Top/S-31

S-31 の変更点


*R.S.3_LxM 26 [#x609dddd]
#title(R.S.3_LxM 26) [#x609dddd]

「こっちだ。」 
洞窟に着くと、老人が案内を始めた。 
「そんなことして貰ったのは初めてだよ。サービスいいねぇ。」 
ノーラが感心したように言いながらついて行く。 
実は「財宝の洞窟」とやらの情報に金を出すのはこれで3回目だ。 
グレートアーチに着いてすぐ、ノーラは若者の情報を買っている。 
拾い物もしたので全くの無駄という訳でもないのだろうが、そこに財宝は無かった。 
魔物が出ることも考慮すると、割に合わないというべきだろう。 

「随分と広い洞窟だな。」 
ミカエルの声が反響し、その感想を裏付ける。 
先ほどの2つとは明らかに違う。ノーラの頬が期待で染まる。 
工房のシンボル、聖王の槍。彼女はこれを探すために旅しているのだ。 
探しに出た父は惨殺され、「赤サンゴのピアス」という情報を残した。 
それが海賊を意味することを知り、今はその洞窟にいる。 
見つかるかも知れない、その思いが彼女を先に進ませていた。 
隠し部屋や仕掛け扉を通り抜ける度、期待が高まっていく。 

激しい水音。滝が、洞窟の中でその音を響かせる。 
「ここは・・・。」 
どこからともなく差し込む光が、財宝の入っているであろう箱を照らす。 
「これですね!」 
詩人が我先に駆け寄り箱を開けるその時、巨大な魔物が現れた。 
「チッ、ここも魔物に乗っ取られたか。」 
老人が忌々しげに舌打ちすると、斧を振りかざした。 

ノーラの棍棒と、老人の斧が唸る。 
ミカエルの小剣が舞う。 
詩人は・・・渡された剣を不器用に振るった。 
魔物の牙が、彼らを狙う。 
#comment

ページ新規作成

新しいページはこちらから投稿できます。

TOP