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#title(ラルアル) [#f3f2a94b]
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
| 悪魔土成ドラキュ...
____________ \ / ̄ ̄ ̄...
| __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| ちょっ...
| | | | ...
| | |> PLAY. | | ...
| | | | ∧...
| | | | ピッ (´...
| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(...
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄...
◆
翌朝、予定通りに、ラルフは朝食を呑みこむように片づけるが早...
で西の小塔に向かった。
ところが、案に相違して部屋の主はそこにいなかった。
一瞬ひやりとしたが、剣とマントはきちんと壁にかけられて...
しい。仕方なく本館に戻り、最初につかまえた女中にアルカードを...
めて、それでしたら、と答えた。
「あの方でしたらこのごろ、毎日のように東翼の蔵書室に出入...
物をお運びしました。あそこにあるなにか昔の記録や、ご本な...
「蔵書室?」
反射的に、首の後ろがざわざわする。
蔵書室というのは、初代の鞭の遣い手だったレオン・ベルモンド以...
たちの手による古記録や書物、日記、闇の住人に対する心覚え...
幼いころのラルフは、父によって鞭術を叩きこまれるのと同時に...
書物の一冊でも目を通せと毎日やいやい言われつづけた。
そんなもの読まなくても、自分が十二分に強くさえあれば負...
変わらぬ本音だった。父が死んでからは、エルンストが入れかわって...
無言の圧力で押しつけてくる。ラルフにとっては、できれば近づき...
しかし、アルカードがいるというのなら行かないわけにもいかな...
しぶしぶ足を運び、ドアを開ける。
「アルカード? そこにいるのか?」
黴と埃、そしてインクと古くなった羊皮紙の匂いがどっと流...
思わず鼻と口をおおって目をこらしたが、暗い書庫の中は床...
されていて、人っ子ひとりいない。
蔵書室の隣は書字と読書のための続き部屋になっていて、古...
大きな書見台が据えられている。
書見台の一つの前に、きらりと銀色の光がきらめくのが見え...
「アルカード……?」
歩くたびに舞う埃に閉口しながら、ラルフは書庫を抜けて書字室...
アルカードは書見台によりかるようにして、分厚い革装の書物に...
書見台のふちに肘をかけ、少し身をひねって真剣な顔をして...
て見えた。開け放たれた窓から射しこむ陽光が、肩に流れる銀...
手にしたペンを口もとに当てて少し考え、頁の余白にいくつ...
たように顔をあげて、ラルフを見た。
「ラルフ? どうかしたか」
「どうかしたか、じゃない」
ラルフは相当むっとしていた。
こちらがあれほど心配して朝食を丸のみにしてまで来てみれ...
紙束を相手に一心になっている。足音荒くラルフは書字室に入って...
「こんなところで何をしてるんだ。そんなもの広げて」
「ベルモンド家の過去の記録に目を通していた」
さっきまで書き込みをしていた書物の頁にいつくしむように...
「すばらしい家系だな、おまえの家は。ここまで詳細に魔物や...
いた。しかもそれをほぼ四百年近く続けているとは、なまなか...
「世辞はいい。何をやってたかと聞いてるんだ、何を」
ラルフの機嫌は少しもよくはならなかった。
ほとんど身ひとつでやってきたアルカードのために、今ラルフは近在...
仕立てさせているところである。
だが、出来上がるまでのつなぎにと出したラルフの昔の服は、急...
まわりの差は詰めるくらいではどうにもならなかった。
結果、現在のアルカードは華奢な身体にラルフの大きすぎるシャツを...
袖口から細い手首を覗かせている。同じく子供の頃のラルフのもの...
を手にしたところは、まるで十二、三の少年のようだ。
それでいて、ふだんとあまりかわらない老成した口をきくの...
か、ラルフには見当がつかなかった。
「よく調べられた記録ではあるが、やはり残念ながら抜けや、...
アルカードはまたペンをインクにつけ、先ほどの続きにまた一言...
「私にわかる範囲でそのあたりの修正や、注釈を入れさせても...
断したと思われる魔術書も見つけたから、それもひと月そこら...
いる知識も多いから、そちらは私が新しく書き直しておく」
「書き直しておくって、おまえ、読み書きができるのか?」
「ラルフはできないのか?」
意外そうに問い返されて、ラルフは返答につまった。
むろん、できないことはない。荘園主として処理しなければ...
ある程度の読み書きはできなければやっていけないし、キリス...
なりに拾い読み程度はできる。
しかし、だからといって分厚い本を自由に読みこなしたり、...
したりすることはまったく別次元の問題である。荘園関係の書...
覚えていればなんとかなるが、自分の考えを自由に文章で述べ...
の話だった。ましてや、見る気もしないようなぎっしり字の詰...
や、間違いまで指摘するに至っては。
「それは、まあ、一応できるが。翻訳って、おまえドイツ語以...
「ラテン語とギリシャ語に関しては、とりあえず不自由ない」
あっさりと言って、アルカードは頁をめくった。
「あとは英語と、フランス語とイタリア語か。イタリアに関し...
が。ルーン文字を習ったときに、ゲール語とオック語も少し教...
語は独特で興味深いが、文字が難しいのでなかなか覚えきれな...
ラルフはあいた口がふさがらなかった。
「それだけ、全部、か……?」
「人間の言葉なら、だいたいこれだけだと思うが」
ということは、人間でないものの言語もあるのか、と訊こう...
が返ってきそうでやめた。
「本は、好きだ」
古びた羊皮紙の頁をたどりながら、アルカードは懐かしむように...
「幼いころはたいてい、城の図書館が遊び場だった。手当たり...
てもらった。『書物とは、すなわち知識。正しき知識とは、ま...
若君』というのが爺の口癖だった」
「俺は理解できんな」
アルカードが昔のことを口にするのは珍しかったが、ラルフはやはり...
あまりの世間知らずぶりに忘れていたが、アルカードは魔王の一...
魔王たるドラキュラ公は、人を攻撃しはじめる以前は魔道の研究...
城に入れて禁断の知識を分け与えていたという。そういう父の...
いのだった。人間で言えば、皇帝の息子なのだ。皇帝の息子が...
しかし、ここまでずらずらと教養の差を、それもあたりまえ...
写本の、ずらりと並んだ文字に混じったアルカードの瀟洒な筆跡を...
「こんなもの黴くさいもの読まなくたって、毎日きちんと鍛錬...
しない。だいいちこんな埃だらけの場所、いるだけで息がつま...
もの頭に仕込むより、外で型の一つも身体に覚えさせたほうが...
アルカードは目をあげてラルフを見た。
「な、なんだ」
蒼い瞳に凝視されて、心ならずもラルフはあわてた。
「なんなんだ一体。言いたいことがあるならさっさと言え」
長い沈黙のあと、アルカードは黙って横を向くと、使い古した羊...
「な、なんだ? なんのつもりだ」
「座って、今から私が読む文章をそこへ書け」
有無を言わさぬ口調でアルカードは言った。
「『アルラウネは人間の女の上半身と植物の下半身を持つ魔物...
「ちょっと待て。なんで俺がそんなことを」
アルカードはふたたびじっとラルフを見つめた。
ラルフは身を引き、唸り声をあげ、何度も視線をそらそうと努力...
取って、樫の大テーブルに腰をおろした。
「どうした。手が動いていないが」
「……文章を忘れた。くそっ、もう一度言え、もう一度」
結局アルカードは同じ文章を三度くり返して読み、さらにもう一...
となった。
罵りと唸り声と呪いの言葉だらけでやっと完成した書き取り...
沈黙していた。
「これは……なんというか、その」
ようやく、ぽつりと言った。
「非常に──個性的な、字だな」
「下手なら下手とはっきり言ったらどうなんだ、畜生め」
今やラルフは完全にかんかんだった。開き直って椅子にもたれか...
かえる。
「下手で悪いか。どうせ字を書く機会なんざ、書類にサインす...
さんだ。違うか、ええ」
「綴りと文法もきわめて独創的だ」
ラルフの開き直りは無視してアルカードはペンをとり、『独創的な』...
の断末魔の毛虫がのたくったような筆跡の下に、さらさらと正...
「しかし、これでは書いた人間以外の者が読めない。それでは...
てみろ」
と、別の紙を滑らせてよこした。
反射的に拾いあげてみて、ラルフは後悔した。アルカードが本から書...
つけられている。
「おい、なんだこれは一体。何のつもりだ」
「せっかくこれだけの宝があるのに、利用しないのはもったい...
かたわらに積みあげた分厚い本と、隣の蔵書庫を目で示してア...
「その調子では、どうやら一冊も読み通したことがないようだ...
はりあいがない」
「それで俺に今さら読み書きの練習をしろっていうのか? 餓...
あのなアルカード──」
そこでまた、アルカードの視線にぶつかった。
とたんに抗議が喉につまる。さんざんぶつぶつ言い、目をそ...
あと、ついにラルフは降参した。
「えい、くそっ」
ペンを折れんばかりに握りしめ、仇を見るような顔で羊皮紙...
「畜生。見てろ、こんな蟻の行列、歩く鎧の集団に比べたら楽...
いだ、後悔するな、くそっ、畜生」
「その意気だ」
平然とアルカードは言って、書見台に向きなおった。
「それから、できれば綴りと文法に関する独創性は控えめにし...
できるわけではないからな」
「……おまえ。実は楽しんでるだろう」
歯を剥いてラルフは唸った。
「別に。ただ面白いとは思っているが」
「同じことだ、こん畜生」
──形のいい唇の端が、わずかに上がっていたかもしれない。
そのままアルカードは注釈の作業に没頭し、その涼しい横顔に恨...
打ち倒せない生まれてはじめての敵に、必死の戦いをしかけて...
____________
| __________ |
| | | |
| | □ STOP. | |
| | | | ∧...
| | | | ピッ (...
| | | | ◇⊂ ...
|  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| ...
| °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) ...
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翌朝、予定通りに、ラルフは朝食を呑みこむように片づけるが早...
で西の小塔に向かった。
ところが、案に相違して部屋の主はそこにいなかった。
一瞬ひやりとしたが、剣とマントはきちんと壁にかけられて...
しい。仕方なく本館に戻り、最初につかまえた女中にアルカードを...
めて、それでしたら、と答えた。
「あの方でしたらこのごろ、毎日のように東翼の蔵書室に出入...
物をお運びしました。あそこにあるなにか昔の記録や、ご本な...
「蔵書室?」
反射的に、首の後ろがざわざわする。
蔵書室というのは、初代の鞭の遣い手だったレオン・ベルモンド以...
たちの手による古記録や書物、日記、闇の住人に対する心覚え...
幼いころのラルフは、父によって鞭術を叩きこまれるのと同時に...
書物の一冊でも目を通せと毎日やいやい言われつづけた。
そんなもの読まなくても、自分が十二分に強くさえあれば負...
変わらぬ本音だった。父が死んでからは、エルンストが入れかわって...
無言の圧力で押しつけてくる。ラルフにとっては、できれば近づき...
しかし、アルカードがいるというのなら行かないわけにもいかな...
しぶしぶ足を運び、ドアを開ける。
「アルカード? そこにいるのか?」
黴と埃、そしてインクと古くなった羊皮紙の匂いがどっと流...
思わず鼻と口をおおって目をこらしたが、暗い書庫の中は床...
されていて、人っ子ひとりいない。
蔵書室の隣は書字と読書のための続き部屋になっていて、古...
大きな書見台が据えられている。
書見台の一つの前に、きらりと銀色の光がきらめくのが見え...
「アルカード……?」
歩くたびに舞う埃に閉口しながら、ラルフは書庫を抜けて書字室...
アルカードは書見台によりかるようにして、分厚い革装の書物に...
書見台のふちに肘をかけ、少し身をひねって真剣な顔をして...
て見えた。開け放たれた窓から射しこむ陽光が、肩に流れる銀...
手にしたペンを口もとに当てて少し考え、頁の余白にいくつ...
たように顔をあげて、ラルフを見た。
「ラルフ? どうかしたか」
「どうかしたか、じゃない」
ラルフは相当むっとしていた。
こちらがあれほど心配して朝食を丸のみにしてまで来てみれ...
紙束を相手に一心になっている。足音荒くラルフは書字室に入って...
「こんなところで何をしてるんだ。そんなもの広げて」
「ベルモンド家の過去の記録に目を通していた」
さっきまで書き込みをしていた書物の頁にいつくしむように...
「すばらしい家系だな、おまえの家は。ここまで詳細に魔物や...
いた。しかもそれをほぼ四百年近く続けているとは、なまなか...
「世辞はいい。何をやってたかと聞いてるんだ、何を」
ラルフの機嫌は少しもよくはならなかった。
ほとんど身ひとつでやってきたアルカードのために、今ラルフは近在...
仕立てさせているところである。
だが、出来上がるまでのつなぎにと出したラルフの昔の服は、急...
まわりの差は詰めるくらいではどうにもならなかった。
結果、現在のアルカードは華奢な身体にラルフの大きすぎるシャツを...
袖口から細い手首を覗かせている。同じく子供の頃のラルフのもの...
を手にしたところは、まるで十二、三の少年のようだ。
それでいて、ふだんとあまりかわらない老成した口をきくの...
か、ラルフには見当がつかなかった。
「よく調べられた記録ではあるが、やはり残念ながら抜けや、...
アルカードはまたペンをインクにつけ、先ほどの続きにまた一言...
「私にわかる範囲でそのあたりの修正や、注釈を入れさせても...
断したと思われる魔術書も見つけたから、それもひと月そこら...
いる知識も多いから、そちらは私が新しく書き直しておく」
「書き直しておくって、おまえ、読み書きができるのか?」
「ラルフはできないのか?」
意外そうに問い返されて、ラルフは返答につまった。
むろん、できないことはない。荘園主として処理しなければ...
ある程度の読み書きはできなければやっていけないし、キリス...
なりに拾い読み程度はできる。
しかし、だからといって分厚い本を自由に読みこなしたり、...
したりすることはまったく別次元の問題である。荘園関係の書...
覚えていればなんとかなるが、自分の考えを自由に文章で述べ...
の話だった。ましてや、見る気もしないようなぎっしり字の詰...
や、間違いまで指摘するに至っては。
「それは、まあ、一応できるが。翻訳って、おまえドイツ語以...
「ラテン語とギリシャ語に関しては、とりあえず不自由ない」
あっさりと言って、アルカードは頁をめくった。
「あとは英語と、フランス語とイタリア語か。イタリアに関し...
が。ルーン文字を習ったときに、ゲール語とオック語も少し教...
語は独特で興味深いが、文字が難しいのでなかなか覚えきれな...
ラルフはあいた口がふさがらなかった。
「それだけ、全部、か……?」
「人間の言葉なら、だいたいこれだけだと思うが」
ということは、人間でないものの言語もあるのか、と訊こう...
が返ってきそうでやめた。
「本は、好きだ」
古びた羊皮紙の頁をたどりながら、アルカードは懐かしむように...
「幼いころはたいてい、城の図書館が遊び場だった。手当たり...
てもらった。『書物とは、すなわち知識。正しき知識とは、ま...
若君』というのが爺の口癖だった」
「俺は理解できんな」
アルカードが昔のことを口にするのは珍しかったが、ラルフはやはり...
あまりの世間知らずぶりに忘れていたが、アルカードは魔王の一...
魔王たるドラキュラ公は、人を攻撃しはじめる以前は魔道の研究...
城に入れて禁断の知識を分け与えていたという。そういう父の...
いのだった。人間で言えば、皇帝の息子なのだ。皇帝の息子が...
しかし、ここまでずらずらと教養の差を、それもあたりまえ...
写本の、ずらりと並んだ文字に混じったアルカードの瀟洒な筆跡を...
「こんなもの黴くさいもの読まなくたって、毎日きちんと鍛錬...
しない。だいいちこんな埃だらけの場所、いるだけで息がつま...
もの頭に仕込むより、外で型の一つも身体に覚えさせたほうが...
アルカードは目をあげてラルフを見た。
「な、なんだ」
蒼い瞳に凝視されて、心ならずもラルフはあわてた。
「なんなんだ一体。言いたいことがあるならさっさと言え」
長い沈黙のあと、アルカードは黙って横を向くと、使い古した羊...
「な、なんだ? なんのつもりだ」
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有無を言わさぬ口調でアルカードは言った。
「『アルラウネは人間の女の上半身と植物の下半身を持つ魔物...
「ちょっと待て。なんで俺がそんなことを」
アルカードはふたたびじっとラルフを見つめた。
ラルフは身を引き、唸り声をあげ、何度も視線をそらそうと努力...
取って、樫の大テーブルに腰をおろした。
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「……文章を忘れた。くそっ、もう一度言え、もう一度」
結局アルカードは同じ文章を三度くり返して読み、さらにもう一...
となった。
罵りと唸り声と呪いの言葉だらけでやっと完成した書き取り...
沈黙していた。
「これは……なんというか、その」
ようやく、ぽつりと言った。
「非常に──個性的な、字だな」
「下手なら下手とはっきり言ったらどうなんだ、畜生め」
今やラルフは完全にかんかんだった。開き直って椅子にもたれか...
かえる。
「下手で悪いか。どうせ字を書く機会なんざ、書類にサインす...
さんだ。違うか、ええ」
「綴りと文法もきわめて独創的だ」
ラルフの開き直りは無視してアルカードはペンをとり、『独創的な』...
の断末魔の毛虫がのたくったような筆跡の下に、さらさらと正...
「しかし、これでは書いた人間以外の者が読めない。それでは...
てみろ」
と、別の紙を滑らせてよこした。
反射的に拾いあげてみて、ラルフは後悔した。アルカードが本から書...
つけられている。
「おい、なんだこれは一体。何のつもりだ」
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かたわらに積みあげた分厚い本と、隣の蔵書庫を目で示してア...
「その調子では、どうやら一冊も読み通したことがないようだ...
はりあいがない」
「それで俺に今さら読み書きの練習をしろっていうのか? 餓...
あのなアルカード──」
そこでまた、アルカードの視線にぶつかった。
とたんに抗議が喉につまる。さんざんぶつぶつ言い、目をそ...
あと、ついにラルフは降参した。
「えい、くそっ」
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いだ、後悔するな、くそっ、畜生」
「その意気だ」
平然とアルカードは言って、書見台に向きなおった。
「それから、できれば綴りと文法に関する独創性は控えめにし...
できるわけではないからな」
「……おまえ。実は楽しんでるだろう」
歯を剥いてラルフは唸った。
「別に。ただ面白いとは思っているが」
「同じことだ、こん畜生」
──形のいい唇の端が、わずかに上がっていたかもしれない。
そのままアルカードは注釈の作業に没頭し、その涼しい横顔に恨...
打ち倒せない生まれてはじめての敵に、必死の戦いをしかけて...
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第64巻
第63巻
第62巻
第61巻
第60巻
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