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#title(ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×弱気吸血鬼4) |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )感想嬉しいです!マイカプですがよろしくです 「が、それから百年たって、名前も外見も、吟遊詩人が語るそのムシュフシュを倒した英雄そっくりの人物と、銀の髪と赤い眼をローブで隠した男二人がまた旅に出た。 それからまた何十年か単位でいなくなっては現れるを繰り返した。人間は百年たてば大抵死んでるさ。だが吟遊詩人は人間ではない、 一説では神と関係があるとまでもいわれている。まあそこはいい。その吟遊詩人が見る限り、何度も現れるその男二人は、いつまでも老いない。意味わかる?」 「ヴァンパイアが、人間を助けるためにヴァンパイアにした…生命力は桁違いだから」 頭に浮かんだのはその答えしかなかった。 助からないとされた大怪我が、たった六日で治ることはまずあり得ない。…ヴァンパイアでない限り。 「当たり。だけど本人たちは今でも旅を続けていて、素性は不明、しかも仲はすごくいいときた。 けど同性結婚もできる世界なのに、結婚しない。さてなんでだ」 ズビシと人差し指を、ヴァンパイアの目の前に持っていく。 ヴァンパイアは少し身を引いて考える。 「本人たちにその気があるのであれば、ヴァンパイアに戸籍はなく、人間のほうは時間が過ぎされば死亡とみなされて、戸籍抹消されるから、できないだけ?」 人間の世界に詳しいわけではない。 ただ、人間が持ってきたガルズヘイム製の書物を持ち去って静かに読んできたので、ある程度のことは知っている。 彼は読書が趣味だった。 大抵のヴァンパイアは、人を殺し、血を啜ることを快楽とするが、彼は全くそういうところがなかった。 だから、いま目の前に獲物であるはずの人間がいるのに、素直に話を聞いているのだ。 「それも当たり。すごいよな、人間とヴァンパイアがそこまで心をかよわせる。 確かにヴァンパイアという種族はかなり美形が多いな。それだから傲慢でうざったい性格してるんだけど、 お前は、見目も綺麗なんだけど、性格おかしい。気が弱すぎる。普通人間に謝罪だのお礼だのしないぜ?仲間も不思議がってたけど、よくそんなんでボスクラスモンスターしてたな」 「バルドは、寂しくならないのか?」 一つ間をおいて、バルドは返事をした。実に間抜けな声だった。 「あ?何が」 ヴァンパイアが人間と心をかよわせることはとても珍しいが、その話が本当なら…。そう思い、ヴァンパイアはバルドの手を握った。 「だって、そのヴァンパイアも寂しかったんじゃないか。だから人間を助けて不老不死にしてまで一緒にいたかったんだと思う。バルドは、 こんな広い屋敷に一人でいて、いままで寂しくなかったのか」 頭を垂れて、ヴァンパイアは続けた。か細い声で。 「私は、あのダンジョンにいてもどこにいても、寂しくて仕方なかった。先ほど目が覚めた時も、近くに誰もいなくて寂しかった」 孤独なヴァンパイア。 どこにいても、たとえ取り巻きがいても、人間が恋しい。 人間になりたい。 その話の内容に出てくる二人はきっと楽しい人生を送っているはずだ。 死ねないというつらさも、二人でなら乗り越えられるかもしれない。 それすら羨ましい。寂しがりやで甘えん坊。 まさにその言葉がしっくりくるような性格をしていた。 しゅんとして目を伏せる彼に、バルドは手を伸ばして頭を軽くなでた。 それはまるで、眠れない子供をあやすかのようだった。 「俺は平気。でもお前が寂しいなら、一緒に寝る?」 軽い冗談のつもりだった。 すぐに否定されていると思っていたが、ヴァンパイアの出した答えは違っていた。 「うん」 目を若干輝かせて、頷いた。 すぐに握った手を離して、ヴァンパイアは隣の部屋から布団を持ってきた。 ちゃっちゃと広い部屋の、バルドの隣に布団を敷く。 「面白いやつ、普通なら人間と一緒に寝られるかなんて思わない?」 そう切り返してきたが、ヴァンパイアは十秒くらい考え込んだ後、すぐに答えた。 「むしろ嬉しい」 「変なの。そうだ、お前って名前あんの?」 突然の言葉に、ヴァンパイアは記憶を探るが、生まれて気がついて現在まで、名前を決められたことはなかった。 そういえば先程の書物に載っていたとされるヴァンパイアには名前が付いていた。 ということは、自分で決めたか、人間につけられたかのどちらかだ。 名前がほしい。仲間がほしい。一緒に話ができる相手がほしい。 「ない、だから」 「?」 「バルドがつけてくれないか」 「ん~。本によるとさ、ヴァンパイアの名前、ロウッドってやつがつけたらしいんだ。まあこれもあくまで噂。最初から名前あったのかもしれないけど、 雨の日に仲良くなって、それでレインって名付けたんだと。レインは、その名前をえらく気に入っていたそうだ」 ヴァンパイアは思わず外を見た。 開けられた窓からは、雨が入る兆しもなく、桜が顔をのぞかせていた。 満開の桜を見たのは、初めてだ。 拾った本に、日倭にある桜は美しいと、挿絵入りでかかれていた。その絵とほとんど一緒、だから桜だと思った。 雨は降っていないし、快晴とまでも行かない。 「俺、日倭の血が入ってんだよね。祖父が日倭人で、祖母がガルズヘイム人> 小さいころから祖父が刀の手入れしてるの見て育ってさ。もうその頃すでに家族はガルズヘイムにいたんだけど、 日倭のよさとか語るんだ。悪人の多い街なのに、雰囲気はほかの国をしのぐものがあるって。だから俺、日倭の名前つけるけどそれでいい? ガルズヘイム人なのに、日倭の名前だけど本当にいいの?」 更に頷いて、ヴァンパイアはまっすぐ相手の目を見た。 日倭の名前というと、漢字が多い。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! #comment
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#title(ル/ナ/テ/ィ/ッ/ク/ド/ー/ン/第/三/の/書/ 冒険者×弱気吸血鬼4) |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )感想嬉しいです!マイカプですがよろしくです 「が、それから百年たって、名前も外見も、吟遊詩人が語るそのムシュフシュを倒した英雄そっくりの人物と、銀の髪と赤い眼をローブで隠した男二人がまた旅に出た。 それからまた何十年か単位でいなくなっては現れるを繰り返した。人間は百年たてば大抵死んでるさ。だが吟遊詩人は人間ではない、 一説では神と関係があるとまでもいわれている。まあそこはいい。その吟遊詩人が見る限り、何度も現れるその男二人は、いつまでも老いない。意味わかる?」 「ヴァンパイアが、人間を助けるためにヴァンパイアにした…生命力は桁違いだから」 頭に浮かんだのはその答えしかなかった。 助からないとされた大怪我が、たった六日で治ることはまずあり得ない。…ヴァンパイアでない限り。 「当たり。だけど本人たちは今でも旅を続けていて、素性は不明、しかも仲はすごくいいときた。 けど同性結婚もできる世界なのに、結婚しない。さてなんでだ」 ズビシと人差し指を、ヴァンパイアの目の前に持っていく。 ヴァンパイアは少し身を引いて考える。 「本人たちにその気があるのであれば、ヴァンパイアに戸籍はなく、人間のほうは時間が過ぎされば死亡とみなされて、戸籍抹消されるから、できないだけ?」 人間の世界に詳しいわけではない。 ただ、人間が持ってきたガルズヘイム製の書物を持ち去って静かに読んできたので、ある程度のことは知っている。 彼は読書が趣味だった。 大抵のヴァンパイアは、人を殺し、血を啜ることを快楽とするが、彼は全くそういうところがなかった。 だから、いま目の前に獲物であるはずの人間がいるのに、素直に話を聞いているのだ。 「それも当たり。すごいよな、人間とヴァンパイアがそこまで心をかよわせる。 確かにヴァンパイアという種族はかなり美形が多いな。それだから傲慢でうざったい性格してるんだけど、 お前は、見目も綺麗なんだけど、性格おかしい。気が弱すぎる。普通人間に謝罪だのお礼だのしないぜ?仲間も不思議がってたけど、よくそんなんでボスクラスモンスターしてたな」 「バルドは、寂しくならないのか?」 一つ間をおいて、バルドは返事をした。実に間抜けな声だった。 「あ?何が」 ヴァンパイアが人間と心をかよわせることはとても珍しいが、その話が本当なら…。そう思い、ヴァンパイアはバルドの手を握った。 「だって、そのヴァンパイアも寂しかったんじゃないか。だから人間を助けて不老不死にしてまで一緒にいたかったんだと思う。バルドは、 こんな広い屋敷に一人でいて、いままで寂しくなかったのか」 頭を垂れて、ヴァンパイアは続けた。か細い声で。 「私は、あのダンジョンにいてもどこにいても、寂しくて仕方なかった。先ほど目が覚めた時も、近くに誰もいなくて寂しかった」 孤独なヴァンパイア。 どこにいても、たとえ取り巻きがいても、人間が恋しい。 人間になりたい。 その話の内容に出てくる二人はきっと楽しい人生を送っているはずだ。 死ねないというつらさも、二人でなら乗り越えられるかもしれない。 それすら羨ましい。寂しがりやで甘えん坊。 まさにその言葉がしっくりくるような性格をしていた。 しゅんとして目を伏せる彼に、バルドは手を伸ばして頭を軽くなでた。 それはまるで、眠れない子供をあやすかのようだった。 「俺は平気。でもお前が寂しいなら、一緒に寝る?」 軽い冗談のつもりだった。 すぐに否定されていると思っていたが、ヴァンパイアの出した答えは違っていた。 「うん」 目を若干輝かせて、頷いた。 すぐに握った手を離して、ヴァンパイアは隣の部屋から布団を持ってきた。 ちゃっちゃと広い部屋の、バルドの隣に布団を敷く。 「面白いやつ、普通なら人間と一緒に寝られるかなんて思わない?」 そう切り返してきたが、ヴァンパイアは十秒くらい考え込んだ後、すぐに答えた。 「むしろ嬉しい」 「変なの。そうだ、お前って名前あんの?」 突然の言葉に、ヴァンパイアは記憶を探るが、生まれて気がついて現在まで、名前を決められたことはなかった。 そういえば先程の書物に載っていたとされるヴァンパイアには名前が付いていた。 ということは、自分で決めたか、人間につけられたかのどちらかだ。 名前がほしい。仲間がほしい。一緒に話ができる相手がほしい。 「ない、だから」 「?」 「バルドがつけてくれないか」 「ん~。本によるとさ、ヴァンパイアの名前、ロウッドってやつがつけたらしいんだ。まあこれもあくまで噂。最初から名前あったのかもしれないけど、 雨の日に仲良くなって、それでレインって名付けたんだと。レインは、その名前をえらく気に入っていたそうだ」 ヴァンパイアは思わず外を見た。 開けられた窓からは、雨が入る兆しもなく、桜が顔をのぞかせていた。 満開の桜を見たのは、初めてだ。 拾った本に、日倭にある桜は美しいと、挿絵入りでかかれていた。その絵とほとんど一緒、だから桜だと思った。 雨は降っていないし、快晴とまでも行かない。 「俺、日倭の血が入ってんだよね。祖父が日倭人で、祖母がガルズヘイム人> 小さいころから祖父が刀の手入れしてるの見て育ってさ。もうその頃すでに家族はガルズヘイムにいたんだけど、 日倭のよさとか語るんだ。悪人の多い街なのに、雰囲気はほかの国をしのぐものがあるって。だから俺、日倭の名前つけるけどそれでいい? ガルズヘイム人なのに、日倭の名前だけど本当にいいの?」 更に頷いて、ヴァンパイアはまっすぐ相手の目を見た。 日倭の名前というと、漢字が多い。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! #comment
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