて不本意なのか憮然としたまま未だ笑う俺を向い...
改めて見るとその顔は以前よりやつれてた。記憶の中の昭島駅...
これ程の変化に気付かない位俺は昭島駅と向き合っていなかっ...
昭島駅の外見の変化にばかり気を取られて、反発していたのを...
気付くべきは見てくれじゃなくて中身の変化だったのに。
「ごめん昭島駅…俺ほんとガキだ。ホントごめん。ごめんな。今...
情けないやら申し訳ないやらで馬鹿みたいにごめんを繰り返し...
「えっ?な、何で拝島駅が謝るの?」
「俺、自分のことしか考えてなくて全然周りが見えてなかった。
昭島駅がどんどん大きくなるから焦ってたんだ。取り残されそ...
嫌いになったわけじゃねーんだ。本当に。信じてくれよ。頼む...
どうしたらこれまでの事を穴埋めできるのか分からなかったけ...
俺の様子に昭島駅は小さく頷いて、それでもまだ念を押すよう...
「僕が嫌になったんじゃないんだよね?」
「ああ。」
「面倒臭くなったんじゃないんだよね?」
「お前が七面倒くさいのは今に始まったことじゃないだろ。」
「う、うるさい。…また一緒にいても良いんだよね?」
最後の質問にしっかりと頷く。
「そっか…。よかったぁ…。」
ようやく納得した昭島駅が思いっきり笑ったのでつられて俺も...
二人でまた心から笑えてるって、たったそれだけのことがすっ...
まだまだ俺はガキだけど、気付かないことが沢山あるかもしれ...
これからもずっとこいつとこうしていられるために精一杯頑張...
「じゃあ俺、そろそろ帰るわ。」
それからしばらく久々に色々話して、時間も遅くなってきたの...
流石にこれ以上ほっとくわけにはいかない。ベンチから立ち上...
突然昭島駅が立ち上がって俺の正面に立った。驚きと焦りが混...
「な、な、な、なんか拝島駅背ぇ伸びてない!?」
「は?そんなことないと思うけど…。」
俺の記憶が正しければ、今の俺と昭島駅の背丈は同じくらいの...
「絶対伸びてるって!ほら!」
昭島駅は俺を掴んでエレベーターの前まで引っ張って行く。
二階へと伸びるそのガラス張りの外壁に写った俺の身長は、確...
「やっぱり…。なんか顔も前見たときより老けてるし。確実に2...
身長を確認した後は俺の肩を掴んでまじまじと顔を覗き込んで...
「老ける言うなよ。別に良いじゃんそんなん。」
「良くない!あー、今度こそ追い越せると思ってたのに!」
聞けば昭島駅はずいぶん前からひそかに「俺越え」を狙ってた...
昭島駅との身長や年―といっても表面上のものだけど―の差なん...
そりゃやつが出来たばかりの頃は俺のが全然上だったけど、こ...
きょとんとする俺とは反対に昭島駅はすごく悔しそうだ。まあ...
要するにこいつもガキなんだなと妙に安心した。
「なんで拝島駅ばっかりいつも先行っちゃうんだろ…。」
「ん?んー、そーだなぁ。」
言われてみれば今回の事で俺は少なからず変わった気がする。
それが外見に現れたんだとしたら…
「愛、かなー。」
しばらくその発言の意味を考えていた昭島駅が急に真っ赤にな...
「じゃあまた明日な。」
とその場を後にした。
―おわり―
*~番外編~ 『立川駅のホンネ』 [#bef7d340]
数週間ぶりの晴天の休日のおかげでロータリーを縦横無尽に行...
立川駅は手にしたコーヒーの最後の一口を飲み干した。
「遅い。」
そう呟いてカップを戻す。ラッシュと人身事故の時さえ耐えれ...
休日の人出はひっきりなしにじわじわと体力を奪うので休まる...
かといって彼等によって自分が生かされているのだから文句を...
駅はただ受け入れるのみである。
戯れに周囲の路線の様子を気配だけで探ってみれば、まあどこ...
昭島駅も中神駅や東中神駅のおかげでなんとかやっているみた...
腰が重くなって昔ほど気軽に出歩けなくなった分、こういう能...
―それってテクニックのわりに体力がないってことじゃ~ん。―
そんな立川駅を、昔ある駅はそう下品に例えて笑った。
そのある駅は、現在未だ拝島駅と一緒にいる。
「チッ、早く来いよ。」
そう言うや否や目の前に見飽きたヘラヘラ顔が現れた。
「チョリーッス。たっちゃん元気~?」
「遅い。変な挨拶するな。その呼び方止めろ。」
不機嫌そうに吐き捨てると同時に自分の受けている負担をごっ...
「わっ!ちょっ!そりゃないんじゃないの!?君のでしょ!?」
いきなりの無茶振りに彼はよろめきながらもなんとか持ちこた...
「いいからちょっと持ってろ。」
立ち上がって楽になった体を伸ばし、深呼吸をしたあと、
「いいぞ、ほら。」
といって自分が押し付けたものをまた引き受けるため手を差し...
もとよりずっと押し付けている気はかった。自分がテクだけ男...
目の前の駅は一発屋である事を立川駅は良く知っていた。
それにこいつの所だって今日は既に相当人が来ているはずだ。
体に馴染んだ感覚が立川駅の元に再び戻って来たが、それは預...
その変化に気付いて西立川駅を一瞥するも、やつは何事も無い...
あーキツかったと笑いながらカウンターへ行ってしまう。
こいつはいつもそうなのだ。のんきな顔して何も言わずに来て...
だから今日も立川駅は肝心な事を言いそびれてしまった。
以前は確かに急な自分の変化と人の増加に慣れないで苦戦して...
それを周囲に悟られたくなくて隠していたのも事実である。
そんな中何故か唯一気付いた西立川駅に、不本意ながら何度か...
頼んだ事はなかったが、気付いて以来西立川駅は様子見にちょ...
大変な時だけ飄々と現れるのだった。
しかし、実を言うと今の立川駅は西立川駅が思うほど「テクだ...
今日くらいの人出なら、十分一人でやっていけるほどの体力は...
問題は、西立川駅が自分の「大変な時にだけ」しか来ないこと...
様子を探りに来ても立川駅が普通にしていればそのまま戻って...
その結果が現状だった。
つまり、西立川駅が様子を探りに来るタイミングを見計らって、
「わざと」キャパオーバーを装うようになって今に至っている。
最初はほんの出来心だったが、つい2度、3度とやるうちに打ち...
我ながら子供っぽい事をしているのは立川駅自身わかっていて...
その度に先ほどのごとく言えずに終わるのだった。
はぁ、と小さくため息をついていると西立川駅がトレーの上に...
向かいに座ってコーヒーの片方を立川駅に渡すと自分はバーガ...
「なあ、…。」
「ん?」
「いや、…やっぱ何でもない。」
駄目だ。何もなくても会いに来いなんて今更言えるか。
代わりに呷ったコーヒーは苦味を残して言葉と一緒に喉を過ぎ...
―終わり―
他地域の方も読んでくださってるので最後に一つだけ補足させ...
昭島市は水道水が100%地下水なんだそうです。
最初から最後までローカルなネタ、ご容赦ください。
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧...
| | | | ピッ (...
| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| ...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) ...
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連続での投稿失礼します。
>>118-128 及び >>199-204 の続きです。
前々回に引き続き暖かいご感想ありがとうございました。
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| 駅擬人化 青...
____________ \ / ̄ ̄ ̄...
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 予想外に...
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目の前に現れた昭島駅は俺が来たことに目を丸くしてる。
会いたかったはずなのにいざ対面してみると何故だかまともに...
ここ最近見ないようにしていた所為かも。
「拝島駅、どしたの?」
「え…あ、いや、別に覗いたとかじゃなくて…。」
実際は覗いてたわけで、上手い弁明が浮かばなくて焦っている...
どうやら、こっそり見ていた事は気づかれてないらしい。
「あ、何でもない。うん、なんだ、その、…元気にしてっかなと...
やべぇ、不自然すぎる。正直何て言うか全く考えてなかった。
少なくとも謝ろうと思って、できれば前みたいな感じに戻れれ...
俺の返事はやっぱりおかしかったみたいで、昭島駅がさらに怪...
流石にここ最近自分からは全く昭島駅を訪ねてなかったから当...
「まあ、立ち話もなんだし座ろうぜ!な。」
時間稼ぎの意図もあって昭島駅が定位置にしてるベンチの横に...
「…」
さあ、どうやって切り出そ。頭の中を引っ掻き回して言葉を捜...
昭島駅に先手を打たれてしまった。
「何かあった?困ったことがあるなら僕でよければ聞くけど…。...
自分だって大変なくせに他駅の心配してる場合かよ。と、言い...
「俺じゃなくて、…最近お前色々しんどいだろ?」
結局直球。隣に座った昭島駅が驚いてこちらを向いたのが分か...
やっぱ視線を合わせづらくて俺はずっと正面を向いてた。
「…立川駅から聞いたの?」
「えっ、別に。」
「じゃあ西立川駅だ。」
「うっ…俺が自力で気付いたとはおもわねーの?」
「思わない。」
「…。」
流石良く分かってらっしゃる。けど何か普通に話せてるしこの...
「そっか。でも気にしないで。僕拝島駅には言う気なかったし...
…は?俺は思わず昭島駅を見たけど、今度はやつがうつむいてる...
