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#title(オリジナル 元警官と銃)
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
その銃は、男が警官であった10年と、逃亡者となった半年の間
共に死線をくぐり抜けてきた……。
男が警官を辞めた日、銃は己の周囲から見慣れた仲間が消えた...
汗と血、埃と硝煙のこびりついた制服や警棒はどこへ行ったの...
同じ金属で出来ていながら鋭い光を放つマグライトはなぜ側に...
そういえば、周囲の景色も違うようだ。いつものざわついたロ...
同じように薄暗く、冷たい場所ではあるが。
その頃から、銃の中には一発の弾丸だけが収められるようにな...
銃は普段から、弾丸などに意識を傾けたりはしない。射撃場で...
それらは自分の内部をただ通過するだけの部品だ。たまに上手...
恐怖と憤りを感じさせられることはあったが、小さな鉛玉になど
いちいち気を取られる暇は無かった。そう、これまでは。
弾丸「……あの」
銃「……」
弾丸「なんだか、今日は冷えますね。なんて……」
銃「……」
弾丸「……すみません」
驚いた。ひとつには、こんなにも長い間、同じ弾丸と過ごして...
自分はもう、お払い箱なのだろうか。そしてもうひとつは、こ...
ただの消耗品と思っていた弾丸の一つにも、物としての個性が...
そういえば、剥き出しのままでこの冷たい場所に横たわって以来
自分の内部には、この弾丸しか居ない。
弾丸「……えっと、銃さんはこの仕事、長いんですか?」
弾丸「結構、待つもんなんですね。その、仕事まで」
弾丸「俺、仲間たちと話してたんですよ。どんな対象に向かって
行くのかなー、って。まあ、俺なんかみたいな大量生産の消耗...
ほとんどが射撃場の的に当たるとか、威嚇のために地面にめり...
終わるんでしょうけど、ご主人は警官じゃないですか。警官の...
配属されたからには、やっぱり危機一髪!って場面で活躍した...
なんて……」
弾丸「あの、俺、喋り過ぎですかね」
銃「……」
弾丸「すみません、怒ってますか……?」
銃「……お前」
弾丸「はい!」
銃「知らないのか……」
銃は、弾丸に語った。こんなにも長い間、整備もされずに放って
置かれるのは初めてであること、そして、おそらく主人は警官...
退いたであろうことを。もう二度と、主人と共に戦う日々は訪...
だろうかという不安は押し殺し、淡々と、言い聞かせるように。
弾丸「そうですか……はは……道理で、待機が長いと思いました」
銃「まあ、いいんじゃないか。目覚めてすぐに、射撃場に向か...
弾丸「そうですね……いえ、でも……」
銃「なんだ」
弾丸「俺は、何かに向けて飛ぶために産まれてきたんです。俺...
目覚めた時から、そういう……抗えない衝動みたいなものに捕わ...
いるんだと思います。どこか、遠くへ向かって飛びたいってい...
銃「そして、死ぬのか」
弾丸「いや、まあ……そうですけど」
銃「飛び出した先で、何かを殺すこともあるというのに、か?」
弾丸「……」
弾丸は、それきり黙ってしまった。
その夜、銃は長い間、自分の言葉を苦い思いで反芻していた。
殺すこともある。それが、正しいかどうかは自分たちに判断で...
しかし……。
これで、良かったのかも知れない。数え切れないほどの弾丸を...
時には生物を傷付けてきた自分だ。この、何処とも知れぬ冷た...
錆びた鉄くずとして朽ちるのが、似合いの結末なのだ。
だが、この若い弾丸はどうなる?
遠くへ向かうために産まれてきた、か……。
終わりは、唐突に訪れた。
彼らの置かれた薄暗い場所へ、一条の光が射す。銃に触れた手は
懐かしい主人だった。明るい場所に連れ出され、弾丸が身の内...
取り出される。ゆっくりと分解され、また組み上げられる。
固い指と、ガンオイルに湿ったボロ布の感触。じっと見下ろす...
かつての面影を失っていた。伸び放題の髪が深い皺を刻む眉間...
痩せた頬を無精髭が覆っている。だが、目だけは変わらない。...
瞳の奥に、銃は主人の強い決意を読み取った。「俺は、できる」
ぽつりと、男が言う。「やり通してみせる……必ず」組み上がった
銃を確かめるように撫でると、男は微かに口の端を歪めた。
「頼んだぞ」
再び装填されたのは、同じ弾丸だった。
銃は、唐突に悟る。主人にとって、残されたのは自分と、たった
一発の弾丸だけなのだと。
銃にとって、そこからの記憶は曖昧だ。長年親しんだ手に握られ
夜の冷たい空気の中をひたすらに走ったように思う。鳴り響く...
他の銃器から発せられる数多の、そして最後に、自分の……。
暖かい手のひらから、唐突に引き離される。硬いコンクリートに
投げ出され、大勢の慌ただしい足音を聞く。体が熱い。熱と硝...
だけが残る。自分はどうなったのだ。主人は。彼は……最後の弾...
役目を果たしたのだろうか……遠くへ向かうために……。
男は、長い夜を生き延びた。だが、二度と銃を手にすることは...
銃は証拠品として押収され、長い保管期間を経た後に、不良品...
処分された。構造上は全く問題が無いにも関わらず、何故か引...
作動しなくなったためである。
その銃は、男が警官であった10年と、逃亡者となった半年の間
共に死線をくぐり抜けてきた。彼には、最後まで忘れられなか...
言葉がふたつある。ふたつながら、同じ言葉が。
長年共にあった主人と、最後の弾丸が、別れ際に口にしたそれ...
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
改行長過ぎって怒られてしまった(´・ω・`)
#comment
終了行:
#title(オリジナル 元警官と銃)
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
その銃は、男が警官であった10年と、逃亡者となった半年の間
共に死線をくぐり抜けてきた……。
男が警官を辞めた日、銃は己の周囲から見慣れた仲間が消えた...
汗と血、埃と硝煙のこびりついた制服や警棒はどこへ行ったの...
同じ金属で出来ていながら鋭い光を放つマグライトはなぜ側に...
そういえば、周囲の景色も違うようだ。いつものざわついたロ...
同じように薄暗く、冷たい場所ではあるが。
その頃から、銃の中には一発の弾丸だけが収められるようにな...
銃は普段から、弾丸などに意識を傾けたりはしない。射撃場で...
それらは自分の内部をただ通過するだけの部品だ。たまに上手...
恐怖と憤りを感じさせられることはあったが、小さな鉛玉になど
いちいち気を取られる暇は無かった。そう、これまでは。
弾丸「……あの」
銃「……」
弾丸「なんだか、今日は冷えますね。なんて……」
銃「……」
弾丸「……すみません」
驚いた。ひとつには、こんなにも長い間、同じ弾丸と過ごして...
自分はもう、お払い箱なのだろうか。そしてもうひとつは、こ...
ただの消耗品と思っていた弾丸の一つにも、物としての個性が...
そういえば、剥き出しのままでこの冷たい場所に横たわって以来
自分の内部には、この弾丸しか居ない。
弾丸「……えっと、銃さんはこの仕事、長いんですか?」
弾丸「結構、待つもんなんですね。その、仕事まで」
弾丸「俺、仲間たちと話してたんですよ。どんな対象に向かって
行くのかなー、って。まあ、俺なんかみたいな大量生産の消耗...
ほとんどが射撃場の的に当たるとか、威嚇のために地面にめり...
終わるんでしょうけど、ご主人は警官じゃないですか。警官の...
配属されたからには、やっぱり危機一髪!って場面で活躍した...
なんて……」
弾丸「あの、俺、喋り過ぎですかね」
銃「……」
弾丸「すみません、怒ってますか……?」
銃「……お前」
弾丸「はい!」
銃「知らないのか……」
銃は、弾丸に語った。こんなにも長い間、整備もされずに放って
置かれるのは初めてであること、そして、おそらく主人は警官...
退いたであろうことを。もう二度と、主人と共に戦う日々は訪...
だろうかという不安は押し殺し、淡々と、言い聞かせるように。
弾丸「そうですか……はは……道理で、待機が長いと思いました」
銃「まあ、いいんじゃないか。目覚めてすぐに、射撃場に向か...
弾丸「そうですね……いえ、でも……」
銃「なんだ」
弾丸「俺は、何かに向けて飛ぶために産まれてきたんです。俺...
目覚めた時から、そういう……抗えない衝動みたいなものに捕わ...
いるんだと思います。どこか、遠くへ向かって飛びたいってい...
銃「そして、死ぬのか」
弾丸「いや、まあ……そうですけど」
銃「飛び出した先で、何かを殺すこともあるというのに、か?」
弾丸「……」
弾丸は、それきり黙ってしまった。
その夜、銃は長い間、自分の言葉を苦い思いで反芻していた。
殺すこともある。それが、正しいかどうかは自分たちに判断で...
しかし……。
これで、良かったのかも知れない。数え切れないほどの弾丸を...
時には生物を傷付けてきた自分だ。この、何処とも知れぬ冷た...
錆びた鉄くずとして朽ちるのが、似合いの結末なのだ。
だが、この若い弾丸はどうなる?
遠くへ向かうために産まれてきた、か……。
終わりは、唐突に訪れた。
彼らの置かれた薄暗い場所へ、一条の光が射す。銃に触れた手は
懐かしい主人だった。明るい場所に連れ出され、弾丸が身の内...
取り出される。ゆっくりと分解され、また組み上げられる。
固い指と、ガンオイルに湿ったボロ布の感触。じっと見下ろす...
かつての面影を失っていた。伸び放題の髪が深い皺を刻む眉間...
痩せた頬を無精髭が覆っている。だが、目だけは変わらない。...
瞳の奥に、銃は主人の強い決意を読み取った。「俺は、できる」
ぽつりと、男が言う。「やり通してみせる……必ず」組み上がった
銃を確かめるように撫でると、男は微かに口の端を歪めた。
「頼んだぞ」
再び装填されたのは、同じ弾丸だった。
銃は、唐突に悟る。主人にとって、残されたのは自分と、たった
一発の弾丸だけなのだと。
銃にとって、そこからの記憶は曖昧だ。長年親しんだ手に握られ
夜の冷たい空気の中をひたすらに走ったように思う。鳴り響く...
他の銃器から発せられる数多の、そして最後に、自分の……。
暖かい手のひらから、唐突に引き離される。硬いコンクリートに
投げ出され、大勢の慌ただしい足音を聞く。体が熱い。熱と硝...
だけが残る。自分はどうなったのだ。主人は。彼は……最後の弾...
役目を果たしたのだろうか……遠くへ向かうために……。
男は、長い夜を生き延びた。だが、二度と銃を手にすることは...
銃は証拠品として押収され、長い保管期間を経た後に、不良品...
処分された。構造上は全く問題が無いにも関わらず、何故か引...
作動しなくなったためである。
その銃は、男が警官であった10年と、逃亡者となった半年の間
共に死線をくぐり抜けてきた。彼には、最後まで忘れられなか...
言葉がふたつある。ふたつながら、同じ言葉が。
長年共にあった主人と、最後の弾丸が、別れ際に口にしたそれ...
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
改行長過ぎって怒られてしまった(´・ω・`)
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