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#title(好きだから) 生 将棋 青いの×軍曹 好きだけど、無理だろうなあと思っている両片想い、のイメージです |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! VSが終わって、その流れでいつものとんかつ屋にむかう。夏の暑さが身にこたえているらしい長瀬はいつにも増して口数が少ない。その様子にどうしたものかなあと街を見回した。少しでも早く涼めたらと、いつもと違う探している店が見つからないのだ。 都内緑化活動だかなんだかでそこら中に植えられた針葉樹から、蝉の姿はみえずとも絶えず鳴く声が響き渡る。うだるような暑さにアスファルトの照り返しが合わさって、思わず本能的にどうにかなってしまいそうな危うさを覚えた。 『二人は何で仲いいんですか?』 ぼやけた頭にこの前の解説の仕事で、女.流の人に笑い混じりで聞かれた言葉を思い出す。仲がいい、と言われるたびに首を傾げて仲がいいとは違うと思うんですけどと言いながら適した言葉が見つからず、考え込んでしまう。 仲がいいというのなら、もっと気軽に遊べる人を連想してしまうし、そもそも長瀬に仲がいい人っているんだろうかとか、自分の知らない付き合いもあるのかもしれないとか色んなところに思考が散る。悪い癖だ。 長瀬に直接聞いてみたら分かるのかもしれないな、と先程からハンカチで額を拭く彼をチラリと伺う。 「ねえ」 「………。」 話しかけると視線だけで返事をされた。不機嫌そうだから前振りなしでサッと結論を述べたほうがいいだろう。 『長瀬のこと好きでしょ?』 口を開くタイミングで、兄弟子の言葉がふと思い浮かんだ。 「長瀬は俺のこと好き?」 「……………は?」 「ん?」 ポカンと開けた口は、すぐにハンカチで覆われてしまった。 聞こうと思ったことからは少しズレてしまったかもしれないけれど、まあ本質はついているとも言えるか。長瀬の反応を見るに悪手とも思えなかったのでこのまま進めていこう。 「どう?」 「どうって……それは」 「ああ、ごめん待って。これはどうしたものか……」 いつもの店に着いてしまった。心なしかホッとしたような長瀬の表情が引っかかったけれど、今はそれどころではない。 「凄い人だかり」 うんざりしたその声に、同意するように項垂れた。 よく見るととんかつ屋は期間限定のランチセールをやっているようで、これはちょっと待ったくらいでは入れなそうだ。 夏にとんかつ、それに昼間。そりゃあ店もセールくらいしないと人は入らないだろう。春夏秋冬とんかつがいける自分には関係ない話だけれど。 「うーん、やっぱりあそこにしようかな」 「思い当たるところがあるならそこにしよう。もう、どこでもいいから」 「もちろん、ずっと探してはいたんだけどね。この近くだって聞いてたんだけどな」 くるりともう一度見渡してみると、向かいに白いレンガ調の可愛らしい店が見えた。そこの名前が探していたものと一致していて、あそこだ!と指さした時の長瀬は、一瞬にして天国から地獄に落ちた顔をしていた。 長瀬は、先程まで男二人でカフェはないだの、いやいやいやと手を左右に振って拒否していたとは思えないくらい冷静な顔でメニュー表を広げている。男の意地も暑さには勝てなかったらしい。 将棋のときもそうだけれど、心の中は面白いくらい冷静じゃなさそうだ。分かりやすいなと笑ってしまう。 「長瀬、長瀬」 「何?」 「ここ、いちごタルト美味しいらしいよ」 「……へえーそうなんだ」 「あれ?喜ばない?」 「別に、女の子なら喜ぶと思うけど」 「いや、だって、苺も甘いものも好きじゃない」 それはそうだけど、と長瀬は眼鏡の位置を戻す。 そりゃあ長瀬に対して飛び跳ねて喜んだり、感激!みたいな姿を連想していたわけではないけれど、それなりの成果は正直期待していた。 読み違えたかと反省しつつ、紅茶も美味しいよと盛り返しを狙ってみる。ふうんとページをめくる様子を見るにいい線いってそうなんだけど。 すみませんと店員さんを呼んで、いちごタルトのセットとショートケーキのセットを頼む。メニュー表を持つ必要がなくなってしまった長瀬は所在なさげに目線だけがよく動いている。 まあ周りからの視線が気になるのも無理はない。 「今日の三局目だけどさ」 そう、いつもとんかつ屋でしているような話を持ちかけてみると少しずつ表情がやわらいでいった。 「そこは違う」 「うーんでも、こうしたら……」 「でもそう指すなら、こう仕掛けるから」 いや、やわらぐというよりいつものペースに戻っだけだけど。 ショートケーキの苺は最後に残す彼だけど、いちごタルトとなると一緒に食べるらしい。パクリパクリと口に運んでいる。 「……うん、美味しい」 「それはよかった。この前期王に教えてもらったから、外れではないと思って」 せっかくだから苺一つ頂戴とフォークを伸ばすと、叩かれた。ケチ。 「彼女とかと来たらいいのに」 「何で?彼女いないし」 「でもこんな店、普通選ばないでしょ。その、友だちというか男同士でさ。下見とか?」 「そんなんじゃないよ」 「じゃあなんでこんな店知ってんの」 「だって俺長瀬のこと、好きだもの」 え、と動きの止まった長瀬にすきあり、と苺をフォークで取った。 「普通ならこんな店来ないよ。甘いものは好きだけど」 どうせ本音は一つだって伝わらない。それでも、あまりに脈がなさそうな会話に、つい言ってしまった。じわりと苺の酸味が口の中で広がる。 ケーキと一緒に運ばれてきた紅茶を口にしていると、ショートケーキの苺にフォークが伸びてきた。 「俺だって、こんな暑い日にとんかつ食べに行かない」 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 注意文をよく読んだつもりですが、初投下のため間違い等ありましたら申し訳ありません。 #comment
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#title(好きだから) 生 将棋 青いの×軍曹 好きだけど、無理だろうなあと思っている両片想い、のイメージです |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! VSが終わって、その流れでいつものとんかつ屋にむかう。夏の暑さが身にこたえているらしい長瀬はいつにも増して口数が少ない。その様子にどうしたものかなあと街を見回した。少しでも早く涼めたらと、いつもと違う探している店が見つからないのだ。 都内緑化活動だかなんだかでそこら中に植えられた針葉樹から、蝉の姿はみえずとも絶えず鳴く声が響き渡る。うだるような暑さにアスファルトの照り返しが合わさって、思わず本能的にどうにかなってしまいそうな危うさを覚えた。 『二人は何で仲いいんですか?』 ぼやけた頭にこの前の解説の仕事で、女.流の人に笑い混じりで聞かれた言葉を思い出す。仲がいい、と言われるたびに首を傾げて仲がいいとは違うと思うんですけどと言いながら適した言葉が見つからず、考え込んでしまう。 仲がいいというのなら、もっと気軽に遊べる人を連想してしまうし、そもそも長瀬に仲がいい人っているんだろうかとか、自分の知らない付き合いもあるのかもしれないとか色んなところに思考が散る。悪い癖だ。 長瀬に直接聞いてみたら分かるのかもしれないな、と先程からハンカチで額を拭く彼をチラリと伺う。 「ねえ」 「………。」 話しかけると視線だけで返事をされた。不機嫌そうだから前振りなしでサッと結論を述べたほうがいいだろう。 『長瀬のこと好きでしょ?』 口を開くタイミングで、兄弟子の言葉がふと思い浮かんだ。 「長瀬は俺のこと好き?」 「……………は?」 「ん?」 ポカンと開けた口は、すぐにハンカチで覆われてしまった。 聞こうと思ったことからは少しズレてしまったかもしれないけれど、まあ本質はついているとも言えるか。長瀬の反応を見るに悪手とも思えなかったのでこのまま進めていこう。 「どう?」 「どうって……それは」 「ああ、ごめん待って。これはどうしたものか……」 いつもの店に着いてしまった。心なしかホッとしたような長瀬の表情が引っかかったけれど、今はそれどころではない。 「凄い人だかり」 うんざりしたその声に、同意するように項垂れた。 よく見るととんかつ屋は期間限定のランチセールをやっているようで、これはちょっと待ったくらいでは入れなそうだ。 夏にとんかつ、それに昼間。そりゃあ店もセールくらいしないと人は入らないだろう。春夏秋冬とんかつがいける自分には関係ない話だけれど。 「うーん、やっぱりあそこにしようかな」 「思い当たるところがあるならそこにしよう。もう、どこでもいいから」 「もちろん、ずっと探してはいたんだけどね。この近くだって聞いてたんだけどな」 くるりともう一度見渡してみると、向かいに白いレンガ調の可愛らしい店が見えた。そこの名前が探していたものと一致していて、あそこだ!と指さした時の長瀬は、一瞬にして天国から地獄に落ちた顔をしていた。 長瀬は、先程まで男二人でカフェはないだの、いやいやいやと手を左右に振って拒否していたとは思えないくらい冷静な顔でメニュー表を広げている。男の意地も暑さには勝てなかったらしい。 将棋のときもそうだけれど、心の中は面白いくらい冷静じゃなさそうだ。分かりやすいなと笑ってしまう。 「長瀬、長瀬」 「何?」 「ここ、いちごタルト美味しいらしいよ」 「……へえーそうなんだ」 「あれ?喜ばない?」 「別に、女の子なら喜ぶと思うけど」 「いや、だって、苺も甘いものも好きじゃない」 それはそうだけど、と長瀬は眼鏡の位置を戻す。 そりゃあ長瀬に対して飛び跳ねて喜んだり、感激!みたいな姿を連想していたわけではないけれど、それなりの成果は正直期待していた。 読み違えたかと反省しつつ、紅茶も美味しいよと盛り返しを狙ってみる。ふうんとページをめくる様子を見るにいい線いってそうなんだけど。 すみませんと店員さんを呼んで、いちごタルトのセットとショートケーキのセットを頼む。メニュー表を持つ必要がなくなってしまった長瀬は所在なさげに目線だけがよく動いている。 まあ周りからの視線が気になるのも無理はない。 「今日の三局目だけどさ」 そう、いつもとんかつ屋でしているような話を持ちかけてみると少しずつ表情がやわらいでいった。 「そこは違う」 「うーんでも、こうしたら……」 「でもそう指すなら、こう仕掛けるから」 いや、やわらぐというよりいつものペースに戻っだけだけど。 ショートケーキの苺は最後に残す彼だけど、いちごタルトとなると一緒に食べるらしい。パクリパクリと口に運んでいる。 「……うん、美味しい」 「それはよかった。この前期王に教えてもらったから、外れではないと思って」 せっかくだから苺一つ頂戴とフォークを伸ばすと、叩かれた。ケチ。 「彼女とかと来たらいいのに」 「何で?彼女いないし」 「でもこんな店、普通選ばないでしょ。その、友だちというか男同士でさ。下見とか?」 「そんなんじゃないよ」 「じゃあなんでこんな店知ってんの」 「だって俺長瀬のこと、好きだもの」 え、と動きの止まった長瀬にすきあり、と苺をフォークで取った。 「普通ならこんな店来ないよ。甘いものは好きだけど」 どうせ本音は一つだって伝わらない。それでも、あまりに脈がなさそうな会話に、つい言ってしまった。じわりと苺の酸味が口の中で広がる。 ケーキと一緒に運ばれてきた紅茶を口にしていると、ショートケーキの苺にフォークが伸びてきた。 「俺だって、こんな暑い日にとんかつ食べに行かない」 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! 注意文をよく読んだつもりですが、初投下のため間違い等ありましたら申し訳ありません。 #comment
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