「困ったら他の線の駅達もいるし、もうしばらくすれば耐性が...
拝島駅を煩わせるほどのことはないよ。そろそろ戻れば?そこ...
「なっ!…っ。」
いきなりの言い草につい怒鳴りそうになって、慌てて我慢した。
落ち着け俺。感情的になるな。冷静に考えろ。また見落とすぞ。
そもそも昭島駅が考えなしにこんなこというわけがない。きっ...
一呼吸してよく昭島駅の方に向き直る。昭島駅はベンチに座っ...
「昭島…?」
返事はない。
「本気でそう思ってんなら目ぇ見て言えば?」
「…。」
沈黙を取繕うように先程ホームに滑り込んだ下り電車が発車の...
「…あーもう、だからお前の嘘はすぐバレんだよ。」
「ぅるさっ、…だから嫌だったんだよ。自分の状態知ったら拝島...
話が見えない。 何故そこで俺?
「僕嫌なやつなんだ。嫌われてるのわかってるのに、自分が会...
嫌がってんの、分かってるのに。
だからせめてしつこくならないようにしてたけど僕のこと知っ...
現に今来たじゃん。義理だって分かってるのに舞い上がりそう...
昭島駅は一気にまくし立てるとベンチの上で膝を抱えて頭をう...
今度は俺が目を丸くする番だった。何かすげー事を聞いた気が...
「あんさ、俺の態度も悪かったけど、別に嫌いだったわけじゃ…...
「…気ぃ、使わない、でよ。」
「本当だって。こっち向いて俺の顔を見てから判断しろよ。」
半ば無理くり昭島駅の両腕を掴んでこっちを向かせた。
久々にまともに見た昭島駅の顔は歪んでるし濡れたまつげがい...
「何泣いてんだよ。」
「泣いてない。」
「泣いてんじゃん。」
「これは…地下水だし。」
「ぷっ!何それ?」
俺が噴出した隙に手を解いた昭島駅は急いで顔をぬぐった。
失態を見られて不本意なのか憮然としたまま未だ笑う俺を向い...
改めて見るとその顔は以前よりやつれてた。記憶の中の昭島駅...
これ程の変化に気付かない位俺は昭島駅と向き合っていなかっ...
昭島駅の外見の変化にばかり気を取られて、反発していたのを...
気付くべきは見てくれじゃなくて中身の変化だったのに。
「ごめん昭島駅…俺ほんとガキだ。ホントごめん。ごめんな。今...
情けないやら申し訳ないやらで馬鹿みたいにごめんを繰り返し...
「えっ?な、何で拝島駅が謝るの?」
「俺、自分のことしか考えてなくて全然周りが見えてなかった。
昭島駅がどんどん大きくなるから焦ってたんだ。取り残されそ...
嫌いになったわけじゃねーんだ。本当に。信じてくれよ。頼む...
どうしたらこれまでの事を穴埋めできるのか分からなかったけ...
俺の様子に昭島駅は小さく頷いて、それでもまだ念を押すよう...
「僕が嫌になったんじゃないんだよね?」
「ああ。」
「面倒臭くなったんじゃないんだよね?」
「お前が七面倒くさいのは今に始まったことじゃないだろ。」
「う、うるさい。…また一緒にいても良いんだよね?」
最後の質問にしっかりと頷く。
「そっか…。よかったぁ…。」
ようやく納得した昭島駅が思いっきり笑ったのでつられて俺も...
二人でまた心から笑えてるって、たったそれだけのことがすっ...
まだまだ俺はガキだけど、気付かないことが沢山あるかもしれ...
これからもずっとこいつとこうしていられるために精一杯頑張...
「じゃあ俺、そろそろ帰るわ。」
それからしばらく久々に色々話して、時間も遅くなってきたの...
流石にこれ以上ほっとくわけにはいかない。ベンチから立ち上...
突然昭島駅が立ち上がって俺の正面に立った。驚きと焦りが混...
「な、な、な、なんか拝島駅背ぇ伸びてない!?」
「は?そんなことないと思うけど…。」
俺の記憶が正しければ、今の俺と昭島駅の背丈は同じくらいの...
「絶対伸びてるって!ほら!」
昭島駅は俺を掴んでエレベーターの前まで引っ張って行く。
二階へと伸びるそのガラス張りの外壁に写った俺の身長は、確...
「やっぱり…。なんか顔も前見たときより老けてるし。確実に2...
身長を確認した後は俺の肩を掴んでまじまじと顔を覗き込んで...
「老ける言うなよ。別に良いじゃんそんなん。」
「良くない!あー、今度こそ追い越せると思ってたのに!」
聞けば昭島駅はずいぶん前からひそかに「俺越え」を狙ってた...
昭島駅との身長や年―といっても表面上のものだけど―の差なん...
そりゃやつが出来たばかりの頃は俺のが全然上だったけど、こ...
きょとんとする俺とは反対に昭島駅はすごく悔しそうだ。まあ...
要するにこいつもガキなんだなと妙に安心した。
「なんで拝島駅ばっかりいつも先行っちゃうんだろ…。」
「ん?んー、そーだなぁ。」
言われてみれば今回の事で俺は少なからず変わった気がする。
それが外見に現れたんだとしたら…
「愛、かなー。」
しばらくその発言の意味を考えていた昭島駅が急に真っ赤にな...
「じゃあまた明日な。」
とその場を後にした。
―おわり―
*~番外編~ 『立川駅のホンネ』 [#bef7d340]
数週間ぶりの晴天の休日のおかげでロータリーを縦横無尽に行...
立川駅は手にしたコーヒーの最後の一口を飲み干した。
「遅い。」
そう呟いてカップを戻す。ラッシュと人身事故の時さえ耐えれ...
休日の人出はひっきりなしにじわじわと体力を奪うので休まる...
かといって彼等によって自分が生かされているのだから文句を...
駅はただ受け入れるのみである。
戯れに周囲の路線の様子を気配だけで探ってみれば、まあどこ...
昭島駅も中神駅や東中神駅のおかげでなんとかやっているみた...
腰が重くなって昔ほど気軽に出歩けなくなった分、こういう能...
―それってテクニックのわりに体力がないってことじゃ~ん。―
そんな立川駅を、昔ある駅はそう下品に例えて笑った。
そのある駅は、現在未だ拝島駅と一緒にいる。
「チッ、早く来いよ。」
そう言うや否や目の前に見飽きたヘラヘラ顔が現れた。
「チョリーッス。たっちゃん元気~?」
「遅い。変な挨拶するな。その呼び方止めろ。」
不機嫌そうに吐き捨てると同時に自分の受けている負担をごっ...
「わっ!ちょっ!そりゃないんじゃないの!?君のでしょ!?」
いきなりの無茶振りに彼はよろめきながらもなんとか持ちこた...
「いいからちょっと持ってろ。」
立ち上がって楽になった体を伸ばし、深呼吸をしたあと、
「いいぞ、ほら。」
といって自分が押し付けたものをまた引き受けるため手を差し...
もとよりずっと押し付けている気はかった。自分がテクだけ男...
目の前の駅は一発屋である事を立川駅は良く知っていた。
それにこいつの所だって今日は既に相当人が来ているはずだ。
体に馴染んだ感覚が立川駅の元に再び戻って来たが、それは預...
その変化に気付いて西立川駅を一瞥するも、やつは何事も無い...
あーキツかったと笑いながらカウンターへ行ってしまう。
こいつはいつもそうなのだ。のんきな顔して何も言わずに来て...
だから今日も立川駅は肝心な事を言いそびれてしまった。
以前は確かに急な自分の変化と人の増加に慣れないで苦戦して...
それを周囲に悟られたくなくて隠していたのも事実である。
そんな中何故か唯一気付いた西立川駅に、不本意ながら何度か...
頼んだ事はなかったが、気付いて以来西立川駅は様子見にちょ...
大変な時だけ飄々と現れるのだった。
しかし、実を言うと今の立川駅は西立川駅が思うほど「テクだ...
今日くらいの人出なら、十分一人でやっていけるほどの体力は...
問題は、西立川駅が自分の「大変な時にだけ」しか来ないこと...
様子を探りに来ても立川駅が普通にしていればそのまま戻って...
その結果が現状だった。
つまり、西立川駅が様子を探りに来るタイミングを見計らって、
「わざと」キャパオーバーを装うようになって今に至っている。
最初はほんの出来心だったが、つい2度、3度とやるうちに打ち...
我ながら子供っぽい事をしているのは立川駅自身わかっていて...
その度に先ほどのごとく言えずに終わるのだった。
はぁ、と小さくため息をついていると西立川駅がトレーの上に...
向かいに座ってコーヒーの片方を立川駅に渡すと自分はバーガ...
「なあ、…。」
「ん?」
「いや、…やっぱ何でもない。」
駄目だ。何もなくても会いに来いなんて今更言えるか。
代わりに呷ったコーヒーは苦味を残して言葉と一緒に喉を過ぎ...
―終わり―
他地域の方も読んでくださってるので最後に一つだけ補足させ...
昭島市は水道水が100%地下水なんだそうです。
最初から最後までローカルなネタ、ご容赦ください。
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シリーズものインデックス3
シリーズものインデックス2
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第70巻
第69巻
第68巻
第67巻
第66巻
第65巻
第64巻
第63巻
第62巻
第61巻
第60巻
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第58巻
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第26巻
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