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#title(ア/ス/ガ/ル/ド 95鬼畜短髪鞭賊×91長髪ダガー賊5) [#j87409ce] _________ |┌───────┐| |│l> play. │| |│ |│ |│ |│ |│ |│ |└───────┘| [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::] ∧∧ ( ,,゚) ピッ ∧_∧ ∧_∧ / つ◇ ( ・∀・)ミ (` ) . (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒) | ┌‐^────────────── └──────│まだ続きます └─────────────── ディースが手を離すと、糸が切れた人形のように、アイルの体は壁にしなだれかかった。 全身が痛い。 ふと、今までにあったことを思い出して、身震いした。 拷問されたのか。そうだ。 この男が、笑いながら、鞭を振るってきた 誰かが癒してくれたのか、傷は随分消えていたが、それでもまだ、所々に傷があり、体を動かすたび、痛んだ。 疲れによって精神力は削られ、己で体を癒す魔法(セルフヒール)さえ、出来なかった。 ディースが部屋を出て行くのを見届けると、アイルはゆっくりと目を閉じた。 これが、夢であればいいのに。 アジトの一階、ある吟遊詩人が歌を披露していた。 サンチョギター片手に歌う彼は、とても幼い顔をしている。 リズミカルに体を揺らせ、それを回りの人間も聴き入っている。 とても、透き通った声だった。 内容は、冒険者である夫のかえりをまつ、妻の歌であった。夫が戦死したことも知らず、待ちつづける。 早く帰ってこないかしらと、待ちつづける。 歌が終わると、ぱちぱちとまばらに拍手があがった。 吟遊詩人になりたての人間が着る、吟遊詩人服。青色で、肩をさらけ出し、半ズボンという身軽な格好だ。 サンチョギターを壁に立てかけると、そばにいたディースに、彼は話し掛けた。 「久しぶり、ご機嫌斜めかい?」 ちら、と、ディースは彼をみた。が、すぐに窓の外に視線を移した。 雪が降っている。 「久しぶり?一ヶ月もたってないじゃねぇか」 「一ヶ月たってれば十分だよ、このへそ曲がり」 「カルテラ、お前はしばらくここにいるか?」 「いるよ。ほら、みて」 と、カルテラはバッグから大量の金貨を取り出した。 机に山積みになった金貨に、他のギルド員も興味をもって近づいた。 それでも一部なのだろう。 カルテラは、その金貨の中に片手を突っ込むと、そのまま机に座った。 「ボスの報酬がこれさ、随分良いもの溜め込んでたみたいでさ。露店したら一気にお金持ち♪しばらくは遊んで暮らせるよ」 ケラケラと笑うカルテラ。 彼がかなりの実力者であることは、一見見ただけでは分からないだろう。 一時は魔術師の最高峰といわれたほどの力の持ち主だった彼は、二年ほど前、突然吟遊詩人になってしまった。 飽きたから。 それが理由だった。 「なら、ついてこい。どうせ暇なんだろう」 席をたって階段へと向かうディース。 「なにさ?ちょっと待ってよ」 疑問におもいながらも、興味津々。 大急ぎで机にばらまいた金貨をしまいこむと、足取り軽くついていった。 「人の気があるね」 ディースの部屋の前にたった彼が、つぶやいた。 何があるのかな? 一体何があるのかな? ディースのことだから、とんでもないことでもやりだしたのかな? そういえば、昨日、捕虜が要るっていってたな。 ジンはそれ以上何も言わなかったけれど、そのことかな?! あれこれと、想像しわくわくしながらカルテラは、扉を開けるよう催促した。 「アイル」 真っ暗な部屋、ディースの言葉に反応し、うごめくものがある。 暗くてよく見えない。 持っていた燭台を、部屋に向けててらす。 まぶしそうに起き上がり、こちらを見るのは、長髪の男だった。 「♪」 カルテラは、見覚えのあるその顔に、いそいそと近づいていく。 が、後一歩、というところでディースに服の裾を、まるで猫のように捕らえられて、とまった。 「気分はどうだ?」 半身起こしたアイルの顎をすくうと、ディースは笑う。 アイルは何も言わない。言えなかった。 恐怖で足がすくんでいることなど、悟られまいと必死だった。 だが、震えは、顎をつかむ彼の手に伝わった。 「ディース、震えてるじゃーん。離してやりなよ。ねえ?」 アイルに向かって、無邪気に笑いかけるカルテラ。 その顔は、アイルにも、覚えがあった。 だが随分と昔のことだった気がする。彼に出会ったのは。 最高衣服の、さらに上位服があると噂を聞く。 それは人間の域を越え、神ほどの力をつけた人間が着れるものだと、誰かが言った。 当時彼は魔術師だった。 普通の最高衣服は、黒いマント、青い長い裾のある服。 だが、さらに上の服は、その青色の裾の部分が、白で、全体的に光を帯びている。 その服を、彼は着ていた。 氷の城、アドリブンで、その幼い顔立ちに似合わず、火と、風と、水と、そしてほぼ全ての呪文を使いこなす姿は、思わず見惚れるほどだった。 それが敵ギルドに所属していると知ったのは、つい最近である。 「あ…あんたは…」 アイルは、目を見開いた。 ディースの後ろに立っている人物こそ、その人だった。 「こんばんは、アイル君。僕を知ってるの?」 「お前の事知らない奴は、殆どいないんじゃないか」 横からディースが言う。 「…しってる…けど、吟遊詩人に…」 「うん。魔術師ね、飽きちゃったから、詩人になっちゃった。嬉しいな、僕、そんなに有名!?」 勿体無い。極めてから、吟遊詩人になるなんて。 「カルテラ」 ディースが、嬉しそうに笑っているカルテラに向き直った。 「はいな」 そして、アイルの首につながれた鎖を持つと、言った。 「こいつの世話役になれ。こいつは犬だ。」 「え」 その言葉に、目を丸くしたのは、カルテラではなくアイルだった。 動揺して体を起こすと、じゃり、と、重い鎖の音が響いた。 「盗賊型守護動物?そんで犬?ワンって鳴くの?わんわん?」 皮肉をこめてだろうか、カルテラはケラケラと笑い出した。 「ほれお手」 アイルのまえに屈みこむと、手のひらを差し出してきた。 手を乗せろ、という意味だろう。だがアイルにだってプライドがある。つい、と、目をそらして抵抗した。 その態度に、カルテラが、頬を膨らませる。 「冗談はほどほどにしろ」 「冗談はそっちだろ」 その言葉に、ディースはカルテラを見つめた。その目は厳しい。 「いままで、捕虜にこんなことしなかったじゃない。大体僕に世話を任すってなんでさ」 十秒くらい、間があいただろうか。何か考えているようだったが、ディースがいった ことは、 「ただ、なんとなく。お前暇そうだし」 …ということだった。 「…」 あからさまに嫌そうな顔をしたカルテラだったが、その言葉が実に図星をついてることに、ため息をついた。 「仕方ないなあ。僕もしばらく冒険者業を休むつもりでここに来たんだけど…」 アイルの、その頬に手を寄せた。 「君の面倒は、僕が見るよ。宜しくね…」 その無邪気な笑顔の裏に、何があるのか。 ただ、ディースと共にいるよりは、心は狂わされずにすむかもしれないと思った。 その日から、奇妙な生活は続いた。 アイルは首輪をされ、それはベッドへとつながれる。 ベッドの側には、アイル専用の寝床。といっても、毛皮と毛布で作られたか簡素な寝床であった。 それはまさに、犬の寝床のよう。 とはいえ、ディース自身は、最初何もアイルに提供するものはないといっていたのだった。 だが、それを聞いたネイヴィーが激しく反対し、せめて毛布と毛皮を、と、彼女自身が提供したのであった。 レビアは、寒い。氷点下を超えることがざらなこの街で、毛布もなしに人間を住まわせるなど、それは凍死させるようなものである。 して、その日初めての食事を持ってきたのは、カルテラではなくディースだった。 荒々しく扉を開け、それまで毛布をかぶって凍えていたアイルの前に、肉や野菜の入ったスープを置いた。 「お前には十分すぎる食事だな」 食事は温かかった。安っぽい、冒険用の樹の器に盛られたスープ。 だが…、スプーンがなかったことに、アイルは戸惑った。 ちら、と、ディースの顔色をうかがう。 「なんだ?」 ディースは、アイルの前に屈みこんだ。 「…、スプーンは」 「犬には必要ないだろう?」 その言葉に、頭に血が上るのを感じた。だが、のどまででかかって、あえてそれを飲み込んだ。 逆らえない。 彼が、護身用にと腰にぶら下げている短剣が目に入った。 仕方なく、アイルは目を伏せる。 「さあ食え、はいつくばって犬のように!」 途端、物凄い力で頭を捕まれ、スープ皿に押し付けられた。 不意を疲れた彼は、スープ皿に顔が半分ほど入ってしまう。熱さに思わず顔をのけると、スープ皿はガチャンと音を立てて転倒した。 「げほっげほっ…!あ…なに、を…!」 何をする!と彼のほうへ向き直ろうとした途端、またも力で押さえつけられる。スープが広がった床に顔を押さえつけられ、そのままディースを見上げると、彼は笑った。 「なめろ、犬のようにな!!さあ、這え!」 目は狂気に輝いている。 怖い。怖い。怖い。怖い! 「嫌だ!」 這って床をなめてまで食事にありつこうなんて、人間のプライドが許さなかった。 だが、拒絶の言葉に、ディースは力を込めて彼を殴り飛ばした。 _________ |┌───────┐| |│ロ stop. │| |│ |│ |│ |│ |│ |│ |└───────┘| [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::] ピッ ∧_∧ ◇,,(∀・ ) オソマツサマデシタ . (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒) | | └────────────────┘ #comment
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