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#title(オリジナル えせ時代劇風 遊郭の番頭×化粧師)
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマー...
オリジナルの、遊郭の番頭さんと化粧師さん話の続きです。
吉原の名だたる大見世や茶屋では、煤はきも観音市も終わり、...
この頃になると寒さも本物ではあるが、時折のどかな小春日和...
目出度い。
くだらねえ師走だった。しかしこちらは、かまどの灰を掻きだ...
おもての様子が色とりどりであればあるぶん、雨戸を閉め切っ...
ばかり出る。松飾も出さず、今年は祝儀も期待できまい。仕着...
は、また暇を持て余していることもあって、昼夜となく髪を梳...
悪態をついていた。
全く余計なことを仕出かしてくれた。それには同感だ。この紋...
たりだ。
ふたりの土左衛門は、結局あがらなかった。
見世の衆と奉行所、それから大川の漁師どもで川をさらえたが...
つ、男物の足袋のかたわれだけ。
あの水の流れではその先まで行き着いてしまったのかもしれぬ...
しれなかった。しかしどちらにせよ、真冬の入水など狂気の沙...
そしてあの櫛が、たった一つの形見となり証拠となり、ことは...
いつまでも土座衛門なんぞ探しても、腹の足しにもならぬ。
遊女は商い品だ。それなりに金がかかっている。だから見世の...
やっと稼ぎだしたところで、よくもやってくれたと、その気持...
あの呉服問屋の商人にも怒鳴り込まれた。愚か者だばか者だ、...
た、どうしてくれる。泣き崩れる、その気持ちもわからんでは...
そんなことを思い出しながら、先ほどからがりがりとかまどの...
掃除もやり厭てはいるが、帳簿仕事もないぶん、身を動かすこ...
「ああ、くそ」
しんしんと土から寒さが立ち上ってくる。
はあ、と手先に息を吐く。
さらに弱り目にたたり目で、奉行所のほうから追うて沙汰を申...
世間を騒がしたとの罪状にて、先ひとつきは商いすること罷り...
いつもなら盛大に飾り立て、また着飾って正月を迎えるこの見...
若衆や針子の里のあるものは、幾ばくかの金を持たされ暇を出...
全く誰も彼も大損だ。うまい話とほくそえむのは浄瑠璃師や草...
もなりはしまい。
若い遊女とぼんぼんの相対死になどありふれている。新造が残...
あった)、今生で添い遂げられぬなら、せめて来世で云々とど...
面白みなど何も無く、かんざし一つ、櫛一つ、筆一つも消えて...
むしろ種になるなら商人(若旦那の親父だ)のほうだろう。
可哀想にあの商人、娘が輿入れしたばかりだそうだ。
それは若旦那の妹にあたり、一人娘の晴れの日と一人息子の情...
らずにはおられまい。娘の夫を入り婿に取る算段もあろうが、...
必死だろう。
傍から見ればその婿野郎、うまい汁を吸いやがってと思わぬで...
くり転がり込んでくるのだ。さて草子書きならばここに食いつ...
くるのだろうが、邪推もここまでにしておくか、俺も暇すぎて...
大の男がむくつけき体を縮めこんで薄暗い土間でとは、見よう...
間もなかったのが、逆に暇つぶしになっている。たまった灰を...
「おや」
ひとりごちて、再度しゃがみこんでそのかまどの奥の奥を覗き...
足腰は思ったより億劫にぎいぎいと鳴る。
何かころりと転がっている。山盛りの灰の中から顔を出したよ...
興味をそそられ手を伸ばした。硬く冷たい手触りで、いくつか...
焼け残った櫛だ、とわかった途端興味が失せた。遊女だろう、...
の進物を年明けの前にとっとと始末したという寸法か。
半身だけ残った黒い櫛は、元からその色だったのかどうかもわ...
やれやれ哀れなことで、煤にまみれてぽい。
捨てられるのが遊女なら、こっちから捨ててやるとの気風ある...
「ざまあねえ」
灰と共に捨てきってしまおうと思ったときにざわりとどこか胸...
