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#title(スキマスイッチ 「未だ」) 生。☆と元アフロネタ。ホノボノ路線というか肩すかし路線で。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! だからお前と、色々したいんだけど、ってストレートに言ったら、こいつは俺の肩に頭を乗せたまま黙っていた。 「…あのさ」 返事はない。動きもしない。 「ねえ…」 ちょっとずつその頭と腕の重みが、俺の中に現実感とは違ううねりを生み出していた。 ゆっくり息をしているな、とか。指が肩に食い込んでるな、とか。 耳に当たる髪が少し冷えてて、それが何だか気持ちいいな、とか。 まるで現実じゃないみたいだった。 ガラス窓越しに、いつもお前が歌うボーカルブースのマイクが見えていた。ヘッドフォン越しに俺らはよく話した。 そんなことを思い出していた、目の前にその姿は無くて、今はガラスに俺とお前が映っている。 「…あのさあ」 やっと言った声は、呆れたように聞こえた。 「シンタ君、デリカシー無いとか言われねえ?」 「……は?」 イテ、痛て、ちょっと。あのさ、頭ぐりぐりするのやめてくれないかな。頭突きみたいになってんだけど。 「タクヤ、痛いってば」 「ホントにさー、ちょっとさー、モノには言いようってのが…時と場合とかさあ!?」 「…った、あ、ちょっと待って、て、おいって!」 首、首くびクビ、締まってる!関節技になってる!墜ちるぞ、おい。 「……いいけど」 意識とぶかと思った。あー、考えたら流石に、殴り合いのケンカはしたことないかな、って、あれ。 「……え?」 ばたばた手を、タクヤの腕を掴むようにして俺はもがいていたけれど、お互いそこでぴたり動きが止まった。 俺は俺で、またガラスの中の自分と目が合う。バカみたいな顔をしてる。 後輩に細い目だとか言われてるけど、今はそれを目いっぱい見開いて、まるでバカみたいな。 ゆっくり一度、息を吐いた。 あの、俺の言ってたのは多分、おそらく、お前の思ってることと違うんだけど、って。でも言わなかった。 俺はお前と人生のことを考えてて、そうずっとお前の相棒でいたいなとか、そんな意味だったんだけど、もう。 もうこうなったら、どれでも同じことだと思う。 もう一度、ゆっくり深呼吸。 なあ今さら、慌てても。 十七年ですよ、何せ。 最初はとげとげしてて、お互い第一印象よくなかった。お互いガキでしたね。 俺が組もうって押しきったときも、結構お前渋ってたよね。 ソロから帰ってきた時、どうにも俺に我慢がならないこともいっぱい言ってくれたな。 そんなこと全部含めた何かが、俺の中で皮膚をつきあげる様になった。熱いなあ、とそう思った。 ソファにひっくり返って俺の全体重を受け止めながら、タクヤは俺の息が熱すぎる、と言った。そうだな。 でもお前のもそうだよ。キスしたらわかるよ。 さっきの関節技が、今はまるで切ないってでもいうみたいに、背中を締めてきた。 耳を噛む。首を噛む。 喰われてるみたい、ってかすれた声。 息を押しつけるみたいに肌にあてる。 俺の舌が熱い、って、今度はため息と一緒に。 「…あ、あ、ちょ、でもちょっ…、ちょと、待った!!」 ふっと、また別の意味で意識が飛びそうになったその瞬間だった。 「痛っ!!」 痛い、また! 「なっ…な、何、タクヤ!?」 今度は髪!! マジ鷲掴みだ。さっきまで背中にあった指が、俺の髪をめちゃくちゃ引っ張って引きはがす。 いっ、ちょっ、ハゲる!ヤメロ!アフロじゃなくてもハゲるから!! 意識がくっきり現実に戻った。 そういつもみたいに。いつもと違ったのは、お前の方。 そっくり返った俺は冗談でも何でもなく痛くて、ちょっと視界は涙で滲んでた。そのせいかな。 いや、それだけのせいじゃないとは思ったけど。 お前の目も蛍光灯の光を受けて、ゆるく柔らかく、潤んでいた。 俺は少し茫然として、それを見下ろしていた。髪の色が好きだ。その冷たさも。 ジャケットの襟で跳ねてる、それがたまらなく好きだ。 とか。思ったりしながら。 「……何、タク、ヤ」 「……ここはダメでしょ、ね」 「……。」 ぼそり。現実。 くっきり戻った意識は、理性は、俺の頭の中で騒ぎだした。確かに、確かに俺は、こんなとこで何を。 ここは俺のプライベートスタジオじゃないんだ、った。事務所も会社も近いんだった、だから。 ここで問題を起したら即ばれる、ああもう一気に色んな人に。 血の気が引いてしまって黙りこんでしまった俺にタクヤは、まだ俺の腕の中にいるくせに、逃げようともしないくせに、 なのに常識的なことをぼそぼそと喋り続ける。 まだ誰かいるかもしれないとか。鍵かけてないとか。事務所も会社も近いんだとか、うん、うん。 「それに」 「……。」 「……。」 「…それに?」 「か…」 「…か?」 「か!!」 今度は耳がやられる!近い、近いんだから叫ぶなっての!! いくら惚れてる声でも、怒鳴られて鼓膜が刺激されないわけじゃない。一瞬きいんとなった。 思わずそれを押さえ込んで逃げ腰になってしまう。 「……考えたんだけどっ!」 「何を!」 「俺、絶対声出るし!」 「……。」 で、ナニこっちを恨めしそうに見るんかいね。知らんよ、そんなお前のアレコレとか、流石に。 「はぁ……で」 「つか、……出したいし」 「……!」 ぐ。 「……だから、ココはさあ、マズいんかも、って……流石にさ」 それには、ちょっと俺も、来ましたよ。何かが。何て言うのか。 上目使うなって、そんなキャラかい。いや、計算でそういうキャラやることはある、のは知ってるけども。 だからって俺に通用すると思うなよ。何年それを傍で見てきて、犠牲者に心の中で手を合わせて来たか。 通用しねえ。しないんですよ、タクヤ、しないよそんな手は。 「……。」 だー。なっさけねえ。 心の中で呟いてても、結局一番俺が、これに弱い。 お前を目の前にすると焦る。何て答えようか混乱する。何だって、何時だって、一番俺が、お前を裏切りたくない。 体は熱くて、心も汗だく。もう直ぐ冬で良かったのかも。 「ろり、あえず」 「あ?」 か、噛んだ。ええいままだ。 「……とりあえず、ちょっと考えようか」 多分お前は呆れる。退くのかよって言って、結局最後そこを飛び越えるのは俺なんだって、なあ。 お前の期待を裏切りたくは無いんだけど、でも本当に、本当の意味で、お前を裏切るのは嫌だなあって。 確かにタクヤは、半開きの口では、と呆れたようにため息をついて、何秒か黙っていたけど、最後には笑いだした。 ヤバい、ってくすくすからげらげらと、俺にしがみついて結構大笑いだ。つられて俺も、いつの間にか笑ってしまった。 らしい。ホントに。 とことん真っ直ぐ進めないのが、たまらなく俺ららしいと思った。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! そう簡単には…! #comment
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#title(スキマスイッチ 「未だ」) 生。☆と元アフロネタ。ホノボノ路線というか肩すかし路線で。 |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! だからお前と、色々したいんだけど、ってストレートに言ったら、こいつは俺の肩に頭を乗せたまま黙っていた。 「…あのさ」 返事はない。動きもしない。 「ねえ…」 ちょっとずつその頭と腕の重みが、俺の中に現実感とは違ううねりを生み出していた。 ゆっくり息をしているな、とか。指が肩に食い込んでるな、とか。 耳に当たる髪が少し冷えてて、それが何だか気持ちいいな、とか。 まるで現実じゃないみたいだった。 ガラス窓越しに、いつもお前が歌うボーカルブースのマイクが見えていた。ヘッドフォン越しに俺らはよく話した。 そんなことを思い出していた、目の前にその姿は無くて、今はガラスに俺とお前が映っている。 「…あのさあ」 やっと言った声は、呆れたように聞こえた。 「シンタ君、デリカシー無いとか言われねえ?」 「……は?」 イテ、痛て、ちょっと。あのさ、頭ぐりぐりするのやめてくれないかな。頭突きみたいになってんだけど。 「タクヤ、痛いってば」 「ホントにさー、ちょっとさー、モノには言いようってのが…時と場合とかさあ!?」 「…った、あ、ちょっと待って、て、おいって!」 首、首くびクビ、締まってる!関節技になってる!墜ちるぞ、おい。 「……いいけど」 意識とぶかと思った。あー、考えたら流石に、殴り合いのケンカはしたことないかな、って、あれ。 「……え?」 ばたばた手を、タクヤの腕を掴むようにして俺はもがいていたけれど、お互いそこでぴたり動きが止まった。 俺は俺で、またガラスの中の自分と目が合う。バカみたいな顔をしてる。 後輩に細い目だとか言われてるけど、今はそれを目いっぱい見開いて、まるでバカみたいな。 ゆっくり一度、息を吐いた。 あの、俺の言ってたのは多分、おそらく、お前の思ってることと違うんだけど、って。でも言わなかった。 俺はお前と人生のことを考えてて、そうずっとお前の相棒でいたいなとか、そんな意味だったんだけど、もう。 もうこうなったら、どれでも同じことだと思う。 もう一度、ゆっくり深呼吸。 なあ今さら、慌てても。 十七年ですよ、何せ。 最初はとげとげしてて、お互い第一印象よくなかった。お互いガキでしたね。 俺が組もうって押しきったときも、結構お前渋ってたよね。 ソロから帰ってきた時、どうにも俺に我慢がならないこともいっぱい言ってくれたな。 そんなこと全部含めた何かが、俺の中で皮膚をつきあげる様になった。熱いなあ、とそう思った。 ソファにひっくり返って俺の全体重を受け止めながら、タクヤは俺の息が熱すぎる、と言った。そうだな。 でもお前のもそうだよ。キスしたらわかるよ。 さっきの関節技が、今はまるで切ないってでもいうみたいに、背中を締めてきた。 耳を噛む。首を噛む。 喰われてるみたい、ってかすれた声。 息を押しつけるみたいに肌にあてる。 俺の舌が熱い、って、今度はため息と一緒に。 「…あ、あ、ちょ、でもちょっ…、ちょと、待った!!」 ふっと、また別の意味で意識が飛びそうになったその瞬間だった。 「痛っ!!」 痛い、また! 「なっ…な、何、タクヤ!?」 今度は髪!! マジ鷲掴みだ。さっきまで背中にあった指が、俺の髪をめちゃくちゃ引っ張って引きはがす。 いっ、ちょっ、ハゲる!ヤメロ!アフロじゃなくてもハゲるから!! 意識がくっきり現実に戻った。 そういつもみたいに。いつもと違ったのは、お前の方。 そっくり返った俺は冗談でも何でもなく痛くて、ちょっと視界は涙で滲んでた。そのせいかな。 いや、それだけのせいじゃないとは思ったけど。 お前の目も蛍光灯の光を受けて、ゆるく柔らかく、潤んでいた。 俺は少し茫然として、それを見下ろしていた。髪の色が好きだ。その冷たさも。 ジャケットの襟で跳ねてる、それがたまらなく好きだ。 とか。思ったりしながら。 「……何、タク、ヤ」 「……ここはダメでしょ、ね」 「……。」 ぼそり。現実。 くっきり戻った意識は、理性は、俺の頭の中で騒ぎだした。確かに、確かに俺は、こんなとこで何を。 ここは俺のプライベートスタジオじゃないんだ、った。事務所も会社も近いんだった、だから。 ここで問題を起したら即ばれる、ああもう一気に色んな人に。 血の気が引いてしまって黙りこんでしまった俺にタクヤは、まだ俺の腕の中にいるくせに、逃げようともしないくせに、 なのに常識的なことをぼそぼそと喋り続ける。 まだ誰かいるかもしれないとか。鍵かけてないとか。事務所も会社も近いんだとか、うん、うん。 「それに」 「……。」 「……。」 「…それに?」 「か…」 「…か?」 「か!!」 今度は耳がやられる!近い、近いんだから叫ぶなっての!! いくら惚れてる声でも、怒鳴られて鼓膜が刺激されないわけじゃない。一瞬きいんとなった。 思わずそれを押さえ込んで逃げ腰になってしまう。 「……考えたんだけどっ!」 「何を!」 「俺、絶対声出るし!」 「……。」 で、ナニこっちを恨めしそうに見るんかいね。知らんよ、そんなお前のアレコレとか、流石に。 「はぁ……で」 「つか、……出したいし」 「……!」 ぐ。 「……だから、ココはさあ、マズいんかも、って……流石にさ」 それには、ちょっと俺も、来ましたよ。何かが。何て言うのか。 上目使うなって、そんなキャラかい。いや、計算でそういうキャラやることはある、のは知ってるけども。 だからって俺に通用すると思うなよ。何年それを傍で見てきて、犠牲者に心の中で手を合わせて来たか。 通用しねえ。しないんですよ、タクヤ、しないよそんな手は。 「……。」 だー。なっさけねえ。 心の中で呟いてても、結局一番俺が、これに弱い。 お前を目の前にすると焦る。何て答えようか混乱する。何だって、何時だって、一番俺が、お前を裏切りたくない。 体は熱くて、心も汗だく。もう直ぐ冬で良かったのかも。 「ろり、あえず」 「あ?」 か、噛んだ。ええいままだ。 「……とりあえず、ちょっと考えようか」 多分お前は呆れる。退くのかよって言って、結局最後そこを飛び越えるのは俺なんだって、なあ。 お前の期待を裏切りたくは無いんだけど、でも本当に、本当の意味で、お前を裏切るのは嫌だなあって。 確かにタクヤは、半開きの口では、と呆れたようにため息をついて、何秒か黙っていたけど、最後には笑いだした。 ヤバい、ってくすくすからげらげらと、俺にしがみついて結構大笑いだ。つられて俺も、いつの間にか笑ってしまった。 らしい。ホントに。 とことん真っ直ぐ進めないのが、たまらなく俺ららしいと思った。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ! そう簡単には…! #comment
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