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#title(numb*3rs 工ップス兄×弟 続き) [#i2e3d6d3]
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
| numb*3rs 工ッ...
____________ \ / ̄ ̄ ̄...
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| しつこ...
| | | | ...
| | |> PLAY. | | ...
| | | | ∧...
| | | | ピッ (´...
| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(...
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
そんなわけでこれで終わります。
工ップス兄弟やおい話のラストです
チャ―リーのあの瞳。ト゛ンは思い出しながら足早に家を出、...
をポケットから取り出した。信じられないという目でチャ―リー...
葉に傷つく余裕もないほど衝撃を受けて。きっとチャ―リーには...
ったんだろう、とト゛ンは思い、喉の奥から苦い笑いがこみ上...
と、ト゛ンは不安定なチャ―リーを自分が支えなければいけない...
てやっとわかったのだが、ト゛ンはただチャ―リーを支えたかっ...
きもせず、ト゛ンとキャッチボールをしようとすることもない...
いつも居心地が悪かった。彼のためにできることが思い浮かば...
りで何でもできるようになろうと思った。弟がいつか成長して...
こないのなら、自分が弟を必要とする日も来させるべきではな...
リーが不安を抱えながらもおずおずとト゛ンに歩み寄ろうとし...
チャ―リーに背を向け、彼の不安を強めた。だが心のどこかで期...
が自分のせいでますます不安そうになることに安堵していた。...
ればわかったからだ。そのことが自分でわかってしまった。
「ト゛ン、待って……ト゛ン!」
後ろからチャ―リーが掛けて来る。服のボタンも留めていない...
になりながら追いかけてくる弟を、ト゛ンは振り向いて車の前...
らしながら、ト゛ンの腕に触れて言った。「誤解だよ。とにか...
いいのかわからない。僕はただ……」
「チャ―リー、俺たちはもう終わりだよ。わかるだろ?関係性...
いうレベルの問題じゃない。俺は確かにお前に何も与えられな...
いるものなんてないんだ。俺はずっと、お前が小さな頃から抱...
だ」
そう言ってト゛ンはチャ―リーの手をどけさせ、車のドアを開...
んでいた。車の座席に滑り込み、ドアを閉めようとすると、チ...
遮ったので、ト゛ンは危険な行為に眉を顰めた。一歩間違えば...
るところだった。
「チャ―リー」
窘めると、チャ―リーの眉が動いた。チャ―リーはドアを掴ん...
れない。そう思ってト゛ンはため息を吐き、ハンドルに腕を置...
「ト゛ン、誤解だよ。僕が求めてるのはト゛ンだ。他の兄な...
早口で言う弟をト゛ンは目を眇めて見上げた。視線が合うと...
を泳がせた。「――どう言ったらいいのか本当にわからないよ。...
もしなかったんだ。ト゛ンがそんなふうに感じるなんて……僕は...
で、ト゛ンの気持ちなんて考えてなかった。謝るよ。でもこれ...
してる。ただ必要とされたかっただけなんだ。ト゛ンの隣にい...
かった」
チャ―リーはドアを握る手の力を強めた。それから俯き、小さ...
に不完全なところがあるなんて思いもしなかった。ずっと僕は...
野球もできて友達もたくさんいて、父さんや母さんからも信頼...
た。そういうふうになりたかったし、こんな僕でもト゛ンとい...
ト゛ンはそれを聞いて腰を上げ、ドアを押して車から出た。...
不安そうにそれを見ていた。ト゛ンはドアに寄りかかるような...
いいんだ。俺がいなくても十分上手くやってるじゃないか。大...
究もしてる。FBIでだって少しずつなじんでる。それは俺の...
の力で、俺とは関係ない。俺がいなくてもお前はやっていける...
だ」
それをただドンが認めたくなかっただけなのだ。ドンは全身...
いた。いつでも彼を手放そうと思えばそうできたのに、それを...
たからなのだ。ドンにチャーリーが必要なだけだった。ガレー...
り組み敷くうちに、そんなことは嫌でも自覚した。
チャーリーはそれを聞いて、巻き毛ごと頭を振った。
「でも――でも僕にはト゛ンが必要だ!どうしても必要だって...
愛してるんだ」
身体を折り曲げ、喉の奥から搾り出したような声でチャ―リー...
ーに理屈じゃない、と言われて、ト゛ンは一瞬笑いそうになっ...
ャ―リーは家の前の芝生に膝をつき、それでも上体をよろめかせ...
学の才能があるから、ト゛ンはト゛ンが僕になにもできないっ...
チャ―リーの言葉に、ト゛ンは迷ってから頷いた。するとチャ...
こぶしを握り締めて言った。「そうだよ、僕には数学が必要な...
それは変えられない。P≠NPだって本当に解きたいよ。数学者...
る。――だけどト゛ンだって必要なんだ。どんなに不可解で不完...
ても、それでも僕の人生に必要なんだ」
震える声を聞き、ト゛ンはそんな弟を見つめていた。チャ―リ...
青く、彼が動揺していることはよくわかった。
「――まともな関係を結べないんだ。チャ―リー、お前とだって...
ト゛ンはチャ―リーを見下ろしながら、ぽつりと言った。チャ...
ながら顔を上げ、それを聞いている。それを見てト゛ンはひど...
うしていつもチャ―リーはそんな表情ができるのだろう?
ト゛ンは車の鍵を手の中で弄びながら続けた。「キムやテリ...
ことは愛してたけど、誰かを必要とするのが嫌だった。……だか...
母さんのことでアルバカーキから離れたからとか、そういう理...
たちがただ――お前も言ったようなことを俺に言って、俺はそれ...
要だってどうしても言えなくて、そうすると聡い人間は離れて...
お前だってそうだろ?」
「……それは僕のせい?僕のせいで父さんや母さんの前で早く...
たから?僕が数式に夢中で、ト゛ンと普通の兄弟みたいに遊べ...
の?」
チャ―リーは泣きながら言った。ト゛ンは答えに迷い、それか...
悪いわけじゃない」
「――そして僕が自分をできそこないでまともじゃないと思っ...
だ。きっとそうなんだね。違う?」
頬をつたう涙を手で拭ぐい、チャ―リーは睨みつけるように見...
躇った後で、やはり頷いた。「そうだな。でもそれは俺のせい...
てお前を傷つけてきたんだから」
そう答えて、ト゛ンは手を伸ばしてチャ―リーの腕を引っ張っ...
まに立ち上がりながら、ぼんやりとした表情で言った。「僕も...
なんだね」
それを聞いてト゛ンはチャ―リーの顔を黙って見返した。そし...
「そうだな。だから不毛なんだ。だから――もうやめないか?」
ト゛ンの言葉にチャ―リーはため息を吐いた。その言葉は聞き...
苦い声で言った。「馬鹿にしてる!」
「俺は本気だよ」
そう言ってチャ―リーの腕から手を離すと、弟はまだ濡れてい...
暴に拭った。「馬鹿にしてるよ。――ト゛ン、どうして諦めちゃ...
かったよ。僕だけじゃなくト゛ンもそうだって。そのことに僕...
せいだから。でも、だったらなおさら、僕らは変わらなきゃい...
ても、お互いが原因なら、だからこそ一緒にいれば何か変えら...
て諦めようとするの?僕は諦められないよ。間違ったら式をも...
を探す。これまでずっとそうしてきた。離れたままなら不完全...
緒にいれば何か変わるかもしれないのに。それなのにト゛ンは...
っと一人で過ごすつもり?一生?」
「――この歳で変われない」
ずっとそうやって生きてきたのだ。そう言うと、チャ―リーは...
ト゛ンの腕を強く掴み、まっすぐに目を見て言った。「だった...
からないの?ト゛ンだけの問題じゃないんだ」
僕らはお互いに作用しあっている二つの式なんだよ、だから...
チャーリーは言った。そしてドンの頬にキスをした。ドンは反...
スを返した。今キスを必要としているのはチャーリーではない...
がら、ドンは弟にキスをした。生まれ育った家の前で、真夜中...
ドンにずっと必要だったのは、弟に必要とされることだった...
ることができた。自分が弟に何を求めているのか自覚して、や...
意味もわかった。まったく性質が異なり、無関係のように見え...
用しあう二つの式なのだ。どこかで繋がっている。だからお互...
リーの言うとおりだと、ドンは弟の唇の柔らかさを感じながら...
ずっとこの弟だったのだ。
その後二人は車に乗って、ト゛ンのアパートまで行った。ア...
はずっと運転するト゛ンの横顔を見ていた。ト゛ンがまだ迷っ...
がチャ―リーは焦っていなかった。これまで触れられなかったト...
れたと思った。
アパートに着くと、予想していた通り抱き合った。数時間前...
したのに、二人ともそんなことは忘れてお互いの肉体を味わっ...
なかったが、チャ―リーは満足していた。終わったあと、二人は...
それは性的な興奮を引き起こすためのものではなく、ただお互...
穏やかなもので、だからこそ二人はじゃれあうみたいにしばら...
やがて唇が離れると、ドンはベッドのサイドボードに背中を...
語りだした。「怖いんだよ」
「何が?……誰かを必要とするのが?」
横たわった姿勢でチャ―リーが問うと、ト゛ンは手を伸ばし、...
肩に掛け直しながら頷いた。「自分の感情を表現するのが苦手...
たってきりがないし、相手にとってはいい迷惑だろ?だったら...
うがいい」
チャ―リーはそれを聞いて少し笑った。兄をかわいいと思った...
応に気分を害したのか、ト゛ンは微かに眉を顰めたが、チャ―リ...
を促した。「例えばどんなことを話すのを我慢してたの?」
ト゛ンは黙り、それからしばらくしてぽつりと呟いた。「――...
チャ―リーは驚いてト゛ンを見つめた。するとト゛ンは見返し...
した。「ここを撃った奴とか。他にも何人か。正当防衛だし、...
気づくと、現場でレイプした女の子を人質にして銃を乱射した...
もう一度あの状況に置かれたらまたやる。だけどやっぱり事実...
一人でいると……」
唇を閉ざしたト゛ンの横顔を見上げながら、チャ―リーは身体...
置いた。今までどうして兄のことをもっと考えてあげられなか...
でずっと、ト゛ンは正しいことを正しいと信じてやってきたの...
も迷いや後悔はあるのだ。
「ト゛ン」
「そんなに大したことじゃない。自分で処理できる。でも誰...
な」
そう言ってト゛ンは肩を竦めた。チャ―リーは肩の傷跡を見な...
に話してよ。そういうときは」
「聞きたくない話もあると思う。きれいな仕事ばかりじゃな...
ト゛ンは素っ気無くそう返したが、チャ―リーは受け流さずに...
でも僕は絶対に聞くよ。……ヒーローには相棒が必要だろ?相談...
決する……」
「お前はそうなるって言いたいのか?」
ト゛ンが微かに笑って問う。チャ―リーは頷いた。「ずっとそ...
「……俺もずっとそうなってほしかった。お前が生まれたとき...
たって。――ずいぶん長い間俺たちは勘違いしてたんだな。お互...
チャ―リーはそれを聞き、不思議な想いでト゛ンの太ももに頭...
分を相棒として求めていたことなんて知らなかったし、こんな...
かったことにも驚いた。ト゛ンはチャ―リーの髪を指で弄んで言...
「……僕は銃も上手く扱えないし、野球もできないよ。きっと...
それでも?」
チャ―リーの言葉にト゛ンは目を細めて答えた。「そうだな、...
かに違う。でも結局それでよかったんだ。お前は銃を持ってな...
程式で人を助けられる。誰も傷つけてないのに、人を助けられ...
よ。……それにお前は諦めてない。P≠NP問題にも何度も挑戦し...
きる、相棒だよ」
チャ―リーはそれを聞いて涙で視界が歪むのを感じた。ト゛ン...
この手を離したくないと思った。でもト゛ンが自分のせいで、...
結べなかったというなら、なんとかしてそれを成就させてやり...
チャ―リーにはやっとわかった。ト゛ンがこれまでチャ―リー...
るごとに自分よりも他の人間との関係を勧めるのは、決してチ...
はない。ト゛ンはチャ―リーを愛しており、だからこそ自分が原...
ことを悔やんでいただけなのだ。今チャ―リーはそんなト゛ンと...
外の人間と関係を結んでほしいと思った。誰か、新しい関係と...
存在と。チャ―リーにはそれらは与えられない。お互い自身すら...
に深く交わっても子供も生まれない。それならト゛ンに別の相...
てやりたいと思った。だが、その一方でやはり自分の元に留ま...
して自分がト゛ンの唯一の足枷となっていることに喜びを感じ...
とがチャ―リーには嬉しかった。胃が軋むほどに。
「チャ―リー?」
ト゛ンがそんな様子の弟に気づいて、顔を覗き込んでくる。...
れから深呼吸をした。ト゛ンの肌の温かさを感じながら、チャ―...
晴らしい人間だよ。きっとト゛ンが望めば、僕以外にもこうや...
くるよ。キムもテリーもきっと本当はそうしたかったんだ。……...
はいくらでもできる。誰かが必要だってきちんと言えて、きっ...
なことができる。ト゛ン。僕にはわかってるよ」
なるべく優しい声で言うと、ト゛ンは黙った。彼の目には戸...
チャ―リーは頷いた。「諦めないで。ト゛ンにはいろんな可能性...
BIに入ったのだって、あの頃僕にはわからなかったけど、結...
救ってるんだもの。ト゛ンは野球選手じゃないし、数学者でも...
ト゛ンが一番いいと思う。ト゛ンはきちんと正しい道を選べる...
ない。……でも、でもね」
そこまで言ってチャ―リーは口を閉ざした。言っていいことな...
かった。本当にト゛ンを愛しているなら、ここから先は言わな...
えた。だがチャ―リーはどうしても言わずにいられなかった。何...
のことが必要だからだ。
身体を起こし、チャ―リーは一瞬目を伏せてから言った。「……...
分たちの人生の可能性を探そう。新しい家族を見つけられるよ...
……でも、それでもやっぱりお互い以上に好きな相手ができなか...
ままじゃなくて、二人でいることで何か完全性を見つけられる...
緒に暮らそう。こういうアパートでじゃない。僕らのあの家で」
「チャ―リー」
ト゛ンが驚いたように目を見開くのを、頷きながら見返して...
声で言った。「……いつか父さんもいなくなる。本当に、本当に...
いつかは僕を置いていくよ。母さんみたいに。そうしたら僕は...
家族を見つけられなかったら。そのときは――ト゛ンがあの家に...
族ができなかったら。そうすれば僕はあの家でト゛ンの話をい...
苦しんでるなら助けられる。いつか、いつかの話だよ。今じゃ...
にこれはただの提案で、強制じゃない。ただ――そういう未来も...
「チャ―リー、俺は」
言いかけるト゛ンを遮って、チャ―リーは呟いた。これはプロ...
「僕はト゛ンに幸せになってほしい。でも、ト゛ンがもし僕と...
なら、僕らがそういうふうになれたら、……そのときはト゛ンの...
度。生まれつきじゃなく、今度は自分たちの意志で」
その言葉にト゛ンは黙った。チャ―リーも黙って答えを待って...
話したのは何十年もあとのことだ。二人がどうなっているかな...
チャ―リーに恋人ができ、結婚して子供もいるかもしれない。そ...
価値もある。だがもしも、試行錯誤を繰り返した後でも、お互...
う一度一緒に暮らしてもいいのではないだろうか?それともや...
だろうか?
「――僕はあの家の手入れをして、待つよ。ちゃんと僕らが歳...
いや、備えてる。その可能性に。備えてるだけ。でも、だから―...
ってきて」
呟くように願いを言うと、ト゛ンが微かに身体を動かした。...
すと、ト゛ンはそれを見ながらそうだな、と言った。
「そうだな。そういう未来も悪くない」
ト゛ンの言葉を聞いて、チャ―リーは何度も頷いた。こんなも...
味もない。だがそれでも、そんな可能性が未来に待っているか...
締め付けられた。それをどこかで望む自分への罪悪感なのか、...
う幸福感のせいなのかはわからなかった。ただそういう未来も...
日曜日の午後、実家の庭でチャ―リーの落ち葉拾いを手伝って...
P≠NPはどうなんだ?」
箒で大量の落ち葉をかき集めていたチャ―リーが非難がましく...
前も同じようなこと説明したけど、あれはすごくすごくすごー...
解ける問題じゃない」
「解けてないんだな?」
ト゛ンは問いながら、苦労して落ち葉を集めるチャ―リーを見...
とはすべて父親のアランがやっていたはずだ。だがアランが家...
限りがあるといって、少し前にこの家を売ったとき以来、チャ―...
尤も、売った家を買ったのはチャ―リーだったのだから馬鹿馬鹿...
ト゛ンはくすりと笑ってチャ―リーを見た。ト゛ンは弟のそん...
常識に囚われない。彼の年齢になれば親元を離れて暮らすこと...
アランとも一緒に暮らしたいからといって、無理やり我を通し...
対にできないことだ。チャ―リーは子供っぽく見えることはある...
「解けてないけど、それって何かト゛ンに関係ある?」
チャ―リーが刺々しく言うので、ト゛ンはまた笑った。「そう...
から離れやすくなるんだろ?ちょっとは関係ある」
チャ―リーはそれを聞いて手を止めた。ト゛ンは落ち葉を入れ...
顎で弟を指して注意した。「手を止めるなよ」
「ト゛ン、あれはものの弾みっていうか、そのときかっとな...
くらい悩んでたってこと。どんな問題が解けてもト゛ンはト゛...
よ。――もしかして、不安だった?」
チャ―リーの声にト゛ンは肩を竦めた。確かに不安ではあった...
もう自分を省みなくなる日を、想像したことがないわけではな...
に言った。「不安も何も、解けてないんだろう?」
不安になる必要なんかないじゃないか。そう呟くとチャ―リー...
「――だからそれはまだ時間が足りないからだよ!ト゛ン、何...
きる」
むきになってチャ―リーは言う。ト゛ンはそんな弟をちらりと...
いな」
「ト゛ン、今の発言、絶対後悔するよ。僕はもし解けたらそ...
てやる。『僕の能力を信じなかった兄にこの論文を捧げます』...
絶対書く。今決めた。乱暴に、しかも非効率的に落ち葉を集...
る。ト゛ンは手を差し出し、箒を貸せと言った。「交代しよう」
「何?何で?これは僕の役割だよ。何でト゛ンが落ち葉を集...
だよ」
「俺がやった方が早い」
ト゛ンが簡潔に答えると、チャ―リーはひきつった笑いを浮か...
ち葉集めもできないと思ってるわけ?馬鹿にしてる?」
「できないとは思ってないが、苦手なのは知ってるよ」
箒を取り上げてト゛ンは言った。するとチャ―リーは呆れたよ...
な意味で侮辱された。数学者として、人間として。実の兄に」
ト゛ンはそれを黙って受け流しながら落ち葉を集めた。チャ―...
く作業をこなし、弟にビニール袋を持つように命じた。すると...
様子でそれに従った。
「ほらな、俺の方が上手いだろ?」
ト゛ンの言葉にチャ―リーは眉をあげてみせた。「失礼だよ。...
くやったってだけで――」
「もしお前が本当に――可能性に備えてるなら、この程度のこ...
ないと」
俺も安心できない。そう言うと、チャ―リーは手を止めた。ま...
そんな注意も聞かずに、チャ―リーは瞬いた。「ト゛ン、それは...
?それを……その可能性を」
ト゛ンは首を傾げた。答える気はなかった。答える代わりに...
くるか?」
チャ―リーはその言葉に不意を打たれたらしく、目を丸くした...
と?」
「質問ばかりだな、お前は。素直に頷けよ」
思わずぼやくとチャ―リーは甲高い声を上げた。
「だったらト゛ンも素直に言ってよ!今夜来てほしいって。...
ト゛ンはそれを聞いて落ち葉に目を向けたまま素早く言った。
「――必要だよ。今夜は一緒に寝たい。だから早く落ち葉を集...
て、今夜はアパートに行こう」
箒で集めた落ち葉をもう一度ビニール袋に押し込み、顔を上...
いたままト゛ンを見ていた。そんなに驚くようなことだろうか...
―リーは信じられないと呟く。ト゛ンはその言葉に笑った。きっ...
分たちは変わっていくのだろう。自分もチャ―リーも。でもいつ...
かしたら最後までそうかもしれない。社会的に見ればそれはア...
ない。でも、それを決めるのは自分たちだ。ハッピーエンドだ...
いれば、きっとそうなのだ。
ト゛ンは不意にチャ―リーが不安げな顔になったことに気づい...
者は小声で言った。「……あんまりいきなり進歩して、僕を置い...
はいいけど、少しずつ、ゆっくり変わってよ」
ト゛ンはそれを聞いて吹き出した。この弟は本当に我侭だと...
顎を乗せて答えた。
「じゃあ俺からも一つ。P≠NP問題を解くのはいいが、それ...
の問題なんかにとられたくない」
ト゛ンの言葉にチャ―リーは目を見開き、それから笑った。ト...
でもこんな日々が続くことを、ト゛ンは本当にこっそりとだが...
葉を弟に差し出した。
終
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧...
| | | | ピッ (...
| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| ...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) ...
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
本当に長くてスマソ。投下しているこっちも分割してるのにくじけ...
この兄弟で書きたかったことは一応書ききることができたよう...
ひとまずこれでおしまいです。
超過疎ジャンルなのに付き合ってくださった方々、本当にあり...
#comment
終了行:
#title(numb*3rs 工ップス兄×弟 続き) [#i2e3d6d3]
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
| numb*3rs 工ッ...
____________ \ / ̄ ̄ ̄...
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| しつこ...
| | | | ...
| | |> PLAY. | | ...
| | | | ∧...
| | | | ピッ (´...
| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(...
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
そんなわけでこれで終わります。
工ップス兄弟やおい話のラストです
チャ―リーのあの瞳。ト゛ンは思い出しながら足早に家を出、...
をポケットから取り出した。信じられないという目でチャ―リー...
葉に傷つく余裕もないほど衝撃を受けて。きっとチャ―リーには...
ったんだろう、とト゛ンは思い、喉の奥から苦い笑いがこみ上...
と、ト゛ンは不安定なチャ―リーを自分が支えなければいけない...
てやっとわかったのだが、ト゛ンはただチャ―リーを支えたかっ...
きもせず、ト゛ンとキャッチボールをしようとすることもない...
いつも居心地が悪かった。彼のためにできることが思い浮かば...
りで何でもできるようになろうと思った。弟がいつか成長して...
こないのなら、自分が弟を必要とする日も来させるべきではな...
リーが不安を抱えながらもおずおずとト゛ンに歩み寄ろうとし...
チャ―リーに背を向け、彼の不安を強めた。だが心のどこかで期...
が自分のせいでますます不安そうになることに安堵していた。...
ればわかったからだ。そのことが自分でわかってしまった。
「ト゛ン、待って……ト゛ン!」
後ろからチャ―リーが掛けて来る。服のボタンも留めていない...
になりながら追いかけてくる弟を、ト゛ンは振り向いて車の前...
らしながら、ト゛ンの腕に触れて言った。「誤解だよ。とにか...
いいのかわからない。僕はただ……」
「チャ―リー、俺たちはもう終わりだよ。わかるだろ?関係性...
いうレベルの問題じゃない。俺は確かにお前に何も与えられな...
いるものなんてないんだ。俺はずっと、お前が小さな頃から抱...
だ」
そう言ってト゛ンはチャ―リーの手をどけさせ、車のドアを開...
んでいた。車の座席に滑り込み、ドアを閉めようとすると、チ...
遮ったので、ト゛ンは危険な行為に眉を顰めた。一歩間違えば...
るところだった。
「チャ―リー」
窘めると、チャ―リーの眉が動いた。チャ―リーはドアを掴ん...
れない。そう思ってト゛ンはため息を吐き、ハンドルに腕を置...
「ト゛ン、誤解だよ。僕が求めてるのはト゛ンだ。他の兄な...
早口で言う弟をト゛ンは目を眇めて見上げた。視線が合うと...
を泳がせた。「――どう言ったらいいのか本当にわからないよ。...
もしなかったんだ。ト゛ンがそんなふうに感じるなんて……僕は...
で、ト゛ンの気持ちなんて考えてなかった。謝るよ。でもこれ...
してる。ただ必要とされたかっただけなんだ。ト゛ンの隣にい...
かった」
チャ―リーはドアを握る手の力を強めた。それから俯き、小さ...
に不完全なところがあるなんて思いもしなかった。ずっと僕は...
野球もできて友達もたくさんいて、父さんや母さんからも信頼...
た。そういうふうになりたかったし、こんな僕でもト゛ンとい...
ト゛ンはそれを聞いて腰を上げ、ドアを押して車から出た。...
不安そうにそれを見ていた。ト゛ンはドアに寄りかかるような...
いいんだ。俺がいなくても十分上手くやってるじゃないか。大...
究もしてる。FBIでだって少しずつなじんでる。それは俺の...
の力で、俺とは関係ない。俺がいなくてもお前はやっていける...
だ」
それをただドンが認めたくなかっただけなのだ。ドンは全身...
いた。いつでも彼を手放そうと思えばそうできたのに、それを...
たからなのだ。ドンにチャーリーが必要なだけだった。ガレー...
り組み敷くうちに、そんなことは嫌でも自覚した。
チャーリーはそれを聞いて、巻き毛ごと頭を振った。
「でも――でも僕にはト゛ンが必要だ!どうしても必要だって...
愛してるんだ」
身体を折り曲げ、喉の奥から搾り出したような声でチャ―リー...
ーに理屈じゃない、と言われて、ト゛ンは一瞬笑いそうになっ...
ャ―リーは家の前の芝生に膝をつき、それでも上体をよろめかせ...
学の才能があるから、ト゛ンはト゛ンが僕になにもできないっ...
チャ―リーの言葉に、ト゛ンは迷ってから頷いた。するとチャ...
こぶしを握り締めて言った。「そうだよ、僕には数学が必要な...
それは変えられない。P≠NPだって本当に解きたいよ。数学者...
る。――だけどト゛ンだって必要なんだ。どんなに不可解で不完...
ても、それでも僕の人生に必要なんだ」
震える声を聞き、ト゛ンはそんな弟を見つめていた。チャ―リ...
青く、彼が動揺していることはよくわかった。
「――まともな関係を結べないんだ。チャ―リー、お前とだって...
ト゛ンはチャ―リーを見下ろしながら、ぽつりと言った。チャ...
ながら顔を上げ、それを聞いている。それを見てト゛ンはひど...
うしていつもチャ―リーはそんな表情ができるのだろう?
ト゛ンは車の鍵を手の中で弄びながら続けた。「キムやテリ...
ことは愛してたけど、誰かを必要とするのが嫌だった。……だか...
母さんのことでアルバカーキから離れたからとか、そういう理...
たちがただ――お前も言ったようなことを俺に言って、俺はそれ...
要だってどうしても言えなくて、そうすると聡い人間は離れて...
お前だってそうだろ?」
「……それは僕のせい?僕のせいで父さんや母さんの前で早く...
たから?僕が数式に夢中で、ト゛ンと普通の兄弟みたいに遊べ...
の?」
チャ―リーは泣きながら言った。ト゛ンは答えに迷い、それか...
悪いわけじゃない」
「――そして僕が自分をできそこないでまともじゃないと思っ...
だ。きっとそうなんだね。違う?」
頬をつたう涙を手で拭ぐい、チャ―リーは睨みつけるように見...
躇った後で、やはり頷いた。「そうだな。でもそれは俺のせい...
てお前を傷つけてきたんだから」
そう答えて、ト゛ンは手を伸ばしてチャ―リーの腕を引っ張っ...
まに立ち上がりながら、ぼんやりとした表情で言った。「僕も...
なんだね」
それを聞いてト゛ンはチャ―リーの顔を黙って見返した。そし...
「そうだな。だから不毛なんだ。だから――もうやめないか?」
ト゛ンの言葉にチャ―リーはため息を吐いた。その言葉は聞き...
苦い声で言った。「馬鹿にしてる!」
「俺は本気だよ」
そう言ってチャ―リーの腕から手を離すと、弟はまだ濡れてい...
暴に拭った。「馬鹿にしてるよ。――ト゛ン、どうして諦めちゃ...
かったよ。僕だけじゃなくト゛ンもそうだって。そのことに僕...
せいだから。でも、だったらなおさら、僕らは変わらなきゃい...
ても、お互いが原因なら、だからこそ一緒にいれば何か変えら...
て諦めようとするの?僕は諦められないよ。間違ったら式をも...
を探す。これまでずっとそうしてきた。離れたままなら不完全...
緒にいれば何か変わるかもしれないのに。それなのにト゛ンは...
っと一人で過ごすつもり?一生?」
「――この歳で変われない」
ずっとそうやって生きてきたのだ。そう言うと、チャ―リーは...
ト゛ンの腕を強く掴み、まっすぐに目を見て言った。「だった...
からないの?ト゛ンだけの問題じゃないんだ」
僕らはお互いに作用しあっている二つの式なんだよ、だから...
チャーリーは言った。そしてドンの頬にキスをした。ドンは反...
スを返した。今キスを必要としているのはチャーリーではない...
がら、ドンは弟にキスをした。生まれ育った家の前で、真夜中...
ドンにずっと必要だったのは、弟に必要とされることだった...
ることができた。自分が弟に何を求めているのか自覚して、や...
意味もわかった。まったく性質が異なり、無関係のように見え...
用しあう二つの式なのだ。どこかで繋がっている。だからお互...
リーの言うとおりだと、ドンは弟の唇の柔らかさを感じながら...
ずっとこの弟だったのだ。
その後二人は車に乗って、ト゛ンのアパートまで行った。ア...
はずっと運転するト゛ンの横顔を見ていた。ト゛ンがまだ迷っ...
がチャ―リーは焦っていなかった。これまで触れられなかったト...
れたと思った。
アパートに着くと、予想していた通り抱き合った。数時間前...
したのに、二人ともそんなことは忘れてお互いの肉体を味わっ...
なかったが、チャ―リーは満足していた。終わったあと、二人は...
それは性的な興奮を引き起こすためのものではなく、ただお互...
穏やかなもので、だからこそ二人はじゃれあうみたいにしばら...
やがて唇が離れると、ドンはベッドのサイドボードに背中を...
語りだした。「怖いんだよ」
「何が?……誰かを必要とするのが?」
横たわった姿勢でチャ―リーが問うと、ト゛ンは手を伸ばし、...
肩に掛け直しながら頷いた。「自分の感情を表現するのが苦手...
たってきりがないし、相手にとってはいい迷惑だろ?だったら...
うがいい」
チャ―リーはそれを聞いて少し笑った。兄をかわいいと思った...
応に気分を害したのか、ト゛ンは微かに眉を顰めたが、チャ―リ...
を促した。「例えばどんなことを話すのを我慢してたの?」
ト゛ンは黙り、それからしばらくしてぽつりと呟いた。「――...
チャ―リーは驚いてト゛ンを見つめた。するとト゛ンは見返し...
した。「ここを撃った奴とか。他にも何人か。正当防衛だし、...
気づくと、現場でレイプした女の子を人質にして銃を乱射した...
もう一度あの状況に置かれたらまたやる。だけどやっぱり事実...
一人でいると……」
唇を閉ざしたト゛ンの横顔を見上げながら、チャ―リーは身体...
置いた。今までどうして兄のことをもっと考えてあげられなか...
でずっと、ト゛ンは正しいことを正しいと信じてやってきたの...
も迷いや後悔はあるのだ。
「ト゛ン」
「そんなに大したことじゃない。自分で処理できる。でも誰...
な」
そう言ってト゛ンは肩を竦めた。チャ―リーは肩の傷跡を見な...
に話してよ。そういうときは」
「聞きたくない話もあると思う。きれいな仕事ばかりじゃな...
ト゛ンは素っ気無くそう返したが、チャ―リーは受け流さずに...
でも僕は絶対に聞くよ。……ヒーローには相棒が必要だろ?相談...
決する……」
「お前はそうなるって言いたいのか?」
ト゛ンが微かに笑って問う。チャ―リーは頷いた。「ずっとそ...
「……俺もずっとそうなってほしかった。お前が生まれたとき...
たって。――ずいぶん長い間俺たちは勘違いしてたんだな。お互...
チャ―リーはそれを聞き、不思議な想いでト゛ンの太ももに頭...
分を相棒として求めていたことなんて知らなかったし、こんな...
かったことにも驚いた。ト゛ンはチャ―リーの髪を指で弄んで言...
「……僕は銃も上手く扱えないし、野球もできないよ。きっと...
それでも?」
チャ―リーの言葉にト゛ンは目を細めて答えた。「そうだな、...
かに違う。でも結局それでよかったんだ。お前は銃を持ってな...
程式で人を助けられる。誰も傷つけてないのに、人を助けられ...
よ。……それにお前は諦めてない。P≠NP問題にも何度も挑戦し...
きる、相棒だよ」
チャ―リーはそれを聞いて涙で視界が歪むのを感じた。ト゛ン...
この手を離したくないと思った。でもト゛ンが自分のせいで、...
結べなかったというなら、なんとかしてそれを成就させてやり...
チャ―リーにはやっとわかった。ト゛ンがこれまでチャ―リー...
るごとに自分よりも他の人間との関係を勧めるのは、決してチ...
はない。ト゛ンはチャ―リーを愛しており、だからこそ自分が原...
ことを悔やんでいただけなのだ。今チャ―リーはそんなト゛ンと...
外の人間と関係を結んでほしいと思った。誰か、新しい関係と...
存在と。チャ―リーにはそれらは与えられない。お互い自身すら...
に深く交わっても子供も生まれない。それならト゛ンに別の相...
てやりたいと思った。だが、その一方でやはり自分の元に留ま...
して自分がト゛ンの唯一の足枷となっていることに喜びを感じ...
とがチャ―リーには嬉しかった。胃が軋むほどに。
「チャ―リー?」
ト゛ンがそんな様子の弟に気づいて、顔を覗き込んでくる。...
れから深呼吸をした。ト゛ンの肌の温かさを感じながら、チャ―...
晴らしい人間だよ。きっとト゛ンが望めば、僕以外にもこうや...
くるよ。キムもテリーもきっと本当はそうしたかったんだ。……...
はいくらでもできる。誰かが必要だってきちんと言えて、きっ...
なことができる。ト゛ン。僕にはわかってるよ」
なるべく優しい声で言うと、ト゛ンは黙った。彼の目には戸...
チャ―リーは頷いた。「諦めないで。ト゛ンにはいろんな可能性...
BIに入ったのだって、あの頃僕にはわからなかったけど、結...
救ってるんだもの。ト゛ンは野球選手じゃないし、数学者でも...
ト゛ンが一番いいと思う。ト゛ンはきちんと正しい道を選べる...
ない。……でも、でもね」
そこまで言ってチャ―リーは口を閉ざした。言っていいことな...
かった。本当にト゛ンを愛しているなら、ここから先は言わな...
えた。だがチャ―リーはどうしても言わずにいられなかった。何...
のことが必要だからだ。
身体を起こし、チャ―リーは一瞬目を伏せてから言った。「……...
分たちの人生の可能性を探そう。新しい家族を見つけられるよ...
……でも、それでもやっぱりお互い以上に好きな相手ができなか...
ままじゃなくて、二人でいることで何か完全性を見つけられる...
緒に暮らそう。こういうアパートでじゃない。僕らのあの家で」
「チャ―リー」
ト゛ンが驚いたように目を見開くのを、頷きながら見返して...
声で言った。「……いつか父さんもいなくなる。本当に、本当に...
いつかは僕を置いていくよ。母さんみたいに。そうしたら僕は...
家族を見つけられなかったら。そのときは――ト゛ンがあの家に...
族ができなかったら。そうすれば僕はあの家でト゛ンの話をい...
苦しんでるなら助けられる。いつか、いつかの話だよ。今じゃ...
にこれはただの提案で、強制じゃない。ただ――そういう未来も...
「チャ―リー、俺は」
言いかけるト゛ンを遮って、チャ―リーは呟いた。これはプロ...
「僕はト゛ンに幸せになってほしい。でも、ト゛ンがもし僕と...
なら、僕らがそういうふうになれたら、……そのときはト゛ンの...
度。生まれつきじゃなく、今度は自分たちの意志で」
その言葉にト゛ンは黙った。チャ―リーも黙って答えを待って...
話したのは何十年もあとのことだ。二人がどうなっているかな...
チャ―リーに恋人ができ、結婚して子供もいるかもしれない。そ...
価値もある。だがもしも、試行錯誤を繰り返した後でも、お互...
う一度一緒に暮らしてもいいのではないだろうか?それともや...
だろうか?
「――僕はあの家の手入れをして、待つよ。ちゃんと僕らが歳...
いや、備えてる。その可能性に。備えてるだけ。でも、だから―...
ってきて」
呟くように願いを言うと、ト゛ンが微かに身体を動かした。...
すと、ト゛ンはそれを見ながらそうだな、と言った。
「そうだな。そういう未来も悪くない」
ト゛ンの言葉を聞いて、チャ―リーは何度も頷いた。こんなも...
味もない。だがそれでも、そんな可能性が未来に待っているか...
締め付けられた。それをどこかで望む自分への罪悪感なのか、...
う幸福感のせいなのかはわからなかった。ただそういう未来も...
日曜日の午後、実家の庭でチャ―リーの落ち葉拾いを手伝って...
P≠NPはどうなんだ?」
箒で大量の落ち葉をかき集めていたチャ―リーが非難がましく...
前も同じようなこと説明したけど、あれはすごくすごくすごー...
解ける問題じゃない」
「解けてないんだな?」
ト゛ンは問いながら、苦労して落ち葉を集めるチャ―リーを見...
とはすべて父親のアランがやっていたはずだ。だがアランが家...
限りがあるといって、少し前にこの家を売ったとき以来、チャ―...
尤も、売った家を買ったのはチャ―リーだったのだから馬鹿馬鹿...
ト゛ンはくすりと笑ってチャ―リーを見た。ト゛ンは弟のそん...
常識に囚われない。彼の年齢になれば親元を離れて暮らすこと...
アランとも一緒に暮らしたいからといって、無理やり我を通し...
対にできないことだ。チャ―リーは子供っぽく見えることはある...
「解けてないけど、それって何かト゛ンに関係ある?」
チャ―リーが刺々しく言うので、ト゛ンはまた笑った。「そう...
から離れやすくなるんだろ?ちょっとは関係ある」
チャ―リーはそれを聞いて手を止めた。ト゛ンは落ち葉を入れ...
顎で弟を指して注意した。「手を止めるなよ」
「ト゛ン、あれはものの弾みっていうか、そのときかっとな...
くらい悩んでたってこと。どんな問題が解けてもト゛ンはト゛...
よ。――もしかして、不安だった?」
チャ―リーの声にト゛ンは肩を竦めた。確かに不安ではあった...
もう自分を省みなくなる日を、想像したことがないわけではな...
に言った。「不安も何も、解けてないんだろう?」
不安になる必要なんかないじゃないか。そう呟くとチャ―リー...
「――だからそれはまだ時間が足りないからだよ!ト゛ン、何...
きる」
むきになってチャ―リーは言う。ト゛ンはそんな弟をちらりと...
いな」
「ト゛ン、今の発言、絶対後悔するよ。僕はもし解けたらそ...
てやる。『僕の能力を信じなかった兄にこの論文を捧げます』...
絶対書く。今決めた。乱暴に、しかも非効率的に落ち葉を集...
る。ト゛ンは手を差し出し、箒を貸せと言った。「交代しよう」
「何?何で?これは僕の役割だよ。何でト゛ンが落ち葉を集...
だよ」
「俺がやった方が早い」
ト゛ンが簡潔に答えると、チャ―リーはひきつった笑いを浮か...
ち葉集めもできないと思ってるわけ?馬鹿にしてる?」
「できないとは思ってないが、苦手なのは知ってるよ」
箒を取り上げてト゛ンは言った。するとチャ―リーは呆れたよ...
な意味で侮辱された。数学者として、人間として。実の兄に」
ト゛ンはそれを黙って受け流しながら落ち葉を集めた。チャ―...
く作業をこなし、弟にビニール袋を持つように命じた。すると...
様子でそれに従った。
「ほらな、俺の方が上手いだろ?」
ト゛ンの言葉にチャ―リーは眉をあげてみせた。「失礼だよ。...
くやったってだけで――」
「もしお前が本当に――可能性に備えてるなら、この程度のこ...
ないと」
俺も安心できない。そう言うと、チャ―リーは手を止めた。ま...
そんな注意も聞かずに、チャ―リーは瞬いた。「ト゛ン、それは...
?それを……その可能性を」
ト゛ンは首を傾げた。答える気はなかった。答える代わりに...
くるか?」
チャ―リーはその言葉に不意を打たれたらしく、目を丸くした...
と?」
「質問ばかりだな、お前は。素直に頷けよ」
思わずぼやくとチャ―リーは甲高い声を上げた。
「だったらト゛ンも素直に言ってよ!今夜来てほしいって。...
ト゛ンはそれを聞いて落ち葉に目を向けたまま素早く言った。
「――必要だよ。今夜は一緒に寝たい。だから早く落ち葉を集...
て、今夜はアパートに行こう」
箒で集めた落ち葉をもう一度ビニール袋に押し込み、顔を上...
いたままト゛ンを見ていた。そんなに驚くようなことだろうか...
―リーは信じられないと呟く。ト゛ンはその言葉に笑った。きっ...
分たちは変わっていくのだろう。自分もチャ―リーも。でもいつ...
かしたら最後までそうかもしれない。社会的に見ればそれはア...
ない。でも、それを決めるのは自分たちだ。ハッピーエンドだ...
いれば、きっとそうなのだ。
ト゛ンは不意にチャ―リーが不安げな顔になったことに気づい...
者は小声で言った。「……あんまりいきなり進歩して、僕を置い...
はいいけど、少しずつ、ゆっくり変わってよ」
ト゛ンはそれを聞いて吹き出した。この弟は本当に我侭だと...
顎を乗せて答えた。
「じゃあ俺からも一つ。P≠NP問題を解くのはいいが、それ...
の問題なんかにとられたくない」
ト゛ンの言葉にチャ―リーは目を見開き、それから笑った。ト...
でもこんな日々が続くことを、ト゛ンは本当にこっそりとだが...
葉を弟に差し出した。
終
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| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧...
| | | | ピッ (...
| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| ...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) ...
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
本当に長くてスマソ。投下しているこっちも分割してるのにくじけ...
この兄弟で書きたかったことは一応書ききることができたよう...
ひとまずこれでおしまいです。
超過疎ジャンルなのに付き合ってくださった方々、本当にあり...
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