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#title(R.S.3_LxM 13) [#w0392b0a] 回復してからのミカエルは、剣の稽古にも力を入れるようになった。 それまでも時々一人で稽古をしていたが、その比ではない。 今までは見るだけであったレオニードも、相手を務める。 一通りの武術をこなす伯爵は、ミカエルに合わせて小剣を使う。 師というよりは敵として接するレオニードが、稽古後には的確な指導を入れる。 それが良い状態であるらしく、元々ある程度の基礎を習得しているミカエルが伸びてきた。 一日のうちの短い時間ではあるが、毎日繰り返されるそれは着実に成果を残す。 「指導者となる者が、ここまで使えるのは・・・な。」 可とも不可ともとれぬ物言いで、レオニードがクスリと笑う。 護身術としてならば、充分すぎる程であろう。 しかしレオニードは、彼が左腕に持つ薄い傷跡を知っていた。 幼い頃、兄妹でいるところを刺客に狙われ負った傷だ。 そのとき彼は負傷しながらも応戦した後、無傷の妹に無事を問うたという。 「強すぎる、ということはありませんから。」 事も無げに、ミカエルが答える。 彼だからこそ、その言葉に納得がゆく。 守るべきものを持つということ。 それは妹であり、国であり。 そして・・・。 この若者の横顔は、何も語らない。 だが感じる。 この者は、守るだけではない。 だから、強くなろうとするのだと。 身体も、心も。 近いうちに、城の蔵書は読み尽くされるだろう。 この若者によって。 それが自分は待ち遠しく、そして・・・その日が来なければ良いと思う。 #comment
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#title(R.S.3_LxM 13) [#w0392b0a] 回復してからのミカエルは、剣の稽古にも力を入れるようになった。 それまでも時々一人で稽古をしていたが、その比ではない。 今までは見るだけであったレオニードも、相手を務める。 一通りの武術をこなす伯爵は、ミカエルに合わせて小剣を使う。 師というよりは敵として接するレオニードが、稽古後には的確な指導を入れる。 それが良い状態であるらしく、元々ある程度の基礎を習得しているミカエルが伸びてきた。 一日のうちの短い時間ではあるが、毎日繰り返されるそれは着実に成果を残す。 「指導者となる者が、ここまで使えるのは・・・な。」 可とも不可ともとれぬ物言いで、レオニードがクスリと笑う。 護身術としてならば、充分すぎる程であろう。 しかしレオニードは、彼が左腕に持つ薄い傷跡を知っていた。 幼い頃、兄妹でいるところを刺客に狙われ負った傷だ。 そのとき彼は負傷しながらも応戦した後、無傷の妹に無事を問うたという。 「強すぎる、ということはありませんから。」 事も無げに、ミカエルが答える。 彼だからこそ、その言葉に納得がゆく。 守るべきものを持つということ。 それは妹であり、国であり。 そして・・・。 この若者の横顔は、何も語らない。 だが感じる。 この者は、守るだけではない。 だから、強くなろうとするのだと。 身体も、心も。 近いうちに、城の蔵書は読み尽くされるだろう。 この若者によって。 それが自分は待ち遠しく、そして・・・その日が来なければ良いと思う。 #comment
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