ページ内容へ
ナビゲーションへ
当サイトをご覧いただくにはブラウザの設定で
JavaScriptを有効に設定
する必要がございます。
ページの一覧
最終更新一覧
ヘルプ
ホーム
使い方
文字サイズ:小
文字サイズ:中
文字サイズ:大
1つ前のページに戻る
4-498
をテンプレートにして作成
開始行:
#title(八丁堀×カザリ職人) [#aeed1aa6]
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
| ハ丁堀×カザリ職人...
| 行楽の秋だモナ
|
____________ \ / ̄ ̄ ̄...
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| なんのこ...
| | | | ...
| | |> 再生. | | ...
| | | | ∧...
| | | | ピッ (´...
| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(...
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
甘いものが食べたくなったので作りました。
※1/9・2/9のエピは本編からです。 旦那…
どこまでも広がる日本晴れの空。目を落とせば整然と並んだ同...
ヒデは瓦を並べる手を止め、首から下げた手ぬぐいで汗を拭いた...
考えれば、日の高い時刻に屋根に上がったことはほとんどない...
なかなかに気分が良いが、残念ながらあまりのんびりもしてい...
「お前ェ、高えところ得意だろ」
なにも考えてなさそうな脳天気な声が思い出され、ヒデの表情が...
どうして自分が高所に慣れているのかといったら、理由は一つ...
自宅の屋根を修理してくれ、と子供に使いを頼むように言われ...
都合のいい使いっ走り扱いに腹も立ったが、それはまだいい。
自分に家を、家族を見せることがどういうことなのか、おそら...
先ほどからひそひそとこちらを伺う影がふたつ。自分にこんな...
玄関先で挨拶をしたときからどうにもやりにくかった。ヒラ同...
凛とした気品を感じる。丁寧なねぎらいの言葉をヒデにかけつつ...
疑いもなく意識した振る舞い。典型的な武家の女性である。
庭から屋根に上がったため邸内はわからないが、使っている瓦...
やはり自分とは住む世界が違うのだと思い知らされる。あの昼...
ヒデは知らず唇を噛んだ。ヤケのように壊れていた瓦を下の中庭...
もちろん人がいないことをわかった上でのことだが、乾いた音...
そ知らぬ振りで作業を続けながら、子供じみた自分の行動に却...
「馬鹿野郎…」
小さな呟きは誰に聞かれることもなく風に消えた。
「なあ…一晩泊めてくれねえか」
軽装の部屋着で突然やってきて、おもむろにそんなことを切り...
しかも自分は今まさに布団を敷いていたところであるわけで。
聞けば身に覚えのない面倒に巻き込まれて家を追い出されたと...
「家ン中のことくらいてめえでケリつけたらどうだよ!」
言葉の最後が小さくなるのを誤魔化すように寝っ転がる。傍に...
言い訳しているうちに、聞きつけた加/代までが面白がって押し...
職人の貴重な睡眠時間を大事にしやがれと言いたいのを堪え、ヒ...
いい加減で勝手なところがあるクセに、自分がいいと言わなけ...
妙なところで律儀というか、小心者というか。
「まったく冷てえ奴らだぜ」
捨て台詞と吐いてモンドが出て行く。ぶつぶつ悪態をつきながら...
再び静けさが戻る。寝静まった長屋には虫の声だけが静かに響...
なんでも、(本人曰く)根も葉もないことが書かれた投げ文が...
どうせどこかの女の悪戯だろうが、あの家族がそんな柔軟に考...
あれで結構、女に人気はある。日和見主義を通しているようで...
有事のように洒落た台詞の一つも言えないくせに。女はその辺...
「……」
ヒデは掛け布団を跳ね上げ、障子を開けて外へ駆け出た。静まり...
モンドの姿はもう見つけられなかった。
「…で、矢追屋でってのは確実なんだろうな」
「ああ。出入りの連中とツボ振り師から聞いたんだ、間違いね...
ある雨の日。中/村家の裏手、風呂場の格子窓越しの会話。闇で...
掴んだヒデは、すぐさまモンドの家へ走っていた。
きっかけは、馴染み客の女将がすっかりやつれ粗末な着物でい...
聞いてみれば賭博に入れ込んだ亭主が、ヒデから買った簪までも...
喧嘩っ早いが気のいい男だったことも知っているヒデは、モンドか...
「じゃ、あとはあんたの仕事だぜ。しっかりやれよ」
「おい待てよ。お前ェずぶ濡れじゃねえか。今な、カカア共は...
家カラなんだ。上がってけ。なんなら風呂使うか?」
「……帰る」
ヒデはそっぽを向いたまま雨の中へ飛び出した。たちまち強い雨...
「何を拗ねてやがんだあいつは」
ぽかんと呟いたモンドの言葉も、雨音にかき消された。
走り出したもののあまりの降りの強さに、ヒデはやむなく途中の...
賽銭箱の横に座り込んでやり過ごそうとするも、吹きつける雨...
すっかり水を吸った半纏を蓑代わりに被り、駆け出そうと構え...
「よう」
ただ傘を持って立っているだけの姿も憎らしいほど決まってい...
「入ってくか?」
この豪雨にも涼しい顔でさらりと問われ、ヒデはなんとも惨めな...
「ははは。やせ我慢しねえで風呂借りてくりゃよかったじゃね...
ヒデの内心の葛藤を見通しているくせに、有事は人の悪い笑いを...
むっつりと黙りこくったまま髪を拭いているヒデに苦笑しつつ、...
「あの野郎はなんにもわかっちゃいねえんだよ」
「ああ、そうだな」
渡された湯呑を両手で持ち、ヒデはぼんやりと畳を眺めている。
痛々しさを感じつつも顔には出さずに、有事はばさりと自分の...
「ほれ。また風邪引くぞ」
有難いがいちいち癇に障る物言いに、大きな目が睨みつけてき...
それからしばらく日が経って、モンドは地方への出張を申し付け...
仕事といっても南町からの書状を届け、代わりに先方からも受...
供の者もつかない気楽な(裏を返せば瑣末な)役目だという。
モンドは自分の不在中、裏の仕事には手を出すなとヒデにしっかり...
そのモンドからの飛脚が来たのは数日後。
「…で、何だそりゃ」
「わからねえよ。とにかく来いとしか書いてねえ」
届いたのは、ヒデにまで来いとだけ書かれた簡潔な手紙と道中の...
とりあえず旅支度を整えたヒデは、わけもわからないまま有事の...
「めずらしい…銭まで包んであらあ」
「そんじゃお前ェ、行くしかねえじゃねえか」
「何か裏の仕事に絡んでるのかもしれねえ。俺だけで大丈夫な...
「やばけりゃそう書くだろうよ。とにかく早いほうがいいだろ」
有事はまだ納得いかなそうなヒデを急かして出立を促す。ヒデは...
角を曲がったのを確認すると、有事は袖からそっともう一通の...
ヒデより一日早く届いたものだ。
『二、三日のあいだヒデが帰らないが心配するな。追ってくるな...
そんな内容に自然と顔が緩む。ようは「邪魔するな」というわ...
「やれやれ。口止め料は高くつくぜ…?」
顔に出さないようにしながらも、にやにや笑いが収まらない。
(さて、帰ってきたらヒデにどう仕掛けてやろうか…)
沸き起こる悪戯心を隠しつつ、人の悪い三味腺屋は手際よく仕...
モンドの指定した宿は小奇麗な造りで湯治場も兼ねていた。
客留め女が愛想良く湯を張った盥で足を洗う。歩き通しの足に...
ほっと一息ついたところにのっそりと馬面が覗いた。
「よう。来たか」
「ハ丁堀。どうしたってんだよ。何かあったのか」
「まあそう慌てるな。いたって平和だ、何も起きちゃいねえ」
「あんた、お役目は」
「そっちは昼には終わった。明日ここを発つことになってるか...
「…?」
あからさまに不審そうな顔のヒデに、モンドはやりにくそうにぽり...
「俺を騙したのか」
ヒデの声が一段低くなる。そのまま草鞋を結び直して引き返しそ...
「騙したたあ何だ。折角俺が身銭切ってお膳立てしてやったの...
