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#title(R.S.3_LxM 24) [#r2e8f307] 「そういえば、あの扉は開かなかったよね。」 ノーラはミューズの家を訪れたときの、迷子捜索の時を思い出して言った。 迷子が見つからないまま殿内を歩き回っていると、開かない扉があったのだ。 「指輪で封印されているようだったな。」 ミカエルが答えるように呟いた。 「・・・魔王殿を封印したのは、聖王だろう。」 詩人がいつものように聖王の詩を奏でた後、 「ランスに住む子孫が、聖王遺物の指輪を持っているそうですよ。」 と言って、また別の曲を奏でた。 聖王家といっても、聖王本人には子供がない。 聖王の姉の子が聖王家として残っている。 邸宅を訪れて魔王殿の話をすると、当主の部屋へ通された。 「あの扉へ行かれたのですか。もう・・・そんな時期なのですね。」 彼は感慨深げに溜息をつくと、指輪をミカエルに渡した。 「この指輪が、奥へ進む為の鍵となっています。どうぞお気をつけて。」 扉の先には、封印された空間が広がっている。 そこにいるのは、アビスの魔物と、そして・・・。 当主に礼を述べて邸宅を出る。 その日はランスで宿をとり、休むことにした。 ミカエルは眠れないまま、窓の外へ出た。 寒い街だ。 白い息を吐きながら、夜空を見上げる。 懐から指輪を取り出して、月明かりでそれを眺める。 正邪を帯びた、妖しささえ感じられる光。 何故か、とても懐かしい気持ちがした。 指を通すと、その気持ちが強まる。 思い出すのは、あの城だった。 魔王殿の扉に指輪をはめ込むと、何かが開く音がした。 #comment
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#title(R.S.3_LxM 24) [#r2e8f307] 「そういえば、あの扉は開かなかったよね。」 ノーラはミューズの家を訪れたときの、迷子捜索の時を思い出して言った。 迷子が見つからないまま殿内を歩き回っていると、開かない扉があったのだ。 「指輪で封印されているようだったな。」 ミカエルが答えるように呟いた。 「・・・魔王殿を封印したのは、聖王だろう。」 詩人がいつものように聖王の詩を奏でた後、 「ランスに住む子孫が、聖王遺物の指輪を持っているそうですよ。」 と言って、また別の曲を奏でた。 聖王家といっても、聖王本人には子供がない。 聖王の姉の子が聖王家として残っている。 邸宅を訪れて魔王殿の話をすると、当主の部屋へ通された。 「あの扉へ行かれたのですか。もう・・・そんな時期なのですね。」 彼は感慨深げに溜息をつくと、指輪をミカエルに渡した。 「この指輪が、奥へ進む為の鍵となっています。どうぞお気をつけて。」 扉の先には、封印された空間が広がっている。 そこにいるのは、アビスの魔物と、そして・・・。 当主に礼を述べて邸宅を出る。 その日はランスで宿をとり、休むことにした。 ミカエルは眠れないまま、窓の外へ出た。 寒い街だ。 白い息を吐きながら、夜空を見上げる。 懐から指輪を取り出して、月明かりでそれを眺める。 正邪を帯びた、妖しささえ感じられる光。 何故か、とても懐かしい気持ちがした。 指を通すと、その気持ちが強まる。 思い出すのは、あの城だった。 魔王殿の扉に指輪をはめ込むと、何かが開く音がした。 #comment
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