ページ内容へ
ナビゲーションへ
当サイトをご覧いただくにはブラウザの設定で
JavaScriptを有効に設定
する必要がございます。
ページの一覧
最終更新一覧
ヘルプ
ホーム
使い方
文字サイズ:小
文字サイズ:中
文字サイズ:大
リロード
編集
ツール
名前変更
凍結
差分
バックアップ
添付
複製
印刷
Top
/
S-71
S-71
の編集
-- 雛形とするページ --
(no template pages)
#title(振動×剤然(前スレ530 -16)) [#weeb6880] 「先生の生まれ年のワインを用意させておきますよ。……店の者も驚くだろうな、 聡見君を何度か連れて行ってますから。ああ振動先生と何食わぬ顔で飲んで、 後から聡見君を呼んで驚かせるのも面白そうだ」 青白い灯りに照らされた殺風景な階段室で、外科医は出会った当初の饒舌を 取り戻していた。 「私が『聡見先生』のふりをするわけですか」子供のような悪戯を企む教授殿に 振動の頬が緩む。 「絶対に分かりませんよ、何しろこの私が――ぅわ!」 上機嫌で喋り続けていた剤然が、中二階の踊り場に一段だけ変則的に切ってあった ステップに足を取られた。 「おっと」 よろける彼を振動の長い腕が難なく支える。見た目より更に軽い身体だ。 「大丈夫ですか先生」 もつれた足を立て直し、剤然はふふ、と笑った。 「聡見君と同じ声で『先生』なんて呼ばれるとどうにも奇妙な感じですね」 「じゃあ、――『大丈夫か剤然、少し飲み過ぎたんじゃないのか』」 その言葉はただの戯れだった。いくら知り合いに似ている、声などまるで そっくりだ、と繰り返し言われても振動の方には実感が無い。先刻までの会話で 彼らが時折挟んでいた、様々な他愛ない冗談の続きのつもりだった。 しかし次の瞬間、自分を見上げた瞳のあり得ない切なさに胸が跳ねる。 何が起こったのか判らなかった。ただ、鞄がふたつ落ちる音を聴いたと思った。 #comment
タイムスタンプを変更しない
#title(振動×剤然(前スレ530 -16)) [#weeb6880] 「先生の生まれ年のワインを用意させておきますよ。……店の者も驚くだろうな、 聡見君を何度か連れて行ってますから。ああ振動先生と何食わぬ顔で飲んで、 後から聡見君を呼んで驚かせるのも面白そうだ」 青白い灯りに照らされた殺風景な階段室で、外科医は出会った当初の饒舌を 取り戻していた。 「私が『聡見先生』のふりをするわけですか」子供のような悪戯を企む教授殿に 振動の頬が緩む。 「絶対に分かりませんよ、何しろこの私が――ぅわ!」 上機嫌で喋り続けていた剤然が、中二階の踊り場に一段だけ変則的に切ってあった ステップに足を取られた。 「おっと」 よろける彼を振動の長い腕が難なく支える。見た目より更に軽い身体だ。 「大丈夫ですか先生」 もつれた足を立て直し、剤然はふふ、と笑った。 「聡見君と同じ声で『先生』なんて呼ばれるとどうにも奇妙な感じですね」 「じゃあ、――『大丈夫か剤然、少し飲み過ぎたんじゃないのか』」 その言葉はただの戯れだった。いくら知り合いに似ている、声などまるで そっくりだ、と繰り返し言われても振動の方には実感が無い。先刻までの会話で 彼らが時折挟んでいた、様々な他愛ない冗談の続きのつもりだった。 しかし次の瞬間、自分を見上げた瞳のあり得ない切なさに胸が跳ねる。 何が起こったのか判らなかった。ただ、鞄がふたつ落ちる音を聴いたと思った。 #comment
テキスト整形のルールを表示する
ページ新規作成
新しいページはこちらから投稿できます。
作品一覧
シリーズものインデックス3
シリーズものインデックス2
シリーズものインデックス
第71巻
第70巻
第69巻
第68巻
第67巻
第66巻
第65巻
第64巻
第63巻
第62巻
第61巻
第60巻
第59巻
第58巻
第57巻
第56巻
第55巻
第54巻
第53巻
第52巻
第51巻
第50巻
第49巻
第48巻
第47巻
第46巻
第45巻
第44巻
第43巻
第42巻
第41巻
第40巻
第39巻
第38巻
第37巻
第36巻
第35巻
第34巻
第33巻
第32巻
第31巻
第30巻
第29巻
第28巻
第27巻
第26巻
第25巻
第24巻
第23巻
第22巻
第21巻
第20巻
第19巻
第18巻
第17巻
第16巻
第15巻
第14巻
第13巻
第12巻
第11巻
第10巻
第9巻
第8巻
第7巻
第6巻
第5巻
第4巻
第3.1巻
第3巻
第2巻
第1巻
ページ新規作成: