ページ内容へ
ナビゲーションへ
当サイトをご覧いただくにはブラウザの設定で
JavaScriptを有効に設定
する必要がございます。
ページの一覧
最終更新一覧
ヘルプ
ホーム
使い方
文字サイズ:小
文字サイズ:中
文字サイズ:大
1つ前のページに戻る
21-499
をテンプレートにして作成
開始行:
#title(平安Ⅲ) [#j6eb88d0]
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
| 流石兄弟 平...
____________ \ / ̄ ̄ ̄...
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 後で残...
| | | | ...
| | |> PLAY. | | ...
| | | | ∧...
| | | | ピッ (´...
| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(...
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
雨が降っている。
今宵は兄者が珍しく宿直(とのい)に出たので、火桶は近づけ...
格子は全て下ろしているので、燭台の灯りのみの部屋は暗い...
つなぐ必要のある幾人かの女房のための文を書き上げた弟者...
この中で寝るのも久しぶりである。
無茶をやるので以前壊した。まさか閨の行為が激しくてそん...
この東北の対で使う雑仕は、口のきけない者、口の少ない者を...
夜は更けている。けれど弟者は眠れない。膚寒くて眠れない。
自分が宿直の夜なぞは決まった時間以外は誰かの局を訪れる...
それでどうにか紛らわせる。
けれど、こんな夜はいつも不安になる。
もともとこれが自分本来の立場なのに、華やいだ場を知るこ...
それは楽しいが、いざとなれば捨てることが出来る。振り出し...
しかし、捨てられないモノが一つある。
―――バカ野郎。
寝返りだけが増えていく。
今は内大臣である方が大納言であった時、その時代忌まれる...
その母君の恩により、それは秘されて一人とされた。
世にときめくはただ兄の名のみ。
けれども真実(まこと)は一つにあらず。元服を過ぎたその頃...
それもそのはずその面差しは、二つに割った玉の如く、どち...
しかしその性質は大きく異なる。お互いの好みに従って、五...
渡殿を通る足音で、ふいに機嫌が直る。
妻戸が開いて外の風が入る頃には、世間ではクールとされる...
すっかり冷え切った指がいきなり髪に埋められ、少しかき乱...
「お休み」
「おい」
「寝てないのだ」
「どこへ行った!」
「行ってない。来たのだ」
思わず胸元をつかむが、相手は落ち着いて肩を叩く。
「まず左馬頭(友者)と藤式部の丞(オタラー)だ」
桐壺に与えられたその宿直所に、彼らが訪れて話し込むこと...
なんだ、と彼は手を放す。二人して厚畳の上に座る。
「中流の女はいいな、とか、あんまり所帯じみてるのもな、...
しかし女博士もあんまりだ、とかバカ話をしていた」
彼らならそうだろう、と弟者はうなづく。
「そのうち萌え語りになった」
「ほう」
「で、俺が妹萌えについて語っていると、すごい勢いで何者...
誰かと思えば左大臣の末の弟君、従五位下だがまだ官職にもつ...
「うむ」
「そうして俺の言葉をさえぎって姉萌えについて熱く語るで...
あっけにとられたがここは妹萌えの首領としてこちらも黙って...
ケンケンガクガク言い争っていると、そこに式部卿の宮、つまりモラ...
「ふむふむ」
「そして彼はSMの真髄について語りだすのだ。これは萌えと...
「さあ」
「まあ、主上の同腹の弟君に逆らうのもよくないだろう、と...
なんせ坊やはまだ若い。平気でさえぎって姉萌えオプションGカ...
「それなら語りがいがあるだろう」
「らしいな。しかしモララー殿もさるもの、ご自分の寵愛な...
といいたくなるほど話し続ける。もちろん、性的な意味で。こ...
妹キャラの愛らしさについてつい話したくなる。そこに先の二...
来たね、ヤツが」
「誰だ?」
「我らが上司。左大臣の弟君の一人。蔵人の頭にして右近衛...
「ヤツか」
「うむ。騒がしいから抑えに来たのかと思った。だが違う。...
「あの男にか。なんだ」
「百合萌えだ」
「………激しく納得」
「萌えるに足るはただ百合のみ、姉萌え妹萌えSM萌えも全て...
彼の弟である坊やなんか口を開けてぽかーんとしている」
「だろうな」
「俺でさえ一瞬、洗脳されそうになった。オパーイが二つでなく...
「ってゆーか…」
「だがしかし、今まで妹単体萌えであった俺が、そうも簡単...
そのうち収拾がつかなくなり、そう決まったのだ」
「どう決まったのだ」
「萌え合わせを試みようと。今月末、左大臣家のヤツの居室...
「なんだ萌え合わせとは」
「歌合せのようなものかな。まあ和歌でも漢詩でもSSでもイ...
「作るのか?」
「絵師や小器用な女房などに頼まず、自分でやることに意義...
で、中でも最もいい作品を作った者には【萌え王】の称号を与...
「イラネ」
「何を言う。すばらしいではないか。俺は狙っている」
兄者は得意そうに腰に手をあてた。
「萌え王様に俺はなる!」
「超どうでもええ。一首詠んでやる。柔肌のあつき血潮に触...
「時代が違ううえに先に誰かが思いついていそうだな」
「いいんだ。まあとにかく、触れなば落ちん、といった女房...
「わかってないなぁ」
あきれたように弟を見る。
「やることなんて猫でも出来るだろう。しかし欲望を見据え...
