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S-29 の変更点


*R.S.3_LxM 24 [#r2e8f307]
#title(R.S.3_LxM 24) [#r2e8f307]
「そういえば、あの扉は開かなかったよね。」 
ノーラはミューズの家を訪れたときの、迷子捜索の時を思い出して言った。 
迷子が見つからないまま殿内を歩き回っていると、開かない扉があったのだ。 
「指輪で封印されているようだったな。」 
ミカエルが答えるように呟いた。 
「・・・魔王殿を封印したのは、聖王だろう。」 
詩人がいつものように聖王の詩を奏でた後、 
「ランスに住む子孫が、聖王遺物の指輪を持っているそうですよ。」 
と言って、また別の曲を奏でた。 

聖王家といっても、聖王本人には子供がない。 
聖王の姉の子が聖王家として残っている。 
邸宅を訪れて魔王殿の話をすると、当主の部屋へ通された。 
「あの扉へ行かれたのですか。もう・・・そんな時期なのですね。」 
彼は感慨深げに溜息をつくと、指輪をミカエルに渡した。 
「この指輪が、奥へ進む為の鍵となっています。どうぞお気をつけて。」 
扉の先には、封印された空間が広がっている。 
そこにいるのは、アビスの魔物と、そして・・・。 
当主に礼を述べて邸宅を出る。 
その日はランスで宿をとり、休むことにした。 

ミカエルは眠れないまま、窓の外へ出た。 
寒い街だ。 
白い息を吐きながら、夜空を見上げる。 
懐から指輪を取り出して、月明かりでそれを眺める。 
正邪を帯びた、妖しささえ感じられる光。 
何故か、とても懐かしい気持ちがした。 
指を通すと、その気持ちが強まる。 
思い出すのは、あの城だった。 

魔王殿の扉に指輪をはめ込むと、何かが開く音がした。 
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