の色も彫り細工も灰と煤まみれだ、だが。
だがこれは、どこかで見たことは無いか。
寒さ以外の怖気がぞっとこめかみから駆け抜けた。菊花の紋の...
ふうふうと、気づかず乱れそうになる息を呑み、周囲を思わず...
銀の字のつくあの若衆は、男の癖に噂話に詳しい。またこいつ...
入らぬ様子を、徳利片手に酒に誘えばご相伴とほいほい乗って...
昼酒が出来るのだけはありがてえなあ、と笑って番頭部屋に上...
まずまず冷えには強い。どこぞの誰かさんを思い出させる。
先ほどの寒気を押し隠し、まずはどう切り出すか。こりこりた...
ば、若衆はあっけらかんと答える。
あの商人どうしてやがるか知らねえかなどと、普段の己ならそ...
頭は回らぬか。
兄い、と出だしだけやや声を潜めたが、ここだけの話と続ける...
どこがここだけの話だ。
ただ奴さんの妹が気の毒だ、と若衆はそこだけもごもご口ごも...
しているのではないかと、性根が悪い男ではないのだ。
祝言に出てくれた兄貴が、次の日にゃあ大川で土座衛門なんざ...
えよ。聞き捨てならずその弁で待て、と一息入れる。
「何だって、そりゃ」
あの情死は、まさにその日だったと言うのか。兄いご存知なか...
まなじりを引きつらせ、一杯あけた。
いや待て、あい待て。それはどういうことだ。普段使わぬ頭の...
音を立てて回りだす。嫌な予感がする。
これは本当に、全く嫌な予感がする。
確かな話か、と返すとき柄にもなく息苦しくなった。そりゃあ...
「この野郎」
とくとく、からの杯が満たされれば若衆は笑って、髪結い筋か...
気も知らぬ。
そして、その話なら詳しいのはその筋じゃねえかと、あの名を...
こうなると暇なのは渡りに船だ。火の用心と野暮用を言いやっ...
を受けて、それでも少し妙な顔をした。
日が落ちるころの吉原では、大門から男どもが流れ込んできて...
がやと、それぞれの理由と目的を胸に下卑た、それでいて清々...
師走であろうと正月であろうと、男女のやりくちは変わらぬも...
朗々とした声がざわめきに混じり、派手な色合いと酒や白粉の...
一人逆らい、溝を渡って廓を出る。
出てしまえばあの喧騒は幻のようで、ざりざり足を動かし首筋...
廓の風景は夢と散る。今日は堀の川の音も、さよさよと静か。
西の空から丸くなりかけの月が出ていた。
師走の月はくっきり朗々と、そして己はざりざりと、懐に手を...
やがて辿りついたあの小料理屋の縄のれんをくぐると、いつぞ...
ぷんと香る湯気には少々あてられそうになったが、悪いが一杯...
客の居場所を聞き出す。
また昇り始めた月明かりの夜道を歩いた。
言われたとおり二町先の角を曲がり、表通りからの裏木戸をく...
どこにでもあるような裏長屋の隙間を縫って、真っ直ぐに切ら...
月が明るいのがありがたい。
ちりんちりんと、この月明かりは鳴るようだ。あァ、今日の夜...
圧倒的な寒さは、この怒りに震える身を冷やすのには丁度良い。
ありふれていることに、慣れすぎていた。廓仕事を長年続けす...
己の阿呆さに己で呆れる。
そして怒っている。端的にいえば、己は物凄く腹を立てている...
長屋の奥、稲荷の隣。そう亭主が言ったとおり、肩を寄せ合う...
の、その先には小さな稲荷宮があった。暗がりに取り残された...
足蹴にされここまで来たか。
ひょうと北風がまた肌にあたる。だが冷えぬ。
吐く息が立ち上るのを見つつ、大きく一つついた。指は震えて...
稲荷はしんとして黒々として、不気味でもなくただ黙っている...
茫漠と明かりの漏れる半障子の板戸に手をかけた。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
またナンバリングミスorz
本願成就までもう少しなんだ…なんだ…
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|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマー...
オリジナルの、遊郭の番頭さんと化粧師さん話の続きです。
吉原の名だたる大見世や茶屋では、煤はきも観音市も終わり、...
この頃になると寒さも本物ではあるが、時折のどかな小春日和...
目出度い。
くだらねえ師走だった。しかしこちらは、かまどの灰を掻きだ...
おもての様子が色とりどりであればあるぶん、雨戸を閉め切っ...
ばかり出る。松飾も出さず、今年は祝儀も期待できまい。仕着...
は、また暇を持て余していることもあって、昼夜となく髪を梳...
悪態をついていた。
全く余計なことを仕出かしてくれた。それには同感だ。この紋...
たりだ。
ふたりの土左衛門は、結局あがらなかった。
見世の衆と奉行所、それから大川の漁師どもで川をさらえたが...
つ、男物の足袋のかたわれだけ。
あの水の流れではその先まで行き着いてしまったのかもしれぬ...
しれなかった。しかしどちらにせよ、真冬の入水など狂気の沙...
そしてあの櫛が、たった一つの形見となり証拠となり、ことは...
いつまでも土座衛門なんぞ探しても、腹の足しにもならぬ。
遊女は商い品だ。それなりに金がかかっている。だから見世の...
やっと稼ぎだしたところで、よくもやってくれたと、その気持...
あの呉服問屋の商人にも怒鳴り込まれた。愚か者だばか者だ、...
た、どうしてくれる。泣き崩れる、その気持ちもわからんでは...
そんなことを思い出しながら、先ほどからがりがりとかまどの...
掃除もやり厭てはいるが、帳簿仕事もないぶん、身を動かすこ...
「ああ、くそ」
しんしんと土から寒さが立ち上ってくる。
はあ、と手先に息を吐く。
さらに弱り目にたたり目で、奉行所のほうから追うて沙汰を申...
世間を騒がしたとの罪状にて、先ひとつきは商いすること罷り...
いつもなら盛大に飾り立て、また着飾って正月を迎えるこの見...
若衆や針子の里のあるものは、幾ばくかの金を持たされ暇を出...
全く誰も彼も大損だ。うまい話とほくそえむのは浄瑠璃師や草...
もなりはしまい。
若い遊女とぼんぼんの相対死になどありふれている。新造が残...
あった)、今生で添い遂げられぬなら、せめて来世で云々とど...
面白みなど何も無く、かんざし一つ、櫛一つ、筆一つも消えて...
むしろ種になるなら商人(若旦那の親父だ)のほうだろう。
可哀想にあの商人、娘が輿入れしたばかりだそうだ。
それは若旦那の妹にあたり、一人娘の晴れの日と一人息子の情...
らずにはおられまい。娘の夫を入り婿に取る算段もあろうが、...
必死だろう。
傍から見ればその婿野郎、うまい汁を吸いやがってと思わぬで...
くり転がり込んでくるのだ。さて草子書きならばここに食いつ...
くるのだろうが、邪推もここまでにしておくか、俺も暇すぎて...
大の男がむくつけき体を縮めこんで薄暗い土間でとは、見よう...
間もなかったのが、逆に暇つぶしになっている。たまった灰を...
「おや」
ひとりごちて、再度しゃがみこんでそのかまどの奥の奥を覗き...
足腰は思ったより億劫にぎいぎいと鳴る。
何かころりと転がっている。山盛りの灰の中から顔を出したよ...
興味をそそられ手を伸ばした。硬く冷たい手触りで、いくつか...
焼け残った櫛だ、とわかった途端興味が失せた。遊女だろう、...
の進物を年明けの前にとっとと始末したという寸法か。
半身だけ残った黒い櫛は、元からその色だったのかどうかもわ...
やれやれ哀れなことで、煤にまみれてぽい。
捨てられるのが遊女なら、こっちから捨ててやるとの気風ある...
「ざまあねえ」
灰と共に捨てきってしまおうと思ったときにざわりとどこか胸...
の色も彫り細工も灰と煤まみれだ、だが。
だがこれは、どこかで見たことは無いか。
寒さ以外の怖気がぞっとこめかみから駆け抜けた。菊花の紋の...
ふうふうと、気づかず乱れそうになる息を呑み、周囲を思わず...
銀の字のつくあの若衆は、男の癖に噂話に詳しい。またこいつ...
入らぬ様子を、徳利片手に酒に誘えばご相伴とほいほい乗って...
昼酒が出来るのだけはありがてえなあ、と笑って番頭部屋に上...
まずまず冷えには強い。どこぞの誰かさんを思い出させる。
先ほどの寒気を押し隠し、まずはどう切り出すか。こりこりた...
ば、若衆はあっけらかんと答える。
あの商人どうしてやがるか知らねえかなどと、普段の己ならそ...
頭は回らぬか。
兄い、と出だしだけやや声を潜めたが、ここだけの話と続ける...
どこがここだけの話だ。
ただ奴さんの妹が気の毒だ、と若衆はそこだけもごもご口ごも...
しているのではないかと、性根が悪い男ではないのだ。
祝言に出てくれた兄貴が、次の日にゃあ大川で土座衛門なんざ...
えよ。聞き捨てならずその弁で待て、と一息入れる。
「何だって、そりゃ」
あの情死は、まさにその日だったと言うのか。兄いご存知なか...
まなじりを引きつらせ、一杯あけた。
いや待て、あい待て。それはどういうことだ。普段使わぬ頭の...
音を立てて回りだす。嫌な予感がする。
これは本当に、全く嫌な予感がする。
確かな話か、と返すとき柄にもなく息苦しくなった。そりゃあ...
「この野郎」
とくとく、からの杯が満たされれば若衆は笑って、髪結い筋か...
気も知らぬ。
そして、その話なら詳しいのはその筋じゃねえかと、あの名を...
こうなると暇なのは渡りに船だ。火の用心と野暮用を言いやっ...
を受けて、それでも少し妙な顔をした。
日が落ちるころの吉原では、大門から男どもが流れ込んできて...
がやと、それぞれの理由と目的を胸に下卑た、それでいて清々...
師走であろうと正月であろうと、男女のやりくちは変わらぬも...
朗々とした声がざわめきに混じり、派手な色合いと酒や白粉の...
一人逆らい、溝を渡って廓を出る。
出てしまえばあの喧騒は幻のようで、ざりざり足を動かし首筋...
廓の風景は夢と散る。今日は堀の川の音も、さよさよと静か。
西の空から丸くなりかけの月が出ていた。
師走の月はくっきり朗々と、そして己はざりざりと、懐に手を...
やがて辿りついたあの小料理屋の縄のれんをくぐると、いつぞ...
ぷんと香る湯気には少々あてられそうになったが、悪いが一杯...
客の居場所を聞き出す。
また昇り始めた月明かりの夜道を歩いた。
言われたとおり二町先の角を曲がり、表通りからの裏木戸をく...
どこにでもあるような裏長屋の隙間を縫って、真っ直ぐに切ら...
月が明るいのがありがたい。
ちりんちりんと、この月明かりは鳴るようだ。あァ、今日の夜...
圧倒的な寒さは、この怒りに震える身を冷やすのには丁度良い。
ありふれていることに、慣れすぎていた。廓仕事を長年続けす...
己の阿呆さに己で呆れる。
そして怒っている。端的にいえば、己は物凄く腹を立てている...
長屋の奥、稲荷の隣。そう亭主が言ったとおり、肩を寄せ合う...
の、その先には小さな稲荷宮があった。暗がりに取り残された...
足蹴にされここまで来たか。
ひょうと北風がまた肌にあたる。だが冷えぬ。
吐く息が立ち上るのを見つつ、大きく一つついた。指は震えて...
稲荷はしんとして黒々として、不気味でもなくただ黙っている...
茫漠と明かりの漏れる半障子の板戸に手をかけた。
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