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#title(R.S.3_LxM 17) [#p17677f8] 城は、元の状態に戻った。 怠惰な時。退廃の空間。 今まで生きてきた年月より長く感じる月日。 元に戻っただけであるのに、苦しいほどに思い知らされる味気無さ。 呪わしく思える、永遠の命。 ある日蝙蝠が外の状況を伝える中に、懐かしい名を聞いた。 ロアーヌ侯フランツが亡くなり、嫡子ミカエルがその座を継いだというものだった。 そしてそれに対する不満分子が、彼を抹殺すべく立ち上がったという。 怠惰と退廃を打ち破る足音が、近づいていた。 城の門を開けると、数名の若者が入ってくる。 その内の一人に、彼の面影をみた。 彼女の名は、モニカ=アウスバッハ。 侯爵よりもやや甘く、緩やかに弧を描く唇。 「そなたの祖、ヒルダよりも美しい。」 世辞ではない。 ただ自分にはそれより魅力を感じる者がいるだけのことだ。 侯の存在さえ知らねば、彼女の首に印をつけることだろう。 細い首、薄い皮膚。 その血はさぞかし美味だろう。 惜しい気もするが、彼女を味わうには失うものが多すぎる。 モニカ姫の隣には、彼女を守るべく緑髪の青年が立っていた。 彼女を守るためなら、どんな目にあっても挫けないという気概を漲らせた瞳。 それは自分の知る気高き男とは異なる性質の意思力だ。 青年の属性もまた、太陽だった。 クスリと笑う。 太陽は良くない。 モニカ姫を見て、そう思う。 太陽は、人に影響を与えすぎてしまうから。 彼女は苦労することだろう。 輝ける兄の後を追うが故に。 #comment
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#title(R.S.3_LxM 17) [#p17677f8] 城は、元の状態に戻った。 怠惰な時。退廃の空間。 今まで生きてきた年月より長く感じる月日。 元に戻っただけであるのに、苦しいほどに思い知らされる味気無さ。 呪わしく思える、永遠の命。 ある日蝙蝠が外の状況を伝える中に、懐かしい名を聞いた。 ロアーヌ侯フランツが亡くなり、嫡子ミカエルがその座を継いだというものだった。 そしてそれに対する不満分子が、彼を抹殺すべく立ち上がったという。 怠惰と退廃を打ち破る足音が、近づいていた。 城の門を開けると、数名の若者が入ってくる。 その内の一人に、彼の面影をみた。 彼女の名は、モニカ=アウスバッハ。 侯爵よりもやや甘く、緩やかに弧を描く唇。 「そなたの祖、ヒルダよりも美しい。」 世辞ではない。 ただ自分にはそれより魅力を感じる者がいるだけのことだ。 侯の存在さえ知らねば、彼女の首に印をつけることだろう。 細い首、薄い皮膚。 その血はさぞかし美味だろう。 惜しい気もするが、彼女を味わうには失うものが多すぎる。 モニカ姫の隣には、彼女を守るべく緑髪の青年が立っていた。 彼女を守るためなら、どんな目にあっても挫けないという気概を漲らせた瞳。 それは自分の知る気高き男とは異なる性質の意思力だ。 青年の属性もまた、太陽だった。 クスリと笑う。 太陽は良くない。 モニカ姫を見て、そう思う。 太陽は、人に影響を与えすぎてしまうから。 彼女は苦労することだろう。 輝ける兄の後を追うが故に。 #comment
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