なおかつ人様に見てもらうなんてなかなか高等な遊びだぞ」
―――おまえこそ、わかっていない。
誰もいないこの部屋で、与えられた物語などは体を温めては...
彼らはしょせん坊ちゃんで、恵まれたリアルに飽いているから...
自由に虚構を弄ぶことが出来るのだ、と弟者は考える。
「猫ですか」
どうも視線が怪しい。兄者は少し体をずらした。逆に弟者は...
「とすると、後ろからだな。首に鈴でもつけてみようかな」
「俺は寝てないのだが」
腕を捕らえて、引き寄せる。
「………オレもですよ」
浮かべた笑みは凶悪、と評するにふさわしかった。
雨は降り続いている。
その音に、途切れがちな声が混じっている。
呼ばれないときには人を近寄せないこの場所を、区切ってい...
唯一、気ままにそこを訪れる妹君も、宿直開けをおもんぱか...
声はいつしか濡れていく。
外の雨に侵されたように。
相手を追いつめながら、自分も追われて、瀬戸際にたどり着...
確かに彼は感じている。吐息は熱く、雄のにおいが濃い。
しかし判るのはそれだけだ。心の中など見えはしない。
同じ顔をしてはいても、どんなに体を重ねても、相手になれ...
それでも。
躯が震えた。自分の熱が吐き出される。
少し遅れて相手が揺らぐ。
それを固く抱きとめる。
果てた後でも抱きしめたい唯一の人。
自分の執着。自分の劣情。自分の全て。
そして---自分の憎しみ。
雨はまだ、降り続いている。
奏上する文書を用意して、頭中将に手渡した。
彼はいつもの表情の読めない顔で受け取り、そのくせ小さな...
激しくどうでもいい。歌いたくなるぐらいどうでもいい。
しかしここは兄者になりきって、「こちらこそ」と答えてす...
大体、この男は得体が知れない。
職に関しては有能だ。どんな状況でも激することなく、淡々...
言葉は慇懃なほどに丁寧で、下の者にもそれは変わらない。
また、楽の腕も確かで、さまざまな音を自由に扱う。
容姿もけして悪くない。たとえにくい独特の顔立ちだが、割...
けれど、何をどうみてどう感じるのか。それがどうも窺い知...
かてて加えてその上に、彼方にいると思ったらこちらにいる...
疑いたくなるような現れ方をする。
―――まさか、あの姫は話してないだろうな。
この男の妹の二の姫が、兄者の正室である。ただし通常の関...
しかし彼にそんな気配はなく、文書を抱えて陣座(じんのざ)...
安堵していると、モララー殿が扇の影から目配せする。あい...
その後なんと通りすがった従兄弟者が、「当日行くとあのバ...
驚いて振り返ったときにはもういない。
あんな男でも何か萌えがあるのか。実に不思議である。きっ...
そんなこんなでどこか宮中の空気が浮ついている。
だが隙をついて遊びに行った女房たちはいつもと変わらなか...
みちのく紙を前にして、真剣な表情で筆を取る。
充分に墨を含ませたそれを一息に走らせる。柔らかな曲線が...
兄者は、顔をしかめてそれを丸めた。
筆の後ろをくわえて考え込んでいると、慣れた足音が響いて...
「文か?」
冷えた頬が近寄るので、そこに軽く口付ける。
身を寄せると立ち上る甘い、誰かのにおい。
いつものことだ、と内心肩をすくめる。
「いや、イラストだ。なかなか上手くいかん」
「どれ、見せてみろ」
燭台を手近に寄せ、反古の中からましな物を選んで広げる。
「……バランスが悪いな。妹者か?」
「うむ。なかなか難しい」
「衣装は割合によく描けている。問題は顔だな」
「可愛いものはかえって描きにくいな。そうでないものは簡...
「たとえば」
「ふむ。見ておけ」
さらさらと筆が流れる。あっという間に輪郭が築かれ、十二...
「うおお……イノキか」
「イノキだ。髪と着物は脚色したが」
「目をつぶりたくなるほどにそっくりだ。見事だ、この顎の...
「我ながら恐ろしいまでの才能だ」
イノキとは、妹者気に入りの侍女である。残念ながらあまり...
その上かなりそそっかしくて、雀を逃がしたりドールハウスを...
「なんだか見ているうちに呪われているような気分になって...
「女の子の絵姿に対して、それはあまりに失礼であろう。…と...
兄者は少し考え、ぽん、と手を打った。
「そういえばこの間、非常に短くて効果的だという経の一説...
なんでも、清めたい人物の名を唱えてこの経を叫ぶのだそうだ」
「ほう、どんなのだ」
「陀羅尼経の一種らしい。俺が唱えたらすぐに復唱しろ。
何回か叫ばなくてはならんらしい。いいか」
「わかった」
「イノキ!梵婆家っ!」
「イノキっ!梵婆家!」
「イノキ!梵婆家っ!」
「イノキっ!梵婆家!……本当に効果があるのか?」
「……さあ」
絵姿を脇に避け、新しい紙を取り出す。
「せっかくだから、これは本人にやろう」
「喜ぶ…かもしれん」
「それはそうと妹者だ……ぐがぁ、またダメだ」
「どれ貸してみろ……ここはこう」
「ほう」
「で、こう描いて、こう」
尊敬のまなざしが注がれる。
「さすがだな。これはいい。実に愛らしい。これを出すこと...
「自作を出すんじゃなかったのか」
「なに、おまえのなら俺のだよ、うん」
「………そうか」
弟者はそれ以上何も言わず、嬉しそうな兄の横で目を伏せた。
誰もいない釣り殿で、篝火に照らされた池を見ている。
雨はやんだが雲が濃く、優しいはずの月は見えない。
遣り水の流れはゆるく、池の水面をそっと揺らす。
高欄に寄りかかり、その波紋を眺めていると、水に映った自...
―――昔はものを思はざりけり、とは言ったもんだな。
渡殿を走って帰ってきた、幼い兄者が目に浮かぶ。
とびついてまず抱きついて、頬を合わせた。それから外を話...
あの頃も妬みも恨みもあったが、こんなもの想いではなかっ...
空気はひどく冷たい。小袖の上に幾枚もの衣を重ねているが...
これ以上、何を求めているのかよくわからない。多分、兄者...
この憂いは晴れない気がする。
振り返ると対の屋は全て静かで、宿直の者まで眠っているよ...
夜だったら、完全に人払いをした後ならここで二人で遊んで...
夏にほとりで遊ぶのは実に楽しかった。
秋はどんぐりを拾った。
冬は氷に石を投げた。
春は桜を眺めた………全て夜に。
弓は自室の裏で練習できたが、馬は兄者と交代か、深夜に父...
オレはあんたじゃねぇよ、とつぶやいてみた。
出仕した彼の帰りを待っている。
細い月は高く昇ったが、兄者は帰らない。
宿直の予定ではなかったが、と首をかしげていると妹者が渡...
「小さい兄者、大臣の姫より文なのじゃ」
開いてみて動転した。兄者か頭中将にさらわれたらしい。
自室には入れないが、様子だけは伺えたことが記されている。
彼女のことは気に食わないが、この時ばかりは感謝した。
「妹者、頼まれてくれるか」
「もちろんじゃ」
またアレか。弟者は軽くため息をついた。
部屋の室礼(しつらい)は悪くなかった。
御簾や几帳も新しく、色目もなかなか洗練されている。畳の...
そんな中で、柱に縛り付けられている。
「いい加減、離していただけませんか」
「申し訳ありませんね、話してくださるまでそうはいかない...
「弟君のでも探ったらどうです」
「漢詩らしいですね。平仄がどうのこうのとつぶやいていま...
モララー殿の趣味はあまり支持を集めないようですし、
左馬頭・式部丞も恐るにに足らず……あなただけなのですよ、義...
「従兄弟者とシーン殿も参加なさるようですよ」
「彼らは彼らで競っていただきましょう。例のご趣味ですか...
道は違えど敬意はもってますよ、わが桃姫」
悪趣味なことに、長らく人気のエンターティメント(特殊な双...
「髭の救助者が亀を踏みながら現れてくれるといいのですけ...
「心あたりがありますか」
「残念ながら、よい髭にめぐり合っておりませんので」
「そうですか。それではお話ください、扱ってらっしゃる題...
「妹萌え、とは語ったはずです」
「和歌ですか?SS?ワタクシ、この萌え王に命を賭けており...
安い命だ、と思う。確かに萌えは大事だが、俺の命は別のも...
「お話にならないな」
両手を広げて言いたいが、あいにく縛られている。
「仕方がありませんね。私、そんな趣味はありませんが嫌が...
「………」
割りにこいつ、キスが上手いな、と兄者は考える。
「いかがです?おや、お困りのようですね。…話していただけ...
初菊を散らすのは痛いそうですよ」
―――いや、初めてじゃないから。
「そのような経験がおありですか」
「いえ全然。わたくしめは百合にしか興味ございません。……...
部屋の外の廂(ひさし)に侍女がひざをついて何か言っている。
「彼女の部屋に美しい姫君が!行きますっ!失礼っ!」
凄い勢いですっ飛んで行ってしまった。
その後に逆側の回廊から人影が現れる。
妻戸をくぐる長い髪。柔らかな衣擦れの音。
「今、何していた」
「おお、本格的だな。ヅラか?」
「そうだ。妹者と来た。彼女はあんたの正室のとこにいる」
「なるほど。…ほどいてくれ」
「その前に言え。何をしていた」
「俺はかわいそうな犠牲者だ。助けてくれ」
むっとした表情のままの弟者が顔を近づけると、なぜか兄者...
「ヤツには許しといて俺とは嫌なのかよ!」
「あれはいきなりで逃げられなかったんだ。それとその格好...
ああ、と彼は納得する。
「確かに鏡を見てぞっとした……でも、中身はオレだ」
そっと唇を重ねる。
「……なるほど、おまえだ」
「だろ」
ふいに妻戸が開いた。
「可愛い姫君ですが私、ロリ趣味は……あなたは!」
さっと扇を広げ、瞳だけ出して嫣然と笑う。
「お忘れですか、頭中将」
「……尚侍の君」
似ているのをいいことに、姉者になりきる。
「弟を返していただきますわ」
「何故ここに?どうしてご存知なのですか?」
軽いウィンクが投げられる。
「妹君にお伝えくださいな。あの日のアナタは素敵だったっ...
ぱたり、と中将が倒れた。
「……萌え死んだな」
「生き返る前にさっさと帰ろう」
「頭を潰しといたほうがよくないか」
「そんなことをすると多分、増殖する。ほっておこう」
「うむ」
騒ぎの為か、次の日兄者は熱を出した。
それでも他者の作品が気になって、止める弟者を振り切って...
萌え合わせの当日、どう無理しても体が動かなかった。
「仕方がない。おまえが行け」
「仕事じゃないんだから休めばいいじゃないか」
「仕事より大事だ」
「それが人生で一番大事なモノなのか」
「それはおまえ。次が妹者。その次がこれだ」
相変わらず弟を使うのが上手い。赤面しつつ承諾せざるを得...
「あれから休み続けた頭中将も気になる。見事萌え王になっ...
「承知……だが、黙って寝とけ」
心配で、ぎりぎりまで枕もとで見守り、せかされて慌てて絵...
浅い夢をいくつか見た。
自分の帰りを待っていた小さな弟者が飛びついて頬をくっつ...
冴え渡る月の銀の光。牛車から眺めた風にのる紅葉。
華やかに人を呼び、宴となった自分の元服。
家族だけで見守った彼の元服。
気持ちを止められずに重ねた唇。
―――そりゃ違うけどさ、そこが良くないか。
熱に浮かされつつそう思う。
恵まれた立場である自分がそう考えるのは傲慢かもしれない...
眠りがまた、彼をさらう。近寄ってきた夢の中に、中将の唇。
―――OK、精神的ブラクラget……
その夢を遠くへ蹴りやって、別の小さな夢を探した。
夕闇が落ちてきた頃に響く足音は、いつもより速い。
病んだ相手への気遣いと、別種の気持ちの揺れとが読み取れ...
兄者は体を起こしてそれを迎えた。
「……大丈夫か?」
「大分、楽だ。して、首尾は?」
「その前にだ、知っていたならなぜ教えてくれんのだ。腰を...
「ん?」
「従兄弟者だ。コスプレか。コスプレが萌えなのか、あの男...
「情報通のおまえが知らなかったのか?有名な話だぞ」
「あいつのことは頭が拒否するんだ。シーン殿はわかる。並...
だが、あの男だぞ。あのひねた男が楊貴妃だぞっ」
「ほう、今回は唐ものか。シーン殿は?」
「当然、西施だ。いや、だからあいつが何故……」
「おまえだって似たようなコトしたじゃん」
「オレはあんたのために仕方なくだっ。そんな趣味あるか!」
「まあまあ。で、萌え王は?」
「あせるな。坊やはやはり漢詩だった。大津皇子とその姉の...
「それか?」
「違う。左馬頭は萌え萌えの打臥(うちふし)の巫女のイラス...
「ああ、あの身をやつして市で物を売るのが趣味だと言う変...
「そうだ、そいつだ。モララー殿は予想通り。和歌入りイラ...
「で、萌え王は誰なのだ」
弟者が口ごもる。兄者がその袖を引く。目つきが鋭い。
「言え」
「………頭中将だ」
「なんだとーーっ」
「落ち着け。熱が上がる」
「これが落ち着けるかっ。題材は何だっ!」
「絵巻だ。物語りもイラストも自作。あいつ休んだのみなら...
「内容は?」
「それが」
落ち着きなく視線をさ迷わせる。兄者は彼の衿もとを掴んだ。
「さっさと言え」
「当然百合だが……お前の正室とうちの姉者のエロエロのやつ…...
さすがに怒るか、と思ったが、兄者は別の方に激した。
「見たかった---!」
「『お姉さま、堪忍……ウチ、もう………』『こんなにしてしまっ...
といった具合で凄いんだ、これが」
「俺の、というかおまえのは?次点ぐらいいったか?」
「………」
珍しく弟者がキョドっている。不審に思った兄者が揺さぶる。
「すまん」
「何だ?」
「あの時、慌てて出かけたもんだから、その…間違えて……」
「?」
「イノキのイラストを持って行ってしまった」
ぱっくりと開かれた瞳と口のせいで、兄者は別人のように見...
「な、な、なんだとーーーっ」
「間違いだから取りに帰ると言ったのだが、許してもらえず...
おまえ、今回の萎え王に決定した」
ぱたり、と兄者が倒れた。これは萎え死にというべきか、と...
あっという間に生き返って、瞬時に彼を押し倒した。
「お、おい」
「お仕置きというものが必要のようだな、弟者くん」
「よせ、熱が上がるって!」
「やかましい。黙って下で喘いどけっ」
黙ったまま喘ぐとはこれ如何に、と考える間もあらばこそ、...
「ちょ、ちょ…待………」
「待たねぇ」
「時にモチつけ!……っ………」
腕の中に捕らわれて、いつもより熱い体に抱きすくめられて...
供えられた贄のように扱われる。
「覚悟しろよ」
―――熱あるくせに無茶だって
とは言うもの少し手荒い行為に、ちょっと感じてしまったこ...
...
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧...
| | | | ピッ (...
| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| ...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) ...
遅くなりましたが、以前AA作ってくださった方、ありがとう!
#comment
終了行:
#title(平安Ⅲ) [#j6eb88d0]
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
| 流石兄弟 平...
____________ \ / ̄ ̄ ̄...
| __________ |  ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄| 後で残...
| | | | ...
| | |> PLAY. | | ...
| | | | ∧...
| | | | ピッ (´...
| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(...
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
雨が降っている。
今宵は兄者が珍しく宿直(とのい)に出たので、火桶は近づけ...
格子は全て下ろしているので、燭台の灯りのみの部屋は暗い...
つなぐ必要のある幾人かの女房のための文を書き上げた弟者...
この中で寝るのも久しぶりである。
無茶をやるので以前壊した。まさか閨の行為が激しくてそん...
この東北の対で使う雑仕は、口のきけない者、口の少ない者を...
夜は更けている。けれど弟者は眠れない。膚寒くて眠れない。
自分が宿直の夜なぞは決まった時間以外は誰かの局を訪れる...
それでどうにか紛らわせる。
けれど、こんな夜はいつも不安になる。
もともとこれが自分本来の立場なのに、華やいだ場を知るこ...
それは楽しいが、いざとなれば捨てることが出来る。振り出し...
しかし、捨てられないモノが一つある。
―――バカ野郎。
寝返りだけが増えていく。
今は内大臣である方が大納言であった時、その時代忌まれる...
その母君の恩により、それは秘されて一人とされた。
世にときめくはただ兄の名のみ。
けれども真実(まこと)は一つにあらず。元服を過ぎたその頃...
それもそのはずその面差しは、二つに割った玉の如く、どち...
しかしその性質は大きく異なる。お互いの好みに従って、五...
渡殿を通る足音で、ふいに機嫌が直る。
妻戸が開いて外の風が入る頃には、世間ではクールとされる...
すっかり冷え切った指がいきなり髪に埋められ、少しかき乱...
「お休み」
「おい」
「寝てないのだ」
「どこへ行った!」
「行ってない。来たのだ」
思わず胸元をつかむが、相手は落ち着いて肩を叩く。
「まず左馬頭(友者)と藤式部の丞(オタラー)だ」
桐壺に与えられたその宿直所に、彼らが訪れて話し込むこと...
なんだ、と彼は手を放す。二人して厚畳の上に座る。
「中流の女はいいな、とか、あんまり所帯じみてるのもな、...
しかし女博士もあんまりだ、とかバカ話をしていた」
彼らならそうだろう、と弟者はうなづく。
「そのうち萌え語りになった」
「ほう」
「で、俺が妹萌えについて語っていると、すごい勢いで何者...
誰かと思えば左大臣の末の弟君、従五位下だがまだ官職にもつ...
「うむ」
「そうして俺の言葉をさえぎって姉萌えについて熱く語るで...
あっけにとられたがここは妹萌えの首領としてこちらも黙って...
ケンケンガクガク言い争っていると、そこに式部卿の宮、つまりモラ...
「ふむふむ」
「そして彼はSMの真髄について語りだすのだ。これは萌えと...
「さあ」
「まあ、主上の同腹の弟君に逆らうのもよくないだろう、と...
なんせ坊やはまだ若い。平気でさえぎって姉萌えオプションGカ...
「それなら語りがいがあるだろう」
「らしいな。しかしモララー殿もさるもの、ご自分の寵愛な...
といいたくなるほど話し続ける。もちろん、性的な意味で。こ...
妹キャラの愛らしさについてつい話したくなる。そこに先の二...
来たね、ヤツが」
「誰だ?」
「我らが上司。左大臣の弟君の一人。蔵人の頭にして右近衛...
「ヤツか」
「うむ。騒がしいから抑えに来たのかと思った。だが違う。...
「あの男にか。なんだ」
「百合萌えだ」
「………激しく納得」
「萌えるに足るはただ百合のみ、姉萌え妹萌えSM萌えも全て...
彼の弟である坊やなんか口を開けてぽかーんとしている」
「だろうな」
「俺でさえ一瞬、洗脳されそうになった。オパーイが二つでなく...
「ってゆーか…」
「だがしかし、今まで妹単体萌えであった俺が、そうも簡単...
そのうち収拾がつかなくなり、そう決まったのだ」
「どう決まったのだ」
「萌え合わせを試みようと。今月末、左大臣家のヤツの居室...
「なんだ萌え合わせとは」
「歌合せのようなものかな。まあ和歌でも漢詩でもSSでもイ...
「作るのか?」
「絵師や小器用な女房などに頼まず、自分でやることに意義...
で、中でも最もいい作品を作った者には【萌え王】の称号を与...
「イラネ」
「何を言う。すばらしいではないか。俺は狙っている」
兄者は得意そうに腰に手をあてた。
「萌え王様に俺はなる!」
「超どうでもええ。一首詠んでやる。柔肌のあつき血潮に触...
「時代が違ううえに先に誰かが思いついていそうだな」
「いいんだ。まあとにかく、触れなば落ちん、といった女房...
「わかってないなぁ」
あきれたように弟を見る。
「やることなんて猫でも出来るだろう。しかし欲望を見据え...
なおかつ人様に見てもらうなんてなかなか高等な遊びだぞ」
―――おまえこそ、わかっていない。
誰もいないこの部屋で、与えられた物語などは体を温めては...
彼らはしょせん坊ちゃんで、恵まれたリアルに飽いているから...
自由に虚構を弄ぶことが出来るのだ、と弟者は考える。
「猫ですか」
どうも視線が怪しい。兄者は少し体をずらした。逆に弟者は...
「とすると、後ろからだな。首に鈴でもつけてみようかな」
「俺は寝てないのだが」
腕を捕らえて、引き寄せる。
「………オレもですよ」
浮かべた笑みは凶悪、と評するにふさわしかった。
雨は降り続いている。
その音に、途切れがちな声が混じっている。
呼ばれないときには人を近寄せないこの場所を、区切ってい...
唯一、気ままにそこを訪れる妹君も、宿直開けをおもんぱか...
声はいつしか濡れていく。
外の雨に侵されたように。
相手を追いつめながら、自分も追われて、瀬戸際にたどり着...
確かに彼は感じている。吐息は熱く、雄のにおいが濃い。
しかし判るのはそれだけだ。心の中など見えはしない。
同じ顔をしてはいても、どんなに体を重ねても、相手になれ...
それでも。
躯が震えた。自分の熱が吐き出される。
少し遅れて相手が揺らぐ。
それを固く抱きとめる。
果てた後でも抱きしめたい唯一の人。
自分の執着。自分の劣情。自分の全て。
そして---自分の憎しみ。
雨はまだ、降り続いている。
奏上する文書を用意して、頭中将に手渡した。
彼はいつもの表情の読めない顔で受け取り、そのくせ小さな...
激しくどうでもいい。歌いたくなるぐらいどうでもいい。
しかしここは兄者になりきって、「こちらこそ」と答えてす...
大体、この男は得体が知れない。
職に関しては有能だ。どんな状況でも激することなく、淡々...
言葉は慇懃なほどに丁寧で、下の者にもそれは変わらない。
また、楽の腕も確かで、さまざまな音を自由に扱う。
容姿もけして悪くない。たとえにくい独特の顔立ちだが、割...
けれど、何をどうみてどう感じるのか。それがどうも窺い知...
かてて加えてその上に、彼方にいると思ったらこちらにいる...
疑いたくなるような現れ方をする。
―――まさか、あの姫は話してないだろうな。
この男の妹の二の姫が、兄者の正室である。ただし通常の関...
しかし彼にそんな気配はなく、文書を抱えて陣座(じんのざ)...
安堵していると、モララー殿が扇の影から目配せする。あい...
その後なんと通りすがった従兄弟者が、「当日行くとあのバ...
驚いて振り返ったときにはもういない。
あんな男でも何か萌えがあるのか。実に不思議である。きっ...
そんなこんなでどこか宮中の空気が浮ついている。
だが隙をついて遊びに行った女房たちはいつもと変わらなか...
みちのく紙を前にして、真剣な表情で筆を取る。
充分に墨を含ませたそれを一息に走らせる。柔らかな曲線が...
兄者は、顔をしかめてそれを丸めた。
筆の後ろをくわえて考え込んでいると、慣れた足音が響いて...
「文か?」
冷えた頬が近寄るので、そこに軽く口付ける。
身を寄せると立ち上る甘い、誰かのにおい。
いつものことだ、と内心肩をすくめる。
「いや、イラストだ。なかなか上手くいかん」
「どれ、見せてみろ」
燭台を手近に寄せ、反古の中からましな物を選んで広げる。
「……バランスが悪いな。妹者か?」
「うむ。なかなか難しい」
「衣装は割合によく描けている。問題は顔だな」
「可愛いものはかえって描きにくいな。そうでないものは簡...
「たとえば」
「ふむ。見ておけ」
さらさらと筆が流れる。あっという間に輪郭が築かれ、十二...
「うおお……イノキか」
「イノキだ。髪と着物は脚色したが」
「目をつぶりたくなるほどにそっくりだ。見事だ、この顎の...
「我ながら恐ろしいまでの才能だ」
イノキとは、妹者気に入りの侍女である。残念ながらあまり...
その上かなりそそっかしくて、雀を逃がしたりドールハウスを...
「なんだか見ているうちに呪われているような気分になって...
「女の子の絵姿に対して、それはあまりに失礼であろう。…と...
兄者は少し考え、ぽん、と手を打った。
「そういえばこの間、非常に短くて効果的だという経の一説...
なんでも、清めたい人物の名を唱えてこの経を叫ぶのだそうだ」
「ほう、どんなのだ」
「陀羅尼経の一種らしい。俺が唱えたらすぐに復唱しろ。
何回か叫ばなくてはならんらしい。いいか」
「わかった」
「イノキ!梵婆家っ!」
「イノキっ!梵婆家!」
「イノキ!梵婆家っ!」
「イノキっ!梵婆家!……本当に効果があるのか?」
「……さあ」
絵姿を脇に避け、新しい紙を取り出す。
「せっかくだから、これは本人にやろう」
「喜ぶ…かもしれん」
「それはそうと妹者だ……ぐがぁ、またダメだ」
「どれ貸してみろ……ここはこう」
「ほう」
「で、こう描いて、こう」
尊敬のまなざしが注がれる。
「さすがだな。これはいい。実に愛らしい。これを出すこと...
「自作を出すんじゃなかったのか」
「なに、おまえのなら俺のだよ、うん」
「………そうか」
弟者はそれ以上何も言わず、嬉しそうな兄の横で目を伏せた。
誰もいない釣り殿で、篝火に照らされた池を見ている。
雨はやんだが雲が濃く、優しいはずの月は見えない。
遣り水の流れはゆるく、池の水面をそっと揺らす。
高欄に寄りかかり、その波紋を眺めていると、水に映った自...
―――昔はものを思はざりけり、とは言ったもんだな。
渡殿を走って帰ってきた、幼い兄者が目に浮かぶ。
とびついてまず抱きついて、頬を合わせた。それから外を話...
あの頃も妬みも恨みもあったが、こんなもの想いではなかっ...
空気はひどく冷たい。小袖の上に幾枚もの衣を重ねているが...
これ以上、何を求めているのかよくわからない。多分、兄者...
この憂いは晴れない気がする。
振り返ると対の屋は全て静かで、宿直の者まで眠っているよ...
夜だったら、完全に人払いをした後ならここで二人で遊んで...
夏にほとりで遊ぶのは実に楽しかった。
秋はどんぐりを拾った。
冬は氷に石を投げた。
春は桜を眺めた………全て夜に。
弓は自室の裏で練習できたが、馬は兄者と交代か、深夜に父...
オレはあんたじゃねぇよ、とつぶやいてみた。
出仕した彼の帰りを待っている。
細い月は高く昇ったが、兄者は帰らない。
宿直の予定ではなかったが、と首をかしげていると妹者が渡...
「小さい兄者、大臣の姫より文なのじゃ」
開いてみて動転した。兄者か頭中将にさらわれたらしい。
自室には入れないが、様子だけは伺えたことが記されている。
彼女のことは気に食わないが、この時ばかりは感謝した。
「妹者、頼まれてくれるか」
「もちろんじゃ」
またアレか。弟者は軽くため息をついた。
部屋の室礼(しつらい)は悪くなかった。
御簾や几帳も新しく、色目もなかなか洗練されている。畳の...
そんな中で、柱に縛り付けられている。
「いい加減、離していただけませんか」
「申し訳ありませんね、話してくださるまでそうはいかない...
「弟君のでも探ったらどうです」
「漢詩らしいですね。平仄がどうのこうのとつぶやいていま...
モララー殿の趣味はあまり支持を集めないようですし、
左馬頭・式部丞も恐るにに足らず……あなただけなのですよ、義...
「従兄弟者とシーン殿も参加なさるようですよ」
「彼らは彼らで競っていただきましょう。例のご趣味ですか...
道は違えど敬意はもってますよ、わが桃姫」
悪趣味なことに、長らく人気のエンターティメント(特殊な双...
「髭の救助者が亀を踏みながら現れてくれるといいのですけ...
「心あたりがありますか」
「残念ながら、よい髭にめぐり合っておりませんので」
「そうですか。それではお話ください、扱ってらっしゃる題...
「妹萌え、とは語ったはずです」
「和歌ですか?SS?ワタクシ、この萌え王に命を賭けており...
安い命だ、と思う。確かに萌えは大事だが、俺の命は別のも...
「お話にならないな」
両手を広げて言いたいが、あいにく縛られている。
「仕方がありませんね。私、そんな趣味はありませんが嫌が...
「………」
割りにこいつ、キスが上手いな、と兄者は考える。
「いかがです?おや、お困りのようですね。…話していただけ...
初菊を散らすのは痛いそうですよ」
―――いや、初めてじゃないから。
「そのような経験がおありですか」
「いえ全然。わたくしめは百合にしか興味ございません。……...
部屋の外の廂(ひさし)に侍女がひざをついて何か言っている。
「彼女の部屋に美しい姫君が!行きますっ!失礼っ!」
凄い勢いですっ飛んで行ってしまった。
その後に逆側の回廊から人影が現れる。
妻戸をくぐる長い髪。柔らかな衣擦れの音。
「今、何していた」
「おお、本格的だな。ヅラか?」
「そうだ。妹者と来た。彼女はあんたの正室のとこにいる」
「なるほど。…ほどいてくれ」
「その前に言え。何をしていた」
「俺はかわいそうな犠牲者だ。助けてくれ」
むっとした表情のままの弟者が顔を近づけると、なぜか兄者...
「ヤツには許しといて俺とは嫌なのかよ!」
「あれはいきなりで逃げられなかったんだ。それとその格好...
ああ、と彼は納得する。
「確かに鏡を見てぞっとした……でも、中身はオレだ」
そっと唇を重ねる。
「……なるほど、おまえだ」
「だろ」
ふいに妻戸が開いた。
「可愛い姫君ですが私、ロリ趣味は……あなたは!」
さっと扇を広げ、瞳だけ出して嫣然と笑う。
「お忘れですか、頭中将」
「……尚侍の君」
似ているのをいいことに、姉者になりきる。
「弟を返していただきますわ」
「何故ここに?どうしてご存知なのですか?」
軽いウィンクが投げられる。
「妹君にお伝えくださいな。あの日のアナタは素敵だったっ...
ぱたり、と中将が倒れた。
「……萌え死んだな」
「生き返る前にさっさと帰ろう」
「頭を潰しといたほうがよくないか」
「そんなことをすると多分、増殖する。ほっておこう」
「うむ」
騒ぎの為か、次の日兄者は熱を出した。
それでも他者の作品が気になって、止める弟者を振り切って...
萌え合わせの当日、どう無理しても体が動かなかった。
「仕方がない。おまえが行け」
「仕事じゃないんだから休めばいいじゃないか」
「仕事より大事だ」
「それが人生で一番大事なモノなのか」
「それはおまえ。次が妹者。その次がこれだ」
相変わらず弟を使うのが上手い。赤面しつつ承諾せざるを得...
「あれから休み続けた頭中将も気になる。見事萌え王になっ...
「承知……だが、黙って寝とけ」
心配で、ぎりぎりまで枕もとで見守り、せかされて慌てて絵...
浅い夢をいくつか見た。
自分の帰りを待っていた小さな弟者が飛びついて頬をくっつ...
冴え渡る月の銀の光。牛車から眺めた風にのる紅葉。
華やかに人を呼び、宴となった自分の元服。
家族だけで見守った彼の元服。
気持ちを止められずに重ねた唇。
―――そりゃ違うけどさ、そこが良くないか。
熱に浮かされつつそう思う。
恵まれた立場である自分がそう考えるのは傲慢かもしれない...
眠りがまた、彼をさらう。近寄ってきた夢の中に、中将の唇。
―――OK、精神的ブラクラget……
その夢を遠くへ蹴りやって、別の小さな夢を探した。
夕闇が落ちてきた頃に響く足音は、いつもより速い。
病んだ相手への気遣いと、別種の気持ちの揺れとが読み取れ...
兄者は体を起こしてそれを迎えた。
「……大丈夫か?」
「大分、楽だ。して、首尾は?」
「その前にだ、知っていたならなぜ教えてくれんのだ。腰を...
「ん?」
「従兄弟者だ。コスプレか。コスプレが萌えなのか、あの男...
「情報通のおまえが知らなかったのか?有名な話だぞ」
「あいつのことは頭が拒否するんだ。シーン殿はわかる。並...
だが、あの男だぞ。あのひねた男が楊貴妃だぞっ」
「ほう、今回は唐ものか。シーン殿は?」
「当然、西施だ。いや、だからあいつが何故……」
「おまえだって似たようなコトしたじゃん」
「オレはあんたのために仕方なくだっ。そんな趣味あるか!」
「まあまあ。で、萌え王は?」
「あせるな。坊やはやはり漢詩だった。大津皇子とその姉の...
「それか?」
「違う。左馬頭は萌え萌えの打臥(うちふし)の巫女のイラス...
「ああ、あの身をやつして市で物を売るのが趣味だと言う変...
「そうだ、そいつだ。モララー殿は予想通り。和歌入りイラ...
「で、萌え王は誰なのだ」
弟者が口ごもる。兄者がその袖を引く。目つきが鋭い。
「言え」
「………頭中将だ」
「なんだとーーっ」
「落ち着け。熱が上がる」
「これが落ち着けるかっ。題材は何だっ!」
「絵巻だ。物語りもイラストも自作。あいつ休んだのみなら...
「内容は?」
「それが」
落ち着きなく視線をさ迷わせる。兄者は彼の衿もとを掴んだ。
「さっさと言え」
「当然百合だが……お前の正室とうちの姉者のエロエロのやつ…...
さすがに怒るか、と思ったが、兄者は別の方に激した。
「見たかった---!」
「『お姉さま、堪忍……ウチ、もう………』『こんなにしてしまっ...
といった具合で凄いんだ、これが」
「俺の、というかおまえのは?次点ぐらいいったか?」
「………」
珍しく弟者がキョドっている。不審に思った兄者が揺さぶる。
「すまん」
「何だ?」
「あの時、慌てて出かけたもんだから、その…間違えて……」
「?」
「イノキのイラストを持って行ってしまった」
ぱっくりと開かれた瞳と口のせいで、兄者は別人のように見...
「な、な、なんだとーーーっ」
「間違いだから取りに帰ると言ったのだが、許してもらえず...
おまえ、今回の萎え王に決定した」
ぱたり、と兄者が倒れた。これは萎え死にというべきか、と...
あっという間に生き返って、瞬時に彼を押し倒した。
「お、おい」
「お仕置きというものが必要のようだな、弟者くん」
「よせ、熱が上がるって!」
「やかましい。黙って下で喘いどけっ」
黙ったまま喘ぐとはこれ如何に、と考える間もあらばこそ、...
「ちょ、ちょ…待………」
「待たねぇ」
「時にモチつけ!……っ………」
腕の中に捕らわれて、いつもより熱い体に抱きすくめられて...
供えられた贄のように扱われる。
「覚悟しろよ」
―――熱あるくせに無茶だって
とは言うもの少し手荒い行為に、ちょっと感じてしまったこ...
...
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧...
| | | | ピッ (...
| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| ...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) ...
遅くなりましたが、以前AA作ってくださった方、ありがとう!
#comment
ページ名:
ページ新規作成
新しいページはこちらから投稿できます。
作品一覧
シリーズものインデックス3
シリーズものインデックス2
シリーズものインデックス
第71巻
第70巻
第69巻
第68巻
第67巻
第66巻
第65巻
第64巻
第63巻
第62巻
第61巻
第60巻
第59巻
第58巻
第57巻
第56巻
第55巻
第54巻
第53巻
第52巻
第51巻
第50巻
第49巻
第48巻
第47巻
第46巻
第45巻
第44巻
第43巻
第42巻
第41巻
第40巻
第39巻
第38巻
第37巻
第36巻
第35巻
第34巻
第33巻
第32巻
第31巻
第30巻
第29巻
第28巻
第27巻
第26巻
第25巻
第24巻
第23巻
第22巻
第21巻
第20巻
第19巻
第18巻
第17巻
第16巻
第15巻
第14巻
第13巻
第12巻
第11巻
第10巻
第9巻
第8巻
第7巻
第6巻
第5巻
第4巻
第3.1巻
第3巻
第2巻
第1巻
ページ新規作成: