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#title(オリジナル えせ時代劇風 遊郭の番頭×化粧師)
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマー...
前スレの続きです。オリジナル。遊郭の番頭さんと化粧師さん...
ことを知ってからの、それからの女将は素早かった。すぐ髪を...
客に小さく挨拶を済ませ、密かに後朝の別れを惜しむ(ふりの...
かに、だが若衆かむろの餓鬼まで叩き起こし、提灯を持たせた。
遊女に逃げられたのでは、見世の恥だ。面目丸つぶれだ。
暁七ツの鐘が鳴って間もない。明六ツ、大門が開きその先の、...
おいちらやってくるのは、まだ先だ。
東の空も白まず、外はしずかに冷え切っている。遣り手の女ど...
に駆ける。
涙雨はようやく霧雨、もやとなり、剥き出しの首や手に雨上が...
膨れ上がっている。吉原この苦界の大門をくぐり、堤燈の群れ...
たった一つの大門は、女は通さぬ。この色街ぐるりを取り囲む...
廓よ、と世に言われる。
しかし折りしも昨夜の大雨、夜陰に乗じて抜け出したとも限ら...
もなくみな承知している。足抜けは許さぬというのが、この街...
己は昨日の、あの若衆と一緒になった。不寝番をしていたくせ...
ところを引っ張り出した。名にひとつ銀の字がつくのでそう呼...
片手に飛んできた。
ばしゃばしゃと足音が散る。走れば冷たい泥がはね、掛けた蓑...
日本堤へ飛び出せば不意にその若衆が、兄い、狐火が来るぜと...
「狐火だと」
堤下の堀川(右へ下りると大川へ注ぐ)も荒れ狂っている。ど...
差す。
手元の堤燈灯りもぼやける朝もやのなか、真っ直ぐの川べりの...
て来るようだ。
揺らぎ揺らめき、薄ぼんやりと得体はようとして知れぬ。川面...
思わずかじかんだ手で懐の匕首を握り締めた。客の誰それが、...
中の狐の嫁入りを見ただとか口にしていたことがある。
おい丑三ツはとうに終いだぜ、呟く。
さらに狐だ、化かしにきやがったと騒ぐのを馬鹿言うなと一喝...
「朝っぱらからこんな処で、何の騒ぎだい」
徐々に近づいてくるそれに、素っ頓狂な声で化粧師の名を叫ん...
「聞いた声だと思ったら、旦那らじゃねえか」
がらころ、下駄の音も泥水のせいで冴えぬ。もやの中から不意...
けでもわかるほどに濡れている。
見た此方のほうがぞっとした。この染みる冷えの中まるで平然...
おぼろに白い。
堤燈は借りたんだがなと化粧師はぼやいた。まァいい処で逢っ...
「あんた、その蓑でも借してくんねえか」
「借りるったって、あんた、もう」
呆れたはずみで掠れた声で言った。藍染も黒々となるまでぐっ...
めかみにはりついた髪から、ついと雫が伝っている。芯まで濡...
商売道具の漆箱はと見ればいつもの袱紗ではなく、油紙と風呂...
らしい野郎だ。
「一雨降られた」
昨夜の雨を指すなら、それは一雨どころの騒ぎではない。夜半...
もや、細かな霧となったところだ。まるでとっぷり更けた丑三...
たとでもいうのか。
祝言の夜宴明けなのだと言う。それよか此方の騒ぎはどうした...
だ、さっぱり要領を得ない。かと言ってさて、どう話したもの...
らぴかり、靄を突いてなにやら光るものが見えた。頼りない堤...
確かな光を感じる。
口ごもる若衆を問い詰める化粧師を放って、堤燈を掲げそろそ...
の、その泥水はやはり思ったよりもずっと近くで猛り渦を巻い...
兄いどしたい、と慌て大声で若衆が問う。頭の出来は悪くない...
で、時折鬱陶しく思うこともある。
その葦の間から、引っかかっているものをやっとの思いですく...
った。泳ぎは不得手ではないが、しかし落ちれば自信は無い。
わいわいと、危ねえよと騒ぐやからの下へ上ってくれば、化粧...
「いったい何だってんだ」
まじまじと眺めている己に二人して問う。此方はと言えば、飛...
この男、よく寒さを口にせずにいられるものだ。
「いや、新造が」
しかし、その名を言いかけてすんでのところで口をつぐむ。や...
ら出入りの化粧師とはいえ、この男に言っていいものか。
「新造が、どうした」
化粧師の足元へ、ほたほたとしずくが伝って新たな染みを作っ...
の中、泥へ沈んですぐに消え行く。
無言で、提灯にかかげていたそれを放り投げると、化粧師は訝...
椿の油ののり具合もあって、うまくすれば暗い中でもぴかぴか...
若衆が盛大にくしゃみをした。鼻が冷えるのだろう、おお寒と...
しかし己は黙って垂れるしずくを見る。時折もやで明かりの具...
「間違いねぇ」
ややあって、化粧師はぽつりと呟いた。水の垂れる手でそれを...
「俺の櫛だ」
まさか、と続けるその押し殺した言葉に、察したようだと諦め...
なく、見覚えがあった。
この化粧師が細工して、あの振袖新造に手渡していた櫛だ。
名の壱字にちなんで、菊花の紋があしらってある。誰の目にも...
諦めと厄介のため息をもう一つついた。これはきっと、面倒な...
介ごとに巻き込まれるのはめっぽう得意だ。
櫛を受け取るとき触れた手の冷たさに、改めて化粧師を見やる...
きや息の白さが、何かを頭の中で警鐘のように鳴らす。
二言三言、その唇がかたどったように見えた
が声は無い。川のどどの音が掻き消したのではないことはわか...
ふといつぞや、こんなことがあったと思い出す。ああ確かにあ...
たが、だがこんな癖があったとは露知らぬ。
あの時はまるで逢う魔が刻で、しかし今は違う。丑三ツでもな...
「叶うわけねえと」
言ったのはあんただろうと、思わずこぼれ告げた。若衆は怪訝...
そしてまた同じことが繰り返される。
何か、声ならぬ何かがそこに在る。そんな眼をするな。
ぶるりと己が方が震えた。冷えているのはあんたのほうだ、と...
た。ぼやぼやともやも白くなり始める、化粧師はそれを身にま...
もだ。
ゆっくり眼が合った。本当に、そんな眼をするなよと言いたい...
それとも冷えてもいないのか。
夜が明け始める。化粧師は、雨にも冬にも馴染んでいる。
どっどと、ごおごおと、何かを飲み込みかねない水音はする。...
濡れ始めていた。
その骨まで冷えようかという冬雨に、いともしっくりくる。頬...
好い。たまらなく好い。この寒い中でも、芯から冷えている体...
あろうとかまわんとまで思った。それが化生の類でもかまわぬ。
堤燈が狐火のように思えたのは、満更見当違いでもないのでは...
そういえば、昨夜の夢であんたは何と言った。今も何を言った...
美形でもなく、女のような色香も無い。だから、これは良くあ...
る。確かに本当に狂っている、と己に呟き思う。
こいつはつらいな、と思った。
ただ待ってんだ。この身からあんたが出て行くのを。
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
諦めたらそこで試合終了ですよ
ナンバリングミスってすみません…
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#title(オリジナル えせ時代劇風 遊郭の番頭×化粧師)
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前スレの続きです。オリジナル。遊郭の番頭さんと化粧師さん...
ことを知ってからの、それからの女将は素早かった。すぐ髪を...
客に小さく挨拶を済ませ、密かに後朝の別れを惜しむ(ふりの...
かに、だが若衆かむろの餓鬼まで叩き起こし、提灯を持たせた。
遊女に逃げられたのでは、見世の恥だ。面目丸つぶれだ。
暁七ツの鐘が鳴って間もない。明六ツ、大門が開きその先の、...
おいちらやってくるのは、まだ先だ。
東の空も白まず、外はしずかに冷え切っている。遣り手の女ど...
に駆ける。
涙雨はようやく霧雨、もやとなり、剥き出しの首や手に雨上が...
膨れ上がっている。吉原この苦界の大門をくぐり、堤燈の群れ...
たった一つの大門は、女は通さぬ。この色街ぐるりを取り囲む...
廓よ、と世に言われる。
しかし折りしも昨夜の大雨、夜陰に乗じて抜け出したとも限ら...
もなくみな承知している。足抜けは許さぬというのが、この街...
己は昨日の、あの若衆と一緒になった。不寝番をしていたくせ...
ところを引っ張り出した。名にひとつ銀の字がつくのでそう呼...
片手に飛んできた。
ばしゃばしゃと足音が散る。走れば冷たい泥がはね、掛けた蓑...
日本堤へ飛び出せば不意にその若衆が、兄い、狐火が来るぜと...
「狐火だと」
堤下の堀川(右へ下りると大川へ注ぐ)も荒れ狂っている。ど...
差す。
手元の堤燈灯りもぼやける朝もやのなか、真っ直ぐの川べりの...
て来るようだ。
揺らぎ揺らめき、薄ぼんやりと得体はようとして知れぬ。川面...
思わずかじかんだ手で懐の匕首を握り締めた。客の誰それが、...
中の狐の嫁入りを見ただとか口にしていたことがある。
おい丑三ツはとうに終いだぜ、呟く。
さらに狐だ、化かしにきやがったと騒ぐのを馬鹿言うなと一喝...
「朝っぱらからこんな処で、何の騒ぎだい」
徐々に近づいてくるそれに、素っ頓狂な声で化粧師の名を叫ん...
「聞いた声だと思ったら、旦那らじゃねえか」
がらころ、下駄の音も泥水のせいで冴えぬ。もやの中から不意...
けでもわかるほどに濡れている。
見た此方のほうがぞっとした。この染みる冷えの中まるで平然...
おぼろに白い。
堤燈は借りたんだがなと化粧師はぼやいた。まァいい処で逢っ...
「あんた、その蓑でも借してくんねえか」
「借りるったって、あんた、もう」
呆れたはずみで掠れた声で言った。藍染も黒々となるまでぐっ...
めかみにはりついた髪から、ついと雫が伝っている。芯まで濡...
商売道具の漆箱はと見ればいつもの袱紗ではなく、油紙と風呂...
らしい野郎だ。
「一雨降られた」
昨夜の雨を指すなら、それは一雨どころの騒ぎではない。夜半...
もや、細かな霧となったところだ。まるでとっぷり更けた丑三...
たとでもいうのか。
祝言の夜宴明けなのだと言う。それよか此方の騒ぎはどうした...
だ、さっぱり要領を得ない。かと言ってさて、どう話したもの...
らぴかり、靄を突いてなにやら光るものが見えた。頼りない堤...
確かな光を感じる。
口ごもる若衆を問い詰める化粧師を放って、堤燈を掲げそろそ...
の、その泥水はやはり思ったよりもずっと近くで猛り渦を巻い...
兄いどしたい、と慌て大声で若衆が問う。頭の出来は悪くない...
で、時折鬱陶しく思うこともある。
その葦の間から、引っかかっているものをやっとの思いですく...
った。泳ぎは不得手ではないが、しかし落ちれば自信は無い。
わいわいと、危ねえよと騒ぐやからの下へ上ってくれば、化粧...
「いったい何だってんだ」
まじまじと眺めている己に二人して問う。此方はと言えば、飛...
この男、よく寒さを口にせずにいられるものだ。
「いや、新造が」
しかし、その名を言いかけてすんでのところで口をつぐむ。や...
ら出入りの化粧師とはいえ、この男に言っていいものか。
「新造が、どうした」
化粧師の足元へ、ほたほたとしずくが伝って新たな染みを作っ...
の中、泥へ沈んですぐに消え行く。
無言で、提灯にかかげていたそれを放り投げると、化粧師は訝...
椿の油ののり具合もあって、うまくすれば暗い中でもぴかぴか...
若衆が盛大にくしゃみをした。鼻が冷えるのだろう、おお寒と...
しかし己は黙って垂れるしずくを見る。時折もやで明かりの具...
「間違いねぇ」
ややあって、化粧師はぽつりと呟いた。水の垂れる手でそれを...
「俺の櫛だ」
まさか、と続けるその押し殺した言葉に、察したようだと諦め...
なく、見覚えがあった。
この化粧師が細工して、あの振袖新造に手渡していた櫛だ。
名の壱字にちなんで、菊花の紋があしらってある。誰の目にも...
諦めと厄介のため息をもう一つついた。これはきっと、面倒な...
介ごとに巻き込まれるのはめっぽう得意だ。
櫛を受け取るとき触れた手の冷たさに、改めて化粧師を見やる...
きや息の白さが、何かを頭の中で警鐘のように鳴らす。
二言三言、その唇がかたどったように見えた
が声は無い。川のどどの音が掻き消したのではないことはわか...
ふといつぞや、こんなことがあったと思い出す。ああ確かにあ...
たが、だがこんな癖があったとは露知らぬ。
あの時はまるで逢う魔が刻で、しかし今は違う。丑三ツでもな...
「叶うわけねえと」
言ったのはあんただろうと、思わずこぼれ告げた。若衆は怪訝...
そしてまた同じことが繰り返される。
何か、声ならぬ何かがそこに在る。そんな眼をするな。
ぶるりと己が方が震えた。冷えているのはあんたのほうだ、と...
た。ぼやぼやともやも白くなり始める、化粧師はそれを身にま...
もだ。
ゆっくり眼が合った。本当に、そんな眼をするなよと言いたい...
それとも冷えてもいないのか。
夜が明け始める。化粧師は、雨にも冬にも馴染んでいる。
どっどと、ごおごおと、何かを飲み込みかねない水音はする。...
濡れ始めていた。
その骨まで冷えようかという冬雨に、いともしっくりくる。頬...
好い。たまらなく好い。この寒い中でも、芯から冷えている体...
あろうとかまわんとまで思った。それが化生の類でもかまわぬ。
堤燈が狐火のように思えたのは、満更見当違いでもないのでは...
そういえば、昨夜の夢であんたは何と言った。今も何を言った...
美形でもなく、女のような色香も無い。だから、これは良くあ...
る。確かに本当に狂っている、と己に呟き思う。
こいつはつらいな、と思った。
ただ待ってんだ。この身からあんたが出て行くのを。
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