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#title(R.S.3_LxM 12) [#m55e55b2] 体力が落ちていたのだろう。ミカエルはそのまま床に伏せた。 高い熱を出し、起き上がることさえできない。 麓でも似た症状の者がいることを蝙蝠が伝える。 「流行り病か!」 レオニードが忌々しげに言う。 麓では既に、病による死者もでていた。 現在城を出入りするのは、食料や日用品を背負って運ぶ者だけである。 麓での流行を示すかのように、数日ごとに違う者が運んでいた。 「当分の間、人間達の出入りを禁じよ。」 貯蔵に耐える食料を運ばせた後は、城の門を閉ざす。 これ以上、他の病気まで持ち込まれては困る。 ミカエルの病状は、一進一退を繰り返していた。 寝込んだ彼を見ているのは、辛いものがある。 人間でない自分や妖精たちが、病に侵されることはないからだ。 ミカエルの部屋を暖かくし、妖精に付きっきりの看護をさせる。 身体の汗を拭き、水を飲ませ、彼の回復を祈る。 熱が高いのだろう。 寝返りと共に苦しげな息を漏らしたミカエルが、手を寝台から出した。 普段の彼からは想像の出来ぬ姿。 思わず手を握り、もう一方の手も添える。 子供のように軽く握り返され、落ち着いたような息が聞こえた。 その晩は、手を握ったまま眠った。 翌朝、ようやくミカエルの熱が下がった。 身体を起こした彼は、はにかんだ笑みを見せた。 「申し訳ない・・・。」 自分の健康管理の拙さと、もう一つの理由。 彼は、ずっと自分の側にいた者を知っていた。 入れ替わりで看病をする妖精の他に、部屋にいた者。 その記憶に残るのは、氷のように冷たい手。 #comment
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#title(R.S.3_LxM 12) [#m55e55b2] 体力が落ちていたのだろう。ミカエルはそのまま床に伏せた。 高い熱を出し、起き上がることさえできない。 麓でも似た症状の者がいることを蝙蝠が伝える。 「流行り病か!」 レオニードが忌々しげに言う。 麓では既に、病による死者もでていた。 現在城を出入りするのは、食料や日用品を背負って運ぶ者だけである。 麓での流行を示すかのように、数日ごとに違う者が運んでいた。 「当分の間、人間達の出入りを禁じよ。」 貯蔵に耐える食料を運ばせた後は、城の門を閉ざす。 これ以上、他の病気まで持ち込まれては困る。 ミカエルの病状は、一進一退を繰り返していた。 寝込んだ彼を見ているのは、辛いものがある。 人間でない自分や妖精たちが、病に侵されることはないからだ。 ミカエルの部屋を暖かくし、妖精に付きっきりの看護をさせる。 身体の汗を拭き、水を飲ませ、彼の回復を祈る。 熱が高いのだろう。 寝返りと共に苦しげな息を漏らしたミカエルが、手を寝台から出した。 普段の彼からは想像の出来ぬ姿。 思わず手を握り、もう一方の手も添える。 子供のように軽く握り返され、落ち着いたような息が聞こえた。 その晩は、手を握ったまま眠った。 翌朝、ようやくミカエルの熱が下がった。 身体を起こした彼は、はにかんだ笑みを見せた。 「申し訳ない・・・。」 自分の健康管理の拙さと、もう一つの理由。 彼は、ずっと自分の側にいた者を知っていた。 入れ替わりで看病をする妖精の他に、部屋にいた者。 その記憶に残るのは、氷のように冷たい手。 #comment
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