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#title(numb*3rs 工ップス兄×弟) [#ib2800a4]
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
| 例によってnum...
____________ \ / ̄ ̄ ̄...
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| これで...
| | | | ...
| | |> PLAY. | | ...
| | | | ∧...
| | | | ピッ (´...
| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(...
そんなわけでnumb*3r兄弟ネタです
立て続けに申し訳ないんですが、これで終わりなので見過ごし...
とりあえず前回までと続いてます
今更気づいたのですが、このドラマを観たことない方にとって...
小ネタをばらされていることになりますね。今回もそうです。ス...
今回は前・中・後編にわけて投下しようと思います
ちなみに平安兄弟のファンです。いつも笑いつつ萌えてます。ト...
もうずいぶん昔のことだが、チャ―リーが生まれたとき、ト゛...
った。賢くて強くて信頼がおける、一番の親友ができたのだと...
びは「刑事ごっこ」だった。ト゛ンはじきにその遊びをすると...
え、悪人を(といっても本当は、極悪非道な犯罪者を演じる近...
分と一緒に捕まえるようになるだろうと考えた。母親の腕に抱...
いときはミルクを飲んでいるちっぽけな赤ん坊を眺めながら、...
ト゛ンはわくわくしながら待った。
ところが、現実はそうはいかなかった。チャ―リーは3歳にな...
思い描いていたのとは違う弟になっていた。お絵かきのために...
ゅうに数字の羅列を書き殴り、おもちゃの銃になど見向きもし...
な野球のバットやボールには、触れることすらない。どうやら...
られないことを理解した少年のト゛ンは、その代わりに弟の世...
誰にも頼らずに一人で何でもできる存在になろうと思った。い...
棒のいない英雄たちは大体、相棒がいない代わりに自分だけで...
なればいいのだと自分に言い聞かせて、そしてほぼその通りに...
彼は自立心の強い子供だった。
自立を心がけたト゛ンが、FBIに入るまで、一番愛したも...
奨学金をもらい、マイナーリーグでとは言えプロとして金を稼...
野球に打ち込んだ。けれどもト゛ンは23歳のときに、それま...
とを決めた。自分のこの才能ではメジャーには行けない。野球...
ーグで不安定な生活することになると悟ったときだ。これまで...
重んじてきた「自立」を量りにかけると、否応なしに「自立」...
業にするにはリスクが高すぎる。若い、ほんの一時しかそれで...
ることが許されるのは、自分がその一時で一生分の金が稼げる...
してト゛ンにはそこまでの才能はない。そこで彼はFBIの試...
した。
FBIに就職が決まったよと言うと、両親はまず驚き、それから...
ちろん満足していた。知性体力ともに抜きん出た(と目の高い...
人間しかこの仕事にはつけない。やりがいはありそうだし、サ...
的には、欠けたところが見えない存在になれたのではないだろ...
りに。
ところがそんなト゛ンに、水を注す人間がいた。もちろんチ...
とき17歳で、一年前にプリンストン大の数学科を卒業し、ス...
ろだった。卒業論文として発表した研究が、学会で大変に評価...
ンも両親から聞いていた。だがト゛ンは正直に言うとチャ―リー...
ったし、普段離れて暮らしていたせいもあって、弟自身とさほ...
んな弟が、ト゛ンの就職を祝うために久しぶりに家族が集まっ...
だ。「野球はどうしたの?」
何気ない一言だったが、ト゛ンの心にそれは妙に鋭く響いた...
わかっていた。両親が気遣わしげな視線を交わすのを目でやり...
と答えた。「野球はやめた。FBIで働くんだ」
チャ―リーはそれを聞いて瞬きし、それから何か口ごもった。...
立てるくせに、何か大事なことを言おうとすると上手く話せな...
分が同席しているときによく起きる現象だと知っていたト゛ン...
いたリブをほおばった。
「あんなに、あんなに才能があったのに?もったいないよ、...
囁くような声でチャ―リーが言う。母親が窘めようとしたのか...
ーは巻き毛を揺らしながらそれを手で制した。
「野球が好きだったんじゃないの?――僕は、僕は力になれる...
ら……」
「力になれるって?」
ト゛ンは苛立ちながら聞き返した。そもそもこの弟に助けな...
度もない。ましてや人生の一大事を、任せられるわけがない。...
だろう?ト゛ンがどれだけ野球を愛し、それに打ち込み、どん...
この弟は知らない。チャ―リーは小さな頃から数字と戯れ、しか...
ものになりそうなのだ。彼は諦めるということが、どんなこと...
チャ―リーはびくりと肩を揺らしたが、一瞬俯いた後で意を決し...
「僕なら有効な打線を読める。数学で試合の展開を読めるよ...
ら――」
「そんなことは誰にもできない。チャ―リー、野球はもうやめ...
満足してる。お前の助けも必要ない」
そう言い放ってト゛ンは立ち上がり、キッチンの冷蔵庫にビ...
に戻ってくる頃には、両親が無理やり挿入した別の話題が始ま...
言いたげだったが、母親に釘を刺されたのかその後はずっと黙...
自分と似通ったものを人はよく愛する。同じ趣味を持つ友人...
み、育てた両親。そして同一の血が流れる兄弟。そう、兄弟は...
段を駆け上がりながら思った。その証拠に、相手がまったくの...
生じたときにはよく「兄弟」と呼びかけるではないか。この世...
いない。そういうことになっているはずだ。
ところが同じであることが前提であるがゆえに、違いが際立...
たここには見える。カインとアベルのように。自分とト゛ンも...
るで違う。そんなことを考えながら乱れた呼吸を整え、チャ―リ...
た。腕時計を見ると、12時を過ぎている。今日の午後、仕事...
とト゛ンはチャ―リーに電話で約束した。絶対だよ、待ってるか...
して忠実にそれからほぼ12時間経つ今まで、ト゛ンからの電...
後の数時間は待ちきれなくなって、呼ばれたらすぐに駆けつけ...
トの近くのレストランで時間を潰していた。この部屋の鍵を渡...
―リーは思った。不安な気持ちで外で電話を待つのではなく、ト...
くるのを待てたらどんなにいいだろう。
でもト゛ンが渡すことはないだろう、と客観的に考えながら...
鳴らした。「ト゛ン?僕だよ、開けてよ」
わかったわかった。そんな物憂げな声と共にゆっくりとドア...
チャ―リーはドアの狭間から顔を出した。「自分の誕生日に真夜...
ゃないよ、工ップス捜査官」
冗談と本気を混ぜ合わせた口調でチャーリは言い、アパート...
いや実際は既に昨日なのだが――はト゛ンの誕生日なのだ。ト゛...
んてめでたくもなんともない、と言ったが、チャーリはどうし...
生日に二人きりで祝うなど、今までには絶対に考えられなかっ...
なんてぼやきながらも、ト゛ンがチャ―リーの願いを聞き入れて...
彼には嬉しかった。
「こんなに遅くなるなんて、ややこしい事件なんだね?ト゛...
チャ―リーが振り向きながら、ドアにチェーンを掛けているト...
竦めた――そして顔を顰めた。痛みを感じたかのように。ト゛ン...
なのだろう、まだスーツ姿で、けれどもジャケットは脱いでい...
ごと破り捨てられ、その代わりに肩に包帯が巻かれている。ト...
滲んだ口調で言った。
「ややこしい事件“だった”んだ。もう解決した。つい数時間...
振り向いたチャ―リーはもうト゛ンの言葉など聞いてなかった...
を小脇に抱えたまま、包帯が巻かれたト゛ンの肩に手を伸ばし...
「チャ―リー、大したことない」
「怪我?深いの?」
シャツを落ち着きなく見ながら、チャ―リーは問うた。ト゛ン...
腕を動かしてチャ―リーの肩に触れた。「落ち着け。大したこと...
「――撃たれたの?」
身体中の血の気が失せていくのがわかった。ト゛ンは構うな...
返した。「弾が掠っただけだ。すぐに治る。チャ―リー、落ち着...
「弾って、銃弾?ト゛ン、撃たれたんだね?」
チャ―リーはそう言って、視線を泳がせた。シャツの襟に微か...
゛ンの血。ト゛ンは返答に困ったのか、瞬きを繰り返した。「…...
撃たれたわけじゃない」
「でも怪我してるじゃないか!ト゛ン、撃たれたんだね」
悲鳴まじりの声を手で制し、ト゛ンはゆっくりと言った。「...
た。……死んだんだ。終わったんだよ。落ち着け」
そう言ってト゛ンはため息をついてみせた。だがチャ―リーは...
なく、うろうろと彼の周囲を歩き回ってから言った。落ち着い...
どうして僕を呼ばなかった?解決まで何日かかったの?包囲網...
数が少なかったの?だからト゛ンが……」
「チャ―リー、終わったんだ」
子供相手にするように繰り返され、チャ―リーは思わず声を荒...
ト゛ン、あともう少しで死ぬところだったんだ!わかってるの...
ト゛ンはうんざりしたように眉間を指で擦った。そして言っ...
とだ。チャ―リー、知ってるだろ?」
それが嫌なのだ、とチャ―リーは思った。こういうことがト゛...
ことが。ト゛ンがやっている仕事は素晴らしいとは思う。人々...
る。そのことは誇りに思う。だが撃たれたり切り付けられたり...
ては困るのだ。だからこそチャ―リーはもっと確実に、迅速に事...
式を使う。ト゛ンを助けるために。よりスマートで安全な方法...
「僕が捜査に参加してたら、こんな――怪我なんてしなかった...
僕を呼ばなかった?事件は何?何だったの?」
震える声で言うと、ト゛ンは目を眇めてみせた。チャ―リーは...
「……幼児誘拐事件だよ。チャ―リー、今回は犯罪社会学者と幼...
協力して、迅速に……」
「僕の方が役に立てたよ!絶対だ!どうして僕を呼ばなかっ...
繰り返される問いに、ト゛ンはしばし沈黙してから答えた。...
要だと思った。居場所の分析パターンも確立しつつある。それ...
いか」
数日前までチャ―リーは学会での発表を控えていて、そのため...
そのこともあって、ト゛ンは今回チャ―リーを捜査に呼ばなかっ...
ってみせた。
チャ―リーはそれを聞いて思わず引きつった笑みを浮かべた。...
ードにスタンプ押してもらえるくらい学会に出てるんだよ!1...
発表してる。そんなの問題ない。ト゛ンに協力できた。彼らっ...
?社会学?馬鹿にしてる!僕は犯人像を予想したりはできない...
は知ってるんだよ!僕の方が役に立つ。ト゛ンを助けられる。...
僕の思考の劣化コピーじゃないか。笑わせないでよ」
わざと険のある言い方をしてやるとト゛ンは眉を顰め、感情...
「お前は役に立つが、お前以外にも役に立つ人材はいる。数...
なこともある。現に今回は州警察から事件を引き継いですぐに...
決した。……最後に誘拐された女の子は助かったんだ」
チャ―リーはそれを聞いて唇を動かし、それから手を口のあた...
はほとんどそんなことはなかったのに、久々に自分がコントロ...
た。上手く話せず、無理に話そうとすると舌が震える。子供の...
ンはやはり子供の頃よくそうしたように、そんなチャ―リーに対...
態度のままでいる。呼吸を鎮めて平常心を取り戻そうとし、話...
ーリはそれでも震える声で言った。「僕の方がト゛ンを助けら...
「チャ―リー」
「どうして言わなかったの?手伝えって、どうして――」
唇が戦慄き、チャ―リーは必死で考えた。ト゛ンが自分に助け...
ンがさっきまでよりは少し苛立ちを含んだ声で言った。
「もうやめろ、チャ―リー」
これがプレゼントか?怪我をしていない手でチャ―リーが大事...
げると、ト゛ンは軽く眉を上げてみせる。チャ―リーはそれに答...
役に立てたんだよ。ト゛ンを守れた。どうしてわからないの?」
「事件が解決したのにお前はどうしてそうこだわるんだ?」
答えの代わりに鋭い問いが返され、チャ―リーは不意に不安に...
強まってきているのがわかる。こうなると口論するのが怖くな...
った。言いたいことが言えなくなり、口を閉ざして頷いてしま...
かったり立ち向かったりすることができないのだ。もう子供で...
なってはいけない、とチャ―リーは自分に言い聞かせた。これは...
「……もっといい方法があるのに、黙って見過ごすことなんて...
が、――ト゛ンが危険に晒されているなら、ベストの方法を……」
完全に正しい方程式を使わないといけない。危険と労力を最...
ないと、ト゛ンは守れない。そうしたときでさえト゛ンはたび...
のだから、推論だけで動いたときにはどれほどの危険が待って...
明しようとしたが、例によって上手く言えなかった。
「彼らのやり方も知らないのに、何故自分の方が優れている...
ト゛ンの尋問するような言葉にチャ―リーは口ごもった。「……...
よ。僕は……」
「違うな。お前は個人的な感情から言ってる。チャ―リー、こ...
と組めるわけじゃないし、それを優先するつもりもない」
開けてもいいのか?ラッピングされた箱を軽く振ってみせる...
と呟いた。チャ―リーは真っ青になって、違う、と繰り返した。...
ト゛ンの言っていることにはどこか嘘がある、と思った。漠...
を探った。彼の言うことは確かに筋が通っている。ほころびは...
はどうだろう。ト゛ンはいつも自分が窮地に陥っても、チャ―リ...
査で協力を要請するときも、お前はお前がやれることだけをや...
をしているのかは教えようともしない。今度もきっとそうなの...
そしてそれをチャ―リーとの話題にしたくないのだ。
「違うよ。個人的な感情なんかじゃない。それだけじゃない...
「いいや、お前は個人的な感情から意見してる。――この話は...
ト゛ンの宣言にチャ―リーはまた口ごもった。そして何秒かの...
になっているのは僕だけじゃない、と言い返そうとした。
けれどもそれはできなかった。何故ならト゛ンがキスをして...
「開けていいんだろ?」
耳元で囁き、プレゼントの入った箱を軽く掲げるト゛ンに、...
なのはおかしい、という気持ちはまだ燻っていた。だが、ト゛...
う一度キスをし、チャ―リーを簡単に篭絡した。ト゛ンはチャ―...
も隣に腰を掛けてプレゼントをありがとうと言った。チャ―リー...
「いいネクタイだな」
器用に箱を片手で開けたト゛ンが目を細めて言う。チャ―リー...
チャ―リーはその顔を見ても、いつものように幸福にはなれなか...
にはわかっていたし、自分がそれに対抗できないのが空しかっ...
が振ってきて、ベッドへ誘われた。
その夜、望んだ通りにト゛ンのベッドで彼と一緒に眠り、誕...
過ぎているのだが――に彼を独り占めしたというのに、チャーリ...
ても傷を負ったト゛ンの肩を直視できなかった。そしてト゛ン...
ことにも気づいて、彼は孤独を感じた。チャ―リーは自分では、...
なれたつもりだったのだ。
____________
| __________ |
| | | |
| | [][] PAUSE | |
| | | | ∧...
| | | | ピッ (...
| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| ...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) ...
そんなわけでまた後日。いつも長々と占領して申し訳ないー
#comment
終了行:
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| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(...
そんなわけでnumb*3r兄弟ネタです
立て続けに申し訳ないんですが、これで終わりなので見過ごし...
とりあえず前回までと続いてます
今更気づいたのですが、このドラマを観たことない方にとって...
小ネタをばらされていることになりますね。今回もそうです。ス...
今回は前・中・後編にわけて投下しようと思います
ちなみに平安兄弟のファンです。いつも笑いつつ萌えてます。ト...
もうずいぶん昔のことだが、チャ―リーが生まれたとき、ト゛...
った。賢くて強くて信頼がおける、一番の親友ができたのだと...
びは「刑事ごっこ」だった。ト゛ンはじきにその遊びをすると...
え、悪人を(といっても本当は、極悪非道な犯罪者を演じる近...
分と一緒に捕まえるようになるだろうと考えた。母親の腕に抱...
いときはミルクを飲んでいるちっぽけな赤ん坊を眺めながら、...
ト゛ンはわくわくしながら待った。
ところが、現実はそうはいかなかった。チャ―リーは3歳にな...
思い描いていたのとは違う弟になっていた。お絵かきのために...
ゅうに数字の羅列を書き殴り、おもちゃの銃になど見向きもし...
な野球のバットやボールには、触れることすらない。どうやら...
られないことを理解した少年のト゛ンは、その代わりに弟の世...
誰にも頼らずに一人で何でもできる存在になろうと思った。い...
棒のいない英雄たちは大体、相棒がいない代わりに自分だけで...
なればいいのだと自分に言い聞かせて、そしてほぼその通りに...
彼は自立心の強い子供だった。
自立を心がけたト゛ンが、FBIに入るまで、一番愛したも...
奨学金をもらい、マイナーリーグでとは言えプロとして金を稼...
野球に打ち込んだ。けれどもト゛ンは23歳のときに、それま...
とを決めた。自分のこの才能ではメジャーには行けない。野球...
ーグで不安定な生活することになると悟ったときだ。これまで...
重んじてきた「自立」を量りにかけると、否応なしに「自立」...
業にするにはリスクが高すぎる。若い、ほんの一時しかそれで...
ることが許されるのは、自分がその一時で一生分の金が稼げる...
してト゛ンにはそこまでの才能はない。そこで彼はFBIの試...
した。
FBIに就職が決まったよと言うと、両親はまず驚き、それから...
ちろん満足していた。知性体力ともに抜きん出た(と目の高い...
人間しかこの仕事にはつけない。やりがいはありそうだし、サ...
的には、欠けたところが見えない存在になれたのではないだろ...
りに。
ところがそんなト゛ンに、水を注す人間がいた。もちろんチ...
とき17歳で、一年前にプリンストン大の数学科を卒業し、ス...
ろだった。卒業論文として発表した研究が、学会で大変に評価...
ンも両親から聞いていた。だがト゛ンは正直に言うとチャ―リー...
ったし、普段離れて暮らしていたせいもあって、弟自身とさほ...
んな弟が、ト゛ンの就職を祝うために久しぶりに家族が集まっ...
だ。「野球はどうしたの?」
何気ない一言だったが、ト゛ンの心にそれは妙に鋭く響いた...
わかっていた。両親が気遣わしげな視線を交わすのを目でやり...
と答えた。「野球はやめた。FBIで働くんだ」
チャ―リーはそれを聞いて瞬きし、それから何か口ごもった。...
立てるくせに、何か大事なことを言おうとすると上手く話せな...
分が同席しているときによく起きる現象だと知っていたト゛ン...
いたリブをほおばった。
「あんなに、あんなに才能があったのに?もったいないよ、...
囁くような声でチャ―リーが言う。母親が窘めようとしたのか...
ーは巻き毛を揺らしながらそれを手で制した。
「野球が好きだったんじゃないの?――僕は、僕は力になれる...
ら……」
「力になれるって?」
ト゛ンは苛立ちながら聞き返した。そもそもこの弟に助けな...
度もない。ましてや人生の一大事を、任せられるわけがない。...
だろう?ト゛ンがどれだけ野球を愛し、それに打ち込み、どん...
この弟は知らない。チャ―リーは小さな頃から数字と戯れ、しか...
ものになりそうなのだ。彼は諦めるということが、どんなこと...
チャ―リーはびくりと肩を揺らしたが、一瞬俯いた後で意を決し...
「僕なら有効な打線を読める。数学で試合の展開を読めるよ...
ら――」
「そんなことは誰にもできない。チャ―リー、野球はもうやめ...
満足してる。お前の助けも必要ない」
そう言い放ってト゛ンは立ち上がり、キッチンの冷蔵庫にビ...
に戻ってくる頃には、両親が無理やり挿入した別の話題が始ま...
言いたげだったが、母親に釘を刺されたのかその後はずっと黙...
自分と似通ったものを人はよく愛する。同じ趣味を持つ友人...
み、育てた両親。そして同一の血が流れる兄弟。そう、兄弟は...
段を駆け上がりながら思った。その証拠に、相手がまったくの...
生じたときにはよく「兄弟」と呼びかけるではないか。この世...
いない。そういうことになっているはずだ。
ところが同じであることが前提であるがゆえに、違いが際立...
たここには見える。カインとアベルのように。自分とト゛ンも...
るで違う。そんなことを考えながら乱れた呼吸を整え、チャ―リ...
た。腕時計を見ると、12時を過ぎている。今日の午後、仕事...
とト゛ンはチャ―リーに電話で約束した。絶対だよ、待ってるか...
して忠実にそれからほぼ12時間経つ今まで、ト゛ンからの電...
後の数時間は待ちきれなくなって、呼ばれたらすぐに駆けつけ...
トの近くのレストランで時間を潰していた。この部屋の鍵を渡...
―リーは思った。不安な気持ちで外で電話を待つのではなく、ト...
くるのを待てたらどんなにいいだろう。
でもト゛ンが渡すことはないだろう、と客観的に考えながら...
鳴らした。「ト゛ン?僕だよ、開けてよ」
わかったわかった。そんな物憂げな声と共にゆっくりとドア...
チャ―リーはドアの狭間から顔を出した。「自分の誕生日に真夜...
ゃないよ、工ップス捜査官」
冗談と本気を混ぜ合わせた口調でチャーリは言い、アパート...
いや実際は既に昨日なのだが――はト゛ンの誕生日なのだ。ト゛...
んてめでたくもなんともない、と言ったが、チャーリはどうし...
生日に二人きりで祝うなど、今までには絶対に考えられなかっ...
なんてぼやきながらも、ト゛ンがチャ―リーの願いを聞き入れて...
彼には嬉しかった。
「こんなに遅くなるなんて、ややこしい事件なんだね?ト゛...
チャ―リーが振り向きながら、ドアにチェーンを掛けているト...
竦めた――そして顔を顰めた。痛みを感じたかのように。ト゛ン...
なのだろう、まだスーツ姿で、けれどもジャケットは脱いでい...
ごと破り捨てられ、その代わりに肩に包帯が巻かれている。ト...
滲んだ口調で言った。
「ややこしい事件“だった”んだ。もう解決した。つい数時間...
振り向いたチャ―リーはもうト゛ンの言葉など聞いてなかった...
を小脇に抱えたまま、包帯が巻かれたト゛ンの肩に手を伸ばし...
「チャ―リー、大したことない」
「怪我?深いの?」
シャツを落ち着きなく見ながら、チャ―リーは問うた。ト゛ン...
腕を動かしてチャ―リーの肩に触れた。「落ち着け。大したこと...
「――撃たれたの?」
身体中の血の気が失せていくのがわかった。ト゛ンは構うな...
返した。「弾が掠っただけだ。すぐに治る。チャ―リー、落ち着...
「弾って、銃弾?ト゛ン、撃たれたんだね?」
チャ―リーはそう言って、視線を泳がせた。シャツの襟に微か...
゛ンの血。ト゛ンは返答に困ったのか、瞬きを繰り返した。「…...
撃たれたわけじゃない」
「でも怪我してるじゃないか!ト゛ン、撃たれたんだね」
悲鳴まじりの声を手で制し、ト゛ンはゆっくりと言った。「...
た。……死んだんだ。終わったんだよ。落ち着け」
そう言ってト゛ンはため息をついてみせた。だがチャ―リーは...
なく、うろうろと彼の周囲を歩き回ってから言った。落ち着い...
どうして僕を呼ばなかった?解決まで何日かかったの?包囲網...
数が少なかったの?だからト゛ンが……」
「チャ―リー、終わったんだ」
子供相手にするように繰り返され、チャ―リーは思わず声を荒...
ト゛ン、あともう少しで死ぬところだったんだ!わかってるの...
ト゛ンはうんざりしたように眉間を指で擦った。そして言っ...
とだ。チャ―リー、知ってるだろ?」
それが嫌なのだ、とチャ―リーは思った。こういうことがト゛...
ことが。ト゛ンがやっている仕事は素晴らしいとは思う。人々...
る。そのことは誇りに思う。だが撃たれたり切り付けられたり...
ては困るのだ。だからこそチャ―リーはもっと確実に、迅速に事...
式を使う。ト゛ンを助けるために。よりスマートで安全な方法...
「僕が捜査に参加してたら、こんな――怪我なんてしなかった...
僕を呼ばなかった?事件は何?何だったの?」
震える声で言うと、ト゛ンは目を眇めてみせた。チャ―リーは...
「……幼児誘拐事件だよ。チャ―リー、今回は犯罪社会学者と幼...
協力して、迅速に……」
「僕の方が役に立てたよ!絶対だ!どうして僕を呼ばなかっ...
繰り返される問いに、ト゛ンはしばし沈黙してから答えた。...
要だと思った。居場所の分析パターンも確立しつつある。それ...
いか」
数日前までチャ―リーは学会での発表を控えていて、そのため...
そのこともあって、ト゛ンは今回チャ―リーを捜査に呼ばなかっ...
ってみせた。
チャ―リーはそれを聞いて思わず引きつった笑みを浮かべた。...
ードにスタンプ押してもらえるくらい学会に出てるんだよ!1...
発表してる。そんなの問題ない。ト゛ンに協力できた。彼らっ...
?社会学?馬鹿にしてる!僕は犯人像を予想したりはできない...
は知ってるんだよ!僕の方が役に立つ。ト゛ンを助けられる。...
僕の思考の劣化コピーじゃないか。笑わせないでよ」
わざと険のある言い方をしてやるとト゛ンは眉を顰め、感情...
「お前は役に立つが、お前以外にも役に立つ人材はいる。数...
なこともある。現に今回は州警察から事件を引き継いですぐに...
決した。……最後に誘拐された女の子は助かったんだ」
チャ―リーはそれを聞いて唇を動かし、それから手を口のあた...
はほとんどそんなことはなかったのに、久々に自分がコントロ...
た。上手く話せず、無理に話そうとすると舌が震える。子供の...
ンはやはり子供の頃よくそうしたように、そんなチャ―リーに対...
態度のままでいる。呼吸を鎮めて平常心を取り戻そうとし、話...
ーリはそれでも震える声で言った。「僕の方がト゛ンを助けら...
「チャ―リー」
「どうして言わなかったの?手伝えって、どうして――」
唇が戦慄き、チャ―リーは必死で考えた。ト゛ンが自分に助け...
ンがさっきまでよりは少し苛立ちを含んだ声で言った。
「もうやめろ、チャ―リー」
これがプレゼントか?怪我をしていない手でチャ―リーが大事...
げると、ト゛ンは軽く眉を上げてみせる。チャ―リーはそれに答...
役に立てたんだよ。ト゛ンを守れた。どうしてわからないの?」
「事件が解決したのにお前はどうしてそうこだわるんだ?」
答えの代わりに鋭い問いが返され、チャ―リーは不意に不安に...
強まってきているのがわかる。こうなると口論するのが怖くな...
った。言いたいことが言えなくなり、口を閉ざして頷いてしま...
かったり立ち向かったりすることができないのだ。もう子供で...
なってはいけない、とチャ―リーは自分に言い聞かせた。これは...
「……もっといい方法があるのに、黙って見過ごすことなんて...
が、――ト゛ンが危険に晒されているなら、ベストの方法を……」
完全に正しい方程式を使わないといけない。危険と労力を最...
ないと、ト゛ンは守れない。そうしたときでさえト゛ンはたび...
のだから、推論だけで動いたときにはどれほどの危険が待って...
明しようとしたが、例によって上手く言えなかった。
「彼らのやり方も知らないのに、何故自分の方が優れている...
ト゛ンの尋問するような言葉にチャ―リーは口ごもった。「……...
よ。僕は……」
「違うな。お前は個人的な感情から言ってる。チャ―リー、こ...
と組めるわけじゃないし、それを優先するつもりもない」
開けてもいいのか?ラッピングされた箱を軽く振ってみせる...
と呟いた。チャ―リーは真っ青になって、違う、と繰り返した。...
ト゛ンの言っていることにはどこか嘘がある、と思った。漠...
を探った。彼の言うことは確かに筋が通っている。ほころびは...
はどうだろう。ト゛ンはいつも自分が窮地に陥っても、チャ―リ...
査で協力を要請するときも、お前はお前がやれることだけをや...
をしているのかは教えようともしない。今度もきっとそうなの...
そしてそれをチャ―リーとの話題にしたくないのだ。
「違うよ。個人的な感情なんかじゃない。それだけじゃない...
「いいや、お前は個人的な感情から意見してる。――この話は...
ト゛ンの宣言にチャ―リーはまた口ごもった。そして何秒かの...
になっているのは僕だけじゃない、と言い返そうとした。
けれどもそれはできなかった。何故ならト゛ンがキスをして...
「開けていいんだろ?」
耳元で囁き、プレゼントの入った箱を軽く掲げるト゛ンに、...
なのはおかしい、という気持ちはまだ燻っていた。だが、ト゛...
う一度キスをし、チャ―リーを簡単に篭絡した。ト゛ンはチャ―...
も隣に腰を掛けてプレゼントをありがとうと言った。チャ―リー...
「いいネクタイだな」
器用に箱を片手で開けたト゛ンが目を細めて言う。チャ―リー...
チャ―リーはその顔を見ても、いつものように幸福にはなれなか...
にはわかっていたし、自分がそれに対抗できないのが空しかっ...
が振ってきて、ベッドへ誘われた。
その夜、望んだ通りにト゛ンのベッドで彼と一緒に眠り、誕...
過ぎているのだが――に彼を独り占めしたというのに、チャーリ...
ても傷を負ったト゛ンの肩を直視できなかった。そしてト゛ン...
ことにも気づいて、彼は孤独を感じた。チャ―リーは自分では、...
なれたつもりだったのだ。
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| | [][] PAUSE | |
| | | | ∧...
| | | | ピッ (...
| | | | ◇⊂ ...
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| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) ...
そんなわけでまた後日。いつも長々と占領して申し訳ないー
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