「それがおかしいってんだよ。あんたが訳もなく銭出すわけね...
「ああもう煩え野郎だな。日頃の労をねぎらってだなあ――」
「じゃあ何で俺だけなんだよ。加/代や三味腺屋は」
「…お前ェ、どうしても言わせてえのか」
急にまじめな顔になるモンド。ヒデはきょとんとしたまま数秒間そ...
やがて目が大きく見開かれ、かーっと顔が紅潮する。
「まあ、部屋は二階の一番奥だからよ。落ち着いたら上がって...
しばらくして複雑な表情で入ってきたヒデは、動揺を隠すように...
「俺ァまた裏のほうで何かを探れって話なのかと思って来たっ...
「あ?ああそうじゃねえ。悪かったな煩わせて」
「まあ、違うってんなら…いいけどよ」
モンドの珍しく神妙な態度に口ごもる。どうにも調子が狂ってう...
「茶、飲むか」
「ああ」
しゅんしゅんと噴き出す蒸気の音を聞いていると、いつも長屋...
「ここの露天はなかなかいいぞ。お役目じゃなしに来てえとこ...
機嫌よく話すモンドに相槌を返しながら、そのときは妻と姑と一...
いかな昼行灯でも流石にお上のお役目だけあって、料理もなか...
風呂も夜通し使えると聞いていたヒデは、夜も更けた頃に床を抜...
月夜に浮かび上がる露天風呂へいそいそと身を沈める。
子の刻を過ぎた頃だろうか。思ったとおり誰もいない。広い湯...
岩に背を預けた。染み入るような湯の温かさに大きく息をつく。
長時間精密な作業をしていると、身体のあちこちがどうしても...
まめに銭湯に通ってはいるが、やはりこんな本格的な湯に(で...
しかし自分が暇だったからいいようなものの…と考えて、ヒデは...
茶飲み話でモンドに話していたことを思い出した。
「覚えてたのかよ…あのおっさん」
と、後ろで聞きなれた足音がした。
「なんだヒデ、お前ェも来てたのか。考えるこたあ同じだな」
ヒデは今の独り言が聞かれなかったかとひやりとしたが、モンドは...
「月見酒としゃれ込みてえところだが、まあこの時分じゃ頼め...
「あれだけ飲んだだろ。あんたも強いけど限度知らねえな」
「あー? ここに来てまで遠慮してどうすんだ」
「酒臭え息でお役所に戻るわけにもいかねえだろ、まったく」
軽口を交え、どうということのない話がゆったりと続く。
夕食のときも今もヒデは穏やかに笑っている。モンドは内心ほっと...
そして、すっかり寛いで月を眺めるヒデをちらりと見やった。
行動は早かった。
まったく無防備なヒデの腰に、するりと手が回った。
「ばか!何だよこんなとこで…!」
張り上げた自分の声が意外に反響して、ヒデが一瞬身を竦ませる...
すっぽりヒデを閉じ込めた。
「おい!」
「んー、いい月じゃねえか。見事な満月だぜ」
白々しいそんな台詞とともに、モンドの右手が静かに太腿に触れ...
震える声がそれでも気丈に抗議した。
「だっ、誰か入ってきたら…」
「心配すんな。そんときゃすぐ離れる。それにこの夜中だ、そ...
そう言って、さらに耳元で意地悪く付け加えた。
「誰も来なきゃいいんだな?」
真っ赤になって否定する前に、モンドは行為を再開した。引き締...
すべらかに手に馴染む。
「んふ…」
甘い鼻声が漏れて、ヒデは慌てて口をつぐんだ。背後で笑ってい...
決してヒデを振り向かせないまま腰を撫で上げる。
顔を見られないもどかしさが倒錯した快感をなおさら煽った。
触れられる手がいつもよりずっと熱いのは湯のせいだろうか。...
じっくりと重ねられる愛撫がいつも以上に性感を刺激する。
「あぁ……っ」
ヒデが喉を反らせ、モンドの肩に全身で寄りかかった。モンドは脇腹...
空いた手でそろりと陰茎を握りこんだ。
「……!」
咄嗟にヒデの口を塞ぐ。突然のことに混乱してもがくが、ゆるや...
おとなしく身を委ねてくる。熱にうかされてされるがままに身...
モンドも身体の奥底に火がつくのを感じた。
モンドの指の動きに合わせてヒデの腰がはしたなく蠢き湯が波立つ...
いやいやと頭を振る痩身を抱え、モンドは直前でヒデを岩場へ引き...
「せっかくの湯を汚すわけにいかねえからな」
掠れた声に答えるより早く、ヒデは細い声を上げて昇りつめてい...
「なんだ、のぼせたか?」
モンドはどうにか浴衣を羽織らせ、足元のおぼつかないヒデを部屋...
敷かれた布団に横たえると、潤んでぼうっとした目で見上げて...
わざと明るい口調で誤魔化すが、ヒデは無言でモンドの襟を掴んだ...
考えれば職権濫用までしてヒデを呼び寄せ、こうして宿も取った...
役人気質がこんなところに出たかと苦笑して、モンドは改めてヒデ...
襟からヒデの指がすっと外れる。離れようとしたその手を掴み、...
その勢いのまま顔を寄せてかぶりつくように接吻けた。
湯に充分温められた身体は少々過敏になっているのか、過剰な...
酒や薬によるものでないということが、よりモンドを興奮させた。
しっかり準備しておいた椿油を手に浴衣の裾を捲くると、湯上...
惜しげもなくすべて曝される。それを隠そうとする素振りも見...
普段を知っているだけにひどく婀娜めいて眩暈がしそうだ。
膝を立たせて促せば、素直に迎える姿勢をとる。抱えた太腿の...
モンドは息を詰めて押し入った。
「ひゃ……!」
こんなに乱れていても、漏れる声は密やかに小さい。ゆっくり...
身体の下のヒデは、呼吸を必死に整えようと不規則な息遣いでし...
静かに、静かに、赤ん坊をあやすように腰を動かした。全身で...
互いを貪るように唇が絡み合う。
熱塊を深く咥えさせたまま額や頬をやさしく啄ばんでやれば、...
「あつい…」
「外か?それとも…中がか?」
モンドの問いにヒデは一時動きを止めて考え、恥ずかしげに眉をし...
「どっちも…だ」
「そうか」
もはやモンドにも余裕はない。腰を荒々しく弾ませて深く深く繋...
たっぷり使った油とそれ以外のものの僅かな水音が聞こえる。
涙を滲ませて喘ぐヒデが限界を訴えて啼いた。出て行くのは許さ...
爆発のような強烈な絶頂感にモンドの目の前を光が飛んだ。
「ほれ、早いとこ始末しねえと。えれえ目に遭うのはお前ェだ...
ぐったりと伏せたままのヒデにのんびりと声がかかる。
情熱的な行為のあとに何とも現実的な一言だが、うまく起き上...
布団の上でだるそうに伸びたままだ。
「仕方ねえ」
モンドは替えの浴衣でさっさとヒデを包み、抱え上げ――ようとして...
「…またギックリ腰になるぜ」
「うるせえ。ほれ立て」
腰の後ろを支え、何とか歩かせて部屋を出た。
「あれ、厠じゃねえのか」
「色気のねえこと言うんじゃねえよ」
モンドの足は躊躇いもなく風呂へ向かっている。
「何のために一晩中使えると思ってやがんだ」
「…たぶんその理由じゃないと思うけどな…」
そしてやはり都合よく誰もいない風呂で、モンドはゆっくりじっ...
あまりの馬鹿馬鹿しさに月さえも雲に隠れたらしい。
____________
| __________ |
| | | |
| | □ 停止 | |
| | | | ∧...
| | | | ピッ (...
| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| ...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) ...
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
骨休めといえば今も昔も温泉です。そして夜の御食事です。
_| ̄|○ ハハハ
#comment
終了行:
#title(八丁堀×カザリ職人) [#aeed1aa6]
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
| ハ丁堀×カザリ職人...
| 行楽の秋だモナ
|
____________ \ / ̄ ̄ ̄...
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| なんのこ...
| | | | ...
| | |> 再生. | | ...
| | | | ∧...
| | | | ピッ (´...
| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(...
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
甘いものが食べたくなったので作りました。
※1/9・2/9のエピは本編からです。 旦那…
どこまでも広がる日本晴れの空。目を落とせば整然と並んだ同...
ヒデは瓦を並べる手を止め、首から下げた手ぬぐいで汗を拭いた...
考えれば、日の高い時刻に屋根に上がったことはほとんどない...
なかなかに気分が良いが、残念ながらあまりのんびりもしてい...
「お前ェ、高えところ得意だろ」
なにも考えてなさそうな脳天気な声が思い出され、ヒデの表情が...
どうして自分が高所に慣れているのかといったら、理由は一つ...
自宅の屋根を修理してくれ、と子供に使いを頼むように言われ...
都合のいい使いっ走り扱いに腹も立ったが、それはまだいい。
自分に家を、家族を見せることがどういうことなのか、おそら...
先ほどからひそひそとこちらを伺う影がふたつ。自分にこんな...
玄関先で挨拶をしたときからどうにもやりにくかった。ヒラ同...
凛とした気品を感じる。丁寧なねぎらいの言葉をヒデにかけつつ...
疑いもなく意識した振る舞い。典型的な武家の女性である。
庭から屋根に上がったため邸内はわからないが、使っている瓦...
やはり自分とは住む世界が違うのだと思い知らされる。あの昼...
ヒデは知らず唇を噛んだ。ヤケのように壊れていた瓦を下の中庭...
もちろん人がいないことをわかった上でのことだが、乾いた音...
そ知らぬ振りで作業を続けながら、子供じみた自分の行動に却...
「馬鹿野郎…」
小さな呟きは誰に聞かれることもなく風に消えた。
「なあ…一晩泊めてくれねえか」
軽装の部屋着で突然やってきて、おもむろにそんなことを切り...
しかも自分は今まさに布団を敷いていたところであるわけで。
聞けば身に覚えのない面倒に巻き込まれて家を追い出されたと...
「家ン中のことくらいてめえでケリつけたらどうだよ!」
言葉の最後が小さくなるのを誤魔化すように寝っ転がる。傍に...
言い訳しているうちに、聞きつけた加/代までが面白がって押し...
職人の貴重な睡眠時間を大事にしやがれと言いたいのを堪え、ヒ...
いい加減で勝手なところがあるクセに、自分がいいと言わなけ...
妙なところで律儀というか、小心者というか。
「まったく冷てえ奴らだぜ」
捨て台詞と吐いてモンドが出て行く。ぶつぶつ悪態をつきながら...
再び静けさが戻る。寝静まった長屋には虫の声だけが静かに響...
なんでも、(本人曰く)根も葉もないことが書かれた投げ文が...
どうせどこかの女の悪戯だろうが、あの家族がそんな柔軟に考...
あれで結構、女に人気はある。日和見主義を通しているようで...
有事のように洒落た台詞の一つも言えないくせに。女はその辺...
「……」
ヒデは掛け布団を跳ね上げ、障子を開けて外へ駆け出た。静まり...
モンドの姿はもう見つけられなかった。
「…で、矢追屋でってのは確実なんだろうな」
「ああ。出入りの連中とツボ振り師から聞いたんだ、間違いね...
ある雨の日。中/村家の裏手、風呂場の格子窓越しの会話。闇で...
掴んだヒデは、すぐさまモンドの家へ走っていた。
きっかけは、馴染み客の女将がすっかりやつれ粗末な着物でい...
聞いてみれば賭博に入れ込んだ亭主が、ヒデから買った簪までも...
喧嘩っ早いが気のいい男だったことも知っているヒデは、モンドか...
「じゃ、あとはあんたの仕事だぜ。しっかりやれよ」
「おい待てよ。お前ェずぶ濡れじゃねえか。今な、カカア共は...
家カラなんだ。上がってけ。なんなら風呂使うか?」
「……帰る」
ヒデはそっぽを向いたまま雨の中へ飛び出した。たちまち強い雨...
「何を拗ねてやがんだあいつは」
ぽかんと呟いたモンドの言葉も、雨音にかき消された。
走り出したもののあまりの降りの強さに、ヒデはやむなく途中の...
賽銭箱の横に座り込んでやり過ごそうとするも、吹きつける雨...
すっかり水を吸った半纏を蓑代わりに被り、駆け出そうと構え...
「よう」
ただ傘を持って立っているだけの姿も憎らしいほど決まってい...
「入ってくか?」
この豪雨にも涼しい顔でさらりと問われ、ヒデはなんとも惨めな...
「ははは。やせ我慢しねえで風呂借りてくりゃよかったじゃね...
ヒデの内心の葛藤を見通しているくせに、有事は人の悪い笑いを...
むっつりと黙りこくったまま髪を拭いているヒデに苦笑しつつ、...
「あの野郎はなんにもわかっちゃいねえんだよ」
「ああ、そうだな」
渡された湯呑を両手で持ち、ヒデはぼんやりと畳を眺めている。
痛々しさを感じつつも顔には出さずに、有事はばさりと自分の...
「ほれ。また風邪引くぞ」
有難いがいちいち癇に障る物言いに、大きな目が睨みつけてき...
それからしばらく日が経って、モンドは地方への出張を申し付け...
仕事といっても南町からの書状を届け、代わりに先方からも受...
供の者もつかない気楽な(裏を返せば瑣末な)役目だという。
モンドは自分の不在中、裏の仕事には手を出すなとヒデにしっかり...
そのモンドからの飛脚が来たのは数日後。
「…で、何だそりゃ」
「わからねえよ。とにかく来いとしか書いてねえ」
届いたのは、ヒデにまで来いとだけ書かれた簡潔な手紙と道中の...
とりあえず旅支度を整えたヒデは、わけもわからないまま有事の...
「めずらしい…銭まで包んであらあ」
「そんじゃお前ェ、行くしかねえじゃねえか」
「何か裏の仕事に絡んでるのかもしれねえ。俺だけで大丈夫な...
「やばけりゃそう書くだろうよ。とにかく早いほうがいいだろ」
有事はまだ納得いかなそうなヒデを急かして出立を促す。ヒデは...
角を曲がったのを確認すると、有事は袖からそっともう一通の...
ヒデより一日早く届いたものだ。
『二、三日のあいだヒデが帰らないが心配するな。追ってくるな...
そんな内容に自然と顔が緩む。ようは「邪魔するな」というわ...
「やれやれ。口止め料は高くつくぜ…?」
顔に出さないようにしながらも、にやにや笑いが収まらない。
(さて、帰ってきたらヒデにどう仕掛けてやろうか…)
沸き起こる悪戯心を隠しつつ、人の悪い三味腺屋は手際よく仕...
モンドの指定した宿は小奇麗な造りで湯治場も兼ねていた。
客留め女が愛想良く湯を張った盥で足を洗う。歩き通しの足に...
ほっと一息ついたところにのっそりと馬面が覗いた。
「よう。来たか」
「ハ丁堀。どうしたってんだよ。何かあったのか」
「まあそう慌てるな。いたって平和だ、何も起きちゃいねえ」
「あんた、お役目は」
「そっちは昼には終わった。明日ここを発つことになってるか...
「…?」
あからさまに不審そうな顔のヒデに、モンドはやりにくそうにぽり...
「俺を騙したのか」
ヒデの声が一段低くなる。そのまま草鞋を結び直して引き返しそ...
「騙したたあ何だ。折角俺が身銭切ってお膳立てしてやったの...
「それがおかしいってんだよ。あんたが訳もなく銭出すわけね...
「ああもう煩え野郎だな。日頃の労をねぎらってだなあ――」
「じゃあ何で俺だけなんだよ。加/代や三味腺屋は」
「…お前ェ、どうしても言わせてえのか」
急にまじめな顔になるモンド。ヒデはきょとんとしたまま数秒間そ...
やがて目が大きく見開かれ、かーっと顔が紅潮する。
「まあ、部屋は二階の一番奥だからよ。落ち着いたら上がって...
しばらくして複雑な表情で入ってきたヒデは、動揺を隠すように...
「俺ァまた裏のほうで何かを探れって話なのかと思って来たっ...
「あ?ああそうじゃねえ。悪かったな煩わせて」
「まあ、違うってんなら…いいけどよ」
モンドの珍しく神妙な態度に口ごもる。どうにも調子が狂ってう...
「茶、飲むか」
「ああ」
しゅんしゅんと噴き出す蒸気の音を聞いていると、いつも長屋...
「ここの露天はなかなかいいぞ。お役目じゃなしに来てえとこ...
機嫌よく話すモンドに相槌を返しながら、そのときは妻と姑と一...
いかな昼行灯でも流石にお上のお役目だけあって、料理もなか...
風呂も夜通し使えると聞いていたヒデは、夜も更けた頃に床を抜...
月夜に浮かび上がる露天風呂へいそいそと身を沈める。
子の刻を過ぎた頃だろうか。思ったとおり誰もいない。広い湯...
岩に背を預けた。染み入るような湯の温かさに大きく息をつく。
長時間精密な作業をしていると、身体のあちこちがどうしても...
まめに銭湯に通ってはいるが、やはりこんな本格的な湯に(で...
しかし自分が暇だったからいいようなものの…と考えて、ヒデは...
茶飲み話でモンドに話していたことを思い出した。
「覚えてたのかよ…あのおっさん」
と、後ろで聞きなれた足音がした。
「なんだヒデ、お前ェも来てたのか。考えるこたあ同じだな」
ヒデは今の独り言が聞かれなかったかとひやりとしたが、モンドは...
「月見酒としゃれ込みてえところだが、まあこの時分じゃ頼め...
「あれだけ飲んだだろ。あんたも強いけど限度知らねえな」
「あー? ここに来てまで遠慮してどうすんだ」
「酒臭え息でお役所に戻るわけにもいかねえだろ、まったく」
軽口を交え、どうということのない話がゆったりと続く。
夕食のときも今もヒデは穏やかに笑っている。モンドは内心ほっと...
そして、すっかり寛いで月を眺めるヒデをちらりと見やった。
行動は早かった。
まったく無防備なヒデの腰に、するりと手が回った。
「ばか!何だよこんなとこで…!」
張り上げた自分の声が意外に反響して、ヒデが一瞬身を竦ませる...
すっぽりヒデを閉じ込めた。
「おい!」
「んー、いい月じゃねえか。見事な満月だぜ」
白々しいそんな台詞とともに、モンドの右手が静かに太腿に触れ...
震える声がそれでも気丈に抗議した。
「だっ、誰か入ってきたら…」
「心配すんな。そんときゃすぐ離れる。それにこの夜中だ、そ...
そう言って、さらに耳元で意地悪く付け加えた。
「誰も来なきゃいいんだな?」
真っ赤になって否定する前に、モンドは行為を再開した。引き締...
すべらかに手に馴染む。
「んふ…」
甘い鼻声が漏れて、ヒデは慌てて口をつぐんだ。背後で笑ってい...
決してヒデを振り向かせないまま腰を撫で上げる。
顔を見られないもどかしさが倒錯した快感をなおさら煽った。
触れられる手がいつもよりずっと熱いのは湯のせいだろうか。...
じっくりと重ねられる愛撫がいつも以上に性感を刺激する。
「あぁ……っ」
ヒデが喉を反らせ、モンドの肩に全身で寄りかかった。モンドは脇腹...
空いた手でそろりと陰茎を握りこんだ。
「……!」
咄嗟にヒデの口を塞ぐ。突然のことに混乱してもがくが、ゆるや...
おとなしく身を委ねてくる。熱にうかされてされるがままに身...
モンドも身体の奥底に火がつくのを感じた。
モンドの指の動きに合わせてヒデの腰がはしたなく蠢き湯が波立つ...
いやいやと頭を振る痩身を抱え、モンドは直前でヒデを岩場へ引き...
「せっかくの湯を汚すわけにいかねえからな」
掠れた声に答えるより早く、ヒデは細い声を上げて昇りつめてい...
「なんだ、のぼせたか?」
モンドはどうにか浴衣を羽織らせ、足元のおぼつかないヒデを部屋...
敷かれた布団に横たえると、潤んでぼうっとした目で見上げて...
わざと明るい口調で誤魔化すが、ヒデは無言でモンドの襟を掴んだ...
考えれば職権濫用までしてヒデを呼び寄せ、こうして宿も取った...
役人気質がこんなところに出たかと苦笑して、モンドは改めてヒデ...
襟からヒデの指がすっと外れる。離れようとしたその手を掴み、...
その勢いのまま顔を寄せてかぶりつくように接吻けた。
湯に充分温められた身体は少々過敏になっているのか、過剰な...
酒や薬によるものでないということが、よりモンドを興奮させた。
しっかり準備しておいた椿油を手に浴衣の裾を捲くると、湯上...
惜しげもなくすべて曝される。それを隠そうとする素振りも見...
普段を知っているだけにひどく婀娜めいて眩暈がしそうだ。
膝を立たせて促せば、素直に迎える姿勢をとる。抱えた太腿の...
モンドは息を詰めて押し入った。
「ひゃ……!」
こんなに乱れていても、漏れる声は密やかに小さい。ゆっくり...
身体の下のヒデは、呼吸を必死に整えようと不規則な息遣いでし...
静かに、静かに、赤ん坊をあやすように腰を動かした。全身で...
互いを貪るように唇が絡み合う。
熱塊を深く咥えさせたまま額や頬をやさしく啄ばんでやれば、...
「あつい…」
「外か?それとも…中がか?」
モンドの問いにヒデは一時動きを止めて考え、恥ずかしげに眉をし...
「どっちも…だ」
「そうか」
もはやモンドにも余裕はない。腰を荒々しく弾ませて深く深く繋...
たっぷり使った油とそれ以外のものの僅かな水音が聞こえる。
涙を滲ませて喘ぐヒデが限界を訴えて啼いた。出て行くのは許さ...
爆発のような強烈な絶頂感にモンドの目の前を光が飛んだ。
「ほれ、早いとこ始末しねえと。えれえ目に遭うのはお前ェだ...
ぐったりと伏せたままのヒデにのんびりと声がかかる。
情熱的な行為のあとに何とも現実的な一言だが、うまく起き上...
布団の上でだるそうに伸びたままだ。
「仕方ねえ」
モンドは替えの浴衣でさっさとヒデを包み、抱え上げ――ようとして...
「…またギックリ腰になるぜ」
「うるせえ。ほれ立て」
腰の後ろを支え、何とか歩かせて部屋を出た。
「あれ、厠じゃねえのか」
「色気のねえこと言うんじゃねえよ」
モンドの足は躊躇いもなく風呂へ向かっている。
「何のために一晩中使えると思ってやがんだ」
「…たぶんその理由じゃないと思うけどな…」
そしてやはり都合よく誰もいない風呂で、モンドはゆっくりじっ...
あまりの馬鹿馬鹿しさに月さえも雲に隠れたらしい。
____________
| __________ |
| | | |
| | □ 停止 | |
| | | | ∧...
| | | | ピッ (...
| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| ...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) ...
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
骨休めといえば今も昔も温泉です。そして夜の御食事です。
_| ̄|○ ハハハ
#comment
ページ名:
ページ新規作成
新しいページはこちらから投稿できます。
作品一覧
シリーズものインデックス3
シリーズものインデックス2
シリーズものインデックス
第71巻
第70巻
第69巻
第68巻
第67巻
第66巻
第65巻
第64巻
第63巻
第62巻
第61巻
第60巻
第59巻
第58巻
第57巻
第56巻
第55巻
第54巻
第53巻
第52巻
第51巻
第50巻
第49巻
第48巻
第47巻
第46巻
第45巻
第44巻
第43巻
第42巻
第41巻
第40巻
第39巻
第38巻
第37巻
第36巻
第35巻
第34巻
第33巻
第32巻
第31巻
第30巻
第29巻
第28巻
第27巻
第26巻
第25巻
第24巻
第23巻
第22巻
第21巻
第20巻
第19巻
第18巻
第17巻
第16巻
第15巻
第14巻
第13巻
第12巻
第11巻
第10巻
第9巻
第8巻
第7巻
第6巻
第5巻
第4巻
第3.1巻
第3巻
第2巻
第1巻
ページ新規作成: