ページ内容へ
ナビゲーションへ
当サイトをご覧いただくにはブラウザの設定で
JavaScriptを有効に設定
する必要がございます。
ページの一覧
最終更新一覧
ヘルプ
ホーム
使い方
文字サイズ:小
文字サイズ:中
文字サイズ:大
リロード
編集
ツール
名前変更
凍結
差分
バックアップ
添付
複製
印刷
Top
/
18-102
18-102
の編集
-- 雛形とするページ --
(no template pages)
#title(『車達』二番手→王者) [#wcf662b0] / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ピ草ー映画『車達』で二番手→王者(本編終了後の話。ネタバレあり) ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| ちょっと小手調べにギャグ系を。二番手がかわいそうな話。 | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ガンガッテ、クルマデヤオルヨ! | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ピストン/カップから数日後。 例えルーキーと王者・世紀の美談と讃えられても大怪我は大怪我。 キソグは直ちに病院へ放り込まれ、かつてのスポンサーだった『DINOCO』の細やかな治療と、愛妻の手厚い看病を受けていた。 引退後の悠々自適の生活の第一歩にしてはひどく暇かつ退屈で、キソグは 広々とした専用ガレージの中で長々と溜息をついていた。 妻は買い物があるとかで、先程出て行ってしまった。話し相手を無くして いよいよ暇を持て余したチャンピオンは、退屈しのぎにカリフォルニアでの ピストンカップについての記事に目を落としていた。 が、そんな静寂も束の間。レーシングカー独特の鋭いエンジン音が近づいてきている。 「キーーーーング!!!!」 がっしゃああああんと派手な音を立てて、ガレージの戸が引き上げられた。 そこにいるのは目に痛い鮮やかなライムグリーン。但し、外見を考えず 所狭しと張られたスポンサーのステッカーのせいで、遠目だと何となくくすんで見える。 「……何だ、チッ9。見舞いならもう間に合ってるぞ」 気だるげに言うと、ちらりとガレージの隅にきちんと整頓されてある高級 ガソリンやら何やらを目線で示す。 「ハッ! 誰がライバルの見舞いなんかするか!!」 もうライバルじゃあないんだが、とキソグは心中で呟いた。一応公式としては チッ9がピストンカップ優勝者、新チャンピオンである。が、その人気は歴代 チャンピオン史上最低だとあまり趣味の宜しくない雑誌が書きたてていた。 「そうか、じゃあ煩いから出て行ってくれないか。お前の緑は妙に目に刺さる」 「うるっせぇ! ごたごた言う前にこれを見ろ!」 病室だという事はお構いなしに、いつも通りのテンションでがなるとチッ9は 乱暴にあるものを床に置いてキソグへと突きつけた。 「これは何だ!?」 「ピストンカップのトロフィーだな」 「そうだ、オレがこれを持っているという事は、つまり!?」 「…………」 「つまり!?」 「………………」 「つまり、どういう事だ!?」 「……………………」 「――オレがピストンカップを制したって事だ!」 「だな。良かったなおめでとう、お前の走りはそりゃあもうエキセントリック すぎて俺のフロントは未だデコボコだ」 「オレがピストンカップを制したという事は! キソグ!! お前は俺に負けたんだ!!」 「聞け」 「俺に負けたという事はキソグ!? オレはお前より速い!!」 「……。だろうな」 キソグはもう一度深い溜息をついた。 どこまでも空気を読めない上に、自分がキソグのクラッシュの原因だとは 既に忘却の彼方にあるだろうGM車は、にんまりと口元を歪めてキソグを見つめた。 たっぷり一分見つめられ、妻はまだ帰らないかとキソグが思い始めた頃、 チッ9・ヒックスは徐に口を開いた。 「オレに抱かれろキソグ!!」 キソグは、自分のバンパーを取り落としたと錯覚した。 「………………はあ?」 ~~回想(チッ9・ヒックス視点)~~ あれはそう、オレがまだ超売れっ子新人ルーキーだった頃だ。その日も オレは僅差でおまえの後ろに甘んじて、銀色のカップを貰って帰る所だった。 お前はまだ独身で、カワイ子ちゃん達は俺の次にお前に夢中だった。 そんなお前がインタビューに答えてるのを、オレはたまたま……たまたまだぞ!!!! 見てたんだよ。テレビで。 インタビュアー(以下I)「キソグさん、****カップ優勝おめでとうございます! 今回も素晴らしい走りでしたね以下略~~~~ところでキソグさん。常に クールで熱い走りを見せるあなたですが、最近の世間の関心はあなたの パートナーについてなんです」 キソグ(以下お前)「パートナー?俺はまだ結婚する気はないな。今はまだ 一レーサーとしてあり続けたい。まだまだ未熟者だからな」 I「ああ、テレビの前のお嬢さん方の溜息が聞こえてきそうです! ではキソグさん、 あなたが伴侶にするとしたら、一体どんな方を選びますか?」 お前「思いの他直球で来るなあ……そうだな。俺より速い車になら、俺は俺の 全てを捧げよう――心も、身体も」 (以下省略) 『俺より速い車になら、俺は俺の全てを捧げよう――心も、身体も……も…… も……も…』(←エコー) ~~回想終了~~ 「オレは決意した、何が何でもお前を抜き!! お前を王者の位から叩き出して 俺が王者となった暁には!! お前をオレの者にしようと!!」 叫ぶなりチッ9はカップに何かをバラバラと入れた。床の滑りを利用して 押し付けられたそれをいやいやながら覗き込むと、キラキラと光るタイヤの ナットがワンセット分入っている。 「何だこれ」 「ギャラ三か月分のナットだ!! 特注品だぞ、見てみろ光に当てると青色に光るんだ!!」 キソグは優に三分は沈黙した後、先程より数倍だるそうに顔を上げた。 「チッ9、俺が妻帯者だってことをよもや忘れちゃいないだろうな?」 「ああうんざりするほどに! あのワゴンがお前の隣で微笑んでるのを 初めて見た日はオレの中で世界が半分終わったね! だがオレは確かに お前より速くなった! あのワゴンよりな!!」 「……。チッ9」 「何だ!?」 「…………そのインタビューってのは一体いつの話だ」 「忘れた!!」 「…………」 インタビューなぞ星の数ほど受けてきた。無論蔑ろにする気はなく、 出来得る限り誠心誠意答えてきたつもりだ。 ……だが、正直言ってその内容までいちいち覚えてはいない。 「記憶にない」 「なーっ!? ふざけるな! あの言葉を信じてオレはお前のバックを追いかけてたんだぞ!? それを事もあろうに忘れただぁ!?」 「あともう一つ」 「聞けよ!!」 「俺はもうレーサーじゃない。だから、タイヤは昨日履き替えた」 ちらり、とタイヤをチッ9に見せる。 レーシングカーが履くタイプではない。そのホイールはシンプル極まりない。 もうタイヤ交換を頻繁にする必要もないので、ホイール部分はしっかり プラチナのカバーで覆われていた。 つまり、どれだけナットが洒落ていても意味がない。 「これからは愛しのマーキュリーとのんびりドライブでも、と思ってな」 「……………………」 バンパーどころかネジ全部をふっ飛ばしそうな勢いで唖然としているチッ9の 脇から、するりと別の車が入ってきた。 品のよいターコイズブルーのマーキュリーコロニーパークステーション ワゴンは、『あなたただいま』と言いかけて闖入者に沈黙した。流石に自分の 夫のクラッシュ原因が目の前にいるのは気分が悪いらしく、憮然とした表情で夫の側へ寄っていく。 「あなた」 「もうじき帰るとさ。……ああマーク、マックィーンの特別番組って何時からだっけ?」 「あら、もうすぐよ」 「そうか、何チャンネルだっけ? ――チッ9」 「……何だよ」 「大変申し訳ないが、俺はマーキュリーに心底惚れているんでね……お前がロケットより早く走ろうとも、それだけは揺るがないね」 「いや、けどな、そいつは絶対俺より遅」 「速いぞ」 「え」 「断言しよう。マーキュリーは、俺より速い」 「…………ちくしょおおおおおおおおおおおっ!!!!」 夫の思わぬ熱っぽい言葉にフロントを染める妻と、それをいとおしげに眺めるキソグ。 そんな二人を後に、チッ9は男泣きしながら走り去って行った。 ……その後で素晴らしいスピードで戻ってきて、カップとナットを回収していった。 チッ9は知らない。 お忍びで街に出たキソグが、たまたますれ違いざまにハンドルトラブルを 起こして道端のタイヤタワーを崩してしまい、あたふたとそれを片付ける マーキュリーに出会った事を。 そして、件のインタビューを覚えていた彼女にレースを持ちかけられ、 全身全霊を掛けた人生最高のノロノロ走行で彼女に『負けた』事を。 『では次のニュースです。ピストンカップ新チャンピオンであるチッ9・ ヒックスが深夜オフロードを爆走、カーブを曲がりきれずにサボテンの群生に 突っ込みました。目撃者の話によると、チッ9・ヒックスは何故か大泣きして いたといい、一部の証言によりますと『キソグのバカヤロー』という絶叫を 耳にしたものもおり――――』 ____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ ゴメンネ、チック | | | | ピッ (・∀・ ) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || | ノマっぽい締めになってしまった……orzマーキュリーは王者夫人の名前(仮)です。 車全然詳しくないので怪しいところあったらスマソ #comment
タイムスタンプを変更しない
#title(『車達』二番手→王者) [#wcf662b0] / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ピ草ー映画『車達』で二番手→王者(本編終了後の話。ネタバレあり) ____________ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | __________ |  ̄ ̄ ̄V ̄ ̄| ちょっと小手調べにギャグ系を。二番手がかわいそうな話。 | | | | \ | | |> PLAY. | |  ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | | | | ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ガンガッテ、クルマデヤオルヨ! | | | | ピッ (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ ) | | | | ◇⊂ )( ) | ヽノ___ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__)(_(__). || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ピストン/カップから数日後。 例えルーキーと王者・世紀の美談と讃えられても大怪我は大怪我。 キソグは直ちに病院へ放り込まれ、かつてのスポンサーだった『DINOCO』の細やかな治療と、愛妻の手厚い看病を受けていた。 引退後の悠々自適の生活の第一歩にしてはひどく暇かつ退屈で、キソグは 広々とした専用ガレージの中で長々と溜息をついていた。 妻は買い物があるとかで、先程出て行ってしまった。話し相手を無くして いよいよ暇を持て余したチャンピオンは、退屈しのぎにカリフォルニアでの ピストンカップについての記事に目を落としていた。 が、そんな静寂も束の間。レーシングカー独特の鋭いエンジン音が近づいてきている。 「キーーーーング!!!!」 がっしゃああああんと派手な音を立てて、ガレージの戸が引き上げられた。 そこにいるのは目に痛い鮮やかなライムグリーン。但し、外見を考えず 所狭しと張られたスポンサーのステッカーのせいで、遠目だと何となくくすんで見える。 「……何だ、チッ9。見舞いならもう間に合ってるぞ」 気だるげに言うと、ちらりとガレージの隅にきちんと整頓されてある高級 ガソリンやら何やらを目線で示す。 「ハッ! 誰がライバルの見舞いなんかするか!!」 もうライバルじゃあないんだが、とキソグは心中で呟いた。一応公式としては チッ9がピストンカップ優勝者、新チャンピオンである。が、その人気は歴代 チャンピオン史上最低だとあまり趣味の宜しくない雑誌が書きたてていた。 「そうか、じゃあ煩いから出て行ってくれないか。お前の緑は妙に目に刺さる」 「うるっせぇ! ごたごた言う前にこれを見ろ!」 病室だという事はお構いなしに、いつも通りのテンションでがなるとチッ9は 乱暴にあるものを床に置いてキソグへと突きつけた。 「これは何だ!?」 「ピストンカップのトロフィーだな」 「そうだ、オレがこれを持っているという事は、つまり!?」 「…………」 「つまり!?」 「………………」 「つまり、どういう事だ!?」 「……………………」 「――オレがピストンカップを制したって事だ!」 「だな。良かったなおめでとう、お前の走りはそりゃあもうエキセントリック すぎて俺のフロントは未だデコボコだ」 「オレがピストンカップを制したという事は! キソグ!! お前は俺に負けたんだ!!」 「聞け」 「俺に負けたという事はキソグ!? オレはお前より速い!!」 「……。だろうな」 キソグはもう一度深い溜息をついた。 どこまでも空気を読めない上に、自分がキソグのクラッシュの原因だとは 既に忘却の彼方にあるだろうGM車は、にんまりと口元を歪めてキソグを見つめた。 たっぷり一分見つめられ、妻はまだ帰らないかとキソグが思い始めた頃、 チッ9・ヒックスは徐に口を開いた。 「オレに抱かれろキソグ!!」 キソグは、自分のバンパーを取り落としたと錯覚した。 「………………はあ?」 ~~回想(チッ9・ヒックス視点)~~ あれはそう、オレがまだ超売れっ子新人ルーキーだった頃だ。その日も オレは僅差でおまえの後ろに甘んじて、銀色のカップを貰って帰る所だった。 お前はまだ独身で、カワイ子ちゃん達は俺の次にお前に夢中だった。 そんなお前がインタビューに答えてるのを、オレはたまたま……たまたまだぞ!!!! 見てたんだよ。テレビで。 インタビュアー(以下I)「キソグさん、****カップ優勝おめでとうございます! 今回も素晴らしい走りでしたね以下略~~~~ところでキソグさん。常に クールで熱い走りを見せるあなたですが、最近の世間の関心はあなたの パートナーについてなんです」 キソグ(以下お前)「パートナー?俺はまだ結婚する気はないな。今はまだ 一レーサーとしてあり続けたい。まだまだ未熟者だからな」 I「ああ、テレビの前のお嬢さん方の溜息が聞こえてきそうです! ではキソグさん、 あなたが伴侶にするとしたら、一体どんな方を選びますか?」 お前「思いの他直球で来るなあ……そうだな。俺より速い車になら、俺は俺の 全てを捧げよう――心も、身体も」 (以下省略) 『俺より速い車になら、俺は俺の全てを捧げよう――心も、身体も……も…… も……も…』(←エコー) ~~回想終了~~ 「オレは決意した、何が何でもお前を抜き!! お前を王者の位から叩き出して 俺が王者となった暁には!! お前をオレの者にしようと!!」 叫ぶなりチッ9はカップに何かをバラバラと入れた。床の滑りを利用して 押し付けられたそれをいやいやながら覗き込むと、キラキラと光るタイヤの ナットがワンセット分入っている。 「何だこれ」 「ギャラ三か月分のナットだ!! 特注品だぞ、見てみろ光に当てると青色に光るんだ!!」 キソグは優に三分は沈黙した後、先程より数倍だるそうに顔を上げた。 「チッ9、俺が妻帯者だってことをよもや忘れちゃいないだろうな?」 「ああうんざりするほどに! あのワゴンがお前の隣で微笑んでるのを 初めて見た日はオレの中で世界が半分終わったね! だがオレは確かに お前より速くなった! あのワゴンよりな!!」 「……。チッ9」 「何だ!?」 「…………そのインタビューってのは一体いつの話だ」 「忘れた!!」 「…………」 インタビューなぞ星の数ほど受けてきた。無論蔑ろにする気はなく、 出来得る限り誠心誠意答えてきたつもりだ。 ……だが、正直言ってその内容までいちいち覚えてはいない。 「記憶にない」 「なーっ!? ふざけるな! あの言葉を信じてオレはお前のバックを追いかけてたんだぞ!? それを事もあろうに忘れただぁ!?」 「あともう一つ」 「聞けよ!!」 「俺はもうレーサーじゃない。だから、タイヤは昨日履き替えた」 ちらり、とタイヤをチッ9に見せる。 レーシングカーが履くタイプではない。そのホイールはシンプル極まりない。 もうタイヤ交換を頻繁にする必要もないので、ホイール部分はしっかり プラチナのカバーで覆われていた。 つまり、どれだけナットが洒落ていても意味がない。 「これからは愛しのマーキュリーとのんびりドライブでも、と思ってな」 「……………………」 バンパーどころかネジ全部をふっ飛ばしそうな勢いで唖然としているチッ9の 脇から、するりと別の車が入ってきた。 品のよいターコイズブルーのマーキュリーコロニーパークステーション ワゴンは、『あなたただいま』と言いかけて闖入者に沈黙した。流石に自分の 夫のクラッシュ原因が目の前にいるのは気分が悪いらしく、憮然とした表情で夫の側へ寄っていく。 「あなた」 「もうじき帰るとさ。……ああマーク、マックィーンの特別番組って何時からだっけ?」 「あら、もうすぐよ」 「そうか、何チャンネルだっけ? ――チッ9」 「……何だよ」 「大変申し訳ないが、俺はマーキュリーに心底惚れているんでね……お前がロケットより早く走ろうとも、それだけは揺るがないね」 「いや、けどな、そいつは絶対俺より遅」 「速いぞ」 「え」 「断言しよう。マーキュリーは、俺より速い」 「…………ちくしょおおおおおおおおおおおっ!!!!」 夫の思わぬ熱っぽい言葉にフロントを染める妻と、それをいとおしげに眺めるキソグ。 そんな二人を後に、チッ9は男泣きしながら走り去って行った。 ……その後で素晴らしいスピードで戻ってきて、カップとナットを回収していった。 チッ9は知らない。 お忍びで街に出たキソグが、たまたますれ違いざまにハンドルトラブルを 起こして道端のタイヤタワーを崩してしまい、あたふたとそれを片付ける マーキュリーに出会った事を。 そして、件のインタビューを覚えていた彼女にレースを持ちかけられ、 全身全霊を掛けた人生最高のノロノロ走行で彼女に『負けた』事を。 『では次のニュースです。ピストンカップ新チャンピオンであるチッ9・ ヒックスが深夜オフロードを爆走、カーブを曲がりきれずにサボテンの群生に 突っ込みました。目撃者の話によると、チッ9・ヒックスは何故か大泣きして いたといい、一部の証言によりますと『キソグのバカヤロー』という絶叫を 耳にしたものもおり――――』 ____________ | __________ | | | | | | | □ STOP. | | | | | | ∧_∧ ゴメンネ、チック | | | | ピッ (・∀・ ) | | | | ◇⊂ ) __ |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ | ||―┌ ┌ _)_|| | | °° ∞ ≡ ≡ | || (_(__) || | ノマっぽい締めになってしまった……orzマーキュリーは王者夫人の名前(仮)です。 車全然詳しくないので怪しいところあったらスマソ #comment
テキスト整形のルールを表示する
ページ新規作成
新しいページはこちらから投稿できます。
作品一覧
シリーズものインデックス3
シリーズものインデックス2
シリーズものインデックス
第71巻
第70巻
第69巻
第68巻
第67巻
第66巻
第65巻
第64巻
第63巻
第62巻
第61巻
第60巻
第59巻
第58巻
第57巻
第56巻
第55巻
第54巻
第53巻
第52巻
第51巻
第50巻
第49巻
第48巻
第47巻
第46巻
第45巻
第44巻
第43巻
第42巻
第41巻
第40巻
第39巻
第38巻
第37巻
第36巻
第35巻
第34巻
第33巻
第32巻
第31巻
第30巻
第29巻
第28巻
第27巻
第26巻
第25巻
第24巻
第23巻
第22巻
第21巻
第20巻
第19巻
第18巻
第17巻
第16巻
第15巻
第14巻
第13巻
第12巻
第11巻
第10巻
第9巻
第8巻
第7巻
第6巻
第5巻
第4巻
第3.1巻
第3巻
第2巻
第1巻
ページ新規作成: