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#title(スンオサ) [#jc9e662c]
決戦の次の日、鈴木さんの奥さんが学校にやって来た。
鈴木さんは休み中に溜まった仕事に追われて当分休めそうにな...
奥さんは「始ちゃんがみんなによろしくって。皆、本当にあり...
と言って、お菓子を沢山持ってきてくれた。
みんな「始ちゃんが…」と言いながら笑いを堪えていたけれど、
お菓子を差し出されるとすぐにそれに飛びついていた。
寸心はまたサボって屋上に居たからここには居なかった。居な...
そして僕たちは3泊4日の沖縄旅行に飛び立ったのだった。
「寸心、鈴木さんにお土産買った?」
「…買ってねーよ。」
屍図メンバーは僕も含め全員鈴木さんにお土産を買っていた。
沖縄旅行に来れたのも、鈴木さんのおかげだし。
俺達の夏休みが楽しかったのも、鈴木さんのおかげだったから。
沖縄旅行から帰っても、鈴木さんはしばらく来なかった。
鈴木さんへのお土産を自宅へ持っていくかどうか話をしている...
窓際で座って本を読んでいた寸心が口を開いた。
「いいんだよ。もう。」
山舌が「なにが~?」と気の抜けた声で訊ねると、めんどくさ...
「捨てとけよ」と言い残して去っていった。
自宅まで届けるのはやめておこうか。腐るものは1つくらいだ...
しかし…鈴木さん早く来ないかな。寸心がサミシクテシンジャウ...
そして一ヶ月が経った頃、鈴木さんはようやくやってきた。
ドアを叩く音に、いつもは無反応な寸心の肩が揺れたので、僕...
「やっと休みが取れたんだ!みんなに改めてお礼をしたくて…」
屍図の皆は大騒ぎ。各々鈴木さんの周りをグルグル回りながら...
なんだか異臭のするものもあったけど、まあおかしな事になっ...
「お久しぶりです鈴木さん。まあどうぞ。」
有無を言わさずやたら対面距離の近いイスに鈴木さんを座らせ...
鈴木さんは寸心の方を見ると、笑顔全開になった。
寸心は本に目を向けたまま顔をあげていないから、その笑顔は...
「僕らずっと待ってたんですよ?もう来てくれないのかと思い...
「あっ…!ごめん!溜まってた仕事の整理するのに時間かかっち...
休日も返上で、なかなか来れなくて…僕も…すごく、みんなに逢...
メンバーみんなにホッと笑顔が零れる。
寸心だけじゃない。みんな、なんだか鈴木さんの事が好きだか...
こんな大人も居るんだと思うと、世の中、悪くないよね。
「はい。これ、僕からのお土産です。」
「あっあぁっこれ、シーサー?ありがとう!沖縄、楽しかった...
「ええ。残念ながら水着ギャルとめんそ~れはできませんでし...
鈴木さんはありふれたシーサーの置物をかわいいねぇとか良い...
「これ、こっちが鈴木さんでこっちが寸心です」
シーサーは2つで1つなんですよ。と説明すると「寸心君!こ...
寸心はその瞬間席を立ち、足早に出て行ってしまった。
「あれ…どうしたの?寸心君…」
さっきまでちぎれんばかりにしっぽを振っていた鈴木さんが、...
「あの子は手間がかかりますからぁ。」
山舌が知ったような口を聞く。
「久しぶりで、どうしていいかわからないだけですよ。寸心は...
ジッと鈴木さんの目を見れば、ハッとしたような顔をした。
「僕…行ってくるよ。 あっこれ、みんなありがとう!!大事に...
よかったらみんなで飲んでね!…それと…また、ここに来てもい...
「「「「いいともーーー!!」」」」「もちろん」「待ってま...
鈴木さんは「ありがとう!今度は動物園に行こう!」と言いな...
両手にお土産を抱えて軽やかに走り去っていった。山舌が「動...
だけどポカリ貰ったからまあいいか。
さて、ここからは二人きりの方がいいだろうから、僕はポカリ...
******************************************** [#abb3f8cd]
「寸心くーーん!」
寸心は鈴木との特訓で使った木の上に居た。
鈴木は学校を出てからまっすぐここに向かった。寸心は此処に...
「僕も登ってもいいかな?」
寸心はしばらく黙っていたが、「登れるもんならな。」と、木...
一緒にポケットから軍手を取り出し落とす。
寸心もまた、鈴木がここを探し当てるだろうと期待していたの...
一ヶ月ぶりの木登りに鈴木は”スルスル”とは言わないが、何度...
最後は寸心に引っ張りあげられつつようやく登り切る。鈴木は...
慌てて逆サイドの伸びている枝に手を伸ばし、それでバランス...
そして寸心に振り向くと、一瞬の後、二人に笑顔が零れた。
「ずっと来れなくてごめんね。お礼を言いたかったんだ。」
「いいよ、別に。…」
鈴木はこの夏の特訓がどれだけ有り難かったか、あの後娘さん...
その身振り手振りでバランスを崩した鈴木は反射的に寸心に抱...
そしてしまった、とすぐに手を離し、恐る恐る寸心を見た。
その鈴木の様子に寸心は思わず吹き出した。安心した鈴木も笑...
「テヘッて笑ってんじゃねーよ。テヘッて………おっさん、」
寸心はポケットから珊瑚礁のカケラを取り出すと、鈴木に差し...
「これ、もしかして沖縄の?」
寸心は微笑みで答える。皆方にあんな事を言ったが、寸心は沖...
始めて潜った沖縄の海は透き通るように青く、ずっと先まで広...
寸心は、この景色を、鈴木にも見せたい、と思ったのだった。
「ありがとう!…綺麗だねぇ。…寸心君はいつも僕に綺麗な物を...
ここからの景色もさ、あとほらっ空を飛んだ時の景色も!」
「くせぇ事言うなよおっさん」
鈴木の喜ぶ顔は、沖縄の海の中で寸心の想像していた通りだっ...
そして今まで自分の思っていた事は、ちゃんと鈴木にも伝わっ...
「寸心君達には貰ってばかりだね。」
寸心は、そうでもない、と思った。
空を飛ぶ人を見たのは初めてだったから。あの大きな翼は、初...
「僕ね、決めてるんだ。今度は僕が寸心君を守ってあげるよ。」
寸心は一瞬固まった。が、持ち前の冷静な判断力ですぐに平常...
まっすぐ自分を見つめる嬉しそうな鈴木の顔。寸心はそっと目...
鈴木のこういう予測できない行動はこれで数回目だったが、い...
少し頷くと、寸心はふいに鈴木にボディブローを決めた。
左腹にもろに食らった鈴木が本当に木から落ちそうになる。
寸心はそれを足で支え手で引っ張り上げ持ち直し、慌てふため...
「そういうのはもっと強くなってから言え。」
鈴木は怒るでもなく、でもね、あれからも会社の帰り道は走っ...
寸心はそこに受け入れられている自分を見た。
鈴木を見る目がどんどん愛しいものを見つめる目になっていく。
寸心の手がふいに、ブツブツと言い訳をしている鈴木の頭上に...
そのまま、ガシガシと撫でた。
「いてっ!す、寸心君?」
そして鈴木の髪を引っ張るようにして自身に傾けると、胸元に...
「あっ!す、」
鈴木は何をされるのかと驚いて手を不思議な構えにしたまま固...
が、特に痛めつけられるわけではないとわかり、その手をそっ...
鈴木はしばらくわからずに目を見開いていたが、ハッとした。...
愛しさが込み上げた時に自分が寸心にした行動と同じだと。
あの時は寸心に手を払いのけられてしまったけれど。鈴木はそ...
お互い座っているとはいえ自分より背の低い寸心の胸元に頭を...
鈴木は大人しくその位置に納まっていた。
ふいに寸心の手が鈴木の顔を包み、持ち上げられる。
されるがままに上を向かされた鈴木は目の前にある寸心の顔に...
寸心は鈴木の目が丸く開く様を面白がるように見つめた。そし...
「自分以外に守るものがあると、人はどこまでも強くなれるん...
鈴木は目線に困り、目を瞑った。寸心はその様子に驚く。まる...
だが寸心にはわかりきっていた。これが、誤解だと。
鈴木の頭に衝撃が走る。
「いっ!」
「絶対に敵から目を逸らすなつったろ」
寸心は座る位置を直し鈴木から離れた。鈴木は突然無くなった...
「帰るぞ」
寸心は言ったが早いか、ロープに手を掛けるとスルスルと降り...
鈴木は慌てて後を追い、かなり上の方から半ば落ちるように降...
「待って寸心君!」
腰を押さえながら急いで地面に置いておいたみんなからのお土...
「寸心君は敵じゃないから目を離したって大丈夫だよ」
スタスタ歩いていた寸心が立ち止まり、間を置いて振り返る。
そして同じ速度で鈴木に向かってUターンしてきたので、鈴木...
鈴木の側で急に速度を上げた寸心は、一瞬で腰にタックルし、...
「あーっ!」
素早くマウントポジションを取り、鈴木の右手を地面に押さえ...
鈴木が状況を把握する間も与えず、寸心はその唇に自身の唇を...
「んん゛っ?!」
口付けというより、何か技の一種のようなそれはすぐに離され、
素早く鈴木の上体を浮かせると背後に回り、首に腕を回して頸...
鈴木が苦しがり寸心の腕を叩くので、3秒数えてその身体を開...
息の荒い鈴木を置いて寸心はまたスタスタと歩き出す。
ワケのわからない鈴木は、それでもなお、お土産を拾い集め寸...
「あっあの、寸心君!今…あの、僕はキスをされたのかなぁ?」
「してねぇよ」
「えっ?そう?あ、あれ?あれ、」
「してねぇつってんだろ。おっさん。」
「そう?嘘だぁ…」
寸心が拳を握り鈴木に向かって振りかざす。
鈴木が慌てて避けようと構え、またお土産を落とした。
寸心の拳は鈴木の目の前で止まった。寸心は焦る鈴木の様子を...
「寸心君っシーサー割れちゃうよ!」
「 割 れ な い 。」
帰りを待っていた皆方は久しぶりに楽しそうな寸心の姿と草や...
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | | ...
| | | | ∧...
| | | | ピッ (...
| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| ...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) ...
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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決戦の次の日、鈴木さんの奥さんが学校にやって来た。
鈴木さんは休み中に溜まった仕事に追われて当分休めそうにな...
奥さんは「始ちゃんがみんなによろしくって。皆、本当にあり...
と言って、お菓子を沢山持ってきてくれた。
みんな「始ちゃんが…」と言いながら笑いを堪えていたけれど、
お菓子を差し出されるとすぐにそれに飛びついていた。
寸心はまたサボって屋上に居たからここには居なかった。居な...
そして僕たちは3泊4日の沖縄旅行に飛び立ったのだった。
「寸心、鈴木さんにお土産買った?」
「…買ってねーよ。」
屍図メンバーは僕も含め全員鈴木さんにお土産を買っていた。
沖縄旅行に来れたのも、鈴木さんのおかげだし。
俺達の夏休みが楽しかったのも、鈴木さんのおかげだったから。
沖縄旅行から帰っても、鈴木さんはしばらく来なかった。
鈴木さんへのお土産を自宅へ持っていくかどうか話をしている...
窓際で座って本を読んでいた寸心が口を開いた。
「いいんだよ。もう。」
山舌が「なにが~?」と気の抜けた声で訊ねると、めんどくさ...
「捨てとけよ」と言い残して去っていった。
自宅まで届けるのはやめておこうか。腐るものは1つくらいだ...
しかし…鈴木さん早く来ないかな。寸心がサミシクテシンジャウ...
そして一ヶ月が経った頃、鈴木さんはようやくやってきた。
ドアを叩く音に、いつもは無反応な寸心の肩が揺れたので、僕...
「やっと休みが取れたんだ!みんなに改めてお礼をしたくて…」
屍図の皆は大騒ぎ。各々鈴木さんの周りをグルグル回りながら...
なんだか異臭のするものもあったけど、まあおかしな事になっ...
「お久しぶりです鈴木さん。まあどうぞ。」
有無を言わさずやたら対面距離の近いイスに鈴木さんを座らせ...
鈴木さんは寸心の方を見ると、笑顔全開になった。
寸心は本に目を向けたまま顔をあげていないから、その笑顔は...
「僕らずっと待ってたんですよ?もう来てくれないのかと思い...
「あっ…!ごめん!溜まってた仕事の整理するのに時間かかっち...
休日も返上で、なかなか来れなくて…僕も…すごく、みんなに逢...
メンバーみんなにホッと笑顔が零れる。
寸心だけじゃない。みんな、なんだか鈴木さんの事が好きだか...
こんな大人も居るんだと思うと、世の中、悪くないよね。
「はい。これ、僕からのお土産です。」
「あっあぁっこれ、シーサー?ありがとう!沖縄、楽しかった...
「ええ。残念ながら水着ギャルとめんそ~れはできませんでし...
鈴木さんはありふれたシーサーの置物をかわいいねぇとか良い...
「これ、こっちが鈴木さんでこっちが寸心です」
シーサーは2つで1つなんですよ。と説明すると「寸心君!こ...
寸心はその瞬間席を立ち、足早に出て行ってしまった。
「あれ…どうしたの?寸心君…」
さっきまでちぎれんばかりにしっぽを振っていた鈴木さんが、...
「あの子は手間がかかりますからぁ。」
山舌が知ったような口を聞く。
「久しぶりで、どうしていいかわからないだけですよ。寸心は...
ジッと鈴木さんの目を見れば、ハッとしたような顔をした。
「僕…行ってくるよ。 あっこれ、みんなありがとう!!大事に...
よかったらみんなで飲んでね!…それと…また、ここに来てもい...
「「「「いいともーーー!!」」」」「もちろん」「待ってま...
鈴木さんは「ありがとう!今度は動物園に行こう!」と言いな...
両手にお土産を抱えて軽やかに走り去っていった。山舌が「動...
だけどポカリ貰ったからまあいいか。
さて、ここからは二人きりの方がいいだろうから、僕はポカリ...
******************************************** [#abb3f8cd]
「寸心くーーん!」
寸心は鈴木との特訓で使った木の上に居た。
鈴木は学校を出てからまっすぐここに向かった。寸心は此処に...
「僕も登ってもいいかな?」
寸心はしばらく黙っていたが、「登れるもんならな。」と、木...
一緒にポケットから軍手を取り出し落とす。
寸心もまた、鈴木がここを探し当てるだろうと期待していたの...
一ヶ月ぶりの木登りに鈴木は”スルスル”とは言わないが、何度...
最後は寸心に引っ張りあげられつつようやく登り切る。鈴木は...
慌てて逆サイドの伸びている枝に手を伸ばし、それでバランス...
そして寸心に振り向くと、一瞬の後、二人に笑顔が零れた。
「ずっと来れなくてごめんね。お礼を言いたかったんだ。」
「いいよ、別に。…」
鈴木はこの夏の特訓がどれだけ有り難かったか、あの後娘さん...
その身振り手振りでバランスを崩した鈴木は反射的に寸心に抱...
そしてしまった、とすぐに手を離し、恐る恐る寸心を見た。
その鈴木の様子に寸心は思わず吹き出した。安心した鈴木も笑...
「テヘッて笑ってんじゃねーよ。テヘッて………おっさん、」
寸心はポケットから珊瑚礁のカケラを取り出すと、鈴木に差し...
「これ、もしかして沖縄の?」
寸心は微笑みで答える。皆方にあんな事を言ったが、寸心は沖...
始めて潜った沖縄の海は透き通るように青く、ずっと先まで広...
寸心は、この景色を、鈴木にも見せたい、と思ったのだった。
「ありがとう!…綺麗だねぇ。…寸心君はいつも僕に綺麗な物を...
ここからの景色もさ、あとほらっ空を飛んだ時の景色も!」
「くせぇ事言うなよおっさん」
鈴木の喜ぶ顔は、沖縄の海の中で寸心の想像していた通りだっ...
そして今まで自分の思っていた事は、ちゃんと鈴木にも伝わっ...
「寸心君達には貰ってばかりだね。」
寸心は、そうでもない、と思った。
空を飛ぶ人を見たのは初めてだったから。あの大きな翼は、初...
「僕ね、決めてるんだ。今度は僕が寸心君を守ってあげるよ。」
寸心は一瞬固まった。が、持ち前の冷静な判断力ですぐに平常...
まっすぐ自分を見つめる嬉しそうな鈴木の顔。寸心はそっと目...
鈴木のこういう予測できない行動はこれで数回目だったが、い...
少し頷くと、寸心はふいに鈴木にボディブローを決めた。
左腹にもろに食らった鈴木が本当に木から落ちそうになる。
寸心はそれを足で支え手で引っ張り上げ持ち直し、慌てふため...
「そういうのはもっと強くなってから言え。」
鈴木は怒るでもなく、でもね、あれからも会社の帰り道は走っ...
寸心はそこに受け入れられている自分を見た。
鈴木を見る目がどんどん愛しいものを見つめる目になっていく。
寸心の手がふいに、ブツブツと言い訳をしている鈴木の頭上に...
そのまま、ガシガシと撫でた。
「いてっ!す、寸心君?」
そして鈴木の髪を引っ張るようにして自身に傾けると、胸元に...
「あっ!す、」
鈴木は何をされるのかと驚いて手を不思議な構えにしたまま固...
が、特に痛めつけられるわけではないとわかり、その手をそっ...
鈴木はしばらくわからずに目を見開いていたが、ハッとした。...
愛しさが込み上げた時に自分が寸心にした行動と同じだと。
あの時は寸心に手を払いのけられてしまったけれど。鈴木はそ...
お互い座っているとはいえ自分より背の低い寸心の胸元に頭を...
鈴木は大人しくその位置に納まっていた。
ふいに寸心の手が鈴木の顔を包み、持ち上げられる。
されるがままに上を向かされた鈴木は目の前にある寸心の顔に...
寸心は鈴木の目が丸く開く様を面白がるように見つめた。そし...
「自分以外に守るものがあると、人はどこまでも強くなれるん...
鈴木は目線に困り、目を瞑った。寸心はその様子に驚く。まる...
だが寸心にはわかりきっていた。これが、誤解だと。
鈴木の頭に衝撃が走る。
「いっ!」
「絶対に敵から目を逸らすなつったろ」
寸心は座る位置を直し鈴木から離れた。鈴木は突然無くなった...
「帰るぞ」
寸心は言ったが早いか、ロープに手を掛けるとスルスルと降り...
鈴木は慌てて後を追い、かなり上の方から半ば落ちるように降...
「待って寸心君!」
腰を押さえながら急いで地面に置いておいたみんなからのお土...
「寸心君は敵じゃないから目を離したって大丈夫だよ」
スタスタ歩いていた寸心が立ち止まり、間を置いて振り返る。
そして同じ速度で鈴木に向かってUターンしてきたので、鈴木...
鈴木の側で急に速度を上げた寸心は、一瞬で腰にタックルし、...
「あーっ!」
素早くマウントポジションを取り、鈴木の右手を地面に押さえ...
鈴木が状況を把握する間も与えず、寸心はその唇に自身の唇を...
「んん゛っ?!」
口付けというより、何か技の一種のようなそれはすぐに離され、
素早く鈴木の上体を浮かせると背後に回り、首に腕を回して頸...
鈴木が苦しがり寸心の腕を叩くので、3秒数えてその身体を開...
息の荒い鈴木を置いて寸心はまたスタスタと歩き出す。
ワケのわからない鈴木は、それでもなお、お土産を拾い集め寸...
「あっあの、寸心君!今…あの、僕はキスをされたのかなぁ?」
「してねぇよ」
「えっ?そう?あ、あれ?あれ、」
「してねぇつってんだろ。おっさん。」
「そう?嘘だぁ…」
寸心が拳を握り鈴木に向かって振りかざす。
鈴木が慌てて避けようと構え、またお土産を落とした。
寸心の拳は鈴木の目の前で止まった。寸心は焦る鈴木の様子を...
「寸心君っシーサー割れちゃうよ!」
「 割 れ な い 。」
帰りを待っていた皆方は久しぶりに楽しそうな寸心の姿と草や...
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