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#title(ふぁーすと) [#g5e4ce08] |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 売れっ子脚本家×個性派俳優 ネコが劇団入りたてな頃で。 ジョウキョウガ ワカリニクイカモ… 「…やめちゃおうかな、って」 煙と一緒に吐き出した。 演劇の基礎なんかないから、ダメなのは分かってる。 でも、それを毎日口に出して言わなくたっていいのに。 鬱なのか何なのかよく分からないけど、可織田さんが毎日のように『お前はだめだ、俺はダメだ』と繰り返してる。 やっぱりよく分からないまま僕は落ち込んで、この劇団を続けること自体が少し嫌になっていた。 「そう…」 句洞さんも浅く息を吐き出した。煙が天井で僕のと混じる。 役者もタバコ吸うんだな、なんて。僕もだけど。 舞台上の句洞さんを格好良いと思った。それがここに入った理由のひとつだった。 別にそれをわざわざ、本人に言うことはしないつもりだけども。 自販の前でタバコを吸っている句洞さんを見つけて、隣で一服したくなったのは偶然。 でも、辞めたいって気持ちは言おうと思ってた。 いきなり辞めるのは…この人に失礼なんじゃないかって、漠然と思ったから。 …どうしてだろう。まだ辞めるのを迷ってるのかな。 バイトだったら無断で休んだり勢いで辞めたりも出来たのに。 …色々考えてるうちに、タバコはかなり短くなってた。 沈黙。 話題は無いけど、何故か気まずさもない。 句洞さんは、先にここに居るから先輩。でも同じ年で。だけど僕の周りの誰とも似てなくて。 知らない人は恐いけど、この人の事はもっと知りたい。大人になってからこんな気持ちになるのは、きっと初めてだ。 もう少し、この人に近づいてみたい…でも、どうやって? ふと、句洞さんの視線がこっちを向いた。どきっと、一瞬息が詰まる。 「…亞辺くんさぁ。ヒマならこれからウチおいでよ」 「え?」 句洞さんはゆっくり煙を吐き出しながら、細長い指でタバコをもみ消した。 「劇とか、映画とか、ビデオあるから」 目が合って、僕も慌ててタバコを灰皿に押しつけた。心臓と一緒に喉の奥がどきどきして、うまく返事が出てこない。 「来なよ」 まごついてる間に句洞さんがそう促した。唇が弧を描けば、かなりやんちゃな歯並びが覗く。 …YesかNoか、答えを用意されていると安心してしまう。今は答えが一つしかないから、尚更ほっとしてる。 なんだか嬉しくなって、勝手に口元が緩んじゃって。 頷いて、小さく「はい」とだけ返事をした。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )お目汚しスマソ アマリヤオッテナイネ ユルシテクダセエ #comment
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#title(ふぁーすと) [#g5e4ce08] |>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース! 売れっ子脚本家×個性派俳優 ネコが劇団入りたてな頃で。 ジョウキョウガ ワカリニクイカモ… 「…やめちゃおうかな、って」 煙と一緒に吐き出した。 演劇の基礎なんかないから、ダメなのは分かってる。 でも、それを毎日口に出して言わなくたっていいのに。 鬱なのか何なのかよく分からないけど、可織田さんが毎日のように『お前はだめだ、俺はダメだ』と繰り返してる。 やっぱりよく分からないまま僕は落ち込んで、この劇団を続けること自体が少し嫌になっていた。 「そう…」 句洞さんも浅く息を吐き出した。煙が天井で僕のと混じる。 役者もタバコ吸うんだな、なんて。僕もだけど。 舞台上の句洞さんを格好良いと思った。それがここに入った理由のひとつだった。 別にそれをわざわざ、本人に言うことはしないつもりだけども。 自販の前でタバコを吸っている句洞さんを見つけて、隣で一服したくなったのは偶然。 でも、辞めたいって気持ちは言おうと思ってた。 いきなり辞めるのは…この人に失礼なんじゃないかって、漠然と思ったから。 …どうしてだろう。まだ辞めるのを迷ってるのかな。 バイトだったら無断で休んだり勢いで辞めたりも出来たのに。 …色々考えてるうちに、タバコはかなり短くなってた。 沈黙。 話題は無いけど、何故か気まずさもない。 句洞さんは、先にここに居るから先輩。でも同じ年で。だけど僕の周りの誰とも似てなくて。 知らない人は恐いけど、この人の事はもっと知りたい。大人になってからこんな気持ちになるのは、きっと初めてだ。 もう少し、この人に近づいてみたい…でも、どうやって? ふと、句洞さんの視線がこっちを向いた。どきっと、一瞬息が詰まる。 「…亞辺くんさぁ。ヒマならこれからウチおいでよ」 「え?」 句洞さんはゆっくり煙を吐き出しながら、細長い指でタバコをもみ消した。 「劇とか、映画とか、ビデオあるから」 目が合って、僕も慌ててタバコを灰皿に押しつけた。心臓と一緒に喉の奥がどきどきして、うまく返事が出てこない。 「来なよ」 まごついてる間に句洞さんがそう促した。唇が弧を描けば、かなりやんちゃな歯並びが覗く。 …YesかNoか、答えを用意されていると安心してしまう。今は答えが一つしかないから、尚更ほっとしてる。 なんだか嬉しくなって、勝手に口元が緩んじゃって。 頷いて、小さく「はい」とだけ返事をした。 □ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )お目汚しスマソ アマリヤオッテナイネ ユルシテクダセエ #comment
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